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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(54)【発明の名称】EBV特異的免疫細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/078 20100101AFI20220616BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20220616BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220616BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220616BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220616BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20220616BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220616BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20220616BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
C12N5/078
C12Q1/02
A61K35/17 Z
A61P35/00
A61P35/02
A61P31/22
A61P11/02
A61P11/04
A61P1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562004
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(85)【翻訳文提出日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 US2020027456
(87)【国際公開番号】W WO2020214479
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】16/388,776
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーニー、クリオナ エム.
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、サンディヤー
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B063QA20
4B063QQ10
4B063QR48
4B063QR77
4B063QS40
4B063QX10
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BD39
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB33
(57)【要約】
エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞を含む免疫細胞の集団を生成させる/拡大するための方法であって、末梢血単核細胞(PBMC)を、(i)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドと、あるいは(ii)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激することを含む方法が開示される。そのような方法に従って拡大される、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を含む免疫細胞の集団、およびその使用もまた開示される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞を含む免疫細胞の集団を生成させるための、または拡大するための方法であって、末梢血単核細胞(PBMC)を、(i)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドと、あるいは(ii)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激することを含む方法。
【請求項2】
EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞を、1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示するAPCと接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞を再刺激することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを含む免疫細胞の集団を生成させるための、または拡大するための方法であって、末梢血単核細胞(PBMC)を、(i)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチド、および1つまたは複数のEBV潜伏抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドと、あるいは(ii)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチド、および1つまたは複数のEBV潜伏抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを刺激することを含む方法。
【請求項4】
EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な前記免疫細胞とを、1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチド、およびEBV潜伏抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示するAPCと接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な前記免疫細胞とを再刺激することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数のEBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5およびBDLF3から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数のEBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2およびBDLF3から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数のEBV潜伏抗原が、EBNA1、EBNA-LP、EBNA2、EBNA3A、EBNA3B、EBNA3C、BARF1、LMP1、LMP2AおよびLMP2Bから選択される、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数のEBV潜伏抗原が、EBNA1、LMP1、LMP2AおよびLMP2Bから選択される、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記PBMCが、CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法によって得られる、または得ることができる単離された免疫細胞集団。
【請求項11】
エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞を含む単離された免疫細胞集団。
【請求項12】
エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを含む単離された免疫細胞集団。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか一項に記載の単離された免疫細胞集団を含む医薬組成物。
【請求項14】
疾患または障害の処置または防止の方法において使用するための、請求項10~12のいずれか一項に記載の単離された免疫細胞集団または請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
疾患または障害の処置または防止の方法において使用するための医薬品の製造における、請求項10~12のいずれか一項に記載の単離された免疫細胞集団または請求項13に記載の医薬組成物の使用。
【請求項16】
随伴する疾患または障害を処置するための、または防止するための方法であって、請求項10~12のいずれか一項に記載の単離された免疫細胞集団または請求項13に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項17】
前記疾患または障害が、EBV感染に伴う疾患または障害である、請求項14に記載の使用するための単離された免疫細胞集団または医薬組成物、請求項15に記載の使用、あるいは請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患または障害がガンである、請求項14に記載の使用するための単離された免疫細胞集団または医薬組成物、請求項15に記載の使用、あるいは請求項16に記載の方法。
【請求項19】
EBV感染に伴う前記疾患または障害がEBV随伴ガンである、請求項17に記載の使用するための単離された免疫細胞集団または医薬組成物、使用、あるいは方法。
【請求項20】
前記ガンがEBV随伴ガンである、請求項18に記載の使用するための単離された免疫細胞集団または医薬組成物、使用、あるいは方法。
【請求項21】
前記EBV随伴ガンが、EBV陽性リンパ腫、EBV陽性鼻咽頭ガンおよびEBV陽性胃ガンから選択される、請求項19または請求項20に記載の使用するための単離された免疫細胞集団または医薬組成物、使用、あるいは方法。
【請求項22】
EBVに感染した細胞を殺傷するための方法であって、EBVに感染した細胞を請求項10~12のいずれか一項に記載の単離された免疫細胞集団または請求項13に記載の医薬組成物と接触させることを含む方法。
【請求項23】
EBVに感染した細胞を殺傷するための、請求項10~12のいずれか一項に記載の単離された免疫細胞集団または請求項13に記載の医薬組成物の使用。
【請求項24】
ガン細胞を殺傷するための方法であって、ガン細胞を請求項10~12のいずれか一項に記載の単離された免疫細胞集団または請求項13に記載の医薬組成物と接触させることを含む方法。
【請求項25】
ガン細胞を殺傷するための、請求項10~12のいずれか一項に記載の単離された免疫細胞集団または請求項13に記載の医薬組成物の使用。
【請求項26】
前記ガン細胞にはEBVが感染している、請求項24または請求項25に記載の方法または使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許出願第16/388,776号(2019年4月18日出願;その内容および要素はすべての目的のためにそれらの全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、少なくとも分子生物学および細胞生物学、免疫学の分野に関連し、医学的処置および予防の方法にも関連する。
【連邦政府援助による研究または開発に関する言及】
【0003】
本発明は、国立衛生研究所によって認められる助成金番号CA126752のもとでの政府支援を受けて行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
40%前後のリンパ腫、すべての未分化鼻咽頭ガン(NPC)、および約10%の胃ガンが、エプスタイン・バーウイルス(EBV)のゲノムを保有しており、養子移入されたEBV特異的T細胞(EBVST)によって標的とされ得るウイルスタンパク質を発現する。
【0005】
免疫抑制状況外で生じるEBV+悪性腫瘍は約90個のEBVタンパク質のうちの1~4個しか発現しておらず、これらの抗原は免疫原性が不十分ではあるが、EBVSTのための標的抗原をもたらしている。
【0006】
EBV陽性の悪性腫瘍を処置するためのEBV特異的T細胞の使用に関する進行中の臨床試験では、EBV形質転換B細胞がEBV特異的T細胞の拡大において用いられ(NCT02578641)、またはPBMCをEBVのII型潜伏期抗原に対応するペプチドにより刺激することが伴う(NCT01555892)。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、EBV溶解抗原に対応するペプチドが、EBV随伴疾患の処置のために有用であるEBV特異的免疫細胞の集団を生成させる/拡大するために使用することができるという予想外の発見に基づく。
【0008】
EBV随伴疾患におけるEBVに感染した細胞がEBV潜伏抗原の実質的な発現を示すだけであるという事実にもかかわらず、本発明者らは、EBV溶解抗原のペプチドを使用して免疫細胞を刺激することによって生成させられる/拡大される免疫細胞の集団がEBV感染細胞に対する細胞溶解活性を示すことを本明細書中において明らかにする。そのうえ、EBV溶解抗原のペプチドを使用して免疫細胞を刺激することによって生成させられる/拡大される免疫細胞の集団が、EBV潜伏抗原のペプチドを使用して免疫細胞を刺激することによって生成させられる/拡大される免疫細胞の集団と比較した場合、EBV陽性ガンをインビボで処置する類似した能力または改善された能力を示すことが明らかにされる。
【0009】
別の予想外の発見が、EBV溶解抗原およびEBV潜伏抗原の両方を刺激において使用する方法は、拡大された集団におけるEBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞の頻度の実質的な低下をもたらさなかったということであった。
【0010】
本発明者らはさらに、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを含む免疫細胞の集団が、EBV随伴疾患を処置するために、EBV潜伏抗原のみについて特異的な免疫細胞を含む免疫細胞の集団よりも効果的であることを明らかにする。
【0011】
第1の局面において、本開示は、エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞を含む免疫細胞の集団を生成させるための、または拡大するための方法であって、末梢血単核細胞(PBMC)を、(i)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドと、あるいは(ii)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激することを含む方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞を、1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示するAPCと接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞を再刺激することを含む。
【0013】
また、エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを含む免疫細胞の集団を生成させるための、または拡大するための方法であって、末梢血単核細胞(PBMC)を、(i)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチド、および1つまたは複数のEBV潜伏抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドと、あるいは(ii)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチド、および1つまたは複数のEBV潜伏抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを刺激することを含む方法が提供される。
【0014】
いくつかの実施形態において、本方法はさらに、EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な前記免疫細胞とを、1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチド、およびEBV潜伏抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示するAPCと接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な前記免疫細胞とを再刺激することを含む。
【0015】
本開示の様々な局面によるいくつかの実施形態において、1つまたは複数のEBV溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5およびBDLF3から選択される。本開示の様々な局面によるいくつかの実施形態において、1つまたは複数のEBV溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5、BDLF3およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のEBV溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2およびBDLF3から選択される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のEBV溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2、BDLF3およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のEBV潜伏抗原は、EBNA1、EBNA-LP、EBNA2、EBNA3A、EBNA3B、EBNA3C、BARF1、LMP1、LMP2AおよびLMP2Bから選択される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のEBV潜伏抗原は、EBNA1、EBNA-LP、EBNA2、EBNA3A、EBNA3B、EBNA3C、BARF1、LMP1、LMP2A、LMP2Bおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のEBV潜伏抗原は、EBNA1、LMP1、LMP2AおよびLMP2Bから選択される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のEBV潜伏抗原は、EBNA1、LMP1、LMP2A、LMP2Bおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、PBMCは、CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCである。
【0020】
本開示による方法によって得られる、または得ることができる単離された免疫細胞集団もまた提供される。
【0021】
エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞を含む単離された免疫細胞集団もまた提供される。
【0022】
エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを含む単離された免疫細胞集団もまた提供される。
【0023】
本開示による単離された免疫細胞集団を含む医薬組成物もまた提供される。
【0024】
疾患または障害の処置または防止を行うための方法において使用するための本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物もまた提供される。
【0025】
疾患または障害の処置または防止の方法において使用するための医薬品の製造における本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物の使用もまた提供される。
【0026】
疾患または障害を処置するための、または防止するための方法であって、本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物を対象に投与することを含む方法もまた提供される。
【0027】
EBV感染に伴う疾患または障害の処置または防止の方法において使用するための本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物もまた提供される。
【0028】
EBV感染に伴う疾患または障害の処置または防止の方法において使用するための医薬品の製造における本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物の使用もまた提供される。
【0029】
EBV感染に伴う疾患または障害を処置するための、または防止するための方法であって、本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物を対象に投与することを含む方法もまた提供される。
【0030】
ガンの処置または防止の方法において使用するための本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物もまた提供される。
【0031】
ガンの処置または防止の方法において使用するための医薬品の製造における本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物の使用もまた提供される。
【0032】
ガンを処置するための、または防止するための方法であって、本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物を対象に投与することを含む方法もまた提供される。
【0033】
本開示の様々な局面によるいくつかの実施形態において、EBV感染に伴う疾患または障害はEBV随伴ガンである。
【0034】
本開示の様々な局面によるいくつかの実施形態において、ガンはEBV随伴ガンである。
【0035】
いくつかの実施形態において、EBV随伴ガンは、EBV陽性リンパ腫、EBV陽性鼻咽頭ガンおよびEBV陽性胃ガンから選択される。
【0036】
EBVに感染した細胞を殺傷するための方法であって、EBVに感染した細胞を本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物と接触させることを含む方法もまた提供される。本方法はインビトロ方法またはインビボ方法である場合がある。
【0037】
EBVに感染した細胞を殺傷するための、本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物の使用もまた提供される。
【0038】
ガン細胞を殺傷するための方法であって、ガン細胞を本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物と接触させることを含む方法もまた提供される。本方法はインビトロ方法またはインビボ方法である場合がある。
【0039】
ガン細胞を殺傷するための、本開示による単離された免疫細胞集団または医薬組成物の使用もまた提供される。
【0040】
いくつかの実施形態において、ガン細胞はEBVに感染している。
【発明の詳細な説明】
【0041】
本開示は、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞はEBV感染細胞を殺傷することができ、加えて、EBV潜伏抗原およびEBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を含む細胞の集団が、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞を含むだけである細胞の集団と比較した場合、EBV陽性悪性腫瘍を抑制する改善された能力を示すという予想外の発見に基づく。
【0042】
エプスタイン・バーウイルスの複製
エプスタイン・バーウイルス(EBV)のウイルス学が、例えば、StanfieldおよびLuftiq、F1000Res.(2017)6:386、およびOdumade他、Clin Microbiol Rev(2011)24(1):193-209に記載される(これらの両方が全体において参照によってここに組み込まれる)。
【0043】
EBVは、ウイルスのタンパク質BMRF2がβ1インテグリンに結合すること、ならびにウイルスのタンパク質gH/gLがインテグリンのavβ6およびavβ8と結合することを介して上皮細胞に感染する。EBVは、ウイルスの糖タンパク質gp350がCD21および/またはCD35と相互作用することを介して、その後、ウイルスのgp42がMHCクラスIIと相互作用することによってB細胞に感染する。これらの相互作用はウイルスエンベロープの細胞膜との融合を引き起こし、これにより、ウイルスは細胞に入ることができる。細胞内に入ると、ウイルスのカプシドが溶解し、ウイルスのゲノムが核に輸送される。
【0044】
EBVは、潜伏および溶解の2つの複製様式を有する。
【0045】
潜伏サイクルはビリオンの産生をもたらさず、B細胞および上皮細胞において生じ得る。EBVゲノムの環状DNAがエピソームとして細胞核に存在し、宿主細胞のDNAポリメラーゼによってコピーされる。潜伏期において、EBVの遺伝子の一部のみが、異なった様々な一組のウイルスタンパク質およびウイルスRNAを生じさせる潜伏期プログラムとして知られている3つの異なるパターンの1つで発現される。この潜伏サイクルが、例えば、AmonおよびFarrell、Reviews in Medical Virology(2004)15(3):149-56に記載される(これは全体が参照によってここに組み込まれる)。
【0046】
EBNA1タンパク質と、非コードRNAのEBERとが、潜伏期プログラムI~IIIのそれぞれで発現する。潜伏期プログラムIIおよびIIIではさらに、EBNALP、LMP1、LMP2AおよびLMP2Bタンパク質の発現が伴い、潜伏期プログラムIIIではさらに、EBNA2、EBNA3A、EBNA3BおよびEBNA3Cの発現が伴う。
【0047】
EBNA1は多機能であり、遺伝子調節、染色体外複製、ならびにウイルスプロモーターの正の調節および負の調節を介したEBVエピソームゲノムの維持において役割を果たしている(Duellman他、J Gen Virol.(2009);90(Pt 9):2251-2259)。EBNA2は潜伏ウイルスの転写の調節に関与し、EBVに感染した細胞の不死化に寄与している(KempkesおよびLing、Curr Top Microbiol Immunol.(2015)391:35-59)。EBNA-LPは生来的B細胞の形質転換のために要求され、転写因子をウイルス複製のために動員する(Szymula他、PLoS Pathog.(2018);14(2):e1006890)。EBNA3A、EBNA3BおよびEBNA3CはRBPJと相互作用して、遺伝子発現に影響を与え、これにより、感染細胞の生存および成長に寄与している(Wang他、J Virol.(2016)90(6):2906-2919)。LMP1は、B細胞活性化に関与する遺伝子の発現を調節している(Chang他、J.Biomed.Sci.(2003)10(5):490-504)。LMP2AおよびLMP2Bは、活性化されたB細胞受容体を模倣することによって正常なB細胞シグナル伝達を阻害している(PortisおよびLongnecker、Oncogene(2004)23(53):8619-8628)。様々なEBERが宿主細胞タンパク質とのリボ核タンパク質複合体を形成し、細胞形質転換において役割を果たすことが提案されている。
【0048】
潜伏サイクルはB細胞では潜伏期プログラムI~潜伏期プログラムIIIのいずれかに従って進行することができ、通常の場合、III→II→Iと進行する。休止ナイーブB細胞に感染すると、EBVは潜伏期プログラムIIIに入る。潜伏期III遺伝子の発現により、B細胞は活性化され、これにより増殖性芽球となる。その後、EBVは典型的には、発現を、芽球がメモリーB細胞に分化することを引き起こす遺伝子のサブセットに制限することによって潜伏期IIに進行する。遺伝子発現のさらなる制限により、EBVが潜伏期Iに入ることが引き起こされる。EBNA1の発現により、EBVが複製することが、メモリーB細胞が分裂するときに可能となる。上皮細胞では、潜伏期IIのみが起こる。
【0049】
一次感染において、EBVは中咽頭上皮細胞において複製し、潜伏期III、IIおよびI感染をBリンパ球において確立する。Bリンパ球のEBV潜伏感染が、ウイルス持続性、上皮細胞におけるその後の複製、および唾液内への感染性ウイルスの放出のために必要である。Bリンパ球のEBV潜伏期III感染および潜伏期II感染、口腔上皮細胞の潜伏期II感染、ならびにNK細胞またはT細胞の潜伏期II感染は、一様なEBVゲノムの存在および遺伝子発現によって特徴づけられる様々な悪性腫瘍をもたらすことがある。[26]
【0050】
B細胞における潜伏EBVは、溶解複製に切り替わるために再活性化されることがある。溶解サイクルは感染性ビリオンの産生をもたらし、B細胞および上皮細胞において起こることがあり、例えば、Arvin他、Human Herpesviruses:Biology,Therapy and Immunoprophylaxis(Cambridge University Press(2007))の第25章においてKenneyによって総説される(これは全体が参照によってここに組み込まれる)。
【0051】
溶解複製では、EBVゲノムは線状であることが要求される。潜伏EBVゲノムはエピソーム状であり、したがって、溶解を引き起こす再活性化のために線状化されなければならない。B細胞において、溶解複製は通常、潜伏期からの再活性化の後で起こるだけである。
【0052】
最初期溶解遺伝子産物、例えば、BZLF1およびBRLF1などが、それら自身の発現、および後での溶解サイクル遺伝子の発現を高めるトランス活性化因子として作用する。
【0053】
様々な初期溶解遺伝子産物が様々な役割をウイルス複製において(例えば、EBVのDNAポリメラーゼ触媒成分であるBALF5;DNAポリメラーゼ進行性因子BMRF1、DNA結合タンパク質BALF2、ヘリカーゼBBLF4、プライマーゼBSLF1、およびプライマーゼ関連タンパク質BBLF2/3)、また、デオキシヌクレオチド代謝において果たしている(例えば、チミジンキナーゼBXLF1、dUTPアーゼBORF2)。他の初期溶解遺伝子産物が転写因子のようにふるまい(例えば、BMRF1、BRRF1)、RNAの安定性およびプロセシングにおいて役割を有し(例えば、BMLF1)、または免疫回避に関与する(例えば、アポトーシスを阻害するBHRF1)。
【0054】
様々な後期溶解遺伝子産物が、ウイルス複製が開始された後で発現するものとして従来より分類されている。それらは一般に、EBVの結合および融合を媒介する糖タンパク質(例えば、gp350/220、gp85、gp42、gp25)だけでなく、ビリオンの構造的成分、例えば、ヌクレオカプシドタンパク質などをコードする。他の後期溶解遺伝子産物が免疫回避において役割を有する;BCLF1はIL-10のウイルスホモログをコードし、BALF1は、抗アポトーシスタンパク質Bcl2に対して相同性を有するタンパク質をコードする。
【0055】
EBV随伴ガンにおけるEBV抗原の発現
EBV陽性ガンにおいて発現するEBV抗原が、例えば、CraddockおよびHeslop、Update Cancer Ther.(2008)Mar;3(1):33-41、GottschalkおよびRooney、Curr Top Microbiol Immunol.(2015)391:427-454、およびShinozaki-Ushiku他、Int J Oncol.(2015)46(4):1421-34に記載される。
【0056】
免疫低下した対象、例えば、HSCTまたは実質臓器移植の後の対象、先天性免疫不全またはHIV感染を有する対象において生じるEBV随伴リンパ腫は、III型潜伏期を呈し、EBNA1、EBNA2、EBNA-LP、EBNA3A、EBNA3B、EBNA3C、BARF1、LMP1およびLMP2を発現する。EBV随伴EBV陽性のホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、いくつかのタイプおよびT細胞リンパ腫、NK細胞リンパ腫、いくつかの症例のB細胞リンパ腫および鼻咽頭ガンが、II型潜伏期を呈し、EBNA1、BARF1、LMP1およびLMP2を発現する。EBV陽性バーキットリンパ腫が、EBNA1およびBARF1を発現するI型潜伏期を呈する。EBV陽性胃ガンがI型またはII型の潜伏期を呈する。
【0057】
(溶解サイクル抗原ではなく)EBV潜伏抗原のみが免疫適格対象におけるEBV陽性ガン細胞の細胞によって発現されることが以前より考えられている。溶解サイクル遺伝子産物をコードする転写物が近年、胃ガン、鼻咽頭ガンおよびB細胞リンパ腫を含めて様々なEBV陽性悪性腫瘍において検出されている。
【0058】
EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞の集団を、EBV陽性ガンを有する患者または健常なドナー対象から生成させることが可能であるかどうか、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞がEBV感染細胞に対してエフェクター活性を示すであろうかどうか、あるいはEBV溶解抗原について特異的な免疫細胞の集団が、EBV随伴ガンを処置するために有用であるであろうかどうかは未だ明らかにされていない。
【0059】
EBV抗原
本開示の様々な局面が、様々なEBV抗原に対応するペプチドを用いる。
【0060】
本開示の様々な局面によるいくつかの実施形態において、EBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BARF1、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、FU、EBNA1-FUK、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5、BDLF3およびgp350から選択される。EBV溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BARF1、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、FU、EBNA1-FUK、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5、BDLF3、gp350およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、EBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5およびBDLF3から選択される。EBV溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5、BDLF3およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、EBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2およびBDLF3から選択される。EBV溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2、BDLF3およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。
【0061】
いくつかの実施形態において、EBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMRF1、BMLF1、BXLF1、BALF1、BLLF2、BALF2、BNLF2A、BNLF2BおよびBMRF2から選択される。EBV溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMRF1、BMLF1、BXLF1、BALF1、BLLF2、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、EBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMRF1、BMLF1、BXLF1、BALF1、BLLF2、BALF2およびBNLF2Aから選択される。EBV溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMRF1、BMLF1、BXLF1、BALF1、BLLF2、BALF2、BNLF2Aおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、EBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMRF1、BMLF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2BおよびBMRF2から選択される。EBV溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMRF1、BMLF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。
【0062】
いくつかの実施形態において、EBV溶解抗原が、最初期溶解抗原、初期溶解抗原または後期溶解抗原から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態において、最初期溶解抗原が、BZLF1、BRLF1およびBMRF1から選択される。最初期溶解抗原は、BZLF1、BRLF1、BMRF1およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。
【0064】
いくつかの実施形態において、初期溶解抗原が、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BARF1、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、FUおよびEBNA1-FUKから選択される。初期溶解抗原は、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BARF1、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、FU、EBNA1-FUKおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、初期溶解抗原が、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4およびBMRF2から選択される。初期溶解抗原は、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、初期溶解抗原が、BMLF1、BMRF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2BおよびBMRF2から選択される。初期溶解抗原は、BMLF1、BMRF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。
【0065】
いくつかの実施形態において、後期溶解抗原が、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5、BDLF3およびgp350から選択される。後期溶解抗原が、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5、BDLF3、gp350およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、後期溶解抗原が、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5およびBDLF3から選択される。後期溶解抗原が、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5、BDLF3およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、後期溶解抗原がBDLF3である。
【0066】
本開示の様々な局面によるいくつかの実施形態において、EBV潜伏抗原が、EBNA1、EBNA-LP、EBNA2、EBNA3A、EBNA3B、EBNA3C、BARF1、LMP1、LMP2AおよびLMP2Bから選択される。EBV潜伏抗原が、EBNA1、EBNA-LP、EBNA2、EBNA3A、EBNA3B、EBNA3C、BARF1、LMP1、LMP2A、LMP2Bおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、EBV潜伏抗原が、EBNA1、LMP1、LMP2AおよびLMP2Bから選択される。EBV潜伏抗原が、EBNA1、LMP1、LMP2A、LMP2Bおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、EBV潜伏抗原が、EBNA1、LMP1およびLMP2Aから選択される。EBV潜伏抗原は、EBNA1、LMP1、LMP2Aおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。
【0067】
いくつかの実施形態において、EBV潜伏抗原が、III型潜伏期抗原、II型潜伏期抗原またはI型潜伏期抗原から選択される。
【0068】
いくつかの実施形態において、III型潜伏期抗原が、EBNA1、EBNA-LP、LMP1、LMP2A、LMP2B、BARF1、EBNA2、EBNA3A、EBNA3BおよびEBNA3Cから選択される。III型潜伏期抗原は、EBNA1、EBNA-LP、LMP1、LMP2A、LMP2B、BARF1、EBNA2、EBNA3A、EBNA3B、EBNA3Cおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、II型潜伏期抗原が、EBNA1、EBNA-LP、LMP1、LMP2A、LMP2BおよびBARF1から選択される。II型潜伏期抗原が、EBNA1、EBNA-LP、LMP1、LMP2A、LMP2B、BARF1およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。いくつかの実施形態において、I型潜伏期抗原が、EBNA1およびBARF1から選択される。I型潜伏期抗原が、EBNA1、BARF1およびそれらの組み合わせからなる群から選択される場合がある。
【0069】
EBV抗原が本明細書中で言及される場合、本開示では、所与のEBV抗原のイソ型、フラグメント、バリアント(変異体を含む)もまた意図される。所与のEBV抗原についてのアミノ酸配列、例えば、本明細書中で言及されるEBV抗原についてのアミノ酸配列を、例えば、The UniProt Knowledgebase(UniProtKB)から検索することができる。The UniProt Consortium、Nucleic Acids Research(2019)、47(D1):D506-D515を参照のこと。
【0070】
参照EBV抗原の「イソ型」、「フラグメント」または「バリアント」は場合により、参照EBV抗原(例えば、該抗原の参照イソ型)のアミノ酸配列に対する少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を有するとして、好ましくは、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸配列同一性のうちの1つを有するとして特徴づけられる場合がある。
【0071】
「フラグメント」は一般には参照タンパク質の一部を示し、(アミノ酸の数による)どのような長さのものであってもよく、だが、場合により、参照タンパク質(すなわち、フラグメントが由来するタンパク質)の長さの少なくとも20%である場合があり、最大長さが、参照タンパク質の長さの50%、75%、80%、85%、90%、95%または99%のうちの1つである場合がある。「バリアント」は一般には、参照タンパク質のアミノ酸配列と比較して1つまたは複数のアミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失または他の改変を含むアミノ酸配列を有する、しかし、参照タンパク質のアミノ酸配列に対する相当な程度の配列同一性(例えば、少なくとも60%)を保持するタンパク質を示す。「イソ型」は一般には、EBVによって発現される参照タンパク質のバリアントを示す。
【0072】
本明細書中に記載される様々な局面によるいくつかの実施形態において、所与のリストからの「1つまたは複数の」抗原が参照される。「1つまたは複数の」抗原に対する言及は、リストに示される抗原の1つとすべてとの間におけるどれでも意味する。列挙される抗原の数に依存して、「1つまたは複数」に対する言及は、例えば、示された抗原のうちの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個などを意味し得る。
【0073】
ペプチドおよびペプミックス(pepmix)
本開示の様々な局面では、EBV抗原に対応するペプチドが、EBV抗原について特異的な免疫細胞の集団を生成させる/拡大するための方法において用いられる。
【0074】
本明細書中で使用される場合、「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結される2つ以上のアミノ酸モノマーの鎖を示す。ペプチドは典型的には、その領域における長さが約2~50アミノ酸である。「ポリペプチド」は、2つ以上のペプチドのポリマー鎖である。ポリペプチドは典型的には、長さが約50超のアミノ酸である。
【0075】
本明細書中で使用される場合、参照抗原「に対応する」ペプチドは参照抗原のアミノ酸配列を含むか、または参照抗原のアミノ酸配列からなる。例えば、EBNA1「に対応する」ペプチドは、EBNA1のアミノ酸配列の内部に見出される(すなわち、EBNA1のアミノ酸配列の部分配列である)アミノ酸の配列を含むか、またはそのようなアミノ酸の配列からなる。
【0076】
本明細書中で用いられるペプチドは典型的には長さが5~30アミノ酸であり、例えば、5~25アミノ酸、10~20アミノ酸、または12~18アミノ酸のうちの1つである。いくつかの実施形態において、ペプチドは、長さが、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20アミノ酸のうちの1つである。いくつかの実施形態において、ペプチドは長さが約15アミノ酸である。
【0077】
「ペプチド」は、本明細書中で使用される場合、同一でないペプチドを含む集団を示す場合がある。
【0078】
本開示の様々な局面によるいくつかの実施形態において、方法では、1つを超える抗原に対応するペプチドが用いられる。そのような実施形態において、前記抗原のそれぞれに対応する少なくとも1つのペプチドが存在する。例えば、方法において、EBNA1およびLMP1に対応する様々なペプチドが用いられる場合、該ペプチドは、EBNA1に対応する少なくとも1つのペプチドと、LMP1に対応する少なくとも1つのペプチドとを含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、方法では、参照抗原の全体または一部に対応する様々なペプチドが用いられる。所与抗原の全体に対応するペプチドはこの抗原のアミノ酸配列の全長にわたる。すなわち、これらのペプチドは一緒になって、所与抗原のアミノ酸配列のアミノ酸のすべてを含有する。
【0080】
所与抗原の一部に対応するペプチドはこの抗原のアミノ酸配列の一部にわたる。ペプチドが抗原のアミノ酸配列の一部にわたるいくつかの実施形態において、ペプチドは一緒になって、例えば、該抗原のアミノ酸配列の10%超にわたる場合があり、例えば、該抗原のアミノ酸配列の15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%超のうちの1つにわたる場合がある。
【0081】
いくつかの実施形態において、方法では、重複したペプチドが用いられる。「重複した」は、アミノ酸が共通しており、より典型的にはアミノ酸の様々な配列が共通している。例示として、第1のペプチドが、EBNA1のアミノ酸配列の1~15位に対応するアミノ酸配列からなり、第2のペプチドが、EBNA1のアミノ酸配列の5~20位に対応するアミノ酸配列からなる。第1のペプチドと、第2のペプチドとは、11アミノ酸によって重複する、EBNA1に対応する重複したペプチドである。
【0082】
いくつかの実施形態において、重複したペプチドは、1~20、5~20、8~15、または10~12アミノ酸のうちの1つによって重複する。いくつかの実施形態において、重複したペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15アミノ酸のうちの1つによって重複する。いくつかの実施形態において、重複したペプチドは11アミノ酸によって重複する。
【0083】
いくつかの実施形態において、方法では、所与の参照抗原の全体または一部に対応する、1~20アミノ酸によって重複する5~30アミノ酸の長さを有するペプチドが用いられる。
【0084】
いくつかの実施形態において、方法では、すべての所与の参照抗原に対応する、11アミノ酸によって重複する15アミノ酸の長さを有するペプチドが用いられる。そのようなペプチドの混合物は、所与抗原についての「ペプミックスペプチドプール」または「ペプミックス」として本明細書中では示される場合がある。
【0085】
例えば、本明細書中の実施例1において使用される「EBNA1ペプミックス」は、UniProt:P03211-1(v1)に示されるようなEBNA1についてのアミノ酸配列の全長に広がる、11アミノ酸によって重複する158個の15merペプチドのプールを示す。
【0086】
本開示の様々な局面によるいくつかの実施形態において、所与のEBV抗原「に対応するペプチド」は、この抗原についてのペプミックスである場合がある。
【0087】
EBVについて特異的な免疫細胞の集団を生成させる/拡大するための方法
本開示の様々な局面が、EBVについて特異的な免疫細胞の集団を生成させる/拡大することに関する。
【0088】
「EBVについて特異的な免疫細胞」は、EBVの抗原のペプチドを(例えば、MHC分子によって提示されるときに)認識することができる受容体(好ましくはT細胞受容体)を発現する/含む。EBV特異的な免疫細胞は、そのような受容体を、そのような抗原受容体をコードする内因性核酸の発現の結果として、またはそのような受容体を発現するように操作されたことの結果として発現する/含む場合がある。
【0089】
免疫細胞は、造血系起源の細胞、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、樹状細胞、リンパ球または単球である場合がある。リンパ球は、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞もしくは自然リンパ球系細胞(ILC)、またはそれらの前駆体である場合がある。免疫細胞は、例えば、CD3ポリペプチド(例えば、CD3γ、CD3ε、CD3ζまたはCD3δ)、TCRポリペプチド(TCRαまたはTCRβ)、CD27、CD28、CD4またはCD8を発現する場合がある。
【0090】
ウイルス特異的な免疫細胞の集団をインビトロ/エクスビボで生成させる/拡大するための様々な方法が当業者には広く知られている。典型的な培養条件(すなわち、細胞培養培地、添加物、温度、気体雰囲気)、細胞数、培養期間などを、例えば、Ngo他、J Immunother.(2014)37(4):193-203(これはその全体が参照によってここに組み込まれる)を参照することによって決定することができる。
【0091】
好都合には、本開示による細胞の様々な培養が、5%のCOを含有する加湿雰囲気において37℃で維持される場合がある。本開示による細胞培養の細胞は、当業者によって容易に決定され得るように、どのような密度であれ好適な密度で確立することができ、かつ/または維持することができる。例えば、培養が、1mlの培養物あたり約0.5×10~約5×10細胞/ml(例えば、約1×10細胞/ml)の初期密度で確立される場合がある。
【0092】
培養を、どのような容器であれ当該培養の体積のために好適である容器において、例えば、細胞培養プレートのウエル、細胞培養フラスコ、バイオリアクターなどにおいて行うことができる。いくつかの実施形態において、細胞がバイオリアクターにおいて培養され、例えば、SomervilleおよびDudley、Oncoimmunology(2012)1(8):1435-1437(これはその全体が参照によってここに組み込まれる)に記載されるバイオリアクターにおいて培養される。いくつかの実施形態において、細胞がGRex細胞培養容器において、例えば、GRexフラスコまたはGRex100バイオリアクターにおいて培養される。
【0093】
本開示の方法は一般には、免疫細胞の集団(例えば、抗原特異的受容体を有する細胞を含む免疫細胞(例えば、末梢血単核細胞;PBMC)の不均一な集団)を、適切な共刺激およびシグナル増幅をもたらし、その結果、活性化および拡大を引き起こすようにする条件のもと、ウイルス抗原ペプチド:MHC複合体を提示する抗原提示細胞(APC)の存在下で培養することを含む。T細胞活性化のプロセスが当業者には広く知られており、例えば、Immunobiology(第5版、Janeway CA Jr、Travers P、Walport M他、New York:Garland Science(2001)、第8章)に詳しく記載される(これはその全体が参照によって組み込まれる)。
【0094】
具体的には、方法は、EBV抗原ペプチド:MHC複合体について特異的なT細胞受容体(TCR)を含むT細胞が、TCRが特異的であるEBV抗原ペプチド:MHC複合体を提示するAPCによって刺激される工程を伴う。APCは、EBV抗原/ペプチド(1つまたは複数)をコードするウイルスに感染させられるか、またはEBV抗原/ペプチド(1つまたは複数)を含み/発現し、EBV抗原ペプチドをMHC分子との関係で提示する。刺激はT細胞の活性化を引き起こし、細胞分裂(増殖)を促進させ、その結果、EBV抗原について特異的なT細胞の集団の生成および/または拡大がもたらされる。
【0095】
刺激後に得られる細胞の集団は、刺激前の集団と比較した場合、EBV抗原について特異的なT細胞が富化される(すなわち、EBV抗原特異的T細胞が刺激後の集団では増大した頻度で存在する)。このようにして、EBV抗原について特異的なT細胞の集団が、異なる特異性を有する様々なT細胞の不均一な集団から拡大される/生成させられる。あるEBV抗原について特異的なT細胞の集団が、刺激およびその結果としての細胞分裂によってただ1個のT細胞から生成させられる場合がある。EBV抗原について特異的なT細胞の既存の集団が、EBV抗原特異的T細胞の集団の細胞の刺激およびその結果としての細胞分裂によって拡大される場合がある。
【0096】
本開示の様々な局面の実施形態において、本明細書中におけるEBV抗原について特異的な免疫細胞は好ましくはT細胞であることが理解されるであろう。いくつかの実施形態において、T細胞はCD3+かつCD4+のT細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞はCD3+かつCD8+のT細胞である。いくつかの実施形態において、T細胞はTヘルパー細胞(T細胞)である。いくつかの実施形態において、T細胞は細胞傷害性T細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球(CTL))である。免疫細胞は好ましくは、EBVの抗原のペプチドについて特異的なTCRを発現する/含む。
【0097】
EBV特異的T細胞は、T細胞が特異的であるウイルス抗原に応答して、またはウイルス/抗原を含む/発現する細胞に応答してT細胞のある特定の機能的特性を示す場合がある。いくつかの実施形態において、特性は、エフェクターT細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)に関連する機能的特性である。
【0098】
いくつかの実施形態において、EBV特異的T細胞は下記特性の1つまたは複数を示す場合がある:EBV、またはT細胞が特異的であるEBV抗原を含む/発現する細胞に対する細胞傷害性;EBV、またはT細胞が特異的であるEBV抗原を含む/発現する細胞に対する応答での増殖、IFNγ発現、CD107a発現、IL-2発現、TNFα発現、パーフォリン発現、グランザイム発現、グラニュライシン発現および/またはFASリガンド(FASL)発現。
【0099】
EBV特異的T細胞は、T細胞が特異的であるEBV抗原のペプチドを、適切なMHC分子によって提示されたときには認識することができるTCRを発現する/含む。EBV特異的T細胞はCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞である場合がある。
【0100】
本開示の方法は、免疫細胞の集団をEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と、またはEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCと接触させることによって、EBV抗原について特異的な免疫細胞を刺激することを含む。そのような方法工程は、「刺激」または「刺激工程」として本明細書中では示される場合がある。そのような方法工程は、細胞をインビトロ/エクスビボでの培養において維持することを典型的には要し、「刺激培養」として示される場合がある。
【0101】
いくつかの実施形態において、方法は1つまたは複数のさらなる刺激工程を含む。すなわち、いくつかの実施形態において、方法は、刺激工程によって得られる細胞を再刺激する1つまたは複数のさらなる工程を含む。そのようなさらなる刺激工程は、「再刺激」または「再刺激工程」として本明細書中では示される場合がある。そのような方法工程は、細胞をインビトロ/エクスビボでの培養において維持することを典型的には要し、「再刺激培養」として示される場合がある。
【0102】
PBMCを(刺激のために)、または本明細書中に記載される刺激工程によって得られる細胞の集団を(再刺激のために)EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と「接触させる」ことは一般には、該PBMC/細胞集団を、該ペプチド(1つまたは複数)を含む細胞培養培地においてインビトロ/エクスビボで培養することを伴うことが理解されるであろう。同様に、PBMC/細胞集団をEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCと「接触させる」ことは一般には、該APCと該PBMC/細胞集団とを細胞培養培地においてインビトロ/エクスビボで共培養することを伴うことが理解されるであろう。
【0103】
いくつかの実施形態において、方法は、PBMCをEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と接触させることを含む。そのような実施形態において、PBMCの集団に含まれるAPC(例えば、樹状細胞、マクロファージおよびB細胞)は、PBMCの集団に含まれるCD8+T細胞および/またはCD4+T細胞のその後の活性化のために、抗原を(例えば、食作用、飲作用によって)内在化し、プロセシングし、MHCクラスI分子(交差提示)および/またはMHCクラスII分子の表面に提示する。
【0104】
いくつかの実施形態において、方法は、本明細書中に記載される刺激工程によって得られる細胞の集団をEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と接触させることを含む。そのような実施形態において、細胞の集団に含まれるAPC(例えば、樹状細胞、マクロファージおよびB細胞)は、細胞の集団に含まれるCD8+T細胞および/またはCD4+T細胞のその後の再刺激のために、抗原を(例えば、食作用、飲作用によって)内在化し、プロセシングし、MHCクラスI分子(交差提示)および/またはMHCクラスII分子の表面に提示する。
【0105】
いくつかの実施形態において、方法は、PBMCをEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCと接触させることを含む。いくつかの実施形態において、方法は、本明細書中に記載される刺激工程によって得られる細胞の集団を、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCと接触させることを含む。
【0106】
本開示による刺激および再刺激におけるT細胞とAPCとの共培養が細胞培養培地において行われる。細胞培養培地は、T細胞およびAPCがそれらに応じてインビトロ/エクスビボでの培養において維持される細胞培養培地がどのような培地であれ可能である。リンパ球の培養における使用のために好適な培養培地が当業者には広く知られており、これには、例えば、RPMI-1640培地、AIM-V培地、イスコフ培地などが含まれる。
【0107】
いくつかの実施形態において、細胞培養培地はRPMI-1640培地および/またはクリック培地(これはまた、イーグル・ハム・アミノ酸(EHAA)培地として知られている)を含む場合がある。これらの培地の組成は当業者には広く知られている。RPMI-1640培地の処方が、例えば、Moore他、JAMA(1967)199:519-524に記載されており、クリック培地の処方が、Click他、Cell Immunol(1972)3:264-276に記載されている。RPMI-1640培地を、例えば、ThermoFisher Scientificから得ることができ、クリック培地を、例えば、Sigma-Aldrichから得ることができる(カタログ番号C5572)。
【0108】
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と接触させられたPBMCを、またはEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCの存在下、RPMI-1640培地とクリック培地とを含む細胞培養培地において培養することを伴う。いくつかの実施形態において、本開示の方法は、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と接触させられた本明細書中に記載される刺激工程によって得られる細胞の集団を、またはEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCの存在下、RPMI-1640培地とクリック培地とを含む細胞培養培地において培養することを伴う。
【0109】
いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、(体積比で)25~65%のRPMI-1640培地と、25~65%のクリック培地とを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、30~60%のRPMI-1640培地と、30~60%のクリック培地とを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、35~55%のRPMI-1640培地と、35~55%のクリック培地とを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、40~50%のRPMI-1640培地と、40~50%のクリック培地とを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、45%のRPMI-1640培地と、45%のクリック培地とを含む。
【0110】
いくつかの実施形態において、細胞培養培地は1つまたは複数の細胞培養培地添加物を含む場合がある。様々な細胞培養培地添加物が当業者には広く知られており、これらには、抗生物質(例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン)、血清(例えば、ウシ胎児血清(FBS)、ウシ血清アルブミン(BSA))、L-グルタミン、サイトカイン/増殖因子などが含まれる。
【0111】
いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、(体積で)5~20%のFBS、例えば、7.5~15%のFBS、または10%のFBSを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養培地は0.5~5%のGlutaMaxを含み、例えば、1%のGlutaMaxを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養培地は0.5~5%のPen/Strepを含み、例えば、1%のPen/Strepを含む。
【0112】
本開示の様々な局面では、抗原提示細胞(APC)が、EBVについて特異的な免疫細胞の集団を生成させる/拡大するための方法において用いられる。
【0113】
本開示によるAPCはプロフェッショナルAPCである場合がある。プロフェッショナルAPCは、抗原をT細胞に提示するために専門化されており、そのため、MHC-ペプチド複合体をプロセシングし、細胞表面に提示することにおいて効率的であり、高レベルの共刺激性分子を発現する。プロフェッショナルAPCには、樹状細胞(DC)、マクロファージ、およびB細胞が含まれる。非プロフェッショナルAPCは、MHC-ペプチド複合体をT細胞に提示することができる、特にMHCクラスI-ペプチド複合体をCD8+T細胞に提示することができる他の細胞である。
【0114】
いくつかの実施形態において、APCは、APCによって内在化される(例えば、エンドサイトーシス/食作用によって取り込まれる)抗原のMHCクラスI上での交差提示を行うことができるAPCである。CD8+T細胞への内在化抗原のMHCクラスI上での交差提示が、例えば、Alloatti他、Immunological Reviews(2016)、272(1):97-108に記載される(これはその全体が参照によってここに組み込まれる)。交差提示を行うことができるAPCには、例えば、樹状細胞(DC)、マクロファージ、B細胞および類洞内皮細胞が含まれる。
【0115】
本明細書中で説明されるように、いくつかの実施形態において、EBV抗原(1つまたは複数)について特異的な免疫細胞を刺激するためのAPCが、EBV抗原(1つまたは複数)について特異的な免疫細胞を含む細胞(例えば、PBMC)の集団の中に含まれ、そのため、EBV抗原(1つまたは複数)について特異的な細胞のそのような集団が本開示の方法に従って拡大されることになる。そのような実施形態において、APCは、例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、または、どのような細胞タイプであれ、EBV抗原(1つまたは複数)について特異的な免疫細胞に抗原を提示することができる細胞の集団に含まれる他の細胞タイプである場合がある。
【0116】
いくつかの実施形態において、方法では、EBV抗原(1つまたは複数)/そのペプチド(1つまたは複数)を発現する/含むように改変されているAPCが用いられる。いくつかの実施形態において、APCは、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を、該ペプチド(1つまたは複数)と接触させられたこと、および該ペプチド(1つまたは複数)を内在化したことの結果として提示する場合がある。いくつかの実施形態において、APCはそのようなペプチド(1つまたは複数)により「パルス処理」されている場合がある:これは一般には、APCを、該APCが該ペプチド(1つまたは複数)を内在化するために十分な期間にわたって該ペプチド(1つまたは複数)の存在下においてインビトロで培養することを伴う。
【0117】
いくつかの実施形態において、APCは、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を、抗原をコードする核酸からの細胞内における発現の結果として提示する場合がある。APCは、EBV抗原(1つまたは複数)をコードする核酸を、EBVに感染したことの結果として含む場合がある(例えば、B細胞の場合には、例えば、LCL)。APCは、抗原(1つまたは複数)をコードする核酸が、例えば、トランスフェクション、形質導入、エレクトロポレーションなどにより細胞に導入されたことの結果として、EBV抗原(1つまたは複数)をコードする核酸を含む場合がある。EBV抗原(1つまたは複数)をコードする核酸がプラスミド/ベクターにおいて提供される場合がある。
【0118】
いくつかの実施形態において、本開示の方法において用いられるAPCが、活性化T細胞(ATC)、樹状細胞、B細胞(例えば、LCLを含む)、および人工抗原提示細胞(aAPC)(例えば、Neal他、J Immunol Res Ther(2017)2(1):68-79、および、TurtleおよびRiddell、Cancer J.(2010)16(4):374-381に記載されるものなど)から選択される。
【0119】
いくつかの実施形態において、APCは、EBV抗原(1つまたは複数)について特異的な免疫細胞を含む免疫細胞の集団の生成/拡大のために該APCが共培養されることになる細胞の集団に関して自己である。すなわち、いくつかの実施形態において、APCは、該APCが共培養されることになる細胞の集団が得られた対象と同じ対象に由来する(または、該APCが共培養されることになる細胞の集団が得られた対象と同じ対象から得られる細胞に由来する)。
【0120】
ポリクローナルな活性化T細胞(ATC)をAPCとして使用すること、およびATCを調製するための様々な方法が、例えば、Ngo他、J Immunother.(2014)37(4):193-203に記載される(これは本明細書中上記において参照によって組み込まれている)。簡単に記載すると、ATCを、PBMCをIL-2の存在下においてアゴニスト抗CD3抗体およびアゴニスト抗CD28抗体により刺激することによってT細胞をインビトロで非特異的に活性化することによって生成させることができる。
【0121】
樹状細胞が、例えば、Ngo他、J Immunother.(2014)37(4):193-203に記載されるように、この技術分野では広く知られている方法に従って生成させられる場合がある。樹状細胞が、PBMCからのCD14選択によって得られることがある単球から調製される場合がある。単球は、未成熟な樹状細胞へのその分化を引き起こす細胞培養培地において培養されることがあり、その場合、この細胞培養培地は、例えば、IL-4およびGM-CSFを含むことがある。未成熟な樹状細胞が、IL-6、IL-1β、TNFα、PGE2、GM-CSFおよびIL-4の存在下での培養によって成熟させられる場合がある。
【0122】
LCLが、この技術分野において広く知られている方法に従って、例えば、Hui-Yuen他、J Vis Exp(2011)57:3321、および、HussainおよびMulherkar、Int J Mol Cell Med(2012)1(2):75-87(両方がそれらの全体において参照によってここに組み込まれる)に記載されるような方法に従って生成させられる場合がある。簡単に記載すると、LCLを、EBVを産生する細胞(例えば、B95-8細胞)の濃縮された細胞培養上清を用いてPBMCをシクロスポリンAの存在下でインキュベーションすることによって産生させることができる。
【0123】
人工抗原提示細胞(aAPC)には、例えば、共刺激性分子のCD80、CD86、CD83および4-1BBLを発現するように操作されるK562cs細胞が含まれる(この細胞は、例えば、Suhoski他、Mol Ther.(2007)15(5):981-8に記載される)。
【0124】
いくつかの実施形態において、APCは、EBVに感染した細胞ではない。いくつかの実施形態において、APCはEBV感染B細胞ではない。いくつかの実施形態において、APCはEBV-LCLではない。
【0125】
いくつかの実施形態において、刺激工程は、PBMCをEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、再刺激工程は、EBV抗原(1つまたは複数)について特異的な免疫細胞を、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCと接触させることを含む。いくつかの実施形態において、再刺激工程は、EBV抗原(1つまたは複数)について特異的な免疫細胞を、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するATCと接触させることを含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、方法では、刺激および/または再刺激における共刺激を増強するための作用因がさらに用いられる。そのような作用因には、例えば、共刺激性分子(例えば、CD80、CD86、CD83および/または4-1BBL)を発現する細胞、例えば、LCLまたはK562cs細胞が含まれる。いくつかの実施形態において、共刺激性分子を発現する細胞はHLA陰性かつEBV複製不全のLCLであり、これはまた、「ユニバーサルLCL」または「uLCL」として示される。uLCLが、例えば、米国特許出願公開第2018/0250379号(A1)に記載される。
【0127】
共刺激を増強するための作用因の他の例には、例えば、T細胞によって発現される共刺激性受容体(例えば、4-1BB、CD28、OX40、ICOSなど)について特異的なアゴニスト抗体、およびT細胞によって発現される共刺激性受容体を活性化することができる共刺激性分子(例えば、CD80、CD86、CD83、4-1BBL、OX40L、ICOSLなど)が含まれる。そのような作用因は、例えば、ビーズに固定化されて提供される場合がある。
【0128】
いくつかの実施形態において、再刺激工程が、EBV抗原(1つまたは複数)について特異的な免疫細胞をuLCLの存在下において、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するATCと接触させることを含む。
【0129】
免疫細胞の集団をEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と、またはEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCと接触させることが、T細胞の活性化および増殖を促進させるために、1つまたは複数のサイトカインの存在下で行われる場合がある。いくつかの実施形態において、刺激が、IL-7、IL-15、IL-6、IL-12、IL-4、IL-2および/またはIL-21の1つまたは複数の存在下で行われる。これらのサイトカインは培養物に対して外因的に、しかも、培養中の細胞によって産生されるサイトカインに加えて添加されることが理解されるであろう。いくつかの実施形態において、添加されたサイトカインは、組換え産生されたサイトカインである。
【0130】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示の方法は、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と接触させられたPBMCを、またはEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCの存在下、IL-7、IL-15、IL-6、IL-12、IL-4、IL-2および/またはIL-21の1つまたは複数の存在下で培養することを伴う。
【0131】
いくつかの実施形態において、培養は、IL-7、IL-15、IL-6、IL-12、IL-4、IL-2および/またはIL-21の存在下においてである。いくつかの実施形態において、培養は、IL-7、IL-15、IL-6および/またはIL-12の存在下においてである。いくつかの実施形態において、培養は、IL-7および/またはIL-15の存在下においてである。
【0132】
いくつかの実施形態において、培養におけるIL-7の最終濃度が1~100ng/mlであり、例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つである。いくつかの実施形態において、培養におけるIL-7の最終濃度が約10ng/mlである。
【0133】
いくつかの実施形態において、培養におけるIL-15の最終濃度が1~100ng/mlであり、例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つである。いくつかの実施形態において、培養におけるIL-15の最終濃度が約10ng/mlである。
【0134】
いくつかの実施形態において、培養におけるIL-15の最終濃度が10~1000ng/mlであり、例えば、20~500ng/ml、50~200ng/ml、または75~150ng/mlのうちの1つである。いくつかの実施形態において、培養におけるIL-15の最終濃度が約100ng/mlである。
【0135】
いくつかの実施形態において、培養におけるIL-6の最終濃度が10~1000ng/mlであり、例えば、20~500ng/ml、50~200ng/ml、または75~150ng/mlのうちの1つである。いくつかの実施形態において、培養におけるIL-6の最終濃度が約100ng/mlである。
【0136】
いくつかの実施形態において、培養におけるIL-12の最終濃度が1~100ng/mlであり、例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つである。いくつかの実施形態において、培養におけるIL-12の最終濃度が10ng/mlである。
【0137】
いくつかの実施形態において、IL-7の最終濃度が1~100ng/ml(例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つ、例えば、10ng/ml)であり、かつ、IL-15の最終濃度が10~1000ng/ml(例えば、20~500ng/ml、50~200ng/ml、または75~150ng/mlのうちの1つ、例えば、約100ng/ml)である。
【0138】
いくつかの実施形態において、IL-7の最終濃度が1~100ng/ml(例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つ、例えば、10ng/ml)であり、かつ、IL-15の最終濃度が10~1000ng/ml(例えば、20~500ng/ml、50~200ng/ml、または75~150ng/mlのうちの1つ、例えば、約100ng/ml)である。
【0139】
いくつかの実施形態において、IL-7の最終濃度が1~100ng/ml(例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つ、例えば、10ng/ml)であり、IL-6の最終濃度が10~1000ng/ml(例えば、20~500ng/ml、50~200ng/ml、または75~150ng/mlのうちの1つ、例えば、約100ng/ml)であり、IL-12の最終濃度が1~100ng/ml(例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つ、例えば、10ng/ml)であり、かつ、IL-15の最終濃度が1~100ng/ml(例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つ、例えば、10ng/ml)である。
【0140】
いくつかの実施形態において、刺激培養におけるIL-7の最終濃度が1~100ng/ml(例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つ、例えば、10ng/ml)であり、かつ、刺激培養におけるIL-15の最終濃度が10~1000ng/ml(例えば、20~500ng/ml、50~200ng/ml、または75~150ng/mlのうちの1つ、例えば、約100ng/ml)である。
【0141】
いくつかの実施形態において、刺激培養におけるIL-7の最終濃度が1~100ng/ml(例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つ、例えば、10ng/ml)であり、刺激培養におけるIL-6の最終濃度が10~1000ng/ml(例えば、20~500ng/ml、50~200ng/ml、または75~150ng/mlのうちの1つ、例えば、約100ng/ml)であり、刺激培養におけるIL-12の最終濃度が1~100ng/ml(例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つ、例えば、10ng/ml)であり、かつ、刺激培養におけるIL-15の最終濃度が1~100ng/ml(例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つ、例えば、10ng/ml)である。
【0142】
いくつかの実施形態において、再刺激培養におけるIL-7の最終濃度が1~100ng/ml(例えば、2~50ng/ml、5~20ng/ml、または7.5~15ng/mlのうちの1つ、例えば、10ng/ml)であり、かつ、再刺激培養におけるIL-15の最終濃度が10~1000ng/ml(例えば、20~500ng/ml、50~200ng/ml、または75~150ng/mlのうちの1つ、例えば、約100ng/ml)である。
【0143】
本発明の方法による刺激および再刺激は典型的には、T細胞とAPCとの共培養を、APCが該T細胞を刺激するために、かつ、該T細胞が細胞分裂を受けるために十分な期間にわたって行うことを伴う。
【0144】
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と接触させられたPBMCを、またはEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCの存在下、少なくとも1時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、4日間、5日間、6日間、または少なくとも7日間のうちの1つの期間にわたって培養することを伴う。いくつかの実施形態において、培養は24時間~20日間の期間にわたってであり、例えば、48時間~14日間、3日間~12日間、4~11日間、あるいは6~10日間、または7~9日間のうちの1つの期間にわたってである。
【0145】
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、EBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)と接触させられた本明細書中に記載される刺激工程によって得られる細胞の集団を、またはEBV抗原(1つまたは複数)に対応するペプチド(1つまたは複数)を提示するAPCの存在下、少なくとも1時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、4日間、5日間、6日間、または少なくとも7日間のうちの1つの期間にわたって培養することを伴う。いくつかの実施形態において、培養は24時間~20日間の期間にわたってであり、例えば、48時間~14日間、3日間~12日間、4~11日間、あるいは6~10日間、または7~9日間のうちの1つの期間にわたってである。
【0146】
刺激および再刺激が、培養中の細胞を、細胞が培養された培地から分離することによって、または培養物を、例えば、細胞培養培地の添加によって希釈することによって終了させられる場合がある。いくつかの実施形態において、方法は、細胞を刺激培養または再刺激培養の終了時に回収する工程を含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、本開示による再刺激工程が、細胞培養培地(および本明細書中に記載されるようないずれかの他の添加物)を、再刺激工程のための細胞培養培地、馴化培地(およびいずれかの添加物)の所望の割合/濃度を達成するために適切な量で加えることによって確立される場合がある。
【0148】
所与の刺激工程または再刺激工程の培養期間が終了した時、細胞が回収され、細胞培養上清から分離される場合がある。細胞が遠心分離によって回収される場合があり、細胞培養上清が細胞ペレットから分離される場合がある。その後、細胞ペレットは、例えば、再刺激工程のために、細胞培養培地に再懸濁される場合がある。いくつかの実施形態において、細胞は洗浄工程を回収後に受ける場合がある。洗浄工程は、細胞ペレットを等張性緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)など)に再懸濁し、細胞を遠心分離によって回収し、上清を捨てることを含む場合がある。
【0149】
EBV抗原(1つまたは複数)について特異的な免疫細胞の集団を本開示に従って生成させるための、および/または拡大するための方法は典型的には、1回を超える刺激工程を伴う。本開示による方法において行われることがある刺激工程の回数には上限がない。いくつかの実施形態において、方法は、2、3、4または5回を超える刺激工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15回の刺激工程のうちの1つを含む。本開示による方法におけるこれらの刺激工程は互いに異なる場合がある。
【0150】
いくつかの実施形態において、本開示の方法において用いられるPBMCは、CD45RA陽性細胞が枯渇化される。すなわち、いくつかの実施形態において、PBMCは「CD45RA陽性細胞枯渇化PBMC」であるか、または「CD45RA陰性PBMC」である。CD45RA陽性細胞の枯渇化は、本開示の方法に従って生成させられる/拡大される細胞の集団におけるNK細胞および/または制御性T細胞の数を減少させることが意図され。
【0151】
いくつかの実施形態において、方法は、PBMCから、CD45RA陽性細胞を、例えば、本開示による刺激工程に先立って枯渇化する工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は、本開示による刺激工程によって得られる細胞から、CD45RA陽性細胞を、例えば、本開示による再刺激工程に先立って枯渇化する工程を含む。CD45RA陽性細胞の枯渇化を、どのような方法であれ好適な方法によって、例えば、MACSなどによって、例えば、Miltenyi(登録商標)Biotecカラムと、抗CD45RA抗体が被覆された磁性ビーズとを使用するMACSによって達成することができる。
【0152】
いくつかの実施形態において、本開示の方法において用いられるAPCを導出するために使用される細胞の集団は、CD45RA陽性細胞が枯渇化される。すなわち、いくつかの実施形態において、APCを導出するために使用される細胞の集団は「CD45RA陽性細胞枯渇化」集団または「CD45RA陰性」集団である。例えば、ATCがAPCとして用いられる実施形態において、ATCはCD45RA陽性細胞枯渇化PBMCの集団に由来する場合があり、またはCD45RA陰性PBMCの集団に由来する場合がある。
【0153】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、EBV抗原(1つまたは複数)について特異的な免疫細胞を、細胞におけるIL-7媒介シグナル伝達を増大させるために改変することを含む。IL-7媒介シグナル伝達は、腫瘍特異的T細胞の生存および抗腫瘍活性を増大させることが示されている:例えば、Shum他、Cancer Discov.(2017)7(11):1238-1247、および国際公開WO2018/038945(A1)を参照のこと。
【0154】
方法工程の特定の例示的な実施形態
以下の特定の例示的な方法工程が本開示に関連して特に意図される。
【0155】
(A)PBMCを、BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックス、BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BALF2ペプミックス、BNLF2Aペプミックス、BNLF2Bペプミックスおよび/またはBMRF2ペプミックスと接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激すること。
【0156】
(B)PBMCを、BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックス、BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BXLF1ペプミックス、BALF1ペプミックス、BLLF2ペプミックス、BALF2ペプミックスおよび/またはBNLF2Aペプミックスと接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激すること。
【0157】
(C)PBMCを、BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックスおよび/またはBMRF1ペプミックスと接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激すること。
【0158】
(D)PBMCを、BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BALF2ペプミックス、BNLF2Aペプミックス、BNLF2Bペプミックスおよび/またはBMRF2ペプミックスと接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激すること。
【0159】
(E)PBMCを、
BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックス、BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BALF2ペプミックス、BNLF2Aペプミックス、BNLF2Bペプミックスおよび/またはBMRF2ペプミックス;ならびに
EBNA1ペプミックス、LMP1ペプミックスおよび/またはLMP2ペプミックス
と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを刺激すること。
【0160】
(F)PBMCを、
BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックス、BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BXLF1ペプミックス、BALF1ペプミックス、BLLF2ペプミックス、BALF2ペプミックスおよび/またはBNLF2Aペプミックス;ならびに
EBNA1ペプミックス、LMP1ペプミックスおよび/またはLMP2ペプミックス
と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを刺激すること。
【0161】
(G)PBMCを、
BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックスおよび/またはBMRF1ペプミックス;ならびに
EBNA1ペプミックス、LMP1ペプミックスおよび/またはLMP2ペプミックス
と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを刺激すること。
【0162】
(H)PBMCを、
BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BALF2ペプミックス、BNLF2Aペプミックス、BNLF2Bペプミックスおよび/またはBMRF2ペプミックス;ならびに
EBNA1ペプミックス、LMP1ペプミックスおよび/またはLMP2ペプミックス
と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを刺激すること。
【0163】
(I)(A)~(H)のいずれか1つによる免疫細胞を、IL-7、IL-15、IL-6および/またはIL-12の存在下で刺激すること。
【0164】
(J)(A)~(I)のいずれか1つによる免疫細胞をIL-7および/またはIL-15の存在下で刺激すること。
【0165】
(K)前記PBMCはCD45RA陽性細胞が枯渇化される、(A)~(J)のいずれか1つによる免疫細胞を刺激すること。
【0166】
(L)BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックス、BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BALF2ペプミックス、BNLF2Aペプミックス、BNLF2Bペプミックスおよび/またはBMRF2ペプミックスによりパルス処理されたAPCとの共培養によって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激すること。
【0167】
(M)BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックス、BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BXLF1ペプミックス、BALF1ペプミックス、BLLF2ペプミックス、BALF2ペプミックスおよび/またはBNLF2Aペプミックスによりパルス処理されたAPCとの共培養によって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激すること。
【0168】
(N)BZLF1ペプミックス、BRLF1および/またはBMRF1ペプミックスによりパルス処理されたAPCとの共培養によって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激すること。
【0169】
(O)BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BALF2ペプミックス、BNLF2Aペプミックス、BNLF2Bペプミックスおよび/またはBMRF2ペプミックスによりパルス処理されたAPCとの共培養によって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激すること。
【0170】
(P)EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを、
BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックス、BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BALF2ペプミックス、BNLF2Aペプミックス、BNLF2Bペプミックスおよび/またはBMRF2ペプミックス;ならびに
EBNA1ペプミックス、LMP1ペプミックスおよび/またはLMP2ペプミックス
によりパルス処理されたAPCとの共培養によって刺激すること。
【0171】
(Q)EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを、
BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックス、BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BXLF1ペプミックス、BALF1ペプミックス、BLLF2ペプミックス、BALF2ペプミックスおよび/またはBNLF2Aペプミックス;ならびに
EBNA1ペプミックス、LMP1ペプミックスおよび/またはLMP2ペプミックス
によりパルス処理されたAPCとの共培養によって刺激すること。
【0172】
(R)EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを、
BZLF1ペプミックス、BRLF1ペプミックスおよび/またはBMRF1;ならびに
EBNA1ペプミックス、LMP1ペプミックスおよび/またはLMP2ペプミックス
によりパルス処理されたAPCとの共培養によって刺激すること。
【0173】
(S)EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを、
BMRF1ペプミックス、BMLF1ペプミックス、BALF2ペプミックス、BNLF2Aペプミックス、BNLF2Bペプミックスおよび/またはBMRF2ペプミックス;ならびに
EBNA1ペプミックス、LMP1ペプミックスおよび/またはLMP2ペプミックス
によりパルス処理されたAPCとの共培養によって刺激すること。
【0174】
(T)前記APCがATCである、(L)~(S)のいずれか1つによる免疫細胞を刺激すること。
【0175】
(U)前記ATCが、CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCに由来する、(T)による免疫細胞を刺激すること。
【0176】
(V)(L)~(U)のいずれか1つによる免疫細胞をuLCLの存在下で刺激すること。
【0177】
(W)(L)~(V)のいずれか1つによる免疫細胞をIL-7および/またはIL-15の存在下で刺激すること。
【0178】
(X)(A)~(K)のいずれか1つによる免疫細胞を刺激し、続いて、(L)~(W)のいずれか1つによる免疫細胞を刺激すること。
【0179】
本開示の方法/本開示の方法によって生成させられる/拡大される免疫細胞の集団の特性
本開示の方法は場合により、当該方法の特性、および/または当該方法によって生成させられる/拡大される免疫細胞の集団の特性を参照することによって特徴づけられる場合がある。
【0180】
いくつかの実施形態において、本開示の方法に従って生成させられる/拡大される免疫細胞の集団は下記特性の1つまたは複数を有する:
a)1つまたは複数のEBV溶解抗原に対応するペプチド(1つまたは複数)による刺激に応答してIFNγを産生する細胞を含むこと;
b)1つまたは複数のEBV溶解抗原に対応するペプチド(1つまたは複数)による刺激に応答してIFNγを産生する細胞を含み、かつ、1つまたは複数のEBV潜伏抗原に対応するペプチド(1つまたは複数)による刺激に応答してIFNγを産生する細胞を含むこと;
c)EBV感染細胞による刺激に応答してIFNγを産生する細胞を含むこと;
d)自己EBV感染細胞に対する細胞溶解活性;
e)生体内におけるEBV陽性ガンに対する抗ガン活性;
f)生体内におけるEBV陽性腫瘍の成長の阻害;および
g)生体内におけるEBV陽性ガンの転移の低減。
【0181】
免疫細胞の集団が、EBV抗原に対応するペプチド(1つまたは複数)および/またはEBV感染細胞(例えば、LCL)による刺激に応答してIFNγを産生する細胞を含むかどうかについて、免疫細胞の集団が、例えば、ELISPOT分析によって評価されることがあり、この場合、ELISPOT分析は、例えば、実施例2に記載されるように行われることがある。
【0182】
免疫細胞の集団が、自己EBV感染細胞に対する細胞溶解活性について、Zaritskaya他、Expert Rev Vaccines(2011)、9(6):601-616(これはその全体が参照によってここに組み込まれる)において総説される方法を使用して、例えば、51Cr放出アッセイなどを使用して評価されることがある。分析が、自己EBV-LCLを使用して、例えば、実施例3に記載されるように行われることがある。
【0183】
免疫細胞の集団が、EBV陽性ガンに対する抗ガン活性および/またはEBV陽性腫瘍の腫瘍成長の阻害について、適切なモデルでの分析によってインビボで評価されることがある。適切なモデルおよび分析には、実施例4において用いられるEBV-LCL異種移植モデル法が含まれる。転移を、そのようなモデルにおける動物体内でのガン性細胞の所在を、例えば、実施例4において実施されるようにモニターすることによって評価することができる。
【0184】
いくつかの実施形態において、本開示の方法に従って生成させられる/拡大される免疫細胞の集団は、EBV特異的免疫細胞を生成させる/拡大するための参照方法に従って生成させられる/拡大される免疫細胞の集団と比較した場合、下記のうちの1つまたは複数を有する場合がある:
h)1つまたは複数のEBV抗原に対応するペプチド(1つまたは複数)による刺激に応答してIFNγを産生する細胞のより多い数/割合を含むこと;
i)1つまたは複数のEBV溶解抗原に対応するペプチド(1つまたは複数)による刺激に応答してIFNγを産生する細胞のより多い数/割合を含むこと;
j)より多数の異なるEBV抗原(すなわち、より広範囲の様々なEBV抗原)について特異的な細胞を含むこと;
k)EBV感染細胞による刺激に応答してIFNγを産生する細胞のより多い数/割合を含むこと;
L)生体内におけるEBV陽性ガンに対する、より大きい抗ガン活性;
m)生体内におけるEBV陽性腫瘍の成長のより大きい阻害;
n)生体内におけるEBV陽性ガンの転移のより大きい低減;
o)生体内におけるより大きい持続性;および
p)免疫細胞の該集団が投与される対象において、1つまたは複数の炎症促進性サイトカイン(例えば、GM-CSFおよび/またはIFNγ)の増大した量が産生されることを誘発すること。
p)免疫細胞の該集団が投与される対象において、1つまたは複数の抗炎症性サイトカイン(例えば、IL-10)の低下した産生が生じることを誘発すること。
【0185】
免疫細胞の所与集団の生体内での生存/持続性を、例えば、細胞が、検出可能なマーカーまたはレポーターにより標識され、その生存が経時的にモニターされる方法を使用して評価することができる。そのような方法では、例えば、細胞をホタルルシフェラーゼにより標識すること、および活性を異なる時点で測定することが含まれる。
【0186】
免疫細胞の所与集団が投与される対象によるサイトカインの産生を、例えば、対象から得られる血液由来サンプル(例えば、全血、血漿、血清)の分析によって評価することができる。サイトカインレベルを、例えば、ELISAによって、例えば、実施例4において記載されるようなELISAによって求めることができる。
【0187】
EBV特異的免疫細胞を生成させる/拡大するための参照方法として、潜伏期ペプミックス(のみ)を刺激において用いる本明細書中の実施例1に記載されるような方法が挙げられる場合がある。
【0188】
本開示の方法によって生成させられる/拡大される免疫細胞の集団を使用する方法
本明細書中に記載されるように生成させられる/拡大されるEBV特異的免疫細胞を含む免疫細胞の集団は、治療的および/または予防的な方法における使用が見出される。
【0189】
疾患/状態を対象において処置する/防止するための方法であって、本開示の方法に従って生成させられる/拡大される、EBVについて特異的な免疫細胞の集団を対象に投与することを含む方法が提供される。医学的処置/予防の方法において使用するための、本開示の方法に従って生成させられる/拡大される、EBVについて特異的な免疫細胞の集団もまた提供される。疾患/状態を処置する/防止するための方法において使用するための、本開示の方法に従って生成させられる/拡大される免疫細胞の集団もまた提供される。疾患/状態を処置する/防止するための方法において使用するための医薬品の製造における、本開示の方法に従って生成させられる/拡大される、EBVについて特異的な免疫細胞の集団の使用もまた提供される。
【0190】
特に、疾患/状態を養子細胞移入(ACT)によって処置する/防止するための方法における、本開示に従って生成させられる/拡大される、EBVについて特異的な免疫細胞の集団の使用が意図される。
【0191】
養子細胞移入は一般には、細胞(例えば、免疫細胞)が、典型的には該細胞が単離される血液サンプルを抜き取ることによって対象から得られるプロセスを示す。細胞はその後、典型的には改変および/または拡大され、その後、同じ対象(自己/自家細胞の養子移入の場合)または異なる対象(同種細胞の養子移入の場合)のどちらかに投与される。処置は典型的には、ある特定の所望の特性を有する細胞の集団を対象に与えること、またはそのような特性を有するそのような細胞の頻度をその対象において増大させることを目的とする。養子移入が、細胞または細胞集団を対象に導入すること、および/または細胞または細胞集団の頻度を対象において増大させることを目指して行われる場合がある。
【0192】
免疫細胞の養子移入が、例えば、KalosおよびJune、2013、Immunity 39(1):49-60、およびDavis他、2015、Cancer J.21(6):486-491に記載される(これらの両方がそれらの全体において参照によってここに組み込まれる)。当業者は、本開示に従う細胞の養子移入のための適切な試薬および手順を、例えば、Dai他、2016、J Nat Cancer Inst、108(7):djv439(これはその全体が参照によって組み込まれる)を参照することによって決定することができる。
【0193】
いくつかの実施形態において、上記方法は、
(a)EBVについて特異的な免疫細胞の集団を本開示の方法に従って生成させる/拡大すること;および
(b)EBVについて特異的な免疫細胞の前記生成させられた/拡大された集団を対象に投与すること
を含む。
【0194】
いくつかの実施形態において、上記方法は、
(a)免疫細胞(例えば、PBMC)の集団を対象から単離する/得ること;
(b)EBVについて特異的な免疫細胞の集団を本開示の方法に従って生成させる/拡大すること;および
(c)EBVについて特異的な免疫細胞の前記生成させられた/拡大された集団を対象に投与すること
を含む。
【0195】
いくつかの実施形態において、免疫細胞(例えば、PBMC)が単離される対象は、EBVについて特異的な免疫細胞の生成させられた/拡大された集団が投与される同じ対象である(すなわち、養子移入は自己/自家細胞である場合がある)。いくつかの実施形態において、免疫細胞(例えば、PBMC)が単離される対象は、EBVについて特異的な免疫細胞の生成させられた/拡大された集団が投与される対象とは異なる対象である(すなわち、養子移入は同種細胞である場合がある)。
【0196】
いくつかの実施形態において、上記方法は下記のうちの1つまたは複数を含む場合がある:
血液サンプルを対象から取得すること;
免疫細胞(例えば、PBMC)を前記血液サンプルから単離すること;
EBVについて特異的な免疫細胞の集団を本開示の方法に従って生成させる/拡大すること;
EBVについて特異的な免疫細胞の前記集団を回収する/単離すること;
EBVについて特異的な免疫細胞の前記集団をアジュバント、希釈剤またはキャリアと混合すること;
EBVについて特異的な免疫細胞の前記集団を対象に投与すること。
【0197】
上記方法は、疾患/状態の発症/進行を弱めること、疾患/状態の症状の緩和、または疾患/状態の病理における軽減のために効果的である場合がある。上記方法は、疾患/状態の進行を防止するために、例えば、疾患/状態の悪化を防止するために、または疾患/状態の発症速度を遅らせるために効果的である場合がある。いくつかの実施形態において、上記方法は、疾患/状態における改善、例えば、疾患/状態の症状における軽減、または疾患/状態の重篤度/活動度の何らかの他の相関物における低下を引き起こす場合がある。いくつかの実施形態において、上記方法は、より後期段階での疾患/状態の発症(例えば、慢性的段階または転移)を防止する場合がある。
【0198】
本開示に従って生成させられる/拡大される細胞の集団の治療的および予防的な有用性が、EBV負荷および/またはEBVに感染した細胞の数/活動度における軽減からの治療的利益または予防的利益を得るであろうかもしれない疾患/状態のどのようなものであれその処置/防止にまで及ぶことが理解されるであろう。
【0199】
例えば、疾患/状態は、EBVまたはEBVに感染した細胞が病理学的に関わる疾患/状態、例えば、EBV感染が、疾患/状態の開始、発症もしくは進行、および/または疾患/状態の1つもしくは複数の症状の重篤度と肯定的に関連する疾患/状態、あるいはEBV感染が、疾患/状態の開始、発症もしくは進行についての危険因子である疾患/状態である場合がある。
【0200】
処置は、EBV負荷を軽減させること、EBV陽性細胞の数/割合を減少させること、EBV陽性細胞の活動度を低下させること、疾患/状態の症状の開始/進行を遅らせる/防止すること、疾患/状態の症状の重篤度を低下させること、EBV陽性細胞の生存/成長を低下させること、対象の生存を増大させることのうちの1つまたは複数を目的とする場合がある。
【0201】
いくつかの実施形態において、本開示に従って処置される/防止されることになる疾患/状態は、EBV感染によって特徴づけられる疾患/状態である。
【0202】
いくつかの実施形態において、対象が、EBV/EBV感染細胞の検出に基づいて、例えば、末梢におけるその検出、または疾患/状態によって影響される器官/組織(例えば、疾患/状態の症状が現れる器官/組織)におけるその検出に基づいて、あるいはEBV陽性ガン細胞(例えば、腫瘍におけるEBV陽性細胞)の検出によって、本明細書中に記載される処置のために選択される場合がある。疾患/状態は、どのような組織または器官または器官系においてであれ影響を及ぼす場合がある。いくつかの実施形態において、疾患/状態はいくつかの組織/器官/器官系に影響を及ぼす場合がある。
【0203】
いくつかの実施形態において、対象がEBVに感染している、言い換えれば、EBVに感染した細胞を含むという判定に基づいて、対象が本開示による治療/予防のために選択される場合がある。
【0204】
EBVが、例えば、Jha他、Front Microbiol.(2016)7:1602(これはその全体が参照によってここに組み込まれる)において概説されるように、いくつかのガンに関わっている。
【0205】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示に従って処置される/防止されることになる疾患はガンである。
【0206】
ガンは、望まれない細胞増殖(またはどのような疾患であれ望まれない細胞増殖によって現れる疾患)、新生物または腫瘍をどのようなものであれ示す場合がある。ガンは良性または悪性である場合があり、また、原発性または二次性(転移性)である場合がある。新生物または腫瘍は、細胞のどのような成長または増殖であれ細胞の異常な成長または増殖である場合があり、また、どのような組織においてでも所在することがある。ガンは、例えば、副腎、副腎髄質、肛門、虫垂、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、盲腸、中枢神経系(脳を含む、または脳を除く)小脳、子宮頸部、結腸、十二指腸、子宮内膜、上皮細胞(例えば、腎上皮)、胆嚢、食道、グリア細胞、心臓、回腸、空腸、腎臓、涙腺、喉頭、肝臓、肺、リンパ、リンパ節、リンパ芽球、上顎骨、縦隔、腸間膜、子宮筋層、鼻咽頭、網、口腔、卵巣、膵臓、耳下腺、末梢神経系、腹膜、胸膜、前立腺、唾液腺、S状結腸、皮膚、小腸、軟組織、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、舌、扁桃、気管、子宮、外陰部および/または白血球に由来する組織/細胞のものである場合がある。
【0207】
腫瘍は、神経系または非神経系の腫瘍である場合がある。神経系の腫瘍は、中枢神経系または末梢神経系のどちらにでも起源を有する場合がある:例えば、神経膠腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、神経線維腫、上衣細胞腫、シュワン細胞腫、神経線維肉腫、星状膠細胞腫および乏突起神経膠腫。非神経系のガン/腫瘍は、どのような組織であれ他の非神経性の組織に起源を有する場合があり、例には、黒色腫、中皮腫、リンパ腫、骨髄腫、白血病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘパトーム、類表皮ガン、前立腺ガン、乳ガン、肺ガン、結腸ガン、卵巣ガン、膵臓ガン、胸腺ガン、NSCLC、血液ガンおよび肉腫が含まれる。
【0208】
いくつかの実施形態において、ガンは、結腸ガン、結腸ガン腫、結腸直腸ガン、鼻咽頭ガン、子宮頸ガン、中咽頭ガン、胃ガン、肝細胞ガン、頭頸部ガン、頭頸部扁平上皮ガン(HNSCC)、口腔ガン、喉頭ガン、前立腺ガン、肺ガン、小細胞肺ガン、非小細胞肺ガン、膀胱ガン、尿路上皮ガン、黒色腫、進行性黒色腫、腎細胞ガン、卵巣ガンまたは中皮腫からなる群から選択される。
【0209】
いくつかの実施形態において、処置される/防止されることになるガンはEBV随伴ガンである。「EBV随伴」ガンは、EBVによる感染によって引き起こされる、もしくは悪化するガン、感染が危険因子であるガン、および/または、感染が、開始、発症、進行、重篤度もしくは転移に肯定的に関連するガンである場合がある。
【0210】
本開示に従って処置される/防止されることがあるEBV随伴ガンには、B細胞関連のガン、例えば、バーキットリンパ腫、移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、中枢神経系リンパ腫(CNSリンパ腫)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、および免疫不全に伴うEBV随伴リンパ腫(例えば、X連鎖リンパ増殖性疾患に伴うEBV陽性リンパ腫、HIV感染/AIDSに伴うEBV陽性リンパ腫、および口腔毛状白板症を含む)など、ならびに上皮細胞に関連づけられるガン、例えば、鼻咽頭ガン(NPC)および胃ガン(GC)などが含まれる。
【0211】
いくつかの実施形態において、ガンは、リンパ腫(例えば、EBV陽性リンパ腫)、頭頸部扁平上皮ガン(HNSCC;例えば、EBV陽性HNSCC)、鼻咽頭ガン(NPC;例えば、EBV陽性NPC)、および胃ガン(GC;例えば、EBV陽性GC)から選択される。
【0212】
EBV感染はまた、多発性硬化症および全身性エリテマトーデス(SLE;例えば、AscherioおよびMunger、Curr Top Microbiol Immunol.(2015);390(Pt 1):365-85を参照のこと)などの様々な自己免疫疾患の発症/進行にも関わっており、EBV抗原であるEBNA2が、SLE、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患、1型糖尿病、若年性特発性関節炎およびセリアック病の発症についての危険因子として関わる遺伝子領域と会合することが近年には示されている(Harley他、Nat Genet.(2018)50(5):699-707)。
【0213】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示に従って処置される/防止されることになる疾患/状態は、SLE、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患、1型糖尿病、若年性特発性関節炎およびセリアック病から選択される。
【0214】
本開示に従って生成させられる/拡大される細胞の集団はまた、EBV感染とは無関係に疾患/状態の処置/防止における使用が見出される。
【0215】
本明細書中上記で記載されるように、本開示に従って生成させられる/拡大される細胞の集団は、ガンを処置するための方法における使用が見出される。
【0216】
いくつかの実施形態において、ガンはガン抗原を発現する場合がある。「ガン抗原」は、ガンの細胞によって発現される、または過剰発現される抗原である。ガン抗原として、ペプチド/ポリペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、グリカン、糖脂質、脂質またはそれらのフラグメントがどのようなものであれ挙げられる場合がある。ガン抗原の発現がガンに随伴する場合がある。ガン抗原がガン細胞によって異常に発現される場合があり(例えば、ガン抗原が、異常な局在化を伴って発現される)、またはガン細胞によって異常な構造を伴って発現される場合がある。ガン抗原が、免疫応答を誘発することができる場合がある。いくつかの実施形態において、抗原はガン細胞の細胞表面に発現される(すなわち、ガン抗原はガン細胞表面抗原である場合がある)。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される抗原結合分子が結合する抗原の一部が、ガン細胞の外側表面に露呈される(すなわち、細胞外である)。いくつかの実施形態において、ガン抗原は、ガンの症状の発症、進行または重篤度にその発現が関連する抗原である。ガン随伴抗原はガンの原因または病理に関連する場合があり、あるいはガンの結果として異常に発現される場合がある。いくつかの実施形態において、ガン抗原は、例えば、比較可能な非ガン性細胞(例えば、同じ組織/細胞タイプに由来する非ガン性細胞)による発現レベルと比較した場合、ガンの細胞によってその発現が(例えば、RNAレベルおよび/またはタンパク質レベルで)アップレギュレーションされる抗原である。いくつかの実施形態において、ガン抗原はガン性細胞によって優先的に発現されており、比較可能な非ガン性細胞(例えば、同じ組織/細胞タイプに由来する非ガン性細胞)によって発現されない。いくつかの実施形態において、ガン抗原は、変異したガン遺伝子または変異した腫瘍抑制遺伝子の産物である。いくつかの実施形態において、ガン抗原は、過剰発現した細胞タンパク質、発ガン性ウイルスによって産生されるガン抗原、腫瘍胎児性抗原、細胞表面分子(例えば、細胞表面のタンパク質または糖タンパク質)の産物である。いくつかの実施形態において、ガン抗原は、細胞シグナル伝達分子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキンまたはリンホカインである。いくつかの実施形態において、ガン抗原は増殖因子またはホルモンである。
【0217】
いくつかの実施形態において、ガンはガン抗原について「陽性」であり、このことは、ガンが、ガン抗原を発現する細胞(例えば、ガン抗原を細胞表面に発現する細胞)を含むことを意味する。ガン抗原陽性ガンはガン抗原を過剰発現する場合がある。ガン抗原の過剰発現を、同等の非ガン性細胞/非腫瘍組織による発現レベルよりも大きいガン抗原の遺伝子発現レベルまたはタンパク質発現レベルを検出することによって明らかにすることができる。ガン抗原の遺伝子/タンパク質発現が、ガンの症状の開始、発症、進行もしくは重症度、および/または転移についての危険因子である場合があり、ならびに/あるいはそれらに肯定的に関連する場合がある。
【0218】
対象
本明細書中に記載される開示の様々な局面による対象は、どのような動物またはヒトでもある場合がある。対象は好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。対象は非ヒト哺乳動物である場合があり、しかし、より好ましくはヒトである。対象はいずれの性でもある場合がある。対象は患者である場合がある。対象は、処置を必要とする疾患/状態と診断されている場合があり、そのような疾患/状態を有することが疑われる場合があり、またはそのような疾患/状態を発症する/そのような疾患/状態に罹患する危険性がある場合がある。
【0219】
本開示による実施形態において、対象は好ましくはヒト対象である。いくつかの実施形態において、本明細書中の開示の治療的方法または予防的方法に従って処置されることになる対象は、疾患/状態を有する対象、または疾患/状態を発生する危険性がある対象である。本開示による実施形態において、対象が、そのような疾患/状態のある特定のマーカーについての特徴づけに基づく方法による処置のために選択される場合がある。
【0220】
配列同一性
2つ以上のアミノ酸配列または核酸配列の間におけるパーセント同一性を求めるという目的のための対配列アラインメントおよび多重配列アラインメントを、例えば、公開されているコンピューターソフトウエアを使用して、例えば、ClustalOmegaソフトウエア(Soding,J.、2005、Bioinformatics 21、951-960)、T-coffee(Notredame他、2000、J.Mol.Biol.(2000)302、205-217)、Kalignソフトウエア(LassmannおよびSonnhammer、2005、BMC Bioinformatics、6(298))、およびMAFFTソフトウエア(KatohおよびStandley、2013、Molecular Biology and Evolution、30(4)772-780)などを使用して、当業者には知られている様々な方法で達成することができる。そのようなソフトウエアを使用するとき、例えば、ギャップペナルティーおよび伸長ペナルティーについては、初期値設定済みパラメーターが好ましくは使用される。
【0221】
番号付き段落
以下の番号付き段落(para)は、本開示に関連して意図される特徴および特徴組み合わせのさらなる記述を提供する:
【0222】
1.エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞を含む免疫細胞の集団を生成させるための、または拡大するための方法であって、末梢血単核細胞(PBMC)を、(i)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドと、あるいは(ii)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞を刺激することを含む方法。
【0223】
2.EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞を、1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示するAPCと接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞を再刺激することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0224】
3.前記1つまたは複数のEBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5およびBDLF3から選択される、請求項1に記載の方法。
【0225】
4.前記1つまたは複数のEBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2およびBDLF3から選択される、請求項1に記載の方法。
【0226】
5.前記PBMCが、CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCである、請求項1に記載の方法。
【0227】
6.エプスタイン・バーウイルス(EBV)溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを含む免疫細胞の集団を生成させるための、または拡大するための方法であって、末梢血単核細胞(PBMC)を、(i)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチド、および1つまたは複数のEBV潜伏抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドと、あるいは(ii)1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチド、および1つまたは複数のEBV潜伏抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)と接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な免疫細胞とを刺激することを含む方法。
【0228】
7.EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な前記免疫細胞とを、1つまたは複数のEBV溶解抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチド、およびEBV潜伏抗原の全体または一部に対応する1つまたは複数のペプチドを提示するAPCと接触させることによって、EBV溶解抗原について特異的な前記免疫細胞と、EBV潜伏抗原について特異的な前記免疫細胞とを再刺激することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【0229】
8.前記1つまたは複数のEBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BXLF1、BALF1、BALF2、BGLF5、BHRF1、BNLF2A、BNLF2B、BHLF1、BLLF2、BKRF4、BMRF2、BALF4、BILF1、BILF2、BNFR1、BVRF2、BALF3、BALF5およびBDLF3から選択される、請求項6に記載の方法。
【0230】
9.前記1つまたは複数のEBV溶解抗原が、BZLF1、BRLF1、BMLF1、BMRF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2およびBDLF3から選択される、請求項6に記載の方法。
【0231】
10.前記1つまたは複数のEBV潜伏抗原が、EBNA1、EBNA-LP、EBNA2、EBNA3A、EBNA3B、EBNA3C、BARF1、LMP1、LMP2AおよびLMP2Bから選択される、請求項6に記載の方法。
【0232】
11.前記1つまたは複数のEBV潜伏抗原が、EBNA1、LMP1、LMP2AおよびLMP2Bから選択される、請求項6に記載の方法。
【0233】
12.前記PBMCが、CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCである、請求項6に記載の方法。
【0234】
13.請求項1に記載の方法によって得られる、または得ることができる免疫細胞の単離された集団。
【0235】
14.疾患または障害を処置するための、または防止するための方法であって、請求項13に記載の単離された免疫細胞集団を対象に投与することを含む方法。
【0236】
15.前記疾患または障害がガンである、請求項14に記載の方法。
【0237】
16.前記疾患または障害が、EBV陽性リンパ腫、EBV陽性鼻咽頭ガンおよびEBV陽性胃ガンから選択されるEBV随伴ガンである、請求項14に記載の方法。
【0238】
本発明には、記載される様々な局面および好ましい特徴の組み合わせが、そのような組み合わせが明らかに容認できない場合または明確に回避される場合を除いて包含される。
【0239】
本明細書中で使用される節見出しは、構成上の目的だけのためのものであり、記載される主題を限定するものとして解釈されることはない。
【0240】
本発明の様々な局面および実施形態が次に、添付された図面を参照することにより例として説明されるであろう。さらなる局面および実施形態が当業者には明らかであろう。本文において言及されるすべての文書が参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0241】
下記の請求項を含めて本明細書全体を通して、文脈上他の解釈が要求される場合を除き、単語“comprise”(含む)、ならびに“comprises”(含む)および“comprising”(含む)などの変化形は、明記された完全体(integer)または工程または一群の完全体もしくは工程を包含することを意味すること、しかし、他の完全体または工程または一群の完全体もしくは工程をどのようなものであれ除外することを意味しないことが理解されるであろう。
【0242】
本明細書および添付された請求項において使用される場合、“a”、“an”および“the”を伴う単数形態は、文脈がそうでないことを明確に示す場合を除き、複数である参照物を包含することに留意しなければならない。範囲が、「約」を伴って1つの特定の値から、および/または「約」を伴って別の特定の値までとして本明細書中では表される場合がある。そのような範囲が表されるとき、別の実施形態では、前記1つの特定の値から、および/または前記他の特定の値までが含まれる。同様に、値が先行詞「約」の使用によって近似値として表されるときには、前記特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
【0243】
核酸配列が本明細書中に開示される場合、その逆相補体もまた明確に意図される。
【0244】
本明細書中に記載される様々な方法がインビトロまたはインビボで実施される場合がある。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される様々な方法がインビトロで実施される。用語「インビトロ」は、細胞が培養されている実験を包含することが意図され、これに対して、用語「インビボ」は、無傷の多細胞生物を用いる実験を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0245】
次に、本開示の方法および組成物の原理を例示する様々な実施形態および実験が、添付された図面を参照することにより議論される。
図1A】4名の異なるEBV陽性リンパ腫患者から得られるPBMCから拡大される細胞の集団に含まれる、示されたEBV抗原について特異的な100,000細胞あたりのスポット形成細胞(SFC)の数を示す棒グラフ。潜伏ペプミックス、または潜伏+溶解ペプミックスを使用する刺激によって生成させられるEBVST(それぞれ、T2 EBVST、AII-EBVST)の中での、示された抗原による刺激に対する応答における100,000細胞あたりのSFCの数を示す。
図1B】4名の異なるEBV陽性リンパ腫患者から得られるPBMCから拡大される細胞の集団に含まれる、示されたEBV抗原について特異的な100,000細胞あたりのスポット形成細胞(SFC)の数を示す棒グラフ。溶解ペプミックス、または潜伏+溶解ペプミックスを使用する刺激によって生成させられるEBVST(それぞれ、溶解EBVST、AII-EBVST)の中での、示された抗原による刺激に対する応答における100,000細胞あたりのSFCの数を示す。
図2】潜伏ペプミックス、溶解ペプミックス、または潜伏+溶解ペプミックスを使用する刺激によって2名のEBV陽性リンパ腫患者からのPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、溶解EBVST、BR-EBVST)に含まれる、示されたEBV抗原について特異的な100,000細胞あたりのスポット形成細胞(SFC)の数を示す棒グラフ。棒での細胞総数が示される。
図3】潜伏ペプミックス、最初期溶解ペプミックス、初期溶解ペプミックス、または潜伏+溶解ペプミックスを使用する刺激によって3名の健常ドナー対象からのPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、IE-EBVST、E-EBVST、BR-EBVST)に含まれる、示されたEBV抗原について特異的な100,000細胞あたりのスポット形成細胞(SFC)の数を示す棒グラフ。
図4】潜伏ペプミックス、最初期溶解ペプミックス、初期溶解ペプミックス、または潜伏+溶解ペプミックスを使用する刺激によって3名の健常ドナー対象からのPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、IE-EBVST、E-EBVST、BR-EBVST)によって、細胞溶解活性のインビトロアッセイにおいて溶解される自己EBV-LCLの割合を示す棒グラフ。
図5】潜伏ペプミックス、または潜伏+溶解ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、BR-EBVST)に含まれる、示されたEBV抗原またはLCLについて特異的な100,000細胞あたりのスポット形成細胞(SFC)の数を示す棒グラフ。
図6A】潜伏ペプミックス、または潜伏+溶解ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、BR-EBVST)の、EBV陽性ガンのマウス異種移植モデルにおける自己EBV-LCLに対するインビボ抗ガン活性を示すグラフおよび画像。コントロール群はEBVSTの代わりにPBSを受けた。経時的な腫瘍体積(mm)を示す。
図6B】潜伏ペプミックス、または潜伏+溶解ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、BR-EBVST)の、EBV陽性ガンのマウス異種移植モデルにおける自己EBV-LCLに対するインビボ抗ガン活性を示すグラフおよび画像。コントロール群はEBVSTの代わりにPBSを受けた。ホタルルシフェラーゼ発現EBV-LCLのルシフェラーゼ活性によって測定されるような経時的な腫瘍負荷量を示す。
図6C】ホタルルシフェラーゼ発現EBV-LCLのルシフェラーゼ活性によって測定されるような経時的な腫瘍負荷量を示す。
図7】潜伏ペプミックス、または潜伏+溶解ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、BR-EBVST)の、自己EBV-LCLに対する抗ガン活性をEBV陽性ガンのマウス異種移植モデルにおいて調べる実験の示された日のマウスにおけるインビボでのホタルルシフェラーゼ発現EBV-LCLの負荷量および所在を示す画像。コントロール群はEBVSTの代わりにPBSを受けた。
図8A】潜伏ペプミックス、溶解(2)ペプミックス、または溶解(2)+潜伏ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、溶解(2)-EBVST、BR(2)-EBVST)の、EBV陽性ガンのマウス異種移植モデルにおける自己EBV-LCLに対するインビボ抗ガン活性を示すグラフおよび画像。コントロール群はEBVSTの代わりにPBSを受けた。EBVSTの注入に対する示された日における背側面を示す。
図8B】潜伏ペプミックス、溶解(2)ペプミックス、または溶解(2)+潜伏ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、溶解(2)-EBVST、BR(2)-EBVST)の、EBV陽性ガンのマウス異種移植モデルにおける自己EBV-LCLに対するインビボ抗ガン活性を示すグラフおよび画像。コントロール群はEBVSTの代わりにPBSを受けた。EBVSTの注入に対する示された日における腹側面を示す。
図8C】潜伏ペプミックス、溶解(2)ペプミックス、または溶解(2)+潜伏ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、溶解(2)-EBVST、BR(2)-EBVST)の、EBV陽性ガンのマウス異種移植モデルにおける自己EBV-LCLに対するインビボ抗ガン活性を示すグラフおよび画像。コントロール群はEBVSTの代わりにPBSを受けた。経時的な総腫瘍負荷量を示す。
図8D】潜伏ペプミックス、溶解(2)ペプミックス、または溶解(2)+潜伏ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、溶解(2)-EBVST、BR(2)-EBVST)の、EBV陽性ガンのマウス異種移植モデルにおける自己EBV-LCLに対するインビボ抗ガン活性を示すグラフおよび画像。コントロール群はEBVSTの代わりにPBSを受けた。経時的な腫瘍体積(mm)を示す。
図9A】潜伏ペプミックス、溶解(2)ペプミックス、または溶解(2)+潜伏ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、溶解(2)-EBVST、BR(2)-EBVST)による処置をEBV陽性ガンのマウス異種移植モデルにおいて受けるマウスの血清において検出されるサイトカインのレベルを、EBV注入後の示された日数において示す箱ひげ図。GM-CSFのレベルを示す。***P=0.0001。
図9B】潜伏ペプミックス、溶解(2)ペプミックス、または溶解(2)+潜伏ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、溶解(2)-EBVST、BR(2)-EBVST)による処置をEBV陽性ガンのマウス異種移植モデルにおいて受けるマウスの血清において検出されるサイトカインのレベルを、EBV注入後の示された日数において示す箱ひげ図。IFNγのレベルをを示す。***P=0.0001。
図9C】潜伏ペプミックス、溶解(2)ペプミックス、または溶解(2)+潜伏ペプミックスを使用する刺激によってPBMCから拡大されるEBVST(それぞれ、T2-EBVST、溶解(2)-EBVST、BR(2)-EBVST)による処置をEBV陽性ガンのマウス異種移植モデルにおいて受けるマウスの血清において検出されるサイトカインのレベルを、EBV注入後の示された日数において示す箱ひげ図。IL-10のレベルを示す。***P=0.0001。
図10】4名の異なる健常ドナー対象(D#1~D#4)から得られるPBMCから潜伏ペプミックスを使用する刺激によって拡大される細胞の集団に含まれる、EBV抗原について特異的な100,000細胞あたりのスポット形成細胞(SFC)の数を示す棒グラフ。WW=PBMC全体から拡大され、PBMC全体に由来するATCを使用して再刺激されるEBVST;WD=PBMC全体から拡大され、CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCに由来するATCを使用して再刺激されるEBVST;DW=CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCから拡大され、PBMC全体に由来するATCを使用して再刺激されるEBVST;およびDD=CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCから拡大され、CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCに由来するATCを使用して再刺激されるEBVST。
図11】フローサイトメトリーによって求められるような、4名の異なる健常ドナー対象(D#1~D#4)、PBMC全体、またはCD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCに由来するATCでのCD80およびHLA-DRの発現を示すヒストグラム。
【実施例
【0246】
以下の実施例において、本発明者らは、EBV特異的T細胞を含む細胞の集団が、様々な異なるEBV抗原のペプチドによる刺激によってPBMC集団から生成させられることを記載する。本発明者らは、拡大された細胞集団を、そのEBV反応性、EBV感染細胞に対するエフェクター活性を示し得るか、およびEBV陽性ガンに対するインビボにおけるその抗ガン活性について特徴づけする。本発明者らはまた、拡大された集団におけるEBV反応性細胞の割合、ならびにインビボにおける該細胞の抗ガン活性および持続性を増大させるための方法を詳しく調べている。
【0247】
実施例1:EBV特異的T細胞の生成
末梢血単核細胞(PBMC)を標準的なFicoll-Paque密度勾配遠心分離法に従って、健常ドナーまたはリンパ腫患者から得られる血液サンプルから単離した。
【0248】
ATCの生成
抗CD3アゴニスト抗体(クローンOKT3)および抗CD28アゴニスト抗体を、0.5mlの1:1000希釈された1mg/mlの抗体を加え、37℃で2~4時間または4℃で一晩インキュベーションすることによって組織培養プレートのウエルに被覆した。1×10個のPBMC(2mlの細胞培養培地において)を、10ng/mlのIL-7および5ng/mlのIL-15が補充されるCTL細胞培養培地(RPMI-1640培地、50%のクリック培地、10%のFBS、1%のGlutaMax、1%のPen/Strepを含有する)における抗CD3/CD28アゴニスト抗体被覆プレートでの培養によって刺激した。細胞を5%のCO2雰囲気において37℃で維持した。翌日、1mlの細胞培養培地を、20ng/mlのIL-7および200ng/mlのIL-15を含有する新鮮なCTL培地により取り換えた。ATCを培養で維持し、続いて集め、実験で使用したか、または5~7日の間で凍結保存した。
【0249】
ユニバーサルLCL
HLAクラスIおよびHLAクラスIIの表面発現を欠くLCL(すなわち、HLA陰性LCL)を、HLAクラスI分子およびHLAクラスII分子をコードする遺伝子をB細胞のEBV形質転換によって調製されるリンパ芽球様細胞株の細胞において標的化ノックアウトすることによって得た。このHLA陰性細胞を、EBV複製のために必要な遺伝子をノックアウトするためにさらに改変した。本方法によって得られる生じた細胞は本明細書中ではユニバーサルLCL(uLCL)として示される。
【0250】
EBV特異的T細胞の拡大
EBV特異的T細胞を、50%のAdvanced RPMI、50%のクリック培地、10%のFBS、1%のGlutaMax、1%のPen/Strepを含有し、IL-7(10ng/ml)およびIL-15(100ng/ml)が補充される細胞培養培地において、JPT Technologiesから得られるペプミックス(関連抗原のアミノ酸配列全体に広がる、11アミノ酸によって重複する重複した15merアミノ酸ペプチドライブラリー)の以下の組み合わせの1つにより2×10個のPBMCを9日間にわたって刺激することによって拡大した:
(i)EBNA1ペプミックス(JPTカタログ番号PM-EBV-EBNA1)+LMP1ペプミックス(JPTカタログ番号PM-EBV-LMP1)+LMP2ペプミックス(JPTカタログ番号PM-EBV-LMP2)-「潜伏ペプミックス」
(ii)BZLF1ペプミックス(JPTカタログ番号PM-EBV-BZLF1)+BRLF1ペプミックス(JPTカタログ番号PM-EBV-BRLF1)+BMRF1ペプミックス(JPTカタログ番号PM-EBV-BMRF1)+BMLF1ペプミックス+BALF2ペプミックス+BNLF2Aペプミックス+BNLF2Bペプミックス+BMRF2ペプミックス-「溶解ペプミックス」
(iii)EBNA1ペプミックス+LMP1ペプミックス+LMP2ペプミックス+BZLF1ペプミックス+BRLF1ペプミックス+BMRF1ペプミックス+BMLF1ペプミックス+BALF2ペプミックス+BNLF2Aペプミックス+BNLF2Bペプミックス+BMRF2ペプミックス-「潜伏+溶解ペプミックス」
【0251】
ペプミックスの組み合わせ(すなわち、ペプミックス混合物)を1×10個のPBMCあたり10ngのペプミックス混合物の最終量で刺激において使用した。
BMLF1、BALF2、BNLF2A、BNLF2B、BMRF2についてのペプミックスを、Genemedから得られる個々の構成ペプチドを組み合わせることによって調製した。
(iv)BZLF1ペプミックス+BRLF1ペプミックス+BMRF1ペプミックス-「最初期溶解ペプミックス」
(v)BMRF1ペプミックス+BMLF1ペプミックス+BALF2ペプミックス+BNLF2Aペプミックス+BNLF2Bペプミックス+BMRF2ペプミックス(JPTカタログ番号PM-EBV-BMRF1)-「初期溶解ペプミックス」
【0252】
追加の細胞培養培地を9日の経過にわたって必要に応じて加え、サイトカインを、5、6または7日目に補充した。
【0253】
9日間の培養期間が終了した時、細胞を、放射線照射された、ペプチドパルス処理された自己由来の活性化T細胞(ATC)とのuLCLの存在下での共培養によって再刺激した。簡単に記載すると、2×10個のATCをペプミックス(1×10個のATCあたり10ngのペプミックス混合物)とともにCTL培地において37℃で30分間インキュベーションし、続いて30Gyでの放射線照射に供し、集めた。その後、ペプチドパルス処理ATCを、IL-7(10ng/ml)およびIL-15(100ng/ml)を含有するCTL培地において、1:1:5のレスポンダー細胞:ペプチドパルス処理ATC:放射線照射uLCLの比率で、培養中の細胞およびuLCL(100Gyでの放射線照射)と混合した。具体的には、1×10個のレスポンダー細胞と、1×10個のペプチドパルス処理ATCと、0.5×10個の放射線照射uLCLとを24ウエル組織培養プレートのウエルにおいて2mLのCTL培地で培養した。
【0254】
細胞を5%のCO2雰囲気において37℃で維持した。3~4日後、IL-7(10ng/ml)およびIL-15(100ng/ml)を含有するさらなる細胞培養培地を必要に応じて加えた。5日目または6日目に、IL-7(10ng/ml)およびIL-15(100ng/ml)を含有するさらなる細胞培養培地を必要に応じて加え、6~7日後、拡大されたEBVSTを分析のために、または実験での使用のために集めた。
【0255】
実施例および図の全体にわたる実例において:
潜伏ペプミックス(すなわち、上記の(i))を用いる方法によって生成させられるEBVSTは、「2型潜伏抗原(T2)-EBVST」として示される。
溶解ペプミックス(すなわち、上記の(ii))を用いる方法によって生成させられるEBVSTは、「溶解EBVST」として示される。
潜伏+溶解ペプミックス(すなわち、上記の(iii))を用いる方法によって生成させられるEBVSTは、「広範囲レパートリー(BR)-EBVST」として示される。
最初期溶解ペプミックス(すなわち、上記の(iv))を用いる方法によって生成させられるEBVSTは、「最初期(lE)-EBVST」として示される。
初期溶解ペプミックス(すなわち、上記の(v))を用いる方法によって生成させられるEBVSTは、「初期(E)-EBVST」として示される。
【0256】
実施例2:EBV抗原についてのEBVSTの特異性の分析
異なるペプミックスを使用してEBV陽性リンパ腫患者のPBMCから調製されるEBVSTを、該EBVSTは異なるEBV抗原を認識することができるかを明らかにするためにELISPOTによって分析した。
【0257】
簡単に記載すると、EBVSTを抗IFNγ捕捉抗体により事前に被覆される96ウエルプレートにおいて1×10細胞/ウエルで置床し、示されたEBVペプチドに対応するペプミックスにより刺激した。18~20時間のインキュベーションの後、プレートをIFNγ+スポットについて発色させ、暗所において室温で一晩乾燥させ、定量化した。それぞれの抗原に対して特異的なT細胞の頻度を投入細胞数あたりの特異的スポット形成細胞(SFC)として表した。
【0258】
図1Aおよび図1Bは、溶解サイクル抗原について特異的なT細胞を溶解サイクル抗原についてのプレミックスだけによる刺激によって生成させることができることを示す。潜伏抗原および溶解抗原についてのペプミックスを組み合わせた場合、どのような抗原であれただ1つの抗原についての特異性は損なわれず、抗原特異的T細胞の総頻度が、ペプミックスが組み合わされたときには大きくなっていた。
【0259】
ある患者のT細胞は、潜伏抗原ペプミックスまたは溶解抗原ペプミックスが単独で使用されるときには不良な特異性を示しており、しかし、潜伏抗原ペプミックスと、溶解抗原ペプミックスとが組み合わせで使用されるときには、良好な特異性を達成することができる(ドナー2を参照のこと)。これは、互いに助け合う活性化T細胞によるサイトカインの産生の結果であると考えられる。
【0260】
図2は、EBV潜伏抗原および溶解抗原に対応するペプミックスによる刺激に応答してIFNγを分泌する細胞の数が、潜伏抗原ペプミックスと溶解抗原ペプミックスとの組み合わせを使用して生成させられるEBVSTについては、潜伏抗原ペプミックスだけを使用して、または溶解抗原ペプミックスだけを使用して生成させられるEBVSTよりも多いことを示す。IFNγ産生細胞の数における超加法的な増大が、潜伏抗原ペプミックスと溶解抗原ペプミックスとの組み合わせのときには認められる。
【0261】
さらなる実験において、異なるペプミックスを使用して健常ドナーのPBMCから調製されるEBVSTを上記で記載されるように、該EBVSTは異なるEBV抗原を認識することができるかを明らかにするためにELISPOTによって分析した。
【0262】
結果が図3に示されており、結果は、潜伏サイクル抗原、最初期溶解抗原および初期溶解抗原について特異的なT細胞を健常ドナーのPBMCから拡大することが可能であったことを明らかにする。
【0263】
実施例3:異なるEBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるEBVSTによる細胞殺傷の分析
異なるペプミックスを使用するPBMCの刺激によって得られるEBVSTを、該EBVSTは自己のEBV形質転換B細胞株を殺傷することができるかについて分析した。
【0264】
10μlのCr51を、10ngのEBV潜伏+溶解ペプミックス(実施例1の(iii)を参照のこと)によりパルス処理される1×10個の自己LCLに加え、37℃で1時間インキュベーションした。その後、LCLをCTL培地により3回洗浄し、50,000細胞/mlにCTL培地において再懸濁した。EBVSTをV字型ウエル96ウエルプレートのウエルにおける200μlのCTL培地において、20:1のエフェクター:標的細胞比(100,000個のEBVST+5,000個のLCL)で、対応する自己由来のペプミックスパルス処理LCLとともに置床した。共培養物を4時間、37℃で5%のCO2においてインキュベーションした。その後、上清を集め、標的細胞の%特異的溶解を、殺傷された標的細胞によって放出されるCr51を測定するためにガンマ線カウンターを使用して求めた。
【0265】
結果が図4に示される。異なるペプミックスを使用するPBMCの刺激によって得られるEBV抗原特異的T細胞は、自己由来のEBV形質転換B細胞株を殺傷することができた。
【0266】
溶解抗原ペプミックスを用いる方法を使用して得られるEBVSTの強力なEBV-LCL殺傷能は、LCLのごく一部のみが溶解サイクルにあること(したがって、標的抗原を発現すること)が予想されるかもしれないので、驚くべきものであった。結果は、食作用、および溶解期における瀕死細胞からの抗原の提示によって説明されるかもしれない。
【0267】
実施例4:異なるEBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるEBVSTについてのインビボ抗ガン活性の分析
本発明者らは、EBV陽性ガンを処置するBR-EBVSTおよびT2-EBVSTの相対的な能力を、マウス異種移植モデルを使用してインビボで調べた。
【0268】
簡単に記載すると、EBV陽性腫瘍を、マトリゲルにおける3.5×10個のホタルルシフェラーゼ発現自己LCLをNSGマウスの脇腹に皮下埋め込みすることによって確立した。8日後、腫瘍が視認できたとき、マウスに、PBS(コントロール群)、5×10個のBR-EBVST、または5×10個のT2-EBVSTを静脈内注入によって投与した。
【0269】
腫瘍をバイオルミネセンス画像化によって実験期間中を通してモニターした。ルシフェラーゼ活性を、D-ルシフェリン(1.5mg/マウス)の腹腔内注射、およびIVIS画像化装置(Xenogen)を使用する10分後でのマウスの画像化によってモニターした。腫瘍体積もまた、カリパスを使用する測定によってモニターした。
【0270】
注入に先立って、BR-EBVSTおよびT2-EBVSTを、異なるEBV抗原またはEBV-LCLによる刺激に応答してIFNγを産生するそれらの能力についてELISPOTによって分析した。結果が図5に示されており、結果は、EBV潜伏抗原およびEBV溶解抗原に対応するペプチドを使用して拡大される免疫細胞の集団は、EBV潜伏抗原およびEBV溶解抗原の両方に対して反応性の細胞を含み、しかも、EBV潜伏抗原のみに対応するペプチドを使用して拡大される免疫細胞の集団と比較した場合、EBV-LCLによる刺激に応答してIFNγを産生する細胞のより大きい割合を含むことを明らかにする。
【0271】
図6および図7は、BR-EBVSTがT2-EBVSTよりも迅速にEBV陽性腫瘍を制御したことを示す。
【0272】
図7はまた、BR-EBVST処置マウスが、T2-EBVSTSにより処置されるマウスよりも低下した転移を示したことを示す。
【0273】
さらなる実験において、EBV陽性腫瘍を上記のような3.5×10個のホタルルシフェラーゼ発現自己LCLの皮下埋め込みによって確立し、8日後、マウスに、PBS(コントロール群)、1×10個のBR(2)-EBVST、1×10個の溶解(2)-EBVST、または1×10個のT2-EBVSTを静脈内注入によって投与した。
【0274】
この実験で使用される溶解(2)-EVBSTおよびBR(2)-EBVSTを実施例1に記載されるように生成させ、ただし、ペプミックスの以下の組み合わせを、EBVSTを拡大するために刺激において使用した:
(vi)BZLF1ペプミックス+BRLF1ペプミックス+BMRF1ペプミックス+BMLF1ペプミックス+BXLF1ペプミックス+BALF1ペプミックス+BLLF2ペプミックス+BALF2ペプミックス+BNLF2Aペプミックス-「溶解(2)-ペプミックス」
(vii)EBNA1ペプミックス+LMP1ペプミックス+LMP2ペプミックス+BZLF1ペプミックス+BRLF1ペプミックス+BMRF1ペプミックス+BMLF1ペプミックス+BXLF1ペプミックス+BALF1ペプミックス+BLLF2ペプミックス+BALF2ペプミックス+BNLF2Aペプミックス-「溶解(2)+潜伏ペプミックス」
【0275】
BMLF1、BXLF1、BALF1、BLLF2、BALF2およびBNLF2Aについてのペプミックスを、Genemedから得られる個々の構成ペプチドを組み合わせることによって調製した。EBNA1、LMP1、LMP2、BZLF1、BRLF1およびBMRF1についてのペプミックスを実施例1に示されるように、JPT technologiesから得た。
【0276】
溶解ペプミックス(すなわち、上記の(vi))を用いる方法によって生成させられるEBVSTは、「溶解(2)-EBVST」として示され、溶解(2)+潜伏ペプミックス(すなわち、上記の(vii))を用いる方法によって生成させられるEBVSTは、「BR(2)-EBVST」として示される。
【0277】
腫瘍を上記で記載されるようにバイオルミネセンス画像化によって実験期間中を通してモニターした。腫瘍体積もまた、カリパスを使用する測定によってモニターした。
【0278】
血漿サンプルもまた、GM-CSF、IFNγおよびIL-10のレベルを求めるために、EBVST投与後の3日目および8日目にマウスから採取し、ELISAによって分析した。
【0279】
結果が図8および図9に示される。
【0280】
EBV潜在抗原+EBV溶解抗原のペプチドを使用する刺激によって拡大されるEBVSTは腫瘍成長を強く阻害した(図8A図8D)。EBV溶解抗原のみを使用する刺激によって拡大されるEBVSTはまた、腫瘍成長を阻害することができ、EBV潜伏抗原のみを使用する刺激によって拡大されるEBVSTと類似する程度またはそれよりも大きい程度に腫瘍成長を阻害した。
【0281】
EBV潜伏抗原+EBV溶解抗原のペプチドを使用する刺激によって拡大されるEBVSTにより処置されるマウスはまた、EBV潜伏抗原のみを使用する刺激によって拡大されるEBVSTにより処置されるマウスと比較して、増大したレベルの炎症促進性サイトカインをその血清において有し、一方、EBV溶解抗原のペプチドだけを使用する刺激によって拡大されるEBVSTにより処置されるマウスは、EBV潜伏抗原のみを使用する刺激によって拡大されるEBVSTにより処置されるマウスと比較して、類似したレベルまたは増大したレベルの炎症促進性サイトカインをその血清において示した(図9Aおよび図9B)。
【0282】
対照的に、EBV潜伏抗原+EBV溶解抗原のペプチドを使用する刺激によって拡大されるEBVSTにより処置されるマウスは、EBV潜伏抗原のみを使用する刺激によって拡大されるEBVSTにより処置されるマウスと比較して、低下したレベルのIL-10をその血清において有し、一方、EBV溶解抗原のペプチドだけを使用する刺激によって拡大されるEBVSTにより処置されるマウスは、EBV潜伏抗原のみを使用する刺激によって拡大されるEBVSTにより処置されるマウスと比較して、類似したレベルまたは低下したレベルのIL-10をその血清において示した(図9C)。
【0283】
したがって、BR-EBVSTは、より多くの数の腫瘍細胞を殺傷すること、およびより多くの量の炎症促進性サイトカインを産生することが見出された。どのような理論であれ特定の理論によってとらわれることを望まないが、このことは、生体内での増大したエピトープ拡大を引き起こす腫瘍微小環境における変化、および非ウイルス腫瘍抗原特異的T細胞によるさらなる腫瘍細胞殺傷をもたらしているかもしれない。
【0284】
実施例5:結論
要約すると、本発明者らは下記のことを示している:
【0285】
溶解EBV抗原および潜伏EBV抗原について特異的なT細胞を含有するT細胞の集団を、健常ドナーおよびリンパ腫患者の両方からのPBMCを溶解EBV抗原および潜伏EBV抗原に対応するペプミックスにより刺激することによって得ることができる(例えば、図1および図3を参照のこと);
【0286】
溶解EBV抗原および潜伏EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することにより、EBV抗原反応性のT細胞が、溶解EBV抗原のみに対応するペプミックス、または潜伏EBV抗原のみに対応するペプミックスを使用する刺激よりも多くもたらされる(例えば、図2を参照のこと);
【0287】
溶解+潜伏EBV抗原に対応するペプミックス、または最初期溶解抗原に対応するペプミックス、または初期溶解抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞の集団は、潜伏EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞の細胞集団と類似した能力でEBV-LCLを殺傷することができる(例えば、図4を参照のこと);
【0288】
溶解+潜在EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞の集団は、潜伏EBV抗原のみに対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞の集団と比較した場合、EBV感染細胞について反応性の細胞のより大きい割合を含む(例えば、図5を参照のこと);
【0289】
溶解+潜伏EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞の集団は、潜伏EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞の集団と比較した場合、腫瘍成長の改善された制御およびEBV陽性ガンについての低下した転移を示す(例えば、図6および図7を参照のこと)。
【0290】
溶解EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞の集団は、潜伏EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞の集団と比較した場合、EBV陽性ガンについての腫瘍成長の類似した抑制または改善された制御を示す(例えば、図8を参照のこと)。
【0291】
溶解+潜伏EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞により処置されるEBV陽性ガンを有する対象は、潜伏EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞により処置される対象と比較した場合、末梢血における上昇したレベルの炎症促進性サイトカイン(GM-CSF、IFNγ)および低下したレベルの抗炎症性サイトカイン(IL-10)を有する(例えば、図9を参照のこと)。
【0292】
溶解EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞により処置されるEBV陽性ガンを有する対象は、潜伏EBV抗原に対応するペプミックスによりPBMCを刺激することによって得られるT細胞により処置される対象と比較した場合、末梢血における類似したレベルまたは上昇したレベルの炎症促進性サイトカイン(GM-CSF、IFNγ)および類似したレベルまたは低下したレベルの抗炎症性サイトカイン(IL-10)を有する(例えば、図9を参照のこと)。
【0293】
実施例6:CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCからのEBV特異的T細胞の生成
本発明者らは次に、PBMC集団からCD45RA陽性細胞を枯渇化させることの、EBV特異的T細胞の拡大された集団に対する効果を調べた。
【0294】
PBMC集団からのNK細胞の派生は、EBVSTをNK細胞集団から拡大するための方法においては、NK細胞増殖のIL-15媒介刺激のために問題となる可能性がある。CD45RAは、天然のT制御性細胞およびNK細胞でもまた発現されるナイーブT細胞マーカーである。したがって、CD45RA+細胞の枯渇化によりNK細胞が出発PBMC集団から除かれるであろうことが推理された。CD45RA+細胞の枯渇化により、抗原特異的T細胞の派生を阻害し得る制御性T細胞もまた、とりわけガン患者においては除かれ、かつ、バイスタンダー細胞として成長し、抗原特異的T細胞を希釈し得るナイーブ細胞もまた除かれる。
【0295】
CD45RA発現細胞を、Miltenyi(登録商標)カラムおよびCD45RAコンジュゲート化ビーズを使用してPBMCから枯渇化した。続いて、CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCを、本質的には実施例1で記載されるように、潜伏ペプミックスによる刺激によってEBV特異的T細胞を拡大するために使用した。
【0296】
CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCはまた、再刺激において使用されるATCを産生させるための出発集団として使用した。なお、この場合、ATCは、本質的には実施例1で記載されるように産生された。
【0297】
以下の実験条件を比較した。
(i)PBMC全体(すなわち、CD45RA陽性細胞が枯渇化されないPBMC)から拡大されるEBVST+PBMC全体から産生されるATCを使用する再刺激-これは図10では「WW」(すなわち、全体+全体)として示される、
(ii)PBMC全体から拡大されるEBVST+CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCから産生されるATCを使用する再刺激-これは図10では「WD」(すなわち、全体+枯渇化)として示される。
(iii)CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCから拡大されるEBVST+PBMC全体から産生されるATCを使用する再刺激-これは図10では「DW」(すなわち、枯渇化+全体)として示される。
(iv)CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCから拡大されるEBVST+CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCから産生されるATCを使用する再刺激-これは図10では「DD」(すなわち、枯渇化+枯渇化)として示される。
【0298】
4名の異なる健常ドナー(D#1~D#4)から得られるPBMCから上記の(i)~(iv)に従って調製されるEBVSTを、該EBVSTは異なるEBV抗原を認識することができるかを明らかにするためにELISPOTによって分析した。ELISPOT分析を本質的には実施例2に記載されるように行った。
【0299】
結果が図10に示される。それぞれのドナーについて、CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCを、EBVSTを拡大するための出発集団として使用すると、PBMC集団全体を使用する方法と比較した場合、EBVペプミックスによる刺激に応答してIFNγを分泌する拡大集団中の細胞の割合が増大した。同様に、CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCを、再刺激において使用されるATCを生成させるための出発集団として使用すると、EBVペプミックスによる刺激に応答してIFNγを分泌する拡大集団中の細胞の割合がより大きくなった。
【0300】
本発明者らは、PBMC全体から、またはCD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCから生成させられるATCでの共刺激分子CD80およびHLA-DR(MHCクラスII)の発現をフローサイトメトリーによって分析した。
【0301】
結果が図11に示される。CD45RA陽性細胞が枯渇化されるPBMCから生成させられるATCは、PBMC全体から生成させられるATCと比較した場合、CD80およびHLA-DRの発現がより高く、したがって、抗原提示特性および共刺激特性が改善された。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10
図11
【国際調査報告】