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  • 特表-平面状材料及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(54)【発明の名称】平面状材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/04 20060101AFI20220615BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20220615BHJP
   E04F 13/16 20060101ALI20220615BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20220615BHJP
   C08L 97/02 20060101ALI20220615BHJP
   C08L 99/00 20060101ALI20220615BHJP
   D04H 1/425 20120101ALI20220615BHJP
   D04H 1/64 20120101ALI20220615BHJP
【FI】
B27N3/04 B
B27N3/04 D
E04F15/02 A
E04F15/02 J
E04F13/16 A
C08K7/02
C08L97/02
C08L99/00
D04H1/425
D04H1/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021559130
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2020050451
(87)【国際公開番号】W WO2020211988
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】19170159.8
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19183998.4
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501206633
【氏名又は名称】スイス・クロノ・テック・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SWISS KRONO Tec AG
【住所又は居所原語表記】Museggstrasse 14, 6004 Luzern, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ハッシュ,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】シュワインド,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】カルヴァ,ノルベルト
【テーマコード(参考)】
2B260
2E110
2E220
4J002
4L047
【Fターム(参考)】
2B260AA06
2B260AA20
2B260BA02
2B260BA05
2B260BA07
2B260BA11
2B260BA13
2B260BA15
2B260BA18
2B260BA26
2B260BA27
2B260CB01
2B260CB02
2B260CB04
2B260CD02
2B260CD03
2B260CD05
2B260CD30
2B260DA05
2B260DB01
2B260DB02
2B260DC02
2B260DC05
2B260DD02
2B260EA01
2B260EA05
2B260EA11
2B260EB02
2B260EB06
2B260EB11
2B260EB12
2B260EB13
2B260EB19
2E110AA05
2E110AB03
2E110AB04
2E110AB05
2E110AB14
2E110AB23
2E110BA02
2E110BB04
2E110EA06
2E110EA09
2E110GA33W
2E110GA42W
2E110GB43W
2E110GB44W
2E110GB48W
2E110GB49W
2E110GB54W
2E220AA12
2E220BB04
2E220FA01
2E220FA02
2E220GA22X
2E220GA27X
2E220GB33X
2E220GB37X
2E220GB43X
4J002AA00X
4J002AH00W
4J002FA04W
4J002FD020
4J002GC00
4J002GL00
4L047AA08
4L047BA15
4L047BC12
4L047BC14
4L047CC10
(57)【要約】
本発明は、リグノセルロース繊維及び結合剤を含む平面状材料に関する。繊維を使用することで膨潤が低減された平面状材料を提供するために、結合剤の割合が平面状材料の50重量%を超えることが提供される。また、本発明は、平面状材料を製造するための方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロース繊維(5)及び結合剤を含む、平面状材料を製造する方法であって、
前記結合剤ならびに任意に使用される可塑化添加剤の割合が平面状材料(1)の50%を超え、前記可塑化添加剤が、前記結合剤の主成分として使用されておらず、
リグノセルロース繊維(5)を供給し、以下の
前記結合剤を、好ましくは液体形態で供給し、ここで、前記結合剤は、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)又eMDIとして乳化された形態のもの、高分子ジフェニルメタンジイソシアネート(PDMI)、ポリウレタン、又は前述の結合剤の混合物を有し、液体可塑化添加剤が任意に使用され、
前記結合剤と任意に使用される前記可塑化添加剤を前記繊維(5)に適用し、
前記結合剤及び任意に前記可塑化添加剤を備えた繊維から繊維ケーキを形成し、
前記結合剤を硬化させながら前記繊維ケーキをプレス機でプレスして平面状材料(1)を形成する、
ステップを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記平面状材料の前記可塑化添加剤として、アクリレート、スチレンアクリレート、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、モノ又はジエチレングリコールが添加される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可塑化添加剤は、前記結合剤の固形物に対して、最大1:1、好ましくは0.7:1、特に0.2:1、有利には少なくとも0.01:1の比率で固形物として使用される、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記可塑化添加剤は、前記結合剤の前又は後に前記繊維に適用されるか、又は、前記繊維に適用される前に前記結合剤と混合され、そして前記繊維に適用される、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記平面状材料を製造するために、連続又は不連続プレス、特にホットプレスが使用される、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
プレス温度が、140℃から220℃、好ましくは160℃から180℃である、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
プレス圧力が、0.3N/mmから5.5N/mm、好ましくは1N/mmから3N/mmである、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
プレス時間が、6秒/mm(板厚)から60秒/mm(板厚)、好ましくは10秒/mm(板厚)から20秒/mm(板厚)である、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記繊維は、前記結合剤と任意に前記可塑化剤を用いて、湿潤、部分乾燥又は乾燥で提供され、前記結合剤及び任意に前記可塑化剤を適用するとき、前記繊維は、好ましくはその後に乾燥される、
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
リグノセルロース繊維(5)及び結合剤を含み、プレス機において、請求項1ないし9いずれか一つの方法に従って製造される平面状材料であって、
前記結合剤は、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、又eMDIとして乳化された形態のもの、高分子ジフェニルメタンジイソシアネート(PDMI)、ポリウレタン、又は前述の結合剤の混合物を有し、前記結合剤の割合は、前記平面状材料の50重量%を超える、
ことを特徴とする平面状材料。
【請求項11】
前記材料(1)は、天然繊維、合成繊維、無機繊維又は有機繊維、又は繊維の混合物を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の平面状材料。
【請求項12】
前記有機,天然繊維は、再生可能な原料からのリグノセルロース繊維、特に針葉樹木繊維、落葉樹木繊維、一年生植物からの繊維、又は竹繊維を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の平面状材料。
【請求項13】
前記合成繊維は、熱可塑性材料、特にポリエチレン又はポリプロピレンから形成された、又、ポリカーボネート、ポリアクリル、ポリメタクリル、又はポリウレタンから形成された繊維を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の平面状材料。
【請求項14】
前記無機繊維は、鉱物、セラミック、又はガラス材料から形成された繊維を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の平面状材料。
【請求項15】
アトロウッドに対する前記結合剤の割合が、101重量%を超え、120重量%を超え、150重量%を超え、200重量%を超える、
ことを特徴とする請求項10ないし14いずれか一つに記載の平面状材料。
【請求項16】
前記平面状材料(1)は、骨材、特に非吸湿性又は非膨潤性の充填剤を有する、
ことを特徴とする請求項10ないし16いずれか一つに記載の平面状材料。
【請求項17】
前記骨材として、鉱物、セラミック、合成物、又はガラス粒子が使用される、
ことを特徴とする請求項16に記載の平面状材料。
【請求項18】
前記平面状材料(1)は、疎水剤、例えばパラフィン又はワックスを有する、
ことを特徴とする請求項10ないし17いずれか一つに記載の平面状材料。
【請求項19】
リグノセルロース繊維(5)及び結合剤を含む前記平面状材料(1)は、最大3%、好ましくは最大2%、好ましくは1%未満の厚さの膨潤を有する、
ことを特徴とする請求項10ないし18いずれか一つに記載の平面状材料。
【請求項20】
請求項10ないし19の少なくとも一つに記載の平面状材料の使用であって、
前記平面状材料(1)が、湿った部屋及び濡れた部屋のとき、内装仕上げとして、特に床板又は床ラミネートとして、壁又は天井板として、家具ボードとして使用され、屋外構造において、ファサードボード又は屋根として、厩舎のため、デッキ又は屋外床を含むテラス構造のため、及び屋外建造物、特に屋外家具として使用される、
ことを特徴とする平面状材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状材料及びその製造方法並びに平面状材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リグノセルロース繊維で作られた平面状(平板状)材料は、その製造は費用対効果が高く、技術的に確立されているため、多くの用途で使用されている。例えば、高密度繊維板(HDF)の使用は一般的であり、木質繊維が結合剤を使用して一緒にプレスされて板(ボード)が形成され、通常、合成樹脂を含浸させた紙でコーティングされる。このコーティングは、圧力と温度の影響下で硬化するため、しっかりと結合されたラミネート(積層体)が形成される。このラミネートは切り取られ、その断片(ピース)が、例えば、接着されていない床の敷物として使用されるべく、そのエッジ(縁部)においてプロファイルすなわち輪郭付けされる。しかしながら、その材料はプロファイルされたエッジにおいて露出する。水の存在下では、露出したエッジの木質繊維が吸水により膨潤し始め、木質板の形状の変化に繋がる。この場合、水は自由に流れる水あるいは高湿度であると考えられ得る。例えば、季節や技術的条件によって引き起こされ得る高湿度は、膨潤が大部分は可逆的であり、膨潤が乾燥によってほとんど元に戻ることができるとしても、ラミネートの使用を禁止する場合がある。ただし、膨潤を完全に元に戻すことはできないため、最初の膨潤の後に、見苦しい開いた隙間が残る。
【0003】
ラミネートの代替品は、木質繊維とプラスチックの押し出し混合物である木質プラスチック複合材(WPCs)であり、例えば、DE102007041438A1、US5,985,429A、CN109249491A1、及びUS2004/0235983A1に記載されている。プラスチックの割合(比率)が十分に高いため、WPCは水又は湿気のそれぞれの影響下で寸法的に安定している。しかしながら、製造には、より大きな寸法の平面状材料の製造には適さない押出機を使用する必要がある。
【0004】
最後に、非膨潤性の平面状材料を製造することができ、木質繊維又は他の木材成分を含まない材料が、利用可能である。したがって、それらは、大量に入手可能であり、優れた強度特性を有する再生可能な原材料なしで行う。これらには、例えば、原材料としての石-プラスチック複合材料(SPCs)又はポリ塩化ビニル(PVC)が含まれる。ここでは通常、ハロゲン又はテレフタレートが使用されるため、これらの製品は環境の観点から不利である。本発明に係る平面状材料は、低排出又は排出がない、特に、ホルムアルデヒドの放出を大幅に削減又は回避できるため、ホルムアルデヒドの放出に関するカリフォルニア州の規制CARB2に準拠することができる。揮発性有機化合物(VOCs)も、大部分又は完全に回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE102007041438A1
【特許文献2】US5,985,429A
【特許文献3】CN109249491A1
【特許文献4】US2004/0235983A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、膨潤が低減された繊維を使用して製造された平面状材料及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の方法及び請求項10に記載の平面状木質材料によって達成される。本発明に係る平面状材料の使用は、請求項21に記載されている。
【0008】
本発明は、繊維及び結合剤を含む平面状材料に関するものであり、結合剤の割合が平面状材料に対して50重量%を超えることを特徴とする。本発明の文脈における繊維は、伸長された固体粒子であり、すなわち、それらの直径は粒子の最長寸法よりも何倍も小さい。繊維の寸法は広い範囲で選択でき、それらは特にボードの厚さによって及び平面状材料の均一性の仕様に従って決定される。繊維の直径は、10μmから5mmであり、繊維の長さは、0.05mmから100mmである。
【0009】
したがって、平面状材料は、繊維よりも結合剤の割合が高くなる。結合剤の割合は、繊維に関連して表すこともでき、つまり、結合剤の割合は、使用する繊維の重量を基準にして示すことができる。水分を吸収できる吸湿性繊維(例えば、リグノセルロース繊維)の場合、繊維の割合は、一定重量まで乾燥した繊維、通常は105℃で一定重量まで乾燥した繊維(アトロ繊維:完全乾燥繊維)として与えられる。その場合、平面状材料中の結合剤の割合は、繊維の割合に対して100重量%を超える。
【0010】
本発明に係る平面状材料には、有機繊維又は無機繊維を使用することができる。天然繊維、例えばリグノセルロース繊維、綿又はリネン繊維、又は、ポリエチレン又はポリプロピレンのような熱可塑性材料で作られた繊維、或は又、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、あるいはポリウレタンで作られた繊維のような合成繊維を本発明に係る材料の製造に使用することができる。炭素繊維、鉱物又はセラミック原料で作られた繊維、又はガラス繊維のような無機繊維は、特に平面状材料の製造のために他の繊維との混合物に適している。特に、繊維の混合物、特に前述の繊維の混合物は、本発明に係る材料の製造に使用することができる。繊維の混合物は、本発明に係る材料の特性、例えば、弾性又は曲げ特性、寸法安定性、強度だけでなく、製造特性又は加工性をそれぞれ調整することを可能にする。再生可能な原材料で作られた繊維、特にリグノセルロース繊維、例えば、木材、竹、又は一年生植物で作られた繊維が使用される場合、費用対効果が高く、容易に処理できる繊維が利用可能である。天然繊維は、好ましくは未処理で使用され、すなわち、繊維成分のセルロース及びリグニンの特性、及び該当する場合のヘミセルロースは、化学的方法によって変更されない。吸湿性繊維の使用は、特に、本発明による材料の製造又はそれぞれのプレスの前にこれらが少なくとも部分的に乾燥される限り、排除されない。
【0011】
上記のリグノセルロース繊維は、特に、化学的又は物理的方法によって植物から得られた全ての繊維を含む。物理的に得られる繊維の典型的な例は、針葉樹繊維、落葉性木質繊維、又は竹繊維、又は機械的解繊によって得られた他の有機原料からの繊維である。化学的に得られる繊維の例は、例えば、木材、一年生植物、又は他の原材料、特に再生可能な原材料からのパルプ繊維である。特に典型的には、機械的解繊からの木材繊維が使用され、そこでは、リグニン及びヘミセルロースの損失を可能な限り最小限に抑えることが求められる。繊維の混合物は、特に材料の特性(強度特性、重量)を調整するために使用することもできるが、コストを最適化した方法で原材料繊維を使用するためにも使用することができる。本発明の文脈では、繊維は繊維束でもある。これには、繊維が結合剤で大部分をコーティングされ得る限り、小さな削りくずも含まれる。
【0012】
本発明に係る材料は平面状(平板状)であり、すなわち、それは典型的には二つの主面を有し、これらは以下では上面及び下面とも呼ばれる。材料の狭い面又はエッジは、上面と下面の間に配置される。完成した平面状材料の厚さは、0.8mmから500mm、典型的には1mmから80mmの間、通常は3mmから30mmの間であり得る。典型的な用途では、4mmから10mm、特に4mmから7mmの平面状材料の厚さが必要になる場合がある。本発明に係る材料は、平坦な主面を有することができるが、上面及び/又は下面は別の方法でインプリント(刻印)、フライス盤加工、又は機械加工することができ、その結果、材料の面に対して厚さを可変にできる。材料は、好ましくは、厚さ全体に亘って実質的に均質な組成を有する。その高さが材料の厚さに対応するエッジは、一般的な工具で加工することができる。それらは、鋸で引き切るか、切断するか、又はフライス盤加工することができる。本発明に係る平面状材料は、その最大の長さ及び幅が、材料の製造に使用される利用可能なプレス機によってのみ制限される。より小さな寸法は、平面状材料を分解する(バラバラにする)ことにより製造することができる。平面状材料の一般的な寸法は、プレス機での製造後は5600mm(長さ)×2070mm(幅)、床、壁、又は天井パネルに分離した後は1380mm×195mm、あるいは3048mm×2800mmである。最後のフォーマット(寸法規格)は、ボードの幅が床の高さを有するため、建築での使用に特に適している。
【0013】
本発明に係る平面状材料は、多くの用途で使用することができる。それは、例えば、室内設備又は家具の製造のために、床、天井及び/又は壁装材として、特に車室などの車両の内装仕上げのために、あるいは屋外で、外装材として、例えば取り付けられたファサードとして、及び構造的な使用のために、使用することができる。本発明に係る平面状材料は、別の方法で、コーティングされ、染色され、塗装され、又は装飾的に設計されることができる。特に、例えば木質材料の分野で知られているように、表面コーティングは、本発明に係る材料の表面に適用することができる。さらに、本発明に係る平面状材料は、サンドイッチボードの構成要素として使用することができ、これは、本発明に係る材料を、同じ又は異なるフィルム又は平面状材料、特に木質材料ボードだけでなくプラスチックのボード又はフィルムにも接続して、サンドイッチボードを形成することを意味する。
【0014】
本発明に係る材料は、繊維で平面状材料に形成されるプラスチック、特に熱可塑性プラスチックではなく、むしろ繊維との凝集性及び/又は接着性の相互作用に入る結合剤が使用されるという点で、上記のWPCとは異なる。そのような結合剤は、例えば、先行技術による木材製造で知られている。本発明に関して使用される結合剤は、好ましくはメラミンを有する。メラミンは、水溶液中でメラミン樹脂として使用され、メラミンの固形分は、水溶液に対して好ましくは少なくとも45重量%であり、有利には、固形分は50重量%を超える。固形分の上限は、その溶解度によって、及び該当する場合は、例えばスプレーノズルにおけるメラミンの加工性によって与えられる。メラミンは、非膨潤性及び非吸湿性であり、加水分解に耐性があるため、結合剤として好ましい。メラミンは、結合剤として単独で使用することも、一つの又はそれ以上の複数の他の結合剤と組み合わせて使用することもできる。本発明に関連して、“組み合わせて”とは、結合剤の混合物を使用できることを意味し、ここで、二つ又はそれ以上の結合剤の混合物のいずれかが、例えばMF樹脂(メラミン-ホルムアルデヒド樹脂)として繊維に同時に適用される。または、例えば、それらが混合物で使用できないため又は異なる結合剤の別々の適用が有利な効果を有するために、次々に使用される結合剤の組み合わせが使用される。上記のメラミンと組み合わせて又は代替として、ホルムアルデヒド、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、又eMDIとして乳化された形態で、又は高分子ジフェニルメタンジイソシアネート(PDMI)などの追加の結合剤を使用できるが、ポリウレタンも使用できる。フェノール樹脂は、耐水性があるが、色が濃く、使用に不利である。上記のように、二つ又はそれ以上の結合剤を組み合わせて使用することもできる。結合剤は、主にメラミンを有することが好ましい。結合剤中のメラミンの割合が20重量%、特に50重量%を超えることがさらに好ましい。好ましくは、尿素は吸湿性を助長し、それ故にリグノセルロース繊維の膨潤を助長するか、又はそれぞれそれを防止しないので、結合剤は尿素を含まない。熱可塑性の結合剤は有利には回避される。本発明に係る平面状材料は、好ましくは、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素)を含まないが、テレフタレートも含まない。
【0015】
有利な実施形態によれば、平面状材料の弾性特性は、可塑化添加剤として使用されるエラストマー又は熱可塑性プラスチックを添加することによって、例えばポリ酢酸ビニル(PVAc)又はエチレン酢酸ビニルを添加することによって、変更、特に改善することができる。アクリレート、スチレンアクリレート又はポリウレタン(PU)は、それらが耐水性であるため、特に分散のような液体添加剤の形態で、本発明に係る平面状材料を可塑化するために好ましく使用される。好ましくは、TGのガラス転移温度が0℃未満のアクリレート、スチレンアクリレート、及びPUが使用される。しかし、モノエチレングリコール又はジエチレングリコールは、平面状材料の可塑化にも適している。上記の可塑化添加剤は、それぞれ単独で使用することも、混合して使用することもできる。エラストマー又は熱可塑性プラスチックの添加は、平面状材料の脆性を低減し、本発明に係る平面状材料の弾性特性、例えばE弾性率を改善する。さらに、可塑化添加剤を添加すると、平面状材料がより簡単に平らになる。可塑化添加剤は、使用する合成樹脂の固形分量に比例して計算される固形分として使用される。可塑化添加剤は、合成樹脂に対して、1:1、好ましくは0.7:1、特に0.2:1、有利には0.01:1の比率で使用される。したがって、可塑化添加剤は、好ましくは、結合剤の主成分として、特に定量的主成分としては使用されない。可塑化添加剤は、繊維に適用する前に、例えば、結合剤、例えばメラミン樹脂に添加され、結合剤と一緒に繊維に適用される。あるいは、可塑化のためのエージェント(剤)は、結合剤の前又は後に繊維に適用され得る。
【0016】
結合剤は、該当する場合に可塑化添加剤が添加されて、本発明に係る平面状材料の最大の割合、通常は本発明に係る材料の主要な割合を形成する。好ましくは、平面状材料は、繊維の割合に対して、100重量%を超えて、例えば、101重量%又は102重量%から120重量%の結合剤を有する。有利には、その材料は、それぞれの場合において繊維の割合に対して、150重量%を超える結合剤、特に好ましくは200重量%を超える結合剤、最大500重量%の結合剤を有する。
【0017】
本発明に係る材料の密度は、好ましくは1000kg/mから1800kg/mの間、特に1000kg/mから1600kg/mの間、有利には1000kg/mから1300kg/mの間、特に有利には1030kg/mから1200kg/mの間である。本発明に係る材料は、結合剤の高い使用の結果として、例えば、木質材料、例えば主にリグノセルロース繊維を定量的に有するHDFボードと比較して、例えば1000kg/mから1200kg/mの間のより高い重量を示している。
【0018】
材料は、好ましくはフィラー(充填剤)を有する。フィラーは、平面状材料の重量を最適化するために、通常はそれを最小化するために、又は結合剤と繊維によって形成されるマトリックス構造をさらに改善するために、骨材として貢献することができる。骨材又は骨材の組み合わせは、代替的又は追加的に、ボードの特定の特性、例えば、導電性、絶縁特性、又は強度特性を最適化するのに役立つことができる。骨材は、本発明に係る材料の繊維に置き換わる。材料は、水の存在下で最小限の膨潤、特に厚みの最小限の膨潤を有するべきであるため、非吸湿性又は非膨潤性の骨材及び加水分解に耐性のある骨材が好ましい。このような骨材は、鉱物粒子だけでなく、セラミック、合成又はガラス粒子でもかまわない。炭酸カルシウム(CaCO)及び/又は重晶石(BaSO)も骨材として使用することができる。粒子のサイズは、好ましくはミリメートル以下、好ましくは10μmから800μmの間である。異なる粒子の混合物、例えば、異なる材料又はサイズの混合物も使用することができる。平面状材料の総重量に対して最大30重量%、特に好ましくは最大20重量%、有利には最大15重量%が使用される。使用量の下限は、骨材の検出可能性に起因する。骨材は、結合剤を適用する前又は後に、好ましくは噴霧によって、繊維に適用することができる。
【0019】
本発明の有利な実施形態によれば、平面状材料は、疎水剤、例えば、パラフィン又はワックスを有し、これらは、通常、平面状材料の重量に対して最大5重量%の量で、通常は最大2重量%の量で、多くの場合0.1重量%から1重量%の量で使用される。また、疎水剤の使用は、平面状材料の膨潤傾向の低減に寄与する。
【0020】
また、本発明は、繊維及び結合剤を含む平面状材料を製造する方法に関し、ここで、平面状材料中の結合剤の割合は、50重量%を超え、以下の:
-繊維を供給し、
-結合剤を、好ましくは液体の形で供給し、
-繊維に結合剤を適用し、
-繊維ケーキを形成し、
結合剤を硬化させながら繊維ケーキをプレス機でプレスして、平面状材料を形成する、
ステップを有する。
【0021】
この方法のステップは、例えば、プレス機で木質材料ボードを製造するための従来の方法のステップに対応する。しかしながら、本発明によれば、既に知られているように、より大量の結合剤が使用されるので、結合剤の重量の割合は、繊維の重量の割合よりも大きい。
【0022】
合成繊維又は無機繊維を使用する場合は、繊維上の結合剤を少なくとも部分的に乾燥させる必要がある場合がある。繊維に水分がある場合、これは、例えば、リグノセルロース繊維の場合に一般的であり、繊維ケーキをプレスする前に水分含有量を調整して、プレス後に寸法が安定した、膨潤しない又は収縮しないボードが存在するようにする必要がある。リグノセルロース繊維は、接着前に最大120重量%又はそれ以上の水分で使用されることがよくある。リグノセルロース繊維は、結合剤が適用される前又は後に乾燥させることができる。プレス中において、リグノセルロース繊維は、最小3重量%から最大15重量%の水分含有量を有することが好ましく、これは、繊維の総重量に対して少なくとも3重量%から15重量%の水分含有量を意味する。
【0023】
結合剤は、一般的には液体の形で提供される。それは、純粋な形で、又は典型的なように溶液中で、溶媒又は水中であるいは分散液又は乳濁液として提供することができる。結合剤は、通常、例えば結合剤のスプレーミストを生成し、繊維の下流の流れの周りに配置される複数のスプレーノズルにより噴霧することによってリグノセルロース繊維に適用される。乾燥装置の典型的な設計は、例えば、ファイバーボードの製造に使用されるブローラインである。繊維の表面は、結合剤の液滴で又は結合剤のミストで湿っている。それらが最適に乾燥された後、結合剤で湿った繊維は、繊維ケーキに形成されてプレスされる。この過程で、結合剤は硬化し、平面状材料が形成される。繊維ケーキの上面と下面において実質的に圧力と温度の影響下で行われる硬化中に、WPC製品とは対照的に、繊維と結合剤の間だけでなく、結合剤内でも不可逆的な化学結合が確立される。本発明に係る方法は、混練及び押し出しの労力を回避する。
【0024】
驚くべきことに、プレス条件は、特に、本発明と比較して結合剤の割合が低い既知の木質材料の条件と実質的に同じであることが見出された。圧力及び温度並びにプレス時間は、例えば、一般的なHDFボード(高密度繊維板)の範囲内である。本発明に係る材料は、木質材料を製造するために使用されるようなプレス機で見事に製造することができる。特に、連続又は不連続のホットプレス、例えば、循環する加熱された金属ベルトを備えた連続ダブルベルトプレス又はサイクルで動作するプレスである。これにより、WRCsとは対照的に、幅が約30cmの狭い板のフォーマット(寸法規格)の製造に限定されないボードフォーマットを製造することができる。むしろ、木質ボードに典型的な従来のボードフォーマットを提供することができる。
【0025】
木質材料には一般的であるように、繊維ケーキは、一般に散乱(scattering)によって製造される。結合剤の全量で新たに接着されるか好ましくは乾燥される繊維は、通常コンベヤーベルト上で、通常均質な層であるいは複数の層で、キャリア上に散乱され、それらの層は、繊維、結合剤又は添加剤に関して異なる組成を有することができる。散乱された繊維ケーキは、適用できる場合、最初に予備プレスを介してキャリア上をガイドされ、次にプレス機でプレスされる。プレスは、繊維ケーキの上面と下面、又は平面状材料にそれぞれに作用する。
【0026】
十分な圧力と温度を加える任意のプレスが適切であり、材料が二つのプレート間でプレスされるプレートプレス、特に材料が二つの循環する金属ベルト間でプレスされる連続プレスの両方である。好ましくは、ホットプレスが使用され、そのプレスプレート又は循環金属ベルトは、指定された温度に加熱される。適切なプレス温度は、140℃から220℃、好ましくは160℃から180℃の範囲で選択することができる。ボードが薄いほど、選択されるプレス温度は低くできる。適切なプレス圧力は、例えば、0.3N/mmから5.5N/mmの範囲内、特に1N/mmから3N/mmの範囲内である。プレス時間は、有利には、6秒/mm(ボード厚さ、板厚)から60秒/mm、通常は10秒/mmから20秒/mmである。連続プレスでは、プレスによって平面状材料が生成される循環金属ベルトの送り速度は、通常、350mm/秒から400mm/秒の間である。
【0027】
繊維ケーキを圧縮するための予備プレスは、実際のプレス過程の上流に配置することができる。任意的に、平面状材料を冷却するための装置をプレスの下流に配置することができ、特に、材料のプレス中のプレス圧力よりも低くすることができる特定のプレス圧力の下で冷却するための装置を配置することができる。
【0028】
上記の骨材、湿式強化剤又は疎水剤は、一般的には繊維ケーキの形成前又は形成中に、本発明に係る材料に添加することができる。
【0029】
本発明に係る方法に従って製造された材料は、好ましくは、実質的に結合剤、任意的に可塑化添加剤を有する表面を備え、特に好ましくは結合剤又は可塑化添加剤からなる表面を有する表面を備える。特に、リグノセルロース繊維などの吸湿性繊維を使用する場合、厚みの膨潤を可能な限り最適化するために、材料の表面にできるだけ少ない繊維を有することが求められる。液体状の又は例えば湿気としての水分は、吸湿性繊維によって吸収され、これが材料の膨潤をもたらす。これは望ましくない。平面状材料中の結合剤の高い又は優勢な割合は、主に又は完全に結合剤を含み、適用できる場合可塑化添加剤を含み、又は吸湿性繊維を殆ど又は全く含まない、材料の表面を可能にする。
【0030】
本発明に係る材料は、木質材料ボードのように、例えば、HDFボードのように、機械加工することができる。その表面は、コーティング、インプリント、又はフライス盤で加工でき、そのエッジは、例えば床パネルを製造するために、プロファイルされる(輪郭付けされる)ことができる。本発明に係る平面状材料は、合成樹脂含浸紙で積層することができ、又、それは、別の方法で、印刷、塗装、艶出し、又は機械加工することができる。本発明の利点として、平面状材料を既存の装置上で機械加工及び処理できることが考慮されるべきである。
【0031】
さらに、本発明は、結合剤でリグノセルロース繊維を接着するための手段を有する、上記の平面状材料を製造するための装置を含み、既に接着済のリグノセルロース繊維を接着するための手段を有する。ここでの“接着”という用語は、結合剤を適用することを意味する。繊維を接着するための手段は、液体として供給される結合剤からスプレーミストを生成するノズルとして有利に設計される。繊維は、結合剤のスプレーミストを通って導かれ、次にスプレーミストの結合剤液滴が繊維上に堆積される。リグノセルロース繊維を接着するための既知の手段は、接着されるべき繊維に対して最大30重量%の結合剤を適用するように構成される。本発明に係る方法は、接着されるべき繊維が、結合剤が繊維に十分に適用されるまで、複数回に亘って接着するための既知の手段を通過するという点で達成され得る。しかしながら、本発明によれば、接着される繊維が複数の接着手段に沿って搬送されるように、複数の既知の接着手段を配置することが提案され、接着のための各々の手段は、少なくとも50重量%を超える平面状材料の所望の総量が繊維に適用されるまで、リグノセルロース繊維に部分量の結合剤を適用する。したがって、接着されていない繊維(結合剤を含まない繊維)を接着するための既知の手段に加えて、その上に結合剤の一部が既に適用されている既に(事前に)接着された繊維を接着するための追加の手段が使用される。
【0032】
本発明に係る平面状材料は、繊維、結合剤、充填剤、および適用できる場合はワックスなどの他の添加剤の異なる組み合わせを通して、様々な要件に適合させることができる。したがって、上記の特徴は、それぞれ自由に組み合わせることができる、という事実が明示的に参照される。
【0033】
また、本発明は、上記の平面状材料の使用に関する。それは、最小の膨潤、特にエッジの領域における厚さのほぼ完全に減少した膨潤のために様々な用途で使用できるという点において、本発明に係る平面状材料を特徴付ける。内装仕上げでは、平面状材料は、例えば、フロアボード(床板)又はフロアラミネート(床積層材)として使用することができる。ここでは、例えばHDFフロアパネルとは対照的に、ボードのコアが湿気に自由に曝され得るエッジのプロファイルがもはや水や高湿度の影響で大幅に膨張せず乾燥中に収縮もしなくなるため、湿気の多い部屋や濡れた部屋での使用も可能である。元のボードの厚さに対して3%未満、好ましくは2%未満の厚さの膨潤は、本発明の文脈では重要ではないと見なされる。厚さにおける最小の膨潤のために最適化された本発明に係る平面状材料は、DIN317に準拠した厚さの膨潤、又は、僅か0.5%から1%のDIN13329に準拠したエッジの膨潤を有する。したがって、本発明に係る平面状材料は、低膨潤性であり、又は、元の板の厚さに対して最大1%の厚さの最大膨潤に達したとき、膨潤がなく寸法的に安定する。したがって、水又は湿度に対して寸法的に安定である平面状の実質的に非膨潤性の材料を、例えば、木質材料ボードを製造するための既知の装置上で製造することができ、その材料は狭いフォーマット(寸法規格)に限定されず、好ましくは再生可能な原材料の使用を最大化する。
【0034】
勿論のこと、本発明に係る平面状材料は、壁又は天井板として、特に湿った部屋及び濡れた部屋又は実験室及び技術室又は作業場を仕上げるときに、家具板として使用することもできるが、これらに限定されない。外装構造において、本発明に係る材料は、ファサードボード又は屋根材として適している。本発明に係る平面状材料は、例えば、デッキ又は屋外フローリングを含むテラス構造に使用することができる。このようにして、屋内及び隣接する屋外エリア(テラス、バルコニー、ファサード、アクセスパス)に、同じフローリング又はフロアカバーを使用することができる。好ましくは、本発明に係る平面状材料は、屋外構造に、特に家具(建具)に使用することができる。ワークショップ、生産施設、又は厩舎の仕上げは、例えば、本発明に係る材料を用いて問題なく行うことができる。平面状材料は、随意にパネルとして設計でき、必要に応じてエッジにプロファイル(輪郭)を設けることができる。プロファイルは、好ましくは二つのパネルを互いに固定するのに役立つ。あるいは、隣接して配置された二つのパネルは、直接隣接するパネル同士のギャップの横(側面)の領域に配置された両面粘着テープによってそれらのエッジで固定することもできる。直接隣接するパネル同士又はボード同士を接着することも可能であり、そこでは、耐水性の接着剤が好ましく使用される。
【0035】
本発明に係る平面状材料は、良好な強度特性、特に、少なくとも2.5N/mm、好ましくは最大3N/mm、特に最大4N/mmである高い横方向の引張強度を有する。本発明に係る材料は、高い圧縮強度を有する。良好な強度特性の結果として、個々の固定手段がボード内でより良好に保持されるため、本発明に係る材料で作られたボードを固定するために使用しなければならない固定手段、例えばネジ等が少なくなる。また、より高い横方向引張強度は、本発明に係る材料で作られたボードのより激しい機械加工、例えば、ボードの横方向のエッジに複雑なプロファイルをフライス盤加工することを可能にする。例えば、二つのインターロッキングボードを垂直方向と水平方向の両方に位置合わせする複雑なプロファイルを、厚さが僅か4.3mmのボードの横(側面)のエッジに取り込むことができる。高い圧縮強度は、平面状材料において高い点荷重を可能にし、例えば、車両の荷積み床のため又は保管場所の床として適している。平面状材料の高い曲げ剛性により、構造要素として、例えば壁補強材として使用することができる。
【0036】
本発明の詳細は、例示的な実施形態に関して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明に係る平面状材料の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図は、上面2及び下面3並びにエッジ4を有する平面状材料1を示している。材料は、結合剤に埋め込まれた繊維5を有する。結合剤の割合は、平面状材料の50重量%を超える。したがって、繊維5よりも多くの結合剤がある。天然繊維、合成繊維、有機繊維、及び無機繊維は、個別に及び混合して、繊維として使用できる。木材、セルロース、リネン繊維などの吸湿性繊維も使用できる。メラミンは、好ましくは結合剤として、しばしばホルムアルデヒド又はフェノールと組み合わせて使用されるが、PDMIとの混合物としても使用される。繊維と結合剤の組み合わせの例は、以下に述べられる。
【0039】
例示的な実施形態1
結果を以下の表1に示す実験では、リグノセルロース繊維、この場合は針葉樹繊維を使用した。繊維は、リファイナー(精製機)での解繊を通して、蒸した木材チップから製造された。代わりになるものとして、他のリグノセルロース繊維又はそのような繊維の混合物を使用することができる。針葉樹繊維は、接着する前に、水分120%で使用され、プレスする前に、それらはその上に配置された結合剤と共に8%の残留水分まで乾燥され、つまり、1トンの繊維には80kgの水が含まれる。
【0040】
この実験では、アトロウッドに対して100重量%を超える、この場合は108重量%の結合剤が使用され、ここでは、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)を含む結合剤が使用される。結合剤に使用したメラミン-ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)は、60%の固形分濃度(60分/120℃で測定)を有した。したがって、108gのMF樹脂を含む180グラムの液体結合剤が、液体含有量(60%の固形分濃度で108g=180g)を考慮して、100グラムのアトロ繊維材料(アトロウッド)に適用された。ここで“アトロウッド”とは、105℃で一定重量まで乾燥させたリグノセルロース繊維を指す。“アトロウッド”は、リグノセルロース繊維を含む配合物の典型的な参照尺度である。他の例示的な実施形態は、結合剤の絶対的使用に基づく。
【0041】
さらに、アトロウッドに対して1.2重量%のパラフィンが使用される。
【0042】
結合剤は、4回のパスでリグノセルロース繊維に適用(塗布)され、パスごとに27重量%が繊維に適用される。液体結合剤は、繊維を接着するための既知の装置のノズルを通して噴霧される。ノズルによって生成されたスプレーミストは、スプレーミストを通過する、例えば、結合剤のスプレーミストを通って上から下向きに落下する、繊維の表面に凝縮する。
【0043】
繊維を接着するための装置の後に、乾燥のための手段で接着された繊維の乾燥が続く。例えば、加熱された空気を繊維に適用する熱風トンネル又はダクトである。乾燥の目的は、全ての液体を完全に除去することではなく、結合剤が貼り付かなくなる程度まで乾燥させることである。圧力及び/又は温度の影響下での硬化中の結合剤の反応性は、乾燥によって悪影響を受けてはならない。
【0044】
乾燥後において、繊維は、保管されるか、接着されるか又はさらに処理されることができる。先ず、接着のための装置を通る2回目のパスが到来し、そこで再び、27重量%のMF樹脂が、最初のパス後に既に接着されている繊維に噴霧される。接着された繊維は、2回目のパスの後、互いに接着又は貼り付かなくなるまで乾燥される。同様に、接着のための装置及び乾燥のための手段を通る3回目及び4回目のパスが行われる。代わりになるものとして、110重量%の結合剤が、1つ又は2つのパスで、或は5つ又はそれ以上のパスで、繊維に適用され得る。パスごとに繊維に適用される結合剤の量は、パスごとに異なる。
【0045】
各々のパスの後、接着された繊維の一部が除去され、処理されて、厚さ7mmの平面状材料が形成される。これは、繊維ケーキをスキャッタリング(散乱、飛散)させることによって生じ、繊維ケーキは、既知の連続動作ダブルベルトプレスにより、180℃、圧力2.5N/mm、プレス時間15秒/mmで、プレスされる。この方法で作製されたボードは、5.5mmの厚さ及び1050kg/mの密度を有する。参考として、一方では、結合剤の添加を増やさずに同じ条件下で製造された平面状材料が検査される(表1、パス0)。
【0046】
この方法で製造された平面状材料は、DIN317に準拠した膨潤と、DIN13329に準拠したエッジの膨潤について検査される。厚さの膨潤は、開始時の厚さ7mmに対する絶対変化をmmで、又、相対的な変化を(%)として、材料のエッジにおいて決定される。
【0047】
【表1】
【0048】
結合剤を添加していない平面状材料(パス0)では、表1による厚さの膨潤は、予想どおり、最大で23%近くになる。毎回27重量%のMF樹脂が適用される各々のパスは、平面状材料のエッジにおける厚さの膨張を低減させる。アトロウッドに対して108重量%の結合剤が使用されると、1.83%という非常に低い値のエッジ膨潤が達成される。
【0049】
例示的な実施形態2
例示的な実施形態2における平面状材料の繊維割合については、50:50の異なる繊維の混合物、この場合、例えば、木質繊維と炭素繊維、あるいは例えば再生紙繊維とガラス繊維、あるいは鉱物繊維とセルロース繊維が、使用される。ここで、天然繊維(木材、再生紙、セルロース繊維)は、好ましくは接着する前に乾燥され、繊維は、接着及び接着剤の随意の乾燥の前又は後に混合されることができる。どちらのバリエーションも、接着された繊維の均一な混合物を生成することを可能にし、それを散乱させて繊維ケーキを形成することができる。他の点では、例示的な実施形態2は、結合剤の使用及びパラフィンの使用に関して、例示的な実施形態1と同一である。
【0050】
例示的な実施形態3
例示的な実施形態3は、50部のポリエチレン繊維、及び20部の炭素繊維、及び10部の骨材,例えばガラス,鉱物又はセラミック粒子が、繊維割合を形成し、115重量%の接着剤で、この場合例えばMF樹脂で接着される、繊維と結合剤の混合物に関する。繊維/骨材/結合剤の混合物は、他の点では、例示的な実施形態1のように処理される。
【0051】
例示的な実施形態4
繊維と結合剤で形成されたボードは、床の敷物(フロアカバー)の製造に使用でき、又、装飾的な表面で、特に合成樹脂を含浸させた紙又は塗装のいずれかでコーティングできるものが製造されるべきである。密度が約550kg/mの40重量%の繊維と55重量%の結合剤この場合メラミンの割合が60%を超えるMF樹脂が、使用される。さらに、5重量%の他の材料、この場合は1.5重量%のパラフィンと3.5重量%の灰色染料が使用される。染料は、平面状材料に均一な色を与えるために使用される。
【0052】
上記の組成をなす平面状材料は、工業用連続プレスで製造され、同じ繊維材料から製造されたが結合剤の割合が15重量%で密度が880kg/mのHDFボードと比較される。
【0053】
【表2】
【0054】
上記の表2は、二つのボードの比較を示したのであり、ボードの厚さはグロス値(サンディング前)としてmmで示され、密度はkg/mで示されている。ボードは、それぞれ、横方向の引張強度(DINEN319)、膨潤(EN317に準拠して測定)、及びエッジの膨潤(EN13329に準拠して測定)に従って評価された。
【0055】
本発明に係るボードは、繊維割合が高いため、ファイバーボードよりも強く圧縮することができる。結合剤の使用は、従来技術によるHDFボードよりも約9倍高い。本発明に係る平面状材料は、3倍高い横方向引張強度と、100分の1に減少された素(未加工)ボードの膨潤を有する。上面及び下面を積層した後、“コーティングされた”エッジの膨潤が測定される。ボードの上面と下面は積層によって密閉されており、もはや水にアクセスできなくなっているため、水の影響を受け易いのはエッジだけである。床パネルのエッジは通常密閉できず、それ故に水に曝されるため、このテストは床の敷物(フロアカバー)に特に意味がある。この場合、既知のHDFボードと比較して10分の1に低減された、本発明に係るボード材料のエッジ膨潤が示されている。HDFボードと本発明に係る平面状材料の両方は、同じ工業生産システムで生産された。
図1
【手続補正書】
【提出日】2021-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状材料及びその製造方法並びに平面状材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リグノセルロース繊維で作られた平面状(平板状)材料は、その製造は費用対効果が高く、技術的に確立されているため、多くの用途で使用されている。例えば、高密度繊維板(HDF)の使用は一般的であり、木質繊維が結合剤を使用して一緒にプレスされて板(ボード)が形成され、通常、合成樹脂を含浸させた紙でコーティングされる。このコーティングは、圧力と温度の影響下で硬化するため、しっかりと結合されたラミネート(積層体)が形成される。このラミネートは切り取られ、その断片(ピース)が、例えば、接着されていない床の敷物として使用されるべく、そのエッジ(縁部)においてプロファイルすなわち輪郭付けされる。しかしながら、その材料はプロファイルされたエッジにおいて露出する。水の存在下では、露出したエッジの木質繊維が吸水により膨潤し始め、木質板の形状の変化に繋がる。この場合、水は自由に流れる水あるいは高湿度であると考えられ得る。例えば、季節や技術的条件によって引き起こされ得る高湿度は、膨潤が大部分は可逆的であり、膨潤が乾燥によってほとんど元に戻ることができるとしても、ラミネートの使用を禁止する場合がある。ただし、膨潤を完全に元に戻すことはできないため、最初の膨潤の後に、見苦しい開いた隙間が残る。
【0003】
ラミネートの代替品は、木質繊維とプラスチックの押し出し混合物である木質プラスチック複合材(WPCs)であり、例えば、DE102007041438A1、US5,985,429A、CN109249491A1、及びUS2004/0235983A1に記載されている。プラスチックの割合(比率)が十分に高いため、WPCは水又は湿気のそれぞれの影響下で寸法的に安定している。しかしながら、製造には、より大きな寸法の平面状材料の製造には適さない押出機を使用する必要がある。
【0004】
最後に、非膨潤性の平面状材料を製造することができ、木質繊維又は他の木材成分を含まない材料が、利用可能である。したがって、それらは、大量に入手可能であり、優れた強度特性を有する再生可能な原材料なしで行う。これらには、例えば、原材料としての石-プラスチック複合材料(SPCs)又はポリ塩化ビニル(PVC)が含まれる。ここでは通常、ハロゲン又はテレフタレートが使用されるため、これらの製品は環境の観点から不利である。本発明に係る平面状材料は、低排出又は排出がない、特に、ホルムアルデヒドの放出を大幅に削減又は回避できるため、ホルムアルデヒドの放出に関するカリフォルニア州の規制CARB2に準拠することができる。揮発性有機化合物(VOCs)も、大部分又は完全に回避できる。
【0005】
さらに、WO2011/107900A1は、膨潤が低減される平面状材料を教示しており、それは、最大50重量%の結合剤、さらに加えて繊維及び膨張粒子を含む。その製造方法は複雑であり、その材料には種々の成分が含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE102007041438A1
【特許文献2】US5,985,429A
【特許文献3】CN109249491A1
【特許文献4】US2004/0235983A1
【特許文献5】WO2011/107900A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、膨潤が低減された繊維を使用して製造された平面状材料及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の方法及び請求項10に記載の平面状木質材料によって達成される。本発明に係る平面状材料の使用は、請求項21に記載されている。
【0009】
本発明は、繊維及び結合剤を含む平面状材料に関するものであり、結合剤の割合が平面状材料に対して50重量%を超えることを特徴とする。本発明の文脈における繊維は、伸長された固体粒子であり、すなわち、それらの直径は粒子の最長寸法よりも何倍も小さい。繊維の寸法は広い範囲で選択でき、それらは特にボードの厚さによって及び平面状材料の均一性の仕様に従って決定される。繊維の直径は、10μmから5mmであり、繊維の長さは、0.05mmから100mmである。
【0010】
したがって、平面状材料は、繊維よりも結合剤の割合が高くなる。結合剤の割合は、繊維に関連して表すこともでき、つまり、結合剤の割合は、使用する繊維の重量を基準にして示すことができる。水分を吸収できる吸湿性繊維(例えば、リグノセルロース繊維)の場合、繊維の割合は、一定重量まで乾燥した繊維、通常は105℃で一定重量まで乾燥した繊維(アトロ繊維:完全乾燥繊維)として与えられる。その場合、平面状材料中の結合剤の割合は、繊維の割合に対して100重量%を超える。
【0011】
本発明に係る平面状材料には、有機繊維又は無機繊維を使用することができる。天然繊維、例えばリグノセルロース繊維、綿又はリネン繊維、又は、ポリエチレン又はポリプロピレンのような熱可塑性材料で作られた繊維、或は又、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、あるいはポリウレタンで作られた繊維のような合成繊維を本発明に係る材料の製造に使用することができる。炭素繊維、鉱物又はセラミック原料で作られた繊維、又はガラス繊維のような無機繊維は、特に平面状材料の製造のために他の繊維との混合物に適している。特に、繊維の混合物、特に前述の繊維の混合物は、本発明に係る材料の製造に使用することができる。繊維の混合物は、本発明に係る材料の特性、例えば、弾性又は曲げ特性、寸法安定性、強度だけでなく、製造特性又は加工性をそれぞれ調整することを可能にする。再生可能な原材料で作られた繊維、特にリグノセルロース繊維、例えば、木材、竹、又は一年生植物で作られた繊維が使用される場合、費用対効果が高く、容易に処理できる繊維が利用可能である。天然繊維は、好ましくは未処理で使用され、すなわち、繊維成分のセルロース及びリグニンの特性、及び該当する場合のヘミセルロースは、化学的方法によって変更されない。吸湿性繊維の使用は、特に、本発明による材料の製造又はそれぞれのプレスの前にこれらが少なくとも部分的に乾燥される限り、排除されない。
【0012】
上記のリグノセルロース繊維は、特に、化学的又は物理的方法によって植物から得られた全ての繊維を含む。物理的に得られる繊維の典型的な例は、針葉樹繊維、落葉性木質繊維、又は竹繊維、又は機械的解繊によって得られた他の有機原料からの繊維である。化学的に得られる繊維の例は、例えば、木材、一年生植物、又は他の原材料、特に再生可能な原材料からのパルプ繊維である。特に典型的には、機械的解繊からの木材繊維が使用され、そこでは、リグニン及びヘミセルロースの損失を可能な限り最小限に抑えることが求められる。繊維の混合物は、特に材料の特性(強度特性、重量)を調整するために使用することもできるが、コストを最適化した方法で原材料繊維を使用するためにも使用することができる。本発明の文脈では、繊維は繊維束でもある。これには、繊維が結合剤で大部分をコーティングされ得る限り、小さな削りくずも含まれる。
【0013】
本発明に係る材料は平面状(平板状)であり、すなわち、それは典型的には二つの主面を有し、これらは以下では上面及び下面とも呼ばれる。材料の狭い面又はエッジは、上面と下面の間に配置される。完成した平面状材料の厚さは、0.8mmから500mm、典型的には1mmから80mmの間、通常は3mmから30mmの間であり得る。典型的な用途では、4mmから10mm、特に4mmから7mmの平面状材料の厚さが必要になる場合がある。本発明に係る材料は、平坦な主面を有することができるが、上面及び/又は下面は別の方法でインプリント(刻印)、フライス盤加工、又は機械加工することができ、その結果、材料の面に対して厚さを可変にできる。材料は、好ましくは、厚さ全体に亘って実質的に均質な組成を有する。その高さが材料の厚さに対応するエッジは、一般的な工具で加工することができる。それらは、鋸で引き切るか、切断するか、又はフライス盤加工することができる。本発明に係る平面状材料は、その最大の長さ及び幅が、材料の製造に使用される利用可能なプレス機によってのみ制限される。より小さな寸法は、平面状材料を分解する(バラバラにする)ことにより製造することができる。平面状材料の一般的な寸法は、プレス機での製造後は5600mm(長さ)×2070mm(幅)、床、壁、又は天井パネルに分離した後は1380mm×195mm、あるいは3048mm×2800mmである。最後のフォーマット(寸法規格)は、ボードの幅が床の高さを有するため、建築での使用に特に適している。
【0014】
本発明に係る平面状材料は、多くの用途で使用することができる。それは、例えば、室内設備又は家具の製造のために、床、天井及び/又は壁装材として、特に車室などの車両の内装仕上げのために、あるいは屋外で、外装材として、例えば取り付けられたファサードとして、及び構造的な使用のために、使用することができる。本発明に係る平面状材料は、別の方法で、コーティングされ、染色され、塗装され、又は装飾的に設計されることができる。特に、例えば木質材料の分野で知られているように、表面コーティングは、本発明に係る材料の表面に適用することができる。さらに、本発明に係る平面状材料は、サンドイッチボードの構成要素として使用することができ、これは、本発明に係る材料を、同じ又は異なるフィルム又は平面状材料、特に木質材料ボードだけでなくプラスチックのボード又はフィルムにも接続して、サンドイッチボードを形成することを意味する。
【0015】
本発明に係る材料は、繊維で平面状材料に形成されるプラスチック、特に熱可塑性プラスチックではなく、むしろ繊維との凝集性及び/又は接着性の相互作用に入る結合剤が使用されるという点で、上記のWPCとは異なる。そのような結合剤は、例えば、先行技術による木材製造で知られている。本発明に関して使用される結合剤は、好ましくはメラミンを有する。メラミンは、水溶液中でメラミン樹脂として使用され、メラミンの固形分は、水溶液に対して好ましくは少なくとも45重量%であり、有利には、固形分は50重量%を超える。固形分の上限は、その溶解度によって、及び該当する場合は、例えばスプレーノズルにおけるメラミンの加工性によって与えられる。メラミンは、非膨潤性及び非吸湿性であり、加水分解に耐性があるため、結合剤として好ましい。メラミンは、結合剤として単独で使用することも、一つの又はそれ以上の複数の他の結合剤と組み合わせて使用することもできる。本発明に関連して、“組み合わせて”とは、結合剤の混合物を使用できることを意味し、ここで、二つ又はそれ以上の結合剤の混合物のいずれかが、例えばMF樹脂(メラミン-ホルムアルデヒド樹脂)として繊維に同時に適用される。または、例えば、それらが混合物で使用できないため又は異なる結合剤の別々の適用が有利な効果を有するために、次々に使用される結合剤の組み合わせが使用される。上記のメラミンと組み合わせて又は代替として、ホルムアルデヒド、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、又eMDIとして乳化された形態で、又は高分子ジフェニルメタンジイソシアネート(PDMI)などの追加の結合剤を使用できるが、ポリウレタンも使用できる。フェノール樹脂は、耐水性があるが、色が濃く、使用に不利である。上記のように、二つ又はそれ以上の結合剤を組み合わせて使用することもできる。結合剤は、主にメラミンを有することが好ましい。結合剤中のメラミンの割合が20重量%、特に50重量%を超えることがさらに好ましい。好ましくは、尿素は吸湿性を助長し、それ故にリグノセルロース繊維の膨潤を助長するか、又はそれぞれそれを防止しないので、結合剤は尿素を含まない。熱可塑性の結合剤は有利には回避される。本発明に係る平面状材料は、好ましくは、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素)を含まないが、テレフタレートも含まない。
【0016】
有利な実施形態によれば、平面状材料の弾性特性は、可塑化添加剤として使用されるエラストマー又は熱可塑性プラスチックを添加することによって、例えばポリ酢酸ビニル(PVAc)又はエチレン酢酸ビニルを添加することによって、変更、特に改善することができる。アクリレート、スチレンアクリレート又はポリウレタン(PU)は、それらが耐水性であるため、特に分散のような液体添加剤の形態で、本発明に係る平面状材料を可塑化するために好ましく使用される。好ましくは、TGのガラス転移温度が0℃未満のアクリレート、スチレンアクリレート、及びPUが使用される。しかし、モノエチレングリコール又はジエチレングリコールは、平面状材料の可塑化にも適している。上記の可塑化添加剤は、それぞれ単独で使用することも、混合して使用することもできる。エラストマー又は熱可塑性プラスチックの添加は、平面状材料の脆性を低減し、本発明に係る平面状材料の弾性特性、例えばE弾性率を改善する。さらに、可塑化添加剤を添加すると、平面状材料がより簡単に平らになる。可塑化添加剤は、使用する合成樹脂の固形分量に比例して計算される固形分として使用される。可塑化添加剤は、合成樹脂に対して、1:1、好ましくは0.7:1、特に0.2:1、有利には0.01:1の比率で使用される。したがって、可塑化添加剤は、好ましくは、結合剤の主成分として、特に定量的主成分としては使用されない。可塑化添加剤は、繊維に適用する前に、例えば、結合剤、例えばメラミン樹脂に添加され、結合剤と一緒に繊維に適用される。あるいは、可塑化のためのエージェント(剤)は、結合剤の前又は後に繊維に適用され得る。
【0017】
結合剤は、該当する場合に可塑化添加剤が添加されて、本発明に係る平面状材料の最大の割合、通常は本発明に係る材料の主要な割合を形成する。好ましくは、平面状材料は、繊維の割合に対して、100重量%を超えて、例えば、101重量%又は102重量%から120重量%の結合剤を有する。有利には、その材料は、それぞれの場合において繊維の割合に対して、150重量%を超える結合剤、特に好ましくは200重量%を超える結合剤、最大500重量%の結合剤を有する。
【0018】
本発明に係る材料の密度は、好ましくは1000kg/mから1800kg/mの間、特に1000kg/mから1600kg/mの間、有利には1000kg/mから1300kg/mの間、特に有利には1030kg/mから1200kg/mの間である。本発明に係る材料は、結合剤の高い使用の結果として、例えば、木質材料、例えば主にリグノセルロース繊維を定量的に有するHDFボードと比較して、例えば1000kg/mから1200kg/mの間のより高い重量を示している。
【0019】
材料は、好ましくはフィラー(充填剤)を有する。フィラーは、平面状材料の重量を最適化するために、通常はそれを最小化するために、又は結合剤と繊維によって形成されるマトリックス構造をさらに改善するために、骨材として貢献することができる。骨材又は骨材の組み合わせは、代替的又は追加的に、ボードの特定の特性、例えば、導電性、絶縁特性、又は強度特性を最適化するのに役立つことができる。骨材は、本発明に係る材料の繊維に置き換わる。材料は、水の存在下で最小限の膨潤、特に厚みの最小限の膨潤を有するべきであるため、非吸湿性又は非膨潤性の骨材及び加水分解に耐性のある骨材が好ましい。このような骨材は、鉱物粒子だけでなく、セラミック、合成又はガラス粒子でもかまわない。炭酸カルシウム(CaCO)及び/又は重晶石(BaSO)も骨材として使用することができる。粒子のサイズは、好ましくはミリメートル以下、好ましくは10μmから800μmの間である。異なる粒子の混合物、例えば、異なる材料又はサイズの混合物も使用することができる。平面状材料の総重量に対して最大30重量%、特に好ましくは最大20重量%、有利には最大15重量%が使用される。使用量の下限は、骨材の検出可能性に起因する。骨材は、結合剤を適用する前又は後に、好ましくは噴霧によって、繊維に適用することができる。
【0020】
本発明の有利な実施形態によれば、平面状材料は、疎水剤、例えば、パラフィン又はワックスを有し、これらは、通常、平面状材料の重量に対して最大5重量%の量で、通常は最大2重量%の量で、多くの場合0.1重量%から1重量%の量で使用される。また、疎水剤の使用は、平面状材料の膨潤傾向の低減に寄与する。
【0021】
また、本発明は、繊維及び結合剤を含む平面状材料を製造する方法に関し、ここで、平面状材料中の結合剤の割合は、50重量%を超え、以下の:
-繊維を供給し、
-結合剤を、好ましくは液体の形で供給し、
-繊維に結合剤を適用し、
-繊維ケーキを形成し、
結合剤を硬化させながら繊維ケーキをプレス機でプレスして、平面状材料を形成する、
ステップを有する。
【0022】
この方法のステップは、例えば、プレス機で木質材料ボードを製造するための従来の方法のステップに対応する。しかしながら、本発明によれば、既に知られているように、より大量の結合剤が使用されるので、結合剤の重量の割合は、繊維の重量の割合よりも大きい。
【0023】
合成繊維又は無機繊維を使用する場合は、繊維上の結合剤を少なくとも部分的に乾燥させる必要がある場合がある。繊維に水分がある場合、これは、例えば、リグノセルロース繊維の場合に一般的であり、繊維ケーキをプレスする前に水分含有量を調整して、プレス後に寸法が安定した、膨潤しない又は収縮しないボードが存在するようにする必要がある。リグノセルロース繊維は、接着前に最大120重量%又はそれ以上の水分で使用されることがよくある。リグノセルロース繊維は、結合剤が適用される前又は後に乾燥させることができる。プレス中において、リグノセルロース繊維は、最小3重量%から最大15重量%の水分含有量を有することが好ましく、これは、繊維の総重量に対して少なくとも3重量%から15重量%の水分含有量を意味する。
【0024】
結合剤は、一般的には液体の形で提供される。それは、純粋な形で、又は典型的なように溶液中で、溶媒又は水中であるいは分散液又は乳濁液として提供することができる。結合剤は、通常、例えば結合剤のスプレーミストを生成し、繊維の下流の流れの周りに配置される複数のスプレーノズルにより噴霧することによってリグノセルロース繊維に適用される。乾燥装置の典型的な設計は、例えば、ファイバーボードの製造に使用されるブローラインである。繊維の表面は、結合剤の液滴で又は結合剤のミストで湿っている。それらが最適に乾燥された後、結合剤で湿った繊維は、繊維ケーキに形成されてプレスされる。この過程で、結合剤は硬化し、平面状材料が形成される。繊維ケーキの上面と下面において実質的に圧力と温度の影響下で行われる硬化中に、WPC製品とは対照的に、繊維と結合剤の間だけでなく、結合剤内でも不可逆的な化学結合が確立される。本発明に係る方法は、混練及び押し出しの労力を回避する。
【0025】
驚くべきことに、プレス条件は、特に、本発明と比較して結合剤の割合が低い既知の木質材料の条件と実質的に同じであることが見出された。圧力及び温度並びにプレス時間は、例えば、一般的なHDFボード(高密度繊維板)の範囲内である。本発明に係る材料は、木質材料を製造するために使用されるようなプレス機で見事に製造することができる。特に、連続又は不連続のホットプレス、例えば、循環する加熱された金属ベルトを備えた連続ダブルベルトプレス又はサイクルで動作するプレスである。これにより、WRCsとは対照的に、幅が約30cmの狭い板のフォーマット(寸法規格)の製造に限定されないボードフォーマットを製造することができる。むしろ、木質ボードに典型的な従来のボードフォーマットを提供することができる。
【0026】
木質材料には一般的であるように、繊維ケーキは、一般に散乱(scattering)によって製造される。結合剤の全量で新たに接着されるか好ましくは乾燥される繊維は、通常コンベヤーベルト上で、通常均質な層であるいは複数の層で、キャリア上に散乱され、それらの層は、繊維、結合剤又は添加剤に関して異なる組成を有することができる。散乱された繊維ケーキは、適用できる場合、最初に予備プレスを介してキャリア上をガイドされ、次にプレス機でプレスされる。プレスは、繊維ケーキの上面と下面、又は平面状材料にそれぞれに作用する。
【0027】
十分な圧力と温度を加える任意のプレスが適切であり、材料が二つのプレート間でプレスされるプレートプレス、特に材料が二つの循環する金属ベルト間でプレスされる連続プレスの両方である。好ましくは、ホットプレスが使用され、そのプレスプレート又は循環金属ベルトは、指定された温度に加熱される。適切なプレス温度は、140℃から220℃、好ましくは160℃から180℃の範囲で選択することができる。ボードが薄いほど、選択されるプレス温度は低くできる。適切なプレス圧力は、例えば、0.3N/mmから5.5N/mmの範囲内、特に1N/mmから3N/mmの範囲内である。プレス時間は、有利には、6秒/mm(ボード厚さ、板厚)から60秒/mm、通常は10秒/mmから20秒/mmである。連続プレスでは、プレスによって平面状材料が生成される循環金属ベルトの送り速度は、通常、350mm/秒から400mm/秒の間である。
【0028】
繊維ケーキを圧縮するための予備プレスは、実際のプレス過程の上流に配置することができる。任意的に、平面状材料を冷却するための装置をプレスの下流に配置することができ、特に、材料のプレス中のプレス圧力よりも低くすることができる特定のプレス圧力の下で冷却するための装置を配置することができる。
【0029】
上記の骨材、湿式強化剤又は疎水剤は、一般的には繊維ケーキの形成前又は形成中に、本発明に係る材料に添加することができる。
【0030】
本発明に係る方法に従って製造された材料は、好ましくは、実質的に結合剤、任意的に可塑化添加剤を有する表面を備え、特に好ましくは結合剤又は可塑化添加剤からなる表面を有する表面を備える。特に、リグノセルロース繊維などの吸湿性繊維を使用する場合、厚みの膨潤を可能な限り最適化するために、材料の表面にできるだけ少ない繊維を有することが求められる。液体状の又は例えば湿気としての水分は、吸湿性繊維によって吸収され、これが材料の膨潤をもたらす。これは望ましくない。平面状材料中の結合剤の高い又は優勢な割合は、主に又は完全に結合剤を含み、適用できる場合可塑化添加剤を含み、又は吸湿性繊維を殆ど又は全く含まない、材料の表面を可能にする。
【0031】
本発明に係る材料は、木質材料ボードのように、例えば、HDFボードのように、機械加工することができる。その表面は、コーティング、インプリント、又はフライス盤で加工でき、そのエッジは、例えば床パネルを製造するために、プロファイルされる(輪郭付けされる)ことができる。本発明に係る平面状材料は、合成樹脂含浸紙で積層することができ、又、それは、別の方法で、印刷、塗装、艶出し、又は機械加工することができる。本発明の利点として、平面状材料を既存の装置上で機械加工及び処理できることが考慮されるべきである。
【0032】
さらに、本発明は、結合剤でリグノセルロース繊維を接着するための手段を有する、上記の平面状材料を製造するための装置を含み、既に接着済のリグノセルロース繊維を接着するための手段を有する。ここでの“接着”という用語は、結合剤を適用することを意味する。繊維を接着するための手段は、液体として供給される結合剤からスプレーミストを生成するノズルとして有利に設計される。繊維は、結合剤のスプレーミストを通って導かれ、次にスプレーミストの結合剤液滴が繊維上に堆積される。リグノセルロース繊維を接着するための既知の手段は、接着されるべき繊維に対して最大30重量%の結合剤を適用するように構成される。本発明に係る方法は、接着されるべき繊維が、結合剤が繊維に十分に適用されるまで、複数回に亘って接着するための既知の手段を通過するという点で達成され得る。しかしながら、本発明によれば、接着される繊維が複数の接着手段に沿って搬送されるように、複数の既知の接着手段を配置することが提案され、接着のための各々の手段は、少なくとも50重量%を超える平面状材料の所望の総量が繊維に適用されるまで、リグノセルロース繊維に部分量の結合剤を適用する。したがって、接着されていない繊維(結合剤を含まない繊維)を接着するための既知の手段に加えて、その上に結合剤の一部が既に適用されている既に(事前に)接着された繊維を接着するための追加の手段が使用される。
【0033】
本発明に係る平面状材料は、繊維、結合剤、充填剤、および適用できる場合はワックスなどの他の添加剤の異なる組み合わせを通して、様々な要件に適合させることができる。したがって、上記の特徴は、それぞれ自由に組み合わせることができる、という事実が明示的に参照される。
【0034】
また、本発明は、上記の平面状材料の使用に関する。それは、最小の膨潤、特にエッジの領域における厚さのほぼ完全に減少した膨潤のために様々な用途で使用できるという点において、本発明に係る平面状材料を特徴付ける。内装仕上げでは、平面状材料は、例えば、フロアボード(床板)又はフロアラミネート(床積層材)として使用することができる。ここでは、例えばHDFフロアパネルとは対照的に、ボードのコアが湿気に自由に曝され得るエッジのプロファイルがもはや水や高湿度の影響で大幅に膨張せず乾燥中に収縮もしなくなるため、湿気の多い部屋や濡れた部屋での使用も可能である。元のボードの厚さに対して3%未満、好ましくは2%未満の厚さの膨潤は、本発明の文脈では重要ではないと見なされる。厚さにおける最小の膨潤のために最適化された本発明に係る平面状材料は、DIN317に準拠した厚さの膨潤、又は、僅か0.5%から1%のDIN13329に準拠したエッジの膨潤を有する。したがって、本発明に係る平面状材料は、低膨潤性であり、又は、元の板の厚さに対して最大1%の厚さの最大膨潤に達したとき、膨潤がなく寸法的に安定する。したがって、水又は湿度に対して寸法的に安定である平面状の実質的に非膨潤性の材料を、例えば、木質材料ボードを製造するための既知の装置上で製造することができ、その材料は狭いフォーマット(寸法規格)に限定されず、好ましくは再生可能な原材料の使用を最大化する。
【0035】
勿論のこと、本発明に係る平面状材料は、壁又は天井板として、特に湿った部屋及び濡れた部屋又は実験室及び技術室又は作業場を仕上げるときに、家具板として使用することもできるが、これらに限定されない。外装構造において、本発明に係る材料は、ファサードボード又は屋根材として適している。本発明に係る平面状材料は、例えば、デッキ又は屋外フローリングを含むテラス構造に使用することができる。このようにして、屋内及び隣接する屋外エリア(テラス、バルコニー、ファサード、アクセスパス)に、同じフローリング又はフロアカバーを使用することができる。好ましくは、本発明に係る平面状材料は、屋外構造に、特に家具(建具)に使用することができる。ワークショップ、生産施設、又は厩舎の仕上げは、例えば、本発明に係る材料を用いて問題なく行うことができる。平面状材料は、随意にパネルとして設計でき、必要に応じてエッジにプロファイル(輪郭)を設けることができる。プロファイルは、好ましくは二つのパネルを互いに固定するのに役立つ。あるいは、隣接して配置された二つのパネルは、直接隣接するパネル同士のギャップの横(側面)の領域に配置された両面粘着テープによってそれらのエッジで固定することもできる。直接隣接するパネル同士又はボード同士を接着することも可能であり、そこでは、耐水性の接着剤が好ましく使用される。
【0036】
本発明に係る平面状材料は、良好な強度特性、特に、少なくとも2.5N/mm、好ましくは最大3N/mm、特に最大4N/mmである高い横方向の引張強度を有する。本発明に係る材料は、高い圧縮強度を有する。良好な強度特性の結果として、個々の固定手段がボード内でより良好に保持されるため、本発明に係る材料で作られたボードを固定するために使用しなければならない固定手段、例えばネジ等が少なくなる。また、より高い横方向引張強度は、本発明に係る材料で作られたボードのより激しい機械加工、例えば、ボードの横方向のエッジに複雑なプロファイルをフライス盤加工することを可能にする。例えば、二つのインターロッキングボードを垂直方向と水平方向の両方に位置合わせする複雑なプロファイルを、厚さが僅か4.3mmのボードの横(側面)のエッジに取り込むことができる。高い圧縮強度は、平面状材料において高い点荷重を可能にし、例えば、車両の荷積み床のため又は保管場所の床として適している。平面状材料の高い曲げ剛性により、構造要素として、例えば壁補強材として使用することができる。
【0037】
本発明の詳細は、例示的な実施形態に関して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明に係る平面状材料の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図は、上面2及び下面3並びにエッジ4を有する平面状材料1を示している。材料は、結合剤に埋め込まれた繊維5を有する。結合剤の割合は、平面状材料の50重量%を超える。したがって、繊維5よりも多くの結合剤がある。天然繊維、合成繊維、有機繊維、及び無機繊維は、個別に及び混合して、繊維として使用できる。木材、セルロース、リネン繊維などの吸湿性繊維も使用できる。メラミンは、好ましくは結合剤として、しばしばホルムアルデヒド又はフェノールと組み合わせて使用されるが、PDMIとの混合物としても使用される。繊維と結合剤の組み合わせの例は、以下に述べられる。
【0040】
例示的な実施形態1
結果を以下の表1に示す実験では、リグノセルロース繊維、この場合は針葉樹繊維を使用した。繊維は、リファイナー(精製機)での解繊を通して、蒸した木材チップから製造された。代わりになるものとして、他のリグノセルロース繊維又はそのような繊維の混合物を使用することができる。針葉樹繊維は、接着する前に、水分120%で使用され、プレスする前に、それらはその上に配置された結合剤と共に8%の残留水分まで乾燥され、つまり、1トンの繊維には80kgの水が含まれる。
【0041】
この実験では、アトロウッドに対して100重量%を超える、この場合は108重量%の結合剤が使用され、ここでは、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)を含む結合剤が使用される。結合剤に使用したメラミン-ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)は、60%の固形分濃度(60分/120℃で測定)を有した。したがって、108gのMF樹脂を含む180グラムの液体結合剤が、液体含有量(60%の固形分濃度で108g=180g)を考慮して、100グラムのアトロ繊維材料(アトロウッド)に適用された。ここで“アトロウッド”とは、105℃で一定重量まで乾燥させたリグノセルロース繊維を指す。“アトロウッド”は、リグノセルロース繊維を含む配合物の典型的な参照尺度である。他の例示的な実施形態は、結合剤の絶対的使用に基づく。
【0042】
さらに、アトロウッドに対して1.2重量%のパラフィンが使用される。
【0043】
結合剤は、4回のパスでリグノセルロース繊維に適用(塗布)され、パスごとに27重量%が繊維に適用される。液体結合剤は、繊維を接着するための既知の装置のノズルを通して噴霧される。ノズルによって生成されたスプレーミストは、スプレーミストを通過する、例えば、結合剤のスプレーミストを通って上から下向きに落下する、繊維の表面に凝縮する。
【0044】
繊維を接着するための装置の後に、乾燥のための手段で接着された繊維の乾燥が続く。例えば、加熱された空気を繊維に適用する熱風トンネル又はダクトである。乾燥の目的は、全ての液体を完全に除去することではなく、結合剤が貼り付かなくなる程度まで乾燥させることである。圧力及び/又は温度の影響下での硬化中の結合剤の反応性は、乾燥によって悪影響を受けてはならない。
【0045】
乾燥後において、繊維は、保管されるか、接着されるか又はさらに処理されることができる。先ず、接着のための装置を通る2回目のパスが到来し、そこで再び、27重量%のMF樹脂が、最初のパス後に既に接着されている繊維に噴霧される。接着された繊維は、2回目のパスの後、互いに接着又は貼り付かなくなるまで乾燥される。同様に、接着のための装置及び乾燥のための手段を通る3回目及び4回目のパスが行われる。代わりになるものとして、110重量%の結合剤が、1つ又は2つのパスで、或は5つ又はそれ以上のパスで、繊維に適用され得る。パスごとに繊維に適用される結合剤の量は、パスごとに異なる。
【0046】
各々のパスの後、接着された繊維の一部が除去され、処理されて、厚さ7mmの平面状材料が形成される。これは、繊維ケーキをスキャッタリング(散乱、飛散)させることによって生じ、繊維ケーキは、既知の連続動作ダブルベルトプレスにより、180℃、圧力2.5N/mm、プレス時間15秒/mmで、プレスされる。この方法で作製されたボードは、5.5mmの厚さ及び1050kg/mの密度を有する。参考として、一方では、結合剤の添加を増やさずに同じ条件下で製造された平面状材料が検査される(表1、パス0)。
【0047】
この方法で製造された平面状材料は、DIN317に準拠した膨潤と、DIN13329に準拠したエッジの膨潤について検査される。厚さの膨潤は、開始時の厚さ7mmに対する絶対変化をmmで、又、相対的な変化を(%)として、材料のエッジにおいて決定される。
【0048】
【表1】
【0049】
結合剤を添加していない平面状材料(パス0)では、表1による厚さの膨潤は、予想どおり、最大で23%近くになる。毎回27重量%のMF樹脂が適用される各々のパスは、平面状材料のエッジにおける厚さの膨張を低減させる。アトロウッドに対して108重量%の結合剤が使用されると、1.83%という非常に低い値のエッジ膨潤が達成される。
【0050】
例示的な実施形態2
例示的な実施形態2における平面状材料の繊維割合については、50:50の異なる繊維の混合物、この場合、例えば、木質繊維と炭素繊維、あるいは例えば再生紙繊維とガラス繊維、あるいは鉱物繊維とセルロース繊維が、使用される。ここで、天然繊維(木材、再生紙、セルロース繊維)は、好ましくは接着する前に乾燥され、繊維は、接着及び接着剤の随意の乾燥の前又は後に混合されることができる。どちらのバリエーションも、接着された繊維の均一な混合物を生成することを可能にし、それを散乱させて繊維ケーキを形成することができる。他の点では、例示的な実施形態2は、結合剤の使用及びパラフィンの使用に関して、例示的な実施形態1と同一である。
【0051】
例示的な実施形態3
例示的な実施形態3は、50部のポリエチレン繊維、及び20部の炭素繊維、及び10部の骨材,例えばガラス,鉱物又はセラミック粒子が、繊維割合を形成し、115重量%の接着剤で、この場合例えばMF樹脂で接着される、繊維と結合剤の混合物に関する。繊維/骨材/結合剤の混合物は、他の点では、例示的な実施形態1のように処理される。
【0052】
例示的な実施形態4
繊維と結合剤で形成されたボードは、床の敷物(フロアカバー)の製造に使用でき、又、装飾的な表面で、特に合成樹脂を含浸させた紙又は塗装のいずれかでコーティングできるものが製造されるべきである。密度が約550kg/mの40重量%の繊維と55重量%の結合剤この場合メラミンの割合が60%を超えるMF樹脂が、使用される。さらに、5重量%の他の材料、この場合は1.5重量%のパラフィンと3.5重量%の灰色染料が使用される。染料は、平面状材料に均一な色を与えるために使用される。
【0053】
上記の組成をなす平面状材料は、工業用連続プレスで製造され、同じ繊維材料から製造されたが結合剤の割合が15重量%で密度が880kg/mのHDFボードと比較される。
【0054】
【表2】
【0055】
上記の表2は、二つのボードの比較を示したのであり、ボードの厚さはグロス値(サンディング前)としてmmで示され、密度はkg/mで示されている。ボードは、それぞれ、横方向の引張強度(DINEN319)、膨潤(EN317に準拠して測定)、及びエッジの膨潤(EN13329に準拠して測定)に従って評価された。
【0056】
本発明に係るボードは、繊維割合が高いため、ファイバーボードよりも強く圧縮することができる。結合剤の使用は、従来技術によるHDFボードよりも約9倍高い。本発明に係る平面状材料は、3倍高い横方向引張強度と、100分の1に減少された素(未加工)ボードの膨潤を有する。上面及び下面を積層した後、“コーティングされた”エッジの膨潤が測定される。ボードの上面と下面は積層によって密閉されており、もはや水にアクセスできなくなっているため、水の影響を受け易いのはエッジだけである。床パネルのエッジは通常密閉できず、それ故に水に曝されるため、このテストは床の敷物(フロアカバー)に特に意味がある。この場合、既知のHDFボードと比較して10分の1に低減された、本発明に係るボード材料のエッジ膨潤が示されている。HDFボードと本発明に係る平面状材料の両方は、同じ工業生産システムで生産された。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロース繊維(5)及び結合剤を含む、平面状材料を製造する方法であって、
意に使用される可塑化添加剤を備えた前記結合剤の割合が平面状材料(1)の50重量%を超え、前記可塑化添加剤が、前記結合剤の主成分として使用されておらず、
リグノセルロース繊維(5)を供給し、以下の
前記結合剤を、好ましくは液体形態で供給し、ここで、前記結合剤は、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)又eMDIとして乳化された形態のもの、高分子ジフェニルメタンジイソシアネート(PDMI)、ポリウレタン、又は前述の結合剤の混合物ならびに任意に液体の可塑化添加剤を有し、
任意に前記可塑化添加剤を備えた前記結合剤を前記繊維(5)に適用し、前記可塑化添加剤は、前記結合剤と一緒に前記繊維に適用され、
前記結合剤及び任意に前記可塑化添加剤を備えた繊維から繊維ケーキを形成し、
前記結合剤を硬化させながら前記繊維ケーキをプレス機でプレスして平面状材料(1)を形成する、
ステップを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記平面状材料の前記可塑化添加剤として、アクリレート、スチレンアクリレート、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、モノ又はジエチレングリコールが添加される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可塑化添加剤は、前記結合剤の固形物に対して、最大1:1、好ましくは0.7:1、特に0.2:1、有利には少なくとも0.01:1の比率で固形物として使用される、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記可塑化添加剤は、前記結合剤の前又は後に前記繊維に適用されるか、又は、前記繊維に適用される前に前記結合剤と混合され、そして前記繊維に適用される、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記平面状材料を製造するために、連続又は不連続プレス、特にホットプレスが使用される、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
プレス温度が、140℃から220℃、好ましくは160℃から180℃である、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
プレス圧力が、0.3N/mmから5.5N/mm、好ましくは1N/mmから3N/mmである、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
プレス時間が、6秒/mm(板厚)から60秒/mm(板厚)、好ましくは10秒/mm(板厚)から20秒/mm(板厚)である、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記繊維は、前記結合剤と任意に前記可塑化剤を用いて、湿潤、部分乾燥又は乾燥で提供され、前記結合剤及び任意に前記可塑化剤を適用するとき、前記繊維は、好ましくはその後に乾燥される、
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
リグノセルロース繊維(5)及び結合剤を含み、プレス機において、請求項1ないし9いずれか一つの方法に従って製造される平面状材料であって、
前記結合剤は、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、又eMDIとして乳化された形態のもの、高分子ジフェニルメタンジイソシアネート(PDMI)、ポリウレタン、又は前述の結合剤の混合物を有し、任意に使用される可塑化添加剤を備えた前記結合剤の割合は、前記平面状材料の50重量%を超え、前記可塑化添加剤は、前記結合剤と一緒に前記繊維に適用される、
ことを特徴とする平面状材料。
【請求項11】
前記材料(1)は、天然繊維、合成繊維、無機繊維又は有機繊維、又は繊維の混合物を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の平面状材料。
【請求項12】
前記有機,天然繊維は、再生可能な原料からのリグノセルロース繊維、特に針葉樹木繊維、落葉樹木繊維、一年生植物からの繊維、又は竹繊維を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の平面状材料。
【請求項13】
前記合成繊維は、熱可塑性材料、特にポリエチレン又はポリプロピレンから形成された、又、ポリカーボネート、ポリアクリル、ポリメタクリル、又はポリウレタンから形成された繊維を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の平面状材料。
【請求項14】
前記無機繊維は、鉱物、セラミック、又はガラス材料から形成された繊維を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の平面状材料。
【請求項15】
アトロウッドに対する前記結合剤の割合が、101重量%を超え、120重量%を超え、150重量%を超え、200重量%を超える、
ことを特徴とする請求項10ないし14いずれか一つに記載の平面状材料。
【請求項16】
前記平面状材料(1)は、骨材、特に非吸湿性又は非膨潤性の充填剤を有する、
ことを特徴とする請求項10ないし16いずれか一つに記載の平面状材料。
【請求項17】
前記骨材として、鉱物、セラミック、合成物、又はガラス粒子が使用される、
ことを特徴とする請求項16に記載の平面状材料。
【請求項18】
前記平面状材料(1)は、疎水剤、例えばパラフィン又はワックスを有する、
ことを特徴とする請求項10ないし17いずれか一つに記載の平面状材料。
【請求項19】
請求項10ないし18の少なくとも一つに記載の平面状材料の使用であって、
前記平面状材料(1)が、湿った部屋及び濡れた部屋のとき、内装仕上げとして、特に床板又は床ラミネートとして、壁又は天井板として、家具ボードとして使用され、屋外構造において、ファサードボード又は屋根として、厩舎のため、デッキ又は屋外床を含むテラス構造のため、及び屋外建造物、特に屋外家具として使用される、
ことを特徴とする平面状材料の使用。
【国際調査報告】