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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ヴィブラフォンピックアップ
(51)【国際特許分類】
   G10H 3/20 20060101AFI20220614BHJP
   G10D 13/08 20200101ALI20220614BHJP
   G10D 13/10 20200101ALI20220614BHJP
   G10H 3/18 20060101ALN20220614BHJP
   G10D 13/063 20200101ALN20220614BHJP
   G10D 13/02 20200101ALN20220614BHJP
【FI】
G10H3/20
G10D13/08 120
G10D13/10 160
G10H3/18 A
G10D13/063
G10D13/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560589
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020030050
(87)【国際公開番号】W WO2020220017
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/838,820
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441261
【氏名又は名称】ハウ,ゲリー,ジョセフ
(71)【出願人】
【識別番号】521441272
【氏名又は名称】ハウ,ピーター
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ハウ,ゲリー,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ハウ,ピーター
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478BC24
5D478NN11
5D478NN13
(57)【要約】
【解決手段】
ヴィブラフォンピックアップは、アナログシグナルを出力するための1つのコイルと、デジタルシグナルを出力するためのもう1つのコイルの、2つのコイルを有するボビンを有する。複数のフィルタとバッファとは、シグナルを隔絶するために使用される。希土類(またはネオジム)磁石は、ボビンの中心で使用される。使用の1つの方法では、ヴィブラフォンピックアップは、ヴィブラフォンの各々の音符を強めるために使用される。各々のヴィブラフォンピックアップの出力は、組み合わされ、そして増幅器に供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヴィブラフォンピックアップであって、前記ヴィブラフォンピックアップは、
ボビンであって、前記ボビンは、セパレータによって分離された第1のチャネルと第2のチャネル、および前記ボビンの中心を経由して前記ボビンの上部から底部に通る磁石アパーチャを有する、ボビンと、
前記第1のチャネルの周りに巻き付けられた第1の銅線を含む第1のコイルと、
前記第2のチャネルの周りに巻き付けられた第2の銅線を含む第2のコイルと、
前記磁石アパーチャに受け入れ可能な磁石と、を含み、
ここで、前記第1のコイルはアナログシグナルを出力し、そして前記第2のコイルはデジタルシグナルを生成する、ヴィブラフォンピックアップ。
【請求項2】
複数のフィルタとバッファと、をさらに含む、請求項1に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項3】
各々のフィルタとバッファは個別のボビンに連結されている、請求項2に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項4】
複数の磁石をさらに含む、請求項1に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項5】
複数のボビンをハウジングに含む、請求項1に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項6】
前記第1の銅線と前記第2の銅線は42AWGである、請求項1に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項7】
各々の銅線は、前記ボビンの周りに8,000-10,000回巻き付けられている、請求項6に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項8】
前記磁石は希土類磁石である、請求項1に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項9】
前記希土類磁石はネオジム-鉄-ホウ素である、請求項8に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項10】
前記希土類磁石はサマリウムコバルトである、請求項8に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項11】
前記デジタルシグナルはMIDIとして出力される、請求項1に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項12】
ヴィブラフォンピックアップであって、前記ヴィブラフォンピックアップは、
ハウジングと、
前記ハウジング内の複数のボビンと、を含み、各々のボビンは、
ワイヤが巻き付けられてコイルを形成している、少なくとも1つのチャネルと、
磁石と、を含み、
ここで、前記コイルは、アナログシグナルを出力するか、またはデジタルシグナルを生成するために使用され、
各々のボビンは、回路基板に連結され、
複数のフィルタは、前記複数のボビンに連結される、ヴィブラフォンピックアップ。
【請求項13】
各々のフィルタは個別のボビンに連結されている、請求項12に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項14】
前記ワイヤは42AWGである、請求項12に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項15】
前記42AWGの銅線は、前記ボビンの周りに8,000-10,000回巻き付けられている、請求項14に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項16】
前記複数のボビンに連結される複数のバッファをさらに含む、請求項12に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項17】
各々のボビンは、第1のチャネルの周りに巻き付けられた第1の銅線を含む第1のコイルと、第2のチャネルの周りに巻き付けられた第2の銅線を含む第2のコイルと、を含む、請求項12に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項18】
複数のバッファをさらに含み、ここで、各々のフィルタとバッファは個別のボビンに連結されている、請求項17に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【請求項19】
前記磁石は希土類磁石である、請求項12に記載のヴィブラフォンピックアップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、本明細書に参照によって組み込まれている、2019年4月25日出願の米国仮特許出願第62/823,820号の利益を主張する。
【0002】
本開示はヴィブラフォンを増幅する方法に関係する。より具体的には、本開示は、ヴィブラフォンの各々の音符のピックアップに関係する。
【背景技術】
【0003】
ヴィブラフォンは、調律された金属の音板を含む楽器であり、通常、その音板を打つための柔らかいマレット(mallet)を使用して演奏される。ヴィブラフォンから鳴り響くサウンドを大きくすることが、度々望まれる。現在、サウンドを増幅するための2つの選択肢が存在する:1)コンタクトピックアップ(典型的に圧電素子)、および、2)マイクロホン、である。コンタクトピックアップは、音板に物理的に取り付けられており、音板を減衰させ、そして音板が正確な音色を作り出すことを妨げる。ユーザーはピックアップを各々の音板上、および音板上の正しい位置に配置する必要があるため、このことを実行することも困難である。さらに、コンタクトピックアップが不正な位置に配置されると、音板を完全に減衰し得る。他方、マイクロホンは、音板のすべてのサウンドを均一に強めるわけではなく、歪んだフィードバックを引き起こす。マイクロホンはまた、ヴィブラフォンのみならずそれ以上のものを強めるかもしれず、余分な、望まれないノイズにつながるかもしれない。
【0004】
これらの問題を解決するための従前の試みは成功しなかった。例えば、Jespersenの特許文献1(’737特許)は、各々の音板の下に配置され、そして音符を再生するために増幅器と音響変換器とに連結された磁気ピックアップコイルの使用を開示する。しかし、とりわけ、コイルの構成と音板に対するその位置によって、増幅を弱める結果となり、そのため広く採用されなかった。’737特許はまた、アナログ出力とデジタル出力の両方を増幅する能力を欠いていた。そのため、’737特許の試みを改善し、そして残る問題を解決する必要がある。
【0005】
従って、音板を減衰させず、そして余分なノイズやフィードバックを低減する、ヴィブラフォン(または同様の楽器)のサウンドを増幅するシステムおよび方法が必要である。本開示は、これらの問題と他の問題を解決する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,649,737号
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、ヴィブラフォンピックアップは、ボビンと、該ボビンの中央に希土類(またはネオジム)磁石などの少なくとも1つの磁石と、第1のチャネルと第2のチャネルの周りに(例えば8,000-10,000回)巻き付けられた銅線(例えば42AWGの銅線)と、を含む。
【0008】
一実施形態では、ヴィブラフォンピックアップの第1の端部は、アナログサウンドを強めるために使用され、そして、第2の、対向する端部は、デジタルサウンドを生成するために使用され、該デジタルサウンドは、楽器のデジタルインターフェース(「MIDI」)として出力される。その出力は、増幅およびシグナル検出回路に供給することができ、該増幅およびシグナル検出回路は、音符、開始、停止、およびボリューム情報を検出する。
【0009】
一実施形態では、ヴィブラフォンピックアップは、複数のフィルタとバッファとを含む。
【0010】
使用の1つの方法では、ヴィブラフォンピックアップは、ヴィブラフォンの各々の音符を強めるために使用される。各々のヴィブラフォンピックアップの出力は、組み合わされ、そして増幅器に供給される。
【0011】
使用の1つの方法では、ヴィブラフォンピックアップは、様々な楽器と共に使用される。例えば、ヴィブラフォンは、グロッケンシュピール、マリンバ、ベル、チャイム、シンバル、ドラムなどと共に使用されてもよい。使用の1つの方法では、ヴィブラフォンピックアップは、ピアノに連結されてもよく、ピアノをMIDIおよび/またはアナログに出力することを可能にしてもよい。
【0012】
使用の1つの方法では、木製音板を有する楽器のために、凹部が各々の木製音板に作られ、そして磁石または磁性エポキシなどの磁気材料で充填され、該凹部によって、本明細書に開示されるヴィブラフォンピックアップと相互に作用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ヴィブラフォンピックアップを示す。
図2】ヴィブラフォンピックアップのボビンを示す。
図3】複数のヴィブラフォン音板の下に配置された複数のヴィブラフォンピックアップを包含する、ハウジングを示す。
図4】ADCとMIDIプロセッサとに連結された複数のヴィブラフォンピックアップを示す。
図5】複数のフィルタとバッファとに連結された複数のヴィブラフォンピックアップを示す。
図6】それぞれのフィルタとバッファに連結された個々のヴィブラフォンピックアップを示す。
図7】ヴィブラフォンピックアップを示す。
図8】ヴィブラフォンピックアップのボビンを示す。
図9】ヴィブラフォンに連結された複数のヴィブラフォンピックアップを包含する、ハウジングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記述は実施形態例を描写するのみであり、範囲を限定するものとみなされるべきではない。本明細書における「本発明」へのいかなる言及も、本明細書に開示されている例示的な実施形態のいずれか1つ以上のある特定の特徴またはある特定の工程のみに、本発明を制限または限定することを意図するものではない。「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「様々な実施形態」などへの言及は、そのように記載されている実施形態がある具体的な特徴、構造または特性を含んでいる可能性があることを示唆しているが、あらゆる実施形態が必ずしも具体的な特徴、構造または特性を含むわけではない。さらに、「1つの実施形態では」または「ある実施形態では」といった句が繰り返し使用されている時は、同一の実施形態について言及している場合もあれば、必ずしもそうでない場合もある。
【0015】
本開示全体にわたり、図面への参照は様々な番号を使用して行う。使用される番号は、起草者の便宜上のためのものであり、番号の欠番は限定とみなされるべきではなく、また、その特定の実施形態に追加部分が存在することを示唆するものでもない。ある実施形態から他の実施形態へのナンバリングパターンは、各実施形態が同様の部品を有することを意味している場合もあれば、必ずしもそうでない場合もある。
【0016】
従って、開示されている特定の配置は例示である旨のみを意味し、添付の請求項といずれか及びすべての同等物の全範囲にわたるべき本発明の範囲を限定するものではない。特定の用語が本明細書に使用されているが、これらは一般的且つ説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的として使用されているものではない。本明細書に明示的に定義されていない限り、それらの用語は、関連業界で使用可能なものと矛盾せず、且つ、以下に記載される特定の実施形態のいずれをも制限することのない、広範で一般的で且つ慣習的な意味を与えられるべきものと意図されている。本明細書で使用されている時,冠詞「ある1つの(a))」は、1つ以上のアイテムを含むことを意図している。本明細書でアイテムのリストを結合するために使用されている時,用語「あるいは(or)」は、リスト中のアイテムの少なくとも1つを意味するが、リスト中の複数のアイテムを排除するものではない。例示的な方法または過程について、本明細書に記載されている工程の順序や配置は説明のためのものであり、制限的なものではない。
【0017】
そのような過程または方法における工程は、ある特定の順序や配置、または、ある特定のグラフィックスやインターフェースでの実行に限定されないことを、理解されたい。実際に、開示されている過程あるいは方法の工程は、通常、様々な順序および配置で実行され得るが、これらは今なお本発明の範囲内に含まれる。
【0018】
「連結された(coupled)」という用語は、2つ以上の要素が物理的に直接接触していることを意味し得る。しかし、「連結された」は、2つ以上の要素が互いに直接接触はしていないが、互いに連携したり相互作用したりすることを意味することもある。
【0019】
「含むこと(comprising)」、「含むこと(including)」、「有すること(having)」などの用語は、実施形態に関して使用される時は類義語であり、一般的に「非限定的(open)」な用語として意図されている(例えば、「~を含むこと(including)」という用語は、「~を含むが、これに限定されず(including, but not limited to)」と解釈され、「~を有すること(having)」」という用語は「少なくとも~を有する(having at least)」と解釈され、「~を含む(includes)」という用語は「~を含むが、これに限定されない(includes, but not limited to)など」と解釈されるべきである)。
【0020】
既に議論された通り、音板を減衰させず、そして余分なノイズやフィードバックを低減する、ヴィブラフォン(または同様の楽器)のサウンドを増幅するシステムおよび方法が必要でる。下に記載されるヴィブラフォンピックアップは、これらの問題と他の問題を解決する。
【0021】
打楽器を増幅することは、困難であり得る。当技術分野で使用される1つの方法は、1以上の圧電素子を使用し、そしてそれらを楽器に(例えば、接着剤、ストラップなどを使用して)固定することである。しかし、このことは、楽器によって作り出されるサウンドを減衰し得る。言い換えれば、ヴィブラフォンは、振動によってサウンドを作り、したがって、ヴィブラフォン音板にコンポーネントを固定すると、振動を低下させ、そしてさらに音色を変えてしまうかもしれない。さらに、繰り返し使用すると、接着剤またはストラップは機能しなくなり始め、それによって、望まれないサウンドや結果を引き起こすかもしれない。従って、当技術分野の現在のシステムでは、ヴィブラフォンからの正確な音色を増幅することは困難である。本明細書に開示されるヴィブラフォンピックアップは、作り出されたサウンドを減衰せずに、正確な音色を増幅することができる。デジタルサウンドを増幅するためには、アナログデジタル変換器(ADC)とMIDIプロセッサとが使用される。プロセッサは、シグナルの音高(pitch)と電圧とを判定し、その後に振幅を判定する。
【0022】
一実施形態では、図1-3に示されるように、ヴィブラフォンピックアップ(100)は、ボビン(102)であって、希土類、ネオジム、または他の磁石などの少なくとも1つの磁石(104)を有し、該磁石(104)は、理想的には、該ボビン(102)の中央を通過して上部から底部に通る、ボビンと、第1のチャネル(108)の周りに(例えば8,000-10,000回)巻き付けられた第1の銅線(例えば42AWGの銅線)と、第2のチャネル(110)の周りに巻き付けられた第2の銅線(107)と、を含む。ボビン(102)は、ボビン(102)を(図3に示される)ハウジング(116)に連結するための、固定用アパーチャ(114)を有するベース(112)をさらに含んでもよい。ハウジング(116)は、ヴィブラフォンフレームを使用してヴィブラフォンに連結されてもよく、それによって、演奏された時にヴィブラフォン音板(118)と干渉しなくなる、またはそれを減衰しなくなる。言い換えれば、ハウジング(116)は、ヴィブラフォン音板と接触しない。ボビン(102)は、少なくとも1つの磁石(104)を受け取るための磁石アパーチャ(120)を含んでもよい。各々の楽器は様々な範囲の透磁率を有するので、ボビンのサイズと形状は、所与の楽器の透磁率の範囲を受け取るように調節されてもよい。従って、ボビン(102)は様々なサイズと形状で供給されてもよく、それによって、とりわけピアノまたはマリンバなどの多数の楽器と共に使用されてもよいことが認識されるであろう。第1のチャネルと第2のチャネル(108)、(110)が示されるが、1つのチャネルのみが必要である。したがって、他の実施形態では、ボビンは、ワイヤが巻き付けられた1つのチャネルのみを有していてもよい。別の実施形態では、ボビンは、複数のチャネルを有していてもよく、2以上のチャネルを含んでいてもよい。
【0023】
少なくとも1つの磁石(104)は、希土類磁石であってもよい。例えば、希土類磁石は、ネオジム-鉄-ホウ素、またはサマリウムコバルトであってもよい。磁石アパーチャ(120)に挿入された少なくとも1つの磁石(104)を使用すると、磁界はより強く、そして、より多くのシグナルを、ボビン(102)の周りにコイル状に巻き付けられた銅線(106)、(107)から取得することができる。少なくとも1つの磁石(104)が上に記載される希土類磁石などの強磁石である時、明瞭で大きなシグナルが作り出される。他方、従前技術で通常使用されるものなどのより弱い磁石が使用されると、シグナル対ノイズ比は低く、望ましいサウンドを増幅することが困難になる。他の実施形態では、少なくとも1つの磁石(104)は、それ自体、ボビン形状因子(bobbin formfactor)を含み、それによって、ボビンと磁石を1つに組み合わせる。
【0024】
8,000-10,000回巻き付けられたワイヤ(106)、(107)が例として議論されているが、ボビン(102)は、2,000、4,000、6,000などの、任意の回数巻き付けがなされていてもよい。42AWGの銅線が使用されていてもよいが、ヴィブラフォンピックアップ(100)は、ワイヤまたは材料の特定のゲージに限定されない。例えば、ワイヤのゲージは、40AWG、35AWG、またはワイヤの他の適切なゲージであってもよい。同様に、ワイヤ材料は、異なっていてもよい。例えば、ワイヤ材料は、銀などの他の導電材料であってもよい。ボビン(102)が比較的薄い上部(113)を含み、それによって、銅線(106)がヴィブラフォン音板(118)により接近して、より強く明瞭なシグナルを受け取ることができるようになる。第1のチャネル(108)は、セパレータ(115)を介して第2のチャネル(110)から分離される。セパレータ(115)は、理想的には、プラスチックまたはゴムなどの非導電性であり、それによって、第1のワイヤ(106)は第2のワイヤ(107)と干渉しなくなる。これによって、第1のコイル(つまり第1のワイヤ(106)が巻き付けられている第1のチャネル(108))が、第2のコイル(つまり第2のワイヤ(107)が巻き付けられている第2のチャネル(110))から分離可能なサウンドを強める。
【0025】
従って、図4に示されるように、一実施形態では、第1のコイル(122)がアナログサウンドを強めるために使用され、そして第2の対向するコイル(124)がMIDI出力(123)としてデジタルサウンドを生成するために使用され、該MIDI出力は、受け取られたサウンドをADCとMIDIプロセッサ(125)を使用してデジタルに変換することによるものである。プロセッサ(125)は、シグナルの音高と電圧とを判定し、その後に振幅を判定する。アナログサウンドに使用される第1のコイル(122)は、銅線(106)を、ヴィブラフォン音板(118)により接近している第1のチャネル(108)に配置し、ここで該銅線(106)は、より強いシグナルを受け取ってより高いボリュームのサウンドを得る。さらに、第2のコイル(124)上の出力は、増幅およびシグナル検出回路に供給することができ、該増幅およびシグナル検出回路は、音符、開始、停止、およびボリューム情報を検出する。
【0026】
図5を参照すると、一実施形態では、ヴィブラフォンピックアップ(100)は、第1のシグナルコード(130)を介してボビン(102)の各々のペアに連結される、バッファ(126)とフィルタ(128)をさらに含む。フィルタ(128)は、あらゆる望まれないサウンドを取り除くために使用される。従前技術では、マイクロホンがヴィブラフォンのサウンドを増幅するために使用されると、度々、ヴィブラフォンの音色を妨害する望まれないノイズが発生する。フィルタ(128)をヴィブラフォンピックアップ(100)に連結させたことで、ヴィブラフォンのサウンドが、他の望まれないサウンドに圧倒されることなく聞こえるようになる。バッファ(126)は、明瞭で強いシグナルを作る際にさらに役立つが、フィルタ(128)とは役立ち方が異なる。バッファ(126)はボビン(102)を隔絶し、そのことによって互いに干渉しなくなる。これは、干渉を低下させる試みにおいて反対方向にコイルを巻き付ける必要があった、’737特許の問題を克服する。さらに、’737特許は、アナログシグナルとデジタルシグナルの両方を同時に送信することができなかった。対照的に、ヴィブラフォンピックアップ(100)は、ヴィブラフォンが演奏される時に、本明細書に開示されるヴィブラフォンピックアップを使用して、シグナルを集め、それを第1のシグナルコード(130)を経由してフィルタ(128)とバッファ(126)に送る。フィルタ(128)とバッファ(126)がシグナルを受け取った後、シグナルは、第2のシグナルコード(132)を通過して、例えばADCとMIDIプロセッサ(125)に送信され得る。フィルタ(128)とバッファ(126)の両方が示され、そして記載されているが、両方が必要であるとは限らない。例えば、一実施形態では、ヴィブラフォンピックアップは、アクティブフィルタを含み、該アクティブフィルタは、バッファの必要性を除外する。したがって、少なくとも1つのフィルタのみが必要となる。
【0027】
一実施形態では、図6に示されるように、個別のフィルタ(128)とバッファ(126)(バッファ(126)は必須ではない)が、各々のボビン(102)に連結されてもよい。このことは、各々のボビン(102)上の各々の音板によって生成されたサウンドを隔絶する能力をより増強させる。これによって、コイルの方向にかかわらず、各々のボビン(102)が互いに干渉することなく1以上のコイルを有することができるようになる。このことは、干渉を回避するために各々のボビンが独自に巻き付けがなされる必要のあった’737特許を上回る、重要な改善である。’737特許を上回るさらなる改善では、本明細書に開示されるヴィブラフォンピックアップは、アナログシグナルとデジタルシグナルの両方を同時に送信してもよく、これは、’737特許では達成可能ではなかったことである。
【0028】
一実施形態では、図7-8に示されるように、ヴィブラフォンピックアップ(200)は、磁石アパーチャ(220)で受け取り可能な、第1の磁石(204)と第2の磁石(205)を有するボビン(202)を含む。1以上の磁石を有することで、磁界が増え、サウンドを強める能力が増強される。しかし、2つの磁石(204)と(205)が示されているが、単一の、より大きな磁石で同様の最終結果を達成してもよいことが認識されるだろう。前の実施形態のように、各々のボビン(202)は、セパレータ(215)によって分離された第1のチャネル(208)と第2のチャネル(210)とを含んでもよい。示されるように、各々のボビン(202)は、受け取られたシグナルを中継するための回路基板(211)に連結される。示されるように、ワイヤは、ボビン(202)の両方のチャネル(208)、(210)に巻き付けられる必要はない。例えば、ユーザーがアナログサウンドのみを作り出したい場合には、ボビン(202)は、第1のチャネル(208)にワイヤを巻き付けて、単一のコイルを形成する必要があるのみである。同様に、デジタルサウンドのみが望まれる場合には、第2のチャネル(210)のみに巻き付けがなされて、単一のコイルを形成すればよい。しかし、理想的には、両方のチャネル(208)、(210)にワイヤが巻き付けられ(つまり2つのコイル)、ユーザーが1つのシグナルを使用したり両方のシグナルを同時に使用したりすることを可能にする。
【0029】
図9は、ヴィブラフォン(300)と共に使用される、ヴィブラフォンピックアップハウジング(116)を示す。ヴィブラフォンハウジング(116)は、ヴィブラフォンピックアップ(100)またはヴィブラフォンピックアップ(200)のいずれかを収容してもよい。
【0030】
使用の1つの方法では、ヴィブラフォンピックアップ(100)、(200)は、ヴィブラフォン(300)の各々の音符を強めるために使用される。例えば、ボビン(102)、(202)は、ヴィブラフォン(300)の各々の音板の下に配置される。ハウジング(116)は、ボビン(102)、(202)と、回路基板(211)などの他のコンポーネントとを含んでもよい。各々のボビン(102)、(202)の出力は、フィルタリングされ、組み合わされ、そして増幅器に供給される。一実施形態では、各々のボビン(102)、(202)の出力は、増幅される前にフィルタリングされる(128)。別の実施形態では、1以上のボビン(102)、(202)は、増幅される前にフィルタ(128)に連結される。複数のフィルタ(128)をボビン(102)、(202)に連結させることによって、各々のボビン(102)、(202)の上の各々の音板によって生成されたサウンドを隔絶する能力が増強される。このことは、複数のフィルタの使用を開示せず、したがって出力を隔絶かつ増強するのに非能率的である、従前技術を上回る改善である。従って、一実施形態では、ヴィブラフォンピックアップは、各々が少なくとも1つのチャネルと少なくとも1つの磁石を有する複数のボビンを含み、該ヴィブラフォンピックアップは、各々のヴィブラフォン音板からの出力を隔絶かつ増強するための、複数のフィルタを含む。
【0031】
本明細書では「ヴィブラフォンピックアップ」が引き合いに出されているが、ヴィブラフォンと共に使用することに限定されるわけではないことが、認識されるだろう。使用の1つの方法では、ヴィブラフォンピックアップは、様々な楽器と共に使用される。例えば、ヴィブラフォンは、グロッケンシュピール、マリンバ、ベル、チャイム、シンバル、ドラムなどと共に使用されてもよい。使用の1つの方法では、ヴィブラフォンピックアップは、ピアノに連結されてもよく、ピアノをMIDIおよび/またはアナログに出力することを可能にしてもよい。使用される楽器に応じて、ボビンとフィルタとバッファの回路類の配向は異なるだろう。例えば、特定の楽器については、(図5に示されるように、)2つのボビン(102)(またはボビン(202))は、互いに、そしてその後に単一のフィルタとバッファに、接続される。一代替例では、(図6に示されるように、)単一のボビン(102)(または(202))は、それ自体のバッファとフィルタに接続される。
【0032】
一実施形態では、木製の音板、プラスチックの音板、または他の非磁性の音板材料を有する楽器に対して、音板に凹部をカットまたは形成し、該凹部を磁性エポキシなどの磁石または磁性材料で充填することで音板を磁化することができ、それによって、音板を増幅してもよい。音板を磁化することに対する他のアプローチは、磁石を、のり、テープなどを介して音板に連結することを含んでもよいことが認識されるだろうが、これは、音板のサウンドを減衰し得るので理想的なものではないかもしれない。ヴィブラフォンピックアップは、その後、サウンドが増幅され得るように音板と共に使用されてもよい。代替的に、ホール効果センサを磁性木材の音板(magnetic wood bar)と共に使用して、MIDIシグナルを作ることができるかもしれない。
【0033】
従って、本明細書に記載されるヴィブラフォンピックアップは、各々の音板からの出力を著しく強めることによって、当技術分野の問題を解決し、同時の追加のサウンドやフィードバックを最小化し、同時にユーザーがアナログサウンドとデジタルサウンドを同時に出力することを可能にする。
【0034】
例示的な実施形態は上述されている通りである。本明細書で使用されている要素、行為または指示はいずれも、そのように明示的に説明されていない限り、重要、必要、重大または必須であると解釈されるべきではない。本明細書では少数の例示的な実施形態のみが詳細に説明されているが、当業者は、本明細書中の新しい教示や利点から実質的に逸脱することなく、これらの例示的な実施形態に多くの変更が可能である事を容易に理解するであろう。従って、そのような変更はすべて本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
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【国際調査報告】