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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(54)【発明の名称】時間変動音量予測システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20220616BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20220616BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G06Q50/30
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021572938
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020036953
(87)【国際公開番号】W WO2020251988
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/859,685
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520437526
【氏名又は名称】ジョビー エアロ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JOBY AERO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ロスタムザデ、アリレザ
(72)【発明者】
【氏名】ゴヤル、ロヒット
(72)【発明者】
【氏名】カニンガム、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】フン、ジェーン イェン
(72)【発明者】
【氏名】スウェインテク、スタンリー
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB15
5H181EE02
5L049CC42
(57)【要約】
地理的領域における時間変動音量を予測する方法およびシステムが開示される。複数の地理的領域に配置された複数のセンサから、騒音情報、気象情報、および交通情報を含むトレーニングデータが収集される。この情報は複数の期間に収集される。騒音情報は時間変動音量を含む。また、地理的領域の静的特徴も規定され、トレーニングデータに含まれる。静的特徴および時間変動動的特徴によってモデルがトレーニングされる。このモデルは、トレーニングデータの収集以降の時間における異なる領域内の時間変動音量の予測に用いられる。いくつかの態様において、予測された音量レベルは、航空機のルートの決定に利用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェア処理回路と、
実行された場合に、
地理的領域の動的特徴データの測定結果を受信すること、
前記地理的領域の静的特徴を決定すること、および、
複数のトレーニング期間にわたる複数の領域の前記動的特徴データおよび前記複数の領域の静的特徴の履歴測定結果を含むトレーニングデータに対してトレーニングされたモデルを用いて、規定の期間中の前記地理的領域における予測背景騒音音量を生成することであって、前記地理的領域が前記複数の領域に含まれず、前記規定の期間が前記複数のトレーニング期間の後に生じる、前記予測背景騒音音量を生成すること、
を含む動作を実行するように前記ハードウェア処理回路を構成する命令を記憶した1つまたは複数のハードウェアメモリと、
を備えたシステム。
【請求項2】
前記予測背景騒音音量の生成が、前記規定の期間内の特定の時刻および特定の日付における背景騒音音量を予測し、前記動的特徴データの前記履歴測定結果が当該履歴測定結果の時刻および日付と相関付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記動作が、前記地理的領域における前記予測背景騒音音量に基づいて航空機のルートを決定することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記動作が、
前記モデルに基づいて、ある期間中の第1の領域における第1の背景騒音音量を予測すること、
前記モデルに基づいて、前記期間中の第2の領域における第2の背景騒音音量を予測すること、
前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定すること、および、
前記判定に応答して、前記期間中に前記第1の領域を通るように前記航空機をルーティングすること、
をさらに含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記動作が、
マップ中の複数の領域の各々ごとにモデルに基づいて当該各領域の予測背景騒音音量を生成すること、
航空機の出発地および目的地を識別すること、
前記出発地から前記目的地までの複数のルートを識別することであって、前記複数のルートの各々が前記マップ中の前記複数の領域のうちの少なくとも1つを含む、前記複数のルートを識別すること、
前記複数のルートのうちの第1のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量を、前記複数のルートのうちの第2のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量と比較すること、
前記比較に基づいて前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択すること、および、
前記選択したルート上に航空機をルーティングすること、
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記動作が、
前記第1のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約すること、および、
前記第2のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約すること、
をさらに含み、前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択することが、前記第1の集約および前記第2の集約に基づく、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記動作が、
前記選択したルートに沿う最小予測背景騒音音量を決定すること、
前記最小予測背景騒音音量を騒音閾値と比較すること、および、
前記最小予測背景騒音音量が前記騒音閾値を下回っていることに応答して、前記選択したルートに沿う前記航空機の高度が所定の高度を上回っていると判定すること、
をさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
実行された場合に、
地理的領域の動的特徴データの測定結果を受信すること、
前記地理的領域の静的特徴を決定すること、および、
複数のトレーニング期間にわたる複数の領域の前記動的特徴データおよび前記複数の領域の静的特徴の履歴測定結果を含むトレーニングデータに対してトレーニングされたモデルを用いて、規定の期間中の前記地理的領域における予測背景騒音音量を生成することであって、前記地理的領域が前記複数の領域に含まれず、前記規定の期間が前記複数のトレーニング期間の後に生じる、前記予測背景騒音音量を生成すること、
を含む動作を実行するようにハードウェア処理回路を構成する命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記動作が、前記地理的領域における前記予測背景騒音音量に基づいて航空機のルートを決定することをさらに含む、請求項8に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記動作が、
前記モデルに基づいて、ある期間中の第1の領域における第1の背景騒音音量を予測すること、
前記モデルに基づいて、前記期間中の第2の領域における第2の背景騒音音量を予測すること、
前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定すること、および、
前記判定に応答して、前記期間中に前記第1の領域を通るように前記航空機をルーティングすること、
をさらに含む、請求項9に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記動作が、
マップ中の複数の領域の各々ごとにモデルに基づいて当該各領域の予測背景騒音音量を生成すること、
航空機の出発地および目的地を識別すること、
前記出発地から前記目的地までの複数のルートを識別することであって、前記複数のルートの各々が前記マップ中の前記複数の領域のうちの少なくとも1つを含む、前記複数のルートを識別すること、
前記複数のルートのうちの第1のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量を、前記複数のルートのうちの第2のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量と比較すること、
前記比較に基づいて前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択すること、および、
前記選択したルート上に航空機をルーティングすること、
をさらに含む、請求項8に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記動作が、
前記第1のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約すること、および、
前記第2のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約すること、
をさらに含み、前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択することが、前記第1の集約および前記第2の集約に基づく、請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記動作が、
前記選択したルートに沿う最小予測背景騒音音量を決定すること、
前記最小予測背景騒音音量を騒音閾値と比較すること、および、
前記最小予測背景騒音音量が前記騒音閾値を下回っていることに応答して、前記選択したルートに沿う前記航空機の高度が所定の高度を上回っていると判定すること、
をさらに含む、請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
ハードウェア処理回路により実行される方法であって、
地理的領域の動的特徴データの測定結果を受信すること、
前記地理的領域の静的特徴を決定すること、および、
複数のトレーニング期間にわたる複数の領域の前記動的特徴データおよび前記複数の領域の静的特徴の履歴測定結果を含むトレーニングデータに対してトレーニングされたモデルを用いて、規定の期間中の前記地理的領域における予測背景騒音音量を生成することであって、前記地理的領域が前記複数の領域に含まれず、前記規定の期間が前記複数のトレーニング期間の後に生じる、前記予測背景騒音音量を生成すること、
を備える方法。
【請求項15】
前記予測背景騒音音量の生成が、前記規定の期間内の特定の時刻および特定の日付における背景騒音音量を予測し、前記動的特徴データの前記履歴測定結果が当該履歴測定結果の時刻および日付と相関付けられている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記地理的領域における前記予測背景騒音音量に基づいて航空機のルートを決定することをさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記モデルに基づいて、ある期間中の第1の領域における第1の背景騒音音量を予測すること、
前記モデルに基づいて、前記期間中の第2の領域における第2の背景騒音音量を予測すること、
前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定すること、および、
前記判定に応答して、前記期間中に前記第1の領域を通るように前記航空機をルーティングすること、
をさらに備える請求項16に記載の方法。
【請求項18】
マップ中の複数の領域の各々ごとにモデルに基づいて当該各領域の予測背景騒音音量を生成すること、
航空機の出発地および目的地を識別すること、
前記出発地から前記目的地までの複数のルートを識別することであって、前記複数のルートの各々が前記マップ中の前記複数の領域のうちの少なくとも1つを含む、前記複数のルートを識別すること、
前記複数のルートのうちの第1のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量を、前記複数のルートのうちの第2のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量と比較すること、
前記比較に基づいて前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択すること、および、
前記選択したルート上に航空機をルーティングすること、
をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約すること、および、
前記第2のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約すること、
をさらに備え、前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択することが、前記第1の集約および前記第2の集約に基づく、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記選択したルートに沿う最小予測背景騒音音量を決定すること、
前記最小予測背景騒音音量を騒音閾値と比較すること、および、
前記最小予測背景騒音音量が前記騒音閾値を下回っていることに応答して、前記選択したルートに沿う前記航空機の高度が所定の高度を上回っていると判定すること、
をさらに備える請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して特定の環境の騒音の予測および騒音マップデータの生成を行う方法およびシステムに関するが、これらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
毎日、世界中の道路上で数百万時間が浪費されている。平均的なサンフランシスコ居住者は、年間230時間を職場と自宅の往復に費やしており、この都市だけで毎日50万時間以上の生産性が失われていることになる。ロサンゼルスおよびシドニーでは、居住者が毎年7週間分の労働時間を通勤に費やしており、そのうち2週間は渋滞に巻き込まれて生産性なく浪費されている。世界の多くの巨大都市で問題が深刻化しており、ムンバイでは、平均通勤時間が90分を超えてしまっている。労働者にとっては、家族と過ごす時間が減り、経済を成長させるための労働時間が減り、燃料費が増え、労働者のストレスレベルが著しく高まっている。たとえば、全米予防医療学会誌に掲載された研究において、10マイルを超えて通勤する人は、血圧が上昇する確率が高いという結果が出ている。
【発明の概要】
【0003】
上記の交通・移動問題の解決手段の1つとして、オンデマンド航空の可能性が提案されている。オンデマンド航空は、都市の移動性を根本的に改善し、人々が毎日の通勤で失った時間を取り戻せる可能性を秘めている。都市における航空輸送は、3次元の空域を利用して、地上での交通渋滞を緩和できる可能性がある。垂直離着陸する小型電気航空機(VTOL(Vertical Take-off and Landing)航空機と呼ばれ、ヴィートールと発音する)のネットワークは、郊外と都市間ひいては都市内の迅速で確実な輸送を可能にする。
【0004】
オンデマンド航空は、上記問題に対する解決手段を提供するが、その普及を阻む要因の1つとして、運航により発生する騒音への懸念がある。騒音に曝されると、その騒音の範囲内の人間には、心理的および生理的な影響が及ぶ。たとえば、現在ヘリポートが大規模な需要中心地またはその近くに設置されていない理由の1つとして、これらの回転翼機の騒音が地域社会にとってあまりにも破壊的で受け入れ難いものである点が挙げられる。
【0005】
そのため、周辺地域への騒音の影響を最小限に抑えるようにオンデマンド航空機を運航するための改良された方法が求められている。
システムは、ハードウェア処理回路と、実行された場合に、地理的領域の動的特徴データの測定結果を受信すること、前記地理的領域の静的特徴を決定すること、および、複数のトレーニング期間にわたる複数の領域の前記動的特徴データおよび前記複数の領域の静的特徴の履歴測定結果を含むトレーニングデータに対してトレーニングされたモデルを用いて、規定の期間中の前記地理的領域における予測背景騒音音量を生成することであって、前記地理的領域が前記複数の領域に含まれず、前記規定の期間が前記複数のトレーニング期間の後に生じる、前記予測背景騒音音量を生成すること、を含む動作を実行するように前記ハードウェア処理回路を構成する命令を記憶した1つまたは複数のハードウェアメモリと、を備える。
【0006】
この出願は、2019年6月10日に出願された「トレーニングモデルを介した時間変動音量予測(Time Varying Loudness Prediction via a Trained Model)」を名称とする米国仮出願第62/859,685号の優先権の利益を主張するものであり、その出願の内容は本出願の一部をなすものであって参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
図面は、必ずしも原寸に比例して描いてはいないが、同じ数字が異なる図中の類似の構成要素を表し得る。同じ数字でも接尾辞が異なれば、類似の構成要素の異なる例を表し得る。添付の図面の各図においては、いくつかの実施形態を一例として示しており、何ら限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る、交通環境100を示した図である。
図2】いくつかの例示的な実施形態に係る、自律型航空機システムの図表示である。
図3】開示の実施形態のうちの1つ以上におけるデータフローの概要図である。
図4A】大都市圏における騒音測定場所を示した図である。
図4B】大都市圏における騒音測定場所を示した図である。
図5】開示の実施形態のうちの少なくともいくつかにおいて騒音測定結果の収集に用いられる騒音センサの2つの例を示した図である。
図6A】上述の測定機器により収集された観測結果を示した図である。
図6B】特定の時刻における地理的領域の騒音レベルを示した図である。
図7A】開示の実施形態のうちの少なくともいくつかに係る、音量に基づくノード最適化を示した図である。
図7B】開示の実施形態のうちの少なくともいくつかに係る、音量データに基づく空路の選択を示した図である。
図8】本開示のいくつかの例に係る、例示的な機械学習モジュール800を示した図である。
図9】開示の実施形態のうちの少なくともいくつかに係る、トレーニングデータを正規化するプロセスのフローチャートである。
図10】上述のトレーニング集合の解析の一観測結果を示した図である。
図11】一実施形態のモデルの特徴の相関行列を示した図である。
図12A】複数の周波数にわたって時間変動音量を予測するプロセスのフローチャートである。
図12B図12Aのフローチャートの続きである。
図13】コンピュータ機器のソフトウェアアーキテクチャの一例を示したブロック図である。
図14】コンピュータ機器のハードウェアアーキテクチャを示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明および図面には、当業者が実施できるように特定の実施形態を十分に示している。他の実施形態では、構造的、論理的、電気的、プロセス的、およびその他の変更を取り入れることができる。いくつかの実施形態の部分および特徴は、他の実施形態の部分および特徴に含まれていてもよいし、これらに置き換えられていてもよい。特許請求の範囲に記載の実施形態は、特許請求の範囲の利用可能なすべての同等物を包含する。
【0010】
ある地域の騒音プロファイルを理解する理由は多様である。たとえば、騒音プロファイルまたは騒音レベルによって、環境に導入される付加的な騒音の許容範囲を決定可能である。政府の規制の中には、提案された活動による既存の騒音レベルへの付加を規定割合以下にすることを要求するものがある。このため、比較的静かな領域では、これらの政府要件に違反することなく運航することがより困難となる可能性がある。
【0011】
運航の計画に際して、現在の騒音環境の理解が困難な場合もある。これは特に、長距離を網羅し、大きな地域に影響を及ぼす可能性のある航空機の運航を計画する際に当てはまり得る。これら巨大なエリアの騒音情報は一般的に入手不可能であり、これらの領域における運航の計画を困難なものにする。このため、航空機が運航される際の騒音環境に対するこの理解の不足が技術的問題として持ち上がる。この技術的問題の結果として、航空機ルートの割り当てが地上の活動に必要以上の悪影響を及ぼす可能性もある。この結果、騒音環境に対する理解がより深ければ対応可能となり得るレベルを下回って飛行活動を抑えることが必要となり得る。
【0012】
開示の実施形態は、一組の特徴パラメータが把握されたほぼすべての地理的領域について、複数の周波数にわたって時間変動音量レベルを予測可能なモデルを提供することにより、この技術的問題を解決する。これを実現するため、複数の領域の静的および動的特徴情報が収集される。静的特徴情報には、標高、領域の植生割合、1つもしくは複数の道路からの距離、ならびに経時的に大略変化しない地理的領域もしくは少なくとも比較的低速でしか変化しない地理的領域の他の特徴等の情報を含む。また、動的特徴情報は、多様なセンサの展開によって収集される。いくつかのセンサは、たとえば気温、露点、湿度、風速、風向、気圧、および他の気象データのうちの1つ以上等、ある領域の気象データを収集するように構成されている。他のセンサは、領域内の騒音情報を収集する。たとえば、騒音センサは、複数の周波数で時間変動音量データを収集するように構成されている。他のセンサは、交通量情報を記録する。種々の実施形態において、この文脈での交通としては、道路交通(バス、自動車、バイク、スクーター等の交通)、航空交通、および/または鉄道交通のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。気象、騒音、および交通データはそれぞれ、データが収集された期間と相関付けられている。
【0013】
複数の領域それぞれの静的および動的特徴データは、モデルのトレーニングに使用される。ある割合の特徴データがトレーニング集合から抜き出され、ある地域の騒音データを予測する際のモデルの精度のテストに使用される。これらのテストの結果については後述する。したがって、開示の実施形態は、複数の期間にわたる地理的領域の音量情報の予測を可能にする。なお、予測の対象となる地理的領域は、必ずしもトレーニングデータに含まれる必要はない。さらに、将来または少なくとも最近のトレーニングデータが収集された後の期間の予測についても、開示の実施形態により提供され得る。モデルから生成されたデータは、特定の地域の騒音マップデータの生成に使用可能である。これには、たとえばモデルに入力されたデータと関連付けられた地域または(モデルが音量を予測可能な)別の地域を含み得る。さらに、これらの予測は、(たとえば、騒音マップデータに基づく)地理的領域を通る航空機のルーティングに用いられるようになっていてもよい。たとえば、地理的領域の騒音予測は、当該領域を通るように航空機をルーティングするかの判定、航空機をルーティングする高度の決定、および/または時間の決定に用いられるようになっていてもよい。たとえば、ある領域の予測背景騒音のレベルが比較的高い(たとえば、背景騒音が所定の閾値を上回る)場合、いくつかの実施形態では、当該領域の背景騒音のレベルが比較的低い(たとえば、予測背景騒音が上記所定の閾値または第2の所定の閾値を下回る)場合よりも低高度で当該領域上に航空機をルーティングする。いくつかの実施形態では、航空機ルートに沿う最小予測背景騒音音量を決定し、この最小音量に基づいて、航空機のルート上の高度を設定する。たとえば、ルートに沿う最小予測背景騒音音量が所定の騒音閾値を下回る場合、いくつかの実施形態では、(たとえば、比較的静かなエリアに対する騒音の影響を最小限に抑えるため)所定の高度閾値を上回るように、航空機のルートに沿う高度を設定する。都市の計画についても、モデルの予測の影響を受ける可能性がある。たとえば、開示のモデルにより提供される予測に基づいて、空港および/またはスカイポートの運用の場所および時間、またはその場所もしくは時間が影響を受ける可能性もある。
【0014】
人間の騒音知覚の推定に際して、重み付け音圧レベル(L)だけでは、場合により不正確となる可能性がある。Lは、電話等による意図的な発生音がその目的を達成するのに十分な大きさであるかを測定するために開発されたものである。ただし、Lでは、音が人間にとって煩わしいかを測定しない。代わりに、音量が音圧の主観的な知覚を追跡するためのより優れた測定基準となる。
【0015】
の代わりに音量を調べることによって、開示の実施形態では、特定の種類の音響ニュアンスを識別して考慮することができる。たとえば、開示の実施形態では、いくつかのレベルに応じた周波数重み付けを提供する。聴覚の受容は、音レベルによって異なる挙動を示す。音圧レベルは従来、人間が聞き取れる音圧を考慮するため、曲線に沿って重み付けされている。この重み付けによって、可聴周波数範囲(20Hz~20kHz)以外の騒音は、最小化または無視される。重み付けは、人間の柔らかい発話のレベルの単音に対する人間の感度を模倣するように設計される。(人間が低周波および高周波の音に対してより敏感になる)より高い音レベルに対しては他の重み付け曲線が提案されているが、現代の慣行では、重み付け曲線を離散的に使用するのではなく、レベルに応じて連続的に調整する。
【0016】
開示の実施形態のうちのいくつかは、スペクトル音量加算をさらに可能とする。たとえば、2つの別個の音が同じレベルを共有し得るものの、スペクトルの差が音量の差に寄与する。耳は、周波数による感度の変動のほか、強い音に高さが近い音には感度が低く、高さが離れた音には感度が高くなる。
【0017】
いくつかの実施形態では、音の時間的形状を考慮する。特に、いくつかの別個の音は、等価レベルおよびスペクトルを共有するが、依然として非常に異なるものと知覚され得る。音事象の発生および減衰に対する人間の積分時間が異なるため、時間的形状は、音の聞こえ方に寄与する。特定の音は、背景騒音より数デシベル低い音圧であっても、その変化速度によっては、依然として際立つ可能性がある。
【0018】
音量は、記録された時間長に応じて変動し得る。航空機が都市のサウンドスケープに溶け込む様子を理解するには、時間変動音量(TVL)が興味深い。TVLには、聴覚系における短期受容(急激な発生)および長期受容(記憶)の両者を含み、人間の生理系の慣性(たとえば、人間のニューロンは瞬時に発火しない)および回転翼のような「パルス」の聞こえ方の両者を考慮する。(たとえば)ヘリコプタ音は、低dB(A)レベルであっても、依然として聞こえ、都市のサウンドスケープから際立つ。長い時間(50ms以上)の平均を取ると、パルス状の音の聞こえ方が不明瞭となり、新たに導入された騒音が周囲のサウンドスケープに溶け込んでいるかを明確に確認することが難しくなる可能性もある。
【0019】
オンデマンド航空機の飛行が寄与する音量の増大を測定するため、周囲の音が航空機の音を覆い隠す程度が測定される。航空機の騒音が発生する複数のスペクトル領域について、周囲TVL対時間が考慮される。いくつかの実施形態では、約30個の周波数帯域を解析する。いくつかの実施形態では、周波数範囲全体の平均音量測定結果を報告する。実施形態のうちの少なくともいくつかにおいては、データが一般的に、各周波数帯域内で収集される。
【0020】
つまり、騒音の代わりに航空機の平均的な物理的変位に依拠するだけでは、運航の成功評価基準が無責任に単純化され過ぎてしまう。航空機騒音の測定において、これらのニュアンスを考慮するとともに、都市のサウンドスケープにおける同じニュアンスに対してマッピングすることがシステムには必要となる。
【0021】
このため、開示の実施形態では、所与の場所における相対的な総音量と、飛行動作による部分的な音量とを同時に報知する。一般的に使用されているいくつかの音量測定基準の中で、開示の実施形態により考えられる用途に対しては、時間変動音量が最も有益である。具体的に、等価矩形帯域i、場所l、および時間hが与えられた場合の時間変動音量TVLであるTVL(i,l,h)は、分散した都市のサウンドスケープのニュアンスを正確に取り込む。
【0022】
いくつかの実施形態においては、任意所与の場所および時間に関して、当該時間の等価音量にTVLが組み込まれる。ある領域内の航空機の運航および飛行ルートが増えると、既存のサウンドスケープに対する航空運航の知覚的な音量に基づいて、これらの時間および場所でのTVLが変化することになる。開示の実施形態では、周囲の音と航空機の運航が導入された後の周囲の音とのTVLの差を測定することによって、これを取り込む。いくつかの実施形態では、スペクトル領域ごとに、これらの決定を実行する。
【0023】
また、いくつかの実施形態は、以下のように、特定の領域および特定の時刻における人口密度を考慮する重み付け係数を含む。
重み付け効果(l,h)=ΔTVL(l,h)×P(l,h)
したがって、開示の実施形態は、TVLの基準の確立によって、運航が追加となった場合の総音量の計算を可能にする。このため、TVL(i,l,h)は、基本のサウンドスケープ測定基準として機能することになる。
【0024】
図1は、例示的な一実施形態に係る、交通環境100の模式図であって、航空機フリート102および地上車フリート104が移動サービス(たとえば、人の輸送、物資の配送)を提供している。
【0025】
航空機フリート102(たとえば、垂直離着陸(VTOL)機115、ヘリコプタ124、および航空機126)の航空機と地上車フリート104(たとえば、自動車112、スクーター114、自転車116、バイク118、およびバス120)の車両との間の相互作用、通信、および移動の調整は、さまざまなネットワーク106を介して航空機フリート102および地上車フリート104の両者と結合された1つまたは複数のモビリティネットワークサーバ110によって容易化される。具体的に、モビリティネットワークサーバ110は、地上車フリート104のさまざまな車両のルーティングおよび運行を制御するため、航空機フリート102の航空機のさまざまなセンサからのデータの取得を調整するようにしてもよい。同様に、モビリティネットワークサーバ110は、航空機フリート102のさまざまな航空機のルーティングおよび運航を制御するため、地上車フリート104の車両のさまざまなセンサからのデータの取得を調整する。たとえば、モビリティネットワークサーバ110は、当該モビリティネットワークサーバ110の一部を構成するルーティングエンジンによる地上車フリート104の車両のルーティングに役立つように、航空機フリート102による交通モニタリングデータの取得を制御するようにしてもよい。
【0026】
また、モビリティネットワークサーバ110は、航空機フリート102に航空機交通管理および衝突回避サービスを提供するように動作する、無人航空機交通管理システム(UTM)108に結合されている。一実施形態において、UTM108は、最大で数千フィートのさまざまな高度での空域管理を提供する。また、UTM108は、大量の音声なしの航空管制相互作用を提供するようにしてもよく、また、空港と関連付けられた航空管制システムと統合される。モビリティネットワークサーバ110は、UTM108が提供する接続を利用することにより、航空機フリート102の航空機と通信して、ルーティング等の情報を受け渡す。
【0027】
たとえば航空機フリート102による交通モニタリング用データの取得は、UTMネットワークによる事前の決定および/または最適化がなされた航空機の飛行に基づいていてもよい。UTM108への接続は、動作の必要に応じて、複数の通信周波数により容易化される。航空機フリート102の航空機の搭載テレメトリは、GPSデータと他の通信ストリーム(GPS、5G等)で補完される。
【0028】
UTM108は、地上車の運行を管理/監視するモビリティネットワークサーバ110に接続されている。UTM108はさらに、サードパーティUASサービスサプライヤ(USS)および補完データサービスプロバイダ(SDSP)と通信して、これらのサードパーティサービスへのデータの転送を容易化する。
【0029】
モビリティネットワークサーバ110はさらに、たとえば出発地から到着地(たとえば、垂直離着陸用飛行場、基準点、その時々で決まる場所)まで輸送される貨物に基づいて、航空機フリート102の飛行の事前の決定および/または最適化を実行する。たとえば、航空機フリート02による飛行は、全体的なスループットひいてはシステムの効率を向上させるように最適化されていてもよい。航空機126、VTOL機115等の垂直離着陸(VTOL)機、および/またはヘリコプタ124は、動的に割り当てられたルートおよび空路内を飛行するようにしてもよく、これによって、大規模で安全かつ高密度な運航を可能にする。これらのルート/空路の割り当ては、環境受容性(たとえば、騒音)、気象、空域衝突回避、および運航上の関連性に基づいて、モビリティネットワークサーバ110により決定される。
【0030】
航空機フリート102の航空機には、人間が制御する航空機を含み得る。たとえば、航空機オペレータ(たとえば、パイロット)は、航空機内で航空機を制御することができる。いくつかの実施態様において、航空機オペレータは、遠隔地で、ユーザインターフェースを表示するコンピュータ機器を利用することにより、航空機を遠隔制御することができる。
【0031】
いくつかの実施態様において、航空機フリート102には、自律型航空機を含み得る。図2は、本開示の例示的な態様に係る、航空機200のブロック図である。航空機200としては、たとえば自律型航空機も可能であるし、半自律型航空機も可能である。航空機200は、1つもしくは複数のセンサ218、航空機自律システム212、ならびに1つもしくは複数の航空機制御システム228を具備する。
【0032】
航空機自律システム212は、航空機200の制御または航空機200の制御の補助に使用可能である。特に、航空機自律システム212は、センサ218からセンサデータを受信し、センサ218により収集されたデータに対してさまざまな処理技術を実行することにより、航空機200の周囲の環境の把握を試み、環境を通る適当な運動経路を生成する。航空機自律システム212は、この運動経路に従って航空機200を運航するように、1つまたは複数の航空機制御システム228を制御可能である。
【0033】
航空機自律システム212は、航空機200の周囲環境を知覚し、それに応じて航空機200の運動を制御する運動計画を決定するように協働する知覚システム220、予測システム224、運動計画システム226、および姿勢制御システム222を具備する。
【0034】
航空機自律システム212のさまざまな部分がセンサ218からのセンサデータを受信する。たとえば、センサ218としては、遠隔検出センサのほか、慣性測定ユニット(IMU)、1つまたは複数のエンコーダ等の運動センサが挙げられる。センサデータには、航空機200の周囲環境内の物体の場所を表す情報、航空機の運動を表す情報等を含み得る。
【0035】
また、センサ218としては、LIDAR、RADAR、1つまたは複数のカメラ等、1つまたは複数の遠隔検出センサまたはセンサシステムが挙げられる。一例として、センサ218のLIDARシステムは、測距レーザを反射した物体に対応する多数の点の(たとえば、LIDARシステムに対する3次元空間における)場所を含むセンサデータ(たとえば、遠隔検出センサデータ)を生成する。たとえば、LIDARシステムは、短パルスレーザがセンサから物体まで進んで戻るのに要する飛行時間(TOF)を測定し、既知の光速から距離を計算することによって、距離を測定することができる。
【0036】
別の例として、センサ218のRADARシステムは、測距電波を反射した物体に対応する多数の点の(たとえば、RADARシステムに対する3次元空間における)場所を含むセンサデータ(たとえば、遠隔検出センサデータ)を生成する。たとえば、RADARシステムが送信する電波(たとえば、パルス波または連続波)は、物体で反射され、RADARシステムの受信機に戻ることにより、物体の場所および速度に関する情報を与えることができる。このように、RADARシステムは、物体の現在の速度に関する有用な情報を提供可能である。
【0037】
さらに別の例として、センサ218の1つまたは複数のカメラは、静止画または動画を含むセンサデータ(たとえば、遠隔センサデータ)を生成可能である。1つまたは複数のカメラにより取り込まれた1つまたは複数の画像に示される物体に対応する多数の点の(たとえば、1つまたは複数のカメラに対する3次元空間における)場所を識別するため、さまざまな処理技術(たとえば、運動からの構造復元(structure from motion)、ストラクチャード・ライト、ステレオ三角測量、および/または他の技術等の距離撮像技術)を実行可能である。他のセンサシステムでも同様に、物体に対応する点の場所を識別可能である。
【0038】
別の例として、センサ218には、測位システムを含み得る。測位システムは、航空機200の現在の位置を決定することができる。測位システムとしては、航空機200の位置を解析する任意の機器または回路が可能である。たとえば、測位システムは、複数の慣性センサのうちの1つ以上、全地球測位システム(GPS)等の衛星測位システムの使用による位置決定、IPアドレスに基づく位置決定、ネットワークアクセスポイント等のネットワークコンポーネント(たとえば、セルラー中継塔、Wi-Fiアクセスポイント等)に対する三角測量および/または近接測定の使用による位置決定、および/または他の好適な技術による位置決定が可能である。航空機200の位置は、航空機自律システム212のさまざまなシステムにより使用可能である。
【0039】
このように、センサ218の使用によって、航空機200の周囲環境内の物体に対応する点の(たとえば、航空機200に対する3次元空間における)場所を表す情報を含むセンサデータを収集することができる。いくつかの実施態様において、センサ218は、航空機200上のさまざまな異なる場所に配置可能である。一例として、1つまたは複数のカメラ、RADARおよび/またはLIDARセンサがある。
【0040】
姿勢制御システム222は、センサ218からのセンサデータの一部または全部を受信して、航空機200の機体姿勢を生成する。機体姿勢は、航空機の位置(高度を含む)および姿勢を表す。航空機200の位置は、3次元空間中の点である。いくつかの例において、この位置は、一組の直交座標の値により表されるが、その他任意の好適な座標系が用いられるようになっていてもよい。航空機200の姿勢は、その位置での航空機200の向きを大略表す。いくつかの例において、姿勢は、垂直軸周りのヨー、第1の水平軸周りのピッチ、および第2の水平軸周りのロールによって表される。いくつかの例において、姿勢制御システム222は、機体姿勢を周期的(たとえば、1秒ごと、0.5秒ごと等)に生成する。姿勢制御システム222は、タイムスタンプを機体姿勢に付加するが、この姿勢に対するタイムスタンプは、当該姿勢が表す時点を示す。姿勢制御システム222は、航空機200の周囲環境を表すマップデータ216に対してセンサデータ(たとえば、遠隔センサデータ)を比較することにより、機体姿勢を生成する。
【0041】
いくつかの例において、姿勢制御システム222は、ローカライザおよび姿勢制御フィルタを具備する。ローカライザは、遠隔センサデータ(たとえば、LIDAR、RADAR等)をマップデータと比較することによって、姿勢推定値を生成する。姿勢制御フィルタは、1つまたは複数のローカライザからの姿勢推定値のほか、たとえばIMU、エンコーダ、オドメータ等からの運動センサデータ等、他のセンサデータを受信する。いくつかの例において、姿勢制御フィルタは、カルマンフィルタ等の機械学習アルゴリズムの実行によって、1つまたは複数のローカライザからの姿勢推定値を運動センサデータと組み合わせることにより、機体姿勢を生成する。いくつかの例において、ローカライザは、姿勢制御システム222が機体姿勢を生成する頻度より低い頻度で姿勢推定値を生成する。したがって、姿勢制御フィルタは、過去の姿勢推定値からの外挿によって、いくつかの機体姿勢を生成する。
【0042】
知覚システム220は、センサデータ、マップデータ216、および/または姿勢制御システム222により提供された機体姿勢に基づいて、航空機200の周囲環境における物体を検出する。たとえば、マップデータ216は、航空機200の周囲環境に関する詳細な情報を提供するようにしてもよい。マップデータ216は、航空機200が移動するルートおよび/または空路、他の航空機の位置、垂直離着陸用飛行場もしくは着陸地帯の場所、姿勢、向き、および/または他のパラメータに関する情報、気象データ(たとえば、気象レーダデータ)、騒音マップデータ、および/または航空機自律システム212がその周囲環境およびそれとの関係を把握・知覚するのを補助する情報を提供するその他任意のマップデータを提供可能である。予測システム224は、姿勢制御システム222により提供された機体姿勢を使用して、航空機200の環境を認識する。
【0043】
いくつかの例において、知覚システム220は、航空機200の周囲環境における物体の状態データを決定する。状態データは、物体の現在の状態(物体の特徴とも称する)を表し得る。各物体の状態データは、たとえば物体の現在の場所(位置とも称する)、現在の速度(速さとも称する)、現在の加速度、現在の方位、現在の向き、サイズ/形状/設置面積(たとえば、境界多角形または境界多面体等の境界形状により表される)、種類/分類(たとえば、車両対歩行者対自転車対その他)、ヨーレート、航空機200からの距離、航空機200との相互作用に至る最短経路、航空機200との相互作用に至る最短時間、および/または他の状態情報の推定値を表す。
【0044】
いくつかの実施態様において、知覚システム220は、多数の反復にわたる各物体の状態データを決定可能である。特に、知覚システム220は、各反復における各物体の状態データを更新可能である。このため、知覚システム220は、航空機200に最も近い車両等の物体を経時的に検出および追跡可能である。
【0045】
予測システム224は、航空機200の周囲環境における1つまたは複数の物体(たとえば、知覚システム220により検出された1つまたは複数の物体)の将来の位置を予測するように構成されている。予測システム224は、知覚システム220により検出された物体と関連付けられた予測データを生成可能である。いくつかの例において、予測システム224は、知覚システム220により検出された各物体それぞれを表す予測データを生成する。
【0046】
物体の予測データは、物体の1つまたは複数の予測される将来の場所を示し得る。たとえば、予測システム224は、次の5秒以内、20秒以内、200秒以内等に物体が配置される場所を予測するようにしてもよい。物体の予測データは、航空機200の周囲環境内の物体の予測軌跡(たとえば、予測経路)を示すものであってもよい。たとえば、予測軌跡(たとえば、経路)は、各物体が時間とともに移動する際に沿うと予測される経路(および/または、物体が予測経路に沿って移動する際に予測される速度)を示し得る。予測システム224は、たとえば知覚システム220により生成された状態データに基づいて、物体の予測データを生成する。また、いくつかの例において、予測システム224は、姿勢制御システム222により生成された1つまたは複数の機体姿勢および/またはマップデータ216を考慮する。
【0047】
いくつかの例において、予測システム224は、物体の種類または分類を示す状態データを用いて、物体の軌跡を予測する。一例として、予測システム224は、知覚システム220により提供された状態データを用いて、当該特定の物体(たとえば、車両として分類された物体)を決定することができる。予測システム224は、物体と関連付けられた予測軌跡を運動計画システム226に提供可能である。
【0048】
いくつかの実施態様において、予測システム224は、可能性のある目標を生成し、最も可能性の高い目標を選択し、物体が選択した目標を達成可能な軌跡を展開する目標指向予測システムである。たとえば、予測システム224は、物体の目標の生成および/またはスコアリングを行うシナリオ生成システムと、物体が目標を達成可能な軌跡を決定するシナリオ展開システムとを具備し得る。いくつかの実施態様において、予測システム224は、機械学習目標スコアリングモデル、機械学習軌跡展開モデル、および/または他の機械学習モデルを含み得る。
【0049】
運動計画システム226は、航空機200の周囲環境内の物体と関連付けられた予測軌跡、知覚システム220により提供された物体の状態データ、姿勢制御システム222により提供された機体姿勢、および/またはマップデータ216に少なくとも部分的に基づいて、航空機200の運動計画を決定する。言い換えると、物体の現在の場所および/または航空機200の周囲環境内の物体の予測軌跡に関する情報を所与として、運動計画システム226は、このような場所にある物体および許容範囲内のルート上の物体の予測軌跡に対して航空機200を最良にナビゲートする航空機200の運動プランを決定することができる。
【0050】
いくつかの実施態様において、運動計画システム226は、航空機200の1つまたは複数の候補運動計画それぞれのコスト関数、および/または、1つまたは複数の報酬関数を評価することができる。たとえば、コスト関数は、特定の候補運動計画を実行するコスト(たとえば、経時的)を表し得る。一方、報酬関数は、特定の候補運動計画を実行する報酬を表し得る。たとえば、報酬には、コストと反対の符号が可能である。
【0051】
このため、物体の現在の場所および/または予測される将来の場所/軌跡に関する情報を所与として、運動計画システム226は、特定の候補経路を実行する総コスト(たとえば、コスト関数および/または報酬関数が提供するコストおよび/または報酬の合計)を決定することができる。運動計画システム226は、コスト関数および報酬関数に少なくとも部分的に基づいて、航空機200の運動計画を選択または決定することができる。たとえば、総コストを最小限に抑える運動計画を選択あるいは決定可能である。運動計画としては、たとえば1つまたは複数の来るべき期間において航空機200が移動する際に沿う経路が可能である。いくつかの実施態様において、運動計画システム226は、センサ218から新たなセンサデータが得られた際に、航空機200の運動計画を反復的に更新するように構成可能である。たとえば、センサ218から新たなセンサデータが得られた場合は、知覚システム220、予測システム224、および運動計画システム226によるセンサデータの解析によって、運動計画を決定することができる。
【0052】
知覚システム220、予測システム224、運動計画システム226、および姿勢制御システム222はそれぞれ、センサ218から得られたデータに基づいて運動計画を決定するように構成された航空機200の部分に含むことも可能であるし、あるいは、その部分自体とすることも可能である。たとえば、センサ218により得られたデータを知覚システム220、予測システム224、および運動計画システム226それぞれにより連続して解析することにより、運動計画を策定することができる。図2は、本開示の例示的な態様に係る、航空機自律システムでの使用に適した要素を示しているが、当業者であれば、センサデータに基づいて自律型航空機の運動計画を決定するように他の航空機自律システムを構成可能であることが認識されよう。
【0053】
運動計画システム226は、運動計画を航空機制御システム228に提供して、運動計画を実行することができる。たとえば、航空機制御システム228は、航空機200の運動を制御するさまざまな航空機制御装置(たとえば、パワーを制御するアクチュエータまたは他の機器もしくはモータ)をそれぞれ含み得る、ピッチ制御モジュール230、ヨー制御モジュール232、およびスロットル制御システム234を具備し得る。種々の航空機制御システム228として、1つまたは複数のコントローラ、制御機器、モータ、および/またはプロセッサが挙げられる。
【0054】
スロットル制御システム234は、運動計画の全部または一部を受信して、スロットルコマンドを生成するように構成されている。スロットルコマンドは、航空機200のエンジンおよび/またはエンジンコントローラ、または他の推進システムコンポーネントに提供されて、エンジンまたは他の推進システムを制御する。
【0055】
航空機自律システム212は、知覚システム220、予測システム224、運動計画システム226、および/または姿勢制御システム222の全部または一部を実装可能なコンピュータ機器202等、1つまたは複数のコンピュータ機器を含む。例示的なコンピュータ機器202は、1つもしくは複数のプロセッサ204ならびに1つもしくは複数のメモリデバイス(メモリ206と総称する)を具備し得る。プロセッサ204としては、任意の好適な処理デバイス(たとえば、プロセッサコア、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラ等)が可能であり、また、1つのプロセッサまたは動作可能に接続された複数のプロセッサが可能である。メモリ206には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去およびプログラム可能リードオンリーメモリ(EEPROM)、消去およびプログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM)、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、およびこれらの組み合わせ等、1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。メモリ206は、データ214と、プロセッサ204による実行によって、航空機自律システム212に動作を実行させることができる命令210と、を記憶可能である。また、コンピュータ機器202は、通信インターフェース208を具備可能であって、これによりコンピュータ機器202は、1つまたは複数の有線または無線ネットワーク等を介して、航空機200の他のコンポーネントまたは外部のコンピュータシステムと通信可能となり得る。コンピュータ機器202等のコンピュータ機器のハードウェアおよびソフトウェア構成の付加的な説明についても本明細書に記載する。
【0056】
図3は、開示の実施形態のうちの1つ以上におけるコンピュータシステムのデータフロー300の概要図である。図3は、2つの動的特徴センサ302a、302bを示している。動的特徴センサ302a、302bは、センサが配置された地理的領域の特徴を検知するようにしてもよい。たとえば、動的特徴センサ302a、302bのうちのいくつかは、各地理的領域内の気象情報を検知するようにしてもよい。気象情報としては、気温、露点、湿度、風速、風向、降水量もしくは降水強度、気圧、または他の気象情報が挙げられる。また、他の動的特徴センサ302a、302bは、人工的な発生源の動的特徴を検知するように構成されていてもよい。たとえば、動的特徴センサ302a、302bは、複数の周波数での音圧レベルおよび音量、または音圧レベルもしくは音量を検知するように構成されていてもよい。交通センサ等の動的特徴センサ302a、302bは、複数の点での経時的な動的特徴(交通レベル等)を検知し、検知した情報304aおよび検知した情報304bを情報収集のタイミングの表示と併せて、履歴動的特徴データストア306に送る。
【0057】
また、サードパーティセンサ308に依拠して、情報310を履歴動的特徴データストア306に提供するようにしてもよい。たとえば、サードパーティ交通センサは、ある領域において航空交通、道路交通、鉄道交通、または他の交通の量および速度を経時的に検出し、この情報を履歴動的特徴データストア306に送るようにしてもよい。
【0058】
いくつかの態様においては、動的特徴に関する情報の取得にセンサが使用されなくてもよい。代わりに、これらの態様においては、情報の一部が他の情報源から取得されるようになっていてもよい。たとえば、1つまたは複数の領域の記録された気象情報を提供するAPI(たとえば、Darksky)またはファイルを利用可能としているサードパーティ組織もある。したがって、いくつかの実施形態では、この既存の動的特徴情報を履歴動的特徴データストア306への追加として利用するようにしてもよい。
【0059】
履歴動的特徴データストア306は、履歴情報304a、304bおよび310を経時的に蓄積する。この履歴情報312はその後、未トレーニングモデル314のトレーニングに使用される。いくつかの実施形態において、図3に示す未トレーニングモデル314およびトレーニング済みモデル320はいずれも、コンピューティングハードウェアおよびコンピューティングソフトウェアを単独または組み合わせとして含む。たとえば、いくつかの実施形態において、未トレーニングモデル314および/またはトレーニング済みモデル320は、図14に関して後述する複数のハードウェアコンポーネントのうちの1つ以上を含む。また、これらの実施形態において、未トレーニングモデル314および/またはトレーニング済みモデル320は、後述のように、未トレーニングモデル314および/またはトレーニング済みモデル314それぞれによる機能のうちの1つ以上を実行するようにハードウェア処理回路(たとえば、後述のプロセッサ1402)を構成する命令を含む。いくつかの実施形態においては、未トレーニングモデル314および/またはトレーニング済みモデル320のうちの1つ以上が後述のルーティングシステム323に組み込まれる。
【0060】
静的特徴データストア316によって、履歴情報312において特定された地理的領域に関する付加的な情報が提供される。静的特徴データストア316は、地理的領域の静的情報を記憶する。静的情報としては、たとえば標高、地形、植生割合、1つまたは複数の道路、幹線道路、または航空路からの距離が挙げられる。また、未トレーニングモデル314のトレーニングに用いられる領域の静的特徴情報が静的特徴情報317として未トレーニングモデル314に与えられる。
【0061】
未トレーニングモデル314のトレーニング後は、トレーニング済みモデル320が利用可能となる。トレーニング済みモデル320は、領域の騒音予測321を生成する。これらの予測には、複数の周波数にわたる時間変動音量の予測を含んでいてもよい。トレーニング済みモデルは、領域の動的特徴データ322および静的特徴情報324に基づいて、当該領域の予測を生成する。
【0062】
いくつかの実施形態において、騒音予測321は、ルーティングシステム323に与えられる。ルーティングシステム323は、トレーニング済みモデル320により生成された予測をデータストア325に記憶する。開示の実施形態のうちのいくつかにおいて、ルーティングシステム323は、トレーニング済みモデル314により構成された騒音予測321をさらに処理して、騒音マップデータを生成する。たとえば、ルーティングシステム323は、騒音予測321に基づいて、複数の領域の騒音情報を生成する。いくつかの実施形態においては、この複数の領域がマップを構成する。ルーティングシステム323のいくつかの実施形態では、騒音予測321に基づいて、航空機の複数のルートをさらに生成する。たとえば、いくつかの実施形態において、ルーティングシステム323は、航空機の飛行の出発地から目的地までの複数のルートを生成する。その後、いくつかの実施形態において、ルーティングシステム323は、複数のルートそれぞれの背景情報の比較によって、航空機の飛行に使用するルートを決定する。いくつかの実施形態においては、ルートに含まれる各領域の背景騒音音量が集約される。その後、複数の異なるルートの集約された騒音の比較によって、航空機の飛行に選択するルートを決定する。たとえば、いくつかの実施形態では、比較に基づいて、集約された騒音が最も大きなルートを選択する。
【0063】
また、場合によっては、ルートに沿って予測された背景騒音音量に基づいて、航空機の飛行の高度が選択されるが、(第1の所定の騒音閾値を下回る)騒音の小さなルートでは、航空機の高度が(第1の所定の高度閾値を上回る)より高い値に設定され、(第2の所定の騒音閾値を上回る)騒音の大きなルートでは、高度が低くなる(第2の所定の高度閾値を下回る)。いくつかの実施形態において、第1の所定の高度閾値および第2の所定の高度閾値は、等価である。いくつかの実施形態において、第1の所定の騒音閾値および第2の所定の騒音閾値は、等価である。
【0064】
いくつかの実施形態において、ルートが選択されると、ルーティングシステム323は、選択されたルートを規定する情報を上述のUTM108に送る。
図4Aおよび図4Bは、大都市圏における騒音測定場所を示した図である。収集された騒音測定結果は、以下により詳しく説明するような騒音を予測するモデルのトレーニングに使用可能である。図4Aに示すマップ400には、騒音測定機器を含み、その例を402a~402cとして示している。図4Bは、大都市圏における騒音測定機器の場所を示したマップ450を示している。騒音測定機器は、少なくとも1秒ごとに時間変動音量を測定するように構成可能である。測定機器は、変動および近隣の幹線道路の交通との相関を取り込むように、地理的領域に位置決め可能である。いくつかの測定機器は、固定場所に据え付けられ、場合によっては1秒当たり32,000回、音圧をサンプリングする。この音圧データは、オフライン解析に適用されて、部分オクターブの圧力および音量データとなる。いくつかの測定機器は、さまざまな近域に再位置決め可能な可搬式プラットフォームに据え付けられる。可搬式プラットフォームの測定機器は、1秒当たり1回、1/3オクターブの帯域レベルデータを収集し、1/12オクターブの帯域音量データを内部処理するように構成可能である。これは、1分以上の平均化時間を従来使用する以前の1/3オクターブまたはA重み付け収集法と比較して、忠実度の高い収集である。
【0065】
音量データは、数/10フォン(in tenths of phon)で収集されるようになっていてもよい。測定機器はさらに、1/4Cam(Cambridge)固有音量を収集するように構成されていてもよい(1/4Camは、1/12オクターブと略等価である)。これらの測定結果は、音量スペクトルを示すのに用いられるようになっていてもよい。また、音圧レベル(SPL)が収集されるようになっていてもよい。たとえば、測定機器は、各1/3オクターブ帯域でSPLを収集するように構成されていてもよい。
【0066】
以前の研究では、音圧レベルを使用して騒音を測定していた。上記説明の通り、SPLでは、音が人間にとって煩わしいかを正確に測定しない。音に対する知覚を追跡するには、数個の因子を考慮することから、国際標準化機構(ISO)532-3(たとえば、Cambridgeベースの音量測定および音量を取り入れたより高度な測定基準)のような音量測定の方がより優れた方法となる。
【0067】
これらの因子には、レベルに応じた周波数重み付けを含む。音圧レベルは従来、人間が聞き取れる範囲を考慮するため、曲線に沿って重み付けされている。聴覚の受容は、音レベルによって異なる挙動を示す。
【0068】
SPLの使用で考慮されない別の因子がスペクトル音量加算であって、2つの別個の音が同じレベルを共有し得るものの、スペクトルの差が音量の差に寄与し得る。人間の聴覚は、周波数による感度の変動のほか、全音域で元から強い周波数に近い周波数には感度が低く、強いスペクトル成分から遠く離れた周波数には感度が高くなる。
【0069】
SPLで考慮されない別の因子が音の時間的形状であって、別個の音が等価レベルおよびスペクトルを共有し得るものの、依然として非常に異なるものと知覚され得る。たとえば、特定の音は、背景騒音より数デシベル低い音圧であっても、その時間的形状によっては、依然として際立つ可能性がある。
【0070】
これに対して、ケンブリッジ大学での研究に由来する固定または時間変動音量測定基準には、聴覚系における短期受容(急激な発生)および長期受容(記憶)の両者の測定を含む。これらの測定では、人間の生理系の慣性(人間のニューロンは瞬時に発火しない)、および回転翼のような「パルス」の聞こえ方の両者を考慮する。事象の回数および大きさも知覚には重要であるため、知覚された音響曝露の測定においては、間欠性比率が一定の役割を果たし得る。音量の1つのモデルは「Moore B.C.J., Glasberg B.R. (1996) A revision of Zwicker’s loudness model, Acustica United with Acta Acustica 82: 335-345」において提案されている。音量モデルはさらに2006年に「Glasberg BR, Moore BC, Prediction of absolute thresholds and equal-loudness contours using a modified loudness model, J Acoust Soc Am. 2006 Aug; 120(2):585-8」において更新されている。時間変動音量(TVL)については「Stone M.A., Glasberg B.R., Moore B.C.J., Dynamic aspects of loudness: A real-time loudness meter., British Journal of Audiology 30: 124 (1996)」に記載されている。これはさらに「Glasberg B.R., Moore B.C.J., A model of loudness applicable to time-varying sounds., Journal of the Audio Engineering Society 50: 331-342 (2002)」において拡張されている。
【0071】
上述の測定機器では、少なくとも1秒ごとに、Cambridgeベースの時間変動音量を測定することができる。いくつかの場所から収集されたデータは、開示の実施形態によって、トレーニング集合に使用される。トレーニング集合は、音量予測モデルの構築に使用される。音量予測モデルは、気象、交通量、交通速度、および道路(たとえば、幹線道路)からの距離を含む他の入力に基づいて、一日のうちの任意の瞬間の騒音の大きさを予測する。
【0072】
図5は、開示の実施形態のうちの1つ以上により実現される2つの例示的な騒音測定機器を示している。図5は、固定騒音測定機器502および可動騒音測定機器504を示している。例示的な可動センサは、自動車のルーフまたはトランクリッド上のソーラーパネルと併せて、トランクリップに設置された全天候型無指向性マイク等の特性を有する。開示の実施形態で使用するいくつかのマイクは、以下の表1に示す特性を有する。
【0073】
【表1】
いくつかの実施形態のシステム筐体は、2つのXLRコネクタおよびLTEモデムへのUSBケーブル接続用開口部を有する。一方のコネクタがマイクに取り付けられ、他方がソーラーパネルに取り付けられている。いくつかの実施形態は、データシステムへの電力を制御するスイッチを含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、マイク信号は、コンピュータ機器(たとえば、Raspberry Pi 3Bマイクロコントローラ(Raspberry Piは登録商標))のUSBポートに取り付けられたUSBアナログ-デジタル変換器に提供される。
【0075】
ソフトウェアは、コンピュータ機器のSDカードにインストールされる(たとえば、Raspbian Jesseを動作させる)。いくつかの実施形態において、ソーラーパネルは、プログラムされた充電電流を18AHモータースポーツ/軽飛行機用バッテリOdyssey PC680に供給する充電コントローラに電力を供給する。
【0076】
充電コントローラは、バッテリがおよそ11ボルトを下回って放電されるのを防止する低電圧切断部を内蔵する。バッテリ容量は、バッテリが一度でも重放電を起こすと、大幅に低下する可能性がある。少なくともいくつかの実施形態において、バッテリは、(外側ハウジング上のスイッチを介して)5.3ボルトを与えるスイッチモード電源をコンピュータ機器に供給する。
【0077】
モデルにより提供される予測の精度は、音響的に異なる場所からの騒音データの収集によって改善される。これらの異なる場所は依然として、予測を行う地理的領域と一致する一組の共変量を維持するものとする。種々の実施形態においてその1つまたは複数が採用されるモデルトレーニングデータ収集時の共変量の例を以下の表2-1および表2-2に示す。
【0078】
【表2-1】
【0079】
【表2-2】
図6Aは、上述の測定機器により収集された観測結果600を示している。これらの観測結果は、図5に示すように、多くの場所において、騒音レベルが週末対平日で一日に大きく変動することを示している。図6Aは、午前6時にピークの活動が、その3時間前の静かな時間の約3倍の音量となっていることを示している。高い騒音レベルは、大量の運航を行う機会を与え得る。これに対して、低背景騒音期間中の運航は、地域社会を著しく混乱させる可能性がある。
【0080】
本開示の実施形態により実現される予測モデルの使用により、モデルによる予測に基づいて、騒音マップデータを生成可能である。騒音マップデータは、地理的領域内の複数の場所の予測音量(たとえば、背景騒音音量)を表し得る。騒音マップデータを生成するため、モデル320の出力は、本明細書に記載の通り、予測背景騒音音量(時間変動音量)のほか、(たとえば、経度座標、緯度座標、姿勢等により表される)関連する場所を規定することができる。モデルが出力する予測の集約によって、地域内の複数の場所の予測背景騒音音量を示す騒音マップデータを生成可能である。たとえば、騒音マップデータは、モデルが予測する地理的領域の騒音ヒートマップを含み得る。これらの予測の例を図6B図7A、および図7Bに示す。図6B図7A、および図7Bは、異なる時刻における地理的領域650および700の騒音レベルを示している。図6B図7Aおよび図7Bとを対比すると、図6Bに対して図7Aおよび図7Bと関連付けられた暗色は、その暗い領域における騒音レベルの上昇を示す。図7Bは、開示の実施形態のうちの少なくともいくつかに係る、音量データに基づく空路の選択を示した図である。空路は、画像に示す地理的領域に航空交通をルーティング可能な状況を規定する。図7Bは、音量を考慮しない空路が設定される状況を示した第1の線705を示している。また、図7Bは、音量を考慮する効果を示した第2の線710を示している。
【0081】
本明細書において詳しく説明する通り、騒音マップデータは、航空機と関連付けられたさまざまな目的に利用可能である。たとえば、いくつかの実施態様において、騒音マップデータは、航空機のルーティングおよび/または空路の最適化に利用可能である。たとえば、騒音マップデータに基づいて、航空機のルートを生成することにより、地域内のルートに沿う場所の音量の許容範囲レベルを維持するルートを生成可能である。音量の許容範囲レベルは、それ以下で総騒音レベル(たとえば、予測音量+航空機発生音量/騒音)が低いままとなる閾値(たとえば、デシベル等の単位)であってもよい。閾値は、規制機関等の当局、航空機フリートを管理するサービス事業者等により設定されたものであってもよい。ルートに沿う如何なる点においても音量の許容範囲レベルを超えないように航空機がルーティングされるように、ルートおよび/または空路を生成可能である。さらには、航空機がルートに沿う閾値距離内に留まって騒音の許容範囲レベルを維持するように、ルートの空路(たとえば、航空機が留まることになるルートの周りの体積(volume))を生成可能である。
【0082】
この追加または代替として、騒音マップデータは、航空機の1つまたは複数の運航制約の決定に使用可能である。たとえば、騒音マップデータに基づいて、離陸時間、飛行時間、着陸時間、一日の最初の離着陸時間、一日の最後の離着陸時間等を識別する時間制約を決定可能である。特に、騒音マップデータは、一日のさまざまな時間の予測騒音を提供可能であるため、音量の許容範囲レベルを維持するように飛行時間スケジュールを生成可能となる。一例として、騒音マップデータは、一日の朝および/または夜の飛行を開始および/または終了すべき時間、および/または、集約騒音レベルを低くするのが良いと考えられる中間時間(たとえば、一日の学校が終わるタイミング)の決定に役立ち得る。
【0083】
この追加または代替として、1つまたは複数の着陸制約を騒音マップデータに基づいて決定することができる。たとえば、騒音マップデータは、総騒音レベルが音量の閾値許容範囲レベルを下回るように維持するのに最も役立つと考えられる離陸角/方向および/または着陸進入角の決定に役立ち得る。
【0084】
騒音マップデータは、地理的領域内のルートへの航空機の割り当ておよび/またはルートに沿う航空機の飛行頻度の決定に利用可能である。たとえば、航空機フリートには、異なる種類、型式、モデル、サイズ等の航空機を含む場合がある。このため、航空機フリート内の特定の種類の航空機は、航空機の離陸、着陸、および/またはルート移動に際して(たとえば、推進システム、貨物容量、燃料種別等の相違に起因して)異なるレベルの騒音/音量を生成する場合がある。航空機の運航騒音/音量は、(たとえば、航空機製造業者/供給業者を介した)取得および記憶、航空機運航時のセンサによる測定、および/または航空機モデルに基づく計算が可能である。本明細書に記載の通り、騒音マップデータは、地理的領域内のルートに沿う場所の予測音量(たとえば、背景騒音層)を示すことができ、これによって、音量の許容範囲レベルを下回り続けるように運航航空機により追加し得る付加的な騒音/音量(たとえば、航空機騒音層)の程度を決定可能となり得る。このような決定に基づいて、総騒音レベルが音量の許容範囲レベルを下回り続けるように、特定の航空機を選択してルートに割り当てることができる。
【0085】
いくつかの実施態様においては、騒音マップデータに基づいて、ルートに沿う飛行/地理的領域内の飛行の頻度を決定可能である。たとえば、ルートに沿う場所/マッピングされた地理的領域内の場所における音量の許容範囲レベルを維持するように、航空機がルートを移動する回数を決定可能である。
【0086】
図8は、本開示のいくつかの例に係る、例示的な機械学習モジュール800を示している。機械学習モジュール800は、トレーニングモジュール810および予測モジュール820を利用する。トレーニングモジュール810は、履歴情報830を特徴決定モジュール850Aに入力する。履歴情報830は、ラベル付けされていてもよい。上述の通り、履歴情報には、複数の地理的領域の動的特徴情報の履歴測定結果を含んでいてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、動的特徴情報は、履歴情報830においても示される複数の履歴期間(トレーニング期間)にわたって収集されるようになっていてもよい。また、モデルのトレーニングには、地理的領域の静的特徴情報も用いられる。
【0087】
特徴決定モジュール850Aは、この履歴情報830によって、特徴860を決定する。概説するなら、特徴860は、一組の入力情報であり、特定の結果を予測するように決定された情報である。いくつかの例において、特徴860には、すべての履歴活動データを含むが、他の例では、特徴860に履歴活動データの部分集合を含む。
【0088】
なお、異なる分解単位において、いくつかの特徴が最初に提供されるようになっていてもよい。たとえば、いくつかの実施形態においては、気象データが16進数で受信され、道路交通が2次元空間中の場所として取得され、航空交通情報が3次元空間中の場所として取得され、いくつかの静的特徴がグリッド上で提供される。これらのデータを集約するため、いくつかの実施形態では、道路交通および航空交通に対する騒音減衰を実行する(たとえば、ログ法)。いくつかの実施形態では、グリッド上に表された特徴に対して線形重みを適用する。いくつかの実施形態では、調節可能な半径によって、所与の関心点の異なる特徴を集約する。
【0089】
いくつかの実施形態では、モデルのトレーニングに使用される履歴活動データを調整して、多重共直線性を低減する。開示の実施形態の開発においては、さまざまな特徴間の強い相関が確認されている。このため、いくつかの実施形態では、主成分分析(PCA)および再帰的除去のうちの1つ以上を使用して、関連性の低い相関特徴を除去する。これらの実施形態では、多重共直線性を低減するように機能しない実施形態と比較した場合に、大幅な性能の向上を実証している。
【0090】
機械学習アルゴリズム870は、特徴860およびラベルに基づいて、(たとえば、いくつかの態様では、トレーニング済みモデル314と等価の)モデル806を生成する。
予測モジュール820においては、現在の情報890が特徴決定モジュール850Bに入力される。現在の情報890には、特定の地理的領域の動的特徴情報および静的特徴情報を含んでいてもよい。特定の地理的領域は、履歴情報830に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0091】
特徴決定モジュール850Bは、現在の情報890から、特徴決定モジュール850Aが履歴情報830から決定したのと同じ一組の特徴を決定するようにしてもよいし、異なる一組の特徴を決定するようにしてもよい。いくつかの例において、特徴決定モジュール850Aおよび850Bは、同じモジュールである。特徴決定モジュール850Bは、特徴ベクトル815を生成するが、これは、モデル806に入力されて地理的領域の音量予測895を生成する。音量予測895には、複数の周波数の予測を含む。例示的な一実施形態において、トレーニングモジュール810は、モデル806をトレーニングするようにオフラインで動作するようになっていてもよい。ただし、予測モジュール820は、オンラインで動作するように設計されていてもよい。モデル806は、追加トレーニングおよび/またはユーザフィードバックによって定期的に更新されるようになっていてもよい。
【0092】
機械学習アルゴリズム870は、多くの異なる潜在的な教師ありまたは教師なし機械学習アルゴリズムのうちから選択されるようになっていてもよい。教師あり学習アルゴリズムの例としては、人工ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、インスタンスベース学習、サポートベクタマシン、決定木(たとえば、ID3(Iterative Dichotomiser 3)、C4.5、CART(Classification and Regression Tree)、CHAID(Chi-squared Automatic Interaction Detector)等)、ランダムフォレスト、線形分類器、2次分類器、k近傍法、線形回帰、ロジスティック回帰、隠れマルコフモデル、人工生命に基づくモデル、焼きなまし法、および/またはウイルス学が挙げられる。教師なし学習アルゴリズムの例としては、期待値最大化アルゴリズム、ベクトル量子化、および情報ボトルネック法が挙げられる。教師なしモデルは、トレーニングモジュール810を有していなくてもよい。例示的な一実施形態においては、回帰モデルが使用され、モデル806は、特徴860および特徴ベクトル815の各特徴の学習済み重要度に対応する係数のベクトルである。スコアを計算するため、特徴ベクトル815(いくつかの実施形態では、特徴が必ずしもベクトルとして表されない)とモデル806の係数のベクトルとの内積を求める。
【0093】
開示の実施形態では、多様な特徴を使用して、騒音予測のモデルをトレーニングする。例示的な一実施形態において、これらの特徴には、複数の期間にわたる領域の静的特徴および動的特徴を含む。いくつかの実施形態においては、たとえば1月1日からの時間、月・日・時の連結、または週末もしくは平日指標とその日の時刻の表示との連結等、期間を識別する時間がさまざまなフォーマットで提供される。いくつかの実施形態において、トレーニング入力には、静的場所特徴(たとえば、標高)および時間依存性動的場所特徴(たとえば、交通量)を含む。いくつかの実施形態において、入力は、場所共変量(固定および時間依存)もしくは場所(たとえば、経度、緯度)、時間表現(たとえば、1970年1月1日からの時間、月+日+時、またはいくつかの実施形態において、週末/平日指標および/または時刻表示)、あるいは、場所共変量(固定)、時間表現である。場所共変量は、新たな場所における予測を可能にする。いくつかの実施形態において、時間依存性共変量を使用するには、将来の騒音レベルを予測する場合に共変量値を予測する必要がある。種々の実施形態において、付加的なトレーニング入力には、交通量、交通速度、気温、露点、湿度、風速、風向、降水強度、気圧、水域(たとえば、水路または湖沼)までの距離、標高、道路からの距離、鉄道からの距離、海岸からの距離、および空港からの距離のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、図1に関して上述した測定機器により生成されるトレーニング集合データには、場所(たとえば、経度および緯度)ならびに時刻の特徴(動的および静的の両特徴)およびラベル(SPL値または1つもしくは複数のTVLスペクトルデータ)を含む。いくつかの実施形態は、L90の形態の騒音尺度を提供する。L90は、測定期間の90%において超えた最も高い音レベルである。測定環境の騒音の背景または周囲レベルを表すには、L90の形態の音測定結果が一般的に考慮される。トレーニング集合を構築する際の課題として、異なるデータセットを同じ場所にマッピングする点が挙げられる。いくつかのデータ源では、一部が道路区分に該当するランダムな場所を使用する。気象データでは、六角形識別子を使用し、NPSデータでは、所定のメートル数離れたマップ上の点のグリッドに対して、経度および緯度を使用する。開示の実施形態のうちのいくつかには、これらの異なる場所システムを一体化して、データ損失を最小化するとともに効率を向上させるプロセスを含む。
【0094】
開示の実施形態のうちのいくつかでは、連邦航空局(FAA)から得られる飛行追跡情報から集めた騒音データを用いて、モデルをトレーニングする。飛行追跡情報によれば、航空機が発する騒音と地上のセンサによる騒音測定結果との間の距離を決定可能である。少なくともいくつかの実施形態においては、飛行追跡情報が(x,y,z,t)の形態であって、x、y、zが3次元空間中での航空機の場所を規定する(たとえば、x、yが経度、緯度であり、zは、AGL(地面からの高度)またはMSL(平均海抜)の形態の高度を表す)。いくつかの実施形態においては、以下のような航空交通に起因する騒音影響に基づいて、1つまたは複数の騒音測定結果が定量化される。
【0095】
時間tにおける航空交通に起因する正規化騒音影響は、以下の通りである。
【0096】
【数1】
ここで、Nは、時間tにおける正規化騒音測定結果であり、Dは、航空機の場所と測定を行うセンサとの間の半正矢距離であり、zは、飛行の高度である。
【0097】
開示の実施形態では、所与の場所および所与の時間(たとえば、1時間)について、トレーニング済みモデルによりdBA単位の音圧レベル(SPL)を予測可能である。この予測は、1つの値(スカラー)を生成する。開示の実施形態では、同じトレーニング済みモデルによって、時間変動音量をさらに予測可能である。いくつかの実施形態において、この予測には、ベクトルとして表される複数の値(たとえば、150)を含み得る。種々の実施形態においては、予測ごとの別個のモデルまたは複数の出力を有する単一のモデルのいずれかの利用により、SPLおよびVTLの予測を得ることも可能である。開示の主題により生成される1つのTVLモデルによって、RMSEが3.39、R(決定係数)が0.69となる。本実施形態では、決定木ベースのモデルを使用する。
【0098】
TVLの異なる帯域の値には、何らかの相関を含む。このため、いくつかの実施形態においては、モデルのTVLスペクトル出力がベクトルとして表され、ベクトルの各単位が1/3オクターブの帯域(たとえば、32)を表す。あるいは、各TVL帯域のモデルを別個にトレーニングすることも可能である。例示的な実施形態においては、線形モデル(たとえば、線形回帰、ロジスティック回帰)、サポートベクタ回帰、ランダムフォレスト回帰、ガウス過程、フリーベースモデル、多層パーセプトロン(MLP)/ニューラルネットワーク(NN)、またはモデルの集合体等、数種類のモデルを使用可能である。
【0099】
図9は、モデルのトレーニングに使用する前にトレーニングデータを処理するプロセス900のフローチャートである。いくつかの態様において、プロセス900は、ハードウェア処理回路により実行される。たとえば、いくつかの実施形態においては、図9およびプロセス900に関して後述する機能のうちの1つ以上を実行するように、電子メモリに記憶された命令がハードウェア処理回路を構成する。
【0100】
開始動作902の後、プロセス900は、動作905に進む。動作905においては、半径が規定される。いくつかの実施形態において、半径は、調節可能なパラメータとして実現される。半径は、(他のセンサからの)関連する特徴を探索するセンサからの距離を規定する。
【0101】
動作910においては、センサの場所が特定される。例示的な一実施形態においては、プロセス900が一組のセンサに反復適用されるが、動作910では、プロセス900により現在解析中のセンサの場所を特定する。
【0102】
動作915においては、場所および半径に基づいて、領域が決定される。場所および半径は、センサの場所の周囲の円形領域を規定する。
動作920においては、領域内の特徴データ点が特定される。いくつかの態様において、特徴データ点は、特定の場所/時間の単一の値に集約される。いくつかの態様においては、以下の式が集約に利用され、ここでは、領域Rにおいてn個の点が特定される。
【0103】
【数2】
ここで、Fは、すべての特徴名の集合である。
【0104】
動作925においては、データ点から加重平均が生成される。いくつかの態様においては、原理に基づく重み関数が適用される。いくつかの態様においては、負の指数関数的重みの利用によって、距離による音の減衰を近似する。このため、いくつかの実施形態においては、センサの場所からの距離dの特徴iについて、重みがw=1/eαdとなる。アルファ(α)値は、領域内の環境条件に基づく。例示的な環境条件としては、環境が主に都市、郊外、および農村のいずれであるかの区別、建物の平均高さ等が挙げられる。いくつかの態様では、アルファ(α)値として2を使用する。
【0105】
他のいくつかの実施形態においては、以下の重み式の一方が使用される。
【0106】
【数3】
または
【0107】
【数4】
いくつかの実施形態においては、重みが正規化される。これらの実施形態においては、重みの合計すなわち以下によって、加重和が割られることになる。
【0108】
【数5】
または
【0109】
【数6】
動作930においては、加重平均がトレーニングデータに加算される。判定動作940では、評価すべき別のセンサの場所が存在するかを判定する。存在する場合、プロセス900は、動作910に戻る。存在しない場合、プロセス900は、終了動作945に進む。
【0110】
図10は、上述のトレーニング集合の解析の一観測結果を示している。図10は、SPLが混雑時間において高く、夜間には一般的に低くなることを所与として、音圧レベル(SPL)と交通量との比較的強い相関を示している。
【0111】
図11は、一実施形態に係る、モデルの特徴の相関行列を示している。相関行列1100は、交通量と速度との間の相関(負の相関)および露点と気温との間の相関(正の相関)を示している。また、相関行列1100は、速度と湿度との間の相関を示している。
【0112】
音量予測の適当なモデルを決定するため、さまざまな異なるモデルを用いて、いくつかの解析がなされる。最初のテストでは、トレーニングデータの70%をトレーニングに、トレーニングデータの30%をテストに使用して、多重線形回帰モデルをトレーニングした。結果を以下の表3に示す。
【0113】
【表3】
上記測定基準は、線形回帰モデルがSPLの予測に際して、比較的良好な性能を与えたことを示している。トレーニングデータに含まれない期間について、モデルが騒音を予測した程度を理解するため、別のテストを実行した。このテストを実行するため、モデルのトレーニングにおける使用から、第1の期間のトレーニングデータを抜き出した後、当該第1の期間についてモデルが行う予測の精度を予測するために使用した。結果を以下の表4に示す。
【0114】
【表4】
上記解析は、トレーニングデータが含まれない期間についても、モデルがSPLを正確に予測可能であることを示唆する。
【0115】
図12Aおよび図12Bは、複数の周波数について時間変動背景音量を予測するプロセス1200のフローチャートである。いくつかの態様においては、プロセス1200ならびに図12Aおよび図12Bに関して後述する機能のうちの1つ以上がハードウェア処理回路により実行される。たとえば、少なくともいくつかの実施形態においては、後述する機能のうちの1つ以上を実行するように、ハードウェアメモリに記憶された命令がハードウェア処理回路を構成する。いくつかの実施形態においては、いずれも図3に関して上述したトレーニング済みモデル320および/またはルーティングシステム323のうちの1つ以上によって、後述する機能のうちの1つ以上が実行される。
【0116】
開始動作1205の後、プロセス1200は、動作1210に進んで、地理的領域の動的特徴データの測定結果を受信する。
いくつかの実施形態において、動的特徴データには、当該領域の気象データを含む。気象データの例としては、気温、露点、気圧、風速、風向、太陽位置、降水量、積雪割合、積雪量、および他の気象データのうちの1つ以上が挙げられる。米国の国立気象局から、ウェブサービスを介して気象情報を入手可能である。他の地域でも同様のサービスを利用可能である。いくつかの実施形態では、ウェブサービスから気象データを取得することにより、動作1210において気象データを受信する。
【0117】
いくつかの実施形態において、動的特徴データには、人工的な発生源に関する騒音情報または人工的な特徴データを含む。人工的な特徴データの例としては、1つまたは複数の道路上の交通速度および/または交通量、航空機速度、鉄道速度、および/または領域全体の交通量が挙げられる。いくつかの実施形態において、人工的な特徴データは、1つまたは複数のデータ源から、少なくとも間接的に受信される。たとえば、地方自治体が運営する多様なウェブサービスから、現在の交通データを入手可能である。動作1210のいくつかの実施形態では、これらのサービスとの連動によって、交通データに関する情報を取得する。同様に、連邦航空局(FAA)は、航空機の飛行情報を提供するウェブサービスを運営する。米国外の地域においても、同様のサービスが提供されている。現在の鉄道交通情報は、鉄道事業者が提供するウェブサービスを介して入手可能である。少なくともいくつかの実施形態において、動作1210では、これらのサービスのうちの1つ以上にアクセスして、人工的な動的特徴データを取得または受信する。
【0118】
例示的な一実施形態においては、動作1210において、複数の異なる期間の動的特徴データの測定および受信、または測定もしくは受信が行われる。たとえば、いくつかの態様においては、1時間ごと、0.5時間ごと、または他の期間等、測定結果が周期的に受信される。
【0119】
動作1212においては、地理的領域の静的特徴が決定される。静的特徴の例としては、標高、1つまたは複数の道路からの距離、1つまたは複数の空港からの距離、領域の植生割合、領域の道路の組成(たとえば、コンクリート、アスファルト、または丸石)、鉄道までの距離、海岸(大洋または五大湖)までの距離、水域(たとえば、湖沼または水路)までの距離のうちの1つ以上が挙げられる。図3に関して上述した通り、いくつかの実施形態においては、動作1212によって、図3に関して上述した静的特徴データストア316等の静的特徴データストアから静的特徴データを読み出す。
【0120】
動作1215においては、動的特徴および静的特徴がモデルに与えられる。たとえば、図3は、動的特徴(たとえば、動的特徴データ322)および静的特徴情報324をトレーニング済みモデル314に与えるデータフローを示している。いくつかの実施形態において、動的および静的特徴をモデルに与えることには、たとえば図3に関して上述した通り、この情報のデータ源からトレーニング済みモデルが動的および静的特徴を読み出すことを含む。図3に示すように、いくつかの実施形態において、トレーニング済みモデルは、1つまたは複数の地理的領域の静的特徴情報を静的特徴データストア316から読み出す。また、トレーニング済みモデル320によって、当該領域の動的特徴データが(動的特徴データ322として)受信される。上述の通り、いくつかの実施形態において、動的特徴データは、当該動的特徴データを提供するウェブサービスから受信されるか、または、動的特徴情報を測定するセンサから直接受信される。図3および図8、または図3もしくは図8に関して上述した通り、モデルは、複数のセンサから収集された履歴データに基づいてトレーニングされる。センサは、複数の地理的領域で複数の周波数にわたって時間変動音量を検出する。センサのうちのいくつかは、複数の期間において、気温、露点、湿度、風速、風向、および他の気象データ等の気象データを収集するように構成されている。検出された時間変動音量および気象データは、音量および気象情報が収集された時間に従って相間される。このため、履歴データは、複数の期間にわたって、特定領域の気象データ、交通データ、および騒音情報を表す。
【0121】
例示的な一実施形態において、モデルのトレーニングに用いられる履歴データには、領域の静的特徴も含む。たとえば、いくつかの実施形態では、領域の植生の量、領域の人工的構造物(たとえば、コンクリート、アスファルト、建物)の量(たとえば、百分率)、または上述のような他の静的特徴等、複数の異なる領域の静的情報を取得する。いくつかの実施形態において、モデルのトレーニングに用いられる静的特徴は、図3に関して上述した静的特徴データストア316等の静的特徴データストアから取得される。
【0122】
その後、動作1218では、トレーニング済みモデル(たとえば、トレーニング済みモデル320)からの出力に基づいて、背景騒音音量を予測する。予測される背景騒音音量は、領域の気象情報、領域の静的特徴、および領域の動的特徴に基づいて、規定の期間、地理的領域に、または任意所与の場所に固有であり、少なくともいくつかの実施形態においては、上述の通り、これらのうちの1つ以上が入力としてモデルに与えられる。いくつかの実施形態において、規定の期間は、予測の実行タイミングに基づく「現在の期間」である。他の実施形態においては、規定の期間が入力としてモデルに受け渡され、モデルは、この入力に基づいて、規定の期間における予測背景騒音音量を生成するように構成されている。
【0123】
動作1218においては、規定の期間内の特定の時間および特定の日付について、背景騒音音量が予測される。いくつかの実施形態において、特定の時間および特定の日付、または特定の時間もしくは特定の日付は、入力としてモデルに受け渡される。
【0124】
動作1220においては、(トレーニング済みモデルにより出力された)地理的領域内のモデル予測背景騒音音量に基づいて、騒音マップデータが生成される。この場合は、たとえば複数の場所における予測音量値の集約によって、1つまたは複数の時間、時間範囲等における地理的領域内の場所での音量を表すヒートマップ(または、他の種類の表現)を生成することができる。種々の実施形態において、予測背景騒音音量は、固定、時間変動、部分的、部分的固有騒音音量のうちの1つ以上を含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、動作1220における騒音マップデータの生成には、複数の地理的領域の予測背景騒音音量の生成を含む。いくつかの実施形態において、複数の地理的領域は、(たとえば、グリッドの向きで)互いに境界を接することにより、地表の一部のマップを構成する。このように、騒音マップデータには、この複数の地理的領域およびそれぞれの対応する予測背景騒音音量を含む。
【0126】
動作1222においては、モデル予測音量および/または騒音マップデータに基づいて地域の1つまたは複数の航空機ルートおよび/または空路が決定される。この場合は、飛行ルート(および、これと関連付けられた空路)の場所/高度の決定によって、本明細書に記載の通り、地理的領域の音量の許容範囲レベルを維持することができる。
【0127】
動作1222のいくつかの実施形態では、航空機の出発地および目的地を決定する。その後、これらの実施形態では、出発地と目的地との間の考え得る複数のルートを決定する。考え得る複数のルートはそれぞれ、航空機が出発地から移動して目的地に達する際に通過する複数の異なる地理的領域を含む。プロセス1200の実施形態のいくつかでは、これらの地理的領域それぞれの動的および静的特徴データに基づいて、各領域それぞれにおける予測背景騒音を生成する。この情報がトレーニング済みモデルに与えられると、このモデルは、地理的領域それぞれの背景騒音を予測する。
【0128】
その後、いくつかの実施形態では、予測背景騒音に基づいて、複数のルートのうちの1つを選択する。たとえば、いくつかの実施形態では、(たとえば、航空機がルート実行時に通過する各領域の予測背景騒音に基づいて)ルートそれぞれに沿って予測背景騒音を集約し、騒音が最も集約されたルートを選択する。いくつかの実施形態では、ルートに沿った騒音の集約に先立って、領域の予測背景騒音を所定の最大値に設定することにより、特に騒音の大きな領域による選択のバイアスを制限する。
【0129】
上述の通り、いくつかの実施形態では、予測背景騒音のレベルが比較的低い(たとえば、騒音が所定の閾値を下回る)地理的領域上を移動する場合に高高度を指定する飛行ルートを規定する。これらの実施形態では、予測背景騒音のレベルが比較的高い(たとえば、所定の閾値を上回る)地理的領域上を移動する場合に低高度を指定する飛行ルートを規定する。また、いくつかの実施形態において、領域の高度は、ルートに沿った隣接領域の高度に基づくことにより、当該ルートにおけるあまりに高頻度の高度変更を回避する。
【0130】
動作1224においては、予測背景音量および/または騒音マップデータに基づいて、1つまたは複数の航空機運航制約が決定される。たとえば、予測音量および/または騒音マップデータの利用により、たとえば離陸時間、飛行中の移動時間、着陸時間、一日の最初の離着陸時間、一日の最後の離着陸時間、離陸角/方向、着陸進入角、および/または他の運航制約等、運航制約を含む航空機制約を決定する。航空機制約の一例として、いくつかの実施形態においては、航空機が巡航高度に達する前に上空を飛ぶ1つまたは複数の地理的領域の予測背景騒音に基づいて、航空機の離陸後の最小上昇率が設定される。いくつかの実施形態においては、所定の背景騒音が所定の騒音閾値を下回ることにより、最小上昇率が第1の上昇率閾値を上回る。これらの実施形態において、航空機がその巡航高度に達する前に上空を飛ぶ領域の予測背景騒音が第2の所定の騒音閾値を上回る場合は、最小上昇率が第2の上昇率閾値を下回るように設定される。いくつかの実施形態において、第1の上昇率閾値および第2の上昇率閾値は、等価である。
【0131】
別の例として、出発地と目的地との間のルートに必要な航空機の最大航続距離属性は、選択ルートに沿う出発地から目的地までの距離に基づいて制約される。一例として、いくつかの実施形態では、出発地と目的地との間の複数の異なるルートを生成する。場合によっては、たとえば地理的領域の背景騒音が相対的に低くなることを回避するため、距離の長いルートが選択される。このように長いルートに対しては、当該ルートをカバーできるように、航空機が十分な航続距離を有することが必要となる。
【0132】
動作1226においては、予測背景音量および/または騒音マップデータに基づいて、航空機が航路に割り当てられる。
たとえば、上述の通り、出発地と目的地との間の移動のために選択されたルートに基づいて、航空機に対する制約が決定される。上昇率に関する上記例においては、(いくつかの実施形態において、ルートをカバーする間に航空機が上空を飛ぶ1つまたは複数の地理的領域の予測背景騒音音量に基づいて)ルートに対して決定された最小上昇率以上で航空機が上昇可能であることを示す航空機の仕様に基づいて、当該ルートをカバーするように航空機が選択される。同様に、選択ルートをカバーする際の出発地と目的地との間の距離については、航空機がその距離以上の航続距離を有する必要がある。
【0133】
付加的な一例として、第1の航路は、第2の航路よりも予測音量のレベルが高い場所を含んでいてもよい。航空機フリートには、第1の航空機および第2の航空機を含み得る。第1の航空機の型式、モデル、種類等は、第2の航空機と異なり得る。第1の航空機は、運航(たとえば、離陸、着陸、飛行等)に際して、第2の航空機よりも高いレベルの騒音/音量を発し得る。第1の航空機(騒音の大きな航空機)は、第1の航路(騒音の大きなルート)に割り当て可能である。第1の航路に沿う場所の予測背景音量が第1の航空機の運航とより適合するためである。この場合は、第1の航路に沿う領域の予測背景音量と航空機の音量との釣り合いによって適合性が決定される。第2の航空機(騒音の小さな航空機)は、第2の航路(騒音の小さなルート)に割り当て可能である。第2の航路に沿う場所の予測音量と第2の航空機の運航により生成される騒音とが適合するためである。
【0134】
別の例において、第1の航空機は、第2の航路に割り当て可能である。第2の航路に沿う場所の音量の許容範囲レベルの方が高くなり得るためである。第2の航空機は、第1の航路に割り当て可能である。第1の航路に沿う場所の音量の許容範囲レベルの方が低くなり得るためである。
【0135】
動作1228においては、予測背景音量および/または騒音マップデータに基づいて、航空機の飛行の頻度が決定される。たとえば、少なくともいくつかの実施形態においては、第1のルートおよび/または第2のルートに沿う場所における背景騒音音量の許容範囲レベルを維持するように、航空機がこれらのルートを移動する回数が決定される。たとえば、いくつかの実施形態では、航空機が特定の地理的領域の上空を飛ぶ割合を制限する。いくつかの実施形態において、この割合は、時刻および/または平日であるか週末であるかに基づいて調整される。また、いくつかの実施形態において、この割合は、予測背景騒音音量に基づいて調整される。
【0136】
動作1228の後、プロセス1200は、終了動作1230に進む。
図13は、コンピュータ機器のソフトウェアアーキテクチャ1300の一例を示したブロック図である。ソフトウェアアーキテクチャ1302は、たとえば本明細書に記載のような種々のハードウェアアーキテクチャと併せて用いられるようになっていてもよい。図13は、ソフトウェアアーキテクチャ1302の非限定的な一例に過ぎず、本明細書に記載の機能を容易化するその他多くのアーキテクチャが実装されていてもよい。代表的なハードウェア層1304を示すが、これは、たとえば先述のコンピュータ機器のいずれかを表し得る。いくつかの例において、ハードウェア層1304は、図14のアーキテクチャ1400および/または図13のソフトウェアアーキテクチャ1302に従って実装されていてもよい。
【0137】
代表的なハードウェア層1304は、実行可能命令1308が関連付けられた1つまたは複数の処理ユニット1306を含む。実行可能命令1308は、ソフトウェアアーキテクチャ1302の実行可能命令を表し、図1図12の方法、モジュール、コンポーネント等を実装したものである。また、ハードウェア層1304には、同じく実行可能命令1308を有するメモリおよび/または記憶モジュール1310を含む。また、ハードウェア層1304には、ソフトウェアアーキテクチャ1300の一部として示すその他ハードウェア等、ハードウェア層1302のその他任意のハードウェアを表す他のハードウェア1312を含んでいてもよい。
【0138】
図13の例示的なアーキテクチャにおいて、ソフトウェアアーキテクチャ1302は、各層が特定の機能を提供する層スタックとして概念化されていてもよい。たとえば、ソフトウェアアーキテクチャ1302には、オペレーティングシステム1314、ライブラリ1316、フレームワーク/ミドルウェア1318、アプリケーション1320、およびプレゼンテーション層1344等の層を含んでいてもよい。任意選択として、アプリケーション1320および層内の他のコンポーネント、またはアプリケーション1320もしくは層内の他のコンポーネントは、ソフトウェアスタックを通じてAPI呼び出し1324を行い、このAPI呼び出し1324に応じたメッセージ1326として示す応答、戻り値等を受信するようにしてもよい。図示の層は、代表的なものであり、すべてのソフトウェアアーキテクチャがすべての層を有するわけではない。たとえば、一部のモバイルまたは専用オペレーティングシステムがフレームワーク/ミドルウェア1318の層を提供しない一方、その他のオペレーティングシステムがこのような層を提供していてもよい。他のソフトウェアアーキテクチャには、付加的な層を含んでいてもよいし、異なる層を含んでいてもよい。
【0139】
オペレーティングシステム1314は、ハードウェアリソースを管理するとともに、共通サービスを提供するようにしてもよい。オペレーティングシステム1314には、たとえばカーネル1328、サービス1330、およびドライバ1332を含んでいてもよい。カーネル1328は、ハードウェア層とその他のソフトウェア層との間の抽象化層として作用し得る。たとえば、カーネル1328は、メモリ管理、プロセッサ管理(たとえば、スケジューリング)、コンポーネント管理、ネットワーキング、セキュリティ設定等を担い得る。サービス1330は、その他のソフトウェア層に対する他の共通サービスを提供可能である。いくつかの例において、サービス1330には、割り込みサービスを含む。割り込みサービスは、ハードウェアまたはソフトウェア割り込みの受信を検出し、これに応じて、割り込みが受信された場合は、ソフトウェアアーキテクチャ1302に現在の処理を一時中断させるとともに、ISRを実行させるようにしてもよい。ISRは、アラートを生成可能である。
【0140】
ドライバ1332は、下層のハードウェアの制御または下層のハードウェアとの連動を担い得る。たとえば、ドライバ1332としては、ハードウェア構成に応じて、ディスプレイドライバ、カメラドライバ、Bluetooth(登録商標)ドライバ、フラッシュメモリドライバ、シリアル通信ドライバ(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)ドライバ)、Wi-Fi(登録商標)ドライバ、NFCドライバ、オーディオドライバ、電力管理ドライバ等が挙げられる。
【0141】
ライブラリ1316は、アプリケーション1320および/または他のコンポーネントおよび/または層が使用可能な共通インフラを提供し得る。ライブラリ1316は通常、下層のオペレーティングシステム1314の機能(たとえば、カーネル1328、サービス1330、および/またはドライバ1332)と直接連動するよりも簡単に、他のソフトウェアモジュールがタスクを実行できるようにする機能を提供する。ライブラリ1316としては、メモリ割り当て機能、文字列操作機能、数学機能等の機能を提供し得るシステムライブラリ1334(たとえば、C標準ライブラリ)が挙げられる。また、ライブラリ1316としては、メディアライブラリ(たとえば、MPEG4、H.264、MP3、AAC、AMR、JPG、およびPNG等のさまざまなメディアフォーマットの提示および操作をサポートするライブラリ)、グラフィックスライブラリ(たとえば、2Dおよび3Dグラフィックコンテンツのディスプレイへのレンダリングに使用可能なOpenGLフレームワーク)、データベースライブラリ(たとえば、さまざまなリレーショナルデータベース機能を提供し得るSQLite)、ウェブライブラリ(たとえば、ウェブ閲覧機能を提供し得るWebKit)等のAPIライブラリ1336が挙げられる。また、ライブラリ1316としては、他の多くのAPIをアプリケーション1320および他のソフトウェアコンポーネント/モジュールに提供する多種多様な他のライブラリ1338が挙げられる。
【0142】
フレームワーク/ミドルウェア1318(ミドルウェアと称する場合もある)は、アプリケーション1320および/または他のソフトウェアコンポーネント/モジュールが使用可能な高水準共通インフラを提供し得る。たとえば、フレームワーク/ミドルウェア1318は、さまざまなグラフィカルユーザインターフェース(GUI)機能、高水準リソース管理、高水準位置情報サービス等を提供可能である。フレームワーク/ミドルウェア1318は、アプリケーション1320および/または他のソフトウェアコンポーネント/モジュールが使用可能な広域スペクトルの他のAPIを提供可能であり、その一部は、特定のオペレーティングシステムまたはプラットフォームに固有であってもよい。
【0143】
アプリケーション1320には、組み込みアプリケーション1340および/またはサードパーティアプリケーション1342を含む。代表的な組み込みアプリケーション1340の例としては、コンタクトアプリケーション、ブラウザアプリケーション、ブックリーダアプリケーション、位置情報アプリケーション、メディアアプリケーション、メッセージングアプリケーション、および/またはゲームアプリケーションが挙げられるが、これらに限定されない。サードパーティアプリケーション1342としては、組み込みアプリケーション1340のいずれかのほか、その他の広範なアプリケーションが挙げられる。特定の一例において、サードパーティアプリケーション1342(たとえば、特定のプラットフォームの供給業者以外のエンティティがAndroid(登録商標)またはiOS(登録商標)ソフトウェア開発キット(SDK)を使用して開発したアプリケーション)は、iOS、Android、Windows(登録商標)フォン等のモバイルオペレーティングシステムまたは他のコンピュータ機器オペレーティングシステム上で動作するモバイルソフトウェアであってもよい。本例において、サードパーティアプリケーション1342は、オペレーティングシステム1314等のモバイルオペレーティングシステムが与えるAPI呼び出し1324を行って、本明細書に記載の機能を容易化するようにしてもよい。
【0144】
アプリケーション1320は、組み込みオペレーティングシステム機能(たとえば、カーネル1328、サービス1330、および/またはドライバ1332)、ライブラリ(たとえば、システムライブラリ1334、APIライブラリ1336、および他のライブラリ1338)、またはフレームワーク/ミドルウェア1318を使用して、システムのユーザと相互作用するユーザインターフェースを生成するようにしてもよい。この代替または追加として、いくつかのシステムでは、プレゼンテーション層1344等のプレゼンテーション層を通じて、ユーザとの相互作用が行われるようになっていてもよい。これらのシステムにおいて、アプリケーション/モジュールの「ロジック」は、ユーザと相互作用するアプリケーション/モジュールの態様から分離可能である。
【0145】
いくつかのソフトウェアアーキテクチャでは、仮想マシンを使用する。たとえば、1つまたは複数のサーバコンピュータ装置で実行される1つまたは複数の仮想マシンを用いて、本明細書に記載のシステムが実行されるようになっていてもよい。図13の例においては、仮想マシン1348によってこれを示している。仮想マシンは、アプリケーション/モジュールをあたかもハードウェアコンピュータ機器上で実行するように実行可能なソフトウェア環境を生成する。仮想マシン1348は、ホストオペレーティングシステム(たとえば、オペレーティングシステム1314)によりホスティングされ、(常にではないが)通常、仮想マシン1348の動作のほか、ホストオペレーティングシステム(たとえば、オペレーティングシステム1314)とのインターフェースを管理する仮想マシンモニタ1346を有する。ソフトウェアアーキテクチャは、オペレーティングシステム1350、ライブラリ1352、フレームワーク/ミドルウェア1354、アプリケーション1356、および/またはプレゼンテーション層1358等の仮想マシン1348において実行される。仮想マシン1348において実行されるソフトウェアアーキテクチャのこれらの層は、上述の対応する層と同じものも可能であるし、異なるものも可能である。
【0146】
図14は、一組または一連の命令の実行によって、本明細書に記載の方法のうちのいずれか1つの例をマシンに実行させ得るコンピュータ機器ハードウェアアーキテクチャ1400を示したブロック図である。ハードウェアアーキテクチャ1400は、本明細書に記載の航空機自律システムを実行するコンピュータ機器を表す。いくつかの実施形態において、ハードウェアアーキテクチャ1400は、上述の未トレーニングモデル314、トレーニング済みモデル320、ルーティングシステム323、および/またはUTM108のうちの1つ以上により利用される。いくつかの実施形態において、未トレーニングモデル314、トレーニング済みモデル320、およびルーティングシステム323のうちの1つ以上は、ハードウェアアーキテクチャ1400により表されるような単一のコンピュータ機器に組み込まれる。いくつかの実施形態において、未トレーニングモデル314、トレーニング済みモデル320、およびルーティングシステム323はそれぞれ、物理的に別個の異なるコンピュータ機器上に実装され、これらの異なるコンピュータ機器がそれぞれ、後述のハードウェアアーキテクチャ1400のコンポーネントのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、未トレーニングモデル314、トレーニング済みモデル320、および/またはルーティングシステム323のうちの1つ以上に由来する上述の機能のうちの1つ以上は、ハードウェアデバイスの共有グループまたは「プール」により実行され、これらハードウェアデバイスが各々、図14に関して後述するコンポーネントのうちの1つ以上を含む。
【0147】
アーキテクチャ1400は、スタンドアロン機器として動作するようになっていてもよいし、他のマシンに接続(ネットワーク化)されていてもよい。アーキテクチャ1400は、ネットワーク化展開において、サーバ・クライアントネットワーク環境のサーバまたはクライアントマシンの容量で動作するようになっていてもよいし、ピアツーピア(または、分散)ネットワーク環境のピアマシンとして作用するようになっていてもよい。アーキテクチャ1400は、パソコン(PC)、タブレットPC、ハイブリッドタブレット、セットトップボックス(STB)、個人用デジタル補助装置(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ネットワークブリッジ、またはそれにより実現する動作を指定する(順次あるいはそれ以外の)命令を実行可能な任意のマシンに実装可能である。
【0148】
例示的なアーキテクチャ1400は、少なくとも1つのプロセッサ(たとえば、中央演算処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、これらの両者、プロセッサコア、演算ノード)を備えたプロセッサユニット1402を具備する。アーキテクチャ1400は、リンク1408(たとえば、バス)を介して互いに通信するメインメモリ1404およびスタティックメモリ1406をさらに備えていてもよい。アーキテクチャ1400は、ビデオディスプレイユニット1410、入力装置1412(たとえば、キーボード)、およびUIナビゲーション装置1414(たとえば、マウス)をさらに具備し得る。いくつかの例において、ビデオディスプレイユニット1410、入力装置1412、およびUIナビゲーション装置1414は、タッチスクリーンディスプレイに組み込まれている。また、アーキテクチャ1400は、記憶装置1416(たとえば、ドライブユニット)、信号生成装置1418(たとえば、スピーカ)、ネットワークインターフェース装置1420、ならびに全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、もしくは他のセンサ等の1つもしくは複数のセンサ(図示せず)を具備していてもよい。
【0149】
いくつかの例において、プロセッサユニット1402または別の好適なハードウェアコンポーネントは、ハードウェア割り込みをサポートしていてもよい。プロセッサユニット1402は、ハードウェア割り込みに応答して、たとえば本明細書に記載の通り、その処理を一時中断するとともに、ISRを実行するようにしてもよい。
【0150】
記憶装置1416は、本明細書に記載の方法または機能のうちのいずれか1つもしくは複数の実施またはこれらによる使用がなされる一組または複数組のデータ構造および命令1424(たとえば、ソフトウェア)が記憶されたマシン可読媒体1422を具備する。また、命令1424の全体または少なくとも一部は、メインメモリ1404、スタティックメモリ1406、およびプロセッサユニット1402が同様にマシン可読媒体を構成した状態で、アーキテクチャ1400による実行中に、メインメモリ1404内、スタティックメモリ1406内、および/またはプロセッサユニット1402内に存在し得る。
【0151】
[実行可能命令およびマシン記憶媒体]
種々のメモリ(すなわち、1404、1406、および/またはプロセッサユニット1402のメモリ)および/または記憶装置1416は、本明細書に記載の方法または機能のうちのいずれか1つもしくは複数の実施またはこれらによる使用がなされる一組または複数組の命令およびデータ構造(たとえば、命令)1424を記憶していてもよい。これらの命令は、プロセッサユニット1402により実行された場合に、さまざまな動作によって開示の例を実現させる。
【0152】
本明細書において、用語「マシン記憶媒体」、「デバイス記憶媒体」、「コンピュータ記憶媒体」(「マシン記憶媒体1422」と総称する)は、同じものを意味しており、本開示においては区別なく使用可能である。これらの用語は、実行可能命令および/またはデータを記憶する1つまたは複数の記憶装置および/または媒体(たとえば、集中もしくは分散データベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバ)のほか、複数の記憶装置または機器を含むクラウドベースのストレージシステムまたはストレージネットワークを表す。したがって、これらの用語は、プロセッサの内部または外部のメモリを含めて、固体メモリならびに光学および磁気媒体を含むように解釈されるものとするが、これらに限定されない。マシン記憶媒体、コンピュータ記憶媒体、および/またはデバイス記憶媒体1422の具体例としては、半導体メモリデバイス(たとえば、消去・プログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去・プログラム可能リードオンリーメモリ(EEPROM)、FPGA、およびフラッシュメモリデバイス)、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを一例として含む不揮発性メモリが挙げられる。マシン記憶媒体、コンピュータ記憶媒体、およびデバイス記憶媒体1422という用語は、搬送波、変調データ信号、およびこのような他の媒体を明確に除外するが、これらの少なくとも一部は、後述の用語「信号媒体」において対象となる。
【0153】
[信号媒体]
用語「信号媒体」または「伝送媒体」は、任意の形態の変調データ信号、搬送波等を含むように解釈されるものとする。用語「変調データ信号)は、当該信号中の情報を符号化するように、その特性のうちの1つ以上が設定または変更された信号を意味する。
【0154】
[コンピュータ可読媒体]
用語「マシン可読媒体」、「コンピュータ可読媒体」、および「デバイス可読媒体」は、同じものを意味しており、本開示においては区別なく使用可能である。これらの用語は、マシン記憶媒体および信号媒体の両者を含むように定義される。したがって、これらの用語には、記憶装置/媒体および搬送波/変調データ信号の両者を含む。
【0155】
命令1424はさらに、多くの周知の転送プロトコル(たとえば、HTTP)のうちのいずれか1つを使用するネットワークインターフェース装置1420を介して、伝送媒体を使用する通信ネットワーク1426上で送受信可能である。通信ネットワークの例としては、LAN、WAN、インターネット、携帯電話ネットワーク、一般電話サービス(POTS)ネットワーク、および無線データネットワーク(たとえば、Wi-Fi、3G、4G LTE/LTE-A、5G、またはWiMAXネットワーク)が挙げられる。用語「伝送媒体」は、マシンにより実行される命令の記憶、符号化、または搬送が可能であって、デジタルまたはアナログ通信信号を含む任意の無形媒体またはこのようなソフトウェアの通信を容易化する他の無形媒体を含むように解釈されるものとする。
【0156】
本明細書の全体を通して、複数のインスタンスは、単一のインスタンスとして記述されたコンポーネント、動作、または構造を実装可能である。1つまたは複数の方法の個々の動作を別個の動作として図示および記載するが、これら個々の動作のうちの1つ以上は、同時に実行されるようになっていてもよく、また、これらの動作を図示の順序で実行する必要もない。例示的な構成において別個のコンポーネントとして提示した構造および機能は、組み合わせ構造またはコンポーネントとして実装されていてもよい。同様に、単一のコンポーネントとして提示した構造および機能は、別個のコンポーネントとして実装されていてもよい。上記および他の変形、変更、追加、および改良についても、本明細書の主題の範囲に含まれる。
【0157】
本開示においては、特定の方法で構成されるものとして、種々のコンポーネントを説明している。コンポーネントは、任意の好適な様態で構成されていてもよい。たとえば、コンピュータ機器であるコンポーネントまたはコンピュータ機器を含むコンポーネントは、当該コンピュータ機器をプログラムする好適なソフトウェア命令により構成されていてもよい。また、コンポーネントは、そのハードウェア構成により構成されていてもよいし、その他任意の好適な様態で構成されていてもよい。
【0158】
上記説明は、例示を意図したものであり、何ら限定的なものでない。たとえば、上述の例(または、その1つもしくは複数の態様)は、他の例と組み合わせて使用可能である。当業者による上記説明の精査等によって、他の例も使用可能である。要約によって、読者は、技術的開示内容の本質を迅速に把握可能となる。これは、特許請求の範囲またはその意味の解釈にも制限にも使用されないことを理解の上で提示するものである。
【0159】
また、この発明を実施するための形態においては、さまざまな特徴の一体化によって、開示内容を簡素化することも可能である。ただし、特許請求の範囲は、本明細書に開示のすべての特徴を示し得ない。複数の例によって、前記特徴の部分集合を特徴付けられるためである。さらに、複数の例に含む特徴は、特定の一例に開示の特徴よりも少なくなり得る。このため、以下の特許請求の範囲を、この発明を実施するための形態に援用するが、各請求項は、それ自体が別個の一例に基づく。本明細書に開示の例の範囲は、添付の特許請求の範囲が権利を有する同等物の全範囲と併せて、このような特許請求の範囲を参照することにより決定されるものとする。
【0160】
実施例1は、ハードウェア処理回路と、実行された場合に、地理的領域の動的特徴データの測定結果を受信すること、前記地理的領域の静的特徴を決定すること、複数のトレーニング期間にわたる複数の領域の前記動的特徴データおよび前記複数の領域の静的特徴の履歴測定結果を含むトレーニングデータに対してトレーニングされたモデルを用いて、規定の期間中の前記地理的領域における予測背景騒音音量を生成することであって、前記地理的領域が前記複数の領域に含まれず、前記規定の期間が前記複数のトレーニング期間の後に生じる、前記予測背景騒音音量を生成すること、を含む動作を実行するように前記ハードウェア処理回路を構成する命令を記憶した1つまたは複数のハードウェアメモリと、を備えたシステムである。
【0161】
実施例2では、実施例1の主題において任意で、前記予測背景騒音音量の生成が、前記規定の期間内の特定の時刻および特定の日付における背景騒音音量を予測し、前記動的特徴データの前記履歴測定結果が、当該履歴測定結果の時刻および日付と相関付けられている。
【0162】
実施例3では、実施例1および2のうちのいずれか1つ以上の主題において任意で、前記動作が、前記地理的領域における前記予測背景騒音音量に基づいて航空機のルートを決定することをさらに含む。
【0163】
実施例4では、実施例3の主題において任意で、前記動作が、前記モデルに基づいて、ある期間中の第1の領域における第1の背景騒音音量を予測すること、前記モデルに基づいて、前記期間中の第2の領域における第2の背景騒音音量を予測すること、前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定すること、および、前記判定に応答して、前記期間中に前記第1の領域を通るように前記航空機をルーティングすること、をさらに含む。
【0164】
実施例5では、実施例1~4のうちのいずれか1つ以上の主題において任意で、前記動作が、マップ中の複数の領域の各々ごとにモデルに基づいて当該各領域の予測背景騒音音量を生成すること、航空機の出発地および目的地を識別すること、前記出発地から前記目的地までの複数のルートを識別することであって、前記複数のルートの各々が前記マップ中の前記複数の領域のうちの少なくとも1つを含む、前記複数のルートを識別すること、前記複数のルートのうちの第1のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量を、前記複数のルートのうちの第2のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量と比較すること、前記比較に基づいて前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択すること、および、前記選択したルート上に航空機をルーティングすること、をさらに含む。
【0165】
実施例6では、実施例5の主題において任意で、前記動作が、前記第1のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約すること、および、前記第2のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約すること、をさらに含み、前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択することが、前記第1の集約および前記第2の集約に基づく。
【0166】
実施例7では、実施例5および6のうちのいずれか1つ以上の主題において任意で、前記動作が、前記選択したルートに沿う最小予測背景騒音音量を決定することと、前記最小予測背景騒音音量を騒音閾値と比較すること、および、前記最小予測背景騒音音量が前記騒音閾値を下回っていることに応答して、前記選択したルートに沿う前記航空機の高度が所定の高度を上回っていると判定すること、をさらに含む。
【0167】
実施例8は、実行された場合に、地理的領域の動的特徴データの測定結果を受信すること、前記地理的領域の静的特徴を決定すること、および、複数のトレーニング期間にわたる複数の領域の前記動的特徴データおよび前記複数の領域の前記静的特徴の履歴測定結果を含むトレーニングデータに対してトレーニングされたモデルを用いて、規定の期間中の前記地理的領域における予測背景騒音音量を生成することであって、前記地理的領域が前記複数の領域に含まれず、前記規定の期間が前記複数のトレーニング期間の後に生じる、前記予測背景騒音音量を生成すること、を含む動作を実行するようにハードウェア処理回路を構成する命令を備える非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。
【0168】
実施例9では、実施例8の主題において任意で、前記動作が、前記地理的領域における前記予測背景騒音音量に基づいて航空機のルートを決定することをさらに含む。
実施例10では、実施例9の主題において任意で、前記動作が、前記モデルに基づいて、ある期間中の第1の領域における第1の背景騒音音量を予測すること、前記モデルに基づいて、前記期間中の第2の領域における第2の背景騒音音量を予測すること、前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定すること、および、前記判定に応答して、前記期間中に前記第1の領域を通るように前記航空機をルーティングすること、をさらに含む。
【0169】
実施例11では、実施例8~10のうちのいずれか1つ以上の主題において任意で、前記動作が、マップ中の複数の領域の各々ごとにモデルに基づいて当該各領域の予測背景騒音音量を生成すること、航空機の出発地および目的地を識別すること、前記出発地から前記目的地までの複数のルートを識別することであって、前記複数のルートの各々が前記マップ中の前記複数の領域のうちの少なくとも1つを含む、前記複数のルートを識別すること、前記複数のルートのうちの第1のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量を、前記複数のルートのうちの第2のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量と比較すること、前記比較に基づいて前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択すること、および、前記選択したルート上に航空機をルーティングすること、をさらに含む。
【0170】
実施例12では、実施例11の主題において任意で、前記動作が、前記第1のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約すること、および、前記第2のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約することをさらに含み、前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択することが、前記第1の集約および前記第2の集約に基づく。
【0171】
実施例13では、実施例11および12のうちのいずれか1つ以上の主題において任意で、前記動作が、前記選択したルートに沿う最小予測背景騒音音量を決定すること、前記最小予測背景騒音音量を騒音閾値と比較すること、および、前記最小予測背景騒音音量が前記騒音閾値を下回っていることに応答して、前記選択したルートに沿う前記航空機の高度が所定の高度を上回っていると判定すること、をさらに含む。
【0172】
実施例14は、ハードウェア処理回路により実行される方法であって、地理的領域の動的特徴データの測定結果を受信すること、前記地理的領域の静的特徴を決定すること、および、複数のトレーニング期間にわたる複数の領域の前記動的特徴データおよび前記複数の領域の前記静的特徴の履歴測定結果を含むトレーニングデータに対してトレーニングされたモデルを用いて、規定の期間中の前記地理的領域における予測背景騒音音量を生成することであって、前記地理的領域が前記複数の領域に含まれず、前記規定の期間が前記複数のトレーニング期間の後に生じる、前記予測背景騒音音量を生成すること、を含む方法である。
【0173】
実施例15では、実施例14の主題において任意で、前記予測背景騒音音量の生成が、前記規定の期間内の特定の時刻および特定の日付における背景騒音音量を予測し、前記動的特徴データの前記履歴測定結果が、当該履歴測定結果の時刻および日付と相関付けられている。
【0174】
実施例16では、実施例14および15のうちのいずれか1つ以上の主題が任意で、前記地理的領域における前記予測背景騒音音量に基づいて航空機のルートを決定することを含む。
【0175】
実施例17では、実施例16の主題が任意で、前記モデルに基づいて、ある期間中の第1の領域における第1の背景騒音音量を予測すること、前記モデルに基づいて、前記期間中の第2の領域における第2の背景騒音音量を予測すること、前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定すること、および、前記判定に応答して、前記期間中に前記第1の領域を通るように前記航空機をルーティングすること、を含む。
【0176】
実施例18では、実施例14~17のうちのいずれか1つ以上の主題が任意で、マップ中の複数の領域の各々ごとにモデルに基づいて当該各領域の予測背景騒音音量を生成すること、航空機の出発地および目的地を識別すること、前記出発地から前記目的地までの複数のルートを識別することであって、前記複数のルートの各々が前記マップ中の前記複数の領域のうちの少なくとも1つを含む、前記複数のルートを識別すること、前記複数のルートのうちの第1のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量を、前記複数のルートのうちの第2のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量と比較すること、前記比較に基づいて前記第1のルートまたは前記第2のルートを選択すること、および、前記選択したルート上に航空機をルーティングすること、を含む。
【0177】
実施例19では、実施例18の主題が任意で、前記第1のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約すること、および、前記第2のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約することをさらに含み、前記第1のルートまたは第2のルートを選択することが前記第1の集約および前記第2の集約に基づく。
【0178】
実施例20では、実施例18および19のうちのいずれか1つ以上の主題が任意で、前記選択したルートに沿う最小予測背景騒音音量を決定すること、前記最小予測背景騒音音量を騒音閾値と比較することと、および、前記最小予測背景騒音音量が前記騒音閾値を下回っていることに応答して、前記選択したルートに沿う前記航空機の高度が所定の高度を上回っていると判定すること、を含む。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェア処理回路と、
実行された場合に、
地理的領域(700)(650)の動的特徴データ(214)(322)の測定結果を受信すること、
前記地理的領域(700)(650)の静的特徴(860)を決定すること
複数のトレーニング期間にわたる複数の領域の前記動的特徴データ(214)(322)および前記複数の領域の静的特徴(860)の履歴測定結果を含むトレーニングデータ(214)に対してトレーニングされたモデル(806)を用いて、規定の期間中の前記地理的領域(700)(650)における予測背景騒音音量を生成することであって、前記地理的領域(700)(650)が前記複数の領域に含まれず、前記規定の期間が前記複数のトレーニング期間の後に生じる、前記予測背景騒音音量を生成すること、および、
前記地理的領域(700)(650)における前記予測背景騒音音量に基づいて航空機(200)の選択ルートを決定すること、
を含む動作を実行するように前記ハードウェア処理回路を構成する命令(1424)(210)を記憶した1つまたは複数のハードウェアメモリと、
を備えたシステム。
【請求項2】
前記予測背景騒音音量の生成が、前記規定の期間内の特定の時刻および特定の日付における背景騒音音量を予測し、前記動的特徴データ(214)(322)の前記履歴測定結果が当該履歴測定結果の時刻および日付と相関付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記動作が、
前記モデル(806)に基づいて、ある期間中の第1の領域における第1の背景騒音音量を予測すること、
前記モデル(806)に基づいて、前記期間中の第2の領域における第2の背景騒音音量を予測すること、
前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定すること、および、
前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定したことに応答して、前記期間中に前記第1の領域を通るように前記航空機(200)をルーティングすること、
をさらに含む、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記動作が、
マップ(450)(400)中の複数の領域の各々ごとに前記モデル(806)に基づいて当該各領域の予測背景騒音音量を生成すること、
前記航空機(200)の出発地および目的地を識別すること、
前記出発地から前記目的地までの複数のルートを識別することであって、前記複数のルートの各々が前記マップ(450)(400)中の前記複数の領域のうちの少なくとも1つを含む、前記複数のルートを識別すること、
前記複数のルートのうちの第1のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量を、前記複数のルートのうちの第2のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量と比較すること、
前記比較に基づいて前記第1のルートまたは前記第2のルートを前記選択ルートとして選択すること、および、
前記選択したルート上に航空機(200)をルーティングすること、
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記動作が、
前記第1のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約することによって第1の集約を生成すること、および、
前記第2のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約することによって第2の集約を生成すること
をさらに含み、前記第1のルートまたは前記第2のルートを前記選択ルートとして選択することが、前記第1の集約および前記第2の集約に基づく、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記動作が、
前記選択したルートに沿う最小予測背景騒音音量を決定すること、
前記最小予測背景騒音音量を騒音閾値と比較すること、および、
前記最小予測背景騒音音量が前記騒音閾値を下回っていることに応答して、前記選択したルートに沿う前記航空機(200)の高度が所定の高度を上回っていると判定すること、
をさらに含む、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
実行された場合に、
地理的領域(700)(650)の動的特徴データ(214)(322)の測定結果を受信すること、
前記地理的領域(700)(650)の静的特徴(860)を決定すること
複数のトレーニング期間にわたる複数の領域の前記動的特徴データ(214)(322)および前記複数の領域の静的特徴(860)の履歴測定結果を含むトレーニングデータ(214)に対してトレーニングされたモデル(806)を用いて、規定の期間中の前記地理的領域(700)(650)における予測背景騒音音量を生成することであって、前記地理的領域(700)(650)が前記複数の領域に含まれず、前記規定の期間が前記複数のトレーニング期間の後に生じる、前記予測背景騒音音量を生成すること、および、
前記地理的領域(700)(650)における前記予測背景騒音音量に基づいて航空機(200)の選択ルートを決定すること、
を含む動作を実行するようにハードウェア処理回路を構成する命令(1424)(210)を備えるコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
前記動作が、
前記モデル(806)に基づいて、ある期間中の第1の領域における第1の背景騒音音量を予測すること、
前記モデル(806)に基づいて、前記期間中の第2の領域における第2の背景騒音音量を予測すること、
前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定すること、および、
前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定したことに応答して、前記期間中に前記第1の領域を通るように前記航空機(200)をルーティングすること、
をさらに含む、請求項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記動作が、
マップ(450)(400)中の複数の領域の各々ごとに前記モデル(806)に基づいて当該各領域の予測背景騒音音量を生成すること、
前記航空機(200)の出発地および目的地を識別すること、
前記出発地から前記目的地までの複数のルートを識別することであって、前記複数のルートの各々が前記マップ(450)(400)中の前記複数の領域のうちの少なくとも1つを含む、前記複数のルートを識別すること、
前記複数のルートのうちの第1のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量を、前記複数のルートのうちの第2のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量と比較すること、
前記比較に基づいて前記第1のルートまたは前記第2のルートを前記選択ルートとして選択すること、および、
前記選択したルート上に前記航空機(200)をルーティングすること、
をさらに含む、請求項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記動作が、
前記第1のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約することによって第1の集約を生成すること、および、
前記第2のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約することによって第2の集約を生成すること
をさらに含み、前記第1のルートまたは前記第2のルートを前記選択ルートとして選択することが、前記第1の集約および前記第2の集約に基づく、請求項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記動作が、
前記選択したルートに沿う最小予測背景騒音音量を決定すること、
前記最小予測背景騒音音量を騒音閾値と比較すること、および、
前記最小予測背景騒音音量が前記騒音閾値を下回っていることに応答して、前記選択したルートに沿う前記航空機(200)の高度が所定の高度を上回っていると判定すること、
をさらに含む、請求項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
ハードウェア処理回路により実行される方法であって、
地理的領域(700)(650)の動的特徴データ(214)(322)の測定結果を受信すること、
前記地理的領域(700)(650)の静的特徴(860)を決定すること
複数のトレーニング期間にわたる複数の領域の前記動的特徴データ(214)(322)および前記複数の領域の静的特徴(860)の履歴測定結果を含むトレーニングデータ(214)に対してトレーニングされたモデル(806)を用いて、規定の期間中の前記地理的領域(700)(650)における予測背景騒音音量を生成することであって、前記地理的領域(700)(650)が前記複数の領域に含まれず、前記規定の期間が前記複数のトレーニング期間の後に生じる、前記予測背景騒音音量を生成すること、および、
前記地理的領域(700)(650)における前記予測背景騒音音量に基づいて航空機(200)の選択ルートを決定すること、
を備える方法。
【請求項13】
前記予測背景騒音音量の生成が、前記規定の期間内の特定の時刻および特定の日付における背景騒音音量を予測し、前記動的特徴データ(214)(322)の前記履歴測定結果が当該履歴測定結果の時刻および日付と相関付けられている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記モデル(806)に基づいて、ある期間中の第1の領域における第1の背景騒音音量を予測すること、
前記モデル(806)に基づいて、前記期間中の第2の領域における第2の背景騒音音量を予測すること、
前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定すること、および、
前記第1の背景騒音音量が前記第2の背景騒音音量よりも高いと判定したことに応答して、前記期間中に前記第1の領域を通るように前記航空機(200)をルーティングすること、
をさらに備える請求項12に記載の方法。
【請求項15】
マップ(450)(400)中の複数の領域の各々ごとに前記モデル(806)に基づいて当該各領域の予測背景騒音音量を生成すること、
前記航空機(200)の出発地および目的地を識別すること、
前記出発地から前記目的地までの複数のルートを識別することであって、前記複数のルートの各々が前記マップ(450)(400)中の前記複数の領域のうちの少なくとも1つを含む、前記複数のルートを識別すること、
前記複数のルートのうちの第1のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量を、前記複数のルートのうちの第2のルートに含まれる前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域の前記予測背景騒音音量と比較すること、
前記比較に基づいて前記第1のルートまたは前記第2のルートを前記選択ルートとして選択すること、および、
前記選択したルート上に前記航空機(200)をルーティングすること、
をさらに備える請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約することによって第1の集約を生成すること、および、
前記第2のルートに含まれる領域の予測背景騒音音量を集約することによって第2の集約を生成すること
をさらに備え、前記第1のルートまたは前記第2のルートを前記選択ルートとして選択することが、前記第1の集約および前記第2の集約に基づく、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記選択したルートに沿う最小予測背景騒音音量を決定すること、
前記最小予測背景騒音音量を騒音閾値と比較すること、および、
前記最小予測背景騒音音量が前記騒音閾値を下回っていることに応答して、前記選択したルートに沿う前記航空機(200)の高度が所定の高度を上回っていると判定すること、
をさらに備える請求項15に記載の方法。
【国際調査報告】