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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-21
(54)【発明の名称】風力発電設備の中空構造要素
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/25 20160101AFI20220614BHJP
   H02G 9/02 20060101ALI20220614BHJP
   E04H 12/08 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
F03D13/25
H02G9/02
E04H12/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570736
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2020063153
(87)【国際公開番号】W WO2020239427
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】102019114655.0
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521154291
【氏名又は名称】エル・ヴェー・エー リニューワブルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】RWE Renewables GmbH
【住所又は居所原語表記】Kruppstrasse 74,45145 Essen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ヨルン ルンゲ
【テーマコード(参考)】
3H178
5G369
【Fターム(参考)】
3H178AA20
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB41
3H178BB73
3H178CC22
3H178DD63Z
5G369AA01
5G369BA02
5G369CA09
5G369DA01
(57)【要約】
中空構造要素とこの中空構造要素に沿って延在するケーブルアセンブリとを備えた風力発電設備、特に洋上風力発電設備、の中空構造要素であって、遮光要素がケーブルアセンブリから或る距離を置いて中空構造要素に配置されていることを特徴とする中空構造要素。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 中空構造要素と、
- 前記中空構造要素に沿って延在するケーブルアセンブリと、
を備えた風力発電設備、特に洋上風力発電設備、の中空構造要素であって、
- 遮光要素が前記ケーブルアセンブリから或る距離を置いて前記中空構造要素に配置されていること、
を特徴とする中空構造要素。
【請求項2】
- 前記遮光要素は弧状であり、前記遮光要素は湾曲部を有し、特に、前記遮光要素は少なくとも1つの円弧を有すること、または、
- 前記遮光要素は直線状であること、または、
- 前記遮光要素は、互いに対して斜めに延在する少なくとも2つの直線部分から形成され、前記直線部分の間の角度は前記中空構造要素を取り囲むこと、
を特徴とする、請求項1に記載の中空構造要素。
【請求項3】
前記遮光要素は前記中空構造要素の周囲の弧状部分に沿って配置され、前記弧状部分の弧角は少なくとも45°、好ましくは少なくとも120°、特に少なくとも240°、特に90°と150°の間、特に110°と130°の間の範囲内、にわたること、を特徴とする、請求項1または2に記載の中空構造要素。
【請求項4】
- 前記遮光要素は前記中空構造要素の外側面に配置されること、および/または、
- 前記遮光要素は、スペーサによって前記中空構造要素に固着されること、
を特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項5】
前記中空構造要素は、モノパイルおよび/またはトランジションピースを備える、および/またはJ字管であること、を特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項6】
前記遮光要素は前記モノパイルに、または前記トランジションピースに、配置されること、を特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項7】
前記遮光要素は、鍔状に前記中空構造要素より外に突出すること、特に前記遮光要素は、特にプラットフォームの領域において、前記中空構造要素の半径方向外方に突出すること、および/または前記遮光要素は前記中空構造要素の方向に傾斜していること、を特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項8】
- 前記遮光要素は、据え付け後の状態の前記中空構造要素の南側に配置されていること、および/または、
- 前記遮光要素は穿孔されている、特に長穴および/または丸穴が穿孔されていること、
を特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項9】
前記中空構造要素と前記遮光要素との間の内法が前記弧状部分に沿って変化すること、特に、前記弧状部分の中心領域における前記内法は、前記弧状部分の少なくとも1つの外端縁における前記内法より小さいこと、を特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項10】
前記遮光要素は、前記中空構造要素に面する側が前記弧状部分に沿って少なくとも部分的に凸状であること、特に、前記遮光要素は、前記中空構造要素に面する前記側が前記弧状部分の少なくとも1つの外端縁の領域において凸状であること、を特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項11】
前記遮光要素は、前記中空構造要素の前記据え付け後の状態において、前記遮光要素がプラットフォームから長手方向に距離を置いて前記中空構造要素に配置されるように、前記中空構造要素に配置されること、特に、前記距離は、前記中空構造要素の据え付け位置の緯度に応じて選択されること、を特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項12】
前記ケーブルアセンブリは、前記中空構造要素の内側を、および/または前記中空構造要素と前記遮光要素との間を、案内されること、を特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項13】
前記遮光要素は金属薄板から形成されていること、を特徴とする、請求項1~12の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項14】
前記中空構造要素は管状であること、を特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載の中空構造要素。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載の中空構造要素を備えた風力発電設備、特に洋上風力発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、風力発電設備の中空構造要素とこのような中空構造要素を有する風力発電設備とに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備は、地盤に据え付けられる。これが特に当てはまるのは、基礎構造によって海底に固定される洋上風力発電設備である。この場合、基礎構造は、ナセルと電気設備とを含むタワーを構築するための土台としての役割を果たす。
【0003】
基礎構造の内側にプラットフォーム、所謂「気密」デッキ、が配置されている。
【0004】
風力発電設備を電力供給網に接続するための電力ケーブルが基礎構造に沿ってプラットフォームまで敷設される。電力ケーブルのケーブルアセンブリを形成するために、一般に、複数の電気ケーブル撚線が一緒にまとめられている。ケーブル撚線内の導電体は個々に絶縁され得る。ケーブル撚線は、加えて、共通の絶縁体内に配策され得る。ケーブル撚線内の導体断面は、理論的に起こり得る最大負荷のために設計されている。このような最大負荷が発生するのは、特に、一方ではケーブル内の抵抗損失が大きく、他方ではケーブルアセンブリの周囲温度が高い場合である。抵抗損失は、ケーブルに沿って電流と共に二次関数的に増加し、導体のオーミック抵抗と共に直線的に増加する。したがって、抵抗損失を最小化するために、ケーブル撚線内の導体に相応に大きな横断面が常に選択される。以下においては、ケーブルという用語は、ケーブル束線内の導体、ならびに、場合によっては、ケーブル束線および/またはケーブルアセンブリ、に対して同義的に使用される。
【0005】
風力が強い時はケーブルに沿って大電流が発生する。強風の故に導体内の電流が大きく、同時に周囲温度が高い場合、例えば、太陽が妨げられずに風力発電設備を照らす夏には、かなりの温度がケーブルアセンブリ内に発生し得る。導体断面ならびにケーブル束線の絶縁体は、多くの場合、そのような条件下でも、すなわち起こり得る最大電流および起こり得る最大日射であっても、ケーブルが損傷されないように、寸法設計される。問題は、多くの場合、ケーブルの電気絶縁層の損傷であり、最大温度を超えると、その絶縁効果が失われることである。ただし、ケーブルに対するこのような極度の温度荷重の発生は極めて稀であるが、ケーブルの設計において考慮しておく必要がある。この設計においては、導体のオーミック抵抗を下げることによって導体温度を下げることができる。
【0006】
これを行うには、導体断面を拡大するか、または比オーミック抵抗がより低い導体材料に、例えばアルミニウムから銅に、切り替えればよい。どちらもかなりの追加コスト、ならびにケーブルアセンブリの重量の大幅な増加、を招く。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本主題は、風力発電設備のケーブルアセンブリに対する要件を減らすという目的に基づいていた。
【0008】
この課題は、請求項1に記載の中空構造要素によって解決される。
【0009】
本主題による中空構造要素は、上記のような基礎構造またはJ字管であり得る。
【0010】
ケーブルアセンブリは、上記のように基礎構造に沿って案内され得る。その際、ケーブルアセンブリは、基礎構造の内側または外側を案内され得る。また、ケーブルアセンブリは、少なくともJ字管の内側を案内され得る。J字管は、基礎構造の内側または基礎構造の外側に配置され得る。特に、J字管が基礎構造の外側に配置されている場合、遮光要素は、J字管が基礎構造と遮光要素との間を案内されるように、配置され得る。
【0011】
風力発電設備では、ケーブルが一般に中空構造要素内に配策される。水面と中空構造要素からのケーブル出口との間で、特に気密デッキの領域で、自然な空気循環が殆ど妨げられているので、最大温度がケーブルに発生する。この領域において、中空構造要素は遮光要素によって遮光されるべきである。
【0012】
遮光要素がケーブルアセンブリから或る距離を置いて中空構造要素に配置されることが提案される。特に太陽がその最高点近くにあるとき、遮光要素は、ケーブルアセンブリ、および/またはケーブルアセンブリがその内部を案内されている中空構造要素、が直射日光に直接暴露されることを防ぐ。これにより、強風および晴天時でも、ケーブルアセンブリが、従来のシステムに比べ、より低い周囲温度に暴露されるので、ケーブルアセンブリに対する最大温度荷重が低減される。すなわち、従来の設備に比べ、周囲温度が低下するので、対流によってより良好な、またはより大きな、熱放散がケーブルアセンブリにおいて生じる。
【0013】
中空構造要素は、長手方向軸線を有する。長手方向軸線を横切る、特に長手方向軸線に垂直な断面は、横断面と理解され得る。以下において遮光要素の形状を述べるとき、これは、通常、中空構造要素の長手方向軸線に垂直な平面における断面を云う。
【0014】
中空構造要素は、一体型にも多部品構成にもし得る。基礎構造の場合、中空構造要素はモノパイルとして形成され得る。中空構造要素は、トランジションピースに接続され得る、またはトランジションピースを備え得る。プラットフォームが基礎構造の内部に、例えばモノパイルまたはトランジションピースの内部に、配置され得る。J字管が基礎構造に沿ってプラットフォームまで案内され得る。この点に関して、J字管は、基礎構造の内側または外側を案内され得る。J字管は非中空の基礎構造上も案内され得る。プラットフォームは、基礎構造の内側に配置されることが好ましい。基礎構造には、径方向周辺に、検査プラットフォームおよび/またはランディングプラットフォームが更に配置され得る。
【0015】
これら外側の径方向周辺プラットフォームに加え、遮光要素が設けられる。その際、遮光要素は、径方向周辺プラットフォームと異なり、少なくとも1つの部分円弧に沿って中空構造要素上に配置される。
【0016】
一実施形態によると、遮光要素は弧状であることが提案される。ここで、遮光要素は湾曲部を有し得る。これにより、遮光要素の湾曲部は、中空構造要素の湾曲部と幾何学的に同様になり得る。この点に関して、遮光要素が少なくとも1つの円弧を有することが特に提案される。この円弧は、中空構造要素と同じ中心を有し得る。この中心は、中空構造要素の特に中心に位置し得る。
【0017】
遮光要素が直線状であることも可能である。横断面において、この遮光要素は直線状であり得る。
【0018】
更に、遮光要素は、互いに対して斜めに延在する少なくとも2つの直線部分から形成されることが可能である。この2つの部分の間の角度は、中空構造要素を取り囲み得る。
【0019】
1つの実施形態によると、遮光要素が中空構造要素の周囲の弧状部分に沿って配置されることが提案される。弧状部分は、360°未満である。特に、弧状部分は、単に部分的な円弧である。特に、弧状部分は、少なくとも45°、好ましくは少なくとも120°、特に少なくとも240°、の弧角を有する。特に、弧状部分は、90°と150°の間の角度、特に110°と130°の間の範囲、にわたる。前記弧角は、最大日射時間中、ケーブルアセンブリを遮光するために十分であり得る。
【0020】
一実施形態によると、遮光要素が中空構造要素の外側面に配置されることが提案される。この点に関して、接続ウェブが中空構造要素に、および遮光要素に、材料接合で配置され得る。
【0021】
既に説明したように、中空構造要素は一体型でも多部品構成でもよく、モノパイルとして、またはトランジションピースとして、形成され得る。また、中空構造要素は、モノパイルおよびトランジションピースの両方を含み得る。中空構造要素は、J字管としても形成され得る。
【0022】
一実施形態によると、遮光要素がモノパイルまたはトランジションピースに配置されることが提案される。一実施形態によると、遮光要素がJ字管に配置されることが提案される。
【0023】
遮光要素が鍔状にトランジションピース上に突出することも提案される。円周プラットフォーム、特にランディングプラットフォーム、がトランジションピースの外側面に配置され得る。加えて、このようなプラットフォーム上に、遮光要素が鍔状に半径方向外方に向けて配置され得る。遮光要素は、プラットフォーム(気密デッキ)の高さに配置され得る。
【0024】
遮光要素は、中空構造要素から半径方向外方に水平に延在し得る。加えて、遮光要素は、軸線方向に傾斜され得る。遮光要素は、下方へ、特に中空構造要素の方向に、傾斜され得る。
【0025】
最良の効果が遮光要素によって実現されるのは、最大日射時にケーブルアセンブリが遮光要素によって遮光されるときである。この理由により、据え付けられた中空構造要素の南側に遮光要素が配置されることが提案される。これが該当するのは、北半球の設備である。南半球の設備の場合、遮光要素は中空構造要素の北側に配置されることが好ましい。
【0026】
冷却を向上させるために、遮光要素は穿孔されている、特に長穴または丸穴が穿孔されている。長穴は矩形であることが好ましい。長穴の長手方向軸線は、中空構造要素の長手方向軸線に垂直に延びることが好ましい。これは、長穴を通ってケーブルアセンブリに当たる日射を防止する。各長穴の幅は、遮光要素の肉厚の2倍未満であることが好ましい。
【0027】
遮光要素と中空構造要素および/またはケーブルアセンブリとの間に十分な空気循環を可能にするために、中空構造要素および/またはケーブルアセンブリと遮光要素との間に内法(独:lichte Weite,英:clear width)が存在することが提案される。1つの実施形態によると、この内法を弧状部分に沿って変化させる。特に、弧状部分の中心領域の内法は、弧状部分の少なくとも1つの外端縁の内法より小さい。これにより、中空構造要素と遮光要素との間にノズル効果が実現される。これにより、貫流空気は加速され、ひいてはより良好な冷却機能を有する。
【0028】
一実施形態によると、遮光要素が、弧状部分に沿って、中空構造要素に面する側が少なくとも部分的に凸状であることが提案される。この形状は、中空構造要素と遮光要素との間の流速を高める。翼効果を実現するために、中空構造要素に面する側の弧状部分の少なくとも1つの外端縁の領域において、遮光要素を凸状にすることが提案される。
【0029】
プラットフォーム、特にランディングプラットフォーム、が中空構造要素の外側に配置され得る。このランディングプラットフォームが中空構造要素を既に遮光していることもあり得る。これに加え、遮光要素が設けられ得る。材料を節約するために、中空構造要素が据え付けられた状態において、遮光要素がプラットフォームから長手方向に距離を置いて中空構造要素に沿って配置されるように、遮光要素を中空構造要素に沿って配置することによって、既存の遮光効果を利用し得る。この距離は、特に、風力発電設備の据え付け位置の緯度に応じて選択され得る。太陽が天頂に高くなるほど、プラットフォームの影がより長くなり得る。このとき、遮光要素とプラットフォームとの間の中空構造要素の長手方向距離はより長くてもよい。
【0030】
1つの実施形態によると、ケーブルアセンブリを基礎構造と遮光要素との間に案内することが提案される。
【0031】
遮光要素は、特に金属薄板、好ましくは薄鋼板、である。
【0032】
遮光要素は、スペーサによって中空構造要素に取り付けられるので、中空構造要素と遮光要素との間で空気循環が可能である。
【0033】
特に、中空構造要素は管状である。
【0034】
別の側面は、請求項17に記載の風力発電設備である。風力発電設備は、風力設備、変電所、コンバータプラットフォーム(HVDCプラットフォーム)、変圧所、またはこれらに類するものであり得る。特に、風力発電設備は洋上設備である。
【0035】
以下においては、複数の例示的実施形態を示す図面を参照して、本主題をより詳細に説明する。図面には以下の図が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】ケーブルアセンブリを有する中空構造要素である。
図1B】ケーブルアセンブリを有する中空構造要素である。
図2A】一実施形態による遮光要素を有する中空構造要素である。
図2B】一実施形態による遮光要素を有する中空構造要素である。
図2C】一実施形態による遮光要素を有する中空構造要素である。
図3A】遮光要素の配置である。
図3B】遮光要素の配置である。
図3C】遮光要素の配置である。
図3D】遮光要素の配置である。
図4A】遮光要素の図である。
図4B】遮光要素の図である。
図5A】気流用輪郭を有する遮光要素である。
図5B】別の気流用輪郭を有する遮光要素である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、風力発電設備の中空構造要素2を示す。中空構造要素2は、基礎構造としてのモノパイル2aとトランジションピース2bとから形成されている。
【0038】
モノパイル2aは、海底4に据え付けられ、水面6から突出している。
【0039】
モノパイル2aは、海底4に打ち込まれる。そのため、モノパイル2aの寸法は変化し得る。風力発電設備のタワーのために規定された接続点を得るために、トランジションピース2bがモノパイル2a上に載置されている。トランジションピース2bはその内部に気密デッキ8を有し得る。気密デッキ8は、プラットフォームとして理解され得る。また、外側に配置される円周プラットフォーム10がトランジションピース2b上に配置され得る。プラットフォーム10は、ランディングプラットフォームとして形成され得る。中空構造要素2のこの構造は、十分に公知である。
【0040】
1つのケーブルアセンブリ12は、1本以上のケーブルで形成され得る。各ケーブルは、絶縁体と導電体で形成されたケーブル芯線とを有する。これらケーブルは、ケーブルアセンブリ12内で、共通のシース、特に共通の絶縁体、内を案内され得る。
【0041】
図1Aには、ケーブルアセンブリ12が水面6下で中空構造要素2の内部に案内され、中空構造要素2の内側を気密デッキ8まで案内されていることが示されている。気密デッキ8から出たケーブルアセンブリ12の各ケーブルとそれ自体は公知のパワーエレクトロニクスとの電気的接触は、それ自体が公知のように実現される。
【0042】
風力発電設備2が発生させた電気エネルギーは、ケーブルアセンブリ12の各ケーブルを介して、電力供給網に輸送される。この過程において、かなりの電力がケーブルアセンブリ12の各ケーブルを通って流れる。生じた大電流はジュール損失を引き起こす。このジュール損失は、それぞれの導体のオーミック抵抗に比例する。オーミック抵抗を減らすために、大きな導体断面が選択される。
【0043】
生じた抵抗損失は、損傷を引き起こすほどのケーブルアセンブリ12の過度の加熱を防ぐために、対流によって環境に放散される必要があるであろう。
【0044】
ただし、水面6と気密デッキ8との間での、中空構造要素2内の空気交換は、皆無ではないものの、著しく制限されている。その結果、中空構造要素2の内部は加熱され、ケーブルアセンブリ12の各ケーブル内の抵抗損失の十分な放散は最早不可能である。
【0045】
強風時に大電力がケーブルアセンブリ12によって輸送されると、ケーブルアセンブリ12の各ケーブルは特に強く加熱される。そのとき、中空構造要素2に対して強い日射も存在すると、水面6と気密デッキ8との間の中空構造要素2の内部が大幅に加熱される。ケーブルアセンブリ12の各ケーブルの導体断面の寸法設計時は、このような極限状態も考慮に入れる必要がある。
【0046】
より小さな導体断面の寸法設計を可能にするために、下記のように、中空構造要素2を遮光することが提案される。
【0047】
図1Bは、J字管として形成された中空構造要素2cを示す。図1Aと異なり、図1Bにおいては、ケーブルアセンブリ12は、基礎構造の外側でJ字管内を案内されている。J字管はケーブルアセンブリ12を完全に包囲するので、上記と同様に、J字管の内側ではかなりの熱が発生し得る。直射日光がJ字管に当たると、ケーブルアセンブリ12の各ケーブル内に著しい温度上昇が起きる。ここでも、以下に説明するように、遮光が提案される。中空構造要素2cは、モノパイル2a内、および/またはトランジションピース2b内、も案内され得る(図示せず)。
【0048】
図2Aは、図1Aに対応する中空構造要素2を示す。ケーブルアセンブリ12は、図1Aによる図2Aおよび図1Bによる図2Bに示されている。
【0049】
特に太陽が天頂に近いときの日射を回避するために、遮光要素14が提案される。遮光要素14は、スペーサ16によって中空構造要素2に取り付けられ得る。ケーブルアセンブリ12は、中空構造要素2内を案内され得る。ケーブルアセンブリ12は、図2Bに示されているように、基礎構造2a、2bの外側に中空構造要素2cとして形成されたJ字管内にも配置され得る。この場合、ケーブルアセンブリ12は、遮光要素14と基礎構造の外側面との間に内法を設けて配置され得る。
【0050】
太陽が天頂に近い場合、太陽は中空構造要素2を角度αで照らす。プラットフォーム10が外方に突出しているため、プラットフォーム10と遮光要素14の上縁との間の領域は既に遮光されている。中空構造要素2の長手方向軸線Xに沿ったこの距離に、遮光要素14はプラットフォーム10から距離を置いて配置され得る。遮光要素14は、中空構造要素2の内部の加熱を低減するので、ケーブルアセンブリ12の各ケーブルの導体断面を従来のアセンブリより小さくできる。
【0051】
図2Bは、遮光要素14をプラットフォーム10に直接配置する別の可能性を示す。遮光要素14は、プラットフォーム10から半径方向外方に向かい得る。遮光要素14を下方に傾斜させることも可能である。張り出しの長さならびに傾斜角度は、遮光要素14が中空構造要素2全体をほぼ水面6まで遮光するように選択され得る。ケーブルアセンブリ12は遮光要素14によって遮光される。ケーブルアセンブリ12は、図2Aに示されているように、中空構造要素2内にも配置され得る。
【0052】
図2Cは、モノパイル2aおよび/またはトランジションピース2bの外側におけるJ字管としての中空構造要素2cの配置を示す。遮光要素14は、ウェブ16によってJ字管に直接配置されている。ケーブルアセンブリ12の遮光は、図2Aおよび図2Bに示されているように行われる。図2A図2Cの諸要素は、互いに自由に組み合わされ得る。図2Cによる基礎構造は、非中空要素、例えば基礎、でもよい。図2A図2Cによる構造物は、特に洋上構造物である。
【0053】
以下においては、J字管2cまたはモノパイル2aおよび/またはトランジションピース2bの代表として中空構造要素2を説明する。
【0054】
図3A図3Dは、長手方向軸線Xを横切る方向の、特に長手方向軸線Xに垂直な、中空構造要素2および遮光要素14の断面を示す。
【0055】
図3Aにおいて、中空構造要素2は管状であることが分かるであろう。中空構造要素2から離れた位置に、遮光要素14が弧角βで弧状に広がっている。中心点2cまでの遮光要素14の半径は、中空構造要素2の半径より大きい。
【0056】
遮光要素14は、スペーサ16によって離されて中空構造要素2に取り付けられている。
【0057】
特に、遮光要素14は、北天球では南に向けられ、南天球では北に向けられる。図3Aに示されている遮光要素14は弧状である。
【0058】
図3Bは、直線状に形作られた別の遮光要素14を示す。この遮光要素14も弧角βにわたっている。
【0059】
図3Cにおいて、遮光要素14は、角度γで向き合っている2つの直線状構造要素で形成されている。遮光要素14の両辺は、中空構造要素2を部分的に取り囲んでいる。
【0060】
図3Dは、遮光要素14が中空構造要素2の全周に周方向に配置されている一実施形態を示す。
【0061】
既に説明したように、遮光要素14は、金属薄板によって形成され得る。更には穿孔され得る。図4Aは、複数の長穴14aを有する遮光要素14を示す。図4Bは、複数の穴14bを有する遮光要素を示す。長穴14aおよび/または穴14bは、中空構造要素2と遮光要素14との間の空間に良好な通気をもたらす。
【0062】
遮光要素14は、凹凸状に、特に遮光要素14と中空構造要素2との間の距離が弧角βに沿って変化するように凹凸状に、形成され得る。可能な一実施形態が図5Aに示されている。ここで、中空構造要素2に面する遮光要素15の表面は凸状であるので、中空構造要素2と遮光要素14との間の距離20が変化する。距離20は、端縁領域より中心領域の方が短いことが分かる。
【0063】
図5Bは、その端縁領域22が翼のように形成された遮光要素14を示す。端縁領域22において遮光要素14と中空構造要素2との間の距離20が変化することが分かる。初めにより大きな距離が与えられ、凸形状の故に距離が狭まり、遮光要素14の中心領域に向かって再び距離が広がっている。
【0064】
図5Aおよび図5Bに示されているように、2つの輪郭の故に、通過する空気の流速が上がるので、中空構造要素2と遮光要素14との間の循環空気の冷却効果が向上する。
【符号の説明】
【0065】
2 中空構造要素
2a モノパイル
2b トランジションピース
2c J字管
2c 中心点
4 海底
6 水面
8 気密デッキ
10 プラットフォーム
12 ケーブルアセンブリ
14 遮光要素
14a 長穴
14b 穴
16 スペーサ
18 領域
20 距離
22 縁端領域
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
【国際調査報告】