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特表2022-529435高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムを製造する設備及び方法並びに高強度・高弾性ポリオレフィンフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(54)【発明の名称】高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムを製造する設備及び方法並びに高強度・高弾性ポリオレフィンフィルム
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/02 20060101AFI20220615BHJP
   B29C 55/16 20060101ALI20220615BHJP
   B29C 55/14 20060101ALI20220615BHJP
   B29C 55/06 20060101ALI20220615BHJP
   B29C 55/08 20060101ALI20220615BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20220615BHJP
   B29C 67/20 20060101ALI20220615BHJP
   B29C 48/395 20190101ALI20220615BHJP
   B29C 48/88 20190101ALI20220615BHJP
   C08J 9/26 20060101ALI20220615BHJP
   B29K 59/00 20060101ALN20220615BHJP
【FI】
B29C55/02
B29C55/16
B29C55/14
B29C55/06
B29C55/08
B29C44/00 E
B29C67/20 B
B29C48/395
B29C48/88
C08J9/26 102
C08J9/26 CES
B29K59:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560998
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2020081303
(87)【国際公開番号】W WO2021098110
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201911132107.0
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521449843
【氏名又は名称】青島藍科途膜材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO LANKETU MEMBRANE MATERIALS CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 294, Qingdao Sino German Ecological Park Management Committee, 2877 Tuanjie Road, Huangdao District Qingdao, Shandong 266510 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】▲ヂェン▼立鵬
(72)【発明者】
【氏名】劉鵬
(72)【発明者】
【氏名】呂展飛
(72)【発明者】
【氏名】孫昌峰
(72)【発明者】
【氏名】徐陽
(72)【発明者】
【氏名】楊波
【テーマコード(参考)】
4F074
4F207
4F210
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA16
4F074CB34
4F074CB44
4F074CC02X
4F074DA02
4F074DA08
4F074DA10
4F074DA22
4F074DA23
4F207AA03
4F207AG01
4F207AG03
4F207AH33
4F207KA01
4F207KA11
4F207KK54
4F207KK64
4F207KL84
4F207KW21
4F207KW23
4F207KW41
4F210AA03
4F210AC03
4F210AG01
4F210AG03
4F210AG20
4F210AH33
4F210AJ08
4F210AR01
4F210AR06
4F210AR08
4F210AR12
4F210AR20
4F210QA02
4F210QA03
4F210QC02
4F210QC03
4F210QC06
4F210QC07
4F210QC17
4F210QD01
4F210QD32
4F210QD42
4F210QG01
4F210QG15
4F210QG18
4F210QL16
4F210QM15
4F210QW12
4F210QW21
4F210QW31
4F214AA03
4F214AG01
4F214AG03
4F214AG20
4F214AH33
4F214AJ08
4F214AR01
4F214AR06
4F214AR08
4F214AR12
4F214AR20
4F214UA11
4F214UA32
4F214UB02
4F214UC04
4F214UC11
4F214UN54
4F214UN64
4F214UP84
4F214UW02
4F214UW12
4F214UW23
(57)【要約】
本発明は高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムを製造する設備及び方法並びに高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムを提供する。高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備は、順に設置される溶融押出機と、冷却システムと、延伸システムと、抽出システムとを含む。高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造方法は、ポリオレフィン樹脂と溶媒とを溶融押出機において溶融して可塑化させ、ダイから押出した後、成形ロールと冷却槽とにおいて熱誘起相分離を実現して鋳片を得、その後、多段階に組み合わせた延伸システムによる延伸、抽出システムによる抽出及び後処理により前記高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムを得るステップを含む。高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムは前記高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造方法から得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に設置される溶融押出機と、冷却システムと、延伸システムと、抽出システムとを含み、
前記延伸システムが被延伸物を横方向に延伸する横方向延伸機、被延伸物を縦方向に延伸する縦方向延伸機、被延伸物を分断する分断機、被延伸物を二方向に延伸する二方向同時延伸機のうちの複数を含むことを特徴とする高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備。
【請求項2】
前記冷却システムが引寄せロールと、成形ロールと、冷却ロールと、冷却槽とを含み、
前記成形ロールは前記引寄せロールと前記冷却ロールとの間に設けられ、前記引寄せロールは前記溶融押出機のダイからの溶融物を前記成形ロールの表面に密着させるためのもので、前記成形ロールの下部が前記冷却槽内に設けられ、前記冷却ロールは前記成形ロールの処理で得た鋳片を冷却するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備。
【請求項3】
前記延伸システムが順に設置される前記縦方向延伸機と、前記横方向延伸機と、前記分断機と、前記二方向同時延伸機とを含み、前記分断機は前記横方向延伸機の延伸で得たフィルムを分断するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備。
【請求項4】
前記分断機の後に設けられる方向変換装置をさらに含み、
好ましくは、前記二方向同時延伸機が複数設けられ、
好ましくは、前記二方向同時延伸機は高さ方向に沿って積層するよう3つが設けられ、
好ましくは、前記二方向同時延伸機には加熱オーブンと冷却オーブンとが設けられ、前記加熱オーブンの温度精度は±0.5℃で、風速精度は±1m/sであることを特徴とする請求項1に記載の高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備。
【請求項5】
前記抽出システムが1組又は複数組の抽出槽を含み、各組の前記抽出槽にはいずれも複数組の引伸ロールと、超音波発生装置とが設けられることを特徴とする請求項1-4のいずれか1項に記載の高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備。
【請求項6】
ポリオレフィン樹脂と溶媒とを溶融押出機において溶融して可塑化させ、ダイから押出した後、成形ロールと冷却槽とにおいて熱誘起相分離を実現して鋳片を得、その後、多段階に組み合わせた延伸システムによる延伸、抽出システムによる抽出及び後処理により前記高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムを得るステップを含むことを特徴とする高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記ダイから押出した溶融物の厚さは2-10mmであることを特徴とする請求項6に記載の高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記延伸システムによる延伸は、
縦方向の1-10倍延伸、横方向の1-10倍延伸及び二方向同時の(1-10)×(1-10)倍延伸をこの順に行う方式、
縦方向の1-10倍延伸、横方向の1-10倍延伸及び縦方向の1-10倍延伸と横方向の1-10倍延伸の1回繰り返しをこの順に行う方式、
独立な二方向同時の(1-10)×(1-10)倍延伸を2回連続で行う方式、
二方向同時の(1-10)×(1-10)倍延伸、縦方向の1-10倍延伸、横方向の1-10倍延伸をこの順に行う方式を含むことを特徴とする請求項6に記載の高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記後処理は順に行う乾燥、横方向拡孔延伸、横縦二方向収縮処理及び熱成形を含み、
好ましくは、前記抽出を行う時は、事前に延伸端材を切り落とさないことを特徴とする請求項6-8のいずれか1項に記載の高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造方法。
【請求項10】
請求項6-9のいずれか1項に記載の高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造方法から得た高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムであって、
好ましくは、その厚さは2-100μmで、通気度は10-300s/in×100ccで、延伸強度は300-2000MPaで、突刺強度は50-300gf/μmで、孔隙率は25-75%で、弾性率は2-30GPaであることを特徴とする高強度・高弾性ポリオレフィンフィルム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
出願番号が201911132107.0で、出願日が2019年11月19日である中国特許出願に基づいて本願を提出し、前記中国特許出願の優先権を主張し、前記中国特許出願の全ての内容が参照で本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明はポリオレフィンフィルムの分野に関し、特に、高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムを製造する設備及び方法並びに高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
湿式リチウムイオン電池用フィルムは当面、液体リチウムイオン電池、特にパワー電池や高度な3Cデジタル製品の電池に使用する重要な構成部品の1つである。ポリオレフィンフィルムは低コスト、高強度などの利点を有し、従来の材料よりも費用効果が優れている。
【0004】
湿式ポリオレフィンフィルムの従来の製造方法で採用するプロセスは鋳片可塑化押出、1回非同時又は同時延伸、抽出乾燥、2回の横方向延伸成形、巻取である。可塑化押出後の抽出冷却に効果を保証するために、一般には鋳片の厚さが2mmを超えない。1回非同時延伸又は二方向同時延伸で二方向(MD/TD)の延伸倍率が10/10倍を超えない。
【0005】
従来技術において延伸の過程では、横方向の延伸倍率が過度に大きいと重力によりフィルムの中部が垂れ下がることが避けられず、設備がフィルムに傷付けられ、横方向の力が均一でないという問題がある。1回同時延伸の場合、横方向においては1回非同時延伸の場合と同じような問題がある。また、二方向同時延伸設備の縦方向延伸の倍率はクリップチェーンの距離の変化によって実現され、クリップの初期距離0.05mで試算すると、100倍の縦方向倍率を得る場合には、2つのクリップチェーン間の最大距離が5mとなり、距離が非常に大きいならフィルムの中間の部分が垂れ下がり、熱を受けにくくもなる。また、限界効用により、適格なフィルムを得にくい。そのため、1回非同時又は同時延伸設備を用いる従来のプロセスではフィルムの超高倍率の延伸を実現できず、一般には100倍以下にとどまる。低延伸倍率のフィルムであると、強度が不十分で弾性率が小さいという問題がある。
【0006】
本願は上記の事情に鑑みてなされたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムを製造する設備及び方法並びに高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムを提供して、上記の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の目的を達成するためになされたもので、以下の技術的解決手段を採用する。
順に設置される溶融押出機と、冷却システムと、延伸システムと、抽出システムとを含み、
前記延伸システムが、被延伸物を横方向に延伸する横方向延伸機、被延伸物を縦方向に延伸する縦方向延伸機、被延伸物を分断する分断機、被延伸物を二方向に延伸する二方向同時延伸機のうちの複数を含む、高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備である。
【0009】
多段階の延伸と分断により、延伸の過程で重力によりフィルムが垂れ下がることに起因する問題、さらには単独の同時二方向延伸又は単独の非同時延伸設備の延伸倍率に限界がある問題を解決し、最大100×100倍の局所延伸倍率を実現し、強度が高く、弾性率が大きいフィルムを得る。
【0010】
好ましくは、前記高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備は拡孔及び収縮のための二次横方向延伸システム、熱成形システムなどのシステムをさらに含む。
【0011】
好ましくは、前記冷却システムは引寄せロールと、成形ロールと、冷却ロールと、冷却槽とを含み、
前記成形ロールは前記引寄せロールと前記冷却ロールとの間に設けられ、前記引寄せロールは前記溶融押出機のダイからの溶融物を前記成形ロールの表面に密着させるためのもので、前記成形ロールの下部が前記冷却槽内に設けられ、前記冷却ロールは前記成形ロールの処理で得た鋳片を冷却するためのものである。
【0012】
鋳片の冷却システムは、厚手の鋳片の場合は冷却効果が優れず、フィルムの前面と背面に熱履歴の差が大きく、さらに性能的にも大きな差が出る。鋳片の熱伝達率が低いため、鋳片が厚い場合は、背面に強制冷却を施さないと、背面の冷却速度が遅くて大型の層状結晶ひいては球晶が生じる恐れがあり、その後の延伸成膜では、フィルムの性能上の差が浮き彫りになる。本願に係る冷却システムは従来の急速冷却ロールシステムが厚手の鋳片の冷却には向かないという問題を効果的に解決できる(従来の急速冷却ロールシステムは厚さの小さい鋳片を処理する場合は、冷却効果が保証できる)。
【0013】
好ましくは、前記延伸システムは順に設置される前記縦方向延伸機と、前記横方向延伸機と、前記分断機と、前記二方向同時延伸機とを含み、前記分断機は前記横方向延伸機の延伸で得たフィルムを分断するためのものである。
【0014】
1回目の延伸後、フィルムの幅が大きいため、2回目の延伸を行う時には、横方向の延伸倍率が大きくなるよう、フィルムを分断する必要がある。
【0015】
好ましくは、前記分断機の後に設けられる方向変換装置をさらに含み、
好ましくは、前記二方向同時延伸機が複数設けられ、
好ましくは、前記二方向同時延伸機は高さ方向に沿って積層するよう3つが設けられ、
好ましくは、前記二方向同時延伸機には加熱オーブンと冷却オーブンとが設けられ、前記加熱オーブンの温度精度は±0.5℃で、風速精度は±1m/sである。
【0016】
分断後に2回目の延伸を行う時には設備の中心から入れる必要があり、従来の設備を用いる加工プロセスではフィルムが併設された複数の二次延伸機に入ることを実現できないが、本願は方向変換装置を設け、分断後のフィルムを複数回方向変換させることで、それが二次延伸機に支障なく入ることができる。省スペース化のためにも、二方向同時延伸機を多段式の構造として設計してもよい。加熱オーブンにおける温度精度と風速精度の制御により、フィルムの延伸時の均一性が保証できる。
【0017】
任意選択で、前記抽出システムは1組又は複数組の抽出槽を含み、各組の前記抽出槽にはいずれも複数組の引伸ロールと、超音波発生装置とが設けられる。
【0018】
複数組の引伸ロールを設けることで、1つの抽出槽に複数のフィルムを同時に導入することが可能で、複数の抽出槽の同時配置が避けられ、設備費用と工場費用が節約される。
【0019】
ポリオレフィン樹脂と溶媒とを溶融押出機において溶融して可塑化させ、ダイから押出した後、成形ロールと冷却槽とにおいて熱誘起相分離を実現して鋳片を得、その後、多段階に組み合わせた延伸システムによる延伸、抽出システムによる抽出及び後処理により前記高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムを得るステップを含む、高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造方法である。
【0020】
好ましくは、前記ダイから押出した溶融物の厚さは2-10mmである。
【0021】
溶融物の厚さが大きいと厚手の鋳片を得ることができ、そしてフィルムの高倍率の延伸が可能になり、高強度、高弾性などの優れた性能も得られる。
【0022】
好ましくは、前記延伸システムによる延伸は、
縦方向の1-10倍延伸、横方向の1-10倍延伸及び二方向同時の(1-10)×(1-10)倍延伸をこの順に行う方式、
縦方向の1-10倍延伸、横方向の1-10倍延伸及び縦方向の1-10倍延伸と横方向の1-10倍延伸の1回繰り返しをこの順に行う方式、
独立な二方向同時の(1-10)×(1-10)倍延伸を2回連続で行う方式、
二方向同時の(1-10)×(1-10)倍延伸、縦方向の1-10倍延伸、横方向の1-10倍延伸をこの順に行う方式を含む。
【0023】
形成した鋳片から縦方向と横方向を掛ける超高倍率の延伸を実現するためには、縦方向延伸、横方向延伸、縦方向・横方向同時延伸の異なる組み合わせが必要である。二方向同時の(1-10)×(1-10)倍延伸とは、横方向1-10倍と縦方向1-10倍である。
【0024】
任意選択で、前記後処理は順に行う乾燥、横方向拡孔延伸、横縦二方向収縮処理及び熱成形を含み、
好ましくは、前記抽出を行う時は、事前に延伸端材を切り落とさない。
【0025】
横方向拡孔延伸によりフィルムに適切な孔隙率が保証できる。横縦二方向収縮処理及び熱成形が従来の横方向一方向収縮処理に取って代わり、フィルム材料の縦方向と横方向の両方の収縮処理により、二方向の熱収縮安定性が向上する。抽出乾燥の時は、事前に延伸端材を切り落とさず、厚手の端材から緊張力がもたらされ、抽出の過程におけるフィルムの横方向収縮が抑えられる。抽出時の収縮によりフィルムの横方向極差が大きくなり、均一性が悪くなるなどの問題が生じると、リチウムイオン電池の一貫性、安全性と信頼性に深刻な影響がある。
【0026】
前記高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造方法から得た高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムである。
好ましくは、前記高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの厚さは2-100μmで、通気度は10-300s/in×100ccで、延伸強度は300-2000MPaで、突刺強度は50-300gf/μmで、孔隙率は25-75%で、弾性率は2-30GPaである。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、従来の技術に比べて以下の有益な効果を有する。
冷却システム及び多段階の延伸機を設けることで、高倍率延伸を実現している。本願の方法を用いると、局所延伸倍率が10000倍と大幅に向上しており、これによりフィルム材料の配向性、結晶性、マイクロファイバーの微細化、比強度が大幅に向上し、フィルム材料の破断伸びが低下して、超高強度・超高弾性ポリオレフィンフィルム材料を得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、本発明の実施例の技術的解決手段の一層の説明のために、実施例の説明で使用する図面を簡単に紹介する。なお、下記の図面は本発明のいくつかの実施例を示すものに過ぎず、範囲への限定とは見なされない。当業者が新規性の作業をしなくても、これらの図面から他の関連の図面を得ることができる。
図1】実施例に係る冷却システムの模式図を示す。
図2】実施例に係る縦方向延伸機の模式図を示す。
図3】実施例に係る横方向延伸機の模式図を示す。
図4】実施例に係る分断機及び方向変換装置の模式図を示す。
図5】実施例に係る二方向同時延伸機の模式図を示す。
図6】実施例に係る抽出槽の模式図を示す。
図7】比較例2に係る鋳片引寄せロールの側方断面の走査電子顕微鏡写真を示す。
図8】比較例2に係るフィルムの断面の走査電子顕微鏡写真を示す。
図9】比較例3に係る鋳片引寄せロールの側方断面の走査電子顕微鏡写真を示す。
図10】比較例3に係るフィルムの断面の走査電子顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例を詳しく説明する。図面には実施例の例が示される。同一もしくは類似の要素又は同一もしくは類似の機能を備える要素を一貫して同一又は類似の符号で表す。図面を参照して説明する実施例は例示的なもので、本発明の説明と認めるが、本発明への限定にはならない。
【0030】
なお、本発明の説明では、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周向」などで示す方角又は位置関係は図面に示す方角又は位置関係に基づくもので、本発明の説明と説明の簡素化のためにこのような表現をとっているが、その対象となる装置又は要素が必ず特定の方角に位置し、特定の方角から構造もしくは操作されなければならないと声明又は示唆するものではなく、したがって本発明への限定にはならない。
【0031】
また、用語「第1」、「第2」は説明の目的で使用されるもので、重要性の比較を声明又は示唆するものでも、対象となる技術特徴の数量を暗黙的に声明するものでもない。そのため、「第1」、「第2」で限定した特徴は1つ又は複数の当該特徴を明示的に又は暗黙的に含む。本発明の説明で、明確で具体的な限定がある場合を除き、「複数」とは2つ又は2つ以上を意味する。
【0032】
本発明で、明確な規定や限定がある場合を除き、用語「取り付ける」、「接続」、「固定」などの用語が広義的に理解される。例えば、固定して接続されることでもよいし、取り外し可能に接続されることでもよいし、又は一体になることでもよい。機械的接続でもよいし、電気的接続でもよい。直接の接続でもよいし、介在物を介する間接的な接続でもよく、2つの要素が内部で連通することでもよいし、2つの要素の相互の作用でもよい。当業者は、前記用語の本発明における意味を、特定の状況に応じて具体的に理解することができる。
【0033】
本発明で、明確な規定や限定がある場合を除き、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」に位置するとは、第1特徴と第2特徴が直接的に接触することでもよいし、第1特徴と第2特徴が介在物を介して間接的に接触することでもよい。さらに、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」に位置するとは、第1特徴が第2特徴の真上もしくは斜め上方に位置することでもよいし、又は第1特徴は第2特徴より水平面からの高さが大きいことでもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」又は「下面」に位置するとは、第1特徴が第2特徴の真下もしくは斜め下方に位置することでもよいし、又は第1特徴は第2特徴より水平面からの高さが小さいことでもよい。
【0034】
本明細書で使用する用語の意味は以下のとおりである。
用語「...から調製される」は「含む」と同じ意味である。本明細書で使用する用語「含む」、「含有する」、「備える」、「有する」又は類似の用語は、非排他的に含むことを意味する。例えば、列挙した要素を含む組成物、ステップ、方法、製品又は装置は必ずしもそれらの要素に限るものではなく、明記はしていない他の要素又は当該組成物、ステップ、方法、製品もしくは装置に固有の要素を含んでもよい。
【0035】
用語「...によって構成される」は記載されていない要素、ステップ又は成分を排除するものである。請求項で使用する場合は、当該用語の使用で請求項が閉鎖形式と認められ、記載された材料以外の材料は含まず、ただし関連の通常の不純物は対象外である。用語「...によって構成される」が主題に続いてではなく請求項の主題に係る説明で使用される場合には、当該説明で言及される要素への限定と認められるが、他の要素が当該請求項から排除されることにはならない。
【0036】
当量、濃度、他の値又はパラメータが範囲、好ましい範囲、あるいは上限として好ましい複数の値と下限として好ましい値で限定した範囲で示される場合には、そのいずれの範囲の上限又は好ましい値といずれの範囲の下限又は好ましい値が組み合わさってなる全ての範囲が具体的に開示されるものと見なされ、たとえ当該範囲が個別に開示されなくてもそうである。例えば、範囲「1-5」とある場合に、当該範囲は範囲「1-4」、「1-3」、「1-2」、「1-2と4-5」、「1-3と5」などを含むよう解釈される。本明細書で数値範囲の説明がある場合に、説明がある場合を除き、当該範囲がその境界値及び当該範囲内の全ての整数と分数を含む。
【0037】
下記の実施例では、説明がある場合を除き、部又はパーセンテージは質量基準である。
【0038】
「質量部」は複数の成分の質量比率を示す基本的な計量単位である。1部は任意の単位質量を表すことができ、1gでもよいし、2.689gなどでもよい。例えば、A成分の質量部がa部で、B成分の質量部がb部であるとする。この場合、A成分の質量とB成分の質量との比がa:bであることを表す。又は、A成分の質量がaKで、B成分の質量がbKであることを表す(Kは倍率を表す任意の数値である)。なお、質量部数の場合と違って、全ての成分の質量部の和が必ずしも100部になるわけではないということに注意したい。
【0039】
「及び/又は」は対象となる2つの事象の一方又は両方が起こることを表す。例えば、A及び/又はBはA及びB、A又はBを含む。
【0040】
(実施例1)
図1図6が参照されるとおり、高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備は、順に設置される二軸スクリュ押出機と、冷却システムと、延伸システムと、抽出システムとを含む。冷却システムは引寄せロール1と、成形ロール2と、冷却ロール3と、冷却槽4とを含む。成形ロール2は引寄せロール1と冷却ロール3との間に設けられ、二軸スクリュ押出機のダイ5からの溶融物は引寄せロール1によって成形ロール2の表面に密着されて成形ロール2の回転に従って移動し、溶融物が冷却槽4の冷却媒体に浸漬されるよう成形ロール2の下部は冷却槽4内に設けられる。成形ロール2の表面に密着される鋳片は冷却ロール3に牽引され、複数の冷却ロール3を取り囲むことで鋳片の一層の冷却を実現する。延伸システムは縦方向延伸機(予熱ロール6と、延伸ロール7と、縦方向延伸機の成形ロール8とを含む)と、横方向延伸機と、横方向延伸機によって延伸されたフィルムを分断する分断機9とを含み、横方向延伸機には加熱オーブン10と冷却オーブン11とが設けられる。加熱オーブン10の温度精度は±0.5℃で、風速精度は±1m/sである。抽出システムは5組の抽出槽12を含み、各組の抽出槽12にはいずれも3組の引伸ロール13と2つの超音波発生装置14とが設けられる。
【0041】
まず、粉体秤量装置とプランジャーポンプによってポリエチレンと鉱油を固形分25%でそれぞれ二軸スクリュ押出機に投入して、190℃の条件下で溶融による可塑化を行った。溶融物をダイ5から押出して片状にし、直ちにゲル状の片材を流延機の成形ロール2と引寄せロール1との間に予め設けられたギャップを通過させて(成形ロール及び引寄せロールの表面温度を16℃に設定した)、追加の冷却槽4(冷却媒体は水)で溶融物の背面を強制冷却し、冷却槽4の温度を20℃として、厚さ3.9mmの鋳片を成形させた。当該鋳片を、縦方向延伸機を用いて100℃下で進行方向(MD)に沿って6倍延伸し、さらに横方向延伸機を用いて120℃下で幅方向(TD)に沿って6倍延伸した。その後、延伸形成した油膜の端部を切って整えて分断機を用いて3段に分断し、各段の幅は800mmとし、両側の油膜は方向変換装置15を用いて2つ目の縦方向延伸機(2台の縦方向延伸機が前後配置)に導入して、100℃下で進行方向(MD)に沿って1.4倍延伸し、さらに2つ目の横方向延伸機(2台の横方向延伸機が前後配置)に入れて120℃下で幅方向(TD)に沿って6倍延伸し、中間の油膜はそのまま2つ目の縦方向延伸機に入れて100℃下で進行方向(MD)に沿って1.4倍延伸して2つ目の横方向延伸機において120℃下で幅方向(TD)に沿って6倍延伸した。次に、2回目の二方向延伸後の油膜をジクロロメタンの入った抽出槽12に通過させて、油膜中の鉱油を抽出して油膜を乾燥した。乾燥後の微多孔質フィルムを3つ目の横方向延伸機に入れて、130℃下でTD方向に沿って1.3倍延伸し、その後、TD方向に沿って1.1倍に収縮させると同時に、133℃下で熱成形を行った。続いて、巻取ロールによる巻取を行って、厚さ7.4μmのポリエチレン微多孔質フィルムを得た。
【0042】
上記のように製造したポリエチレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、ポリオレフィン微多孔質フィルムの特性測定結果を得て表1に示す。
【0043】
(実施例2)
図1図6が参照されるとおり、高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備は、順に設置される二軸スクリュ押出機と、冷却システムと、延伸システムと、抽出システムとを含む。冷却システムは引寄せロール1と、成形ロール2と、冷却ロール3と、冷却槽4とを含む。成形ロール2は引寄せロール1と冷却ロール3との間に設けられ、二軸スクリュ押出機のダイ5からの溶融物は引寄せロール1によって成形ロール2の表面に密着されて成形ロール2の回転に従って移動し、溶融物が冷却槽4の冷却媒体に浸漬されるよう成形ロール2の下部は冷却槽4内に設けられる。成形ロール2の表面に密着される鋳片は冷却ロール3に牽引され、複数の冷却ロール3を取り囲むことで鋳片の一層の冷却を実現する。延伸システムは縦方向延伸機(予熱ロール6と、延伸ロール7と、縦方向延伸機の成形ロール8とを含む)と、横方向延伸機と、分断機9とを含み、横方向延伸機には加熱オーブン10と冷却オーブン11とが設けられる。加熱オーブン10の温度精度は±0.5℃で、風速精度は±1m/sである。抽出システムは5組の抽出槽12を含み、各組の抽出槽12にはいずれも3組の引伸ロール13と2つの超音波発生装置14とが設けられる。
【0044】
まず、粉体秤量装置とプランジャーポンプによってポリエチレンと鉱油を固形分25%でそれぞれ二軸スクリュ押出機に投入して、190℃の条件下で溶融による可塑化を行った。溶融物をダイ5から押出して片状にし、直ちにゲル状の片材を流延機の成形ロール2と引寄せロール1との間に予め設けられたギャップを通過させて(成形ロール及び引寄せロールの表面温度を16℃に設定した)、追加の冷却槽4(冷却媒体は水)で溶融物の背面を強制冷却し、冷却槽4の温度を20℃として、厚さ4.4mmの鋳片を成形させた。当該鋳片を、縦方向延伸機を用いて100℃下で進行方向(MD)に沿って6倍延伸し、さらに横方向延伸機を用いて120℃下で幅方向(TD)に沿って6倍延伸した。その後、延伸形成した油膜の端部を切って整えて3段に分断し、各段の幅は800mmとし、両側の油膜は方向変換装置15を用いて横方向延伸機(2台の横方向延伸機が前後配置)に導入して、120℃下で幅方向(TD)に沿って6倍延伸し、中間の油膜はそのまま2つ目の横方向延伸機に入れて120℃下で幅方向(TD)に沿って6倍延伸した。次に、2回目の二方向延伸後の油膜をジクロロメタンの入った抽出槽12に通過させて、油膜中の鉱油を抽出して油膜を乾燥した。乾燥後の微多孔質フィルムを横方向延伸機に入れて、130℃下でTD方向に沿って1.3倍延伸し、その後、TD方向に沿って1.1倍に収縮させると同時に、133℃下で熱成形を行った。続いて、巻取ロールによる巻取を行って、厚さ9μmのポリエチレン微多孔質フィルムを得た。
【0045】
上記のように製造したポリエチレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、ポリオレフィン微多孔質フィルムの特性測定結果を得て表1に示す。
【0046】
(実施例3)
図1図6が参照されるとおり、高強度・高弾性ポリオレフィンフィルムの製造設備は、順に設置される二軸スクリュ押出機と、冷却システムと、延伸システムと、抽出システムとを含む。冷却システムは引寄せロール1と、成形ロール2と、冷却ロール3と、冷却槽4とを含む。成形ロール2は引寄せロール1と冷却ロール3との間に設けられ、二軸スクリュ押出機のダイ5からの溶融物は引寄せロール1によって成形ロール2の表面に密着されて成形ロール2の回転に従って移動し、溶融物が冷却槽4の冷却媒体に浸漬されるよう成形ロール2の下部は冷却槽4内に設けられる。成形ロール2の表面に密着される鋳片は冷却ロール3に牽引され、複数の冷却ロール3を取り囲むことで鋳片の一層の冷却を実現する。延伸システムは縦方向延伸機(予熱ロール6と、延伸ロール7と、縦方向延伸機の成形ロール8とを含む)と、横方向延伸機と、横方向延伸機によって延伸されたフィルムを分断する分断機9と、方向変換装置15と、二方向同時延伸機16とを含み、横方向延伸機及び二方向同時延伸機16にはいずれも加熱オーブン10と冷却オーブン11とが設けられる。方向変換装置15は横方向延伸機と二方向同時延伸機16との間に設けられる。二方向同時延伸機16は高さ方向に沿って積層するよう3つが設けられる。加熱オーブン10の温度精度は±0.5℃で、風速精度は±1m/sである。抽出システムは5組の抽出槽12を含み、各組の抽出槽12にはいずれも3組の引伸ロール13と2つの超音波発生装置14とが設けられる。
【0047】
まず、粉体秤量装置とプランジャーポンプによってポリエチレンと鉱油を固形分25%でそれぞれ二軸スクリュ押出機に投入して、190℃の条件下で溶融による可塑化を行った。溶融物をダイ5から押出して片状にし、直ちにゲル状の片材を流延機の成形ロール2と引寄せロール1との間に予め設けられたギャップを通過させて(成形ロール及び引寄せロールの表面温度を16℃に設定した)、追加の冷却槽4(冷却媒体は水)で溶融物の背面を強制冷却し、冷却槽4の温度を20℃として、厚さ4.3mmの鋳片を成形させた。当該鋳片を、縦方向延伸機を用いて100℃下で進行方向(MD)に沿って6倍延伸し、さらに横方向延伸機を用いて120℃下で幅方向(TD)に沿って6倍延伸した。その後、延伸形成した油膜の端部を切って整えて3段に分断し、各段の幅は800mmとし、方向変換装置15を用いて両側の2段の油膜を両側の二方向同時延伸機16に導入し、中間の油膜をそのまま中間の二方向同時延伸機16に導入し、120℃下で進行方向(MD)及び幅方向(TD)に沿って同時に6倍延伸した。次に、2回目の二方向延伸後の油膜をジクロロメタンの入った抽出槽12に通過させて、油膜中の鉱油を抽出して油膜を乾燥した。乾燥後の微多孔質フィルムを横方向延伸機に入れて、130℃下でTD方向に沿って1.3倍延伸し、その後、TD方向に沿って1.1倍に収縮させると同時に、133℃下で熱成形を行った。続いて、巻取ロールによる巻取を行って、厚さ3.3μmのポリエチレン微多孔質フィルムを得た。
【0048】
上記のように製造したポリエチレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、ポリオレフィン微多孔質フィルムの特性測定結果を得て表1に示す。

【0049】
本願の有益な効果の一層の検証のために、次のとおりに比較試験を行った。
【0050】
(比較例1)
まず、粉体秤量装置とプランジャーポンプによってポリエチレンと鉱油を固形分25%でそれぞれ二軸スクリュ押出機に投入して、190℃の条件下で溶融による可塑化を行った。溶融物をダイから押出して片状にし、直ちにゲル状の片材を流延機の成形ロールと引寄せロールとの間に予め設けられたギャップを通過させて(成形ロール及び引寄せロールの表面温度を16℃に設定した)、厚さ1.4mmの鋳片を成形させた。当該鋳片を、縦方向延伸機を用いて100℃下で進行方向(MD)に沿って7倍延伸し、さらに横方向延伸機を用いて幅方向(TD)に沿って7.5倍延伸した。次に、延伸形成した油膜をジクロロメタンの入った抽出槽を通過させて、油膜中の鉱油を抽出して油膜を乾燥した。乾燥後の微多孔質フィルムを横方向延伸機に入れて、130℃下でTD方向に沿って1.3倍延伸し、その後、TD方向に沿って1.1倍に収縮させると同時に、133℃下で熱成形を行った。続いて、巻取ロールによる巻取を行って、厚さ7μmのポリエチレン微多孔質フィルムを得た。
【0051】
上記のように製造したポリエチレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、ポリオレフィン微多孔質フィルムの特性測定結果を得て表2に示す。
【0052】
(比較例2)
比較例1に加えてポリエチレン及び鉱油の供給量を高めて、鋳片の厚さを3.2mmに調整して、当該鋳片を、縦方向延伸機を用いて100℃下で進行方向(MD)に沿って7倍延伸し、さらに横方向延伸機を用いて幅方向(TD)に沿って7.5倍延伸して、厚さ20μmのポリエチレン微多孔質フィルムを得た。上記のように製造したポリエチレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、ポリオレフィン微多孔質フィルムの特性測定結果を得て表2に示す。
【0053】
比較例2に係る鋳片引寄せロールの側方断面は図7に示すようなもので、フィルムの断面は図8に示すようなものである。
【0054】
図7及び図8から分かるように、比較例2の鋳片及びフィルムでは、鋳片引寄せロールによる表面及び内部の冷却効果が悪く、延伸成膜後のフィルムは内部に孔隙構造が多いため、それを用いて製造した電池は短絡率が高い。
【0055】
(比較例3)
比較例2に加えて溶融物をダイから押出して片状にし、直ちにゲル状の片材を流延機の成形ロールと引寄せロールとの間に予め設けられたギャップを通過させて(成形ロール及び引寄せロールの表面温度を16℃に設定した)、追加の水浴槽で溶融物の背面を強制冷却し、水浴槽の温度を20℃として、厚さ3.1mmの鋳片を成形させた。他には変わりはなかった。上記のように製造したポリエチレン微多孔質フィルムの厚さ、延伸強度、突刺強度、孔隙率、通気度及び熱収縮率をそれぞれ測定して、ポリオレフィン微多孔質フィルムの特性測定結果を得て表2に示す。比較例3の鋳片引寄せロールの側方断面は図9に示すようなもので、フィルムの断面は図10に示すようなものである。
【0056】
図7図9図8図10の比較で分かるように、本願の引寄せロール+成形ロール+冷却ロール+冷却槽なる冷却システムから得た鋳片は明らかにより緻密になり、延伸成膜後はフィルム(セパレータ)の内部の構造も非常に緻密であるため、フィルム(セパレータ)の安全性及びフィルム(セパレータ)の性能の一貫性が大いに向上している。
【0057】
表1と表2のデータの比較で分かるように、本願の設備及び方法を用いて多段階の二方向延伸より製造したフィルム(セパレータ)の強度と弾性率は従来のプロセスによるものに比べて大いに向上しており、しかも厚さと通気度の極差が極めて小さく、フィルム(セパレータ)の均一性が大いに向上している。
【0058】
本発明では超高倍率延伸プロセスに合わせて縦方向、横方向又は二方向の延伸設備を複数設置して、複数回の延伸を重ねることで、従来の延伸設備をはるかに超える延伸倍率を実現して、局所延伸倍率は100×100倍レベルと大幅に向上しており、これによりフィルム材料の配向性、結晶性、マイクロファイバーの微細化、比強度が大幅に向上し、フィルム材料の破断伸びが低下して、10GPaを超える超高弾性のポリオレフィンフィルム材料を得る。当該材料はリチウム電池のセパレータ、空気濾過膜、水処理膜、油水分離膜、安全保護器具用高比強度・高弾性フィルム材料ライニングなどの分野に幅広く用いることができ、技術上は大きな優位性があるため大いなる利用が見込まれる。
【0059】
本明細書の説明で、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」などを用いる説明は当該実施例又は例で説明した特定の特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書で、前記用語の用例は必ずしも同じ実施例又は例が対象になるとは限らない。しかも、説明される特定の特徴、構造、材料又は特性がいずれの1つ又は複数の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、当業者は本明細書で説明される異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を、互いに抵触しない範囲で組み合わせることができる。
【0060】
なお、上記で本発明の実施例を示しそれを説明しているが、前記実施例は例示的なもので、本発明への限定にはならない。当業者は本発明を逸脱しない範囲で前記実施例に改変、補正、置き換え、変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
1...引寄せロール、2...成形ロール、3...冷却ロール、4...冷却槽、5...ダイ、6...予熱ロール、7...延伸ロール、8...縦方向延伸機の成形ロール、9...分断機、10...加熱オーブン、11...冷却オーブン、12...抽出槽、13...引伸ロール、14...超音波発生装置、15...方向変換装置、16...二方向同時延伸機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】