(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(54)【発明の名称】円筒形物体であって、その上に装飾するための円筒形物体を製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20220616BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20220616BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20220616BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20220616BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20220616BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20220616BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20220616BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20220616BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20220616BHJP
C11D 7/24 20060101ALI20220616BHJP
C11D 7/50 20060101ALI20220616BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20220616BHJP
B05C 9/10 20060101ALN20220616BHJP
【FI】
B05C1/02 102
B05D1/28
B05D7/00 K
B32B1/08 A
B05C9/14
B05C13/02
C09D201/00
C09D5/00 D
C11D7/26
C11D7/24
C11D7/50
B65D25/20 Q
B05C9/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559321
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 GB2019051172
(87)【国際公開番号】W WO2020217039
(87)【国際公開日】2020-10-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518031790
【氏名又は名称】トーンジェット リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベントレー,フィリップ ガレス
(72)【発明者】
【氏名】インガム,イアン フィリップ バトラー
(72)【発明者】
【氏名】ホールズ,ジョナサン ジェームズ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズルウッド,ショーン クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】サーソン,ジョナサン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ,ジェフリー マーク
【テーマコード(参考)】
3E062
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【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
円筒形物体であって、その上に印刷技術を使用して装飾するための、ネッキング加工缶(100)など、保護表面コーティングを有する円筒形物体を製造するための装置(200)及び方法。この方法に従い、プライマーは、表面コーティング上に塗布され、及びプライマーは、次いで、乾燥されて、物体を装飾するための表面を形成する。装置は、前記表面コーティングにプライマーを塗布するための下塗ステーション(260)及びプライマーを乾燥させるための乾燥ステーション(270)を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形物体であって、その上に印刷技術を使用して装飾するための、保護表面コーティングを有する円筒形物体を製造するための装置であって、
前記表面コーティング上にプライマーを塗布する下塗ステーション;及び
前記プライマーを乾燥させるための乾燥ステーション
を含み;前記プライマーは、前記物体を装飾するための表面を形成する、装置。
【請求項2】
前記下塗ステーションは、トランスファーローラーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記下塗ステーションは、グラビア印刷シリンダー及びトランスファーローラーを含むオフセットグラビア印刷設備を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記トランスファーローラーは、前記物体の表面と、前記グラビア印刷シリンダーとの接触を維持している間に接触されるように選択的に動作可能である、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記下塗ステーションは、前記物体が前記トランスファーローラーと接触している間、前記物体の軸方向回転を駆動するために前記物体と係合するように配置された駆動機構をさらに含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記トランスファーローラーの速度とは独立した速度で前記物体を回転させるように配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記乾燥ステーションは、熱の適用によって前記プライマーを乾燥させるように配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記乾燥ステーションは、前記プライマーによって形成された前記表面上に加熱空気を向けるように配置された少なくとも1つのエアブレードを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記乾燥ステーションは、複数の前記物体の前記表面上に加熱空気を同時に向けるように配置された複数のエアブレードを含む、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記乾燥ステーションは、前記物体がエアブレードからの加熱空気によって乾燥されている間、前記物体の軸方向回転を駆動するために前記物体と係合するように配置された駆動機構をさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記物体の保護表面から汚染物質を除去するためのクリーニングステーションをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記クリーニングステーションは、クリーニング材を含み、前記保持された物体は、前記表面をクリーニングするために前記クリーニング材に対して回転され得る、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記クリーニング材は、実質的に平面状の基材上に提供される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記基材は、圧縮性材料を含み、例えば、前記材料は、前記物体に対して圧縮性である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記基材は、好ましくは、40kg/m
3~100kg/m
3、より好ましくは60kg/m
3~80kg/m
3の密度を有する独立気泡フォームを含む、請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記クリーニングステーションは、前記クリーニング材をクリーニング液で湿潤させるための手段をさらに含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記クリーニング材の一部のみが湿潤され、それにより、前記物体は、湿潤されていない前記クリーニング材の一部と接触される前に、前記クリーニング材の湿潤部分と接触され得る、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記クリーニングステーションは、前記物体の軸方向回転を前記クリーニングステーションに位置付けられている間に駆動するために前記物体と係合するように配置された駆動機構をさらに含み、好ましくは、前記物体は、その移動方向と反対の方向において軸方向に回転される、請求項11~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
それぞれのステーションにおいて前記物体を位置付けるように配置された少なくとも1つの物体保持デバイスをさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記保持デバイスは、前記ステーション間で物体を逐次移動させるように配置される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
ステーション間の前記物体の移動は、自動化される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記保持デバイスは、前記物体の対向する端部と係合することにより、前記円筒形物体を保持するように配置され、前記保持デバイスは、前記物体が、保持されている間にその長軸の周りで回転されることを可能にするようにさらに配置される、請求項19~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記保持デバイスは、前記保持デバイスによって保持された物体の中空内部に空気が供給され、それによって前記物体を加圧することを可能にするようにさらに配置される、請求項19~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
物体が所定の位置にあるとき、前記物体を解放又は保持するために前記保持デバイスを作動させるように配置された少なくとも1つのアクチュエータをさらに含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
複数の前記保持デバイスをさらに含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
トラックをさらに含み、前記少なくとも1つの保持デバイスは、前記保持された物体をステーション間で移動させるために前記トラックに沿って移動するように配置される、請求項19~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
駆動ベルト設備を介して前記トラックに沿って移動するように配置された少なくとも1つのキャリッジをさらに含み、少なくとも1つの保持デバイスは、前記少なくとも1つのキャリッジに取り付けられる、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記キャリッジは、第1期間中に前記トラックに沿って所定の距離dを移動し、次いで第2期間にわたって静止したままであるように制御される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記第1期間及び前記第2期間の合計は、1秒以下の期間に等しい、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
円筒形物体であって、その上に印刷技術を使用して装飾するための、保護表面コーティングを有する円筒形物体を製造する方法であって、
前記表面コーティング上にプライマーを塗布すること;及び
前記プライマーを乾燥させること
を含み;前記プライマーは、前記物体を装飾するための表面を形成する、方法。
【請求項31】
前記コーティング上に前記プライマーを塗布することは、トランスファーローラーによって行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記コーティング上に前記プライマーを塗布することは、グラビア印刷シリンダー及びトランスファーローラーを伴うオフセットグラビア印刷プロセスによって行われる、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記プライマーを塗布することは、前記物体が回転されているとき、前記トランスファーローラーを前記物体の表面と選択的に接触させることを含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記物体は、前記プライマーを塗布するとき、前記トランスファーローラーの速度とは独立した速度で回転される、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記プライマーを塗布している間及び任意選択的に前記プライマーを塗布する前に前記物体の内部を加圧することをさらに含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記物体の前記表面の上に加熱空気を通すことにより、前記プライマーを乾燥させることをさらに含み、好ましくは、前記空気は、少なくとも30℃の温度を有する、請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記プライマーを塗布する前に、好ましくはクリーニング液を使用して、前記コーティングをクリーニングして表面汚染物質を除去することをさらに含む、請求項30~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記コーティングをクリーニングすることは、クリーニング材に対して前記物体をこすりつけることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記クリーニング材の少なくとも一部は、クリーニング液で湿潤されている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記物体は、クリーニング液で湿潤されているクリーニング材の第1部分に対してこすりつけられ、且つ次いで、クリーニング液で湿潤されていないクリーニング材の第2部分に対してこすりつけられる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1及び第2部分は、クリーニング材の単一の部片の異なる部分である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記コーティングをクリーニングすることは、前記物体をこすりつけるために前記クリーニング材に対して前記物体を回転させることと、好ましくは前記物体の移動方向と反対の方向に前記物体を回転させることとを含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記物体は、前記クリーニング材と接触している間、前記クリーニング材に対して横方向に静止した位置に維持される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記クリーニング材は、その円周、好ましくはその円周の20%までのアーチ形部分の上で前記物体と接触するように配置される、請求項38~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記クリーニング液は、溶媒又は洗剤溶液である、請求項39~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記クリーニング液は、イソプロピルアルコール又は脂肪族炭化水素を含む、請求項39~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記プライマーを塗布する前に、前記物体が前記クリーニング液と接触した後、前記コーティングの表面を乾燥させることをさらに含む、請求項39~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
自動化される、請求項30~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
円筒形物体であって、その上に保護表面コーティングを有する円筒形物体を装飾する方法であって、
請求項30~48のいずれか一項に記載の方法を使用して、装飾するための前記物体を製造すること;及び
印刷技術を使用して前記物体を装飾すること
を含む方法。
【請求項50】
式(I)
【化1】
(式中、Aは、非極性基であり;
Bは、極性基であり;及び
n及びmは、2~1,000,000から独立して選択される整数である)
を含む両親媒性コポリマーを含むプライマー組成物。
【請求項51】
Aは、式(A-I)
【化2】
(式中、R
1は、
i.水素、
ii.C
1~C
40アルキル、好ましくはC
12~C
25アルキル;
iii.C
2~C
40アルケニル、好ましくはC
12~C
25アルケニル;
iv.C
2~C
40アルキニル、好ましくはC
12~C
25アルキニル、
v.C
6~C
40アリール
からなる群から選択され;
前記アルキル、アルケニル、アルキニル及びアリールは、ハロで任意選択的に置換されており;
最も好ましくは、R
1は、C
12~C
25アルキルである)
によって定義される、請求項50に記載のプライマー組成物。
【請求項52】
Bは、式(B-I)
【化3】
(式中、R
2及びR
3は、H、ハロ、-R
7-OR
8、-R
7=O、-R
7-CO
2R
8、-R
7-NR
8R
8、-R
7-NC(O)R
8、-R
7-C(O)NR
8R
8からなる群から独立して選択され、R
2及びR
3の少なくとも1つは、Hではないか、又は
R
2及びR
3は、それらが結合されている炭素と一緒になって、C
1~C
6アルキル、-OH、-OR
8、=O、CO
2R
8、-NR
8R
8、-NC(O)R
8、-C(O)NR
8R
8から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された4~7員環式又は複素環式基を形成し、好ましくは、R
2及びR
3は、それらが結合されている炭素と一緒になって、任意選択的に置換された4~7員複素環式基、より好ましくは5員複素環式基を形成し;
R
7は、直接結合、C
1~C
6アルキレン、C
2~C
6アルケニレン及びC
2~C
6アルキニレンから選択され、
R
8は、H及びC
1~C
6アルキルから独立して選択され、前記C
1~C
6アルキルは、-OH、-CO
2H;エポキシの1つ又は複数で任意選択的に置換されており、及び
R
11及びR
12は、H及びC
1~C
6アルキルから独立して選択される)
によって定義される、請求項50又は51に記載のプライマー組成物。
【請求項53】
Bは、式(Y-II)
【化4】
(式中、Xは、-O-、-NR
8-及び-S-から選択され、好ましくは、Xは、-O-であり;及び
R
8は、H及びC
1~C
6アルキルから選択される)
によって定義される、請求項50~52のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項54】
前記コポリマーは、式(II)のものであり、好ましくは、前記コポリマーは、式(III)のもの
【化5】
である、請求項50~53のいずれか一項に記載のプライマー組成物。
【請求項55】
印刷のための物体を製造するためのプライマー組成物の使用であって、前記プライマー組成物は、式(I)
【化6】
(式中、Aは、非極性基であり;
Bは、極性基であり;及び
n及びmは、2~1,000,000から独立して選択される整数である)
を含む両親媒性コポリマーを含む、使用。
【請求項56】
プライマーを塗布することは、請求項50~54のいずれか一項に記載のプライマーを塗布することを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の装置又は方法。
【請求項57】
保護表面コーティングを、前記保護表面コーティングの少なくとも一部の上に提供されたプライマーの層と共に含む円筒形物体。
【請求項58】
前記プライマーの層は、請求項50~54のいずれか一項に記載のプライマーを含む、請求項57に記載の物体。
【請求項59】
印刷技術を使用して前記プライマーの層上に適用された表面装飾をさらに含む、請求項57又は58に記載の物体。
【請求項60】
前記印刷技術は、インクジェット印刷技術、好ましくは静電インクジェット印刷技術である、請求項1~59のいずれか一項に記載の装置、方法又は物体。
【請求項61】
前記円筒形物体は、缶、好ましくは2ピース缶、より好ましくはネッキング加工2ピース缶である、請求項1~60のいずれか一項に記載の装置、方法又は物体。
【請求項62】
前記物体は、金属材料、好ましくはアルミニウム又はスチールから形成される、請求項1~61のいずれか一項に記載の装置、方法又は物体。
【請求項63】
前記保護表面コーティングは、ワックス粒子を含む、請求項1~62のいずれか一項に記載の装置、方法又は物体。
【請求項64】
請求項1~29のいずれか一項に記載の装置内で使用するための、円筒形物体を位置付けるための物体保持デバイスであって、
前記物体の第1端部と係合するように配置された第1係合部材;
前記物体の第2端部と係合するように配置された第2係合部材;及び
離間され、且つ移動可能に対向する構成で前記第1及び第2係合部材を維持するように配置された保持アセンブリ
を含み、前記第1及び第2係合部材は、その間で物体を受け取り且つ保持するように互いに対して移動可能である、物体保持デバイス。
【請求項65】
前記第1及び第2係合部材は、前記第1又は第2係合部材の一方の回転が、保持された物体が前記第1又は第2係合部材の他方と共に回転することを引き起こすように回転可能である、請求項64に記載の保持デバイス。
【請求項66】
前記保持アセンブリは、延長可能な伸縮式構成を有し、それにより、前記保持アセンブリは、前記第1及び第2係合部材間の空間を変化させるために、前記第1及び第2係合部材の相対移動を提供することができる、請求項64又は65に記載のデバイス。
【請求項67】
前記保持アセンブリは、前記第1係合部材に向かって前記第2係合部材を移動させるように付勢される、請求項64~66のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項68】
前記保持アセンブリは、前記保持アセンブリが、前記第1係合部材から離れて前記第2係合部材を移動させるときに圧縮されるように配置されるコイルスプリングを含む、請求項67に記載のデバイス。
【請求項69】
前記第1係合部材と流体連通している流体導管をさらに含み、流体は、前記物体の中空内部を加圧するために、前記第1係合部材を介して、保持された物体中に前記流体導管を通して導入され得る、請求項64~68のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形物体又は容器を装飾する技術に関する。さらに具体的には、本発明は、円筒形物体であって、その上にインクジェット印刷技術などの印刷技術を使用して装飾するための、保護表面コーティングを有する缶などの円筒形物体を製造するための装置及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
円筒形物体又は容器は、多くの場合、それを前処理若しくは形成するために及び/又は包装及び輸送中の円筒形物体に保護を提供するために、保護表面コーティングを提供される。対象の円筒形物体の特定の例は、飲料を入れるために使用される缶などである。かかる缶は、通常、1ピースの材料、通常、アルミニウム、それより少ないが、通常、スチールから多くの形成工程において形成される底部及び側壁を有する円筒形の胴部を含み得る。最初に形成されると、かかる缶は、続いて、ネッキング加工されて、意図する内容物で缶を充填する前に開口端の直径が減らされる。充填後、缶胴部の任意選択的にネッキング加工された開口端に円形蓋を巻き締めて、密閉容器が提供される。このタイプの缶は、通常、2ピース缶と呼ばれる。
【0003】
本開示において、特にネッキング加工された缶に言及するが、当然のことながら、本明細書に開示される態様は、ネッキング加工されていない缶にも等しく適用され得ることが理解されるであろう。
【0004】
円筒形缶胴部をネッキング加工するために、通常、ネッキング加工装置において一連のダイフォーミング工程にかけて、それぞれの工程で缶の開口端の直径が約1mm低減される。これは、テーパードダイ内に軸方向に缶胴部を押すことによって達成され、それにより缶の胴部の開口端に半径方向に圧縮力がかけられ、缶がダイ内に押し込まれるために内部に向けて推し進められる。半径を低減する連続したダイを含む一連のかかる工程にわたり、必要な直径にネックが形成される。最終作業において、ネック周囲で回転して縁を形成する、プロファイルローラーを含むフランジング器具の作用により、缶のオープンネックに縁が形成される。
【0005】
大部分の2ピース缶は、有利には、軽量及び可鍛性であるアルミニウムなどの金属材料から形成される。しかしながら、アルミニウムの表面は、容易に結合し、他の表面に対してこすった場合に容易に擦り減る傾向がある。したがって、ネッキング加工プロセス中に潤滑が必要とされ、通常、2つの手段によって提供される。第1に、缶を強靭なオーバープリントワニス(OPV)でコーティングして、缶表面を保護する「保護表面コーティング」が提供され、そのOPVは、ネッキング加工プロセスにおいて潤滑性及びその後の輸送中の保護を付与するワックスを含有し;第2に、ネッキング加工プロセスにおいてオイルが滑沢剤として使用される。
【0006】
缶をネッキング加工するための機械類は、重要であり、したがって缶製造プラントにおける製造ラインの一部として通常位置付けられる。従来、ネッキング加工プロセス前に缶胴部の外部表面に装飾が適用され、装飾後及びネッキング前にOPVを塗布及び硬化する中間工程を使用して、装飾された缶表面の前述の潤滑性及び保護が提供される。したがって、装飾は、従来、缶製造工場で行うことに制約もある。これにより、消費者に向けたパッケージングのパーソナライゼーション及びオーダーメイドのレベルの向上を望む大規模飲料ブランド所有者によって一層望まれるように、選択される缶デザインを少量で製造することは、難しく、不経済となる。さらに、飲料を比較的小さいバッチで製造する小規模製造業者からのクラフト飲料の世界的な動向により、製品保護及び寿命、輸送能力並びにリサイクル可能性の点からボトルと比べて利点を付与する、缶の短期間の経済的装飾の需要が高まっている。
【0007】
したがって、飲料製造元で充填する段階又はその近くで飲料パッケージングのエコシステムにおいて缶を後に装飾する商業的な機会がある。製造及び蓋閉めと共に、充填前と充填後との両方で缶を装飾するかかる機会が存在する。
【0008】
これには、課題がある。ネッキング加工缶の表面は、OPVの潤滑性及び表面エネルギーが低いため、印刷を受け入れられず、ネッキング加工オイルが残留するため、プリントを受け入れず、さらに輸送で汚れ及びちりを集める傾向があり、後に印刷プロセスを妨害し得る。
【0009】
これらの理由から、後期のオーダーメイドの大部分の既知の例において、グラフィックスは、通常、接着ラベル、ペーパー又はフィルムを介して缶胴部の外部表面に適用され、その場合、受け入れた状態のままのネッキング加工缶の外部表面は、前記形態のグラフィックスの適用に適した表面である。しかしながら、缶の直接印刷と比較して、これは、大幅にコストが増える。
【0010】
したがって、缶に直接インクを印刷することが望ましい。この目的のために、国際公開第2018/083164号によって教示されているシステムなど、特定のシステムが存在する。しかしながら、ネッキング加工缶の外部表面、特に胴部の外部表面が、その上に装飾される前に適切に製造された場合、印刷の品質及び信頼度が大幅に向上することが判明した。
【発明の概要】
【0011】
円筒形物体であって、その上に印刷技術を使用して装飾するための、保護表面コーティングを有する円筒形物体を製造するための装置が本明細書に記載され、この装置、前記表面コーティング上にプライマーを塗布するための下塗ステーション;及び前記プライマーを乾燥させるための乾燥ステーションを含み;プライマーは、物体を装飾するための表面を形成する。
【0012】
下塗ステーションは、トランスファーローラーを含み得る。下塗ステーションは、グラビア印刷シリンダー及びトランスファーローラーなどのオフセットグラビア印刷設備をさらに含み得る。トランスファーローラーは、物体の表面と、グラビア印刷シリンダーとの接触を維持している間に選択的に接触されるように動作可能であり得る。下塗ステーションは、物体がトランスファーローラーと接触している間、物体の軸方向回転を駆動するために物体と係合するように配置された駆動機構をさらに含み得る。駆動機構は、トランスファーローラーの速度とは独立した速度で物体を回転させるように配置され得る。
【0013】
好ましくは、乾燥ステーションは、熱の適用によってプライマーを乾燥させるように配置される。乾燥ステーションは、プライマーによって形成された表面上に加熱空気を向けるように配置された少なくとも1つのエアブレードを含み得る。乾燥ステーションは、複数の前記物体の前記表面上に加熱空気を同時に向けるように配置された複数のエアブレードをさらに含み得る。乾燥ステーションは、物体がエアブレードからの加熱空気によって乾燥されている間、物体の軸方向回転を駆動するために物体と係合するように配置された駆動機構をさらに含み得る。
【0014】
この装置は、物体の保護表面から汚染物質を除去するためのクリーニングステーションをさらに含み得る。
【0015】
好ましくは、クリーニングステーションは、クリーニング材を含み得、保持された物体は、表面をクリーニングするためにクリーニング材に対して移動(好ましくは、回転)され得る。クリーニング材は、実質的に平面状の基材上に提供される。その基材は、圧縮可能な材料を含み得、例えば、前記材料は、物体に対して圧縮性である(接触した場合、物体ではなく、その材料が圧縮するように)。基材は、好ましくは、40kg/m3~100kg/m3、より好ましくは60kg/m3~80kg/m3の密度を有する独立気泡フォームを含み得る。
【0016】
クリーニングステーションは、クリーニング材をクリーニング液で湿潤させるための手段をさらに含み得る。好ましくは、クリーニング材の一部のみが湿潤され、それにより、物体は、湿潤されていないクリーニング材の一部と接触される前に、クリーニング材の湿潤部分と接触され得る。
【0017】
クリーニングステーションは、物体の軸方向回転をクリーニングステーションに位置付けられている間に駆動するために物体と係合するように配置された駆動機構をさらに含み得、好ましくは、物体は、その移動方向と反対の方向において軸方向に回転される。
【0018】
装置は、それぞれのステーションにおいて前記物体を位置付けるように配置された少なくとも1つの(例えば、物体)保持デバイスをさらに含み得る。保持デバイスは、装置のステーション間で物体を逐次移動させるように配置され得る。ステーション間の物体の移動は、自動化され得る。本明細書において使用される「自動化」という用語は、好ましくは、最小限の人間の補助で行われるプロセス又は手順を意味する。
【0019】
好ましくは、保持デバイスは、前記物体の対向する端部と係合することにより、円筒形物体を保持するように配置され、前記保持デバイスは、前記物体が、保持されている間にその長軸の周りで回転されることを可能にするようにさらに配置される。保持デバイスは、保持デバイスによって保持された物体の中空内部に空気が供給され、それによって前記物体を加圧することを可能にするようにさらに配置され得る。
【0020】
その装置は、前記物体が所定の位置にあるとき、物体を解放又は保持するために保持デバイスを作動させるように配置された少なくとも1つのアクチュエータをさらに含み得る。装置は、複数の前記保持デバイスを(さらに)含み得る。
【0021】
その装置は、トラック(システム)をさらに含み得、前記少なくとも1つの保持デバイスは、保持された物体をステーション間で移動させるためにトラック(システム)に沿って移動するように配置される。好ましくは、少なくとも1つのキャリッジは、駆動ベルト配置を介してトラックに沿って移動するように配置され(例えば、装置におけるステーション間)、少なくとも1つの保持デバイスは、前記少なくとも1つのキャリッジに取り付けられる。任意選択的に、2つ以上の保持デバイスが単一のキャリッジに取り付けられ得、トラックの周囲に複数のキャリッジが配置され得る。キャリッジは、第1期間中にトラックに沿って所定の距離dを移動し、次いで第2期間にわたって静止したままであるように制御され得る。第1期間及び第2期間の合計は、1秒以下の期間に等しい。
【0022】
かかるタイミング制御は、適切な印刷技術を使用して物体を装飾するのに必要な時間に対応する期間中、例えば装置によって製造される物体が生産操業の一部として装飾されるように直ちに供給される場合、各物体を製造するように装置を構成するのに有用であり得る。
【0023】
円筒形物体であって、その上に印刷技術を使用して装飾するための、保護表面コーティングを有する円筒形物体を製造する方法も本明細書に記載され、その方法は、表面コーティング上にプライマーを塗布すること;及びプライマーを乾燥させることを含み;プライマーは、物体を装飾するための表面を形成する。
【0024】
コーティング上にプライマーを塗布することは、トランスファーローラーによって行われ得る。コーティング上にプライマーを塗布することは、グラビア印刷シリンダー及びトランスファーローラーを伴うオフセットグラビア印刷プロセスによってさらに行われ得る。好ましくは、プライマーを塗布することは、物体が回転されているとき、トランスファーローラーを物体の表面と選択的に接触させることを含み得る。好ましくは、物体は、プライマーを塗布するとき、トランスファーローラーの速度とは独立した速度で回転され、例えば、物体は、トランスファーローラーの周速度の2倍で回転され得る。
【0025】
この方法は、プライマーを塗布している間及び任意選択的にプライマーを塗布する前に物体の内部を加圧することをさらに含み得る。
【0026】
この方法は、物体の表面の上に加熱空気を通すことにより、プライマーを乾燥させることをさらに含み得、好ましくは、その空気は、少なくとも30℃の温度を有する。
【0027】
この方法は、プライマーを塗布する前に、好ましくはクリーニング液を使用して、コーティングをクリーニングして表面汚染物質を除去することをさらに含み得る。好ましくは、コーティングをクリーニングすることは、クリーニング材に対して物体をこすりつけることを含み得る。クリーニング材の少なくとも一部は、クリーニング液で湿潤され得る。好ましくは、物体は、クリーニング液で湿潤されているクリーニング材の第1部分に対してこすりつけられ、且つ次いで、クリーニング液で湿潤されていないクリーニング材の第2部分に対してこすりつけられる。好ましくは、第1及び第2部分は、クリーニング材(例えば、生地、好ましくは不織布及び/又は糸くずの出ない生地)の単一の部片の異なる部分である。
【0028】
コーティングをクリーニングすることは、物体をこすりつけるためにクリーニング材に対して物体を回転させることと、好ましくは物体の移動方向(例えば、上述の装置におけるステーション間の物体の移動方向)と反対の方向に物体を回転させることとを含み得る。好ましくは、物体は、クリーニング材と接触している間、クリーニング材に対して横方向に静止した位置に維持される。クリーニング材は、その円周、好ましくはその円周の20%までのアーチ形部分の上で物体と接触するように配置され得る。
【0029】
クリーニング液は、溶媒又は洗剤溶液であり得る。好ましくは、クリーニング液は、イソプロピルアルコール又は脂肪族炭化水素を含む。
【0030】
この方法は、プライマーを塗布する前に、物体がクリーニング液と接触した後、コーティングの表面を乾燥させることをさらに含み得る。
【0031】
好ましくは、この方法は、自動化される。
【0032】
円筒形物体であって、その上に保護表面コーティングを有する円筒形物体を装飾する方法であって、上述の方法を使用して、装飾するための物体を製造すること;及び印刷技術を使用して物体を装飾することを含む方法も記載される。
【0033】
式(I)
【化1】
(式中、Aは、非極性基であり;
Bは、極性基であり;及び
n及びmは、2~1,000,000から独立して選択される整数であり;
Aは、式(A-I)
【化2】
によって定義され得、
ここで、R
1は、
i.水素、
ii.C
1~C
40アルキル、好ましくはC
12~C
25アルキル;
iii.C
2~C
40アルケニル、好ましくはC
12~C
25アルケニル;
iv.C
2~C
40アルキニル、好ましくはC
12~C
25アルキニル、
v.C
6~C
40アリール
からなる群から選択され、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル及びアリールは、ハロで任意選択的に置換されており;
最も好ましくは、R
1は、C
12~C
25アルキルである)
を含む両親媒性コポリマーを含むプライマー組成物も本明細書に記載される。
【0034】
Bは、式(B-I)
【化3】
(式中、R
2及びR
3は、H、ハロ、-R
7-OR
8、-R
7=O、-R
7-CO
2R
8、-R
7-NR
8R
8、-R
7-NC(O)R
8、-R
7-C(O)NR
8R
8からなる群から独立して選択され、R
2及びR
3の少なくとも1つは、Hではないか、又は
R
2及びR
3は、それらが結合されている炭素と一緒になって、C
1~C
6アルキル、-OH、-OR
8、=O、CO
2R
8、-NR
8R
8、-NC(O)R
8、-C(O)NR
8R
8から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された4~7員環式又は複素環式基を形成し、好ましくは、R
2及びR
3は、それらが結合されている炭素と一緒になって、任意選択的に置換された4~7員複素環式基、より好ましくは5員複素環式基を形成し;
R
7は、直接結合、C
1~C
6アルキレン、C
2~C
6アルケニレン及びC
2~C
6アルキニレンから選択され、
R
8は、H及びC
1~C
6アルキルから独立して選択され、前記C
1~C
6アルキルは、-OH、-CO
2H;エポキシの1つ又は複数で任意選択的に置換されており、及び
R
11及びR
12は、H及びC
1~C
6アルキルから独立して選択される)
によって定義され得る。
【0035】
Bは、式(Y-II)
【化4】
(式中、Xは、-O-、-NR
8-及び-S-から選択され、好ましくは、Xは、-O-であり;及び
R
8は、H及びC
1~C
6アルキルから選択される)
によって定義され得る。
【0036】
好ましくは、コポリマーは、式(II)のものであり、より好ましくは、コポリマーは、式(III)のもの
【化5】
である。
【0037】
印刷のための物体を製造するためのプライマー組成物の使用も本明細書に記載され、そのプライマー組成物は、式(I)
【化6】
(式中、Aは、非極性基であり;
Bは、極性基であり;及び
n及びmは、2~1,000,000から独立して選択される整数である)
を含む両親媒性コポリマーを含む。
【0038】
本明細書に記載の装置又は方法において、プライマーを塗布することは、好ましくは、上述のプライマーを塗布することを含む。
【0039】
保護表面コーティングを、保護表面コーティングの少なくとも一部の上に提供されたプライマーの層と共に含む円筒形物体も本明細書に記載される。好ましくは、プライマーの層は、上述の及び本明細書に記載のプライマーを含む。
【0040】
その物体は、印刷技術を使用して前記プライマーの層上に適用された表面装飾をさらに含み得る。
【0041】
本明細書に記載の装置、方法又は物体において、印刷技術は、好ましくは、インクジェット印刷技術及びより好ましくは静電インクジェット印刷技術である。
【0042】
本明細書に記載の装置、方法又は物体において、円筒形物体は、好ましくは、缶、より好ましくは2ピース缶及びさらにより好ましくはネッキング加工された2ピース缶である。
【0043】
本明細書に記載の装置、方法又は物体において、物体は、好ましくは、金属材料、好ましくはアルミニウム又はスチールから形成される。
【0044】
本明細書に記載の装置、方法又は物体において、保護表面コーティングは、ワックス粒子を含み得る。
【0045】
上述の装置において使用される円筒形物体を位置付けるための物体保持デバイスも本明細書に記載され、この物体保持デバイスは、物体の第1端部と係合するように配置された第1係合部材;物体の第2端部と係合するように配置された第2係合部材;及び離間され、且つ移動可能に対向する構成で第1及び第2係合部材を維持するように配置された保持アセンブリを含み、その第1及び第2係合部材は、その間で物体を受け取り且つ保持するように互いに対して移動可能である。
【0046】
好ましくは、第1及び第2係合部材は、前記第1又は第2係合部材の一方の回転が、保持された物体が前記第1又は第2係合部材の他方と共に回転することを引き起こすように回転可能である。
【0047】
保持アセンブリは、延長可能な伸縮式構成を有し得、それにより、保持アセンブリは、第1及び第2係合部材間の空間を変化させるために、第1及び第2係合部材の相対移動を提供することができる。保持アセンブリは、第1係合部材に向かって第2係合部材を移動させるように付勢され得る。保持アセンブリは、保持アセンブリが、第1係合部材から離れて第2係合部材を移動させるときに圧縮されるように配置されるコイルスプリングをさらに含み得る。
【0048】
保持デバイスは、第1係合部材と流体連通している流体導管をさらに含み得、流体は、物体の中空内部を加圧するために、第1係合部材を介して、保持された物体中に流体導管を通して導入され得る。
【0049】
当業者に認識されるように、先行技術を上回る多くの利点が、本明細書に開示の本発明の概念によって提供される。
【0050】
本明細書に記載のいずれかの装置の特徴が方法の特徴として提供され得、逆の場合も同様である。さらに、本発明は、単なる一例として本明細書で記載されており、本発明の範囲内で詳細における変更形態がなされ得ることが理解されるであろう。さらに、本明細書に記載及び定義される様々な特徴の特定の組み合わせは、独立して企図、及び/又は供給、及び/又は使用され得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0051】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して単なる一例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本明細書において言及されるタイプのネッキング加工缶を示す。
【
図1A】蓋が取り付けられたネッキング加工缶の上部を示す。
【
図2】装飾するための缶を製造するための概略的な装置を示し、その装置は、缶が加工中に通り得る複数の加工ステーションを有する。
【
図3】
図2の装置で使用される保持デバイスを示す。
【
図5】保持デバイスで使用されるネック係合部材を示す。
【
図6】缶保持デバイスで使用される底部係合部材を示す。
【
図7】装置のクリーニングステーションの配置の概略図を示す。
【
図8】装置の下塗ステーションの配置の概略図を示す。
【
図8A】缶にプライマーを塗布する位置での下塗ステーションの配置を示す。
【
図9A】塗布されたプライマーを乾燥させるための配置の図を示す。
【
図9B】塗布されたプライマーを乾燥させるための配置の図を示す。
【
図9C】塗布されたプライマーを乾燥させるための配置の図を示す。
【
図10A】缶の側壁上の異なる層の順序及びビルドアップを示す、缶表面の断面を示す図である。
【
図10B】缶の側壁上の異なる層の順序及びビルドアップを示す、缶表面の断面を示す図である。
【
図10C】缶の側壁上の異なる層の順序及びビルドアップを示す、缶表面の断面を示す図である。
【
図10D】缶の側壁上の異なる層の順序及びビルドアップを示す、缶表面の断面を示す図である。
【
図10E】缶の側壁上の異なる層の順序及びビルドアップを示す、缶表面の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
明確にするために、すべての特徴がすべての図に明示されているわけではないが、明示されていない特徴は、当然のことながら、それらが明示されている対応する図に対して相互参照され得る。
【0054】
円筒形物体
図1は、2ピースネッキング加工缶100の形状をとる円筒形物体の例を示し、その実施形態は、本明細書において本発明を説明するために使用されるであろう。しかしながら、理解されるように、本発明は、ネッキング加工缶に限定されない。
【0055】
缶100は、充填及び密閉される前にそれが有する形状で示される。缶100は、実質的に円筒形であり、回転軸107に関して連続的に対称である。缶100は、缶100の長さの大部分を形成する中央部分108に沿って実質的に一定の内半径rを有する円筒形胴101を含む。
【0056】
第1に、缶100の開口(又は「ネック」)端部、胴101の半径は、中央部分108よりも小さい内半径tを有する狭いネック部分102に先細りになる。ネック部分102は、ネック部分102から実質的に半径方向に延びるネック縁103で終わり、実質的に環状形を有する。ネック縁103は、缶100の胴108の軸107に対して垂直な面にある。充填後に缶100を密封するために、ネック縁103は、かみ合い蓋部分で巻き締められる(
図1Aに示す)。その密閉していない状態において、ネック部分102及びネック縁103は、開口部106を缶100の封入体積に定める。
【0057】
第2に、缶100の閉(又は「底部」)端部、胴101は、中央部分108の内半径rよりも小さい半径bを有する突き出た底部リング104に先細りになる。この実施形態において、半径bは、ネック部分102の内半径tよりも小さい。底部リング104は、缶100の第2端部を閉じるドーム状凹面部分105を取り囲む。底部リング104は、缶100のドーム状凹面部分105によってその内円周で定められ、且つ缶100の胴101の第2端部の先細り部分によってその外円周で定められる円形溝を形成する。
【0058】
かかる缶100は、よく知られており、したがって、上記の説明は、単に文脈のために提供される。かかる缶100は、一般に、33cl及び50cl、12oz及び16ozなどの多くの標準サイズで製造される。これらの標準サイズの多くは、実質的に同じ内半径rを有し、したがって胴101の中央部分108の高さが主に異なる。
【0059】
図1Aは、充填され、且つ缶100のネック縁103に巻き締めされた蓋109で密閉された後にとる形状のネッキング加工缶100の上部の例を示す。突出したリム110は、蓋109がネック縁103に巻き締められるところで形成される。
【0060】
保護表面コーティング
ネッキング前に、ネッキング加工プロセス及びその後の輸送を通して、薄い(例えば、アルミニウム)壁を保護及び潤滑するために、硬質及び潤滑性オーバープリントワニス(OPV)で缶をコーティングする。従来、このOPVは、缶100の印刷表面装飾を保護する役割も果たし、それは、従来、ネッキング加工前に塗布され、そうでなければネッキング加工プロセスにおいて損傷を被るであろう。
【0061】
図10Aは、従来の方法で装飾された缶表面の断面を示し、缶100の胴101を形成する壁1001は、最初に、印刷装飾層1002を受け、続いてOPV層1003をコーティングし、保護表面コーティングが形成される。OPV層1003は、胴101の外表面、一般にネック部分102も覆うが、缶100の底部分(例えば、底部リング104)を覆わない。OPV層1003の硬さは、熱架橋性となるようにOPVを配合することによって達成され、その結果、通常、30mN/m未満の低表面エネルギーの硬質不透過性表面が得られる。OPV層1003の滑らかさは、カルナウバろう、ポリエチレンワックス、PTFEワックス又は同様の材料など、ろう様材料の高レベルでの使用によるものである。
【0062】
これらのワックスは、担体液に不溶性であるため、分散粒子としてOPV配合物に含有される。コーティング及び熱硬化されたOPV層1003において、これらのワックス粒子は、塗り厚全体に分散され、多くの場合にコーティング/空気境界面において蓄積する。得られた表面が接触した際、これらの埋め込みワックス粒子は、OPV層1003の表面全体に塗りつけられ、表面の摩擦係数が低減され、都合よく摩耗が限定される。しかしながら、表面缶全体のワックスの塗りつけは、OPV表面エネルギーを著しく低減する。したがって、OPVは、それが覆う表面(缶100の)を保護するように設計されるが、現在望まれている、後期段階印刷に対してそれが示す表面は、表面エネルギーが低く、変わりやすく、後に缶の表面を装飾するために塗布する液体(インクなど)の湿潤に影響を及ぼすことから、非常に厄介である。
【0063】
ネッキング加工プロセスをさらに容易にするために、缶100は、ネッキング加工機械を通る滑らかな通過を確保するために、ネッキング加工プロセス前又はプロセス中、ネック部分102に塗布された食品等級潤滑オイル又はワックスを有する。かかる潤滑剤の一例は、Paraliq P150(Kluber Lubricationから)である。OPV層1003における固有の潤滑と対照的に、外部に適用される潤滑は、検出が難しい汚れから肉眼で見える液滴までの範囲の様々な量でネッキング加工缶100上に存在し得る。
【0064】
ちり又はごみからほとんど保護されず、缶100が開放された荷台で保管及び輸送されることは、通常のことである。したがって、ちり及びごみの粒子及び繊維が缶100の表面に集まることは、通常のことであり、ネッキングオイルの表面残留物は、特に、この追加的な汚れを集める傾向がある。かかる汚れは、その後の(例えば、インクジェット)印刷プロセスの品質及び信頼度に悪影響を及ぼす。
【0065】
図10Bは、上述のネッキング加工缶100の表面層を示し、それは、後期段階の装飾のために缶製造元から製造され、輸送され、受け取られる缶に一般的である。したがって、缶100の胴101を形成する壁1001は、白色顔料1004の層で任意選択的にコーティングされており(最終的な印刷缶100に対して金属的外観が望まれる場合には省かれ得る)、その上に透明なOPVが塗布及び硬化されている。OPV層1003の表面には、OPVからのワックス1005の汚れ、ネッキング加工オイル1006の残留物、ちり及びごみ1007の繊維及び粒子がある。
【0066】
製造装置
本発明に従い、ネッキング加工缶100上の保護表面コーティングにより生じる課題を克服するために及びその上に装飾される缶を製造するために、缶100は、一連の作業又はプロセスにかけられ得る。好ましい実施形態において、作業は、
図2に概略的に示され、以下により詳細に説明される、一連の「ステーション」を有する装置200において実施される。当然のことながら、本明細書に記載の装置200は、その上に装飾される(例えば、印刷技術を使用して)保護表面コーティングを有する缶100を製造するための好ましい装置の単に例示的な実施形態であることが理解されるであろう。
【0067】
図2に平面図で示す装置200の例示的な実施形態において、缶100は、缶100がその胴101の長手方向にフラットに位置するように、横断方向の第1「装填」ステーション210に到達する。缶100は、例えば、重力のためにそれに沿って転がるシュート220を介してこの第1ステーション210に送達され得る。保持デバイス230は、缶100と係合し、最初に缶装填ステーション210から第2「クリーニング」ステーション240へと装置200の周囲にそれを輸送する。ここで、缶100をクリーニングして、缶100に提供された保護表面コーティング(例えば、OPV)からオイル残留物、ちり及び粉塵などの表面汚染物を除去する。この実施形態において、クリーニング液がクリーニング作業中に使用されるが、缶クリーニング作業の他の実施形態では、クリーニング液を使用しなくてもよい。しかしながら、ここでクリーニング液が使用される場合、缶100は、続いて、第3乾燥ステーション250に輸送され、そこで残留液が缶100の表面から除去される。
図10Cは、プロセスにおけるこの段階での缶表面を示し、
図10Bに示す表面汚染物質(1005、1006、1007)は、クリーニング作業の結果、実質的に除去される。
【0068】
クリーニングした後、缶100は、第4「コーティング」(又は「下塗」)ステーション260に運ばれ、そこで、コーティング(例えば、プライマー組成物)は、以下でより詳細に記載されるように、缶100の表面に塗布される。コーティングステーション260において、例えばコーティングローラーに対してプレスした場合、変形を防ぐために空の缶100が加圧され得る。このために、缶加圧器265が提供され得、コーティングステーション260において缶100内に圧縮空気を供給するために配置される。
【0069】
コーティングが塗布された後、缶100は、トンネル設備を含む「乾燥」ステーション270を通して運ばれ、そこで温風を供給し、缶100上に塗布されたコーティングを乾燥させる。最後に、第5未装填ステーション280において保持デバイス230から缶100を開放し、アウトフィードコンベヤー290を介して処理装置の外に運ぶ。
図10Dは、処理(又は製造)プロセス最後の缶100の(新たな)表面を示し、その外部表面は、例えば、印刷装飾を受ける準備ができた乾燥コーティング層1008を含む。
【0070】
この例示的な実施形態において、(缶)保持デバイス230は、ステーション間の動きを制御し、且つ装置200内でのその移動経路を定めるトラックシステム295上に位置する。保持デバイス230は、トラック295とベアリングを介して係合するキャリッジ296上に保持され、トラック295の周囲で同期してキャリッジ296を駆動するように構成されるベルトによって互いに連結される。そのベルトは、単一のサーボモーター(図示せず)によって運転され得る。
【0071】
図2において、便宜上、保持デバイス230の対を保持する各キャリッジ296が示されるが、単一のキャリッジ296は、代わりに、単一の保持デバイス230を保持し得る。装置200の好ましい実施形態において、「対の」配置を使用して、16個のキャリッジ296上に取り付けられた32個の保持デバイス230、保持デバイス2個/キャリッジ296が提供される(
図2において、明確にするためにキャリッジ296のサブセットのみを示す)。それぞれのキャリッジ296に取り付けられた保持デバイス230の対は、距離「d」で離間される。16個のキャリッジ296は、「2d」の距離においてベルト上で均等に離間される。したがって、トラックシステム295の少なくとも直線部分では、32個の保持デバイス230は、距離「d」で均等に離間される。作業において、キャリッジ296は、距離「d」の個々の移動で移動するように制御される。
【0072】
この実施例において、装置200は、1つの缶/秒の処理量を有するように制御され、装置200によって実施されるプロセス工程は、この処理量と適合するように開発された。したがって、キャリッジ296は、第1期間中にトラックに沿って距離「d」を移動し、且つ次いで第2期間にわたって静止したままであるように制御され、第1及び第2期間の合計は、1秒(以下)に等しい。第2期間は、0.5秒を超え、好ましくは0.7秒を超える。しかしながら、本発明の範囲は、これらの示すタイミングに限定されないことが理解されるであろう。
【0073】
上記の様々な態様及びステーションがより詳細に説明される。
図2の好ましい装置200は、上述の複数の「ステーション」を含むが、印刷技術を使用してその上に装飾される缶100を製造する必須の作業は、コーティング(又は下塗)ステーション260及び乾燥ステーション270で行われる。上記及び以下により詳細に説明される、ステーションで缶100を輸送する配置は、単に好ましい実施形態であることがさらに理解されるであろう。
【0074】
缶の保持及び操作
缶100を製造するために、次いで装置200の周囲にそれが輸送され、種々のステーションにおいて種々の作業中に転がり得るように、それは、最初に回収及び保持されなければならない。
【0075】
図3及び4の両方は、缶100に適した保持デバイス230の例を示す。保持デバイス230は、缶100のネック端部102及び底部端部104のそれぞれと係合し、したがってその間に保持されるように配置される第1(「ネック」)及び第2(「底部」)係合部材301、302を含む。係合部材301、302は、エンドブロック304によって互いに強固に連結される、2つの平行なアーム303a、303bを含む伸縮式保持アセンブリ320を介して離間され、底部係合部材302が回転可能にそれに取り付けられる。アーム303a、303bは、それぞれ2つの軸受ハウジング305a、305bを貫通し、それを通してアーム303a、303bがスライドする。軸受ハウジング305a、305bは、底部プレートに強固に取り付けられ(
図3に図示せず)、2つの側面支持体306a、306b及びブレース307によっても互いに強固に結び付けられる。ネック係合部材301は、ネック係合部材301及びシャフト308が互いに回転可能となるように、軸受ハウジング305a、305bそれぞれにおいてベアリング309a、309bを貫通してシャフト308に取り付けられる。したがって、係合部材301、302は、移動可能に対向し、回転可能である。
【0076】
保持アセンブリ320は、係合部材301、302の相対運動を提供することができる(すなわちその間の空間を変えることができる)ように伸縮可能である。保持アセンブリ320は、ネック係合部材301に対して底部係合部材302が移動するように付勢される。保持アセンブリは、好ましくは、保持アセンブリ320が、例えば、底部係合部材302をネック係合部材301から離れて移動させるときに圧縮されるコイルスプリング310を介してばねで付勢される。
【0077】
係合部材301、302間に配置される缶100は、互いに対して係合部材301、302を移動させるように作用する付勢力によって安全に所定の位置に保持されるであろう。それにより、缶100の長さは、係合部材301、302の係合位置を定め、係合部材301、302は、缶100のネック102及び底部104のそれぞれに対して付勢される。解放位置において、係合部材301、302は、離れて移動し、それによって缶100が解放される。
【0078】
アクチュエータ(図示せず)は、缶装填ステーション210に提供され、例えば、アクチュエータは、保持アセンブリ320と係合し、解放位置にそれを移動させるように配置された可動ピストンを含み、それが缶100を受け入れ得る。缶100が正確に位置付けされた後、次いで、アクチュエータは、アクチュエータの制御により、保持アセンブリ320が、それに対して付勢される係合位置に戻ることを可能にする。
図3の例において、アクチュエータは、解放位置内に保持アセンブリ320を移動させるために、上部アーム303aにブロック312を介して取り付けられたカム従動節311と係合可能である。
【0079】
保持デバイス230は、アーム303a上のブロック312の位置を予め選択することにより、胴の高さ108の特定の範囲の缶に対して事前に構成可能である。その位置は、アーム303aにおける少なくとも1つの穴のうちの1つを有する位置決めピン315の係合によって定められる。
図3及び4に示す構成において、アーム303aにおける2つの各ピン位置穴によって定められるアーム303a上のブロック312の可能な2つの位置がある。第1に、示すように係合したピン315は、33cl及び12oz缶サイズを収容し、第2に、第2穴316においてピン315が係合するように伸長された係合アセンブリ320は、50cl及び16oz缶サイズを収容する。
【0080】
第1係合部材301は、その間に伸びるシャフト308を介して摩擦ホイール313に回転可能に取り付けられる。摩擦ホイール313は、装置の各ステーションで駆動ベルトと係合するように配置され、それにより摩擦ホイール313に回転駆動が生じる。摩擦ホイール313の回転は、シャフト308を介して第1係合部材301の回転を駆動し、したがって保持された缶100の回転を駆動する。第2係合部材302は、缶100とそれが回転することができるように自由に回転する。
【0081】
シャフト308は、中空であり、そのため、第1係合部材301への流体導管が提供される。空の開放ネッキング加工缶について構成されるこの実施形態において、
図5に示す第1係合部材301は、両方とも第1係合部材301の円錐形(又は面取り)部分501と係合することによって位置し、
図4に示す係合位置における場合、缶100のネッキング加工端部102が密閉される。シャフト308は、シャフト308を介して第1係合部材301の貫通孔308bを通して、係合した缶100内に空気が吹き込まれるように(例えば、それを加圧するために)、第1係合部材301における開口部308a内に受け入れられるように配置される。シャフト308は、その反対の端部にカップリング314を有し、以下に記載されるように、保持された缶100にシャフト308を介して空気を供給するために、エアラインが回転可能にそれに連結される。
【0082】
充填された蓋付き缶を処理するために構成される代替の実施形態において、第1係合部材301は、蓋が缶のネック上にまき締められたところに形成される突出縁110を介して、缶のネッキング加工端部を位置付けるように適応される。この場合、缶を膨張させる手段は、使用されない。
【0083】
図6に示す第2係合部材302は、缶100の突出底部リング104の直径に対応する窪みリング601(例えば、環状の溝)を有するディスクを含み、
図4に示す係合位置にそれと共に位置する。
【0084】
缶のクリーニング
ネッキング加工缶100の表面上の装飾(例えば、印刷又はコーティング)のばらつきのない許容可能な品質を達成するために、ネッキング加工オイル及び他の汚染は、最初に、上述のその形成中、缶100上に提供された保護表面コーティング(例えば、OPV)から実質的に除去しなければならない。また、輸送中に缶が互いにこすれ合った場合、OPVコーティング層上のワックス粒子が接触領域でOPV層の表面にわたってこすりつけられる可能性があり、このワックスろう様残留物も、その後、塗布される液体(例えば、缶の装飾に使用されるインク)のために実質的に低減して、缶100の表面を均一に湿潤しなければならない。
【0085】
したがって、ネッキング加工缶100を装飾することができる前に、最初に保護表面コーティングをクリーニングして表面汚染物質を除去することが望ましい。この缶は、クリーニング液で好ましくは湿潤されるクリーニング材を使用して達成することができる。適切なクリーニング材は、布、好ましくは「糸くずの出ない」布であり、例えばその例が以降に示される。
【0086】
クリーニング液
上記のように、クリーニング液は、ネッキング加工缶100の表面上にばらつきのない許容可能な品質の装飾(例えば、印刷又はコーティング)を得るのに適したレベルまで、缶100の表面から非極性化合物を除去すべきである。缶100の表面からの十分なオイル及びワックスの除去に加えて、クリーニング液は、缶100の表面にあり得る環境汚染物質(すなわち粉塵、繊維、アルミニウム粉末)を除去するために布と共に使用され得る。
【0087】
適切なクリーニング液は、水性洗剤溶液若しくは有機溶媒又は種々のその混合物であり得る。適切なクリーニング液の例としては、限定されないが、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、脂肪族液体及び芳香族液体が挙げられる。好ましくは、クリーニング液は、有機液体である。好ましくは、それは、脂肪族炭化水素(Isopar Cなど)又はイソプロピルアルコールである。ネッキング加工缶100の表面を完全に湿潤するのに十分に低い表面張力を有するため、かかる溶媒が好ましく、これにより、コーティング又は印刷(すなわち装飾)品質に悪影響を及ぼし得る、乾燥マークを形成する可能性が低減される。他の揮発性又は蒸発性溶媒(例えば、エタノール、ブタノール、2-ブトキシエタノール、ジアセトンアルコール及び揮発油、ベンゼン、トルエンなどの他の炭化水素溶媒)を使用することができる。他の実施形態において、非蒸発性又は低揮発性溶媒がクリーニング液として使用され得る。
【0088】
代替の実施形態において、適切なクリーニング効果が水性洗剤溶液によって達成され得る。クリーニング効果を高めるために、2-ブトキシエタノールなどの溶媒も使用され得る。
【0089】
クリーニングされる保護表面コーティングから得られるか、又は使用されるクリーニング液中に存在する、クリーニング液に存在するいかなる非蒸発性成分も、缶表面にこれらの非蒸発性物質が再付着し、その後、提供されるコーティング又は印刷液の妨げとなる可能性があるために望ましくない。したがって、かかるクリーニング液の液滴を除去するために(追加的な)クリーニング布が使用され得る。
【0090】
クリーニング装置
この実施形態において、上述のように、缶100が保持デバイス230によって保持されると、それは、
図7に概略的に示される「クリーニング」ステーション240に移動し、上述のクリーニングプロセスが実施される。クリーニングステーション240は、クリーニング材710がその上に提供された基材700を含み、保持された缶100は、それに対して保持され、回転される。
【0091】
クリーニング材710は、布地であり、好ましくは不織布である。理想的には、布地は、糸くずの出ない布である。適切な布地の例は、Baldwin Technology Companyから入手可能なDryPac(商標)布である。好ましい実施形態において、クリーニング液720(上述のような)は、クリーニング材710に適用される。缶100と湿潤クリーニング材710との間の相対運動(例えば、クリーニング材710に対する缶100の回転)により、缶100の保護表面コーティングから潤滑剤、ワックス及びちりの残留物から除去される。
【0092】
ここで、基材700は、実質的にフラットな(すなわち平らな)表面を含む。表面は、クリーニング液720と適合しなければならず、好ましくは、缶100と接触した際、缶胴部108の平行面部分の全面にわたってむらのない接触領域を確実にするために、わずかに圧縮するのに十分に軟らかい圧縮性材料(すなわちその材料が缶100に対して圧縮性である)を含む。缶100による表面の圧縮により、缶100に対してクリーニング材710を押す復元力が得られ、有利には、缶100と接触するクリーニング材710の「巻き付け」長さも増加する。これは、その円周、好ましくはその円周の20%までのアーチ形部分の上の缶100の表面とクリーニング材710との接触を提供する。
【0093】
基材700の表面は、好ましくは、40~100kg/m3、より好ましくは60~80kg/m3の密度を有するPVC/ニトリルゴムの独立気泡フォームを含み得る。缶100の回転は、後方回転であり、すなわちクリーニング材710と接触する缶100の表面の一部が保持デバイス230の別々の移動と同一方向に移動するような回転である。これは、クリーニングステーション240から出る際、缶100の表面にそれが当たらないように、缶100からクリーニング材710に移行されたごみを缶100の後ろに残す。缶100の回転は、クリーニングステーション240での保持デバイス230の摩擦ホイール313と駆動ベルトとの係合によって提供され、缶100が入るときからクリーニングステーション240を出るときまで、駆動ベルトは、摩擦ホイール313との係合を維持する。
【0094】
クリーニング液720は、実質的にクリーニング材710の幅である基材700のギャップにわたって延びる溶媒導管730を介してクリーニング材710の下側に投与される。導管730は、クリーニング材710上にクリーニング液720を向けるように配置される、その表面に沿って提供された1つ又は複数の穴740を有する。過度に湿った状態ではなく、クリーニング材710を湿った状態に維持するために、一定の間隔をあけて制御された量のクリーニング液720をクリーニング材710上に噴霧する。導管730は、タンク(図示せず)から投与ポンプによって供給される。
【0095】
クリーニング材710の一部がその間に広がるように、2つのローラー750、751上にクリーニング材710が配置され得、次いで缶をクリーニングするための基材700上に提供される。ローラー750、751は、クリーニング材710の一部を変化させるように制御することができ、すなわち、第1ローラー750は、回転する際、それがクリーニング材710の使用部分を集めるように配置され、第2ローラー751は、第1ローラー750が回転すると、第2ローラー751の回転が駆動され、基材700上のクリーニング材710の新たな部分が解放されるように自由に回転する。理想的には、ローラー750、751は、便宜上、基材700の反対側に位置付けられる。
【0096】
缶の乾燥
好ましい構成において、クリーニング材710は、缶100の移動と反対の方向に基材700上で移動し、導管730は、基材700に沿ってある程度まで位置付けられる。この結果、缶が遭遇するクリーニング材710の第1部分711は、クリーニング液720で湿っており、缶が遭遇するクリーニング材710の第2部分712は、実質的に乾燥している。したがって、クリーニングプロセスは、缶100をクリーニングする第1の「湿潤こすりつけ」、続いて缶100を乾燥させる第2の「乾燥こすりつけ」に分けられる。試験において、「乾燥こすりつけ」が「湿潤こすりつけ」の時間のおよそ2倍であった場合、最良の結果が得られた。クリーニング材710の乾燥部分712に対する缶100の回転により、缶100のクリーニングされた表面が乾燥する。
【0097】
さらに又は代わりに、次いで缶100をエアブレード(図示せず)上の位置に移動させ、それにより、それが回転している状態のままで缶100上に空気を吹き込むことにより、缶100が確実に乾燥することをさらに促進する。
【0098】
総称して(又は個々に)、この配置は、第3「缶乾燥」ステーション250と呼ばれ得る。
【0099】
缶の下塗
缶100をクリーニングし、乾燥させたら、次いでプライマー組成物を缶100の胴101に塗布する。この実施形態において、保持デバイス230は、そうするために第4「下塗」ステーション260に缶を運ぶ。缶100の胴101にプライマーを塗布する適切な方法は、「トランスファーローラー」設備による方法である。この実施形態における下塗ステーション260は、チャンバ付きドクターブレードシステムを有するオフセットグラビア印刷コーティング設備を含み;このコーティング技術は、当技術分野で公知であり、以下に概要を示す。
【0100】
図8を参照すると、下塗ステーション260は、グラビア印刷シリンダー801及びトランスファーローラー802を含む。トランスファーローラー802は、保持缶100にプライマーを塗布するように配置される。トランスファーローラー802は、それと接触するグラビア印刷シリンダー801からプライマーを受けるように配置される。
【0101】
グラビア印刷シリンダー801は、シリンダー801の円周にわたって均一に分配されている、指定の幅及び深さのセルの刻印パターンを含む剛性表面を有する。刻印領域は、被覆される缶100の胴の所望の幅に対応するシリンダー801の中心幅部分を占め、そのいずれかの側において、シリンダー801の表面は、滑らかである。
【0102】
グラビア印刷シリンダー801は、グラビア印刷シリンダー801に隣接して位置付けられるチャンバ803に含有されるプライマー液を受け、そのチャンバは、グラビア印刷シリンダー801の表面によって一方の側で閉じられる。グラビア印刷シリンダー801が回転すると、チャンバ803内のプライマーでコーティングされる状態になり、その表面に形成されたセルが充填される。シリンダー表面に保持されたプライマー液の大部分がセル内に含有されるように、余分なプライマーは、グラビア印刷シリンダー801の軸方向に延びる計量ドクターブレード804によってグラビア印刷シリンダー801の表面から除去される。したがって、セル寸法及び分布によってグラビア印刷シリンダー801の容量が定められ、グラビア印刷シリンダー801によりトランスファーローラー802に送達されるプライマー液の量が決定される。好ましくは、グラビア印刷シリンダー801の容量は、10~50cc/m2、より好ましくは35cc/m2である。
【0103】
ポンプ(図示せず)によって遠隔タンク(図示せず)から供給管805を介してチャンバ803にプライマーが供給され、それによりタンクからチャンバ803へのプライマーの循環が提供され、戻し管806を介してタンクに戻される。チャンバ803は、上端において計量ドクターブレード804により、下端において封じ込めドクターブレード807及びチャンバ803の各側端での発泡体封止により、回転グラビア印刷シリンダー801に対して封止される。発泡体封止808は、シリンダー801の滑らかな表面に対して中央刻印部分のいずれかの側を有する。
【0104】
トランスファーローラー802は、その間の一定圧力の調整を可能にする可動取付け台上にグラビア印刷シリンダー801に対して平行な軸方向に取り付けられる。グラビア印刷シリンダー801及びトランスファーローラー802は、逆方向に回転し、その接触ラインで同じ表面速度で回転するように構成される。シリンダー801及びトランスファーローラー802は、好都合には、第1駆動プーリー809を介した単一の駆動モーター(図示せず)と、グラビア印刷シリンダー801及びトランスファーローラー802のシャフトにそれぞれ取り付けられた第2プーリー811及び第3プーリー812と係合する単一歯付きベルト810との両方から駆動される。
【0105】
このコーティング配置は、トランスファーローラー802がグラビア印刷シリンダー801(
図8)とのみ接触する第1位置と、トランスファーローラー802がグラビア印刷シリンダー801との接触を維持するが、保持缶100(
図8A)とも接触する第2位置との間で移動するように制御可能である。この例において、第1位置及び第2位置間での移動は、およそ支点815で底部取付けプレート814に対して装置をピボットするアクチュエータ813によって駆動され、矢印820、821によって示されるコーティング装置の揺動運動を生じる。したがって、使用において、保持缶100は、第1位置から、トランスファーローラー802の表面が保持デバイス230によってここで位置付けられる缶100と接触する第2位置に、好ましくは次いでアクチュエータ813によって移動されるトランスファーローラーの上の第1位置においてトランスファーローラー802に対して所定の位置で保持される。
【0106】
第2位置にある場合の保持缶100とトランスファーローラー802との接触により、トランスファーローラー802から缶100の表面にプライマーが移される。缶100は、
図8Aに示すようにトランスファーローラー802に対して反対方向に回転し、その結果、缶100の表面及びトランスファーローラー802は、その接触ラインで同一方向に移動する。保持缶100の回転は、保持デバイス230の摩擦ホイール313に係合するように配置される、「下塗」ステーション260に位置する他の駆動を介して提供される。
【0107】
保持缶100の角度回転は、トランスファーローラー802とは独立して制御される。通常、それは、トランスファーローラー802の少なくとも2倍、より好ましくは3倍速い表面速度で回転する(すなわちトランスファーローラー802に対する缶100の「延伸速度」が少なくとも2、好ましくは3である)。トランスファーローラー802と缶100との接触ラインで得られるずれは、缶100の表面周辺のプライマーを伸ばし、それにより保持缶100へのプライマーの塗布が開始し、停止する箇所で示される固有の「接合」ラインを避けることを促進する。
【0108】
トランスファーローラー802の表面層816は、その全長にわたって実質的に均一な圧力で缶100と接触するように適合する。ネッキング加工缶100の側壁108は、通常、側壁108が面取りネック102及び底部104領域を満たす「高い」箇所を有し、コンプライアンスなく、トランスファーローラー802は、不均一なコーティングが生じる缶100の表面全体の他の箇所よりもこれらの「高い」箇所にかなり高い圧力をかける。トランスファーローラー802の表面層816は、好ましくは、好ましくは硬度20~40ショア、より好ましくは約30ショアを有するニトリルゴムである。
【0109】
プライマーは、その後に意図する印刷技術を使用して、装飾(例えば、印刷)される缶100の部分である、缶100の胴108の平行面部分108にのみ塗布される。
【0110】
この実施形態において、空の開放ネッキング加工缶について構成されるこの実施形態において、プライマーが塗布されると同時に、保持缶100は、中空シャフト308を介して缶100内に供給される圧縮空気によって加圧され、缶100に正内圧が提供される。これは、トランスファーローラー802の圧力からのひずみに対して缶100の胴108を強化することを促進し、その完全幅にわたってトランスファーローラー802と缶100との均一な接触を維持して、缶100の表面上にプライマーの均一コーティングが提供される。したがって、保持缶100が保持デバイス230によって所定の位置に移動すると、回転可能なエアーカプラー(上記)が定位置に進み、エアーカップリング314を介してシャフト308と連結されて、保持缶100内に好ましくは、0.3~0.7バール、より好ましくは0.5バールの加圧空気が供給される。充填された蓋付き缶を処理するために構成される代替の実施形態において、缶100を加圧する工程は、冗長であり、省かれる。
【0111】
プライマー乾燥
プライマーを缶100に塗布したら、装飾の準備ができる前に乾燥させる必要がある。例えば、プライマーコーティング装置間の運搬装置及びその後の印刷装置に装置200から缶100が解放された後、存在するコーティングへのダメージを防ぐために、缶100を解放する前にプライマーコーティングを乾燥させて固体層1003にすることも重要である。
【0112】
乾燥は、好ましくは、缶100の表面に向けられる加熱空気を使用して行われ、プライマーコーティングの液体成分の蒸発が促進される。この缶は、一連の空気「ブレード」を含む乾燥トンネルを保持缶100が通過することによって達成され得、缶100が回転する際、そのブレードが「下塗」缶100の表面に加熱空気を向ける。試験において、30℃を超える温度において速度10~18m/sで少なくとも5秒間、好ましくは少なくとも8秒間のプライマーの有効な乾燥が、缶100の表面に向けられた空気から生じた。好ましくは、空気温度は、30~80℃である。
【0113】
この実施形態において、温風トンネルが第5プライマー「乾燥」ステーション270に提供され、保持缶100が缶保持デバイス230によって再びそこに移動される。保持缶100は、別の駆動ベルトによって回転し、それが回転すると一連の個別の動きで温風トンネルを通して移動し、それぞれの動きの間でそれぞれのエアブレードと位置合わせされる。
【0114】
図9A、9B及び9Cは、適切な乾燥トンネル900の3つの異なる図を示す。
図9Bに示すように、トンネル900の断面は、缶100で空気を方向付けるスロット付き床905と、乾燥される缶100がその間を通過する、トンネル100から空気を抜き出す有孔シーリング907とを有するC形状である。トンネル900の下側の空気入口901は、トンネル900の長さの大部分を越えて延びるプレナムチャンバ902と連絡する。バッフルプレート903は、第2チャンバ904からプレナムチャンバ902を分離し、加熱空気が第2チャンバ904内にそれを通して通過する穴の配列を含む。第2チャンバ904の屋根は、トンネル900の床905も形成する。トンネル床905は、トンネル900の長さに対して垂直であり、且つトンネル900を通して通過する缶100の軸に対して平行な方向に複数のスロット906を含む。スロット906は、トラック上の保持デバイス230の間隔に等しい距離「d」で離間され、装置において使用される最も大きいサイズの缶100の胴と実質的に同じ長さである。この実施例において、それぞれ長さ175mm×幅3mmの寸法のスロット906が9つある。
【0115】
空気入口901は、パイプを介して送風機及びヒーターに連結され、その結果、使用時に加熱空気が入口901に吹き込まれ、スロット906から出て、したがって空気「ブレード」が生じる。適切な送風機は、5.2m3/分までの空気流を送達するように指定される、Airtec SystemsからのRT-2200/3である。適切なヒーターは、Farnham Custom ProductsからのFT600 Flow Torch、60kW空気ヒーターである。プレナムチャンバ902、バッフルプレート903及び第2チャンバ904の組み合わせは、実質的に、乾燥トンネルに沿って且つ乾燥トンネル全体にわたって空気の圧力を均一にし、スロット906からの空気流を均一に広げる。それぞれの保持デバイス230によって保持される缶100は、乾燥トンネル900を通して個別の動きで移動し、スロット906のラインに沿って停止し、そこでそれが回転すると、被覆(すなわち「下塗」)缶100の表面の完全長上に加熱空気が向けられる。同時に複数の缶100が乾燥トンネル900内で乾燥され得る。
【0116】
空気出口909に連結された抽出器ファンにより、乾燥トンネル900のシーリング907における穴908を通して空気が抜き取られる。穴908は、それらが最も小さいトンネルの中央から、それらが最も大きいトンネル900の末端までサイズが異なり、中央と比較してトンネル900の末端からの流れに対する抵抗の増加を補い、したがってトンネル900の長さに沿って抜き取り速度が実質的に均一となる。総抜き取り速度は、トンネル900からの加熱空気の流出を最小限にするために、トンネル900への空気供給の速度以上になるように設定される。適切な抽出器は、例えば、6m3/分までの空気流が形成されるように指定される、Airtec SystemsからのTB0400である。
【0117】
缶の解放
缶100上のプライマーが乾燥したら、製造された缶100は、装飾する準備が整い、保持デバイス230によって解放位置に移動され、そこで缶が解放される。この実施形態において、これは、第6「解放」ステーション280で起こり、そこに、保持デバイス230の保持アセンブリ320を解放位置に移動させるための追加的なアクチュエータが提供され、それにより係合要素301、302が分離され、その結果、缶100が解放される。缶100は、降下トラック290上にさらに横断方向で解放され、缶100を装置200から取り出すことが可能となる。1つ又は複数の空気ノズルがトラック290上に位置付けられ、その方向から、缶100が重力下でトラック290に下方に動く方向に対して向けられ得る。このようにして、缶100の動きを減速するために空気を使用し、トラック290と接触する隣接する缶100からの損傷を防ぐことができる。
【0118】
上記で記載のように、本明細書に記載の装置200及びステーションは、好ましくは、印刷技術を使用してその上に装飾するための缶100を製造するのに必要な方法工程を実施するための好ましい装置及びステーションの単に例示的な実施形態であることが理解されるであろう。
【0119】
その後の印刷装飾
上記の方法及び/又は装置によって製造された缶100は、その上に印刷装飾を受ける準備ができている。様々な印刷方法を使用して、缶100が装飾され得るが、後半段階の短時間実施印刷に最も有利であり且つ適しているのは、可変性のイメージ内容を印刷するその能力のため、デジタル印刷方法である。かかる印刷方法としては、水性、溶剤型又は紫外線硬化性インクタイプを含むドロップオンデマンドインクジェット方式が挙げられる。Tonejet(商標)タイプの静電インクジェット印刷が特に適しており、当技術分野でよく知られており、例えば米国特許第6,905,188号、米国特許第9,156,256号及び米国特許第8,845,082号に記載されている。
【0120】
この印刷プロセスは、複数のプリントヘッドから高度に着色されたインクの吐出を含み、各プリントヘッドは、単一のカラーインクを吐出して、透明OPVの塗布及び硬化前に基材上にプロセスカラーイメージを形成し、印刷されたイメージが固定及び保護される。かかるインクは、通常、Isoparの担体液、精製イソパラフィン系溶媒を有する。以下に記載のように、プライマー層1008は、色間にじみを防ぐために、インクを迅速に吸収するように設計される。したがって、
図10Eに図示するように、インク1009は、缶表面のプライマー層1008中に吸収される。次いで、例えばオフセットグラビア印刷法によって透明OPV 1010を塗布する前に、インク担体液の大部分は、蒸発され、所定の位置に顔料の大部分が残る。最終的なOPV硬化プロセス後、ネッキング加工缶は、
図10Eに示す表面層ビルドアップを有する。
【0121】
上記の印刷作業は、本発明に対して独立した別個の装置において行われ得るが、任意選択的に上記の適切な運搬装置によってそれに連結され得る。ネッキング加工缶を取り扱い、且つ装飾する(例えば、印刷する)のに適した装置は、例えば、国際公開第2018/083164号、国際公開第2018/083167号、国際公開第2018083163号及び国際公開第2018083162号に記載されている。
【0122】
プライマー組成物
プライマー組成物は、式(I):
【化7】
(式中、Aは、非極性基であり;
Bは、極性基であり;及び
n及びmは、2~1,000,000から独立して選択される整数である)
を含む両親媒性コポリマーを含む。
【0123】
両親媒性コポリマーは、親水性及び親油性の両方を有するポリマーである。この用語は、当技術分野において十分に理解されている。両親媒性コポリマーを含む、本発明によるプライマー組成物は、缶上のOPV層表面にも付着する一方、それは、インクを迅速に吸収し、膨潤するため、インクの色間にじみを防ぐのに有用であり得る。さらに、かかるポリマーは、機械的衝撃及び摩耗(印刷プロセスを通して缶の移動中に起こり得る)に抵抗する硬い非粘着性の層を形成する。
【0124】
「コポリマー」という用語は、当技術分野の用語である。それは、共重合と呼ばれるプロセスで重合される、2つ以上の異なるモノマー単位を含むポリマーを意味する。コポリマーは、少なくとも2つの異なるモノマー単位を含むことから、コポリマーは、ポリマー鎖を形成するようにモノマー単位がどのように配置されるかに基づいて分類され得る。それらの分類は、「交互コポリマー」(モノマー単位が規則的な交互のパターンで繰り返す)、「周期コポリマー」(モノマー単位が反復配列で配置される)、「統計的コポリマー」(モノマー単位の配列が統計的規則に従う)、「ランダムコポリマー」(モノマー単位がランダムな順序で結合される)及び「ブロックコポリマー」(2つ以上のホモポリマーサブユニットが連結される)を含む。
【0125】
例えば、式Iで使用される命名法は、コポリマーのタイプ、すなわちブロックコポリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、統計的コポリマー又はランダムコポリマーを意味しないことが当業者に明らかであろう。
【0126】
本発明において有用なコポリマーは、いずれかのコポリマーのタイプであり得る。しかしながら、それは、交互コポリマーであることが好ましい。
【0127】
n:mの比は、特定の用途に適合するように、ポリマーの特性を調整するために変更され得る。
【0128】
Aは、脂肪族非極性鎖を有する溶媒(すなわちインク担体液)に可溶性である非極性基である。Bは、OPV網状構造(すなわちプライマーが塗布されている、缶の表面)に付着するための極性基である。極性及び非極性官能基の両方を有することにより、プライマー組成物は、缶のOPV表面に付着することができ、脂肪族非極性担体液を有するインク組成物を確実にプライマー層上に印刷することができる。
【0129】
好ましい実施形態において、Aは、式(A-I)
【化8】
(式中、R
1は、
i.水素、
ii.C
1~C
40アルキル、好ましくはC
12~C
25アルキル;
iii.C
2~C
40アルケニル、好ましくはC
12~C
25アルケニル;
iv.C
2~C
40アルキニル、好ましくはC
12~C
25アルキニル、
v.C
6~C
40アリール
からなる群から選択され;
アルキル、アルケニル、アルキニル及びアリールは、ハロで任意選択的に置換されている)
によって定義される。
【0130】
最も好ましくは、R1は、C12~C25アルキルである。
【0131】
C1~C40アルキルは、直鎖状、分岐状、環式又は一部環式であり得る。
【0132】
C2~C40アルケニルは、直鎖状、分岐状、環式又は一部環式であり得る。
【0133】
C2~C40アルキニルは、直鎖状、分岐状、環式又は一部環式であり得る。
【0134】
C6~C40アリールは、C1~C6アルキルから好ましくは選択される5個までの置換基で任意選択的に置換され得る単環式、二環式又は三環式一価芳香族ラジカル、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニルであり得る。
【0135】
ハロは、好ましくは、F、Cl及びBrである。
【0136】
好ましい実施形態において、Bは、式(B-I)
【化9】
(式中、R
2及びR
3は、H、ハロ、-R
7-OR
8、-R
7=O、-R
7-CO
2R
8、-R
7-NR
8R
8、-R
7-NC(O)R
8、-R
7-C(O)NR
8R
8からなる群から独立して選択され、R
2及びR
3の少なくとも1つは、Hではないか、又は
R
2及びR
3は、それらが結合されている炭素と一緒になって、C
1~C
6アルキル、-OH、-OR
8、=O、CO
2R
8、-NR
8R
8、-NC(O)R
8、-C(O)NR
8R
8から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換された4~7員環式又は複素環式基を形成し、好ましくは、R
2及びR
3は、それらが結合されている炭素と一緒になって、任意選択的に置換された4~7員複素環式基、より好ましくは5員複素環式基を形成し;
R
7は、直接結合、C
1~C
6アルキレン、C
2~C
6アルケニレン及びC
2~C
6アルキニレンから選択され、
R
8は、H及びC
1~C
6アルキルから独立して選択され、C
1~C
6アルキルは、-OH、-CO
2H;エポキシの1つ又は複数で任意選択的に置換されており、及び
R
11及びR
12は、H及びC
1~C
6アルキルから独立して選択される)
によって定義される。
【0137】
C1~C6アルキレンは、二価アルカンである。C2~C6アルケニレンは、二価アルケンである。C2~C6アルキニレンは、二価アルキンである。
【0138】
好ましくは、Bは、式(Y-II)
【化10】
(式中、Xは、-O-、-NR
8-及び-S-から選択され、好ましくは、Xは、-O-であり;及び
R
8は、H及びC
1~C
6アルキルから選択される)
によって定義される。
【0139】
好ましい実施形態において、コポリマーは、式(II)のものであり、より好ましくは、コポリマーは、式(III)のもの
【化11】
である。
【0140】
好ましい実施形態において、コポリマーは、0.8:1.2~1.2:0.8、好ましくは0.9:1.1~1.1:0.9、より好ましくは約1:1のn:mの比を有する。好ましくは、n:mの比は、約1:1であり、コポリマーは、交互コポリマーである。
【0141】
n及びmの整数は、2~1,000,000から選択される。好ましくは、それらは、5~800,000、より好ましくは10~500,000から選択される。
【0142】
好ましい実施形態において、コポリマーは、式(III)
【化12】
のものであり、式中、pは、2~1,000,000から選択される整数である。
【0143】
本発明において有用なコポリマーは、約1,000~約100,000gmol-1、例えば約2,000~約60,000gmol-1、例えば約20,000~約50,000gmol-1の分子量を有し得る。コポリマーの分子量は、ポリスチレン標準物質に対してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され得る。
【0144】
製品名PA-18(CAS25266-02-8)でChevron Phillipsから入手可能なポリ(オクタデシル-co-マレイン酸無水物(「2,5-フランジオン、オクタデセンを有するポリマー」としても知られる)など、本発明において有用なコポリマーが市販されている。代わりに、それらは、官能基化アルケンモノマーから合成され得る。それらのモノマーは、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)又は過酸化ベンゾイルなどのラジカル開始剤の存在下において、以下の反応に示されるように、ポリスチレンの製造に有用な条件など、適切な条件下で反応され得る。
【化13】
【0145】
異なるポリマー/コポリマーが組み合わされるポリマーブレンドの一部としてコポリマーが使用され得る。これは、特定の用途にポリマーブレンドの特性を調整することに役立つ。
【0146】
印刷前に、表面の機械的摩耗に耐えるためにプライマー層が必要とされ得る。したがって、本発明によるプライマー組成物は、補強顔料も含み得る。それは、プライマー組成物の0.1~5重量%の範囲で存在し得る。
【0147】
補強顔料という用語は、その粒径のため、缶に層として塗布されるとプライマー組成物を強化することができる不活性顔料を意味する。これは、製造中に表面がマーキング及び損傷を生じることを防ぎ、層をより機械的に頑強にする。「不活性」とは、顔料が非極性脂肪族インク担体液に不溶性であることを意味する。
【0148】
本発明によるプライマー組成物は、一次溶媒を含み得る。プライマー組成物は、一次溶媒と相溶性の二次溶媒も含み得る。
【0149】
一次溶媒は、プライマー組成物における全溶媒の50~100重量%、好ましくは60~80重量%であり得る。二次溶媒は、全溶媒の0~50重量%、好ましくは20~40重量%であり得る。
【0150】
一実施形態において、一次溶媒は、Isopar Gなどの脂肪族炭化水素であり、二次溶媒は、1-ブタノール、プロピオン酸ペンチル又は3-エトキシプロピオン酸エチルなどの極性溶媒である。代替の実施形態において、一次溶媒は、1-ブタノール、プロピオン酸ペンチル又は3-エトキシプロピオン酸エチルなどの極性溶媒であり得る。
【0151】
本発明は、印刷のための物体を製造するための上述のプライマー組成物の使用にも関する。
【実施例】
【0152】
実施例
プライマー組成物の製造:表1に例示される比ですべての成分を互いに混合し、次いで高せん断混合して、プライマー配合物実施例1~9を得た。表1におけるすべての数値が質量%を意味する。
【0153】
使用される材料は、以下の通りである:
・Isopar G - ExxonMobil Chemicalによって製造された、沸点範囲161~173℃の精製イソパラフィン系溶媒
・ブタン-1-オール、Sigma-Aldrich-Merckに注文したブタノール
・IPA - Sigma-Aldrich-Merckに注文したイソプロピルアルコール
・DAA - Sigma-Aldrich-Merckに注文したジアセトンアルコール
・PP - Sigma-Aldrich-Merckに注文したプロピオン酸ペンチル
・EEP - Eastman Solventsによって製造された3-エトキシプロピオン酸エチル
・Laropal A81 - BASFによって製造された、尿素と脂肪族アルデヒドとの縮合生成物
・NeoCryl B-875 - DSM Coating Resins B.V.によって製造された、脂肪族溶媒の親和性を有する固体アクリルコポリマー
・Pilloway Ultra 350 LV - OMNOVA Solutionsによって製造された、脂肪族相溶性ビニルアクリルコポリマー
・PMAO - Sigma-Aldrich-Merckに注文したポリ(マレイン酸無水物-co-オクタデセン)
・Ceraflour 1000 - BYK Additivesによって製造された、ろう様特性を有する生分解性微粉化ポリマー
・TiO2 - Tronox CR 828白色二酸化チタン顔料
・Ceracol 609N - BYK additivesによって製造された、溶剤系缶コーティングのためのワックス改質ラノリンの分散液
・Acematt 3600 - Evonikによって製造された微粒子ポリマー処理シリカ。
【0154】
【0155】
印刷イメージ品質の評価
ネッキング加工オイルを除去するための溶媒拭き取り工程後、オフセットグラビア印刷技術を使用してプライマー層組成物をネッキング加工缶に塗布した。次いで、Tonejet(商標)プリントヘッド及びインクを使用して、試験イメージをこの缶に印刷した。イメージは、シアン、マゼンタ及びイエローのソリッドブロックを含み、ネガティブテキストの様々なポイントサイズが含まれた。さらに、ネガティブテキストの様々なポイントサイズを含むブルー、レッド及びグリーンのソリッドブロックもあった。最後に、ネガティブテキストの異なるポイントサイズを含む、3色ブラック(シアン+マゼンタ+イエロー)並びにシアン、マゼンタ及びイエロー50%を使用した印刷下でのブラックインクのソリッドブロックも存在した。
【0156】
評価基準:
A:すべてのカラーブロック全体にわたるシャープな4ポイントネガティブテキスト及び鮮明なイメージ
B:一部のカラーブロック全体にわたる一部の判読不可能なレベルの4ポイントネガティブテキスト
C:すべてのカラーブロック全体にわたる判読不可能な4ポイントネガティブテキスト。
【0157】
配合物実施例1、2、3及び4では、インク吸収性プライマー層成分としての異なるポリマーの使用を調べる。Neorez B-875及びPlioway Ultra 350LV(実施例2及び実施例3)は、インク担体液(Isopar G)と相溶性であると共に、優れた印刷イメージ品質を示すポリマーであるが、OPV付着が犠牲にされる。この不十分な付着性能は、これらのポリマーの非極性の性質が原因であると想定され、その結果、比較的極性のOPV組成物と相互作用しない材料が生じる。比較として、より高い極性のLaropal A81ポリマー(実施例1)は、インク担体と相溶性ではなく、インクが吸収及び制御されないために不十分な印刷イメージ品質を示す。しかしながら、おそらく、極性OPV化学物質とより強く相互作用するこのポリマーの極性が高いために、このポリマーは、良好なOPV付着を示す。
【0158】
最後に、ポリ(マレイン酸無水物-co-オクタデセンポリマー)(実施例4)は、インク担体と相溶性であると共に、極性成分(マレイン酸無水物)と非極性成分(オクタデセン)との両方を有する。表1から分かるように、この材料は、良好な印刷イメージ品質及び良好なOPV付着の両方を示す。
【0159】
コーティング老化安定性の評価
プライマー層組成物を適切なプラスチック容器内に充填し、室温で1週間放置した。次いで、以下のように試験する前に試料を穏やかに30秒間振盪した。
【0160】
評価基準:
A:保管後の粘度の明らかな違いがなく、存在する場合、すべての沈降が完全に分散される
B:保管後の粘度がわずかに増加し、及び/又は力強く振盪した後に完全に分散可能な沈降が残る
C:保管後の大きい粘度の増加若しくはゲル化及び/又は非分散性沈降。
【0161】
実施例4から、時間が経つにつれてこの配合物がゲル化する傾向があるため、コーティングの安定性が不十分であることが実証されている。このゲル化は、時間の経過によるIsopar G溶媒中のポリマーの極性基の相互作用が原因であると提案される。したがって、ポリマーの極性基と相互作用させるために、Isopar G相溶性アルコール溶媒を添加することにより、このゲルを破壊して、したがってその相互作用及び結果として生じるゲル化を防ぎ得ることが提案された。実施例5では、Isopar G相溶性溶媒としてジアセトンアルコールを使用し、良好な安定性及びゲル化の傾向を有さないプライマー組成物が得られる。
【0162】
機械取扱いに対するコーティングの頑強さの評価
一部の実装形態において、クリーニング及びプライマー被覆された缶は、缶を保持するために使用されたいかなるジグ又は装置からも缶を除去することなく、直ちに塗布される次の装飾層を有するであろう。他の実装形態において、缶は、缶に塗布され、乾燥されたプライマーコーティングを有し、缶を保持するジグから次のプロセス段階に輸送するための缶輸送システムに解放されるであろう。この缶輸送システムは、缶がプロセスの次の段階に向かって転げ落ちる缶リフト及びスロープを要し得る。必然的に、かかる缶輸送システムは、表面接触を伴い、そのため、塗布されたプライマー層は、続いて塗布される液体のイメージ品質に対して影響しないと同時に、これに耐えるのに十分に頑強でなければならない。
【0163】
コーティングの頑強さを評価するために、最初に、缶を、オフセットグラビア印刷プロセスを使用してコーティングし、乾燥させた。次いで、最初に手袋をした親指でツイストして缶を試験し、コーティングの硬さ及び粘着性を調べた。コーティングがこれを通過したら、次に傾斜したレールを含み、次の(プリンター)段階のローダー内に転がり落とすことを可能にする缶トランスファーシュート内に手作業でそれを積み込んだ。
【0164】
コーティングの頑強さの評価基準:
A:コーティング又は最終的な印刷イメージにおいて顕著な表面欠陥がなく、傾斜レール試験に合格
B:親指ツイスト摩擦試験に合格であるが、傾斜レール試験に不合格
C:親指ツイスト試験に不合格。
【0165】
プライマーコーティングの頑強さは、主に、実施例1及び実施例3では一次ポリマー成分の硬さ及び頑強さによって制御される。しかしながら、実施例4における軟らかいPMAOは、親指ツイスト試験で容易に汚される。実施例6に示すように、この性能は、Ceraflour 1000などの大きい顔料粒子の添加で著しく改善され得る。機械的頑強さの向上は、硬い顔料粒子からの強化作用並びに表面スリップの強化によるものであると推定される。さらに、硬い顔料粒子の添加を使用して、二酸化チタンが補強剤として使用される実施例9のように、白色度などの他の機能性を付加することができる。
【0166】
OPV付着の評価
プライマー層組成物及びTonejet(商標)デジタル印刷を、上記の印刷イメージ品質の評価の実験セクションに記載のように適用した。オフセットグラビア印刷コーティングプロセスを使用して、市販の飲料缶オーバープリントワニス(Akzo Nobel製Aquaprime 105)をこの下塗及び印刷缶に塗布した。このコーティングプロセスを最適化し、OPV乾燥フィルム重量(焼付け)が確実に80~100mg/330ml缶となるようにした。
【0167】
次いで、クロスカット器具で2つの垂直なカットを形成して、OPV層に1mmグリッドを形成することにより、平坦化された缶で付着試験を実施した。Scotch 610テープをグリッド上に貼り付け、1セットのカットに平行に整列させ、爪でしっかりとこすって気泡を除去し、確実にテープを付着させた。次いで、60度の角度において約4秒をかけたゆっくりとした動きで後方に引っ張ることにより、テープを完全に除去した。次いで、試料及びテープの両方をコーティング除去について評価し、ISO 2409標準を使用して評点付けし、プライマー層なしで製造された制御缶のOPV付着に対して適切に等級分けし、比較した。
【0168】
OPV付着の評価基準:
A:クリーニングされているが、下塗りされていない缶上のインクの付着と比較して付着の向上あり又は変化なし
B:クリーニングされているが、下塗りされていない缶上のインクの付着と比較して顕著な付着の悪化
C:クリーニングされているが、下塗りされていない缶上のインクの付着と比較して付着の著しい悪化。
【0169】
OPV付着は、上記の印刷イメージ品質の評価において議論される。
【0170】
上記は、本発明の実施形態に向けられているが、本発明の他の及びさらなる実施形態は、本明細書の考察から当業者に明らかであり、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的範囲から逸脱することなく考案され得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形物体であって、その上に印刷技術を使用して装飾するための、保護表面コーティング
が提供された円筒形物体を製造するための装置であって、
円筒形物体の前記
保護表面コーティング上にプライマーを塗布する下塗ステーション;及び
塗布後、前記プライマーを乾燥させ
て、その上に前記物体を装飾するための装飾表面を前記保護表面コーティングの上に形成する乾燥ステーション
を含み;
前記下塗ステーション及び前記乾燥ステーションは前記装置内で連続して配置される、装置。
【請求項2】
前記下塗ステーションは、トランスファーローラーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記下塗ステーションは、グラビア印刷シリンダー及びトランスファーローラーを含むオフセットグラビア印刷設備を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記トランスファーローラーは、前記物体の表面と、前記グラビア印刷シリンダーとの接触を維持している間に接触されるように選択的に動作可能である、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記下塗ステーションは、前記物体が前記トランスファーローラーと接触している間、前記物体の軸方向回転を駆動するために前記物体と係合するように配置された駆動機構をさらに含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、前記トランスファーローラーの速度とは独立した速度で前記物体を回転させるように配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記乾燥ステーションは、熱の適用によって前記プライマーを乾燥させるように配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記乾燥ステーションは、前記プライマーによって形成された前記表面上に加熱空気を向けるように配置された少なくとも1つのエアブレードを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記乾燥ステーションは、複数の前記物体
上の
前記プライマーによって形成された表面上に加熱空気を同時に向けるように配置された複数のエアブレードを含む、請求
項8に記載の装置。
【請求項10】
前記乾燥ステーションは、前記物体がエアブレードからの加熱空気によって乾燥されている間、前記物体の軸方向回転を駆動するために前記物体と係合するように配置された駆動機構をさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プライマーを塗布する前に、前記物体の保護表面
コーティングから汚染物質を除去するためのクリーニングステーションをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記クリーニングステーションは、クリーニング材を含み、前記保持された物体は、前記表面をクリーニングするために前記クリーニング材に対して回転され得る、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記クリーニング材は、実質的に平面状の基材上に提供される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記基材は、圧縮性材料を含み、例えば、前記材料は、前記物体に対して圧縮性である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記基材は、好ましくは、40kg/m
3~100kg/m
3、より好ましくは60kg/m
3~80kg/m
3の密度を有する独立気泡フォームを含む、請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記クリーニングステーションは、前記クリーニング材をクリーニング液で湿潤させるための手段をさらに含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記クリーニング材の一部のみが湿潤され、それにより、前記物体は、湿潤されていない前記クリーニング材の一部と接触される前に、前記クリーニング材の湿潤部分と接触され得る、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記クリーニングステーションは、前記物体の軸方向回転を前記クリーニングステーションに位置付けられている間に駆動するために前記物体と係合するように配置された駆動機構をさらに含み、好ましくは、前記物体は、その移動方向と反対の方向において軸方向に回転される、請求項11~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
それぞれのステーションにおいて前記物体を位置付けるように配置された少なくとも1つの物体保持デバイスをさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記保持デバイスは、前記ステーション間で物体を逐次移動させるように配置される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
ステーション間の前記物体の移動は、自動化される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記保持デバイスは、前記物体の対向する端部と係合することにより、前記円筒形物体を保持するように配置され、前記保持デバイスは、前記物体が、保持されている間にその長軸の周りで回転されることを可能にするようにさらに配置される、請求項19~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記保持デバイスは、前記保持デバイスによって保持された物体の中空内部に空気が供給され、それによって前記物体を加圧することを可能にするようにさらに配置される、請求項19~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
物体が所定の位置にあるとき、前記物体を解放又は保持するために前記保持デバイスを作動させるように配置された少なくとも1つのアクチュエータをさらに含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
複数の前記
物体保持デバイスをさらに含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
トラックをさらに含み、前記少なくとも1つの保持デバイスは、前記保持された物体をステーション間で移動させるために前記トラックに沿って移動するように配置される、請求項19~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
駆動ベルト設備を介して前記トラックに沿って移動するように配置された少なくとも1つのキャリッジをさらに含み、少なくとも1つの保持デバイスは、前記少なくとも1つのキャリッジに取り付けられる、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記キャリッジは、第1期間中に前記トラックに沿って所定の距離dを移動し、次いで第2期間にわたって静止したままであるように制御される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記第1期間及び前記第2期間の合計は、1秒以下の期間に等しい、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
円筒形物体であって、その上に印刷技術を使用して装飾するための、保護表面コーティング
が提供された円筒形物体を製造する方法であって、
前記物体上に提供された前記
保護表面コーティング上にプライマーを塗布する
ステップ;及び
塗布後、前記プライマーを乾燥させ
て、その上に前記物体を装飾するための装飾表面を前記保護表面コーティングの上に形成するステップ
を含み;
前記プライマーを塗布するステップ及び前記プライマーを乾燥させるステップは連続して行われる、方法。
【請求項31】
前記コーティング上に前記プライマーを塗布することは、トランスファーローラーによって行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記コーティング上に前記プライマーを塗布することは、グラビア印刷シリンダー及びトランスファーローラーを伴うオフセットグラビア印刷プロセスによって行われる、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記プライマーを塗布することは、前記物体が回転されているとき、前記トランスファーローラーを前記物体の表面と選択的に接触させることを含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記物体は、前記プライマーを塗布するとき、前記トランスファーローラーの速度とは独立した速度で回転される、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記プライマーを塗布している間及び任意選択的に前記プライマーを塗布する前に前記物体の内部を加圧することをさらに含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記物体の前記表面の上に加熱空気を通すことにより、前記プライマーを乾燥させることをさらに含み、好ましくは、前記空気は、少なくとも30℃の温度を有する、請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記プライマーを塗布する前に、好ましくはクリーニング液を使用して、前記コーティングをクリーニングして表面汚染物質を除去することをさらに含む、請求項30~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記コーティングをクリーニングすることは、クリーニング材に対して前記物体をこすりつけることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記クリーニング材の少なくとも一部は、クリーニング液で湿潤されている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記物体は、クリーニング液で湿潤されているクリーニング材の第1部分に対してこすりつけられ、且つ次いで、クリーニング液で湿潤されていないクリーニング材の第2部分に対してこすりつけられる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1及び第2部分は、クリーニング材の単一の部片の異なる部分である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記コーティングをクリーニングすることは、前記物体をこすりつけるために前記クリーニング材に対して前記物体を回転させることと、好ましくは前記物体の移動方向と反対の方向に前記物体を回転させることとを含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記物体は、前記クリーニング材と接触している間、前記クリーニング材に対して横方向に静止した位置に維持される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記クリーニング材は、その円周、好ましくはその円周の20%までのアーチ形部分の上で前記物体と接触するように配置される、請求項38~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記クリーニング液は、溶媒又は洗剤溶液である、請求項39~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記クリーニング液は、イソプロピルアルコール又は脂肪族炭化水素を含む、請求項39~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記プライマーを塗布する前に、前記物体が前記クリーニング液と接触した後、前記コーティングの表面を乾燥させることをさらに含む、請求項39~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
自動化される、請求項30~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
円筒形物体であって、その上に保護表面コーティングを有する円筒形物体を装飾する方法であって、
請求項30~48のいずれか一項に記載の方法を使用して、装飾するための前記物体を製造すること;及び
印刷技術を使用して前記物体を装飾すること
を含む方法。
【請求項50】
保護表面コーティングを、前記保護表面コーティングの少なくとも一部の上に提供されたプライマーの層と共に含む円筒形物体。
【請求項51】
印刷技術を使用して前記プライマーの層上に適用された表面装飾をさらに含む、請求項
50に記載の物体。
【請求項52】
前記印刷技術は、インクジェット印刷技術、好ましくは静電インクジェット印刷技術である、請求項1~
51のいずれか一項に記載の装置、方法又は物体。
【請求項53】
前記円筒形物体は、缶、好ましくは2ピース缶、より好ましくはネッキング加工2ピース缶である、請求項1~
52のいずれか一項に記載の装置、方法又は物体。
【請求項54】
前記物体は、金属材料、好ましくはアルミニウム又はスチールから形成される、請求項1~
53のいずれか一項に記載の装置、方法又は物体。
【請求項55】
前記保護表面コーティングは、ワックス粒子を含む、請求項1~
54のいずれか一項に記載の装置、方法又は物体。
【請求項56】
請求項1~29のいずれか一項に記載の装置内
で、円筒形物体を位置付けるための物体保持デバイスであって、
前記物体の第1端部と係合するように配置された第1係合部材;
前記物体の第2端部と係合するように配置された第2係合部材;及び
離間され、且つ移動可能に対向する構成で前記第1及び第2係合部材を維持するように配置された保持アセンブリ
を含み、前記第1及び第2係合部材は、その間で物体を受け取り且つ保持するように互いに対して移動可能である、物体保持デバイス。
【請求項57】
前記第1及び第2係合部材は、前記第1又は第2係合部材の一方の回転が、保持された物体が前記第1又は第2係合部材の他方と共に回転することを引き起こすように回転可能である、請求項
56に記載
のデバイス。
【請求項58】
前記保持アセンブリは、延長可能な伸縮式構成を有し、それにより、前記保持アセンブリは、前記第1及び第2係合部材間の空間を変化させるために、前記第1及び第2係合部材の相対移動を提供することができる、請求項
56又は
57に記載のデバイス。
【請求項59】
前記保持アセンブリは、前記第1係合部材に向かって前記第2係合部材を移動させるように付勢される、請求項
56~58のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項60】
前記保持アセンブリは、前記保持アセンブリが、前記第1係合部材から離れて前記第2係合部材を移動させるときに圧縮されるように配置されるコイルスプリングを含む、請求項
59に記載のデバイス。
【請求項61】
前記第1係合部材と流体連通している流体導管をさらに含み、流体は、前記物体の中空内部を加圧するために、前記第1係合部材を介して、保持された物体中に前記流体導管を通して導入され得る、請求項
56~60のいずれか一項に記載のデバイス。
【国際調査報告】