(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(54)【発明の名称】エンジンバルブ作動システムにおけるラッシュアジャスタ制御
(51)【国際特許分類】
F01L 13/06 20060101AFI20220615BHJP
F01L 1/245 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
F01L13/06 Z
F01L1/245 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562331
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 IB2020054358
(87)【国際公開番号】W WO2020229969
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルトラッキ、ジャスティン、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ゲイブリエル エス.
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、マテイ
(72)【発明者】
【氏名】マンデル、ジョン
【テーマコード(参考)】
3G016
3G018
【Fターム(参考)】
3G016BB29
3G016CA14
3G016DA18
3G018AB04
3G018AB05
3G018BA17
3G018BA27
3G018CB06
3G018DA03
3G018DA04
3G018DA17
3G018DA28
3G018FA20
3G018GA22
(57)【要約】
内燃機関のバルブ作動用システムが、タイプIIバルブトレインアーキテクチャを含む専用カム環境におけるHLAジャッキングの防止に特に適した油圧ラッシュアジャスタおよびバルブ作動バルブトレイン構成要素の構成を提供する。一実装形態では、主イベントバルブトレインに関連付けられたストローク制限付きのばねバイアスピストンを備え得るラッシュアジャスタローディング構成要素は、ジャッキングを防止するために、ラッシュアジャスタを一定の圧縮力下に保つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関において2つ以上のエンジンバルブのうちの少なくとも1つを作動させるための装置であって、
主イベント運動源と、
前記主イベント運動源から第1の負荷経路を介して前記バルブに運動を伝達するための主イベントバルブトレインと、
前記主イベント運動源から分離された補助イベント運動源と、
前記補助運動源から第2の負荷経路を介して1つ以上のエンジンバルブに運動を伝達するための補助イベントバルブトレインと、
前記第1の負荷経路に協働的に関連付けられたラッシュアジャスタと、
前記ラッシュアジャスタの過度の伸長を防ぐために前記第1の負荷経路に協働的に関連付けられたラッシュアジャスタローディング構成要素と、を備える装置。
【請求項2】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、バイアス構成要素を備え、前記主イベント運動源は、主イベントカムであって、前記主イベントカムが、前記主イベントバルブトレイン内の主イベント運動を画成する主イベントカム表面を有する、主イベントカムと、前記主イベントバルブトレイン内のプリロード運動を画成するプリロードカム表面と、を含み、前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、前記ラッシュアジャスタにバイアス力を加える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記補助イベント運動源が、補助イベントカムを含み、前記補助イベントカムが、少なくとも1つの補助バルブイベントを画成する補助イベントカム表面を有し、前記主イベントバルブトレイン内の前記プリロード運動が、少なくとも1つの補助バルブイベントの間に発生する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記主イベント運動源が、少なくとも1つの補助イベントの持続時間の間、前記ラッシュアジャスタローディング構成要素内に前記プリロード運動を引き起こすように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記主イベント負荷経路が、バルブブリッジを含み、前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、前記バルブブリッジに協働的に関連付けられたピストンを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、ラッシュアジャスタ圧縮方向において前記ラッシュアジャスタローディング構成要素のストロークを制限するためのストローク制限構成要素を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、ラッシュアジャスタ拡張方向において前記ラッシュアジャスタローディング構成要素の前記ストロークを制限するためのストローク制限構成要素を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、前記ピストン上に環状ショルダーを備えるストローク制限構成要素を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素の前記ストロークが、ラッシュアジャスタ補充期間と前記主イベント運動源上の主イベント開閉位置との間の並進距離に実質的に等しい、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記主イベント運動源が、前記主イベントバルブトレイン内の主イベント運動を画成する主イベントカム表面と、前記ラッシュアジャスタの補充を可能にする、主イベントバルブトレイン内のラッシュアジャスタ補充運動を画成するラッシュアジャスタ補充カム表面と、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記主イベントカムが、前記主イベントバルブトレイン内のプリロード運動を画成するプリロードカム表面を含み、前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、前記ラッシュアジャスタにバイアス力を加える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
補助運動源が、補助カムを含み、前記補助カムが、少なくとも1つの補助イベントを画成する補助カム表面を有し、前記主イベント運動源と前記補助運動源は、前記ラッシュアジャスタ補充運動が前記内燃機関の少なくとも1つの動作サイクル中の前記少なくとも1つの補助イベントの前に始まるように協働する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
補助運動源が、補助カムを含み、前記補助カムが、少なくとも1つの補助イベントを画成する補助カム表面を有し、前記主イベント運動源と前記補助運動源は、前記ラッシュアジャスタプリロード運動が前記内燃機関の少なくとも1つの動作サイクル中の前記少なくとも1つの補助イベント中に適用されるように協働する、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、
前記バルブブリッジに協働的に関連付けられたピストン、および前記ピストンが前記ラッシュアジャスタを圧縮する傾向があるラッシュアジャスタ圧縮方向に前記ピストンをバイアスするためのピストンバイアス構成要素と、
前記ラッシュアジャスタ圧縮方向において前記ピストンのストロークを制限するための第1の制限構成要素と、
前記ピストンが前記ラッシュアジャスタの拡張を可能にする傾向があるラッシュアジャスタ拡張方向において前記ピストンの前記ストロークを制限するための第2の制限構成要素と、を備え、
前記主イベント運動源が、主イベントカムを含み、前記主イベントカムが、前記ラッシュアジャスタの補充を可能にするサブベース円ラッシュアジャスタ補充期間を画成する主イベントカム表面を有し、
前記第2の制限構成要素が、前記ラッシュアジャスタ拡張方向における前記ピストンの前記ストロークを、前記ラッシュアジャスタ補充期間と前記カム上の主イベント開閉位置との間の並進距離に実質的に等しい距離に制限する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記主イベント負荷経路が、少なくとも1つのエンジンバルブに作用するためのエンドピボットロッカーを含み、前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、前記エンドピボットロッカーに協働的に関連付けられたピストン、および前記ピストンが前記ラッシュアジャスタを圧縮する傾向があるラッシュアジャスタ圧縮方向に前記ビストンをバイアスするためのピストンバイアス構成要素を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、前記ラッシュアジャスタ圧縮方向において前記ピストンのストロークを制限するための第1の制限構成要素を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、前記ピストン上の環状ショルダー上に第1の表面を備えるストローク制限ローディング構成要素を有し、前記第2の制限構成要素が、前記ピストン上の前記環状ショルダー上に第2の表面を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素の前記ストロークが、前記ラッシュアジャスタ補充期間と前記主イベント運動源上の主イベント開閉位置との間の並進距離に実質的に等しい、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記主イベント負荷経路が、少なくとも1つのエンジンバルブに作用するためのエンドピボットロッカーを含み、前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、前記エンドピボットロッカー内に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、前記ラッシュアジャスタ圧縮方向において前記ラッシュアジャスタローディング構成要素のストロークを制限するための第1の制限構成要素を備え、前記ラッシュアジャスタローディング構成要素の前記ストロークが、ラッシュアジャスタ補充期間と前記主イベント運動源上の主イベント開閉位置との間の並進距離に実質的に等しい、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記ラッシュアジャスタローディング構成要素が、調整可能なストローク制限構成要素を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記調整可能なストローク制限構成要素が、ユーザが前記ラッシュアジャスタローディング構成要素の前記ストロークを調整することを可能にするように適合されたねじ切り要素である、請求項21に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、内燃機関のバルブを作動させるためのシステムに関する。より具体的には、本開示は、ラッシュアジャスタの過度の伸長を制御および防止するための機能を含むエンジンバルブ作動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は、動作中に1つ以上の燃焼室への可燃性成分、通常は燃料および空気の流れを制御するためのバルブ作動システムを必要とする。そのようなシステムは、エンジン動作中の吸気バルブおよび排気バルブの運動およびタイミングを制御する。正出力モードでは、燃料および空気を燃焼用のシリンダに入れるために吸気バルブが開かれ、続いて燃焼生成物がシリンダから逃げることができるように排気バルブが開かれる。この動作は、通常、エンジンの「正出力」動作と呼ばれ、正出力動作中にバルブに適用される運動は、通常、「主イベント」バルブ作動運動と呼ばれる。エンジンブレーキ(動力吸収)をもたらす運動などの補助バルブ作動運動は、エンジンバルブのうちの1つ以上に与えられる「補助」イベントを使用して達成することができる。
【0003】
主イベントの正出力動作モード中のバルブの動きは、通常、運動源として1つ以上の回転カムによって制御される。バルブトレイン内に配置されたカムフォロア、プッシュロッド、ロッカーアーム、および他の要素は、カム表面からバルブへの運動の直接転送を提供する。バルブブリッジを使用すると、単一の上流バルブトレインから複数のバルブに運動を与えることができる。補助イベントの場合、補助イベントバルブの動きを容易にするために、「ロストモーション」デバイスがバルブトレインにおいて利用され得る。ロストモーションデバイスは、それぞれのカム表面単独による作動の結果として別様に発生する動きと比較して、バルブ運動が修正される技術解決策のクラスを指す。ロストモーションデバイスは、バルブの主イベント動作に加えて、またはその代替として、補助イベントの選択的発生を容易にするために、その長さ、剛性、または圧縮性が変化および制御されるデバイスを含むことができる。補助イベントはまた、別個の補助またはブレーキカムおよびバルブトレインを使用して1つ以上のバルブに補助運動を与えて補助イベントの選択的発生を容易にすることができる専用カムシステムによって促進され得る。
【0004】
ラッシュ調整機能は通常、過度の騒音、振動、衝撃力、および摩耗につながる可能性があるバルブトレイン構成要素間の過度のクリアランスであるラッシュの除去を容易にするために、バルブ作動システム上に提供される。例えば、ブレーキングイベント中に、かなりのラッシュがエンジンバルブトレインに導入される場合がある。通常は油圧ラッシュアジャスタ(「HLA」)であるラッシュアジャスタには、バルブサイクルの一部分の間、典型的にはバルブトレインがゼロリフト下にあるかまたは無負荷状態であるとき、ラッシュ占有モードにおいて油圧下で拡張し、次いで、バルブサイクルのバルブ開放部分の間、典型的にはバルブトレインが高負荷下にあるとき、例えば、主イベント作動中に、油圧的な「ロック」または非圧縮モードを想定するL262ように協働する機械的構成要素が含まれる場合がある。HLAの使用に関連する1つの課題は、HLAの過度の伸長または「ジャッキング」の防止であり、これは、HLAが占有モードにおいて過度に伸長することが許容され、過度の伸長された位置において油圧ロックになったときに発生することがある。これは、過度のバルブトレイン力および他の望ましくない結果を生じる可能性がある。そのような措置は、HLAに適切な負荷を維持することによってジャッキングを防止するために、またはHLAの伸長を制限するために、先行技術において取られてきた。
【0005】
ロストモーションカムシステムは、通常、同じカムローブ上に異なるプロファイルのリフトセクションを備えた少なくとも1つのカムを使用して、それぞれの主イベントおよび1つ以上の補助イベントに運動を与える。これらの異なるプロファイルのリフトセクションは、バルブトレイン内に配置されたピストンまたはアクチュエータなど、別個のロストモーションメカニズムを使用してアクティブ化または非アクティブ化される。補助イベントの例は、エンジンブレーキ、早期排気バルブ開放(EEVO)、または遅延吸気バルブ閉鎖(LIVC)リフトイベントを含み、バルブセット内の1つ以上のバルブ(すなわち、それぞれのシリンダについて2つの排気バルブ)に与えられ得る。ロストモーションブレーキシステムなどのロストモーション補助バルブリフトシステムは、ロストモーションカムに関連付けられた単一のロッカーと、主イベント運動において2つのエンジンバルブを作動させるためのロッカーに関連付けられたバルブブリッジとを採用することができる。バルブのうちの1つ上での補助バルブリフトまたはブレーキ運動は、補助バルブリフトまたはブレーキアクチュエータによって促進され、この補助バルブリフトまたはブレーキアクチュエータは、ロッカー内に収納でき、ブリッジ内に配置され、ブリッジに対して独立した運動を提供するブリッジピンを介してバルブに補助またはブレーキ運動を選択的に与えることができる、ロストモーションデバイスである。補助バルブリフトまたはブレーキアクチュエータは、ロストモーションカム上の補助またはブレーキングイベントリフトプロファイルセクションまたはローブが、エンジンブレーキなどの補助イベントが望ましいときにのみバルブ上の補助またはブレーキ運動をもたらすように、選択的にアクティブ化および非アクティブ化される。
【0006】
一方、専用カムバルブ作動システムは、補助イベントを容易にするために、専用の補助運動源および専用の補助バルブトレイン構成要素を利用することができ、それらの少なくともいくつかは、主イベント運動源およびバルブトレインから分離されている。例えば、Meistrickの米国特許第8,851,048号は、その主題全体が参照により本明細書に組み込まれ、主イベントの運動がバルブブリッジに、および最終的にはそれと協働する2つのエンジンバルブに与えられる専用カムシステムを記載している。エンジンバルブのうちの1つの補助運動は、専用の補助運動源(カム)によって促進することができ、この専用の補助運動源は、補助ロッカーと協働して、補助運動をバルブブリッジ内のブリッジピンを介して最終的に1つのエンジンバルブに伝達して、ブレーキングイベントなどの補助イベントを引き起こす。
【0007】
専用カムバルブ作動システムには、「Design and Development of a 2-Step Rocker Arm」と題するSAEテクニカルペーパー2007-01-1285に記載されているように、一般に「タイプII」バルブトレインアーキテクチャとして知られるシステムが含まれる場合がある。これらのアーキテクチャには、一方の端において支点を中心に枢動するロッカーアームが含まれる場合があり、他方の端は、バルブ、またはバルブと協働するバルブトレイン構成要素に係合する。主イベント運動は、主イベントカムなどの主イベント運動源によって、ロッカーアーム上の中央または中間の場所に与えられ得る。これらのシステムはラッシュアジャスタを利用する場合がある。タイプIIアーキテクチャでは、ラッシュアジャスタを主イベント負荷経路内に直接配置することはできないが、代わりに、主イベント負荷に対する反力として機能し、例えば、ロッカーアームピボットの相対的な動きによってラッシュが調整される位置に配置することができる。
【0008】
上述のタイプIIアーキテクチャおよび他の環境において、主イベント運動源とは別個であり得る、専用カムおよびロッカー、またはボルトオンマスタ/スレーブブレーキなどの専用の補助運動源によって補助運動が促進されるエンジン環境では、ラッシュアジャスタの過度の伸長を防ぐ際の課題が提示される場合がある。
【0009】
したがって、従来技術における上述した欠点などに対処するシステムを提供することが有利であろう。
【発明の概要】
【0010】
前述の課題に応えて、本開示は、ロストモーションと専用のカム補助運動システムの両方に適用され得る、ラッシュアジャスタの過度の伸長を制御および防止するための機能を備えたバルブ作動システムの様々な実施形態を提供する。より具体的には、本開示は、ラッシュアジャスタローディング構成要素が、直接的にまたは他のバルブトレイン構成要素を介して間接的に、ラッシュアジャスタと協働して、その過度の伸長を防止することができるシステムを説明する。ラッシュアジャスタローディング構成要素は、バルブトレイン内の様々な要素内に配置するかまたはそれと協働することができ、ラッシュアジャスタが別様に過度に伸長する傾向があり得るエンジンサイクル中に時々、ラッシュアジャスタにバイアス力を加えるか、または加えることを容易にすることができる。したがって、説明されるシステムは、ラッシュアジャスタの動作を容易にし、統合されたロストモーションと専用の補助カム/バルブトレインエンジン環境の両方におけるラッシュアジャスタの過度の伸長または「ジャッキング」のリスクの低減を促進する。
【0011】
一態様によれば、内燃機関において2つ以上のエンジンバルブのうちの少なくとも1つを作動させるためのシステムが、主イベント運動源と、主イベント運動源から主イベント負荷経路を介して少なくとも1つのバルブに運動を伝達するための主イベントバルブトレインと、補助イベント運動源と、少なくとも1つのバルブに補助運動を伝達するための補助イベントバルブトレインと、主イベント負荷経路と協働するラッシュアジャスタと、ラッシュアジャスタと協働するラッシュアジャスタローディング構成要素と、を備え得る。
【0012】
本開示の別の態様によれば、内燃機関において専用カムシステムに特に適し得る2つ以上のエンジンバルブのうちの少なくとも1つを作動させるための装置またはシステムが、主イベント運動源と、主イベント運動源から第1の負荷経路を介してバルブブリッジに運動を伝達するための主イベントバルブトレインと、主イベント運動源から分離された補助イベント運動源と、補助運動源から第2の負荷経路を介して2つ以上のエンジンバルブのうちの1つに運動を伝達するための補助イベントバルブトレインと、第1の負荷経路内に配置されたラッシュアジャスタと、ラッシュアジャスタの過度の伸長を防ぐために第1の負荷経路内に配置されたラッシュアジャスタローディング構成要素と、を備え得る。ラッシュアジャスタローディング構成要素は、バルブブリッジ内に配置されたストローク制限付きのばね式ピストン、またはロッカーなどの他の主イベントバルブトレイン構成要素を備えることができ、上限および下限によって画成される固定ストロークと、ピストンをラッシュアジャスタに対してバイアスして補助イベント中にラッシュアジャスタの伸長を制御するための、圧縮ばねなどのバイアス構成要素と、を備え得る。ラッシュアジャスタローディング構成要素は、ラッシュアジャスタの補充を可能にするラッシュアジャスタ補充状態と、ラッシュアジャスタローディング構成要素がラッシュアジャスタにバイアス力を加えるプリロード状態と、ラッシュアジャスタローディング構成要素が主イベント運動源からバルブブリッジに高負荷を伝達する主イベント状態と、を想定することができる。主イベント運動源は、主イベントリフト面に加えて、プリロードカム表面およびラッシュアジャスタ補充カム表面を含み、ラッシュアジャスタローディング構成要素に、動作中にラッシュアジャスタ補充およびプリロード状態を想定させることができる。したがって、ラッシュアジャスタローディング構成要素は、ラッシュアジャスタの補充の制御を提供し、別個の主イベントおよび補助運動源を含み得る動作環境においてラッシュアジャスタの過度の伸長を防止し得る。
【0013】
本開示の別の態様によれば、内燃機関のタイプIIバルブトレインアーキテクチャの専用カムシステムに特に適し得る2つ以上のエンジンバルブのうちの少なくとも1つを作動させるための装置またはシステム。このシステムは、主イベント運動源と、主イベント運動源から第1の負荷経路を介してバルブブリッジに運動を伝達するための主イベントバルブトレインと、主イベント運動源から分離された補助イベント運動源と、補助運動源から第2の負荷経路を介してエンジンバルブに運動を伝達するための補助イベントバルブトレインと、ラッシュアジャスタと、ラッシュアジャスタの過度の伸長を防ぐために第1の負荷経路と協働するラッシュアジャスタローディング構成要素と、を備え得る。ラッシュアジャスタローディング構成要素は、エンドピボットロッカーアーム、ピボット、または別のバルブトレイン構成要素内に配置された、またはそれらに協働的に関連付けられたストローク制限付きのばね式ピストンまたはばね式レバーアームを備え得る。ばねバイアスピストンは、上限および下限によって画成される固定ストロークと、補助イベント中にラッシュアジャスタの伸長を制御するためにラッシュアジャスタに対してピストンをバイアスするための圧縮ばねなどのバイアス構成要素とを有することができる。ラッシュアジャスタローディング構成要素は、ラッシュアジャスタの補充を可能にするラッシュアジャスタ補充状態と、ラッシュアジャスタローディング構成要素がラッシュアジャスタにバイアス力を加えるプリロード状態と、ラッシュアジャスタローディング構成要素が主イベント運動源からバルブブリッジに高負荷を伝達する主イベント状態と、を想定することができる。主イベント運動源は、主イベントリフト面に加えて、プリロードカム表面およびラッシュアジャスタ補充カム表面を含み、ラッシュアジャスタローディング構成要素に、動作中にラッシュアジャスタ補充およびプリロード状態を想定させることができる。したがって、ラッシュアジャスタローディング構成要素は、ラッシュアジャスタの補充の制御を提供し、別個の主イベントおよび補助運動源を含み得るタイプII動作環境においてラッシュアジャスタの過度の伸長を防止し得る。
【0014】
本開示の他の態様および利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになり、上記の態様は、包括的または制限的であるとみなされるべきでない。上記の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本開示の発明的態様の実施例を提供することを意図しており、決して、添付の特許請求の範囲で定義された範囲を制限または限定するものと解釈されるべきでない。
【0015】
上記および他の本発明の付随する利点および特徴は、全体を通して同様の参照番号が同様要素を表す添付図面とともに、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。説明および実施形態は、本開示の態様に従う例示的な実施例を意図しており、また、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に限定されることを意図していないことが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の態様によるバルブ作動システムの概略ブロック図である。
【
図2】本開示によるバルブ作動システムおよび
図1のシステムの概略的な実装例である。
【
図3】ロストモーションカムプロファイルのグラフィック表示である。
【
図4A】
図1および
図2のものと比較して修正された構成におけるラッシュアジャスタおよびラッシュアジャスタローディング構成要素の別の実装の詳細を示す断面図である。
【
図4B】
図4Aと比較して修正された構成におけるラッシュアジャスタおよびラッシュアジャスタローディング構成要素のさらに別の実装の詳細を示す断面図である。
【
図5】本開示のさらなる態様によるバルブ作動システムの概略ブロック図である。
【
図6】本開示によるバルブ作動システムおよび
図5のシステムの概略的な実装例である。
【
図7】本開示のさらなる態様による専用の補助運動源を含む、バルブ作動システムの概略ブロック図である。
【
図8】本開示の態様によるラッシュアジャスタローディング構成要素を含む、専用の補助運動源システム内で使用することができる例示的なバルブ作動構成要素の斜視である。
【
図9.1】ラッシュアジャスタの補充を可能にするトップアウト位置に示されているラッシュアジャスタローディング構成要素を含む、
図8のバルブ作動システムを示す断面図である。
【
図9.2】ラッシュアジャスタがラッシュアジャスタローディング構成要素から伝達されるバイアス力を受けるプリロード位置に示されているラッシュアジャスタローディング構成要素を含む、
図8のバルブ作動システムを示す断面図である。
【
図9.3】主イベント運動がバルブブリッジに伝達されるボトムアウト位置に示されているラッシュアジャスタローディング構成要素を含む、
図8のバルブ作動システムを示す断面図である。
【
図10】クランクシャフト角度の関数としてそれぞれの主イベントおよび補助イベント(ブレーキング)バルブリフトを示している、
図8のバルブ作動システムの動作例のグラフ表示である。
【
図12】タイプIIバルブアーキテクチャに関連する本開示の態様によるバルブ作動システム1200の概略図である。
【
図13】タイプIIバルブアーキテクチャにおけるラッシュアジャスタローディング構成要素の配置の第1の例の概略図である。
【
図14】タイプIIバルブアーキテクチャにおけるラッシュアジャスタローディング構成要素の配置の第2の例の概略図である。
【
図15】タイプIIバルブアーキテクチャにおけるラッシュアジャスタローディング構成要素の配置の第3の例の概略図である。
【
図16】タイプIIバルブアーキテクチャにおけるラッシュアジャスタローディング構成要素の配置の第4の例の概略図である。
【
図17】タイプIIバルブアーキテクチャにおけるラッシュアジャスタローディング構成要素の配置の第5の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の態様による例示的なバルブ作動システムにおける構成要素の機能は、最初に全体的に説明され、より詳細な例示的な実装の説明が続く。これらの全体的および例示的な説明は、本開示に反映される発明に関して例示的であり、網羅的または限定的ではないことを意図している。
【0018】
図1は、本開示の態様によるバルブ作動システム100の概略ブロック図である。バルブ作動運動源104は、主イベント運動源構成要素104.1および補助イベント運動源構成要素104.2を含み得る。例えば、バルブ作動運動源104は、カムおよびカムシャフト駆動構成要素を備え得る。主イベント運動源構成要素104.1は、カム上に主イベントカムローブを備え得、補助イベント運動源104.2は、カム上に1つ以上の補助またはロストモーションカムローブを備え得る。
【0019】
運動源104.1および104.2からの運動は、バルブトレイン102に転送され、バルブトレイン102は、主イベント運動バルブトレイン構成要素102.1および補助イベント運動バルブトレイン構成要素102.2を備え得る。バルブトレイン運動構成要素102.1および102.2は、共通の要素を備え得ることが認識されるであろう。例えば、主イベント運動バルブトレイン構成要素102.1および補助イベント運動バルブトレイン構成要素102.2は、共通のカムフォロアおよび共通のロッカーアームを利用することができる。主イベントバルブトレイン構成要素102.1は、油圧ラッシュアジャスタであり得るラッシュアジャスタ102.11を含み得る。
【0020】
ラッシュアジャスタ102.11は、主イベント運動バルブトレイン構成要素102.1のうちの1つに配置することができ、その場合、この構成要素は、ラッシュアジャスタのハウジングとして機能することができる。ロストモーションアセンブリ102.21は、補助イベント運動バルブトレイン構成要素102.2に含まれ得、その場合、この構成要素は、ロストモーションアセンブリのハウジングとして機能することができる。
【0021】
バルブトレイン102およびその構成要素は、バルブブリッジ106と協働し、バルブブリッジ106は、エンジンバルブ108.1および108.2に運動を与えることができる。本開示の一態様によれば、ラッシュアジャスタローディング構成要素106.1は、バルブブリッジ106内に収容され得、ラッシュアジャスタ102.11と協働して、ラッシュアジャスタを負荷状態に(すなわち、ラッシュアジャスタの伸長方向に対して力を加えて)保つことができる。バルブブリッジ106はまた、補助運動ブリッジ構成要素106.2を収容することができ、これは、バルブブリッジ106に運動を与えることなく、ロストモーションアセンブリ102.21からブレーキエンジンバルブ108.2への運動の転送を可能にする構成要素であり得る。
【0022】
図2は、
図1の機能ブロック図と一致する実装におけるバルブ作動システム200の概略図である。バルブ作動運動源は、主イベントローブ212と補助イベントローブ214および216とを含むロストモーションカム210であり得る。補助イベントには、圧縮解除(CR)ブレーキ、EEVO、LIVC、または排気ガス再循環(EGR)などのブレーキングイベントが含まれ得るが、これらに限定されない。さらに
図3を参照すると、ロストモーションカムのさらなる詳細が示されている。ロストモーションカムの例示的なプロファイルは、主イベントローブプロファイル312と、補助イベントローブプロファイル314および316とを含み得る。対応する運動は、ロストモーションカム210が完全に回転するたびにロッカーアーム220に伝達される。そのような運動は、さらに説明されるように、他のバルブトレイン構成要素に選択的にさらに伝達されて、主イベントおよび補助イベント中にエンジンバルブに所望の運動をもたらすことができる。
【0023】
ロッカーアーム220は、カムフォロア222を含み、ロッカーアームジャーナル224を通って延在するロッカーアームシャフト(図示せず)の周りの枢動または回転運動のために取り付けられる。ロッカーアーム220は、インボードバルブアクチュエータ240を収容するための第1のボア226と、HLA250を収容するための第2のボア228とを含み得る。当業者が認識するように、ロッカーアーム220は、典型的には、ロッカーアームジャーナル224の内面から第2のボア228およびHLAに加圧油圧油の一定の供給を提供するための(概略的に表されている)流体通路229をその中に含む。ベント230は、ピストンボア228からの油圧油の流出を提供することができる。油圧油は通常、ロッカーアームシャフト(図示せず)を介して供給される。当技術分野で知られているように、HLAは、HLAが拡張してバルブトレイン内のラッシュを占有するように、ロッカーアーム内のポート付き通路を通して加圧油圧油で満たされる、ラッシュ調整モードと、HLAが油圧的に隔離され、その中の油圧油が流出に対してチェックされるため、非圧縮性であり、本質的に固体構成要素として機能する、油圧的な「ロック」モードと、を受動的にとることができる。HLAは、ピボット252と、ピボット252に対して枢動または回転することができる協働ペデスタルまたはフット254とを支持することができ、したがって、バルブブリッジ260のある程度の枢動運動を提供することができる。通路227は、負荷が加えられたときにアクチュエータピストン回路からの油の逆流を防止するための制御バルブを含み得る。
【0024】
この実装では、本開示の本発明の態様によれば、HLAは、バルブブリッジ260のボア262内に配置されたストローク制限ピストン270の形態のラッシュアジャスタローディング構成要素によって提供されるストローク制限付きの圧縮力を受ける。ラッシュアジャスタローディング構成要素のストロークは、HLAを圧縮するようにバイアスされるが、HLAの過度の圧縮を防ぐためにストロークリミッタ276によっても制限される。圧縮ばね272は、ピストン270の内部ボア274内に配置され、その端壁275と係合する。圧縮ばね272の反対側の端部は、バルブブリッジボア262の底壁263と係合し、したがって、ピストン270に上向きの力を提供する。バルブブリッジ260に固定されたスナップリングまたは保持リングであり得るストロークリミッタ276は、ピストン270のショルダー277に係合して、その上方への移動を防止し得、したがって、バルブブリッジ260に対するピストン270の上方への動きを制限する。
【0025】
主イベントバルブの運動は、運動源(ロストモーションカム)210から第1の負荷経路に沿って2つのエンジンバルブ280、282に伝えられ得る。より具体的には、第1の負荷経路は、カムフォロア222、ロッカーアーム220、HLA250、およびバルブブリッジ260によって画成され得る。したがって、運動源からエンジンバルブへの第1の負荷経路は、ピボット252およびペデスタル254を含む、カムフォロア222、ロッカーアーム220、およびHLAのバルブトレイン構成要素を含み得る。
【0026】
ブレーキ運動などの補助運動は、インボードバルブアクチュエータ240を含む第2の負荷経路を介して、エンジンバルブ282のうちの1つに与えられ得る。この場合はブリッジピン266の形態の、補助運動ブリッジ構成要素は、バルブブリッジ260の運動とは別に、インボードバルブアクチュエータ240からブレーキバルブ282への運動の転送を提供することができる。インボードバルブアクチュエータ240は、ロストモーションアセンブリまたはデバイスであり、これは、エンジンサイクル中の適切な時間に、切り替え油圧通路227を介して選択的に油圧でアクティブ化および非アクティブ化して、エンジンブレーキなどの補助イベントをもたらすことができる。切り替え油圧通路227は、典型的には、シャフトに取り付けられた多数のバルブロッカーに油圧油を提供するロッカーシャフト内の軸方向に伸長する通路(図示せず)から、油圧油をピストンボア226に提供する。アクティブ状態では、インボードバルブアクチュエータ240を形成するピストン242は、対応するピストンボア226から伸長され、非圧縮性または固体の伸長状態に維持され、したがって運動を転送することができる。非アクティブ状態では、インボードバルブアクチュエータのアクチュエータピストン242は、そのボア226内に後退することが可能であり、それにより、ロッカーアームからの転送された運動を失い、したがって、圧縮可能または運動吸収状態になり得る。認識されるように、この実装では、運動源からブレーキバルブ282への第2の負荷経路は、補助イベント運動バルブトレイン構成要素(カムフォロア222、ロッカーアーム220、インボードバルブアクチュエータ240)およびブリッジピン266によって画成される。
【0027】
認識されるように、本開示の本発明の態様によれば、上記の実装は、ラッシュ調整された主イベントバルブ作動および補助イベント(ブレーキング)バルブ作動のために別個の負荷経路を提供する。動作中、エンジンブレーキがかけられると、インボードバルブアクチュエータ240が伸長してインボードバルブ282にのみ運動を与え、ロッカーアーム220は、実質的に同時に、ロストモーションカム上の補助ローブのうちの1つによって運動を与えられることが認識される。ロッカーが、カムの内側のベース円から、補助ローブによって画成されるベース円に移動すると、ロッカー220は、インボードバルブアクチュエータよりも、ロッカーアームピボット(ロッカーアームシャフトの中心)からさらに離れた距離に配置されたHLAにおいてより多くのストロークを生成する。したがって、ラッシュアジャスタローディング構成要素(ストローク制限ブリッジピストン270)は、HLAに圧縮負荷を発生させ、ブリッジ260のインボード側(
図2の右側)が、インボードバルブアクチュエータ240から力を受けて移動するブリッジピン266の下向きの動きと連動して下向きに枢動するときに、過度の伸長またはジャッキングを防止する。
【0028】
図2に示すように、ピストン270の底面とバルブブリッジボアの底壁263との間にクリアランスが存在する。このクリアランスは、ピストンラッシュアジャスタローディング構成要素のロストモーション移動距離279を画成する。ロストモーション移動距離は、ロッカーアーム220の補助イベントの運動が「失われ」、バルブブリッジ260ならびにエンジンバルブ280および282の望ましくない運動をもたらさないことを確実にするように選択され得る。すなわち、ブレーキングイベントにおいて、バルブ282は、インボードバルブアクチュエータを介して伝達されるカム210内のブレーキングローブからの運動の下で作動され、一方、ロッカーアーム220およびHLAの運動は、ストローク制限ピストン270を介して「失われ」、ピストン270がバルブブリッジボアの底壁263に対して底打ちし、その結果、バルブブリッジが動き、主イベント運動のために両方のバルブが開くまでは、バルブブリッジまたはエンジンバルブ280に伝達されない。ロストモーションギャップは、主イベントの運動を失うことなく、補助イベントカムリフトプロファイルから本来なら生じるはずである運動を「失う」ように設計される。
【0029】
図4Aは、本開示の態様による、ラッシュアジャスタローディング構成要素およびHLAの代替配置を示す。この実装では、ストローク制限ピストンの機能は、(
図2におけるように)バルブブリッジではなく、ロッカーアームに統合されている。この配置により、ラッシュアジャスタが配置されているのと同じ負荷経路を介してバルブブレーキ運動を達成できるため、それは、バルブブレーキ運動を容易にするための独立したバルブアクチュエータ(インボードバルブアクチュエータ)の必要性を排除するために使用できる。この点で、ラッシュアジャスタが配置されている負荷経路(第1の負荷経路)と、補助バルブ運動アクチュエータが配置されている負荷経路(第2の負荷経路)は、同じである。ロッカーアーム420は、ストローク制限ピストン470を受け入れるためのボア428を含み得、これは、今度は、HLAをその中に支持するためのHLA受容ボア471を含む。移動リミッタ476は、ピストン470の(下方向における)移動を制限する。圧縮ばね472は、ロッカーアームボア428内に配置され、一方の端においてピストン470上のショルダー477と係合し、別の端において底部ボア壁429と係合し、ピボット452およびペデスタル454によって係合されたブリッジ(図示せず)に対してHLAに圧縮力を提供する。
図2に示される構成のように、ピストン470は、ボア428および底壁429を備えたチャンバ430を画成し、ロストモーション移動距離479を提供し、それによって、第1の負荷経路を介した補助バルブイベントの伝達を防止するように構成される。ピストン470は、ロッカーアーム420内の一定の(連続的な)供給通路421からHLA受容ボア471およびHLAへの油圧油の流れを可能にする環状部472を含み得る。切り替え流体供給通路424は、制御バルブ425の制御下でボア428に流体を提供することができる。HLAからの流体の流れは、ピストン470とボア428との間の狭いクリアランスによってボア429から防止され得る。ベント473は、HLAへの一方向の流れを容易にするために、ピストン470とその中に提供される逆止バルブ474とに提供され得る。動作中、補助運動バルブのアクティブ化が望まれる場合、油圧油制御バルブ425を切り替えて、チャンバ430に油圧(油)を提供し、ラッシュアジャスタローディングアセンブリ(ピストン470)を伸長し、それを伸長位置にロックし、それによってバルブブレーキ運動を開始することができる。制御バルブ425がオフに切り替えられたとき、ラッシュアジャスタ逆止バルブは、「オフ」位置にインデックスを付け、チャンバ430は、ベント472および逆止バルブ474を介して流体を通過させてブレーキを非アクティブ化できるようにすることによって、排出することができる。認識されるように、この構成は、ラッシュアジャスタが配置されているのと同じ負荷経路を介してブレーキ運動を行うことを可能にする。これは、補助バルブの運動を達成するために、上記のインボードバルブアクチュエータなどの独立した(別個の)バルブアクチュエータの必要性を排除するために使用できる。
【0030】
図4Bは、本開示の態様による、ラッシュアジャスタローディング構成要素およびHLAの代替配置を示す。この実装では、ストローク制限ピストンの機能は、(
図2におけるように)バルブブリッジではなく、ロッカーアームに統合されている。この配置により、ラッシュアジャスタが配置されている第2の負荷経路でバルブブレーキ運動を達成できるため、それは、バルブブレーキ運動を容易にするための独立したバルブアクチュエータ(上記のインボードバルブアクチュエータ)を利用する実装において使用できる。ロッカーアーム420は、ストローク制限ピストン470を受け入れるためのボア428を含み得、これは、今度は、HLAをその中に支持するためのHLA受容ボア471を含む。移動リミッタ476は、ピストン470の(下方向における)移動を制限する。圧縮ばね472は、ロッカーアームボア428内に配置され、一方の端においてピストン470上のショルダー477と係合し、別の端において底部ボア壁429と係合し、ピボット452およびペデスタル454によって係合されたブリッジ(図示せず)に対してHLAに圧縮力を提供する。
図2に示される構成のように、ピストン470は、ボア428および底壁429を備えたチャンバ430を画成し、ロストモーション移動距離479を提供し、それによって、第1の負荷経路を介した補助バルブイベントの伝達を防止するように構成される。ピストン470は、ロッカーアーム420内の一定の(連続的な)供給通路421からHLA受容ボア471およびHLAへの油圧油の流れを可能にする環状部472を含み得る。HLAからの流体の流れは、ピストン470とボア428との間の狭いクリアランスによってボア429から防止され得る。動作中、油圧油は、連続供給通路421および環状部472を介してラッシュアジャスタに供給される。チャンバ430は、油圧油がなくてもよく、すなわち、空気によって占められていてもよい。ベント427は、外部環境に空気を排出することができる。ラッシュアジャスタからの空気は、ベント473を介してチャンバ430に排出することができる。認識されるように、この構成は、補助バルブ運動を達成するために、上記のインボードバルブアクチュエータなどの独立した(別個の)バルブアクチュエータが利用される場合を排除するエンジン環境において利用できる。
【0031】
当業者によって認識されるように、
図2および
図4Bに関して上記で説明された実施形態は、主イベント運動源とは別個である補助運動源を備えた補助運動が少なくとも1つのバルブに適用される環境において使用できる。例えば、専用のロッカーアームもしくはボルトオンマスタスレーブブレーキ、または必ずしもロストモーションの主イベント運動源ではない任意の補助運動源によって補助運動が促進される補助運動システムにおいて。主イベントロッカーアームの運動は、補助運動イベントとタイミングを合わせることができ、それにより、圧縮ばね(例えば、
図2の274、または
図4Bの472)は、これらのイベント中に少なくとも部分的に圧縮されたままになるが、正出力でまたは補助リフトイベント中にリフトが提供されるポイントまで完全に圧縮されはしない。これにより、ラッシュアジャスタに主イベント運動がプリロードされるため、どんな補助運動イベント中にもラッシュアジャスタが伸長するのを防ぐ。
【0032】
図5は、本開示のさらなる態様によるバルブ作動システム500の概略ブロック図である。このシステムは、
図1に関して上記で説明したシステムと同様である。ただし、ラッシュアジャスタの場所に関連する差異がいくつかある。より具体的には、ラッシュアジャスタ506.3は、ラッシュアジャスタローディング構成要素506.1とともにバルブブリッジ506内に配置され得る。バルブ作動運動源504は、主イベント運動源構成要素504.1および補助イベント運動源構成要素504.2を含み得る。運動源504.1および504.2からの運動は、バルブトレイン502に転送され、バルブトレイン502は、主イベント運動バルブトレイン構成要素502.1および補助イベント運動バルブトレイン構成要素502.2を備え得る。これらの構成要素セットには、単一のロッカーアームなどの共通の要素が含まれる場合がある。ロストモーションアセンブリ502.21は、補助イベント運動バルブトレイン構成要素502.2に含まれ得、その場合、この構成要素は、ロストモーションアセンブリのハウジングとして機能することができる。
【0033】
バルブトレイン構成要素は、運動をバルブブリッジ506、および/またはその構成要素に伝達する。ラッシュアジャスタ506.3およびラッシュアジャスタローディング構成要素506.1は、バルブブリッジ506内に配置され得る。補助運動ブリッジ構成要素506.2は、バルブブリッジ506への構成要素として提供され得、例えば、バルブブリッジ506に運動を与えることなく、ロストモーションアセンブリ502.21からブレーキエンジンバルブ508.2への運動の転送を可能にするブリッジピンを含み得る。本開示の一態様によれば、ラッシュアジャスタローディング構成要素506.1は、ラッシュアジャスタ506.3を負荷状態に(すなわち、ラッシュアジャスタの伸長方向に対して力を加えて)保つように機能する。
【0034】
図6は、
図5の機能ブロック図と一致する実装におけるバルブ作動システム600の概略図である。ロッカーアーム620は、ロストモーションカム610によって駆動され、ブリッジピン666と協働してブレーキバルブ682に運動を与えるインボードバルブアクチュエータ640を含む。ロッカーアーム620はまた、その端部から伸長し、スイベルまたはボールを有する静的な(中実の)伸長されたピボット652を含む。ピボット652は、さらに説明されるように、HLAベース655と係合して、HLA/ブリッジアセンブリに運動を与えるeフットペデスタル654と協働する。油圧油通路622は、ジャーナルから、ピボット652、ペデスタル654、およびロッカーアームを通って、インボードバルブアクチュエータ640およびHLA650などの油圧作動構成要素まで伸長することができる。
【0035】
ストローク制限ピストン670は、バルブブリッジ660のボア662内に取り付けられる。ブリッジ660に固定された移動リミッタ676と係合するために、ピストンの上面にショルダー677を設けることができる。ピストン670はまた、HLAの構成要素を収容するように構成された内側環状壁678を含む。環状壁678はまた、ピストンを上方向にバイアスするための圧縮ばね672を部分的に収容する環状凹部680を画成する。圧縮ばね672は、ブリッジボア662の底壁663と、ピストン670の環状凹部680内に画成された上壁とに係合する。クリアランス679を有するロストモーションギャップが、ピストン670の下端とブリッジボア底壁663との間に画成される。
【0036】
動作中、エンジンの主イベント(正出力)運動中に、ロッカーアーム620は、ロストモーションカム610からピボット652、ペデスタル654、およびHLA650を介してバルブブリッジに主イベント運動を与える。ばねピストン670および関連する構成要素を含む、ブリッジに配置されたラッシュアジャスタローディング構成要素に提供される一定の圧縮力は、HLA650の過度の伸長または「ジャッキング」が起こらないことを確実にするように作用する。補助運動中、ブレーキ動作が実行されているかまたはアクティブであるとき、ロッカーアーム620からの運動は、アクティブ化されたインボードバルブアクチュエータ640を介してブリッジピン666およびブレーキバルブ682に伝達される。ロッカー比、ならびにロッカーアーム620上のインボードアクチュエータおよび支点652のそれぞれの場所に起因するロッカーアームの運動は、インボードバルブアクチュエータによって行われるストロークよりも大きいHLAの変位またはストロークをもたらす。このより大きいストロークにより、ストローク制限ピストン670からの圧縮力がHLAに対して作用し、それによって、過度の伸長を防止することになる。ピストン670とブリッジボア底壁663との間のクリアランス679によるHLA取り付け構成のロストモーション機能は、ロッカーアームの補助運動をバルブブリッジ660から、したがってエンジンバルブ680および682から「隠す」ように動作し、バルブ682は、ブレーキ作用に従って依然として動きを受けることが理解される。
【0037】
図7は、本開示の態様によるバルブ作動システム700の概略ブロック図である。この例示的なシステムでは、運動源702は、主イベント運動源702.1および補助運動源702.2を含み得る。これらの運動源は、
図7の矢印および概略的に表された構成要素(ボックス)によって表されるそれぞれの負荷経路を介して最終的に1つ以上のエンジンバルブ720.1および720.2に運動を与えるためのカムまたは他のデバイスを備え得る。主イベント運動源702.1および補助イベント運動源702.2は、主イベントカムおよび補助イベント(専用またはブレーキング)カムを含む別個のカムなどの別個の源であり得る。主イベントバルブトレイン構成要素704は、主イベント運動(および負荷)をエンジンバルブ720.1および720.1に伝達する。油圧ラッシュアジャスタ(HLA)であり得るラッシュアジャスタ706は、主イベントバルブトレイン内の構成要素間のラッシュを占有するために、主イベント負荷経路に配置され得る。認識されるように、ラッシュアジャスタ706は、バルブトレイン構成要素が比較的低い負荷下にあるときにラッシュアジャスタが拡張する半剛性状態をとり、主イベントバルブ運動中など、バルブトレイン構成要素が高い負荷下にあるときにラッシュアジャスタが剛性状態をとることを提供する内部構成要素を含むことができる。
【0038】
補助運動源702.2は、補助イベント負荷経路を介して運動(および負荷)を伝達することができ、補助イベント負荷経路は、エンジンバルブ720.2におけるエンジンブレーキなどの補助イベントバルブ運動の発生を容易にするために、補助イベント負荷経路における運動を選択的に伝達または吸収することができる補助イベントアクティブ化システム708を含み得る。1つ以上の補助運動バルブトレイン構成要素710は、主イベントバルブトレイン構成要素704のサブセットとして提供され得る。例えば、主イベントバルブトレイン構成要素704は、バルブブリッジを含み得、補助運動バルブトレイン構成要素は、ブリッジピンが主イベントバルブ動作中にブリッジから主イベント運動を伝達するように、バルブブリッジ内にスライド可能に配置されたブリッジピンを含み得る。補助イベントアクティブ化システムが、例えば、バルブ720.2におけるエンジンブレーキ運動を容易にするためにアクティブであるとき、ブリッジピンは、ブリッジに対して移動して、ブリッジの主イベント運動とは無関係に補助運動を伝達することができる。
【0039】
本開示の一態様によれば、主イベントバルブトレイン構成要素704は、主イベントバルブトレイン内に配置されたラッシュアジャスタローディング構成要素730を含み得る。ラッシュアジャスタローディング構成要素730は、ラッシュアジャスタ706と相互作用して、エンジン動作中のラッシュアジャスタ706の過度の伸長または「ジャッキング」を防止する。より具体的には、以下でさらに詳述するように、ラッシュアジャスタローディング構成要素730は、補助イベント中、または補助イベントへのもしくは補助イベントからの移行中など、比較的低負荷の期間中にラッシュアジャスタへのバイアス力を維持することができる。バイアス力は、ラッシュアジャスタの油圧の力に対抗し、したがってラッシュアジャスタの過度の伸長を防止するのに十分な大きさになる。さらに、ラッシュアジャスタローディング構成要素730は、ラッシュアジャスタ706の補充を可能にし、主イベントバルブ動作中に主イベントバルブトレイン内に存在する負荷などの高負荷が主イベントバルブトレインに伝達されることを可能にする。
【0040】
図8は、統合されたラッシュアジャスタローディング構成要素830を有するバルブブリッジ804を含む、本開示の態様によるバルブ作動システム800の例示的な構成要素を示す斜視図である。さらなる内部の詳細が説明されるが、
図8は、バルブブリッジ804から伸長するばねバイアスピストン840を示している。調整止めねじ860およびロッキングナット870は、説明されるように、ばねバイアスピストンの動作パラメータを調整するために提供され得る。バルブブリッジ804は、バルブガイド822.1を通って伸長する第1のエンジンバルブ820.1のステムに直接接触することができる。ブリッジピン810は、バルブブリッジ804の反対側の端部におけるボア内のスライド運動のために収容され得、第2のエンジンバルブ820.2のステムと相互作用して、その主イベントおよび補助運動を提供し得る。バルブ820.2は、バルブガイド822.2を通って伸長することができる。
【0041】
図9.1、
図9.2、および
図9.3は、ラッシュアジャスタローディング構成要素830およびラッシュアジャスタ906を含む、
図8の例示的なバルブ作動システム800の断面図である。これらの図は、3つの異なる構成または「状態」におけるラッシュアジャスタローディング構成要素830を示している。バルブブリッジ804は、ピストン840を収容し、かつ
図9.1に対して垂直方向にスライド移動を可能にするために、その中央部分に形成されたピストンガイドボア805を含み得る。ピストン840は、概して円筒形を有し、この例では、バイアス圧縮ばね848の形態であるバイアス構成要素と協働することができる。ばね848は、ピストン840の内部ボア842内に部分的に収容され得、ばね848の上端は、ボア端壁844に対して着座している。ピストン840は、ピストンガイドボア805よりも大きい直径である環状ピストンスカートまたはショルダー846を含み得る。バルブブリッジカウンターボア807は、ピストンガイドボア805と概して軸方向に整列し、より大きい直径および雌ねじ808を有するブリッジ804の下側に形成され得る。カウンターボア807は、ブリッジ804内のカウンターボア端壁809を画成することができる。したがって、カウンターボア807は、その中にピストン環状ショルダー846を収容し、その制限された移動を許容し、カウンターボア端壁809は、バルブブリッジ804内の環状ショルダー846、したがってピストン840の移動に上限を提供することが理解される。止めねじ860は、カウンターボア雌ねじ808と協働する雄ねじ862を含み得、止めねじばねシート864を含み得る。ばね848の下端は、ばねの下端がシート端壁866に対して着座した状態で、ばねシート864内に受け入れられ得る。止めねじ端壁868は、ピストン環状ショルダー846の移動の下限を画成することができる。止めねじ860は、ピストン下限の位置、ならびにピストン840上の圧縮ばね848によって提供されるバイアス力を調整することができる。
【0042】
図9.1、
図9.2、および
図9.3は、バルブブリッジ804内のラッシュアジャスタローディング構成要素830として動作する上記のばねピストン配置と協働関係にある油圧ラッシュアジャスタ906を示している。
図11は、
図9.1、
図9.2、および
図9.3に示される例示的なカムの詳細図である。ラッシュアジャスタ906は、
図9.1、
図9.2、および
図9.3の向きで下方向である拡張方向と、上方向である収縮または圧縮方向とを有し得る。認識されるように、ピストン840は、圧縮ばね848によってバルブブリッジ804内で上方向にバイアスされ、したがって、ばね力をラッシュアジャスタ906に加える傾向がある。ただし、ピストンのストロークは上方向の両方に制限されており、このバイアス力は、ピストン位置がストローク制限の間にある場合にのみ適用される。
【0043】
図9.1は、ピストンがその移動の上限にある、ラッシュアジャスタ補充状態のピストン840を示している。具体的には、ピストン環状ショルダー846は、カウンターボア端壁809と係合して、ピストン840の上方への移動を制限する。ピストン840がこの位置にあると、圧縮ばね848のバイアス力は、ラッシュアジャスタに対して隔離され、ラッシュアジャスタは、バルブトレイン内に発生したラッシュを占有するように拡張することができる。このような拡張により、ラッシュアジャスタは、典型的には所定の動作圧力において制御システム内を循環している油圧制御流体で補充される。例示的な主イベントカム902.1もまた、
図9.1に、点線912によって表されている主イベントカム902.1とHLA906との間に存在し得るカムローラー、ロッカーアームおよびプッシュロッドなどのバルブトレイン構成要素とともに示されている。さらに
図11を参照すると、主イベントカム902.1のベース円922が点線で表されている。主イベントカム902.1は、主イベントリフティング面928を含み得る。主イベントカム902.1には、ラッシュアジャスタローディング構成要素のHLA補充およびばねブリッジプリロード状態を容易にするための動作面も含まれている。サブベース円表面であり得る例示的なHLA補充カム表面924は、さらに説明されるように、HLA補充状態を想定して、ラッシュアジャスタローディング構成要素830を促進することができる。主イベントカム902.1はまた、同じくさらに説明されるように、ラッシュアジャスタローディング構成要素プリロード状態を想定してラッシュアジャスタローディング構成要素830を促進するために、同じくサブベース円表面であり得るラッシュアジャスタローディング構成要素プリロード表面926も含み得る。
図9.1に示されるように、主イベントカム902.1は、主イベントバルブトレイン構成要素912がHLA補充カム表面924と相互作用するように、回転的に位置決めされる。
図11にさらに詳述されるように、主イベントカム902.1は、主イベント表面928と、HLA補充カム表面924と、ラッシュアジャスタローディング構成要素プリロード表面926との間に、第1、第2、および第3の遷移表面921、923、および925を含み得る。認識されるように、カム902.1は、本明細書でさらに説明されるように、主イベントバルブトレインにおける主イベント運動、HLA補充、およびラッシュアジャスタローディング構成要素の運動を容易にするために、時計回り方向に回転することができる。
【0044】
図9.2は、プリロード状態のピストン840を示しており、主イベントカム902.1のプリロードカム表面926は、主イベントバルブトレイン構成要素912と相互作用している。このプリロード状態では、ピストン環状ショルダー846、したがってピストン840は、ピストンガイドボア805内に、上限(カウンターボア端壁809)と下限(止めねじ端壁868)との中間に位置決めされる。したがって、ばね848のバイアス力がラッシュアジャスタ906に対して加えられ、ラッシュアジャスタがプリロード状態に保たれ、ラッシュアジャスタ906が過度に伸長することが防止される。ピストン840のこの状態は、通常、ブレーキなどの補助イベント中に想定され、この補助イベントにおいて、補助運動源902.2は、補助バルブトレイン(ブリッジピンを除いて、
図9.2に完全には示されていない)を介してブリッジピン810に力を加える。ブリッジピン810が下向きに変位するとき、バルブブリッジ804は、バルブ820.1のステムを中心に傾斜または枢動することができ、バルブ820.1は、補助イベントの間、同じ位置に留まる(すなわち、閉じられたままである)ことができることが理解される。バルブブリッジ804の枢動は、バルブブリッジの中心を下に動かす傾向がある。したがって、ラッシュアジャスタローディング構成要素(ピストン840)は、ばね848のバイアス力を加え、ラッシュアジャスタが過度に伸長するのを防ぐことができる。
【0045】
図9.3は、主イベント運動状態のピストン840を示しており、主イベントカム902.1の主イベントリフト面928は、主イベントバルブトレイン構成要素912と相互作用している。この状態では、ピストン環状ショルダー846、したがってピストン840は、バルブブリッジ804内のストロークのより低い範囲において「底打ち」される。具体的には、ピストン環状ショルダー846は、止めねじ端壁868と係合する。この状態は、典型的にはエンジンバルブ820.1および820.1の主イベント作動に関連する(ピストン840を介したバルブブリッジ804への)高負荷の転送を可能にする。この状態の間、ラッシュアジャスタ906は、主イベントリフト面928によって提供される主イベントのために高負荷下にあるので、ラッシュアジャスタ906は、剛性状態に維持され、別様に拡張することができない。
【0046】
図10は、
図8のバルブ作動システムの例示的な動作特性および順序付けを示すグラフ表示である。この図は、クランクシャフト角度の関数として主イベントおよび補助イベント(ブレーキング)のバルブ運動(リフト)を表している。主イベントのバルブトレイン運動は点線で示されている。補助イベントのバルブトレイン運動1110は実線で示されており、クランクシャフト角度の約30度~約530度のゼロバルブリフト軸(x軸)と一致することに留意されたい。一実施形態では、主イベントおよび補助イベントリフトは、2つの別個の運動源、例えば、
図9.1~
図9.3に示されるような主イベントカム、ならびに別個の負荷経路およびバルブトレイン構成要素を介した別個の専用補助カムによって提供される。
【0047】
図10は、1つ以上のバルブ(例えば、
図9.1のブリッジピン810を介したバルブ820.2)のリフトをもたらす、補助バルブトレイン内で発生する2つの補助バルブイベントを示している。ブレーキガス再循環(BGR)イベント1112は、クランクシャフト角度の約530度~約620度で発生し得る。圧縮解放(CR)ブレーキングイベント1114は、クランクシャフト角度の約665度~クランクシャフト角度の約30度で(すなわち、次のエンジンサイクルの開始に)発生し得る。当業者は、
図10に示されているものの代替として、またはそれに加えて、他の多くの補助イベントのいずれかを採用できることを理解するであろう。
【0048】
本開示の態様によれば、ラッシュアジャスタローディング構成要素は、主イベントバルブトレイン内のラッシュアジャスタの制御された負荷を提供することができる。ラッシュアジャスタローディング構成要素は、主イベントリフトの後に、ならびに補助イベント1112および1114の発生前に、ラッシュアジャスタ補充の発生を提供し得る。より具体的には、依然として
図10を参照すると、ラッシュアジャスタローディング構成要素は、主リフトイベントに続いて、約360度~約420度において始まる、約420度~約520度にわたるラッシュアジャスタ補充期間またはフェーズ1120に移行する。このフェーズ中の主イベントバルブトレイン運動1010は、
図10の負のバルブリフト領域内にある点線によって示されるように、主イベントカム上のサブベース円表面によって実装され得ることが認識されるであろう。さらに、補充期間の持続時間は、ラッシュアジャスタローディング構成要素に上記のように補充状態をとらせるために、補充カム表面(
図9.1の924)がその上に提供され得る主イベントカム表面などの主イベント運動源の適切な構成によって制御され得ることが認識されるであろう。サブベース円運動は、通常、主イベントのバルブトレイン内にラッシュを発生させる。このフェーズの間、ラッシュアジャスタローディング構成要素は、ピストン840のストロークが上限(ボア端壁809)によって抑制される、
図9.1に示されるラッシュアジャスタ補充状態をとる。この状態では、ラッシュアジャスタローディング構成要素により、主イベント運動の後におよび補助イベントの前にラッシュアジャスタを補充できる。
【0049】
本開示のさらなる態様によれば、ラッシュアジャスタローディング構成要素は、補助イベント中にラッシュアジャスタの過度の伸長または「ジャッキング」が発生しないことを確実にし得る。
図10を引き続き参照すると、補助イベント1112および1114の開始前に、クランクシャフト角度の約520度において、ラッシュアジャスタローディング構成要素は、補充フェーズ1120からプリロード期間またはフェーズ1130に移行することができる。このフェーズ中の主イベントバルブトレイン運動は、
図10の負のバルブリフト領域内にある点線によって示されるように、主イベントカム上のサブベース円表面によって実装され得ることが認識されるであろう。しかしながら、プリロードフェーズのサブベース円カム表面は、通常、カム回転軸からの高さ(半径方向距離)が補充カム表面よりも高くなり得、これにより、ラッシュアジャスタローディング構成要素は、ピストン840(
図9.1)がストロークの上限と下限の間にある状態になり、したがって、圧縮ばね848のバイアス力をラッシュアジャスタに加えることが可能になる。プリロードフェーズのタイミングおよびそれへの移行は、プリロードカム表面(
図9.1の926)を含み得る主イベントカムなどの主イベント運動源上の適切な制御表面によって達成され得る。このフェーズの間、ラッシュアジャスタローディング構成要素は、
図9.2に示されるプリロード状態にあり、ここで、ピストン840は、ラッシュアジャスタに対してバイアス力を維持し、したがって、ラッシュアジャスタが過度に伸長しないように保つ。プリロード状態は、
図10に示すように、720度のクランク角度を超えて次のエンジン出力サイクルへと継続し、プリロード状態は、CRイベントの終了を超えて、1032において、約120度のクランク角度の間、新しいエンジンサイクルへと継続し得る。本開示から認識されるように、プリロード状態の持続時間は、少なくとも任意の補助イベントの持続時間と同じ長さにわたり得る。上記の例では、2つの補助イベントが連続して発生し、単一のプリロードイベントの持続時間が両方の補助イベントの持続時間全体にわたるが、本開示は、所与のエンジンサイクル内の間欠的な時間において発生するプリロードが、複数の補助イベントの別個のそれぞれの持続時間と一致することをも企図する。本開示から認識されるように、圧縮ばね848など、ラッシュアジャスタローディング構成要素内のバイアス構成要素によって提供されるバイアス力は、ラッシュアジャスタ内の油圧から発生する力など、ラッシュアジャスタ内の任意の力を打ち消すような適切な程度でなければならない。
【0050】
本開示から認識されるように、主イベントのタイミングおよび持続時間、ラッシュアジャスタローディング構成要素のHLA補充およびプリロード状態は、主イベントカム上の補充およびプリロードカム表面を含む前述の動作パラメータを適切に構成すること、ならびにラッシュアジャスタローディング構成要素上のストローク制限を構成することによって制御され得る。さらに、ピストンストロークは、HLAの最適な補充を確実にするために、および他の利益を達成するために、主イベントカム上のHLA補充面と主イベントカム上の所望の主イベント開閉位置との間の並進距離に実質的に一致しなければならないことが認識されるであろう。
【0051】
図12は、本開示の態様による、タイプIIバルブアーキテクチャに関連するバルブ作動システム1200の概略図である。この例示的なシステムでは、運動源1202は、主イベント運動源1202.1および補助運動源1202.2を含み得る。これらの運動源は、
図12の矢印および概略的に表された構成要素(ボックス)によって表されるそれぞれの負荷経路を介して最終的にエンジンバルブ1220に運動を与えるためのカムまたは他のデバイスを備え得る。主イベント運動源1202.1および補助イベント運動源1202.2は、主イベントカムおよび補助イベント(専用またはブレーキング)カムを含む別個のカムなどの別個の源であり得る。主イベントバルブトレイン構成要素1204は、主イベント運動(および負荷)をエンジンバルブ1220に伝達する。油圧ラッシュアジャスタ(HLA)であり得るラッシュアジャスタ1206は、ロッカーのエンドピボット内に配置することができ、したがって、主イベント負荷経路内に直接配置することはできない。言い換えれば、HLAは、主イベント負荷経路に平行であり、主イベントバルブトレイン内の構成要素間のラッシュを占有するために主イベント負荷に反力を提供することができる。
【0052】
補助運動源1202.2は、補助イベント負荷経路1205を介して運動(および負荷)を伝達することができ、補助イベント負荷経路1205は、エンジンバルブ1220におけるエンジンブレーキなどの補助イベントバルブ運動の発生を容易にするために、補助イベント負荷経路における運動を選択的に伝達または吸収することができる補助イベントアクティブ化システム1208を含み得る。1つ以上の補助運動バルブトレイン構成要素1210は、主イベントバルブトレイン構成要素1204のサブセットとして提供され得る。例えば、主イベントバルブトレイン構成要素1204は、エンドピボットロッカーを含み得、補助運動バルブトレイン構成要素1210は、同じエンドピボットロッカーを含み得る。
【0053】
本開示の一態様によれば、主イベントバルブトレイン構成要素1204は、主イベントバルブトレイン内に配置されたラッシュアジャスタローディング構成要素1230を含み得る。ラッシュアジャスタローディング構成要素1230は、主イベントバルブトレイン内の構成要素と相互作用して、さらに説明するように、様々な実施形態において、主イベントバルブトレイン内に配置され得るラッシュアジャスタ1206の過度の伸長または「ジャッキング」を防止する。より具体的には、以下でさらに詳細に説明するように、ラッシュアジャスタローディング構成要素1230は、バルブトレイン内の構成要素に作用して、補助イベント中、または補助イベントへのもしくは補助イベントからの移行中など、比較的低負荷の期間中にラッシュアジャスタへのバイアス力を生じさせることができる。さらに、ラッシュアジャスタローディング構成要素1230は、ラッシュアジャスタ1206の補充を可能にし、主イベントバルブ動作中に主イベントバルブトレイン内に存在する負荷などの高負荷が主イベントバルブトレインに伝達されることを可能にする。
【0054】
図13は、タイプIIバルブアーキテクチャにおけるラッシュアジャスタローディング構成要素の配置の第1の例1300の概略図である。主イベント運動源は、ピボット1350に取り付けられたフィンガーフォロアとして知られているタイプであり得るロッカー1304の中間領域上で動作するカム1302.1であり得る。主イベントカム1302.1とは別個の補助(専用)カムであり得る補助運動源1302.2は、例示を容易にするために
図13に点線として示される補助バルブトレイン構成要素を介してロッカー1304に作用し得る。主イベントカムとは別個に図示されているが、補助カムは、主イベントカムと同じカムシャフト上にあり得、ロッカー1304の同じ領域(すなわち、中央または中間領域)上で動作し得る。ロッカー1304は、バルブ1320上で動作する。ラッシュアジャスタ1306は、ロッカーと主イベント運動源1302.1との間に存在するラッシュを占有するように、ピボット1350と協働するか、または統合することができる。ラッシュアジャスタローディング構成要素1330は、ロッカー1304内に配置されるか、またはロッカー1304と協働して、主イベント運動源1302.1とロッカー1304の両方に対して応答してラッシュアジャスタ1306への負荷を維持し、それによって、その過度の伸長を防止することができる。認識されるように、ラッシュアジャスタローディング構成要素1330の内部構成要素は、ラッシュアジャスタ1306が主イベントおよび補助イベント中に制御された位置において維持されるように、上記のようなばね式のストローク制限機能を提供し得る。さらに、主イベントカム1302.1は、
図9.1~
図9.3、
図10および
図11を参照しながら上記で説明されたように、HLA補充およびプリロード機能を実装するために、サブベース円領域を提供され得る。
【0055】
図14は、タイプIIバルブトレインアーキテクチャにおけるラッシュアジャスタローディング構成要素の配置の第2の例1400の概略図である。主イベント運動源は、ピボット1450に取り付けられたフィンガーフォロアとして知られているタイプであり得るロッカー1404の中間領域上で動作するカム1402.1であり得る。主イベントカム1402.1とは別個の補助(専用)カムであり得る補助運動源1402.2は、例示を容易にするために
図14に点線として示される補助バルブトレイン構成要素を介してロッカー1404に作用し得る。主イベントカムとは別個に図示されているが、補助カムは、主イベントカムと同じカムシャフト上にあり得、ロッカー1404の同じ領域(すなわち、中央または中間領域)上で動作し得る。ロッカー1404は、バルブ1420上で動作する。ラッシュアジャスタ1406は、ロッカーと主イベント運動源1402.1との間に存在するラッシュを占有するように、ピボット1450と協働するか、または統合することができる。ラッシュアジャスタローディング構成要素1430は、ラッシュアジャスタ1406に隣接して配置され得、および/またはラッシュアジャスタ1406と協働して、エンジンおよびラッシュアジャスタ1406の静止部分に対して応答してラッシュアジャスタ1406への負荷を維持し、それによって、その過度の伸長を防止することができる。認識されるように、ラッシュアジャスタローディング構成要素1430の内部構成要素は、ラッシュアジャスタ1406が主イベントおよび補助イベント中に制御された位置において維持されるように、上記のようなばね式のストローク制限機能を提供し得る。認識されるように、主イベントカム1402.1は、
図9.1~
図9.3および
図10を参照して上記のように、HLA補充およびプリロード機能を実装するために、サブベース円領域を提供され得る。
【0056】
図15は、タイプIIバルブアーキテクチャにおけるラッシュアジャスタローディング構成要素の配置の第3の例1500の概略図である。主イベント運動源は、ピボット1550に取り付けられたフィンガーフォロアとして知られているタイプであり得るロッカー1504の中間領域上で動作するカム1502.1であり得る。主イベントカム1502.1とは別個の補助(専用)カムであり得る補助運動源1502.2は、例示を容易にするために
図15に点線として示される補助バルブトレイン構成要素を介してロッカー1504に作用し得る。主イベントカムとは別個に図示されているが、補助カムは、主イベントカムと同じカムシャフト上にあり得、ロッカー1404の同じ領域(すなわち、中央または中間領域)上で動作し得る。ロッカー1504は、バルブ1520上で動作する。ラッシュアジャスタ1506は、ロッカーと主イベント運動源1502.1との間に存在するラッシュを占有するように、ピボット1550と協働することができる。ラッシュアジャスタローディング構成要素1530をラッシュアジャスタ1506とピボット1550との間に挿入して、ラッシュアジャスタ1506への負荷を維持し、それによって、その過度の伸長を防止することができる。認識されるように、ラッシュアジャスタローディング構成要素1530の内部構成要素は、ラッシュアジャスタ1506が主イベントおよび補助イベント中に制御された位置において維持されるように、上記のようなばね式のストローク制限機能を提供し得る。認識されるように、主イベントカム1502.1は、
図9.1~
図9.3および
図10を参照して上記のように、HLA補充およびプリロード機能を実装するために、サブベース円領域を提供され得る。
【0057】
図16は、タイプIIバルブアーキテクチャにおけるラッシュアジャスタローディング構成要素の配置の第4の例の概略
図1600である。主イベント運動源は、ピボット1650に取り付けられたフィンガーフォロアとして知られているタイプであり得るロッカー1604の中間領域上で動作するカム1602.1であり得る。主イベントカム1602.1とは別個の補助(専用)カムであり得る補助運動源1602.2は、例示を容易にするために
図16に点線として示される補助バルブトレイン構成要素を介してロッカー1604に作用し得る。主イベントカムとは別個に図示されているが、補助カムは、主イベントカムと同じカムシャフト上にあり得、ロッカー1604の同じ領域(すなわち、中央または中間領域)上で動作し得る。ロッカー1604は、バルブ1620上で動作する。ラッシュアジャスタ1606は、ロッカーと主イベント運動源1602.1との間に存在するラッシュを占有するように、ピボット1650と協働するか、または統合することができる。スライドピン1607は、ロッカー1604内に配置され得る。ラッシュアジャスタローディング構成要素1630を、ロッカーからスライドピンの場所でロッカー1604内に配置して、ラッシュアジャスタ1606への負荷を維持し、それによって、その過度の伸長を防止することができる。認識されるように、ラッシュアジャスタローディング構成要素1630の内部構成要素は、ラッシュアジャスタ1606が主イベントおよび補助イベント中に制御された位置において維持されるように、上記のようなばね式のストローク制限機能を提供し得る。認識されるように、主イベントカム1602.1は、
図9.1~
図9.3および
図10を参照して上記のように、HLA補充およびプリロード機能を実装するために、サブベース円領域を提供され得る。固定ストロークラッシュアジャスタローディング構成要素1630は、スライドピン1607をロッカーから離れてピン接触面にバイアスし、固定ストロークを提供することができる。これにより、ラッシュアジャスタ1606が、ラッシュアジャスタローディング要素をそのストップから圧縮することなく、ベース円上のロッカーでラッシュを設定することを可能にし得る。補助運動中、ロッカーアームは、主イベントカムプロファイル上のリフトイベントによって、ラッシュアジャスタローディング要素に対して押し付けられる。補助運動源1602.2がスライドピン1606に作用することによってバルブを開くとき、ラッシュアジャスタローディング要素は、ロッカーアームに対して圧縮状態に維持され、HLAが過度に伸長するのを防止する。ピン1607は、
図9.1、
図9.2、および
図9.3のばねピストンに関して上記で説明されたものなどのバイアス構造およびストローク制限構造を提供され得、HLA1606の伸長を防止するのに十分なばね力で固定ストロークだけロッカー1604のバルブ端から離れるようにバイアスされ得る。主イベントカムのプリロード期間中、このばねは部分的に圧縮され得、それにより、ピン1607が1602.2運動源によって下向きに動かされたとき、ばね1602は圧縮状態のままであり、HLA1606の伸長を防止する。
【0058】
図17は、タイプIIバルブアーキテクチャにおけるラッシュアジャスタローディング構成要素の配置の第5の例1700の概略図である。主イベント運動源は、ピボット1750に取り付けられたフィンガーフォロアとして知られているタイプであり得るロッカー1704の中間領域上で動作するカム1702.1であり得る。主イベントカム1702.1とは別個の補助(専用)カムであり得る補助運動源1702.2は、例示を容易にするために
図17に点線として示される補助バルブトレイン構成要素を介してロッカー1704に作用し得る。主イベントカムとは別個に図示されているが、補助カムは、主イベントカムと同じカムシャフト上にあり得、ロッカー1704の同じ領域(すなわち、中央または中間領域)上で動作し得る。ロッカー1704は、バルブ1720上で動作する。ラッシュアジャスタ1706は、ロッカーと主イベント運動源1702.1との間に存在するラッシュを占有するように、ピボット1750と協働することができる。ロッカー1704は、その上のピボット点1705に取り付けられたピボットアーム1707を含み得る。ラッシュアジャスタローディング構成要素1730は、ロッカーからピボットアームの場所に配置され得、
図9.1、
図9.2、および
図9.3の実施形態におけるストローク制限ばねピストンに関して上記で説明されたものと同様の内部構造を含み得る。さらに、ストロークは、これらの図に示されているものと同様の止めねじを使用して調整できる。固定ストロークラッシュアジャスタローディング構成要素1730は、主イベントカム1702.1との接触面を含むピボットアーム1707をバイアスすることができる。ピボット点1705は、ロッカー1704と動作可能に係合することができ、ピボットアームが完全に伸長された状態にあり、主イベントカムのラッシュアジャスタ補充フェーズがピボットアーム1707上で動作しているように主イベントカム1702.1が配向されているときにHLAを補充することを可能にする固定ストロークを有し得る転動要素(図示せず)をも含むことができる。ラッシュアジャスタローディング構成要素1730が完全に圧縮された状態にあるとき、それにより、主イベントカム1702.1は、主イベントリフトを与えることが可能になる。ラッシュアジャスタローディング構成要素1730が、主イベントカムの「プリロード期間」中に部分的に圧縮されたとき、それにより、主イベントカム1702.2からの運動は、HLAへのプリロードを失うことなく、ロッカー本体1704を下向きに動かすことが可能になる。したがって、ラッシュアジャスタローディング構成要素1730は、ピボットアーム1707をロッカーから離れてカムに向かって固定ストロークだけバイアスすることができる。これにより、ラッシュアジャスタ1706が、ラッシュアジャスタローディング構成要素1730をそのストップから圧縮することなく、ベース円上のロッカーでラッシュを設定することを可能にし得る。補助運動中、ロッカーアーム1704は、ピボットアーム1707に作用する主イベントカム1702.1上のリフトイベントによって、ラッシュアジャスタローディング構成要素1730に対して押し付けられる。補助運動源1702.2が(スライドピン有りでまたは無しで)ロッカー1704に作用することによってバルブ1720を開くとき、ラッシュアジャスタローディング構成要素1730は、ロッカーアームに対して部分的に圧縮された状態に維持され、ラッシュアジャスタ1706が過度に伸長するのを防止する。ピボットアーム1707は、転動要素、平坦な表面、または湾曲した接触面を含み得る。認識されるように、主イベントカム1702.1は、
図9.1~
図9.3、
図10および
図11を参照しながら上記で説明されたように、ラッシュアジャスタ補充およびプリロード機能を実装するために、サブベース円領域を提供され得る。
【0059】
本実装は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、特許請求の範囲に記載されているようなより幅の広い本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で、様々な変更および変形がこれらの実施形態に行われ得ることが明らかになるであろう。したがって、明細書および図面は、限定的ではなく例示的なものであるとみなされるべきである。
【国際調査報告】