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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(54)【発明の名称】ナルデメジンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 489/08 20060101AFI20220615BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220615BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
C07D489/08
A61P25/04
A61K31/485
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561713
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(85)【翻訳文提出日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 KR2020005007
(87)【国際公開番号】W WO2020213911
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0046088
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518254931
【氏名又は名称】ヨンスン ファイン ケミカル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒョンイク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒョソン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086CB23
4C086ZA08
(57)【要約】
本発明は、高純度のナルデメジンを高収率且つ経済的に製造する方法を提供するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)下記の化学式2で表される化合物をジエチルピロカーボネートと反応させてから、塩基で処理して、下記の化学式3で表される化合物を収得するステップ;
(ii)下記の化学式3で表される化合物と下記の化学式4で表される化合物とを結合反応させてから塩酸を加えて、下記の化学式5で表される化合物を収得するステップ;及び
(iii)下記の化学式5で表される化合物を脱保護化反応させるステップを含む、下記の化学式1で表されるナルデメジンの製造方法。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】
【請求項2】
前記ステップ(i)で塩基はナトリウムエトキシドである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(i)で収得した化学式3で表される化合物を再結晶によって精製するステップを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記化学式2で表される化合物は、下記の化学式6で表される化合物をベンジル基で保護化して合成される、請求項1に記載の製造方法。
【化6】
【請求項5】
前記保護化反応は、化学式6で表される化合物を塩基の存在下においてベンジルブロミドと反応させて行われる、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記塩基は、微粉状の炭酸カリウムである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記保護化反応の溶媒はアセトンである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(ii)で結合反応は、別途の反応試薬の不在下において行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(ii)で結合反応の温度は還流加熱条件であり、反応溶媒はトルエンである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ステップ(ii)で収得した化学式5で表される化合物を再結晶によって精製するステップを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ(iii)で脱保護化反応は、酢酸において濃塩酸を用いて行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたナルデメジンに酸を加えるステップを含む、ナルデメジンの酸付加塩の製造方法。
【請求項13】
前記酸は、p-トルエンスルホン酸、酢酸、または塩酸である、請求項12に記載のナルデメジンの酸付加塩の製造方法。
【請求項14】
前記酸付加塩は、p-トルエンスルホン酸塩である、請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】
下記の化学式5で表される化合物。
【化7】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナルデメジンの製造方法に係り、より詳しくは、高純度のナルデメジンを高収率且つ経済的に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オピオイド鎮痛薬は、脳内のμオピオイド受容体に作用して強い鎮痛作用をし、腸管のμオピオイド受容体にも作用することで腸の活動を低下させて重度便秘症状を誘発する。
【0003】
下記の化学式Iで表されるナルデメジン(naldemedine)は、末梢選択性μオピオイド受容体拮抗剤であって、成人のオピオイド誘発性便秘治療剤として承認された薬物である。
【0004】
【化1】
【0005】
ナルデメジンは、オピオイド鎮痛薬の鎮痛作用を弱めることなく末梢μオピオイド受容体に結合してオピオイド鎮痛薬の作用に拮抗することにより便秘症状を緩和させる。
【0006】
アメリカ特許第8,084,460号には、下記の反応式1で表すように、ナルトレキソンをベンジル基で保護化しエトキシカルボニル化した後、再びベンジル基で保護化して加水分解してから、カップリングさせ脱保護化する全6ステップによってナルデメジンを製造する方法が開示されている。しかし、前記製造方法は、高価の試薬を用い、且つ反応条件が過酷であると共に、収率が低いため大量生産に適合しないという問題点があった。
【0007】
【化2】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一目的は、ナルデメジンを高収率且つ経済的に製造する方法を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、高純度のナルデメジンをカラムクロマトグラフィーによる精製工程なしに再結晶だけで製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、下記の化学式1で表されるナルデメジンの製造方法に関するものであって、本発明の製造方法は、
(i)下記の化学式2で表される化合物をジエチルピロカーボネートと反応させてから、塩基で処理して、下記の化学式3で表される化合物を収得するステップ;
(ii)下記の化学式3で表される化合物と下記の化学式4で表される化合物とを結合反応させてから塩酸を加えて、下記の化学式5で表される化合物を収得するステップ;及び
(iii)下記の化学式5で表される化合物を脱保護化反応させるステップを含む。
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】
【化6】
【0015】
【化7】
【0016】
以下、本発明の製造方法を下記の反応式2を参照してより詳しく説明する。下記の反応式2に表された方法は代表的に用いられた方法を例示したものであるに過ぎず、反応試薬や反応条件などは場合に応じて適宜変更され得る。
【0017】
【化8】
【0018】
〔第1ステップ:化学式3で表される化合物の製造〕
化学式3で表される化合物は、化学式2で表される化合物をジエチルピロカーボネートと反応させてから、塩基で処理して収得することができる。
【0019】
化学式2で表される化合物をジエチルピロカーボネート(DEPC)と反応させると、下記の反応式3で表されたように、化学式2で表される化合物のヒドロキシ基がエトキシカルボニル化してカーボネート中間体が生成され、これを塩基で処理すると、エトキシカルボニル基がケトン基のα位に転移(transfer)して、化学式3で表される化合物が収得される。
【0020】
【化9】
【0021】
前記塩基としては、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシドなどが用いられてよく、特に、ナトリウムエトキシドが好ましい。
【0022】
前記ジエチルピロカーボネートとの反応温度は約100~120℃が好ましく、塩基処理温度は常温が好ましい。
【0023】
収得された化学式3で表される化合物は、再結晶によって精製されてよい。再結晶溶媒としては、エチルアセテートとメタノールとの混合溶媒が好ましい。
【0024】
本発明の一側面において、化学式2で表される化合物は、下記の化学式6で表される化合物をベンジル基で保護化して合成されてよい。
【0025】
【化10】
【0026】
前記保護化反応は、化学式6で表される化合物を塩基の存在下においてベンジルブロミドと反応させて行われてよい。
【0027】
前記塩基としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが用いられてよく、特に、微粉状の炭酸カリウムが好ましい。
【0028】
反応温度は、約50~70℃が好ましい。
【0029】
反応溶媒としては、アセトン、ジメチルホルムアミドなどが用いられてよく、特に、後処理(work-up)工程及び収率の面でアセトンが好ましい。
【0030】
〔第2ステップ:化学式5で表される化合物の製造〕
化学式5で表される化合物は、化学式3で表される化合物と化学式4で表される化合物とを結合反応させてから塩酸を加えて収得することができる。
【0031】
前記結合反応は、触媒のような別途の反応試薬の不在下において行われてよい。
【0032】
反応温度は還流加熱条件が好ましく、反応時間は3日~4日が好ましい。
【0033】
このとき、反応溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレンなどが用いられてよく、特に、トルエンが好ましい。
【0034】
製造された化学式5で表される化合物は、再結晶によって精製されてよい。再結晶溶媒としては、エチルアセテートが好ましい。
【0035】
〔第3ステップ:化学式1で表されるナルデメジンの製造〕
化学式1で表される化合物は、化学式5で表される化合物を脱保護化反応させて収得することができる。
【0036】
前記脱保護化反応は、酢酸において濃塩酸を用いて行われてよい。
【0037】
このとき、反応温度は、約50~60℃が好ましい。
【0038】
収得された化学式1で表されるナルデメジンを0℃でアンモニア水に加えて固体を形成させてよい。
【0039】
前記製造方法によって製造されたナルデメジンは、追加の精製過程なしに酸を加えてナルデメジンの酸付加塩を製造するのに用いられてよい。
【0040】
前記酸としては、p-トルエンスルホン酸、酢酸、塩酸などが用いられてよく、特に、p-トルエンスルホン酸が好ましい。
【0041】
酸付加反応温度は常温が好ましく、反応溶媒としては、メタノールなどが用いられてよい。
【0042】
製造されたナルデメジンのp-トルエンスルホン酸塩は、再結晶によって精製されてよい。再結晶溶媒としては、メチレンクロリドが好ましい。
【0043】
本発明の一実施形態は、前記化学式1で表されるナルデメジンの製造中間体である下記の化学式5で表される化合物に関するものである。
【0044】
【化11】
【発明の効果】
【0045】
本発明の製造方法によれば、ナルデメジンを経済的且つ効率よく簡便に製造することができる。さらに、カラムクロマトグラフィーによる精製工程なしに再結晶だけで高純度のナルデメジンを高収率で製造することができ、大量生産に適合する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例は単に本発明を説明するためのものであるに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例に局限されないことは当業者にとって自明である。
〔製造例1:化学式4で表される化合物の合成〕
n-プロピルアセテート(1400mL,7vol.)にt-ブトキシカルボニルアミノイソ酪酸(200g、1.0equiv)を加えて撹拌してから、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA,188.5mL、1.1equiv)を0℃で加えた。次いで、イソブチルクロロホーメート(IBCF、134.7mL、1.05equiv)を0℃で滴下し、生成された混合物を1時間撹拌した。n-プロピルアセテート(800mL、4vol.)中のベンズアミドオキシム(140.7g、1.05equiv)溶液を加え、0℃で1時間撹拌した。次いで、生成された混合物を95℃で5時間加熱した。TLC(CHCl:MeOH=20:1)で反応が終結したことを確認した後、反応物を0.1N HCl溶液(3000mL、10vol.)で焼入れし、有機相を飽和NaHCO溶液(3000mL、10vol.)と水(3000mL、10vol.)で洗浄した。NaSO上で乾燥させ濃縮させてから、残留物(300g)をジオキサン中の4N HCl(3000mL、10vol)で希釈させ、20℃で2時間撹拌した。生成された白色固体をろ過した後、ろ過ケーキをメチルt-ブチルエーテル(MTBE、300mL、1vol.)で洗浄した。ろ液を蒸発させ、MTBE(500mL、10vol.)を加えて撹拌してから、ろ過し、そのろ過ケーキをMTBE(50mL、1vol.)で洗浄した。ろ過ケーキを合わせて真空オーブン内で乾燥させて、白色固体としての化学式4で表される化合物のHCl塩(228g、97.6%収率)を得た。次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2L)とMTBE(2L)を加えて30分間強く撹拌してから、有機層を分離して濃縮した。得られた固体を真空オーブン内で乾燥させて、白色固体としての化学式4で表される化合物(190g、98%収率)を得た。
【0047】
1H NMR (300 MHz, DMSO):9.16 (3H, s), 8.05-8.02 (2H, m), 7.65-7.59 (3H, m), 1.79 (6H, s).
m/z [M+H] = 204.1
〔製造例2:化学式2で表される化合物の合成〕
アセトン(1000mL、10vol.)に化学式6で表される化合物(100g、1equiv)、BnBr(41mL、1.3equiv)及びKCO(110g、3equiv)を加えて撹拌してから、60℃で20時間加熱した。TLC(CHCl:MeOH=15:1)で反応が終結したことを確認した後、反応物を常温に冷却しろ過した後、そのろ過ケーキをアセトン(200mL×2、2vol.)で洗浄した。ろ液を蒸発させその残留物を2N HCl溶液(300mL、3vol.)で希釈した後、MTBE(300mL×2、3vol.)で洗浄した。次いで、NH・HOで中和させ、CHCl(300mL×2、3vol.)で抽出した。有機相を合わせてNaSO上で乾燥させてから蒸発させて、淡黄色ガムとしての化学式2で表される化合物(106.93g、93.6%収率)を得た。
【0048】
1H NMR(300 MHz, CDCl3):7.47-7.44 (2H, m), 7.37-7.25 (3H, m), 6.72-6.54 (2H, dd, J =8.1 Hz), 5.31-5.18 (3H, m), 4.68 (1H, s), 3.18-3.16 (1H, d), 3.06-3.00 (2H, m), 2.76-2.12 (7H, m), 1.96-1.83 (1H, m), 1.64-1.53 (2H, m), 0.98-0.77 (1H, m), 0.57-0.53 (2H, m), 0.15-0.13 (2H, m);
13C NMR(300 MHz, CDCl3):δ= 208.5, 145.5, 141.8, 137.5, 129.8, 128.3, 127.7, 125.6, 119.4, 118.0, 90.4, 72.1, 70.1, 62.0, 59.2, 50.7, 43.5, 36.2, 31.5, 30.7, 22.6, 9.4, 3.9, 3.8.
m/z [M+H] = 432.2
〔実施例1:化学式3で表される化合物の合成〕
化学式2で表される化合物(106.9g、1equiv)及びジエチルピロカーボネート(DEPC、1000mL、10vol.)の撹拌された混合物を110℃で20時間加熱した。揮発物質を蒸発させその残留物をEtOH(1000mL、10vol.)で希釈した。生成された混合物にEtONa(107mL、1vol.、EtOH中の20%溶液)を滴下し、混合物を20℃で1時間撹拌した。TLC(CHCl:MeOH=15:1)で反応が終結したことを確認した後、反応混合物を0℃で1N HCl溶液で中和させた。生成された混合物を濃縮させその残留物をCHCl(1000mL、10vol.)と水(500mL、5vol.)で希釈した。有機層を分離し、分離された水層をCHCl(300mL)で抽出した。有機層を合わせてNaSO上で乾燥させてから濃縮した。粗生性物を結晶化(EA:MeOH=2vol.:4vol.)によって精製し、ろ過してから、そのろ過ケーキをMeOH(1vol.)で洗浄した。ろ液を蒸発させ再び再結晶化した。2つのろ過ケーキを合わせて真空オーブン内で乾燥させて、白色固体としての化学式3で表される化合物(110g、88%収率、98.4%純度)を得た。
【0049】
1H NMR(300 MHz, CDCl3):12.06 (1H, s), 7.43-7.39 (2H, m), 7.34-7.25 (3H, m), 6.74-6.54 (2H, dd, J =8.1 Hz), 5.20-5.18 (2H, t, J = 4.2 Hz), 4.95 (1H, s), 4.89 (1H, br), 4.17-4.14 (2H, m), 3.23-3.21 (1H, d), 3.09-3.03 (1H, d), 2.69-2.25 (7H, m), 2.03-1.98 (1H, d), 1.75-1.65 (2H, d), 1.28-1.23 (3H, t, J =6.9), 0.97-0.77 (1H, m), 0.57-0.54 (2H, m), 0.15-0.12 (2H, m);
13C NMR(300 MHz, CDCl3):δ= 172.1, 164.4, 145.3, 141.9, 137.3, 131.0, 128.3, 127.8, 126.2, 119.0, 117.7, 98.4, 87.0, 71.9, 70.0, 61.2, 60.9, 59.4, 46.5, 43.3, 31.1, 29.9, 22.9, 14.1, 9.3, 4.1, 3.6.
m/z [M+H] = 504.2
〔実施例2:化学式5で表される化合物の合成〕
トルエン(200mL、2vol.)に化学式3で表される化合物(100g、1equiv)及び化学式4で表される化合物(60.54g、1.5equiv)を加えて撹拌した後、110℃で4日間加熱した。TLC(CHCl:MeOH=15:1)で反応が終結したことを確認した後、反応混合物をCHCl(1000mL、10vol.)で希釈し、0.1N HCl溶液(500mL×5、5vol.)、飽和NaHCO溶液(500mL、5vol.)及び食塩水(500mL、5vol.)で洗浄した。分離された有機層をNaSO上で乾燥させ濃縮させた。粗生性物(65g)をEA(688mL、7.5vol.)で希釈し、ジオキサン中の4N HCl溶液(26mL、1.05equiv)を滴下した。滴下後、混合物を還流加熱して透明な溶液になるようにした。前記透明な溶液を常温に徐々に冷却させた。形成された固体をろ過し、そのろ過ケーキをEA(32mL、0.5vol.)及びMTBE(65mL、1vol.)で洗浄した。前記ろ過ケーキを真空オーブン内で乾燥させて、白色固体としての化学式5で表される化合物(47g,73%収率、99.5%純度)を得た。
【0050】
1H NMR(300 MHz, DMSO):13.30 (1H, s), 8.23 (1H, br), 8.00 (1H, s), 7.99-7.97 (2H, m), 7.59-7.53 (3H, m), 7.41-7.28 (5H, m), 6.96-6.73 (2H, dd, J =8.1 Hz), 5.17-5.12 (2H, m), 5.04 (1H, s), 4.04-4.02 (1H, d), 3.47-2.04 (9H, m), 1.72-1.70 (6H, d), 1.66-1.60 (1H, d), 1.17-1.06 (1H, m), 0.75-0.61 (2H, m), 0.55-0.39 (2H, m);
13C NMR(300 MHz, DMSO):δ= 183.4, 171.4, 167.8, 161.4, 145.1, 142.1, 137.2, 132.0, 129.7, 129.6, 128.8, 128.7, 128.3, 127.4, 126.6, 124.1, 120.3, 117.4, 98.4, 86.5, 70.8, 70.0, 60.4, 57.2, 52.1, 45.9, 45.0, 30.9, 28.0, 26.7, 26.5, 24.0, 6.1, 5.7, 2.8.
m/z [M+H] = 661.3
〔実施例3:化学式1で表されるナルデメジンの合成〕
酢酸(40mL、4vol.)に化学式5で表される化合物(10g、1equiv)及びconc.HCl(20mL、2vol.)を加えて撹拌した後、60℃で3時間加熱した。TLC(CHCl:MeOH=15:1)で反応が終結したことを確認した後、反応混合物を常温に冷却させ、NH・HO(75mL、7.5vol.)と水(75mL、7.5vol.)の混合物に0℃で滴下した。沈澱した白色固体をろ過し、そのろ過ケーキを水(20mL×2、2vol.)で洗浄した。分離された固体をEtOAc(80mL、8vol.)で希釈し、NaSO上で乾燥させてから濃縮させた。残留物にMTBE(10mL、10vol.)を加えて撹拌して生成物を固体化させた後、これをろ過し、追加の精製なしに次のステップに供した。
【0051】
1H NMR(300 MHz, DMSO):13.40 (1H,br), 9.16 (1H, br), 8.08 (1H, br), 7.99-7.95 (2H, m), 7.58-7.52 (3H, m), 6.60-6.53 (2H, m), 4.77 (1H, br), 4.72 (1H, s), 3.33-1.97 (8H, m), 1.69-1.58 (6H, m), 1.43-1.14 (2H, m), 0.88-0.81 (1H, m), 0.53-0.47 (2H, m), 0.15-0.14 (2H, m).
m/z [M+H] = 571.2
〔実施例4:ナルデメジントシラートの合成〕
MeOH(65mL、10vol.)中の化学式1で表される化合物(6.5g、1equiv)溶液にp-トルエンスルホン酸(PTSA、2.1g、1equiv)を加え、20℃で16時間撹拌した。次いで、生成された混合物を蒸発させ、その残留物にACN及びMTBE(ACN:MTBE=1:10)を加えて撹拌した後、ろ過し、そのろ過ケーキをMTBE(1vol.)で洗浄した。次いで、これをMC(10vol.)で希釈し、2日間撹拌した。生成された白色固体を結晶化した(非溶媒和)(純度99.8%)。
【国際調査報告】