IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハーペー ペルツァー ホルディング ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2022-529412コーティングされた自動車内装トリム部品
<>
  • 特表-コーティングされた自動車内装トリム部品 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(54)【発明の名称】コーティングされた自動車内装トリム部品
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20220615BHJP
   B60N 3/04 20060101ALN20220615BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B60N3/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559809
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2020057094
(87)【国際公開番号】W WO2020207710
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】102019109462.3
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513044337
【氏名又は名称】アドラー ペルツァー ホルディング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Adler Pelzer Holding GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ、フォルクマー
(72)【発明者】
【氏名】シン、レイ
【テーマコード(参考)】
3B088
3D023
【Fターム(参考)】
3B088FB02
3B088FC01
3B088FC02
3D023BA01
3D023BB07
3D023BB12
3D023BD02
3D023BD04
3D023BE06
3D023BE11
(57)【要約】
本発明は、有用領域(可視領域/表面)が高い利用特性を有しており、使用側の有用領域のキャリア材料がコーティング粒子で完全に、または部分的にコーティングされている自動車内装トリム部品、とくにはフロアトリム、ラゲッジコンパートメントトリム、または積載フロア、ならびに自動車内装トリム部品の上部材料をコーティングするための接着剤およびフィラーを含むコーティング粒子の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアトリム、ラゲッジコンパートメントトリム、または積載フロアを含む自動車内装トリム部品であって、
可視面を有する布地シート構造物からなるキャリア材料を含む摩耗層を使用面に有し、
その裏面側の下方に接着層と音響/補剛不織布とシーリングと重量ホイルおよび/または接着/ホイル不織布が位置し、
前記キャリア材料は、コーティング粒子で完全に、または部分的にコーティングされ、
前記コーティング粒子は、
(a)セラミック、ガラス、および/または金属、またはそれらの混合物のフィラーを含み、前記コーティング粒子を一体に保持して前記コーティング粒子に寸法安定性を与える接着剤をさらに含む、
もしくは、
(b)ラテックス材料を含む、
ことを特徴とする、自動車内装トリム部品。
【請求項2】
前記布地シート構造物は、不織布、織布、編物、フィルム不織布、またはフィルムを含み、その材料は、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、特にはポリエチレンテレフタレート(PET)、またはこれらのコポリマーもしくはこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装トリム部品。
【請求項3】
前記コーティング粒子の幾何学的形状は、変形に従うように設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の自動車内装トリム部品。
【請求項4】
前記接着剤は、分散型接着剤を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車内装トリム部品。
【請求項5】
前記キャリア材料の前記コーティングは、異なる色を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車内装トリム部品。
【請求項6】
炭素繊維が、前記キャリア材料の層内および/または前記摩耗層と音響/補剛不織布との間に位置することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の自動車内装トリム部品。
【請求項7】
処理温度の範囲において溶融状態であるポリマー摺動層が、前記キャリア材料の層とその下方に位置する層との間に配置されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の自動車内装トリム部品。
【請求項8】
前記ポリマー摺動層は、PE、特に単位面積当たりの重量が150~500g/mの範囲にあるPEを含むか、
または、PE、特に単位面積当たりの重量が150~500g/mの範囲にあるPEからなることを特徴とする、請求項7に記載の自動車内装トリム部品。
【請求項9】
前記キャリア材料のうちのコーティング後も依然として目に見える部分が、含浸を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の自動車内装トリム部品。
【請求項10】
フロアトリム、ラゲッジコンパートメントトリム、または積載フロアを製造するための、
可視面を有し、その裏面側の下方に接着層と音響/補剛不織布とシーリングと重量ホイルおよび/または接着/ホイル不織布が位置する布地シート構造物の使用面にある摩耗層をコーティングするためのコーティング粒子であって、
(a)セラミック、ガラス、および/または金属、またはそれらの混合物のフィラーを含み、前記コーティング粒子を一体に保持して前記コーティング粒子に寸法安定性を与える接着剤をさらに含む、
もしくは、
(b)ラテックス材料を含む、
コーティング粒子の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有用領域または摩耗層(可視領域/表面)が高い利用価値特性を有しており、布地シート構造物を含むキャリア材料を使用してコーティング粒子で完全に、または部分的にコーティングされたフロアトリム、ラゲッジコンパートメントトリム、または積載フロアを含む自動車内装トリム部品、ならびに自動車内装トリム部品の製造のためのコーティング粒子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、自動車内装トリム部品の有用領域のさまざまな設計が知られている。ここで、自動車内装トリム部品は、特に自動車のフロアトリム、ラゲッジコンパートメントトリム、または積載フロアを意味する。特にタフテッドカーペット、ベロアカーペット、およびフラットニードルパンチカーペットなどのカーペットアッパーが、有用領域として広く使用されている。
【0003】
自動車における使用のためのフロアトリムであって、ベロアカーペットからなる有用領域を有するフロアトリムが、例えば、米国特許出願公開第2015/0140260号明細書に開示されている。国際公開第2015/074870号が、自動車におけるベロア有用領域を有する2層カーペットの使用を記載している。
【0004】
米国特許出願公開第2008/220200号明細書が、自動車部門で使用するためのPET繊維で作られたタフテッドカーペットを記載している。独国特許第10225072号明細書が、タフテッドベロアカーペット層を有する自動車用のフロアトリムであって、パイルスタッドを担持するタフトキャリアを備えており、タフトキャリアの下面にバックステッチを有するタフトの縦列がジグザグ経路にて存在しているフロアトリムを開示している。
【0005】
独国特許出願公開第10134934号明細書によれば、天然繊維および/または化学繊維からなり、重量が200~1600g/mであるフラットニードルパンチウェブが記載されている。主要領域のうちの少なくとも1つが、パターンの形態のコーティングを有している。基材は、綿、カポック、麻、ジュート、サイザル麻、およびコイアなどの植物繊維を含んでよい。パターンは、主要領域の全部または一部に分布し、節、線、および円からなる。
【0006】
米国特許出願公開第2018/0142387号明細書が、不織複合材料の形成のための方法を記載しており、この方法は、複数の一次繊維を含み、さらに任意により結合繊維を含む第1の不織層の形成を含む。第2の不織層が、複数のフィラー繊維およびバインダー繊維から形成される。熱可塑性エラストマーフィルムが、2つの不織層の間に挟まれ、フィルムは、300%を超える破断時伸びと、150℃~200℃の間の最大軟化点(熱機械分析の終点)(ASTM E 2347-04に従って試験)とを有する熱可塑性エラストマーを含む。層が一体にニードル加工され、熱可塑性エラストマー層に多数の孔が形成され、一次繊維の一部が第1の不織層から第2の不織層へと移動する。この積層されてニードル加工された層が、熱可塑性エラストマーフィルムの穴の平均サイズを変化させるように加熱され、不織複合材料が形成される。
【0007】
米国特許出願公開第2011/0186381号明細書において、この発明の目的は、軽量かつ優れた吸音特性を有する吸音材料を提供すること、および多数の微小孔を有する多孔質繊維を少なくとも50質量%含有し、微小孔が多孔質繊維の表面に開口し、0.05~3.0kPas/mの範囲の通気抵抗を有している繊維の繊維層からなる吸音材料を提供することである。多孔質繊維の表面にそれぞれ開口する多数の微小孔を有する多孔質繊維は、通気性を有しており、したがってそれ自体が吸音性を有している。多孔質繊維の間のすき間によって生み出されるさらなる吸音性が、フィルムをきわめて高い吸音効率を有する吸音材料にする。
【0008】
欧州特許出願公開第1190647号明細書によれば、保護層は、平坦な表面を有する柔軟な支持基板と、基板の表面上に分布し、基板よりも高い切断抵抗を有している複数の平坦な表面要素とを含む。平坦な表面要素は、2つの隣接する要素の間を延びる境界線の投影内に追加の要素が位置して、基板の表面を横切る境界線の投影を分割するように、お互いに対して互い違いに配置される。すべての平坦な表面要素は、同じ形状を有してよく、重なり合わずに互いに隣接して配置されてよい。
【0009】
タフテッドカーペットの場合、先行技術においては、特にPA6.6、PA6、PP、rPAおよびPET、rPET、ならびにバイオ系ポリアミド(PA 5.10;PA 6.10)またはウールが、糸/繊維材料として使用される。ベロアおよびフラットニードルパンチカーペットの分野においては、PET、PET/PP、PP、PA/PET、およびrPETが、糸/繊維材料として主に使用されている。タフティング品質のためのタフティングキャリア材料は、主にPET/PP、PET/coPET、またはPET/PAで作られる。
【0010】
ここで使用される繊維結合は、主として、タフテッドカーペット用のEVAおよびPE、ならびにベロアおよびフラットニードルパンチカーペット用のSBRラテックスまたはアクリレートを含む。さらに、欧州特許第1598476号明細書に記載されているフィルム、不織布、接着剤(ホットメルト)、熱可塑性物質(主にPE)、および熱接着プロセスが、ベロアおよびフラットニードルパンチカーペットに使用される。さらに、結合繊維、EVA、または熱可塑性分散物が、ますます使用されるようになっている。
【0011】
有用領域の下方に、接着層、音響/補剛不織布、シーリング、および重量ホイル、ならびに接着/ホイル不織布が存在する。コーティングは、たいていはサブフリースのための接着層として設けられるが、補剛用でもあり、主にPEまたはPPを含む。
【0012】
音響および/または補剛不織布などの副層は、通常は、多くの場合にBiCo繊維成分を有するPETおよび混合繊維不織布からなる。PE/PAおよびPE/PA/PEフィルムならびにPE/PA/PE+PETフィルム不織布が、シーリングまたは断熱フィルムとして使用される。音響の要件に応じて、いわゆる重量ホイルが、表面の一部または全体の断熱ホイルとしてさらに使用される。
【0013】
最上層(摩耗層+副層)と車体フロアとの間に、通常は、特にPUR発泡体または不織構造体(不織布または繊維フロック(FIMP)複合材料)で製作されることができる断熱層が存在する。発泡体が使用される場合、発泡体は、上部材料にしっかりと結合(発泡)させられる。不織布/繊維フロック構造も、上部材料にしっかりと結合させることができ、この場合には、それらは通常は接着される。しかしながら、固定の接続を伴わない単純に重ね合わせられた構造を使用することも可能である。
【0014】
特にVAN、SUV、ピックアップ、および軽商用車に関して、先行技術において摩耗面としてゴム、PUR-RIM、およびPVCも使用されており、TPOもますます使用されるようになってきている。例えば、独国特許出願公開第102008046915号明細書が、特に深絞りによる多層の成形部品、とりわけ車両のフロアを内張りするためのフロアカバーを開示しており、このフロアカバーは、キャリア層上にしっかりと配置されたカバー層としてのTPOフィルムを有し、TPOフィルムは、繊維マット、特にポリマー繊維マットを、キャリア層として有している。
【0015】
先行技術に記載されている前述のフロアトリム、ラゲッジコンパートメントトリム、および積載フロアの有用領域は、特に摩耗および洗浄挙動に関して、今日においてOEMによって指定されている特性を超える特別な利用価値特性を有していない。
【0016】
国際公開第2018/219844号に、フロック加工された有用表面を有することにより、特に改善された摩耗挙動を呈するフロアトリムが記載されている。国際公開第2018/170115号が、装飾的な不織布積層体を開示している。独国特許出願公開第102017103943号明細書が、印刷された熱可塑性フィルムを有する自動車用トリム部品を開示しており、そのキャリア層は、不織繊維層および/または重量層である。
【0017】
さらに、セラミック粒子および/またはガラス粒子および/または金属粒子をプレートレット状のコーティング要素のフィラーとして使用した布地シート構造物が、家具業界における有用領域として知られている。例えば、独国特許出願公開第102014110611号明細書には、柔軟な下地を有する布地シート材料が開示されており、この下地には、下地よりも耐摩耗性および剛性が高い材料で作られた複数のプレートレット状の要素が適用されている。
【0018】
独国実用新案第202016006953号明細書から、特に布地、人工皮革、または網地で作られ、高い伸張性または圧縮性を有するコーティングが所定の領域に施された柔軟なシート構造物が知られている。
【0019】
しかしながら、この先行技術は、低いプルアウト挙動を有する2次元変形に関する。フロアトリム、ラゲッジコンパートメントトリム、および積載フロアについて自動車部門で見られる要件は、ここでは焦点ではない。基本的に、とりわけ音響、耐衝撃性、機械的摩耗、曲げ剛性、洗浄性、媒体耐性、変形挙動、ならびに気候および熱による劣化への耐性に関して自動車産業において指定される特性が、この先行技術においては考慮されていないことに、留意されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0140260号明細書
【特許文献2】国際公開第2015/074870号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/220200号明細書
【特許文献4】独国特許第10225072号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第10134934号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2018/0142387号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2011/0186381号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第1190647号明細書
【特許文献9】欧州特許第1598476号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第102008046915号明細書
【特許文献11】国際公開第2018/219844号
【特許文献12】国際公開第2018/170115号
【特許文献13】独国特許出願公開第102017103943号明細書
【特許文献14】独国特許出願公開第102014110611号明細書
【特許文献15】独国実用新案第202016006953号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
この先行技術と比較して、本発明は、改善された利用価値特性を有する自動車のトリム部品のための変形適合性および変形安定性のある上部材料(摩耗層+下部層)を提供するという課題に基づいており、この上部材料は、特に、摩耗および洗浄に最適化された有用な領域を構成し、自動車産業の特定の要件を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第1の実施形態において、本発明による課題は、摩耗層を備え、適切な場合には接着層、音響/補剛不織布、シーリングおよび重量ホイル、ならびに/もしくは接着/ホイル不織布を備える自動車内装トリム部品であって、摩耗層は使用側にキャリア材料を含み、キャリア材料がコーティング粒子で完全に、または部分的にコーティングされていることを特徴とする自動車内装トリム部品によって解決される。可視面を有する布地シート構造物からなるキャリア材料を含む摩耗層を使用面に有し、その裏面側の下方に位置する接着層、音響/補剛不織布、シーリングおよび重量ホイル、ならびに/もしくは接触/ホイル不織布とを備えるフロアトリム、ラゲッジコンパートメントトリム、または積載フロアを含む自動車内装トリム部品であって、
キャリア材料は、コーティング粒子で完全に、または部分的にコーティングされ、コーティング粒子は、
(a)セラミック、ガラス、および/または金属、またはそれらの混合物のフィラーを含み、コーティング粒子を一体に保持してコーティング粒子に寸法安定性を与える接着剤をさらに含むか、もしくは
(b)ラテックス材料を含む、
ことを特徴とする自動車内装トリム部品が、これに対応する。
【0023】
コーティング粒子は、特に高い耐摩耗性および剛性を有する。この耐摩耗性および剛性は、キャリア材料の耐摩耗性および剛性よりも特に大きい。このようなコーティング粒子によるコーティングによって、本発明による自動車内装トリム部品は、自動車分野の要件を満たす摩耗に関して最適化され、洗浄可能であり、かつ清掃が容易である有用領域を有する。この特定の層構造は、摩耗および汚れに対する耐性の向上と併せて、先行技術と比べてより軽量な全体構造ももたらす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による自動車内装トリム部品の写真を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好ましくは、自動車内装トリム部品は、フロアトリム、ラゲッジコンパートメントトリム、または積載フロアである。
【0026】
自動車内装トリム部品は、特に、摩耗層と、下方の副層とを含む上部材料である。接着層、音響/補剛不織布、シーリングおよび重量ホイル、ならびに/または接着/ホイル不織布など、先行技術で知られている上述のすべての層を、副層として使用することができる。
【0027】
本発明によれば、摩耗層は、キャリア材料を含む。好ましい実施形態において、キャリア材料は、特には不織布、織布、編物、不織フィルム、またはフィルムなどの布地シート材料を含む。キャリア材料の材料は、好ましくは、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、特にはポリエチレンテレフタレート(PET)、またはこれらのコポリマーもしくは混合物を含む。特に、キャリア材料は、前記材料のうちの1つまたはそれらの混合物を含んでもよい。特に好ましいキャリア材料は、PAもしくはPET不織布、PE/PAフィルム、PET/PP、PET/PA、もしくはPET/coPET不織布、および/またはフィルム不織布(PE/PA/PE-PET)を含む。キャリア材料は、これらの材料のうちの1つまたはそれらの混合物を含んでもよい。
【0028】
本発明によれば、キャリア材料は、コーティング粒子で完全に、または部分的にコーティングされる。特に、キャリア材料は、コーティング粒子で完全にコーティングされてよい。しかしながら、キャリア材料は、コーティング粒子で部分的にコーティングされてもよく、その場合、キャリア材料の一部分が、コーティング後であっても使用中に露出して見えたままである。好ましくは、表面の25~85%がコーティングされる。特に好ましくは、コーティングの程度は45~80%である。
【0029】
キャリア材料がコーティング粒子で部分的にのみコーティングされる場合、キャリア材料の異なる領域において、コーティングの密度は異なってもよい。しかしながら、好ましくは、キャリア材料はコーティング粒子で均一にコーティングされる。
【0030】
コーティング粒子の配置は、不均一であっても、均一であってもよい。特に、コーティング粒子を均一なパターンで配置してよい。
【0031】
使用されるコーティング粒子は、均一な幾何学的形状または多様な幾何学的形状を有してよい。本発明の文脈において、コーティング粒子の幾何学的形状は、特にそれらの高さ、間隔、および形状を意味すると理解される。コーティング粒子が均一な幾何学的形状、特に均一な高さ、均一な間隔、および/または均一な形状を有する場合、本発明による自動車内装トリム部品は、特に均一な外観を有する。
【0032】
コーティング粒子は、好ましくは0.10mm~2.00mm、より好ましくは0.15mm~1.0mmの範囲の高さを有する。コーティング粒子間の距離は、好ましくは0.10mm~5.00mm、特に好ましくは0.5mm~2.50mmである。
【0033】
コーティング粒子は、異なる形状を有してよい。適切な形状として、例えば、円形プレートレット、楕円プレートレット、球、こぶ、多角形、菱形、または先行技術もしくは数学から公知の任意の他の基本的な幾何学的形状が挙げられる。コーティング粒子の幾何学的形状、特にそれらの高さ、間隔、および形状を変えることにより、摩耗挙動を、本発明による自動車内装トリム部品の特定の用途に従って調整および最適化することができる。
【0034】
好ましい実施形態において、コーティング粒子の幾何学的形状は、変形に対応するように設計される。特に、コーティング粒子の高さ、間隔、および形状が、変形に適合するように設計される。変形に適した設計は、特に、車体によって予め決定される自動車内装トリム部品の形状への適合を意味すると理解される。
【0035】
したがって、本発明の特に優れた点は、自動車における変形に関して最適化され/安定であり、摩耗および洗浄に関して最適化された有用領域の提供にある。
【0036】
好ましい実施形態において、コーティング粒子は、接着剤およびフィラーを含む。接着剤は、コーティング粒子を互いに保持し、寸法安定性を提供する。フィラーは、コーティング粒子の強度、とりわけ耐摩耗性を強化する。フィラーにより、本発明に従って使用されるコーティング粒子は、キャリア材料よりも高い耐摩耗性を有し、その結果、本発明による自動車内装トリム部品に、きわめて向上した摩耗最適化、ならびに洗浄可能で清掃が容易な有用領域をもたらす。コーティング粒子は、特に、接着剤およびフィラーを含んでよい。
【0037】
さらに、コーティング粒子は、任意にラテックス材料を含んでいてもよく、より具体的には、ラテックス材料、接着剤、およびフィラーを含んでよい。
【0038】
接着剤は、好ましくは分散型接着剤、特に水性の分散型接着剤である。特に、PUR系接着剤を、分散型接着剤として使用することができる。分散型接着剤は、遊離フィラーを固め、形状を保持するために使用される。フィラーは、粒子の強度を補強する。好ましくは、コーティング粒子は、このように高度に充填された分散型接着剤粒子である。高度に充填された分散型接着剤粒子は、好ましくは、ラテックス材料と、分散型接着剤と、フィラーからなるか、またはこれらの材料の大部分もしくは全体からなる。高度に充填された分散型接着剤粒子は、導電性粒子をさらに含んでもよく、または高度に充填された分散型接着剤粒子は、導電性粒子であってもよい。
【0039】
コーティング粒子、特に高度に充填された分散型接着剤粒子は、好ましくは、5~60体積%、特に10~50体積%の範囲のフィラー含有量を有する。
【0040】
好ましい実施形態において、コーティング粒子のフィラーは、セラミック、ガラス、および/または金属を含む。フィラーは、これらの材料のいずれか、またはそれらの混合物を含んでもよい。特に、フィラーは、鉱物粒子、鉱物粉砕物、原生岩粉、炭素繊維粉砕物、および/もしくはそれらの混合物を含んでよく、またはこれらからなってよい。好ましくは、フィラーは、2μm~800μm、より好ましくは3μm~100μmの範囲の粒径を有する。
【0041】
特に、フィラーが金属を含むか、または金属からなる場合、フィラーおよび/またはコーティング粒子は、導電性であってよい。
【0042】
好ましい実施形態において、キャリア材料のコーティングは、異なる色を有する。異なる色の設計は、特に組成または使用されるフィラーの種類に起因して異なる色を有するコーティング粒子を使用することによって、達成することができる。あるいは、染料を使用することも可能である。異なる色の設計によって、本発明による自動車内装トリム部品は、きわめて視覚的に魅力のある方法で設計することができる。さらに、パターンを実現することも可能である。
【0043】
コーティング粒子によるキャリア材料のコーティングは、特に、それ自体は公知の3Dコーティングによって実現することができる。
【0044】
さらに好ましい実施形態においては、炭素繊維が、キャリア層内および/または摩耗層と音響/補剛不織布との間に存在する。炭素繊維は、本発明による自動車内装トリム部品の加熱の実施を可能にする。さらに、自動車内の通常の温度における部品の寸法安定性が向上する。
【0045】
好ましい実施形態においては、ポリマー摺動層が、キャリア層とキャリア層の下方の層との間に配置され、通常の処理温度の範囲において溶融状態である。典型的な処理温度は、特に接触加熱領域および/または放射加熱領域が使用される場合、90~240℃の範囲である。好ましくは、ポリマー摺動層はPEを含むか、またはPEからなる。PEは、好ましくは、単位面積当たりの重量が150~500g/mの範囲である。
【0046】
ポリマー摺動層の使用は、キャリア層が三次元変形の際に下方の層上を(均一に)摺動することができ、接着および粘着などに起因するキャリア層の損傷が生じ得ないという利点を有する。さらに、摺動層の使用は、層複合体の変形時の有用領域のコーティング/コーティングパターン/コーティング形状の歪みを低減することもできる。
【0047】
好ましい実施形態において、キャリア材料のうちのコーティング後も依然として目に見える部分は、全体または一部が含浸される。適切な含浸剤は、特に特別な官能化ポリマー/ワックス、とりわけそれらの水分散液からなる。キャリア材料の依然として目に見える部分の含浸により、本発明による自動車内装トリム部品の洗浄挙動を最適化することができる。
【0048】
別の実施形態において、本発明による問題は、接着剤とフィラーとを含むコーティング粒子を使用することによって解決され、フィラーは、特に、自動車内装トリム部品、好ましくはフロアトリム、ラゲッジコンパートメントトリム、または積載フロアの上部材料をコーティングするためのセラミック、ガラス、および/または金属を含む。一般に、本発明による自動車内装トリム部品に使用され得る上述のコーティング粒子を使用することができる。好ましくは、高度に充填された分散型接着剤粒子が使用される。
【0049】
実施形態の例:
以下の多層系を積層および形成し、フロアカバーの変形に関して最適化され/安定であり、摩耗および洗浄に関して最適化された有用領域を製造した:
市販のセラミック分散型接着剤粒子でコーティングされたPET布地/250g/mPEコーティング/640g/m混合繊維補剛フリースBiCo繊維/144g/m含有量40%のフィルムフリース。
【0050】
図1は、製造されたフロアカバーの断面図を示している。
【0051】
変形後の表面のテーバー摩耗試験(H18、1000g)は、3800回転に耐えた。
【0052】
変形に起因する裏打ち層の割れおよび変形「線」が見られないことが、強調されるべきである。製造された自動車内装トリム部品は、摩耗、汚れ、切断に対する抵抗、ならびに通気性、速乾性、および耐久性などのいくつかの固有の性能特性を有する。
図1
【国際調査報告】