IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レオンハート ラングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(54)【発明の名称】電極
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/274 20210101AFI20220616BHJP
   A61B 5/265 20210101ALI20220616BHJP
   A61B 5/266 20210101ALI20220616BHJP
   A61B 5/257 20210101ALI20220616BHJP
【FI】
A61B5/274
A61B5/265
A61B5/266
A61B5/257
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561826
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 AT2020060137
(87)【国際公開番号】W WO2020210850
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】A50344/2019
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519145610
【氏名又は名称】レオンハート ラング
【氏名又は名称原語表記】Leonh. Lang
【住所又は居所原語表記】Archenweg 56, 6020 Innsbruck, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クプサ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127LL03
4C127LL22
4C127LL23
4C127LL30
(57)【要約】
人間の皮膚に被着するための電極であって、この電極は非導電性支持体(1)を備えており、皮膚とは反対側の支持体(1)の上面に、信号導体を取り外し可能に接続するための接続個所(2a)を備えて突出した導電性接続部材(2)が設けられており、少なくとも部分的に支持体(1)の反対側の下面に配置された導体(3)が設けられており、導体(3)は、接続部材(2)に、ならびに皮膚と向き合うコンタクト媒体(4)に、電気的に接続されており、導体(3)およびコンタクト媒体(4)は、支持体(1)の下面において接続部材(2)の接続個所(2a)の下方に配置されており、好ましくは中心で、接続部材(2)を通って支持体(1)に向かって延びている仮想の法線が、同様に好ましくは中心で、導体(3)または導体(3)における開口部(8)、およびコンタクト媒体(4)またはコンタクト媒体(4)における開口部を通って延びており、導体(3)はその上面において、好ましくは皮膚と向き合う上面において、少なくとも一部の領域で、銀/塩化銀またはスズ/塩化スズ、または例えば電極の脱分極のために適した他の酸化還元対を有し、接続部材(2)は、支持体(1)を通って延在する少なくとも1つの突出部(2b)を有し、突出部(2b)はその端部に拡張された領域(BZ)を有し、導体(3)は少なくとも部分的に、拡張された領域(BZ)と支持体(1)との間に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の皮膚に被着するための電極であって、
前記電極は、非導電性支持体(1)を備えており、
前記皮膚とは反対側の前記支持体(1)の上面に、信号導体を取り外し可能に接続するための接続個所(2a)を備えて突出した導電性接続部材(2)が設けられており、
少なくとも部分的に前記支持体(1)の反対側の下面に配置された導体(3)が設けられており、前記導体(3)は、前記接続部材(2)に、ならびに前記皮膚と向き合うコンタクト媒体(4)に、電気的に接続されており、
前記導体(3)および前記コンタクト媒体(4)は、前記支持体(1)の下面において前記接続部材(2)の前記接続個所(2a)の下方に配置されており、
好ましくは中心で、前記接続部材(2)を通って前記支持体(1)に向かって延びている仮想の法線は、同様に好ましくは中心で、前記導体(3)または前記導体(3)における開口部(8)、および、前記コンタクト媒体(4)または前記コンタクト媒体(4)における開口部を通って延びており、
前記導体(3)は、その上面において、好ましくは前記皮膚と向き合う上面において、少なくとも一部の領域で、銀/塩化銀またはスズ/塩化スズ、または例えば前記電極の脱分極のために適した他の酸化還元対を有する電極において、
前記接続部材(2)は、前記支持体(1)を通って延在する少なくとも1つの突出部(2b)を有し、前記突出部(2b)は、その端部に拡張された領域(BZ)を有し、
前記導体(3)は、少なくとも部分的に、拡張された前記領域(BZ)と前記支持体(1)との間に配置されていることを特徴とする、
電極。
【請求項2】
前記コンタクト媒体(4)と向き合う前記導体(3)の側は、部分的にまたは完全に前記接続部材(2)により隠蔽される、
請求項1記載の電極。
【請求項3】
銀/塩化銀またはスズ/塩化スズ、または前記電極の脱分極に適した他の酸化還元対を有する前記導体(3)の領域は、前記接続部材(2)および/または前記コンタクト媒体(4)に電気的に接続されている、
請求項1または2記載の電極。
【請求項4】
前記導体(3)は、第1の材料(3b)から成る層として形成されており、前記層は、前記コンタクト媒体(4)の領域において第2の材料(3a)を具備しており、好ましくは前記第2の材料(3a)によってコーティングされている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の電極。
【請求項5】
前記第2の材料(3a)は、前記第1の材料(3b)上にリング状に配置されている、
請求項4記載の電極。
【請求項6】
前記第2の材料(3a)は、前記第1の材料(3b)上に実質的に面全体にわたり配置されている、
請求項4記載の電極。
【請求項7】
前記第1の材料(3b)は、プラスチック、特にプラスチックシートであり、または導体、例えば鋼から成る導体であり、
前記第2の材料(3a)は、好ましくは、銀/塩化銀、スズ/塩化スズ、または前記電極の脱分極に適した他の酸化還元対である、
請求項4、5または6記載の電極。
【請求項8】
前記第1の材料(3b)は、10μm~250μmの厚さ、好ましくは30μm~100μmの厚さを有し、
前記第2の材料(3a)は、0.05μm~30μmの厚さ、好ましくは0.1μm~3μmの厚さを有する、
請求項4から7までのいずれか1項記載の電極。
【請求項9】
前記導体(3)は、前記支持体(1)に被着された、好ましくは印刷された導電性材料から成る層により形成される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の電極。
【請求項10】
前記導体(3)は、金属または金属合金であり、あるいは例えば導電性カーボンファイバによって全体または表層が導電性のプラスチックであり、あるいは全体または表層が導電性の繊維材料である、
請求項1から9までのいずれか1項記載の電極。
【請求項11】
前記導体(3)は、実質的に回転対称に、特にリング状に形成されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の電極。
【請求項12】
前記導体(3)は、実質的に直方体状に形成されている、
請求項1から11までのいずれか1項記載の電極。
【請求項13】
前記導体(3)は、前記接続部材(2)を挿入するための開口部(8)を有する、
請求項1から12までのいずれか1項記載の電極。
【請求項14】
前記接続部材(2)は、金属、好ましくは深絞り加工された金属板から成り、または導電性プラスチック、好ましくは導電性カーボンファイバでドーピングされたABSから成る、
請求項1から13までのいずれか1項記載の電極。
【請求項15】
前記接続部材(2)は、少なくとも2つの部分(2’、2’’)から成り、
前記2つの部分のうちの一方(2’)は、信号導体を取り外し可能に接続するための前記接続個所(2a)を有する、
請求項1から14までのいずれか1項記載の電極。
【請求項16】
前記接続部材(2)の前記少なくとも2つの部分は、同じ材料から成り、または少なくとも2つの異なる材料から成る、
請求項15記載の電極。
【請求項17】
前記接続部材(2)は、信号導体を取り外し可能に接続するための前記接続個所(2a)を有する単一部分から成る、
請求項1から14までのいずれか1項記載の電極。
【請求項18】
前記接続部材(2)および/または前記導体(3)および/または前記コンタクト媒体(4)は、全体として実質的に回転対称に形成されている、
請求項1から17までのいずれか1項記載の電極。
【請求項19】
拡張された前記領域(BZ)は、変形により形成され、
変形されて拡張された前記領域(BZ)は、一方では前記導体(3)と前記接続部材(2)との間の電気接続を形成可能であり、他方では前記支持体(1)における前記接続部材(2)の機械的固定を形成可能である、
請求項1から18までのいずれか1項記載の電極。
【請求項20】
好ましくはプラスタ層(7)の凹部内に配置された前記コンタクト媒体(4)は、好ましくは塩化物でドーピングされたジェルであり、導電性接着剤として形成されており、または塩溶液が充填されたスポンジとして形成されている、
請求項1から19までのいずれか1項記載の電極。
【請求項21】
前記接続部材(2)は、前記支持体(1)の下面および/または上面において前記支持体(1)に、好ましくはフランジ状に形成された導体(3)が介在接続されて、接続されている、
請求項1から20までのいずれか1項記載の電極。
【請求項22】
前記皮膚とは反対側の前記電極の下面にプラスタ層(7)が設けられており、
前記プラスタ層(7)は、前記電極を固定するため、好ましくは生体適合性のある接着剤から成る患者側のコーティングによって、前記皮膚に貼り付け可能である、
請求項1から21までのいずれか1項記載の電極。
【請求項23】
前記プラスタ層(7)は、前記プラスタ層(7)または前記支持体(1)の上に被着された、粘着剤または熱活性可能接着剤から成る層を介して、前記支持体(1)に接着されている、
請求項22記載の電極。
【請求項24】
前記支持体(1)は、シート、特にPETから成る、
請求項1から23までのいずれか1項記載の電極。
【請求項25】
前記支持体(1)は、前記皮膚と向き合う側で接着剤、好ましくはスピリットガムによりコーティングされており、前記接着剤は、好ましくは粘着性または熱活性可能に設計されており、あるいは接着剤、好ましくはスピリットガムが設けられたプラスタ層(7)を有する、
請求項1から24までのいずれか1項記載の電極。
【請求項26】
前記接続部材(2)にはその上面に、銀または銀/塩化銀が設けられておらず、スズ/塩化スズが設けられておらず、例えば電極の脱分極に適した他の酸化還元対または前記酸化還元対の成分のうちの1つが設けられていない、
請求項1から25までのいずれか1項記載の電極。
【請求項27】
前記支持体(1)は、前記接続部材(2)の横の領域に少なくとも1つの切り込みを有し、前記切り込みによって、前記皮膚との接着のために設けられたプラスタ層に対する前記接続部材(2)の可動性が許容される、
請求項1から26までのいずれか1項記載の電極。
【請求項28】
特に請求項1から27までのいずれか1項記載の人間の皮膚に被着するための電極を製造する方法において、前記方法は、
前記皮膚と向き合う非導電性支持体(1)の下面に導体(3)を配置する、好ましくは接着または印刷するステップと、
前記支持体(1)を通して接続部材(2)を、前記支持体(1)の下面または上面において前記接続部材(2)の突出部(2b)が突出し、前記接続部材(2)が、好ましくは側方に突出した皿状の保持領域(2e)によって、前記支持体(1)の上面または下面に当接するように、挿入するステップと、
前記接続部材(2)と前記導体(3)との間の導電接続と、前記支持体(1)における前記接続部材(2)の機械的固定と、が形成されるように、前記接続部材(2)を前記支持体(1)に係留するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項29】
接続部材(2)を挿入する前に、前記支持体(1)および前記導体(3)を通って貫通する開口部(8)を、好ましくは打ち抜きによって形成する、
請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記接続部材(2)の係留を、前記接続部材(2)の前記突出部(2b)の変形によって行う、
請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記突出部(2b)の変形を、
前記突出部(2b)の溶融、および/または
前記突出部(2b)のフランジング加工、および/または
前記突出部(2b)の拡開、および/または
前記突出部(2b)の折り曲げ
によって行う、
請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記接続部材(2)の係留を、前記接続部材の第2の部分(2’’)を前記接続部材(2)の第1の部分(2’)に接続することにより、好ましくは差込結合することにより行う、
請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記方法は、以下のさらなるステップすなわち、
皮膚側で接着を行うプラスタ層(7)を前記支持体(1)に被着、好ましくは接着するステップと、
電気コンタクト媒体(4)を、好ましくはジェルを、前記プラスタ層(7)の凹部に、前記プラスタ層(7)の下に位置する前記導体(3)に接触するように挿入するステップと、
をさらに有する、
請求項28から32までのいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記支持体(1)を、前記接続部材(2)を挿入する前に、面全体にわたりまたは部分的に接着剤、好ましくはスピリットガムによってコーティングする、
請求項28から33までのいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記支持体(1)を接着剤(11)、好ましくはスピリットガムによってコーティングした後、電気コンタクト媒体(4)を、前記電気コンタクト媒体(4)の下に位置する前記導体(3)に接触するように被着する、
請求項34記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の電極に関する。さらに本発明は、電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる医療用皮膚電極を、人体から電気信号を取り出す測定電極として使用することができる。ただしこの電極を、人体に電流を供給する目的で、治療用電極としても使用することができる。この目的でこれらの電極は皮膚に貼り付けられ、その下面には一般に導電性ジェルを有し、または電極の接続部材と直流的に接触している他の電気コンタクト媒体を有する。この接続部材に電気信号導体を接続することができ、この電気信号導体を介して電流を電極から取り出すことができ、または電流を電極に供給することができる。
【0003】
ある1つの形式の電極は、皮膚とは反対側の上面において突出した導電性接続部材を有し、これは大抵は実質的に球頭状の接続個所を備えており、これにはネックが続いている。
【0004】
この形式の電極の従来の構造の場合、接続部材は2つの部分によって構成されている。上部(上部ボタン、スタッド)は、市販の信号導体、例えばECG導体、のためのコンタクト部材および係留部材として用いられる。実質的に支持体の下方に、つまり皮膚と向き合う側に、下部ボタン(アイレット)が設けられており、これは電位をジェル(コンタクト媒体)から直接受け取るために、またはジェルに伝えるために用いられる。この場合、アイレットは、電気的にも機械的にもスタッドに接続されており、しかも一般にこれら両方の部分のスナップ留めによって、フランジ状に側方に突出しているスタッドの保持領域とアイレットの同様の保持領域との間に電極の支持体材料が固定的に挟持されるように、接続されている。このような構造により、一方では接続部材が電極の支持体に機械的に良好に保持されるようになり、他方では、信号電極のために電気的に好適な特性を有する材料からアイレットを製造することができ、例えばそのためにアイレットを銀でコーティングすることができ、その際に銀層自体は面全体にわたり、または少なくとも、ジェルに接触している部分領域において、銀/塩化銀(Ag/AgCl)から成る層によって覆われている。
【0005】
しかしながら従来技術による電極は高価であり、その際にこの種の大量生産品の場合には僅かな価格差であっても重要になる。
【0006】
さらに従来技術による電極の場合、例えば銀/塩化銀(Ag/AgCl)から成る層が、面全体にわたりコンタクト媒体に接触している。その結果、最初から(コンタクト媒体と銀/塩化銀層との最初の接触から)、銀/塩化銀層がコンタクト媒体によって侵食されてしまう。つまり銀/塩化銀層の面全体において、銀がコンタクト媒体により塩化銀に変化させられる。したがって電極の機能正常性を保証するためには、かなり多量の銀を設けておかなければならない。このこともやはり、従来技術による電極の場合には高コストの原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明の課題は、特に上述の問題点を回避する改善された電極ならびにかかる電極の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によればこの課題は、請求項1記載の電極および請求項28記載の方法によって達成される。
【0009】
これによって、例えば銀/塩化銀によるアイレット(接続部材)全体の高価でコストのかかるコーティングを、それよりもはるかに低コストで簡単に製造することのできる導体に置き換えることが可能となる。特に好ましくは、コンタクト媒体と向き合う導体の側が部分的にまたは完全に接続部材により隠蔽されるように、構成することができる。
【0010】
これによって、銀/塩化銀層の僅かな部分だけしか、もしくは周縁の層だけしか、コンタクト媒体に接触しない。その結果、銀/塩化銀層のこのような僅かな部分だけしか、もしくは周縁の層だけしか、コンタクト媒体によって侵食されず、したがって同じ時間内にいっそう僅かな銀だけしか塩化銀に変化させられないようにすることができる。この変化は、接触状態にある銀/塩化銀層の領域から隠蔽された銀/塩化銀層の領域へと、ごく緩慢に行われるに過ぎない。したがって、銀/塩化銀層における銀の量を低減することができ、ひいてはコストをさらに節約することができる。
【0011】
接続部材が、信号導体を取り外し可能に接続するための接続個所を有する単一部分から成るように、構成することができる。
【0012】
とはいえ、接続部材が少なくとも2つの部分から成り、その際に接続個所のそれら2つの部分のうちの一方が、信号導体を取り外し可能に接続するための接続個所を有するように、構成することもできる。
【0013】
この場合、接続部材自体を複数の材料から成るものとすることができ、例えばニッケルめっきが施された真鍮から、または導電性材料(特にカーボンファイバ)でドーピングされたプラスチックから、成るものとすることができる。
【0014】
特に好ましいのは、接続部材を以下のように形成することである。すなわちこの接続部材は、これが実質的に球状のヘッド、これに続く直径が低減されたネック、このネックの端部に続くフランジ状に側方に突出した保持領域、およびこの保持領域に続く少なくとも1つの突出部を有するように、形成されている。
【0015】
一体型の接続部材の場合、突出部は(好ましくは側方での接触なく)開口部を通して支持体内を案内される一方、フランジ状に側方に突出した保持領域は、支持体上面に載置される。直径が拡開されフランジ状に側方に突出した保持領域によって、たとえ高い圧縮荷重が加わっても接続部材が確実に支持材料のところに固定保持される。
【0016】
保持部材突出部おける変形されて拡張された領域は、皮膚と向き合う支持体下面もしくは導体に当接し、これによってたとえ接続部材に圧縮荷重が加わっても、支持体における接続部材の良好な保持が保証される。
【0017】
2つの部分から成る接続部材の場合、突出部は(好ましくは側方での接触なく)開口部を通して支持体内を案内される一方、フランジ状に側方に突出した保持領域は、支持体の下面(または上面)に載置される。次いで接続部材の第2の部分が突出部に配置され、支持体の上面(または下面)に載置される。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの突出部は、保持領域とは反対側の方向に先細りしたスパイクとして形成されているように、構成される。これによって、導体および支持体を通って貫通する開口部を事前に形成することなく、接続部材を支持体もしくは導体に挿入することができる。したがって1つの作業ステップが節約される。
【0019】
本発明による保護対象の場合、接続部材の電気特性に対して高い要求が課されていない。したがって接続部材が低コストの材料から成るように、例えば単純な金属板から成るように、することができる。つまり接続部材は特別な電気特性を有する必要がなく、その理由は、生体用電極にとって好適なそのような特別な電気特性を、電気コンタクト媒体に接続されている導体だけが有していればよいからである。
【0020】
その際にこの導体は基本的に、どのような任意のジオメトリを有していてもよいけれども、本発明の好ましい実施例によれば、この導体を回転対称型または実質的に直方体状の導体プレートとして形成することができる。その際にこの導体プレートを少なくとも部分的に、変形されて拡張された領域を越えて突出させることができる。
【0021】
除細動の場合に低ノイズと脱分極とを電極において達成する目的で、今日では酸化還元対が用いられる。それらの酸化還元対を酸化もしくは還元させることができ、その際にそれらは少なくとも1つの電子を取り込むか、または少なくとも1つの電子を放出することができる。今日、このような脱分極のために多種多様な物質が用いられる。最も頻繁に用いられるのは、銀/塩化銀およびスズ/塩化スズである。とはいえ本発明のためには、電極の脱分極を可能にするあらゆる酸化還元対を考えることができる。この場合、酸化還元対を能動的に添加することができ、または反応によって場合によってはその場で生成することができる。
【0022】
例えば銀/塩化銀は比較的高価な物質であるので、本発明のさらなる態様に従い、導体には好ましくは一方の側に導電性材料が設けられており、この導電性材料が接続部材に、さらにはコンタクト媒体に直流接続されているように構成されていれば、十分である。
【0023】
導体に好ましくは一方の側で導電性材料を設ける措置によって、コストをさらに節約することができる。つまり本来の導体のためには、例えば金属またはプラスチックといった低コストの材料を用いることができる一方、生体用電極の好適な電気特性にとってクリティカルな、電気コンタクト媒体(特にジェル)への移行領域のところでは、例えば銀/塩化銀といった第2の導電性材料を用いることができる。この材料がこの領域で局所的にのみ設けられていれば、十分である。
【0024】
特に導体を、導電性材料が設けられたプラスチックシートから成るものとすることができる。
【0025】
総じて本発明の基礎を成す根本的な着想とは、信号導体のための接続部材を、これが電極において良好に係留されている一方、電気特性がほとんど問題にならず、ひいては低コストの材料を使用できるように形成する、ということである。
【0026】
他方、好適な電気信号導体のために設けられる比較的高価な材料は、電気コンタクト媒体(ジェル)への移行部における電気的にクリティカルな領域内だけで使用すればよい。この役割を担うのは導体である。ごく手短にまとめて言うとしたならば、導電性接続部材は、電気導体の基本特性を除けば、主として「機械的なこと」についての役割を担っている、ということである。逆に導体の場合については、導体は特別な機械特性を満たす必要はなく、電気コンタクト媒体(ジェル)への移行個所の領域においてのみ、そのために好適な材料から成るようにすればよい。このかぎりでは導体は、特別な機械的役割を持つことなく「電気的なこと」についての役割を担っている。
【0027】
本発明のさらなる利点および詳細な点については、以下の図面の説明に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】完成した電極に至るまでの本発明による電極の1つの実施例の製造ステップを下面(後で皮膚と向き合う側)から見た概略図である。
図2】完成した電極に至るまでの本発明による電極の1つの実施例の製造ステップを上面から見た概略図であって、この場合にはプロセスステップの一部だけが上面図として描かれた図である。
図3図1の線A-Aに沿って一連の断面を示す図であって、この場合には見やすくするために概略図として解されるべき図である。
図4】欠落
図5】欠落
図6】欠落
図7】完成した電極に至るまでの本発明による電極のさらなる実施例の製造ステップを下面(後で皮膚と向き合う側)から見た概略図である。
図8】完成した電極に至るまでの本発明による電極のさらなる実施例の製造ステップを上面から見た概略図であって、この場合にはプロセスステップの一部だけが上面図として描かれた図である。
図9図7の線A-Aに沿って一連の断面を示す図であって、この場合には見やすくするために概略図として解されるべき図である。
図10】接着剤層を備えた本発明による支持体の1つの実施例を下面から見た概略図である。
図11】接着剤層を備えた本発明による支持体のさらなる実施例を下面から見た概略図である。
図12a】本発明による接続部材の1つの実施例を側面から見た概略図である。
図12b】本発明による接続部材の1つの実施例を上面から見た概略図である。
図13a】本発明による接続部材を支持体内に係留するプロセスを側面から見た概略図である。
図13b】本発明による接続部材を支持体内に係留するプロセスを上面(後で皮膚とは反対側になる側)から見た概略図である。
図14a】本発明による接続部材のさらなる実施例の概略図である。
図14b】本発明による接続部材のさらなる実施例の概略図である。
図15a】本発明による接続部材のさらなる実施例を側面から見た概略図である。
図15b】本発明による接続部材のさらなる実施例を上側から見た概略図である。
図16a】本発明による接続部材のさらなる実施例を側面から見た概略図である。
図16b】本発明による接続部材のさらなる実施例を上面から見た概略図である。
図17a】本発明による接続部材のさらなる実施例を側面から見た概略図である。
図17b】本発明による接続部材のさらなる実施例を上側から見た概略図である。
図18】2つの部分から成る接続部材を有するさらなる実施例の分解組立図である。
図19】完成した電極に至るまでの本発明による電極の1つの実施例(2つの部分から成る接続部材)の製造ステップを下面(後で皮膚と向き合う側)から見た概略図である。
図20】完成した電極に至るまでの本発明による電極の1つの実施例の製造ステップを上面から見た概略図であって、この場合にはプロセスステップの一部だけが上面図として描かれた図である。
図21図18の線A-Aに沿って一連の断面を示す図であって、この場合には見やすくするために概略図として解されるべき図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1図3を次に参照しながら、人間の皮膚に被着するための本発明による電極の1つの実施例の製造方法の流れについて詳しく説明する。
【0030】
ここでは非導電性支持体1から出発する。支持体材料は、電極の電気構成要素を係留するために用いられる。この材料を例えば、(フレキシブルな)シートから(例えばPETまたはTPUから)成るものとすることができ、このシートは、図1の描き方では上を向いている下面上で全体的または部分的に、接着剤によってコーティングされており、この接着剤を例えば粘着性(pressure sensitive adhesive)または熱活性可能(hot melt)であるように設計することができる。
【0031】
これに続き次のステップにおいて、この支持体材料に回転対称型の導体3が固定され、特に接着または印刷される。この導体は、本発明の好ましい変形実施形態によれば、2つの異なる導電性材料、または1つの非導電性材料3bと1つの導電性材料3aとを有し、ここで導電性材料3aもしくは2つの導電性材料のうちの一方は、後で電気接続部材2に、さらにコンタクト媒体4(ジェル)に、直流接続される。
【0032】
図示されている実施例の場合には、これはプラスチックシートから成る黒もしくは灰色で描かれた円形の導体3である。ただし導体3を金属から、またはカーボンファイバでドーピングされた導電性プラスチックから成るものとすることもできる。
【0033】
後で電気コンタクト媒体4(ジェル)との接触個所になる領域内において、この導体3は、例えば銀/塩化銀またはスズ/塩化スズまたは他の酸化還元対から成る層3aによってコーティングされている。
【0034】
次いでこれに続くステップにおいて、電気導体3および支持体1を通って開口部8が設けられる。これを例えば打ち抜き加工によって行うことができる。次いでこれに続き接続部材2の挿入が行われ、この接続部材2は、支持体1および導体3の下面を越えて突出した突出部2bを有する。
【0035】
接続部材2は、図示の実施例の場合、実質的に球状のヘッド2cに続いて、直径が低減されたネック2dを有し、このネック2dに、フランジ状に側方に突出した保持領域2eおよび突出部2bがつながっている。
【0036】
全体として、側方に突出したフランジ状の保持領域2eは、実質的に皿状に形成されている。保持領域2eは、接続部材2にもたらされる圧縮力を支持体1に分散して伝達する役割を果たす。
【0037】
一方では電気導体3に接続されており、他方では(ここには図示されていない)信号導体の取り外し可能な接続のための接続個所2aを有する、単一部分から成る接続部材2を使用すれば、これによって低コストの電極製造が可能となり、その理由は、大抵はコストのかかるアイレット(下部ボタン)を省略することができるからである。機械的な係留のためには、接続部材をこのように一体的に形成すれば十分である。
【0038】
電気特性に対する要求は低い。したがって、例えば深絞り加工された金属のような簡単な構造物を、接続部材2として用いることができる。つまりいくらか扱いにくい電気的役割を担うのはここでは、これまでは一般的であったアイレット(下部ボタン)ではなく、後で被着される電気コンタクト媒体4(ジェル)に接続される導体3である。
【0039】
つまり役割の分離が行われるのである。電気接続部材2は、導電性であるという基本特性を除き、実質的に電極内での機械的保持の役割を担うのに対し、導体3は機械的役割について大幅に免除されている。これによって好適な材料選択を行うことができる。特に、電気的視点から好適である比較的高価な材料を、後でジェルとの接触が行われことになる場所(個所3a)だけに設けることができる。
【0040】
導電性接続部材2を、既述のように深絞り加工された金属板から成るものとすることができる。この場合には、これは内部において少なくとも部分的に中空である。ただし接続部材2を導電性プラスチックから成るものとすることもでき、例えば導電性カーボンファイバでドーピングされたABSから成るものとすることができる。
【0041】
好適には、接続部材は実質的に回転対称に形成される。他の変形実施形態も可能である。
【0042】
電気接続部材2を最終的に電極内に固定し、特に引張荷重に対しても保護する目的で、次のステップにおいて、変形されて拡張された領域BZが形成されるように、突出部2bが変形される。
【0043】
この場合、突出部2bの変形を、溶融、フランジング加工、拡開または折り曲げによって行うことができる。ただし任意の他の適切な方法も適用可能である。
【0044】
突出部2bの変形によって、変形されて拡張された領域BZを介して、接続部材2と導体3の導電性材料3aとの間の直流接続が形成され、他方、形状および/または力の作用による結合によって、支持体1における接続部材2の機械的固定が形成される。
【0045】
次いで支持体1の下面にプラスタ層7が被着され、特に接着され、その際にこのプラスタ層は好ましくは、電極を固定する目的で、生体適合性のある接着剤から成る患者側のコーティングによって皮膚に貼り付け可能である。
【0046】
この場合、プラスタ層を、この層の上に被着され粘着剤または熱活性可能接着剤から成る層を介して、支持体1に接着させることも可能である。
【0047】
プラスタ材料は最終的に、電極を患者の皮膚に固定するために用いられる。適切なプラスタ材料を例えば、シート(例えばPE)、発泡テープ(例えばPE発泡体)、または不織布から成るものとすることができる。プラスタ材料は一般に患者側において、生体適合性のある接着剤によってコーティングされている。
【0048】
図1図3による最後の電極製造ステップにおいて、電気コンタクト媒体4がそのために設けられたプラスタ材料7内の凹部に挿入される。電気コンタクト媒体4によって、人体で生成される電位または装置で生成される測定電流または刺激電流を、人体表面(皮膚)から電気接続部材2に、または逆方向に、(好ましくはイオンベースで)導くことができる。コンタクト媒体4を例えば、塩化物でドーピングされたジェルから成るものとすることができ、これは程度の差こそあれ液体状で(程度の差こそあれゼリー状にされて)、または架橋ポリママトリクス(ハイドロジェル)として存在する。ただし電気コンタクト媒体4を別の手段によって、例えば導電性接着剤として、または塩溶液が充填されたスポンジとして、形成することも可能である。
【0049】
いずれにせよ、図1図3の最後のステップが示すように、電気コンタクト媒体4がプラスタ材料7内の凹部に挿入される。電気コンタクト媒体4は、その中で導電性材料3a(特に銀/塩化銀)に接触する。
【0050】
導電性材料3aの共働によって、特に、一方では銀/塩化銀または他の適切な材料、他方では導電性コンタクト媒体4の材料によるコーティングによって、例えばノイズのない信号伝送または脱分極作用といった電極の好適な電気特性を達成することができ、その際に導体3の比較的高価な導電性材料3aの使用を、コンタクト媒体4との接触が行われる領域に制限したままにすることができる。これによってコストがさらに低減される。
【0051】
総じて、図1図3による製造において「中央」電極がもたらされ、これによれば接続部材2とコンタクト媒体4(ジェル)が直接、上下に配置されている。
【0052】
図1図3による実施例に関して重要なプロセスステップは以下の通りである。
・皮膚と向き合う非導電性支持体(1)の下面に導体(3)を配置する、好ましくは接着または印刷する。
・支持体(1)を通して接続部材(2)を、支持体(1)の下面または上面において接続部材(2)の突出部(2b)が突出し、接続部材(2)が、好ましくは側方に突出した皿状の保持領域(2e)によって、支持体(1)の上面または下面に当接するように、挿入する。
・接続部材(2)と導体(3)との間の導電接続と、支持体(1)における接続部材(2)の機械的固定と、が形成されるように、接続部材(2)を支持体(1)に係留する。
【0053】
次いで最終的に、電極を完成させるために以下のステップがおかれている。
・皮膚側で接着を行うプラスタ層7を支持体1に被着する、好ましくは接着する。
・電気コンタクト媒体4、好ましくはジェル、をプラスタ層7の凹部に、その下に位置する導体3に接触するように、挿入する。
【0054】
変形されて拡張された領域BZを、円形ではなく薄板状に形成することもできる。変形されて拡張された領域BZは、基本的にはいかなる任意の形状を有していてもよい。
【0055】
図7図9に示されている実施例の場合、ほとんどのプロセスステップは図1図3におけるものと一致しており、そのため同じ参照符号はやはり同じ部分を表している。
【0056】
相違点は実質的に、電極を患者の皮膚に貼り付けるために、支持体1に生体適合性のある接着剤層11が設けられている、という点にある。このようにすれば、プラスタ層7を省くことができ、さらなるプロセスステップを節約することができる。
【0057】
この場合、接着剤層11を、導体3を支持体1に被着する前または後に被着することができ、もしくは接着剤層11はすでに支持体1の出発材料に被着される。
【0058】
図10および図11には、接着剤層11を被着するための上述の変形実施形態が示されている。図10の場合、接着剤11がすでに支持体1に設けられており、もしくは導体3を被着する前に被着される。この場合、導体3は、接着剤層11に隣接して被着される。その際に導体3を接着剤層11によって保持することができ、これによって導体3を付加的に支持体1に接着する必要がない。
【0059】
図11の場合、導体3が支持体1に被着され、次いで接着剤層11が支持体1に被着される。この場合、導体3が接着剤11によって隠蔽されないように、切欠11aが設けられている。
【0060】
図12aおよび図12bには、本発明による接続部材2の1つの実施例が示されている。ここで見て取れるように、接続部材2は翼状セグメント9を有し、これらは接続部材2の突出部も保持領域も成している。この場合、水平位置Hに対し傾斜させられた翼状セグメント区間9aを、等しい長さまたはそれぞれ異なる長さで形成することができる。支持体1および導体3における貫通を容易にするため、翼状セグメント9を少なくとも部分的に角が尖っているように形成することも考えられる。
【0061】
図13aおよび図13bには、図12aおよび図12bに示したような接続部材2を用いて、本発明による接続部材を支持体に係留するプロセスの様子が概略的に示されている。
【0062】
第1のステップにおいてこの目的で接続部材2が、後で皮膚とは反対側になる支持体1の上面から、支持体1と支持体1の下面に被着された図示されていない導体3とを通るように押圧される。つまり接続部材2は翼状セグメント区間9aによって、支持体1と導体3とを貫通する。
【0063】
次のステップにおいて、接続部材2が方向Dに捩られる。これによって、接続部材2が支持体1にいっそう良好に係留されるようになる。
【0064】
最後のステップにおいて、翼状セグメント区間9aが支持体1の下面の方向に水平位置Hを越えて上に向かって折り曲げられ、これによって支持体1および導体3の挟持が達成される。かくして、接続部材2と導体3との電気的接続および支持体1における接続部材2の機械的固定も保証される。ただし翼状セグメント区間が水平位置Hにあるようにするまでしか、翼状セグメント区間が上に向かって折り曲げられないようにすることも可能である。
【0065】
図14aには、接続部材2の1つの実施例が示されており、これによれば突出部2bが先細りしたスパイクとして形成されている。これによって、導体3および支持体1を通って貫通する開口部8を事前に形成することなく、接続部材2を支持体1もしくは導体3に挿入することができる。したがって1つの作業ステップが節約される。
【0066】
図14bには、接続部材2の1つの実施例が示されており、これによれば2つの突出部2bが先細りしたスパイクとして形成されている。ただし任意の個数の突出部2bを設けることができる。しかも、スパイク状ではないように形成された複数の突出部2bを設けることもできる。この場合、複数の突出部2bを回転対称に、または非回転対称に、接続部材2に配置することができる。
【0067】
図15a~図17bには、接続部材2の実施例が示されており、これによれば接続部材2の突出部およびフランジ状の保持領域が、少なくとも1つの第1のセグメント5および少なくとも1つの第2のセグメント6から形成される。
【0068】
第2のセグメント6が第1のセグメント5よりも長く形成されることも見て取れる。セグメント5、6を同じ長さに形成することもできるし、またはセグメント5をセグメント6よりも長く形成することもできる。
【0069】
図15aには、接続部材を正面から見た様子が示されており、この場合、すべてのセグメント5、6が水平位置Hにある。図15bには、これに対応して上面から見た様子が示されている。
【0070】
図16aには、接続部材を正面から見た様子が示されており、この場合、セグメント5は水平位置Hに、セグメント6は垂直位置Vにある。図16bには、これに対応して上面から見た様子が示されている。
【0071】
図17aには、接続部材を正面から見た様子が示されており、この場合、すべてのセグメント5、6が垂直位置Vにある。図17bには、これに対応して上面から見た様子が示されている。
【0072】
図15aおよび図15bによる接続部材2の場合、接続部材2を支持体1に挿入する前に、少なくとも2つのセグメント5、6のうち少なくとも1つの第1のセグメント5が垂直位置Vに移行させられ、接続部材2が支持体1に挿入された後、この少なくとも1つの第1のセグメント5が再び水平位置Hに移行させられる。
【0073】
図17aおよび図17bによる接続部材2の実施例の場合、接続部材2を支持体1に挿入する前に、少なくとも1つの第1のセグメント5が水平位置Hに移行させられ、接続部材2が支持体1に挿入された後、少なくとも1つの第2のセグメント6が水平位置Hに移行させられる。
【0074】
図18に示されているさらなる実施例は、2つの部分から成る接続部材を備えた中央電極である。接続部材2の2つの部分は、参照符号2’および2’’によって表されている。組み立てにあたり接続部材2のこれら2つの部分2’、2’’は、それぞれ異なる側から開口部8、支持体1および導体3に挿入され、差込結合される。これらの部分が単に挟持し合いながら結合されているようにすることができる。ただし、これら両方の部分2’、2’’を他の形式で結合することも可能であり、例えばネックの締め付け結合、接着、溶接または半田付けによって、結合することも可能である。
【0075】
図18にはさらに、支持体1に向かって延びる仮想の法線Nが書き込まれており、この法線Nは、好ましくは中央または中心で接続部材2を通って延びている。この仮想の法線Nは、やはり好ましくは中心でリング状に形成された導体3を通って(正確に言えば、導体リングの開口部を通って)延びており、さらにコンタクト媒体4を通って、そこにおいても好ましくは中央を通って延びている。つまりこの中央電極の場合、複数の部分すなわち接続部材2と導体3とコンタクト媒体4とがまっすぐ上下に位置しており、互いに側方にはずらされておらず、図18の場合のように好ましくは全くずらされておらず、あるいは法線Nが依然として3つの部分2、3および4すべて(またはそれらに設けられた開口部)を通って延びるように、またはそれらの部分と交差するように、ごく僅かにしかずらされていない。
【0076】
回転対称の構成要素の場合、「中心で」とは、中心点を通って延びている状態を意味する。非回転対称の構成要素の場合、「中心で」とは、上面から見た平面の重心を通って延びている状態を意味する。
【0077】
図19図21に示されている実施例の場合、ほとんどのプロセスステップは図1図3におけるものと一致しており、そのため同じ参照符号はやはり同じ部分を表している。
【0078】
相違点は実質的に、2つの部分から成る接続部材2が設けられる、という点にある。この場合、第1の部分2’および第2の部分2’’は、支持体1のそれぞれ異なる側から近づけられ、差込結合される。
【0079】
次いで接続部材2の第2の部分2’’における下方の保持領域2fが、支持体1または導体3に当接し、これにより後でコンタクト媒体4と向き合う導体3の側を隠蔽する。しかもこれによって、接続部材2と導体3との間の直流接続が形成される。この下方の保持領域2fは機能的には実質的に、先に挙げた実施例における変形されて拡張された領域BZに対応する。
【符号の説明】
【0080】
1 支持体
2 接続部材
2’ 接続部材2の第1の部分
2’’ 接続部材2の第2の部分
2a 接続個所
2b 突出部
2c ヘッド
2d ネック
2e 保持領域
2f 下方の保持領域
3 導体
3a 導電性材料
3b 非導電性材料
4 コンタクト媒体
5 第1のセグメント
6 第2のセグメント
7 プラスタ層
8 開口部
9 翼状セグメント
9a 翼状セグメント区間
11 接着層(スピリットガム)
11a 切欠
H 水平
N 法線
V 垂直
BZ 変形されて拡張された領域
図1
図2
図3
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b
図15a
図15b
図16a
図16b
図17a
図17b
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】