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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-20
(54)【発明の名称】注射装置及びそのコンポーネント
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/00 20060101AFI20220613BHJP
   A61M 5/34 20060101ALI20220613BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20220613BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
A01G13/00 A
A61M5/34 530
A01G7/06 B
A01M7/00 W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533368
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(85)【翻訳文提出日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020028172
(87)【国際公開番号】W WO2020214621
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/835,700
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521254395
【氏名又は名称】パルス ニードルフリー システムズ,インコーポレイティド
(71)【出願人】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル ゾロトゥーヒン
【テーマコード(参考)】
2B022
2B121
4C066
【Fターム(参考)】
2B022EB03
2B121AA20
2B121CB13
2B121CC02
2B121CC03
2B121CC04
2B121CC31
2B121EA30
2B121FA02
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066CC10
4C066DD08
4C066FF05
(57)【要約】
本発明は、針保持アセンブリおよびそれを使用する方法;注入物送達システムおよびそれを使用する方法;針、および安全機構に向けられ、これらは全て、注射装置と共に使用するためのものである。針保持アセンブリは、注射装置に着脱可能に取り付け、注射装置に針を着脱可能に固定するように構成されている。針オフセットナットは、針保持ナットに取り外し可能に取り付けられ、かつ針に支持を提供するように構成される。注入物送達システムは、注入物保持コンパートメントと、プランジャと、弾性部材とを含む。プランジャは、注入物保持コンパートメント内に摺動可能に配置可能であり、注入物保持コンパートメントの内壁と流体密封シールを形成する。注射コンパートメントを注射装置に取り付けると、注射装置の投与チャンバと流体連通している。弾性部材は、プランジャーに連続的な圧力を加えるように構成されており、それにより、投与チャンバをプライミングするために重力も陰圧も必要とされないように、注入物保持コンパートメントを注射装置に取り付けるとき、注入物保持コンパートメントから投与チャンバに注入物を強制的に注入する。針は、長手方向チャネルを画定する側壁を有し、側壁に少なくとも2つのオリフィスを含むが、針の先端にはオリフィスを含まない。安全機構は、注射装置のハンドルの対向する側にそれぞれ配置される2つのスイッチ要素を含むデュアルスイッチを含む。デュアルスイッチはオンとオフの位置の間で移動可能であり、デュアルスイッチの片側のスイッチ要素の移動は、ハンドルの反対側のスイッチ要素を自動的に移動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射装置とともに使用するための針保持アセンブリであって、
針保持ナットと、
針オフセットナットとを含み、
前記針保持ナットが前記注射装置に着脱可能に取り付けられ、前記注射装置に針を着脱可能に固定するように構成され、前記針オフセットナットが前記針保持ナットに着脱可能に取り付けられ、前記針に支持を提供するように構成されている、針保持アセンブリ。
【請求項2】
前記針保持ナットおよび前記針オフセットが、前記針保持ナットを前記針オフセットナットおよび前記注射装置から独立して分離することを可能にする、任意の適切なオフセット係合機構を含む、請求項1記載の針保持アセンブリ。
【請求項3】
前記オフセット係合機構は、ねじ山、フランジおよびフランジ係合構造、ピンロック、ボールロック、キーロック、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の針保持アセンブリ。
【請求項4】
前記針保持ナットが回転係合を介して前記注射装置に着脱自在に取り付け可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の針保持アセンブリ。
【請求項5】
前記針オフセットナットは、回転係合を介して前記針保持ナットに着脱自在に取り付け可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の針保持アセンブリ。
【請求項6】
前記針保持ナットは、第1の回転方向における回転係合を介して、前記注射装置に着脱自在に取り付け可能であり、前記針オフセットナットは、前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向における回転係合を介して、前記針保持ナットに着脱自在に取り付け可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の針保持アセンブリ。
【請求項7】
前記針保持ナットが、前記針の近位部分を受け入れるための保持ナット開口部を含み、前記針保持ナット開口部は保持ナット開口部内壁によって画定され、前記針保持ナットが前記注射装置に着脱可能に取り付けられるときに、前記針が前記注射装置に着脱可能に取り付けられ、前記針の近位部分が前記保持ナット開口部内に位置し、前記針の前記近位部分の直径が前記保持ナット開口部の直径より小さい、請求項1~6のいずれか一項に記載の針保持アセンブリ。
【請求項8】
前記針オフセットナットは、前記針の遠位部分を受け入れるためのオフセットナットチャネルを含み、前記オフセットナットチャネルは、オフセットナットチャネル内壁によって画定され、前記針オフセットナットが前記針保持ナットに取り外し可能に取り付けられるときに、前記針の前記遠位部分は、前記オフセットナットチャネル内に位置決めされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の針保持アセンブリ。
【請求項9】
前記オフセットナットチャネルの直径は、前記針の前記遠位部分の外径よりも大きく、前記オフセットナットチャネルの前記オフセットナットチャネル内壁は、前記針が前記針保持ナットによって前記注射装置に取り外し可能に固定されるときに、前記針の前記遠位部分の側壁と当接係合する、請求項8に記載の針保持アセンブリ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の針保持アセンブリによって、前記針を前記注射装置に取り付ける方法であって、
前記針の前記近位部分を前記針保持ナットの前記保持ナット開口部内に位置決めするステップと、
前記注射装置に前記針保持ナットを取り付けるステップと、
前記針の前記遠位部分の上に前記針オフセットナットのオフセットナットチャネルを位置決めするステップと、
前記針オフセットナットを前記針保持ナットに取り付けるステップと、を含む、方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の針保持アセンブリを含む前記注射装置から前記針を取り外す方法であって、
前記注射装置から前記針保持ナットを取り外すステップと、
前記針保持ナットの前記保持ナット開口部から前記針を取り外すステップと、を含む方法。
【請求項12】
前記針オフセットナットを前記針保持ナットから取り外すステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記針保持ナットを前記注射装置から取り外すステップの前に、前記針オフセットナットを前記針保持ナットから取り外す、請求項11~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
注射装置とともに使用するための注入物送達システムであって、前記注入物送達システムは、
注入物保持コンパートメントと、
プランジャーであって、前記プランジャーは注入物保持コンパートメント内で滑動可能に位置決め可能であり、前記注入物保持コンパートメントの内壁と流体密封を形成する、プランジャーと、
弾性部材と、を備え、
前記注入物保持コンパートメントが前記注射装置に取り付けられているときに、前記注入物保持コンパートメントが前記注射装置の投与チャンバと流体連通しており、かつ、
前記弾性部材が前記プランジャーに持続的圧力を加えるように構成されており、それにより、前記注入物保持コンパートメントが、前記投与チャンバをプライミングするために重力も陰圧も必要とされないように、前記注入物保持コンパートメントが前記注射装置に取り付けられているときに、前記注入物保持コンパートメントから前記投与チャンバへの注入物を強制的に注入するように構成されている、注入物送達システム。
【請求項15】
前記弾性部材がバネである、請求項14記載の注入物送達システム。
【請求項16】
請求項14~15のいずれか一項に記載の注入物送達システムを前記注射装置とともに使用する方法であって、
注入するべき対象物に針の先端を押し付けるステップであって、前記針は前記注射装置で使用するために配置され、前記注入物送達システムは前記注射装置に取り付けられている、ステップと、
注入するべき前記対象物に注入物を注入するステップと、を含み、
前記注入物は、前記注入物保持コンパートメントから前記投与チャンバに供給され、
前記投与チャンバをプライミングするために重力も陰圧も必要とされないように、弾性部材が前記プランジャに連続的な圧力を加え、かつ、前記注入物保持コンパートメントの先端に向かう方向への前記プランジャの移動が、前記注入物保持コンパートメントから前記投与チャンバへ前記注入物を強制的に注入する、方法。
【請求項17】
注射装置と共に使用する針であって、
長手方向のチャネルを画定する側壁を有する針を含み、前記針が前記針の側壁に少なくとも2つのオリフィスを含み、かつ前記針の先端にオリフィスを含まない、針。
【請求項18】
前記針が、前記針の側壁上に2つのオリフィスを含む、請求項17に記載の針。
【請求項19】
注射装置とともに使用するための安全機構であって、
前記注射装置のハンドルの対向する側にそれぞれ配置される2つのスイッチ要素を備えるデュアルスイッチであって、前記デュアルスイッチは、オン位置とオフ位置との間で移動可能であり、前記デュアルスイッチの一方の側にある前記スイッチ要素の移動は、前記ハンドルの反対側にある前記スイッチ要素を自動的に移動させる、デュアルスイッチを備える、安全機構。
【請求項20】
前記スイッチ要素のうちの少なくとも1つは、押し下げ可能なボタンを備え、前記デュアルスイッチは、前記ボタンを同時に押し下げ、いずれかのスイッチ要素を前記オン位置と前記オフ位置との間で移動させることによって、前記オン位置と前記オフ位置との間で移動可能である、請求項19に記載の安全機構。
【請求項21】
請求項1~9のいずれか一項に記載の針保持アセンブリを含む、注射装置。
【請求項22】
請求項14~15のいずれか一項に記載の注入物送達システムを含む、注射装置。
【請求項23】
請求項17~18のいずれか一項の針を含む、注射装置。
【請求項24】
請求項19~20のいずれか一項に記載の安全機構を含む、注射装置。
【請求項25】
請求項22~24のいずれか一項に記載の注射装置であって、さらに請求項1~9のいずれか一項に記載の針保持アセンブリを含む、注射装置。
【請求項26】
請求項21および23~24のいずれか一項に記載の注射装置であって、さらに請求項14~15のいずれか一項に記載の注入物送達システムを含む、注射装置。
【請求項27】
請求項21~22および24のいずれか一項に記載の注射装置であって、さらに請求項17~18のいずれか一項の針を含む、注射装置。
【請求項28】
請求項21~23のいずれか一項に記載の注射装置であって、請求項19~20のいずれか一項に記載の安全機構をさらに含む、注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本申請は、2019年4月18日付けで申請された米国仮出願第62/835,700号に基づくものであり、参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
本発明は、注射装置の分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、植物の害虫と病気は農薬の大量散布によって防除されてきた。しかし、多くの農薬はニコチンを含んでいる。ニコチン系農薬は、ミツバチの個体数減少の原因であることが示されており、特定の管轄区域で制限されている。従来型農薬の環境・健康への影響に対する懸念から、注射を介して少量ずつ植物に届けられる、より自然な農薬や、バイオコントロール対策の研究開発につながっている。
【0004】
植物細菌の防除のための従来型農薬の大量散布の代替法を開発するにあたり、研究者は疾患の生物防除剤として役立つ毒性バクテリオファージを開発した。そのような疾患のひとつに、ブドウや他の植物に影響を及ぼすピアス病があり、昆虫を介して植物に広がっている。従来の農薬は、植物間で植物病を媒介する昆虫を防除するために用いられていたが、バクテリオファージは、いったん細菌が植物内に存在すると、細菌の影響を制限しようとする。しかし、従来の農薬とは異なり、バクテリオファージを効果的に植物の表面に適用することはできず、その代わりに植物に注入して効果を上げなければならない。
【0005】
バクテリオファージのようなある用途に維管束植物を注入する場合には、注入物(injuctate)を植物の木部に送達することが望ましい。木部は植物の根からその茎と葉に水と栄養分を輸送する植物維管束組織である。そのため、木部への注射によって、注入物は、木部の自然の経路を経て、植物の組織の大部分に輸送され、露出することができる。また、木部への注射は、注射した食物が植物の木部組織に存在する細菌に影響を及ぼすように意図されている場合にも望ましい。木部組織への注射のための公知の用途は、植物病原菌Xylella fastidiosaおよびXanthomonasに関連した予防および治療であり、一般的にはブドウ栽培におけるピアス病として知られている。
【0006】
ブドウの木部に液体を注入する試みとして、いくつかの技術的課題を紹介した。第一に、さまざまな年齢とサイズの植物では、木部組織は植物体の外側の下の異なる深さに見られる。たとえば、若いブドウの木部では、木部組織がブドウの木の1~2ミリメートルにあることがある。より成熟したブドウの木部では、木部組織が樹木の中に3~4ミリメートルにみられることがある。したがって、異なる種類および/または年齢のブドウに対して、均一な注入法は不可能である。さらに、注入物の加圧供給なしでは、注入物は木部のごく一部にしか曝されないことがある。さらに、非常に少ない用量(<200マイクロリットル)を送達する場合、注射装置の各サイクルが、投与されるべき所望の用量を放出するように、注射装置を完全にプライミングすることは困難である。流体経路の小さな用量および狭い経路は、注射装置プライミングプロセスを困難にする可能性がある。それに関連して、薬用バイアルを注射装置に取り付ける場合、薬用バイアルが重力によって注入物を装置に供給しない直角に置かれる可能性のある位置に注入物を送達することは、しばしば困難である。注入物供給を加圧するために重力に依存する注射装置は理想的ではない。さらに、注射装置の針は、ブドウの木の硬さのために曲がったり折れたりすることがあり、ブドウ園で働いている間、および特別な道具へのアクセスが制限されている間は、針を交換するのが困難なことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一態様では、本発明は、注射装置と共に使用するための針保持アセンブリに向けられる。注射装置は、針保持ナットと、針オフセットナットとを含む。針保持ナットは、注射装置に着脱可能に取り付け、注射装置に針を着脱可能に固定するように構成されている。針オフセットナットは、針保持ナットに取り外し可能に取り付けられ、かつ針に支持を提供するように構成される。
【0008】
ある実施態様において、針保持ナット及び針オフセットナットは、針保持ナットを針オフセットナット及び注射装置から独立させる任意の適切なオフセット係合機構を含む。適切なオフセット係合機構としては、ねじ、フランジおよびフランジ係合構造、ピンロック、ボールロック、キーロック、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、針保持ナットは、回転係合を介して注射装置に着脱自在に取り付け可能である。好ましくは、針オフセットナットは、回転係合を介して針保持ナットに着脱自在に取り付け可能である。より好ましくは、針保持ナットは、第1の回転方向における回転係合を介して、注射装置に取り外し可能に取り付け可能であり、針オフセットナットは、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向における回転係合を介して、針保持ナットに取り外し可能に取り付け可能である。
【0009】
ある実施形態において、針保持ナットは、針の近位部分を受け取るための保持ナット開口部を含む。針保持ナットの開口部は、保持ナットの開口部内壁によって定義される。針保持ナットは、注射装置に着脱可能に取り付けられ、針は注射装置に着脱可能に固定される。針の近位部分は保持ナット開口部内に位置し、針の近位部分の直径は保持ナット開口部の直径より小さい。
【0010】
ある実施形態において、針オフセットナットは、針の遠位部分を受け取るためのオフセットナットチャネルを含む。オフセットナットチャネルは、オフセットナットチャネル内壁によって定義される。針オフセットナットが、針保持ナットに取り外し可能に取り付けられると、針の遠位部分は、オフセットナットチャネル内に位置決めされる。好ましくは、オフセットナットチャネルの直径は、針の遠位部分の外径よりも大きく、オフセットナットチャネル内壁は、針が針保持ナットによって注射装置に取り外し可能に固定されるときに、針の遠位部分の側壁と当接係合する。
【0011】
別の態様において、本発明は、本発明の針保持アセンブリを有する注射装置に針を取り付ける方法に向けられる。この方法は、針の近位部分を針保持ナットの保持ナット開口部内に位置決めするステップと、針保持ナットを注射装置に取り付けるステップと、針の遠位部分上に針オフセットナットのオフセットナットチャネルを位置決めするステップと、針オフセットナットを針保持ナットに取り付けるステップとを含む。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、本発明の針保持アセンブリを含む注射装置から針を抜く方法に向けられる。方法には、注射装置から針保持ナットを外すこと;および針保持ナットの保持ナット開口部から針を外すことが含まれる。特定の実施形態において、方法は、針オフセットナットを針保持ナットから取り外すことをさらに含む。好ましくは、針保持ナットを注射装置から取り外す前に、針オフセットナットを針保持ナットから取り外す。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、注射装置と共に使用するための注入物送達システムに向けられる。注入物送達システムは、注入物保持コンパートメントと、プランジャと、弾性部材とを含む。プランジャは、注入物保持コンパートメント内に摺動可能に配置可能であり、注入物保持コンパートメントの内壁と流体密封シールを形成する。注射コンパートメントを注射装置に取り付けると、注射装置の投与チャンバと流体連通している。弾性部材は、プランジャに連続的な圧力を加えるように構成されており、それにより、投与チャンバをプライミングするために重力も陰圧も必要とされないように、注入物保持コンパートメントを注射装置に取り付けるとき、注入物保持コンパートメントから投与チャンバに注入物を強制する。
【0014】
ある実施態様では、弾性部材はバネである。
【0015】
さらに一態様では、本発明は、本発明の注入物送達システムを使用する方法に向けられる。その方法は:注射される被験体に注射針の先端を押さえ、注射される被験体に注入物を注射することを含む。注射針は、注射装置の中で使用するために配置され、注入物送達システムは、注射装置に取り付けられる。注入物は、注入物保持コンパートメントから投与チャンバに供給される。弾性部材は、投与チャンバをプライミングするために重力も陰圧も必要としないように、プランジャに連続的な圧力を加える。注入物保持コンパートメントの先端に向かってプランジャを移動させると、注入物保持コンパートメントから注入物を投与チャンバに強制的に注入する。
【0016】
さらに別の態様では、本発明は、注射装置と共に使用するための針に向けられる。針には、長手方向のチャネルを画定する側壁がある。針は、針の側壁に少なくとも2つの開口部を含む。
【0017】
さらにもう1つの態様において、本発明は、注射装置のハンドルの対向する側にそれぞれ配置された2つのスイッチ要素を含むデュアルスイッチを含む注射装置と共に使用するための安全機構を対象とする。デュアルスイッチはオンとオフの位置の間で移動可能であり、デュアルスイッチの片側のスイッチ要素の移動は、ハンドルの反対側のスイッチ要素を自動的に移動させる。
【0018】
さらにもう1つの態様において、本発明は、以下の1つ以上を含む注射装置に向けられる:本発明の針保持アセンブリ;本発明の注入物送達システム;本発明の針;および本発明の安全性機構。
【0019】
特定の実施形態において、スイッチ要素の少なくとも1つは、押し下げ可能なボタンを含み、デュアルスイッチは、ボタンを同時に押し下げ、いずれかのスイッチ要素をオン位置とオフ位置との間で移動させることによって、オン位置とオフ位置との間で移動可能である。
本発明の追加の態様は、それに付随する利点および新規の特徴とともに、部分的には、これに続く説明に示され、部分的には、以下の検討によって当業者に明らかになるか、または本発明の実践から学ぶことができる。本発明の目的及び利点は、添付のクレームにおいて特に指摘されている器具類及び組合せによって実現及び達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の例示的注射装置の断面図である。
図2図2は、安全機構がオフ位置にある、図1の注射装置の側面図である。
図3図3は、針保持アセンブリを示す、図1の注射装置の部分断面図である。
図4図4は、針保持アセンブリを示す、図1の注射装置の部分断面図であり、ここで、針オフセットナットおよび針保持ナットは、注射装置から取り外されている。
図5図5は、針保持アセンブリを示す、図1の注射装置の部分断面図であり、ここで、針オフセットナットは、針保持ナットから取り外されている。
図6図6は、図1の注射装置の分解図である。
図7図7は、安全機構がオン位置にある、図1の注射装置の側面図である。
図8図8は、曲がった針を備えた針保持アセンブリを示す、図1の注射装置の部分断面図である。
図9図9は、バネが圧縮位置にある、図1の注射装置の注入物送達システムの断面図である。
図10図10は、バネが部分的に非圧縮位置にある、図1の注射装置の注入物送達システムの断面図である。
図11図11は、図1に示された針の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のある態様は、ここで、図に示される例示的な実施形態に関して記述されるが、そうした実施形態に限定されるものではない。図1は、本発明の注射装置10の例示的な実施形態を示す。
【0022】
一態様では、本発明は針保持アセンブリ12に向けられる。針保持アセンブリ12は、注射装置とともに使用される針に支持を与え、注射装置とともに使用される針の貫通深度を設定し、特に針が破損、屈曲、および/または損傷した場合に、針のより容易かつ安全な抜去を可能にするように構成されている。
【0023】
図2を参照すると、針保持アセンブリ12は、円筒形の針保持ナット14および半円錐状の針オフセットナット16を含む。図3及び図4を参照すると、針保持ナット14は、注射装置10に取り外し可能に取り付けられ、注射装置10に針18を取り外し可能に固定するように構成されている。図3および図5に示すように、針オフセットナット16は、針保持ナット14に取り外し可能に取り付けられ、かつ針18に支持体を提供するように構成される。針保持ナット14は、回転係合を介して注射装置10に着脱可能に取り付けることができ、針オフセットナット16は、回転係合を介して針保持ナット14に着脱可能に取り付けることができる。
【0024】
ある実施形態では、針保持ナット14は、第1の回転方向における回転係合を介して注射装置10に取り外し可能に取り付け可能であってもよく、針オフセットナット16は、第1の回転方向と反対の第2の回転方向における回転係合を介して、針保持ナット14に取り外し可能に取り付け可能であってもよく、この構成は、注射装置10からの針保持ナット14の同時および潜在的に望ましくない取り外しを行うことなく、針オフセットナット16の針保持ナット14からの取り外しを容易にすることを可能にする。
【0025】
図2、4、および6に示されるように、針保持ナット14は、それぞれが針保持ナット内側円筒壁24と針保持ナット外側円筒壁26との間に延在する、弧状の半径方向側壁20、22によって画定される2つのテーパ状の半径方向溝19、21を含む。針保持ナット14はまた、それぞれ第1の軸方向側壁32および第2の軸方向側壁36によってそれぞれ画定され、それぞれが針保持ナット14の内側円筒壁24と外側円筒壁26との間に延在する、対応する第1の軸方向側壁および第2の軸方向側壁38の互いに反対して位置決めされた2つの位置合わせ開口部28、30を含む。半径方向の溝19、21はそれぞれ反対方向に向いている。位置合わせ開口部28、30は、注射装置10に固定するための針保持ナット14を位置決めするために、注射装置10上の2つの同一のフランジ40(図2および6に示される)、42(部分的に図6に示される)と位置合わせするように構成され、半径方向溝19、21の弧状側壁20、22は、それぞれ、時計回り方向にそれぞれのフランジ40、42に回転係合することによって、注射装置10に針保持ナット14を固定するように構成される。図6に示すように、各フランジ40、42は、投与チャンバ46(図1に示す)の外側投与チャンバ円筒表面44から放射状に外側に伸びる。フランジ40および42はそれぞれ反対方向に向いている。図2に示すように、フランジ40、42は、それぞれの相補的なテーパ状の溝19、21内に位置決めされ、弧状側壁20、22の部分に摩擦的に当接して係合される近位テーパ面を有する。針保持ナット14は、外側投与チャンバ円筒表面44以外の位置に注射装置10に取り付けられるように構成されてもよいことを理解されるべきである。
【0026】
図5に最もよく示されているように、針オフセットナット16は、針保持ナット14の円筒形の針保持ナット外壁54上に配置されたねじ山52と反時計回り方向に係合することによって、針オフセットナット16を針保持ナット14に固定するように構成された、その円筒形のオフセットナット内壁50の近位部分上に配置されたねじ山48を含む。好ましくは、針オフセットナット16を固定するか、または針保持ナット14から取り除くために必要な労力を減らすために、ねじ山48および52は細いねじ山(fine thread)である。
【0027】
したがって、図3に示すように、針保持ナット14は、第1の回転方向(すなわち-時計回り)に注射装置10に回転係合し、針オフセットナット16は、第1の回転方向(すなわち-反時計回り)と反対の第2の回転方向(すなわち-反時計回り)に針保持ナット14に回転係合する。その結果、針オフセットナット16は、注射装置10から針保持ナット14を同時に(潜在的に望ましくない)外すことなく、容易に針保持ナット14から取り外すことができる。
【0028】
その代わり、針オフセットナット16の針保持ナット14への係合、針保持ナット14の注射装置10への係合は、ねじ、フランジ及びフランジ係合構造、ピンロック、ボールロック、キーロック等を含むが、それに限定されない針オフセットナット16及び注射装置10から独立して針保持ナット14を切り離すことを可能にする任意の適切なオフセット係合機構の利用によって達成できることを理解すべきである。また、針保持ナット14および針オフセットナット16の外面は、ユーザの手で握りやすくする構造、材料、またはテクスチャを含んでもよいことを理解されたい。例えば、図7に示すように、1つまたは複数の同一のフィンガー把持部56は、1つのフィンガー把持部56のみが示されているが、針オフセットナット16の外側円筒壁58上に配置されてもよい。
【0029】
図4に示すように、針保持ナット14は、針保持ナット内側円筒壁24によって画定され、針18の近位部分を受け入れるように構成された保持ナット開口部60を含んでいる。図5に示すように、針18の近位部分は、保持ナット開口部60内に配置される。針18の一体的に形成された円筒形基部64の円筒形外側フランジ62の遠位部分は、針保持ナット14の針保持ナット内側円筒壁24の円筒形内側フランジ66の近位部分と当接係合している。図1に示すように、注射装置10の針18、円筒形の基部64、および円筒形の投与チャンバ46は軸アライメントにあり、円筒形の基部64の近位部分は軸方向にアライメントされ、投与チャンバ46の遠位端と当接かみ合わせにある。したがって、針18は、針保持ナット14によって注射装置10に着脱可能に固定されている。針18の外径は、保持ナット開口部60の直径よりも小さい。特定の寸法差が必要とされないが、保持ナット開口部60の直径は、針18の直径に対して過大サイズであることが好ましく、保持ナット開口部60への、および保持ナット開口部からの針18の容易な挿入および取り外しを可能にし、軸線方向の整合から外れる動きを可能にする。
【0030】
図5に示すように、針オフセットナット16は、円筒形のオフセットナットチャネル内壁70によって画定され、針18の遠位部分を受け入れるように構成されたオフセットナットチャネル68を含む。図3に示すように、針18の遠位部分は、オフセットナットチャネル68内に位置決めされる。オフセットナットチャネル68の直径は、針18の遠位部分の外径よりも大きく、好ましくは僅かに大きく、オフセットナットチャネル内壁70は、針18に支持外側改善された剛性を提供するために、針18の遠位部分の側壁72と当接係合している。今度は、針18は、針18のミスアライメント/屈曲又は破断に至り得るオフセット又は横方向の動きを生じにくい。
【0031】
図1に示されるように、針18の先端部分74はオフセットナットチャネル68の外側に配置される。針オフセットナット16の先導平面76は、注入中に被検体に対して位置決めされるように構成され、針18の最大貫通深さを設定する停止点として機能する(すなわち、先端部分74のみが被検体を貫通できる)。好ましくは、針保持アセンブリ12は、高さhが異なる複数の交換可能な針オフセットナット16(図3参照;図示せず複数の針オフセットナット)を含み、オフセットナットチャネル68の外側に延在する針18の先端部分74の長さ、したがって、針18の所望の貫通深さをユーザが選択できるようにする。
【0032】
本発明はまた、注射装置に針を取り付ける方法に向けられる。本方法は、針の近位部分を針保持ナットの保持ナット開口部内に位置決めするステップと、針保持ナットを注射装置に取り付けるステップと、針の遠位部分の上に針オフセットナットのオフセットナットチャネルを位置決めするステップと、針オフセットナットを針保持ナットに取り付けるステップと、を含む。
【0033】
特定の実施形態において、注射器への針の取り付けは、以下の例示的な方法に従って、注射装置10、針保持アセンブリ12、および針18で行うことができる。図4を参照すると、針18の近位部分は、針保持ナット14の保持ナット開口部60内に位置決めされる。円筒形の基部64の遠位部分は、針保持ナット14の保持ナット開口部内壁24の円筒形の内側フランジ66の近位部分と軸方向に整列し、それに対して位置決めされる。図6を参照すると、針保持ナット14の位置合わせ開口部28は、注射装置10のそれぞれのフランジ40と配列されるが、反対側の開口部30(図示せず)上では、フランジ42と配列される。次いで、位置合わせ開口部28、30は、それぞれのフランジ40、42の上方に位置決めされ、テーパ状フランジ40、42がそれぞれのテーパ状の溝19、21内に位置決めされ、弧状側壁20、22およびそれぞれのフランジ40、42が互いに摩擦して当接するように、図2に示す位置に針保持ナット14が時計回りに回転される。したがって、針保持ナット14と注射装置10は、互いに着脱可能に取り付けられ、針18は、投与チャンバ46の遠位部分に着脱可能に固定される(図1に示される)。次に、図3に示すように、針オフセットナット16のオフセットナットチャネル68が、針18の遠位部分にわたって位置決めされ、オフセットナットチャネル内壁70が、針18の遠位部分の側壁72に対して位置決めされ、針オフセットナット16が、針オフセットナット16および針保持ナット14を互いに回転係合しかつ取り外し可能に取り付けるために、図示の位置に反時計回りに回転される。
【0034】
本発明はさらに、注射装置から針を抜く方法に向けられる。方法は、注射装置から針保持ナットを外すこと;および針保持ナットの保持ナット開口部から針を外すことを含む。ある実施形態において、この方法は、針保持ナットから針オフセットナットを取り外すことをさらに含み、任意かつ好ましくは、この追加ステップを、注射装置から針保持ナットを取り外す前に実施してもよい。
【0035】
特定の実施形態において、注射装置からの針の除去は、以下の例示的な方法に従って、注射装置10、針保持アセンブリ12、および針18で実施され得る。図3を参照すると、針オフセットナット16と針保持ナット14とを互いに回転的に離脱させるために、針オフセットナット16が時計回りに回転される。次に、オフセットナットチャネル内壁70が、針18の遠位部分の側壁72との接触から取り出され、針オフセットナット16のオフセットナットチャネル68が、針18の遠位部分から図5に示す位置に移動される。図8に示すように、針18が曲がっている、折れている、および/または損傷している場合、このステップを実施することにより、ユーザは、まず、針保持ナット14なしで、針18の曲がっている、折れている、および/または損傷している部分をクリアすることができる。針オフセットナット16が針保持ナット14から螺着脱されると、針18の折れ曲がった、折れた、及び/又は損傷した部分は、オフセットナット開口部68を通って同時に強制的に通される。一旦、針オフセットナット16が針保持ナット14から完全に分離されると、針オフセットナット16は、次いで、針オフセットナット16が、針保持ナット14との軸方向の整合から外れて自由に移動するので、部分的に、針18の曲がった、折れた、および/または損傷した部分を越えて、より容易に摺動可能に取り外し可能である。工具は不要であり、針オフセットナット16は手で取り外すことができ、フィンガー把持部56は、針オフセットナット16の容易な取り外しを可能にする。次に、図5を参照すると、半径方向溝19、21およびそれぞれのフランジ40、42の弧状側壁20、22が互いに離脱するように、また、針保持ナットおよび注射装置を互いに離脱させるために、位置合わせ開口部28、30がそれぞれのフランジ40、42から離脱するように、針保持ナット14が、図6に示す向きに反時計回りに回転される。次に、針18は、針保持ナット14の過大なサイズの保持ナット開口部60から容易に除去される。
【0036】
図1に戻って、本発明の別の態様は、注射装置と共に使用するための注入物送達システム78に向けられる。注入物送達システム78は、注入物保持コンパートメントと、注入物保持コンパートメントの内壁と流体密封シールを形成する注入物保持コンパートメント内に摺動可能に配置可能なプランジャと、弾性部材とを含む。注入物保持コンパートメントが注射装置に取り付けられるとき、注入物保持コンパートメントは、注射装置の投与チャンバと流体連通している。弾性部材は、プランジャに連続的な圧力を加えるように構成されており、それにより、注入物保持コンパートメントが、プライミング投与チャンバに重力も陰圧も必要とされないように、注入物保持コンパートメントが注射装置に取り付けられたときに、注入物保持コンパートメントから投与チャンバに注入物を強制する。
【0037】
図6に最もよく示されているように、注入物送達システム78は、円筒形の注入物保持コンパートメント80、円筒形プランジャ82(プランジャシール84を含む)、バネ86、入口チューブ88、および入口バルブアセンブリ90を含む。図9を参照すると、プランジャ82は、注入物保持コンパートメント80内に摺動可能に配置され、プランジャシール84は、注入物保持コンパートメント80の円筒形の内壁92と共に流体密シールを形成する。図のように、プランジャ82は、バネ86が注入物保持コンパートメント80内の注入物(図には示されていない)の存在により圧縮されたときに、注入物保持コンパートメント80の近位端に位置する。図10は、バネ86が部分的に圧縮されていないときに、注入物保持コンパートメント80の遠位端で最も遠位の位置に配置されたプランジャ82を示す。注入物保持コンパートメント80の開放先端94は、入口チューブ88を介して図6に示すように、投与チャンバ開口部96と流体連通している。図1を参照すると、ボールバルブ98を含む入口バルブアセンブリ90は、注入物保持コンパートメント80から投与チャンバ46に注入物を供給し、投与チャンバ46内に存在する注入物または空気が注入物保持コンパートメント80に流れるのを防止するように構成される。ボールバルブ98は常に開放されており、注入物保持コンパートメント80からの注入物が投与チャンバ46に流れ込むことができる。ボールバルブ98は、注射装置10の注入物ピストン99の遠位方向の動きに起因して、ボールバルブ98のボールに背圧がある場合にのみ、閉じられている。入口バルブアセンブリ90とともに入口バルブ送達システムが示されているが、任意の適切な入口バルブアセンブリ(および任意の適切なバルブ)を、ソレノイドバルブ、シャッタバルブ、膜バルブなどを含むがこれに限定されない任意の適切な入口バルブアセンブリに代えてもよいことを理解すべきである。
【0038】
図9に戻って、円筒形の注入物保持コンパートメント80は、円筒形バレル100の開口部内に摺動可能に配置される。円筒形バレルキャップ102は、円筒形バレル100の外面103に螺着可能に取り付けられ、円筒形バレル100の近位端の上に配置される。図6に示すように、円筒形バレル100は、それぞれ整合された開口部106、108、110、および112;ならびに114、116、118、ならびに開口部112に対応する開口部(図示せず)内にそれぞれ配置された同一のボルト104を有する注射装置10に順番に取り付けられる。円筒形の注入物保持コンパートメント80は、当業者が理解するように、任意の適切な方法で注射装置10に取り付けることができ、必ずしも円筒形のバレルキャップ102内に配置する必要はないことを理解すべきである。
【0039】
図9に戻って参照すると、バネ86は、プランジャ82の近位端とバレルキャップ102の頂部122との間に配置される。バネ86は圧縮可能であり、投与チャンバ46が空であるかまたは部分的に空である場合に、注入物保持コンパートメント80に存在する任意の注入物が投与チャンバ46(図1に示される)に強制されるように、プランジャ82に対して連続的な圧力を加える。したがって、投与チャンバ46をプライミングするためには、重力も陰圧も必要とされない。注入物送達システム78はバネ86を含むが、プランジャ82に連続的な圧力を加えるように構成されている任意の適切な弾性部材は、本発明の範囲内であることを理解すべきである。
【0040】
特定の実施形態において、図1に最もよく示されるように、プランジャ82は、円筒形のボア側壁124によって画定され、ねじ切りされた細長いツール(図示せず)を受け入れるように構成される円筒形のボア(穴)を含む。好ましくは、図示されるように、プランジャ82のボア側壁124は、ねじ山付き細長いツール(図示せず)のねじ山と係合可能なねじ山128を含み、これにより、プランジャ82は、注入物で注入物保持コンパートメント80をプライミングするために、ねじ山がねじ山128と係合したときに、ねじ山付きツールを引くことによって、注入物保持コンパートメント80内で遠位方向により容易に移動され得る。
【0041】
注入物送達システム78は、重力および/または陰圧の使用に依存しないため、従来技術の注入物送達システムよりも、顕微鏡量の注入物(すなわち、わずか20μL程度)をより一貫してより正確に送達することができる。同じ理由で、注入物送達システム78の精度は、動作中のその向き(すなわち、-逆さま、横向きなど)に影響されない。
【0042】
本発明は、さらに、注射装置を伴う注入物送達システムを使用する方法に向けられる。この方法は、以下のステップを含む:注射されるべき被験体中に針の先端を押さえ、ここで針は注射装置に使用するための位置に配置され;そして注射される被験体中に注入物を注入する。注入物は、注入物送達システムの注入物保持コンパートメントから注射装置の投与チャンバに供給される。弾性部材は、投与チャンバをプライミングするために重力も陰圧も必要とされないように、注入物送達システムのプランジャに連続的な圧力を加える。注入物保持コンパートメントの先端に向かってプランジャを移動させると、注入物保持コンパートメントから注入物を投与チャンバに強制的に注入する。
【0043】
特定の実施形態では、注入物送達システムを使用する方法は、以下の例示的な方法に従って、注射装置10、針18、および注入物送達システム78で実施することができる。図1を参照して、針18の先端部分74を、注射される被験動物に押し込み、注射物(図には示していない)を被験動物に注射する。以下により詳細に説明されるように、注射は、トリガ130を抑制することによって行われ、これは次に、投与チャンバ46内で、その遠位端に向かって注入物ピストン132の動きを引き起こす。注入物ピストン132のこの動きは、針18の長手方向チャネル136(図3に示される)と流体連通している針18の円筒形の基部64の近位端の中央基部開口部134を通って、投与チャンバ46に存在する注入物を強制的に注入する。次いで、注入物は、長手方向チャネル136およびオリフィス138を通って被験体に流入する。注入物は、注入物保持コンパートメント80から投与チャンバ46に供給される。バネ86は、投与チャンバ46をプライミングするために重力も陰圧も必要とされないようにプランジャ82に連続圧力を加え、注入物保持コンパートメント80から投与チャンバ46に注入物を強制的に押し出すために、プランジャ82は注入物保持コンパートメント80の遠位端に向かって移動する。注射が完了すると、図1に示すように、注入物ピストン132は、投与チャンバ46内を移動して、投与チャンバ46の近位端の元の位置に戻る。この注入物ピストン132の後方移動は、注入物保持コンパートメント80から供給され、入口チューブ88および入口バルブアセンブリ90を通して供給される、より多くの注入物で直ちに満たされる投与チャンバ46内の空隙を生成する。特定の実施形態において、この方法は、所望の注射深度を制御する針保持ナット16をさらに選択することを含む。このようないくつかの実施形態において、被験体はブドウのような植物であり、針保持ナット16は対象木部層における注射をもたらすように選択される。
【0044】
本発明はまた、注射装置10と共に使用するための針18に向けられる。針18は、長手方向のチャネルを画定する側壁を有する。針18は、針18の側壁に少なくとも2つの開口部を含み、針18の先端に開口部を含まない。
【0045】
図3および図11を参照すると、針18は、側壁72の対向する表面上に位置決めされた2つの同一のオリフィス138を含み、針18の先端上にはオリフィスが含まれない。図3を参照すると、針18が注射装置10に取り付けられ、注射を行うために使用されるとき、オリフィス138は、オフセットナットチャネル内壁70に対して遠位に配置され、被験体に注射された注入物は、オリフィス138を通るよう強制される。針18の先端に1つのより大きな開口部とは対照的に、複数のより小さなオリフィス138が含まれることにより、注射中の針18の剛性が改善される。さらに、針18の先端に配置された単一の開口部とは対照的に、針18の側壁72上にオリフィス138を配置することにより、針18が注射の間に塞がれるリスクが低減され、オリフィス138が対象層内に配置されたときに、注入物を対象物の対象層内に側方に強制的に注入することができる。例えば、針18を用いて、ブドウの木部層を標的とすることができる。上述したように、特定の深さ、例えば木部層の深さに注入するために、様々な高さhの針保持ナット16を用いることができる。
【0046】
本発明の別の態様は、注射装置と共に使用するための安全機構140に向けられる。安全機構140は、それ自体が2つのスイッチ要素を含むデュアルスイッチを含む。各スイッチ要素は、注射装置のハンドルの対向する側に位置決め可能である。デュアルスイッチは、オン位置とオフ位置との間で移動可能であり、デュアルスイッチの片側のスイッチ要素の移動は、スイッチ要素が注射装置のハンドルの2つの対向する側に配置されると、ハンドルの反対側のスイッチ要素を自動的に移動させる。安全機構140は、ユーザの左手または右手のいずれかによって作動可能である。好ましくは、スイッチ要素の少なくとも1つは、さらに抑制可能なボタンを含む。デュアルスイッチは、ボタンを同時に押し下げ、いずれかのスイッチ要素をオン位置とオフ位置の間で移動させることにより、オン位置とオフ位置の間で移動可能である。
【0047】
図2に示すように、安全機構140は、注射装置10のハンドル146の各側(反対側は図示せず)に配置された同一のスイッチ要素144を有するデュアルスイッチ142を含む。デュアルスイッチ142は、図2に描かれたオン位置と図7に描かれたオフ位置との間で移動可能であり、デュアルスイッチ142の一方の側に配置された1つのスイッチ要素144の移動は、デュアルスイッチ142の反対側に配置された第2のスイッチ要素144を自動的に移動させる。デュアルスイッチ142がオフ位置にある場合、トリガ130は可動性がなく、その結果、注射装置10は注入を行うことができない。デュアルスイッチがオン位置にある場合、トリガ130は可動性であり、その結果、注射装置10は注入を行うことができる。一つのスイッチ要素144は、押し下げ可能なボタン148を含む。ボタン148を内側に押し、ハンドル146に向かって押すことにより、両方のスイッチ要素144の角度の同時移動が可能になる。ボタン148が押されている間、スイッチ要素144は、オン位置とオフ位置の間で回転可能である。ユーザは、スイッチ要素144のいずれかを用いて、デュアルスイッチ142を左手または右手のいずれかで回転させることができる。
【0048】
本発明の針保持アセンブリ12、注入物送達システム78、多口針18、および安全機構140は、針で使用するように構成され、かつ、当業者が容易に理解するように、特定の注射装置に適した様々な機構により注射装置に取り付けることができる実質的に任意の注射装置とともに使用することができることを理解すべきである。適切な注射装置には、シリンジ単独、または注射を容易にする他のコンポーネント/機構との組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。さらに、本発明の針保持アセンブリ、注入物送達システム、多口針、および安全機構が、動物、ヒト、または植物を注射するとともに注射装置とともに使用され得ることを理解すべきである。本発明の針保持アセンブリは、針を提供するように構成されている支持の観点から、また曲がった針を置き換える機能性の観点から、丈夫または木質の外面または層を対象物に注入するための注射装置と共に使用するのに十分に適している。同様に、本発明の針は、硬度の改善を考慮して、丈夫または木質の外面または層を有する被験体を注射するための注射装置とともに使用するのに十分に適している。
【0049】
以上のことから、本発明は、明白であり、かつ本発明に固有の他の利点とともに、上述の全ての先端および目的を達成するために十分に適応されたものであることが分かるであろう。
【0050】
多くの可能な実施形態が、その範囲を逸脱することなく本発明で作成され得るので、ここに示される、又は添付された図に示される全ての事項は、例示的であり、限定的な意味ではないと解釈されることが理解されるべきである。
【0051】
具体的な実施形態が示され、議論されているが、様々な改変がもちろんなされる可能性があり、本発明は、そのような制限が以下の特許請求の範囲に含まれる場合を除いて、本明細書に記載されている部分およびステップの特定の形態または配置に限定されない。さらに、特定の特徴およびサブコンビネーションが有用であり、他の特徴およびサブコンビネーションを参照せずに使用することができることが理解されるであろう。これは、特許請求の範囲によって意図され、その範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】