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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ヒトCD47を標的とする抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20220614BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220614BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220614BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61P37/04
A61P31/00
A61P35/00
A61K39/395 N
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561619
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 US2020028851
(87)【国際公開番号】W WO2020215012
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/835,737
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521290474
【氏名又は名称】キューエルエスエフ バイオセラピューティック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QLSF BIOTHERAPEUTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100124659
【弁理士】
【氏名又は名称】白洲 一新
(72)【発明者】
【氏名】クルツマン,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シハオ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB33
4C085BB34
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB41
4C085BB42
4C085BB43
4C085CC02
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
提供されているのはCD47と結合し、これをブロックする単離された抗体、結合分子のアミノ酸配列をコードする核酸分子を含むベクター、ベクターを含む宿主細胞である。抗体、抗体を含む医薬組成物を作成する方法、および癌を含め疾患を治療する場合などにおける、そうした抗体、抗体フラグメントおよび誘導体およびポリペプチドを使用する方法も提供されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号22から構成される重鎖可変領域CDR3からなる単離モノクローナル抗CD47抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項2】
配列番号23から構成される重鎖可変領域CDR3からなる単離モノクローナル抗CD47抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項3】
配列番号24から構成される重鎖可変領域CDR3からなる単離モノクローナル抗CD47抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項4】
配列番号16から構成される重鎖可変領域CDR1と、配列番号19から構成される重鎖可変領域CDR2とをさらに含むことを特徴とする請求項1のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項5】
配列番号17から構成される重鎖可変領域CDR1と、配列番号20から構成される重鎖可変領域CDR2とをさらに含むことを特徴とする請求項2のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項6】
配列番号18から構成される重鎖可変領域CDR1と、配列番号21から構成される重鎖可変領域CDR2とをさらに含むことを特徴とする、請求項3のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項7】
(a)配列番号7から構成される軽鎖可変領域CDR1と、
(b)配列番号10から構成される軽鎖可変領域CDR2と、
(c) 配列番号13から構成される軽鎖可変領域CDR3と、
をさらに含むことと、
前記抗体またはその部分がヒトCD47と特異的に結合することと、を特徴とする請求項4のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項8】
(a)配列番号8から構成される軽鎖可変領域CDR1と、
(b)配列番号11から構成される軽鎖可変領域CDR2と、
(c)配列番号14から構成される軽鎖可変領域CDR3をと、
をさらに含むことと、
前記抗体またはその部分がヒトCD47と特異的に結合することと、を特徴とする請求項5のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項9】
(a)配列番号9から構成される軽鎖可変領域CDR1と、
(b)配列番号12から構成される軽鎖可変領域CDR2と、
(c)配列番号15から構成される軽鎖可変領域CDR3と、
をさらに含むことと、
前記抗体またはその部分がヒトCD47と特異的に結合することと、を特徴とする請求項5のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項10】
配列番号1と少なくとも95%の相同性をもつ軽鎖可変領域アミノ酸配列と、配列番号4と少なくとも95%の相同性をもつ重鎖可変領域アミノ酸配列と、をさらに含むことを特徴とする請求項1のモノクローナル抗体、もしくはその抗原結合部位。
【請求項11】
配列番号4に示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、あるいは少なくとも99%の相同性をもつ重鎖可変領域から構成されることを特徴とする請求項1のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項12】
配列番号2と少なくとも95%の相同性をもつ軽鎖可変領域アミノ酸配列と、配列番号5と少なくとも95%の相同性をもつ重鎖可変領域アミノ酸配列とから構成されることを特徴とする請求項2のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項13】
配列番号5に示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、あるいは少なくとも99%の相同性をもつ重鎖可変領域から構成されることを特徴とする請求項2のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項14】
配列番号3と少なくとも95%の相同性をもつ軽鎖可変領域アミノ酸配列と、配列番号6と少なくとも95%の相同性をもつ重鎖可変領域アミノ酸配列と、から構成されることを特徴とする請求項3のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項15】
配列番号6に示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、あるいは少なくとも99%の相同性をもつ重鎖可変領域から構成されることを特徴とする請求項3のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項16】
配列番号35-38から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と、配列番号25-27から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域と、からなる請求項1のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項17】
配列番号39-42から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と、配列番号28-31から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域と、からなる請求項2のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項18】
配列番号43-46から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と、配列番号32-34から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域と、からなる請求項3のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項19】
配列番号47-56から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域と、配列番号57-68から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と、からなるモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項20】
Fabフラグメント、F(ab')2フラグメント、Fvフラグメント、単鎖抗体、または二重特異性抗体であることを特徴とする、請求項1ないし19のいずれか一つに記載のモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位。
【請求項21】
キメラ抗体またはヒト化抗体であることを特徴とする、請求項1ないし19のいずれか一つに記載のモノクローナル抗体
【請求項22】
免疫グロブリンG(IgG)、IgM、IgE、IgAまたはIgDであることを特徴とする、請求項1ないし19のいずれか一つに記載のモノクローナル抗体。
【請求項23】
IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4であることを特徴とする、請求項22のモノクローナル抗体。
【請求項24】
治療薬と結合し、請求項1ないし23のいずれか一つの抗体またはその抗原結合部位を含む免疫抱合体。
【請求項25】
請求項1ないし23のいずれか一つに記載の抗体またはその抗原結合部位および薬学的に受容できる担体から構成される医薬組成物。
【請求項26】
被験者における免疫反応を刺激する方法で、請求項25に記載の医薬組成物を、前記被験者の免疫反応を刺激するのに治療上効果的な量、被験者に投与するステップを含む、被験者の免疫反応を刺激する方法。
【請求項27】
被験者における感染症を治療する方法で、請求項25に記載の医薬組成物を、前記感染症を治療するのに治療上効果的な量、被験者に投与するステップを含む、被験者の感染症を治療する方法。
【請求項28】
被験者における癌を治療する方法で、請求項25に記載の医薬組成物を、前記癌を治療するのに治療上効果的な量、被験者に投与するステップを含む、被験者の癌を治療する方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年4月18日に出願された米国仮出願62/835,737号に対する優先権を主張するものであり、上記特許出願の開示内容全体を参照により本明細書に援用する。
(配列表の援用)
この出願はEFS-Web経由でASCIIフォーマットにて提出されている配列表を含み、名称は「QLSF002PCT_ST25.txt」、サイズが98.7KBで2020年4月17日に作成された。この配列表の内容はその全体を参照により本明細書に援用する。
【発明の背景】
【0002】
CD47は広く発現している細胞表面タンパク質(インテグリン会合タンパク質とも呼ばれる)で、顆粒球抑制免疫受容体SIRPα(CD172aまたはSHPS-1とも呼ばれる)と相互作用を行う。CD47によるSIRPαへの結合は宿主細胞の貪食作用などの生来の免疫細胞のエフェクター機能をマイナスに制御する(Steven E. Kauder et al, 2018)。CD47発現および/または活性は多くの疾病と疾患に関わっている。従って、CD47を標的とする治療ならびにそうした治療を行うためのより良い方法が必要である。
【0003】
CD47とSIRP-αとは、免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、ともに細胞内部に信号伝達を行う。SIRP-αは、マクロファージや樹状細胞などの造血細胞に発現しており、一方CD47は、普遍的に発現し(Murata et al., 2014)、それが潜在的な貪食標的細胞上のCD47と結合すると、食作用が遅くなり、あるいは阻止される。CD47-SIRP-α相互作用は、「私を食べないで」という信号を貪食細胞に送る。従って、モノクローナル抗体でCD47-SIRP-α相互作用をブロックすることは、効果的な抗がん剤治療、すなわちCD47発現細胞のマクロファージによる貪食増加(Chao, et al, 2012 Curr Opin Immunol, 24(2): 225-32でレビュー)を起こし、ホストの免疫系による癌細胞の摂取と排除を向上する。このメカニズムは、白血病、リンパ腫、多くのタイプの固形腫瘍で有効である。さらに、こうしたCD47阻害抗体は、腫瘍モデルにおいてRituxan(登録商標)やHerceptin(登録商標)などの他の治療抗体と相乗的に働くことが示されている。
【0004】
さまざまな研究が示唆するところによれば、CD47抗体が血小板の凝集、赤血球の凝集を起こす。異なるCD47発現細胞が二価CD47結合単位(例えば、抗CD47抗体)と結合する時、そうした細胞は凝集を起こす。これは同型相互作用の例である。Uno S, Kinoshita Y, Azuma Y, et al, 2007によると抗CD47抗体は赤血球の血球凝集を起こすことが報告されている。同様に、CD47抗体、B6H12はDorahy et al, 1997により標的対象のいくつかにおいて直接血小板凝集を起こすと報告されている。従って、既存のCD47標的抗体の欠点は血小板凝集と赤血球凝集の誘導である。
【0005】
現在、臨床的に認可されているCD47を標的とする免疫療法は、有望な臨床的結果を示している。しかし、患者のこれらの認可された治療薬に対する反応率はまだ満足すべきものではない。その結果、当技術分野において、軽度の血球凝集と血小板凝集を誘導する非常に効果的な抗CD47抗体の発見の必要がある。このような抗体は、薬物治療計画において、単独にまたは他の治療薬と組み合わせて使用することができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ヒトCD47と特異的に結合する単離モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体とその抗体結合部を提供する。
【0007】
本発明の一つの態様として、単離モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、またはその抗原結合部位は、配列番号22から構成される重鎖可変領域CDR3から構成される。ある実施形態として、モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、またはその抗原結合部位は、さらに配列番号16から構成される重鎖可変領域CDR1と配列番号19から構成される重鎖可変領域CDR2から構成される。最良の実施形態として、本モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、もしくはその抗原結合部位は、さらに、(a)配列番号7から構成される軽鎖可変領域CDR1、(b)配列番号10から構成される軽鎖可変領域CDR2、および、(c)配列番号13から構成される軽鎖可変領域CDR3から構成される。
【0008】
一つの実施形態として、抗体またはその一部は配列番号1と少なくとも95%の相同性を有する軽鎖可変領域アミノ酸配列、および、配列番号4と少なくとも95%の相同性を有する重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。もう一つの実施形態として、抗体もしくはその一部は、配列番号4に示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%あるいは少なくとも99%の相同性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域から構成される。
【0009】
本発明のもう一つの態様として、単離モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、もしくはその抗体結合部位は、配列番号23から構成される重鎖可変領域CDR3から構成される。実施形態のいくつかにおいて、モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、またはその抗原結合部位は、さらに配列番号17から構成される重鎖可変領域CDR1と配列番号20から構成される重鎖可変領域CDR2とから構成される。好ましい実施形態として、モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、またはその位はさらに、(a)配列番号8から構成される軽鎖可変領域CDR1、(b)配列番号配列番号11から構成される軽鎖可変領域CDR2、および、(c)配列番号14から構成される軽鎖可変領域CDR3から構成される。
【0010】
一つの実施形態として、この抗体またはその一部は、配列番号2と少なくとも95%の相同性をもつ軽鎖可変領域アミノ酸配列と配列番号5と少なくとも95%の相同性をもつ重鎖可変領域アミノ酸配列とから構成される。もう一つの実施形態として、この抗体またはその一部は配列番号5に示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相同であるアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域から構成される。
【0011】
本発明のもう一つの態様として、単離されたモノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、またはその抗原結合部は、配列番号24から構成される重鎖可変領域CDR3から構成される。実施形態のいくつかにおいて、モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、またはその抗原結合部は、さらに配列番号18から構成される重鎖可変領域CDR1および配列番号21から構成される重鎖可変領域CDR2から構成される。好ましい実施形態として、モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、またはその抗原結合部はさらに、(a)配列番号9から構成される軽鎖可変領域CDR1、(b)配列番号12から構成される軽鎖可変領域CDR2、および、(c)配列番号15から構成される軽鎖可変領域CDR3から構成される。
【0012】
一つの実施形態として、この抗体またはその一部は、配列番号3と少なくとも95%の相同性をもつ軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列番号6と少なくとも95%の相同性をもつ重鎖可変領域アミノ酸配列から構成される。もう一つの実施形態として、この抗体またはその一部は、配列番号6に示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相同であるアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域から構成される。
【0013】
本発明のもう一つの態様として、単離モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、もしくはその抗原結合部位は配列番号35-38からなるグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域および配列番号25-27からなるグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域を含む。
【0014】
本発明のもう一つの態様として、単離モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、もしくはその抗原結合部位は配列番号39-42からなるグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域、および、配列番号28-31からなるグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域を含む。
【0015】
本発明のもう一つの態様として、単離モノクローナル抗CD47アンタゴニスト抗体、またはその抗原結合部位は配列番号43-46からなるグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域、および、配列番号32-34からなるグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域を含む。
【0016】
開示された本発明の抗体はさらに、免疫原性を最小化する修飾によりヒトの治療に適した形式に変更可能である。好ましい抗体には、キメラ抗体とヒト化抗体が含まれるが、これらに限定されるものではない。開示された抗体の親和性、安定性および特異性はまた、さらに当業者に知られた技術により最適化可能である。他の形式には、オリゴマー化、薬物抱合および開示された抗体の他の機能性タンパク質との融合がある。
【0017】
異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、単鎖可変領域フラグメント(scFv),ジスルフィド結合安定化可変領域フラグメント(dsFv)、および、ハーフ抗体でありうる。代替形態として、開示された抗体は、二重特異性抗体(bispecific antibodies)であることができる。
【0018】
本発明のもう一つの態様として、単離モノクローナル抗体またはその抗原結合部位は、配列番号47-56からなるグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖、および、配列番号57-68からなるグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖から構成される。
【0019】
ある実施形態において、抗CD47アンタゴニスト抗体、またはその抗原結合部位はヒトCD47と結合し、これをブロックする。従って、抗体またはその抗原結合部位は、抗腫瘍免疫反応を刺激しうる。実施形態のいくつかにおいて、抗CD47アンタゴニスト抗体、またはその抗原結合部位はCD47と結合し、ブロックする。
【0020】
本発明のもう一つの態様として、単離抗CD47アンタゴニストモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位を含む組成物も提供される。
【0021】
本発明のもう一つの態様として、単離抗CD47アンタゴニストモノクローナル抗体、またはその抗原結合部位を有する医薬品組成物および薬学的に受容できる担体も提供される。本発明の免疫抱合体および薬学的に受容できる担体を有する組成物も提供される。
【0022】
本発明のもう一つの態様として、抗体、またはその抗原結合部位をコードする単離核酸分子から構成されるベクター、および、前記核酸分子から構成される発現ベクターを含む宿主細胞も提供される。
【0023】
現在の発明はさらに、開示された本発明の抗CD47アンタゴニスト抗体を使用する免疫反応を刺激する方法を提供する。例えば、一つの実施形態において、開示された本発明は、治療法を必要とする被験者に治療法を提供し、開示された本発明における有効量の抗体もしくは抗原結合部位を被験者に投与するステップを含む。
【0024】
もう一つの態様として、開示された本発明はヒトの癌を治療する方法を提供し、その方法は、前記癌を治療するために開示された本発明の抗CD47アンタゴニスト抗体もしくは抗原結合部位の有効な量をヒトに投与するステップを有する。
【0025】
もう一つの態様として、開示された本発明はヒトにおける感染症を治療する方法を提供し、前記感染症を治療するために、開示された本発明の抗CD47アンタゴニスト抗体または抗原結合部位の有効な量をヒトに投与するステップを有する。
【0026】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明と例から明らかであろうが、これら説明や例に限定されるものと解釈してはならない。本出願全体を通じて引用されているすべての参考文献、GenBank登録事項、特許および公開済み特許出願の内容はここに本明細書の一部を構成するものとして明示的に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
例示的実施形態は参照図に説明されている。本明細書に開示された実施形態と図面は、限定的ではなく例示的なものと考えられることを意図している。
図1は、ヒト化抗CD47抗体がヒトMM.1S癌細胞と結合することを示す。
図2は、抗CD47抗体E24.6がSIRPaのCD47への結合を効果的にブロックしたことを示す。
【0028】
図3A-3Cは、ハイブリドーマから精製された抗CD47抗体がヒト単球由来マクロファージによるRaji腫瘍細胞(図3A)、MM1S細胞(図3B)、および、SK-OV3細胞(図3C)の貪食を誘導したことを示す。
【0029】
図4A、4Bおよび4Cは、ヒト化およびキメラ抗CD47抗体がMM1S細胞の貪食を誘導したことを示す。
【0030】
図5は、ヒト化抗CD47抗体は赤血球の血球凝集を誘導しないことを示す。
【発明の詳細な説明】
【0031】
以下の実施形態とその態様はシステム、組成物および方法とともに説明および例証されているが、これらは例示かつ例証することを意図するものであり、範囲を限定するものではない。
【0032】
(定義)
本明細書で使用されている「から構成されている」もしくは「から構成される」という用語は組成物、方法、およびそれらの各要素に関連して使用され、実施形態に対して有用であり、しかし、有用であると否とに関わらず特定されていない要素も含まれる。当業者は、一般に、本明細書で使用されている用語は一般的に「非限定」用語(例えば、「~を含めて」という用語は「~を含めるが限定されない」、「を有する」という用語は「少なくとも~を有して」、「含める」という用語は「~を含むが限定されない」などと解釈されるべきである)として使用されていると理解されるであろう。
【0033】
特に明記しない限り、「a」および「an」および「the」および本出願の特定の実施形態を記載する文脈の中で使用されている同様の用語(特に特許請求項の文脈の中で)は単数および複数の両者を表すと解釈されうる。本明細書における値の範囲の記述はその範囲に入るそれぞれ別個の値を個別に述べる簡便法として使用されることを意図しているにすぎない。本明細書で特に明示しない限り、それぞれの個々の値は、個々に本明細書に挙げられているがごとくにこの明細書に組み込まれている。本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書に特に明記しない限り、もしくは文脈に明瞭に矛盾しない限り、いかなる適切な順序でも実行可能である。ありとあらゆる例、もしくは本明細書のある実施形態に関して提供される例示的言語(例えば「のような」)は、出願を単により良く説明することを意図しているにすぎず、別途請求されている出願の範囲を制限するものではない。略号「e.g.」はラテン語exempli gratiaから由来するものであり、本明細書では非限定例を表すために使用されている。従って、略号「e.g.」は「例えば」という用語と同義である。本明細書におけるどの言葉も、出願の実務に不可欠な非請求要素を表していると解釈するべきではない。
【0034】
本明細書で使用されている用語「およそ」は量、時間、などの測定可能な値を表し、特定の値からの±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%もしくは±0.1%の変動を含む。
【0035】
本明細書で使用されている用語「エピトープ」は、免疫グロブリンもしくはT細胞レセプターに特異的に結合できるタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は通常、アミノ酸もしくは糖側鎖のような分子の化学的に活性のある表面集合体からなっており、通常、特異的な3次元的構造特性ならびに特異的電荷特性を有する。抗体は、平衡解離定数が≦1μM、好ましくは≦100nM、最も好ましくは≦10nMの場合に抗原と特異的に結合すると言われる。
【0036】
「KD」という用語は特定の抗原抗体相互作用の平衡解離定数を示す。
本明細書で使用されている「免疫応答」という用語は、例えば、リンパ球、抗原提示細胞、貪食細胞、顆粒球、および、上記細胞もしくは肝臓(抗体、サイトカイン、および補体を含む)で産生される可溶性巨大分子の作用を指し、これらが侵入病原体、病原体感染細胞もしくは組織、癌細胞、もしくは自己免疫あるいは病的炎症の場合は、正常の生体細胞もしくは組織を、選択的に障害し、破壊し、生体から除去する場合を言う。
【0037】
本明細書で使用されている「抗原特異性T細胞応答」は、T細胞による応答で、T細胞に特異的である抗原でT細胞が刺激されることにより生じるものを言う。抗原特異的刺激でT細胞により生じる応答の非限定的例には、増殖やサイトカイン産生(例、IL-2産生)がある。
【0038】
本明細書で使用されている「抗体」という用語は、インタクト免疫グロブリンもしくはFc(結晶化可能フラグメント)領域もしくはFc領域のFcRn結合フラグメント(本明細書で「Fcフラグメント」あるいは「Fc領域」と呼ばれる)を持つモノクローナルあるいはポリクローナル抗原結合フラグメントを指す。抗原結合フラグメントは組換えDNA技術もしくはインタクト抗体の酵素的あるいは化学的開裂により作り出される場合がある。
【0039】
抗原結合フラグメントは、組換えDNA技術もしくはインタクト抗体の酵素的あるいは化学的開裂により作り出される場合がある。抗原結合フラグメントには、inter alia、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、dAb、および、相補性決定領域(CDR)フラグメント、単鎖抗体(scFv)、単領域抗体、キメラ抗体、ダイアボディ、および、ポリペプチドに対する特異的抗原結合を起こさせるのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含むポリペプチドが含まれる。Fc領域は2もしくは3クラスの抗体に寄与する2つの重鎖の一部を含む。Fc領域は組換えDNA技術もしくはインタクト抗体の酵素的(例、パパイン開裂)あるいは化学的開裂を介して作り出される場合がある。
【0040】
本明細書で使用されている「抗体フラグメント」という用語は、インタクト抗体の一部のみから構成されるタンパク質フラグメントを指し、一般にインタクト抗体の抗原結合部位を含み、従って抗原結合能を保持している。本定義に包含される抗体フラグメントの例には次が含まれる。(i)VL、CL、VHおよびCH1領域を有するFabフラグメント、(ii)Fab'フラグメント、これは、CH1領域のC末端に1つ以上のシステイン残基を持つFabである。(iii)VHおよびCH1領域を有するFdフラグメント、(iv)VHおよびCH1領域とCH1領域のC末端に1つ以上のシステイン残基を持つFd'、(v)抗体の単腕のVLおよびVH領域を有するFvフラグメント、(vi)VH領域からなるdAbフラグメント(Ward et al., Nature 341, 544-546 (1989))、(vii)単離CDR領域、(viii)F(ab')2フラグメント、二価フラグメントで、ヒンジ領域のジスルフィド架橋で結合した2つのFab'フラグメントを含む。(ix)単鎖抗体分子(例、単鎖Fv; scFv) (Bird et al., Science 242:423-426 (1988);およびHuston et al., PNAS (USA) 85:5879-5883 (1988))、(x)2つの抗原結合部位のある「ダイアボディ」で、同じペプチド鎖内の軽鎖可変領域(VL)と結合した重鎖可変領域(VH)から構成される(例えば、次を参照、EP 404,097; WO 93/11161、および、Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993))、(xi)1対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)から構成される「線状抗体」で相補的軽鎖ポリペプチドとともに1対の抗原結合領域を形成する(Zapata et al. Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995)、および、U.S. Pat. No. 5,641,870)。
【0041】
本明細書で使用されている「単鎖可変フラグメント」、「単鎖抗体可変フラグメント」もしくは「scFv」抗体は、リンカーペプチドで結合している重鎖(VH)および軽鎖(VL)のみの可変領域から構成される抗体の形態を指す。scFvは単鎖ポリペプチドとして発現されうる。scFvsは由来しているインタクト抗体の特異性を保持している。軽鎖と重鎖とは、標的抗原に対するscFvの特異性が保持される限り、どのような順でもありえ、例えば、VH-リンカー-VLもしくはVL-リンカー-VHなどである。
【0042】
本明細書で使用されている「単離抗体」は、異なる抗原特異性(例えば、CD47タンパク質に特異的に結合する単離抗体はCD47タンパク質以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。しかし、特異的にヒトCD47タンパク質に結合する単離抗体は、他の種からのCD47タンパク質などの他の抗原に交差反応性を有する場合がある。さらに、単離抗体には、他の細胞物質および/または化学物質が実際上存在しない。
【0043】
抗CD47アゴニスト性抗体産生細胞、例えば、選択的にクローニングし、さらに、旺盛な増殖、高い抗体産生、望ましい抗体特性を含め、望ましい特性を対象としてスクリーニングすることができるハイブリドーマである。ハイブリドーマは、同系動物、免疫システムを欠く動物、例えばヌードマウスで、インビトロの状態で、もしくはインビトロの状態下細胞培養で拡大増殖させることが可能である。ハイブリドーマを選択、クローニング、拡大増殖させる方法は、当業者にはよく知られている。
【0044】
本明細書で使用されている「モノクローナル抗体」もしくは「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一分子組成物である抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一結合特異性および親和性を示す。
【0045】
本明細書で使用されている「組換えヒト型抗体」という用語は、組換え方法により調製、発現、作成、もしくは単離されたヒト抗体すべてを指し、例えば、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子に関して遺伝子組換えもしくは染色体組換えをされた動物(例えばマウス)もしくはそれらから得られたハイブリドーマ(下記に記載)から単離された抗体、(b)ヒト抗体を発現するよう形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換え組み合わせヒト抗体ライブラリから単離された抗体、(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングする他の方法により調製、発現、作成、もしくは単離された抗体。こうした組換えヒト抗体は、フレームワークとCDR領域がヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列由来の可変領域を有する。しかし、ある種の実施形態においては、そうした組換えヒト抗体はインビトロで突然変異を起こしやすく(あるいは、ヒトIg配列に関して遺伝子組換えされた動物が使われるとインビボ体細胞突然変異)、従って組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列から由来し、これらに関連するものの、インビボのヒト抗体生殖細胞系レパートリー内で天然には存在しない可能性のある配列である。
【0046】
「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされている抗体クラス(例えば、IgMもしくはIgG1)を指す。抗体は、免疫グロブリンG分子(IgG)のこともあれば、IgM、IgE、IgAもしくはIgD分子のこともあり、あるいはこれらから由来するものであることもある。
【0047】
「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的である抗体」という語句は、本明細書では「抗原と特異的に結合する抗体」と同じ意味で使用されている。
【0048】
本明細書で使用されている「ヒトCD47と特異的に結合する」抗体は、ヒトCD47タンパク質と(そしておそらく1つ以上の非ヒト種由来のCD47タンパク質と)結合するが、しかし非CD47タンパク質とは実際上結合しない抗体を指す。好ましくは、その抗体はヒトCD47タンパク質と「高い親和性」をもって、すなわちKD 1x10-7M以下で、より好ましくは5x10-8M以下で、より好ましくは3x10-8M以下で、より好ましくは1x10-8M以下で、より好ましくは5x10-9M以下で、さらにより好ましくは1x10-9M以下で結合する。
【0049】
タンパク質もしくは細胞と「実質的に結合しない」という用語は、本明細書で使用されている場合、タンパク質もしくは細胞と高い親和性を持って結合できない、もしくはしない、すなわちタンパク質や細胞とKD 2x10-6M以上で、より好ましくは1x10-3M、さらにより好ましくは1x10-2M以上で結合することを意味する。
【0050】
IgG抗体に関して「高い親和性」という用語は、標的抗原に対し1x10-6M以下、好ましくは1x10-7M以下、より好ましくは1x10-8M以下、更により好ましくは1x10-9M以下、更により好ましくは1x10-10M以下のKDを有する抗体を指す。しかし、「高親和性」結合は他の抗体アイソタイプに関しては異なる場合がある。
【0051】
「製剤処方」という用語は、中に含まれている活性成分の生物活性が有効に働くような形状に調製され、この調製物が投与される被験者に容認できないほど有毒である追加成分を含まないものを言う。
【0052】
例えば、製剤処方もしくは細胞等の作用物質の「治療効果のある量」とは、病気、病状、または疾患、および/または、治療薬の薬物動態的または薬力学的効果などの望ましい治療上の結果を達成するために、必要な用量と期間において、有効な量を言う。治療効果のある量は、被験者の病気の状態、年齢、性別および体重、および投与される細胞集団などの要因で変わる場合がある。ある実施形態では、提供された方法は、有効な量、例えば治療効果のある量の細胞および/または組成物の投与を対象とする。
【0053】
本明細書で使用されている「アンタゴニスト抗体」は、抗体が結合するレセプター(例えば、CD47)と結合し、これをブロックすることにより、生物学的反応をブロックまたは抑制する抗体を指す。アンタゴニストは、例えば、レセプターがリガンドと結合することによるレセプターのリン酸化反応を抑制することがあり、または信号/細胞活性化を抑制することがある。一つの実施形態において、本発明の抗体はアンタゴニスト抗CD47抗体である。
【0054】
「CDR移植抗体」は、特定の種の抗体もしくはアイソタイプ由来の1つ以上のCDRならびに同種もしくは別の種の他の抗体のもしくはアイソタイプのフレームワークから構成される抗体である。
【0055】
「ヒト化抗体」は、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、および/または追加により非ヒト種由来の抗体の配列とは異なる配列を持ち、そのためヒト被験者に投与した場合、非ヒト種抗体と比較してヒト化抗体は免疫応答を誘発しにくく、および/またはより程度の軽い免疫応答を誘発する。一つの実施形態においては、非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークと定常領域におけるあるアミノ酸を変異させ、ヒト化抗体を製造する。もう一つの実施形態においては、ヒト抗体の定常領域を非ヒト種の可変領域と融合させる。もう一つの実施形態においては、ヒト化抗体はCDR移植抗体で、特定の種の抗体もしくはアイソタイプ由来の1つ以上のCDRおよびヒト抗体のフレームワークから構成される。もう一つの実施形態においては、非ヒト抗体の1つ以上のCDRにおける1つ以上のアミノ酸残基を変化させ、ヒト被験者に投与された場合、非ヒト抗体の免疫原性を低減させており、変化させられたアミノ酸残基は抗体の抗原への免疫特異的結合に重要でないか、もしくはアミノ酸配列に対してなされた変化は控えめな変化であり、ヒト化抗体の抗原への結合は非ヒト抗体の抗原への結合より大幅に低化はしない。ヒト化抗体の作成方法の例は、U.S. Pat. Nos.6,054,297、5,886,152、および、5,877,293に見出すことができる。
【0056】
「キメラ抗体」という用語は、一つの抗体の1つ以上の領域および1つ以上の他の抗体の1つ以上の領域を含む抗体を指す。一つの実施形態においては、1つ以上のCDRがヒト抗CD47抗体に由来している。もう一つの実施形態においては、全てのCDRがヒト抗CD47抗体由来である。もう一つの実施形態においては、1つ以上の抗ヒトCD47抗体からのCDRが、キメラ抗体においてさまざまに組み合わされている。例えば、キメラ抗体は第1のヒト抗CD47抗体の軽鎖からのCDR1、第2のヒト抗CD47抗体の軽鎖からのCDR2およびCDR3、および第3の抗CD47抗体の重鎖からのCDRから構成される場合がある。その他の組み合わせも可能である。
【0057】
「被験者」という用語は、ヒトあるいは非ヒト動物を指す。被験者は男性のことも女性のこともあり、いかなる適切な年齢でもあり得、乳児、年少者、青年、成人および老年の被験者などがありうる。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物を含み、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、雌牛、ウマ、ニワトリ、ウサギ、マウス、ラット、両生類、および爬虫類であるが、哺乳動物が好まれ、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、雌牛、およびウマがある。
【0058】
開示された本発明の抗体のCD47への結合は、当業に十分確立された1つ以上の技術を用い評価可能である。例えば、最良の実施形態においては、抗体は、例えば、組換えCD47タンパク質を用いてELISAアッセイにより検査し得る。さらに他の適切な結合アッセイには、フローサイトメトリーアッセイが含まれるが、これに限定されるものではなく、フローサイトメトリーアッセイでは抗体がヒトCD47を発現する細胞株、例えば細胞表面にCD47(例えば、ヒトCD47)を発現するように核酸導入されたHEK293細胞、と反応する。さらに、あるいは代わりに、抗体の結合は、結合キネティクス(例、KD値)を含めBIAcore結合アッセイ、Octet Red96 (Pall)などにおいて検査可能である。
【0059】
好ましくは、開示された本発明の抗体は、ヒトCD47タンパク質と5x10-8M以下のKDで結合し、ヒトCD47タンパク質と2x10-8M以下のKDで結合し、ヒトCD47タンパク質と5x10-9M以下のKDで結合し、ヒトCD47タンパク質と4x10-9M以下のKDで結合し、ヒトCD47タンパク質と3x10-9M以下のKDで結合し、ヒトCD47タンパク質と2x10-9M以下のKDで結合し、ヒトCD47タンパク質と1x10-9M以下のKDで結合する。
【0060】
本発明はCD47に結合しこれをブロックする単離モノクローナル抗体、またはその抗原結合部位およびそれらの使用に関連するものである。ある種の実施形態において、開示された本発明の抗体は、同定された重鎖および軽鎖生殖細胞系配列から由来し、および/または同定された構造的特徴、例えば同定されたアミノ酸配列から構成されるCDR領域、から構成される。本発明は、単離抗体、本発明のそうした抗体およびその抗原結合部位作成方法を提供する。本発明はまた、その抗体の使用法にも関係し、例えば、開示された本発明の抗CD47アンタゴニスト抗体を単独もしくはその他の免疫刺激性もしくは治療用抗体と組み合わせて免疫反応を刺激するために使用する方法に関係する。従って、開示された本発明のCD47アンタゴニスト抗体を使う方法も提供され、例えばヒトにおける癌の治療を含むが、これに限定はされない。本発明のさまざまな局面が抗体および抗体フラグメント、医薬組成物、核酸、組換え発現ベクター、およびかかる抗体とフラグメントを作成する宿主細胞に関係する。本発明の抗体をヒトCD47の検出、CD47活性の刺激のために、インビトロもしくはインビボで使用する方法、および癌などの疾病を予防しあるいは治療するために使用する方法もまた、この発明に含まれる。
【0061】
相補性決定領域(CDR)は軽鎖および重鎖可変領域両方において超可変領域として知られている。可変領域のより高度に保存されている領域は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。ある抗体の相補性決定領域(CDR)とフレームワーク(FR)は、Kabat et al. supra;Lefranc et al., supraおよび/またはHoneggerおよびPluckthun, supraにより記載されたシステムを使用して同定されうる。また当業者によく知られているのは、Kabat et al. (1991, NIH Publication 91-3242, National Technical Information Service, Springfield, Va.)において記載されているナンバリングシステムである。この件に関して、Kabat et al.はどの抗体にも適用可能な可変領域配列のナンバリングシステムを定義した。当業者は一義的に「Kabatナンバリング」システムを任意の可変領域アミノ酸配列に、配列自体以外の実験データに頼ることなく当てはめることができる。
【0062】
ある実施形態において、本発明は抗CD47アンタゴニスト抗体またはその抗原位を提供する。一つの実施形態において、マウス抗体またはその一部は、(a)配列番号7、8、9から構成される軽鎖可変領域CDR1、(b)配列番号10、11、12から構成される軽鎖可変領域CDR2、(c)配列番号13、14、15から構成される軽鎖可変領域CDR3、(d)配列番号16、17、18から構成される重鎖可変領域CDR1、(e)配列番19、20、21から構成される重鎖可変領域CDR2、(f)配列番22、23、24から構成される重鎖可変領域CDR3から構成される。
【0063】
一つの実施形態として、本発明はCD47エピトープに結合するモノクローナル抗体あるいはその抗原結合部位を提供し、それは配列番号1、25、26または27と少なくとも95%の相同性をもつ軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列番号4、35、36、37、38と少なくとも95%の相同性をもつ重鎖可変領域アミノ酸配列から構成される。
【0064】
もう一つの実施形態として、本発明はCD47エピトープに結合するモノクローナル抗体あるいはその抗原結合部位を提供し、それは配列番号2、28、29、30または31と少なくとも95%の相同性をもつ軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列番号5、39、40、41または42と少なくとも95%の相同性をもつ重鎖可変領域アミノ酸配列から構成される。
【0065】
さらにもう一つの実施形態において、本発明は、CD47エピトープに結合するモノクローナル抗体あるいはその抗原結合部位を提供し、それは配列番号3、32、33または34と少なくとも95%の相同性をもつ軽鎖可変領域アミノ酸配列および配列番号6、43、44、45または46と少なくとも95%の相同性をもつ重鎖可変領域アミノ酸配列から構成される。
【0066】
これらの抗体のFabのそれぞれがヒトCD47に結合できることを考えると、VHおよびVL配列を「さまざまに組み合わせて」本発明の他の抗CD47結合分子を作り出すことができる。VHおよびVL鎖がさまざまに組み合わされる場合、特定のVH/VL対合からのVH配列は構造的に類似しているVH配列で置換することが望ましい。同様に、特定のVH/VL対合からのVL配列は構造的に類似しているVL配列で置換することが望ましい。
【0067】
ある実施形態として、ヒト化抗体またはその抗原結合部位は、配列番号35-38から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と、配列番号25-27から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域とから構成される。望ましい重鎖および軽鎖の組み合わせは次を含むが、これらに限定されるものではない。
【0068】
(a)配列番号35のアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域、
(b)配列番号36のアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と配列番号26のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域、
(c)配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域、
(d)配列番号38のアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域。
【0069】
ある実施形態として、ヒト化抗体またはその抗原結合部位は、配列番号39-42から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と、配列番号28-31から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域とから構成される。望ましい重鎖および軽鎖の組み合わせは次を含むが、これらに限定されるものではない。
【0070】
(a)配列番号39のアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と配列番号28のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域、
(b)配列番号40のアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と配列番号29のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域、
(c)配列番号41のアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と配列番号30のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域、
(d)配列番号42のアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と配列番号31のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域。
【0071】
ある実施形態として、ヒト化抗CD47アンタゴニスト抗体またはその抗原結合部位は、配列番号32-34から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖と、配列番号 43-46から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される重鎖とから構成される。好ましい重鎖および軽鎖の組み合わせは、次を含むが、これらに限定されるものではない。
【0072】
(a)配列番号43のアミノ酸配列をから構成される重鎖可変領域と配列番号32のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域、
(b)配列番号44のアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と配列番号33のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域、
(c)配列番号45のアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と配列番号34のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域、
(d)配列番号46のアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域と配列番号34のアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域。
【0073】
ある実施形態として、ヒト化抗CD47アンタゴニスト抗体またはその抗原結合部位は、配列番号47-56から成るグループから選択されたアミノ酸配列から構成される軽鎖と、配列番号57-68から成るグループから選択されたアミノ酸配列とから構成される重鎖から構成される。
【0074】
一つの実施形態として、本発明は、抗CD47抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、配列番号22に示されているCDR3領域から構成される重鎖を含み、配列番号4、35-38 および57-60のいずれか一つに示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性をもつアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域を含む。
【0075】
一つの実施形態として、本発明は、抗CD47抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、配列番号23に示されているCDR3領域から構成される重鎖を含み、配列番号5、39-42および61-64のいずれか一つに示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の相同性をもつアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域を含む。
【0076】
一つの実施形態として、本発明は、抗CD47抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、配列番号24に示されているCDR3領域から構成される重鎖を含み、配列番号6、43-46および65-68のいずれか一つに示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性をもつアミノ酸配列から構成される重鎖可変領域を含む。
【0077】
一つの実施形態として、本発明は、抗CD47抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、配列番号13に示されているCDR3領域から構成される軽鎖を含み、配列番号1、25-27および47-49のいずれか一つに示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の相同性をもつアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域を含む。
【0078】
一つの実施形態として、本発明は、抗CD47抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、配列番号14に示されているCDR3領域から構成される軽鎖を含み、配列番号2、28-31および50-53のいずれか一つに示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性をもつアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域を含む。
【0079】
一つの実施形態として、本発明は、抗CD47抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、配列番号15に示されているCDR3領域から構成される軽鎖を含み、配列番号3、32-34および54-56のいずれか一つに示されている配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性をもつアミノ酸配列から構成される軽鎖可変領域を含む。
【0080】
従って、ある種の実施形態において、CDR3領域は一定に保たれ、一方で変動性が重鎖および/または軽鎖の残存CDRおよび/またはフレームワーク領域に導入される場合があり、また抗体またはその抗原結合フラグメントはCD47に結合する能力を保持し、結合親和性などの親の機能的特性を保持する。
【0081】
一つの実施形態において、少なくとも95%相同(または少なくとも96%相同、または少なくとも97%相同、または少なくとも98%相同、または少なくとも99%相同)である重鎖または軽鎖内でなされた置換は、保存的アミノ酸置換である。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の化学的性質(例えば、電荷または疎水性)を持つ側鎖(R基)を持つ他のアミノ酸残基で置換される場合である。一般に保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的性質を実質的には変えない。2つまたはそれ以上のアミノ酸配列が保存的置換によりお互いに異なる場合は、パーセント配列相同性または類似の程度は上方に調節され、置換の保存的性質を補正する。この調整を行う方法は同業者にはよく知られている。例えば、本明細書の一部を構成するものとして援用されているPearson (1994) Methods Mol. Biol. 24: 307-331を参照のこと。類似した化学的性質を持つ側鎖を有するアミノ酸のグループの例には次が含まれる。(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン、(2)脂肪族-水酸基側鎖:セリンおよびトレオニン、(3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン、(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン、(5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、およびヒスチジン、(6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、(7)含硫側鎖はシステインおよびメチオニンである。化学的に保存されたアミノ酸に加え、置換には、関連した進化的に保存されたヒト可変重鎖配列、ヒト可変軽鎖配列、および非ヒト種からのオーソロガス配列内で類似の位置に生じるアミノ酸を含みうる。
【0082】
特に明記しない限り、あるいは文脈から黙示的に示されない限り、次の用語と語句は以下に提供された意味を含む。特に明示的に述べられていない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、これらの下記の用語と語句は、関連する当業においてこれらが獲得した意味を除外しない。定義は特定の実施形態を説明する上で役立つことを目的として提供されており、請求された発明を制限することを意図するものではなく、その理由は、本発明の範囲はクレームによってのみ制限されるからである。特に定められていない限り、本明細書で使用されている全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業の当業者に一般に理解されているのと同じ意味を有している。
【0083】
本明細書における全ての文献は、それぞれ単独の文献もしくは特許出願が具体的かつ単独に参照により援用されていると示されている場合と同程度に、参照により援用されている。以下の説明には、本発明の理解に有用である可能性のある情報が含まれている。これは、本明細書に提供されている情報が先行技術であること、または現在請求されている発明に関連していることを認めるものではなく、あるいは明確にあるいは黙示的に援用されている文献が先行技術であることを認めるものでもない。
【実施例
【0084】
次の例は、本発明に対する請求の範囲を制限することを意図するものではなく、むしろある種の実施形態の例示とすることを意図している。当業者が想起し、例示された方法の変形は、本発明の範囲内に属することを意図している。
【0085】
ベクターの構築
ベクターpcDNA3.4TOPO (Invitrogen)はEcoRI、XhoI、および NotIを含む短いポリリンカーとライゲーションされた。その結果生じたプラスミドはEcoRIおよび NotI制限酵素で消化され、ゲル電気泳動で精製された。重鎖クローニングについて、調製されたベクターが、ギブソンアセンブリを使用して、調製されたベクターと、VH領域(IDT)をコードするgblockと、J鎖およびCH1領域の接合部にあるXhoIサイトをコードするヒトIgG2gblockとを使用して組み立てられました。プラスミドは調製され、IgG2アイソタイプを持つすべてのヒト化可変重鎖領域(VH)を組み込むためEcoRIおよびXhoIで消化された。全てのアセンブリはGibson法(NEB)で行われた。可変単鎖領域はgblocksを使う同様の方法で作成され、定常領域kappa(Ck)をコードするgblockフラグメントでVkappa領域をアセンブルした。
【0086】
タンパク質発現、精製および結合特性:
プラスミドを調製し、一過性発現システム(Thermo Fisher)を用いてExpi293 または ExpiCHO細胞にトランスフェクションした。簡潔に述べると、プラスミドは、1μgプラスミドDNA 合計/ml培養で3e6 細胞/ml細胞へトランスフェクションされた。重鎖および軽鎖プラスミドは1:1の比率で混合した。培養液は振とうしながら、37℃でインキュベーションした。16時間後、トランスフェクション・エンハンサー1および2を培養物に添加し、6日間インキュベーションを継続した。上清をろ過し、Octet Red96 (Pall)を使用してIgG定量プロトコールによりタンパク質力価を決定した。IgGはACTA PUREシステムでMab Select Sure Protein-Aカラム精製により精製し、PBSで一晩透析した。精製された抗体は、精製された抗体を抗ヒト重鎖(AHC)捕捉センサーにかけ、3つの濃度でCD47ヒスチジンタグ付けした標的の会合および解離速度を測定することによりOctet Red96で抗原親和性に関する特性評価を行った(表1)。
【0087】
表1:測定はOctetで行い、ヒト化抗CD47抗体の一価結合動力学がベンチマークコントロールおよびマウスハイブリドーマと比較された。
【表1】
【0088】
フローサイトメトリー:
ヒト/Cyno CD47のトランスフェクションを受けたCHO細胞をAccutase処理により回収し、培養液で洗浄、FACSバッファー(DPBS+2% FBS+0.05%アジ化ナトリウム)で段階希釈した抗CD47抗体と、次いでAF647標識 F(ab’)2ヤギ抗ヒトIgGおよび7-AADとインキュベーションした。染色した検体はFlowJoを使用してFSC/SSCでゲーティングし、次いで生/死細胞ゲーティングして分析し、そしてCD47+細胞のゲーティング(平均蛍光強度幾何平均)を行い分析した(表2)。
【0089】
MM.1S細胞(ATCC CRL-2974)は細胞をピペッティングすることにより解離し、培養液で洗浄、FACSバッファー(DPBS+ 2% FBS+0.05% アジ化ナトリウム)で段階希釈した抗CD47抗体と、次いでAF647標識F(ab’)2ヤギ抗ヒトIgGおよび7-AADとインキュベーションした。染色した検体はFlowJoを使用してFSC/SSCでゲーティングし、次いで生/死細胞ゲーティングして分析し、そしてCD47+細胞のゲーティング(平均蛍光強度幾何平均)を行い分析した(図1、表2)。
【0090】
表2:抗CD47ハイブリドーマはヒト癌細胞株に結合する。
【表2】
【0091】
抗CD47抗体を用いたSIRPブロッキングアッセイ:
ヒトCD47発現CHO細胞またはRaji細胞(ATCC CCL-86)を計数し、FACSバッファーで洗浄、室温で、10分間、1E7細胞当たり20ulヒトFcR Blocking 試薬(Miltenyi Biotec cat# 130-059-901)でブロックした。細胞は1μg/ml rh-SIRPa/Fcキメラタンパクと混合し、その後1:1の比率で段階希釈した抗CD47抗体(20ug/ml,ハイブリドーマから精製した抗体、キメラ抗体(cAb)、またはヒト化抗体(hu)の1:4希釈液)、陽性ヒトIgG2抗体(C1またはC2)、陰性対照IgG2抗体(アイソタイプ)、または無抗体液と混合し、SIRPaの細胞表面のCD47への結合を観察した。細胞は20分間氷上でインキュベーション、FACSバッファーで2度洗浄、そしてFACSバッファーで1:500希釈した抗hu IgG1 Fc PE2次抗体と25分間インキュベーションした。最後に試料を再度洗浄し、7-AAD(5ul/1E6細胞)で染色、その後BD FACS CantoIIもしくはLSR Fortessa 細胞分析器でフローサイトメトリー分析を行った(図2、表3)。
【0092】
表3:抗CD47抗体はSIRPaのCD47への結合を効果的にブロックする。
【表3】
【0093】
CD47発現細胞に対する抗CD47仲介貪食作用:
ヒト末梢血単核細胞を、Ficoll細胞分離液を用い、密度勾配遠心分離法で調製し、Vi-Cell XR細胞カウンターで計測した。単球を分離するため、私たちは1E8細胞をRPMI-1640培地10%加熱不活化FBS入りT75フラスコ内で2時間インキュベーションし、単球を定着、接着させた。接着しない細胞は除去し、フラスコを培養液および20ng/ml組換えヒトM-CSFで7日間、次いで20ng/ml rh-M-CSFおよび10ng/ml rh IL-10入り培養液でさらに2日間インキュベーションした。単球由来マクロファージを洗浄、トリプシン-EDTAで回収、培養液に再度浮遊させ、計数した。これらのマクロファージは、1:4の比率(エフェクター対標的細胞)でCFSE標識標的細胞(Raji,MM.1S,SK-OV3細胞)、および、試験抗体と丸底超低接着96ウェルプレートの中で組み合わせ、2時間、37℃でインキュベーションした。抗CD47抗体(ハイブリドーマから精製(図3)、キメラ抗体(図4「cAb」)、またはヒト化抗体(図4「hu」)、陽性(C1またはC2)対照、または陰性(アイソタイプ)対照をRPMI-1640+10%加熱不活化FBS培養液内にて抗体価測定した。細胞をピペッティングで再浮遊させ、V底ポリプロピレンプレートに移し、DPBS+20% FBS内で抗CD36 APC (Thermo Fisher cat# MA1-10210)、および、7-AADによりFACS染色を行った。試料はFlowJoを用いてFSC/SSC、次いで生/死細胞ゲーティング、そして標的細胞を貪食したマクロファージを示すCFSE/APC二重陽性細胞のゲーティングを行い分析した(図3A図3B図3C図4A図4B図4C)。
【0094】
CD47に対する赤血球の凝集:
密度勾配遠心分離法で全血から単核球を精製した後、赤血球(RBC)を試験管底より分離した。RBCをDPBSで3回洗浄しDPBSで2E7細胞/mlに調製した。DPBS内の、抗体価を測定した抗CD47抗体、陽性(C1またはC2)対照、および陰性(アイソタイプ)対照を丸底96ウェルプレート内で等容積のRBCと混合し、2時間室温でインキュベーションした。血球凝集反応分析をウェルの画像解析で行った(図5)。
[配列表]
マウス抗体
配列番号1
DIVMSQSPSSLAVSVREKLTMSCKSSQSLLYSSNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVKAEDLAVYYCHQYYSYPLTFGAGTKLELK
下線を引いた太字: それぞれKabat付番方式に従い定義されたCDR1, 2 および 3(以下同じ)。
配列番号2
DAVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLEKSNGNTYLNWYLQKPGQSPQLLIYRVSRRYSGVLDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCLQVTHVPYTFGGGTRLEIK
配列番号3
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSTQSIVHSNGKTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRISGSGSGTDFTLKISRVETEDLGVYYCFQGSHVPFTFGGGTKVEIK
配列番号4
QIQLQQSGPELVKPGASVKISCKASGYTFIDYYINWVKQRPGQGLEWIGWIYPGSGNTKYNEKFKDKGTLTVDTSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYFCVRKGIIYNYGSSDVLAYWGQGTLVTVSA
配列番号5
EVQLQQSGPELVKPGASVKISCKASGYTFTGYYMNWMKQSHGKSLEWIGDLNPDNGDTNYNQKFVGKATLTVDKSSSTAYMELRSLTSEDSAVYYCARGGKGGFDYWGQGTTLTVSS
配列番号6
QVQLQQSGTELVRPGTSVKISCKASGYSLINYWVGWVKQRPGHGLEWIGDVYPGGNYTNNNEKLKGKATLTADTSASTAYLQLSSLTSEDSAVYFCARKGRGGMDYWGQGTSVTVSS
軽鎖CDRs
CDR1
KSSQSLLYSSNQKNYLA 配列番号7
RSSQSLEKSNGNTYLN 配列番号8
RSTQSIVHSNGKTYLE 配列番号9
CDR2
WASTRES 配列番号10
RVSRRYS 配列番号11
RVSNRFS 配列番号12
CDR3
HQYYSYPLT 配列番号13
LQVTHVPYT 配列番号14
FQGSHVPFT 配列番号15
重鎖CDRs
CDR1
DYYIN 配列番号16
GYYMN 配列番号17
NYWVG 配列番号18
CDR2
WIYPGSGNTKYNEKFKD 配列番号19
DLNPDNGDTNYNQKFVG 配列番号20
DVYPGGNYTNNNEKLKG 配列番号21
CDR3
KGIIYNYGSSDVLAY 配列番号22
GGKGGFDY 配列番号23
KGRGGMDY 配列番号24
ヒト化軽鎖可変ドメイン
配列番号25
DIVMtQSPdSLAVSlgErLTinCKSSQSLLYSSNQKNYLAWYQQKPGQpPKLLIYWASTRESGVPDRFsGSGSGTDFTLTISSVqAEDvAVYYCHQYYSYPLTFGqGTKLELK
配列番号26
DIVMtQSPdSLAVSlgErLTinCKSSQSLLYSSNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFsGSGSGTDFTLTISSVqAEDvAVYYCHQYYSYPLTFGqGTKLELK
配列番号27
DIVMtQSPSSLAVSlRErLTinCKSSQSLLYSSNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFsGSGSGTDFTLTISSVKAEDvAVYYCHQYYSYPLTFGqGTKLELK
配列番号28
DvVMTQsPLSLPVtLGqpASISCRSSQSLEKSNGNTYLNWfqQrPGQSPQLLIYRVSRRYSGVpDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDvGVYyCLQVTHVPYTFGqGTRLEIK
配列番号29
DAVMTQsPLSLPVtLGqpASISCRSSQSLEKSNGNTYLNWYLQrPGQSPQLLIYRVSRRYSGVpDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDvGVYyCLQVTHVPYTFGqGTRLEIK
配列番号30
DAVMTQsPLSLPVtLGqpASISCRSSQSLEKSNGNTYLNWYLQrPGQSPQLLIYRVSRRYSGVpDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDvGVYFCLQVTHVPYTFGqGTRLEIK
配列番号31
DAVMTQsPLSLPVtLGDpASISCRSSQSLEKSNGNTYLNWYLQrPGQSPQLLIYRVSRRYSGVLDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCLQVTHVPYTFGGGTRLEIK
配列番号32
DVvMTQTPLSLsVtpGqpASISCRSTQSIVHSNGKTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRISGSGSGTDFTLKISRVEaEDvGVYYCFQGSHVPFTFGGGTKVEIK
配列番号33
DVLMTQTPLSLsVtpGqpASISCRSTQSIVHSNGKTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRISGSGSGTDFTLKISRVEaEDvGVYYCFQGSHVPFTFGGGTKVEIK
配列番号34
DVLMTQTPLSLsVtpGDpASISCRSTQSIVHSNGKTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRISGSGSGTDFTLKISRVEaEDvGVYYCFQGSHVPFTFGGGTKVEIK
ヒト化重鎖可変ドメイン
配列番号35
QIQLvQSGaEvkKPGASVKvSCKASGYTFIDYYINWVrQaPGQGLEWmGWIYPGSGNTKYNEKFKDrvTLTVDTSSSTAYMeLSSLrSEDtAVYyCVRKGIIYNYGSSDVLAYWGQGTLVTVSs
配列番号36
QIQLvQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFIDYYINWVKQaPGQGLEWmGWIYPGSGNTKYNEKFKDrvTLTVDTSSSTAYMeLSSLrSEDtAVYFCVRKGIIYNYGSSDVLAYWGQGTLVTVSs
配列番号37
QIQLvQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFIDYYINWVKQRPGQGLEWIGWIYPGSGNTKYNEKFKDrGTLTVDTSSSTAYMeLSSLrSEDtAVYFCVRKGIIYNYGSSDVLAYWGQGTLVTVSs
配列番号38
QIQLQQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFIDYYINWVKQRPGQGLEWIGWIYPGSGNTKYNEKFKDrGTLTVDTSSSTAYMeLSSLrSEDtAVYFCVRKGIIYNYGSSDVLAYWGQGTLVTVSs
配列番号39
EVQLvQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFTGYYMNWvrQapGqSLEWIGDLNPDNGDTNYNQKFVGrvTmTVDtSiSTAYMELsrLrSEDtAVYYCARGGKGGFDYWGQGTTLTVSS
配列番号40
EVQLvQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFTGYYMNWMKQapGqSLEWIGDLNPDNGDTNYNQKFVGrvTmTVDtSiSTAYMELsrLrSEDtAVYYCARGGKGGFDYWGQGTTLTVSS
配列番号41
EVQLvQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFTGYYMNWMKQapGKSLEWIGDLNPDNGDTNYNQKFVGrATLTVDtSiSTAYMELsrLrSEDtAVYYCARGGKGGFDYWGQGTTLTVSS
配列番号42
EVQLQQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFTGYYMNWMKQSHGKSLEWIGDLNPDNGDTNYNQKFVGrATLTVDKSiSTAYMELsrLrSEDtAVYYCARGGKGGFDYWGQGTTLTVSS
配列番号43
QVQLvQSGaEvkkPGaSVKvSCKASGYSLINYWVGWVrQaPGqGLEWmGDVYPGGNYTNNNEKLKGrvTLTADTStSTAYLeLSSLrSEDtAVYyCARKGRGGMDYWGQGTtVTVSS
配列番号44
QVQLvQSGaEvkkPGaSVKISCKASGYSLINYWVGWVrQaPGqGLEWIGDVYPGGNYTNNNEKLKGrATLTADTStSTAYLeLSSLrSEDtAVYyCARKGRGGMDYWGQGTtVTVSS
配列番号45
QVQLvQSGaEvkkPGaSVKISCKASGYSLINYWVGWVrQaPGHGLEWIGDVYPGGNYTNNNEKLKGrATLTADTStSTAYLeLSSLrSEDtAVYFCARKGRGGMDYWGQGTtVTVSS
配列番号46
QVQLQQSGaEvkkPGaSVKvSCKASGYSLINYWVGWVrQaPGHGLEWIGDVYPGGNYTNNNEKLKGrATLTADTStSTAYLeLSSLrSEDtAVYFCARKGRGGMDYWGQGTtVTVSS
ヒト化軽鎖
配列番号47
DIVMtQSPdSLAVSlgErLTinCKSSQSLLYSSNQKNYLAWYQQKPGQpPKLLIYWASTRESGVPDRFsGSGSGTDFTLTISSVqAEDvAVYYCHQYYSYPLTFGqGTKLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号48
DIVMtQSPdSLAVSlgErLTinCKSSQSLLYSSNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFsGSGSGTDFTLTISSVqAEDvAVYYCHQYYSYPLTFGqGTKLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号49
DIVMtQSPSSLAVSlRErLTinCKSSQSLLYSSNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFsGSGSGTDFTLTISSVKAEDvAVYYCHQYYSYPLTFGqGTKLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号50
DvVMTQsPLSLPVtLGqpASISCRSSQSLEKSNGNTYLNWfqQrPGQSPQLLIYRVSRRYSGVpDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDvGVYyCLQVTHVPYTFGqGTRLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号51
DAVMTQsPLSLPVtLGqpASISCRSSQSLEKSNGNTYLNWYLQrPGQSPQLLIYRVSRRYSGVpDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDvGVYyCLQVTHVPYTFGqGTRLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号52
DAVMTQsPLSLPVtLGqpASISCRSSQSLEKSNGNTYLNWYLQrPGQSPQLLIYRVSRRYSGVpDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDvGVYFCLQVTHVPYTFGqGTRLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号53
DAVMTQsPLSLPVtLGDpASISCRSSQSLEKSNGNTYLNWYLQrPGQSPQLLIYRVSRRYSGVLDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCLQVTHVPYTFGGGTRLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号54
DVvMTQTPLSLsVtpGqpASISCRSTQSIVHSNGKTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRISGSGSGTDFTLKISRVEaEDvGVYYCFQGSHVPFTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号55
DVLMTQTPLSLsVtpGqpASISCRSTQSIVHSNGKTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRISGSGSGTDFTLKISRVEaEDvGVYYCFQGSHVPFTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号56
DVLMTQTPLSLsVtpGDpASISCRSTQSIVHSNGKTYLEWYLQKPGQSPKLLIYRVSNRFSGVPDRISGSGSGTDFTLKISRVEaEDvGVYYCFQGSHVPFTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
ヒト化重鎖
配列番号57
QIQLvQSGaEvkKPGASVKvSCKASGYTFIDYYINWVrQaPGQGLEWmGWIYPGSGNTKYNEKFKDrvTLTVDTSSSTAYMeLSSLrSEDtAVYyCVRKGIIYNYGSSDVLAYWGQGTLVTVSsASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号58
QIQLvQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFIDYYINWVKQaPGQGLEWmGWIYPGSGNTKYNEKFKDrvTLTVDTSSSTAYMeLSSLrSEDtAVYFCVRKGIIYNYGSSDVLAYWGQGTLVTVSsASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号59
QIQLvQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFIDYYINWVKQRPGQGLEWIGWIYPGSGNTKYNEKFKDrGTLTVDTSSSTAYMeLSSLrSEDtAVYFCVRKGIIYNYGSSDVLAYWGQGTLVTVSsASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号60
QIQLQQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFIDYYINWVKQRPGQGLEWIGWIYPGSGNTKYNEKFKDrGTLTVDTSSSTAYMeLSSLrSEDtAVYFCVRKGIIYNYGSSDVLAYWGQGTLVTVSsASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号61
EVQLvQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFTGYYMNWvrQapGqSLEWIGDLNPDNGDTNYNQKFVGrvTmTVDtSiSTAYMELsrLrSEDtAVYYCARGGKGGFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号62
EVQLvQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFTGYYMNWMKQapGqSLEWIGDLNPDNGDTNYNQKFVGrvTmTVDtSiSTAYMELsrLrSEDtAVYYCARGGKGGFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号63
EVQLvQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFTGYYMNWMKQapGKSLEWIGDLNPDNGDTNYNQKFVGrATLTVDtSiSTAYMELsrLrSEDtAVYYCARGGKGGFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号64
EVQLQQSGaEvkKPGASVKISCKASGYTFTGYYMNWMKQSHGKSLEWIGDLNPDNGDTNYNQKFVGrATLTVDKSiSTAYMELsrLrSEDtAVYYCARGGKGGFDYWGQGTTLTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号65
QVQLvQSGaEvkkPGaSVKvSCKASGYSLINYWVGWVrQaPGqGLEWmGDVYPGGNYTNNNEKLKGrvTLTADTStSTAYLeLSSLrSEDtAVYyCARKGRGGMDYWGQGTtVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号66
QVQLvQSGaEvkkPGaSVKISCKASGYSLINYWVGWVrQaPGqGLEWIGDVYPGGNYTNNNEKLKGrATLTADTStSTAYLeLSSLrSEDtAVYyCARKGRGGMDYWGQGTtVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号67
QVQLvQSGaEvkkPGaSVKISCKASGYSLINYWVGWVrQaPGHGLEWIGDVYPGGNYTNNNEKLKGrATLTADTStSTAYLeLSSLrSEDtAVYFCARKGRGGMDYWGQGTtVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号68
QVQLQQSGaEvkkPGaSVKvSCKASGYSLINYWVGWVrQaPGHGLEWIGDVYPGGNYTNNNEKLKGrATLTADTStSTAYLeLSSLrSEDtAVYFCARKGRGGMDYWGQGTtVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
【国際調査報告】