(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-20
(54)【発明の名称】レシプロ・コンプレッサ用サクション・マフラー
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
F04B39/00 101M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021559506
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(85)【翻訳文提出日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 SG2020050189
(87)【国際公開番号】W WO2020204825
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】10201902841Y
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438283
【氏名又は名称】パナソニック・アプライアンシーズ・リフリジャレーション・デバイシーズ・シンガポール
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】チョン,サン ハウ
(72)【発明者】
【氏名】ラウ,ジェン チェン
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AB03
3H003AC03
3H003BA04
3H003CD00
3H003CD05
(57)【要約】
レシプロ・コンプレッサ用のサクション・マフラーは、第1のハウジング部および第2のハウジング部を含む。第1のハウジング部分は、第1の入口開口部および第2の入口開口部を含む。第2のハウジング部分は、第1の入口開口部からサクション・マフラー出口までの第1の冷媒流路、および第2の入口開口部からサクション・マフラー出口までの第2の冷媒流路の一方を塞ぐように構成されたブロッキング部材を含む。ブロッキング部材は、第2のハウジング部の選択により、または第1のハウジング部と第2のハウジング部の相対的な配置を構成することにより、異なる構成で設けることができる。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入口開口部と第2の入口開口部とを含む第1のハウジング部、並びに
該第1の入口開口部からサクション・マフラー出口までの第1の冷媒流路および該第2の入口開口部からサクション・マフラー出口までの第2の冷媒流路の一方を塞ぐように構成されたブロッキング部材を含む第2のハウジング部
を含む、レシプロ・コンプレッサ用サクション・マフラー。
【請求項2】
前記第2のハウジング部は複数の可能な第2のハウジング部から選択され、該複数の可能な第2のハウジング部は、異なる構成で設けられたブロッキング部材を有する、請求項1記載のサクション・マフラー。
【請求項3】
前記第2のハウジング部は、複数の異なる構成で第1のハウジング部に取り付け可能である、請求項1記載のサクション・マフラー。
【請求項4】
前記ブロッキング部材は、前記第1の入口開口部または前記第2の入口開口部のいずれかを塞ぐように構成されている、請求項1または2記載のサクション・マフラー。
【請求項5】
前記第1のハウジング部は、前記第1の入口開口部から前記サクション・マフラー出口までの2つの潜在的冷媒流路および前記第2の入口開口部から前記サクション・マフラー出口までの2つの潜在的流路を含むリング状の部分を有し、前記ブロッキング部材は、前記第1の入口開口部から前記サクション・マフラー出口までの潜在的流路の一方と、前記第2の入口開口部から前記サクション・マフラー出口までの潜在的流路の一方とを塞ぐように構成されている、請求項1~4のいずれか1項記載のサクション・マフラー。
【請求項6】
前記第1のハウジング部が前記サクション・マフラー出口を含む、請求項1~5のいずれか1項記載のサクション・マフラー。
【請求項7】
前記第1のハウジング部がマフラー本体部である、請求項1~6のいずれか1項記載のサクション・マフラー。
【請求項8】
前記第2のハウジング部がマフラー・カバー部である、請求項1~7のいずれか1項記載のサクション・マフラー。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項記載のサクション・マフラーを含む、レシプロ・コンプレッサ。
【請求項10】
前記サクション・マフラーが、レシプロ・コンプレッサの起電要素の周囲に配置されたリング状のチャネル部を含む、請求項9記載のレシプロ・コンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レシプロ・コンプレッサに関し、特にレシプロ・コンプレッサ用のサクション・マフラーに関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫や冷凍庫などの家電製品は、典型的には、冷凍サイクルの一部として冷媒を圧縮するように構成されたレシプロ・コンプレッサを含んでいる。このような機器では、レシプロ・コンプレッサは、密閉されたシェルに収納されている。低圧、低温の冷媒は、コンプレッサの外側にあるサクションパイプからシェル内に導入される。冷媒は、レシプロ・コンプレッサの圧縮チャンバ内の振動(pulsation)による騒音を低減するために設けられたサクション・マフラーに導入される。冷媒の温度を低く保つために、サクション・マフラーの入口は、レシプロ・コンプレッサのシェルのサクションパイプの位置に近いところに設置されている。
【0003】
しかし、機器の設計が多様化しているため、サクションパイプの位置が異なることが多い。このため、シェル上のサクションパイプの位置に対応した位置にサクション・マフラーの入口を設けるよう、サクション・マフラーの設計を変更する必要があった。
【発明の概要】
【0004】
本開示の1つの態様によれば、レシプロ・コンプレッサ(reciprocating compressor)用のサクション・マフラー(suction muffler)は、第1のハウジング部および第2のハウジング部を含む。第1のハウジング部は、第1の入口開口部と、第2の入口開口部とを有する。第2のハウジング部は、第1の入口開口部からサクション・マフラー出口までの第1の冷媒流路と、第2の入口開口部からサクション・マフラー出口までの第2の冷媒流路との一方を塞ぐように構成されたブロッキング部材(blocking member)を含む。
【0005】
ブロッキング部材を選択的に構成することで、第1の入口開口部または第2の入口開口部をサクション・マフラー入口として選択することができる。いくつかの実施形態では、第1の入口開口部と第2の入口開口部の両方を、同時にサクション・マフラー入口として選択することができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、第2のハウジング部は、複数の可能な第2のハウジング部から選択される。複数の可能な第2のハウジング部は、異なる構成で提供されるブロッキング部材を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2のハウジング部は、複数の異なる構成で第1のハウジング部に結合することができる。
【0008】
ブロッキング部材は、第1の入口開口部または第2の入口開口部のいずれかを塞ぐように構成されてもよい。
【0009】
1つの実施形態では、第1のハウジング部は、第1の入口開口部からサクション・マフラー出口までの2つの潜在的冷媒流路と、第2の入口開口部からサクション・マフラー出口までの2つの可能な流路を含むリング状の部分を有し、ブロッキング部材は、第1の入口開口部からサクション・マフラー出口までの潜在的流路の一方と、第2の入口開口部からサクション・マフラー出口までの潜在的流路の一方とを塞ぐように構成されている。
【0010】
サクション・マフラー出口は、第1のハウジング部に設けられていてもよい。また、第1のハウジング部は、マフラー本体部であってもよい。また、第2のハウジング部は、マフラー・カバー部であってもよい。
【0011】
本開示の1つの態様によれば、サクション・マフラーを備えるレシプロ・コンプレッサが提供される。サクション・マフラーは、レシプロ・コンプレッサの起電要素(electromotive element)の周囲に配置されたリング状のチャネル部を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下では、本発明の実施形態を、非限定的な例として、以下の添付の図面を参照して説明する。
【
図1A】可能なサクションパイプの位置を示すレシプロ・コンプレッサの側面図である。
【
図1B】可能なサクションパイプの位置を示すレシプロ・コンプレッサの上面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーを構成するレシプロ・コンプレッサの切断図である。
【
図3A】第1の構成で組み立てられた本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
【
図3B】第1の構成で組み立てられた本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
【
図3C】第1の構成で組み立てられた本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
【
図4A】第2の構成で組み立てられた本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
【
図4B】第2の構成で組み立てられた本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
【
図4C】第2の構成で組み立てられた本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
【
図5A】本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーの第1の構成および第2の構成に共通する部分を示す図である。
【
図5B】本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーの第1の構成の交換可能な部品を使用したアセンブリを示す図である。
【
図5C】本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーの第2の構成の交換可能な部品を使用したアセンブリを示す図である。
【
図6A】本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーの構成部品を示す図である。
【
図6B】本発明の第2の実施形態による組み立てられたサクション・マフラーを示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーを構成するレシプロ・コンプレッサの切断図である。
【
図8A】第1の構成で組み立てられた本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
【
図8B】第2の構成で組み立てられた本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
【
図8C】第3の構成で組み立てられた本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
【
図8D】第4の構成で組み立てられた本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、ハーメチックシールされたレシプロ・コンプレッサ用のサクション・マフラーに関するものである。ハーメチックシールされたレシプロ・コンプレッサでは、シェルの外側にある入口パイプに対応するハーメチックシールされたレシプロ・コンプレッサのシェルの内側にある位置に近い入口を有するサクション・マフラーを提供することが有利である。その理由は、低圧の冷媒が低温でコンプレッサのシェルに入り、この低温の冷媒が、高温の冷媒やコンプレッサの部品との混合や接触を最小限に抑えながら、サクション・マフラー、ひいてはコンプレッサの圧縮チャンバに入ることが望ましいからである。
【0014】
しかし、冷蔵庫や冷凍庫などの機器の設計では、コンプレッサのシェル上のサクションパイプの位置に制約がある場合がある。例えば、機器の設計によっては、サクションパイプを、コンプレッサのシェル内の起電要素に電力を供給するための電気接続部があるコンプレッサの端子の近くに配置する必要がある場合がある。他の設計では、サクションパイプを端子とは反対側に配置する必要があるかもしれない。
図1Aと
図1Bは、可能なサクションパイプの位置を示している。
【0015】
図1Aは、可能なサクションパイプの位置を示すレシプロ・コンプレッサの側面図である。
図1Aに示すように、レシプロ・コンプレッサ100は、上側シェル部102と下側シェル部104からなるシェル内に収容されている。シェルは、レシプロ・コンプレッサ100を密閉している。下側シェル部104には、冷蔵庫などの機器に取り付けることができる4つの足部106が取り付けられている。下側シェル部104には、端子108が設けられている。端子108は、レシプロ・コンプレッサ100の起電要素に電気的に接続することができる。吐出パイプ110およびプロセス配管112は、端子108とは反対側の端部で下側シェル部104に設けられている。
図1Aは、サクションパイプの2つの可能な位置を示している。第1のサクションパイプ位置120Aは、端子108に隣接する下側シェル部104上にある。第2のサクションパイプ位置120Bは、端子108とは反対側の端部で、吐出パイプ110に近い下側シェル部104上にある。
【0016】
図1Bは、可能なサクションパイプ位置を示すレシプロ・コンプレッサの上面図である。
図1Bに示すように、上側シェル部102は、上から見ると実質的に楕円形である。端子108は、楕円形の長軸の一端に配置されている。吐出パイプ110およびプロセス配管112は、楕円の長軸の対向する端部に近接しており、上から見たときに長軸から30度から45度の間の角度をなしている。足部106は、レシプロ・コンプレッサ100の両端に2つずつ配置されている。
【0017】
図1Bに示すように、第1のサクションパイプ位置120Aは、長軸から60度前後の角度で端子108と隣接している。第2のサクションパイプ位置120Bは、長軸から約60度の角度で端子108とレシプロ・コンプレッサ100の反対側の端部にある。
【0018】
図2は、本発明の1つの実施形態に係るサクション・マフラーを構成するレシプロ・コンプレッサの切断図である。レシプロ・コンプレッサ200は、上側シェル部と下側シェル部204を形成したシェル内に密閉されている。上側シェル部は、
図2には示されていない。
図1Aおよび
図1Bに示すレシプロ・コンプレッサ100と同様に、下側シェル部204は、上記コンプレッサ200を冷蔵庫などの電化製品内に取り付けることができる4つの足部206に取り付けられている。下側シェル部204のシェルの一端には、端子208が設けられている。
図2に示すように、吐出パイプ210は、端子208とは反対側の端部で下側シェル部204に設けられている。また、
図2には、サクションパイプの2つの可能な位置が示されている。第1のサクションパイプ位置220Aは、端子208に隣接する下側シェル部204上にある。第2のサクションパイプの位置220Bは、端子208とは反対側の端部で、吐出パイプ210に近い下側シェル部204上にある。端子208、吐出パイプ210、第1のサクションパイプ位置220Aおよび第2のサクションパイプ位置220Bの位置は、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した通りである。
【0019】
レシプロ・コンプレッサ200は、シェル内に配置された起電要素230と圧縮要素240とで構成されている。起電要素230は、ロータとステータとからなる。圧縮要素240は、シリンダブロックから形成されたシリンダ内で往復運動するように配置されたピストンからなる。起電要素230は、クランクシャフトを駆動するように構成されている。クランクシャフトは、コネクティングロッドによってピストンに結合された偏心軸部を有している。端子208への電流の印加により、起電要素230のロータを回転させると、これによりクランクシャフトが回転する。クランクシャフトの偏心軸部とコネクティングロッドは、この回転運動を圧縮要素のシリンダ内のピストンの往復運動に変換する。コンプレッサの往復運動は、吸込ストロークと圧縮ストロークの2つのストロークで構成されている。吸込ストロークは、ピストンがシリンダから外側に移動する際に発生する。吸込ストロークでは、吸込バルブが開き、冷媒がサクションパイプからシリンダ内に吸い込まれる。圧縮ストロークでは、ピストンがシリンダ内に入り、シリンダ内の冷媒が圧縮される。圧縮ストロークの終盤では、吐出バルブが開き、圧縮された冷媒が吐出パイプ210から吐出される。
【0020】
図2に示すように、レシプロ・コンプレッサ200は、サクション・マフラー250を備えている。サクション・マフラー250は、2つのサクション・マフラー入口開口部として、第1の入口開口部252Aが下側シェル部204の第1のサクションパイプ位置220Aに面し、第2のサクション・マフラー開口部252Bが下側シェル部204の第2のサクションパイプ位置220Bに面している。
【0021】
サクションパイプからシリンダ内に吸い込まれた冷媒は、サクション・マフラー250を通過してから、レシプロ・コンプレッサ200の圧縮要素240に入る。サクション・マフラー250は、冷媒が圧縮要素240に引き込まれる際の振動による騒音を低減する働きをする。
【0022】
以下でより詳細に説明するように、サクション・マフラー250は、異なる構成で組み立てることができる。第1の構成では、第1の入口開口部252Aがサクション・マフラー入口として機能するように構成され、第2の入口開口部252Bからサクション・マフラー出口への冷媒経路が遮断されている。第2の構成では、第2の入口開口部252Bは、第1の入口開口部252Aからサクション・マフラー出口までの冷媒経路が遮断されたサクション・マフラー開口部として機能するように構成されている。
【0023】
このように、サクション・マフラー250の第1の構成は、第1のサクションパイプ位置220Aにサクションパイプが配置されているレシプロ・コンプレッサに使用することができ、サクション・マフラー250の第2の構成は、第2のサクションパイプ位置220Bにサクションパイプが配置されているレシプロ・コンプレッサに使用することができる。
【0024】
図3Aは、第1の構成で組み立てられた本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。
図3Aに示すように、サクション・マフラー350は、第1のハウジング部360と第2のハウジング部370とから形成されている。第1のハウジング部360は、サクション・マフラー350の本体を形成し、第1の入口開口部352A、第2の入口開口部352Bおよびサクション・マフラー出口354としての役割を果たす。第2のハウジング部370は、マフラー・カバーを形成する。
【0025】
図3Bは、本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーを第1の構成で組み立てた状態を示す切り欠き図である。
図3Bに示すように、第1のハウジング部360は、内壁を構成している。第1の入口開口部内壁362は、第1の入口開口部352Aから消音空間356に向かう通路を形成する。消音空間356は、第1のハウジング部360および第2のハウジング部370によって囲まれている。第1の入口開口部壁362は、第1のハウジング部360の床366から上方に延びている。
図3Bに示すように、第1の入口開口部壁362は、第2のハウジング部370から形成されたカバーまでは延びていない。したがって、第1の入口開口部壁362の上には、第1の冷媒流路358の一部を形成する隙間がある。
【0026】
第1の冷媒流路358は、第1の入口開口部352Aから、第1の入口開口部壁362と第2のハウジング部370によって提供されるカバーとの間の隙間を通り、消音空間356を経て、出口チャネルを通ってサクション・マフラー出口354に至る。
【0027】
第2の入口開口部内壁364は、第2の入口開口部352Bから消音空間356に向かう通路を形成している。第2の開口部内壁364は、第1のハウジング部360の床部366から上方に延びている。また、
図3Bに示すように、第2のハウジング部370から形成されたカバーからは、ブロッキング部材372が下方に突出している。したがって、サクション・マフラー350が第1の構成に組み立てられたときには、第2の入口開口部352Bから消音空間356への流路は存在しない。ブロッキング部材372は、第2のハウジング部370から下方に延びる2つの隆起部から形成されている。この隙間には、第2の開口部壁364の上部が収まっている。
【0028】
サクション・マフラー350は、2つの部品が接合されるところにシールが形成されるように、第1のハウジング部360と第2のハウジング部370とを接着または溶接することによって組み立てられる。したがって、ブロッキング部材372と第2の入口開口部壁364との間にシールが形成される。したがって、第1の構成で組み立てられたサクション・マフラー350では、第1の入口開口部352Aがサクション・マフラーの入口として機能し、第2の入口開口部352Bは冷媒流路の一部を形成しない。
【0029】
図3Cは、第1の構成で組み立てられたときの、本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラー内の冷媒流路を示している。
図3Cに示すように、第1のハウジング部360の背面と平行に走る背面内壁367が設けられている。冷媒流路358は、第1の入口開口部352Aを通り、第1の入口開口部壁362の上の隙間を通って消音空間356に入る。冷媒流路358は、消音空間356を通って、後部内壁367によって形成された流路に入り、サクション・マフラー出口354から出る。
【0030】
図4Aは、第2の構成で組み立てられた本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーを示す。
図4Aに示すように、サクション・マフラー450は、第1のハウジング部360と第2のハウジング部470とから形成されている。第1のハウジング部360は、
図3A~
図3Cを参照して上述した第1のハウジング部360と同様のものである。第1のハウジング部360は、サクション・マフラー350の本体を形成し、第1の入口開口部352A、第2の入口開口部352Bおよびサクション・マフラー出口354として機能する。第2のハウジング部470は、第1の構成の第2のハウジング部370とは異なる構成である。第2のハウジング部470は、マフラー・カバーを形成している。
【0031】
図4Bは、本発明の第1の実施形態に係るサクション・マフラーを第2の構成で組み立てた状態を示す切断図である。上述したように、第1のハウジング部360は、
図3Bを参照して上述したようなものである。第1のハウジング部360は、内壁を構成する。第1の入口開口部内壁362は、第1の入口開口部352Aから消音空間356に向かう通路を形成する。消音空間356は、第1のハウジング部360と第2のハウジング部470とによって囲まれている。第1の入口開口部内壁362は、第1のハウジング部360の床366から上方に向かって延びている。
【0032】
第2の構成では、
図4Bに示すように、第2のハウジング部470から形成されるカバーには、第2のハウジング部470から下方に突出するブロッキング部材472が設けられている。したがって、サクション・マフラー450が組み立てられた第2の構成では、第1の入口開口部352Aから消音空間356への流路は存在しない。ブロッキング部材472は、第2のハウジング部470から下方に延びる2つの隆起部から形成されている。この隙間には、第1の開口部壁362の上部が収まっている。
【0033】
第2の構成では、第2の入口開口部壁364は、第2のハウジング部470から形成されたカバーの全てには及ばない。したがって、第2の入口開口部壁の上には、第2の冷媒流路458の一部を形成する隙間がある。第2の冷媒流路458は、第2の入口開口部352Bから、第2の入口開口部壁364と第2のハウジング部470によって提供されるマフラー・カバーとの間の隙間を通り、消音空間356を経て、出口チャネルを通ってサクション・マフラー出口354に至る。
【0034】
サクション・マフラー450は、第1のハウジング部360と第2のハウジング部470とを、2つの部品が接合されるところにシールが形成されるように、接着または溶接することによって組み立てられる。したがって、ブロッキング部材472と第1の入口開口部壁362との間にシールが形成される。したがって、第2の構成で組み立てられたサクション・マフラー450では、第2の入口開口部352Bがサクション・マフラーの入口として機能し、第1の入口開口部352Aは冷媒流路の一部を形成しない。
【0035】
図4Cは、第2の構成で組み立てられたときの、本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラー内の冷媒流路を示す。
図4Cに示すように、第1のハウジング部360の背面と平行に走る背面内壁367が設けられている。冷媒流路458は、第2の入口開口部352Bを通り、第2の入口開口部壁364上の隙間を通って消音空間356に入る。冷媒流路458は、消音空間356を通って、後部内壁367によって形成された流路に入り、サクション・マフラー出口354から出ている。
【0036】
以上のように、第1の実施形態によるサクション・マフラーの第1の構成と第2の構成は、マフラー本体を形成する共通の部品を用いて組み立てることができる。交換可能なマフラー・カバー部品は、共通部品と組み合わされて、第1の構成または第2の構成のいずれかを形成する。
【0037】
図5Aは、本発明の第1の実施形態によるサクション・マフラーの第1の構成と第2の構成に共通する部分を示す。共通部分は、サクション・マフラー350の本体を形成し、第1の入口開口部352A、第2の入口開口部352Bおよびサクション・マフラー出口354としての第1のハウジング部360である。
【0038】
図5Bは、本発明の第1の実施形態に係るサクション・マフラーの第1の構成の交換部品使用アセンブリを示す図である。第1の構成で使用される交換部品は、マフラー・カバーを形成する第2のハウジング部370であり、第2の入口開口部352Bの近傍に配置されたブロッキング部材372を有する。ブロッキング部材372は、第2の入口開口部352Bからサクション・マフラー出口354への第2の冷媒経路を塞ぐように構成されている。
【0039】
図5Cは、本発明の第1の実施形態に係るサクション・マフラーの第2の構成の交換部品使用アセンブリを示す図である。第2の構成で使用される交換部品は、マフラー・カバーを形成する第2のハウジング部470であり、第1の入口開口部352Aの近傍に位置するブロッキング部材472を有する。ブロッキング部材472は、第1の入口開口部352Aからサクション・マフラー出口354に至る第1の冷媒経路を塞ぐように構成されている。
【0040】
図6Aおよび
図6Bは、本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。本発明の第1の実施形態では、選択可能な複数の第2のハウジング部から第2のハウジング部を選択することで、冷媒流路を選択的に塞ぐことができる。また、第2の実施形態では、第2のハウジング部は、複数の異なる構成で第1のハウジング部に接合することができる。このように、第1のハウジング部と第2のハウジング部の相対的な位置関係によって、冷媒流路の選択的な遮断が決定される。
【0041】
図6Aは、本発明の第2の実施形態に係るサクション・マフラーの構成部品を示す図である。
図6Aに示すように、サクション・マフラー650は、第1のハウジング部660、第2のハウジング部370、および第3のハウジング部680の3つの構成部分からなる。
【0042】
第1のハウジング部660は、リング状のチャネル本体662で構成されている。リング状チャネル本体662からは、第1の入口開口部652Aと第2の入口開口部652Bとが開口している。リング状チャネル本体662は、チャンバ本体664に接続されている。第2のハウジング部670は、リング状チャネル本体662に対してリング状のカバーを形成している。ブロッキング部材は、第2のハウジング部670から下方に突出している。第3のハウジング部680は、チャンバ本体664のカバーを形成する。第3のハウジング部680は、サクション・マフラー出口654を構成する。
【0043】
図6Bは、本発明の第2の実施形態による組み立てられたサクション・マフラーを示す。
図6Bに示すように、第2のハウジング部670は、第1のハウジング部660に取り付けられ、リング状のチャネル本体662を覆うことで、リング状のチャネルを形成している。第3のハウジング部680は、第1のハウジング部660に取り付けられ、チャンバ本体664を覆うことで、マフラーチャンバを形成している。サクション・マフラー出口654は、マフラーチャンバから延びている。第1の出口開口部652Aおよび第2の出口開口部652Bは、リング状チャネル本体662および第2のハウジング部670によって形成されるリング状チャネルから開口している。なお、第1のハウジング部660、第2のハウジング部370および第3のハウジング部680は、例えば、接着剤や溶接によって取り付けられてもよい。
【0044】
第1のハウジング部660および第2のハウジング部670の相対的な回転位置に応じて、ブロッキング部材672は、リング状チャネル、および/または、第1の出口開口部652Aおよび第2の出口開口部652Bの一方を塞いでもよい。異なる構成の例を
図8A~
図8Dに示す。
【0045】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るサクション・マフラーを構成するレシプロ・コンプレッサの切断面図である。
図7に示すように、レシプロ・コンプレッサ600は、サクション・マフラー650を構成している。サクション・マフラー650のリング状チャネルは、レシプロ・コンプレッサ600の圧縮要素640の下に配置されている。サクション・マフラーのリング状チャネルは、レシプロ・コンプレッサ600の起電要素の周囲に配置されている。これにより、起電要素で発生したノイズがレシプロ・コンプレッサ600のシェルに伝わるのを防ぐことができる。
【0046】
図7に示すように、第1の出口開口部652Aおよび第2の出口開口部652Bは、それぞれ、第1のサクションパイプ位置620Aおよび第2のサクションパイプ位置620Bに対向する位置に配置されている。上述した第1の実施形態と同様に、レシプロ・コンプレッサ600の設計要件により、レシプロ・コンプレッサのサクションパイプは、第1のサクションパイプ位置620Aおよび第2のサクションパイプ位置620Bのいずれかに配置されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、2つのサクションパイプが、第1のサクションパイプ位置620Aに1つのサクションパイプを備え、第2のサクションパイプ位置620Bに第2のサクションパイプを備えてもよい。
【0048】
図7に示すように、サクション・マフラー出口654は、レシプロ・コンプレッサ600の圧縮要素640に連通可能に結合されている。
【0049】
図8Aは、第1の構成で組み立てられた本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーを示す。
図8Aに示すような第1の構成では、第2のハウジング部670は、ブロッキング部材672が第1の入口開口部652Aに隣接して位置する回転位置で第1のハウジング部660に取り付けられる。したがって、ブロッキング部材672は、第1の入口開口部652Aを通る冷媒の流れを遮断するとともに、第1の入口開口部652Aを通過する流路に沿った冷媒の流れを遮断する。第1の構成では、冷媒は、リング状のチャネルの周りを第2の入口開口部652Bからサクション・マフラー出口654まで走る第1の冷媒流路655に沿って流れることができる。このように、第1の構成では、第2の入口開口部652Bは、サクション・マフラー入口として機能する。
【0050】
図8Bは、第2の構成で組み立てられた本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーを示す。第2の構成では、
図8Bに示すように、第2のハウジング部670は、ブロッキング部材672が第2の入口開口部652Bに隣接して位置する回転位置で第1のハウジング部660に取り付けられている。したがって、ブロッキング部材672は、第2の入口開口部652Bを通る冷媒の流れを遮断し、また、第1の入口開口部652Bを第2の番目に通る流路に沿った冷媒の流れを遮断する。第2の構成では、冷媒は、リング状のチャネルの周りを第1の入口開口部652Aからサクション・マフラー出口654まで走る第2の冷媒流路656に沿って流れることができる。このように、第2の構成では、第1の入口開口部652Aは、サクション・マフラー入口として機能する。
【0051】
図8Cは、第3の構成で組み立てられた本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーを示す。第3の構成では、
図8Cに示すように、第2のハウジング部670は、ブロッキング部材672がマフラーチャンバと対向する位置に配置される回転位置で第1のハウジング部660に取り付けられている。このように、ブロッキング部材672は、リング状チャネルの周りの冷媒の流れを遮断するが、第1の入口開口部652A及び第2の入口開口部652Bのいずれも遮断しない。第3の構成では、冷媒は、リング状チャネルに沿って第2の入口開口部652Bから第1の入口開口部652Aを通過してサクション・マフラー出口654まで至る第3の冷媒流路657に沿って流れることができる。第3の構成では、第1の入口開口部652Aと第2の入口開口部652Bの両方がサクション・マフラー入口として機能する。なお、第3の構成では、第1の入口開口部652Aを通過しない方向のリング周りの第2の入口開口部652Bからの冷媒流路が遮断されている。
【0052】
図8Dは、第4の構成で組み立てられた本発明の第2の実施形態によるサクション・マフラーを示す図である。第4の構成では、
図8Dに示すように、第2のハウジング部670は、ブロッキング部材672がマフラーチャンバに近い箇所に位置する回転位置で、第1のハウジング部660に取り付けられている。このように、ブロッキング部材672は、第1の入口開口部からマフラーチャンバに向かってリング状チャネルを巡る冷媒の流れを遮断するが、第1の入口開口部652Aおよび第2の入口開口部652Bのいずれも遮断しない。第4の構成では、冷媒は、リング状チャネルに沿って第1の入口開口部652Aから第2の入口開口部652Bを通過してサクション・マフラー出口654まで至る第4の冷媒流路658に沿って流れることができる。第4の構成では、第1の入口開口部652Aと第2の入口開口部652Bの両方がサクション・マフラー入口として機能する。
【0053】
前述の説明では、例示的な実施形態を説明したが、本発明の範囲および精神の範囲内で、実施形態の多くの変形が可能であることが、当業者には理解される。
【符号の説明】
【0054】
100、200、600 … レシプロ・コンプレッサ
102 … 上側シェル部
104、204 … 下側シェル部
106 … 足部
108、208 … 端子
110、210 … 吐出パイプ
112 … プロセス配管
230 … 起電要素
240 … 圧縮要素
250、350、450、650 … サクション・マフラー
354、654 … サクション・マフラー出口
356 … 消音空間
358 … 第1の冷媒流路
360、660 … 第1のハウジング部
362 … 第1の入口開口部内壁
364 … 第2の入口開口部内壁
366 … 床部
370、470、670 … 第2のハウジング部
372、472、672 … ブロッキング部材
458 … 第2の冷媒流路
640 … 圧縮要素
655 … 第1の冷媒流路
656 … 第2の冷媒流路
657 … 第3の冷媒流路
658 … 第4の冷媒流路
662 … リング状チャネル本体
664 … チャンバ本体
680 … 第3のハウジング部
【国際調査報告】