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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(54)【発明の名称】並列経路遅延線
(51)【国際特許分類】
   H03K 5/06 20060101AFI20220615BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
H03K5/06
G01R31/28 M
G01R31/28 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563091
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 US2020029484
(87)【国際公開番号】W WO2020219651
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】16/395,082
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502391840
【氏名又は名称】テラダイン、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】バン デル ワグト、 ジャン ポール アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ゼレーニン、 デニス
【テーマコード(参考)】
2G132
5J001
【Fターム(参考)】
2G132AA17
2G132AB07
2G132AD07
2G132AE08
2G132AE23
2G132AG08
2G132AL16
5J001AA11
5J001BB05
5J001CC06
(57)【要約】
正確且つ可変な量だけ信号を遅延させる回路構成及びその動作方法。一実施形態は、自動試験装置において用いられる高速遅延線に向けられる。発明者らは、高いデータレートを有する入力信号が、遅延信号を生成するよう合成される前にそれぞれの並列遅延経路において遅延される、より低いデータレートを有する並列分割信号に分割されてもよいことを認識及び正しく理解している。かかる方法において信号を遅延させる1つの利点は、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を用いることによって、低減された消費電力を有するより低い帯域幅の回路構成コンポーネントを用いるコンパクトな回路設計を用いながら、高いデータ速度で高い遅延線タイミング精度を提供することにある。更なる利点は、高速遅延線がモジュール式の複数のより低いデータレートの並列遅延線から構築されてもよく、回路設計を単純化することである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を遅延させる装置であって、
入力とN個の出力とを備えるスプリッタ回路と、
遅延回路と
を含み、
Nは少なくとも2であり、
前記スプリッタ回路は、前記入力において第1のデータレートを有する入力信号を受信し、前記それぞれの出力においてN個の分割信号を生成するよう構成され、
前記N個の分割信号はそれぞれが前記第1のデータレートよりも低いデータレートを有し、
前記遅延回路は、前記N個の分割信号に基づいて遅延信号を生成するよう構成され、
前記遅延信号は遅延を有する前記入力信号である、装置。
【請求項2】
前記遅延回路は、N個の遅延経路とコンバイナ回路とを含み、
各遅延経路は、それぞれの分割信号を受信し、遅延された分割信号を生成するよう構成され、
前記コンバイナ回路は、前記遅延されたN個の分割信号に基づいて前記遅延信号を生成するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コンバイナ回路はXORゲートを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
Nは2であり、前記分割信号のそれぞれは前記第1のデータレートの半分であるデータレートを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
Nは2であり、
前記N個の出力は、第1の出力と第2の出力とを含み、
前記スプリッタ回路は、前記第1の出力において第1の分割信号を生成し、前記第2の出力において第2の分割信号を生成するよう構成され、
前記入力信号と前記第1及び第2の分割信号のそれぞれとは、複数の立ち上がり及び立ち下がりエッジを有し、
前記スプリッタ回路は、前記入力信号の立ち上がりエッジに応答して、前記第2の出力においてではなく、前記第1の出力において第1のエッジを生成するよう構成され、
前記スプリッタ回路は、前記入力信号の立ち下がりエッジに応答して、前記第1の出力においてではなく、前記第2の出力において第2のエッジを生成するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
Nは、スプリッタ回路が2つの出力を含むように2であり、
前記スプリッタ回路は、前記入力における論理ハイが前記2つの出力における1つの論理ハイ及び1つの論理ローに対応し、前記入力における論理ローが同じ極性を有する前記2つの出力の両方に対応するよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
Nは2であり、
前記スプリッタ回路は、第1のクロック入力と、第1のラッチ入力と、第1のラッチ出力とを有する第1のDラッチを含み、
前記スプリッタ回路への前記入力が前記第1のDラッチの前記第1のクロック入力に結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記スプリッタ回路は、更に、第2のクロック入力と、第2のラッチ入力と、第2のラッチ出力とを有する第2のDラッチを含み、
前記第2のDラッチは、前記第2のクロック入力において反転入力信号を受信するよう構成され、
前記第2のラッチ入力は、前記第1のラッチ出力に結合され、
反転された第2のラッチ出力が、前記第1のラッチ入力に結合され、
前記第1の出力は、前記第2のラッチ出力に結合され、
前記第2の出力は、前記第1のラッチ出力に結合される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
信号を遅延させる方法であって、
スプリッタ回路により、第1のデータレートで複数の立ち上がり及び立ち下がりエッジを有する入力信号を受信することと、
前記スプリッタ回路により、第2のデータレートで複数の立ち上がり及び立ち下がりエッジを有する第1の分割信号と、第3のデータレートで複数の立ち上がり及び立ち下がりエッジを有する第2の分割信号とを生成することであって、前記第2及び第3のデータレートは前記第1のデータレートよりも低いことと、
遅延回路において、前記第1及び第2の分割信号に基づいて遅延信号を生成することであって、前記遅延信号は遅延を有する前記入力信号であることと
を含む、方法。
【請求項10】
前記第2及び第3のデータレートはそれぞれ、前記第1のデータレートの半分である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の分割信号を生成することは、
前記入力信号における論理ハイが前記第1及び第2の分割信号における論理ハイ及び論理ローに対応し、前記入力信号における論理ローが同じ極性である前記第1及び第2の分割信号の両方に対応するように、前記第1及び第2の分割信号を生成することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び第2の分割信号を生成することは、
前記入力信号の立ち上がりエッジに応答して、前記第2の分割信号においてではなく、前記第1の分割信号において第1のエッジを生成することと、
前記入力信号の立ち下がりエッジに応答して、前記第1の分割信号においてではなく、前記第2の出力信号ストリームにおいて第2のエッジを生成することと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記スプリッタ回路は、第1のクロック入力と、第1のラッチ入力と、第1のラッチ出力とを有する第1のDラッチを含み、
前記第1及び第2の分割信号を生成することは、
前記スプリッタ回路の入力において前記入力信号を受信することと、
前記入力を前記第1のDラッチの第1のクロック入力に結合することと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記スプリッタ回路は、更に、第2のクロック入力と、第2のラッチ入力と、第2のラッチ出力とを有する第2のDラッチを含み、
前記第1及び第2の分割信号を生成することは、更に、
前記第2のラッチ出力を前記第1のDラッチの前記第1のラッチ入力に結合することと、
前記第2のラッチ入力を前記第1のDラッチの前記第1のラッチ出力に結合することと、
前記第2のクロック入力において反転入力信号を受信することと、
前記第2のラッチ出力において前記第1の分割信号を生成することと、
前記第1のラッチ出力において前記第2の分割信号を生成することと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記遅延信号を生成することは、
前記第1及び第2の分割信号をプログラム可能な量だけ遅延させることと、
前記第1及び第2の遅延分割信号を合成することと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の分割信号を第1の量だけ遅延させることと、
前記第2の分割信号を第2の量だけ遅延させることと
を更に含み、
前記第1及び第2の分割信号を合成することは、前記遅延された第1及び第2の分割信号を合成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記遅延回路はXORゲートを含み、
前記遅延された第1及び第2の分割信号を合成することは、
前記遅延された第1及び第2の分割信号を前記XORゲートの入力に結合することと、
前記XORゲートの前記出力において前記遅延信号を生成することと
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1のデータレートを有する入力信号を受信し、それぞれが前記第1のデータレートよりも低いデータレートを有する第1及び第2の分割信号を生成するよう構成されるスプリッタ回路と、
前記第1の分割信号を第1の量だけ遅延させるよう構成される第1の遅延経路と、
前記第2の分割信号を第2の量だけ遅延させるよう構成される第2の遅延経路と、
それぞれ第1の入力及び第2の入力において前記遅延された第1及び第2の分割信号を受信し、前記遅延された第1及び第2の分割信号に基づいて出力において遅延信号を生成するよう構成されるコンバイナ回路と
を含む試験機器を較正する方法であって、
前記コンバイナ回路の出力において前記遅延信号を測定することと、
前記測定された遅延信号に基づいて前記第1の量及び前記第2の量を較正することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記第1の量を較正することは、
前記コンバイナ回路の前記第1の入力においてハイ又はロー信号レベルを設定することと、
前記遅延信号におけるデータエッジが所定のタイミングを有するように、前記第2の遅延経路のパラメータを調整することと
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の量及び前記第2の量を較正することは、前記コンバイナ回路の前記出力を、フィードバック経路を介して前記第1及び第2の遅延経路に結合することを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイス、回路、及びプリント回路基板(PCB)アセンブリ等の電子コンポーネントは、それらの製造中及び製造後に、自動試験装置(ATE)等の試験システムを用いて試験されることが多い。これらの試験を実行するため、ATEは、ある範囲の動作条件を特定の被試験デバイス(DUT)上で試験することができるように、試験信号を生成又は測定する機器を含んでいてもよい。機器は、例えば、デジタル信号のパターンを生成又は測定して、半導体デバイス内部のデジタルロジックの試験を可能にしてもよい。デジタル信号は、デジタル信号内の時間領域における立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジ等のデータエッジの位置によって表されるタイミングを有する。
【0002】
ATEは、特定のタイミングで試験信号を印加するか、又は場合によっては、調整されたタイミングで複数の試験信号をDUTの1つ以上のテストポイントに印加するために用いられることが多い。タイミングを調整するため、ATEは、異なるチャネル内で複数の試験信号の生成を同期させるよう設計されてもよい。しかし、試験信号が生成される時間を単に同期させるだけでは、DUTのテストポイントへの信号の到着時間を調整するには十分ではない可能性がある。ATE内部の機器を通る伝搬遅延の差は、試験信号の相対的なタイミングを変化させ、それによって試験結果の精度に影響を及ぼす可能性がある。試験精度を高めるため、1つ以上の遅延線をATE内で用いて、調整可能な伝搬遅延を提供してもよい。ATEは、遅延線を通る相対的な伝搬遅延を調整することによって較正されてもよい。かかる較正は、ATEが製造され、設置される場合、定期的なスケジュール、又は使用量に応じた時間を含む様々な時間に行われてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の態様は、信号のタイミングを遅延させる装置及びそれを動作させる方法に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかの実施形態によれば、信号を遅延させるための装置が提供される。装置は、入力及びN個の出力(Nは少なくとも2である)を有するスプリッタ回路を備える。スプリッタ回路は、入力において第1のデータレートを有する入力信号を受信し、それぞれの出力においてN個の分割信号を生成するよう構成され、N個の分割信号のそれぞれは第1のデータレートよりも低いデータレートを有する。装置は、更に、N個の分割信号に基づいて遅延信号を生成するよう構成される遅延回路を備える。遅延信号は、遅延を有する入力信号である。
【0005】
幾つかの実施形態によれば、信号を遅延させるための方法が提供される。方法は、スプリッタ回路により、第1のデータレートで複数の立ち上がり及び立ち下がりエッジを有する入力信号を受信することと、スプリッタ回路により、第2のデータレートで複数の立ち上がり及び立ち下がりエッジを有する第1の分割信号と、第3のデータレートで複数の立ち上がり及び立ち下がりエッジを有する第2の分割信号とを生成することであって、第2及び第3のデータレートは第1のデータレートよりも低いことと、遅延回路において、第1及び第2の分割信号に基づいて遅延信号を生成することと、を含む。遅延信号は、遅延を有する入力信号である。
【0006】
幾つかの実施形態によれば、試験機器を較正するための方法が提供される。試験機器は、第1のデータレートを有する入力信号を受信し、それぞれが第1のデータレートよりも低いデータレートを有する第1及び第2の分割信号を生成するよう構成されるスプリッタ回路と、第1の分割信号を第1の量だけ遅延させるよう構成される第1の遅延経路と、第2の分割信号を第2の量だけ遅延させるよう構成される第2の遅延経路と、それぞれ第1の入力及び第2の入力において遅延された第1及び第2の分割信号を受信し、遅延された第1及び第2の分割信号に基づいて出力において遅延信号を生成するよう構成されるコンバイナ回路とを備える。方法は、コンバイナ回路の出力において遅延信号を測定することと、測定された遅延信号に基づいて第1の量及び第2の量を較正することとを含む。
【0007】
以下の図面を参照して、様々な態様及び実施形態を説明する。これらの図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことは正しく理解されたい。図面において、様々な図に示すそれぞれ同一又は略同一のコンポーネントは、同様の数字によって表されている。明確にする目的のために、全てのコンポーネントが全ての図面に表示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】幾つかの実施形態による、本願の態様による遅延線アーキテクチャが適用されてもよい自動試験システムの例示的な実施形態の略図である。
図2】本願の幾つかの態様による、信号を遅延させるための遅延線回路構成を示す略図である。
図3】幾つかの実施形態による、2つの分割信号及び2つの遅延経路を有する、図2に示す遅延線回路構成の例示的な実装を示す略図である。
図4】幾つかの実施形態による、2つのDラッチを採用するスプリッタ回路の例示的な実装を示す略図である。
図5】幾つかの実施形態による、図3及び4に示すスプリッタ回路420の異なる動作状態を表す一連の信号波形を示す。
図6】幾つかの実施形態による、較正方法中の異なる動作状態を表す一連の信号波形を示す。
図7】幾つかの実施形態による、較正のためのフィードバック経路を有する遅延線700の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明者らは、高いタイミング精度を有するが低消費電力である、高速信号を効率的に生成するための技法及び回路設計を認識及び正しく理解している。かかる技法は、高いデータレートを有する入力信号を、より低いデータレートを有する並列分割信号に分割することを伴っていてもよい。分割された信号は、合成されて遅延を有する入力信号である遅延信号を生成する前に、それぞれの並列遅延経路において遅延されてもよい。
【0010】
本明細書中に説明する技法は、ATEにおいてタイミング信号を生成するために用いられてもよい。複数の信号経路のそれぞれは遅延回路を含んでいてもよく、かかる各遅延回路によって導入される遅延量は可変であってもよい。各遅延回路の遅延量は、遅延信号の所望の使用に基づいて特定されてもよく、試験システムのプログラミングの一部としてプログラムされてもよく、次いで、遅延量が信号経路間の遅延の変動に対して較正されてもよいように、較正プロセス中に特定される較正値によってオフセットされてもよい。
【0011】
このように信号を遅延させることにより、コンパクトでモジュール式の回路設計を用いて、高いデータ速度で高いタイミング精度を提供してもよい。幾つかの実施形態において、高速遅延線は、高速回路の回路設計を単純化するそれぞれモジュール式である複数のより低いデータレートの並列遅延線から構築されてもよい。一実施形態において、本願の態様による遅延線は、少なくとも10Gbpsのデータ速度を有する信号に関して動作してもよい。かかる高速遅延線は、10Gbpsよりも遅い帯域幅のコンポーネント、例えば、ハーフレート(5Gbps)帯域幅コンポーネントにより実装されてもよい。一実施例において、ハーフレートコンポーネントは、数十個の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)トランジスタを用いてコンパクト設計で構築されてもよい。
【0012】
この種類の可変遅延線は、例えば、ATEのピンエレクトロニクス(PE)において用いられてもよい。ATE内部では、デジタル試験機器は、ピンエレクトロニクス(PE)、複数の可変遅延線を組み込んでデジタルデータを小さな時間増分で遅延させるタイミング発生器(TG)により実装されてもよい。TGは、パターン発生器(PG)からベクトルデータ及び周期情報を取り込み、受信ストローブ及び駆動経路エッジ時間を生成することによってPEを制御する時限信号を生成する。PE、PG、及びTGは、別個のコンポーネントであってもよいか、又は多数のトランジスタを備える1つ以上の集積回路(IC)として実装されてもよい。各遅延線の可変遅延は、遅延線から出力される信号の使用に基づいていてもよい。例えば、遅延線出力が駆動経路エッジの時間を設定するように、遅延線出力がドライバの制御入力に結合されていた場合、可変遅延は、所望の時間にエッジを出力するようドライバを制御する信号を結果として生じるよう設定されてもよい。かかる信号を生成する遅延量は、かかるエッジが生成される時間に影響を及ぼす可能性がある遅延回路及びドライバ並びに他のコンポーネントを含む信号経路のために特定されてもよい較正値によるそのエッジオフセットのためのプログラムされた値に基づいていてもよい。
【0013】
発明者らは、PE内の試験信号が、最大10Gbps等、複数のGbps程度の高いデータレートを有する場合に、単一ピコ秒範囲の分解能で正確なデータエッジ配置を提供することができる遅延線が、CMOS等の低コスト及び低電力技術を用いて達成することができることを認識及び正しく理解している。
【0014】
本願の態様は、高いデータレートを有する入力信号が、スプリッタ回路において、それぞれの並列遅延経路において遅延されるより低いデータレートを有する並列分割信号に分割されてもよい遅延線アーキテクチャに向けられている。分割された信号のそれぞれは、入力信号と比較して、より低いデータ(立ち上がり/立ち下がり)エッジのレートと、一般に、隣接するデータエッジ間のより大きいタイミング間隔を有するため、並列遅延経路は、入力信号のデータレートよりも低い帯域幅の回路構成コンポーネントを用いて、例えば、65nm又は40nmノード技術に基づくCMOSトランジスタを用いて実装されてもよい。発明者らは、より低いデータレートにおいて動作するより低い帯域幅のCMOSコンポーネントを用いることが、他の利点の中でも特に、単一の高データレート遅延線を用いることと比較して、遅延線の全体的な消費電力を低減することを認識及び正しく理解している。これは、コンポーネントの数がより多い可能性があっても当てはまる。より低い帯域幅のコンポーネントが、並列遅延線アーキテクチャの遅延回路の一部であってもよい。
【0015】
遅延回路は、複数の並列遅延経路を用いて選択的な量の遅延を分割信号のそれぞれに適用し、コンバイナにおいて遅延分割信号を合成して、並列分割信号に基づく遅延を有する入力信号と略同じである遅延信号を生成するよう構成される。遅延量は、並列遅延経路のそれぞれにおいて可変遅延コンポーネントを用いることによってプログラム可能であってもよい。
【0016】
幾つかの実施形態において、高いデータレートを有する入力信号は、それぞれが入力信号のデータレートの略半分を有する2つの信号に分割される。かかる信号に対して、入力信号エッジが周期クロックによって定義される位置にのみ存在することができると仮定すると、最小データエッジ間隔は入力信号の最小データエッジ間隔の2倍である。かかる信号の平均データレートは、十分に長いランダム入力信号に対して入力信号のデータレートの半分に収束する。しかし、スプリッタ回路は、簡単な回路コンポーネントにより実装されてもよく、各分割信号の瞬間データレートは、入力信号の立ち上がり及び立ち下がりエッジのパターンに基づいて時間と共に変化してもよい。
【0017】
低帯域幅成分を有する遅延回路を用いて、2つの分割された信号を遅延させてもよく、これは、フルレート信号に再合成される場合に、入力信号の遅延バージョンを生じる。かかる遅延信号は、正確な遅延量を提供しながら、フルレート信号を遅延させる半導体技術において実装される遅延線と比較して、遅延線の低減した消費電力により生成されてもよい。
【0018】
入力信号を2つの略ハーフレートの信号に分割する回路を、遅延線の回路設計を例示する目的で本明細書中に説明する。しかし、遅延線は、入力信号をN個の並列経路に分割する回路を用いて実装されてもよく、そのそれぞれは、入力の遅延バージョンに再合成される前に遅延されることを正しく理解されたい。一例として、2重の分割及び合成を階層的に2回繰り返して、結果として4つの並列経路を生じてもよい。別の例として、2つを超える信号に分割し、それらを合成するためのコンパクトな非階層回路が用いられてもよく、これらは、当業者によって認識されるであろう以下に説明する例示的な設計の自然な一般化である。
【0019】
任意の適切な方法を用いて、入力信号を2つのより低いレートの分割信号に分割してもよい。一態様によれば、分割回路は、入力において入力信号を受信し、2つの出力において第1及び第2の分割信号を生成するために用いられてもよい。幾つかの実施形態において、第1及び第2の分割信号のそれぞれは、平均して、入力信号と比較して、所定の期間におけるデータエッジの半分の量を備え、従って、入力信号のデータレートの略半分を有する。
【0020】
入力信号は、通常、連続する交互の立ち上がり及び立ち下がりエッジのストリームを備えるため、発明者は、入力信号を2つのハーフレート分割信号に分割する1つの方法は、入力信号から受信する立ち上がり/立ち下がりエッジごとに、2つの分割信号において立ち上がり/立ち下がりエッジを交互に生成することであることを認識及び正しく理解している。例示的な一実施形態において、スプリッタ回路は、入力信号内の立ち上がりエッジを受信することに応答して、第2の分割信号内ではなく第1の分割信号内に第1のエッジを生成し、入力信号内の立ち上がりエッジに続く立ち下がりエッジを受信することに応答して、第1の分割信号内ではなく第2の分割信号内に第2のエッジを生成するよう構成される。実際には、第1の分割信号内のデータエッジのそれぞれは入力信号の立ち上がりエッジに対応する一方で、第2の分割信号内のデータエッジのそれぞれは入力信号の立ち下がりエッジに対応する。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、発明者らは、入力における論理ハイが2つの出力における論理ハイ及び論理ローに対応し、入力における論理ローが同じ極性を有する2つの出力の両方に対応するように、上で説明した例示的な実施形態におけるスプリッタ回路が「逆XORゲート」として効果的に動作することを認識している。かかる「逆XORゲート」において、スプリッタ回路の入力及び2つの出力のための真理値表は、XORゲートのための真理値表と同じであり、スプリッタ回路の入力は真理値表におけるXORゲート出力に対応し、スプリッタ回路の2つの出力は真理値表におけるXORゲート入力に対応していることを正しく理解されたい。発明者らは、かかる「逆XORゲート」を実装する単純な回路設計を認識及び正しく理解している。幾つかの実施形態において、逆XORゲート設計は、少数のCMOSトランジスタにより実装されてもよい。CMOSベースの遅延線回路設計は、コンパクトな実装面積及び低い消費電力を有するデバイスを提供してもよい。
【0021】
より低いレートの信号は、別々に処理され、次いで、XORゲートにおいて入力信号のフルレートに戻されて合成されてもよい。遅延線の実施例において、より低いレートの分割信号の処理は、可変量だけ各信号を遅延させることを伴っていてもよい。
【0022】
本願の一態様によれば、個々に調整可能な遅延は、例えば、スプリッタ回路のそれぞれの出力に結合される2つの並列遅延経路を用いることによって、2つの分割信号に適用されてもよい。2つの遅延経路は、コンバイナ回路において合成されてもよい2つのそれぞれの遅延された分割信号を生成する。コンバイナ回路は、遅延された2つのより低いデータレート分割信号のそれぞれにおけるデータエッジ内に搬送される情報を合成して、入力信号と同じ量及び相対タイミングのデータエッジを有するが可変遅延を有する遅延入力信号を生成するよう構成される。幾つかの実施形態において、XORゲートは、遅延分割信号を受信するよう構成される2つの入力と、遅延入力信号を生成するよう構成されるXORゲートの出力と共に、コンバイナ回路の内部で用いられてもよい。
【0023】
本願の別の態様によれば、遅延回路の個々の並列遅延経路内の遅延量は、元の入力信号に対して、コンバイナ回路の出力における遅延入力信号に望ましい遅延量を生じるよう、較正値によってオフセットされてもよい。
【0024】
図面を参照すると、図1は、本願の態様による遅延線アーキテクチャが適用されてもよい自動試験システムの例示的な実施形態の略図である。図1は、本願に開示する方法に従って被試験デバイス(DUT)20に対して試験を実行するようテスタ16を制御する試験コンピュータ12を含む試験システム10を示している。幾つかのシナリオにおいて、テスタ16は、当該技術において公知の技法を用いて構築される自動試験装置(ATE)であってもよい。DUT20は、試験するための任意の適切なデバイスであってもよい。例えば、DUT20は半導体デバイスであってもよい。ATE16は、DUT20に対する複数の試験信号14を生成及び/又は測定する回路構成を含んでいてもよい。ATE16は、異なる種類のアナログ又はデジタル信号を生成又は測定するよう構成される複数の機器を含んでいてもよい。ATE16は、異なるチャネル内で複数の試験信号の生成を同期させるよう構成される1つ以上のタイミング発生器を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、ATE16は、以下で詳細に説明するような、複数の試験信号のそれぞれを制御する複数のタイミング信号のそれぞれについて、信号を遅延させるためのプログラム可能な遅延線を含んでいてもよい。
【0025】
図1は、自動試験システムの大幅に簡略化された表現であることを正しく理解されたい。例えば、図示していないが、試験システム10は、ATE16内部の機器の動作を制御する制御回路構成を含んでいてもよい。加えて、試験システム10は、測定値を処理し、DUT20が正しく動作しているかどうかを特定する処理回路構成を含んでいてもよい。更に、図1は、単一のDUT20が試験されているシナリオを示しているが、試験システム10は、複数のデバイスを試験するよう構成されてもよい。試験信号を生成若しくは測定する機器又は他のコンポーネントの数及び被試験デバイスの数に関わらず、試験システム10は、DUT20とATE16内部の機器との間で信号をルーティングする信号送出コンポーネントを含んでいてもよい。
【0026】
更に、図示するような他のコンポーネントは、限定ではなく例示であることを正しく理解されたい。例えば、試験コンピュータ12は、図1においてパーソナルコンピュータ(PC)として示しているが、任意の適切なコンピューティングデバイス、例えば、モバイルデバイス又はコンピュータワークステーションを用いて、試験コンピュータを実装してもよいことを正しく理解されたい。試験コンピュータ12は、ネットワークに接続され、ネットワーク上のリソースにアクセスすることができ、及び/又はネットワークに接続される1つ以上の他のコンピュータと通信してもよい。
【0027】
図2は、本願の幾つかの態様による、信号を遅延させるための遅延線回路構成を示す略図である。図2に示すように、遅延線回路構成200は、複数の立ち上がり/立ち下がりエッジを有する入力信号102を受信し、並列分割信号に基づくプログラム可能な遅延を有する入力信号102と略同じである遅延信号106を生成するよう設けられている。遅延線回路200は、ピンエレクトロニクス内を含む試験システム内の任意の所望位置において用いられてもよい。入力信号102は、タイミング発生器内で生成される高周波エッジ信号であってもよい。ピンエレクトロニクスチップ内の各チャネル及び複数のチャネルに対して複数のエッジが存在してもよいため、ピンエレクトロニクスチップ内に遅延線回路200の複数のコピーが存在していてもよい。従って、Gbps範囲で動作することができるCMOS等のコンパクト、低コスト、及び低電力回路構成により遅延線を実装することは、試験システムにとって望ましい品質を提供してもよい。本明細書中に説明するような設計は、試験システムのかかる特性を可能にする。
【0028】
図2に示す図において、スプリッタ回路120は、入力122において入力信号102を受信し、それぞれの出力124~124においてN個の分割信号104~104を生成し、ここでNは整数である。幾つかの実施形態によれば、分割信号104~104のそれぞれは、入力信号102におけるデータレートよりも低いデータレートを有する。遅延回路230は、分割信号104~104を受信し、遅延を有する入力信号102である遅延信号106を生成する。遅延信号106は、入力信号102と略同じデータエッジ間の相対タイミングを有するが、各データエッジのタイミングが所定の遅延だけシフトされた略同じデータエッジを有している。
【0029】
本願の一態様によれば、入力信号102は、5Gbps、20Gbps、1~100Gbpsの間、又は5~50Gbpsの間のデータレートを有するデジタルデータストリームであってもよいが、本明細書中に開示する技術の様々な態様は、任意の帯域幅を有するデジタルデータストリームと共に用いられてもよいことを正しく理解されたい。遅延線回路構成200は、高速遅延線回路構成として構成されている。具体例として、データレートは10Gbpsであってもよい。N個の分割信号104~104のそれぞれは、入力信号102のデータレートよりも低いそれぞれのデータレートを有する。
【0030】
幾つかの実施形態において、遅延回路230は、N個の遅延経路230~230とコンバイナ回路240とを備えている。遅延経路230~230のそれぞれは、それぞれの分割信号104~104を受信し、調整可能な量の遅延を適用し、それぞれの遅延分割信号204~204を生成する。上記のように、調整可能な遅延は、パターン発生器におけるプログラミングに基づいてタイミング発生器によって適用されてもよいようなプログラム可能な遅延を含んでいてもよい。そのプログラムされた遅延は、試験システム内の異なる信号経路の伝搬遅延の変動を補償するよう較正ルーチンの一部として特定される較正値によってオフセットされてもよい。幾つかの実施形態において、遅延経路230~230のそれぞれは、それを通過する信号の立ち上がり及び立ち下がりエッジを別々に遅延させてもよい。かかる構成は、非対称な立ち上がり及び立ち下がり時間を有する回路構成に対して正確な遅延を可能にする。遅延経路230~230のそれぞれは、その内部で伝搬される信号に調整可能な量の遅延を適用するよう当該技術において公知の適切な技法によって実装されてもよい。
【0031】
コンバイナ240は、N個の遅延分割信号204~204を受信し、N個の遅延分割信号204~204に基づいて遅延信号106を生成する。
【0032】
一態様によれば、分割信号104~104は入力信号102よりも低いデータレートを有するため、低帯域幅成分が遅延回路230において用いられ、入力信号102のものよりも低いデータレートで較正されてもよい。その結果、本願の実施形態は、高速信号を遅延させることにおいて高い精度を提供する可能性がある。非限定的な一例において、10Gbpsの入力データに対して、遅延経路のそれぞれは、5Gbpsのデータレートを参照してもよく、遅延線のトレーリングエッジエラー(TEE)は、10ps未満であってもよい。別の利点は、入力信号のデータレートよりも低い帯域幅で動作するコンポーネントを用いることによる消費電力の低減である。
【0033】
更なる利点はモジュール性である。遅延線はより低い帯域幅成分を備えているため、幾つかの実施形態において、高データレート入力信号に関して動作する遅延線は、それ自体は遅延線であるがより低いデータレート入力信号に関して動作するよう構成される並列モジュールを備えていてもよい。例えば、10Gbps遅延線は、入力信号を5Gbpsデータレートを有する2つのハーフレート分割信号に分割し、結果を10Gbps入力信号の遅延バージョンに合成する前にそれぞれのハーフレート分割信号を遅延させる任意の適切な設計の2つの並列5Gbpsサブ遅延線を備えていてもよい。かかるモジュール性は、高速遅延線のための回路設計を単純化する可能性がある。
【0034】
図3は、幾つかの実施形態による、2つの分割信号及び2つの遅延経路を有する、図2に示す遅延線回路構成の例示的な実装を示す略図である。図3に示すように、遅延線回路構成300は、入力信号d_1を受信し、遅延を有する入力信号d_1と略同じである遅延信号d_2を生成するよう設けられている。ディバイダ回路320は、入力322において入力信号d_1を受信し、それぞれの出力324及び324において2つの分割信号xr及びxfを生成する。遅延回路330は、2つの遅延経路330及び330と、XORゲート340とを備えている。遅延経路330及び330のそれぞれは、それぞれの分割信号xr及びxfを受信し、調整可能な量の遅延を適用し、それぞれの遅延分割信号xr’及びxf’を生成する。XORゲート340は、2つの遅延分割信号xr’及びxf’を受信し、XORゲート出力において、遅延分割信号xr’及びxf’に基づいて遅延信号d_2を生成する。
【0035】
本願の一態様によれば、入力信号d_1は、5Gbps、10Gbps、20Gbps、1~100Gbpsの間、又は5~50Gbpsの間のデータレートを有するデジタルデータストリームであってもよいが、本明細書中に開示する技術の様々な態様は、任意の帯域幅を有するデジタルデータストリームと共に用いられてもよいことを正しく理解されたい。2つの分割信号xr及びxfのそれぞれは、入力信号d_1のデータレートよりも低いそれぞれのデータレートを有する。幾つかの実施形態において、xr及びxfは、d_1におけるデータレートの略半分のデータレートを有するハーフレート信号である。非限定的な一例において、d_1は10Gbpsのデータレートを有する一方で、xr及びxfは5Gbpsのデータレートを有する。
【0036】
幾つかの実施形態において、スプリッタ回路320は、入力322における論理ハイが2つの出力324及び324における1つの論理ハイ及び1つの論理ローに対応し、入力322における論理ローが同じ極性を有する2つの出力324及び324の両方に対応するように、「逆XORゲート」として動作するよう構成される。かかる構成において、2つの出力324、324と単一の入力322との間のスプリッタ回路320のための真理値表は、(00,01,10,11)を(0,1,1,0)にマッピングすることを正しく理解されたい。入力が0と1との間で切り替わると、2つの出力は一度に1ビットずつ状態を変化させる。例えば、各エッジ遷移について、スプリッタ回路320は、(0,0)、(0,1)、(1,1)、(1,0)の反復シーケンスで出力状態(xr、xf)を進行し、(0,0)に戻ってパターンを反復してもよい。
【0037】
スプリッタ回路320の例示的な実装、及びスプリッタ回路320の入力及び出力における信号波形の間の関係を、図4及び5に関して以下で詳細に検討する。
【0038】
図4は、幾つかの実施形態による、2つのDラッチを採用するスプリッタ回路の例示的な実装を示す略図である。図4に示すように、スプリッタ回路420は、入力422と、2つの出力424及び424とを有している。ディバイダ回路420は、2つのDラッチ430及び450を備えている。第1のDラッチ430は、第1のクロック入力431と、第1のラッチD入力432と、第1のラッチQ出力433とを有する。第2のDラッチ450は、第2のクロック入力451と、第2のラッチD入力452と、第2のラッチQ出力453とを有する。2つのDラッチ430及び450は、第2のラッチD入力452が第1のラッチQ出力433に結合された状態で直列に接続される。第2のラッチQ出力453は反転され、次いで第1のラッチD入力432に結合される。2つのDラッチ430及び450は、第1のクロック入力431が入力422に結合され、第2のクロック入力451が入力422から反転信号を受信するよう構成された状態で、位相がずれてクロック制御される。出力424は第2のラッチQ出力453に結合され、424は第1のラッチQ出力433に結合される。
【0039】
図4に示すディバイダ回路420は、図中ではD2FFと称する改良型Dフリップフロップ(DFF)である。入力422はD2FFのクロックであり、出力424はD2FFのQ出力であり、423においてD2FFのD入力である。DFFは、位相がずれてクロック制御される2つのエッジトリガDラッチから構成されるフリップフロップである。クロックの立ち上がりエッジにおいて、着信するデータは第1のラッチにおいてラッチされる一方で、第2のラッチは同じデータを出力に提供し、即ち、その入力データを追跡し始める。クロックの立ち下がりエッジにおいて、第1のラッチからのラッチデータは第2のラッチにラッチされる一方で、第1のラッチは着信データを追跡し始める。出力424(Q)は、上記のシーケンスがDFFにおいて繰り返される場合に次の立ち上がりクロックエッジまで一定である。ディバイダ回路420はD2FFであり、出力424(Q)が反転され、第1の入力432(D)に接続された状態で、トグルフリップフロップ(TFF)として機能する。TFFがクロック制御される場合、出力Qはクロックの2分割バージョンである。所定のクロックパターンに対して、2つの出力QパターンがTFFノードの初期状態に応じて可能であり、2つの可能なQパターンは互いに反転される。
【0040】
Dラッチ及びインバータのためのトランジスタレベルの回路は当該技術において公知である。かかるコンポーネントは、CMOSトランジスタを用いることを含めて、比較的簡単に実装されてもよい。Dラッチのトランジスタレベルの回路図は、例えば、10個程度のトランジスタを含んでいてもよい。インバータは、僅か2つのトランジスタにより実装されてもよい。任意選択的に、例えば、差動回路構成において、インバータは、いずれのトランジスタも用いることなく、正及び負極線の入れ替えによって実装されてもよい。従って、ディバイダ回路420は、合計20~25個のトランジスタにより実装することができ、実装が簡単で、低電力を消費することができる。
【0041】
図3に戻って参照すると、スプリッタ回路320が、入力信号d_1によって422においてクロック制御されるD2FF420として実装される場合、その出力424(Q)は、入力信号d_1のエッジの半分を含む。幾つかの態様によれば、スプリッタ回路420は正のエッジトリガDFFであるため、出力324(Q)における信号xr内の任意のデータエッジ(立ち下がり又は立ち上がり)は、立ち上がりd_1エッジに対応する。一方、出力324(D’)は、出力324(Q)における立ち上がりクロック(d_1)エッジの立ち下がりクロック(d_1)エッジプレビューである。出力324(D’)における信号xfは、任意の立ち下がりd_1エッジに対してエッジ(立ち上がり又は立ち下がり)を有することを正しく理解されたい。従って、d_1は、2つのハーフレート信号xr及びxfに分割され、それぞれが、d_1と比較して同じ期間中に半分の量のデータエッジを有する。
【0042】
更に図3を参照すると、信号xr内のデータエッジは立ち上がりd_1エッジのみに対応する一方で、信号xf内のデータエッジは立ち下がりd_1エッジのみに対応するため、xfが低い(高い)場合にのみ立ち上がり(立ち下がり)xrエッジが生じることを正しく理解されたい。従って、分割信号xr及びxfは、遅延経路330及び330においてそれぞれ遅延されて遅延分割信号xr’及びxf’になる場合、XORゲート340において合成されて、元の入力信号d_1の遅延バージョンである遅延信号d_2を生成してもよい。従って、全ての入力信号d_1の立ち上がりエッジは、xr内のエッジを生じ、ひいては、遅延経路330において第1の時間量を費やした後にxr’内のエッジを生じ、それに応答して、XORゲート340は、xr’エッジに対して、d_1内の元の立ち上がりエッジに対応する立ち上がり出力エッジを生成する。同様に、全ての入力信号d_1の立ち下がりエッジは、遅延経路330において第2の時間量を費やした後に、立ち下がり出力エッジを生じる。実際には、遅延信号d_1におけるエッジは、入力信号d_1におけるそれぞれのエッジに対応する。別の態様によれば、xr及びxfに適用される遅延の第1の量及び第2の量は、図6及び7に関して以下でより詳細に検討するように、d_2におけるデータエッジの相対タイミングを調整して入力信号d_1におけるデータエッジと一致するよう較正されてもよい。
【0043】
図5は、幾つかの実施形態による、図3及び4に示すスプリッタ回路420の異なる動作状態を表す一連の信号波形を示している。波形500は、スプリッタ回路420への入力422において受信される入力信号d_1のタイムラインを表している。波形510a~510cは、入力信号d_1に応答して、スプリッタ回路420の出力424及び424において生成される2つの分割信号xr及びxfと、XORゲート340の出力における遅延信号d_2とのタイムラインを表す。波形520a~520cは、入力信号d_1に応答する分割信号xr、xf、及びd_2の代替タイムラインを表す。波形500、510a~510c、及び520a~520cにおけるデータエッジは、図5に示すように時間的に整列して見えるが、かかる整列は、例示の目的のみのための簡略化であり、分割信号xr、xf、及びd_2におけるデータエッジは伝搬遅延を受け、d_2の場合には、遅延経路330及び330において追加される追加遅延時間を受けることを正しく理解されたい。
【0044】
xr及びxfにおける初期状態に応じて、D2FF420は、入力422においてd_1から受信されるデータエッジに応答して、2つの代替起動モードを有する。図5に示すように、波形510a~510cは第1のモードを表しており、ここでd_1の立ち上がりエッジ501は、xrを立ち上がりエッジ511と共に論理ローから論理ハイに反転させる一方で、d_1の立ち上がりエッジ503は、xrの立ち下がりエッジ513を生じさせる。波形520a~520cに示す代替モードにおいて、d_1の立ち上がりエッジ501は、xrを立ち下がりエッジ521と共に論理ハイから論理ローに反転させる一方で、d_1の立ち上がりエッジ503は、xrの立ち上がりエッジ523を生じさせる。xrに対する2つの代替波形は互いに反転しており、xrの立ち下がり/立ち上がりエッジは常にd_1の立ち上がりエッジに対応することを正しく理解されたい。また、波形510a~510c及び520a~520cから、xfは、d_1の立ち上がりエッジに応答する任意のデータエッジなしに、一定の論理レベルに留まることを正しく理解されたい。
【0045】
他方の分割信号xfは、入力信号d_1の立ち下がりエッジに応答して反転する。図5の波形510a~510cに示すように、d_1の立ち下がりエッジ502は、xfを立ち上がりエッジ512と共に論理ローから論理ハイに反転させる一方で、d_1の立ち下がりエッジ504は、xfの立ち下がりエッジ514を生じさせる。波形520a~520cに示す代替モードにおいて、d_1の立ち下がりエッジ502は、xfを立ち下がりエッジ522と共に論理ハイから論理ローに反転させる一方で、d_1の立ち上がりエッジ504は、xfの立ち上がりエッジ524を生じさせる。xfに対する2つの代替波形は互いに反転しており、xfの立ち下がり/立ち上がりエッジは常にd_1の立ち下がりエッジに対応することを正しく理解されたい。また、波形510a~510c及び520a~520cから、xrは、d_1の立ち下がりエッジに応答する任意のデータエッジなしに、一定の論理レベルに留まることを正しく理解されたい。
【0046】
図5に示すように、xr及びxfの一方のみが論理ハイである場合、d_1は論理ハイであり、2つの出力の両方が同じ極性である場合、d_1は論理ローであることを正しく理解されたい。xr、xf、及びd_1のための真理値表は、xr、xfの(00,01,10,11)を、XORゲートのための真理値表であるd_1の(0,1,1,0)にマッピングすることを正しく理解されたい。その結果、スプリッタ回路420は「逆XORゲート」と見なされてもよい。
【0047】
図5に示すように、xr及びxfのそれぞれは、入力信号d_1と比較して所定の期間におけるデータエッジの数の半分を備え、従って、分割信号xr及びxfはハーフレート分割信号と見なされてもよいことも正しく理解されたい。隣接するデータエッジ間の間隔はまた、d_1と比較してxr、xfにおいて長い。幾つかの実施形態において、入力信号d_1におけるデータエッジは、データサイクルの持続時間である単位間隔(UI)によって分けられてもよい。例えば、図5において、d_1のエッジ501及び502は、1つのUIによって分けられる一方で、ハーフレート分割信号xr及びxfのそれぞれにおいて、データエッジ間の間隔は、2つの元のUIよりも近づくことはない。
【0048】
図3に戻って参照すると、分割信号xr及びxfは、XORゲート340において合成されて出力において遅延信号d_2を生成する前に、それぞれの遅延経路330、330において別々に遅延される。図5に示すように、波形510a~510cにおいて、出力信号d_2は、元の立ち上がりエッジ501及び503に対応する立ち上がりエッジ531及び533を有している。特に、立ち上がりエッジ531は、xrの立ち上がりエッジ511に基づいており、xr_rと称する可能性がある一方で、d_2の立ち上がりエッジ533は、xrの立ち下がりエッジ513に基づいており、xr_fと称する可能性がある。d_2の立ち下がりエッジ532は、d_1の立ち下がりエッジ502に対応しており、xfの立ち上がりエッジ512に基づいているためxf_rと称する。d_2の立ち下がりエッジ534は、d_1の立ち下がりエッジ504に対応しており、xfの立ち下がりエッジ514に基づいているためxf_fと称する。波形520a~520cは、一般に、代替モードにおけるd_2及びd_1、xr及びxfのデータエッジ間の相関関係を示しており、詳細には検討しない。
【0049】
本願の一態様によれば、本明細書中に説明する技法を用いて信号を遅延させることの利点は、改善された立ち上がり/立ち下がりスキュー(RFS)範囲である。RFSは、立ち上がり及び立ち下がりエッジ伝搬遅延の間の差である。回路は、立ち上がり/立ち下がりデスキュー(RFD)と称する動作において、信号の立ち上がり及び立ち下がりエッジの間の相対遅延を調整するために用いられてもよい。RFDは、例えば、信号ストリーム内の単一のパルス幅を修正するために用いられてもよい。一態様によれば、図3に示すような遅延線アーキテクチャ300内の遅延経路330、330のそれぞれは、それ自体の内部でRFDを実行するために用いられてもよい。例えば、図5の波形510a~510cを参照すると、第1の遅延経路330は、xr内の立ち上がり/立ち下がりエッジ511及び513を調整することによってxrに対してRFDを実行するために用いられてもよい一方で、第2の遅延経路330は、xfに対してRFDを実行して立ち上がり/立ち下がりエッジ512及び514を調整してもよい。従って、スプリッタ回路320が、1つのフルレートデータ経路から2つのハーフレートデータ経路へデータ経路の数を2倍にするため、2つの遅延経路330、330は、図5に示すように、4つの立ち上がり/立ち下がりエッジxr_r、xr_f、xf_r、及びxf_fの相対的な遅延タイミングの調整を提供してもよい。その結果、スプリッタ回路320等の回路におけるRFS制御の範囲が増大する。例えば、回路は、第1の遅延経路330においてxrに対してRFDを用いてxr_r及びxr_fの遅延タイミングを調整することによって、d_2の偶数及び奇数の立ち上がりエッジの間の相対遅延を調整するよう、立ち上がり/立ち上がりデスキュー(RRD)を実行してもよい。同様に、立ち下がり/立ち下がりデスキュー(FFD)は、第2の遅延経路330においてxfに対するRFDを用いてd_2に対して実行されてもよい。
【0050】
一実施形態によれば、入力信号d_1は10Gbps信号であり、2つの分割信号はハーフレート5Gbps信号である。本願の態様による遅延線は、-500~500psの間のRFD(例えば、xr_r又はxr_f対xf_r又はxf_fエッジデスキュー)範囲を有していてもよい。遅延線は、-200~200psの間のRRD(例えば、xr_r対xr_fエッジデスキュー)範囲を有していてもよい。遅延線は、-200~200psの間のFFD(例えば、xf_r対xf_fエッジデスキュー)範囲を有していてもよい。xr線は入力信号の全ての立ち上がりエッジを処理し、xfは入力信号の全ての立ち下がりエッジを処理するため、パルス拡大が正のRFDとして数えられる場合に、RFD範囲は特に大きく、実質的にマイナスのxr遅延線範囲からプラスのxf遅延線範囲までである。
【0051】
本願の一態様は、図3に示すような遅延線300等の遅延線内部の並列遅延経路の較正方法に関している。図5から、初期電源投入又は起動時のxr及びxfの初期状態に応じて、2つの起動モードが存在してもよいことを正しく理解されたい。起動モードに関わらず、スプリッタ回路420において受信される任意の第1のd_1エッジが、波形510a~510c又は520a~520cのうちの1つに従ってxr又はxf上のエッジを生じ、遅延線は、d_1からの同じエッジを有する遅延信号d_2を生成するため、xr又はxfの初期起動モードに基づいて、特別な測定又は「プライミング」は必要とされないことを、図5から正しく理解されたい。起動後の最初のエッジでさえも正しく処理される。
【0052】
一態様によれば、遅延線300は、その2つの起動モードを考慮しながら較正されてもよい。図5の波形510a~510c及び520a~520cに示すように、2つの起動モードは、連続する立ち上がり出力エッジの履歴を入れ替え、出力立ち下がりエッジについても同様である。例えば、波形510a~510cに示す第1の起動モードにおいて、出力信号d_2における2つの連続する立ち上がりエッジ531、533はxr_rに対応し、その後にxr_fが続く。逆に、波形520a~520cに示す第2の起動モードにおいて、出力信号d_2における連続する立ち上がりエッジ541、543は最初にxr_fに対応し、その後にxr_rが続く。エッジxr_r及びxr_fは両方とも出力信号d_2の立ち上がりエッジに寄与するが、xr遅延経路330上で立ち上がり又は立ち下がりエッジとして移動する。従って、スプリッタ回路起動モードが、結果として生じる出力信号d_2のタイミング較正に影響を及ぼさないように、遅延経路330及び330を調整することによって、全ての4つのエッジxr_r、xr_f、xf_r、及びxf_fを較正する必要がある。
【0053】
4つのエッジxr_r、xr_f、xf_r、及びxf_fのそれぞれを較正するための例示的な方法を、ここで図6を参照して検討する。図6は、幾つかの実施形態による、較正方法中の異なる動作状態を表す一連の信号波形を示している。図6は、ラインデータ間隔で切り替わる立ち上がり/立ち下がりエッジを有する入力信号d_1のための波形600を示している。
【0054】
xr_r及びxr_fを較正するため、出力遅延信号d_2を監視しながら、第1の遅延経路330における立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの伝搬に向けられる調整可能な遅延が調整されてもよい。幾つかの実施形態において、遅延分割信号xf’を一定レベルに設定して、xrの較正を可能にしてもよい。波形610a~610cは、xf’が強制的に論理ローにされる場合に、コンバイナXORゲート340が立ち上がりエッジxr_rをxf’と合成して、d_2における立ち上がりエッジ611を生成することを示している。従って、d_2の測定された立ち上がりエッジ611は、第1の遅延経路330を通るxrの伝搬に基づく立ち上がりエッジxr_rのタイミング遅延を表している。立ち上がりエッジxr_rを較正するため、遅延経路330における立ち上がりエッジ伝搬遅延量は、d_2の監視した立ち上がりエッジ611が所望の所定タイミングになるまで、調整されてもよい。遅延経路330の性質に応じて、任意の適切な方法を用いて、立ち上がりエッジのその伝搬遅延量を調整してもよい。一実施例において、制御信号が、立ち上がりエッジ遅延量の変化を示すよう、遅延経路330に送信されてもよい。d_2の立ち上がりエッジ611に対する所望の所定タイミングは、元の立ち上がりエッジ601等の既知の基準と比較して設定された量の遅延時間であってもよいが、任意の基準タイミングが立ち上がりエッジ611に対する所望のタイミングを較正するために用いられてもよいことを正しく理解されたい。一実施例において、較正は相対的であってもよく、即ち、xr_r等の各エッジ種類について、遅延経路における遅延設定は、監視するd_2エッジが基準遅延線設定に相関する値になるように調整されてもよい。基準遅延線設定は、遅延線回路構成への1つ以上の外部接続によって、例えば、外部信号発生器及びオシロスコープに接続することによって、別々に較正されてもよい。
【0055】
遅延線における他の特有のエッジ種類も同様に、xrの立ち上がりエッジxr_rの較正に関して上で説明した方法を用いて較正されてもよい。図6の波形620a~620cに示すように、xf’を一定の論理ハイに設定することによって、スプリッタ回路420は、図5の波形520a~520cに示すような代替の起動モードと同様に強制的に動作させられる。d_2の測定された立ち上がりエッジ613は、第1の遅延経路330を通るxrの立ち下がりエッジの伝搬に基づく立ち下がりエッジxr_fのタイミング遅延を表している。立ち下がりエッジxr_fを較正するため、遅延経路330における立ち下がりエッジ伝搬遅延量は、d_2の監視した立ち上がりエッジ613が所望の所定タイミングになるまで、調整されてもよい。
【0056】
同様に、第2の遅延経路330におけるxfの伝搬のための立ち下がり及び立ち上がりエッジ遅延を較正するため、遅延分割信号xr’は、一定の論理ハイ(xf_rを較正するため、波形630a~630cを参照)又は一定の論理ロー(xf_rを較正するため、波形640a~640cを参照)に設定されてもよい。xf_rを較正するため、遅延経路330における立ち上がりエッジ伝搬遅延量は、d_2の監視した立ち下がりエッジ632が所望の所定タイミングになるまで、調整されてもよい。xf_fを較正するため、遅延経路330における立ち下がりエッジ伝搬遅延量は、d_2の監視した立ち上がりエッジ644が所望の所定タイミングになるまで、調整されてもよい。
【0057】
本願の一態様によれば、フルレート遅延線は、2つのハーフレート遅延線を別々に較正することによって較正することができる。図7は、較正のためのフィードバック経路を有する遅延線700の略図である。遅延線700において、スプリッタ回路720はフルレート入力信号d_1を受信し、2つのそれぞれの並列遅延経路730及び730において遅延される2つのハーフレート分割信号xr及びxfを生成する。遅延経路の出力における遅延分割信号xr’及びxf’は、コンバイナXORゲート740において合成されて、遅延信号d_2を生成する。フィードバック経路750は、XORゲート740の出力を2つの遅延経路730及び730に結合して、例えば、図6に関連して上で検討した較正方法を用いて遅延経路の較正中に出力信号を監視する。
【0058】
幾つかの実施形態において、フィードバック経路750はリングループ周波数(RLF)ボックスを含む。RLFボックスは、多数の遅延素子を中心とする反転ループを閉じることによって形成されるリング発振器回路を備えている。ループ素子の遅延の変化は結果として周波数の変化を生じ、タイミング遅延の正確な測定を可能にする。例示的なRLF実装は、米国特許第9147620号明細書に詳細に説明されており、その全てを参照して本明細書に組み込む。図7は、ハーフレート遅延経路730、730がフィードバック経路750に結合されて、ハーフレート遅延経路を較正するためのRLF信号の挿入を可能にすることを示している。制御ユニット752は、それぞれの遅延経路730、730へのdrv_dd x{r,f}サブライン入力の両方にRLF信号を挿入するために設けられる。
【0059】
本発明の少なくとも1つの実施形態の幾つかの態様を上記のように説明してきたが、様々な変更、修正、及び改良が、当業者には容易に思い付くことが正しく理解されるものとする。
【0060】
例えば、スプリッタを2方向スプリッタによって示した。N方向スプリッタに対し、スプリッタは同様に機能して、各立ち上がり及び立ち下がりエッジをN個の並列経路に分配してもよく、経路への立ち上がり又は立ち下がりエッジのそれぞれの適用は、その経路内の状態変化を生じる原因となる。Nが2より大きくてもよいN相ディバイダは、当該技術において公知であり、説明において着目した2相ディバイダの例示的な一般化である。これは、N方向「逆XOR」として機能し、ライン出口において、信号は、やはり当該技術において公知のN方向XOR回路と組み合わされてもよい。
【0061】
かかる代替例、変形例、及び改良は、本開示の一部であるよう意図されており、発明の精神及び適用範囲内にあるよう意図されている。更に、本発明の利点が示されているが、本明細書中に説明する技術の全ての実施形態が、全ての記載された利点を包含するわけではないことは正しく理解されたい。幾つかの実施形態は、本明細書中で有利であると説明されたいずれの特徴も実装施しない可能性があり、場合によっては、説明した特徴のうちの1つ以上が、更なる実施形態を達成するために実装されてもよい。従って、上記の説明及び図面は、ほんの一例にすぎない。
【0062】
本発明の様々な態様は、単独で、組み合わせて、若しくは、前述において説明された実施形態において特に検討されていない様々な編成で用いられてもよく、従って、前記説明において述べた、又は、図面に示したコンポーネントの詳細及び編成にその用途が限定されることはない。例えば、一実施形態において説明された態様は、他の実施形態において説明された態様と何らかの方法で組み合わされてもよい。
【0063】
また、発明は、実施例が提供された方法として実施されてもよい。方法の一部として実行された動作は、何らかの適切な方法で順序付けられてもよい。従って、実施形態は、例示した実施形態において逐次的な動作として示されてはいるが、幾つかの動作を同時に実行することを含み得る、動作が図示したものとは異なる順序で実行されて構成されてもよい。
【0064】
かかる代替例、変形例、及び改良は、本開示の一部であるよう意図されており、発明の精神及び適用範囲内にあるよう意図されている。更に、本発明の利点を示したが、発明の全ての実施形態がそれぞれ説明した利点を含むとは限らないことを、正しく理解されたい。幾つかの実施形態は、本明細書中で、及び場合によっては利点として説明された何らかの特徴を実装するとは限らない。従って、上記の説明及び図面は、ほんの一例にすぎない。
【0065】
クレーム要素を変更するよう特許請求の範囲において「第1」、「第2」、「第3」、等のような順序を表す用語の使用は、それ自体で、何らかの優先、先行、若しくは、方法の動作が実行される別の又は時間的順序に勝る1つのクレーム要素の順序を暗示するものではなく、単に、クレーム要素を識別するよう、ある特定の名前を有する1つのクレーム要素を、同じ名前を有する(が、順序を表す用語の使用のために)別の要素から区別するための表示として用いられる。
【0066】
また、本明細書中で用いる表現及び用語は説明のためのものであり、制限するものとして見なすべきではない。本明細書中での「含む(including)」、「含む(comprising)」、又は「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関わる(involving)」、及びそれらの変形例の使用は、それ以降に挙げられた項目及びその均等物並びに追加項目を包含することを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】