(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(54)【発明の名称】ファーニチャのヒンジ式ドアを開閉するためのヒンジ
(51)【国際特許分類】
E05D 3/14 20060101AFI20220616BHJP
E05F 3/20 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
E05D3/14 A
E05F3/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560886
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2020057956
(87)【国際公開番号】W WO2020212086
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】102019000005758
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511084533
【氏名又は名称】エッフェジー ブレヴェッティ ソシエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】EFFEGI BREVETTI S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Cava Trombetta 17/25,I-20090 Segrate(Milano),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァネッティ,アントーニオ
(57)【要約】
複数のファーニチャユニットの複数のヒンジ式ドアを開閉するためのヒンジ(10)であって、基部(2)または頂部(3)等の、ファーニチャユニット(1)の構造体の横板の座内に収容されるように設計された第1の固定本体(11)と、前記ファーニチャユニットのドア(6)の座内に収容されるように設計された第2の可動本体(12)と、を備え、その結果、前記ヒンジの前記固定部分(11)上に配置されたピン(14)と前記可動部分(12)上に配置されたピン(15)とを接続する少なくとも1つのレバーまたはコネクティングロッド(18)を備える運動機構によって、開閉中に前記ドアを作動させ、前記ドアの閉まる力がスプリング手段(30)によって決定されているヒンジ(10)であって、前記スプリング手段(30)が、前記ヒンジピン(14)の向こうの、前記コネクティングロッド(18)の延長部(40)に、傾斜動作を取りながら作用する、ヒンジ(10)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のファーニチャユニットの複数のヒンジ式ドアを開閉するためのヒンジ(10)であって、
基部(2)または頂部(3)等の、ファーニチャユニット(1)の構造体の横板の座内に収容されるように設計された第1の固定本体(11)と、
前記ファーニチャユニットのドア(6)の座内に収容されるように設計された第2の可動本体(12)と、を備え、
その結果、前記ヒンジの前記固定部分(11)上に配置された第1のピン(14)と前記可動部分(12)上に配置された第2のピン(15)とを接続する少なくとも1つのレバーまたはコネクティングロッド(18)を備える運動機構によって、複数の開閉位置において前記ドアを作動させ、
前記ドアの閉まる力がスプリング手段(30)によって決定されている、ヒンジ(10)において、
前記スプリング手段(30)は、前記第1のヒンジピン(14)の向こうの、前記コネクティングロッド(18)の延長部(40)に、傾斜動作を取りながら作用し、
前記スプリング手段(30)は、前記コネクティングロッド(18)の前記延長部(40)に対して束縛されたヘッド(33)を有しかつ座(35)内をスライドするガイド‐スプリングステム(32)によって、傾斜中に所定の位置に保持された圧縮スプリング(30)を含み、
前記スプリング(30)が、前記ステム(32)の前記ヘッド(33)と前記座(35)の周囲のストップ(31)との間において作動する、
ということを特徴とする、ヒンジ(10)。
【請求項2】
前記ガイド‐スプリングステム(32)の前記ヘッド(33)が、前記コネクティングロッド(18)の前記延長部(40)の突出部(41)と係合するように設計された凹部(34)を有する、請求項1に記載のヒンジ(10)。
【請求項3】
前記コネクティングロッド(18)の前記延長部(40)が前記ドアの閉まる間に作用するダンパ(51)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載のヒンジ(10)。
【請求項4】
前記ヒンジの前記固定本体(11)上に配置されたピン(16)と前記可動本体(12)上に配置されたピン(17)とを接続する第2のコネクティングロッド(19)が設けられており、
前記第2のコネクティングロッド(19)が、前記ドア(6)の作動のために、開閉中に前記コネクティングロッド(18)と共働する、
ということを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のヒンジ(10)。
【請求項5】
前記第2のコネクティングロッド(19)のノーズ(53)が前記ドアの閉まるときに作用する第2のダンパ(50)が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のヒンジ(10)。
【請求項6】
前記固定本体(11)が、2つのハーフシェル(20、21)から構成されており、
当該2つのハーフシェル(20、21)が、一対のケーシング(22)を収容しており、
前記ヒンジのさまざまな構成要素が、当該一対のケーシング(22)の間に配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のヒンジ(10)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明の主題は、例えばキッチンファーニチャ(kitchen furniture)等のファーニチャ(家具、備品:furniture)のヒンジ式ドアを開閉するためのヒンジである。
【0002】
本発明に関するタイプのヒンジは広く知られている。フラップ(flap)としても知られている、垂直(縦)回転軸および開口部を有するドアの場合、当該ヒンジは、ドアと固定構造体との間においてファーニチャユニットの下部および上部内に通常、配置されている。
【0003】
ファーニチャユニットの表面の美しさを向上させ、同時に、従来のヒンジの邪魔な物(encumbrances)をそれから取り除くために、現在、4つのピンを有するヒンジか、または2つの運動コネクティングロッド(movement connecting rod)を有するヒンジを使用する傾向がある。それらは、ファーニチャユニットの基部(下板)内およびキャップ(上板または頂部)内に挿入される。
【0004】
当該2つのコネクティングロッドは、ファーニチャユニットの固定構造体とドアとの間において作動する。ドアが開く動作の間に荷重を掛けられるスプリングがそれらのうちの1つに作用し、当該スプリングは、ドアが閉まるときの最終段階において、当該ドアに引っ張る力を及ぼす。
【0005】
少なくとも1つのショックアブソーバまたはダンパもまた設けられる。当該少なくとも1つのショックアブソーバまたはダンパは、閉まる動作を減衰するよう設計されており、ドアが勢いよく閉まるのを防止する。
【0006】
公知のヒンジでは、スプリングの力は、偏向レバー(deflection lever)、特にロッカーレバー(rocker lever)によって、ドアの運動コネクティングロッドに伝えられるが、当該レバーはヒンジ構造を複雑にするだけでなく、ドアの開閉中の運動コネクティングロッドに対するロッカーレバーの厄介なドラッギング(dragging)をも引き起こす。
【0007】
さらに、ドアが閉まる動作を減衰させるために使用されるダンパは、それがヒンジ格納箱内に配置される仕様のため、常にその機能を可能な限り最良の方法で果たすとは限らない。
【0008】
国際公開第2016/174071号パンフレットは、請求項1のプリアンブルによる複数のヒンジ式ドアのためのヒンジを記載している。当該ヒンジ内には、当該ヒンジの閉じられた位置において推力(押し:a thrust)を得るための、ファーニチャユニットの2つの部分を接続するロッカーレバーのカム輪郭(cam profile)上の爪(pawl)によって作動し、箱状体内に収容された固定軸スプリングがある。
【0009】
本発明の目的は、上述のタイプの公知のヒンジの複数の欠点を排除するか、または少なくとも低減することである。
【0010】
より詳細には、本発明の目的は、複数のファーニチャユニットの複数のヒンジ式ドアを開閉するためのヒンジであって、腹立たしい雑音を発生させる前記ドアの開閉中の金属部品間のドラッギングを除去したヒンジを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、ドアの開閉の動作を最適化する、かかるヒンジを提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、ドアが閉まることを容易にするように設計されたスプリングの機能および構造が信頼性の高いものだと判明している、かかるヒンジを提供することである。
【0013】
これらの他の目的は、独立請求項1にかかる複数の特徴を有する複数のファーニチャユニットの複数のドアを開閉するためのヒンジによって達成される。
【0014】
本発明の有利な複数の実施形態は、複数の従属請求項によって開示されている。
【0015】
実質的に、本発明による複数のファーニチャユニットの複数のヒンジ式ドアを開閉するための前記ヒンジは、基部または頂部等の、ファーニチャユニットの構造体の横板の座(シート:seat)内に収容されるように設計された第1の固定本体と、前記ファーニチャユニットのドアの座内に収容されるように設計された第2の可動本体と、を備え、その結果、前記ヒンジの前記固定部分上に配置された第1のピンと前記可動部分上に配置された第2のピンとを接続する少なくとも1つのレバーまたはコネクティングロッドを備える運動機構によって、開閉中に前記ドアを作動させ、前記ドアの閉まる力は、前記第1のヒンジピンの向こうの、前記コネクティングロッドの延長部に傾斜動作を取りながら作用するスプリング手段によって決定されている。前記スプリング手段は、前記コネクティングロッドの前記延長部に対して束縛されたヘッドを有しかつ座内をスライドするガイド‐スプリングステムによって傾斜中に所定の位置に保持された圧縮スプリングを含み、前記スプリングは、前記ロッドの前記ヘッドと前記座の周囲のストップとの間において作動する。
【0016】
本発明のさらなる特徴は、添付の図面に示された、純粋に非限定的な一実施例としてのその実施形態を参照して、以下の詳細な説明によって、より明確にされるだろう:
図1は、本発明によるヒンジが使用されたヒンジ式ドアを有するファーニチャユニットを、斜視図において概略的に示す;
図2は、特に
図1のファーニチャユニットの上部内に組み付けるための本発明によるヒンジの組み立てられた不等角投影図である;
図3は、
図2のヒンジの分解不等角投影図である;
図4~
図8は、内部の構成要素を示すためにヒンジ本体のカバーが取り外された状態の
図2のヒンジの上方からの平面図である;さまざまな図面は、ドアが閉まる間における一連の位置を示し、開くことは逆の順序で起こる;最も開いた状態の
図4は、他のものよりも拡大されており、より良い図示のためにいくつかの部分が透明に示されている。
【0017】
図1は、本発明によるヒンジの位置および機能を示すファーニチャ(furniture)ユニット1を概略的に示す。ファーニチャユニット1は、基部または下板2と、キャップ(cap)または上板または頂部3と、2つの側壁4と、ドア6と、場合によっては後壁5と、を備える。
【0018】
ドア6には、ドア自身と前記下板2および前記上板3との間において作動する(働く)一対のヒンジ10によって、ファーニチャユニットの構造体に関してヒンジ式の開けまたはフラップ開け(hinged or flap opening)が行われ得る。
【0019】
当然ながら、ヒンジ10はまた、ドア6とファーニチャユニットの構造体に適切に取り付けられた中間板(図示せず)との間にも設けられ得る。
【0020】
特に
図2を参照すると、ヒンジ10は、ファーニチャユニットの横板2、3の座(シート:seat)内に挿入された第1の本体または固定本体11と、ドア6の座内に挿入された第2の本体または可動本体12と、を備える。
【0021】
ヒンジ10の第2の本体12は、
図1に概略的に示されているように、ヒンジがファーニチャユニットの基部1に配置されているか、または頂部2に配置されているかに応じて、上方または下方を向くセクション13を有する、2つの異なる形態に作られている。
【0022】
図2に示すヒンジは、ファーニチャユニットの左上隅における組付位置に描かれており、
図1の頂部に示されたヒンジに対応するものである。
【0023】
図3の分解図に示すように、第1の本体11は、一方が下ハーフシェルまたは基部20であり、一方が上ハーフシェルまたはカバー21の、互いに実質的に同一の2つのハーフシェル(half-shell)から構成されている。これらは一対のプレート(plate)またはケーシング22を収容している。当該一対のプレートまたはケーシング22の間に、装置のさまざまな構成要素が配置されている。
【0024】
特に、ヒンジ10はいわゆる4つのピン14および15、16および17を有するタイプのものである。当該4つのピン14および15、16および17に対しては、一対のレバーまたはコネクティングロッド18、19がそれぞれ束縛(拘束)されている。当該一対のレバーまたはコネクティングロッド18、19は、開閉動作中に、ヒンジの第2の本体12によって、ドア6に付き従う。
【0025】
ヒンジ10の2つの本体11、12を連結する2つのコネクティングロッド18、19は、同じ方向にわずかに弓形に反った形状を有する。
【0026】
外コネクティングロッドと称することとするコネクティングロッド18は、その複数端部のうちの1つにおいて、ドアに取り付けられた本体12によって担持されたヒンジピン15において接合されており、また、その複数の中間点のうちの1つにおいて、ファーニチャユニットの構造体に取り付けられた本体11に対して、ピン14において接合されている。
【0027】
内コネクティングロッドと称することとするコネクティングロッド19は、その複数の端部のそれぞれにおいて、本体11、12のピン16、17において、接合されている。
【0028】
外コネクティングロッド18は、圧縮スプリング30の作用を受けている。当該圧縮スプリング30は、ヒンジピン14の向こうの、コネクティングロッド18の延長部40の内突出部41において、その複数の端部のうちの1つと作用し、この突出部41に対して傾斜する(傾く)。
【0029】
スプリング30の他方の端部は、2つのケーシング22の間に形成されたストップ(stop)31に当接している。
【0030】
特に、スプリング30内には、コネクティングロッド18の突出部41に係合するための凹部34(
図3)が設けられたヘッド(head)33を有するガイド‐スプリングステム(guide-spring stem)32がある。
【0031】
ステム32は、前記ストップ31の内側において、2つのケーシング22の間に形成された座35内に挿入されている。当該ステム32は、当該座35において、スプリング30の傾きを可能にするためにスライドし得る。
【0032】
ドア6が開く動作は、一連の図面において示された複数の位置を
図8から
図4へと後向きに連続してとる。当該ドア6の開く動作の間、スプリング30は荷重を掛けられ(loaded)、蓄積されたエネルギーが閉まる段階において当該スプリングによって戻される。
【0033】
特に、閉まる間、スプリング30は、
図4に示すドアが最も開いた状態(約100°)から始まり、
図7の状態(死点状態(dead point condition))、すなわち約20°の開放角度までほぼ不活性である。当該
図7の状態から、
図7に示すように、腕bに対するスプリングの力Fによって与えられるトルクを外コネクティングロッド18に及ぼすことによって、当該スプリングの荷重が取り除かれ始める(unload)。その結果、
図8に示すように、ヒンジの自動的な閉めが、したがってドアの自動的な閉めが引き起こされる。
【0034】
スプリング30によって及ぼされる力ゆえに、閉まる間にファーニチャユニットの固定構造体に向かってドアが勢いよく閉まるのを防止するために、ドアが閉まる動作を和らげるように設計された、一対のダンパまたは減速器50、51が設けられている。
【0035】
特に、ダンパ50は、2つのケーシング22の間に形成された座52内において直線的にスライドするように束縛されており、内コネクティングロッド19のノーズ53によって作動させられる。ダンパ50のステム54は、下方のケーシング22上に形成されたストップタブ55に当接している。
【0036】
他方のダンパ51は、調節体60内に形成された座61内において直線的にスライドするように束縛されており、そのステム56は、外コネクティングロッド18の自由端部43によって作動させられる。
【0037】
ステム56の反対側のダンパ51の端部は、図面に示すように追加のストップ62に当接しているか、または2つのケーシング22のうちの一方のケーシング22上に形成されたストップに直接、当接している。
【0038】
調節体60は、本発明の特定の目的をなさないので、さらに詳しくは説明しない。当該調節体60は、前調節ネジ64および横調節ネジ65を有し、それらはそれぞれ、ヒンジアセンブリ全体を前後方向および横方向にわずかに動かす。
【0039】
スプリング30が外コネクティングロッド18に直接作用することにより、スプリングと、ドアの作動のためのレバーまたはコネクティングロッドとの間に介在する追加のロッカーレバーを使用する従来技術の装置において生じる、金属部品間の厄介なドラッギング(dragging)が回避される。
【0040】
ヘッド33を有するガイド‐スプリングステム32上のスプリング30の傾斜アセンブリ(傾くアセンブリ:tilting assembly)は、コネクティングロッド18上の傾斜接触点への推力(押し:a thrust)を可能にし、任意のドラッギングを回避する。
【0041】
さらに、コネクティングロッド19、18がそれぞれ作用するダブルショックアブソーバ50、51を設けることにより、閉まるときにドアの動きが効率的に減衰され得る。
【0042】
上記に開示したことから、従来技術に対する本発明の利点は明らかである。
【0043】
以上の説明ではスプリング30について言及したが、外コネクティングロッド18に作用するスプリング群が設けられ得ること、また、圧縮スプリングを牽引スプリング(traction spring)に置き換えて、その構造を適宜変更し得ることは明らかである。
【0044】
もちろん、本発明は、添付の図面に図示された前述した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明それ自体の範囲から逸脱することなく、多数の詳細な変更が加えられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明によるヒンジが使用されたヒンジ式ドアを有するファーニチャユニットを、斜視図において概略的に示す。
【
図2】特に
図1のファーニチャユニットの上部内に組み付けるための本発明によるヒンジの組み立てられた不等角投影図である。
【
図4】内部の構成要素を示すためにヒンジ本体のカバーが取り外された状態の
図2のヒンジの上方からの平面図である。
【
図5】内部の構成要素を示すためにヒンジ本体のカバーが取り外された状態の
図2のヒンジの上方からの平面図である。
【
図6】内部の構成要素を示すためにヒンジ本体のカバーが取り外された状態の
図2のヒンジの上方からの平面図である。
【
図7】内部の構成要素を示すためにヒンジ本体のカバーが取り外された状態の
図2のヒンジの上方からの平面図である。
【
図8】内部の構成要素を示すためにヒンジ本体のカバーが取り外された状態の
図2のヒンジの上方からの平面図である。
【国際調査報告】