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特表2022-529309ピラゾリル-アミノ-ピリミジニル誘導体のベンズエーテルとアニリン、およびその組成物と方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ピラゾリル-アミノ-ピリミジニル誘導体のベンズエーテルとアニリン、およびその組成物と方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20220614BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220614BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20220614BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K31/506
C07D403/12
C07D405/12
A61K9/20
A61K9/48
A61P29/00
A61P37/02
A61P35/00
A61P1/04
A61P17/06
A61P17/14
A61P17/00
A61P37/06
A61P11/06
A61P13/12
A61P3/10
A61P35/02
A61P7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555343
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 CN2020083779
(87)【国際公開番号】W WO2020207414
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/081742
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】521229027
【氏名又は名称】リンク ファーマシューティカルズ シーオー.エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】リー,シアオドン
(72)【発明者】
【氏名】バスケス,マイケル ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジャオクイ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB02
4C063BB09
4C063CC29
4C063CC78
4C063DD12
4C063DD22
4C063EE01
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC14
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC21
4C076CC27
4C076FF70
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA61
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC35
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、様々な疾患および障害に対し安全で有効な治療薬として、経口および/または局所投与可能で、選択的で、強力なJAK阻害剤の新規な分類を提供する。本発明はまた、このような化合物の医薬組成物、およびその調製と使用の方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)を有する化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体であって、
【化1】
式中、
LはOまたはNR4’であり、
XはNまたはCRであり、ここでRはR’、ハロゲン、CN、またはOR’であり、
YはNまたはCRであり、ここでRはR’、ハロゲン、CN、またはOR’であり、
とZはそれぞれ独立して、NおよびCR’から選択され、この場合はZおよびZのうち一方がN、他方がCR’であることを前提とし、
は水素、ハロゲン、CN、非置換または置換のC-Cアルキル、あるいはOR’であり、
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16脂肪族基であり、該脂肪族基は、ハロゲン、OR’、NRR’、CN、CONRR’、NRCOR’、およびC-Cアルキルのうち1つ以上で随意に置換され、次いでF、OR’、またはNRR’で随意に置換され、
はR’またはハロゲンであり、
とR4’はそれぞれ、LがNR4’であるとき、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16脂肪族基から選択され、RとR4’は一体となって、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を形成する場合があり、ここでRとR4’はそれぞれ、CN、CF、またはOR’で随意に置換され、但し、RおよびR4’のうち一方が水素である場合、他方は水素ではないことを前提とし、ならびに
RとR’はそれぞれ独立して、水素あるいは非置換もしくは置換のC-C12アルキル基である、化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項2】
LがOであり、前記化合物が構造式(I-A)を有する、請求項1に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【化2】
【請求項3】
LがNR4’であり、前記化合物が構造式(I-B)を有する、請求項1に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【化3】
【請求項4】
XがCRであり、ここでRはH、ハロゲン、非置換または置換のC-Cアルキル、あるいはアルコキシである、請求項1から3のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項5】
XがCHである、請求項1から4のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項6】
XがNである、請求項1から3のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項7】
YがCRであり、ここでRはH、ハロゲン、非置換または置換のC-Cアルキル、あるいはアルコキシである、請求項1から6のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項8】
YがCHである、請求項1から7のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項9】
YがNである、請求項1から6のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項10】
がCHであり、ZがNである、請求項1から9のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項11】
は、直鎖状、分枝状、あるいは環状である非置換または置換のC-C12アルキル基を含む、請求項1から10のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項12】
が、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を含む、請求項1から10のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項13】
前記3~7員の環は0個のヘテロ原子を有する、請求項12に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項14】
が3員環を含む、請求項12に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項15】
がシクロプロピル環を含む、請求項14に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項16】
が4員環を含む、請求項12に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項17】
が5員環を含む、請求項12に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項18】
がCN基を含む、請求項1から17のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項19】
前記CN基は、Lに対するβ位置にて炭素原子に結合する、請求項18に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項20】
前記CN基は第2級炭素原子に結合する、請求項18に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項21】
前記CN基は第3級炭素原子に結合する、請求項18に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項22】
はCNで置換されるCアルキル基である、請求項1から11のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項23】
はCNで置換されるCアルキル基である、請求項1から11のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項24】
はCNで置換されるCアルキル基である、請求項1から11のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項25】
4’がHである、請求項1、3から24のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項26】
4’がC-Cアルキルである、請求項1、3から24のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項27】
4’がメチルである、請求項26に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項28】
LがOであり、XがCRであり、YがCHであり、ZがCHであり、ZがNであり、前記化合物が構造式(II)を有する、請求項1に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【化4】
【請求項29】
LがNR4’であり、XがCRであり、YがCHであり、ZがCHであり、ZがNであり、前記化合物が構造式(III)を有する、請求項1に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【化5】
【請求項30】
がFである、請求項1から29のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項31】
がClである、請求項1から29のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項32】
がC-Cアルキルである、請求項1から29のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項33】
がメチルである、請求項32に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項34】
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子と置き換えられる0~2個の炭素原子を有するC-C脂肪族基であり、該脂肪族基はCNまたはCF基で随意に置換される、請求項1から33のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項35】
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子と置き換えられる0~3個の炭素原子を有するC-C16脂肪族基であり、該脂肪族基はCNまたはCF基で随意に置換される、請求項1から33のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項36】
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子と置き換えられる0~8個の炭素原子を有するC-C16環状アルキルを含み、該環状アルキルはCNまたはCF基で随意に置換される、請求項1から33のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項37】
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子と置き換えられる0~8個の炭素原子を有するC-C環状アルキルを含み、該環状アルキルはCNまたはCF基で随意に置換される、請求項36に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項38】
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子と置き換えられる0~8個の炭素原子を有するC環状アルキルを含み、該環状アルキルはCNまたはCF基で随意に置換される、請求項37に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項39】
前記環状アルキルは、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子と置き換えられる0個の炭素原子を有する、請求項36から38のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項40】
はCNを含む基である、請求項1から39のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項41】
はCH-CNを含む、請求項40に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項42】
はCNを含まない、請求項1から39のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項43】

【化6】
であり、
式中、
はN、CH、またはOであり、ZがOであるとき、Rは存在せず、
mとnはそれぞれ独立して、0、1、2、3、または4であり、但し、mとnが同時に0ではないことを前提とし、ならびに
はC-Cアルキル、CN、ハロゲン、またはC(O)Rであり、ここでRはC-Cアルキルであり、但しZがNであるとき、RはCNでもハロでもないことを前提とする、請求項1から42のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項44】
mとnはそれぞれ2である、請求項43に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項45】
はNである、請求項43または44に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項46】
は置換されたピペリジンである、請求項43から45のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項47】
がC-Cアルキルである、請求項43から46のいずれかつに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項48】
がメチルである、請求項47に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項49】
がC(O)Rであり、RがC-Cアルキルであり、但しmとnのうち少なくとも1つが0ではないことを前提とする、請求項43から46のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項50】
がOである、請求項43または44に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項51】
がHである、請求項1から50のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項52】
表1に列記した化合物から選択される、化合物。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【請求項53】
以下から選択される化合物。
【表2】
【請求項54】
以下から選択される化合物。
【表3-1】
【表3-2】
【請求項55】
水素の代わりに1つ以上の重水素原子を有する、請求項1から54のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項56】
水素原子の代わりに1つの重水素原子を有する、請求項1から54のいずれか1つに記載の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体。
【請求項57】
ヒトを含む哺乳動物の1つ以上の疾患または障害を処置あるいは低減するのに有効な、請求項1から56のいずれかに記載の化合物と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む、医薬組成物。
【請求項58】
ヒトを含む哺乳動物の1つ以上の疾患または障害を処置あるいは低減するのに有効な、(I)の構造式を有する一定量の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬組成物であって、
【化7】
式中、
LはOまたはNR4’であり、
XはNまたはCRであり、ここでRはR’、ハロゲン、CN、またはOR’であり、
YはNまたはCRであり、ここでRはR’、ハロゲン、CN、またはOR’であり、
とZはそれぞれ独立して、NおよびCR’から選択され、この場合はZおよびZのうち一方がN、他方がCR’であることを前提とし、
は水素、ハロゲン、CN、非置換または置換のC-Cアルキル、あるいはOR’であり、
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16脂肪族基であり、該脂肪族基は、ハロゲン、OR’、NRR’、CN、CONRR’、NRCOR’、およびC-Cアルキルのうち1つ以上で随意に置換され、次いでF、OR’、またはNRR’で随意に置換され、
はR’またはハロゲンであり、
とR4’はそれぞれ、LがNR4’であるとき、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16脂肪族基から選択され、RとR4’は一体となって、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を形成する場合があり、ここでRとR4’はそれぞれ、CN、CF、またはOR’で随意に置換され、但し、RおよびR4’のうち一方が水素である場合、他方は水素ではないことを前提とし、ならびに
RとR’はそれぞれ独立して、水素、あるいは非置換または置換のC-C12アルキル基である、医薬組成物。
【請求項59】
LがOであり、XがCRであり、YがCHであり、ZがCHであり、ZがNであり、前記化合物が構造式(II)を有する、請求項58に記載の医薬組成物。
【化8】
【請求項60】
LがNR4’であり、XがCRであり、YがCHであり、ZがCHであり、ZがNであり、前記化合物が構造式(III)を有する、請求項58に記載の医薬組成物。
【化9】
【請求項61】
は、直鎖状、分枝状、あるいは環状である非置換または置換のC-C12アルキル基を含む、請求項58から60のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項62】
が、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を含む、請求項58から60のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項63】
経口投与に適している、請求項57から62のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項64】
局所投与に適している、請求項57から62のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項65】
GI制限投与に適している、請求項57から62のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項66】
炎症性疾患、免疫媒介性疾患、および癌のうち1つ以上、あるいはそれらに関連する疾患または障害を処置または低減するのに有用である、請求項57から65のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項67】
前記疾患または障害は炎症性疾患である、請求項66記載の医薬組成物。
【請求項68】
前記疾患または障害は免疫媒介性疾患である、請求項66記載の医薬組成物。
【請求項69】
前記疾患または障害は癌である、請求項66記載の医薬組成物。
【請求項70】
前記疾患または障害は、炎症性腸疾患、乾癬、白斑、脱毛症、アトピー性皮膚炎、全身性エリテマトーデス、喘息、糖尿病腎症、慢性骨髄白血病(CML)、本態性血小板血(ET)、一次性赤血球増加症(PV)、骨髄線維症(MF)、乳癌、および卵巣癌から選択される、請求項57から69のいずれか1つに記載の医薬組成物
【請求項71】
請求項57から70のいずれかに記載の医薬組成物を含む単位剤形。
【請求項72】
錠剤またはカプセル剤である、請求項71に記載の単位剤形。
【請求項73】
ヒトを含む哺乳動物の疾患または障害を処置あるいは低減するための方法であって、該方法は、炎症性疾患、免疫媒介性疾患、癌、あるいはこれらに関連する疾患または障害のうち1つ以上を処置、予防、または低減するのに効果的な、構造式(I)を有する化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含み、
【化10】
式中、
LはOまたはNR4’であり、
XはNまたはCRであり、ここでRはR’、ハロゲン、CN、またはOR’であり、
YはNまたはCRであり、ここでRはR’、ハロゲン、CN、またはOR’であり、
とZはそれぞれ独立して、NおよびCR’から選択され、この場合はZおよびZのうち一方がN、他方がCR’であることを前提とし、
は水素、ハロゲン、CN、非置換または置換のC-Cアルキル、あるいはOR’であり、
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16脂肪族基であり、該脂肪族基は、ハロゲン、OR’、NRR’、CN、CONRR’、NRCOR’、およびC-Cアルキルのうち1つ以上で随意に置換され、次いでF、OR’、またはNRR’で随意に置換され、
はR’またはハロゲンであり、
とR4’はそれぞれ、LがNR4’であるとき、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16脂肪族基から選択され、RとR4’は一体となって、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を形成する場合があり、ここでRとR4’はそれぞれ、CN、CF、またはOR’で随意に置換され、但し、RおよびR4’のうち一方が水素である場合、他方は水素ではないことを前提とし、ならびに
RとR’はそれぞれ独立して、水素、あるいは非置換または置換のC-C12アルキル基である、方法。
【請求項74】
LがOであり、XがCRであり、YがCHであり、ZがCHであり、ZがNであり、前記化合物が構造式(II)を有する、請求項73に記載の方法。
【化11】
【請求項75】
LがNR4’であり、XがCRであり、YがCHであり、ZがCHであり、ZがNであり、前記化合物が構造式(III)を有する、請求項73に記載の方法。
【化12】
【請求項76】
は、直鎖状、分枝状、あるいは環状である非置換または置換のC-C12アルキル基を含む、請求項73から75のいずれか1つに記載の方法。
【請求項77】
が、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を含む、請求項73から75のいずれか1つに記載の方法。
【請求項78】
疾患または障害を処置あるいは低減するための方法であって、請求項1から57のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含み、前記疾患または障害は、炎症性疾患、免疫媒介性疾患、および癌のうち1つ以上、あるいは関連する疾患または障害である、方法。
【請求項79】
前記疾患または障害は炎症性疾患である、請求項73から78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項80】
前記疾患または障害は免疫媒介性疾患である、請求項73から78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項81】
前記疾患または障害は癌である、請求項73から78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項82】
前記疾患または障害は、炎症性腸疾患、乾癬、白斑、脱毛症、アトピー性皮膚炎、全身性エリテマトーデス、喘息、糖尿病腎症、慢性骨髄白血病(CML)、本態性血小板血(ET)、一次性赤血球増加症(PV)、骨髄線維症(MF)、乳癌、および卵巣癌から選択される、請求項73から78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項83】
投与は経口投与を介して行われる、請求項73から82のいずれか1つに記載の方法。
【請求項84】
投与は局所投与を介して行われる、請求項73から82のいずれか1つに記載の方法。
【請求項85】
投与はGI制限投与を介して行われる、請求項73から82のいずれか1つに記載の方法。
【請求項86】
疾患または障害を処置するための薬剤の調製における、請求項1から56のいずれかに記載の化合物および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤の使用。
【請求項87】
前記疾患または障害は、炎症性疾患、免疫媒介性疾患、および癌のうち1つ以上である、請求項86に記載の使用。
【請求項88】
前記疾患または障害は炎症性疾患である、請求項86記載の使用。
【請求項89】
前記疾患または障害は免疫媒介性疾患である、請求項86記載の使用。
【請求項90】
前記疾患または障害は癌である、請求項86記載の使用。
【請求項91】
前記薬剤は経口投与用である、請求項86から90のいずれか1つに記載の使用。
【請求項92】
前記薬剤は局所投与用である、請求項86から90のいずれか1つに記載の使用。
【請求項93】
前記薬剤はGI制限投与用である、請求項86から90のいずれか1つに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張と関連特許出願
本出願は、2019年4月8日出願のPCT国際出願PCT/CN2019/081742に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容全体はあらゆる目的のための参照により本明細書に引用される。
【0002】
技術分野
本発明は概して、新規な化合物とその治療上の使用方法に関するものである。より具体的に、本発明は、安全で有効なJAK阻害剤である治療薬の新規な分類に関するものである。本発明はさらに、前記化合物の医薬組成物、および様々な疾患と障害に対するその調製と使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヤヌスキナーゼ(JAK)は、ヤヌスキナーゼ-シグナル伝達兼転写活性化因子(JAK-STAT)を介してサイトカイン媒介性シグナルを伝達する、細胞内非受容体チロシンキナーゼのファミリーである。ヒト酵素のJAKファミリーには4つの員、すなわちJAK1、JAK2、JAK3、およびTYK2が存在する。このファミリーは、2つの隣接するキナーゼドメインJH1とJH2の存在により規定され、JH1は経路活性化に関与するリン酸化を実行し、一方でJH2はJH1機能を調節する(Thomas,et al.,2015 British Journal of Cancer 113,365-371)。
【0004】
これら細胞質チロシンキナーゼは、一般的なγ鎖受容体および糖タンパク質130(gp130)膜貫通タンパク質など、膜サイトカイン受容体に関連する(Murray,et al.2007 Immunol.178(5):2623-2629)。約40のサイトカイン受容体が、これら4つのJAKと、その7つの下流基質STATファミリーメンバーとの組み合わせを介してシグナルを伝達する(Ghoreschi et al.2009 Immunol Rev.228(l):273-287)。
【0005】
JAK-STATシグナル伝達経路は、化学シグナルを細胞外部から細胞核へと伝達することによるアポトーシスや炎症など、多くの根本的な生物学的プロセスにおいて主要な役割を果たし、その結果転写を介して遺伝子を活性化させる。機能障害JAK-STAT経路は、癌や、免疫系に影響を及ぼす疾患など多数の疾患を引き起こす場合がある。
【0006】
JAK阻害剤は、JAKファミリーの1つ以上の員の活性を阻害してJAK-STATシグナル伝達経路を妨げる薬剤として関心が高まりつつある。一部のJAK阻害剤は、癌、または関節リウマチなどの炎症性疾患の処置において治療利益があることが認められている(Kontzias,et al.2012 Current Opinion in Pharmacology 12(4):464-70、Pesu,et al.2008 Immunological Reviews 223:132-42、Norman 2014 Expert Opinion on Investigational Drugs 23(8):1067-77、Forster,et al.2017 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 27(18):4229-4237)。
【0007】
薬物忍容性に対する感度が低い癌治療用JAK阻害剤の開発は依然として困難であるが、この分類の薬物の長期有効性を改善することが求められている。幅広い治療領域にわたって、効力が改善され、副作用が最小限であり、既存の治療薬よりも薬物忍容性に対する感度が低いかこの薬物忍容性を克服できるJAK阻害剤が、切に望まれている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、経口投与可能、局所投与可能、ならびに/あるいは胃腸(GI)管制限投与および/または局所投与に適切である、新規の選択的で強力な化合物を提供する。これら治療薬は安全で有効なJAK阻害剤であり、現在利用可能な薬物よりも副作用が少ないおよび/または低い。本発明はまた、このような化合物の医薬組成物、およびその調製と使用の方法を提供する。
【0009】
本明細書には、(I)経口投与あるいは(II)GIおよび/または皮膚局所用途に適した候補となるプロファイルに適合するよう特異的にデザインされた一連の新規なJAK阻害剤である。経口投与用にデザインされる化合物は、他のJAKキナーゼに対する一連の選択性および良好な全体的薬物プロファイルにより、JAK2に対して強力である。GI制限または皮膚局所用途に適した候補となる化合物は、JAK1および/またはTYK2を含む強い全JAK活性を呈するようにデザインされる。特にこれら化合物は、経口吸収が最小限とされることで全身曝露を制限するが、作用部位、具体的に胃腸で高曝露を呈するようにデザインされる。
【0010】
この新たな分類の阻害剤は、JAK2 IC50値がKm ATP濃度で低ナノモル範囲にある例外的な効力プロファイルを呈する。これらの化合物の一部はさらに、JAK1および/またはTYK2に対する例外的な効力を呈した。
【0011】
一態様では、本発明は概して、構造式(I)を有する化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体に関するものであり、
【0012】
【化1】
式中、
LはOまたはNR4’であり、
XはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
YはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
とZはそれぞれ独立して、NおよびCR’から選択され、この場合はZおよびZのうち一方がN、他方がCR’であることを前提とし、
は、水素、ハロゲン、CN、非置換または置換のC-C(例えばC-C)アルキル、またはOR’であり、
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基であり、該脂肪族基は、ハロゲン、OR’、NRR’、CN、CONRR’、NRCOR’、およびC-C(例えばC-C)アルキルで随意に置換され、次いでF(例えばCHF、CHF、またはCF)、OR’、またはNRR’で随意に置換され、
はR’またはハロゲンであり、
とR4’はそれぞれ、LがNR4’であるとき、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基から選択され、RとR4’は一体となって、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を形成する場合があり、ここでRとR4’はそれぞれ、CN、CF、またはOR’で随意に置換され、但し、RおよびR4’のうち一方が水素である場合、他方は水素ではないことを前提とし、ならびに
RとR’はそれぞれ独立して、水素あるいは非置換もしくは置換のC-C12アルキル基である。
【0013】
別の態様では、本発明は概して、ヒトを含む哺乳動物の1つ以上の疾患または障害を処置あるいは低減するのに有効な本明細書に開示される化合物と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む、医薬組成物に関するものである。
【0014】
また別の態様では、本発明は概して、ヒトを含む哺乳動物の1つ以上の疾患または障害を処置あるいは低減するのに有効な、構造式(I)を有する一定量の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む、医薬組成物に関するものであり、
【0015】
【化2】
式中、
LはOまたはNR4’であり、
XはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
YはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
とZはそれぞれ独立して、NおよびCR’から選択され、この場合はZおよびZのうち一方がN、他方がCR’であることを前提とし、
は、水素、ハロゲン、CN、非置換または置換のC-C(例えばC-C)アルキル、またはOR’であり、
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基であり、該脂肪族基は、ハロゲン、OR’、NRR’、CN、CONRR’、NRCOR’、およびC-C(例えばC-C)アルキルで随意に置換され、次いでF(例えばCHF、CHF、またはCF)、OR’、またはNRR’で随意に置換され、
はR’またはハロゲンであり、
とR4’はそれぞれ、LがNR4’であるとき、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基から選択され、RとR4’は一体となって、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を形成する場合があり、ここでRとR4’はそれぞれ、CN、CF、またはOR’で随意に置換され、但し、RおよびR4’のうち一方が水素である場合、他方は水素ではないことを前提とし、ならびに
RとR’はそれぞれ独立して、水素、あるいは非置換または置換のC-C12アルキル基である。
【0016】
また別の態様では、本発明は概して、本明細書に開示される医薬組成物を含む単位剤形に関するものである。
【0017】
また別の態様では、本発明は概して、疾患または障害を処置あるいは低減するための方法に関するものである。該方法は、ヒトを含む哺乳動物の炎症性疾患、免疫媒介性疾患、および癌のうち1つ以上、あるいは関連する疾患または障害を処置、予防、あるいは低減するのに有効な、構造式(I)を有する一定量の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含み、
【0018】
【化3】
式中、
LはOまたはNR4’であり、
XはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
YはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
とZはそれぞれ独立して、NおよびCR’から選択され、この場合はZおよびZのうち一方がN、他方がCR’であることを前提とし、
は、水素、ハロゲン、CN、非置換または置換のC-C(例えばC-C)アルキル、またはOR’であり、
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基であり、該脂肪族基は、ハロゲン、OR’、NRR’、CN、CONRR’、NRCOR’、およびC-C(例えばC-C)アルキルで随意に置換され、次いでF(例えばCHF、CHF、またはCF)、OR’、またはNRR’で随意に置換され、
はR’またはハロゲンであり、
とR4’はそれぞれ、LがNR4’であるとき、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基から選択され、RとR4’は一体となって、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を形成する場合があり、ここでRとR4’はそれぞれ、CN、CF、またはOR’で随意に置換され、但し、RおよびR4’のうち一方が水素である場合、他方は水素ではないことを前提とし、ならびに
RとR’はそれぞれ独立して、水素、あるいは非置換または置換のC-C12アルキル基である。
【0019】
また別の態様では、本発明は概して、疾患または障害を処置あるいは低減するための方法に関するものである。該方法は、本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含み、前記疾患または障害は、炎症性疾患、免疫媒介性疾患、および癌のうち1つ以上、あるいは関連する疾患または障害である。
【0020】
また別の態様では、本発明は概して、疾患または障害を処置するための薬剤の調製における、本明細書に開示される化合物、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤の使用に関するものである。
【0021】
定義
別段の定めのない限り、本明細書で使用される技術用語と科学用語はすべて、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を持つ。有機化学の一般的な原理のほか、特異的な官能性部分と反応性も、“Organic Chemistry”,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:2006に記載される。
【0022】
以下の用語は、該用語が見出される前後関係に従い明示されていない限り、以下の意味を持つものと意図される。
【0023】
本明細書で提供する範囲は、該範囲内の値すべてに対して速記される(shorthand)と理解される。例えば、1~16の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16からなる群におけるあらゆる数、数の組合せ、またはサブ範囲を含むものと理解される。
【0024】
本明細書では、「少なくとも」特定の数値は、その値そのもの、および前記値より大きなすべての値であると理解される。
【0025】
本明細書に開示される任意の組成物または方法は、本明細書に提供される他の組成物および方法のいずれか1つ以上と組み合わせてもよい。
【0026】
本明細書中の変数の任意の定義における化学基の列挙には、列記した群の任意の一群または組合せとしての変数の定義が含まれる。本明細書中の変数に関する実施形態または態様の列挙には、任意の位置実施形態、あるいは他の実施形態またはその一部との組合せとしての実施形態が含まれる。
【0027】
「含む(comprising)」という用語は、組成物と方法を規定するために使用されると、前記組成物と方法は列挙された要素を含むが、その他の要素を除外するものではないという意味が意図される。「~から実質的になる(consisting essentially of)」という用語は、組成物と方法を規定するために使用されると、前記組成物と方法が列挙された要素を含み、前記組成物と方法に対する本質的な意義を持つ他の要素を除外するという意味を意図する。例えば「~から実質的になる」とは、明確に列挙した薬理学的に活性な薬剤の投与を指し、明確に列挙していない薬理学的に活性な薬剤を除外するものである。「~から実質的になる」という用語は、薬理学的に不活性または非活性薬剤、例えば薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤を除外するものではない。「~からなる」という用語は、組成物と方法を規定するために使用されると、他の成分の微量の要素、および実質的な方法工程を除外することを意味することになる。これら移行用語(transition terms)それぞれが定義する実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0028】
ある本発明の化合物は、特定の幾何学的または立体異性の形態で存在してもよい。本発明は、本発明の範囲内にあるものとして、シスおよびトランス異性体、アトロプ異性体、RおよびSエナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、これらのラセミ混合物、およびこれらのその他混合物を含む、前記化合物をすべて企図している。さらなる不斉炭素原子がアルキル基などの置換基に存在してもよい。このような異性体すべてのほか、これらの混合物も、本発明に含まれることが意図される。
【0029】
様々な異性体比のいずれかを含有する異性体混合物が、本発明により利用されてもよい。例えば2つの異性体のみが組み合わされると、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、または100:0の異性体比を含有する混合物が、本発明により企図される。当業者は、同様の比がより複雑な異性体混合物に対し企図されることを容易に認識することになる。
【0030】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望まれる場合、不斉合成、またはキラル補助基による誘導により調製することができ、ここで結果として生じるジアステレオ異性混合物は分離され、補助基が切断されて、望ましい純粋なエナンチオマーが得られる。代替的に、分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩は、適切な光学活性の酸または塩基で形成され、続いて当該技術分野で周知の分別結晶またはクロマトグラフィー法により形成されるジアステレオマーが分解され、次いで純粋なエナンチオマーが回収される。
【0031】
本発明の化合物の溶媒和物および多形体も本明細書で企図される。本発明の化合物の溶媒和物は、例えば水和物を含む。
【0032】
特定の官能基および化学用語の定義は、以下に詳述される。値の範囲が列記されると、その範囲内の各値とサブ範囲を包含することが意図される。例えば「C1-6アルキル」は、C、C、C、C、C、C、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、C3-6、C3-5、C3-4、C4-6、C4-5、およびC5-6アルキルを包含することが意図される。
【0033】
置換基は、その左から右に書かれる従来の化学式により明記される場合、構造を右から左に書くことにより生じる化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば-C(=O)-O-は-O-C(=O)-と同等である。
【0034】
本発明の化合物の構造は、当業者に既知の化学結合原理により制限される。したがって、基が多くの置換基のうち1つ以上により置換される場合、この置換基は、化学結合原理を満たすとともに、先天的に不安定でありおよび/またはおそらく周囲条件下(例えば、水性、中性、および様々な既知の生理学的条件)で不安定であると当業者に知られる化合物を提供するように、選択される。
【0035】
本明細書では、用語「アルキル」は、炭素原子および水素原子のみからなり、不飽和を含有せず、1~10の炭素原子(例えばC-C10アルキル)を有する、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖ラジカルを指す。「1~10」などの数の範囲は、本明細書で現れる場合は常に、所与の範囲内の各整数を指す。例えば「1~10の炭素原子」は、アルキル基が、1、2、3個など、最大10個の炭素原子からなってもよいことを意味するが、この定義は、数的範囲が設定されていない用語「アルキル」の出現も包含する。いくつかの実施形態では、「アルキル」はC1-6アルキル基であってもよい。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~10、1~8、1~6、または1~3個の炭素原子を有する。代表的な飽和直鎖アルキルとして、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、および-n-ヘキシルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一方で飽和分枝鎖アルキルとして、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このアルキルは単結合により親分子に結合する。本明細書で別段の定めのない限り、アルキル基は、独立して以下:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カーボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(R、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、-N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)N(R(tは1または2である)、-P(=O)(R)(R)、あるいは-O-P(=O)(ORを含む置換基のうち1つ以上により随意に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これら部分の各部分は本明細書で定義されるように随意に置換されてもよい。非限定的な実施形態では、置換アルキルは、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2-フルオロエチル、3-フルオロプロピル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、ベンジル、およびフェネチルから選択することができる。
【0036】
本明細書では、用語「アルコキシ」は、酸素を介して親分子の構造に結合される、直鎖、分枝鎖、飽和の環状構成、およびその組み合わせの、1~10個の炭素原子(C1-10)を含む基-O-アルキルを指す。例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、ペンタオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。「低級アルコキシ」は、1~6個の炭素を含むアルコキシ基を指す。いくつかの実施形態では、C1-3アルコキシは、1~3個の炭素原子の直鎖アルキルと分枝鎖アルキル両方を包含するアルコキシ基である。本明細書において別段の定めのない限り、アルコキシ基は、独立して以下:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カーボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(R、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、-N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)N(R(tは1または2である)、-P(=O)(R)(R)、あるいは-O-P(=O)(ORを含む置換基のうち1つ以上により随意に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これら部分の各部分は本明細書で定義されるように随意に置換されてもよい。
【0037】
本明細書では、用語「芳香族」または「アリール」は、6~14個の環原子(例えばC6-14芳香族またはC6-14アリール)を持つラジカルを指し、前記還原子は、炭素環式であるコンジュゲートされたπ電子系を有する少なくとも1つの環を有する(例えばフェニル、フルオレニル、およびナフチル)。いくつかの実施形態では、このアリールはC6-10アリール基である。例えば、置換ベンゼン誘導体から形成され、かつ環原子に遊離原子価を持つ二価ラジカルは、置換フェニレン基を含むラジカルと称される。他の実施形態では、遊離原子価を持つ炭素原子から1つの水素原子を除去することで名前の終わりが「-イル」となる、一価の多環式炭化水素ラジカル由来の二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名称に「-イデン(idene)」を加えることにより命名され、例えば、2つの結合点を持つナフチル基はナフチリデンと命名される。本明細書中に現れる場合は常に、「6~14個のアリール」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指す。例えば「6~14個の環原子」は、アリール基が、6または7個など、最大14の環原子からなる場合があることを意味する。この用語は、単環式または縮合環の多環式(隣接する環原子対を共有する環)の基を含む。多環式アリール基は、二環、三環、四環などを含む。多環基では、1つの環のみが芳香族であることを求められ、そのためインダニルなどの基はアリールの定義に包含される。アリール基の非限定的な例として、フェニル、フェナレニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、フェナントレニル、アントラセニル、フルオレニル、インドリル、インダニルなどが挙げられる。本明細書で別段の定めのない限り、アリール部分は、独立して以下:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カーボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(R、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、-N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)N(R(tは1または2である)、-P(=O)(R)(R)、あるいは-O-P(=O)(ORを含む置換基のうち1つ以上により随意に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これら部分の各部分は本明細書で定義されるように随意に置換されてもよい。
【0038】
本明細書では、用語「シクロアルキル」と「カルボシクリル」はそれぞれ、炭素と水素のみを含有する単環式または多環式ラジカルを指し、飽和されている、または部分的に不飽和であってもよい。部分的に不飽和のシクロアルキルは、炭素環が少なくとも1つの二重結合を含む場合は「シクロアルケニル」、または炭素環が少なくとも1つの三重結合を含む場合は「シクロアルキニル」と命名される場合がある。シクロアルキル基は、3~13個の環原子(C3-13シクロアルキル)を有する基を含む。「3~10」などの数値範囲は、本明細書で現れる場合は常に、所定の範囲内の各整数を指す。例えば「3~13個の炭素原子」は、シクロアルキル基が3、4、5個など最大13個の炭素原子からなる場合があることを意味する。用語「シクロアルキル」はまた、ヘテロ原子を含有しない架橋およびスピロ縮合された環式構造を含む。この用語は、単環式または縮合環の多環式(隣接する環原子対を共有する環)の基も含む。多環式アリール基は、二環、三環、四環などを含む。いくつかの実施形態では、「シクロアルキル」はC3-8シクロアルキルラジカルであってもよい。いくつかの実施形態では、「シクロアルキル」はC3-5シクロアルキルラジカルであってもよい。シクロアルキル基の例示的な例として、以下の部分が挙げられるがこれらに限定されるものではない。C3-6カルボシクリル基として、シクロプロピル(C)、シクロブチル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。C3-7カルボシクリル基の例としてノルボルニル(C)が挙げられる。C3-8カルボシクリル基の例として、前述のC3-7カルボシクリル基のほか、シクロヘプチル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルなどが挙げられる。C3-13カルボシクリル基の例として、前述のC3-8カルボシクリル基のほか、オクタヒドロ-1Hインデニル、デカヒドロナフタレニル、スピロ[4.5]デカニルなどが挙げられる。本明細書において別段の定めのない限り、シクロアルキル基は、独立して以下:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カーボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(R、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、-N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)N(R(tは1または2である)、-P(=O)(R)(R)、あるいは-O-P(=O)(ORを含む置換基のうち1つ以上により随意に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これら部分の各部分は本明細書で定義されるように随意に置換されてもよい。用語「シクロアルケニル」と「シクロアルキニル」は上述の「シクロアルキル」の記載を反映するものであり、接頭辞「alk」はそれぞれ「alken」または「alkyn」と置き換えられ、親の「アルケニル」または「アルキニル」との用語は本明細書に記載されるとおりである。例えばシクロアルケニル基は、5~8個の環原子など3~13個の環原子を有してもよい。いくつかの実施形態では、シクロアルキニル基は、5~13個の環原子を有してもよい。
【0039】
本明細書では、「ハロゲン」という用語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)を指す。本明細書では、「ハロゲン化物」または「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」、および「ハロアルコキシ」は、1つ以上のハロ基またはそれらの組み合わせにより置換される、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシの構造を含む。例えば、「フルオロアルキル」および「フルオロアルコキシ」という用語は、それぞれハロアルキル基およびハロアルコキシ基を含み、ここで前記ハロは、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどであるがこれらに限定されないフッ素である。アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシ基はそれぞれ、本明細書で規定されるとおりであり、場合により本明細書で規定されるようにさらに置換されてもよい。
【0040】
本明細書では、「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、およびリン(P)を指す。
【0041】
本明細書では、「ヘテロアルキル」という用語はアルキルラジカルを指し、このアルキルラジカルは、炭素以外の原子、例えば酸素、窒素、硫黄、リン、またはそれらの組み合わせから選択される1つ以上の骨格鎖原子を有する。鎖の合計長さを指す数値範囲が与えられる場合があり、例えばC1-4ヘテロアルキルは本例では4原子長である。例えば-CHOCHCHラジカルは、原子鎖長の記述にヘテロ原子中心を含む「C」ヘテロアルキルと称される。親分子構造への接続は、ヘテロアルキル鎖中のヘテロ原子または炭素を介して行うことができる。例えば、N含有ヘテロアルキル部分は、骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である基を指す。ヘテロアルキルラジカル中の1つ以上のヘテロ原子は場合により酸化されてもよい。1つ以上の窒素原子も、存在する場合は任意選択で四級化されてもよい。例えばヘテロアルキルはさらに、1つ以上の窒素酸化物(-O-)置換基で置換された骨格鎖を含む。典型的なヘテロアルキル基として、メトキシエタニル(-CHCHOCH)、エトキシメタニル(-CHOCHCH)、(メトキシメトキシ)エタニル(-CHCHOCHOCH)、(メトキシメトキシ)メタニル(-CHOCHOCH)、(メトキシエトキシ)メタニル(-CHOCHCHOCH)などのエーテルや、-CHCHNHCH、-CHCHN(CH、-CHNHCHCH、-CHN(CHCH)(CH)などのアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書では、「ヘテロアリール」または代替的に「ヘテロ芳香族」という用語は、5~18員の単環式または多環式(例えば二環式、三環、四環式など)の芳香族環システムのラジカル(例えば、環状の配置に6、10、または14のπ電子を共有する)を指し、前記芳香族環システムには環炭素原子および1~6個の環ヘテロ原子が提供され、各ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、リン、および硫黄(「5~18員のヘテロアリール」)から選択される。ヘテロアリール多環式環システムは、1または両方の環に1つ以上のヘテロ原子を含む場合がある。本明細書中に現れる場合は常に、「5~18」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指す。例えば「5~18個の環原子」は、ヘテロアリール基が、5個の環原子や6個の環原子など、最大18個の環原子からなる場合があることを意味する。いくつかの例では、ヘテロアリールは、5~14個の環原子を有する場合がある。いくつかの実施形態では、前記ヘテロアリールは、例えば、遊離原子価を持つ原子から1個の水素原子を除去することで名称が「-イル」で終わる一価ヘテロアリールラジカルから得られる二価ラジカルを有し、この二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名称に「-エン」を加えることにより命名され、例えば、2つの結合点を持つピリジル基はピリジレンと命名される。
【0043】
例えば、N含有「ヘテロ芳香族」または「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を指す。ヘテロアリールラジカル中の1つ以上のヘテロ原子は場合により酸化されてもよい。1つ以上の窒素原子も、存在する場合は任意選択で四級化されてもよい。ヘテロアリールはまた、ピリジニルN-オキシドなどの1つ以上の窒素酸化物(-O-)置換基で置換された環システムを含む。ヘテロアリールは、環の任意の原子を介して親分子構造に結合する。
【0044】
「ヘテロアリール」はまた、上記で定義されるようなヘテロアリール環が、親分子構造の結合点がアリール環またはヘテロアリール環上にある1つ以上のアリール基と縮合される環システム、あるいは、上記で定義されるようなヘテロアリール環が、親分子構造の結合点がヘテロアリール環上にある1つ以上のシクロアルキル基またはヘテロシクリル基と縮合される環システムを含む。1つの環がヘテロ原子(例えばインドリル、キノリニル、カルバゾイルなど)を含有しない多環式ヘテロアリール基では、親分子構造の結合点は、ヘテロ原子を有する環(例えば2-インドリル)またはヘテロ原子を含有しない環(例えば5-インドリル)の何れかの上にあってもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、芳香族環システムに環炭素原子と1~4個の環ヘテロ原子が提供される5~10員の芳香族環システムであり、各ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、リン、および硫黄から選択される(「5~10員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、芳香族環システムに環炭素原子と1~4個の環ヘテロ原子が提供される5~8員の芳香族環システムであり、各ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、リン、および硫黄から選択される(「5~8員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、芳香族環システムに環炭素原子と1~4個の環ヘテロ原子が提供される5~6員の芳香族環システムであり、各ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、リン、および硫黄から選択される(「5~6員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態では、5~6員ヘテロアリールには、窒素、酸素、リン、および硫黄から選択される1~3個の環ヘテロ原子がある。いくつかの実施形態では、5~6員ヘテロアリールには、窒素、酸素、リン、および硫黄から選択される1~2個の環ヘテロ原子がある。いくつかの実施形態では、5~6員ヘテロアリールには、窒素、酸素、リン、および硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子がある。
【0045】
ヘテロアリールの例として、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラザニル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6-ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアニジル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアピラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]プリジニル、およびチオフェニル(チエニル)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書に別段の定めのない限り、ヘテロアリール部分は、独立して以下:アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、イミノ、アジド、カーボネート、カルバメート、カルボニル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、エステル、エーテル、メルカプト、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボニル、ニトロ、オキソ、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素、-Si(R、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、-N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)N(R(tは1または2である)、-P(=O)(R)(R)、あるいは-O-P(=O)(ORを含む1つ以上の置換基により場合により置換されてもよく、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、これら部分の各部分は本明細書で定義されるように場合により置換されてもよい。
【0046】
本明細書では、「投与する」という用語は、対象への経口投与、坐薬としての投与、局所接触、静脈内投与、非経口投与、腹腔内投与、筋肉内投与、病変内投与、鞘内投与、頭蓋内投与、吸入、眼内投与、鼻腔内投与、皮下投与、または除法デバイス、例えばミニ浸透圧ポンプの移植を指す。特定の患者に好適な投与経路は、処置される疾患また疾病の性質および重症度、または、使用される治療薬の性質および活性化合物の性質に依存することになる。
【0047】
投与は、非経口および経粘膜(例えば頬側、舌下、口蓋、歯肉、鼻、膣、直腸、または経皮)を含む任意の好適な経路により行われてもよい。非経口投与として、例えば静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、脳室内投与、頭蓋内投与が挙げられる。他の送達方法として、リポソーム製剤、静脈注射、経皮パッチなどの使用が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
「共投与する」は、本明細書に記載の組成物が、1つ以上の追加の治療薬の投与と同時に、その直前に、またはその直後に投与されることを意味する。
【0049】
本発明の化合物は、患者に単独で投与、または共投与されてもよい。共投与は、化合物の同時または連続的な投与を個々に、または組み合わせで(1より多くの化合物または薬剤)含むことを意図されている。ゆえに、この調製物は、望まれる場合、(例えば代謝分解を減らすために)他の作用物質と組み合わせることができる。
【0050】
本発明の組成物は、局所経路により経皮投与され、塗布スティック、溶液、懸濁液、エマルジョン、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、ペイント、粉末、およびエアロゾルとして製剤化することができる。経口調製物として、患者による摂取に公的な錠剤、丸剤、粉末、糖衣錠、カプセル、液体、ロゼンジ、カシェ、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などが挙げられる。固形調製物として、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、カシェ、坐剤、および分配可能な顆粒剤が挙げられる。液体調製物として、溶液、懸濁液、エマルジョン、ゲル、例えば水や水/プロピレングリコール溶液が挙げられる。
【0051】
本発明の組成物はさらに、徐放性および/または快適性をもたらすための成分を含んでもよい。このような成分として、高分子量、アニオン性ムコ擬高分子物質(mucomimetic polymer)、ゲル化多糖類、および微粉砕薬物キャリア基質が挙げられる。これら成分は、米国特許第4,911,920号、5,403,841号、5,212,162号、および4,861,760号に詳しく論じられている。これらの特許の内容全体は、あらゆる目的のために全体を参照することにより本明細書に引用される。本発明の組成物はさらに、身体での放出を遅くするためのミクロスフェアとして投与することができる。例えばミクロスフェアは、ゆっくりと皮下に放出される薬物含有ミクロスフェアの皮内注射により(Rao,1995 J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623-645を参照)、生物分解性かつ注射可能なゲル製剤として(例えばGao 1995 Pharm.Res.12:857-863を参照)、または経口投与用のミクロスフェアとして(例えばEyles 1997 J.Pharm.Pharmacol.49:669-674を参照)投与可能である。
【0052】
本明細書では、「疾患」、「疾病」、および「障害」という用語は互換的に使用され、本明細書に提供する化合物、医薬組成物、または方法により処置される状態、あるいはこれらにより処置可能な患者または対象の健康状態を指す。
【0053】
本明細書では、活性薬剤の「有効量」という用語は、所望の生体応答を誘発するのに十分な量を指す。当業者により認識されるように、本発明の化合物の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、処置される疾患、投与形態、および患者などの因子に応じて変動する場合がある。
【0054】
本明細書では、「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」などの用語は、生物学的標的(例えばJAK)阻害剤相互作用に関して、阻害剤がない状態に比べてタンパク質の活性または機能に負に影響を及ぼす(例えば低減させる)ことを指す。実施形態では、阻害は、阻害剤がない状態に比べてタンパク質の濃度または量に負に影響を及ぼす(例えば低減させる)ことを意味する。実施形態では、阻害は、疾患またはその症状の減少を指す。実施形態では、阻害は、特定のタンパク質標的の活性の減少を指す。阻害は、刺激を少なくとも部分的に、部分的に、または完全に阻害すること、活性化を低減する、妨げる、または遅らせること、あるいはシグナル伝達、酵素活性、またはタンパク質量を不活性化する、脱感作する、または下方調節することを含む。実施形態では、阻害は、直接相互作用(例えば、阻害剤と標的タンパク質との結合)から結果として生じる標的タンパク質の活性減少を指す。実施形態では、阻害は、間接相互作用(例えば、阻害剤は標的タンパク質を活性化するタンパク質に結合することで、標的タンパク質活性化を妨げる)からの標的タンパク質の活性減少を指す。
【0055】
本明細書では、「単離された」または「精製された」という用語は、通常は自然な状態で付随する成分を実質的または本質的に含まない材料を指す。純度と均一性は一般的に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技法を使用して判定される。
【0056】
本明細書では、開示された化合物の「薬学的に許容可能な形態」には、その薬学的に許容可能な塩、エステル、水和物、溶媒和物、異性体、プロドラッグ、および同位体標識された誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、「薬学的に許容可能な形態」には、その薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、および同位体標識された誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、「薬学的に許容可能な形態」には、その薬学的に許容可能な異性体、立体異性体、プロドラッグ、および同位体標識された誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
ある実施形態では、薬学的に許容可能な形態は、薬学的に許容可能な塩である。本明細書では、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、適切な医学良識の範囲内で、不適当な毒性、炎症、アレルギー反応などを生じることなく対象の組織に接触させて使用するのに適切であり、かつ合理的なベネフィット・リスク比に相応する塩を指す。薬学的に許容可能な塩は当該技術分野で周知である。例えば、Berge et al.は、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1-19で薬学的に許容可能な塩を詳述している。本明細書で提供される化合物の薬学的に許容可能な塩は、適切な無機酸、有機酸、無機塩、および有機塩から得られるものを含む。薬学的に許容可能で無毒な付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸、あるいは、酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、またはマロン酸などの有機酸により、またはイオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用することにより形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容可能な塩として、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。いくつかの実施形態では、塩を生じさせる有機酸として、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、pトルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0058】
塩は、親化合物の遊離塩基または遊離酸をそれぞれ適切な塩基または酸と反応させることなどにより、開示された化合物の単離および精製中にインサイツで、あるいは別個に調製することができる。適切な塩基から得られる薬学的に許容可能な塩として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、N(C1-4アルキル)の塩が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属の塩として、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容可能な塩として、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される無毒のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。塩を生じさせる有機塩基として、例えば、一級アミン、二級アミン、三級アミン、自然に生じる置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などを含む置換アミン、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩基付加塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩から選択されてもよい。
【0059】
ある実施形態では、薬学的に許容可能な形態は「溶媒和物」(例えば水和物)である。本明細書では、「溶媒和物」という用語は、非共有結合の分子間力により結合される溶剤の化学量論または非化学量をさらに含む化合物を指す。溶媒和物は、開示された化合物またはその薬学的に許容可能な塩であってもよい。溶剤が水である場合、溶媒和物は「水和物」である。薬学的に許容可能な溶媒和物および水和物は、例えば、1~約100、1~約10、あるいは1~約2、約3、または約4の溶剤または水分子を含むことのできる複合体である。本明細書では、「化合物」という用語は、化合物およびその溶媒和物のほか、それらの混合物を包含することが理解されるであろう。
【0060】
ある実施形態では、薬学的に許容可能な形態はプロドラッグである。本明細書では、「プロドラッグ」(または「プロ-ドラッグ」)という用語は、開示された化合物またはその薬学的に許容可能な形態をもたらすためにインビボで形質転換される化合物を指す。プロドラッグは、対象に投与されるときは不活性の場合があるが、例えば加水分解(例えば血液中での加水分解)により活性化合物へとインビボで変換される。特定の場合、プロドラッグは、親化合物よりも物理的および/または送達特性が改善されている。プロドラッグは、(例えば、経口投与後に血液への吸収を増強させることにより)対象に投与される時の化合物のバイオアベイラビリティを増大させるか、または、親化合物に比べて目的の生物学的区画(例えば脳またはリンパ系)への送達を増強することができる。典型的なプロドラッグとして、親化合物に比べて水溶解度または腸膜を介する能動輸送が増強された、開示された化合物の誘導体を含む。
【0061】
プロドラッグ化合物は、哺乳動物生物体に溶解度、組織適合性、または遅延放出といった利点を提供することが多い(例えば、Bundgard,H.,Design of Prodrugs(1985),pp.7-9,21-24(Elsevier,Amsterdam)を参照)。プロドラッグについては、Higuchi,T.,et al.,“Pro-drugs as Novel Delivery Systems,”A.C.S.Symposium Series,Vol.14、およびBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987の中で論じられており、両文献は参照により完全に本明細書に引用される。
【0062】
プロドラッグは、哺乳動物生物体に溶解度、組織適合性、または遅延放出といった利点を提供することが多い(Bundgard,Design of Prodrugs,pp.7-9,21-24,Elsevier,Amsterdam 1985 and Silverman,The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,pp.352-401,Academic Press,San Diego,Calif.,1992を参照)。当該技術分野でよく知られるプロドラッグは、例えば、親の酸と適切なアルコールとの反応により調製されるエステル、親の酸化合物とアミントの反応により調製されるアミド、アシル化塩基誘導体を形成するべく反応される塩基性基など、周知の酸誘導体を含む。他のプロドラッグ誘導体は、バイオアベイラビリティを増強するために本明細書に開示される他の特徴と組み合わせてもよい。そのため当業者は、遊離アミノ、アミド、ヒドロキシ、またはカルボン酸基を有する本開示の化合物の一部がプロドラッグに変換可能であることを認識するであろう。プロドラッグは、本明細書に開示される上記置換基のいずれかに共有結合するカーボネート、カルバメート、アミド、またはアルキルエステル部分を有する化合物を含む。
【0063】
プロドラッグの典型的な利点として、親化合物に比べて生理的pHでの非経口投与の水溶解度の増強、消化器官からの吸収の増強、または長期保管のための薬物安定性の増強といった物理的性質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
本明細書では、「薬学的に許容可能な」賦形剤、担体、または希釈剤は、主題の医薬品を1つの器官または身体部分から別の器官または身体部分への運搬あるいは輸送に関与する、例えば液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤、あるいは封入材料などの薬学的に許容可能な材料、組成物、または溶媒を指す。各担体は、製剤の他の成分に適合可能であり、かつ患者に有害でないという意味で「許容可能」である必要がある。薬学的に許容可能な担体として機能可能な材料の一部の例として、ラクトースやグルコース、スクロースなどの糖類、トウモロコシデンプンやジャガイモデンプンなどのデンプン、カルボキシルメチルセルロースナトリウムやエチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、トラガカント粉末、麦芽、ゼラチン、タルク、ココアバターや座剤用ワックスなどの賦形剤、落花生油や綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ダイズ油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリンやソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチルやラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張食塩水、リンゲル溶液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、ならびに医薬製剤に利用される他の非毒性の適合性物質が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウムやステアリン酸マグネシウム、ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドコポリマーなどの湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤のほか、着色料、剥離剤、コーティング剤、甘味料、香味料、芳香剤、防腐剤、抗酸化剤も、組成物に存在してもよい。
【0065】
本明細書では、「対象」という用語は、特定処置のレシピエントであるヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類などを含むがこれらに限定されない任意の動物(例えば哺乳動物)を指す。投与が企図される対象として、ヒト(例えば任意の年齢集団の男女、例えば小児対象(例えば幼児、小児、青年)または成人対象(例えば若年成人、中年成人、または老人))、および/または他の非ヒト動物、例えば非ヒト哺乳動物(例えば霊長類(例えばカニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、および/またはイヌなどの商業関連哺乳動物)、げっ歯類(例えばラットおよび/またはマウス)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ある実施形態では、非ヒト動物は哺乳動物である。非ヒト動物は、あらゆる発達段階にあるオスまたはメスであってもよい。非ヒト動物はトランスジェニック動物である場合がある。一般的に、「対象」と「患者」という用語は、ヒト対象に対しては本明細書で互換的に使用される。
【0066】
本明細書では、疾患または障害を「処置」あるいは「処置すること」という用語は、それらが生じる前または後にこのような状態を低減し、遅延し、または改善する方法を指す。処置は、疾患および/または根底にある病状の1つ以上の効果あるいは症状を対象とする場合がある。処置は任意の減少であり、疾患またはその症状の完全な除去であってもよいがこれに限定されるものではない。そのため、処置すること、または処置は、減退、寛解、症状の軽減、あるいは損傷、病状、疾病に対する患者の忍容性の向上、変性速度の緩徐化または低下、変性の最終点に対する衰弱低下、患者の身体または精神的な健康の改善などの他覚的または主観的パラメータを含む、損傷、疾患、病状、または疾病の治療あるいは改善の完遂を示すものを指す。症状の処置または改善は、他覚的または主観的パラメータ、例えば身体検査、神経精神病学的試験、および/または精神鑑定の結果に基づく場合がある。同等の未処置の対照と比較して、標準技術により測定されるように、改善の減少または程度は、少なくとも5%、10%、20%、40%、50%、60%、80%、90%、95%、または100%である。
【0067】
処置方法は、本明細書に記載の化合物を治療上有効量で対象に投与する工程を含む。この投与する工程は、一回の投与であるか、一連の投与を含んでもよい。処置期間は、疾病の重症度、患者の年齢、化合物の濃度、処置に使用する組成物の活性、またはそれらの組み合わせなどの様々な因子に左右される。処置に使用される薬剤の有効量は、特定の処置計画の経過中に増減されてもよいことも理解されるであろう。用量の変化は、当該技術分野で既知の標準診断アッセイの結果、明白となる場合がある。いくつかの実施形態では、長期投与が必要な場合もある。例えば組成物は、患者を処置するのに十分な量および期間で対象に投与される。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明は、経口投与可能、局所投与可能、および/または胃腸(GI)管制限投与に好適である、新規で選択的、かつ強力な化合物の予期せぬ発見に基づくものである。(I)経口投与あるいは(II)GIおよび/または皮膚局所用途に好適な候補となるようデザインされた一連の新規なJAK阻害剤が、本明細書に開示される。経口投与用にデザインされる化合物は、他のJAKキナーゼに対する一連の選択性および良好な全体的薬物プロファイルにより、JAK2に対して強力である。GI制限または皮膚局所用途に適した候補となる化合物は、JAK1および/またはTYK2を含む強い全JAK活性を呈するようにデザインされる。特にこれら化合物は、経口吸収が最小限とされることで全身曝露を制限するが、作用部位、具体的に胃腸で高曝露を呈するようにデザインされる。
【0069】
ヤヌスキナーゼの阻害は、免疫機能を必然的に阻害し、場合により細菌およびウイルスの感染症リスクを増大させる。JAK阻害をGI管に制限することにより、GI制限化合物、または局所的に皮膚への外用のためにデザインされる化合物では、これら化合物の全身曝露は大きく減少または削減され、これにより免疫機能が妨げられる。JAK2が癌を引き起こすものであり、JAK2の阻害が適切な処置である腫瘍学適応症では、JAK2の選択的阻害により、JAK2シグナル伝達に依存しない免疫機能が保存される。
【0070】
本発明の選択化合物は、癌に対する経口投与に好適である。これら化合物は、経口吸収およびインビボ安定性が良好な、JAK2に対する良好な効力を呈するようにデザインされる。さらに化合物は、他のJAKキナーゼ(例えばJAK1)に対する選択性を持つ場合がある。
【0071】
本発明の選択化合物は、経口投与後に全身曝露が制限されるGI疾患の処置に好適である。これら化合物は、JAKキナーゼ(例えばJAK1、TYK2、およびJAK2)に対する良好な効力を持ち、吸収の制限を通じて作用部位でのより高量の曝露を実証する。
【0072】
本発明の選択化合物は、局所皮膚投与に好適である。これら化合物は、真皮/表皮、したがって皮膚の作用部位での全身曝露の制限および高量の曝露を伴う、JAKキナーゼ(例えばJAK1、TYK2、およびJAK2)に対する良好な効力を呈する。
【0073】
本発明はまた、これら化合物の医薬組成物、およびその使用と調製の方法を提供する。本明細書に開示されるJAK阻害剤は、例外的な効力プロファイルを呈しつつ、標的適応症に好適な好ましい薬物動態プロファイルおよび薬物特性を有する(enjoying)。
【0074】
一態様では、本発明は概して、構造式(I)を有する化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体に関するものであり、
【0075】
【化4】
式中、
LはOまたはNR4’であり、
XはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
YはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
とZはそれぞれ独立して、NおよびCR’から選択され、この場合はZおよびZのうち一方がN、他方がCR’であることを前提とし、
は、水素、ハロゲン、CN、非置換または置換のC-C(例えばC-C)アルキル、またはOR’であり、
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基であり、該脂肪族基は、ハロゲン、OR’、NRR’、CN、CONRR’、NRCOR’、およびC-C(例えばC-C)アルキルで随意に置換され、次いでF(例えばCHF、CHF、またはCF)、OR’、またはNRR’で随意に置換され、
はR’またはハロゲンであり、
とR4’はそれぞれ、LがNR4’であるとき、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基から選択され、RとR4’は一体となって、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を形成する場合があり、ここでRとR4’はそれぞれ、CN、CF、またはOR’で随意に置換され、但し、RおよびR4’のうち一方が水素である場合、他方は水素ではないことを前提とし、ならびに
RとR’はそれぞれ独立して、水素あるいは非置換もしくは置換のC-C12アルキル基である。
【0076】
(I)の特定の実施形態では、Lは以下の構造式を有するOである:
【0077】
【化5】
【0078】
(I)の特定の実施形態では、Lは以下の構造式を有するNR4’である:
【0079】
【化6】
【0080】
(I)の特定の実施形態では、XはCRであり、ここでRは、H、ハロゲン、非置換または置換のC-C(例えばC-C)アルキル、またはアルコキシである。
【0081】
(I)の特定の実施形態では、XはCHである。
【0082】
(I)の特定の実施形態では、XはNである。
【0083】
(I)の特定の実施形態では、YはCRであり、ここでRは、H、ハロゲン、非置換または置換のC-C(例えばC-C)アルキル、またはアルコキシである。
【0084】
(I)の特定の実施形態では、YはCHである。
【0085】
(I)の特定の実施形態では、YはNである。
【0086】
(I)の特定の実施形態では、ZはCHであり、ZはNである。
【0087】
(I)の特定の実施形態では、ZはNであり、ZはCHである。
【0088】
(I)の特定の実施形態では、Rは直鎖状、分枝状、または環状の非置換または置換のC-C12(例えばC-C)アルキル基を含む。
【0089】
(I)の特定の実施形態では、Rは、O、N、およびSから選択される0~3個(例えば0、1、2、3個)のヘテロ原子を有する3~7員(例えば3員、4員、または5員)の環を含む。(I)の特定の実施形態では、Rは、0個のヘテロ原子を有する3~7員の環を含む。
【0090】
(I)の特定の実施形態では、Rはシクロプロピル環を含む。
【0091】
(I)の特定の実施形態では、Rは4員環を含む。
【0092】
(I)の特定の実施形態では、Rは5員環を含む。
【0093】
(I)の特定の実施形態では、RはCN基を含む基である。ある実施形態では、CN基は、Lに対するβ位置にて炭素原子に結合する。
【0094】
(I)の特定の実施形態では、CN基は第2級炭素原子に結合する。
【0095】
(I)の特定の実施形態では、CN基は第3級炭素原子に結合する。
【0096】
(I)の特定の実施形態では、RはCNで置換されるCアルキル基である。
【0097】
(I)の特定の実施形態では、RはCNで置換されるCアルキル基である。
【0098】
(I)の特定の実施形態では、RはCNで置換されるCアルキル基である。
【0099】
(I)の特定の実施形態では、R4’はHである。
【0100】
(I)の特定の実施形態では、R4’はC-Cアルキル(例えばメチル、エチル、プロピル)である。ある実施形態では、R4’はメチルである。
【0101】
(I)の特定の実施形態では、R4’はメチルである。
【0102】
(I)の特定の実施形態では、LはOであり、XはCRであり、YはCHであり、ZはCHであり、ZはNであり、前記化合物は構造式(II)を有する:
【0103】
【化7】
【0104】
(I)の特定の実施形態では、LはNR4’であり、XはCRであり、YはCHであり、ZはCHであり、ZはNであり、前記化合物は構造式(III)を有する:
【0105】
【化8】
【0106】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、RはFである。
【0107】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、RはClである。
【0108】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、RはC-Cアルキル(例えばメチル、エチル、プロピル)である。ある実施形態では、Rはメチルである。
【0109】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、Rは、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子と置き換えられる0~2個(例えば0、1、または2個)の炭素原子を有するC-C(例えばC-C)脂肪族基であり、該脂肪族基は、場合によりCN基またはCF基で置換される。
【0110】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、Rは、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子と置き換えられる0~3個(例えば0、1、2、または3個)の炭素原子を有するC-C16(例えばC7-C10)脂肪族基であり、該脂肪族基は、場合によりCN基またはCF基で置換される。
【0111】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、Rは、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子と置き換えられる0~8個(例えば0、1、2、3、4、5、6、7、または8個)の炭素原子を有するC-C16(例えばC-C10)環状アルキルを含み、場合によりCN基またはCF基で置換される。
【0112】
ある実施形態では、前記環状アルキルはC-C環状アルキルである。
【0113】
ある実施形態では、前記環状アルキルはC環状アルキルである。
【0114】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、RはCNを含む基である。
【0115】
ある実施形態では、RはCH-CNである。
【0116】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、RはCNを含まない。
【0117】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、R
【0118】
【化9】
であり、
式中、
はN、CH、またはOであり、ZがOであるとき、Rは存在せず、
mとnはそれぞれ独立して、0、1、2、3、または4であり、但し、mとnが同時に0ではないことを前提とし、
はC-C(例えばC-C)アルキル、CN、ハロゲン、またはC(O)Rであり、ここでRは、C-C(例えばC-C)アルキルであり、但しZがNであるとき、RはCNでもハロでもないことを前提とする。
【0119】
ある実施形態では、mとnはそれぞれ2である。
【0120】
ある実施形態では、ZはNである。
【0121】
ある実施形態では、ZはOである。
【0122】
ある実施形態では、RはC-C(例えばC-C)アルキルである。ある実施形態では、Rはメチルである。
【0123】
ある実施形態では、RはC(O)Rであり、RはC-Cアルキルであり、但しmとnのうち少なくとも1つは0ではないことを前提とする。
【0124】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、Rは置換または非置換のピペリジンである。
【0125】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、Rは置換または非置換のシクロプロピルである。
【0126】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、Rはメチルである。
【0127】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、RはHである。
【0128】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、RはCHである。
【0129】
(I)、(II)、または(III)の特定の実施形態では、RはFまたはClである。
【0130】
本発明の化合物の非限定的な例のリストを表1に提供する。選択化合物の特定の典型的なデータを表2に提供する。表3Aと3Bは、特定の文献上の化合物および典型的な試験データを示す。
【0131】
ある実施形態では、本発明の化合物は以下から選択される:
【0132】
【表1】
【0133】
ある実施形態では、本発明の化合物は以下から選択される:
【0134】
【表2-1】
【0135】
【表2-2】
【0136】
本明細書で論じられるように、1つ以上の水素原子(例えば1、2、4、5、6、7、8、9、10個など)を重水素原子と置き換えられる同位体誘導体化合物が、本発明に企図される。ある実施形態では、本発明の同位体誘導体化合物は、重水素原子と置き換えられる1つの水素原子を有する。
【0137】
別の態様では、本発明は概して、ヒトを含む哺乳動物の1つ以上の疾患または障害を処置あるいは低減するのに有効な本明細書に開示される化合物と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む、医薬組成物に関するものである。
【0138】
また別の態様では、本発明は概して、ヒトを含む哺乳動物の1つ以上の疾患または障害を処置あるいは低減するのに有効な、構造式(I)を有する一定量の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む、医薬組成物に関するものであり、
【0139】
【化10】
式中、
LはOまたはNR4’であり、
XはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
YはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
とZはそれぞれ独立して、NおよびCR’から選択され、この場合はZおよびZのうち一方がN、他方がCR’であることを前提とし、
は、水素、ハロゲン、CN、非置換または置換のC-C(例えばC-C)アルキル、またはOR’であり、
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基であり、該脂肪族基は、ハロゲン、OR’、NRR’、CN、CONRR’、NRCOR’、およびC-C(例えばC-C)アルキルで随意に置換され、次いでF(例えばCHF、CHF、またはCF)、OR’、またはNRR’で随意に置換され、
はR’またはハロゲンであり、
とR4’はそれぞれ、LがNR4’であるとき、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基から選択され、RとR4’は一体となって、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を形成する場合があり、ここでRとR4’はそれぞれ、CN、CF、またはOR’で随意に置換され、但し、RおよびR4’のうち一方が水素である場合、他方は水素ではないことを前提とし、ならびに
RとR’はそれぞれ独立して、水素、あるいは非置換または置換のC-C12アルキル基である。
【0140】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、LはOであり、XはCRであり、YはCHであり、ZはCHであり、ZはNであり、前記化合物は構造式(II)を有する:
【0141】
【化11】
【0142】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、LはNR4’であり、XはCRであり、YはCHであり、ZはCHであり、ZはNであり、前記化合物は構造式(III)を有する:
【0143】
【化12】
【0144】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、Rは直鎖、分枝鎖、あるいは環状の非置換または置換のC-C12(例えばC-C、C-C12)アルキル基を含む。
【0145】
前記医薬組成物の特定の実施形態では、Rは、O、N、およびSから選択される0~3個(例えば0、1、2、3個)のヘテロ原子を有する3~7員(例えば3員、4員、または5員)の環を含む。前記医薬組成物の特定の実施形態では、Rは、0個のヘテロ原子を有する3~7員(例えば3員、4員、または5員)の環を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は経口投与に適している。
【0147】
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は局所投与に適している。
【0148】
ある実施形態では、本発明の医薬組成物はGI制限投与(GI-restricted administration)に適している。
【0149】
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、炎症性疾患、免疫媒介性疾患、および癌のうち1つ以上、あるいは関連する疾患または障害を処置または低減するのに有用である。
【0150】
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、炎症性疾患あるいは関連する疾患または障害を処置または低減するのに有用である。
【0151】
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、免疫媒介性疾患あるいは関連する疾患または障害を処置または低減するのに有用である。
【0152】
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、癌あるいは関連する疾患または障害を処置または低減するのに有用である。
【0153】
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、炎症性腸疾患、乾癬、白斑、円形脱毛症、全脱毛症、アトピー性皮膚炎、全身性エリテマトーデス、喘息、糖尿病腎症、慢性骨髄白血病(CML)、本態性血小板血(ET)、一次性赤血球増加症(PV)、骨髄線維症(MF)、乳癌、および卵巣癌から選択される疾患または障害を処置または低減するのに有用である。
【0154】
また別の態様では、本発明は概して、本明細書に開示される医薬組成物を含む単位剤形に関するものである。
【0155】
ある実施形態では、前記単位剤形は、例えばカプセル、錠剤、丸剤、粉末、または顆粒剤の形態にある固形剤形である。ある実施形態では、前記単位剤形はカプセルである。ある実施形態では、前記単位剤形は錠剤である。
【0156】
ある実施形態では、前記単位剤形は、例えばエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、またはエリキシルの形態にある液体剤形である。
【0157】
また別の態様では、本発明は概して、疾患または障害を処置あるいは低減するための方法に関するものである。該方法は、ヒトを含む哺乳動物の炎症性疾患、免疫媒介性疾患、癌、あるいは関連する疾患または障害のうち1つ以上処置、予防、あるいは低減するのに有効な、構造式(I)を有する一定量の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な形態またはアイソトープ誘導体と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬組成物を、対象に投与する工程を含み、
【0158】
【化13】
式中、
LはOまたはNR4’であり、
XはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
YはNまたはCRであり、RはR’、ハロゲン(例えばCl、F)、CN、またはOR’であり、
とZはそれぞれ独立して、NおよびCR’から選択され、この場合はZおよびZのうち一方がN、他方がCR’であることを前提とし、
は、水素、ハロゲン、CN、非置換または置換のC-C(例えばC-C)アルキル、またはOR’であり、
は、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基であり、該脂肪族基は、ハロゲン、OR’、NRR’、CN、CONRR’、NRCOR’、およびC-C(例えばC-C)アルキルで随意に置換され、次いでF(例えばCHF、CHF、またはCF)、OR’、またはNRR’で随意に置換され、
はR’またはハロゲンであり、
とR4’はそれぞれ、LがNR4’であるとき、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を随意に含むC-C16(例えばC-C、C-C16)脂肪族基から選択され、RとR4’は一体となって、O、N、およびSから選択される0~3個のヘテロ原子を有する3~7員の環を形成する場合があり、ここでRとR4’はそれぞれ、CN、CF、またはOR’で随意に置換され、但し、RおよびR4’のうち一方が水素である場合、他方は水素ではないことを前提とし、ならびに
RとR’はそれぞれ独立して、水素、あるいは非置換または置換のC-C12アルキル基である。
【0159】
前記方法の特定の実施形態では、LはOであり、XはCRであり、YはCHであり、ZはCHであり、ZはNであり、前記化合物は構造式(II)を有する:
【0160】
【化14】
【0161】
前記方法の特定の実施形態では、LはNR4’であり、XはCRであり、YはCHであり、ZはCHであり、ZはNであり、前記化合物は構造式(III)を有する:
【0162】
【化15】
【0163】
前記方法の特定の実施形態では、Rは直鎖状、分枝状、あるいは環状の非置換または置換のC-C12(例えばC-C、C-C12)アルキル基を含む。
【0164】
前記方法の特定の実施形態では、Rは、O、N、およびSから選択される0~3個(例えば0、1、2、3個)のヘテロ原子を有する3~7員(例えば3員、4員、または5員)の環を含む。前記医薬組成物の特定の実施形態では、Rは、0個のヘテロ原子を有する3~7員(例えば3員、4員、または5員)の環を含む。
【0165】
また別の態様では、本発明は概して、疾患または障害を処置あるいは低減するための方法に関するものである。該方法は、本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含み、前記疾患または障害は、炎症性疾患、免疫媒介性疾患、および癌のうち1つ以上、あるいは関連する疾患または障害である。
【0166】
前記方法の特定の実施形態では、前記疾患または障害は炎症性疾患である。
【0167】
前記方法の特定の実施形態では、前記疾患または障害は免疫媒介性疾患である。
【0168】
前記方法の特定の実施形態では、前記疾患または障害は癌である。
【0169】
前記方法の特定の実施形態では、前記疾患または障害は、炎症性腸疾患、乾癬、白斑、アトピー性皮膚炎、全身性エリテマトーデス、喘息、糖尿病腎症、慢性骨髄白血病(CML)、本態性血小板血(ET)、一次性赤血球増加症(PV)、骨髄線維症(MF)、乳癌、および卵巣癌から選択される。
【0170】
前記方法の特定の実施形態では、前記投与は経口投与を介して行われる。
【0171】
前記方法の特定の実施形態では、前記投与は局所投与を介して行われる。
【0172】
前記方法の特定の実施形態では、前記投与はGI制限投与を介して行われる。
【0173】
また別の態様では、本発明は概して、疾患または障害を処置するための薬剤の調製における、本明細書に開示される化合物、および薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤の使用に関するものである。
【0174】
前記使用の特定の実施形態では、前記疾患または障害は、炎症性疾患、免疫媒介性疾患、および癌のうち1つ以上である。
【0175】
前記使用の特定の実施形態では、前記疾患または障害は自己免疫疾患である。
【0176】
前記使用の特定の実施形態では、前記疾患または障害は免疫媒介性疾患である。
【0177】
前記使用の特定の実施形態では、前記疾患または障害は癌である。
【0178】
前記使用の特定の実施形態では、前記薬剤は経口投与用である。
【0179】
前記使用の特定の実施形態では、前記薬剤は局所投与用である。
【0180】
前記使用の特定の実施形態では、前記薬剤はGI制限投与用である。
【0181】
「炎症性疾患」という用語は、異常な炎症、例えば、疾患を患っていない健康な人などの対照と比較して炎症レベルが高いことを特徴とする疾患または疾病を指す。本明細書に記載の化合物、医薬組成物、または方法により処置可能な炎症性疾患の例として、自己免疫疾患、外傷性脳損傷、関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、若年性糖尿病、1型真性糖尿病、ギランバレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、脈管炎、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、魚鱗癬、グレーヴス眼症、炎症性腸疾患、アジソン病、白斑、喘息、アレルギー性喘息、尋常性ざ瘡、セリアック病、慢性前立腺炎、炎症性腸疾患、骨盤炎症性疾患、再灌流傷害、虚血性再灌流傷害、脳卒中、サルコイドーシス、移植拒絶反応、間質性膀胱炎、アテローム性動脈硬化症、強皮症、アトピー性皮膚炎が挙げられる。このような疾病は頻繁に、他の疾患、障害、および疾病と密接に絡み合う。例えば炎症性サイトカインにより生じるおそれのある炎症性関連疾患、障害、および疾病の非限定的な例として、関節炎、腎不全、狼瘡、喘息、乾癬、大腸炎、膵臓炎、アレルギー、線維症、外科合併症(例えば炎症性サイトカインが治癒を妨げる)、貧血症、および線維筋痛症が挙げられる。慢性炎症と関連するおそれのある他の疾患および障害として、アルツハイマー病、うっ血性心不全、卒中、大動脈弁狭窄、動脈硬化症、骨粗鬆症、パーキンソン病、感染症、炎症性腸疾患(IBD)、アレルギー性接触皮膚炎、他の湿疹、全身性硬化症、移植、多発性硬化症が挙げられる。(例えば現行の治療制限に起因して)本開示の化合物が特に効果的な場合がある前述の疾患、障害、および疾病の一部を、以下に詳しく記述する。
【0182】
用語「自己免疫疾患」は、対象の免疫系が、健康な対象では免疫応答を通常誘発しない物質に対する異常な免疫応答を有する疾患または疾病を指す。本明細書に記載の化合物、医薬組成物、または方法により処置可能な自己免疫疾患の例として、尋常性ざ瘡、急性散在性脳脊髄膜炎、急性壊死性出血性白質脳炎、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、アイカルディ・グティエール症候群(AGS)、円形脱毛症、全脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性自律神経異常症、自己免疫性肝炎、自己免疫性高脂血症、自己免疫性免疫不全、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性甲状腺疾患、自己免疫性蕁麻疹、軸索神経障害、ニューロン神経障害、バロー病(balo disease)、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性非典型的好中球性皮膚疾患症候群(chronic atypical neutrophilic dermatosis with lipodystrophy and elevated temperature)(CANDLE)、慢性活動性肝炎、慢性疲労症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、慢性再発性多発性骨髄炎、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡/良性粘膜類天疱瘡、クローン病、コガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST疾患、クッシング病、脱髄性ニューロパチー、うつ病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状狼瘡、ドレスラー症候群、ドライアイ症候群DES(乾性角結膜炎)、子宮内膜症、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、実験的エネルギー性脳脊髄炎、エバンス症候群、線維筋痛症、線維化性肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症、移植片対宿主病(GVDH)、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、妊娠疱疹、汗腺膿瘍、低ガンマグロブリン血症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、炎症性腸疾患(IBD)、免疫調節性リポタンパク質、封入体筋炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、若年型糖尿病(1型糖尿病)、若年性皮膚筋炎(JDM)、若年性筋炎、川崎症候群、ランバート-イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、直鎖IgA疾患、狼瘡、ライム病、慢性、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎、混合結合組織病、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼部瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ、小児自己免疫性溶連菌関連性精神神経障害(Pediatric Autoimmune Neuropsychiatric Disorders Associated with Streptococcus)、腫瘍随伴性小脳変性症、発作性夜間色素尿症、パリー・ロンベルグ症候群、パーソナージュ-ターナー症候群、扁平部炎(周辺性ブドウ膜炎)、天疱瘡、末梢神経障害、静脈周囲脳脊髄炎、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発性動脈炎、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、I、II、III型多腺性自己免疫症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、プロゲステロン皮膚炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、乾癬、乾癬性関節炎、プラーク乾癬、特発性肺線維症、壊疽性膿皮症、赤芽球ろう、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、ライター症候群、再発性多発性軟骨炎、不隠下肢症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精液精巣自己免疫(sperm & testicular autoimmunity)、スティッフパーソン症候群、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)関連型幼児期発症の血管症(SAVI)、亜急性細菌性心内膜炎、スザック症候群、交感性眼炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病、トローザ-ハント症候群、移植拒絶反応(同種移植拒絶反応)、横断脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、未分化結合織疾患、ブドウ膜炎、脈管炎、水疱性皮膚病、白斑、またはヴェーゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0183】
「免疫媒介性疾患」という用語は、抗体および細胞性免疫により永続化される慢性炎症性疾患を指す。免疫媒介性疾患として、例えば喘息、アレルギー、関節炎(例えば関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎)、若年性関節炎、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎、クローン病)、内分泌障害(例えば1型糖尿病、グレーブス病)、神経変性疾患(例えば多発性硬化症(MS))、自閉症スペクトル障害、うつ病、アルツハイマー病、ギランバレー症候群、強迫性障害、視神経炎、網膜変性、ドライアイ症候群DES、シェーグレン症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンチントン病、ギランバレー症候群、重症筋無力症、慢性特発性脱髄疾患(CID)、血管疾患(例えば自己免疫性聴覚消失、全身性脈管炎、およびアテローム性動脈硬化症)、および皮膚病(例えば尋常性ざ瘡、皮膚筋炎、天疱瘡、全身性エリテマトーデス(SLE)、円板状紅斑性狼瘡、強皮症、乾癬、プラーク乾癬、血管炎、白斑、脱毛症)、橋本甲状腺炎、悪性貧血、クッシング病、アジソン病、慢性活動性肝炎、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、セリアック病、天疱瘡、移植拒絶反応(同種移植拒絶反応)、移植片対宿主病(GVDH)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0184】
本明細書では、「癌」という用語は、哺乳動物例えばヒトに見られる全ての種類の癌、新生物、または悪性腫瘍を指すものであり、血液癌白血病、リンパ腫、T-ALL、大細胞型B細胞リンパ腫、癌や肉腫などの固形癌が挙げられる。典型的な癌として、血液癌、脳腫瘍、神経膠腫、膠芽腫、神経芽細胞腫、前立腺癌、大腸癌、膵臓癌、子宮頚癌、胃癌、卵巣癌、肺癌、頭部の癌が挙げられる。典型的な癌として、甲状腺癌、内分泌系癌、脳腫瘍、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、頭頚部癌、肝臓癌、腎臓癌、肺癌、小細胞肺癌、黒色腫、中皮腫、卵巣癌、肉腫、胃癌、子宮癌、髄芽腫、大腸癌、膵臓癌が挙げられる。さらなる例として、陰茎癌、非黒色腫性皮膚癌、肛門癌、肝胆道癌、胃食道癌、子宮肉腫、消化管間質腫瘍、唾液腺癌、末梢神経系癌、軟部組織肉腫、骨癌、腎臓癌、骨髄増殖性新生物、甲状腺癌、肝内胆管癌、膵臓腺癌、皮膚黒色腫、結腸腺癌、直腸腺癌、胃腺癌、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、乳房浸潤癌、肺腺癌、肺有棘細胞癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形神経膠芽腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血、原発性脳腫瘍、癌、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、前癌状態皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、内分泌腺新生物、外分泌膵、骨髄性甲状腺癌、骨髄性甲状腺癌、黒色腫、大腸癌、乳頭状甲状腺癌、肝細胞癌、転移性平滑筋肉腫、滑膜肉腫、未分化性多形態性肉腫、円形細胞脂肪肉腫、または前立腺癌が挙げられる。
【0185】
前記使用の特定の実施形態では、前記疾患または障害は、炎症性腸疾患、乾癬、白斑、アトピー性皮膚炎、全身性エリテマトーデス、喘息、糖尿病腎症、慢性骨髄白血病(CML)、本態性血小板血(ET)、一次性赤血球増加症(PV)、骨髄線維症(MF)、乳癌、および卵巣癌から選択される。
【0186】
同位体標識された化合物も本開示の範囲内にある。本明細書では、「同位体標識された化合物」は、それぞれ本明細書に記載される医薬塩およびプロドラッグを含む本明細書開示の化合物を指し、そこでは、1つ以上の原子が、通常自然に見られるものとは異なる原子質量または質量数を有する原子と置き換えられる。本開示の化合物に組み込み可能な同位体の例として、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clなどの、それぞれ、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体が挙げられる。
【0187】
本開示の化合物を同位体標識することにより、化合物は薬物および/または基質組織分布アッセイに有用な場合がある。トリチウム化(H)および炭素-14(14C)で標識された化合物は、調製の用意さと検出能のため特に好ましい。さらに、重水素(H)などのより重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性から生じる特定の治療上の利点、例えば、インビボでの半減期の増加または必要用量の減少をもたらすことができ、そのため一部の状況で好ましい場合がある。その医薬塩、エステル、およびプロドラッグを含む本開示の同位体標識された化合物は、当該技術分野で知られる任意の手段により調製できる。
【0188】
さらに、重水素などのより重い同位体での多量の水素(H)の置換は、例えば吸収、分布、代謝、および/または排泄(ADME)特性から生じる特定の治療上の利点をもたらし、効果、安全性、および/または忍容性が改善された薬物を作成することができる。利益は、13Cでの豊富な12Cの置換からも得ることができる(WO2007/005643、WO2007/005644、WO2007/016361、WO2007/016431を参照)。
【0189】
本開示の化合物の立体異性体(例えばシスおよびトランス異性体)ならびにあらゆる光学異性体(例えばRおよびSエナンチオマー)のほか、このような異性体のラセミ、ジアステレオマー、および他の混合物も、本開示の範囲内にある。
【0190】
本発明の化合物は調製後、95%以上(「実質的に純粋」)の重量を含有する組成物を得るために単離かつ精製されるのが好ましく、次いで本明細書で記載されるように使用または製剤化される。ある実施形態では、本発明の化合物の純度は99%超である。本発明の化合物の溶媒和物および多形体も本明細書で企図される。本発明の化合物の溶媒和物は、例えば水和物を含む。
【0191】
あらゆる適切な投与経路、例えば、非経口、静脈内、皮下、筋肉内、脳室内、体内、腹腔内、直腸、または経口での投与を利用することができる。特定の患者に最も好適な投与手段は、処置される疾患また疾病の性質および重症度、または使用される治療の性質、ならびに活性化合物の性質に左右されることになる。
【0192】
経口投与用の固形剤形として、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、顆粒が挙げられる。このような固形剤形では、本明細書に記載の化合物またはその誘導体は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸カルシウムなどの少なくとも1つの慣例的な不活性賦形剤(または担体)、あるいは、(i)例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸などの充填剤または増量剤、(ii)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アカシアなどの結合剤、(iii)例えばグリセロールなどの保水剤、(iv)例えば寒天(agar-agar)、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩、炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(v)例えばパラフィンなどの溶液凝固遅延剤、(vi)例えば第四級アンモニウム化合物などの吸収促進物質、(vii)例えばセチルアルコールやグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、(viii)例えばカオリンやベントナイトなどの吸着剤、および(ix)例えば滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、それらの混合物などの滑沢剤と混合される。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含んでもよい。同様の種類の固形組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤のほか、高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟および硬充填ゼラチンカプセルとして利用されてもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、顆粒剤などの固形剤形は、腸溶コーティングや当該技術分野で知られる他のものなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。
【0193】
経口投与用の液体剤形として、薬学的に許容可能なエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶剤など当該技術分野でよく使用される不活性希釈剤、可溶化剤、乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、具体的に綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれら物質の混合物などを含有してもよい。そのような不活性希釈剤に加えて、組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味料、香味料、または芳香剤などの追加の薬剤を含んでもよい。
【0194】
本明細書に開示される材料、組成物、および構成要素は、開示された方法および組成物のために使用され、前記方法および組成物と組み合わせて使用され、前記方法および組成物の調製のために使用され、または前記方法および組成物の産物であってもよい。これら化合物の様々な個別および集合的な組み合わせならびに順列に対する特定の言及が明確に開示されていない一方で、各々が本明細書中で具体的に企図および記載される、これら材料の組み合わせ、部分集合、相互作用、群などが開示されることを理解されたい。例えば、方法が開示かつ議論され、該方法に含まれる多数の分子に対して可能な多くの修飾が議論される場合、前記方法の個別およびすべての組み合わせと順列、ならびに可能な修飾は、特にそれとは反対の指示がない限り具体的に企図される。同様に、これらの任意の部分集合または組み合わせも具体的に企図かつ開示される。この概念は、開示された組成物を使用する方法の工程を含むがこれに限定されない本開示の態様すべてに適用される。ゆえに、実行可能な様々な追加の工程が存在する場合、これら追加の工程の各工程が、特定の方法の工程または開示された方法の工程の組み合わせとともに実行可能であり、かつ、このような組み合わせまたは組み合わせの部分集合がそれぞれ具体的に企図され、考慮かつ開示されるべきであることを理解されたい。
【0195】
ある本発明の化合物は、特定の幾何学的または立体異性の形態で存在してもよい。本発明は、本発明の範囲内にあるようなシスおよびトランス異性体、RおよびSエナンチオマー、ジアステレオマー、(D)異性体、(L)異性体、それらのラセミ混合物、ならびにそれらの他の混合物を含む、前記化合物すべてを企図する。さらなる不斉炭素原子がアルキル基などの置換基に存在してもよい。このような異性体すべて、ならびにこれらの混合物も、本発明に含まれることが意図される。
【0196】
様々な異性体比のいずれかを含有する異性体混合物が、本発明に従い利用されてもよい。例えば2つの異性体のみを組み合わせると、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、または100:0の異性体比を含有する混合物が、本発明により企図される。当業者は、同様の比がより複雑な異性体混合物に対し企図されることを容易に認識することになる。
【0197】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望まれる場合、不斉合成、またはキラル補助基による誘導により調製することができ、ここで結果として生じるジアステレオ異性混合物は分離され、補助基が切断されて、望ましい純粋なエナンチオマーが得られる。代替的に、分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合、ジアステレオマー塩は、適切な光学活性の酸または塩基で形成され、続いて当該技術分野で周知の分別結晶またはクロマトグラフィー法により形成されるジアステレオマーが分解され、次いで純粋なエナンチオマーが回収される。
【実施例
【0198】
一連の類似体の設計、合成、試験を行った。これら化合物の例を以下に提供する。
【0199】
略称
特定の略称を以下に列記する。
メタノール:MeOH
ジクロロメタン:DCM
石油エーテル:PE
酢酸エチル:EtOAc
トリエチルアミン:TEA
水酸化ナトリウム:NaOH
窒素:N
薄層クロマトグラフィー:TLC
高速液体クロマトグラフィー:HPLC
N,N-ジイソプロピルエチルアミン:DIPEA
N,N-ジメチルホルムアミド:DMF
4-メチルモルホリン:NMM
室温:RT
時間:hrs
X-Phos:2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル
Xant-phos:4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン
【0200】
分取HPLCの代表的な方法:(流量と勾配は変化する可能性あり)
分取HPLCの例示的方法を以下に提供する。
【0201】
方法A:NHHCO
【0202】
(カラム:XBrige Prep C18 5μm OBD19150mm、PN186002979、移動相:水中(0.1%NHHCO)で20%~60%のCHCN、流量:15mL/分)。
【0203】
方法B:TFA:
【0204】
(カラム:XBrige Prep C18 5μm OBD19150mm、PN186002979、移動相:水中(0.1%ギ酸)で15%~40%のCHCN、流量:15mL/分)。
【0205】
分析用HPLCの代表的な方法
方法1:Agilent1260シリーズH PLC-6120MS上で解析を行った。水中でUHPLC Long Gradient Equivalent 5%~95%アセトニトリル(0.02%NH4OAcを含有)を流量1.5mL/分で6.5分間実行した。XBridge C18カラム(5μm、4.650mm、PN186003113)を40℃で使用した。
【0206】
方法2:Agilent1200シリーズH PLC-6120MS上で解析を行った。水中でUHPLC Long Gradient Equivalent 5%~95%アセトニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸を含有)を流量1.5mL/分で6.5分間実行した。XBridge C18カラム(5μm、4.650mm、PN186003113)を40℃で使用した。
【0207】
方法3:Agilent1260シリーズH PLC-6120MS上で解析を行った。水中でUHPLC Long Gradient Equivalent 5%~95%アセトニトリル(0.02%NH4OAcを含有)を流量2mL/分で6.5分間実行した。Diamonsil Plus C18カラム(5μm、4.630mm、Cat#99436)を40℃で使用した。
【実施例1】
【0208】
【化16】
【0209】
工程1:4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)フェノール(1b)
化合物1a(3.0g、18.40mmol)、(4-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(4.46g、20.24mmol)、NaCO(3.90g、36.8mmol)、およびPd(dppf)Cl(942mg、1.288mmol)を1,4-ジオキサン/HO(24mL/6mL)に溶かした混合物を、N下、60℃で一晩撹拌した。混合物を室温に冷まして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE:EtOAc=2:1)により精製し、生成物(2.22g、収率55%)を白色固形物として得た。LC-MS(方法2):t=1.34分、m/z(M+H)=221.1。
【0210】
工程2:4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)フェノール(1c)
化合物1b(500mg、2.27mmol)、1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(418mg、3.40mmol)、Pd(dba)(145mg、0.1589mmol)、X-Phos(151mg、0.32mmol)、およびCsCO(1.11g、3.40mmol)を1,4-ジオキサン(10mL)に溶かした混合物を、N下、100℃で3時間撹拌した。混合物を室温に冷まして濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:DCM:MeOH=30:1)により精製し、生成物(366mg、収率53%)をオフホワイト固形物として得た。LC-MS(方法1):t=2.89分、m/z(M+H)=308.0。
【0211】
工程3:3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパンニトリル(1e)
化合物1d(2.0g、15.7mmol)をMeOH(30mL)に溶かした溶液にNaBH(898mg、23.6mmol)を少量ずつ加えた。混合物を0℃~室温で2時間撹拌した。この混合物をアセトン(2mL)で急冷し、減圧下で濃縮した。残渣をDCM(10mL)で希釈して濾過した。濾液を濃縮することで、粗製生成物(1.23g、収率79%)を無色の油として得た。H NMR(400MHz、DMSO-d)δ5.45(t,J=5.6Hz,1H),3.36(d,J=6.0Hz,2H),1.22(s,6H)。
【0212】
工程4:2-シアノ-2-メチルプロピルメタンスルホネート(1f)
化合物1e(300mg、3.03mmol)およびTEA(2.17g、21.4mmol)をDCM(4mL)に溶かした溶液に、MsCl(1.47g,12.84mmol)を0℃で滴下した。混合物をN下、0℃~室温で1時間撹拌した。この混合物に水(容量20mL)を加え、DCM(30mL2)で抽出した。組み合わせた有機質層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮することで、粗製生成物(600mg、収率100%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.12(s,2H),3.12(s,3H),1.45(S,6H)。
【0213】
工程5:3-(4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)フェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(1)
化合物1c(80mg、0.261mmol)、化合物1f(139mg、0.783mmol)、およびCsCO(170mg、0.522mmol)をDMF(1.5mL)に溶かした混合物を、100℃で一晩撹拌した。混合物を室温に冷まして濾過した。濾液を濃縮し、分取HPLC(方法A)により精製することで、生成物(51.9mg、収率51%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=3.51分、m/z(M+H)=389.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.28(s,1H),8.30(s,1H),7.90(s,1H),7.69(d,J=8.4Hz,2H),7.47(s,1H),7.13(d,J=8.8Hz,2H),4.10(s,2H),3.67-3.62(m,1H),2.21(s,3H),1.44(s,6H),0.98-0.91(m,4H)。
【実施例2】
【0214】
【化17】
【0215】
3-(4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)フェノキシ)シクロブタンカルボニトリル(2)
化合物1c(65mg、0.211mmol)および3-シアノシクロブチルメタンスルホネート(129mg、0.741mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物2(12.1mg)を収率15%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.75分、m/z(M+H)=387.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.28(s,1H),8.30(s,1H),7.89(s,1H),7.66(d,J=8.0Hz,2H),7.48(s,1H),6.99(d,J=8.8Hz,2H),5.09-5.03(m,0.8H),4.80-4.77(m,0.2H),3.67-3.62(m,1H),3.49-3.43(m,2H),3.15-3.10(m,0.2H),2.99-2.92(m,0.4H),2.88-2.82(m,1.4H),2.43-2.35(m,1H),2.20(s,3H),0.99-0.89(m,4H)。
【実施例3】
【0216】
【化18】
【0217】
1-((4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)フェノキシ)メチル)シクロブタンカルボニトリル(3)
化合物1c(55mg、0.179mmol)および(1-シアノシクロブチル)メチルメタンスルホネート(140mg、0.719mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物3(27.8mg)を収率39%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.47分、m/z(M+H)=401.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.29(s,1H),8.30(s,1H),7.90(s,1H),7.69(d,J=8.4Hz,2H),7.47(s,1H),7.13(d,J=8.8Hz,2H),4.34(s,2H),3.67-3.62(m,1H),2.54-2.53(m,2H),2.32-2.25(m,2H),2.21(s,3H),2.14-2.11(m,2H),0.97-0.91(m,4H)。
【実施例4】
【0218】
【化19】
【0219】
工程1:4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノール(4a)
化合物1a(523mg、3.21mmol)および(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(500mg、3.21mmol)を出発材料として実施例1の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物4a(375mg)を収率49%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.42分、m/z(M+H)=239.0。
【0220】
工程2:4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノール(4b)
化合物4a(375mg、1.576mmol)および1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(233mg、1.891mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物4b(190mg)を収率37%で合成した。LC-MS(方法1):t=1.45分、m/z(M+H)=326.1。
【0221】
工程3:3-(4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(4)
化合物4b(95mg、0.292mmol)および2-シアノ-2-メチルプロピルメタンスルホネート(155mg、0.877mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物4(27.2mg)を収率22%で合成した。LC-MS(方法1):t=4.07分、m/z(M+H)=407.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.33(s,1H),8.33(s,1H),7.90(s,1H),7.62(dd,J=1.6,14.0Hz,1H),7.52(d,J=8.0Hz,1H),7.47(s,1H),7.34(t,J=8.8Hz,1H),4.19(s,2H),3.67-3.63(m,1H),2.22(s,3H),1.45(s,6H),1.00-0.91(m,4H)。
【実施例5】
【0222】
【化20】
【0223】
1-((4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(5)
化合物4b(100mg、0.307mmol)および(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(162mg、0.922mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物5(34.5mg)を収率28%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.60分、m/z(M+H)=405.1。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.33(s,1H),8.33(s,1H),7.89(s,1H),7.61(d,J=12.4Hz,1H),7.51(d,J=8.8Hz,1H),7.47(s,1H),7.26(t,J=8.4Hz,1H),4.20(s,2H),3.66-3.63(m,1H),2.22(s,3H),1.453-1.40(m,2H),1.22-1.19(m,2H),1.00-0.89(m,4H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-134.28。
【実施例6】
【0224】
【化21】
【0225】
工程1:2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノール(6a)
化合物4a(300mg、1.26mmol)、1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(318mg、1.89mmol)、およびTsOH(105mg、0.63mmol)をn-BuOH(2mL)に溶かした混合物を、120℃で6時間撹拌した。この混合物を室温に冷まし、DCM(30mL)で希釈し、濃縮し、残渣を得た。残渣をDCM(10mL)とHO(10mL)で希釈し、DCM(10mL3)で抽出した。組み合わせた有機質層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、粗製生成物(224mg、収率48%)を緑色固形物として得た。LC-MS(方法2):t=1.41分、m/z(M+H)=370.1。
【0226】
工程2:1-((2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(6)
化合物6a(80mg、0.217mmol)および(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(114mg、0.650mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物6(43.7mg)を収率45%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.16分、m/z(M+H)=449.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.32(s,1H),8.32(s,1H),7.91(s,1H),7.62(d,J=12.4Hz,1H),7.52(t,J=6.0Hz,2H),7.26(t,J=8.8Hz,1H),4.35-4.30(m,1H),4.20(s,2H),3.96-3.93(m,2H),3.48-3.42(m,2H),2.22(s,3H),1.96-1.85(m,4H),1.43-1.40(m,2H),1.22-1.19(m,2H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-134.29。
【実施例7】
【0227】
【化22】
【0228】
3-(2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(7)
化合物6a(50mg、0.14mmol)および2-シアノ-2-メチルプロピルメタンスルホネート(72mg、0.41mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物7(36.8mg)を収率60%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.531分、m/z(M+H)=451.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.32(s,1H),8.32(s,1H),7.91(s,1H),7.62(d,J=12.4Hz,1H),7.53(t,J=10.4Hz,2H),7.33(t,J=8.4Hz,1H),4.37-4.29(m,1H),4.19(s,2H),3.94(d,J=11.2Hz,2H),3.48-3.42(m,2H),2.22(s,3H),1.96-1.87(m,4H),1.45(s,6H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-134.83。
【実施例8】
【0229】
【化23】
【0230】
工程1:シクロプロピル(4-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル)メタノン(8b)
化合物8a(1.0g、5.096mmol)およびTEA(1.55g、15.288mmol)をDCM(10mL)に溶かした溶液に、シクロプロパンカルボニルクロリド(692mg、6.625mmol)を0℃で滴下した。この混合物を室温で1時間撹拌した。混合物をDCM(100mL)で希釈し、水(30mL)で洗浄した。分離した有機質層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過した。濾液を濃縮し、FCC(溶離液:DCM:MeOH=50:1)で精製することにより、生成物(1.08g、収率80%)を白色固形物として得た。LC-MS(方法2):t=1.25分、m/z(M+H)=265.1。
【0231】
工程2:(4-(4-アミノ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル)(シクロプロピル)メタノン(8c)
化合物8b(500mg、1.89mmol)をMeOH(6mL)に溶かした溶液に、Pd/C(100mg、約55%水で湿らせた10%Pd/C)を加えた。混合物をH下(1気圧)、室温で一晩撹拌した。混合物を濾過した。濾液を濃縮することにより、粗製生成物(472mg、収率100%)を茶色の油として得た。LC-MS(方法2):t=0.76分、m/z(M+H)=265.1。
【0232】
工程3:シクロプロピル(4-(4-((4-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-5-メチルピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル)メタノン(8)
化合物4a(300mg、1.26mmol)および化合物8c(442mg、1.89mmol)を出発材料として実施例6の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物8d(479mg)を収率87%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.38分、m/z(M+H)=437.2。
【0233】
工程4:1-((4-(2-((1-(1-(シクロプロパンカルボニル)ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(8)
化合物8d(80mg、0.183mmol)および(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(96mg、0.549mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物8(30.3mg)を収率32%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.73分、m/z(M+H)=516.3。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.33(s,1H),8.32(s,1H),7.91(s,1H),7.62(d,J=12.4Hz,1H),7.52(t,J=6.8Hz,2H),7.25(t,J=8.8Hz,1H),4.45-4.32(m,3H),4.20(s,2H),3.28-3.23(m,2H),2.81-2.70(m,1H),2.22(s,3H),2.07-1.98(m,2H),1.87-1.65(m,2H),1.43-1.40(m,2H),1.22-1.19(m,2H),0.72-0.70(m,4H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-134.24。
【実施例9】
【0234】
【化24】
【0235】
工程1:4-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジンヒドロクロリド(9b)
MeOH(2M、20mL)およびDCM(5mL)の中のHCl(g)溶液中の化合物9a(1.91g、6.45mmol)の溶液を、室温で2時間撹拌した。混合物を濃縮し、分取HPLCで精製することにより、生成物(840mg、収率60%)を白色固形物として得た。LC-MS(方法2):t=0.49分、m/z(M+H)=197.3。
【0236】
工程2:(1-メチルシクロプロピル)(4-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル)メタノン(9c)
1-メチルシクロプロパンカルボン酸(500mg、5.0mmol)をDCM(20mL)に溶かした溶液に、二塩化オキサリル(760mg,6.0mml)を加え、続いて0℃でDMFを一滴加えた。室温で2時間撹拌後、反応混合物を濃縮することにより、1-メチルシクロプロパンカルボニルクロリドを得た。化合物9b(840mg、3.01mmol)およびTEA(1.09g、10.83mmol)をTHF(4mL)に溶かした溶液に、1-メチルシクロプロパンカルボニルクロリド(590mg、5.00mmol)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した。この混合物をHO(20mL)で希釈し、DCM(30mL2)で抽出した。組み合わせた有機質層をブラインで洗浄し、濃縮し、FCC(溶離液:DCM:MeOH=50:1)で精製することにより、生成物(400mg、収率40%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法2):t=1.28分、m/z(M+H)=279.4。
【0237】
工程3:(4-(4-アミノ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル)(1-メチルシクロプロピル)メタノン(9d)
化合物9c(400mg、1.35mmol)をMeOH(10mL)に溶かした溶液に、Pd/C(100mg、約55%水で湿らせた10%Pd/C)を加えた。この混合物をH下(50psi)、50℃で2時間撹拌した。混合物を濾過した。濾液を濃縮することにより、粗製生成物(360mg、収率100%)を茶色の油として得た。LC-MS(方法2):t=0.95分、m/z(M+H)=249.1。
【0238】
工程4:(4-(4-((4-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-5-メチルピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル)(1-メチルシクロプロピル)メタノン(9e)
化合物4a(247mg、1.04mmol)および化合物9d(442mg、1.89mmol)を出発材料として実施例6の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物9e(321mg)を収率69%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.40分、m/z(M+H)=451.2。
【0239】
工程5:1-((2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-(1-(1-メチルシクロプロパンカルボニル)ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(9)
化合物9e(72mg、0.16mmol)および(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(84mg、0.48mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物9(19.9mg)を収率24%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.65分、m/z(M+H)=530.3。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.35(s,1H),8.32(s,1H),7.93(s,1H),7.62(d,J=12.0Hz,1H),7.53-7.50(m,2H),7.25(t,J=8.4Hz,1H),4.37-4.32(m,3H),4.20(s,2H),3.08-2.88(m,2H),2.22(s,3H),2.05-2.02(m,2H),1.80-1.71(m,2H),1.43-1.40(m,2H),1.24(s,3H),1.22-1.19(m,2H),0.82-0.79(m,2H),0.56-0.53(m,2H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-134.27。
【実施例10】
【0240】
【化25】
【0241】
工程1:1-((4-ブロモ-2,6-ジフルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(10b)
化合物10a(510mg、2.45mmol)、(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(472mg、2.70mmol)、およびCsCO(1.60g、4.93mmol)をアセトニトリル16mLに溶かした混合物を、100℃で2時間撹拌した。室温に冷ました後、混合物を濃縮し、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶離液:20:1~10:1のPE:EtOAc)で精製することにより、表題生成物(555mg、収率79%)を無色の油として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ7.58-7.51(m,2H),4.13(s,2H),1.36-1.32(m,2H),1.11-1.08(m,2H)。
【0242】
工程2:1-((2,6-ジフルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(10c)
化合物10b(555mg、1.93mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(637mg、2.51mmol)、Pd(dppf)Cl(141mg、0.193mmol)、およびKOAc(378mg、3.86mmol)を1,4-ジオキサン14mLに溶かした混合物を、N雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。室温に冷ました後、混合物を濾過し、濾液を濃縮することにより、表題生成物(645mg、粗製、収率100%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=1.88分、m/z(M+18)=353.2。
【0243】
工程3:1-((4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-2,6-ジフルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(10d)
化合物10c(645mg、3.21mmol)および2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン(314mg、1.93mmol)を出発材料として実施例1の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物10d(490mg)を収率76%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.63分、m/z(M+H)=336.1。
【0244】
工程4:1-((4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2,6-ジフルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(10)
化合物10d(200mg、0.597mmol)および1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(110mg、0.895mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物10(54mg)を収率21%で合成した。LC-MS(方法1):t=2.33分、m/z(M+H)=423.1。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.38(s,1H),8.37(s,1H),7.89(s,1H),7.52-7.47(m,3H),4.24(s,2H),3.67-3.62(m,1H),2.21(s,3H),1.38-1.35(m,2H),1.16-1.13(m,2H),1.00-0.89(m,4H)。
【実施例11】
【0245】
【化26】
【0246】
工程1:2-クロロ-4-(6-クロロピリジン-3-イル)-5-メチルピリミジン(11a)
化合物1a(1.36g、8.36mmol)および2-クロロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(1.0g、4.18mmol)を出発材料として実施例1の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物11a(1.0g)を収率100%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.42分、m/z(M+H)=240.0。
【0247】
工程2:4-(6-クロロピリジン-3-イル)-N-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-メチルピリミジン-2-アミン(11b)
11a(200mg、0.84mmol)、1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(204mg、1.66mmol)、およびDIPEA(322mg、2.50mmol)をNMP(0.5mL)に溶かした混合物を、マイクロウェーブ下、170℃で1時間撹拌した。この混合物を水(5mL)で希釈し、EtOAc(15mL3)で抽出した。分離した有機質層をブライン(20mL)で洗浄して濃縮した。残渣をFCC(PE:EtOAc=2:1)で精製することにより、表題化合物(130mg、収率48%)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl-d)δ8.69(s,1H),8.32(s,1H),7.94(dd,J=2.4,8.4Hz,1H),7.88(s,1H),7.48(s,1H),7.46(d,J=8.4Hz,1H),6.78(s,1H),3.59-3.55(m,1H),2.27(s,3H),1.13-1.12(m,2H),1.00-0.99(m,2H)。
【0248】
工程3:1-(((5-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(11)
1-(ヒドロキシメチル)シクロプロパンカルボニトリル(35mg、0.36mmol)をTHF(1mL)に溶かした溶液に、NaH(11mg、0.28mmol、鉱油中で60%)を0℃で加えた。0℃~室温で2時間撹拌後、反応混合物に化合物11b(60mg、0.18mmol)を加えた。次いで、この反応物を80℃で8時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(20mL3)で抽出した。分離した有機質層を濃縮した。残渣を分取HPLCで精製することにより、表題化合物(10mg、収率14%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=3.60分、m/z(M+H)=388.2。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.43(s,1H),8.28(s,1H),7.95(dd,J=2.4,8.8Hz,1H),7.89(s,1H),7.50(s,1H),6.96(d,J=8.4Hz,1H),6.75(s,1H),4.40(s,2H),3.59-3.56(m,1H),2.28(s,3H),1.43-1.40(m,2H),1.18-1.11(m,4H),1.02-0.99(m,2H)。
【実施例12】
【0249】
【化27】
【0250】
工程1:2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノール(12a)
4a(500mg、2.1mmol)、1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(295mg、3.0mmol)、および濃縮HSO(一滴)をn-BuOH(3mL)に溶かした混合物を、120℃で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラム(DCM:MeOH=20:1)で精製することにより、生成物(357mg、収率57%)を茶色固形物として得た。LC-MS(方法3):t=1.28分、m/z(M+H)=300.1。
【0251】
工程2:3-(2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)プロパンニトリル(12)
12a(100mg、0.34mmol)、KCO(94mg、0.68mmol)、およびBuOH(26mg、0.34mmol)をアクリロニトリル(1.8g、34mmol)に溶かした混合物を、マイクロウェーブ下、120℃で6時間撹拌した。混合物を室温に冷まして濃縮した。残渣を分取HPLCで精製することにより、表題化合物(4.3mg、収率4%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=3.37分、m/z(M+H)=353.1。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.33(s,1H),8.32(s,1H),7.82(s,1H),7.60(dd,J=1.2,12.8Hz,1H),7.51(d,J=8.0Hz,1H),7.48(s,1H),7.33(t,J=8.8Hz,1H),4.36(t,J=6.0Hz,2H),3.78(s,3H),3.09(t,J=5.6Hz,2H),2.21(s,3H)。
【実施例13】
【0252】
【化28】
【0253】
工程1:1-(4-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル)エタノン(13a)
化合物8a(1.0g、5.096mmol)とTEA(1.55g、15.288mmol)をDCM(10mL)に溶かした溶液を0℃で10分間で撹拌した。次いで、この混合物に無水酢酸(676mg、6.625mmol)を加えた。この混合物を室温で4時間撹拌した。この混合物をHO(50mL)で希釈し、DCM(50mL3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブラインで洗浄し、濃縮し、FCC(溶離液:DCM:MeOH=30:1)で精製することにより、生成物(963g、収率79%)を白色固形物として得た。LC-MS(方法2):t=1.06分、m/z(M+H)=239.1。
【0254】
工程2:1-(4-(4-アミノ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル)エタノン(13b)
化合物13a(460mg、1.93mmol)をMeOH(6mL)に溶かした溶液に、Pd/C(100mg、約55%水で湿らせた10%Pd/C)を加えた。混合物をH下(1気圧)、室温で一晩撹拌した。混合物を濾過した。濾液を濃縮することにより、粗製生成物(432mg、収率100%)を茶色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.16(s,1H),7.02(s,1H),4.70(d,J=13.2Hz,1H),4.22-4.18(m,1H),3.92(d,J=14.0Hz,1H),3.24-3.17(m,1H),2.76-2.71(m,1H),2.12(s,3H),1.97-1.83(m,4H)。
【0255】
工程3:1-(4-(4-((4-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-5-メチルピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-イル)エタノン(13c)
化合物4a(350mg、1.49mmol)および化合物13b(402mg、1.93mmol)を出発材料として実施例6の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物13c(479mg)を収率87%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.17分、m/z(M+H)=411.0。
【0256】
工程4:1-((4-(2-((1-(1-(1-アセチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(13)
化合物13c(80mg、0.195mmol)および(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(102mg、0.585mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物13(19.4mg)を収率20%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.39分、m/z(M+H)=490.3。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.33(s,1H),8.32(s,1H),7.91(s,1H),7.62(d,J=12.4Hz,1H),7.52(t,J=6.4Hz,2H),7.25(t,J=8.8Hz,1H),4.45-4.31(m,2H),4.20(s,2H),3.90(d,J=13.6Hz,1H),3.18(t,J=12.4Hz,1H),2.70(t,J=12.8Hz,1H),2.22(s,3H),2.03-1.97(m,5H),1.89-1.79(m,1H),1.73-1.63(m,1H),1.22-1.19(m,2H),0.72-0.70(m,2H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-134.27。
【実施例14】
【0257】
【化29】
【0258】
工程1:4-(6-クロロピリジン-3-イル)-5-メチル-N-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン(14a)
化合物11a(380mg、1.58mmol)、1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(530mg、3.17mmol)、およびDIPEA(611mg、4.74mmol)をNMP(1mL)に溶かした混合物を、マイクロウェーブ下、170℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を水(3mL)で希釈し、EtOAc(10mL3)で抽出した。分離した有機質層をブライン(5mL3)で洗浄して濃縮した。残渣をFCC(PE/EtOAc=2/1)で精製することにより、表題化合物(330mg、収率57%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法2):t=1.49分、m/z(M+H)=371.1。
【0259】
工程2:1-(((5-(5-メチル-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(14)
1-(ヒドロキシメチル)シクロプロパンカルボニトリル(37mg、0.38mmol)をTHF(1mL)に溶かした溶液に、NaH(11mg、0.26mmol、鉱油中で60%)を室温で加えた。室温で2時間撹拌後、化合物14a(70mg、0.19mmol)を反応物に加えた。次いで、この反応物を80℃で18時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を水(1mL)で希釈し、EtOAc(5mL3)で抽出した。組み合わせた有機質層を濃縮し、残渣を分取HPLC(方法A)で精製することにより、表題化合物(17.5mg、収率22%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=3.45分、m/z(M+H)=432.2。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.43(s,1H),8.28(s,1H),7.96(dd,J=2.4,8.8Hz,1H),7.91(s,1H),7.55(s,1H),6.96(d,J=8.4Hz,1H),6.78(m,1H),4.40(s,2H),4.33-4.29(m,1H),4.13-4.10(m,2H),3.58-3.51(m,2H),2.29(s,3H),2.12-2.07(m,4H),1.43-1.40(m,2H),1.19-1.16(m,2H)。
【実施例15】
【0260】
【化30】
【0261】
工程1:4-(5-メチル-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノール(15a)
化合物1b(500mg、2.26mmol)および1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(377mg、2.26mmol)を出発材料として実施例4の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物15a(200mg)を収率25%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.38分、m/z(M+H)=352.1。
【0262】
工程2:2,2-ジメチル-3-(4-(5-メチル-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)プロパンニトリル(15)
化合物15a(50mg、0.14mmol)、化合物1f(50mg、0.28mmol)、CsCO(93mg、0.28mmol)をDMF(1mL)に溶かした混合物を、120℃で2時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、HO(10mL)で希釈し、EtOAc(10mL)で抽出した。分離した有機質層を濃縮した。残渣を分取HPLC(方法A)で精製することにより、標題化合物(30mg、収率50%)を白色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=3.75分、m/z(M+H)=433.3。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.28(s,1H),8.30(s,1H),7.91(s,1H),7.69(d,J=8.4Hz,2H),7.55(s,1H),7.13(d,J=8.8Hz,2H),4.34-4.31(m,1H),4.10(s,2H),3.96-3.93(m,2H),3.48-3.38(m,2H),2.21(s,3H),1.96-1.87(m,4H),1.44(s,6H)。
【実施例16】
【0263】
【化31】
【0264】
工程1:3-シアノ-3-メチルブタン-2-イルメタンスルホネート(16b)
化合物16a(200mg、1.77mmol)を出発材料として実施例1の第四工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物16b(300mg)を収率89%で合成した。H NMR(400MHz,CDCl)δ4.68-4.63(m,1H),3.11(s,3H),1.43(d,J=4.8Hz,3H),1.41-1.39(m,6H)。
【0265】
工程2:2,2-ジメチル-3-(4-(5-メチル-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)ブタンニトリル(16)
化合物16b(53mg、0.28mmol)および化合物15a(50mg、0.14mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物16(4mg)を収率6%で合成した。LC-MS(方法1):t=2.93分、m/z(M+H)=447.2。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.27(s,1H),8.05(s,1H),7.70(d,J=8.8Hz,2H),7.64(s,1H),7.13(d,J=8.8Hz,2H),4.53-4.48(m,1H),4.40-4.32(m,1H),4.09-4.06(m,2H),3.63-3.55(m,2H),2.28(s,3H),2.09-2.04(m,4H),1.51-1.45(m,9H)。
【実施例17】
【0266】
【化32】
【0267】
工程1:4-(5-メチル-2-((1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノール(17a)
化合物1b(300mg、1.36mmol)および1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(294mg、1.631mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物17a(200mg)を収率40%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.19分、m/z(M+H)=365.2。
【0268】
工程2:2,2-ジメチル-3-(4-(5-メチル-2-((1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)プロパンニトリル(17)
化合物17a(50mg、0.137mmol)および2-シアノ-2-イルメタンスルホネート(49mg、0.277mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物17(6.9mg)を収率11%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.48分、m/z(M+H)=446.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.27(s,1H),8.29(s,1H),7.88(s,1H),7.69(d,J=8.4Hz,2H),7.54(s,1H),7.12(d,J=8.8Hz,2H),4.09(s,2H),4.00-4.07(m,1H),2.83(d,J=11.6Hz,2H),2.51(s,3H),2.50(s,3H),2.18(t,J=10.4Hz,2H),1.84-2.05(m,4H),1.44(s,6H)。
【実施例18】
【0269】
【化33】
【0270】
工程1:2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノール(18a)
化合物4a(364mg、1.53mmol)および1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(330mg、1.83mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物18a(500mg)を収率86%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.36分、m/z(M+H)=383.2。
【0271】
工程2:3-(2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(18)
化合物18a(80mg、0.209mmol)および2-シアノ-2-メチルプロピルメタンスルホネート(72mg、0.314mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物18(12.7mg)を収率13%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.80分、m/z(M+H)=464.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.31(s,1H),8.32(s,1H),7.89(s,1H),7.62(d,J=13.6Hz,1H),7.53(d,J=4.8Hz,2H),7.33(t,J=8.4Hz,1H),4.19(s,2H),4.05-4.03(m,1H),2.84(d,J=11.6Hz,2H),2.22(s,3H),2.20(s,3H),2.05(t,J=10.8Hz,2H),1.97-1.87(m,4H),1.45(s,6H)。19F NMR(400MHz,DMSO-d)δ-134.84。
【実施例19】
【0272】
【化34】
【0273】
工程1:2-フルオロ-4-(2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)フェノール(19a)
化合物4a(400mg、1.68mmol)および1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-アミン(284mg、2.02mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物19a(390mg)を収率68%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.40分、m/z(M+H)=344.2。
【0274】
工程2:3-(2-フルオロ-4-(2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)フェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(19)
化合物19a(87mg、0.25mmol)および2-シアノ-2-メチルプロピルメタンスルホネート(67mg、0.38mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物19(24.1mg)を収率22%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.31分、m/z(M+H)=425.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.33(s,1H),8.33(s,1H),7.88(s,1H),7.61(dd,J=2.0,12.4Hz,1H),7.52-7.50(m,2H),7.34(t,J=8.8Hz,1H),4.19(t,J=4.8Hz,4H),3.65(t,J=5.2Hz,2H),3.23(s,3H),2.23(s,3H),1.45(s,6H)。
【実施例20】
【0275】
【化35】
【0276】
1-((2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(20)
化合物18a(80mg、0.209mmol)および(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(55mg、0.314mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物20(16.0mg)を収率17%で合成した。LC-MS(方法1):t=2.87分、m/z(M+H)=462.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.30(s,1H),8.32(s,1H),7.89(s,1H),7.62(d,J=12.0Hz,1H),7.52-7.50(d,J=9.6Hz,2H),7.25(t,J=8.8Hz,1H),4.20(s,2H),4.06-4.00(m,1H),2.84(d,J=11.2Hz,2H),2.22(s,3H),2.19(s,3H),2.04(t,J=11.2Hz,2H),1.97-1.87(m,4H),1.43-1.40(m,2H),1.22-1.19(m,2H)。19F NMR(400MHz,DMSO-d)δ-134.30。
【実施例21】
【0277】
【化36】
【0278】
1-((2-フルオロ-4-(2-((1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)フェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(21)
化合物19a(87mg、0.25mmol)および(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(67mg、0.38mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物21(17.6mg)を収率16%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.61分、m/z(M+H)=423.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.33(s,1H),8.33(s,1H),7.88(s,1H),7.61(d,J=12.0Hz,1H),7.51(d,J=4.8Hz,2H),7.26(t,J=8.8Hz,1H),4.19(t,J=6.4Hz,4H),3.65(t,J=5.2Hz,2H),3.23(s,3H),2.22(s,3H),1.43-1.40(m,2H),1.22-1.19(m,2H)。
【実施例22】
【0279】
【化37】
【0280】
工程1:1-((4-ブロモ-2-フルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(22b)
化合物22a(1.05g、5.49mmol)および(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(1.44g、8.25mmol)を出発材料として実施例10の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物22b(540mg)を収率36%で合成した。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.27-7.24(m,1H),7.19(d,J=8.4Hz,1H),6.88(d,J=8.4Hz,1H),4.02(s,2H),1.42-1.39(m,2H),1.14-1.10(m,2H)。
【0281】
工程2:1-((2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(22c)
化合物22b(440mg、1.63mmol)および4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(455mg、1.79mmol)を出発材料として実施例10の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物22c(粗製)を合成した。この粗製生成物をさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0282】
工程3:1-((4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(22d)
化合物22c(517mg、1.63mmol)および2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン(327mg、1.96mmol)を出発材料として実施例10の第三工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物22d(358mg)を収率68%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.67分、m/z(M+H)=322.0。
【0283】
工程4:1-((2-フルオロ-4-(5-フルオロ-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(22)
化合物22d(80mg、0.25mmol)および1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(50mg、0.299mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物22(7.8mg)を収率7%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.58分、m/z(M+H)=453.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.55(s,1H),8.54(d,J=3.6Hz,1H),7.94-7.86(m,3H),7.57(s,1H),7.33(t,J=8.8Hz,1H),4.37-4.33(m,1H),4.24(s,2H),3.96(d,J=10.4Hz,2H),3.46(t,J=10.8Hz,2H),1.96-1.90(m,4H),1.43-1.42(m,2H),1.23-1.21(m,2H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-133.62,-153.22。
【実施例23】
【0284】
【化38】
【0285】
工程1:1-((4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(23a)
化合物22c(449mg、1.415mmol)、2,4,5-トリクロロピリミジン(306mg、1.698mmol)、Pd(PPh(164mg、0.1415mmol)、およびNaCO(300mg、2.83mmol)を1,4-ジオキサン/HO(6mL/1.5mL)に溶かした混合物を、N下、90℃で2.5時間撹拌した。混合物を室温に冷まして濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(溶離液:PE:EtOAc=6:1)で精製することにより、生成物(317mg、収率67%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法2):t=1.73分、m/z(M+H)=338.1。
【0286】
工程2:1-((4-(5-クロロ-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(23)
化合物23a(80mg、0.237mmol)、1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(48mg、0.285mmol)、Pd(dba)(22mg、0.0237mmol)、X-Phos(23mg、0.0474mmol)、およびCsCO(116mg,0.356mmol)を1,4-ジオキサン(1mL)に溶かした混合物を、N下、100℃一晩撹拌した。混合物を室温に冷まして濾過した。濾液を濃縮し、残渣を分取HPLC(方法A)により精製することで、生成物(5.9mg、収率5%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=2.77分、m/z(M+H)=469.1。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.76(s,1H),8.52(s,1H),7.91(s,1H),7.78-7.70(m,2H),7.56(s,1H),7.29(t,J=8.8Hz,1H),4.38-4.31(m,1H),4.22(s,2H),3.94(d,J=11.6Hz,2H),3.48-3.42(m,2H),1.96-1.84(m,4H),1.43-1.40(m,2H),1.22-1.19(m,2H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-134.17。
【実施例24】
【0287】
【化39】
【0288】
1-((4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(24)
化合物22d(80mg、0.25mmol)および1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(36.9mg、0.3mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物24(10mg)を収率10%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.84分、m/z(M+H)=409.2。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.37(d,J=4.4Hz,1H),7.99-7.93(m,3H),7.59(s,1H),7.24(t,J=8.4Hz,1H),4.19(s,2H),3.65-3.60(m,1H),1.43(dd,J=5.2,7.2Hz,2H),1.25(dd,J=6.0,7.6Hz,2H),1.09-1.04(m,4H)。
【実施例25】
【0289】
【化40】
【0290】
工程1:3-(4-ブロモ-2-フルオロフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(25b)
4-ブロモ-2-フルオロフェノール(482mg、2.524mmol)および化合物1f(670mg、3.785mmol)をDMF(10mL)に溶かした混合物に、CsCO(1.645g、5.046mmol)を加えた。混合物を120℃で16時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、濾過し、濾液を濃縮することにより残渣を得た。残渣をPE/EtOAc/DCM(10mL、v:v:v=1:1:1)により洗浄した。濾液を濃縮することにより生成物(800mg、収率99.6%)を茶色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.28-7.21(m,1H),7.21-7.18(m,1H),6.87(t,J=8.8Hz,1H),3.94(s,2H),1.49(S,6H)。
【0291】
工程2:3-(2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)2,2-ジメチルプロパンニトリル(25c)
化合物25b(400mg、1.471mmol)および4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(411mg、1.618mmol)を1,4-ジオキサン(10mL)に溶かした混合物に、N下、Pd(dppf)Cl(215mg、0.294mmol)およびKOAc(288mg、2.939mmol)を加えた。混合物を80℃で3時間撹拌した。反応混合物は精製することなく次の工程に使用した。
【0292】
工程3:3-(4-(2-クロロ-5-フルオロピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(25d)
工程2の反応混合物に、2,4-ジクロロ-5-フルオロピリミジン(184mg、1.102mmol)、NaCO(234mg、2.21mmol)、HO(1mL)、1,4-ジオキサン(3mL)、およびPd(dppf)Cl(81mg,0.11mmol)をN下で加えた。混合物を80℃で1時間撹拌した。混合物を室温に冷まし、濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1)で精製することにより、生成物(160mg、3工程で収率34%)を白色固形物として得た。LC-MS(方法2):t=1.51分、m/z(M+H)=323.9。
【0293】
工程4:3-(2-フルオロ-4-(5-フルオロ-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(25)
化合物25d(70mg、0.22mmol)、1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(51mg、0.31mmol)、Xant-phos(21mg、0.04mmol)を1,4-ジオキサン(3mL)に溶かした混合物に、CsCO(141mg、0.43mmol)およびPd(dba)(20mg、0.02mmol)をN下で加えた。混合物を110℃で16時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。粗製生成物を分取HPLC(方法A)で精製することにより、生成物(10.2mg、収率10.4%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=3.22分、m/z(M+H)=455.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.60(s,1H),8.58(d,J=5.2Hz,1H),7.98-7.91(m,3H),7.60(s,1H),7.44(t,J=12.0Hz,1H),4.43-4.36(m,1H),4.25(s,2H),3.99(d,J=14.8Hz,2H),3.53-3.37(m,2H),2.01-1.92(m,4H),1.43(s,6H)。
【実施例26】
【0294】
【化41】
【0295】
工程1:3-(4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(26a)
化合物25c(1.29g、4.04mmol)および2,4,5-トリクロロピリミジン(728mg、4.04mmol)を出発材料として実施例1の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物26a(0.65g)を収率47%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.76分、m/z(M+H)=340.0。
【0296】
工程2:3-(4-(5-クロロ-2-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(26)
化合物26a(90mg、0.26mmol)および1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(53mg、0.32mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物26(4.1mg)を収率3%で合成した。標題化合物を分取HPLC(方法B)により精製した。LC-MS(方法1):t=3.99分、m/z(M+H)=471.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.78(s,1H),8.53(s,1H),7.92(s,1H),7.91-7.73(m,2H),7.57(s,1H),7.40-7.35(m,1H),4.38-4.32(m,1H),4.42(s,2H),3.95(d,J=10.4Hz,2H),3.48-3.42(m,2H),1.98-1.86(m,4H),1.45(s,6H)。
【実施例27】
【0297】
【化42】
【0298】
1-((4-(5-クロロ-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(27)
化合物23a(80mg、0.24mmol)および1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(35mg、0.29mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物27(10mg)を収率10%で合成した。LC-MS(方法1):t=2.87分、m/z(M+H)=425.1。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.36(s,1H),7.87(s,1H),7.63(t,J=7.2Hz,2H),7.47(s,1H),7.12(t,J=8.4Hz,1H),4.07(s,2H),3.52-3.48(m,1H),1.32(dd,J=5.2,7.6Hz,2H),1.13(dd,J=5.2,7.6Hz,2H),0.96-0.89(m,4H)。
【実施例28】
【0299】
【化43】
【0300】
3-(4-(2-((1-(1-(1-アセチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(28)
化合物13c(50mg、0.22mmol)および化合物1f(65mg、0.366mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物28(15.1mg)を収率25%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.35分、m/z(M+H)=492.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.35(s,1H),8.32(s,1H),7.91(s,1H),7.62(d,J=12.4Hz,1H),7.54-7.52(m,2H),7.33(t,J=8.4Hz,1H),4.45-4.33(m,2H),4.19(s,2H),3.89(d,J=14.0Hz,1H),3.21-3.15(m,1H),2.69(t,J=12.8Hz,1H),2.22(s,3H),2.03(s,3H),2.00-1.94(m,2H)1.89-1.79(m,1H),1.73-1.62(m,1H),1.45(s,6H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-134.83。
【実施例29】
【0301】
【化44】
【0302】
工程1:4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)フェノール(29b)
化合物29a(1.0g、5.46mmol)および(4-ヒドロキシフェニル)ボロン酸(0.68g、4.92mmol)を出発材料として実施例1の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物29b(1.1g)を収率85%で合成した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.83(s,1H),8.14(s,1H),7.88(d,J=8.8Hz,2H),7.26(d,J=8.8Hz,2H)。
【0303】
工程2:4-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノール(29c)
化合物29b(300mg、1.24mmol)および1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(144mg、1.48mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物29c(380mg)を収率80%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.56分、m/z(M+H)=302.0。
【0304】
工程2:3-(4-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(29)
化合物29c(100mg、0.33mmol)および化合物1f(117mg、0.66mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物29(12.9mg)を収率25%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.85分、m/z(M+H)=383.2。1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.37(s,1H),7.89(d,J=8.7Hz,2H),7.81(s,1H),7.50(s,1H),7.03(d,J=8.8Hz,2H),3.98(s,2H),3.89(s,3H),1.56(s,6H)。
【実施例30】
【0305】
【化45】
【0306】
工程1:2-(4-((4-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-5-メチルピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)アセトニトリル(30b)
化合物4a(400mg、1.68mmol)および化合物30a(280mg、2.02mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物30b(160mg)を収率30%で合成した。LC-MS(方法2):t=1.25分、m/z(M+H)=325.1。
【0307】
工程2:3-(4-(2-((1-(シアノメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(30)
化合物30b(70mg、0.22mmol)および化合物1f(57mg、0.32mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物30(4.7mg)を収率6%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.61分、m/z(M+H)=406.2。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.30(s,1H),8.10(s,1H),7.56(s,1H),7.46-7.39(m,2H),7.09(t,J=8.0Hz,1H),6.90(s,1H),5.04(s,2H),4.05(s,2H),2.28(s,3H),1.54(s,6H)。
【実施例31】
【0308】
【化46】
【0309】
1-((4-(2-((1-(シアノメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェノキシ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(31)
化合物30b(70mg、0.22mmol)および(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(57mg、0.32mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物31(95mg)を収率100%で合成した。LC-MS(方法1):t=2.99分、m/z(M+H)=404.2。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.34(s,1H),8.15(s,1H),7.73(s,1H),7.58-7.50(m,2H),7.25(t,J=10.8Hz,1H),5.31(s,2H),4.20(s,2H),2.31(s,3H),1.48-1.44(m,2H),1.29-1.25(m,2H)。
【実施例32】
【0310】
【化47】
【0311】
工程1:4-(5-クロロ-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノール(32a)
化合物29b(200mg、0.84mmol)、1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(155mg、1.26mmol)、およびTsOH(15mg、0.084mmol)を1,4-ジオキサン(2mL)に溶かした溶液を、100℃で一晩撹拌した。混合物を真空下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc=2:1)で精製することにより、化合物(120mg、収率44%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ10.00(s,1H),9.66(s,1H),8.46(s,1H),7.90(s,1H),7.75(d,J=8.8Hz,2H),7.50(s,1H),6.90(d,J=8.8Hz,2H),3.68-3.66(m,1H),0.98-0.92(m,4H)。
【0312】
工程2:3-(4-(5-クロロ-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(32)
化合物32a(120mg、0.37mmol)および2-シアノ-2-メチルプロピルメタンスルホネート(131mg、0.74mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物32(49.6mg)を収率33%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.74分、m/z(M+H)=409.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.72(s,1H),8.50(s,1H),7.90-7.84(m,3H),7.50(s,1H),7.16(d,J=8.8Hz,2H),4.11(s,2H),3.69-3.65(m,1H),1.44(s,6H),1.01-0.90(m,4H)。
【実施例33】
【0313】
【化48】
【0314】
工程1:Tert-ブチル(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)(メチル)カルバメート(33b)
33a(5.0g、17.24mmol)およびt-BuONa(2.15g、22.41mmol)をDMF(6mL)に溶かした混合物を、0℃で10分間撹拌した。CHI(2.94g、20.69mmol)を反応混合物に滴下した。混合物を100℃で2時間撹拌した。さらにt-BuONa(496mg、5.17mmol)およびCHI(489mg、3.45mmol)を加えた。この混合物を室温でさらに2時間撹拌した。この混合物をHO(30mL)で希釈し、EtOAc(50mL3)で抽出した。分離した有機質層をブラインで洗浄し、濃縮することにより、粗製生成物(5.22g、収率99%)を茶色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.28-7.24(m,2H),7.12-7.08(m,1H),3.17(s,3H),1.40(s,9H)。19F NMR(376MHz,CDCl3)δ-117.58。
【0315】
工程2:4-ブロモ-2-フルオロ-N-メチルアニリン(33c)
EtOAc(35mL、2M)の中のHCl(g)溶液中の33b(5.22g,17.17mmol)の溶液を、室温で2時間撹拌した。混合物を濃縮した。残渣をMeOH(3M、15mL)中のNH(g)で希釈した。この混合物を室温で10分間撹拌し、濃縮した。残渣をDCM(20mL)で希釈して濾過した。濾液を濃縮し、粗製生成物(3.37g、収率96%)を茶色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.13-7.08(m,2H),6.53(t,J=8.0Hz,1H),3.92(s,1H),2.85(s,3H)。19F NMR(376MHz,CDCl)δ-134.45。
【0316】
工程3:1-(((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(33d)
33c(1.0g、4.90mmol)、(1-シアノシクロプロピル)メタンスルホネート(1.29g、7.35mmol)、およびDIPEA(1.26g、9.80mmol)をDMF(2mL)に溶かした混合物を、130℃で48時間撹拌した。室温に冷ました後、混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、ブラインで洗浄した。分離した有機質層を濃縮した。残渣をFCC(溶離液:PE:EtOAc=20:1)で精製することにより、生成物(740mg、収率53%)を緑色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.19-7.14(m,2H),6.89(t,J=9.2Hz,1H),3.28(s,2H),3.00(s,3H),1.27-1.24(m,2H),0.90-0.87(m,2H)。19F NMR(376MHz,CDCl)δ-119.15。
【0317】
工程4:1-(((2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)(メチル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(33e)
33d(200mg、0.709mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(270mg、1.064mmol)、Pd(dppf)Cl(104mg、0.142mmol)、およびKOAc(139mg、1.418mmol)を1,4-ジオキサン(3mL)に溶かした混合物を、N下、100℃で一晩撹拌した。室温に冷ました後、この混合物を濃縮し、FCC(溶離液:PE:EtOAc=2:1)で精製することにより、生成物(229mg、収率98%)を白色固形物として得た。LC-MS(方法3):t=1.75分、m/z(M+H)=331.2。
【0318】
工程5:1-(((4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(33f)
33e(206mg、0.624mmol)、2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン(102mg、0.624mmol)、Pd(dppf)Cl(91mg、0.125mmol)およびNaCO(132mg、1.248mmol)を1,4-ジオキサン/HO(4mL/1mL)に溶かした混合物を、N下、90℃で5時間撹拌した。室温に冷ました後、この混合物を濃縮し、FCC(溶離液:PE:EtOAc=2:1)で精製することにより、生成物(125mg、収率61%)を淡黄色固形物として得た。LC-MS(方法3):t=1.60分、m/z(M+H)=331.1。
【0319】
工程6:1-(((4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(33)
33f(125mg、0.379mmol)、1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(51mg、0.417mmol)、Pd(dba)(35mg、0.0379mmol)、X-phos(36mg、0.0758mmol)、およびCsCO(247mg、0.758mmol)を1,4-ジオキサン(3mL)に溶かした混合物を、N下、100℃で4時間撹拌した。室温に冷ました後、この混合物を濃縮し、FCC(溶離液:DCM:MeOH=30:1)により精製して、粗製生成物を得た。この粗製生成物を分取HPLC(方法A)で精製することにより、生成物(53.8mg、収率34%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=3.49分、m/z(M+H)=418.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.29(s,1H),8.30(s,1H),7.90(s,1H),7.53-7.48(m,3H),7.15(t,J=8.8Hz,1H),3.67-3.63(m,1H),3.37(s,2H),3.00(s,3H),2.24(s,3H),1.29-1.26(m,2H),1.05-1.00(m,2H),0.99-0.96(m,2H),0.95-0.91(m,2H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-122.12。
【実施例34】
【0320】
【化49】
【0321】
工程1:6-ブロモ-2H-クロメン-3-カルボニトリル(34b)
34a(5.0g、24.87mmol)、アクリロニトリル(1.32g、24.87mmol)、およびDABCO(1.09g、4.97mmol)の混合物を、90℃で6時間撹拌した。室温に冷ました後、混合物をHO(50mL)で希釈し、DCM(50mL3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(50mL)で洗浄して濃縮した。残渣をFCC(溶離液:PE:EtOAc=30:1)で精製することにより、生成物(1.25g、収率21%)を黄色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ7.54(s,1H),7.51(d,J=2.4Hz,1H),7.46(dd,J=2.4,8.4Hz,1H),6.87(d,J=8.8Hz,1H),4.92(d,J=1.6Hz,2H)。
【0322】
工程2:6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-クロメン-3-カルボニトリル(34c)
34b(940mg、3.98mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(1.52g、5.97mmol)、KOAc(781mg、7.96mmol)、およびPd(dppf)Cl(582mg、0.796mmol)を1,4-ジオキサン(19mL)に溶かした混合物を、N下、100℃で5時間撹拌した。この混合物を濃縮し、残渣をFCC(溶離液:PE:EtOAc=30:1)で精製することにより、生成物(890mg、収率79%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ7.63(s,1H),7.59-7.57(m,2H),6.88(d,J=8.8Hz,1H),4.92(d,J=1.6Hz,2H),1.29(d,J=5.2Hz,12H)。
【0323】
工程3:6-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-2H-クロメン-3-カルボニトリル(34d)
34c(890mg、3.14mmol)、2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン(538mg、3.30mmol)、NaCO(666mg、6.28mmol)、およびPd(dppf)Cl(230mg、0.314mmol)を1,4-ジオキサン/HO(18mL/4.5mL)に溶かした混合物を、N下、100℃で3時間撹拌した。室温に冷ました後、この混合物を濃縮し、FCC(溶離液:PE:EtOAc=4:1)で精製することにより、生成物(475mg、収率53%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法3):t=1.56分、m/z(M+H)=284.0。
【0324】
工程4:6-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2H-クロメン-3-カルボニトリル(34e)
34d(475mg、1.674mmol)、1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(206mg、1.674mmol)、Pd(dba)(153mg、0.1674mmol)、X-phos(159mg、0.3348mmol)、およびCsCO(1.09mg、3.348mmol)を1,4-ジオキサン(10mL)に溶かした混合物を、N下、100℃で一晩撹拌した。室温に冷ました後、この混合物を濃縮し、残渣をFCC(溶離液:PE:EtOAc=2:1)で精製することにより、生成物(330mg、収率53%)を白色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=2.66分、m/z(M+H)=371.1。
【0325】
工程5:6-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)クロマン-3-カルボニトリル(34)
化合物34e(50mg、0.135mmol)をEtOAc(10mL)に溶かした混合物に、Pd/C(40mg、約55%水で湿らせた10%Pd/C)を加えた。混合物をH下(50Psi)、50℃で48時間撹拌した。混合物を濾過した。濾液を濃縮することにより、粗製生成物を得た。この粗製生成物を分取HPLC(方法A)で精製することにより、生成物(16.0mg、収率32%)を白色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=2.91分、m/z(M+H)=373.1。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.29(s,1H),8.30(s,1H),7.92(s,1H),7.54-7.51(m,2H),7.45(s,1H),6.96(d,J=8.4Hz,1H),4.45-4.41(m,1H),4.31-4.28(m,1H),3.66-3.62(m,2H),3.28-3.24(m,1H),3.12-3.07(m,1H),2.22(s,3H),1.00-0.90(m,4H)。
【実施例35】
【0326】
【化50】
【0327】
工程1:N-((1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)メチル)-4-ブロモ-2-フルオロアニリン(35b)
35a(2.2g、18.4mmol)および4-ブロモ-2-フルオロアニリン(2.5g、13.2mmol)をEtOH(40mL)および水(8mL)に溶かした溶液に、ホルムアルデヒド(8mL、水中で37重量%)を滴下した。この混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を濾過した。濾過ケークをEtOHで洗浄し、乾燥することにより、粗製生成物(3.2g、収率73%)を白色固形物として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.06(d,J=8.4Hz,1H),7.63(d,J=8.0Hz,1H),7.51(t,J=7.6Hz,1H),7.38(t,J=7.6Hz,1H),7.13-7.09(m,2H),7.04(t,J=8.4Hz,1H),6.10(d,J=6.8Hz,2H),5.17(br s,1H)。
【0328】
工程2:メチル3-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパノエート(35c)
35b(900mg、2.80mmol)およびYb(OTf)(348mg、5.61mmol)をDCM(10mL)に溶かした溶液に、((1-メトキシ-2-メチルプロプ-1-エン-1-イル)オキシ)トリメチルシラン(731mg、4.21mmol)をDCM(2mL)に溶かした溶液を加えた。混合物を0℃~室温で一晩撹拌した。混合物を濃縮した。残渣をFCC(溶離液:PE:EtOAc=40:1)で精製することにより、生成物(470mg、収率55%)を無色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.11-7.06(m,2H),6.58(t,J=4.8Hz,1H),4.22(br s,1H),3.68(s,3H),3.23(d,J=6.4Hz,2H),1.26(s,6H)。
【0329】
工程3:メチル3-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパノエート(35d)
35c(1.0g、3.28mmol)をDMF(7mL)に溶かした溶液に、NaH(328mg、8.20mmol、鉱油中で60%)を数回に分けて0℃で加えた。40分間の撹拌後、ヨードメタン(700mg、4.92mmol)をDMF(1mL)に溶かしたものを0℃で滴下した。この混合物を室温で3時間撹拌した。この混合物をHO(20mL)で希釈し、EtOAc(20mL3)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濾液を濃縮することにより、粗製生成物(1.1g、収率100%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法3):t=1.83分、m/z(M+H)=320.0。
【0330】
工程4:3-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパン酸(35e)
35d(1.1g、3.46mmol)をMeOH/THF/HO(8mL/4mL/4mL)に溶かした混合物に、LiOHO(726mg、17.29mmol)を加えた。混合物を50℃で4時間撹拌した。室温に冷ました後、混合物を2N HCl水溶液によりpH3~4に調整した。この混合物をDCM(30mL3)で抽出した。組み合わせた有機質層を濃縮することにより粗製生成物(1.03g、収率100%)を黄色固形物として得て、これを次の工程に直接使用した。LC-MS(方法3):t=1.58分、m/z(M+H)=306.1。
【0331】
工程5:3-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンアミド(35f)
35e(1.03g、3.39mmol)をTHF(10mL)に溶かした溶液に、NMM(1.03g、10.66mmol)およびクロロギ酸メチル(644mg、6.78mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した。固形物を濾過し、濾液にNH(g)のTHF(3M、5mL)溶液を加えた。結果生じた混合物を0℃~室温で2時間撹拌し、濃縮することにより、粗製生成物(1.1g、収率100%)を黄色の油として得た。LC-MS(方法3):t=1.55分、m/z(M+H)=305.0。
【0332】
工程6:3-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(35g)
35f(1.1g、3.46mmol)およびTEA(1.1g、10.89mmol)をDCM(10mL)に溶かした混合物に、TFAA(1.14g,5.45mmol)を0℃で2時間かけて加えた。この混合物を水(20mL)で希釈し、DCM(30mL2)で抽出した。組み合わせた有機質層をブライン(20mL)で洗浄して濃縮した。残渣をFCC(PE:EtOAc=20:1)で精製することにより、生成物(540mg、収率52%)を黄色の油として得た。LC-MS(方法3):t=1.88分、m/z(M+H)=287.0。
【0333】
工程7:3-((2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)(メチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(35h)
35g(300mg、1.056mmol)および4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(402mg、1.585mmol)を出発材料として実施例25の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物35h(280mg)を収率80%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.98分、m/z(M+H)=333.2。
【0334】
工程8:3-((4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(35i)
35h(140mg、0.422mmol)および2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン(69mg、0.422mmol)を出発材料として実施例25の第三工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物35i(60mg)を収率43%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.87分、m/z(M+H)=333.1。
【0335】
工程9:3-((4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(35)
35i(60mg、0.181mmol)および1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(24mg、0.199mmol)を出発材料として実施例25の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物35(13.7mg)を収率18%で合成した。LC-MS(方法1):t=4.22分、m/z(M+H)=420.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.27(s,1H),8.29(s,1H),7.89(s,1H),7.51-7.47(m,3H),7.22(t,J=9.2Hz,1H),3.67-3.62(m,1H),3.58(s,2H),3.13(s,3H),2.24(s,3H),1.31(s,6H),1.00-0.98(m,2H),0.97-0.89(m,2H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-121.84。
【実施例36】
【0336】
【化51】
【0337】
工程1:3-(4-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(36a)
35h(300mg、0.904mmol)および2,4,5-トリクロロピリミジン(182mg、0.994mmol)を出発材料として実施例25の第三工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物36a(270mg)を収率85%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.78分、m/z(M+H)=353.0。
【0338】
工程2:3-((4-(5-クロロ-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェニル)(メチル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(36)
36a(270mg、0.767mmol)および1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(104mg、0.844mmol)を出発材料として実施例25の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物36(13.7mg)を収率6%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.76分、m/z(M+H)=440.1。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.69(s,1H),8.48(s,1H),7.89(s,1H),7.70-7.63(m,2H),7.51(s,1H),7.23(t,J=9.2Hz,1H),3.69-3.66(m,1H),3.63(s,2H),3.15(s,3H),1.31(s,6H),1.01-0.96(m,2H),0.95-0.90(m,2H)。19F NMR(376MHz,DMSO-d)δ-121.77。
【実施例37】
【0339】
【化52】
【0340】
工程1:3-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパン酸(37a)
35c(470mg、1.56mmol)をTHF(2mL)およびMeOH(2mL)に溶かした溶液に、LiOH.HO(197mg、水1mL中で4.69mmol)を加えた。混合物を30℃で2時間撹拌した。この混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(50mL2)で抽出した。分離した水層を1N HCl水溶液によりpH4~5に調整し、EtOAc(50mL)で抽出した。分離した有機質層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、粗製生成物(430mg、収率96%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ12.38(br s,1H),7.27(dd,J=11.6,2.4Hz,1H),7.11(d,J=8.4Hz,1H),6.81(t,J=9.2Hz,1H),5.20(br s,1H),3.22(d,J=6.0Hz,2H),1.13(s,6H)。
【0341】
工程2:3-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンアミド(37b)
37a(430mg、1.48mmol)をTHF(5mL)に溶かした溶液に、NMM(450mg、4.45mmol)、続いてクロロギ酸メチル(282mg、2.97mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃~室温で1時間撹拌した。混合物を濾過した。次いでNH(g)をTHF(5mL、4M)に溶かした溶液を濾液に加えた。混合物を0℃~室温で一晩撹拌した。この混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(50mL2)で抽出した。組み合わせた有機質相をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、粗製生成物(400mg、収率93%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ7.26(dd,J=11.6,2.4Hz,1H),7.19(s,1H),7.11(dd,J=8.8,2.0Hz,1H),6.94(s,1H),6.80(t,J=9.2Hz,1H),5.17-5.14(m,1H),3.12(d,J=6.0Hz,2H),1.12(s,6H)。
【0342】
工程3:3-((4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(37c)
37b(350mg、1.21mmol)およびTEA(367mg、3.63mmol)をDCM(5mL)に溶かした溶液に、TFAA(381mg、1.82mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃~25℃で30分間撹拌した。この混合物を飽和NaHCO(50mL)で希釈し、EtOAc(50mL2)で抽出した。組み合わせた有機質相をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮することにより、粗製生成物(274mg、収率84%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ7.29(dd,J=11.6,2.4Hz,1H),7.12(dd,J=8.4,1.6Hz,1H),6.96(t,J=9.2Hz,1H),5.95-5.92(m,1H),3.31(s,2H),1.31(s,6H)。
【0343】
工程4:3-((2-フルオロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(37d)
37c(274mg、1.056mmol)および4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(258mg、1.01mmol)を出発材料として実施例25の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物37d(300mg、粗製)を収率93%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.88分、m/z(M+H)=319.2。
【0344】
工程5:3-((4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェニル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(37e)
37d(300mg、0.94mmol)および2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン(69mg、1.42mmol)を出発材料として実施例25の第三工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物37e(170mg、粗製)を収率57%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.74分、m/z(M+H)=319.1。
【0345】
工程8:3-((4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-2-フルオロフェニル)アミノ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(37)
37e(69mg、0.22mmol)および1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(40mg、0.33mmol)を出発材料として実施例25の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物37(14.8mg、粗製)を収率17%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.66分、m/z(M+H)=406.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.22(s,1H),8.25(s,1H),7.90(s,1H),7.50-7.42(m,3H),7.11(t,J=9.2Hz,1H),6.19(t,J=4.8Hz,1H),3.67-3.62(m,1H),3.42(d,J=6.8Hz,2H),2.25(s,3H),1.36(s,6H),1.00-0.89(m,4H)。
【実施例38】
【0346】
【化53】
【0347】
工程1:4-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノール(38a)
1b(500mg、2.27mmol)、1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(264mg、2.72mmol)、および濃縮HSO(一滴)をn-BuOH(3mL)に溶かした混合物を、120℃で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラム(DCM:MeOH=20:1)で精製することにより、生成物(348mg、収率55%)を茶色の固形物として得た。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.81(s,1H),9.22(s,1H),8.26(s,1H),7.83(s,1H),7.56(d,J=8.4Hz,2H),7.48(s,1H),6.88(d,J=8.8Hz,2H),3.78(s,3H),2.20(s,3H)。
【0348】
工程2:2,2-ジメチル-3-(4-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)プロパンニトリル(38)
化合物38a(80mg、0.28mmol)および2-シアノ-2-メチルプロピルメタンスルホネート(74mg、0.42mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物38(26.7mg)を収率26%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.66分、m/z(M+H)=363.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.29(s,1H),8.29(s,1H),7.83(s,1H),7.68(d,J=8.8Hz,2H),7.48(s,1H),7.12(d,J=8.4Hz,2H),4.09(s,2H),3.78(s,3H),2.21(s,3H),1.44(s,6H)。
【実施例39】
【0349】
【化54】
【0350】
工程1:ベンジル4-((メチルスルホニル)オキシ)ピペリジン-1-カルボキシレート(39b)
ベンジル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(10.0g、42.50mmol)およびTEA(8.6g、85.15mmol)をDCM(120mL)に溶かした混合物に、MsCl(5.4g、47.16mmol)を室温で加えた。室温で18時間撹拌した後、反応混合物をHO(50mL)で希釈し、DCM(40mL3)で抽出した。組み合わせた有機質層を濃縮することにより、粗製生成物(13.2g、99%)を茶色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.38-7.30(m,5H),5.13(s,2H),4.93-4.87(m,1H),3.78-3.72(m,2H),3.45-3.39(m,2H),3.30(s,3H),1.97-1.96(m,2H),1.88-1.82(m,2H)。
【0351】
工程2:ベンジル4-(4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(39c)
39b(13.5g、43.13mmol)および4-ニトロ-1H-ピラゾール(4.14g、36.64mmol)をDMF(150mL)に溶かした混合物に、CsCO(14.06g、43.13mmol)を加えた。この反応物を120℃で20時間撹拌した。室温に冷ました後、反応混合物を濾過し、濾液をHO(80mL)で希釈した。この混合物をEtOAc(80mL2)で抽出し、組み合わせた有機質層を濃縮乾固した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=1:1)で精製することにより、生成物(7.11g、58%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.14(s,1H),8.08(s,1H),7.40-7.32(m,5H),5.15-5.12(m,2H),4.35-4.28(m,3H),2.98-2.95(m,2H),2.20-2.17(m,2H),1.94-1.92(m,2H)。
【0352】
工程3:ベンジル4-(4-アミノ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(39d)
化合物39c(7.11g、21.55mmol)をEtOH(120mL)に溶かした。NHCl(5.76g、107.66mmol)をHO(25mL)に溶かした。上記2つの溶液をともに混合し、60℃に加温した。この混合物にFe粉末(4.22g、75.36mmol)を加た。混合物を80℃で3時間撹拌した。室温に冷ました後、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をHO(60mL)で希釈し、EtOAc(60mL3)で抽出した。組み合わせた有機質層を濃縮乾固することにより、粗製生成物(6.4g、98%)を紫色の油として得た。LC-MS(方法3):t=1.25分、m/z(M+H)=301.1。
【0353】
工程4:ベンジル4-(4-((4-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-5-メチルピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(39a)
39d(756mg、2.52mmol)および4a(500mg、2.10mmol)を1,4-ジオキサン(5mL)およびNMP(5mL)に溶かした混合物に、濃縮HSO(5滴)を加えた。混合物を120℃で16時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物をHO(40mL)で希釈し、EtOAc(30mL3)で抽出した。組み合わせた有機質層を濃縮し、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=30:1)で精製することにより、生成物(0.8g、76%)を緑色固形物として得た。LC-MS(方法3):t=1.61分、m/z(M+H)=503.2。
【0354】
工程5:ベンジル4-(4-((4-(4-(2-シアノ-2-メチルプロポキシ)-3-フルオロフェニル)-5-メチルピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(39f)
化合物39e(150mg、0.30mmol)および2-シアノ-2-メチルプロピルメタンスルホネート(79mg、0.45mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物39f(55mg)を収率31%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.78分、m/z(M+H)=584.3。
【0355】
工程6:3-(2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(39)
化合物39f(55mg、0.09mmol)をMeOH(2mL)に溶かし、続いてPd/C(24mg、10重量%、約55%水で湿らせた)およびPd(OH)/C(24mg、20重量%ジヒドロキシパラジウム炭素)を加えた。上記の混合物をH下(1気圧)、40℃で6時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を分取HPLC(方法A)で精製することにより、標題生成物(5.6mg、収率14%)を得た。LC-MS(方法1):t=3.33分、m/z(M+H)=450.3。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.17(s,1H),7.94(s,1H),7.53(s,1H),7.44(dd,J=2.4,12.0Hz,1H),7.39(d,J=8.4Hz,1H),7.16(t,J=8.4Hz,1H),4.34-4.29(m,1H),4.03(s,2H),3.36(d,J=13.2Hz,2H),3.03-2.96(m,2H),2.17-2.15(m,5H),2.10-2.01(m,2H),1.42(s,6H)。
【実施例40】
【0356】
【化55】
【0357】
工程1:1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イルメタンスルホネート(40b)
1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オール(5.0g、43.86mmol)およびTEA(8.86g、87.72mmol)をDCM(100mL)に溶かした混合物に、MsCl(5.5g、48.24mmol)を0℃で加えた。この混合物を室温に加温し、2時間撹拌した。この混合物をDCM(300mL)で希釈し、HO(300mL3)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過した。濾液を濃縮することにより、表題生成物(7.38g、88%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ5.02-4.98(m,1H),3.11(s,3H),1.58(d,J=6.4Hz,3H)。
【0358】
工程2:4-ニトロ-1-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1H-ピラゾール(40c)
4-ニトロ-1H-ピラゾール(3.62g、32.03mmol)および40b(7.38g、38.44mmol)をDMF(100mL)に溶かした混合物に、KCO(8.84g、64.06mmol)を加えた。混合物をN下、120℃で18時間撹拌した。混合物を室温に冷まして濃縮乾固した。残渣をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc=8:1)で精製することにより、表題生成物(3.1g、粗製、46%)を黄色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.30(s,1H),8.13(s,1H),4.94-4.91(m,1H),1.82(d,J=6.8Hz,3H)。
【0359】
工程3:1-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-アミン(40d)
40c(3.1g粗製、14.83mmol)を出発材料として実施例8の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物40d(1.2g)を収率45%で合成した。LC-MS(方法1):t=0.38分、m/z(M+H)=180.1。
【0360】
工程4:2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノール(40e)
4a(100mg、0.42mmol)および40d(90mg、0.50mmol)をn-BuOH(10mL)に溶かした混合物に、濃縮HSO(0.5mL、1mL n-BuOHに1滴)を加えた。混合物を120℃で一晩撹拌した。室温に冷ました後、混合物を濃縮乾固し、分取HPLC(方法A)で精製することにより、表題生成物(60mg、収率38%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=1.51分、m/z(M+H)=382.2。
【0361】
工程5:3-(2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)-2,2-ジメチルプロパンニトリル(40)
化合物40e(60mg、0.16mmol)および2-シアノ-2-メチルプロピルメタンスルホネート(49mg、0.24mmol)を出発材料として実施例1の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物40(5.4mg)を収率7%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.41分、m/z(M+H)=463.1。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.32(s,1H),8.14(s,1H),7.70(s,1H),7.58(d,J=2.0Hz,1H),7.55-7.51(m,2H),7.28(t,J=8.4Hz,1H),5.11-5.04(m,1H),4.15(s,2H),2.30(s,3H),1.74(d,J=6.8Hz,3H),1.54(s,6H)。19F NMR(376MHz,CDOD)δ-77.67,-136.00。
【実施例41】
【0362】
【化56】
【0363】
3-(4-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノキシ)プロパンニトリル(41)
38a(226mg、0.68mmol)、KCO(187mg、1.36mmol)およびt-BuOH(52mg、0.68mmol)をアセトニトリル(2mL)に溶かした混合物を、マイクロウェーブ下、120℃で6時間撹拌した。混合物を室温に冷まして濃縮した。残渣を分取HPLCで精製することにより、表題化合物(27.7mg、収率12%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=3.07分、m/z(M+H)=335.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.30(s,1H),8.30(s,1H),7.83(s,1H),7.68(d,J=8.4Hz,2H),7.48(s,1H),7.11(t,J=8.8Hz,2H),4.27(t,J=6.0Hz,2H),3.78(s,3H),3.05(t,J=6.4Hz,2H),2.21(s,3H)。
【実施例42】
【0364】
【化57】
【0365】
工程1:1-(((4-ブロモフェニル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(42b)
4-ブロモアニリン(200mg、1.16mmol)、(1-シアノシクロプロピル)メチルメタンスルホネート(305mg、1.74mmol)、およびDIPEA(300mg、2.32mmol)をDMF(1mL)に溶かした混合物を、120℃で3時間撹拌した。混合物を室温に冷まして濃縮乾固した。残渣をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1)で精製することにより、表題生成物(100mg、34%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法3):t=1.40分、m/z(M+H)=251.1。
【0366】
工程2:1-(((4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(42c)
42b(100mg、0.4mmol)および4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(102mg、0.4mmol)を出発材料として実施例10の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物42c(119mg)を収率100%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.60分、m/z(M+H)=299.2。
【0367】
工程3:1-(((4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)フェニル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(42d)
42c(119mg、0.4mmol)および2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン(98mg、0.6mmol)を出発材料として実施例10の第三工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物42d(70mg)を収率59%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.50分、m/z(M+H)=299.1。
【0368】
工程4:1-(((4-(2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)フェニル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(42)
42d(70mg、0.23mmol)および1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(43mg、0.35mmol)を出発材料として実施例10の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物42(6mg)を収率7%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.76分、m/z(M+H)=386.2。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.21(s,1H),7.92(s,1H),7.58(d,J=8.4Hz,2H),7.49(s,1H),6.71(d,J=8.8Hz,2H),6.66(s,1H),4.15(t,J=5.2Hz,1H),3.59-3.55(m,1H),3.39(d,J=6.0Hz,2H),2.28(s,3H),1.35-1.32(m,2H),1.15-1.11(m,2H),1.05-1.01(m,2H),1.00-0.96(m,2H)。
【実施例43】
【0369】
【化58】
【0370】
工程1:ベンジル4-(4-((4-(4-(((1-シアノシクロプロピル)メチル)アミノ)フェニル)-5-メチルピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(43a)
42d(120mg、0.4mmol)および39d(180mg、0.6mmol)を出発材料として実施例1の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物43a(120mg)を収率53%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.64分、m/z(M+H)=563.3。
【0371】
工程2:1-(((4-(5-メチル-2-((1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェニル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(43)
43a(80mg、0.14mmol)をMeOH(10mL)に溶かした混合物に、Pd/C(40mg、10重量%、約55%水で湿らせた)、Pd(OH)/C(40mg、20重量%)、およびホルムアルデヒド(37%溶液)一滴を加えた。この混合物をH下(1気圧)、40℃で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して残渣を得た。残渣を分取HPLC(方法A)で精製することにより、生成物(6mg、収率10%)を得た。LC-MS(方法1):t=3.83分、m/z(M+H)=443.2。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.20(s,1H),7.94(s,1H),7.57(d,J=8.4Hz,2H),7.52(s,1H),6.71(d,J=8.8Hz,2H),6.69(s,1H),4.17-4.07(m,1H),3.40(d,J=6.0Hz,2H),3.02-2.96(m,2H),2.34(s,3H),2.28(s,3H),2.19-2.06(m,6H),1.35-1.32(m,2H),1.05-1.02(m,2H)。
【実施例44】
【0372】
【化59】
【0373】
工程1:1-(((4-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)フェニル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(44a)
42c(150mg、0.50mmol)および2,4,5-トリクロロピリミジン(137mg、0.75mmol)を出発材料として実施例42の第二工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物44a(126mg)を収率79%で合成した。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.52(s,1H),7.96(d,J=8.8Hz,2H),6.69(d,J=8.8Hz,2H),4.37(t,J=6.0Hz,1H),3.40(d,J=6.0Hz,2H),1.36-1.33(m,2H),1.27-1.24(m,2H)。
【0374】
工程2:ベンジル4-(4-((4-(4-(((1-シアノシクロプロピル)メチル)アミノ)フェニル)-5-メチルピリミジン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(43a)
44a(96mg、0.30mmol)およびベンジル4-(4-アミノ-1H-ピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(136mg,0.50mmol)を出発材料として実施例42の第三工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物44b(60mg)を収率26%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.67分、m/z(M+H)=583.3。
【0375】
工程3:1-(((4-(5-クロロ-2-((1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェニル)アミノ)メチル)シクロプロパンカルボニトリル(44)
44b(60mg、0.1mmol)をMeOH(2mL)に溶かした混合物に、Pd/C(24mg、10重量%、約55%水で湿らせた)およびPd(OH)/C(24mg、20重量%ジヒドロキシパラジウム炭素)をH下(1気圧)、40℃で6時間かけて加えた。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。この粗製生成物を分取HPLC(方法A)で精製することにより、生成物(1.5mg、収率3%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=3.20分、m/z(M+H)=449.2。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.20(s,1H),7.94(s,1H),7.75(d,J=8.4Hz,2H),7.51(s,1H),6.69(d,J=8.8Hz,2H),4.19-4.12(m,1H),3.32(s,2H),3.13-3.10(m,2H),2.73-2.67(m,2H),2.04-2.01(m,2H),1.88-1.78(m,2H),1.18-1.15(m,2H),1.00-0.97(m,2H)。
【実施例45】
【0376】
【化60】
【0377】
工程1:2-フルオロ-4-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)フェノール(45a)
4a(500mg、2.1mmol)および1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(295mg、2.55mmol)をn-BuOH(8mL)に溶かした混合物に、飽和HSO(0.5mL、1mLのn-BuOHに1滴)を加えた。混合物を120℃で一晩撹拌した。室温に冷ました後、混合物を濃縮乾固し、分取HPLC(方法A)で精製することにより、表題生成物(357mg、収率47%)を黄色固形物として得た。LC-MS(方法3):t=1.28分、m/z(M+H)=300.1。
【0378】
工程2:4-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-5-メチル-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン(45)
45a(50mg、0.17mmol)、CHI(29mg、0.20mmol)、およびKCO(47mg、0.34mmol)をDMF(1mL)に溶かした混合物を、30℃で2時間撹拌した。混合物を濃縮し、分取HPLC(方法A)で精製することにより、生成物(5.4mg、収率10%)を白色固形物として得た。LC-MS(方法1):t=3.34分、m/z(M+H)=314.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.30(s,1H),8.31(s,1H),7.82(s,1H),7.58-7.51(m,2H),7.48(s,1H),7.29(t,J=8.8Hz,1H),3.91(s,3H),3.78(s,3H),2.21(s,3H)。
【実施例46】
【0379】
【化61】
【0380】
工程1:4-(4-エトキシ-3-フルオロフェニル)-5-メチル-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン(46)
45a(50mg、0.17mmol)およびヨードエタン(33mg、0.21mmol)を出発材料として実施例45の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物46(4.3mg)を収率8%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.36分、m/z(M+H)=328.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.30(s,1H),8.31(s,1H),7.82(s,1H),7.58-7.49(m,3H),7.28(t,J=8.8Hz,1H),4.22-4.17(m,2H),3.79(s,3H),2.22(s,3H),1.39(t,J=6.8Hz,3H)。
【実施例47】
【0381】
【化62】
【0382】
工程2:4-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-5-メチル-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン(47)
45a(50mg、0.17mmol)および2-ヨードプロパン(36mg、0.21mmol)を出発材料として実施例45の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物47(4.3mg)を収率8%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.01分、m/z(M+H)=342.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.29(s,1H),8.31(s,1H),7.82(s,1H),7.55(dd,J=2.0,12.0Hz,1H),7.50-7.48(m,2H),7.28(t,J=8.8Hz,1H),4.76-4.73(m,1H),3.78(s,3H),2.22(s,3H),1.33(d,J=6.0Hz,6H)。
【実施例48】
【0383】
【化63】
【0384】
工程1:4-(3-フルオロ-4-プロポキシフェニル)-5-メチル-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン(48)
45a(50mg、0.17mmol)および1-ブロモプロパン(26mg、0.21mmol)を出発材料として実施例45の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物48(4.9mg)を収率8%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.99分、m/z(M+H)=342.2。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ9.30(s,1H),8.31(s,1H),7.82(s,1H),7.55(dd,J=2.0,12.0Hz,1H),7.50-7.49(m,2H),7.28(t,J=8.8Hz,1H),4.08(t,J=6.4Hz,2H),3.78(s,3H),2.22(s,3H),1.83-1.74(m,2H),1.01(t,J=7.2Hz,3H)。
【実施例49】
【0385】
【化64】
【0386】
工程1:2-フルオロ-4-(2-((1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)フェノール(49a)
化合物4a(70mg、0.30mmol)および1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミン(74mg、0.591mmol)を出発材料として実施例45の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物49a(40mg)を収率42%で合成した。LC-MS(方法3):t=1.47分、m/z(M+H)=328.1。
【0387】
工程2:4-(4-エトキシ-3-フルオロフェニル)-N-(1-イソプロピル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-メチルピリミジン-2-アミン(49)
49a(40mg、0.12mmol)およびヨードエタン(23mg、0.15mmol)を出発材料として実施例45の最終工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物49(10mg)を収率23%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.54分、m/z(M+H)=356.2。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.26(s,1H),7.90(s,1H),7.51(s,1H),7.47(d,J=12.8Hz,1H),7.41(d,J=8.4Hz,1H),7.03(t,J=8.4Hz,1H),6.92(s,1H),4.49-4.42(m,1H),4.18(q,J=6.8Hz,2H),2.28(s,3H),1.52-1.47(m,9H)。
【実施例50】
【0388】
【化65】
【0389】
工程1:2-クロロ-4-(4-エトキシフェニル)-5-メチルピリミジン(50a)
1a(500mg、3.01mmol)および(4-エトキシフェニル)ボロン酸(491mg、3.01mmol)を出発材料として実施例1の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物50a(510mg)を収率69%で合成した。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ8.64(s,1H),7.69(d,J=9.2Hz,2H),7.07(d,J=9.2Hz,2H),4.11(q,J=7.2Hz,2H),2.37(s,3H),1.36(t,J=6.8Hz,3H)。
【0390】
工程2:4-(4-エトキシフェニル)-5-メチル-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン(50)
50a(70mg、0.28mmol)および1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(33mg、0.34mmol)を出発材料として実施例45の第一工程と同様の調製手順を利用することにより、化合物50(3.6mg)を収率4%で合成した。LC-MS(方法1):t=3.56分、m/z(M+H)=310.2。H NMR(300MHz,CDCl)δ8.28(s,1H),7.90(s,1H),7.64(d,J=8.7Hz,2H),7.53(s,1H),7.03(d,J=8.7Hz,2H),6.78(s,1H),4.11(q,J=6.9Hz,2H),3.92(s,3H),2.31(s,3H),1.36(t,J=6.9Hz,3H)。
【0391】
実施例51:生物活性の試験
化合物をJAK1、JAK2、JAK2V617F、およびTYK2に対して試験した。
【0392】
アッセイのフォーマット:微小流体アッセイにより、JAK活性を反応緩衝液50mM HEPES、0.01%Brij35、10mM MgCl2、2mM DTTにおいて求めた。Caliper EZ Reader II(Perkin Elmer)において、FAM標識したペプチド基質のリン酸化をモニタリングした。酵素の各ロットに対するアッセイ条件(Carna Biosciences)を最適化し、コンバージョン率10%のペプチド基質を得た。
【0393】
試験化合物をDMSOに溶かし、ストック濃度を10mMとした。最高濃度5μMの三倍連続希釈化合物を周囲温度で10分間、JAK1、JAK2、JAK2V617F、またはTYK2により予めインキュベートした。アッセイ混合物の最終DMSO濃度は1%であった。FAM標識したペプチド基質(最終濃度3μM)およびATP(濃度1mM)を連続添加し、キナーゼ反応を28℃で開始した。50mM EDTAを加えることにより反応を止めた。JAK1、JAK2、JAK2V617F、およびTYK2の反応時間は、それぞれ120分、20分、30分、および10分であった。
【0394】
酵素を含まない試験プレート中のウェルを、100%阻害と定めた。化合物を含まないが同等量のDMSOを含むウェルを、阻害なしと定めた。阻害の割合を以下の式により算出した。

阻害の%=(Conversion max-Conversion sample)/(Conversion max-Conversion min100

Conversion maxは、化合物を加えられない陽性ウェル中のコンバーション率、Conversion minは、酵素を加えられないウェル中のコンバーション率、Conversion sampleは、試験化合物のコンバーション率を意味する。
【0395】
用量応答(阻害の割合)曲線をプロットし、GraphPadソフトウェアによりIC50値を求めた。
【0396】
例示的な結果を表1にまとめる。
【0397】
【表3-1】
【0398】
【表3-2】
【0399】
【表3-3】
【0400】
【表3-4】
【0401】
【表3-5】
【0402】
【表3-6】
【0403】
【表3-7】
【0404】
【表3-8】
【0405】
【表3-9】
【0406】
【表4-1】
【0407】
【表4-2】
【0408】
【表5】
【0409】
【表6】
【0410】
本出願人による開示は、図面の参照と合わせて好ましい実施形態で本明細書中に記載される。図中の同様の数字は、同じまたは類似の要素を表す。本明細書全体では、「一実施形態」、「実施形態」、またはこれに類似する言葉に対する言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。ゆえに、本明細書全体における句「一実施形態では」、「実施形態では」、およびこれに類似する言葉の外観はすべて、同じ実施形態を指す場合があるが、必ずしもそうではない。
【0411】
本出願人の開示の記載された特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において適切な形で組み合わせられてもよい。本明細書中の記載には、本発明の実施形態を完全に理解させるために多数の具体的な詳細が記述される。しかし、関連分野における当業者は、本出願人の組成物および/または方法が、これら具体的な詳細のうち1つ以上を必要とすることなく、または、他の方法、成分、材料などを用いて実施されてもよいことを認識することになる。他の例では、周知の構造、材料、または操作は、本開示の態様が不明瞭になるのを避けるべく詳しく示されず、または記載されない。
【0412】
本明細書と添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、および「the」は、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含める
【0413】
別段の定めのない限り、本明細書で使用される技術用語と科学用語はすべて、当業者が共通して理解するものと同じ意味を持つ。本明細書に記載されるものと類似または同等である任意の方法と材料も、本開示の実施または試験に使用可能であるが、ここでは好ましい方法と材料が記載される。本明細書で詳述した方法は、開示された特定の順序に加えて、理論上可能な順序で実行することができる。
【0414】
引用による組み込み
特許、特許出願、特許公報、学術誌、書籍、新聞、ウェブコンテンツなど他の文書に対する参照と引用を本開示内で行ってきた。このような文書はすべて、あらゆる目的でそれら全体を参照することで本明細書に引用される。本明細書で参照により組み込まれると言われるが、本明細書中で明確に記載される既存の定義、陳述、あるいは他の開示資料に抵触する任意の資料またはその一部は、組み込まれた資料と本開示の資料との間に何の抵触も生じない程度でのみ組み込まれる。抵触が生じた場合、本開示を好ましい開示として優先させることで解決されることになる。
【0415】
等価物
代表例は本発明の例示の助けとなることを意図したものであり、本発明の範囲を制限することを意図したものではなく、またはそのように解釈されるべきではない。実際、本発明とその多くのさらなる実施形態に対する様々な改変は、本明細書に示されかつ記載されるものに加えて、実施例、および本明細書に含まれる科学文献と特許文献に対する言及を含む、本文書の完全な内容から当業者に明白となる。この例は、本発明をその様々な実施形態およびその等価物において実施するよう適合可能な、重要な追加情報、例証、およびガイダンスを包含している。
【国際調査報告】