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特表2022-529537グレノイドインプラントシステムおよびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-22
(54)【発明の名称】グレノイドインプラントシステムおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/40 20060101AFI20220615BHJP
【FI】
A61F2/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563250
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 US2020029932
(87)【国際公開番号】W WO2020219962
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/838,792
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516390026
【氏名又は名称】エンコア メディカル エル ピー
【氏名又は名称原語表記】Encore Medical, L.P.
【住所又は居所原語表記】9800 Metric Blvd Austin Texas 78758 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アクセルソン スチュアート エル
(72)【発明者】
【氏名】リスレイ クリスティーナ マリー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース サマンサ ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】アルツリ フランク ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】カレリウセン エリック リチャード
(72)【発明者】
【氏名】サルカインド オースティン マレク
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA11
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC05
4C097CC08
4C097CC17
(57)【要約】
グレノイドインプラントシステムは、アンカー構造およびグレノイドライナーを含む。アンカー構造は、ベース、壁、およびレッジを含む。壁は、ベースの第1の表面から延在する。レッジは、概して壁の第1の側面の少なくとも一部に沿って延在し、それによってアンダーカットを形成する。壁は、壁の第2の対向する側にスロット形成されている。グレノイドライナーは、アンカー構造に取り外し可能に結合されるように構成される。グレノイドライナーは、キャップ部分、本体、および可撓性フィンガーを有する。本体は、キャップ部分から延在し、アンカー構造のアンダーカットと係合するように構成されたリップを含む。可撓性フィンガーは、キャップ部分から延在する。可撓性フィンガーは、グレノイドライナーをアンカー構造に固定することを補助するためにアンカー構造のスロットと係合するように構成された突出部を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレノイドインプラントシステムであって、
ベース、壁、およびレッジを有するアンカー構造であって、前記壁は、前記ベースの第1の表面から延在し、前記レッジは、概して、前記壁の第1の側面の少なくとも一部に沿って延在し、それによってアンダーカットを形成し、前記壁は、前記壁の第2の対向する側にスロットが形成されている、アンカー構造と、
前記アンカー構造に取り外し可能に結合されるように構成されたグレノイドライナーであって、キャップ部分、本体、および可撓性フィンガーを有し、前記キャップ部分は、第1の表面および第2の対向する表面を有し、前記本体は、前記キャップ部分の前記第2の対向する表面から延在し、前記アンカー構造の前記アンダーカットと係合するように構成されたリップを含み、前記可撓性フィンガーは、前記キャップ部分の前記第2の対向する表面から延在し、前記可撓性フィンガーは、前記グレノイドライナーを前記アンカー構造に固定するのを補助するために前記アンカー構造の前記スロットと係合するように構成された突出部を有する、前記グレノイドライナーと、
を備えるグレノイドインプラントシステム。
【請求項2】
前記アンカー構造の前記ベースが、概して円形、概して楕円形、概して豆形、概して卵形、概して涙滴形、概してフットボール形、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項3】
前記アンカー構造の前記レッジが、前記壁の外面とは対照的に、前記壁の内面から延在する、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項4】
前記アンカー構造が、患者のグレノイドキャビティに固定されるように構成されている、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項5】
前記アンカー構造が、ベースプレートおよびアダプタを含む、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項6】
前記アダプタが、グレノイドライナーアダプタである、請求項5に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項7】
前記アダプタが、グレノスフィアアダプタである、請求項5に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項8】
前記グレノスフィアアダプタに結合されるように構成されたグレノスフィアをさらに備える、請求項7に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項9】
前記壁が、前記ベースの周囲全体の周りに延在する、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項10】
前記グレノイドライナーの前記本体が、前記アンカー構造の前記壁内に封入されるように構成される、請求項9に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項11】
前記アンカー構造の前記壁が、前記ベースの前記第1の表面から概して垂直に延在する、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項12】
前記アンカー構造が、前記ベースの前記第1の表面と反対側の前記ベースの第2の対向する表面から延在する第1のアンカーペグをさらに含む、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項13】
前記アンカー構造が、前記ベースの前記第2の対向する表面から延在する第2のアンカーペグをさらに含み、前記第2のアンカーペグが前記第1のアンカーペグから離間されている、請求項12に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項14】
前記アンカー構造の前記ベースが、前記アンカー構造を患者のグレノイド窩に固定するのを補助するために、中を通る1つ以上のそれぞれのファスナーを受容するための複数の貫通孔をさらに含む、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項15】
前記ベースの前記第2の対向する表面が、前記患者の前記グレノイド窩の対応する概して平面の表面に結合するよう、概して平面である、請求項14に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項16】
前記ベースの前記第2の対向する表面が、前記患者の前記グレノイド窩の対応する概して凹状の表面に結合するよう、概して凸状である、請求項14に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項17】
前記アンカー構造の前記レッジが、前記グレノイドライナーの前記本体内に形成された第1の対応するノッチと係合するように構成された第1の突出部を含む、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項18】
前記第1の対応するノッチが、前記グレノイドライナーの前記キャップ部分と前記グレノイドライナーの前記本体の前記リップとの間に概して位置決めされる、請求項17に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項19】
アンカー構造が、前記グレノイドライナーの前記本体の前記リップに形成された第2の対応するノッチと係合するように構成された第2の突出部をさらに含む、請求項17に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項20】
前記第2の突出部が、概して、前記レッジの前記第1の突出部と前記アンカー構造の前記ベースとの間に位置決めされる、請求項19に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項21】
前記第1の突出部が、前記壁から第1の距離を延在し、前記第2の突出部が、前記壁から第2の距離を延在し、前記第2の距離が、前記第1の距離未満である、請求項19に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項22】
前記第1の突出部が、段差状に前記第2の突出部上に積み重ねられる、請求項19に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項23】
前記グレノイドライナーが、1つのモノリシック部である、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項24】
前記グレノイドライナーの前記キャップ部分の前記第1の表面が、概して凹状である、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【請求項25】
前記可撓性フィンガーの前記突出部が、細長いリブを含む、請求項1に記載のグレノイドインプラントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、肩のインプラント、より具体的には、グレノイド(関節窩)のインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月25日に出願された米国仮特許出願第62/838,792号の優先権および利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
背景技術
肩関節形成術は、急性変形性関節症または肩関節骨折を治療するために使用される。肩関節形成術には、全肩関節形成術(TSA)と逆肩関節形成術(RSA)の2つの一般的な形態がある。TSAは、グレノイド上のポリエチレンカップに嵌合される、金属ボール構成要素を上腕骨頭に使用する。RSAは、上腕骨がカップとなり、グレノイドが頭部となるよう、頭部とカップの間で場所を切り替える。RSAは、TSAの改訂として実施され得、それにより、回旋筋腱板損傷の患者に対してより大きな機能性が可能になる。RSAは、患者の三角筋を利用して肩の動きを制御する。
【0004】
したがって、骨を保存し、かつ改訂のための汎用性のある肩のインプラントの必要性が存在する。本開示は、これらの問題を解決し、他のニーズに対処することを対象としている。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実装形態によれば、グレノイドインプラントシステムは、アンカー構造およびグレノイドライナーを含む。アンカー構造は、ベース、壁、およびレッジを含む。壁は、ベースの第1の表面から延在する。レッジは、概して、壁の第1の側面の少なくとも一部に沿って延在し、それによってアンダーカットを形成する。壁は、壁の第2の対向する側面にスロットが形成されている。グレノイドライナーは、アンカー構造に取り外し可能に結合されるように構成されている。グレノイドライナーは、キャップ部分、本体、および可撓性フィンガーを有する。キャップ部分は、第1の表面および第2の対向する表面を有する。本体は、キャップ部分の第2の対向する表面から延在し、アンカー構造のアンダーカットと係合するように構成されたリップを含む。可撓性フィンガーは、キャップ部分の第2の対向する表面から延在する。可撓性フィンガーは、アンカー構造のスロットと係合して、グレノイドライナーをアンカー構造に固定することを補助するように構成された突出部を有する。
【0006】
本開示の前述および追加の態様および実装形態は、図面を参照してなされる、様々な実施形態および/または実装形態の詳細な説明を考慮すると、当業者に明らかであり、その簡単な説明が次に提供される。
【0007】
本開示の前述および他の利点は、以下の詳細な説明を読む際および図面を参照する際に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のいくつかの実装形態による、グレノイドインプラントシステムの第1の分解斜視図を示す。
図2】本開示のいくつかの実装形態による、図1のグレノイドインプラントシステムの第2の分解斜視図を図示す。
図3】本開示のいくつかの実装形態による、図1のグレノイドインプラントシステムのグレノイドライナーの斜視図を示す。
図4A】本開示のいくつかの実装形態による、図1のグレノイドインプラントシステムを組み立てる第1のステップを示す。
図4B】本開示のいくつかの実装形態による、図1のグレノイドインプラントシステムを組み立てる第1のステップの断面図を示す。
図5A】本開示のいくつかの実装形態による、図1のグレノイドインプラントシステムを組み立てる第2のステップを示す。
図5B】本開示のいくつかの実装形態による、図5Aのグレノイドインプラントシステムを組み立てる第2のステップの断面図を示す。
図6A】本開示のいくつかの実装形態による、図1のグレノイドインプラントシステムを組み立てる第3のステップを示す。
図6B】本開示のいくつかの実装形態による、図6Aのグレノイドインプラントシステムを組み立てる第3のステップの断面図を示す。
図7A】本開示のいくつかの実装形態による、図1の組み立てられたグレノイドインプラントシステムを示す。
図7B】本開示のいくつかの実装形態による、図7Aの組み立てられたグレノイドインプラントシステムの断面図を示す。
図8A】本開示のいくつかの実装形態による、第1の代替のグレノイドインプラントシステムの分解斜視図を示す。
図8B】本開示のいくつかの実装形態による、図8Aの第1の代替のグレノイドインプラントシステムの組み立てられた斜視図を示す。
図9A】本開示のいくつかの実装形態による、第2の代替のグレノイドインプラントシステムの分解斜視図を示す。
図9B】本開示のいくつかの実装形態による、図9Aの第2の代替のグレノイドインプラントシステムの組み立てられた斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、様々な修正および代替形態の影響を受けやすいが、特定の実装形態は、例として図面に示されており、本明細書ではさらに詳細に説明する。しかしながら、本開示は、開示される特定の形態に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲内に含まれるすべての修正、等価物、および代替物を網羅するものである。
【0010】
本開示は、添付の図面を参照して説明され、同様の参照番号は、同様のまたは同等の要素を示すために図面全体にわたって使用される。図面は、縮尺に合わせて描かれておらず、この開示を例示するために提供されているに過ぎない。本開示のいくつかの態様は、例示のための例示的な出願を参照して以下に記載される。
【0011】
概して、図1~2を参照すると、本開示のいくつかの実装形態による、グレノイドインプラントシステム100の分解図が示されている。グレノイドインプラントシステム100は、アンカー構造110およびグレノイドライナー170(例えば、解剖学的グレノイドライナー)を含む。
【0012】
アンカー構造110は、ベース120、壁130、およびレッジ140を含む。壁130は、ベース120の第1の表面122から延在する。例えば、いくつかの実装形態では、アンカー構造110の壁130は、ベース120の第1の表面122から概して垂直に延在する。アンカー構造110のレッジ140は、壁130の外面とは対照的に、壁130の内面から延在する。さらに、レッジ140は、概して壁130の第1の側面132の少なくとも一部に沿って延在し、それによってアンダーカット136を形成する。いくつかの実装形態では、レッジ140からアンダーカット136への遷移は、直線縁、斜面、面取り、またはそれらの任意の組み合わせを含む。壁130は、壁130の第2の対向する側面134に形成されたスロット138を含む。加えて、いくつかの実装形態では、アンカー構造110は、例えば、アンカー構造110の壁130の周りに多孔質コーティングを含むことができる。多孔質コーティングは、グレノイドインプラントシステムを設置および/またはインプラントしている患者の骨との骨結合を補助することができる。
【0013】
グレノイドライナー170は、キャップ部分172、本体180、および複数の可撓性フィンガー190を含む。本体180は、キャップ部分172の第2の対向する表面から延在する。各可撓性フィンガー190はまた、キャップ部分172の第2の対向する表面176から延びる。いくつかの実装形態では、グレノイドライナー170は、1つのモノリシック部(一体形部分)である。いくつかの他の実装形態では、グレノイドライナー170の1つ以上の構成要素は、グレノイドライナー170の残りの構成要素とは別個であり、異なっている。キャップ部分172は、第1の表面174と、第2の対向する表面176とを含む。いくつかの実装形態では、キャップ部分172の第1の表面174は、概して凹状である。例えば、いくつかの実装形態では、キャップ部分172の第1の表面174は、丸みを帯びており、健康なヒトのグレノイド骨の形状に似ていてもよい。いくつかの実装形態では、キャップ部分172の第2の対向する表面176は、概して平面である。
【0014】
グレノイドライナー170は、アンカー構造110に取り外し可能に結合されるように構成される。グレノイドライナー170をアンカー構造110に固定することを補助する構成要素がいくつかある。まず、いくつかの実装形態では、本体180は、アンカー構造110のアンダーカット136と係合するように構成されたリップ186を含む。
【0015】
第2に、いくつかの実装形態では、各可撓性フィンガー190は、アンカー構造110のスロット138と係合して、グレノイドライナー170をアンカー構造110に固定するのを補助するように構成された突出部198を含む。例えば、いくつかの実装形態では、可撓性フィンガー190の突出部198は、細長いリブ、ボール、フック、またはそれらの任意の組み合わせを含む。さらに、いくつかの実装形態では、各可撓性フィンガー190は、突出部198を介してアンカー構造110の対応するスロット138にスナップロックされる。追加的に、または代替的に、いくつかの実装形態では、グレノイドライナー170は、アンカー構造110のスロット138のうちの1つ以上と係合して、グレノイドライナー170をアンカー構造110に固定するのを補助するように構成された複数のスナップファスナーを含む。
【0016】
第3に、いくつかの実装形態では、アンカー構造110のレッジ140は、第1の突出部142を含む。第1の突出部142は、グレノイドライナー170の本体180に形成された第1の対応するノッチ182と係合するように構成されている。図3に最もよく示されるように、第1の対応するノッチ182は、グレノイドライナー170のキャップ部分172と、グレノイドライナー170の本体180のリップ186との間に概して配置される。
【0017】
第4に、いくつかの実装形態では、アンカー構造110は、レッジ140の第1の突出部142と、アンカー構造110のベース120との間に概して位置決めされる、第2の突出部144をさらに含む。第2の突出部144は、グレノイドライナー170の本体180のリップ186に形成された第2の対応するノッチ184と係合するように構成されている(図3に最もよく示されている)。
【0018】
いくつかの実装形態では、第1の突出部142は、壁130から第1の距離を延在する。第2の突出部144は、第1の距離未満である第2の距離を壁130から延在する。追加的に、または代替的に、いくつかの実装形態では、第1の突出部142は、段差状に第2の突出部144上に積み重ねられる。
【0019】
グレノイドインプラントシステム100は、図1~7Bに、グレノイドライナー170をアンカー構造110に固定することを補助する少なくとも4つの構成要素のセット(例えば、アンカー構造110のアンダーカット136と係合するように構成された本体180のリップ186、アンカー構造110の対応するスロット138と係合するように構成された各可撓性フィンガー190の突出部198、グレノイドライナー170の本体180に形成された第1の対応するノッチ182と係合するように構成されたアンカー構造110のレッジ140の突出部142、およびグレノイドライナー170の本体180のリップ186に形成された第2の対応するノッチ184と係合するように構成されたアンカー構造110の第2の突出部144を含む)として示されているが、本開示のグレノイドインプラントシステムは、グレノイドライナー170をアンカー構造110に固定することを補助するより多くのまたはより少ない構成要素のセットを含むことができる。
【0020】
一例として、いくつかの実装形態では、第1の代替のグレノイドインプラントシステムは、アンカー構造110のアンダーカット136と係合するように構成された本体180のリップ186と、アンカー構造110の対応するスロット138と係合するように構成された各可撓性フィンガー190の突出部198とを含むことができる。
【0021】
別の例として、いくつかの実装形態では、第2の代替のグレノイドインプラントシステムは、アンカー構造110の対応するスロット138と係合するように構成された各可撓性フィンガー190の突出部198と、グレノイドライナー170の本体180に形成された第1の対応するノッチ182と係合するように構成されたアンカー構造110のレッジ140の第1の突出部142と、グレノイドライナー170の本体180のリップ186に形成された第2の対応するノッチ184と係合するように構成されたアンカー構造110の第2の突出部144とを含むことができる。
【0022】
さらなる例として、いくつかの実装形態では、第3の代替のグレノイドインプラントシステムは、アンカー構造110のアンダーカット136と係合するように構成された本体180のリップ186と、アンカー構造110の対応するスロット138と係合するように構成された各可撓性フィンガー190の突出部198と、グレノイドライナー170の本体180のリップ186に形成された第2の対応するノッチ184と係合するように構成されたアンカー構造110の第2の突出部144とを含むことができる。
【0023】
さらに別の例として、いくつかの実装形態では、第4の代替のグレノイドインプラントシステムは、アンカー構造110のアンダーカット136と係合するように構成された本体180のリップ186と、アンカー構造110の対応するスロット138と係合するように構成された各可撓性フィンガー190の突出部198と、グレノイドライナー170の本体180に形成された第1の対応するノッチ182と係合するように構成されたアンカー構造110のレッジ140の第1の突出部142とを含むことができる。
【0024】
追加の例として、いくつかの実装形態では、第5の代替のグレノイドインプラントシステムは、壁130の第1の側面132上に、本体180上の嵌合ダブテールロック機構と係合するように構成されたダブテールロック機構と、アンカー構造110の対応するスロット138と係合するように構成された各可撓性フィンガー190の突出部198とを含むことができる。
【0025】
アンカー構造110のベース120が概して卵形であることが図1に示されているが、アンカー構造110のベース120は、任意の適切な形状を有することができる。例えば、いくつかの実装形態では、アンカー構造110のベース120は、概して円形、概して楕円形、概して豆形、概して卵形、概して涙滴形、概してフットボール形、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0026】
さらに図1~2を参照すると、アンカー構造110は、患者のグレノイドキャビティに固定されるように構成される。いくつかの実装形態では、アンカー構造110は、ベース120の第1の表面122と反対のベース120の第2の対向する表面124から(例えば、ベース120を横切って)延在する第1のアンカーペグ150をさらに含む。いくつかのそのような実装形態では、アンカー構造110は、ベース120の第2の対向する表面124から延在する第2のアンカーペグ152をさらに含み得、第2のアンカーペグ152は、第1のアンカーペグ150から離間されている。いくつかの実装形態では、1つのアンカーペグのみが必要であるが、第1のアンカーペグ150および第2のアンカーペグ152の両方を有することは、一旦患者に設置されると、アンカー構造110の全ての望ましくない回転を防止するのに有利である。
【0027】
いくつかの実装形態では、第1のアンカーペグ150および第2のアンカーペグ152は同じであり、患者の骨(例えば、グレノイドキャビティ)に圧入されると屈曲する隆起を有する。いくつかの実装形態では、隆起は、患者の骨へのアンカーペグ150の骨結合を補助する。あるいは、いくつかの実装形態では、第1のアンカーペグ150の代わりに、アンカー構造110は、アンカー構造110を患者の骨(例えば、グレノイドキャビティ)に取り付けるための中心ネジ用の第1のネジ穴を含む。追加的に、または代替的に、いくつかの実装形態では、第2のアンカーペグ152の代わりに、アンカー構造110は、アンカー構造110を患者の骨(例えば、グレノイドキャビティ)に取り付けるための側面ネジ用の第2のネジ穴を含む。
【0028】
さらに、いくつかの実装形態では、アンカー構造110を患者のグレノイド窩に固定するのを補助するために、アンカー構造110のベース120は、中を通る1つ以上のそれぞれのファスナーを受容するための複数の貫通孔160をさらに含む。複数の貫通孔160は、直線、角度付き、またはその両方であり得る。
【0029】
いくつかの実装形態では、ベース120の第2の対向する表面124は、患者のグレノイド窩の対応する概して平面の表面に結合するよう、概して平面である。例えば、いくつかの実装形態では、ベース120の概して平面の第2の対向する表面124は、グレノイド窩の連面上に位置し、より骨を保存することができる。いくつかの他の実装形態では、ベース120の第2の対向する表面124は、患者のグレノイド窩の対応する概して凹状の表面に結合するよう、概して凸状である。
【0030】
本明細書に開示されるように、グレノイドライナー170は、アンカー構造110に取り外し可能に結合されるように構成される。グレノイドライナー170をアンカー構造110に結合するためのステップのいくつかの例は、本開示のいくつかの実装形態に従って、図4A~7Bに示されている。
【0031】
図4A~4Bを参照すると、グレノイドインプラントシステム100を組み立てる第1のステップが、本開示のいくつかの実装形態に従って、その斜視図(図4A)およびその断面図(図4B)に示される。図4A~4Bの同一の参照番号は、図1~3の同一の要素に対して使用される。グレノイドライナー170は、グレノイドライナー170のリップ186が壁130の第1の側面132(図1)に、複数の可撓性フィンガー190が壁130の第2の対向する側面132(図1)に対するよりも、近いように角度を付けられ、および/または傾斜される。さらに、いくつかの実装形態では、グレノイドライナー170の本体180に形成された第1の対応するノッチ182は、アンカー構造110のレッジ140の第1の突出部142と垂直方向に整列されている。追加的に、または代替的に、いくつかの実装形態では、グレノイドライナー170の本体180のリップ186に形成された第2の対応するノッチ184は、アンカー構造110の第2の突出部144と垂直方向に整列されている。
【0032】
図5A~5Bを参照すると、グレノイドインプラントシステム100を組み立てる第2のステップが、本開示のいくつかの実装形態に従って、その斜視図(図5A)およびその断面図(図5B)に示される。図5A~5Bの同一の参照番号は、図1~3の同一の要素に対して使用される。本体180のリップ186は、アンカー構造110のアンダーカット136と係合するように挿入される。さらに、いくつかの実装形態では、アンカー構造110のレッジ140の第1の突出部142は、グレノイドライナー170の本体180に形成された第1の対応するノッチ182と係合するように挿入される。追加的に、または代替的に、いくつかの実装形態では、アンカー構造110の第2の突出部144は、グレノイドライナー170の本体180のリップ186に形成された第2の対応するノッチ184と係合するように挿入される。
【0033】
さらに、いくつかの実装形態では、グレノイドライナー170の複数の可撓性フィンガー190は、アンカー構造110の壁130に対して内方および下方に押され、各可撓性フィンガー190の突出部198が、対応するスロット138の上方にある壁130の一部を越えて移動することができるようになる。
【0034】
図6A~6Bを参照すると、グレノイドインプラントシステム100を組み立てる第3のステップが、本開示のいくつかの実装形態に従って、その斜視図(図6A)およびその断面図(図6B)に示される。図6A~6Bの同一の参照番号は、図1~3の同一の要素に対して使用される。本体180のリップ186は、アンカー構造110のアンダーカット136とほぼ完全に係合される。さらに、いくつかの実装形態では、アンカー構造110のレッジ140の第1の突出部142は、グレノイドライナー170の本体180に形成された第1の対応するノッチ182とほぼ完全に係合される。追加的に、または代替的に、いくつかの実装形態では、アンカー構造110の第2の突出部144は、グレノイドライナー170の本体180のリップ186に形成された第2の対応するノッチ184とほぼ完全に係合される。
【0035】
さらに、各可撓性フィンガー190の突出部198は、対応するスロット138の上にある壁130の部分をほぼ抜けて移動している。いくつかの実装形態では、グレノイドライナー170の複数の可撓性フィンガー190は、さらに下方に(例えば、アンカー構造110のベース120に向かって)押され、それにより、複数の可撓性フィンガー190は、各可撓性フィンガー190の突出部198がアンカー構造110の対応するスロット138と係合することを可能にするよう弾性により戻り得る(例えば、その元の位置に偏向される)。
【0036】
図7A~7Bを参照すると、組み立てられたグレノイドインプラントシステム100が、本開示のいくつかの実装形態に従って、その斜視図(図7A)およびその断面図(図7B)に示される。図7A~7Bの同一の参照番号は、図1~3の同一の要素に対して使用される。本体180のリップ186は、アンカー構造110のアンダーカット136と係合される。さらに、アンカー構造110のレッジ140の第1の突出部142は、グレノイドライナー170の本体180に形成された第1の対応するノッチ182と係合されている。アンカー構造110の第2の突出部144はまた、グレノイドライナー170の本体180のリップ186に形成された第2の対応するノッチ184と係合される。
【0037】
さらに、グレノイドライナー170の複数の可撓性フィンガー190は、アンカー構造110の対応するスロット138にスナップダウンして入れられ、各可撓性フィンガー190の突出部198は、アンカー構造110の対応するスロット138と係合される。さらに、壁130は、(図1に最もよく示されるように)ベース120の周囲全体の周りに延在する。したがって、組み立てられるとき、グレノイドライナー170の本体180は、アンカー構造110の壁130内に封入されるように構成される。
【0038】
ここで図8A~8Bを参照すると、第1の代替のグレノイドインプラントシステム200が、本開示のいくつかの実装形態に従って、その分解図(図8A)およびその組み立て図(図8B)に示される。グレノイドインプラントシステム200は、グレノイドインプラントシステム100と同じ、または類似しており、グレノイドインプラントシステム200のアンカー構造210がベースプレート216およびグレノイドライナーアダプタ212(例えば、解剖学的グレノイドライナーアダプタ)を含むことを除いて、同様の参照番号が同様の要素に使用される。
【0039】
いくつかの実装形態では、グレノイドインプラントシステム200(例えば、ベースプレート216、グレノイドライナーアダプタ212、およびグレノイドライナー270を含む)は、TSA(例えば、解剖学的手順)のために使用され得る。解剖学的手順は、何年もの変性の後に患側四肢のボールおよびソケットの関節を修復および/または置換することを伴い得る。この手術は、上腕骨頭とも呼ばれる肩のボール部分を金属球に置換することを伴う一方で、ソケットの置換にプラスチックまたは他の合成装置が使用される。このタイプの手順は、関節炎およびその他の関連状態を有する患者に最も役立ち、関節の問題および軟骨の欠損を引き起こし得る。
【0040】
図8Aに示されるように、グレノイドインプラントシステム200のグレノイドライナー270は、グレノイドインプラントシステム100のグレノイドライナー170と同一または同様である。グレノイドライナー270は、図4A~7Bを参照して開示および図示されるものと同じまたは同様の方法で、グレノイドライナーアダプタ212に結合されるように構成される。
【0041】
グレノイドライナーアダプタ212は、ベースプレート216に結合されるように構成される。グレノイドライナーアダプタ212は、ベース220から延在する積み重なった突起213および214を含む。積み重なった突起213および214は、第2のアンカーペグ252から離間されている。ベースプレート216は、第1の突起213を受容するように構成された壁(例えば、シェル、周辺リム)215を含む。いくつかの実装形態では、壁215と第1の突起213との間の結合機構は、締まりばめ、ばね嵌合、モールステーパロック、またはそれらの任意の組み合わせを含む。追加的に、または代替的に、いくつかの実装形態では、ベースプレート216は、第2の突起214を受容するように構成されたキャビティ217を含む。キャビティ217と第2の突起214との間の結合機構は、締まりばめ、ばね嵌合、モールステーパロック、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。追加的に、または代替的に、いくつかの実装形態では、グレノイドライナーアダプタ212は、中心ネジを介してベースプレート216に結合されるように構成される。
【0042】
いくつかの実装形態では、ベースプレート216は、キャビティ217の周りに位置する周辺ネジ穴260を含む。周辺ネジ穴260は、平行ネジおよび/または角度付きネジのために使用され得る。さらに、いくつかの実装形態では、ベースプレート216の壁215は、エッジ負荷に対して追加の安定性を提供する。加えて、いくつかの実装形態では、ベースプレート216は、例えば、ベースプレート216の壁215の周りに多孔質コーティングを含むことができる。
【0043】
本明細書に開示されるように、TSAは、グレノイド上のポリエチレンカップに嵌合される金属ボール構成要素を上腕骨頭に使用する。RSAは、上腕骨がカップとなり、グレノイドが頭部となるよう、頭部とカップの間で場所を切り替える。RSAは、TSAの改訂として実施され得、それにより、回旋筋腱板損傷の患者に対してより大きな機能性が可能になる。RSAは、患者の三角筋を利用して肩の動きを制御する。TSAからRSAへの改訂は、グレノイド構成要素と上腕骨構成要素の両方の置換を伴う。グレノイド側では、セメント固定されたグレノイド構成要素は、金属ベースプレートとネジに置換される。上腕骨側では、ステムと頭部が取り外され、新しいRSA構成要素と置換される。変換肩関節形成術は、インプラントの緩み、摩耗、感染、および/または肩関節脱臼またはアライメント不良によるTSAの故障を補正する。
【0044】
したがって、いくつかの実装形態では、本開示は、TSAシステムからRSAシステムへの容易にアクセス可能な変換を可能にする肩関節形成インプラントを提供する。図9A~9Bを参照すると、第2の代替のグレノイドインプラントシステム300は、本開示のいくつかの実装形態に従って、その分解図(図9A)およびその組み立て図(図9B)に示される。グレノイドインプラントシステム300は、グレノイドインプラントシステム200(図8)のアンカー構造210と同一または同様のアンカー構造310を含み、グレノイドインプラントシステム300のアンカー構造310がベースプレート316およびグレノスフィアアダプタ312(例えば、逆グレノスフィアアアダプタ)を含むことを除いて、同様の参照番号が同様の要素に使用される。グレノイドインプラントシステム300は、グレノスフィアアダプタ312に結合されるように構成されたグレノスフィア370(例えば、逆グレノスフィア)をさらに含む。
【0045】
いくつかの実装形態では、グレノイドインプラントシステム300(例えば、ベースプレート316、グレノスフィアアダプタ312、およびグレノスフィア(関節頭)370を含む)は、RSA(例えば、逆手順)に使用され得る。大回旋筋関節裂傷、肩関節炎、および/または肩関節症の患者には、回旋筋が機能しなくなるため、逆総肩関節置換術がより良い選択肢となる。逆総肩関節置換術は、腕を位置決めし、力を与えるために、回転腕の代わりに三角筋に依存する。
【0046】
いくつかの実装形態では、グレノイドインプラントシステム300のベースプレート316は、グレノイドインプラントシステム200のベースプレート216と同じである。したがって、RSAがTSAの改訂として実行されるとき、ベースプレートは患者に留まることができ、グレノイドライナーアダプタ212およびグレノイドライナー270は、グレノスフィアアダプタ312およびグレノスフィア370に置換され得る。
【0047】
グレノスフィア370は、グレノスフィアアダプタ312に結合されるように構成される。次に、グレノスフィアアダプタ312は、ベースプレート316に結合されるように構成される。グレノスフィアアダプタ312は、積み重なった突起313および314を含む。ベースプレート316は、グレノイドインプラントシステム200の壁215と第1の突起213との間の結合機構と同様に、第1の突起313を受容するように構成された壁(例えば、シェル、周辺リム)を含む(図8A~8B)。追加的に、または代替的に、いくつかの実装形態では、ベースプレート316は、グレノイドインプラントシステム200のキャビティ217と第2の突起214との間の結合機構と同様に、第2の突起314を受容するように構成されたキャビティ317を含む(図8A~8B)。追加的に、または代替的に、いくつかの実装形態では、グレノスフィアアダプタ312は、中心ネジを介してベースプレート316に結合されるように構成される。
【0048】
いくつかの実装形態では、本開示のグレノイドインプラントシステムは、TSAシステムからRSAシステムへの容易にアクセス可能な変換を可能にする。例えば、グレノイドインプラントアセンブリは、ベースプレート(例えば、ベースプレート216またはベースプレート316)、グレノイドライナーアダプタ(例えば、グレノイドライナーアダプタ212)、グレノイドライナー(例えば、グレノイドライナー170またはグレノイドライナー270)、グレノスフィアアダプタ(例えば、グレノスフィアアアダプタ312)、およびグレノスフィア(例えば、グレノスフィア370)を含んでもよい。RSAは頭部とカップの場所を切り替えるため、TSAの改訂としてRSAを行うことができる。したがって、例示的なグレノイドインプラントアセンブリを使用して、ベースプレートは、TSAへの改訂中に所定の位置に維持され得る一方、グレノイドライナーアダプタおよびグレノイドライナーは、グレノスフィアアダプタおよびグレノスフィアによって置換され得る。
【0049】
以下の請求項1~25のうちのいずれか1つ以上からの1つ以上の要素もしくは態様もしくはステップ、またはそれらの任意の部分は、他の請求項1~25のうちのいずれか1つ以上からの1つ以上の要素もしくは態様もしくはステップ、またはそれらの任意の部分と組み合わせて、本開示の1つ以上の追加の実装形態および/または請求項を形成することができる。
【0050】
本開示の様々な例が上記されているが、それらは限定ではなく例としてのみ提示されていることを理解されたい。開示された実施例に対する多数の変更は、開示の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に従って行うことができる。したがって、本開示の幅および範囲は、上記の実施例のいずれによっても制限されるべきではない。むしろ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその等価物に従って定義されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
【国際調査報告】