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特表2022-529236金型搬送装置を備えた射出成形装置、および、金型搬送装置および射出成形装置を制御する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-20
(54)【発明の名称】金型搬送装置を備えた射出成形装置、および、金型搬送装置および射出成形装置を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
B29C45/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559608
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020027776
(87)【国際公開番号】W WO2020214507
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/834,256
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520449345
【氏名又は名称】キヤノンバージニア, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Canon Virginia, Inc.
【住所又は居所原語表記】12000 Canon Blvd., Newport News, Virginia, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小平 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】柳原 裕一
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM17
4F206JA07
4F206JL03
4F206JQ06
4F206JQ81
4F206JQ82
(57)【要約】
金型による射出成形を行う射出成形装置と、前記金型を前記射出成形装置内の位置に移動させる搬送装置とを含む射出成形システムであって、前記射出成形システムに対する改良は、前記射出成形装置の側面と前記搬送装置の対向する側面とが離間するように、前記搬送装置を前記射出成形装置に固定するように構成された連結部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型による射出成形を行うように構成される射出成形装置と、
前記射出成形装置内の位置に前記金型を移動するように構成される搬送装置と、
を備える射出成形システムであって、
前記射出成形システムに対する改良は、
前記射出成形装置の側面と、前記搬送装置の対向する側面とが離間するように、前記搬送装置を前記射出成形装置に固定するように構成される連結部を含む、
射出成形システム。
【請求項2】
前記射出成形装置の前記側面と前記搬送装置の前記側面との間の距離が、1mm以上であり、かつ、前記射出成形システムにおいて使用可能な金型に対する距離の方向に最大長さを有する金型の長さの半分以下である、
請求項1の射出成形装置。
【請求項3】
前記射出成形装置は、前記金型の底部を支持するように構成される第1の支持部材の列を含み、
前記搬送装置は、前記金型の底部を支持するように構成され、前記第1の支持部材の列に位置合わせされる第2の支持部材の列を含み、
また、前記第1の列および前記第2の列の支持部材、および前記金型において、
nは、前記第1の列または前記第2の列において、前記射出成形システムにおいて使用される1つの金型のための最小支持部材数を表し、
Nは、前記n個の支持部材の遠位端における前記支持部材の遠位端の数を表し、
は、i番目の支持部材の中心と、i+1番目の支持部材の中心との間の距離を表し、
また、Lは、前記第1の列または前記第2の列に沿った方向における前記1つの金型の長さを表し、以下の式を満足させる、
請求項1の射出成形システム。
【請求項4】
前記搬送装置を前記射出成形装置に固定するために、少なくとも2つの連結部が用いられる、
請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項5】
第1の連結部は、前記射出成形装置の側面に固定され、第2の連結部は、前記搬送装置の側面に固定され、前記第1の連結部および前記第2の連結部は、少なくとも1つの固定部により固定される、
請求項4に記載の射出成形装置。
【請求項6】
前記連結部はL字状部材であり、前記連結部がボルトによって固定される、
請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項7】
前記連結部はプレートであり、前記連結プレートの第1の端は前記射出成形装置に固定され、前記連結プレートの第2の端は前記搬送装置に固定される、
請求項1に記載の射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の名称]
金型搬送装置を備えた射出成形装置、および、金型搬送装置および射出成形装置を制御する方法
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年4月15日に出願された、米国仮出願62/834256号の利益を主張する。
【0003】
[技術分野]
本開示は、金型搬送装置を備えた射出成形装置、および、金型搬送装置および射出成形装置を制御する方法に関するものである。
【背景技術】
【0004】
射出成形機による成形品の製造は、金型を型締めした後に、金型内への樹脂の射出、樹脂の固化による体積減少を補うための高圧での金型への樹脂の押し込み、樹脂が固化するまでの金型内での成形品の保持、および金型からの成形品の取り出しが含まれる。
【0005】
これらの射出成形工程を繰り返し行い、所望の数の成形品を得る。ある金型で所定数の成形を行った後、射出成形機からその金型を排出し、次の金型の段取りを行い、次の金型を射出成形機に挿入してから、次の金型で所定数の射出成形を行う。通常、金型は非常に重いため、金型の挿入、金型による射出成形、金型の排出を行う際には、操作者の安全を充分に注意する必要がある。
【0006】
上述した成形方法では、生産性を高めるために、1台の射出成形機に対して、2つの金型を用いる方法が提案されている。例えば、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号では、射出成形機2の両側に搬送装置3Aおよび3Bを配置するシステムが論じられている。このシステムでは、1台の射出成形機2に対して、搬送装置3Aおよび3Bによって複数の金型を入れ替えながら成形品を製造する。図18は、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号の射出成形システムを示す。
【発明の概要】
【0007】
金型による射出成形を行う射出成形装置と、前記金型を前記射出成形装置内の位置に移動させる搬送装置と、を含む射出成形システムであって、前記射出成形システムに対する改良は、前記射出成形装置の側面と前記搬送装置の対向する側面とが離間するように、前記搬送装置を前記射出成形装置に固定するように構成された連結部を含む射出成形システム。
【0008】
本開示の実態形態およびその他の実施形態、目的、特徴、および利点は、添付の図面と関連する以下の本開示の例示的な実施形態の詳細な説明、ならびに提供する特許請求の範囲を読めば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の様々な実施形態、目的、特徴、および利点を示す。
【0010】
図1図1は、例示的な実施形態による、射出成形システムの上面図である。
【0011】
図2図2は、射出成形システムの側面図である。
【0012】
図3図3は、固定プラテン61の端面図であり、図2のI-I線の矢印方向から見た図である。
【0013】
図4図4は、例示的な実施形態による、射出成形システムの構成要素を示すブロック図である。
【0014】
図5図5は、例示的な実施形態による、射出成形システムの操作モードを示す。
【0015】
図6図6は、例示的な実施形態による、射出成形システムの別の操作モードを示す。
【0016】
図7図7は、例示的な実施形態による、射出成形機の扉の側面図である。
【0017】
図8A図8Aは、例示的な実施形態による、射出成形機の扉の断面図である。
【0018】
図8B図8Bは、例示的な実施形態による、射出成形機の扉のべつの断面図である。
【0019】
図9図9は、例示的な実施形態による、射出成形システムの側面図である。
【0020】
図10図10は、例示的な実施形態による、射出成形システムの構造を示す。
【0021】
図11A図11Aは、例示的な実施形態による、搬送装置上および射出成形機上のローラを示す。
【0022】
図11B図11Bは、別の例示的な実施形態による、搬送装置上および射出成形機上のローラを示す。
【0023】
図12A図12Aは、例示的な実施形態による、射出成形を行う射出成形システムの処理を示すフローチャートである。
【0024】
図12B図12Bは、例示的な実施形態による、射出成形の処理を示すフローチャートである。
【0025】
図13A図13Aは、例示的な実施形態による、射出成形システムのループ処理を示すフローチャートである。
【0026】
図13B図13Bは、例示的な実施形態による、射出成形の処理を示すフローチャートである。
【0027】
図14図14は、例示的な実施形態による、射出成形機および搬送装置の扉の状況を示す表である。
【0028】
図15図15は、例示的な実施形態による、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を示す。
【0029】
図16図16は、別の例示的な実施形態による、射出成形システムを示す。
【0030】
図17A図17Aは、別の例示的な実施形態による、射出成形機の扉の断面図である。
【0031】
図17B図17Bは、別の例示的な実施形態による、射出成形機の扉の断面図である。
【0032】
図18図18は、別の例示的な実施形態による、射出成形機の扉の側面図および断面図である。
【0033】
図19図19は、別の例示的な実施形態による、射出成形機の扉の側面図である。
【0034】
図20図20は、射出成形システムを示す。
【0035】
図面全体を通じて、別段の記載がない限り、同一の参照番号および符号は、図示する実施形態の同様の特徴、要素、構成要素、または部分を示すために用いられる。さらに、本開示は、図面を参照して詳細に説明されるが、これは説明のための例示的な実施形態に関連して行われる。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲および趣旨を逸脱することなく、説明される例示的な実施形態に対して変更および修正を加えることができることを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示は、いくつかの実施形態を有しており、当業者に既知の詳細については、特許、特許出願、および他の参考文献に依拠する。したがって、本明細書において特許、特許出願、または他の参考文献が引用される、または繰り返されるとき、それらは、記載されている提案だけでなくあらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることを理解されたい。
【0037】
図を参照して、本開示の例示的な実施形態による射出成形システムについて説明する。各図中の矢印XおよびYは、互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは、垂直(直立)方向を示す。X方向は、金型が射出成形機に挿入する方向であり、Y方向は、射出成形機内の可動プラテンが移動する方向である。
【0038】
図20および図2図3は、米国特許第2018/0009146号/日本特許公開第2018-001738号/VN20160002505号において論じられている射出成形システムを示しており、ここでは情報/説明の目的でのみ提供されている。
【0039】
射出成形システム1は、横型の射出成形機2(IMM2)と、搬送装置3Aおよび3Bとを含む。射出成形システム1は、搬送装置3Aおよび3Bによって複数の金型を挿入および排出しながら成形品を製造するように構成されている。2つの金型100Aおよび100Bを用いる。
【0040】
金型100A/100Bは、固定金型101と、固定金型101に対して開閉される可動金型102との組である。成形品は、固定金型101と可動金型102との間に形成されたキャビティに溶融樹脂を射出することで成形される。固定金型101および可動金型102には、それぞれに取付板101aおよび102aが固定されている。取付板101aおよび102aは、金型100A/100BをIMM2の成形動作位置11(型締位置)に固定するために用いられる。
【0041】
金型100A/100Bには、固定金型101と可動金型102との間を閉状態に維持する自己閉鎖部103が設けられている。自己閉鎖部103によって、IMM2から金型100A/100Bを搬出した後に、金型100A/100Bが開くことを防止することが可能となる。自己閉鎖部103は、磁力を利用して金型100A/100Bを閉状態に維持する。自己閉鎖部103は、固定金型101および可動金型102の反対面に沿って複数の箇所に配置されている。自己閉鎖部103は、固定金型101側の要素と可動金型102側の要素との組み合わせである。自己閉鎖部103については、通常、金型100Aおよび100Bのうち1つに対して、2組以上設置される。
【0042】
搬送装置3Aは、金型100AをIMM2の成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3Bは、金型100Bを成形動作位置11に搬入および搬出する。搬送装置3A、IMM2、および搬送装置3Bは、この順にX軸方向に並ぶように配置されている。言い換えれば、搬送装置3Aおよび搬送装置3Bは、IMM2をX軸方向に挟むように、IMM2に対して横方向に配置されている。搬送装置3Aおよび3Bは、互いに対向して配置され、搬送装置3AはIMM2の左右の一側方に、搬送装置3Bは他側方にそれぞれ隣接して配置されている。成形動作位置11は、搬送装置3Aと搬送装置3Bとの間に位置している。搬送装置3Aは、フレーム30と、複数のローラ32と、複数のローラ33とを含む。搬送装置3Bは、フレーム30と、搬送ユニット31Bと、複数のローラ32と、複数のローラ33とを含む。搬送装置コントローラ42Aは、搬送装置3Aを制御し、搬送装置コントローラ42Bは、搬送装置3Bを制御する。
【0043】
コントローラ41は、IMM2を制御し、コントローラ42Aは、搬送装置3Aを制御し、コントローラ42Bは、搬送装置3Bを制御する。各コントローラ41、42A、42Bは、例えば、CPUなどのプロセッサと、RAM、ROM、ハードディスクなどの記憶装置と、センサやアクチュエータに接続されるインタフェース(図示せず)とを含む。プロセッサは、記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。コントローラ41が実行するプログラム(制御)の一例は後述する。コントローラ41は、コントローラ42Aおよび42Bと通信可能に接続され、コントローラ42Aおよび42Bに金型100A/100Bの搬送に関する指示を行う。コントローラ42Aおよび42Bは、金型100A/100Bの搬入や搬出が終了した場合に、動作完了の信号をコントローラ41に送信する。また、コントローラ42Aおよび42Bは、異常発生時に非常停止信号をコントローラ41に送信する。
【0044】
フレーム30A/30Bは、搬送装置3A/3Bの骨格であり、搬送ユニット31Bおよび複数のローラ32および33を支持する。搬送ユニット31Bは、金型100A/100BをX軸方向に往復移動させ、成形動作位置11に対して金型100A/100Bを排出および挿入する装置である。搬送ユニット31Bは、搬送装置コントローラ42Bによって制御される。
【0045】
複数のローラ32は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ32は、Z軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの側面(取付板101aおよび102aの側面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。複数のローラ33は、X軸方向に配列されたローラ列を構成しており、Y軸方向に離間して2列構成されている。複数のローラ33は、Y軸方向の回転軸を中心に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aおよび102aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。
【0046】
図2は、IMM2の側面図である。図3は固定プラテン61の端面図であり、図2のI-I線の矢印方向から見た図である。図4は、成形動作位置11周辺の構成を説明するための部分斜視図である。
【0047】
図20および図2を参照して、IMM2は、射出装置5と、型締装置6と、成形品を取り出す取出機7と、コントローラ41とを含む。射出装置5および型締装置6は、フレーム10上にY軸方向に配置されている。
【0048】
射出装置5は、Y軸方向に延びるように配置された射出シリンダ51を含む。射出シリンダ51は、バンドヒーターなどの加熱装置(図示せず)を含み、ホッパー53から導入された樹脂を溶融する。射出シリンダ51にはスクリュー51aが内蔵されており、スクリュー51aを回転させることで、射出シリンダ51内に導入された樹脂が可塑化され、計量される。また、スクリュー51aの軸方向(Y軸方向)への移動により、射出ノズル52から溶融樹脂を射出することができる。
【0049】
ノズル52としては、吐出口を開閉する遮断ノズルを用いることができる。しかし、ノズル52の機能の実現を可能にするような任意の機構も適用可能である。図2に、遮断ノズルの一例を示す。吐出口52aを開閉するピン56aが、開閉機構56として配置されている。ピン56aは、リンク56bを介してアクチュエータ(シリンダ)56cに連結されており、また、アクチュエータ56cの作動により吐出口52aが開閉される。
【0050】
射出シリンダ51は、駆動ユニット54に支持されている。駆動ユニット54には、スクリュー51aを回転駆動させて樹脂の可塑化と計量を行うモータと、スクリュー51aを軸方向に進退させる駆動モータとが配置されている。駆動ユニット54は、フレーム10上のレール12に沿ってY軸方向に進退可能である。また、駆動ユニット54には、射出装置5をY軸方向に進退させるアクチュエータ(例えば、電動シリンダ)55が配置されている。
【0051】
型締装置6は、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行う。型締装置6には、Y軸方向に順に、固定プラテン61、可動プラテン62、可動プラテン63が配置されている。プラテン61~63には、複数のタイバー64が通過している。各タイバー64は、Y軸方向に延びる軸であり、その一端が固定プラテン61に固定されている。各タイバー64は、可動プラテン62に形成された各貫通穴に挿入されている。各タイバー64の他端は、調整機構67を介して可動プラテン63に固定されている。可動プラテン62と63とは、フレーム10上のレール13に沿ってY軸方向に移動可能であり、固定プラテン61は、フレーム10に固定されている。
【0052】
可動プラテン62と可動プラテン63との間には、トグル機構65が配置されている。トグル機構65は、可動プラテン63に対して(言い換えれば、固定プラテン61に対して)、可動プラテン62をY軸方向に進退させる。トグル機構65は、リンク65a~65cを含む。リンク65aは、可動プラテン62に回転自在に連結されている。リンク65bは、可動プラテン63に回動自在に連結されている。リンク65aとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cとリンク65bとは、互いに回動自在に連結されている。リンク65cはアーム66cに回動自在に連結されている。
【0053】
アーム66cは、ボールナット66bに固定されている。ボールナット66bは、Y軸方向に延びるボールねじ軸66aと係合し、ボールねじ軸66aの回転によりY軸方向に進退する。ボールねじ軸66aは、可動プラテン63によって回転自在となるように支持されており、モータ66は可動プラテン63に支持されている。モータ66は、モータ66の回転量を検出しながら、ボールねじ軸66aを回転駆動する。モータ66の回転量を検出しながらモータ66を駆動することにより、金型100A/100Bの型締めおよび型開閉を行うことが可能となる。
【0054】
IMM2は、型締力を計測するためのセンサ68を含み、各センサ68は、例えば、タイバー64に設けられた歪みゲージであり、タイバー64の歪を検出することで型締力を算出する。
【0055】
調整機構67は、可動プラテン63に回転自在に支持されたナット67bと、駆動源であるモータ67aと、モータ67aの駆動力をナット67bに伝達する伝達機構とを含む。各タイバー64は、可動プラテン63に形成された穴を通過して、ナット67bと係合している。ナット67bを回転させることにより、ナット67bとタイバー64との間のY軸方向の係合位置が変化する。すなわち、タイバー64に対する可動プラテン63の固定位置が変化する。これにより、可動プラテン63と固定プラテン61との間の間隔を変化させることができ、それによって型締力等を調整することができる。
【0056】
成形動作位置11は、固定プラテン61と可動プラテン62との間の領域である。成形動作位置11に導入された金型100A/100Bは、固定プラテン61と可動プラテン62との間に挟まれ、それによって型締めされる。可動プラテン62の移動による可動金型102の移動に基づいて開閉が行われる。
【0057】
次に、図2に示す取出機7について説明する。取出機7は、X軸方向に延びるレール71と、レール71上をX軸方向に移動可能な可動レール72とを含む。可動レール72はY軸方向に延びるように配置されており、可動レール72上にはスライダ73が配置されている。スライダ73は、可動レール72にガイドされてY軸方向に移動し、昇降軸73aをZ軸方向に昇降させる。昇降軸73aの下端部には、真空ヘッド74が配置されており、真空ヘッド74には、成形品に特化したチャック板75が取り付けられている。
【0058】
取出機7は、型開き後、レール71、可動レール72およびスライダ73により、図2において破線で示すように、真空ヘッド74を固定金型101と可動金型102との間に移動し、成形品に吸着して、成形品を金型100A/100B外に搬送する。
【0059】
図3は、固定プラテン61の中央部の開口部61aを示しており、ノズル52がこの開口部を通って進退する。固定プラテン61の可動プラテン62側の面(内面という)には、複数のローラBRが回転自在となるように支持されている。複数のローラBRは、回転軸を中心としてY軸方向に回転し、金型100A/100Bの底面(取付板101aの底面)を支持して、金型100A/100Bを下から支えて、金型100A/100BのX軸方向の移動を円滑にする。固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体620が固定されており、ローラ支持体620によって、複数のローラBRが支持されている。
【0060】
固定プラテン61の内面には、X軸方向に延びる溝61bが形成されている。溝61bは、上下に離間して2列形成されている。各溝61bには、ローラユニット640が配置されている。ローラユニット640のためには、複数のローラSRが回転自在となるように支持されている。複数のローラSRは、回転軸を中心としてZ軸方向に回転し、金型100A/100Bの外面(取付板101aの外面)に接触して、金型100A/100Bを横から支えて、金型100A/100BのX軸方向の移動をガイドする。II-II線断面図に示すように、ローラユニット640は、バネ641の付勢により、ローラSRが溝61bから突出する位置に位置する一方、型締め時には、溝61b内に後退して、ローラSRが溝61bから突出しない位置に位置する。ローラユニット640は、金型100A/100Bの入れ替え時には、金型100A/100Bと固定プラテン61の内面とが接触して内面が損傷することを防止することができ、ローラユニット640はまた、型締め時には、固定プラテン61の内面と金型100A/100Bとが密接することを妨げない。
【0061】
固定プラテン61のX軸方向の両側には、ローラ支持体630が固定されており、このローラ支持体630によって、複数のローラSRが支持されている。
【0062】
固定プラテン61には、固定金型101を固定プラテン61に固定するための複数の固定機構(クランプ)610が配置さられている。各固定機構610は、取付板101aと係合する係合部610aと、係合位置と係合解除位置との間で係合部610aを移動させる内蔵アクチュエータ(図示せず)とを含む。
【0063】
なお、可動プラテン62についても、固定プラテン61と同様に、複数のローラBRと、ローラ支持体620および630と、ローラユニット640と、可動金型102を固定するための固定機構610とが配置されている。
【0064】
図1は、本開示の例示的な実施形態による構成を示し、図18に示した構成に対する改良を提示している。図1に示すように、本実施形態では、搬送ユニット31は、モータを駆動源とする電動シリンダであるアクチュエータ3101と、アクチュエータ3101によって進退されるロッド3102とを含む。アクチュエータ3101は、フレーム30に固定されている支持板(図示せず)に固定されている。固定金型10101は、ロッド3102の遠位端に固定されている。本実施形態では、アクチュエータ3101として、流体アクチュエータと電動アクチュエータの両方を用いることができる。電動アクチュエータを用いることにより、金型100A/100Bを搬送する際の位置や速度の制御精度を向上させることができる。
【0065】
図1に示すように、IMM2は、IMM2のフレーム10上に、搬送装置3Aと対向する扉構造体と、搬送装置3Bと対向する扉構造体とを含む。扉構造体は、スライド可能なIMM2扉2011A/Bと、扉2011A/Bが移動するドアレール2012A/Bと、扉2011A/Bの位置を検出するように構成された一組のセンサ(図示せず)とを含む。扉構造は、扉2011A/2011Bが開放されたときに、操作者がIMM2にアクセスできるようにする。IMM2の側面2016A/Bは、金型100A/Bが挿入および排出される開口部2015A/Bを含む。開口部2015A/Bは、IMM2扉2011A/Bが開放されたときに、少なくとも部分的に露出される。開口部2015A/Bは、IMM2扉2011A/Bが閉鎖されたときに閉鎖される。
【0066】
IMM2扉2011Aおよび2011Bが完全に開放されたときに、IMM2扉2011Aおよび2011B、および、ドアレール2012Aおよび2012Bは、IMM2カバー60によって、部分的に覆われる。IMM2扉2011Aおよび2011Bが閉鎖されたときに、IMM2扉2011Aおよび2011B、およびIMM2カバー60は、安全のために固定プラテン61と、可動プラテン62と、型締装置6とを囲むように構成されている。扉構造体の詳細な構造および機能は、図7図8A、および図8Bを参照して以下に説明する。
【0067】
本実施形態では、搬送ユニット31A/Bが金型100A/100Bに固定されているので、搬送ユニット31Aまたは31Bの少なくとも一方を用いて射出成形を行う場合には、少なくとも一方の扉2011A/2011Bが開放したままとする。射出成形中の操作者の安全を提供するために、IMM2カバー60と、IMM2扉2011Aおよび2011Bと、搬送装置カバー370Aおよび370Bと、搬送装置扉370Aおよび370Bとが、搬送装置3Aおよび3B、およびIMM2を囲む。図1に示すように、IMM扉2011Aおよび2011Bが部分的に開放されている場合も、または、部分的にしか閉鎖されていない場合も、搬送装置扉370Aおよび370Bが閉鎖されている場合、操作者の搬送装置3Aおよび3B、およびIMM2内の構造物へのアクセスが安全にブロックされる。したがって、この状況の下において、IMM扉2011Aおよび2011Bが部分的に開放されている場合も、射出成形を継続することができる。
【0068】
図4は、図1に示した構成要素の改良を提供する、本開示の射出成形システム1の構成要素を示すブロック図である。なお、上述した一部の構成要素については説明を省略してもよい。射出装置5と、型締装置6と、取出機7とを総称して射出成形ユニット406と呼ぶ。
【0069】
IMM2は、IMM2扉2011Aのための、第1のセンサ20131Aと、第2のセンサ20132Aと、第3のセンサ20133Aと、ボールプランジャ20134Aとを含む。IMM2もまた、IMM2扉2011Bのための、第1のセンサ20131Bと、第2のセンサ20132Bと、第3のセンサ20133Bと、ボールプランジャ20134Bとを含む。第1のセンサ20131A/Bは、IMM2扉2011A/Bが完全に開放されている第1の位置にIMM2扉2011A/Bがあるかどうかを検出するように構成されている。第2のセンサ20132A/Bは、IMM2扉2011A/Bが実質的に閉鎖されている第2の位置にIMM2扉2011A/Bがあるかどうかを検出するように構成されている。第3のセンサ20133A/Bは、IMM2扉2011A/Bが部分的に開放されており、部分的に閉鎖されている第3の位置にIMM2扉2011A/Bがあるかどうかを検出するように構成されている。第3の位置にあるIMM2扉2011A/Bと、ドアレール2012A/Bとは、2つのプラテン61および62間の領域と、搬送装置カバー370A/Bに囲まれる領域とを結ぶ開口部を画定する。第3の位置は、射出成形が行われるときに、IMM2扉2011A/Bを配置するべき位置として定義することができる。
【0070】
ボールプランジャ20134A/Bは、IMM2扉2011A/Bが第3の位置から移動されるかどうかを検出するように構成されている。ボールプランジャ20134A/Bは、IMM2扉2011A/Bが移動しないように、IMM2扉2011A/Bに力を加える。IMM2扉2011A/Bに閾値以上の力が加わる場合、ボールプランジャ20134A/Bのボールがその圧力に降伏することがある。本実施形態では、第3のセンサ20133A/Bは、ボールが降伏するかどうかを検出することで、IMM2扉2011A/Bの位置が移動するかどうかを検出するように構成されている。この処理の説明を以下に図7を参照して提供する。
【0071】
第1のセンサ20131A/B、第2のセンサ20132A/B、および第3のセンサ20133A/Bは、コントローラ4に接続され、コントローラ4に信号を提供する。射出成形を行っている場合、コントローラ4は、IMM2扉2011A/Bが第3の位置から移動されることをコントローラ4が検出することに答えて、直ちに射出成形を停止させる。これにより、操作者は、移動するプラテン62に当てられることを避けることができる。この処理およびIMM2扉2011A/Bに関連する他の処理の詳細は、図12図14を参照して以下に説明する。
【0072】
コントローラ4は、射出成形システム1を制御するものである。コントローラ4は、例えば、CPU等のプロセッサ402の1つ以上と、RAMと、ROMと、ハードディスク等のメモリ401と、IMM2の構成要素に接続されているインタフェースとを含む。プロセッサ402は、コンピュータプログラムの指示をRAMにロードし、射出成形システム1の制御処理を行うための指示を実行することにより、メモリ401に格納されたコンピュータプログラムを実行する。コンピュータプログラムおよび制御処理の詳細は、図12図14を参照して説明する。別の例示的な実施形態では、コントローラ4の機能は、複数のコントローラによって実行することができる。例えば、コントローラ4の機能を、コントローラ4、コントローラ41A、コントローラ41Bに分散させることができる。
【0073】
IMM2は、表示部801と、フレーム10に固定されている警報装置802とを含む。表示部801は、コントローラ4に接続されており、コントローラ4の指示に基づいて、射出成形システム1の各種情報を表示する。本実施形態では、表示はタッチパネル表示である。表示部801は、選択可能なアイコン8011を表示し、選択に応じて表示コントローラ4が入力を受けて各種機能を実行する。
【0074】
警報装置802は、コントローラ4からの指示に基づいて、射出成形システム1で発生したイベントまたはエラーを操作者に通知するための1組のLED8021と、スピーカ8022とを含む。別の例示的な実施形態では、警報装置802は、LED8021およびスピーカ8022にさらにブザーを含むことがありうる。
【0075】
本実施形態では、警報装置802は、図1に示すように表示部801の隣に位置しているが、搬送装置カバー370A/Bの上面に置くことができる。別の例示的な実施形態では、搬送装置3Aおよび3Bの両方が、搬送装置カバー370A/Bの上面に警報装置802を含む。別の例示的な実施形態では、表示部801は、警報のメッセージおよび/またはアイコンを表示することによって、警報装置として機能することができる。
【0076】
コントローラ4は、IMM2に含まれる通信インタフェース404および操作インタフェース405に接続する。通信インタフェース404は、例えば、外部機器と通信するための、イーサネットコネクタまたはUSBコネクタである。操作インタフェース405は、操作部に接続するコネクタである。本実施形態では、表示部801のタッチパネルモジュールが操作インタフェース405を介してコントローラ4に接続する。コントローラ4は、コントローラ4がそれぞれの搬送装置3Aおよび3Bを制御する搬送装置コントローラ41Aおよび41Bと通信可能に接続されている。
【0077】
搬送装置3A/3Bは、コントローラ4に接続されて制御される、アクチュエータ3101A/Bと、ドアロック451A/Bと、搬送装置扉センサ452A/Bとを含む。ドアロック451A/Bは、搬送装置コントローラ41A/Bからの指示信号に基づいて、搬送装置扉380A/Bを電子的に施錠し、解錠する電子ドアロックである。アクチュエータ3101A/B、ドアロック451A/B、および搬送装置扉センサ452A/Bは、それぞれの状態に関しての状態情報を搬送装置コントローラ41A/Bに提供する。搬送装置コントローラ41A/41Bは、受信した状態情報をコントローラ4に提供する。
【0078】
コントローラ4は、金型100Aおよび100BをIMM2に挿入またはIMM2から排出する指示を発行する。搬送装置3A/3Bは、金型100A/100Bの挿入または排出が完了すると、挿入または排出動作が完了したことをコントローラ41A/41Bに通知する。搬送装置コントローラ41A/41Bはまた、エラーや異常状態が検出される場合、非常停止の信号をコントローラ4に送信する。
【0079】
別の例示的な実施形態では、上述した構成要素にさらに、IMM2は、IMM2内の金型の位置を検出するように構成された1つ以上のセンサを含むことができる。
【0080】
搬送装置カバー370Aおよび搬送装置扉380Aは、搬送ユニット31Aに連結された金型100AがIMM2内に挿入されない場合に、搬送装置3Aを取り囲む。また、搬送装置カバー370Bおよび搬送装置扉380Bは、搬送ユニット31Bに連結された金型100BがIMM2内に挿入されない場合に、搬送装置3Bを取り囲む。搬送装置カバー370A/Bおよび搬送装置扉380A/Bは、支持板360およびフレーム30に固定されている。かわりに、搬送装置カバー370A/Bおよび搬送装置扉380A/Bは、IMM2が置かれている地面に固定することができる。搬送装置カバー370A/Bは、フレームと、操作者がカバー370A/Bの内部にある搬送装置3A/3Bおよび金型を見ることができる透明なガラス壁とを含む。各搬送装置扉380A/Bは、透明なガラスパネルと、ガラスパネルを固定するドアフレームと、ドアフレームおよび搬送装置カバー380A/Bに固定されている蝶着とを含む。搬送装置扉380A/Bの一方は搬送ユニット31A/Bの長手方向に沿った側に配置されており、搬送装置扉380A/Bの他方は搬送ユニット31A/Bの長手方向に沿った反対側に配置されている。
【0081】
搬送装置カバー370A/Bおよび搬送装置扉380A/Bは、操作者が搬送装置カバー370A/Bの内部にある搬送装置3A/3Bに触れることを避けるため、様々な高さを有することができる。
【0082】
別の例示的な実施形態では、搬送装置扉380A/Bの少なくとも1つは、搬送装置カバー370A/Bに沿ってスライドするスライド可能な扉であり得る。
【0083】
搬送装置3A/3Bは、固定具を介してIMM2に固定されているが、IMM2と対向する搬送装置3A/3Bの側面が若干IMM2から離間している。これは、IMM2から搬送装置3A/3Bに加わる力や振動を低減する。
【0084】
図5および図6は、射出成形システム1の操作モードを示す。一方、図5および図6は、射出成形システム1の一部の構成要素を示しており、すべての構成要素を示すわけではない。本実施形態では、射出成形に関連する3つの操作モードがある。
【0085】
操作モード1
【0086】
図5に操作モード1を示す。より具体的には、操作モード1は、搬送装置3A/3B上のIMM2の外部で一方の金型の冷却を行うモードである。この一方の金型を冷却している間に、他方の金型の別の工程がIMM2内で行われる。これにより、例えば、プラテン61とプラテン62との間に位置するIMM2の内部で一方の金型の冷却を行う通常の射出成形モード(モード3)に比べて、IMM2の利用効率が向上する。
【0087】
図5の左側の図に示すように、金型100Aは、IMM2の内側に位置する。この状況では、金型100Aのキャビティ内に樹脂または他の材料が射出されており、金型100Aの冷却が完了している。金型100Bは、IMM2の外側にある搬送装置3B上に設けられている。この状況では、樹脂または他の材料が金型100Bのキャビティ内に射出されており、金型をこれから冷却する必要がある。金型100Bは、IMM2の外部にある搬送装置3B上で冷却中である。
【0088】
金型100Aは、プラテン61および62にクランプされ、可動プラテン62を金型100Aから遠ざけることで型締装置6によって開かれ、成形品が金型100Aから取出機7によって取り出される。次に、金型100Aは、可動プラテン62を金型100Aに向けて移動させることで型締装置6によって閉じられ、金型100Aのキャビティ内に樹脂または他の材料が射出装置5から射出され、次に、金型100Aのキャビティ内の圧力を所定の時間保持される。その次に、固定プラテン61のクランプ610を固定金型10101Aから外し、可動プラテン62のクランプ610を可動金型10102Aから外すことで、プラテン61および62による金型100Aのクランプを解除する。
【0089】
次に、工程は、IMM2の内部にある金型の交換に進む。搬送ユニット31Aは、金型100Aを搬送装置3Aに排出し、搬送ユニット31Bは、金型100Bを搬送装置3Bから挿入する。射出成形工程は、金型100Aおよび金型100Bの両方に対して継続する。コントローラ4は、金型の交換を開始させるための必要な前工程の完了に応答して、ユーザの入力なしに、自動的にIMM2の内部にある金型の交換を開始させる。また、IMM2の内部にある金型の交換が完了したことに応じて、コントローラ4は、ユーザの入力なしに、金型100AがIMM2から排出されている間の金型100Aの冷却工程と、金型100BがIMM2に挿入されている間の金型100Bの冷却工程とを、自動的に開始させる。このため、金型100Bの冷却が完了する前でも、金型交換の工程を開始することができる。
【0090】
図5の右側の図に示すように、上述した金型100Bとは同様の工程が金型100Aにとっても行われ、上述した金型100Aとは同様の工程が金型100Bにとっても行われる。金型100Aは、IMM2の外側の搬送装置3A上で冷却されている。
【0091】
金型100Bは、プラテン61および62にクランプされ、可動プラテン62を金型100Bから遠ざけることで型締装置6によって開かれ、成形品が金型100Bから取出機7によって取り出される。次に、金型100Bは、可動プラテン62を金型100Bに向けて移動させることで型締装置6によって閉じられ、金型100Bのキャビティ内に樹脂または他の材料が射出装置5から射出され、次に、金型100Bのキャビティ内の圧力を所定の時間保持される。その次に、固定プラテン61のクランプ610を固定金型10101Bから外し、可動プラテン62のクランプ610を可動金型10102Bから外すことで、プラテン61および62による金型100Bのクランプを解除する。
【0092】
金型100Bが解除された後、工程がIMM2の内側にある金型の交換に進む。搬送ユニット31Bは、金型100Bを搬送装置3Bに排出し、搬送ユニット31Aは、金型100Aを搬送装置3Aから挿入する。射出成形工程は、金型100Aおよび金型100Bの両方に対して継続する。本実施形態では、100Bの冷却工程は、金型100BがIMM2から排出されている間に行われ、金型100Aの冷却工程は、金型100AがIMM2に挿入されている間に行われる。このため、金型の冷却が完了する前でも、金型交換工程を開始することができる。
【0093】
上述したこれらの工程を、図5の左側の図、および、図5の右側の図に示すように、繰り返す。射出成形が開始すると、射出成形システム1は、自動的に2つの金型による射出成形を行い続け、エラーまたは異常事態のどちらかが発生するまで、あるいは、ユーザが意図的に射出成形工程を停止させるまでは、停止しない。別の例示的な実施形態では、ある金型の冷却は、金型が部分的にIMM2内にある状況で起こり得る。
【0094】
IMM2を最適に利用するためには、金型が固定プラテン61と可動プラテン62との間の領域の外側に配置しない。ただし、金型は、完全にIMM2の外側に配置する必要はない。操作モード1では、一方の金型がプラテン62にクランプされていない状態で冷却されており、金型の冷却工程の少なくとも一部と、他方の金型による射出成形工程の少なくとも一部とが、並行して、兼行して、あるいは、同時に行われる。
【0095】
操作モード1の始まりにおいて、金型100AがIMM2に挿入される最初の金型であり、金型100Bが次に挿入される金型である場合は、金型100Aのキャビティは材料がなにも含まれていない。工程は、金型100Aを型締めすることから始まり、その後、金型100Aの、型開きや成形品の取出や型締めの工程を行わずに、金型100Aのキャビティへの材料の射出の開始に続く。次に、金型100Aを排出し、金型100Bを挿入する。上述した工程は、その後、金型100Bに関して繰り返す。
【0096】
操作モード1の終了時、金型100A/100Bの射出成形の最終サイクルにおいて、IMM2は、金型100A/100Bを閉じ、金型100A/100Bを解除し、材料の射出および金型圧力の保持は行わない。
【0097】
図5に示すように、操作モード1を行うとき、IMM2扉2011Aおよび2011Bを第3の位置で開放するのは、金型100Aおよび100Bの挿入および排出が頻繁的に、しかも繰り返しに行うからである。操作者の安全を確保するためには、カバー60と、IMM2扉2011Aおよび2011Bと、搬送装置カバー370Aおよび370Bと、搬送装置扉380Aおよび380Bとが、IMM2と移動する金型との内部領域を取り囲むよう、搬送装置扉380Aおよび380Bが閉鎖したままである。これにより、操作者がIMM2の内部領域および移動する金型に近づくことが防止される。
【0098】
コントローラ4は、IMM2扉2011A、IMM2扉2011B、搬送装置扉380A、または搬送装置扉380Bの少なくとも一方が移動することを検出する場合、コントローラ4がIMM2内の射出成形工程を直ちに停止させる。搬送装置扉380Aおよび380Bは、ドアロック451Aおよび451Bによって施錠されており、扉が、例えば、ユーザ入力によって解錠される場合、射出成形を停止させるようにコントローラ4を構成することができる。
【0099】
操作モード2
【0100】
図6は、例示的な実施形態による操作モード2を示し、図20に示した要素に対する改良を提示している。上述したように、搬送装置3A/3Bは、金型100A/100Bの挿入および排出のために用いられる。IMM2の内部に一方の金型による射出成形を行っている間に、搬送装置から他方の金型を搬出し、搬送装置上に新たな金型を乗せ、この金型をアクチュエータ3101A/3101Bに接続したり、温度調節のためにホース(図示せず)を金型100A/100Bに接続したりすることで、射出成形のための段取りを行う。操作モード2は、操作者がIMM2の両側に金型の段取りを行うことを可能にし、比較的頻繁な金型交換が必要な状況で利用することができる。
【0101】
図6の左側の図に示すように、金型100Bは、IMM2内の固定プラテン61と可動プラテン62との間に配置されている。IMM2から排出された金型100Aは、搬送装置3A上に設けられている。
【0102】
IMM2では、金型100Bを型締めすること、金型100Bを閉じること、金型100Bのキャビティに材料を射出すること、金型100Bの内部に圧力を維持すること、金型100Bを冷却すること、金型100Bを開くこと、および金型100Bから成形品を取り出すことを含む金型100Bによる射出成形が行われる。これらのステップは説明されている順序で実行され、射出成形の1サイクルが定義される。IMM2がこのサイクルを所定回数分繰り返す。
【0103】
操作者は、搬送装置3A上に新たな金型の段取りを行う。段取り工程の一部として、操作者は、IMM2扉2011Aを閉鎖し、搬送装置扉380Aを開放し、金型100Aを搬送装置3Aから搬出し、新たな金型100Aを搬送装置3Aに搬入する。コントローラ4は、金型100Aが搬送装置3A上で検出された場合は、扉の閉鎖の検出または搬送装置扉380Aが第2の位置にあることの検出に応答して、搬送装置扉380Aのロックを解除することができる。コントローラ4は、アクチュエータ3101Aの状態または金型100Aの位置情報を利用して、金型100Aが搬送装置3A上にあるかどうかを検出する。
【0104】
操作者は、金型100Aに電気を供給するケーブル(図示せず)を接続し、金型100Aの温度を制御する液体を供給するホース(図示せず)を接続する。操作者は、射出成形の準備のために金型100Aの温度を上げ始めるために、金型100Aに液体を供給し始めることができる。新たな金型100Aの段取りが完了すると、操作者は、搬送装置扉380Aを閉鎖し、IMM2が金型100Bによる射出成形を完了させるまで待機する。
【0105】
図6の左側の図に示すように、搬送ユニット31Bのロッド3102BがIMM2の金型100Bに取り付けられていることと、ロッド3102BがIMM2の外側からIMM2の内側に延びていることにより、IMM2扉2011Bが第3の位置で部分的に開放されている状況に保たれる。IMM2扉2011Bは、ロッド3102Bと衝突しないように配置されている。射出成形時には可動プラテン62が移動しているので、移動中のプラテン62が操作者に当たることを避けるため、扉2011Bが部分的に閉鎖されている。
【0106】
IMM2扉2011Aは閉鎖されており、操作者が安全に金型100Aにアクセスしたり、搬送装置3A上に新たな金型の段取りを行ったりことができる。IMM2扉2011Bは部分的に開放されているので、コントローラ4が搬送装置扉380Bを施錠し、操作者が搬送装置3Bの領域を介してIMM2内にアクセスすることができない。IMM2扉2011Aが閉鎖されているので、コントローラ4が搬送装置扉380Aのロックを解除し、操作者が搬送装置3Aの領域にアクセスすることを可能にし、搬送装置3A上に新たな金型の段取りを行うことを可能にする。
【0107】
所定サイクル数が完了すると、金型100Bによる射出成形が終了する。次に、IMM2内の金型を交換する。まず、操作者は、IMM扉2011Bを開放し、アクチュエータ3101Bによって金型100Bを搬送ユニット31Bへの排出を開始する。次に、操作者は、IMM2扉2011Bを閉鎖する。金型100Bの排出後、金型100AのIMM2への挿入が開始される。操作者は、IMM2扉2011Aを開放し、搬送ユニット31Aを介してアクチュエータ3101Aによって金型100Aの挿入を開始する。
【0108】
金型交換が完了すると、図6の右側の図に示すように、金型100Aによる射出成形が開始される。
【0109】
IMM2では、金型100Aを型締めすることと、金型100Aを閉じることと、金型100Aのキャビティに材料を射出することと、金型100A内の圧力を維持することと、金型100Aを冷却することと、金型100Aを開くことと、金型100Aから成形品を取り出すこととを含む金型100Aによる射出成形が行われる。これらのステップは説明されている順序で実行され、射出成形の1サイクルが定義される。IMM2がこのサイクルを所定回数分繰り返す。
【0110】
操作者は、搬送装置3B上に新たな金型の段取りを行う。段取り工程の一部として、操作者は、IMM2扉2011Bを閉鎖し、搬送装置扉380Bを開放し、金型100Bを搬送装置3Bから搬出し、新たな金型100Bを搬送装置3Bに搬入する。コントローラ4は、金型100Bが搬送装置3B上で検出された場合は、扉の閉鎖の検出または搬送装置扉380Bが第2の位置にあることの検出に応答して、搬送装置扉380Bのロックを解除することができる。コントローラ4は、アクチュエータ3101Bの状態または金型100Bの位置情報を利用して、金型100Bが搬送装置3B上にあるかどうかを検出する。
【0111】
操作者は、金型100Bに電気を供給するケーブル(図示せず)を接続し、金型100Bの温度を制御する液体を供給するホース(図示せず)を接続する。操作者は、射出成形の準備のために金型100Bの温度を上げ始めるために、金型100Bに液体を供給し始めることができる。新たな金型100Bの段取りが完了すると、操作者は、搬送装置扉380Bを閉鎖し、IMM2内の金型100Aによる射出成形が完了するまで待機する。
【0112】
図6の左側の図に示すように、搬送ユニット31Aのロッド3102AはIMM2の金型100Aに取り付けられていることと、ロッド3102AがIMM2の外側からIMM2の内側に延びていることにより、IMM2扉2011Aが第3の位置で部分的に開放されている状況に保たれる。IMM扉2011Aは、ロッド3102Aと衝突しないように配置されているべきである。射出成形時には可動プラテン62が移動するので、移動中のプラテン62が操作者に当たることを避けるため、IMM2扉2011Aが部分的に閉鎖されている。
【0113】
IMM2扉2011Bは閉鎖していることにより、操作者が安全に金型100Bにアクセスでき、または、搬送装置3B上に新たな金型の段取りを行うことができる。IMM2扉2011Aは部分的に開放されているので、コントローラ4が搬送装置扉380Aを施錠し、操作者が搬送装置3Aの領域を介してIMM2の内部にアクセスできない。IMM2扉2011Bが閉鎖されているので、コントローラ4が搬送装置扉380Bのロックを解除し、操作者が搬送装置3Bの領域をアクセスすることと、搬送装置3B上に新たな金型の段取りを行うことを可能にする。
【0114】
所定サイクル数が完了すると、金型100Aによる射出成形が終了する。次に、IMM2内の金型を交換する。まず、操作者は、IMM2扉2011Aを開放し、アクチュエータ3101Aによって金型100Aを搬送ユニット31ABへの排出を開始する。次に、操作者は、IMM2扉2011Aを閉鎖する。金型100Aの排出後、金型100BのIMM2への挿入を開始する。操作者は、IMM2扉2011Bを開放し、搬送ユニット31Bを介してアクチュエータ3101Bによって金型100Bの挿入を開始する。
【0115】
金型交換が完了すると、図6の左側の図に示すように、再び金型100Aによる射出成形を開始する。
【0116】
操作モード2の始まり時に、図6の左側の図に示すように、金型100Bの段取りを行い、先にIMM2に挿入する場合、操作者は、金型を排出せずに、搬送装置3A上に金型100Aの段取りを行う。操作モード2の終了時に、金型100Aが最後の金型である場合、搬送装置3Bから金型100Bを排出し、搬送装置3B上に新たに金型の段取りを行うことはない。金型100Bによる射出成形が完了してから、金型100BをIMM2から排出し、搬送装置3Bから搬出する。搬送装置3A側から金型を挿入しない。
【0117】
操作モード3
【0118】
操作モード3では、搬送装置3Aおよび3Bは、金型100A/100Bの挿入または搬出には使用しない。言い換えれば、通常の射出成形は搬送装置を用いずに行う。搬送装置の代わりに、テーブルやガイドレールなどを用いて金型100A/100Bを搬送することができる。操作モード3は、搬送装置が使用できない場合に、選択することができる。例えば、搬送装置に適合しない特殊な金型を用いた場合や、搬送装置が破損したり、メンテナンスが必要な場合などである。
【0119】
図7図8A、および図8Bは、IMM2扉2011Bの構成を示す。
【0120】
図7は、例示的な実施形態による、第1の位置、第2の位置、および第3の位置におけるIMM2扉2011Bの側面図を示す。図7において、カバー60、ドアレール2012B、第1のセンサ20131B、第2のセンサ20132B、および第3のセンサ20133B、ボールプランジャ20134B、固定プラテン61、可動プラテン62、およびIMM2内のローラBRは実線で示す。第1の位置にあるIMM2扉2011Bは点線で示し、第2の位置にあるIMM2扉2011Bは破線で示し、または第3の位置にあるIMM2扉2011Bは一点鎖線で示す。矢印Aは、IMM扉2011Bが第1の位置にあるときのIMM扉2011Bの遠位端の位置を示し、矢印Cは、IMM扉2011Bが第2の位置にあるときのIMM扉2011Bの遠位端の位置を示し、または矢印Bは、IMM扉2011Bが第3の位置にあるときのIMM扉2011Bの遠位端の位置を示す。
【0121】
IMM2扉2011Bが第1の位置にあるとき、IMM2扉2011Bは完全に開放されており、IMM2扉2011Bの近位端はドアレール2012B上の最近位位置にある。この状態において、操作者は、型締装置6内の可動プラテン62と可動プラテン63との間の領域と、固定プラテン61と可動プラテン62との間の領域とを含む領域にアクセスがある。
【0122】
IMM2扉2011Bが第2の位置にあるとき、IMM2扉2011Bは完全に閉鎖されており、IMM2扉2011Bの遠位端はドアレール2012B上の最遠位位置にある。この状態において、IMM2扉2011BがIMM2の内部領域への操作者のアクセスをブロックする。この状態において、IMM2扉2011Bは完全に閉鎖されている必要はなく、操作者がそれらの中に手を入れることを不可能にするほどに細い隙間が存在し得る。
【0123】
IMM2扉2011Bが第3の位置にあるとき、IMM2扉2011Bは部分的に閉鎖されている。IMM2扉2011Bが第3の位置にあるときのIMM2扉2011Bの遠位端の位置は、金型がIMM2に挿入または射出されている間に、可動プラテン62が固定プラテン61から最も離れた位置にある場合の状況では、可動プラテン62の位置として設計することができる。この設計によれば、IMM2扉2011Bは、IMM2に出入りする金型と衝突することがなく、IMM2扉2011Bの位置は、様々な金型に対して適応的に変更する必要がない。
【0124】
IMM2扉2011Bが第3の位置にあるときのIMM2扉2011Bの遠位端の位置は、IMM2扉2011Bの遠位端が少なくとも搬送装置カバー370BのX軸方向の位置に到達するように設計することができる。この設計により、IMM2扉2011Bおよび搬送装置カバー370Bは、IMM2の内部領域を取り囲み、それによって、操作者に安全を提供することができる。搬送装置カバー370Bは、搬送装置扉380Bと組み合わさって、第2の位置にあるときのIMM2扉2011Bの遠位端の位置に対応するB~B’線と、第3の位置にあるときのIMM2扉2011Bの遠位端の位置に対応するC~C’線との間の領域を覆う。別の例示的な実施形態では、IMM2扉2011Bが第3の位置にあるときのIMM2扉2011Bの遠位端は、IMM2扉2011BがIMM2に挿入されている/排出されている金型と衝突しない限り、搬送装置カバー370Bの間に位置することができる。
【0125】
本実施形態では、第1のセンサ20131Bの一方は、IMM2扉2011Bが第1の位置にあるときに、IMM2扉2011Bの近位端の近くに配置されている。他方の第1のセンサ20131Bは、IMM2扉2011Bが第1の位置にあるときに、IMM2扉2011Bの遠位端の近くに配置されている。第1のセンサ20131Bは、IMM2扉2011Bが第1の位置にあるかどうかを検出するように構成されている。代替の例示的な実施形態では、IMM2扉2011Bが第1の位置にあるとき、IMM2扉2011Bの近位端の近くに配置されている単一の第1のセンサ20131Bを使用することができる。単一の第1のセンサ20131Bは、IMM2扉2011Bの近位端が第1の位置に対応する位置にあるかどうかを検出することによって、IMM2扉2011Bが第1の位置にあるかどうかを検出するように構成されている。
【0126】
本実施形態では、第2のセンサ20132Bの一方は、IMM2扉2011Bが第2の位置にあるときに、IMM2扉2011Bの近位端の近くに配置されている。他方の第2のセンサ20132Bは、IMM2扉2011Bが第2の位置にあるとき、IMM2扉2011Bの遠位端の近くに配置されている。第2のセンサ20132Bは、IMM2扉2011Bが第2の位置にあるかどうかを検出するように構成されている。代替の例示的な実施形態では、IMM2扉2011Bが第2の位置にあるときに、IMM2扉2011Bの遠位端の近くに配置されている単一の第2のセンサ20132Bを使用することができる。単一の第2のセンサ20131Bは、IMM2扉2011Bの遠位端が第2の位置に対応する位置にあるかどうかを検出することによって、IMM2扉2011Nが第2の位置にあるかどうかを検出するように構成されている。
【0127】
本実施形態では、2つのボールプランジャ20134Bがドアレール2012Bに沿って配置されており、第3のセンサ20133Bは、ボールプランジャ20134Bのボールが圧力に降伏するかどうかを検出するように構成されている。ボールプランジャ20134Bの一方は、IMM2扉2011Bが第3の位置にあるときに、IMM2扉2011Bの近位端の位置の近くに配置されている。他方のボールプランジャ20134Bは、IMM2扉2011Bが第3の位置にあるときに、IMM2扉2011Bの遠位端位置の近くに配置されている。ボールプランジャ20134Bは、IMM2扉2011Bが第3位置から移動する場合、ボールプランジャ20134Bのボールの1つがIMM2扉2011Bから加わる圧力に降伏するように配置されている。第3のセンサ20133Bは、ボールプランジャ20134Bのボールの状態に基づいて、IMM2扉2011Bが第3の位置にあるかどうかを検出する。
【0128】
代替の例示的な実施形態では、第1の位置、第2の位置、または第3の位置は、必ずしも特定の単一の位置である必要はなく、いずれの位置もX軸方向(IMM2扉2011Bの長手方向または移動方向)に所定の範囲を有することができる。例えば、IMM2扉2011Bが第1の範囲にある場合、コントローラ4は、IMM2扉2011Bが第1の位置にあることを認識することができる。IMM2扉2011Bが第2の範囲にある場合、コントローラ4は、IMM2扉2011Bが第2の位置にあることを認識することができる。そして、IMM2扉2011Bが第3の範囲にある場合には、コントローラ4は、IMM2扉2011Bが第3の位置にあることを認識することができる。第1の範囲、第2の範囲、または第3の範囲は、公差、バックラッシュ、またはラトルのような、IMM2扉2011Bに関連する様々な要因に基づいて定義することができる。
【0129】
本実施形態では、IMM2扉2011Bは、ハンドル2014Bを含む。ハンドル2014Bは、IMM2扉2011Bの遠位端の近くに固定されており、-X軸方向に延びる。ハンドル2014Bは、IMM2扉2011Bを、第1の位置と第2の位置と第3の位置との間で移動させるために使用する。ハンドル2014Bは、一端にIMM2扉2011Bに固定されて+Z軸方向に延びる曲がった部分を含んでいる。ハンドル2014Bもまた、曲がった部分の他端から-X軸方向に延びる直線部分を含んでいる。
【0130】
この直線部分の少なくとも一部は、IMM2扉2011Bが第1または第3の位置にあるときに、IMM2カバー60の上方に配置されている。直線部分の長さは、IMM2扉2011Bが第1または第3の位置にあるときに、およびIMM2扉2011Bが第2の位置にあるときにも、操作者が直線部分を把持できるような長さを有する。ハンドル2014Bは、特に搬送装置扉380Bが閉鎖されているときに、操作者がIMM2扉2011Bを容易に移動させることを可能にする。言い換えれば、ハンドル2014Bは、搬送装置扉380Bが閉鎖中でも、操作者がIMM2扉2011Bを容易に開放することを可能にする。
【0131】
図8Aは、図7のA~A’線においてのIMM扉2011Bおよびドアレール2012Bの断面図を示す。図8Bは、B~B’線においてのIMM扉2011Bおよびドアレール2012Bの断面図を示す。図8Bにおいて、ボールプランジャ20134Bの位置も示されている。本実施形態では、扉2011Bは、フレーム10に固定されている上レールおよび下レール(図示せず)に沿って移動する上ローラおよび下ローラ(図示せず)を含む。上ローラは、上レールの凸部とかみ合う、凹部を中央に有する。IMM扉2011Bの重量は、主に上レールによって支持され、下ローラと下レールは、IMM扉2011Bが移動されるときに、IMM扉2011Bの位置をレールに沿って揃える。ボールプランジャ20134Bは、下レール内に配置されており、ボールプランジャ20134Bのボールは、下ローラから圧力または力を受ける。IMM扉2011Bの天板は、上ローラの上方に配置されており、ハンドル2014Bは、IMM2011Bの天板に取り付けられている。
【0132】
ハンドル2014Bの直線部分は、操作者が直線部分を把持できるよう、IMM2011Bの天板から離間している。天板は地面から高い位置に配置することが可能であるので、直線部と天板との間の距離はできるだけ小さくなっている。別の例示的な実施形態では、直線部分は、+Y軸方向に、IMM扉2011Bの側板から突出できることで、ハンドル2014Bの高さを減少させることができる。
【0133】
図9および図10は、本実施形態による、固定プラテン61と、この固定プラテン61に固定されているL字型ブラケット620Bとを含む射出成形システム1の構成の一部を示す。図9は、中心線990から固定プラテン61側(固定側991)までの側面図である。図9および図10に示すローラの寸法または数は、例えまたは議論を目的に提供されており、これに限定されるものとはみなされない。搬送装置3Bは、固定側992にローラベース930を含み、移動側993にローラベース931を含む。ローラベース930およびローラベース931の両方は、金型100Bの底面に対向するローラ32と、金型100Bの側面に対向するローラ33とを固定する。
【0134】
以下の説明では、IMM2および搬送装置3Bがどのようにお互いに固定されていることと、IMM2および搬送装置3Bがどのようにお互いに離間していることを開示する。IMM2および搬送装置3Bは、主に2通りの方法によって固定されている。まず、IMM2のフレーム10と搬送装置3Bのフレーム30とが2つのL字状部材901および902によって固定されている。第1のL字状部材901は、行と列に配置されており第1のL字状部材901の縦板の対応する穴に挿入されている複数本のボルト903によってフレーム10の側板に固定されている。第2のL字状部材902は、行と列に配置されており第2のL字状部材902の縦板の対応する穴に挿入されている複数本のボルト903によってフレーム30Bの側板に固定されている。L字状部材901および902は、第2のL字状部材902の水平板から第1のL字状部材901の水平板の中に延びる複数の穴に挿入された複数本のボルト905によってお互いに固定されている。L字状部材901および902は、図10に示すように、搬送装置3Bのフレーム30の側板の幅方向に沿って延びる。L字状部材901および902の水平板の長さ、すなわち、L字状部材901および902の水平板の穴の位置は、IMM2と搬送装置3Bとの間の距離または隙間を画定する。
【0135】
IMM2と搬送装置3Bとを固定する第2の方法は、一端ではIMM2に固定されており、他端では搬送装置3Bに固定されている連結板906である。連結板906は、固定プラテン920に複数本のボルト907で取り付られているL字ブラケット620の水平部の上面によって、IMM2に固定されている。固定プラテン920に取り付けられているL字型ブラケット620は、L字型ブラケット620の水平部の上面にボルト907を受けるための穴を1つ以上有する。連結板906は、ローラベース930の上面により複数本のボルト908で搬送装置3Bに固定されている。
【0136】
IMM2と搬送装置3Bとの間の距離または隙間は、連結板906によって、より具体的には、連結板906の長さおよび連結部の穴の位置によって規定される。
【0137】
別の例示的な実施形態では、IMM2および搬送装置3Bをお互いに確実に固定するため、L字状部材901および902、および連結板906にさらに、1つ以上の接続部を含むことができる。
【0138】
別の例示的な実施形態では、連結板906は、L字型ブラケット620の外側面およびフレーム30の側面に固定されていてもよい。この場合、IMM2の内部領域のカバレッジを向上させるため、IMMドアレール2012Bをより長く延長することができ、IMM扉2011Bをもっと移動させることができる。この場合、固定プラテン61に取り付けられているL字型ブラケット620は、可動プラテン62とは反対側を向いているL字型ブラケット620の外面に1つ以上の穴を有する。
【0139】
搬送装置3AおよびIMM2は、搬送装置3BおよびIMM2に対して上述した同様に、互いに固定されているため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0140】
一般に、射出成形システムでは、製造設備に設置された後、射出成形機は徐々に-X軸方向に移動するが、これは、射出成形機に印加される最大のインパルスは、型締装置が金型を開くために固定プラテンから離れるよう-X軸方向に移動する可動プラテンを減速するときに射出成形機に印加されるインパルスであるためである。この状況において、型締装置は可動プラテンに、+X軸方向の力を加え、射出成形機にインパルスを受けさせて射出成形機を-X軸方向に移動させる。別の状況においては、型締装置が可動プラテンを始動、加速、減速、または、停止させるときに、射出成形機が+X軸および-X軸方向にインパルスを受けるか、射出成型機が振動を受ける。
【0141】
本実施形態では、IMM2と搬送装置3A/3Bとを離間させることにより、インパルスや振動が搬送装置3A/3Bの構成要素に直接影響することがない。これは、金型100A/100Bが非常に重く、IMM2から繰り返し印加される大きなインパルスによってアクチュエータ3101A/Bが損傷する可能性があるため、特にアクチュエータ3101A/Bの構成部品の長寿命化に寄与する。これらの構成要素を固定するL字型ブラケット901、902、連結板906、ボルト903、904、905、907、そして908は破損する可能性があるが、操作者は、アクチュエータ3101A/Bを交換するよりも、比較的より安い価額でこの構成要素を交換することができる。
【0142】
搬送装置3Aおよび3Bは、アクチュエータ3101Aおよび3101Bが金型100Aおよび100Bを移動させるときに、IMM2にインパルスを印加する。このインパルスは、IMM2から搬送装置3A/3Bへのインパルスより大きくなくてもよいが、本実施形態の空間部分の構成によって、搬送装置3Aおよび3BによるIMM2の損傷も防止することができる。
【0143】
上述した空間部分の構成の他の態様は、搬送装置の製造業者または開発業者が、各種射出成形機用の搬送装置を開発またはカスタマイズすることがより容易であることである。
【0144】
図11Aおよび図11Bは、搬送装置3A/3B上のローラ33と、IMM2内のローラBRと、金型100A/100Bとを示す。以下の説明では、ローラBR間またはローラ33間の空間的関係、および金型100A/100BとローラBR間または金型100A/100Bとローラ33間の空間的関係を開示する。
【0145】
図11Aは、金型100A/100Bが3本のローラBRまたは3本のローラ33(集合的には、ローラまたはローラ1101)のみによって支持されている金型100A/100Bの状況を示す。ローラ1101の中心間の距離は、通常、金型の底部を支持するために金型の長さの半分以下である。距離がそれよりも大きい場合、金型は2つのローラによってのみ支持され、ぞれは金型が移動している間に金型を傾斜させることができ、傾斜しつつの金型はローラ1101の頂部によって画定される支持面1102の下に移動する。また、ローラ1101の頂部が一直線に並んでいないことがあり、一部のローラがZ軸方向またはY軸方向にずれていることのある。この状況では、金型が移動している間、金型の一部が時々ローラ1101の頂部より下にありうる。金型の低い前縁がローラの頂部以外の位置でローラと衝突するほどに金型が傾斜している場合、ローラがこれにより損傷される可能性があり、ローラの交換が必要になる場合がある。この要件は、次式(1)によって公式化することができる。
【0146】
図11Aおよび図11Bでは、nは、金型を支持するローラの数を示し、Nは、n個のローラのうち最も左側のローラ1101に関しての、左から右に数えた数を示す。nおよびNはともに自然数である。Rは、左から数えたN番目のローラ1101を示し、Dは、ローラRの中心とローラRN+1の中心との間の距離を示す。Lは、ローラの列の方向(X軸方向)への金型の長さを示す。長さL/2は、IMM2と搬送装置3A/3Bとの間の隙間の最大長を規定する。通常、射出成形システムでは、様々の金型の種類が使用されるが、射出成形システムの大きさによっては、一般には、射出成形システム用に金型の大きさの範囲が定義される。したがって、IMM2と搬送装置3A/3Bとの間の最大距離をLmin/2と定義することができ、Lminは、射出成形システムで使用できる金型の最小長を示す。
【0147】
IMM2の最端部のローラ1101と搬送装置3A/3Bの最端部のローラ1101との間にIMMドアレールまたはIMM扉を配置することができるので、長さをLmin/2未満にすることが出来る。
【0148】
図11Bは、例示的な実施形態による射出成形システムを示す。図1に示した射出成形システム1との相違点のみを説明する。本実施形態では、金型100Bは少なくとも4つのローラ1101によって支持されているので、nは4に等しい。図11Bは、金型100Bが5つのローラによって支持されている状況を示す。ローラの耐荷重が射出成形システム1で使用される最も重い金型の1/4より重いように、ローラの材料または種類を、ローラの耐荷重で選択することができる。DN’は、IMM2の最端部のローラBRの中心と搬送装置3Bの最端部のローラ33の中心との間の距離を示す。Drailは、IMMドアレール2012のX軸方向の幅を示す。Dcnvrは、IMM2と搬送装置3Bとの間の実際の距離または隙間を示す。Dcnvrは、DN’-Drailより少ない。ある例示的な一実施形態では、Lは350ミリメートルであり、DN’は110ミリメートルであり、そして、Dcnvrは10ミリメートルである。
【0149】
別の例示的な実施形態では、隙間の距離は1~20ミリメートルである。上述したように、隙間は、射出成形システム、射出成形システムで使用される金型の長さの範囲、選択されたローラの耐荷重、または他の条件によって変化する。
【0150】
IMM2と搬送装置3A/3Bとの間の距離の最小値は、1ミリメートル未満または0.1ミリメートル未満であってもよいが、通常は、1ミリメートル以上である。
【0151】
上述したパラメータ間の関係は、以下の式(2)に反映される。射出成形システムで使用可能な金型のうち、最小長さLの金型はnとした場合、Lは、ローラRNの中心とローラRN+n-1の中心との間の距離以下であり、ローラBRまたはローラ33のいずれかがこの関係を満たすべきである。
【0152】
別の例示的な実施形態では、他のタイプの構造または構成要素を金型のために設けることができる。上述したパラメータnは、ローラに沿った部分領域に応じて変化することができる。例えば、IMM2では、パラメータnは4であり、搬送装置3Bでは、パラメータnは4以外の値であってもよい。
【0153】
図12A図12B図13A、そして、図13Bは、本例示的な実施形態による、コントローラ4の制御に基づき、射出成形システム1により行われる処理のフローチャートを示す。コントローラ4のCPU402は、メモリに格納されたコンピュータプログラムの指示をRAMにロードし、以下の処理を行うような指示を実行する。
【0154】
図12Aは、射出成形を行う射出成形システム1の処理を説明するフローチャートである。射出成形システム1の電源が投入されると、コントローラ4は、金型を収容して射出成形を行うための初期設定処理(S1201)を開始する。この初期設定処理は、例えば、搬送ユニット31Aおよび31Bの初期設定を含むIMM2と搬送装置3Aおよび3Bの初期設定処理を含む。初期設定が行われた後、コントローラ4は、図5および図6を参照して説明したように、モードオプションから成形モード(S1202)を設定する。
【0155】
成形モードの設定後、コントローラ4は、RAMまたはメモリ401内の成形タスクの待ち行列に成形条件または成形タスク(S1203)のセットをロードする。その次に、コントローラ4は、成形タスクの待ち行列の先頭から、次の射出成形のための成形条件(または成形タスク)(S1204)のセットを選択する。選択された成形条件のセットが成形タスクの待ち行列の先頭から削除され、既存のタスクの番号が付け替えられる。コントローラ4は、選択された成形条件のセットをロードし、次の射出成形のためにIMM2の段取りを行う。コントローラ4は、その次に、搬送装置3A/3Bからの挿入された金型による射出成形(S1205)を行う。選択された成形条件の射出成形が完了するとき、コントローラ4は、メモリ401内の成形タスクの待ち行列の先頭が成形条件(S1201)のセットを有するかどうかを判定する。有する場合(S1206のN)、処理はS1204に戻り、待ち行列の先頭から新たな成形条件を選択する。成形条件のセット有していない場合(S1206のY)、コントローラ4は、処理(S1207)を終了させ、IMM2を待ち状態に設定する。
【0156】
ステップS1202でモード1を選択すると、ステップS1204でコントローラ4によって2セットの成形条件またはタスクが選択され、ステップS1205では、IMM2が2つの金型による射出成形を並列に行う。
【0157】
別の例示的な実施形態では、ステップS1202(成形モードを設定するステップ)およびS1203(成形条件のセットをロードするステップ)は、ステップS120と並行に実行することができる。さらに別の例示的な実施形態では、操作モードは、各成形タスクに対して設定することができる。本実施形態では、ステップS1202(成形モードを設定するステップ)が、ステップS1204(成形条件のセットを選択するステップ)の一部として、実行される。
【0158】
図12Bは、モード1またはモード2で操作するIMM2の射出成形工程を説明するフローチャートである。ステップS1251において、コントローラ4は、操作者が、例えば、後述するように挿入ボタン1503または1504を押すことにより、金型挿入を要求するかどうかを判定する。モード1において、ボタン1503または1504のいずれかを押すことによって、一方の金型100Aまたは100Bが挿入され、後で、操作者がボタン1503および1504の他方を押すことなく、他方の金型が自動的に挿入される。金型挿入が要求されない場合(S1251のNo)、処理は次の要求まで待機する。
【0159】
ステップS1252において、金型100A/100Bの挿入準備が整ったかどうかコントローラ4が判定する。例えば、IMM2内に金型があるとコントローラ4が検出した場合、コントローラ4は、挿入準備が整っていないと判定する。別の例では、固定プラテン61と可動プラテン62との間の隙間が金型100A/100BのY軸方向の幅よりも狭い場合、挿入準備が整っていないとコントローラ4が判定する。IMM扉2011Aおよび2011Bと、搬送装置扉380Aおよび380Bとが、図14を参照して後述する条件1401または1402を満たさない場合、挿入準備が整っていないとコントローラ4が判定する。挿入準備が整っていないとコントローラ4が判定した場合(S1252のNo)、コントローラ4は、表示部801および警報装置802を制御して警報を出させる(ステップS1291)。挿入準備が整っているとコントローラ4が判定した場合、コントローラ4は、搬送装置3A/3Bに金型100A/100Bを挿入するよう指示する(S1253)。この指示と並行にまたは直後に、コントローラ4が図13Aを参照して後述するループ処理を作動させて金型100A/100Bの挿入を監視する(S1292)。S1292で開始された監視処理は、少なくとも金型100A/100Bの挿入が行われている間は継続する。
【0160】
コントローラ4は次に、例えば、射出成形開始ボタン1507が操作者により選択されたかどうかを検出することで、射出成形開始が要求されたかどうかを判定する(S1254)。射出成形開始が要求されていないとコントローラ4が判定した場合(S1254のNo)、射出成形開始が要求されるまで処理がS1254に留まる。射出成形開始が要求されたとコントローラ4が判定した場合(S1254のYes)、処理がステップS1255に進む。
【0161】
S1255において、適切に作動していない関連した構成要素があるかどうかを判定することで、射出成形システム1の射出成形の準備が整ったかどうかコントローラ4が判定する。例えば、モード1において、アクチュエータ3101Aおよび3101Bのいずれかが適切に作動していない場合、射出成形システム1の準備が整っていないとコントローラ4が判定する。例えば、モード2において、アクチュエータ3101Aまたは3101Bを射出成形工程では使用されないので、アクチュエータ3101Aおよび3101Bが適切に作動していない場合でも、射出成形システムの準備が整っていないとコントローラ4が判定しない。代わりの例示的な実施形態では、金型の挿入/排出側のアクチュエータ3101A/3101Bが適切に作動していない場合、射出成形システム1の準備が整っていないとコントローラ4が判定する。モード1またはモード2のいずれかにおいて、IMM2の構成要素が適切に動作していない場合、射出成形システム1の準備が整っていないとコントローラ4が判定する。
【0162】
射出成形システム1の準備が整っていないとコントローラ4が判定した場合(S1255のNo)、コントローラ4は、表示部801および警報装置802を制御して警報を出させる(ステップS1293)。射出成形システム1の準備が整っているとコントローラ4が判定した場合(S1255のYes)、コントローラ4は、IMM2を制御して射出成形を開始させる(S1256)。さらに、S1256における射出成形の開始と並行して、またはその直後に、コントローラ4は、図13Aを参照して後述するループ処理を作動させて、金型100A/100Bの射出成形を監視する(S1294)。S1294で開始された監視処理は、少なくとも金型100A/100Bの挿入が行われている間は継続する。
【0163】
IMM2は次に、選択されたモードで射出成形を行う(S1257)。モード1で操作される場合、2つの金型が繰り返しにしかも交互に挿入され、排出される。モード1で操作される場合、一方の金型が射出成形のためにIMM2内にあり、操作者が、金型の挿入/排出側とは反対側にある一方の搬送装置3A/3B上に、現在IMM2内で行われている射出成形の後に射出成形を行う新たな金型の段取を行う。S1293で開始されたループ処理において、コントローラ4の指示により、行われている射出成形を割り込むことができる。射出成形の所定数のサイクルを完了させてから、IMM2が射出成形を終了させる(S1258)。モード1において、金型100Aおよび100Bの両方に対してIMM2が所定数のサイクルを完了させる。
【0164】
コントローラ4は次に、例えば、排出ボタン1505または1506が操作者により選択されたかどうかを検出することで、金型100A/100Bの排出が要求されたかどうかを判定する(S1259)。金型100A/100Bの排出が要求されていないとコントローラ4が判定した場合(S1259のNo)、金型100A/100Bの排出が要求されるまで処理がS1259に留まる。金型100A/100Bの排出が要求されたとコントローラ4が判定した場合(S1259のYes)、処理がステップS1260に進む。
【0165】
ステップS1260において、金型100A/100Bの排出準備が整ったかどうかコントローラ4が判定する。例えば、IMM2内に金型があるとコントローラ4が検出した場合、コントローラ4は、排出準備が整っていないと判定する。別の例では、ノズル52の遠位端チップが固定型10101A/1010Bに対向する固定プラテン61の内面から突出しないよう射出装置5のノズル52が後退されていない可能性がある。そのような状況では、挿入準備が整っていないとコントローラ4が判定する。IMM扉2011Aおよび2011Bと、搬送装置扉380Aおよび380Bとが、図14を参照して後述する条件1410または1411を満たさない場合、排出準備が整っていないとコントローラ4が判定する。排出準備が整っていないとコントローラ4が判定した場合(S1260のNo)、コントローラ4は、表示部801および警報装置802を制御して警報を出させる(ステップS1291)。排出準備が整っているとコントローラ4が判定した場合、コントローラ4は、搬送装置3A/3Bを制御して金型100A/100Bを排出させる(S1261)。この指示と並行して、またはその直後に、コントローラ4は、図13Aを参照して説明するループ処理を作動させて、金型100A/100Bの排出を監視する(S1296)。S1296で開始された監視処理は、少なくとも金型の排出が行われている間は継続する。
【0166】
図13Aは、処理を割り込む、又は割り込んだ処理を再開させるループ処理を説明するフローチャートである。このループ処理は、S1252における挿入の準備が整っている判定に応じて、ステップS1292において、かつ、S1255における射出成形の準備が整ている判定に応じて、ステップS1294において、かつ、S1260における排出の準備が整っている判定に応じて、S1296において、開始される。ステップS1292のループ処理は、金型100A/100Bの挿入を監視し、挿入を停止させ、挿入を再開させるためのものである。ステップS1294のループ処理は、射出成形工程を監視し、射出成形工程を停止させ、射出成形工程を再開させるためのものである。ステップS1296のループ処理は、金型100A/100Bの排出を監視し、金型100A/100Bの排出を停止させ、金型100A/100Bの排出を再開させるためのものである。
【0167】
ステップS1301において、コントローラ4は、イベントが発生するまで割り込みイベントの発生をチェックし続ける。割り込みイベントが検出されなかった場合(S1301のNo)、割り込みイベントが発生するかどうかコントローラ4が継続して確認する。割り込みイベントは、射出成形システム1の構成要素に異常事態が発生するイベントである。割り込みイベントは、例えば、金型の挿入または排出が行われている間にアクチュエータ3101A/3101Bがエラーを発生するイベントや、操作者が射出成形システム1の非常停止ボタンを押すイベントなどを含む。
【0168】
割り込みイベントはまた、後述する図18に示すように、特定の条件がIMM扉2011Aおよび2011Bまたは搬送装置扉380Aおよび380Bにより満たされないイベントを含む。コントローラ4が割り込みイベントを検出すると(S1301のYes)、処理はステップS1302に進む。ステップS1302において、コントローラ4は、IMM2を制御してIMM2における射出成形工程を停止させ、ステップS1303において、コントローラ4は、表示部801および警報装置802を制御して警報を出させる。
【0169】
処理は次に、工程を再開するためのボタン(挿入、排出、または射出成形)が操作者によって選択されたかどうかコントローラ4が判定するステップS1304に進む。工程の再開が開始されたことを検出するまで、コントローラ4がS1304の処理を繰り返す。ボタンは、図15に示すボタン1503-1507を参照して後述する。
【0170】
選択が検出された場合(S1304のYes)、処理は、射出成形システム1の構成要素の再開の準備が整っているかどうかコントローラ4が判定するステップS1305に進む。例えば、挿入や排出の状況において、挿入に用いたアクチュエータ3101A/Bにエラーが発生した場合には、挿入は再開されない。射出成形中に、IMM2の一部の構成要素にエラーが発生した場合には、射出成形は再開されない。別の例では、図14を参照して説明したように、対応する状況において、特定の条件1401-1403または1407-1412がIMM扉2011Aおよび201Bまたは搬送装置扉380Aおよび380Bによって満たされない場合には、挿入、射出成形または排出は再開されない。
【0171】
構成要素の状態に基づいて再開準備が整っていないとコントローラ4が判定した場合(ステップS1305のNo)、コントローラ4は、表示部801および警報装置802を制御して警報を出させる(ステップS1307)。処理は次にS1304に戻る。再開準備が整っているとコントローラ4が判定した場合(S1305のYes)、コントローラ4は、S1302でコントローラ4により停止された処理を再開させる(S1306)。このループ処理は、挿入、射出成形、または排出が完了するまで継続する。
【0172】
別の例示的な実施形態では、挿入、射出成形および排出のためのループ処理は、射出成形システムがS1201で初期設定されてから、または射出成形システムの処理がS1207で終了されるまでの間、常に実行することができる。
【0173】
図13Bは、操作者によって挿入および排出が手動で行われるモード3で動作される射出成形システム1の処理を示すフローチャートである。
【0174】
ステップS1351において、コントローラは、金型100A/100Bの挿入を監視するために、図13Aを参照して説明したループ処理を作動させることによって、任意の割り込みイベントが発生するかどうかを判定するための監視を開始する。この場合、搬送ユニット31Aおよび31Bにエラーや異常事態が発生した場合も、挿入工程は割り込みされない。この監視処理は、操作者が金型100A/100Bを手動で挿入している間は行われている。
【0175】
ステップS1352において、操作者が射出成形を開始するためのボタンを選択することで射出成形を開始するよう要求したかどうかコントローラ4が判定する。要求が検出されない場合(S1352のNo)、要求が検出されるまで処理はS1352に留まる。コントローラ4が要求を検出した場合(S1352のYes)、コントローラ4は、射出成形システム1が射出成形の準備が整っているかどうかを判定する。この場合、搬送ユニット31Aまたは31Bにエラーや異常事態が発生する場合も、挿入工程は割り込みされない。IMM扉2011Aおよび2011Bと、搬送装置扉380Aおよび380Bとの状態に対して、後述する条件1406がS1353に満たされるかどうかコントローラ4が判定する。金型100A/100Bに対して、S1353において、金型100A/100B用のIMM2内の位置センサ(図示せず)により、金型100A/100Bが固定プラテン61と可動プラテン62との間に適切に位置決めされているかどうかコントローラ4が判定する。
【0176】
射出成形の準備が整っていない場合(S1353のNo)、コントローラ4は、表示部801および警報装置802を制御して警報を出させる(ステップS1391)。射出成形の準備が整っている場合(S1354のYes)、コントローラ4は、IMM2を制御して射出成形を開始させ(S1354)、IMM2がモード3で射出成形を行う(S1355)。
【0177】
S1354における射出成形の開始の直後に、または、並行して、コントローラ4は、射出成形を監視するために、図13Aを参照して上述したループ処理を作動させる(S1392)。次いで、処理は、コントローラ4が所定の射出成形サイクル数が完了するまで射出成形を終了させる(S1393)ステップS1356に進む。射出成形の完了に応答して、コントローラ4は、図13Aを参照して上述したループ処理を作動させて(S1357)、金型100A/100Bの排出を監視する。この場合、搬送ユニット31Aおよび31Bにエラーや異常事態が発生しても、挿入工程は割り込まれない。S1357で開始された監視処理は、少なくとも操作者が金型100A/100BをIMM2から排出している間に継続する。金型100A/100Bを手動で排出した後、S1205で1つの成形タスクを完了する。
【0178】
図14は、本実施形態によるIMM2または搬送装置3A/3Bがそれぞれの工程を停止するかどうかを判定するための各モードおよび各状況における扉の条件を示す。
【0179】
図14に示す条件は、メモリ401に記憶されており、コントローラ4が工程の停止を判定する際に用いられる。扉は、IMM扉2011Aおよび2011Bと搬送装置扉380Aおよび380Bである。議論の目的で、以下の説明では、搬送装置3Aが金型100Aを挿入または排出する場合を説明しており、搬送装置3A側は金型の挿入または排出側であり、搬送装置3B側は金型の挿入または排出側であることを意味する。以下の説明では、搬送装置3Bが金型100Bを挿入して排出する場合に応用できる。
【0180】
搬送装置3Aおよび3Bの条件はメモリ401に記憶されている。これらの条件は、対応する状況で満たされるべきがある。これらの条件を満たしていないとコントローラ4が判定した場合、コントローラ4は、工程を停止させ、または要求された工程を作動させない、さらに、コントロール4は、表示部801および警報装置802を指示して警報を出させる。
【0181】
モード1において、金型100Aおよび100Bは、射出成形工程のサイクルの間、成形動作位置11に繰り返し挿入され、排出される。IMM扉2011Aおよび2011Bは、開放した状態に保つべきであり、したがって、搬送装置扉380Aおよび380Bは、施錠された状態に保つべきか、少なくとも閉鎖した状態に保つべきである。
【0182】
条件1401は、コントローラ4が、ステップS1252において、搬送装置3Aを制御して金型100Aの挿入を開始させる際、および、ステップS1292において、搬送装置3Aによる金型の挿入を監視し、搬送装置3Aが金型100Aの挿入を停止するよう制御されているかどうかを判定する際に用いられる。条件1401では、IMM扉2011Aは第3の位置にあるべきであり、IMM扉2011Bは第2の位置にあるべきであり、搬送装置扉380Aは閉鎖した状態に保つべきであり、また、搬送装置扉380Bは閉鎖した状態に保つべきである。
【0183】
条件1404は、コントローラ4が、ステップS1255において、IMM2を制御して射出成形を開始させる際に用いられる。条件1402では、IMM扉2011Aは第3の位置にあるべきであり、IMM扉2011Bは第2の位置にあるべきであり、搬送装置扉380Aは閉鎖した状態に保つべきであり、また、搬送装置扉380Bは閉鎖した状態に保つべきである。
【0184】
条件1407は、コントローラ4が、ステップS1294において、射出成形を監視し、IMM2を制御して射出成形を停止させるかどうかを判定する際に用いられる。条件1407では、IMM扉2011Aは第3の位置にあるべきであり、IMM扉2011Bは第2の位置にあるべきであり、搬送装置扉380Aは閉鎖した状態に保つべきであり、また、搬送装置扉380Bは閉鎖した状態に保つべきである。
【0185】
条件1410は、コントローラ4が、ステップS1260において、搬送装置3Aを制御して金型100Aの排出を開始させるかどうかを判定する際、および、ステップS1296において、搬送装置3Aによる金型の排出を監視し、搬送装置3Aを制御して金型100Aの排出を停止させるべきかどうかを判定する際に用いられる。条件1410では、IMM扉2011Aは第3の位置にあるべきであり、IMM扉2011Bは第2の位置にあるべきであり、搬送装置扉380Aは閉鎖した状態に保つべきであり、また、搬送装置扉380Bは閉鎖した状態に保つべきである。
【0186】
モード2では、金型100AをIMM2に挿入し、金型100AをIMM2から排出するよう搬送装置3Aおよび3Bが用いられる。通常通りに射出成形を行い、金型を挿入するために用いる搬送装置以外の搬送装置上で射出成形を行っている間に、操作者により新たな金型の段取りが行なわれる。したがって、安全に段取りが行えるよう、金型挿入側と反対側のIMM扉2011A/2011Bの一方を操作者のために閉鎖した状態に保つべきである。金型挿入側のIMM扉2011A/2011Bは第3の位置で部分的に開放されているので、金型挿入側の搬送装置扉380A/380Bは施錠した状態、または少なくとも閉鎖した状態であるべきである。
【0187】
条件1402は、コントローラ4が、ステップS1252において、搬送装置3Aを制御して金型100Aの挿入を開始させると判定し、および、ステップS1292において、搬送装置3Aによる金型の挿入を監視して、搬送装置3Aを制御して金型100Aの挿入を停止させると判定した際に用いられる。条件1402では、IMM扉2011Aは第3の位置で部分的に開放されているべきであり、金型挿入側と反対側のIMM扉2011Bは第2の位置で閉鎖した状態に保つべきであり、搬送装置扉380Aは閉鎖した状態に保つべきであり、また、搬送装置扉380Bは解錠しており、開放することができる。
【0188】
別の例示的な実施形態では、挿入射出成形がIMM2で行われない状況では、IMM扉380Aを第1の位置や第3の位置に配置するか、または、その間に配置することができる。金型の射出成形が終了した後でも、可動プラテン62を次の金型のために移動させることができる。その場合、可動プラテン62が調整されている間は、IMM扉380Aを第3の位置に配置すべきであり、可動プラテン62の調整後は、IMM扉380Aを第1の位置や第3の位置に配置するか、または、その間に配置することができる。言い換えれば、可動プラテン62が調整されているとコントローラ4が検出している間に、これらの条件が満たされない場合、コントローラ4は、金型100Aの挿入を開始させず、あるいは、金型100Aの挿入を停止させ、表示部801および警報装置802を制御して警報を出させる。本実施形態は、排出の状況の場合、条件1411に適用する。
【0189】
別の例示的な実施形態では、金型挿入側の反対側のIMM扉2011Bは、搬送装置扉380Bが施錠されているか、または、少なくとも閉鎖されている場合には、第2の位置以外の位置に配置することができる。言い換えれば、搬送装置扉380Bが解錠され、または開放されており、IMM扉2011Bが第2の位置にない場合には、コントローラ4が、搬送装置3Aを制御して金型100Aの挿入を停止させ、表示部801および警報装置802を制御して警報を出させる。これらの代替条件は、成形開始の状況、射出成形中の状況、および排出の状況に適用できる。IMM扉2011Bが開放され、搬送装置扉380Bが施錠されているか、または、少なくとも閉鎖されている場合、コントローラ4は、表示部801および警報装置802を制御して警報を出させるが、操作者の安全は搬送装置扉380Bによって確保されているため、コントローラは、IMM2に対して射出成形を停止するように指示しない場合がある。
【0190】
条件1405は、コントローラ4が、ステップS1255において、IMM2を制御して射出成形を開始させる際に用いられる。条件1405では、IMM扉2011Aは第3の位置で部分的に開放されているべきであり、金型挿入側と反対側のIMM扉2011Bは第2の位置で閉鎖した状態に保つべきであり、搬送装置扉380Aは閉鎖した状態に保つべきであり、また、搬送装置扉380Bは解錠しており、開放することができる。
【0191】
条件1408は、コントローラ4が、ステップS1294において、射出成形を監視し、コントローラ4がIMM2を制御して射出成形を停止させるべきかどうかを判定する際に用いられる。条件1408では、IMM扉2011Aは第3の位置で部分的に開放されているべきであり、金型挿入側と反対側のIMM扉2011Bは第2の位置で閉鎖した状態に保つべきであり、搬送装置扉380Aは閉鎖した状態に保つべきであり、また、搬送装置扉380Bは解錠しており、開放することができる。
【0192】
条件1411は、コントローラ4が、ステップS1260において、コントローラ4が搬送装置3Aに金型100Aの排出を開始させるように指示するかどうかコントローラ4が判定する際に用いられており、ステップS1296において、搬送装置3Aによる金型の排出を監視し、搬送装置3Aに金型100Aの排出を停止させるように指示するかどうかコントローラ4が判定する際に用いられる。条件1411では、IMM扉2011Aは第3の位置で部分的に開放されているべきであり、金型射出側と反対側のIMM扉2011Bは第2の位置で閉鎖した状態に保つべきであり、搬送装置扉380Aは閉鎖した状態に保つべきであり、また、搬送装置扉380Bは解錠しており、開放することができる。
【0193】
モード3では、金型の挿入および排出は操作者が手動で行う。
【0194】
条件1403は、コントローラ4が、ステップS1351において、搬送装置3A側からの金型100Aの挿入を監視し、表示部801および警報装置802を制御して警報を出させるかどうかコントローラ4が判定する際に用いられる。搬送装置3A側からの挿入中には、IMM扉2011Aは、第1の位置で完全に開放している状態に保つか、第3の位置で部分的に開放されている状態に保つべきである。IMM扉2011Bは、第2の位置で閉鎖した状態に保つべきである。搬送装置扉380Aおよび380Bは開放、または、閉鎖することができる。
【0195】
別の例示的な実施形態では、IMM扉2011Aを第1の位置および第3の位置に配置するか、または、その間に配置するとき、表示部801または警報装置802によって警報は出されない。さらに別の例示的な実施形態では、コントローラ4は、IMM扉2011Bが閉鎖されていない場合に警報を出すように表示部801および警告装置802に指示しない。これらの追加の例示的な実施形態の条件は、排出の状況にも適用可能である。
【0196】
条件1406は、コントローラ4が、ステップS1353において、IMM2が射出成形を開始するかどうかを判定する際に用いられる。挿入された金型100A/100Bは、搬送装置3A/3Bのロッド3012A/3012Bに固定されていないので、操作者の安全のためにIMM扉2011Aおよび2011Bを閉鎖することができる。IMM扉2011Aおよび2011Bが閉鎖されているので、搬送装置扉380Aおよび380Bを開放することができる。
【0197】
別の例示的な実施形態では、IMM扉2011A/2011Bは、搬送装置扉380A/380Bが閉鎖した状態、または施錠した状態に保つ場合に、第2の位置および第3の位置で、またはその間で移動可能である。言い換えれば、搬送装置扉380A/380Bが閉鎖されている状態、または施錠されている状態に保つ場合も、IMM扉2011A/2011Bを第1の位置と第3の位置との間または第1の位置に配置することはできない。さらに、搬送装置扉380A/380Bが開放または解錠された場合には、IMM扉2011A/2011Bを第2の位置から移動させることができる。また、この追加の例示的な実施形態の条件は、射出成形の開始および実施の状況にも適用可能である。
【0198】
条件1409は、コントローラ4が、ステップS1392において、射出成形を監視し、コントローラ4が射出成形を停止させるかどうかを判定する際に用いられる。挿入された金型100A/100Bは、搬送装置3A/3Bのロッド3012A/3012Bに固定されていないので、操作者の安全のためにIMM扉2011Aおよび2011Bを閉鎖することができる。IMM扉2011Aおよび2011Bが閉鎖されているので、搬送装置扉380Aおよび380Bを開放することができる。
【0199】
条件1412は、コントローラ4が、ステップS1357において、搬送装置3A側からの金型100Aの排出を監視し、コントローラ4が表示部801および警報装置802を制御して警報を出させるかどうかを判定する際に用いられる。金型100Aの搬送装置3A側への排出中には、IMM扉2011Aは、第1の位置で完全に開放した状態、または第3の位置で部分的に開放した状態に保つべきである。IMM扉2011Bは、第2の位置で閉鎖した状態に保つべきである。搬送装置扉380Aおよび380Bは開放、または、閉鎖することができる。
【0200】
図15は、例示的な本実施形態による、表示部801に表示されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を示す。GUI1500は、搬送装置3Aおよび3B、およびIMM2を含む射出成形システム1の構成要素の状態を表示するための領域1501を含む。GUI1500はまた、警報または警告のメッセージを表示するための領域1502を含む。GUI1500はさらに、射出成形システム1に関連する特定の機能または動作をそれぞれ作動させる操作ボタン1503-1508を含む。
【0201】
ボタン1503は、搬送装置3Aからの金型挿入を作動させる。ボタン1503が選択された場合、搬送ユニット31Aは、IMM2内のロッド3102Aに連結されている金型100Aを成形動作位置11に移動させる。ボタン1504は、搬送装置3Bからの金型挿入を作動させる。ボタン1504が選択された場合、搬送ユニット31Bは、IMM2内のロッド3102Bに接続されてい金型100Bを成形動作位置11に移動させる。ボタン1505は、IMM2から搬送装置3Aへの金型排出を作動させる。ボタン1505が選択された場合、搬送ユニット31Aは、金型100AをIMM2内の成形動作位置11から搬送装置3Aに移動させる。ボタン1506は、IMM2から搬送装置3Bへの金型排出を作動させる。ボタン1506が選択された場合、搬送ユニット31Bは、金型100BをIMM2内の成形動作位置11から搬送装置3Bに移動させる。
【0202】
ボタン1507は、IMM2における射出成形工程を作動させる。ボタン1507が選択された場合、コントローラ4が、IMM2を制御して図5および図6を参照して説明した射出成形工程を開始させる。ボタン1508は、射出成形工程の停止や、金型の挿入/排出を作動させる。ボタン1508の選択に応答して、コントローラ4が、射出成形システム内で実行されている工程を直ちに停止させる。より具体的には、IMM2における射出成形工程、または搬送装置3Aおよび3Bによる金型100A/100Bの移動を停止させる。
【0203】
ボタン1503乃至1507のうちの一つの選択に応答して、コントローラ4が、IMM2内の構成要素の状態を判定し、図12乃至図14を参照して説明したように、操作者によって作動が要求された機能/移動をコントローラ4が作動させるかどうかを判定する。いずれかの構成要素に問題があり、コントローラ4が機能/移動を作動させることにしないと判定した場合、コントローラ4が、表示部801を制御して、まだ準備が整っていない構成要素を示すメッセージを領域1802に表示させる。
【0204】
図16は、別の例示的な実施形態による、射出成形システムを示す。ここでは、図1に示す射出成形システムとの相違点のみを説明する。例示的な本実施形態では、搬送装置3Bに搬送ユニット31Bがある間、搬送装置3A’上には搬送ユニットが設けられない。ロッド(または、金型とアクチュエータとの連結部)3102Bは、アクチュエータ3101Bを金型100Bに連結し、アクチュエータ3101Bからの作動力を金型100Bに伝達する。射出成形システムは、さらに、搬送ユニット31Bからの作動力を金型100Aに伝達する金型100Bと金型100Aとを連結するように構成された金型と金型との連結部3103Bとを含む。図1に示した搬送装置3Aは、搬送装置3Bと実質的に同じ大きさであるが、図16に示した搬送装置3A’は、搬送装置3Bよりも小さく、成形動作位置11から金型100Bを取り外すだけのスペースを有する。図示しないが、搬送装置3A’は、金型100Aの底部に当接するローラ列33と、金型100Aが成形動作位置11に挿入またはそこから排出されている間に金型100Aをガイドするために金型100Aの底部に当接するローラ列32とを含む。
【0205】
搬送装置扉380A’は、搬送装置カバー370A’の一部であり、搬送装置3A’の金型100Bの移動方向に沿った一方側、および搬送装置3A’の反対側に設けられている。一方側の搬送装置扉380A’は、IMM2の隣の搬送装置扉380A’の縁の1つに固定された蝶着を中心に回転する。反対側の搬送装置扉380A’もまた、IMM2の隣の搬送装置扉380A’の縁の1つに固定された蝶着を中心に回転する。搬送装置扉380A’が完全に開放されている場合、扉380A’は、IMM2の側面におおよそ平行にかつそれに沿って配置される。金型100Aと金型100Bとはお互いに固定されているので、射出成形システム1を操作モード1で操作することが好ましい。モード1で操作する場合、IMM扉2011Aおよび2011Bは、第3の位置で部分的に開放した状態に保つ。
【0206】
図17Aは、本実施形態による、IMM扉2011B’の断面図を示す。図8Aおよび8Bに示したIMM扉2011Bとの相違点のみを説明する。本実施形態では、ハンドル2014B’がIMM扉2011B’の底板に固定されている。IMM扉2011B’の天板が地面の上の高い位置に配置されているときにハンドル2014B’がアクセス可能である。図8のハンドル2014Bの直線部分は、IMM扉2011Bの側板のほぼ真上に配置されている。図17のハンドル2014B’の直線部分は、IMM扉2011B’の側板から-Y軸方向に後退している。IMM扉2011Bの場合、ハンドル2014Bは、可能な限り操作者に近い位置にあるが、IMM扉2011B’の場合、操作者の脚、手または他の身体部分がIMM扉2011B’と地面との間の空間にありうるので、ハンドル2014B’が操作者の脚または手に当たらないように、ハンドル2014B’が後退している。
【0207】
図17Bは、さらに別の例示的な実施形態による、IMM扉2011B’’の断面図を示す。図8Aおよび図8Bに示したIMM扉2011Bとの相違点のみを説明する。本実施形態では、ハンドル2014B’’は、IMM扉2011B’’の側板に固定され、側板から+Y軸方向に突出している。操作者が直線部分を把持できるように、そして、直線部分とIMM2のカバー60との衝突が回避できるように、IMM扉2011B’の側板から直線部分を離間させる必要がある。線1701はカバー60の外面の位置を示し、線1702は側板に最も近い直線部分の位置を示す。直線部分は、線1701よりも側板から離れており、線1702は、操作者がハンドル2014B’’の直線部分を把持できるよう、線1701から離間されている。
【0208】
線1703は、ハンドル2014B’’の底面を示し、線1704は、搬送装置カバー370Bの上部フレームの位置を示し、また、線1705は、搬送装置3Bで使用できる最も高い金型の高さの位置を示す。ハンドル2014B’’は、金型100Bと衝突しないように、線1705から離れて上方に位置する必要がある。線1703は線1704の下にあってもよいが、その場合、IMM扉2011B’’が移動している間にハンドル2014B’’が通過するためのノッチまたは切り欠きが搬送装置カバー370Bに設けられている。ハンドル2014B’’および/または搬送装置カバー370Bは、ノッチにおいて操作者の手を検出するためのセンサを含むことができる。
【0209】
別の例示的な実施形態によれば、ハンドルは直線部分を有する必要はない。直線部の代わりに、操作者が把持すべき部分(または把持部分)をハンドルと一緒に設けるようにしてもよい。また、湾曲形状部分の代わりに、IMM扉の天板、底板または側板に把持部分を固定するように構成された部分(または固定部分)をハンドルと一緒に設けることもできる。
【0210】
図18は、さらに別の例示的な実施形態によるIMM扉2011B’’’の側面図および断面図を示す。図8Aおよび図8Bに示したIMM扉2011Bとの相違点のみを説明する。例示的な本実施形態では、ハンドル2014Bは不要であり、代わりにIMM扉2011B’’’と一緒にアクチュエータ1800が設けられている。アクチュエータ1800は、モータ付きのシリンダ1801と、シリンダ1801によってシリンダ1801の長手方向に沿って移動されるように構成されたロッド1802と、IMM扉2011B’’’に連結するように構成された連結部1803とを含む。IMM扉2011B’’は、連結部1803を、例えば、ボルトおよびナットで固定するように構成された取付具ベース1804を含む。本実施形態では、取付具ベース1804は、IMM扉2011B’’’の側板に固定され、-Y軸方向に突出する。アクチュエータ1800の遠位端、または連結部1803が、取付具ベース1804に固定され、アクチュエータ1800の近位端がIMM2のフレーム10のカバー60に固定されている。
【0211】
アクチュエータ1800はまた、IMM扉2011B’’’を閉鎖するためにロッド1801の-Y軸方向への移動を開始させるための第1のボタン1805と、IMM扉2011B’’’を開放するためにロッド1801の+Y軸方向への移動を開始させるための第2のボタン1806と、ロッド1801の移動の停止を開始させるための第3のボタン1807とを含む。ボタン1805-1807は、カバー60に固定されており、アクチュエータ1800に連結されている。別の一組のボタン1805’、1806’、および1807’を、表示部801の近くにフレーム10に固定されたプレート1808に設けることができる。その場合、操作者は、搬送装置3Bの両側でIMM扉2011B’’’を操作することができる。本実施形態では、操作者は、IMM扉2011B’’を手動で移動させることもできる。
【0212】
また、本実施形態によるIMM扉2011B’’’は、操作者が、ハンドルを必要とせずに、IMM扉2011B’’’’を移動させるアクチュエータと、アクチュエータ1800を操作するためのボタンとを用いて、IMM扉2011B’’’’を移動させることを可能にする。
【0213】
図19は、さらに別の例示的な実施形態によるIMM扉2011B’’’’の側面図を示す。図8Aおよび図8Bに示したIMM扉2011Bとの相違点のみを説明する。例示的な本実施形態では、カバー60’をIMM扉2011B’’’’で覆うことができるが、上述した例示的な実施形態では、IMM扉2011Bがカバー60で収納される。言い換えれば、IMM扉2011B’’’’はカバー60’の外側にある。IMM扉2011B’’’’は、操作者がIMM扉2011B’’’’を掴んで手動で操作できることを可能にするよう、側板に凹部を有する。凹部は、IMM扉2011B’’’’の近位縁の近くに配置されている。IMM扉2011B’’’’がどこに配置されていても、操作者は、搬送装置扉380Bが閉鎖されているときでも比較的容易にIMM扉2011B’’’’’を操作することができるよう、IMM扉2011B’’’’の少なくとも一部は、凹部1901の周囲に常に露出している。IMM扉2011B’’’’は、IMM扉2011B’’’’の遠位端付近に別の凹部1901’を有することができる。
【0214】
上述した例示的な実施形態では、射出成形システム1に実装される3つの操作モードについて説明した。ただし、モードの数は3つに限定されず、本開示の実施を可能にする多数のモードが適用可能である。
【0215】
上述したように、モード3は、両搬送装置3Aおよび3Bを使用しない場合に選択される。ただし、搬送装置3A側と搬送装置3B側とで異なるモードを設定することができる。例えば、搬送装置3A側から挿入される第1の金型による射出成形の場合、モード2を選択することができる。搬送装置3B側から挿入される第2の金型による射出成形の場合、搬送装置に第2の金型のみを使用できない場合や、搬送装置3Bのみを固定する必要がある場合には、モード3を選択することができる。コントローラ4が、図13Bに示す処理に基づいて第2の金型による射出成形工程を制御し、コントローラ4が、図13Aに示す処理に基づいて第1の金型による射出成形工程を制御する。
【0216】
以述したように、射出成形システムのコントローラ4は、第1の金型の種類または搬送装置の状態を自動的に確認することができ、第1の金型の成形条件のセットを受け付けたり選択したりしたときに、搬送装置を第1の金型に使用するかどうかを判定することができる。第1の金型に搬送装置が使用されないとコントローラ4が判定した場合、システムが自動的にモード3を第1のモードとして選択する、または、モード3を選択すべき旨のメッセージを、例えば、表示部801に表示させるなどして、モード3を操作者に推奨する。
【0217】
別の例示的な実施形態では、カバー60または60’とIMM扉2011、2011’、2011’’、2011’’’または2011’’’’との間の状態を同時に検出できるセンサを設けることができる。
【0218】
例示的な実施形態によれば、射出成形システムは、金型による射出成形を行うように構成された射出成形装置と、射出成形装置の開口部を通して金型を挿入するように構成された搬送装置とを含む。射出成形装置は、第1の扉が閉鎖されたときに第1の開口部を覆うように構成された第1の扉と、第2の扉が閉鎖されたときに第2の開口部を覆うように構成された第2の扉とを含む。射出成形システムはまた、第1の扉が部分的に開放され、第2の扉が閉鎖された場合に、金型による射出成形を開始させるように構成されたコントローラを含む。
【0219】
別の例示的な実施形態によれば、射出成形システムは、金型による射出成形を行うように構成された射出成形装置と、金型に固定され、射出成形装置の開口部を通して金型を挿入するように構成されたロッドを含む搬送装置とを含む。射出成形装置はまた、第1の扉が閉鎖されたときに第1の開口部を覆うように構成された第1の扉と、第2の扉が閉鎖されたときに射出成形装置の第2の開口部を覆うように構成された第2の扉とを含む。射出成形システムは、ロッドが搬送装置から第1の開口部内に延びるように、第1の扉が部分的に開放された場合に射出成形を開始させ、第1の扉の移動に応答して金型による射出成形を停止させるように構成されたコントローラを含む。
【0220】
さらに別の例示的な実施形態によれば、射出成形システムは、金型による射出成形を行うように構成された射出成形装置と、金型による射出成形を行っている間に、金型を交互に挿入および排出するように構成された1つ以上の搬送装置とを含む。射出成形装置はまた、一方の金型が挿入または排出される第1の開口部を有する第1の側面と、第1の開口部を覆うように構成された第1の扉と、他方の金型が挿入および排出される第2の開口部を有する第1の側面と反対側の第2の側面と、第2の開口部を覆うように構成された第2の扉とを含む。射出成形システムは、第1の扉または第2の扉の少なくとも1つの移動に基づいて射出成形を停止させるように構成されたコントローラを含む。
【0221】
さらに別の例示的な実施形態によれば、射出成形システムは、金型による射出成形を行うように構成された射出成形装置と、射出成形装置の開口部を通して金型を挿入するように構成された搬送ユニットを含む搬送装置と、搬送ユニットを取り囲むように構成された搬送装置扉を有する搬送装置カバーとを含む。射出成形装置はまた、扉が閉鎖されたときに開口部を覆うように構成された射出成形装置扉を含む。射出成形システムは、搬送装置扉および射出成形装置扉の両方が開放または解錠された場合に、金型による射出成形を停止させるように構成されたコントローラを含む。
【0222】
別の例示的な実施形態によれば、射出成形システムは、開口部を通して挿入または排出される金型による射出成形を行うように構成された射出成形装置と、扉が閉鎖されたときに開口部を覆うように構成された扉と、射出成形装置の開口部を通して金型を挿入するように構成された搬送装置とを含む。搬送装置はまた、搬送装置扉が閉鎖された場合に搬送装置へのアクセスを遮断するように構成された搬送装置扉を有する搬送装置カバーを含む。扉は、開口部を覆うように扉が閉鎖された場合、搬送装置カバーと閉鎖された扉によって囲まれた領域の外側からアクセスができるように構成されたハンドルを含む。
【0223】
別の例示的な実施形態によれば、射出成形システムは、開口部を通して挿入または排出される金型による射出成形を行う射出成形装置と、開口部を通して金型を挿入するように構成された搬送装置(3A、3B)と、射出成形装置の側面と搬送装置の対向する側面とが離間するように、搬送装置を射出成形装置に固定するように構成された連結部とを含む。射出成形システムにおいて、射出成形装置の側面と搬送装置の側面との間の距離(Dcnvr)が1mm以上であり、射出成形システムで使用可能な金型の距離の方向における最大長さ(L)の金型の1/2以下である。射出成形装置は、金型の底部を支持するように構成された支持部材の第1の列を含み、搬送装置は、金型の底部を支持するように構成され、支持部材の第1の列と整列された支持部材の第2の列(33)を含む。第1および第2の列の支持部材、および金型は、上述した式(2)を満たす。
【0224】
実施形態はまた、上述した実施形態の1つまたは複数の機能を実行するために(より完全に「一過性でないコンピュータ可読記憶媒体」とも呼ばれる)記憶媒体に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば、1つ以上のプログラム)を読み出して実行するシステムまたは装置のコンピュータ、および/または、上述した実施形態の1つまたは複数の機能を実行するために1つまたは複数の回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))を含むシステムまたは装置のコンピュータによっても、さらに、例えば、上述した実施形態の1つまたは複数の機能を実行するために記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出して実行する方法、および/または、上述した実施形態の1つまたは複数の機能を実行するために1つまたは複数の回路を制御するシステムまたは装置のコンピュータが行う方法によっても実現することができる。コンピュータは、1つ以上のプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU)、マイクロ処理装置(MPU))を備えることができ、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための別個のコンピュータやプロセッサからなるネットワークを含むことができる。コンピュータ実行可能命令は、例えば、ネットワークまたは記憶媒体からコンピュータに提供されてもよい。記憶媒体は、例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、分散コンピューティングシステムの記憶装置、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)TMなど)、フラッシュメモリデバイス、メモリカードなどのうちの1つ以上を含み得る。入出力インタフェースを使用して、キーボード、ディスプレイ、マウス、タッチスクリーン、タッチレスインタフェース(例えば、ジェスチャ認識装置)、印刷装置、ライトペン、光学記憶装置、スキャナ、マイクロホン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル、およびネットワーク(有線または無線)を含む入出力装置に通信インタフェースを提供することができる。
【0225】
定義
説明においては、開示する実施例が完全に理解されるように、具体的な詳細を記載している。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、および回路については、本開示を不要に長くすることを避けるために、詳細には説明していない。
【0226】
本明細書では、ある要素または部分が、別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」と言及される場合、それは、直接にその別の要素または部分「の上にある」、「に接している」、「に接続されている」、または「に結合されている」こともあるし、あるいは介在する要素または部分が存在することもあることを理解されたい。これに対して、ある要素が、別の要素または部分「の上に直接にある」、「に直接に接続されている」、または「に直接に結合されている」と言及される場合には、介在する要素または部分は存在しない。「および/または」という用語を用いるときには、関連して列挙されている項目があれば、そのうちの1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
【0227】
本明細書では、「の下(under)」、「の真下(beneath)」、「の下方(below)」、「の下側(lower)」、「の上方(above)」、「の上側(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」等の空間的に相対的な用語を、様々な図面に示すある要素または特徴の別の(1つまたは複数の)要素または特徴に対する関係を記述する際に、説明を容易にするために用いることがある。しかし、これらの空間的に相対的な用語は、図面に示す配向にさらに、使用時または動作時における装置の様々な配向をも包含することを意図するものと理解されたい。例えば、図中の装置を反転した場合には、別の要素または特徴の「下方(below)」または「真下(beneath)」と記述された要素が、それらの別の要素または特徴の「上方(above)」に配向されることになる。したがって、「の下方(below)」等の相対的な空間用語は、上および下の両方の配向を包含することができる。装置は、その他の配向にすることもでき(90度またはその他の配向に回転させることもでき)、本明細書で用いる空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈されるものとする。同様に、「近位(proximal)」および「遠位(distal)」という相対的な空間用語も、適用可能な場合には、入れ換えることができることもある。
【0228】
本明細書で用いる「約」という用語は、例えば、10%以内、5%以内、またはそれ未満を意味する。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することもある。
【0229】
本明細書では、第1、第2、第3等の用語を、様々な要素、構成要素、領域、部分、および/または区画を説明するために用いることがある。これらの要素、構成要素、領域、部分、および/または区画は、これらの用語によって限定されないものと理解されたい。これらの用語は、単にある要素、構成要素、領域、部分、または区画を、別の領域、部分、または区画と区別するために用いているに過ぎない。したがって、以下に論じる第1の要素、構成要素、領域、部分、または区画は、本明細書の教示を逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、部分、または区画と呼ぶこともできる。
【0230】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することは意図していない。本開示を説明する文脈における(中でも、添付の特許請求の範囲の文脈における)「1つの(a,an)」および「前記/その(the)」という用語ならびに類似の指示語の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、単数形および複数形の両方を含むと解釈されるものとする。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」および「含有する(containing)」という用語は、別段の言及がない限り、非限定用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)と解釈されるものとする。具体的には、本明細書でこれらの用語を用いるとき、記載する特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを指定するが、明示的には述べられていない1つまたは複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループが存在すること、あるいは追加されることを排除するものではない。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指示がない限り、単にその範囲に該当する各別個の値について個々に言及する簡略表記法として機能するよう意図するものに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書においては個々に記載されたかのごとく本明細書に組み込まれる。例えば、10~15の範囲を開示する場合には、11、12、13および14もまた開示される。本明細書に記載する全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提示するあらゆる例または例示的な言葉(例えば、「等の(such as)」)の使用は、単に本開示をより明確にすることを意図するものに過ぎず、別段に特許請求の範囲に記載がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、特許請求の範囲に記載のない任意の要素が、本開示の実施に必須であることを示すものではないと解釈されたい。
【0231】
本開示の方法および構成は、様々な実施形態の形で組み込むことができ、そのほんの一部が本明細書に開示されているに過ぎないことを理解されたい。それらの実施形態の変形形態は、上述の説明を読めば、当業者には明白であろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を必要に応じて採用するものと想定しており、また、本開示が、本明細書に具体的に記載されたものとは別様に実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用法により許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての修正形態および均等物を含む。さらに、本明細書で別段の指示がない限り、またはそうでないことが文脈から明らかでない限り、その全ての可能な変形形態における上記要素の任意の組み合わせが、本開示に包含される。
【0232】
上記で開示された任意の例示的な実施形態の組み合わせも、開示された発明の実施形態として含まれる。上述の例示的な実施形態は、説明される実施形態を議論するが、開示される発明の実施形態は、これらの例示的な実施形態に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
【国際調査報告】