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特表2022-529400機器表面上の接着剤の蓄積を低減する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(54)【発明の名称】機器表面上の接着剤の蓄積を低減する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/52 20060101AFI20220615BHJP
   B29C 65/40 20060101ALI20220615BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220615BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
B29C65/52
B29C65/40
C09J201/00
C09J5/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536686
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 US2019067536
(87)【国際公開番号】W WO2020139703
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201811625604.X
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313011456
【氏名又は名称】ボスティック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】スタチンスキ,ラッセル,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】タナカ,カツユキ
(72)【発明者】
【氏名】イェ,シン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェンジュン
【テーマコード(参考)】
4F211
4J040
【Fターム(参考)】
4F211AD16
4F211AG03
4F211AR06
4F211AR12
4F211AR17
4F211TA04
4F211TC05
4F211TD02
4F211TD11
4F211TH06
4F211TJ15
4F211TN07
4F211TN43
4F211TN60
4F211TQ03
4J040JA06
4J040JB01
4J040LA01
4J040MA09
4J040MB02
4J040PB03
4J040PB05
(57)【要約】
プロセス機器上の接着剤の蓄積は、接着剤を塗布して積層体を形成するために使用されるシステムに沿って基材が搬送されるときに基材をガイドするために使用されるプロセス機器の運転温度を上げることによって低減又は排除される。好ましくは、プロセス機器は、接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃、好ましくは少なくとも約10℃、最も好ましくは少なくとも約15℃高く、接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約60℃、好ましくは最大で約50℃、最も好ましくは最大で約45℃高い温度まで加熱される。この方法は、ホットメルト接着剤を使用して、使い捨て吸収性物品で使用するための、低坪量不織布などの透過性基材で積層体を形成する場合に特に有益である。ホットメルト接着剤を基材に塗布するためのシステムは、プロセス機器に熱を提供するためのヒータと、任意選択的に、プロセス機器を冷却するためのチラーとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤を塗布するためのシステムを作動する方法であって、
前記システムの作動によって引き起こされる摩擦とは無関係に、支持板を、作動中の前記支持板上の接着剤の蓄積を少なくとも著しく低減するのに十分な温度まで熱源で加熱するステップと、
ホットメルト接着剤を透過性基材の接着剤受容面に塗布するステップであって、前記透過性基材は前記接着剤受容面の反対側にコンベヤ対向面を有するステップと、
前記透過性基材が搬送されるときに、前記透過性基材の前記コンベヤ対向面が前記加熱された支持板に接触するように、前記ホットメルト接着剤が塗布された前記透過性基材を搬送するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記加熱ステップが、前記支持板を、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃、好ましくは少なくとも約10℃、最も好ましくは少なくとも約15℃高い温度に加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱ステップが、前記支持板を、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約60℃、好ましくは最大で約50℃、より好ましくは最大で約45℃、最も好ましくは最大で約35℃高い温度に加熱することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接着剤が、少なくとも約500cPs、より好ましくは少なくとも約1,500cPs、さらにより好ましくは少なくとも約2,500cPs、最も好ましくは少なくとも約3,000cPs、及び最大で約35,000cPs、より好ましくは最大で約20,000cPs、さらにより好ましくは最大で約10,000cPs、最も好ましくは最大で約6,000cPsの粘度を提供する温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記支持板が着地セグメント及び搬送セグメントを含み、前記着地セグメント及び前記搬送セグメントが鈍角を形成し、前記透過性基材に搬送経路を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記搬送セグメントが、積層体を提供するために前記透過性基材をそれ自体の上に折り重ねることを引き起こす折り曲げアームを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記透過性基材が不織布基材であり、前記方法が、折り目線に対応する位置で前記不織布基材上に弾性ストランドを配置することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記支持板が金属である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
作動中に前記支持板の温度を監視すること、及び前記支持板の温度を制御するために熱又は冷却媒体を適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
熱又は冷却媒体を適用する前記ステップが、前記支持板の温度を、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃、好ましくは少なくとも約10℃、最も好ましくは少なくとも約15℃高く、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約60℃、好ましくは最大で約50℃、より好ましくは最大で約45℃、最も好ましくは最大で約35℃高い温度に制御することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ホットメルト接着剤がポリオレフィンベースである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ホットメルト接着剤がスチレンブロックコポリマーベースである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記透過性基材が不織布基材又は小さい穴を有する形成されたフィルムである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ホットメルト接着剤が、約0.5~約175グラム/平方メートルの追加レベルで塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱ステップが前記システムの作動の開始前に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ホットメルト接着剤が塗布された前記透過性基材を、前記支持板に接触した後にニップローラまで搬送することをさらに含み、前記ニップローラは、前記ニップローラ上の接着剤の蓄積を少なくとも著しく低減するのに十分な温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ニップローラが、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約30℃、好ましくは少なくとも約20℃、最も好ましくは少なくとも約10℃低く、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約30℃、好ましくは最大で約20℃、最も好ましくは最大で約10℃高い温度に加熱される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
作動中に前記ニップローラの温度を監視すること、及び前記ニップローラの温度を制御するために熱又は冷却媒体を適用することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ニップローラの前記加熱ステップが、前記システムの作動の開始前に行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ホットメルト接着剤を基材に塗布するためのシステムであって、
前記基材を搬送するための複数のローラと、
前記接着剤を前記基材に塗布するための接着剤アプリケータと、
前記接着剤が前記基材に塗布された後、前記基材に搬送経路を提供するための支持板と、
前記支持板に熱を供給するためのヒータと
を含むシステム。
【請求項21】
前記支持板を冷却するためのチラーをさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記支持板の温度を感知するためのセンサと、前記支持板の温度を、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃~最大60℃高い間、好ましくは前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約10℃~最大約50℃高い間、最も好ましくは前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約15℃~最大約45℃高い間に維持するために、前記ヒータ、前記チラー、及び前記支持板の間で熱を移動するための熱制御システムとをさらに含む、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て吸収性物品などの用途で使用するためのホットメルト接着剤によって互いに結合された基材を有する積層構造を作製する方法に関する。より具体的には、本発明は、そのような作製の間のプロセス機器上の接着剤の蓄積を低減するか、又は完全に排除することに関する。これは、ホットメルト接着剤を使用して、不織布基材又は穴あきフィルムなどの透過性基材で又は積層物品を形成する場合に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤(HMA)は通常、周囲温度で固体として存在し、熱を加えることで流動性のある液体に変換することができる。溶融した接着剤は、様々な塗布方法を使用して基材に塗布される。第2の基材が、しばしば第1の基材に、又はその内部に積層され、接着剤は、冷却すると固化して、強い結合を形成する。ホットメルト接着剤の主な利点は、水性又は溶剤型接着剤の場合のように液体担体がないことであり、それにより、塗布中の費用のかかる乾燥ステップが排除される。また、ホットメルト接着剤は、比較的短い開放時間を有するように配合することができ、したがって、長い硬化時間を必要としない。さらに、ホットメルト接着剤は通常、塗布時に高い「グリーン」強度を示す。適切なホットメルト接着剤は、関連する基材を接着するための適切な結合強度を備えている必要があり、また、商用機器で機能するための適切な柔軟性、適切な粘度、開放時間、並びに通常の塗布温度下での許容可能な熱安定性も備えている必要がある。
【0003】
スチレン系ブロックコポリマー(SBc)は、様々な最終用途向けの積層物品を製造するために使用されるホットメルト接着剤配合物中で一般的に使用されている。SBcのスチレン相は、一般に接着凝集力を提供すると考えられているが、ポリ(ジエン)セグメントは、積層構造が最終用途で様々な応力を受けるときに機械的な力に耐え、強い結合を維持するために必要なエラストマー挙動を提供すると考えられている。スチレン系ポリマーは本質的にガラス質であり、比較的高い秩序-無秩序転移点を備える。新たに塗布されると、スチレン部分は急速に特性を発達させ、接着剤が多孔質基材の表面を過度に浸透することなく均一に湿潤するのに必要な凝集力を提供すると一般に考えられている。接着剤を塗布した後、最初にコーティングされた層は、多くの場合、次に追加のフィルム及び基材で圧縮されて、多層積層物品を形成する。
【0004】
同じくポリオレフィンベースのホットメルト接着剤は、様々な最終用途向けの積層物品を製造するために使用されている。本出願の譲受人が所有する米国特許第10,011,744号明細書は、低分子量の半結晶性プロピレンベースのポリマーと高分子量の本質的にアモルファスのプロピレンベースのポリマーとに基づくポリマーブレンドを含むホットメルト接着剤組成物を開示している。この組成物はさらに、適合性のある粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、及び任意選択的にワックス、充填剤、着色剤、UV吸収剤、別のポリマー、又はそれらの組み合わせを含む。ホットメルト接着剤組成物は、使い捨て不織布衛生用品、ラベリング及び他のアセンブリ用途を含む、低表面エネルギー基材の結合が発生する様々な工業用途に有用である。特に好ましい用途には、不織布使い捨ておむつ及び女性用生理用ナプキン構造、おむつ及び成人失禁用の簡易的弾性アタッチメント、おむつ及びナプキンコアの安定化、おむつバックシート積層体、工業用フィルタ材料変換、並びに外科用ガウン及び外科用ドレープアセンブリが含まれる。
【0005】
透過性基材を結合する場合、接着剤のガラス化を促進し、露出した接着剤がプロセス機器に移動される可能性を低減するために、基材を搬送するために使用される(通常はロールの形態である)機器の温度は、従来、周囲温度以下の値に制御されてきた。このようなプロセス機器には、ニップローラ、支持板、及び基材が搬送されるときに基材と接触するその他の物体が含まれる。機器に接着剤が蓄積するとシステムに沿ったウェブの動きが妨げられるため、プロセス機器への接着剤の移動を回避又は最小限に抑えることが重要である。ウェブの移動におけるこのような制限は、プロセスの不安定性につながる可能性があり、深刻な場合には、ウェブの中断やラインの停止につながる可能性がある。蓄積を防ぐためにニップローラの温度を冷却することは、当技術分野で周知である。蓄積を制御する手段として低温が受け入れられているが、ニップローラの温度は一般に、機械的な制限、冷却に関連するエネルギーコスト、及び高度に冷却されたニップローラ上に形成された結露から最終物品が水分を吸収することによって引き起こされる衛生上の懸念に基づいて、周囲値の近くに維持される。
【0006】
米国特許第5,763,333号明細書は、接着剤組成物によって互いに接合された液体不透過性シートと不織布とを含む複合シートを開示している。この特許は、透過性である不織布基材を通って接着剤が望ましくなく裏抜けする(又は移動する)という問題を開示しており、これは不織布基材が隣接するシート層にくっつく原因となる。ブロッキングと呼ばれるこの現象により、巻かれた複合シートが巻き出されるときに破損したり、それ自体にへばりついたりする可能性がある。この特許は、ブロッキングを低減するための特定の物理的特性を有する接着剤と共に特定の不織布基材の使用を記載している。
【0007】
本出願の譲受人が所有する国際公開第2018/026395号パンフレットは、積層構造の基材を一緒に圧縮及び接着結合するために使用される円筒ロール(例えば、ニップローラ又はアイドラ)の運転温度を上げることにより、プロセス機器上の接着剤の蓄積を低減することを開示している。この方法は、ポリオレフィンベースのホットメルト接着剤を使用して、使い捨て吸収性物品に使用するための、低坪量不織布などの透過性基材で積層体を形成する場合に特に有益である。この方法は、2積層及び3積層などの様々な積層構造を作るために使用することができる。この特許出願は、ニップローラへの蓄積を低減するためのニップローラの好ましい温度範囲が接着剤のクロスオーバー温度(crossover temperature)とほぼ同じである実施形態を開示している。
【0008】
システムの運転中に摩擦のためにプロセス機器が熱くなることが知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、ホットメルト接着剤を塗布するためのシステムを作動する方法は、以下のステップを含む:システムの作動によって引き起こされる摩擦とは無関係に、支持板を、作動中の支持板上の接着剤の蓄積を少なくとも著しく低減するのに十分な温度まで熱源で加熱するステップ;ホットメルト接着剤を透過性基材の接着剤受容面に塗布するステップであって、透過性基材は、接着剤受容面の反対側にコンベヤ対向面を有するステップ;及び、透過性基材が搬送されるときに、透過性基材のコンベヤ対向面が加熱された支持板に接触するように、ホットメルト接着剤が塗布された透過性基材を搬送するステップ。好ましくは、加熱ステップは、支持板を、接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃、好ましくは少なくとも約10℃、最も好ましくは少なくとも約15℃高い温度に加熱することを含む。より好ましくは、加熱ステップは、支持板を、接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約60℃、好ましくは最大で約50℃、より好ましくは最大で約45℃、最も好ましくは最大で約35℃高い温度に加熱することを含む。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、ホットメルト接着剤を基材に塗布するためのシステムは、以下を含む:基材を搬送するための複数のローラ;接着剤を基材に塗布するための接着剤アプリケータ;接着剤が基材に塗布された後、基材に搬送経路を提供するための支持板;及び支持板に熱を供給するためのヒータ。本発明のさらなる実施形態によれば、システムは、支持板を冷却するためのチラーをさらに含む。
【0011】
前述の一般的な記載及び以下の詳細な記載の両方は、本発明の例示的なものであるが、限定的なものではないことを理解されたい。
【0012】
本発明は、添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な記載から最もよく理解される。一般的な慣行によれば、図面の様々な特徴は一定の縮尺ではないことが強調される。図面には次の図が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による積層体を作製するためのシステムの側面及び部分概略図である。
図2a】折り曲げアームを備えた図1に示されるシステムの上面図である。
図2b図1に示されているものと同様であるが、折り曲げアームがないシステムの上面図である。
図3a図1に示されるシステムの態様の上面斜視図である。
図3b】不織布基材が搬送されている、図1に示されるシステムの態様の上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、積層体の製造に使用される機器の表面への接着剤の蓄積を低減するか、又は完全に排除さえする方法で、ホットメルト接着剤を塗布するためのシステムを作動する方法に向けられる。本発明の方法はまた、積層体を作製するための方法と見なすことができる。このような積層体は、使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、吸収性下着、成人用失禁用製品、女性用ケアパッド及びナプキンを含む女性用衛生製品、並びに外科用ドレープなどの吸収性物品に組み込むことができる。本発明の方法は、穴あきフィルム及び低坪量不織布などの透過性基材を使用して積層体を構築する場合に、プロセス機器上での接着剤の蓄積を低減又は排除する。形成された積層体のブロッキングをもたらす可能性のあるそのような蓄積は、接着剤が透過性基材を通って望ましくなく裏抜けするか透過性基材を横切って移動し、次に積層プロセス中にプロセス機器に付着することによって発生する。一実施形態では、透過性基材は、女性用ケアパッドのトップシートとして使用できるものなど、小さな穴を有する形成されたフィルムである。
【0015】
本明細書で使用される場合、「プロセス機器」という用語は、システムの作動中にそのような基材がシステムに沿って搬送されるときに、いずれかの基材と接触するすべての機器を指す。また、システムの「作動」とは、システムが基材を搬送し、基材に接着剤を塗布し、積層体を形成している間のシステムの状態を意味する。本明細書で使用される「積層体」とは、それ自体の上に折り重ねられ、ホットメルト接着剤によって所定の位置に接着されることによりそれ自体に接着された少なくとも1つの基材、ホットメルト接着剤が間にある状態で結合されることによって互いに接着された少なくとも2つの基材、又は第2の基材の周りに折り曲げられ、ホットメルト接着剤によって所定の位置に接着された少なくとも1つの基材から作られたいずれかの最終製品又はその構成要素を意味する。
【0016】
本発明は、ホットメルト接着剤を使用して積層体を作るために使用される広範囲のシステムに関連して使用することができる。1つ又は複数の支持板を利用するいずれかのシステムが、本発明での使用に適している。本明細書で使用される場合、「支持板」という用語は、ホットメルト接着剤と接触した基材を搬送し、任意選択的に真っ直ぐにする(又は「アイロンをかける」)ために使用されるいずれかのプロセス機器を指す。支持板は任意の形状であり得るが、システムの上部から見た場合、通常、平らで長方形又は台形である。支持板は、基材を成形する、又は基材をそれ自体の上に、又は部分的又は完全に別の基材の周りに折り曲げるなどの追加の機能を有し得る。通常、支持板には、張力によって引き起こされるものを除いて、支持板の平面に垂直な方向にそれに対して加えられる外力はない。
【0017】
本明細書に記載の本発明の実施形態は、広範囲のホットメルト接着剤と共に利用することができる。特に、本発明は、SBc、ポリオレフィン、及びエチレン酢酸ビニル(EVA)に基づく接着剤のプロセス挙動を改善することができる。開始時のそのような機器の温度を含む支持板の温度を慎重に選択することにより、プロセス機器への接着剤の蓄積を低減し、さらには完全に排除することさえできることが見出された。本明細書で使用される場合、開始は、システムがシャットダウンされ、夜間のシャットダウンで通常は達成されるような室温、ほぼ室温、又は実質的に作動温度よりも低い温度に冷却された後、接着剤が最初に処理ラインに導入されるプロセスの時点として定義される。本発明の好ましい実施形態では、加熱ステップは、システムの作動の開始前に行われ、その結果、開始前に、支持板の所望の温度(本明細書に記載)が達成される。
【0018】
この方法は、ホットメルト接着剤を使用して、低坪量の不織布や穴あきフィルムなどの透過性基材で積層構造を形成する場合に特に有益である。本明細書で使用される場合、「透過性基材」は、所与の動作条件及び選択された接着剤に基づいて、室温で円筒ロール上に望ましくない量の蓄積を許容するものである。以下に示すように、接着剤の流動学的特性に基づくプロセス条件の注意深い選択は、本明細書で説明され、実施例に示されるように、接着剤の蓄積を制限するために一般的な意味で適用され得る。本発明の方法は、製造コストに悪影響を及ぼさず、高度に冷却されたローラを使用して湿気/結露の懸念を排除する。この方法を使用すると、結合力を高めるために、又はより低い接着剤の追加で目標値を維持するために、プロセス機器の温度を設定することができる。
【0019】
図1に示すように、ホットメルト接着剤を基材12に塗布するためのシステム10は、以下を備える:基材を搬送するための複数のローラ14a~14d;接着剤を基材に塗布するための接着剤アプリケータ16;接着剤が基材に塗布された後、基材に搬送経路を提供するための支持板18;支持板に熱を供給するためのヒータ20。おむつに使用されるものを含む不織布基材などの透過性基材であり得る基材12は、接着剤受容面13aと、接着剤受容面の反対側のコンベヤ対向面13bとを有する。接着剤アプリケータ14は、既知の方法で、ホットメルト接着剤を基材12の接着剤受容面13aに塗布する。例えば、スロットコーティングなどの接触型コーティングアプリケータ、及び制御繊維化、ランダム繊維化、及びカーテンコーティングなどの非接触型コーティングアプリケータを使用することができる。ヒータ20は、任意の従来のヒータであり得、熱源22によってパワーを供給され得る。例えば、熱源は、ガス源又は電気熱源であり得、ヒータ20は、支持板18に沿って熱を均一に分散するためのカートリッジ又はプラットフォームを含み得る。
【0020】
作動中、システム10にホットメルト接着剤を塗布する方法は、以下のステップを含む:システムの作動によって引き起こされる摩擦とは無関係に、支持板18を、作動中の支持板上の接着剤の蓄積を少なくとも著しく低減するのに十分な温度までヒータ20で加熱するステップ;ホットメルト接着剤を透過性基材12の接着剤受容面13aに塗布するステップであって、透過性基材は接着剤受容面の反対側にコンベヤ対向面13bを有するステップ;及び、透過性基材が搬送されるときに、透過性基材のコンベヤ対向面が、加熱された支持板に接触するように、ホットメルト接着剤が塗布された透過性基材を搬送するステップ。
【0021】
以下の例で説明するように、いくつかのシステムでは、接着剤が塗布されるのとは反対側の透過性基材の側においてプロセス機器に接着剤が蓄積する。以下に記載するように、プロセス機器を接着剤のクロスオーバー温度より約5℃~60℃高い温度に加熱することにより、蓄積を低減し、実質的に排除できることが発見された。好ましくは、この選択された温度は、積層ラインによって製造された製品の3%未満がブロッキングに起因する欠陥があるように、作動中の支持板18上の接着剤の蓄積を低減する。より好ましくは、この選択された温度は、積層ラインによって製造された製品の1%未満がブロッキングに起因する欠陥があることを達成する。一実施形態では、作動中に支持板上の接着剤の蓄積を少なくとも大幅に低減するのに十分な温度は、支持板が室温である以外すべての条件が同じである同じシステムと比較した場合、少なくとも90%(好ましくは95%、より好ましくは99%、最も好ましくは99.5%)少ない接着剤が支持板に蓄積することを意味する。以下に説明するように、支持板の加熱に適した適切な温度は、少なくとも約80℃以上、より好ましくは約85℃、最も好ましくは約90℃以上であり得る。
【0022】
支持板の所望の温度を特定する別の方法は、接着剤のクロスオーバー温度(本明細書では、接着剤のクロスオーバー温度又は流動学的クロスオーバー、Txと呼ばれる)に関して支持板の温度を特定することである。支持板は、好ましくは、接着剤のクロスオーバー温度より少なくとも約5℃~最大60℃高い温度、好ましくは接着剤のクロスオーバー温度より少なくとも約10℃~最大で約50℃高い温度、最も好ましくは接着剤のクロスオーバー温度より少なくとも約15℃~最大で約45℃高い温度に制御される。特性又は特徴のいくつかの下限及び上限が本明細書で提示される場合、本発明は、いずれかのリストされた下限からいずれかのリストされた上限までの範囲、例えば、接着剤のクロスオーバー温度より少なくとも約10℃高いから最大で約30℃高いまでの範囲を企図する。Txは、溶融状態から固体状態に冷却されている間に接着剤の動的機械分析(DMA)を使用して測定された、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’が交差する最高温度として定義される。使用した試験方法はASTM D 4440-01であり、冷却速度は10℃/分である。
【0023】
支持板の温度の上限は、広範囲にわたって変化する可能性があり、接着剤の分解温度によって決定され得る、又は単にコストによって決定され得る(すなわち、本発明の効果を達成するために必要とされる温度よりも高い温度に支持板を加熱することは望ましくなく、過度に費用がかかる)。例示的な上限には、Txの+60℃、より好ましくはTxの+50℃、さらにより好ましくはTxの+45℃、さらにより好ましくはTxの+40℃、そして最も好ましくはTxの+35℃が含まれる。同様に、第2の支持板が使用される場合、それは本明細書に記載されるいずれかの温度範囲に加熱され得る。
【0024】
本明細書に記載の支持板又はいずれかのプロセス機器の温度に言及する場合、そのような構成要素の関連する特定の部分は、透過性基材が搬送されるときに透過性基材と接触するプロセス機器の表面である。1つ又は複数の熱電対を使用するなど、プロセス機器の表面の温度を決定するための従来の方法を使用することができる。さらに、外部熱源22を使用するなど、プロセス機器を加熱する従来の方法を使用することもできる。図1に示すように、熱源22は、システムの作動によって引き起こされる摩擦とは無関係である。
【0025】
図1に示すように、接着剤アプリケータ16は、ホットメルト接着剤を透過性基材12の接着剤受容面13aに塗布し、透過性基材は、接着剤受容面の反対側のコンベヤ対向面13bを有する。本発明の一実施形態では、ホットメルト接着剤は、約0.5から約175グラム/平方メートル(「gsm」)の追加レベルで塗布される。一実施形態では、ホットメルト接着剤は、約1から約35gsm、好ましくは約2から約20gsmの追加レベルで塗布される。別の実施形態では、ホットメルト接着剤は、約100から約175gsm、好ましくは約130から約160gsmの追加レベルで塗布され、この実施形態は、接着剤ベースの伸縮性構成要素として役立つことができる接着剤に特に適用可能であり得る。ホットメルト接着剤が塗布された基材12は、透過性基材12のコンベヤ対向面13bが、透過性基材が搬送されるときに加熱された支持板に接触するように、支持板18に搬送される。支持板18を上記で指定された温度に加熱することにより、支持板上の接着剤の蓄積が減少するか、又は完全に排除される。
【0026】
図に示す実施形態では、支持板18は、着地セグメント26及び搬送セグメント28を備える。着地セグメント26及び搬送セグメント28は、鈍角αを形成し、透過性基材12の搬送経路を提供する。着地セグメント26及び搬送セグメント28は、屈曲線33で交差し、そこで搬送経路の傾斜は着地セグメント26の傾斜から搬送セグメント28の傾斜まで減少する。示される実施形態では、搬送セグメント28は、透過性基材を折り重ねて積層体を形成する折り曲げアーム30a及び30bを備える。他の実施形態では、搬送セグメントは、1個又は0個のアームを有する場合もあり、或いは透過性基材に様々な形状を与えるための他の特徴を有する場合もある。支持板18の材料は、広範囲にわたって変化し得、アルミニウム及びステンレス鋼を含む金属であり得る。
【0027】
システム10を使用しておむつの弾性レッグカフを作製する場合、透過性基材は不織布基材であり、この方法は、折り曲げアーム30a、30bによって形成された積層体の折り目に対応する位置で不織布基材上に弾性ストランドを配置することをさらに含む。換言すると、弾性ストランドは、搬送セグメント28の横方向の外縁の折り目線に沿って配置される。接着剤は、透過性基材12、弾性ストランド、又はその両方に塗布することができる。折り曲げアームは、弾性ストランドの周りの第1の基材12を部分的に包含する働きをし得る。
【0028】
図3a及び3bは、折り曲げアーム30a、30bが不織布基材をそれ自体の上に折り重ねる方法をより詳細に示している。図3aに示すように、支持板18は、着地セグメント26及び搬送セグメント28を含み、搬送セグメント28は、折り曲げアーム30a及び30bを有するので、折り曲げ板として機能する。システム10を見下ろして見た場合、折り曲げアーム30a及び30bは直角三角形の形状を有し、その2つの縁部は、搬送セグメント28の後縁及び搬送セグメント28の側縁に沿って配置された直角三角形を形成する。折り曲げアーム30a及び30bは、折り曲げアーム及び搬送セグメントの対向面の間に凹部が形成されるように、搬送セグメント28に対してわずかに持ち上げられる。基材12は図3bに示され、システムが作動しているときは矢印Aの方向に移動する。図3bに見られるように、基材10が屈曲線33上を移動するとき、基材の一部が、折り曲げアーム30a及び30b及び搬送セグメント28の対向面によって画定された凹部の下に挟まれ始める。基材10上の張力がこの挟みに寄与する。基材10が搬送セグメント28に沿って移動するにつれ、基材のより多くが折り曲げられ、次いで、図3a及び3bに示される図の上流で塗布された接着剤によってそれ自体に結合される。基材10が搬送セグメント28の下流端を出るとき、折り曲げアーム30a及び30b及び搬送セグメント28の対向面によって画定された凹部が狭められ、基材の折り重ねられた部分をさらに圧縮し、それによって基材をそれ自体により良好に結合させる。図3bに見られるように、支持板18を出る基材10は、二重層部分36a及び36bと単層部分37とを有する。それ自体の上に折り返されて二重層部分36a及び36bを形成する基材10;この基材の設計は、単層としてのみ残る部分、すなわち単層部分37を有するように意図された。
【0029】
接着剤は通常、溶融状態になるように加熱される。接着剤が加熱される程度は、接着剤の流動学的特性、システムの条件、及び所望の特性を含む多くの条件に依存する。接着剤の所望の温度を考察する1つの方法は、接着剤がアプリケータを離れるときの接着剤の所望の粘度を決定することである。本発明の実施形態において、接着剤は、少なくとも約500cP、より好ましくは少なくとも約1,500cP、さらにより好ましくは少なくとも約2500cP、最も好ましくは少なくとも約3000cP、及び最大で約35,000cP、より好ましくは最大で約20,000cP、さらにより好ましくは最大で約10,000cP、最も好ましくは最大で約6000cPの粘度を提供する温度に加熱される。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、熱電対24などの温度モニタを使用して、支持板18の表面温度を検出する。一般に、これにより、作動中の支持板18の温度を監視することができる。この実施形態は、熱又は冷却媒体を伝達して、支持板の温度を本明細書に記載の所望の範囲内に制御することをさらに含む。図1に示すように、システムは、支持板を冷却するためのチラー29をさらに備える。図1はまた熱制御システム34を示し、これは熱電対(又はセンサ)24からの信号に応答し、熱源22又はチラー29を作動させて、ヒータ、チラー、及び支持板の間で熱を伝達して、支持板の温度を、接着剤のクロスオーバー温度より少なくとも約5℃上~最大60℃上、好ましくは接着剤のクロスオーバー温度より少なくとも約10℃上~最大で約50℃上、より好ましく接着剤のクロスオーバー温度より少なくとも約15℃上~最大で約45℃(最も好ましくは最大で約35℃)上に維持する。示される実施形態では、1つの熱センサのみが使用されるが、複数のセンサを使用することができる。また、熱制御システム32及びヒータ20及びチラー29は、その長さ(すなわち、透過性基材12の矢印「A」に沿った移動方向の寸法)に沿って支持板18の一定の温度を維持するために熱を加えることができる。或いは、熱制御システム34は、接着剤の温度の低下に対応する進行方向にその長さに沿って減少する温度の配列など、支持板18の長さに沿った温度の配列を提供するように機能することができる。
【0031】
使用されるシステム構成に関係なく、この方法は、当技術分野で周知のSBc、ポリオレフィン、及びEVAポリマー(又はそれらの混合物)に基づく市販の接着剤を含む広範囲の接着剤と一緒の使用に適している。これは、低坪量の透過性基材を結合するときに特に有用である。低いガラス転移値が35℃未満であると定義される場合、低いガラス転移値を示す半結晶性ポリマーを含有するホットメルト接着剤を使用する場合、この発明的方法を使用することはさらに有益である。このホットメルト接着剤組成物の実施形態で使用される半結晶性ポリマーは、好ましくは、ポリオレフィン又はポリオレフィンブレンドである。ポリオレフィン又はポリオレフィンブレンドは、より好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及びそれらの組み合わせから誘導されるホモポリマー、コポリマー、及びターポリマーからなる群から選択される。最も好ましいポリオレフィンは、エチレンベースのコポリマー又はプロピレンベースのコポリマーである。
【0032】
より一般的には、本発明は、ポリオレフィンに基づくものを含む広範囲の接着剤に適している。そのような接着剤は、単一のポリオレフィン、又はより好ましくは、ポリオレフィンの混合物を利用することができる。特に適したポリオレフィンには、エチレン及びプロピレンから生成されたものが含まれる。ポリエチレン系の場合、ポリマーの結晶化度を破壊する働きをする1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び/又は同様のものなどのα-オレフィンコモノマーを含むものを使用して、容易に溶融し、多数のコーティング方法を介して容易に塗布できる接着剤を製造することができる。一般に、中密度(0.940~0.915g/mL)及び線状低密度(<0.915g/mL)のエチレンベースのポリマーがこのような用途に適しているが、適切な溶融適合性を示す場合は、低分子量、高密度のポリエチレンを使用することができる。低密度ポリエチレン(LDPE)と呼ばれる分岐低密度ポリエチレンも使用することができる。エチレンベースのコポリマーは、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び線状低密度ポリエチレン(LLDPE)で一般的であるように、コモノマー単位がランダムに分布している可能性がある。逆に、コモノマーがポリマー鎖の個別のセグメントに異なる濃度で存在するオレフィンブロックコポリマーも使用することができる。ポリエチレン主鎖は、非常に直線的であるか、又はいくつか又は多くの長鎖分岐を含み得る。
【0033】
プロピレンベースのポリマー及びコポリマーからなる接着剤もまた、本発明で使用することができる。適切なポリプロピレン種には、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチックプロピレンホモポリマー又はコポリマーが含まれる。溶融挙動と機械的特性を調整するために制御されたレベルのステレオエラーを持つように設計されたポリプロピレンも、結合用途向けに必要に応じて使用することができる。本発明の接着剤の成分としても使用できるプロピレンベースのコポリマー及びターポリマーには、一般にランダムコポリマーと呼ばれる比較的低レベル(<5モル%)のエチレン、1-ブテン、及び/又は高級α-オレフィンコモノマーを有するものが含まれる。これらには、130~165℃の範囲の融点を示す比較的高い結晶化度のポリ(プロピレン-コ-オレフィン)コポリマー及びターポリマーが含まれる。比較的高レベル(>5モル%)のエチレン、1-ブテン、及び/又は高級α-オレフィンコモノマーを有するプロピレンベースのコポリマー及びターポリマーもまた、本発明の接着剤の成分として使用することができる。
【0034】
さらに、ポリプロピレン又はプロピレンコポリマーマトリックス内にゴム状のエチレン-プロピレン又はエチレン-プロピレン-1-ブテンポリマー相を含有する、一般にインパクトコポリマー(ICP)と呼ばれる異相ポリプロピレンも使用することができる。本発明に適したプロピレンポリマーは、商業的生産で一般的に実施されている鎖切断法によって製造された反応器グレードの材料又は制御されたレオロジーポリマーであり得る。
【0035】
エチレン及びプロピレンポリマーに加えて、一般にアモルファスポリα-オレフィン、APAOと呼ばれる材料を使用することもできる。APAOポリマーは、プロピレン-エチレンコポリマー、プロピレン-1-ブテンコポリマー、及びプロピレン、エチレン、及び1-ブテンのターポリマーからなる群から選択される。
【0036】
これらのポリマーに加えて、そのような接着剤は以下を含み得る:粘着付与剤;可塑剤;安定剤又は抗酸化剤;及びワックス、界面活性剤、充填剤、核形成パッケージ、及び/又は最終用途の性能のために特性を調整するために必要な他の補助成分を含む添加剤。本発明で使用するのに適したポリオレフィンベースの接着剤のいくつかは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0102230号明細書に記載されているものであり得る。そこに記載されている接着剤は、ポリプロピレンコポリマー、ポリオレフィンエラストマー、及びアモルファスポリオレフィンの混合物を使用している。これらの接着剤は優れた流動性を示し、基材を均一にコーティング(「湿潤」)しながら、長期間のエージング時に維持される強力な初期結合を形成するため、衛生、建設、及び包装の用途に役立つ。本発明での使用によく適している可能性のある他の接着剤には、米国特許第9,670,388号明細書に記載されているものが含まれ、これは、(i)プロペンモノマー単位及び少なくとも約40重量%の1-ブテンモノマー単位を含むアモルファスポリオレフィンコポリマー組成物;及び(ii)プロペンコモノマー単位及びエチレン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択されるコモノマー単位、並びにアモルファスブロック及び結晶性ブロックを含む異相ポリオレフィンプロピレンコポリマー組成物を有するホットメルト接着剤に向けられている。
【0037】
本発明での使用に適している可能性のある他の接着剤は、米国特許出願公開第2016/0177142号明細書、同2018/0148616号明細書、及び同2016/0121014号明細書;並びに米国仮特許出願第62/624,369号明細書及び米国特許出願第16/157,190号明細書に記載され、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
本方法は、積層構造で使用される不織布及び穴あきフィルム(スクリーンを含む)などの透過性基材を使用する場合に、機器の蓄積を低減又は防止するのに非常に効果的である。本発明は、接着剤が基材を裏抜けするか、又は基材を横切って反対側に(すなわち、接着剤受容面からコンベヤ対向面まで)移動することを許容し得るいずれの基材にも適している。最も好ましくは、透過性基材は、多孔性でもある低坪量の不織布である。「低坪量」とは、坪量が約60グラム/平方メートル(gsm)未満の不織布を意味する。いくつかの実施形態では、不織布は、約50gsm未満、さらにより好ましくは約40gsm未満の坪量を有する。他の実施形態では、不織布は、約2~約30gsm、より好ましくは約2~約20gsmの坪量を有する。このスケールの上限の坪量、例えば約20~約30gsmは、約100から約175gsm、好ましくは約130から約160gsmなどの上記の接着剤のより高い追加重量と共に使用することができる。
【0039】
示される実施形態では、ホットメルト接着剤が塗布された透過性基材12は、支持板に接触した後、ニップローラ14cまで搬送される。好ましくは、ニップローラは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018/026395号パンフレットに記載されているように、ニップローラ上の接着剤の蓄積を少なくとも著しく低減するのに十分な温度に加熱される。好ましくは、ニップローラは、接着剤のクロスオーバー温度より少なくとも約30℃、好ましくは少なくとも約20℃、及び最も好ましくは少なくとも約10℃低く、接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約30℃、好ましくは最大で約20℃、最も好ましくは最大で約10℃高い温度に加熱される。ニップローラ14cの温度は、作動中に監視することができ、熱又は冷却媒体を適用して、ニップローラの温度を所望の温度に制御することができる。好ましい実施形態では、ニップローラ14cの加熱ステップは、システムの作動の開始前に行われ、その結果、接着剤が透過性基材12に塗布される前に、ニップローラの所望の温度が達成される。ニップローラ14cに関連して考察されるが、加熱ステップは、ニップローラ14dなどのシステム内の他のローラに対して行うことができる。
【0040】
図には示されていないが、他の基材を、システム10によって形成された積層体と組み合わせることができる。例えば、非透過性ポリエチレンなどのバッキング層を、システム10によって形成された不織布及び弾性ストランドの折り曲げられた積層体に適用することができる。このプロセスに従って形成される可能性のある典型的な2層又は3層製品は、おむつ、トレーニングパンツ、女性用ケア製品、又は成人用失禁サイドパネル用の伸縮性積層体である。いくつかの製品では、様々な基材は、不織布基材、弾性ストランド又はパネル、或いはエラストマーフィルムであり得る。
【0041】
本発明の実施形態は、図に示されるシステムへの様々な修正を包含する。例えば、様々なローラ14a~14dは、コンベヤとして基材を推進する働きをし得る。上述のように、本発明の主な利点は、透過性基材に関連するプロセス機器上での接着剤の蓄積を排除又は低減することである。別の見方をすれば、本発明はまた、移動方向Aに垂直なより大きな下向きの力が、より小さな下向きの力から生じる同じ程度の蓄積で基材に加えられることを可能にする。したがって、より大きな結合強度又は同等の結合強度を達成することができるが、より低い追加重量を使用することができる。
【0042】
本発明の実施形態は、2積層又は3積層などの積層構造を作製するための方法を提供する。この方法は、接着剤、特にガラス転移温度(Tg)が低い接着剤、特にTg値が35℃未満の接着剤を使用する場合に、機器上の蓄積接着剤を低減又は排除する。半結晶ベースのホットメルト接着剤を使用して、積層構造で透過性又は多孔性の基材を接合する場合、又は単一の基材を折り重ねて、折られた部分の内面を接着剤と接触させることによって単一の基材をそれ自体に接着する場合、特に有用である。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、ニップロール14cの温度は、作動中に監視される。監視からのフィードバックに基づいて、ロール14cに加えられる熱の量は、所望の温度又は温度範囲が確実に維持されるように制御される。
【0044】
本発明の一態様は、本明細書に記載のホットメルト接着剤を塗布するためのシステムを作動する方法を含む、おむつ又は女性用ケアパッドなどの衛生用品を作製するための方法である。そのような態様では、ホットメルト接着剤を塗布するためのシステムを作動する方法は、衛生用品の一部として使用される積層体を作製する。
【0045】
発明の態様
態様1.ホットメルト接着剤を塗布するためのシステムを作動する方法であって、
システムの作動によって引き起こされる摩擦とは無関係に、支持板を、作動中の支持板上の接着剤の蓄積を少なくとも著しく低減するのに十分な温度まで熱源で加熱するステップと、
ホットメルト接着剤を透過性基材の接着剤受容面に塗布するステップであって、透過性基材は接着剤受容面の反対側にコンベヤ対向面を有するステップと、
透過性基材が搬送されるときに、透過性基材のコンベヤ対向面が加熱された支持板に接触するように、ホットメルト接着剤が塗布された透過性基材を搬送するステップと
を含む方法。
【0046】
態様2.加熱ステップが、支持板を、接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃、好ましくは少なくとも約10℃、最も好ましくは少なくとも約15℃高い温度に加熱することを含む、態様1に記載の方法。
【0047】
態様3.加熱ステップが、支持板を、接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約60℃、好ましくは最大で約50℃、より好ましくは最大で約45℃、最も好ましくは最大で約35℃高い温度に加熱することを含む、態様2又は3に記載の方法。
【0048】
態様4.接着剤が、少なくとも約500cPs、より好ましくは少なくとも約1,500cPs、さらにより好ましくは少なくとも約2,500cPs、最も好ましくは少なくとも約3,000cPs、及び最大で約35,000cPs、より好ましくは最大で約20,000cPs、さらにより好ましくは最大で約10,000cPs、最も好ましくは最大で約6,000cPsの粘度を提供する温度に加熱される、態様1~3のいずれかに記載の方法。
【0049】
態様5.支持板が着地セグメント及び搬送セグメントを含み、着地セグメント及び搬送セグメントが鈍角を形成し、透過性基材に搬送経路を提供する、態様1~4のいずれかに記載の方法。
【0050】
態様6.搬送セグメントが、積層体を提供するために透過性基材をそれ自体の上に折り重ねることを引き起こす折り曲げアームを含む、態様5に記載の方法。
【0051】
態様7.透過性基材が不織布基材であり、方法が、カフに対応する位置で不織布基材上に弾性ストランドを配置することをさらに含む、態様6に記載の方法。
【0052】
態様8.支持板が金属である、態様1~7のいずれかに記載の方法。
【0053】
態様9.作動中に支持板の温度を監視すること、及び支持板の温度を制御するために熱又は冷却媒体を適用することをさらに含む、態様1~8のいずれかに記載の方法。
【0054】
態様10.熱又は冷却媒体を適用するステップが、支持板の温度を、接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃、好ましくは少なくとも約10℃、最も好ましくは少なくとも約15℃高く、そして接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約60℃、好ましくは最大で約50℃、より好ましくは最大で約45℃、最も好ましくは最大で約35℃高い温度に制御することを含む、態様9に記載の方法。
【0055】
態様11.ホットメルト接着剤がポリオレフィンベースである、態様1~10のいずれかに記載の方法。
【0056】
態様12.ホットメルト接着剤がスチレンブロックコポリマーベースである、態様1~10のいずれかに記載の方法。
【0057】
態様13.透過性基材が不織布基材である、態様1~12のいずれかに記載の方法。
【0058】
態様14.ホットメルト接着剤が、約0.5から約20グラム/平方メートルの追加レベルで塗布される、態様1~13のいずれかに記載の方法。
【0059】
態様15.加熱ステップがシステムの作動の開始前に行われる、態様1~14のいずれかに記載の方法。
【0060】
態様16.ホットメルト接着剤が塗布された透過性基材を、支持板に接触した後にニップローラまで搬送することをさらに含み、ニップローラは、ニップローラ上の接着剤の蓄積を少なくとも著しく低減するのに十分な温度に加熱される、態様1~15のいずれかに記載の方法。
【0061】
態様17.ニップローラが、接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約30℃、好ましくは少なくとも約20℃、最も好ましくは少なくとも約10℃低く、接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約30℃、好ましくは最大で約20℃、最も好ましくは最大で約10℃高い温度に加熱される、態様16に記載の方法。
【0062】
態様18.作動中にニップローラの温度を監視すること、及びニップローラの温度を制御するために熱又は冷却媒体を適用することをさらに含む、態様17に記載の方法。
【0063】
態様19.ニップローラの加熱ステップが、システムの作動の開始前に行われる、態様16~18のいずれかに記載の方法。
【0064】
態様20.ホットメルト接着剤を基材に塗布するためのシステムであって、
基材を搬送するための複数のローラと、
接着剤を基材に塗布するための接着剤アプリケータと、
接着剤が基材に塗布された後、基材に搬送経路を提供するための支持板と、
支持板に熱を供給するためのヒータと
を含むシステム。
【0065】
態様21.支持板を冷却するためのチラーをさらに含む、態様20に記載のシステム。
【0066】
態様22.支持板の温度を感知するためのセンサと、支持板の温度を、接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃~最大60℃高い間、好ましくは接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約10℃~最大約50℃高い間、最も好ましくは接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約15℃~最大約45℃高い間に維持するために、ヒータ、チラー、及び支持板の間で熱を移動するための熱制御システムとをさらに含む、態様21のシステム。
【実施例
【0067】
以下に、プロセス機器上の接着剤の蓄積を軽減するために、上昇した支持板温度を使用する例を示す。
【0068】
以下の例で使用される様々なホットメルト接着剤について、動的機械分析を実施した。Rheometricsダイナミックメカニカルアナライザ(モデルRDA III)を使用して、温度の関数として接着剤の弾性(G’)及び損失(G’’)弾性率を取得した。分析は、1.6mmの間隙で分離された直径25mmの平行プレートを使用して実施した。接着剤サンプルをロードし、次に10℃/分の速度で140から170℃まで加熱した。サンプルを含む対流式オーブンは、試験中ずっと窒素で連続的にフラッシュした。周波数は10rad/sに維持し、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)を、サンプルが10℃/分で減少されるにつれて収集されたトルクとひずみのデータから計算した。クロスオーバー温度Txは、G’とG”が交差する最高温度として定義される。ガラス転移温度Tgは、クロスオーバー温度より下のtan□(G”/G’)曲線の最大値として定義される。
【0069】
基材:
図に示されているものと同様のシステムを使用して、図3bに示されているように、それ自体の上に折り重ねられた不織布(スパンボンド不織布13gsm)からなる2積層物品を作製した。図3bの上流では、アプリケータは約5gsmの追加レベルの接着剤を塗布し、システムは300mpmのライン速度を有していた。
【0070】
ホットメルト接着剤
実施例1の試験シリーズは、Bostic(上海) Management Co.,Ltd.(中国、上海)から入手可能な市販のSBcベースのホットメルト接着剤である接着剤Aを使用した。接着剤Aは、90℃の環球式軟化点(「RBSP」;ASTM法E28-99)及び125℃で4,350cPsのブルックフィールド粘度(ASTM D 3236-88)を有する。DMA試験では、接着剤Aは12℃のガラス転移温度Tgと55℃のクロスオーバー温度Txを示す。
【0071】
実施例2の試験シリーズは、Bostic(上海) Management Co.,Ltd.(中国、上海)から入手可能な市販のEVAベースのホットメルト接着剤である接着剤Bを使用し、これは78℃のRBSP、及び140℃で4,100cPsのブルックフィールド粘度を有する。DMA試験では、接着剤Bは16℃のTgと75℃のTxを示す。
【0072】
実施例3の試験シリーズは、Bostic(上海) Management Co.,Ltd.(中国、上海)から入手可能な市販のSBcベースのホットメルト接着剤である接着剤Cを使用し、これは80℃のRBSP、及び125℃で5,137cPsのブルックフィールド粘度を有する。DMA試験では、接着剤Cは16℃のTgと80℃のTxを示す。
【0073】
接着剤を下の表1に示す温度に加熱し、ステンレス鋼である支持板を、接着剤A、B、及びCの様々な試験のために、開始前に表1に示す温度に加熱した。各試験の空気圧は0.75バールであり、オメガシステムのガンの高さは各試験で25mmだった。不織布を接着剤で4分間コーティングした後、運転を停止し、支持板を綿密に検査した。初期結合強度を定性的に決定し、2層積層体の巻かれたロールをブロッキングの兆候(すなわち、処理中の接着剤の裏抜けに起因する層間結合)について調べた。
【0074】
このプロセスで使用されたシステムは、図2a、3a、及び3bに示されるような、不織布基材をそれ自体の上に折り重ねる折り曲げアーム30a、30bを有していた。不織布基材が支持板18を通過するとき、不織布基材を裏抜けする(すなわち、貫通する)接着剤は、一般に、支持板18の表面上に、特に折り目線に、及び着地セグメント26と搬送セグメント28との間に鈍角αを形成する屈曲線33に沿って潜在的に蓄積する可能性がある。支持板18を所望の温度に加熱することは、裏抜け効果を排除しないが、支持板上の接着剤の蓄積を排除又は大幅に減少することが見出された。
【0075】
不織布を接着剤で4分間コーティングした後、支持板18上の接着剤の蓄積の強度を視覚的に評価し、0から5の定量的スケールによって与え、ここで「0」は目に見える接着剤の蓄積がセーラーボード上にない(接触によって証明されたものはない)ことを意味し、5は、支持板の屈曲線33に直接隣接する表面領域の少なくとも約90%のレベルでの接着剤の蓄積を意味する。1~4の評価は、ほぼ等間隔で割り当てられ、スコアが高いほど、蓄積が多いことを表す。1又は0の評価は商業的に許容できるスコアであり、つまり、製品の品質や歩留まりを著しく損なうことなく、また接着剤の蓄積による基材の破損による許容できないダウンタイムを引き起こすことなく、システムを商業規模でこれらの条件で稼働できることを意味する。蓄積パフォーマンスに対するこの変数の役割を決定するために、接着剤ごとにいくつかの支持板温度で運転を実行した。結果を以下の表1に要約する。
【0076】
【表1】
【0077】
試験結果によれば、支持板をより高温に加熱すると、接着剤の蓄積はより減少した。理論に拘束されることなく、この効果の理由は、支持板の温度が高くなると、支持板上に最初に蓄積された接着剤が軟化し、接着剤が、支持板上に蓄積する代わりに、不織布基材に選択的に残る可能性が高くなるためである可能性がある。
【0078】
SBcベースのホットメルト接着剤である接着剤Aの実施例1の試験シリーズにより詳細に目を向けると、支持板の温度を85℃以上に上げると、1又は0の許容可能な蓄積スコアが得られたことを確認することができる。スコアの傾向は、80℃でのこのシリーズの最低スコア2から、90℃及び95℃での最高スコア0への蓄積スコアの改善を示している。接着剤Aのクロスオーバー温度が55℃であるとすると、クロスオーバー温度より30℃高い温度で許容スコア1が達成され、クロスオーバー温度より35℃又は40℃高い温度で最高スコア0が達成されたことがわかる。支持板を不必要に加熱することは望ましくないので、より高い温度でのさらなる試験は行わなかった。
【0079】
EVAベースのホットメルト接着剤である接着剤Bの実施例2の試験シリーズに目を向けると、支持板の温度を95℃以上に上げると、1又は0の許容可能な蓄積スコアが得られたことを確認することができる。スコアの傾向は、80℃での最低スコア5から103℃での最高スコア0への蓄積スコアの改善を示している。接着剤Bのクロスオーバー温度が75℃であるとすると、クロスオーバー温度より20℃高い温度で許容スコア1が達成され、クロスオーバー温度より23℃高い温度で最高スコア0が達成されたことがわかる。支持板を不必要に加熱することは望ましくないので、より高い温度でのさらなる試験は行わなかった。
【0080】
SBcベースのホットメルト接着剤である接着剤Cの実施例3の試験シリーズに目を向けると、支持板の温度を100℃以上に上げると、1又は0.5の許容可能な蓄積スコアが得られたことを確認することができる。スコアの傾向は、80℃での最低スコア5から105℃でのこのシリーズの最高スコア0.5への蓄積スコアの改善を示している。接着剤Cのクロスオーバー温度が80℃であるとすると、クロスオーバー温度より20℃高い温度で許容スコア1が達成され、クロスオーバー温度より25℃高い温度でこのシリーズの最高スコア0.5が達成されたことがわかる。支持板を不必要に加熱することは望ましくないので、より高い温度でのさらなる試験は行わなかった。
【0081】
特定の特別の実施形態を参照して本明細書に図示及び記載されているが、それにもかかわらず、本発明は、示されている細部に限定されることを意図していない。むしろ、特許請求の範囲の均等物の範囲及びレンジ内で、そして本発明の趣旨から逸脱することなく、細部に様々な修正を行うことができる。特定の範囲又は数値制限が、数値の前に「約」という用語が付けられた状態で本明細書に提示されている。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数の文字上の支援、並びにその用語が先行する数に近いか又は近似する数を提供するために使用される。ある数が具体的に記載された数に近いか又は近似するかどうかを決定する際、近いか又は近似する記載されていない数は、それが提示される文脈において、具体的に記載された数の実質的な等価物を提供する数であり得、したがって、具体的に記載されている数又は値より10%低い又は高い数又は値を典型的に指す。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
【手続補正書】
【提出日】2021-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤を塗布するためのシステムを作動する方法であって、
前記システムの作動によって引き起こされる摩擦とは無関係に、支持板を、作動中の前記支持板上の接着剤の蓄積を少なくとも著しく低減するのに十分な温度まで熱源で加熱するステップと、
ホットメルト接着剤を透過性基材の接着剤受容面に塗布するステップであって、前記透過性基材は前記接着剤受容面の反対側にコンベヤ対向面を有するステップと、
前記透過性基材が搬送されるときに、前記透過性基材の前記コンベヤ対向面が前記加熱された支持板に接触するように、前記ホットメルト接着剤が塗布された前記透過性基材を搬送するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記加熱するステップが、前記支持板を、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃、好ましくは少なくとも約10℃、最も好ましくは少なくとも約15℃高い温度に加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱するステップが、前記支持板を、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約60℃、好ましくは最大で約50℃、より好ましくは最大で約45℃、最も好ましくは最大で約35℃高い温度に加熱することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接着剤が、少なくとも約500cPs、より好ましくは少なくとも約1,500cPs、さらにより好ましくは少なくとも約2,500cPs、最も好ましくは少なくとも約3,000cPs、及び最大で約35,000cPs、より好ましくは最大で約20,000cPs、さらにより好ましくは最大で約10,000cPs、最も好ましくは最大で約6,000cPsの粘度を提供する温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記支持板が着地セグメント及び搬送セグメントを含み、前記着地セグメント及び前記搬送セグメントが鈍角を形成し、前記透過性基材に搬送経路を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記搬送セグメントが、積層体を提供するために前記透過性基材をそれ自体の上に折り重ねることを引き起こす折り曲げアームを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記透過性基材が不織布基材であり、前記方法が、折り目線に対応する位置で前記不織布基材上に弾性ストランドを配置することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記支持板が金属である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
作動中に前記支持板の温度を監視すること、及び前記支持板の温度を制御するために熱又は冷却媒体を適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱又は冷却媒体を適用するステップが、前記支持板の温度を、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃、好ましくは少なくとも約10℃、最も好ましくは少なくとも約15℃高く、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも最大で約60℃、好ましくは最大で約50℃、より好ましくは最大で約45℃、最も好ましくは最大で約35℃高い温度に制御することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱するステップが前記システムの作動の開始前に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ホットメルト接着剤が塗布された前記透過性基材を、前記支持板に接触した後にニップローラまで搬送することをさらに含み、前記ニップローラは、前記ニップローラ上の接着剤の蓄積を少なくとも著しく低減するのに十分な温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ホットメルト接着剤を基材に塗布するためのシステムであって、
前記基材を搬送するための複数のローラと、
前記接着剤を前記基材に塗布するための接着剤アプリケータと、
前記接着剤が前記基材に塗布された後、前記基材に搬送経路を提供するための支持板と、
前記支持板に熱を供給するためのヒータと
を含むシステム。
【請求項14】
前記支持板を冷却するためのチラーをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記支持板の温度を感知するためのセンサと、前記支持板の温度を、前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約5℃~最大60℃高い間、好ましくは前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約10℃~最大約50℃高い間、最も好ましくは前記接着剤のクロスオーバー温度よりも少なくとも約15℃~最大約45℃高い間に維持するために、前記ヒータ、前記チラー、及び前記支持板の間で熱を移動するための熱制御システムとをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【国際調査報告】