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特表2022-529257BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対する反応性予測方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-20
(54)【発明の名称】BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対する反応性予測方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20220613BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20220613BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20220613BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N33/574 A
C07K16/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560871
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 KR2020017691
(87)【国際公開番号】W WO2021112635
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0162071
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0157961
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
3.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】519375468
【氏名又は名称】プロテイナ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ユン、 テ―ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ホンウォン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、 ビョンサン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、 ミンクォン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、 セム
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ヨンソ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、 チャング
(72)【発明者】
【氏名】コ、 ヨンギル
(72)【発明者】
【氏名】ユン、 ソン-ス
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA50
(57)【要約】
BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対する反応性予測方法、およびBCL2ファミリータンパク質標的薬物治療に適した対象の選別方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の中から選ばれた一つ以上を含む、個体のBCL2ファミリータンパク質標的薬物に対する反応性予測のために情報を提供する方法:
(i)試料内の第1タンパク質および前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質の間の相互作用を測定する段階であって、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質は外部から供給されたタンパク質である、段階;
(ii)試料内の第1タンパク質および前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質の間の相互作用を測定する段階であって、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質は試料内に存在するタンパク質である、段階;および
(iii)第1タンパク質、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質、またはこれらすべての試料内のレベルを測定する段階、
ここで、前記第1タンパク質はBCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシス抑制(anti-apoptotic)タンパク質より選ばれた1種以上であり、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質はBCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシス誘導(pro-apoptotic)タンパク質からなる群より選ばれた1種以上であるか、または、前記第1タンパク質はBCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシス誘導タンパク質より選ばれた1種以上であり、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質はBCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシス抑制タンパク質からなる群より選ばれた1種以上であり、
前記試料は前記個体から分離された細胞または細胞溶解物を含む。
【請求項2】
前記第1タンパク質はBCL2、BCLxL、BCLw、BFL1およびMCL1からなる群より選ばれた1種以上であり、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質はBAD、BIM、NOXA、PUMA、BMF、tBID、BIK、HRK、BAX、BAKおよびBOKからなる群より選ばれた1種以上であるか、または
前記第1タンパク質はBAD、BIM、NOXA、PUMA、BMF、tBID、BIK、HRK、BAX、BAKおよびBOKからなる群より選ばれた1種以上であり、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質はBCL2、BCLxL、BCLw、BFL1およびMCL1からなる群より選ばれた1種以上である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記段階(i)は、基板に固定された第1タンパク質に、外部から供給されて標識物質で標識された前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質(第1タンパク質相互作用タンパク質)を接触させ、前記試料内の第1タンパク質および外部から供給された第1タンパク質相互作用タンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階を含み;
前記段階(ii)は、表面に前記第1タンパク質と結合する結合物質を含む基板に、試料を接触させ、試料内の第1タンパク質および試料内の第1タンパク質相互作用タンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階を含み;
前記段階(iii)は、試料内の第1タンパク質、試料内の第1タンパク質相互作用タンパク質、またはこれらすべてのレベルを測定する段階を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記段階(i)のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階は、
(1)第1タンパク質の結合物質が含まれた基板に試料を供給して第1タンパク質を基板に固定させる段階;
(2-1)前記基板に、標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質を外部から供給して、基板上の第1タンパク質と反応させる段階;および
(3)基板表面上の近接場領域内で前記標識物質が発生させる信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記段階(i)は、次の中から選ばれた一つ以上を含む、請求項2に記載の方法:
(i-1)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-2)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-3)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-4)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-5)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-6)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-7)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-8)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-9)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたNOXAタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-10)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-11)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;および
(i-12)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階。
【請求項6】
前記段階(ii)のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階は、
(1)第1タンパク質の結合物質が含まれた基板に試料を供給して第1タンパク質を基板に固定させる段階;
(2-2)標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質を前記基板に供給し、試料内の第1タンパク質と試料内の第1タンパク質相互作用タンパク質の間に形成された複合体中の、第1タンパク質相互作用タンパク質と反応させる段階;および
(3)基板表面上の近接場領域内で前記標識物質から発生する信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階を含むか、または
(1’)第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質が含まれた基板に試料を供給して第1タンパク質相互作用タンパク質を基板に固定させる段階;
(2’-2)標識物質が付着した第1タンパク質結合物質を前記基板に供給し、試料内の第1タンパク質と試料内の第1タンパク質相互作用タンパク質の間に形成された複合体中の、第1タンパク質と反応させる段階;および
(3’)基板表面上の近接場領域内で前記標識物質から発生する信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記段階(ii)は次の中から選ばれた一つ以上を含む、請求項2に記載の方法:
(ii-1)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-2)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-3)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-4)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBADタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-5)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-6)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-7)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-8)試料内のMCL1タンパク質および試料内のNOXAタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-9)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-10)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;および
(ii-11)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階。
【請求項8】
前記段階(iii)のタンパク質のレベルを測定する段階は、
第1タンパク質の捕獲物質、第1タンパク質相互作用タンパク質の捕獲物質、またはこれらすべてが含まれた基板に試料を供給し、前記第1タンパク質、第1タンパク質相互作用タンパク質、またはこれらすべてを基板に固定化させる段階;
標識物質が付着した第1タンパク質の検出物質、標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質の検出物質、またはこれらすべてを前記基板に供給して反応させる段階;および
基板表面上の近接場領域内で前記マーカーが発現する信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記段階(iii)は次の中から選ばれた一つ以上を含む、請求項2に記載の方法:
(iii-1)試料内のBCL2タンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-2)試料内のBCLxlタンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-3)試料内のMCL1タンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-4)試料内のBAXタンパク質のレベルを測定する段階;および
(iii-5)試料内のBAKタンパク質のレベルを測定する段階。
【請求項10】
次の中から選ばれた一つ以上を含む、請求項2に記載の方法:
(i-1)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-2)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-3)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-4)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-5)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-6)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-7)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-8)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-9)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたNOXAタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-10)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-11)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-12)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(ii-1)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-2)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-3)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-4)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBADタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階; (ii-5)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-6)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-7)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-8)試料内のMCL1タンパク質および試料内のNOXAタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-9)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-10)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-11)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(iii-1)試料内のBCL2タンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-2)試料内のBCLxlタンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-3)試料内のMCL1タンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-4)試料内のBAXタンパク質のレベルを測定する段階;および
(iii-5)試料内のBAKタンパク質のレベルを測定する段階。
【請求項11】
次の段階(i-1)~(i-12)より選ばれた一つ以上および段階(ii-1)~(ii-11)より選ばれた一つ以上を含むか、段階(i-1)~(i-12)より選ばれた一つ以上および段階(iii-1)~(iii-5)より選ばれた一つ以上を含むか、段階(ii-1)~(ii-11)より選ばれた一つ以上および段階(iii-1)~(iii-5)より選ばれた一つ以上を含むか、段階(i-1)~(i-12)より選ばれた一つ以上、段階(ii-1)~(ii-11)より選ばれた一つ以上、および段階(iii-1)~(iii-5)より選ばれた一つ以上を含む、請求項10に記載の方法:
(i-1)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-2)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-3)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-4)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-5)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-6)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-7)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-8)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-9)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたNOXAタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-10)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-11)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-12)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(ii-1)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-2)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-3)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-4)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBADタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-5)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-6)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-7)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-8)試料内のMCL1タンパク質および試料内のNOXAタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-9)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-10)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-11)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(iii-1)試料内のBCL2タンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-2)試料内のBCLxlタンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-3)試料内のMCL1タンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-4)試料内のBAXタンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-5)試料内のBAKタンパク質のレベルを測定する段階。
【請求項12】
前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物はベネトクラクス(Venetoclax)、ABT737、および抗BCL2抗体からなる群より選ばれたBCL2阻害剤である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物は抗MCL-1抗体、AMG-176、AZD5991、およびマリトクラックス(Maritoclax)からなる群より選ばれたMCL1阻害剤である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物は抗BCLxL抗体およびABT263からなる群より選ばれたBCLxL阻害剤である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記個体は癌患者であり、前記細胞は前記個体から分離された癌細胞である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記癌は血液癌である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対する反応性予測方法、およびBCL2ファミリータンパク質標的薬物治療に適した対象選別方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
BCL2(B-cell lymphoma 2)ファミリータンパク質はアポトーシスを誘発(pro-apoptotic)または抑制(anti-apoptotic)することでアポトーシス(apoptosis)を調節するタンパク質である。
【0003】
BCL2ファミリータンパク質は黒色腫、乳癌、前立腺癌、慢性リンパ球性白血病および肺癌を含む多様な癌の原因として知られており、癌治療に対する抵抗性を誘発する原因としても知られており、精神分裂症および自己免疫の原因である可能性も提示されている。このような理由からBCL2ファミリータンパク質は抗癌剤の良い標的となっており、BCL2ファミリータンパク質を標的とする多様な抑制剤(inhibitor)が開発されている。
【0004】
このようなBCL2ファミリータンパク質の標的薬物が癌治療に効果的に適用されるためにBCL2ファミリータンパク質によるアポトーシス調節信号を定量的に把握できる手段の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
信号伝達の媒介になるタンパク質の相互作用を定量的に測定して、BCL2ファミリータンパク質標的薬物の処方によって癌(例えば、血液癌)治療が可能な患者を確認できる個別オーダーメード治療技術が提供される。
【0006】
一例で、個体のBCL2ファミリータンパク質標的薬物に対する反応性もしくは個体でのBCL2ファミリータンパク質標的薬物の効能を予測する方法または前記予測のために情報を提供する方法が提供される。
【0007】
他の例は、BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性を有する対象またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物が効能を示す個体またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物を適用するのに適した個体を選別(確認)する方法または前記選別(確認)のために情報を提供する方法が提供される。
【0008】
前記方法は、前記薬物に対して反応性を有する個体、前記薬物が効能を示す個体、または前記薬物もしくは前記薬物を用いる治療を適用するのに適した個体に前記薬物を投与する段階をさらに含み得る。
【0009】
他の例は、BCL2ファミリータンパク質標的薬物を含み、BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性を有する個体、BCL2ファミリータンパク質標的薬物が効能を示す個体、またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物もしくはそれを用いた治療を適用するのに適した個体の癌治療用組成物を提供する。
【0010】
他の例は、前記方法により確認されたBCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性を有する個体、BCL2ファミリータンパク質標的薬物が効能を示す個体、またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物もしくはそれを用いた治療を適用するのに適した個体に前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物の薬学的有効量を投与する段階を含む、癌の治療方法が提供される。
【0011】
前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物はBCL2ファミリータンパク質を標的とするもの(例、BCL2タンパク質阻害剤またはMCL1タンパク質阻害剤)であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書で提供される、個体のBCL2ファミリータンパク質標的薬物に対する反応性もしくは個体でのBCL2ファミリータンパク質標的薬物の効能を予測する方法または前記予測のために情報を提供する方法;および/またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性を有する個体もしくはBCL2ファミリータンパク質標的薬物が効能を示す個体もしくはBCL2ファミリータンパク質標的薬物を適用するのに適した個体を選択(確認)する方法または前記選択(確認)のために情報を提供する方法は、試料内のアポトーシス抑制(anti-apoptotic)タンパク質とアポトーシス誘導(pro-apoptotic)タンパク質の間の相互作用を測定する段階(a1)(例えば;下記の段階(i)および/または(ii))および/または試料内のアポトーシス抑制タンパク質および/またはアポトーシス誘導タンパク質の水準(レベル)を測定する段階(a2)(例えば、下記の段階(iii))を含み得る。
【0013】
一例で、本明細書で提供される方法は、次より選ばれた一つ以上(例、1個、2個、または3個)を含み得る:
(i)試料内の第1タンパク質および前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質の間の相互作用を測定する段階として、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質は外部から供給されたタンパク質である段階(第1タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階);
(ii)試料内の第1タンパク質および前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質の間の相互作用を測定する段階として、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質は試料内に存在するタンパク質である段階(第2タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階);および
(iii)第1タンパク質、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質、またはこれらすべての試料内の水準を測定する段階。
【0014】
一例で、本明細書で提供される方法は、前記段階(i)、段階(ii)、または段階(iii)を含み得る。他の例で、本明細書で提供される方法は、前記段階(i)および段階(ii)の組み合わせ、段階(i)および段階(iii)の組み合わせ、段階(ii)および段階(iii)の組み合わせ、または段階(i)、段階(ii)、および段階(iii)の組み合わせを含み得る。
【0015】
前記第1タンパク質および第1タンパク質と相互作用するタンパク質(以下、「第1タンパク質と相互作用するタンパク質」を「第1タンパク質相互作用タンパク質」とも記載する)はアポトーシス抑制(anti-apoptotic)サブタイプタンパク質と細胞生存誘導サブタイプタンパク質より選ばれ得る。
【0016】
一例として、前記段階(i)~(iii)の第1タンパク質は、BCL2ファミリータンパク質のうちの「細胞生存誘導(pro-survival)またはアポトーシス抑制(anti-apoptotic)サブタイプタンパク質」(以下、「アポトーシス抑制タンパク質」と記載する)より選ばれた1種以上であり得る。例えば、前記段階(i)~(iii)の第1タンパク質は、互いに同一であるか異なってもよく、それぞれ独立して、BCL2、BCLxL、BCLw、BFL1およびMCL1からなる群より選ばれた1種以上(例、1種、2種または3種)であり得る。前記段階(i)~(iii)の第1タンパク質と相互作用するタンパク質は、BCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシス誘導(pro-apoptotic)サブタイプタンパク質(以下、「細胞アポトーシス誘導(pro-apoptotic)サブタイプタンパク質」を「アポトーシス誘導タンパク質」と記載する)より選ばれた1種以上であり得る。一例で、段階(i)~(iii)の前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質は、互いに同一であるか異なってもよく、それぞれ独立して、アポトーシス誘導タンパク質のうちBH3サブタイプ(BH3-only)タンパク質(第2タンパク質)およびエフェクター(effector)サブタイプタンパク質(第3タンパク質)からなる群より選ばれた1種以上であり得る。例えば、前記第2タンパク質はBAD、BIM、PUMA、BMF、BID、tBID、BIK、HRKおよびNOXAからなる群より選ばれた1種以上(例、1種、2種または3種)であり、前記第3タンパク質はBAX、BOKおよびBAKからなる群より選ばれた1種以上(例、1種または2種)であり得る。一例で、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質はBAD、BIM、PUMA、BMF、BID、tBID、BIK、HRK、NOXA、BAX、BOKおよびBAKからなる群より選ばれた1種以上(例、1種、2種、3種、4種または5種)であり得る。前記方法が段階(i)~(iii)のうち2以上を含む場合、各段階での第1タンパク質と相互作用するタンパク質は互に同一または異なってもよい。
【0017】
他の例で、前記段階(i)~(iii)の第1タンパク質はBCL2ファミリータンパク質のうちのアポトーシス誘導(pro-apoptotic)タンパク質より選ばれた1種以上であり得る。一例で、前記段階(i)~(iii)の第1タンパク質は、互いに同一であるか異なってもよく、それぞれ独立して、BCL2ファミリータンパク質のうちのアポトーシス誘導タンパク質のうちBH3サブタイプ(BH3-only)タンパク質およびエフェクター(effector)サブタイプタンパク質からなる群より選ばれた1種以上であり得る。例えば、前記BH3サブタイプ(BH3-only)タンパク質はBAD、BIM、PUMA、BMF、tBID、BIK、HRKおよびNOXAからなる群より選ばれた1種以上(例、1種、2種または3種)であり、前記エフェクター(effector)サブタイプタンパク質はBAX、BOKおよびBAKからなる群より選ばれた1種以上(例、1種または2種)であり得る。前記段階(i)~(iii)の第1タンパク質と相互作用するタンパク質はBCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシス抑制(anti-apoptotic)タンパク質より選ばれた1種以上であり得る。例えば、前記段階(i)~(iii)の第1タンパク質と相互作用するタンパク質は、互いに同一であるか異なってもよく、それぞれ独立して、BCL2、BCLxL、BCLw、BFL-1およびMCL1からなる群より選ばれた1種以上(例、1種、2種または3種)であり得る。
【0018】
前記方法が段階(i)~(iii)のうち2以上を含む場合、各段階での第1タンパク質および第1タンパク質と相互作用するタンパク質は互に同一または異なってもよい。
【0019】
本明細書で、用語の「試料(生物学的試料)」は個体(例えば、人間)から分離した細胞または細胞溶解物を含むものであり得る。前記個体は疾病(例えば、癌)の治療を必要とする個体として、BCL2ファミリータンパク質標的薬物の投与もしくはBCL2ファミリータンパク質標的薬物を用いた治療法の適用対象個体またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物の投与もしくはBCL2ファミリータンパク質標的薬物を用いた治療法の効能(薬物反応性)の確認を必要とする個体であり得る。一具体例で、前記個体は癌患者(例えば、人間)であり、前記細胞は前記個体から分離した癌細胞であり得る。例えば、前記個体は人間血液癌患者であり、前記試料は血液癌患者から分離した白血球(例、顆粒白血球、リンパ球、および/または単核球(例、末梢血液単核球(peripheral blood mononuclear cell;PBMC)など)など)、骨髄細胞(例、造血幹細胞など)、前記細胞を含む血液、骨髄、バフィーコート(buffy coat)、およびこれらの溶解物などからなる群より選ばれた1種以上であり得る。本明細書で提供される方法での選択または確認対象個体から得られた試料は、比較のための対照試料(例えば、後述する比較のための基準値選定のための効果群試料または非効果群試料)と区別するために「試験試料」と表す。
【0020】
本明細書で、用語の「外部から供給された(exogenous)タンパク質(例えば、第1タンパク質と相互作用するタンパク質)」は、試料内に存在する内在の(endogenous)タンパク質でない外部から添加したタンパク質を意味する。一例で、前記外部から供給されたタンパク質は通常の標識物質(例えば、蛍光物質など)で標識されたものであり得るが、これに制限されるものではない。
【0021】
一例で、前記段階(i)は試料内のBCL2ファミリータンパク質(第1タンパク質)と外部から供給された(exogenous)BCL2ファミリータンパク質(第1タンパク質と相互作用するタンパク質)の間の相互作用を測定する段階(第1タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階)として、基板に固定された第1タンパク質(試料内のタンパク質)に、外部から供給されて標識物質で標識された前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質を接触させ、前記第1タンパク質(試料内のタンパク質)およびこれと相互作用するタンパク質(外部投入タンパク質)の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定(例えば、第1タンパク質および第1タンパク質と相互作用するタンパク質の間に形成された複合体水準の測定)する段階を含み得る。
【0022】
一例で、前記段階(ii)は試料内(endogenous)でのBCL2ファミリータンパク質の間の相互作用を測定する段階(第2タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階)として、前記第1タンパク質と結合する結合物質(例えば、第1タンパク質に対する抗体など)を含む基板に、第1タンパク質を含む試料を接触させ、前記第1タンパク質(試料内のタンパク質)および第1タンパク質と相互作用するタンパク質(試料内のタンパク質)の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定(例えば、第1タンパク質および第1タンパク質と相互作用するタンパク質の間に形成された複合体水準を測定)する段階を含み得る。
【0023】
一例で、前記段階(i)および/または(ii)において、第1タンパク質およびこれと相互作用するタンパク質の間に形成された複合体水準は、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質(段階(i))または前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質に結合する結合物質(段階(ii))に標識された標識物質から発生した信号強度で測定できるが、これに制限されるものではない。
【0024】
一例で、前記段階(iii)は、第1タンパク質、第1タンパク質と相互作用するタンパク質、またはこれらすべての試料内の水準(Total expression level)を測定する段階を含み得る。前記試料内の水準は試料内タンパク質の発現水準(例えば、タンパク質濃度)、活性化されたタンパク質の発現水準(例えば、活性化されたタンパク質濃度)、リン酸化されたタンパク質の発現水準(例えば、リン酸化されたタンパク質の濃度)、またはこれらのうち2以上の組み合わせであり得る。
【0025】
一具体例で、前記段階(i)(第1タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階)は、次の中から選ばれた一つ以上(例、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個)を含み得る:
(i-1)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-2)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-3)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-4)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-5)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-6)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-7)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-8)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-9)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたNOXAタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-10)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-11)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;および
(i-12)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階。
【0026】
一具体例で、前記段階(i)(第1タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階)のそれぞれのタンパク質-タンパク質相互作用の測定段階は、
(1)第1タンパク質の結合物質が含まれた基板に前記試料を供給して第1タンパク質を基板に固定させる段階;
(2-1)前記基板に、標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質を外部から供給して基板上の第1タンパク質と反応させる段階;および
(3)基板表面上の近接場領域内で前記標識物質が発生させる信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階
により行われた前記段階を含み得る。
【0027】
第1タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階において、前記外部から供給されたタンパク質(第1タンパク質相互作用タンパク質)は標識物質で標識された(標識物質が付着した)ものであり得る。第1タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階において、前記タンパク質-タンパク質相互作用の測定は、第1タンパク質(試料内のタンパク質)およびこれと相互作用するタンパク質(外部タンパク質)の間に形成された複合体水準を測定して行われることができ、一例で、前記複合体水準は第1タンパク質相互作用タンパク質に付着した標識物質で発生する信号によって測定される。
【0028】
一具体例で、前記段階(ii)(第2タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階)は、次の中から選ばれた一つ以上(例、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11個)を含み得る:
(ii-1)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階;
(ii-2)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階;
(ii-3)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階;
(ii-4)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階;
(ii-5)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階;
(ii-6)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階;
(ii-7)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階;
(ii-8)試料内のMCL1タンパク質および試料内のNOXAタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(ii-9)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階;
(ii-10)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階;および
(ii-11)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階。
【0029】
一具体例で、前記段階(ii)(第2タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階)のそれぞれのタンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階は、
(1)第1タンパク質の結合物質が含まれた基板に試料を供給(投入)して第1タンパク質を基板に固定させる段階;
(2-2)標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質を前記基板に供給し、第1タンパク質(試料内のタンパク質)と第1タンパク質相互作用タンパク質(試料内のタンパク質)の間に形成された複合体(complex)のうち第1タンパク質相互作用タンパク質と反応させる段階;および
(3)基板表面上の近接場領域内で前記標識物質から発生する信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階
により行われた前記段階を含み得る。
【0030】
他の例で、前記段階(ii)(第2タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階)のそれぞれのタンパク質相互作用(例、形成された複合体水準)を測定する段階は、
(1)第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質が含まれた基板に試料を供給(投入)して第1タンパク質相互作用タンパク質を基板に固定させる段階;
(2-2)標識物質が付着した第1タンパク質の結合物質を前記基板に供給し、第1タンパク質(試料内のタンパク質)と第1タンパク質相互作用タンパク質(試料内のタンパク質)の間に形成された複合体(complex)のうち第1タンパク質と反応させる段階;および
(3)基板表面上の近接場領域内で前記標識物質から発生する信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階
により行われた前記段階を含み得る。
【0031】
第2タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階において、前記複合体は試料内の第1タンパク質と試料内の第1タンパク質相互作用タンパク質の間で内在的に形成されたものである。第2タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階において、前記タンパク質-タンパク質相互作用の測定は第1タンパク質(試料内のタンパク質)およびこれと相互作用するタンパク質(試料内のタンパク質)の間に形成された複合体水準を測定して行われ得、一例で、前記複合体水準は前記第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質または前記第1タンパク質の結合物質に付着した標識物質で発生する信号によって測定され得る。
【0032】
一具体例で、前記段階(iii)は、次の中から選ばれた一つ以上を含み得る:
(iii-1)試料内のBCL2タンパク質の水準を測定する段階;
(iii-2)試料内のBCLxlタンパク質の水準を測定する段階;
(iii-3)試料内のMCL1タンパク質の水準を測定する段階;
(iii-4)試料内のBAXタンパク質の水準を測定する段階;および
(iii-5)試料内のBAKタンパク質の水準を測定する段階。
【0033】
前記段階(iii)のそれぞれの水準の測定段階は、
-第1タンパク質の結合物質(第1タンパク質の基板固定のための捕獲物質)、第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質(第1タンパク質相互作用タンパク質の固定のための捕獲物質)、またはこれらすべてが含まれた基板に試料を供給し、前記第1タンパク質、第1タンパク質相互作用タンパク質、またはこれらすべてを基板に固定化させる段階;
-標識物質が付着した第1タンパク質の結合物質(基板に第1タンパク質が固定化された場合、第1タンパク質検出のための検出物質)、標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質(基板に第1タンパク質相互作用タンパク質が固定化された場合、第1タンパク質相互作用タンパク質検出のための検出物質)、またはこれらすべて(基板に第1タンパク質および第1タンパク質相互作用タンパク質が固定化された場合)を前記基板に供給して反応させる段階;および
【0034】
-基板表面上の近接場領域内で前記マーカーが発現する信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階
により行われたり前記段階を含み得る。
【0035】
前記捕獲物質と検出物質は同じ標的タンパク質に結合する互いに異なるタンパク質として、前記標的タンパク質上の結合する部位が互いに完全に重複しないすべての結合物質(例えば、抗体)のうちそれぞれ独立して選択される。
【0036】
前記段階(ii)および/または(iii)で使用された第1タンパク質の結合物質または第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質は、第1タンパク質または第1タンパク質相互作用タンパク質に結合する物質(例えば、抗体、抗原結合断片、抗体類似体、アプタマー、小分子化合物など)であり得、標識物質で標識されたものであり得る。このとき、前記第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質は第1タンパク質相互作用タンパク質が第1タンパク質と相互作用(結合)する部位と相違する部位で第1タンパク質相互作用タンパク質に結合する物質であり得る。
【0037】
一例で、段階(i)、(ii)または(iii)で第1タンパク質を基板に固定(pull down)するための第1タンパク質の結合物質、段階(ii)で第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質の間に形成された複合体の検出(detecting)のための第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質、および/または段階(iii)で第1タンパク質または第1タンパク質相互作用タンパク質の検出(detecting)のための第1タンパク質の結合物質または第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質は各結合対象タンパク質に対して通常使用可能なすべての抗体より格別な制限なしに選ばれた1種以上のものであり得る。前記段階(i)~(iii)のうち2以上が行われて同じ第1タンパク質および/または第1タンパク質相互作用タンパク質が2以上の段階で共通して使用される場合、同じタンパク質の固定(pull down)および/または検出(detecting)のために各段階で使用される結合物質は互いに同一または相違してもよい。本明細書に記載された第1タンパク質および第1タンパク質と相互作用するタンパク質の結合物質は次のように例示することができる:
【0038】
アポトーシス抑制(anti-apoptotic)タンパク質
BCL2:ab32124、ab182858、ab238041、ab692(以上、Abcam)、3498S、15071S、#4223(以上、CST)、BSM-52304R、BSM-10846M、BSM-33411M、BSM-52022M(以上、Bioss)、NB100-56098(Novus)、12789-1-AP(Proteintech)、LS-C159170-400(LSBio)、13-8800(Thermo Fisher Scientific)、610538(BD)、sc-509、sc-23960、sc-7382(以上、Santa cruz)、TA806591、CF806589、UM800117、CF806639(以上、OriGene)など;
BCL-XL:2764S、2762S、2870、3498S(以上、CST)、ab77571、ab59348、ab32370、ab178844(以上、Abcam)、MA5-11950、MA5-28637(以上、Invitrogen)、MA5-15142(Thermo Fisher Scientific)、BSM-51229M(Bioss)、sc-56021、sc-136207、sc-271121、sc-70417、sc-23958(以上、Santa cruz)、ALX-804-660-C100(Enzo)、66020-1-IG(Proteintech)、NBP2-25240、NBP2-32810、NBP2-44416、NBP1-47665(以上、Novus)、TA506188(OriGene)、H00000598-M01A(Abnova)など;
MCL1:ab32087(Abcam)、5453S、39224S、#94296(以上、CST)、MA5-32060、14-6701-82、14-9047-82、MA5-15236、14-6701-82、14-9047-82(以上、Invitrogen)、SP2170P、TA500986、TA500990(以上、OriGene)、16225-1-AP(Proteintech)、LS-C475-0.1(LSBio)、MAB8825(Abnova)、sc-12756、sc-74437、sc-74436、sc-377487、sc-69839、sc-69840、sc-53951(以上、Santa cruz)など;
BCLw:MA5-15076(Invitrogen)、#2724(CST)、sc-293236、sc-130701(以上、Santa cruz)、NBP2-61706(Novus)など;
BFL1:NBP2-67563、NBP2-46568CST(以上、Novus)、#14093(CST)、MA5-11757(Invitrogen)、sc-166943(Santa cruz)など;
【0039】
アポトーシス誘導(pro-apoptotic)タンパク質
BAX:ab32503、ab182733、ab81083(以上、Abcam)、#5023、2774S、2772S(以上、CST)、MA5-14003、MA5-16322、35-9700(以上、Invitrogen)、BSM-52316R、BSM-33279M(以上、Bioss)、50599-2-Ig(Proteintech)、SAB4502546(Merck)、NB100-56096(Novus)、610982、610983(以上、BD)、sc-7480、sc-23959、sc-70408(以上、Santa cruz)、CF810335、TA810334(以上、OriGene)、#633602(Biolegend)、LS-C357719-20(LSBio)など;
BAK:ab238515、ab32371、ab69404、ab137646(以上、Abcam)、6947S、12105S(以上、CST)、B5897(Merck)、06-536、AM03-100UGCN、SAB1305656(以上Sigma)、H00000578-M01A、MAB8753(Abnova)、sc-517390、sc-518110(以上、Santa cruz)、MA5-36225(Invitrogen)、GTX10808(GeneTex)など;
BAD:9296S(CST)、sc-8044(Santa cruz)、MA5-11117、MA5-15230(以上、Invitrogen)など;
NOXA:ab68523(Abcam)、sc-515840、sc-56169、sc-398873(以上、Santa cruz)、など;
BIM:MA5-15763、MA5-15764(以上、Invitrogen)、sc-374358(Santa cruz)、CF812441(OriGene)など。
【0040】
前記列挙した抗体は例示のためのものであり、本発明はこれら抗体を使用することに制限されるものではない。特定のタンパク質に対する結合活性が知られている抗体であればすべて使用可能であり、等しい効果を期待することができる。
【0041】
本明細書で、試料内のタンパク質-タンパク質相互作用の測定(段階(ii))で第1タンパク質相互作用タンパク質または第1タンパク質の検出(detecting)のために使用される第1タンパク質相互作用タンパク質または第1タンパク質の結合物質は、標識物質で標識されたものであり得、前記結合物質が抗体である場合に、抗体に標識物質が付着したり、前記抗体に結合する二次抗体に標識物質が付着することができる。
【0042】
本明細書で提供される方法は、前記BCL2ファミリータンパク質の間の相互作用を測定する段階(a1)および/または試料内のBCL2ファミリータンパク質の水準を測定する段階(a2)に加えて、
(b)前記段階(a1)で測定されたBCL2ファミリータンパク質の間の相互作用および/または段階(a2)で測定された試料内のBCL2ファミリータンパク質水準を基準値と比較する段階(b1)、および/または前記試料または前記試料が分離された個体が前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性を有する患者であることおよび/または前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物が前記試料または前記試料が分離された個体で効果を発揮できるものであることを確認(または決定、判断)する段階、および/または、前記個体を、BCL2ファミリータンパク質標的薬物を適用するのに適した対象として選択(または確認、決定、判断)する段階(b2)をさらに含み得る。
【0043】
本明細書で提供される方法は、前記段階(b)(具体的には、b2)以後に、前記段階(b)(具体的には、b2)でBCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性を有するか前記薬物が効能を示すと確認された個体、または前記薬物を適用するのに適したものとして選ばれた個体に、前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物を投与する段階をさらに含み得る。
【0044】
前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対する反応性または前記薬物の効能は、前記薬物の標的タンパク質(例えば、BCL2タンパク質)を標的(例えば、阻害)することで得られる病理学的効果を意味し、例えば、抗癌効果(癌(または癌細胞)の軽減、減少、緩和、除去、治療、および/または進行および/または転移の抑制または遅延など)、より具体的には、血液癌に対する抗癌効果であり得る。
【0045】
前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物の投与または前記薬物を用いる治療に適した個体は、前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物が疾病の治療効果を示し得る患者を意味し、例えば、前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物の投与または前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物を用いる治療によって抗癌効果(癌または癌細胞の軽減、減少、緩和、除去、治療など)が発揮できる患者であり得る。
【0046】
前記段階(b)(具体的には、b1)で、基準値は、本明細書で提供される方法を用いて既存の癌患者(例えば、血液癌患者)から得た情報に基づいて設定することができる。一例として、前記基準値は、1)BCL2ファミリータンパク質標的薬物治療が効果を発揮した(BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性がある)患者もしくは患者群、または前記患者もしくは患者群から分離した試料(効果群試料)に対して本明細書で提供される方法(前記段階(a1)および/または(a2))を行って得られた測定値、または2)BCL2ファミリータンパク質標的薬物治療が効果を発揮できない(BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性がない)患者もしくは患者群、または前記患者もしくは患者群から分離した試料(非効果群試料)に対して本明細書で提供される方法(前記段階(a1)および/または(a2))を行って得られた測定値であり得る。
【0047】
一例で、前記基準値が効果群試料から得られたものであるとき、試験試料内のBCL2ファミリータンパク質の間の相互作用を測定する段階(a1)および/または試料内のBCL2ファミリータンパク質の水準を測定する段階(a2)で得られた測定値が前記基準値以上の場合(基準値と類似の範囲(例えば、同一または10%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、または1%以内の誤差範囲)または前記基準値を超える場合)、前記試料または前記試料が得られた個体を、前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性を有する患者(またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物治療(投与)を適用するのに適した患者)として選択するか、前記試料または個体に前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物が効果を発揮するものと確認(または決定、判断)することができる(段階b2)。
【0048】
他の例で、前記基準値が非効果群試料から得られたものであるとき、試験試料内のBCL2ファミリータンパク質の間の相互作用を測定する段階(a1)および/または試料内のBCL2ファミリータンパク質の水準を測定する段階(a2)で得られた測定値が、前記基準値と類似の範囲(例えば、同一または10%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、または1%以内の誤差範囲)または前記基準値未満の場合、前記試料または前記試料が得られた個体を、前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性がない患者(またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物治療(投与)が効果を示さない患者)として選択するか、前記試料または個体に前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物が効果を発揮しないものと確認(または決定、判断)することができる(段階b2)。
【0049】
また他の一例として、前記基準値は、効果群に対して試料内のBCL2ファミリータンパク質の間の相互作用を測定する段階(a1)および/または試料内のBCL2ファミリータンパク質の水準を測定する段階(a2)で得られた測定値の最小値、または中間値または平均値と設定することができる。患者情報が追加されることにより基準値は調整され得、様々な分析値から導き出された数式またはアルゴリズムにより基準値が調整されることもできる。本明細書で提供される方法の段階(b)で、段階(a1)および/または段階(a2)の測定値が当該基準値より高い(類似の範囲および/または超過)場合、試験試料または前記試料が得られた個体を、BCL2ファミリータンパク質標的薬物治療に効果(反応性)がある患者またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物治療(投与)に適した患者として選定することができる。
【0050】
また他の例として、前記基準値は、非効果群に対して試料内のBCL2ファミリータンパク質の間の相互作用を測定する段階(a1)および/または試料内のBCL2ファミリータンパク質の水準を測定する段階(a2)で得られた測定値の最大値、または中間値または平均値と設定することができる。患者情報が追加されることにより基準値は調整され得、様々な分析値から導き出された数式またはアルゴリズムにより基準値が調整されることもできる。本明細書で提供される方法の段階(b)で、段階(a1)および/または段階(a2)の測定値が当該基準値より低い(類似の範囲および/または未満)場合、試験試料または前記試料が得られた個体を、BCL2ファミリータンパク質標的薬物治療に効果がない患者として選定することができる。
【0051】
他の例で、試料内の前記基準値は、比較タンパク質および前記比較タンパク質と相互作用するタンパク質の間の相互作用および/または試料内の比較タンパク質および/または前記比較タンパク質と相互作用するタンパク質の水準(発現量または濃度)であり得る。前記比較タンパク質および比較タンパク質と相互作用するタンパク質はアポトーシス抑制(anti-apoptotic)とアポトーシス誘導タンパク質より選ばれる。前記比較タンパク質および比較タンパク質と相互作用するタンパク質は先立って説明した第1タンパク質および第1タンパク質と相互作用するタンパク質とそれぞれ同一であるか相違するものであり得る。一例で、前記比較タンパク質は第1タンパク質と相違するものであり得、前記比較タンパク質と相互作用するタンパク質は第1タンパク質相互作用タンパク質と同一であるか相違するものであり得る。
【0052】
この場合、本明細書で提供される方法は、前記段階(b)以前に、次の段階(a1’)および/または(a2’)をさらに含み得る:
(a1’)試料内の比較タンパク質および前記比較タンパク質と相互作用するタンパク質の間の相互作用を測定する段階および/または(a2’)試料内の比較タンパク質および/または比較タンパク質相互作用タンパク質の水準を測定する段階。
【0053】
他の例は、BCL2ファミリータンパク質標的薬物を次の個体に投与する段階を含む、癌(例、血液癌)治療方法、およびBCL2ファミリータンパク質標的薬物を含む、次の個体に適用(投与)するための癌(例、血液癌)治療用薬学組成物または次の個体の癌(例、血液癌)を治療するための癌治療用薬学組成物を提供する:
個体から得られた(分離した)試料内のBCL2ファミリータンパク質の間の相互作用(例えば、段階(a1)の(i)および/または(ii)によって測定される)および/または試料内のBCL2ファミリータンパク質水準(例えば、段階(a2)で測定される)が、前記基準値(例えば、効果群から得られた基準値)と類似の範囲または前記基準値を超える個体(例えば、本明細書で提供されるBCL2ファミリータンパク質標的薬物に対する反応性予測および/または前記薬物の効能予測方法によって前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物に対して反応性を有するか前記薬物が効能を発揮するものと確認された個体、および/または前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物の投与またはそれを用いた治療に適した対象の選択方法によって前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物の投与またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物を用いる治療に適した対象に選ばれた個体)。
【0054】
前記BCL2ファミリータンパク質は、BCL-2相同性(BCL-2 homology;BH;BH1、BH2、BH3)ドメインを共有するタンパク質を総称し、アポトーシス(apoptosis;例えばミトコンドリアでのアポトーシス)を調節する。
【0055】
本明細書で使用されるものとして、第1タンパク質は、BCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシスを防ぐアポトーシス抑制(anti-apoptotic)タンパク質として、アポトーシスタンパク質および/またはアポトーシス誘導タンパク質と相互作用(結合)してアポトーシスタンパク質および/またはアポトーシス誘導タンパク質の機能を阻害する機能を有するものであり得る。前記第1タンパク質は、個体から分離した生物学的試料に含まれているか前記試料から分離した形態であり得る。一例で、前記第1タンパク質は人間などの哺乳動物由来のタンパク質であり得、例えば、BCL2(例、NCBI ref seq.NM_000633.2など)、BCLxL(例、NCBI ref seq.NM_138578.1など)、MCL1(例、NCBI ref seq.NM_021960.3など)、BCLw(例、NCBI ref seq.NM_001199839.2など)、BFL1(例、NCBI ref seq.NM_001114735.2など)などからなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0056】
前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質は、BH3サブタイプ(BH3-only)タンパク質(第2タンパク質);およびアポトーシスエフェクター(pro-apoptotic effector)タンパク質(第3タンパク質);からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0057】
本明細書で使用されるものとして、前記第2タンパク質(BH3サブタイプタンパク質)は、BH3ドメインのみで構成されてBH3-onlyタンパク質ともいう。例えば、前記第2タンパク質はBIM(例、NCBI ref seq.B033694)、BID(例、NCBI ref seq.NM_001196.2)またはtBID(例、NCBI ref seq.NM_001196.2のN-terminal truncated formなど)、BAD(例、NCBI ref seq.NM_004322.2など)、NOXA(例、NCBI ref seq.NM_001382616.1など)、PUMA(例、NCBI ref seq.AAO16862.1など)、BMF(例、NCBI ref seq.NM_001003940.2など)、BIK(例、NCBI ref seq.1.NM_001197.5)、HRK(例、NCBI ref seq.1.NM_003806.4など)などからなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0058】
本明細書で使用されるものとして、第3タンパク質は、いくつかのBHドメインを含むアポトーシス誘導(pro-apoptotic)タンパク質として、例えばBAX(例、NCBI ref seq.NM_138761.3など)、BAK(例、NCBI ref seq.NP_001179.1など)、BOK(例、NCBI ref seq.NM_032515.5など)などからなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0059】
他の例で、前記第1タンパク質は先立って説明したようなBH3サブタイプ(BH3-only)タンパク質(第2タンパク質);およびアポトーシスエフェクター(pro-apoptotic effector)タンパク質(第3タンパク質)からなる群より選ばれた1種以上であり、第1タンパク質と相互作用するタンパク質は先立って説明したようなアポトーシス抑制(anti-apoptotic)タンパク質より選ばれたものであり得る。
【0060】
本明細書で、外部から供給される第1タンパク質相互作用タンパク質は、野生型、または第1タンパク質との相互作用が可能であることを前提に、野生型と50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上の配列相同性(identity or homology)を有する変異型タンパク質であり得る。また、前記第1タンパク質相互作用タンパク質は人間由来のものであるが、人間由来の第1タンパク質と相互作用可能な異種由来のものであり得る。
【0061】
前記個体は人間などの哺乳動物であり得、例えば、癌患者(血液癌、固形癌)、より具体的には血液癌患者であり得る。また、基準値設定のために、前記個体は、BCL2ファミリータンパク質標的薬物の投与または前記薬物の効能確認が必要な個体であり得る。
【0062】
本明細書で、血液癌は白血病(例、急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病など)、リンパ腫(例、悪性リンパ腫、B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(small lymphocytic lymphoma;SLL)など)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などからなる群より選ばれる。
【0063】
前記試料は前記患者から分離した(由来した)生物学的試料として、細胞、細胞溶解物、組織、またはこれらの培養物、または確立された細胞株を含むものであり得、例えば、前記細胞または組織は癌細胞または癌組織であり得、具体的には前記癌は血液癌または固形癌(例えば、乳癌または肺癌(例:肺腺癌など)など)であり得る。一具体例で、前記個体は人間血液癌患者であり、前記試料は血液癌または固形癌(例えば、乳癌または肺癌(例:肺腺癌など)患者から分離した白血球(例、顆粒白血球、リンパ球、および/または単核球など)、骨髄細胞(例、造血幹細胞など)、前記細胞を含む血液、骨髄、バフィーコート(buffy coat)、癌細胞、癌組織、またはこれらの溶解物などからなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0064】
一例で、前記試料は血液癌または固形癌(例えば、乳癌または肺癌(例:肺腺癌など)患者から分離した白血球(例、顆粒白血球、リンパ球、および/または単核球など)、骨髄細胞(例、造血幹細胞など)、前記細胞を含む血液、骨髄、バフィーコート(buffy coat)、癌細胞、癌組織などからなる群より選ばれた一つ以上の溶解物であり得る。前記溶解物はHepes、NaCl、Glycerol、コレステロール系洗浄剤(detergent;以下、界面活性剤とも記載する)、phosphatase inhibitor cocktailなどからなる群より選ばれた1種以上を含む溶剤を使用して得られたものであり得、このとき、コレステロール系洗浄剤(例えば、glycol-diosgenin(GDN)、ジギトニン(digitonin)など)、PEG系洗浄剤(例えば、Triton x-100など)などが利用され得る。本明細書で使用可能な洗浄剤(detergent)はGDN、ジギトニン(Digitonin)、Triton x-100(TX-100)、またはこれらのうち2以上の組み合わせなどを含み得る。例えば、GDNは、全体溶剤基準として、0.001~10%、0.005~5%、0.008~1.2%、0.01~10%、0.05~5%、0.08~1.2%、0.1~10%、0.5~5%、0.8~1.2%、または約1%(weight for weight)の量で使用される。前記溶解物は、前記洗浄剤を用いて適切な濃度で希釈して使用される。前記のようなコレステロール系洗浄剤および/またはPEG系洗浄剤を使用する場合、他の系の洗浄剤を使用した場合と比較して、細胞外(in vitro)での細胞の機能、活性、および/またはタンパク質3次構造を細胞内と同様に安定的に維持できるため、実際の細胞内の環境でのタンパク質の構造および/または機能を比較的正確に模写することができ、細胞内でのタンパク質固有の特性を細胞外で正確に観測できるという利点を有することができる。
【0065】
前記段階(i)で外部から供給される、(exogenous)標識物質が付着した、第1タンパク質と相互作用するタンパク質は、細胞溶解液形態で使用される。前記細胞溶解液は、標識物質が付着した、第1タンパク質と相互作用するタンパク質を組換え的に発現する細胞を、適切な溶剤、例えばTX-100またはコレステロール系洗浄剤を含む溶剤を使用して溶解させて得られたものであり得る。例えば、TX-100は、全体溶剤基準として、0.001%~1%または0.2~5%(weight for weight)を含み得、好ましくは0.5~2%、さらに好ましくは0.8~1.2%、さらに好ましくは1%を含み得る。前記製造された細胞溶解液は希釈後基板に供給されるが、このとき細胞溶解液はTX-100を0.02~0.04%を含むように設定することが好ましい。前記TX-100濃度の臨界値を超えると、PEGでコートされている基板で起きる非特異的な結合信号を減らすことができるが、第1タンパク質との特異的な相互作用により観測される、第1タンパク質と相互作用するタンパク質の測定値(信号値)が低く形成されてタンパク質分析に容易でない。前記臨界値未満であれば、溶媒中のTX-100の臨界ミセル濃度(Critical Micell Concentration;CMC)未満の状態で存在するので第1タンパク質相互作用タンパク質の溶解状態が不安定になり、PEGでコートされている基板で起きる第1タンパク質相互作用タンパク質の非特異的な結合信号が増加して有効でない信号が測定されてタンパク質の分析において容易でない。これはコレステロール系洗浄剤を使用することにおいても当該洗浄剤の臨界ミセル濃度以上を使用することは同様に好ましい。
【0066】
前記第1タンパク質相互作用タンパク質を含む細胞溶解液内の、第1タンパク質相互作用タンパク質の濃度は、10-2~10nMまたは10-1~10nMであり得るが、これに制限されるものではなく、適宜調節することができる。
【0067】
本明細書で、前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物は、上記したBCL2ファミリータンパク質(例えば、アポトーシス抑制(anti-apoptotic)タンパク質)を認識および/または阻害するタンパク質(例えば、抗体、またはその類似体など)、核酸分子(例えば、siRNAなど)、および小分子化合物からなる群より選ばれた1種以上であり得、アポトーシス調節薬物(Apoptosis-Controlling Drug)であり得、一具体例で抗癌効果、例えば血液癌に対して抗癌効果を有することもできる。例えば、BCL2標的薬物(例、BCL2阻害剤)の例として抗BCL2抗体、Venetoclax、ABT737などが挙げられ、BCLxL標的薬物(例、BCLxL阻害剤)の例として抗BCLxL抗体、ABT263などが挙げられ、MCL-1標的薬物(例、MCL-1阻害剤)の例として抗MCL-1抗体、AMG-176、AZD5991、Maritoclaxなどが挙げられる。
【0068】
前記ベネトクラクス(Venclexta(登録商標) またはVenclyxto(登録商標))は急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML)、慢性リンパ球性白血病(chronic lymphocytic leukemia;CLL)、小リンパ球性リンパ腫(small lymphocytic lymphoma;SLL)などの治療に使用される。
【0069】
以下、より詳細に説明する。
【0070】
一例で、BCL2ファミリータンパク質標的薬物の代表的な例としてベネトクラクス(Venetoclax)を挙げて説明する:
先立って説明した通り、本明細書において、遺伝子的特徴としては観測できないBCL2ファミリータンパク質のアポトーシス抑制能力を、単分子タンパク質相互作用の測定方法により定量的に把握し、これを血液癌患者の診断方法として活用することを提案する。これのために核心的な技術は次のとおりである:(1)タンパク質相互作用の観測が、細胞内に存在するBCL2ファミリータンパク質の多様な状態を反映、(2)多角的タンパク質相互作用の観測およびタンパク質水準の観測の定量的な比較により、BCL2ファミリータンパク質標的薬物(一例としてベネトクラクス(Venetoclax)、AMG 176、またはAZD5991など)に敏感な細胞株および患者を選別可能。
【0071】
(1)細胞内の状態を保持してBCL2ファミリータンパク質を基板に捕獲
本明細書では、細胞内に存在するBCL2ファミリータンパク質の状態が保持された状態で基板に捕獲されるかどうかを確認した。
【0072】
一実施例で、代表的な血液癌細胞株であるHL60(急性骨髄性白血病)またはOCI-LY3(B細胞リンパ腫)細胞株を、細胞死誘導のためにベネトクラクス(Venetoclax)で細胞培養中で処理する。その後、細胞死タンパク質であるBAXタンパク質の活性化された形態(conformation)を示すN-末端があらわれた(露出した)BAXを測定する実験を行う。このとき、ベネトクラクス(Venetoclax)で処理することによりN-末端があらわれたBAXの量が増加することを見ることができる。反面、細胞溶解液にTX-100の処理により人為的にBAXタンパク質のN-末端が露出するようにした後同じ検査を行う場合、BAXの類似量が維持されることを確認することができる。これは、BAXの発現量は変わらないが、ベネトクラクス処理時にN-末端があらわれた活性化された形態のBAXタンパク質比率が増加することを意味する(図17参照)。
【0073】
このような結果により、本明細書に提案する方法は、BCL2ファミリータンパク質が細胞内でなしている形態/PTM(Post-translational modifications)などをそのまま反映できることを立証する。
【0074】
(2)細胞内のBCL2ファミリータンパク質の状態変化が反映されるタンパク質間の相互作用(PPI,Protein-Protein Interaction)の確認
本明細書で、細胞内に存在するBCL2ファミリータンパク質の状態変化がタンパク質相互作用(PPI)の測定に反映されることを確認した。
【0075】
一実施例で、OCI-LY3細胞株やHL60細胞株を、それぞれBCL2阻害剤であるベネトクラクス(Venetoclax)、MCL1阻害剤であるAZD5991で処理した後、BCL2ファミリータンパク質のタンパク質の間の相互作用(PPI)変化を比較した。当該阻害剤は、BCL2、MCL1タンパク質と異なるタンパク質の間の相互作用を選択的に阻害するため、当該薬物処理による細胞内のBCL2ファミリータンパク質の状態変化(例えば複合体の形成程度)を期待することができる。実際、OCI-LY3細胞株を培養中にベネトクラクス(Venetoclax)(BCL2阻害剤)とAZD5991(MCL-1阻害剤)でそれぞれ24時間処理した後、取得した細胞溶解液と何ら処理をしていない状態の細胞溶解液(無処理群)をそれぞれ準備した後、当該細胞溶解液で抽出されたBCL2、MCL1タンパク質とBAD、NOXA(マーカーGFPが付着した)タンパク質の間の相互作用を測定したとき、ベネトクラクス(Venetoclax)で処理された細胞溶解液で測定されたBCL2-BADの間の相互作用(PPI)が、無処理群で測定されたBCL2-BADの間の相互作用(PPI)より高いことが確認された。また、AZD5991で処理された細胞溶解液から出たMCL1タンパク質とNOXA(マーカー付着)タンパク質の相互作用が、無処理群で測定されたMCL1タンパク質とNOXA(マーカー付着)タンパク質の相互作用より高いことが確認された。反面、Venetoclax処理はMCL1-NOXA相互作用(PPI)に何ら影響を及ぼさず、AZD5991処理はBCL2-BAD相互作用(PPI)に何ら影響を及ぼさなかった。また、本実験で使用された条件下では各薬物での処理がBCL2、MCL1発現量に顕著な変化を起こさないことが証明された。
【0076】
すなわち、特定薬物に反応する特定タンパク質の状態変化を確認および/または前記特定タンパク質以外の他のタンパク質は状態変化が起きないことを確認することによって、本明細書で提供される方法が薬物処理による正確な状態変化を測定できることを確認した。
【0077】
従来の多くの研究では、BCL2タンパク質の発現量を測定して、細胞内でBCL2がアポトーシス作用を抑制する程度を計ったが、本明細書ではタンパク質の分子的形質が反映されたPPI観測によりアポトーシス作用を抑制する程度を定量的に測定できることが特徴である。
【0078】
(3)多角的タンパク質相互作用の観測およびタンパク質水準の観測によるBCL2ファミリータンパク質標的薬物の敏感度予測
本明細書では、細胞や患者検体のアポトーシス誘導タンパク質とアポトーシス抑制タンパク質が細胞死に及ぼす影響を、試料内タンパク質と外来タンパク質の間の相互作用の測定(第1タンパク質-タンパク質相互作用の測定)、試料内タンパク質間の相互作用の測定(第2タンパク質-タンパク質相互作用の測定)、および/またはタンパク質発現量の測定などをそれぞれ定量的に行い、細胞死信号を複合的に分析し、これを用いてBCL2ファミリータンパク質標的薬物(一例としてベネトクラクス(Venetoclax))に対する敏感度を確認した。
【0079】
前記試料内タンパク質と外来タンパク質の間の相互作用の測定は、試料内のBCL2、BCLxL、MCL1などアポトーシス抑制タンパク質と、BIM、BAD、NOXA、BAX、BAKなど外部(試料外)から供給されたアポトーシス誘導タンパク質の間の相互作用(第1タンパク質-タンパク質相互作用、以下第1PPI(Protein-Protein Interaction)と定義する)を測定し、BCL2標的阻害剤(一例としてベネトクラクス(Venetoclax))またはMCL1標的阻害剤(一例としてAMG 176)反応性との相関関係を定量的に分析した。このとき、試料外から供給されたアポトーシス誘導タンパク質はマーカーが付着している。
【0080】
前記試料内のタンパク質の間の相互作用(例えば、タンパク質複合体の形成)の測定は、試料内のBCL2、BCLxL、MCL1などアポトーシス抑制タンパク質と同じ試料内のBAX、BAK、BIM、BAD、NOXAなどアポトーシス誘導タンパク質の間の相互作用(第2タンパク質-タンパク質相互作用、以下第2PPI(Protein-Protein Interaction)と定義する)を測定し、BCL2標的阻害剤(一例としてベネトクラクス(Venetoclax))またはMCL1標的阻害剤(一例としてAMG 176)感受性との相関関係を確認した。
【0081】
前記試料内タンパク質と外来タンパク質の間の相互作用(第1PPI)水準および/または試料内タンパク質間の相互作用(第2PPI)水準を比較分析することによって、BCL2標的阻害剤(一例としてベネトクラクス(Venetoclax))またはMCL1標的阻害剤(一例としてAMG 176)感受性との相関関係を分析した。前記比較分析により試料内のBCL2、BCLxL、MCL1などアポトーシス抑制タンパク質の状態を確認することができる。一例として、アポトーシス抑制タンパク質の、アポトーシス誘導タンパク質と相互作用する活性サイトの露出程度を確認することができる。これによりタンパク質間の結合程度、結合強度、残余結合サイト、薬物敏感度などを間接的に予測することができる。
【0082】
本明細書では、試料内のBCL2、BCLxL、MCL1などアポトーシス抑制タンパク質またはBAX、BAKなどアポトーシス誘導タンパク質の水準を測定し、BCL2標的阻害剤(一例としてベネトクラクス(Venetoclax))またはMCL1標的阻害剤(一例としてAMG 176)感受性との相関関係を確認した。前記タンパク質の水準は、タンパク質発現水準であり得、活性化されたタンパク質の発現水準であり得、リン酸化されたタンパク質の発現水準であり得る。
【0083】
本明細書で提供されるタンパク質-タンパク質相互作用の測定は、single-molecule pull-downおよび/またはco-immunoprecipitation(co-IP)を基盤とする。
【0084】
本明細書で使用された用語の「タンパク質-タンパク質相互作用(protein-protein interaction:PPI)」は、第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質の間の物理的および/または化学結合または複合体形成を意味し、例えば、結合頻度、接着強さ(強度)、および結合時間などの因子のうち一つ以上で測定することができる。また、前記第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質の間の相互作用(結合)はこれらの間の直接的な相互作用(結合)だけでなく、中間に他のタンパク質(信号伝達経路のうち第1タンパク質および第1タンパク質相互作用タンパク質の間に位置するタンパク質)を媒介とした相互作用(結合)も含み得る。本明細書でのタンパク質-タンパク質相互作用は、単分子(single molecule)反応(1分子の第1タンパク質と1分子の第1タンパク質相互作用タンパク質の間の反応)であり得る。
【0085】
先立って説明した通り、第1タンパク質は、BCL2ファミリータンパク質(Anti-apoptoticタンパク質)として、BCL-2(例、NCBI ref seq.NM_000633.2など)、BCLxL(例、NCBI ref seq.NM_138578.1など)、またはMCL-1(例、NCBI ref seq.NM_021960.3など)であり得る。前記第1タンパク質相互作用タンパク質は、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質として、BIM(例、NCBI ref seq.B033694)、BID(例、NCBI ref seq.NM_001196.2)またはtBID(例、NCBI ref seq.NM_001196.2のN-terminal truncated formなど)、BAD(例、NCBI ref seq.NM_004322.2など)、BAX(例、NCBI ref seq.NM_138761.3など)、NOXA(例、NCBI ref seq.NM_001382616.1)、BAK(例、NCBI ref seq.NP_001179.1など)などからなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0086】
本明細書で提供される方法で行われる第1タンパク質および第1タンパク質相互作用タンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階(a1;(i)および/または(ii))は、分離された細胞または組織に対して生体外または細胞外(in vitro)で行われるものであり得る。
【0087】
本発明による測定を段階別に詳細に説明する。
【0088】
段階(1):第1タンパク質が固定化された基板の準備段階(段階(i)および(ii)共通)
前記段階(1)は、第1タンパク質または第1タンパク質を含む試験試料を、表面に前記第1タンパク質に特異的に結合する物質を含む基板に加えて、第1タンパク質が固定された基板を準備する段階である。
【0089】
前記試料は個体(患者)から分離した細胞、組織、細胞または組織の溶解物、破砕物、または抽出物、体液(例えば、血液(全血、血漿、または血清)、唾液など)であり得る。前記患者は癌患者例えば血液癌患者であり得、前記試料は前記癌細胞(血液癌細胞)を含むものであり得、その具体的な例は先立って説明したとおりである。
【0090】
前記基板は、表面に第1タンパク質を固定させるすべての材質および/またはすべての構造を有するものであり得る(結晶質または非結晶質をいずれも使用可能)。一例で、前記基板は、標識信号の検出容易性を考慮し、光の屈折率が生体物質の多くの部分を占める水の屈折率(約1.3)以上の材質であり得る。一例で、前記基板は厚さが約0.1~約1mm、約0.1~約0.5mm、0.1~約0.25mm、または約0.13~約0.21mm程度であり得、屈折率が約1.3~約2、約1.3~約1.8、約1.3~約1.6、または約1.5~約1.54程度であり得る。前記基板は前記屈折率範囲を満足させるすべての材質であり得、例えばガラス(屈折率:約1.52)、石英などからなる群より選ばれた材質から得られたものであり得るが、これに制限されるものではない。前記基板は生物試料観察に通常使用されるすべての形態を有するものであり得、例えば、ウェル型、スライド型、チャネル型、アレイ型、微少流体チップ、微細管(キャピラリ)などであり得るが、これに制限されるものではない。蛍光顕微鏡観察時、前記試料が適用された基板の上にカバーガラスを取り付けて観察することができ、カバーガラスの材質は先立って基板の説明で記載したとおりであり、厚さは基板の説明で記載した範囲またはこれより薄くてもよい(例えば、屈折率1.52、厚さ0.17mmであり得るがこれに制限されるものではない)。
【0091】
前記第1タンパク質に特異的に結合する物質は、第1タンパク質、すなわち、BCL2、BCLxL、MCL1またはこれらすべてと特異的に結合できるすべての物質から選ばれたものであり得、例えば、BCL2、BCLxL、MCL1、またはこれらすべてに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、抗体のscFv、(scFv)2、scFv-Fc、Fab、Fab’およびF(ab’)2など)、アプタマー(タンパク質または核酸分子)、小分子化合物などからなる群より選ばれた1種以上であり得る。このとき、前記第1タンパク質(BCL2、BCLxL、MCL1、またはこれらすべて)に特異的に結合する物質は、第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質との相互作用を妨げない部位、すなわち、第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質が相互作用(結合)する部位でない部位で第1タンパク質と結合するものであり得る。
【0092】
一例で、前記基板は、前記第1タンパク質に特異的に結合する生物学的物質(例えば、抗体など)を表面に含む(固定する)ために適宜表面改質されたり、表面に直接、前記第1タンパク質に特異的に結合する物質が固定されたものであり得る。前記基板が表面改質された場合、前記基板は一面に、前記第1タンパク質に特異的に結合する生物学的物質(例えば、抗体など)を固定化させる官能基を有するあらゆる化合物で処理(例えば、塗布)され得、例えば、アルデヒド基、カルボキシル基およびアミン基からなる群より選ばれた官能基を含む化合物で処理することができる。一具体例で、前記アルデヒド基、カルボキシル基およびアミン基からなる群より選ばれた官能基を含む化合物は、ビオチン(biotin)、ウシ血清アルブミン(Bovine serum albumin;BSA)、ビオチンが結合されたウシ血清アルブミン、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol;PEG)、ビオチンが結合されたPEG(ポリエチレングリコール-ビオチン;PEG-biotin)、ポリソルベート(e.g.,Tween20)などからなる群より選ばれた1種以上であり得るが、これに制限されるものではない。前記表面処理された基板はニュートラアビジン(neutravidin)、ストレプトアビジン(streptavidin)、アビジン(avidin)などからなる群より選ばれた1種以上が追加で処理(例えば、塗布)され得る。
【0093】
段階(2):第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質を反応させる段階
前記段階(2)では、下記段階(2-1)および/または(2-2)を実施することができる。
【0094】
段階(2-1):試料内のタンパク質および試料外のタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(段階(i)の第1タンパク質-タンパク質相互作用)
前記段階(2-1)は、前記第1タンパク質(試料内のタンパク質)が固定された基板(例えば、前記段階(1)で準備される)に、標識物質で標識された(標識物質が付着した)第1タンパク質相互作用タンパク質(試料外のタンパク質)を添加して前記第1タンパク質と反応させる段階である。前記標識物質から生成された信号を測定することによって、試料内のタンパク質と試料外のタンパク質の間の複合体形成水準を確認することができ、これにより試料内のタンパク質と試料外のタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用水準を測定することができる。
【0095】
前記標識された第1タンパク質相互作用タンパク質は、第1タンパク質相互作用タンパク質が検出可能な信号を発生させる標識物質で標識されたり(標識物質が、例えば、化学的(例えば、共有的または非共有的)、組換え的、または物理的に、結合されたり)、標識物質が結合されるtagが付着した形態を意味する。前記検出可能な信号は通常の酵素反応、蛍光、発光、および/または放射線検出により測定できるすべての信号(例えば、光、放射線など)より選択することができる。前記標識物質は前記標識信号を発生させるすべての小分子化合物、タンパク質、ペプチド、核酸分子などからなる群より選ばれた1種以上であり得、例えば、蛍光染料(小分子化合物;Cyanine、Alex、Dylight、Fluoprobesなど)、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP,enhanced GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、青緑色蛍光タンパク質(CFP)、青色蛍光タンパク質(BPF)、赤色蛍光タンパク質(RPF)、mcherryなど)などからなる群より選ばれた1種以上であり得る。前記tagはHis-tag/Ni-NTAなどのように通常使用されるすべての種類より選ばれた1種以上であり得る。前記標識物質の使用濃度は、ノイズを発生させず正確で容易な検出を可能にするために、約1uM以下の範囲で適宜決定することができ、例えば、1nM~1000nM、1nM~500nM、1nM~100nM、10nM~1000nM、10nM~500nM、または10nM~100nM程度であり得るが、これに制限されるものではない。前記のような標識物質から発生する信号は、これを検出または測定するために通常使用されるすべての信号検出手段(例えば、通常の蛍光顕微鏡、蛍光カメラ、蛍光強度測定(定量)装置など)によって測定することができる。
【0096】
段階(2-2):試料内のタンパク質間のタンパク質-タンパク質相互作用(段階(ii)の第2タンパク質-タンパク質相互作用)
前記段階(2-2)は、前記第1タンパク質が固定された基板(例えば、前記段階(1)で準備される)に、第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質(前記結合物質は標識物質が付着する)を供給し、第1タンパク質(試料内)と第1タンパク質相互作用タンパク質(試料内)の間に形成された複合体(complex)のうち第1タンパク質相互作用タンパク質と反応させる段階である。前記標識物質から生成された信号を測定することによって試料内のタンパク質複合体形成水準を確認することができ、これにより試料内のタンパク質-タンパク質相互作用の水準を測定することができる。
【0097】
前記第1タンパク質相互作用タンパク質結合物質は、検出可能な信号を発生させる標識物質で標識されたり(標識物質が、例えば、化学的(例えば、共有的または非共有的)、組換え的、または物理的に、結合されたり)、標識物質が結合できるtagが付着した形態を意味する。前記検出可能な信号は通常の酵素反応、蛍光、発光、および/または放射線検出により測定できるすべての信号(例えば、光、放射線など)より選択することができる。前記標識物質は前記標識信号を発生させるすべての小分子化合物、タンパク質、ペプチド、核酸分子などからなる群より選ばれた1種以上であり得、例えば、蛍光染料(小分子化合物、有機蛍光染料(organic fluorescent dye);Cyanine、Alex、Dylight、Fluoprobesなど)、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP,enhanced GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、青緑色蛍光タンパク質(CFP)、青色蛍光タンパク質(BPF)、赤色蛍光タンパク質(RPF)、mcherryなど)などからなる群より選ばれた1種以上であり得る。前記tagはHis-tag/Ni-NTAなどのように通常使用されるすべての種類より選ばれた1種以上であり得る。前記標識物質の使用濃度は、ノイズを発生させず正確で容易な検出を可能にするために、約1uM以下の範囲で適宜決定することができ、例えば、1nM~1000nM、1nM~500nM、1nM~100nM、10nM~1000nM、10nM~500nM、または10nM~100nM程度であり得るが、これに制限されるものではない。前記のような標識物質から発生する信号は、これを検出または測定するために通常使用されるすべての信号検出手段(例えば、通常の蛍光顕微鏡、蛍光カメラ、蛍光強度測定(定量)装置など)によって測定することができる。
【0098】
タンパク質の相互作用をより正確に測定するために、反応させる段階(段階(2))と後続するタンパク質-タンパク質相互作用の測定段階(段階(3))の間に、前記反応が起きた基板を通常の方法で洗浄する段階をさらに含み得る。
【0099】
段階(3):タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階
前記段階(3)は、前記段階(2)(すなわち、(2-1)および/または(2-2))で得られた反応物から信号を測定する段階である。前記信号測定は、段階(2)で使用された標識信号(例えば、酵素反応、蛍光、発光、または放射線検出などの通常の方法により測定可能な信号)を検出(または測定または確認)できるあらゆる手段を用いて行われ得る。
【0100】
一例で、段階(3)でのタンパク質-タンパク質相互作用の測定はリアルタイム分析によるものであり得る。
【0101】
一例で、前記標識信号が蛍光信号である場合、前記信号検出は、前記蛍光信号を発生させる標識物質が吸収する光源を供給して、発生する蛍光信号を、例えば、蛍光顕微鏡、蛍光(測定)カメラ、および/または蛍光強度測定(定量)装置などを用いて、映像化および/または定量することができる。
【0102】
前記信号が蛍光信号である場合、段階(3)(タンパク質-タンパク質相互作用の測定段階)は、
(i)前記段階(2)の反応物に光源を供給する段階;および
(ii)前記供給された光源によって発生した蛍光信号を検出する段階
を含み得る。
【0103】
前記段階(i)の光源を供給する段階は、前記段階(2)で得られた第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質の反応物に光源を供給する段階として、このような目的を達成できれば、光源の供給時期は特に制限されない。例えば、前記光源は段階(1)以前、同時、または以後から段階(2)以後まで持続的に供給されたり、段階(2)直前、同時、または直後に所定の時間の間供給され得るが、これに制限されるものではない。
【0104】
前記光源は蛍光信号に該当する波長を有するあらゆる光源であり得、例えば、レーザ、ハロゲンランプなどであり得る。
【0105】
一具体例で、段階(3)のタンパク質-タンパク質相互作用の測定段階は、全反射蛍光顕微鏡(Total Internal Reflection Fluorescence(TIRF)microscope)または共焦点顕微鏡などを用いて光源を供給し、通常の方法で蛍光信号を観察して行われることができる。他の例で、前記全反射蛍光顕微鏡に、信号映像化のための蛍光(測定)カメラ、例えば、EMCCD(Electron-multiplying charge-coupled device)またはCMOS(Complementary metal oxide semiconductor)を取り付けて用いることによって、光源供給および蛍光信号の映像化および/または定量を遂行することができる。
【0106】
次は、段階(3)のタンパク質-タンパク質相互作用の測定段階を、全反射顕微鏡および蛍光(測定)カメラを用いて行う場合を例に挙げてより詳細に説明する:
【0107】
イ)前記段階(1)または段階(2)の基板を全反射顕微鏡に取り付ける。全反射顕微鏡で光源の供給位置は通常、観測しようとする基板側であり、レンズの位置は光源供給位置と関係ない。
【0108】
ロ)光源はレーザであり得、光源の強度は約0.5mW~約5mW、約0.5mW~約4.5mW、約0.5mW~約4mW、約0.5mW~約3.5mW、約0.5mW~約3mW、約0.5mW~約2.5mW、約0.5mW~約2mW、約1mW~約5mW、約1mW~約4.5mW、約1mW~約4mW、約1mW~約3.5mW、約1mW~約3mW、約1mW~約2.5mW、約1mW~約2mW、約1.5mW~約5mW、約1.5mW~約4.5mW、約1.5mW~約4mW、約1.5mW~約3.5mW、約1.5mW~約3mW、約1.5mW~約2.5mW、または約1.5mW~約2mW、例えば、約2mWであり得、光源の波長は先立って説明した通り、蛍光信号または使用された標識物質、および/または装備の構成(例えば減衰フィルタを用いる場合は強度が強い光源を使用できる)によって適宜選択することができる。
【0109】
ハ)前記光源供給によって発生した蛍光信号を蛍光(測定)カメラで撮影して映像化および/または定量することができる。
【0110】
前記蛍光信号の撮影(または映像化)は、標識物質の蛍光信号発生維持時間(発光時間、lifetime)を考慮し、光源供給と同時または前記信号発生維持時間以内に遂行することができる。
【0111】
蛍光(測定)カメラ(例えば、EMCCDカメラ)で蛍光信号を撮影(または映像化)することにおいて、1フレーム当たり露出時間、レーザパワー、カメラgain値、総撮影フレームなどを適宜調節することができる。例えば、1フレーム当たり露出時間が短いほど1フレームに累積する信号が減り、これを相殺するためにレーザパワーを高めたり、蛍光カメラの感度を高めることができる。一例で、1フレーム当たり露出時間を約0.001秒~約5秒、約0.001秒~約3秒、約0.001秒~約2秒、約0.001秒~約1秒、約0.001秒~約0.5秒、約0.001秒~約0.3秒、約0.001秒~約0.1秒、約0.01秒~約5秒、約0.01秒~約3秒、約0.01秒~約2秒、約0.01秒~約1秒、約0.01秒~約0.5秒、約0.01秒~約0.3秒、約0.01秒~約0.1秒、約0.05秒~約5秒、約0.05秒~約3秒、約0.05秒~約2秒、約0.05秒~約1秒、約0.05秒~約0.5秒、約0.05秒~約0.3秒、約0.05秒~約0.1秒、約0.07秒~約5秒、約0.07秒~約3秒、約0.07秒~約2秒、約0.07秒~約1秒、約0.07秒~約0.5秒、約0.07秒~約0.3秒、約0.07秒~約0.1秒、約0.1秒~約5秒、約0.1秒~約3秒、約0.1秒~約2秒、約0.1秒~約1秒、約0.1秒~約0.5秒、または約0.1秒~約0.3秒、例えば約0.1秒にすることができるが、これに制限されるものではない。
【0112】
例えば、EMCCDカメラを用いる場合、標識物質(例えば、eGFP)から生成された光子(photon)はEMCCDの素子により電子に変わって計測される(光電効果、photoelectric effect)。このとき、光子1個当たり生成される電子の個数をgain値により変更することができる。設定されたgain値が高いほど光子1個当たり生成される電子の個数が増え、EMCCDカメラの感度が高まると同時にbackground noiseも共に増加するのでsignal-to-noise比率が重要である。一具体例で、優れたsignal-to-noise比率を得るために、gain値を約10~約100、約10~約80、約10~約60、約10~約50、約20~約100、約20~約80、約20~約60、約20~約50、約30~約100、約30~約80、約30~約60、または約30~約50、例えば、約40程度に定めることができるが、これに限定されずカメラの感度、寿命、装備構築現況、ノイズ、試験条件などを考慮して適宜選択されることができる。
【0113】
総撮影フレーム個数と露出時間を乗ずると総撮影時間が得られる(露出時間*総撮影フレーム個数=撮影時間)。蛍光物質の発光時間(lifetime)以後には蛍光信号が消えるので、前記撮影時間が発光時間内に行われるように総撮影フレーム個数および/または露出時間を調節することができる。
【0114】
タンパク質-タンパク質相互作用の測定結果の正確度を高めるために、前記映像化を、一つ以上、例えば、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、7個以上、または10個以上(上限値は基板の大きさおよび映像化可能な面積によって決定される)の基板またはそれを含む一つ以上のチャネル(各チャネルは2個以上の基板を含む)で行い、信号が現れた領域(spot)、具体的にはイメージのうち明るい領域(PPI complexともいう)の個数(PPI count)を求め、前記得られた蛍光信号を定量化することができ、これはタンパク質-タンパク質相互作用を定量化したものと見ることができる。
【0115】
他の例で、段階(3)で測定された蛍光強度を、通常の装置を用いて数値化することによってタンパク質-タンパク質相互作用を定量することもできる。このとき、結果の正確性のために、前記結果を、試料量または試料内のタンパク質量を基準として標準化(normalization)することができる。
【0116】
第1タンパク質および/または第1タンパク質相互作用タンパク質を2種以上使用する場合、段階(1)~(3)はそれぞれの第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質の組み合わせに対してそれぞれ行われることができる(すなわち、段階(1)~(3)は第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質の組み合わせの数だけ繰り返し行われることができる)。
【0117】
本明細書で提供される方法は、次の段階(4)をさらに含み得る:
【0118】
段階(4):比較する段階(段階(b)、具体的には(b1))
段階(4)は、前記段階(3)で得られた結果(タンパク質-タンパク質相互作用の水準)を、第1比較タンパク質と第1比較タンパク質相互作用タンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用水準と比較したり基準値と比較する段階である。前記第1比較タンパク質と第1比較タンパク質相互作用タンパク質、および基準値は先立って説明したとおりである。
【0119】
本明細書に使用される用語の「BCL2ファミリータンパク質を標的とする」とは、BCL2ファミリータンパク質を認識(特異的結合)するかおよび/または活性を阻害することを意味する。BCL2ファミリータンパク質の活性の阻害は、BCL2ファミリータンパク質と結合したり、および/またはBCL2ファミリータンパク質を分解および/または構造的変形を行い固有の機能、例えばアポトーシス抑制機能を減少させたり除去することであり得る。
【0120】
本明細書に使用された用語の「薬物」は、薬理的効果を示すすべての物質、例えば、小分子化合物、タンパク質(例えば、抗体、抗体断片、またはその類似体など)、ペプチド、核酸分子(例えば、DNA、RNA(例えば、siRNA、microRNA、shRNAなど)、PNA(peptide nucleic acid)、アプタマー、など)、植物抽出物、動物抽出物、細胞抽出物などからなる群より1種以上選択されるものであり得る。
【0121】
本明細書で、第1タンパク質と相互作用するタンパク質、標識物質として蛍光タンパク質、結合物質として抗体などの、すべての外部から供給されるタンパク質は、組換え的合成または化学的合成により生産されたものであり得るが、これに制限されるものではない。一例で、前記組換え的生産は、前記タンパク質をコードする遺伝子またはそれを含むベクターを、HEK293細胞のような哺乳類細胞(mammalian cell)に形質導入(transfection)により発現したり、SF9のような昆虫細胞(insect cell)に形質導入により発現したり、E.coliのような細菌に形質導入により発現させる段階を含み得る。このとき、前記発現したタンパク質は追加的な精製(purification)過程を経るが、それは必須ではなく、精製されたタンパク質またはタンパク質を発現した細胞溶解液をそのまま使用してタンパク質-タンパク質測定を遂行することができる。
【0122】
本明細書に使用される用語の「BCL2ファミリータンパク質を標的とする治療またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物を使用する治療」は、互いに等価的意味で互換可能であり、第1タンパク質の活性を阻害するすべての医学的および/または薬学的行為を意味し、例えば、先立って説明したようなBCL2ファミリータンパク質の活性を阻害する薬物を、BCL2ファミリータンパク質の活性を阻害することを必要とする対象に処方および/または投与するものであり得る。より具体的には、「BCL2ファミリータンパク質を標的とする治療」は、BCL2ファミリータンパク質と結合したり、および/またはBCL2ファミリータンパク質を分解および/または構造的変形を行い固有の機能、例えば、アポトーシス抑制機能を減少させたり除去する薬物を、これを必要とする対象に処方および/または投与するものであり得る。
【0123】
前記投与は経口または非経口の経路で行われる。非経口投与である場合は静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、内皮投与、病変部位局所投与、鼻内投与、肺内投与、または直腸内投与などの経路で行われることができる。
【0124】
前記個体、患者または対象はすべての哺乳類、例えば人間、猿などの霊長類、マウス、ラットなどの齧歯類などであり得、例えば第1タンパク質と関連した疾病を有する患者であり得る。前記第1タンパク質と関連する疾病は、第1タンパク質の過発現または第1タンパク質が関与する細胞または組織内の信号伝達経路の活性化と関連する疾病であり得、例えば、癌、より具体的には血液癌であり得る。具体的例で、前記個体、患者または対象は癌患者、具体的には血液癌患者であり得る。
【0125】
本明細書に使用された用語の「薬物に対する反応性」は薬物の投与を受けた個体で前記薬物が効果を発揮する程度を意味する。
【0126】
本明細書に使用された用語の「効能または効果」は、薬物または治療が処置対象において達成しようとする医学的および/または薬学的効果を意味し、処置対象が有する疾病の予防および/または治療、および/または症状の緩和および/または改善などを意味する。例えば、前記薬物が抗癌剤であり、治療が抗癌治療であり、前記処置対象が癌患者である場合、前記効果は抗癌効果(癌の予防および/または治療効果)であり得、前記抗癌効果は癌細胞の成長を抑制する効果だけでなく、移動(migration)、侵襲(invasion)、および/または転移(metastasis)などを抑制、および/または癌の悪化を抑制、および/または抵抗性を減少または除去する効果などを含むことであり得る。
【0127】
他の例で、先立って説明したBCL2ファミリータンパク質標的薬物の効果予測および/またはBCL2ファミリータンパク質標的薬物治療に使用するための、分析装置を提供する。
【0128】
前記分析装置は、
第1タンパク質に特異的に結合する第1タンパク質の捕獲用物質または第1タンパク質を含む反応部を含むか、
これに加えて、第1タンパク質相互作用タンパク質検出用製剤および/または信号検出手段をさらに含むものであり得る。前記第1タンパク質相互作用タンパク質検出用製剤および第1タンパク質相互作用タンパク質に(特異的に)結合する結合物質を含むものとして、前記結合物質は、第1タンパク質相互作用タンパク質が第1タンパク質と相互作用(結合)する部位と相違する部位に結合する物質(例えば、抗体、抗原結合断片、抗体類似体、アプタマー、小分子化合物など)であり得、標識物質で標識されたものであり得る。
【0129】
前記第1タンパク質は先立って説明したとおりであり、精製されたタンパク質またはそれを含む細胞もしくは前記細胞の溶解物形態で使用され得、前記反応部は前記第1タンパク質、それを含む細胞、または前記細胞の溶解物、またはこれらが固定化された基板を含むものであり得る。
【0130】
前記分析装置は第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質の間の相互作用(結合)の有無および/または程度を測定するためのものであり得る。
【0131】
前記反応部は、表面に第1タンパク質捕獲用物質が固定化されたり、前記第1タンパク質が捕獲用物質によるかまたはよらずに(直接的に)固定化された基板を含み得る。前記第1タンパク質捕獲用物質は、第1タンパク質に特異的に結合する物質、例えば、抗体またはその抗原結合断片であり得る。前記反応部はウェル(例えば、マルチウェル)タイプ、スライド型、チャネル型、アレイ型、微少流体チップ、微細管(キャピラリ)などであり得るが、これに制限されるものではない。
【0132】
前記分析装置は、第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する装置であり得、これのために、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質をさらに含み得る。一例で、前記第1タンパク質相互作用タンパク質は、検出可能な信号を発生させる標識物質で標識されたり(標識物質が、例えば、化学的(例えば、共有的または非共有的)、組換え的、または物理的に、結合されたり)、標識物質が結合できるtagが付着した形態であり得る。
【0133】
また、前記タンパク質-タンパク質相互作用測定用装置は、信号検出手段で測定された信号値を第1タンパク質の水準に正常化(normalization)させるために、第1タンパク質に結合する探知用物質および前記探知用物質に結合する標識用物質をさらに含み得る。前記第1タンパク質に結合する探知用物質は、先立って説明したマルチウェルに含まれた、第1タンパク質の捕獲用物質と相違する部位で第1タンパク質と結合する生物分子(例えば、抗体)であり得、前記標識用物質は検出可能な信号を発生させる標識物質で標識され(標識物質が、例えば、化学的(例えば、共有的または非共有的に結合))前記第1タンパク質に結合する探知用物質に結合可能な生物分子(例えば、抗体)であり得る。
【0134】
前記信号検出手段は、使用された標識物質で発生させる信号に応じて通常使用されるあらゆる信号検出手段であり得る。例えば、前記信号検出手段は、信号刺激部および信号検出部を含み得、これに加えて、測定された信号を分析(例えば、定量または映像化)する信号分析部をさらに含み得る。一例で、信号刺激、信号検出、および信号分析はそれぞれ他の部位で行われたり、これらのうち少なくとも二つ以上が一つの部位で同時にまたは連続して行われ得る。一例で、前記標識が蛍光物質である場合、前記信号検出手段は、蛍光信号を発生および検出できるすべての手段より選ばれ得、例えば、蛍光信号刺激部(例えば、光源)、および蛍光信号検出部、および/または蛍光信号分析部を含み得る。一具体例で、前記信号検出手段は、全反射蛍光顕微鏡(Total Internal Reflection Fluorescence(TIRF)microscope)または共焦点顕微鏡(光源および蛍光信号検出用)を含むか、これに加えて、蛍光カメラ、例えばEMCCD(Electron-multiplying charge-coupled device)またはCMOS(Complementary metal oxide semiconductor)をさらに含み、光源供給および蛍光信号の映像化および/または定量を遂行することができる。前記光源の波長、強度、蛍光カメラ測定条件(例えば、1フレーム当たり露出時間、レーザパワー、カメラgain値、総撮影フレームなど)は先立って説明したとおりである。
【0135】
本明細書に提供されたタンパク質-タンパク質相互作用測定用装置は、少量の試料での第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質の間の相互作用および/または第1タンパク質と第1タンパク質の発現水準を、正確かつ効率的に観察、分析、検出、および/または測定できる利点を有する。したがって、前記マルチウェルまたはこれを用いる分析方法は生検(例えば、needle biopsy)、血中癌細胞試料のように非常に少量の試料に対しても有用であり、効果的に適用することができる。
【発明の効果】
【0136】
ベネトクラクス(Venetoclax)などのBCL2ファミリータンパク質標的薬物は様々な血液癌患者の治療に使用することができる。例えば、ベネトクラクス(Venetoclax)は、慢性白血病以外にも、薬物によるはやい好転が必要な急性白血病および骨髄癌の治療に適用できるが、患者の負担を最小限に減らすためにはやく薬物の効能を予想できる診断技法が必要である。BCL2単一タンパク質の発現量および突然変異遺伝子の有無を確認する従来の方法では、ベネトクラクス(Venetoclax)などのBCL2ファミリータンパク質標的薬物の効能を成功的に予測できないことに対し、本明細書で提供されるタンパク質-タンパク質相互作用および/またはタンパク質発現測定に基づく診断方法は、個別患者の多様な種類の血液癌にベネトクラクス(Venetoclax)などのBCL2ファミリータンパク質標的薬物がよく作用するかどうかをはやくかつ特定的に予測することができ、より迅速かつ効果的に個別オーダーメード血液癌治療を遂行できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0137】
図1】基板に付着した個別抗体と標的タンパク質の間の結合を測定した図面であり、図1aはBCL2、BCLxL、MCL1に関するものであり、図1bはBCL-W、Bfl-1に関するものである。
図2図2aは、試料内のBCL2、MCL1、BCLxLと外部から投入(Input)したBIM、NOXA、BADの相互作用を測定(PPI count)したものである。図2bは、試料内のBCL2、BCL-XLと外部から投入したtBIDの相互作用を測定(PPI count)したものである。図2cは、試料内のBCL2、MCL1、BCL-XLと外部から投入したBAX、BAKの相互作用を測定(PPI count)したものである。図2dは、試料内のBCL2、BCL-XL、MCL1と外部から投入したBIMタンパク質のBH3ドメインのみを検査タンパク質として使用して相互作用を測定したものである。
図3】第1タンパク質相互作用タンパク質の濃度による相互作用測定値の変化を、試料内のBCL2と外部から投入したBADの相互作用を測定して示す図である。
図4】外部から投入される溶液に含まれる界面活性剤の種類および濃度による相互作用測定値の変化を、試料内のBCL2と外部から投入したBADの相互作用を測定して示す図である。
図5】外部から投入される溶液に含まれる界面活性剤Triton X-100の濃度による相互作用測定値の変化を、試料内のBCL2と外部から投入したBADの相互作用を測定して示す図である。
図6】外部から投入される検査タンパク質BIMに対して、種(species)間の保存性に優れるアミノ酸(highly conserved amino acids)に変異が発生する場合にBCL-XLまたはBCL2との相互作用測定値に違いが生じることを確認した図である。
図7】試料(HL60、OCI-LY3)内のBCL2、MCL1、BCL-XLとBIMの複合体(complex)水準を測定した図である。
図8】試料(OCI-LY3)内のBCL2とBAXの複合体(complex)水準を測定した図である。
図9】試料(OCI-LY3)内のBCL2、BCL-XL、MCL1とBAKの複合体(complex)水準を測定した図である。
図10】試料(HL60、OCI-LY3、SUDHL8)内のBCL-XLとBADの複合体(complex)水準、MCL1とNOXAの複合体水準を測定した図である。
図11】タンパク質複合体(complex)水準を測定することにおいて、第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質が互いに互換できることを確認した図である。
図12図12aは、二種のBAK抗体がいずれもBAKに結合できることを示した結果である。図12bは、それぞれ[MCL1,BAK]、[BCL-XL,BAK]、[BCL2,BAK]を共発現(co-transfected)させた細胞(HEK293)に対して、明示された沈降抗体(pull down Ab)を用いて信号を測定した結果である。これにより、BAKに結合されるD4E4クローン(clone)のBAK抗体は、BCL2ファミリータンパク質が共発現された場合は結合されないことを検証した図である。図12cは、図12aで使用された抗体の一つであるAT38E2を用いて、先立って使用した共発現(co-transfected)されたBAKが検出されることを検証した図である。
図13】試料内のMCL1、BCL-XL、BCL2の発現量を測定した図である。
図14】試料内のBAX、BAKの発現量を測定した図である。
図15】aは、GDN(Glycoldiosgenin)で処理した試料に治療剤(Staurosporine、Venetoclax)を投入した後、BAXの発現量を検出抗体で測定したものであり、bは、Triton X-100で処理した試料に治療剤(Staurosporine、Venetoclax)を投入した後、BAXの発現量を検出抗体で測定したのである。cは、GDNで処理した試料に治療剤(Staurosporine、Venetoclax)を投入した後、BAXの発現量を検出抗体で測定したものであり、bは、Triton X-100で処理した試料に治療剤(Staurosporine、Venetoclax)を投入した後、BAXの発現量を検出抗体で測定したのである。
図16】検体内のBAX発現量を測定した図である。図16のa、cは特定の折り畳み形態のBAXの発現量をvenetoclax処理時間に応じて測定した図であり、図16のb、dは同一検体をTriton X-100で処理した後に測定した結果である。
図17】aは試料(HL60)のBCL2と外部から投入したBADの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図であり、bは試料(OCI-LY3)のBCL2と外部から投入したBADの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図である。
図18】aは試料(HL60)のMCL1と外部から投入したNOXAの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図であり、bは試料(OCI-LY3)のMCL1と外部から投入したNOXAの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図である。
図19】aは試料(HL60)のBCL-XLと外部から投入したBADの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図面であり、bは試料(OCI-LY3)のBCL-XLと外部から投入したBADの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図である。
図20】aは試料(HL60)内のBCL2、MCL1、BCL-XL発現量を、venetoclax、AMG176処理後測定した図であり、bは試料(OCI-LY3)内のBCL2、MCL1、BCL-XL発現量を、venetoclax、AMG176処理後測定した図である。
図21】aは、試料(HL60)内のBCL2、MCL1、BCL-XLとBIMの複合体(complex)水準を、venetoclax、AMG176処理後測定した図であり、bは、試料(OCI-LY3)内のBCL2、MCL1、BCL-XLとBIMの複合体水準を、venetoclax、AMG176処理後測定した図である。
図22】aは、試料(HL60)内のMCL1とNOXAの複合体(complex)水準を、venetoclax、AMG176処理後に測定した図であり、bは、試料(OCI-LY3)内のMCL1とNOXAの複合体水準を、venetoclax、AMG176処理後に測定した図である。
図23】aは試料(HL60)内のBCL-XLとBADの複合体(complex)水準をvenetoclax、AMG176処理後に測定した図であり、bは試料(OCI-LY3)内のBCL-XLとBADの複合体水準をvenetoclax、AMG176処理後に測定した図である。
図24】aは、試料(HL60)内のBCL2とBAXの複合体(complex)水準を、Venetoclax処理時間(hour)に応じて測定したものであり、bは、試料(OCI-LY3)内のBCL2とBAXの複合体水準を、Venetoclax処理時間に応じて測定した図である。
図25】aは、試料(HL60)内のBAX発現量を、Venetoclax処理時間(hour)に応じて測定したものであり、bは、試料(OCI-LY3)内のBAX発現量を、Venetoclax処理時間に応じて測定した図である。
図26】aは、試料(HL60)内のBAK発現量を、Venetoclax処理時間(hour)に応じて測定したものであり、bは、試料(OCI-LY3)内のBAK発現量を、Venetoclax処理時間に応じて測定した図である。
図27】試料(HL60)内のBCL2と外部から投入したBIMの相互作用を、Venetoclax、AZD5991がそれぞれ共存する状態で処理濃度に応じて測定した図である。
図28】試料(HL60)内のMCL1と外部から投入したBIMの相互作用を、Venetoclax、AZD5991がそれぞれ共存する状態で処理濃度に応じて測定した図である。
図29】AML患者(n=32)検体に対してすべてのパラメータ(相互作用(第1PPI)、複合体(Complex)(第2PPI)、発現量(Expression Level))を測定した後、Z-coreヒットマップで示す図である。
図30】乳癌(breast cancer)患者(n=302)検体のBCL2発現量(level)を定量的に測定した図である。
図31】肺腺癌患者(Patients)(n=15)検体のBCL2発現量を定量的に測定した図である。
図32】試料(Sample:OCI-LY3)をvenetoclaxで処理(treatment)した後、処理時間(hour)に応じて、試料内のBCL2と外部から投入したBIMの相互作用水準変化、および試料内のBCL2とBIMの複合体(complex)水準変化を測定した図である。
図33】試料(Sample:OCI-LY3)をAZD5991で処理(treatment)した時間(hour)に応じて、試料内のMCL1と外部から投入したNOXAの相互作用水準変化、および試料内のMCL1とNOXAの複合体(complex)水準変化を測定した図である。
図34】患者1の試料内のBCL2、MCL1、BCL-XLと外部から投入したBIMの間の相互作用水準を、i)診断当時(At diagnosis)抽出された骨髄(bone marrow)、ii)FLT3標的抗癌剤(quizartinib)処方後に再抽出された骨髄、iii)venetoclaxとLDAC処方後に取得した全血検体(peripheral blood)から測定した図である。
図35】患者2の試料内のBCL2、MCL1、BCL-XLと外部から投入したBIMの間の相互作用水準を、i)診断当時(At relapse)抽出された骨髄(bone marrow)、ii)FLT3標的抗癌剤(quizartinib)処方後に再抽出された骨髄、iii)venetoclaxとLDAC処方後に取得した全血検体(peripheral blood)から測定した図である。
図36】a~cは、AML患者検体(n=32)から、venetoclax反応性(縦軸)とPPI(第1PPI)、複合体(第2PPI)、発現量など21種類測定値の間の相関関係を分析した結果である。
図37】AML患者検体からvenetoclax反応性とBCL2-BIMPPI(第1PPI)およびBCL2-BIM複合体(第2PPI)測定値の間の相関関係を分析した結果である。
図38】指標(parameter)を組み合わせてvenetoclax反応性を予測する結果に関するものであり、図38aは指標を1から10個まで増やすときの相関係数値を示した結果であり、図38bは、二つ指標を組み合わせたときの相関分析結果を、単独指標時の結果と比較して示すグラフであり、図38cは、五つの主な指標が組み合わされた時の相関分析結果である。
図39図39a~39cは、AML患者検体(n=26)からAZD5991反応性とPPI(第1PPI)、複合体(第2PPI)、発現量など21種類の測定値の間の相関関係を分析した結果である。
図40】四つの主な指標を結合してAZD5991反応性を予測した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0138】
本発明を下記実施例を挙げてより詳しく説明するが、本発明の権利範囲は下記実施例に限定される意図ではない。
【実施例
【0139】
実施例1.試料内タンパク質および試料外タンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(PPI)の測定
【0140】
1.1.分析溶解液(試料)の準備
慢性リンパ球性白血病(CLL)および急性骨髄性白血病など多様な血液癌患者から得られた骨髄サンプルから、Ficolle gradientのprotocol(GE healthcare Ficoll-paque plus 17-1440-03)を用いてBuffy coatのみを選別的に収集した。
【0141】
分離したBuffy coatのペレットをdPBSでWashingした後、dPBS 500gで5min間分離した。当該過程を二回繰り返し、細胞に残っている赤血球と血小板を最大限に除去できるようにした。このように分離したBuffy coatから由来した血液癌細胞を10個ずつ小分し、以後の実験に使用できるように窒素にSnap-freezeした後、-80℃で保管した。
【0142】
血液癌細胞株(細胞株銀行およびATCC;HL-60(CVCL_0002)、OCI-LY3(CVCL_8800))、Ramos(CVCL_0597)、U937、THP1、SUDHL8)および患者のBuffy coatから由来した癌細胞のペレットは、lysis buffer(Hepes 50mM Nacl 150mM Glycerol 10%(w/v)GDN(Digitonin)1%(w/v)with 2%(w/v)phosphatase inhibitor cocktail2,3(P5726,P0044))を用いてサスペンションし、10分に一回ずつ総3回にわたってvortexingした。30分後、ペレットを溶かしたlysis bufferを15000gで10分間遠心分離して上層液を分離し、これを以後の実験で基板に適用するための分析溶解液として使用した。
【0143】
1.2.標識物質で標識された第1タンパク質相互作用タンパク質の準備
標識物質で標識された第1タンパク質相互作用タンパク質(マーカー(probe)タンパク質)は一時的トランスフェクションにより生産した。より具体的には、pEGFP-C1(Addgene:PT3028-5)に制限酵素処理後、各タンパク質遺伝子BIM(Sino biological:HG13819-G)、NOXA(Sino biological:HG16548-U)、BAD(Sino biological:HG10020-M)を挿入して、GFP発現タンパク質ベクターを製造した。製造された発現ベクターを、Polyethylenimineを用いてHEK293T細胞(ATCC;CRL-3216)に一時的トランスフェクションして、過発現されたGFP-標識(GFP-labeled)タンパク質を取得した。
【0144】
GFP-標識タンパク質が発現したHEK293T細胞を、1% TX100 lysis bufferで溶解させ、細胞溶解液サンプルを準備した。前記準備された細胞溶解液を、1% TX100 lysis bufferを使用して165nMに希釈した後、小分してSnap-freezeし、実験前に解凍して使用した。最終的に、標識された第1タンパク質相互作用タンパク質を含む細胞溶解液は0.03%のTX-100を含むように準備した。
【0145】
本発明の方法でBID、またはBIM、BAX、BAKのうちBH3ドメイン(domain)のみを選別的に使用して、標識された第1タンパク質相互作用タンパク質を準備した。次の表1は下記の実施例で使用された第1タンパク質相互作用タンパク質(人間由来)およびこれらのUniprot IDと使用されたアミノ酸部位を例示する。
【0146】
【表1】
【0147】
前記第1タンパク質相互作用タンパク質のマーカー(probe)としては緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein、以下GFP;pEGFP-C1 vector(clontech)使用して標識)を使用し、前記第1タンパク質相互作用タンパク質のC-末端にeGFPが連結された形態を準備した。
【0148】
1.3.基板の準備
45mm*60mm Glass cover slipを、biotin PEG:mPEGの比率を3:100(w:w)にしてコートした。
【0149】
前記基板のPEGコートされた面でBCL2ファミリータンパク質(第1タンパク質)を沈降させるために、NTV(Neutravidin;Thermo、A2666)とBiotinが標識されたGoat anti-rabbit secondary(111-065-046 Jackson immunoresearch)抗体を使用した。
【0150】
NTVおよび二次抗体を、PEGコートされた基板上に結合させた後、各BCL2ファミリータンパク質(第1タンパク質)を沈降(pull down)させるための抗体(一次抗体)として、次の表2に例示した抗体を使用した。
【0151】
患者細胞および細胞株(韓国細胞株バンクおよびATCC;HL-60、U937、THP1、OCI-LY3、SUDHL8)の溶解物(lysate)を、それぞれ観測しようとするタンパク質を沈降させ得る抗体(表2参照)がコートされたwellに10ulずつ入れて、室温で1時間反応後、Washing buffer(Hepes 50mM Nacl 150mM Glycerol 1% GDN 0.03%)で残余lysateを洗浄した。
【0152】
【表2】
【0153】
前記表2に例示した抗体の性能を、GFPと融合した第1タンパク質を用いて基板に固定される程度として測定した。具体的には、GFPと融合したBCL2タンパク質1nMを、前記提示された抗体が備えられた基板に注入した後に反応させた後、洗浄過程を経て残っているGFPの量を測定した。BCL-XL、MCL1、BCLw、およびBFL1に対しても同じ試験を行った。前記得られた結果を図1aおよび1bに示した。図1aおよび1bに示すように、前記表2に提示された個別抗体は標的になるタンパク質を基板に成功的に固定させ得ることを確認した。
【0154】
1.4.試料内タンパク質と試料外タンパク質の間の相互作用測定
前記実施例1.2で準備された、標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質を含む細胞溶解物を、実施例1.3で準備された基板に供給した。より具体的には、前記実施例1.2の細胞溶解物をウェルに10ulずつ入れて室温で15分間反応させた後、Washing buffer(Hepes 50mM Nacl 150mM Glycerol 1% GDN 0.03%)で残余物を洗浄した。その後、次のようにタンパク質相互作用(PPI)を測定した:
【0155】
全反射蛍光顕微鏡に基板を固定させてイメージングし、タンパク質の間の相互作用(結合)についてのデータを得た。結果の正確性を高めるために、同一条件で合計10個の異なる位置でイメージを取得し、それを平均して代表値として使用した。
【0156】
蛍光イメージは16bit unsigned integer形式で保存した。蛍光信号に合わせて信号観測のためのレーザの波長を調節し(GFPの場合488nm)、発光時間を11秒程度維持させるためにレーザパワーを2mWに調節して使用した。
【0157】
全体フレーム(10フレーム)のうち、序盤フレームを捨てて、3個のフレーム(7-9回目フレーム)のイメージを平均して一つのイメージを生成し、このような過程をウェルの中で位置を移りながら繰り返し行って、合計10個のイメージを取得して下記の過程を行った。EMCCD(Electron-multiplying charge-coupled device;Andor iXon Ultra 897 EX2(DU-897U-CS0-EXF))カメラを用いて1フレーム当たり露出時間を0.1秒にし、EMCCD gain値は40にして蛍光イメージを得た。
【0158】
蛍光タンパク質から出る信号は、特定位置に集まっている形態(localized point spread function(PSF))で発生するが、このPSF個数(物理的な値)が、測定しようとするBCL2ファミリータンパク質とこれと相互作用(結合)するタンパク質の間のPPI数字(生物学的な値)である。前記PSF値は、下記のような過程を経て生物学的な値であるPPI値に転換させた:
【0159】
(a)Local maximumの位置を求めた(例えば、i番目row、j番目column pixel)。先立って記述した通り、単分子蛍光信号は512×512ピクセルのうち特定位置(現在の観測装備下で概ね5×5ピクセルサイズ、1pixel=0.167マイクロメーター)に集まって形成されるので、local maximumを見つけると個別PSFを選別することができる。これはMatlabで提供されるtoolkitを用いて求めることができる。
【0160】
(b)前記(a)で求めたlocal maximumが実際のPSFから発生したものであるかどうかに対する判別過程を経る。まずlocal maximumの最小値(minimum intensity value)を定義し、前記得られたlocal maximumのうちこの最小値より大きい場合のみ分析に使用した。本実施例で使用された最小値は75であり、この値はレーザパワー/露出時間/装備構築状況によって変わる。最終的に得られたlocal maximum座標を中心に5×5ピクセルの情報を呼び出した後、この5×5ピクセルで明るさに対する中心を求めた(centroid of intensity)。このとき、求めた明るさの中心が既存のlocal maximum座標に対して0.5pixel以上外れると(PSF形に対する2D対称が消えると)、正常でない蛍光信号であると判断して分析から除外した。
【0161】
(c)すべての条件を通過したPSFのみを最終的に選別して、座標と全体個数を求めた。このとき得られたPSF全体個数がPPIの個数(PPI count)となる。
【0162】
同じ条件下で撮影されたすべてのファイルに対して前記過程を行ってPSF個数を求めた後、これを集合して平均と標準偏差を求めた。この値が最終的に特定条件でPPIの個数を示す値になる。本実施で、PPIの個数により、試料内第1タンパク質と試料外第1タンパク質相互作用タンパク質の間に形成された複合体を測定することができる。
【0163】
前記得られたPPIの個数(PPI count)測定結果を図2a(第1タンパク質および第1タンパク質相互作用タンパク質の種類に応じた結果)、2b(細胞株の種類に応じた結果)、2c(第1タンパク質および細胞株の種類に応じた結果)、および2d(第1タンパク質および細胞株の種類に応じた結果)に示した。
【0164】
また、本実施例の試料内タンパク質および試料外タンパク質の間の相互作用の測定結果に影響を及ぼす要素を確認するために、(i)分析溶解液(extracts)(試料)濃度、および標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質の濃度(concentration)によるPPI強度(strength)(測定された蛍光信号強度)(図3)、(ii)分析溶解液(extracts)(試料)濃度、および標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質を含む細胞溶解液に含まれる界面活性剤(Detergent)の種類(class)に応じたPPI count(図4)および濃度(concentration)に応じたPPI count(図5)を測定した。大体において分析溶解液(試料)濃度および第1タンパク質相互作用タンパク質の濃度が増加することによりPPI countも増加する傾向を示した。
【0165】
また、第1タンパク質相互作用タンパク質の変異に応じたPPI countを測定して図6に示した。
【0166】
実施例2.試料内タンパク質間の相互作用の測定(複合体(Complex)の測定)
本実施例では、同じ試料内第1タンパク質と第1相互作用タンパク質の間の相互作用測定を行った。具体的には、前記相互作用は、分析溶解液内で第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質が結合された状態で存在する第1タンパク質-第1タンパク質相互作用タンパク質複合体を検出して測定した。本実施例で測定された第1タンパク質-第1タンパク質相互作用タンパク質の間複合体を下記の表3に例示した:
【0167】
【表3】
【0168】
前記表3に示した図面の結果は、第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質のうち、第1タンパク質が基板に固定され、標識された第1タンパク質相互作用タンパク質結合物質を用いてこれらの間に形成された複合体を測定した結果である。逆に第1タンパク質相互作用タンパク質が基板に固定され、標識された第1タンパク質結合物質を用いてこれらの間に形成された複合体(complex count、PPI count)を測定することもできる(この場合、第1タンパク質相互作用タンパク質に対する抗体をプルダウン(pull down)抗体として、第1タンパク質に対する抗体を検出(detection)抗体として使用する)(図11)。図7図11で確認されるように、第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質のうちどれを基板に固定させるかに関係なく等しい検出効果を得ることができる。
【0169】
前記のような結果は、次のように試料内の第1タンパク質-第1タンパク質相互作用タンパク質の間の相互作用を測定して得られたものである:
【0170】
まず、前記実施例1.1と同一に準備された分析溶解液を、実施例1.3を参照して準備された基板に供給した。
【0171】
試料内のタンパク質複合体検出のための結合物質として、第1タンパク質相互作用タンパク質に対する抗体を検出抗体(detecting antibody)として使用し、前記検出抗体を標識するために、蛍光が標識されたCy3 AffiniPure Donkey Anti-Mouse IgG(jackson ImmunoReserach:715-165-151)抗体(二次抗体)を希釈して準備した。
【0172】
前記準備された検出抗体を、前記準備された基板に供給した。検出抗体はウェルに10ulずつ入れて室温で15分間反応させた後、Washing buffer(Hepes 50mM Nacl 150mM Glycerol 1% GDN 0.03%)で残余抗体を洗浄した。その後、蛍光が標識されたCy3 AffiniPure Donkey Anti-Mouse IgG(jackson ImmunoReserach:715-165-151)抗体を2000倍希釈してウェル当たり10ulずつ10分間反応させた後、Washing buffer(Hepes 50mM Nacl 150mM Glycerol 1% GDN 0.03%)で残余抗体を洗浄した。その次にタンパク質相互作用(complex)を測定した。測定方法は前記実施例1-4と同一に実施した。
【0173】
本実施例に使用された結合物質(抗体)情報を下記表4に例示した:
【表4】
【0174】
前記叙述したように、第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質は互いに相互交換が可能である。また、使用された抗体がモノクローナルの場合、同等なクローンであれば他の製造会社の製品も使用可能である。
【0175】
前記抗体リストは本実施例を説明するために例示的に記載しただけであり、本発明の範囲を制限するものとして解釈されない。
【0176】
本発明で複合体を形成する第1タンパク質または第1タンパク質相互作用タンパク質に対する抗体、またはタンパク質特異的結合物質の使用について格別な制限は存在しない。ただし、二つのタンパク質の複合体形成にとって主要であると知られている部位を抗体あるいは結合物質の認識部位として使用する場合には複合体検出ができなくなる。一実施形態で、BAKと複合体を形成するBCL2、BCL-XL、MCL1を検出するためには、BAKのBH3部位を除いた他の部位(例えば、脂質膜を通過しない(膜貫通ドメインでない)、helix 1番からhelix 4番までの部位など)を認識する抗体を使用した方が良い(図12)。
【0177】
実施例3.試料内タンパク質発現水準の測定
本実施例では、分析溶解液内に存在する特定タンパク質の量を定量的に測定した。前記特定タンパク質はBCL2、BCL-XL、MCL1、BAX、およびBAKである。
【0178】
これのために、前記実施例1-1と同様の方法で分析溶解液を準備し、実施例1-3と同様に準備された基板に供給した。その後、前記基板に、実施例2のように準備された標識された検出抗体(蛍光が標識されたCy3 AffiniPure Donkey Anti-Mouse IgG(jackson ImmunoReserach:715-165-151)抗体で標識される)を添加した。その後、実施例1-4と同様の方法を行って、蛍光信号測定により分析溶解液内の分析対象タンパク質とその検出抗体の間の結合を測定した。
【0179】
本実施例で、分析対象タンパク質を基板に固定するための捕獲(pull down)抗体と検出するための検出(detecting)抗体は互いに抗原が同一であるが、抗原の互いに異なる部位に結合するものを選ぶべきである。
【0180】
本実施例に使用された抗体情報を次の表5に例示した:
【表5】
【0181】
前記第1結合物質は基板に固定される抗体であり、第2結合物質は、分析溶解液が注入された後標的タンパク質検出のために供給される抗体である。このとき、前記第1結合物質と第2結合物質は互いに変えて使用することが可能である。例えば、第2結合物質を基板に固定して、分析溶解液、第1結合物質の順に基板に供給しても同様に標的タンパク質の定量分析が可能である。前記提示された抗体は本発明の範囲を限定しない。ただし、第1結合物質と第2結合物質の抗原認識部位(epitope)は互いに完全に重複するべきではない。
【0182】
実施例4.特定折り畳み形態(Conformation-specific)のタンパク質の測定
本実施例は、タンパク質折り畳み形態によって特異的に認知できる抗体または結合物質を用いて、検体内に存在する特定折り畳み形態(conformation)のタンパク質を検出する方法に適用することができる。一実施形態でタンパク質折り畳み形態の特異的検出はBAX、BAKを含む。
【0183】
従来の発見によれば、BAXタンパク質は細胞内で多様な折り畳み形態を維持することができる。そのうちN-末端に属する約20個程度のアミノ酸の露出(exposure)は、BAXタンパク質が細胞死を起こし得る形態への折り畳み時に発生すると知られている(Yi-Te Hsu et al., J. Bio. Chem. 272, (1997), Michael A. Dengler et al., Cell Rep. 27 (2019))。またはBAKタンパク質は、ミトコンドリア脂質膜への移動の際に多様な折り畳み形態変化を起こして細胞死を誘導する(Mark Xiang Li et al., PNAS 114 (2017))。このように特定折り畳み形態でのみ露出する部位を認識できる抗体または結合物質を用いると前記実施形態を実現することができる。
【0184】
一例として、BAXタンパク質のN-末端を認知するように知られている抗体と、どの折り畳み形態でも露出する部位を認知する抗体を用いる場合、検体内の細胞死を誘導するように活性化された状態のBAXタンパク質を検出することができる。また他の例として、BAKタンパク質のBH3部位を選択的に認識する抗体といかなる状態でも露出するBAK部位を認識する抗体対を用いる場合は、BH3が露出した折り畳み形態のBAKタンパク質を検体から検出することができる。下記表6はこのような発明を実現するために使用された抗体対を提示する。下記抗体は本発明の範囲を限定するものではない。また、モノクローナル抗体の場合は製造会社と関係ない。
【0185】
【表6】
【0186】
前記表で、抗体1は基板の表面に、抗体2は検出のために注入される抗体を意味する。二つの抗体の役割が変わっても結果は等しい。例えば、抗体2を基板表面に固定し、抗体1を検出抗体として注入しても等しい効果を期待することができる。
【0187】
前記方法の実現のためには、実施例1で実現したもののように分析溶解液を準備する。
【0188】
本実施例でタンパク質量の定量分析のための測定方法は、実施例2または実施例3で提示した方法と同様の方法であり得る。例えば、使用される抗体またはタンパク質特異的結合物質がいずれも同じ抗原または標的タンパク質に結合されるように形成されている。ただし、二つの抗体あるいはタンパク質特異的結合物質の標的タンパク質結合部位は互いに異なるべきである。また、抗体を使用する場合、二つの抗体の宿主(host)は当該抗体に直接的にマーカーが備えられていない限り異なることが推奨される。
【0189】
本実施例は実施例2または3で提案した方法を参照して遂行する。例えば、抗体1、検体、抗体2の順に注入して特定の折り畳み形態の標的タンパク質を検出することができる。
【0190】
本実施例の実現のために、人為的に細胞死を誘導して検体を準備することができる。例えば細胞をStaurosporineで1時間処理して細胞死を誘導したりvenetoclaxで24時間処理して細胞死を誘導した状態の検体を準備する。この検体を、GDNが含まれた溶解液で溶解して分析溶解液(extracts)を作った後、N-末端が露出したBAXを検出すると信号が増加することを確認することができる(図14)。同じ検体について、Triton X-100が含まれた溶解液で分析溶解液を準備する場合、非イオン系の界面活性剤であるTriton X-100によって強制的にN-末端を誘導することができる。この分析溶解液からN-末端が露出したBAXを検出する(図15)。細胞死が誘導された検体で、GDNを用いて分析溶解液を準備した後、検出抗体を用いてN-末端が露出したBAXを測定する場合は、増加することを見ることができる。反面、Triton X-100を用いて人為的にN-末端が露出するようにする場合、細胞死誘導の有無に関係なく一定の値で示されることを見ることができる。
【0191】
また他の例として、AML細胞であるHL60やDLBCL細胞であるOCI-LY3をベネトクラクス(Venetoclax)で処理して細胞死を誘導して、BAX N-末端が露出する比率を測定することができる。100nM濃度のベネトクラクス(Venetoclax)で2、4、8、24時間処理した後取得された検体について、GDNが含まれた溶解液で分析溶解液を準備する。その後BAXを検出すると、ベネトクラクス(Venetoclax)処理時間によりBAX検出信号が変わることを確認することができる(図16)。反面、同じ分析溶解液に最終的に1%濃度のTriton X-100になるように追加で混ぜてN-末端露出を誘導した後同じ分析を行う場合、時間によってBAX量の変化が殆どないことを見ることができる。
【0192】
これにより、本発明で提示する折り畳み形態の特異的タンパク質検出方法は、細胞の状態、例えば細胞死程度の分析に役に立つ指標を提供することができる。
【0193】
実施例5.BCL2ファミリータンパク質標的阻害剤処理による細胞内のBCL2ファミリー信号伝達経路変化の測定
本実施例は、BCL2ファミリータンパク質の標的阻害剤処理による細胞内の信号伝達変化を測定できる方法を提供する。より具体的にはBCL2標的阻害剤であるベネトクラクス(Venetoclax)、またはMCL1標的阻害剤であるAZD5991で処理しながら、細胞内に存在する多様なBCL2ファミリータンパク質(例えば、BCL2、BCL-XL、MCL1)の試料間のタンパク質相互作用の強度、試料内のタンパク質相互作用の強度(複合体測定)、タンパク質発現量の変化を包括的に分析できる方法を提供する。
【0194】
本実施例の実現のために、試料間のタンパク質相互作用の測定は実施例1、試料内のタンパク質複合体の測定は実施例2、発現量変化の測定は実施例3、4と同一であり得る。
【0195】
一例として、細胞を処理する標的阻害剤ベネトクラクス(venetoclax)またはAZD5991の濃度は100nMであり、時間は24時間であり得る。対照群として同じ条件でDMSOで処理したものを準備する。
【0196】
本実施例で分析した内容は下記の表7および表8に整理した:
【0197】
【表7】
【0198】
(前記表7において、
BIM*は、BIMのうちBH3ドメインのみを切り出したタンパク質にGFPマーカーが備えられた形態であり、
第1タンパク質は、分析溶解液に含まれたタンパク質であり、基板表面に結合されるタンパク質である)
【0199】
【表8】
【0200】
前記表で、複合体を形成する第1タンパク質および第1タンパク質相互作用(結合)タンパク質はいずれも分析溶解液に含まれたタンパク質である。二つのタンパク質のうちどのタンパク質が基板表面に固定されても結果は等しい。例えば、基板の表面に固定される抗体は第1タンパク質の抗体であり得、第1タンパク質相互作用(結合)タンパク質の抗体でもあり得る。
【0201】
一例として、本実施例で提案する方法により、BCL2標的阻害剤で処理される前/後のBCL2ファミリータンパク質のPPI強度変化および複合体の形成程度変化を定量的に測定することができる。これを実現するために、HL60またはOCI-LY3細胞株をDMSO、Venetoclax 100nM(BCL2標的阻害剤)、AMG176 100nM(MCL1標的阻害剤)で24時間処理した後、それぞれの検体から分析溶解液を生成して、前記提示された指標を測定する。Venetoclaxで処理した場合、HL60やOCI-LY3のすべてにおいてBCL2-BADPPI強度が増加することを確認することができる(図17)。反面、MCL1標的阻害剤であるAMG176で処理した場合、BCL2-BADPPIの変化は殆どなかった。これはvenetoclax-BCL2のみに限定されるものではない。MCL1-NOXAPPIの場合、AMG176で処理したとき選択的に増加することを確認することができる(図18)。BCL-XLの場合、venetoclax/AMG176いずれにも反応せず、BCL-XL発現量に応じてPPI強度が変わることにより、BCL2、MCL1標的阻害剤による当該タンパク質のPPI強度が選別的に発生することを確認することができる(図19、20)。
【0202】
また他の例として、BCL2標的阻害剤処理による複合体形成変化の測定が挙げられる。前記PPI測定と同一条件下で収集された検体を分析して、BCL2ファミリーとBIM複合体の形成程度変化(図21)、MCL1-NOXA複合体変化(図22)、BCLXL-BAD複合体変化(図23)の測定に用いられる。さらに、BCL2-BAX複合体変化(図24)、BAXおよびBAK発現量変化(図25図26)の測定にも適用することができる。
【0203】
本実施例は、使用される標的阻害剤とBCL2ファミリータンパク質および関連する信号伝達タンパク質の間の直接的な関係の測定にも使用することができる。これを実現するために、第1タンパク質はBCL2またはMCL1タンパク質を用いて、第1タンパク質相互作用タンパク質としてはBIM-GFPタンパク質を用いる。基板の表面に第1タンパク質が固定された状態で、第1タンパク質相互作用タンパク質と共に多様な濃度の標的阻害剤、venetoclaxまたはAZD5991(MCL1標的阻害剤)を注入してPPI強度変化の測定にも使用することができる。BCL2-BIMPPI強度は、BCL2標的阻害剤であるvenetoclaxがある場合にのみ減少し、AZD5991はほとんど影響を及ぼさない(図27)。反面、MCL1が第1タンパク質である場合は、AZD5991によってのみMCL1-BIMPPI強度が減少することを見ることができる(図28)。
【0204】
これをまとめると、本発明で提案する方法により、検体がBCL2ファミリー標的阻害剤で処理されたとき現れるBCL2ファミリータンパク質の特性(PPI強度、複合体形成、発現量など)を定量的に分析することができる。また、PPI強度変化は薬物によって直接的に調節される現象であることを確認することができる。結論的に、本発明により提案される方法は、BCL2標的阻害剤処理によるBCL2ファミリータンパク質の変化を測定できる方法であり、検体の分子診断技法として用いられることができる。
【0205】
実施例6.実際の患者検体の分析方法
本実施例で例示する方法は、患者(例えば急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia,AML)または乳癌)から由来した検体でBCL2ファミリータンパク質の特性を測定することである。
【0206】
患者検体間の同等な比較のために、準備された患者検体分析溶解液の全体タンパク質濃度を、Bradford技法、lowry技法、赤外線吸光度などより選ばれた一つ以上の方法で決定することができる。基板に注入される検体の濃度を一定に維持し、検体間の定量的な比較を可能にする。AML患者検体としては、患者の血液または骨髄から抽出された検体を使用することができる。固形癌組織の場合、手術、針生検(needle biopsy)などから取得された検体を使用することができる。
【0207】
患者検体は実施例1、2、3に提示されたすべての分析が可能であり、これに限定されるものではない。これは血液癌、固形癌に拘らずすべて適用することが可能である。
【0208】
一例として、AML血液癌患者32名から取得された検体を分析してBCL2ファミリーのPPI(実施例1参照)、複合体(実施例2参照)、発現量(実施例3参照)を総合的に分析する方法を提供することができる(図29)。
【0209】
また他の例として、乳癌患者302名から取得された検体を分析して、検体内存在するBCL2タンパク質の発現量を定量的に測定するために使用することができる(図30)。
【0210】
また他の例として、肺腺癌(lung adenocarcinoma)患者検体15個から、検体内に存在するBCL2タンパク質の発現量の測定に適用することができる(図31)。
【0211】
実施例7.実施例1の相互作用測定と実施例2の複合体測定の比較
本実施例で提案する二つの方法、第1タンパク質相互作用タンパク質を用いるPPI強度測定(実施例1)と第1タンパク質結合タンパク質との複合体形成測定(実施例2)は互いに異なる情報を提供することができる。
【0212】
より具体的には、OCI-LY3細胞培養中にVenetoclax 100nMまたはAZD5991 100nMで処理する方法により、薬物処理前/後のBCL2ファミリータンパク質のPPI強度および複合体の形成程度の変化を本発明の方法により測定することができる。一例として、BCL2-BIMPPIの場合、venetoclaxで処理された検体で高まる傾向を示すが、BCL2-BIM複合体は減少すると確認される(図32)。また他の例として、MCL1-NOXAPPIの場合はAZD5991で処理された検体で高まったが、MCL1-NOXA複合体は減少した(図33)。このような例により、実施例1により具現されるPPI強度測定と実施例2により具現される複合体形成測定は根本的に異なる測定値であることがわかる。
【0213】
実施例8.薬物投与を決定するためにBCL2系タンパク質の相互作用変化観測により患者状態の追跡をする方法
本実施例で提案する方法により、患者の分子的状態を時系列で追跡する方法を提供することができる。より具体的には、血液癌患者の骨髄または血液検体を時間に応じて採集して、相互作用分析によりBCL2ファミリータンパク質の依存程度および該当標的抗癌剤処方の有無を決定するのに役に立つ情報を提供することができる。これを実現するために、患者1において、i)診断当時の骨髄を抽出してBCL2、MCL1、BCL-XLとBIM-GFPの間の相互作用(PPI)分析、ii)FLT3標的抗癌剤であるquizartinib処方後骨髄を再抽出して同じ分析、iii)前記ii)段階で取得された相互作用(PPI)情報に基づいて、venetoclaxとLow-dose cytarabine(LDAC)を処方した後取得した全血検体で同じ分析を行った(図34)。診断当時患者のBCL2-BIMPPIは低いためvenetoclax処方根拠が不足したが、FLT3標的阻害剤であるquizartinib処方以後、BCL2-BIMPPIが急激に高まる信号伝達経路再設定(signal rewiring)が発生し、これに基づいてvenetoclaxとLDACを併用処方してBCL2-BIMPPIが再び低くなることを確認した。また、臨床的所見としてはquizartinib処方以後に急激な白血球(WBC)数値上昇が発生したが、venetoclax+LDACの併用処方以後に再び安定した白血球数値を示して、venetoclaxの薬効を臨床的レベルでも確認することができた。以後、臍帯血抽出幹細胞移植(Cord blood stem cell transplantation)により、当該患者は完全寛解(complete remission)を達成することができた。
【0214】
また他の例として、患者2番に対しても患者1と同様の方法で時系列診断を行った(図35)。当該患者もFLT3標的阻害剤処方ではBCL2ファミリータンパク質の信号伝達経路を調節できなかったが、venetoclaxとLDACの併用処方以後にはBCL2-BIMPPIが急激に減少したことを確認することができた。これは、白血球(WBC)数値検査においても同様にquizartinib処方以後に約3倍程白血球数値が増加したことから、quizartinib処方は臨床的効果がなかったと判断される。
【0215】
実施例9.BCL2標的阻害剤反応性予測方法の開発
本実施例で提案される方法により、急性骨髄性白血病(Acute myeloid leukemia)患者の、BCL2標的阻害剤ベネトクラクス(venetoclax)に対する感受性を予測することができる。
【0216】
具体的には、実施例6によりAML患者から抽出した検体(骨髄または血液)において、BCL2ファミリータンパク質のうち6種に対してPPI測定(実施例1)、6種に対して発現量測定(実施例3)および9種に対して複合体測定(実施例2)を行った(下記表9参照)。
【0217】
【表9】
【0218】
Venetoclax反応性測定のために、患者から分離した検体をそれぞれ0、30、100、300、1000nMのvenetoclaxで24時間処理した後、生きている細胞の量をフローサイトメーターを用いて測定する。残余生存細胞量に対する容量反応曲線を描いた後、グラフ下部面積(AUC,Area under the curve)の逆数値を用いて個別患者のvenetoclax反応性を定量する。
【0219】
個別測定値についてのvenetoclax反応性との線形相関関係の分析により、最も予測力が高い指標を取得することができる(図36a-c)。定量的比較のための線形相関係数(R、pearson correlation coefficient)を取得する。合計21個の指標のうちR値が0.65以上で測定されるに値は、BCL2-BADPPI、BCL2-BIMPPI、BCL2発現量およびBCL2-BAX複合体形成が含まれる(図36a-cの四角で表した四つの指標)。前記選ばれた指標は、venetoclax反応性測定モデル樹立にあたり発明の範囲(例えば予測モデルに含まれる指標の種類)を制限するものではない。
【0220】
PPIと形成された複合体が互いに異なる指標であることを確認するために、BCL2-BIMPPIとBCL2-BIM複合体の形成程度をそれぞれvenetoclax反応性と比較することができる(図37)。BCL2-BIMPPIの場合、venetoclax反応性とR=0.74で高い相関関係を示すが、BCL2-BIM複合体形成はR=0.41で低い相関係数を示す。これによりPPI測定と複合体形成の測定は互いに異なる指標であることを推論することができ、PPI測定により高い正確度でvenetoclax反応性の予測が可能であることを示す。
【0221】
測定値の結合(組合せ)によって、よりvenetoclax反応性予測の正確度を向上させることができる。測定値を組み合わせる方法は、多変数線形回帰(multiple linear regression)、ロジスティック回帰(logistic regression)、サポートベクターマシン(support vector machine)など多様な方法があり、本発明の実施例では多変数回帰方式を用いたが、本発明の範囲はこれに制限されるものではない。単一変数(指標)を用いる場合R=0.75程度が最も高い値であったが、結合される変数の個数(Number of parameters combined)が多くなるほどこれは増加する(図38a)。
【0222】
21個の変数(指標)を結合する場合、最大2,097,151個の変数結合が生成される。最適なモデル探索には生物学的妥当性、数学的妥当性など多様な変数が考慮される。
【0223】
一例として、単独指標より2以上の指標を組み合わせる場合、より上昇された分析結果が得られることを示すために、BCL2-BAXまたはBCL2-BIM複合体の形成程度とvenetoclax反応性との相関関係を図38bの上段に示し、BCL2-BAXまたはBCL2-BIM複合体の形成程度とBCL2-BADPPIを結合した結果とvenetoclax反応性との相関関係を図38bの下段にそれぞれ示した。図38bに示すように、BCL2-BAXまたはBCL2-BIM複合体の形成程度を測定した場合、R値がそれぞれ0.67および0.41であったことに比べて、BCL2-BADPPIを結合した場合のR値はそれぞれ0.76および0.75で、二つの指標を組み合わせた場合より改善された薬物反応性予測結果が得られることを確認した。
【0224】
他の例として、合計5個の変数が結合されたモデルを用いる場合、線形相関係数が0.85に増加することを確認することができる(図38c)。このとき含まれる変数は下記表10のとおりであり、これは多様な変数の組み合わせのうち最も有意な結果を示す。
【0225】
【表10】
【0226】
実施例10.MCL1標的阻害剤反応性予測方法の実現
実施例9で行ったものと同様に、MCL1標的阻害剤に対する反応性予測方法が提供され得る。一例としてMCL1標的阻害剤はAZD5991を用いたが、類似の薬物作用機構(mechanism of action)を有する標的阻害剤であれば同等に使用され得る。使用された薬物の種類は本発明の範囲を制限しない。
【0227】
実施例9のように単一指標に対する線形相関分析を行うことができ、これによりMCL1-BIMPPI、BCLXL-BIMPPI、BAX発現量、BAK発現量などがAZD5991反応性と相関関係があることを確認することができる(図39a-c)。
【0228】
反応性予測の正確度を上昇させるために、実施例9のように多様な変数結合を用いることができる。一例として下記表11に示した変数を結合してAZD5991反応性との相関分析を行うとR=0.78という値を取得し得(図40)、これは多様な変数の組み合わせのうち最も有意な結果を示す。
【0229】
【表11】
【0230】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。これと関連し、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり、いかなる場合にも限定的なものとして解釈されない。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図13a
図13b
図13c
図14a
図14b
図15a
図15b
図15c
図15d
図16a
図16b
図16c
図16d
図17a
図17b
図18a
図18b
図19a
図19b
図20a
図20b
図21a
図21b
図22a
図22b
図23a
図23b
図24a
図24b
図25a
図25b
図26a
図26b
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36a
図36b
図36c
図37
図38a
図38b
図38c
図39a
図39b
図39c
図40
【手続補正書】
【提出日】2021-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0137
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0137】
図1図1aおよび1bは、基板に付着した個別抗体と標的タンパク質の間の結合を測定した図面であり、図1aはBCL2、BCLxL、MCL1に関するものであり、図1bはBCL-W、Bfl-1に関するものである。
図2図2aは、試料内のBCL2、MCL1、BCLxLと外部から投入(Input)したBIM、NOXA、BADの相互作用を測定(PPI count)したものである。図2bは、試料内のBCL2、BCL-XLと外部から投入したtBIDの相互作用を測定(PPI count)したものである。図2cは、試料内のBCL2、MCL1、BCL-XLと外部から投入したBAX、BAKの相互作用を測定(PPI count)したものである。図2dは、試料内のBCL2、BCL-XL、MCL1と外部から投入したBIMタンパク質のBH3ドメインのみを検査タンパク質として使用して相互作用を測定したものである。
図3】第1タンパク質相互作用タンパク質の濃度による相互作用測定値の変化を、試料内のBCL2と外部から投入したBADの相互作用を測定して示す図である。
図4】外部から投入される溶液に含まれる界面活性剤の種類および濃度による相互作用測定値の変化を、試料内のBCL2と外部から投入したBADの相互作用を測定して示す図である。
図5】外部から投入される溶液に含まれる界面活性剤Triton X-100の濃度による相互作用測定値の変化を、試料内のBCL2と外部から投入したBADの相互作用を測定して示す図である。
図6】外部から投入される検査タンパク質BIMに対して、種(species)間の保存性に優れるアミノ酸(highly conserved amino acids)に変異が発生する場合にBCL-XLまたはBCL2との相互作用測定値に違いが生じることを確認した図である。
図7】試料(HL60、OCI-LY3)内のBCL2、MCL1、BCL-XLとBIMの複合体(complex)水準を測定した図である。
図8】試料(OCI-LY3)内のBCL2とBAXの複合体(complex)水準を測定した図である。
図9】試料(OCI-LY3)内のBCL2、BCL-XL、MCL1とBAKの複合体(complex)水準を測定した図である。
図10】試料(HL60、OCI-LY3、SUDHL8)内のBCL-XLとBADの複合体(complex)水準、MCL1とNOXAの複合体水準を測定した図である。
図11】タンパク質複合体(complex)水準を測定することにおいて、第1タンパク質と第1タンパク質相互作用タンパク質が互いに互換できることを確認した図である。
図12図12aは、二種のBAK抗体がいずれもBAKに結合できることを示した結果である。図12bは、それぞれ[MCL1,BAK]、[BCL-XL,BAK]、[BCL2,BAK]を共発現(co-transfected)させた細胞(HEK293)に対して、明示された沈降抗体(pull down Ab)を用いて信号を測定した結果である。これにより、BAKに結合されるD4E4クローン(clone)のBAK抗体は、BCL2ファミリータンパク質が共発現された場合は結合されないことを検証した図である。図12cは、図12aで使用された抗体の一つであるAT38E2を用いて、先立って使用した共発現(co-transfected)されたBAKが検出されることを検証した図である。
図13】試料内のMCL1、BCL-XL、BCL2の発現量を測定した図である。
図14】試料内のBAX、BAKの発現量を測定した図である。
図15】aは、GDN(Glycoldiosgenin)で処理した試料に治療剤(Staurosporine、Venetoclax)を投入した後、BAXの発現量を検出抗体で測定したものであり、bは、Triton X-100で処理した試料に治療剤(Staurosporine、Venetoclax)を投入した後、BAXの発現量を検出抗体で測定したのである。cは、GDNで処理した試料に治療剤(Staurosporine、Venetoclax)を投入した後、BAXの発現量を検出抗体で測定したものであり、bは、Triton X-100で処理した試料に治療剤(Staurosporine、Venetoclax)を投入した後、BAXの発現量を検出抗体で測定したのである。
図16】検体内のBAX発現量を測定した図である。図16のa、cは特定の折り畳み形態のBAXの発現量をvenetoclax処理時間に応じて測定した図であり、図16のb、dは同一検体をTriton X-100で処理した後に測定した結果である。
図17】aは試料(HL60)のBCL2と外部から投入したBADの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図であり、bは試料(OCI-LY3)のBCL2と外部から投入したBADの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図である。
図18】aは試料(HL60)のMCL1と外部から投入したNOXAの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図であり、bは試料(OCI-LY3)のMCL1と外部から投入したNOXAの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図である。
図19】aは試料(HL60)のBCL-XLと外部から投入したBADの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図面であり、bは試料(OCI-LY3)のBCL-XLと外部から投入したBADの相互作用を、venetoclax、AMG176で処理した後に測定した図である。
図20】aは試料(HL60)内のBCL2、MCL1、BCL-XL発現量を、venetoclax、AMG176処理後測定した図であり、bは試料(OCI-LY3)内のBCL2、MCL1、BCL-XL発現量を、venetoclax、AMG176処理後測定した図である。
図21】aは、試料(HL60)内のBCL2、MCL1、BCL-XLとBIMの複合体(complex)水準を、venetoclax、AMG176処理後測定した図であり、bは、試料(OCI-LY3)内のBCL2、MCL1、BCL-XLとBIMの複合体水準を、venetoclax、AMG176処理後測定した図である。
図22】aは、試料(HL60)内のMCL1とNOXAの複合体(complex)水準を、venetoclax、AMG176処理後に測定した図であり、bは、試料(OCI-LY3)内のMCL1とNOXAの複合体水準を、venetoclax、AMG176処理後に測定した図である。
図23】aは試料(HL60)内のBCL-XLとBADの複合体(complex)水準をvenetoclax、AMG176処理後に測定した図であり、bは試料(OCI-LY3)内のBCL-XLとBADの複合体水準をvenetoclax、AMG176処理後に測定した図である。
図24】aは、試料(HL60)内のBCL2とBAXの複合体(complex)水準を、Venetoclax処理時間(hour)に応じて測定したものであり、bは、試料(OCI-LY3)内のBCL2とBAXの複合体水準を、Venetoclax処理時間に応じて測定した図である。
図25】aは、試料(HL60)内のBAX発現量を、Venetoclax処理時間(hour)に応じて測定したものであり、bは、試料(OCI-LY3)内のBAX発現量を、Venetoclax処理時間に応じて測定した図である。
図26】aは、試料(HL60)内のBAK発現量を、Venetoclax処理時間(hour)に応じて測定したものであり、bは、試料(OCI-LY3)内のBAK発現量を、Venetoclax処理時間に応じて測定した図である。
図27】試料(HL60)内のBCL2と外部から投入したBIMの相互作用を、Venetoclax、AZD5991がそれぞれ共存する状態で処理濃度に応じて測定した図である。
図28】試料(HL60)内のMCL1と外部から投入したBIMの相互作用を、Venetoclax、AZD5991がそれぞれ共存する状態で処理濃度に応じて測定した図である。
図29】AML患者(n=32)検体に対してすべてのパラメータ(相互作用(第1PPI)、複合体(Complex)(第2PPI)、発現量(Expression Level))を測定した後、Z-coreヒットマップで示す図である。
図30】乳癌(breast cancer)患者(n=302)検体のBCL2発現量(level)を定量的に測定した図である。
図31】肺腺癌患者(Patients)(n=15)検体のBCL2発現量を定量的に測定した図である。
図32】試料(Sample:OCI-LY3)をvenetoclaxで処理(treatment)した後、処理時間(hour)に応じて、試料内のBCL2と外部から投入したBIMの相互作用水準変化、および試料内のBCL2とBIMの複合体(complex)水準変化を測定した図である。
図33】試料(Sample:OCI-LY3)をAZD5991で処理(treatment)した時間(hour)に応じて、試料内のMCL1と外部から投入したNOXAの相互作用水準変化、および試料内のMCL1とNOXAの複合体(complex)水準変化を測定した図である。
図34】患者1の試料内のBCL2、MCL1、BCL-XLと外部から投入したBIMの間の相互作用水準を、i)診断当時(At diagnosis)抽出された骨髄(bone marrow)、ii)FLT3標的抗癌剤(quizartinib)処方後に再抽出された骨髄、iii)venetoclaxとLDAC処方後に取得した全血検体(peripheral blood)から測定した図である。
図35】患者2の試料内のBCL2、MCL1、BCL-XLと外部から投入したBIMの間の相互作用水準を、i)診断当時(At relapse)抽出された骨髄(bone marrow)、ii)FLT3標的抗癌剤(quizartinib)処方後に再抽出された骨髄、iii)venetoclaxとLDAC処方後に取得した全血検体(peripheral blood)から測定した図である。
図36】a~cは、AML患者検体(n=32)から、venetoclax反応性(縦軸)とPPI(第1PPI)、複合体(第2PPI)、発現量など21種類測定値の間の相関関係を分析した結果である。
図37】AML患者検体からvenetoclax反応性とBCL2-BIMPPI(第1PPI)およびBCL2-BIM複合体(第2PPI)測定値の間の相関関係を分析した結果である。
図38図38a~38cは、指標(parameter)を組み合わせてvenetoclax反応性を予測する結果に関するものであり、図38aは指標を1から10個まで増やすときの相関係数値を示した結果であり、図38bは、二つ指標を組み合わせたときの相関分析結果を、単独指標時の結果と比較して示すグラフであり、図38cは、五つの主な指標が組み合わされた時の相関分析結果である。
図39図39a~39cは、AML患者検体(n=26)からAZD5991反応性とPPI(第1PPI)、複合体(第2PPI)、発現量など21種類の測定値の間の相関関係を分析した結果である。
図40】四つの主な指標を結合してAZD5991反応性を予測した結果である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0176】
本発明で複合体を形成する第1タンパク質または第1タンパク質相互作用タンパク質に対する抗体、またはタンパク質特異的結合物質の使用について格別な制限は存在しない。ただし、二つのタンパク質の複合体形成にとって主要であると知られている部位を抗体あるいは結合物質の認識部位として使用する場合には複合体検出ができなくなる。一実施形態で、BAKと複合体を形成するBCL2、BCL-XL、MCL1を検出するためには、BAKのBH3部位を除いた他の部位(例えば、脂質膜を通過しない(膜貫通ドメインでない)、helix 1番からhelix 4番までの部位など)を認識する抗体を使用した方が良い(図12a~12c)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0225
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0225】
【表10】
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の中から選ばれたつ以上を含む、個体のBCL2ファミリータンパク質標的薬物に対する反応性予測のために情報を提供する方法:
(i)試料内の第1タンパク質および前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質の間の相互作用を測定する段階であって、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質は外部から供給されたタンパク質である、段階;
(ii)試料内の第1タンパク質および前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質の間の相互作用を測定する段階であって、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質は試料内に存在するタンパク質である、段階;および
(iii)第1タンパク質、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質、またはこれらすべての試料内のレベルを測定する段階、
ここで、前記第1タンパク質はBCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシス抑制(anti-apoptotic)タンパク質より選ばれた1種以上であり、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質はBCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシス誘導(pro-apoptotic)タンパク質からなる群より選ばれた1種以上であるか、または、前記第1タンパク質はBCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシス誘導タンパク質より選ばれた1種以上であり、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質はBCL2ファミリータンパク質のうちアポトーシス抑制タンパク質からなる群より選ばれた1種以上であり、
前記試料は前記個体から分離された細胞または細胞溶解物を含む。
【請求項2】
前記第1タンパク質はBCL2、BCLxL、BCLw、BFL1およびMCL1からなる群より選ばれた1種以上であり、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質はBAD、BIM、NOXA、PUMA、BMF、tBID、BIK、HRK、BAX、BAKおよびBOKからなる群より選ばれた1種以上であるか、または
前記第1タンパク質はBAD、BIM、NOXA、PUMA、BMF、tBID、BIK、HRK、BAX、BAKおよびBOKからなる群より選ばれた1種以上であり、前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質はBCL2、BCLxL、BCLw、BFL1およびMCL1からなる群より選ばれた1種以上である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記段階(i)は、基板に固定された第1タンパク質に、外部から供給されて標識物質で標識された前記第1タンパク質と相互作用するタンパク質(第1タンパク質相互作用タンパク質)を接触させ、前記試料内の第1タンパク質および外部から供給された第1タンパク質相互作用タンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階を含み;
前記段階(ii)は、表面に前記第1タンパク質と結合する結合物質を含む基板に、試料を接触させ、試料内の第1タンパク質および試料内の第1タンパク質相互作用タンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階を含み;
前記段階(iii)は、試料内の第1タンパク質、試料内の第1タンパク質相互作用タンパク質、またはこれらすべてのレベルを測定する段階を含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記段階(i)のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階は、
(1)第1タンパク質の結合物質が含まれた基板に試料を供給して第1タンパク質を基板に固定させる段階;
(2-1)前記基板に、標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質を外部から供給して、基板上の第1タンパク質と反応させる段階;および
(3)基板表面上の近接場領域内で前記標識物質が発生させる信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記段階(i)は、次の中から選ばれた一つ以上を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法:
(i-1)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-2)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-3)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-4)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-5)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-6)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-7)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-8)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-9)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたNOXAタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-10)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-11)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;および
(i-12)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階。
【請求項6】
前記段階(ii)のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階は、
(1)第1タンパク質の結合物質が含まれた基板に試料を供給して第1タンパク質を基板に固定させる段階;
(2-2)標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質を前記基板に供給し、試料内の第1タンパク質と試料内の第1タンパク質相互作用タンパク質の間に形成された複合体中の、第1タンパク質相互作用タンパク質と反応させる段階;および
(3)基板表面上の近接場領域内で前記標識物質から発生する信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階を含むか、または
(1’)第1タンパク質相互作用タンパク質の結合物質が含まれた基板に試料を供給して第1タンパク質相互作用タンパク質を基板に固定させる段階;
(2’-2)標識物質が付着した第1タンパク質結合物質を前記基板に供給し、試料内の第1タンパク質と試料内の第1タンパク質相互作用タンパク質の間に形成された複合体中の、第1タンパク質と反応させる段階;および
(3’)基板表面上の近接場領域内で前記標識物質から発生する信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階を含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記段階(ii)は次の中から選ばれた一つ以上を含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法:
(ii-1)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-2)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-3)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-4)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBADタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-5)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-6)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-7)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-8)試料内のMCL1タンパク質および試料内のNOXAタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-9)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-10)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;および
(ii-11)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階。
【請求項8】
前記段階(iii)のタンパク質のレベルを測定する段階は、
第1タンパク質の捕獲物質、第1タンパク質相互作用タンパク質の捕獲物質、またはこれらすべてが含まれた基板に試料を供給し、前記第1タンパク質、第1タンパク質相互作用タンパク質、またはこれらすべてを基板に固定化させる段階;
標識物質が付着した第1タンパク質の検出物質、標識物質が付着した第1タンパク質相互作用タンパク質の検出物質、またはこれらすべてを前記基板に供給して反応させる段階;および
基板表面上の近接場領域内で前記マーカーが発現する信号をTIRF顕微鏡(total internal reflection fluorescence microscope)を用いて測定する段階
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記段階(iii)は次の中から選ばれた一つ以上を含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法:
(iii-1)試料内のBCL2タンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-2)試料内のBCLxlタンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-3)試料内のMCL1タンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-4)試料内のBAXタンパク質のレベルを測定する段階;および
(iii-5)試料内のBAKタンパク質のレベルを測定する段階。
【請求項10】
次の段階(i-1)~(i-12)より選ばれた一つ以上および段階(ii-1)~(ii-11)より選ばれた一つ以上を含むか、段階(i-1)~(i-12)より選ばれた一つ以上および段階(iii-1)~(iii-5)より選ばれた一つ以上を含むか、段階(ii-1)~(ii-11)より選ばれた一つ以上および段階(iii-1)~(iii-5)より選ばれた一つ以上を含むか、段階(i-1)~(i-12)より選ばれた一つ以上、段階(ii-1)~(ii-11)より選ばれた一つ以上、および段階(iii-1)~(iii-5)より選ばれた一つ以上を含む、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法:
(i-1)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-2)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-3)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-4)試料内のBCL2タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-5)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBADタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-6)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-7)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-8)試料内のBCLxlタンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-9)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたNOXAタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-10)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBIMタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-11)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAXタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(i-12)試料内のMCL1タンパク質および外部から供給されたBAKタンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用を測定する段階;
(ii-1)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-2)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-3)試料内のBCL2タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-4)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBADタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-5)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-6)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-7)試料内のBCLxlタンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-8)試料内のMCL1タンパク質および試料内のNOXAタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-9)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBIMタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-10)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAXタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(ii-11)試料内のMCL1タンパク質および試料内のBAKタンパク質の間に形成された複合体レベルを測定する段階;
(iii-1)試料内のBCL2タンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-2)試料内のBCLxlタンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-3)試料内のMCL1タンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-4)試料内のBAXタンパク質のレベルを測定する段階;
(iii-5)試料内のBAKタンパク質のレベルを測定する段階。
【請求項11】
前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物はベネトクラクス(Venetoclax)、ABT737、および抗BCL2抗体からなる群より選ばれたBCL2阻害剤である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物は抗MCL-1抗体、AMG-176、AZD5991、およびマリトクラックス(Maritoclax)からなる群より選ばれたMCL1阻害剤である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記BCL2ファミリータンパク質標的薬物は抗BCLxL抗体およびABT263からなる群より選ばれたBCLxL阻害剤である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記個体は癌患者であり、前記細胞は前記個体から分離された癌細胞である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記癌は血液癌である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】