(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(54)【発明の名称】吸入可能な薬剤を送給するための陽圧式吸入器及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 13/00 20060101AFI20220617BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
A61M13/00
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561849
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 US2020028872
(87)【国際公開番号】W WO2020215028
(87)【国際公開日】2020-10-22
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521322513
【氏名又は名称】ジョン グリーンフィールド
【氏名又は名称原語表記】GREENFIELD, Jon
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100226263
【氏名又は名称】中田 未来生
(72)【発明者】
【氏名】ジョン グリーンフィールド
(57)【要約】
本明細書で開示される実施形態は、エアロゾル化/気化した薬を陽圧下で既知量の空気中で患者の肺に送達するための陽圧式吸入器、及びそのような送達のために陽圧式吸入器を使用する方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の側壁を含む、既知の容積のポンプチャンバーと、
前記ポンプチャンバーの内部側壁に係合するピストンと、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブと、
前記ポンプチャンバーに操作可能に接続された流出バルブと、
前記流出バルブに動作可能に接続された患者送達ポートと、
を備え、
前記ピストンが、前記ポンプチャンバーの長さと同等、又はそれ以下の前記ピストンの移動距離を有するように構成されており、
前記ピストンの移動距離が既知の送出量を規定しており、
前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが1回目に移動する際に負圧が発生し、エアロゾル化/気化した薬が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバー内に引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬が生成されるように構成されており、
前記ポンプチャンバーとピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、前記患者吸入用の既知量のエアロゾル化/気化した薬が前記ピストンの動きによって変位し、前記患者による陽圧吸入のために前記流出バルブを介して前記患者送達ポートを介して排出されるように構成されている、
ことを特徴とすることを含む吸入可能な薬を患者に送達するための陽圧式吸入器。
【請求項2】
前記流入バルブが、マニホールドで構成されている、請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項3】
ホールディングチャンバーを更に備え、前記流入バルブが、前記ホールディングチャンバーに動作可能に接続されていることを特徴とする、
請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項4】
ハンドルを更に備え、前記ハンドルが、前記ピストンに取り付けられ、前記ハンドルが、前記患者送達ポートと前記ポンプチャンバーとの間に構成されていることを特徴とする。
請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項5】
エアロゾル化/気化した薬を前記陽圧式吸入器に導入するための流入ポートを更に備え、前記流入ポートが、前記流入バルブに動作可能に接続されていることを特徴とする。
請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項6】
前記流入ポートが、510スレッド気化器のマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、
前記流入ポートが、510スレッド気化器の前記マウスピースの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成される、
請求項5に記載の陽圧式吸入器。
【請求項7】
流入ポートが、正の定量吸入器(「pMDI」)のマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、
前記流入ポートが、pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するようにさらに構成されている、
請求項5に記載の陽圧式吸入器。
【請求項8】
流入バルブ一次流入ポートと、
流入ポート任意流入ポートと、
流入ポート流出ポート、及び
流入ポートバルブ部材と、
を備える流入ポートバルブを更に備え、
前記流入バルブ流出ポートが、前記ポンプチャンバー流入バルブに動作可能に接続されており、
前記流入バルブ一次流入ポートが、前記流入ポートに動作可能に接続されており、
前記流入ポートバルブ部材が、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にする第1の位置と、前記流入バルブ任意流入ポートからの流れを可能にする第2の位置との間で切り替わるように構成されており、
前記流入ポートが、エアロゾル化/気化した薬生成用医療機器の挿入を受け入れるように構成されており、
前記流入ポートが、前記流入ポートと前記生成用医療機器の流出部との間に概ね気密性の高い密封を形成するようにさらに構成されており、
流入ポートバルブ部材が、流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にするために前記第1の位置に作動させて、前記生成用医療機器によって生成されるエアロゾル化/気化した薬の第1の定義された量が負圧によって前記ポンプチャンバーに導入されるようにしてもよく、
さらに、前記流入ポートバルブ部材が、前記流入バルブ任意流入ポートからの流れを可能にするために、第2の位置に作動してもよい、
ことを特徴とする請求項5に記載の陽圧式吸入器
【請求項9】
前記流入バルブ任意流入ポートが、大気への開口部に動作可能に接続されており、第1の定義された量のエアロゾル化/気化した薬を希釈するために、第1の定義された量の空気が負圧によって前記ポンプチャンバーに導入されている、
請求項8に記載の陽圧式吸入器。
【請求項10】
前記流入バルブ任意流入ポートが、任意の医療機器に動作可能に接続されており、第1の定義された量のエアロゾル化/気化した薬を希釈するために、第2の量の気体が負圧によって前記ポンプチャンバーに導入されるようになっていることを特徴とする、
請求項8に記載の陽圧式吸入器。
【請求項11】
前記第2の量の気体が、治療用気体であることを含む、
請求項10に記載の陽圧式吸入器。
【請求項12】
治療用ガスが、純酸素であることを含む、
請求項11に記載の陽圧式吸入器。
【請求項13】
第2の量の気体が、第2のエアロゾル化/気化した薬である、
請求項10に記載の陽圧式吸入器。
【請求項14】
前記第2のエアロゾル化/気化した薬が、リドカインである、
請求項13に記載の陽圧式吸入器。
【請求項15】
前記生成用医療機器が、pMDIであり、前記流入ポートが、前記pMDIの前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されていること、及び
前記流入ポートが、前記pMDIの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するようにさらに構成されていること、
を備える請求項5に記載の陽圧式吸入器。
【請求項16】
前記生成用医療機器が、510スレッド気化器であり、前記流入ポートが、前記510スレッド気化器のマウスピースの挿入を受け入れるように構成されていること、及び
前記流入ポートが、前記510スレッド気化器の挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するようにさらに構成されていること、
を備える請求項5に記載の陽圧式吸入器。
【請求項17】
510スレッド気化器レストを更に備え、
前記510スレッド気化器レストが、前記510スレッド気化器の前記マウスピースの前記流入ポートへの挿入、及び前記バッテリー部の前記510スレッド気化器レストへの挿入の際に、前記バッテリー部の重量が、前記流入ポートと前記マウスピースとの間の概ね気密性の高い密封を維持するように、前記510スレッド気化器のバッテリー部を固定するように構成されている、
請求項16に記載の陽圧式吸入器。
【請求項18】
前記流入ポートバルブがボールバルブである、
請求項8に記載の陽圧式吸入器。
【請求項19】
チャンバーと、エアロゾル化/気化した薬生成用医療機器の挿入を受け入れるように構成された流入ポートとを含むホールディングチャンバーと、
を更に備え、
前記流入ポートが、前記流入ポートと前記生成用医療機器の流出ポートとの間に概ね気密性の高い密封を形成するようにさらに構成されていること、及び
前記ホールディングチャンバーが、前記流入バルブと動作可能に接続されている、
請求項1に記載の陽圧式吸入器
【請求項20】
前記生成用医療機器が、pMDIであり、前記生成用医療機器の流出ポートがpMDIのマウスピースである、
請求項19に記載の陽圧式吸入器。
【請求項21】
前記生成用医療機器が、510スレッド気化器であり、前記生成用医療機器の前記流出ポートが前記510スレッド気化器のマウスピースである、
請求項19に記載の陽圧式吸入器。
【請求項22】
前記ピストンが、前記ポンプチャンバーを第1のセクション及び第2のセクションに動作可能に分割することと、
前記流入バルブが、前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションに動作可能に接続されていることと、
前記流出バルブが、前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションに動作可能に接続されていることと、
前記ポンプチャンバーの第2のセクションに動作可能に接続された第2の流入バルブと、
前記ポンプチャンバーの第2のセクションと、前記患者送達ポートに動作可能に接続された第2の流出バルブとを備えていることと、
前記ポンプチャンバー、前記ピストン、前記流入バルブ、前記流出バルブ、前記第2の流入バルブ、及び前記第2の流出バルブは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、エアロゾル化/気化した薬が前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションから前記患者送達ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬の2回目の投与量が前記第2の流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの第2のセクションに吸入されるように、陽圧式吸入器が二重作用を有するように構成されていることを特徴とすること、
を更に備える請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項23】
前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが3回目に移動する際に、エアロゾル化/気化した薬の2回目の投与量が前記ポンプチャンバーの前記第2のセクションから前記患者送達ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬の3回目の投与量が流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションに吸入される、
請求項22に記載の陽圧式吸入器。
【請求項24】
前記ポンプチャンバーが、エアロゾル化/気化した薬を含んでいることを確認するために、前記ポンプチャンバーを見ることができる透明な観察窓、
を更に備える請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項25】
ピストンに動作可能に接続されたモータ、
を更に備え、
前記モータは、前記ピストンの前記1回目の移動を駆動するように構成されている、
請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項26】
流量インジケータを更に備える請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項27】
前記流量インジケータは、前記ピストンの移動速度を示す、
請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項28】
容積インジケータを更に備え、
前記容積インジケータは、前記ピストンの前記1回目の移動の間に前記ピストンが移動した距離を示す、
請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項29】
ポンプチャンバーに吸入されるエアロゾル化/気化した薬の量を制御するための調整可能な停止部、
を更に備える請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項30】
ポンプチャンバーの定義された部分がエアロゾル化/気化した薬で満たされたときにユーザに通知する通知装置、
を更に備える請求項29に記載の陽圧式吸入器。
【請求項31】
前記通知装置が音を発する、請求項30に記載の陽圧式吸入器。
【請求項32】
前記通知装置が光を発する、請求項30に記載の陽圧式吸入器。
【請求項33】
前記患者送達ポートが患者用マウスピースを備える、請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項34】
前記患者用マウスピースが取り外し可能である、請求項33に記載の陽圧式吸入器。
【請求項35】
患者がエアロゾル化/気化した薬を前記患者送達ポートを介して前記ポンプチャンバーに押し戻すことを防止するための一方向の吹き戻し防止バルブ、
を更に備える請求項1に記載の陽圧式吸入器。
【請求項36】
内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバーと、
前記ポンプチャンバーの前記内部側壁に係合するピストンと、
前記ポンプチャンバーに作動可能に接続された流入バルブと、
前記ポンプチャンバーに操作可能に接続された流出バルブと、
前記流出バルブに動作可能に接続された患者送達ポートと、
で構成されおり、
前記ピストンは、前記ポンプチャンバーの長さと同等、又はそれ以下の前記ピストンの移動距離を有するように構成されており、
前記ピストンの前記移動距離が既知の送出量を規定しており、
前記ポンプチャンバーと前記ピストンが、前記ポンプチャンバーを前記ピストンが前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが1回目に移動する際に、負圧が発生し、エアロゾル化/気化した薬が流入バルブを介してポンプチャンバー内に引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬を生成されるように構成されており、
前記ポンプチャンバーと前記ピストンが、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、患者の吸入用の既知量のエアロゾル化/気化した薬が前記ピストンの動きによって変位し、患者による陽圧吸入のために流出バルブを介して前記患者送達ポートから排出されるように構成されている、
陽圧式吸入器を選択するステップと、
医療機器を前記入力ポートに装着するステップと、
前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが1回目に移動する際に、負圧が発生し、エアロゾル化/気化した薬が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬を生成するステップと、
患者の唇を前記患者送達ポート上で閉じるステップと、
前記ピストンを前記ポンプチャンバー内で2回目に移動する際に、患者の吸入用の既知量のエアロゾル化/気化した薬が前記ピストンの動きによって変位し、既知量のエアロゾル化/気化した薬を流出バルブを介して前記患者送達ポートから排出するステップと、
陽圧下で既知量のエアロゾル化/気化した薬を患者に吸入させるステップと、
を含む、陽圧下で患者の肺に既知量のエアロゾル化/気化した薬を送達する方法。
【請求項37】
前記陽圧式吸入器は、ハンドルを更に備え、前記ハンドルは、前記ピストンに貼付され、前記ハンドルは、前記患者送達ポートと前記ポンプチャンバーとの間に構成されている、
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記陽圧式吸入器は、エアロゾル化/気化した薬を前記陽圧式吸入器に導入するための流入ポートを更に備え、
前記流入ポートが前記流入バルブに動作可能に接続されている、
請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記流入ポートが、510スレッド気化器のマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、
前記流入ポートは、510スレッド気化器のマウスピースの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成される、
請求項38に記載の方法。
【請求項40】
流入ポートが、正定量吸入器(「pMDI」)のマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、
前記流入ポートは、前記pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間に気密性の高い密封を形成するように更に構成される、
請求項38に記載の方法。
【請求項41】
流入バルブ一次流入ポートと、
流入バルブ任意流入ポートと、
流入ポート流出ポート、及び
流入ポートバルブ部材と、
を備える流入ポートバルブと、
前記流入バルブ流出ポートが、前記ポンプチャンバー流入バルブに動作可能に接続されていることと、
前記流入バルブ一次流入ポートが、前記流入ポートに動作可能に接続されており、
前記流入ポートバルブ部材が、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にする第1の位置と、前記流入バルブ任意流入ポートからの流れを可能にする第2の位置との間で切り替わるように構成されていることと、
前記流入ポートが、エアロゾル化/気化した薬生成用医療機器の挿入を受け入れるように構成されていることと、
前記流入ポートが、前記流入ポートと前記生成用医療機器の流出部との間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成されていることと、
前記流入ポートバルブ部材が、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にするために第1の位置に作動して、前記生成用医療機器によって生成される第1の定義された量のエアロゾル化/気化した薬が、負圧によって前記ポンプチャンバーに導入されるようにしてもよいことと、
を前記陽圧式吸入器が更に備え、
さらに、前記流入ポートバルブ部材が、前記流入バルブ任意流入ポートからの流れを可能にするために、第2の位置に作動されてもよいことと、
さらに、前記流入バルブ一次流入ポートと前記流入バルブ任意流入ポートとの間で選択するために、前記流入ポートバルブ部材を作動させることと、
を更に含む請求項38に記載の方法
【請求項42】
流入バルブ任意流入ポートが、大気への開口部に動作可能に接続され、第1の定義された量の空気を負圧によって前記ポンプチャンバーに導入して、前記第1の定義された量のエアロゾル化/気化した薬を希釈する、
請求項41に記載の方法。
【請求項43】
流入バルブ任意流入ポートが、任意の医療機器に動作可能に接続されており、第2の量の気体が負圧によって前記ポンプチャンバー内に導入されて、エアロゾル化/気化した薬の前記第1の定義された量を希釈する、
請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の量の気体は、治療用気体を含む、
請求項43に記載の方法。
【請求項45】
治療用ガスは、純酸素を含む、
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
第2の量の気体が、第2のエアロゾル化/気化した薬である、
請求項43の方法。
【請求項47】
第2のエアロゾル化/気化した薬が、リドカインである、
請求項46の方法。
【請求項48】
を含む、請求項38の方法。
前記生成用医療機器はpMDIであり、前記流入ポートが、前記pMDIの前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されていること、及び
前記流入ポートが、前記pMDIの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成されている、
請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記生成用医療機器が510スレッド気化器であり、前記流入ポートが、前記510スレッド気化器の前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されていること、及び
前記流入ポートが、前記510スレッド気化器の挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成されている、
請求項38に記載の方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法であって、陽圧式吸入器が、さらに
510スレッド気化器レストを備え、
前記510スレッド気化器レストは、前記510スレッド気化器の前記マウスピースの前記流入ポートへの挿入及びバッテリー部の前記510スレッド気化器レストへの挿入時に、前記バッテリー部の重量が、前記流入ポートと前記マウスピースとの間の概ね気密性の高い密封を維持するために支持するように、前記510スレッド気化器の前記バッテリー部が固定されるように更に構成されている、
請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記流入ポートバルブは、ボールバルブである、
請求項41に記載の方法。
【請求項52】
チャンバーと、
エアロゾル化/気化した薬生成用医療機器の挿入を受け入れるように構成された流入ポートと、
を備えるホールディングチャンバーと、
前記流入ポートが、前記流入ポートと前記生成用医療機器の流出ポートとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成されていること、及び
前記ホールディングチャンバーが、前記流入バルブに動作可能に接続されている、
を前記陽圧式吸入器が更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項53】
前記生成用医療機器は、pMDIであり、
前記生成用医療機器の前記流出ポートがpMDIのマウスピースである、
請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記生成用医療機器は、510スレッド気化器であり、
前記生成用医療機器の前記流出ポートが510スレッド気化器のマウスピースである、
請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記ピストンは、前記ポンプチャンバーを第1のセクションと第2のセクションとに動作可能に分割することと、
前記流入バルブが、前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションに動作可能に接続されていることと、
前記流出バルブが、前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションに動作可能に接続されていることと、
前記ポンプチャンバーの第2のセクションに動作可能に接続された第2の流入バルブと、
前記ポンプチャンバーの第2のセクションと前記患者送達ポートに動作可能に接続された第2の流出バルブとを備えていることと、
前記ポンプチャンバー、前記ピストン、前記流入バルブ、前記流出バルブ、前記第2の流入バルブ、及び前記第2の流出バルブは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、エアロゾル化/気化した薬が前記ポンプチャンバーの第1のセクションから前記患者送達ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬の第2の用量が前記第2の流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの第2のセクションに吸入されるように、陽圧式吸入器が二重作用を有するように構成されていることと、
を前記陽圧式吸入器が更に備える、請求項36に記載の方法。
【請求項56】
前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが3回目に移動する際に、エアロゾル化/気化した薬の前記2回目の投与量が前記ポンプチャンバーの前記第2のセクションから患者送達ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬の3回目の投与量が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションに吸入されること、
を前記陽圧式吸入器が更に備える、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
既知の容積を有するポンプチャンバーを選択するステップと
第1のエアロゾル化/気化した薬を、前記ポンプチャンバーの既知の容積内に分散させるステップと、
前記ポンプチャンバーを密閉することにより、前記ポンプチャンバーの既知の容積内に追加の空気が入るのを防ぎ、前記ポンプチャンバーの既知の容積内で前記第1のエアロゾル化/気化した薬を希釈させるステップと、
患者の空気通路を、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された患者送達ポートに動作可能に係合させるステップと、
陽圧を使用して、前記第1のエアロゾル化/気化した薬を前記ポンプチャンバーの既知の容積から前記患者送達ポートを介して排出させ、前記患者が息を吸う間に陽圧で前記第1のエアロゾル化/気化した薬を前記患者の空気通路及び前記患者の肺に送出するステップと、
を含む患者の呼吸を介して患者に薬を送達する方法。
【請求項58】
前記患者が複数回の呼吸を行うことで、前記第1のエアロゾル化/気化した薬を前記患者の空気通路及び前記患者の肺の中に送達するステップを完了する、
請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記患者送達ポートがマウスピースを含み、
前記動作可能に係合するステップは、前記患者に前記マウスピース上で前記患者の唇を閉じさせることを引き起こすステップを更に含む、
請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記患者送達ポートが、2つのプロングを有する鼻カニューレを含み、
前記動作可能に係合するステップは、前記患者に前記プロングを前記患者の鼻孔に挿入させることを引き起こすステップを更に含む、
請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記患者送達ポートがマスクを含み、
前記動作可能に係合するステップが、前記マスクで前記患者の鼻及び口を覆うステップを更に含む、
請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記第1のエアロゾル化/気化した薬を前記患者の空気通路に送達した後、前記患者が息を吐く前に、前記第1のエアロゾル化/気化した薬を前記患者の肺の中に深く押し込むために、陽圧で前記患者の気道に補助空気を送達するステップを更に含む、
請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記第1のエアロゾル化/気化した薬が、少なくとも2つの薬の混合物を含む、
請求項57に記載の方法。
【請求項64】
患者が前記第1のエアロゾル化/気化した薬を吐き出した後、第2のエアロゾル化/気化した薬を前記ポンプチャンバーの既知の容積内に分散させるステップと、
ポンプチャンバーを密閉することで、前記ポンプチャンバーの既知の容積内に追加の空気が入るのを防ぎ、既知の容積のポンプチャンバー内で前記第2のエアロゾル化/気化した薬を希釈させるステップと、
陽圧を使用して、前記第2のエアロゾル化/気化した薬を前記ポンプチャンバーの既知の容積から前記患者送達ポートを介して排出させ、前記患者が息を吸う間に陽圧で前記第2のエアロゾル化/気化した薬を前記患者の空気通路及び前記患者の肺に送出するステップと、
を含む請求項57に記載の方法。
【請求項65】
前記第2のエアロゾル化/気化した薬は、前記第1のエアロゾル化/気化した薬とは異なる、
請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第1のエアロゾル化/気化した薬が麻痺剤であり、
前記第2のエアロゾル化/気化した薬が肺用薬である、
請求項65に記載の方法。
【請求項67】
第1のエアロゾル化/気化した薬がリドカインであり、
第2のエアロゾル化/気化した薬がアルブテロールである、
請求項66に記載の方法。
【請求項68】
内部の側壁を含む既知の容積のポンプチャンバーと、
前記ポンプチャンバーの内部側壁に係合するピストンと、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブと、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブと、
前記流出バルブに動作可能に接続された患者送達ポートと、
前記ピストンが、前記ポンプチャンバーの長さと同等又はそれ以下の前記ピストンの移動距離を有するように構成されていることと、
前記ピストンの移動距離が既知の送出量を規定していることと、
前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが1回目に移動する際に、負圧が発生し、エアロゾル化/気化した薬が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬を生成するように構成されていることと、
前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、前記患者吸入用の前記既知量のエアロゾル化/気化した薬が前記ピストンの動きによって変位し、前記流出バルブを介して前記患者送達ポートから排出され、前記患者による陽圧吸入が行われるように構成されていることと、
を備える複数の陽圧式吸入器と、
複数の陽圧式吸入器が取り付けられた支持台と、
レシーババルブであって、
前記レシーババルブは、前記複数の陽圧式吸入器のそれぞれの前記患者送達ポートのそれぞれと気密に連通していることと、
捕捉容器であって、
前記レシーババルブが、前記捕捉容器と気密に連通しており、前記複数の前記陽圧式吸入器のそれぞれの前記ピストンのそれぞれが移動する際に、前記陽圧式吸入器のそれぞれの前記エアロゾル化/気化した薬が前記レシーババルブを通って前記捕捉容器内に排出されるように構成されていることと、
を備える容積テストベッドと、
を含むエアロゾル化/気化した薬の投薬量試験システム。
【請求項69】
前記レシーババルブが、前記捕捉容器に向かって偏った一方向バルブとして構成されている、
請求項68に記載のエアロゾル化/気化した薬の投薬量試験システム。
【請求項70】
前記捕捉容器は、膨張可能なバルーンを含む、
請求項68に記載のエアロゾル化/気化した薬の投薬量試験システム。
【請求項71】
前記捕捉容器は、閉鎖バルブを含み、前記閉鎖バルブは、閉じたときに前記陽圧式吸入器のそれぞれのエアロゾル化/気化した薬の脱出を防止し、更に、前記捕捉容器を前記レシーババルブとの気密通信から取り外すことができるようになっている、
請求項68のエアロゾル/気化器投薬量試験システム。
【請求項72】
内部の側壁を含む既知の容積のポンプチャンバーと、
前記ポンプチャンバーの内部側壁に係合するピストンと、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブと、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブと、
前記流出バルブに動作可能に接続された患者送達ポートと、
前記ピストンが、前記ポンプチャンバーの長さと同等又はそれ以下の前記ピストンの移動距離を有するように構成されていることと、
前記ピストンの移動距離が既知の送出量を規定していることと、
前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが1回目に移動する際に、負圧が発生し、エアロゾル化/気化した薬が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬を生成するように構成されていることと、
前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、前記患者吸入用の前記既知量のエアロゾル化/気化した薬が前記ピストンの動きによって変位し、前記流出バルブを介して前記患者送達ポートから排出され、前記患者による陽圧吸入が行われるように構成されていることと、
を備える複数の陽圧式吸入器と、
複数の陽圧式吸入器が取り付けられた支持台と、
レシーババルブであって、
前記レシーババルブは、前記複数の陽圧式吸入器のそれぞれの前記患者送達ポートのそれぞれと気密に連通していることと、
捕捉容器であって、
前記レシーババルブが、前記捕捉容器と気密に連通しており、前記複数の前記陽圧式吸入器のそれぞれの前記ピストンのそれぞれが移動する際に、前記陽圧式吸入器のそれぞれの前記エアロゾル化/気化した薬が前記レシーババルブを通って前記捕捉容器内に排出されるように構成されていることと、
を備える容積テストベッドと、
を含むエアロゾル化/気化した薬の投薬量試験システムを提供するステップと、
前記複数の陽圧式吸入器のそれぞれの複数の流入ポートに、同一の薬を備えた複数の同一の医療機器を接続するステップと、
それぞれの前記陽圧式吸入器の前記ピストンを移動させて、それぞれの前記陽圧式吸入器からエアロゾル化/気化した薬の第1の吸引サンプルを提供し、前記捕捉容器に収集するステップと、
前記捕捉容器を取り外し、前記複数の陽圧式吸入器の既知の容積及び前記複数の陽圧式吸入器の数に基づいて、単位体積当たりのエアロゾル化/気化した薬の濃度を分析するステップと、
を含むエアロゾル/気化した薬の投薬量を試験する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載された発明の実施形態は、一般に、吸入可能な薬物を送達するための治療装置及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者への任意の薬物の送達は、問題となり得る。患者への薬物の送達は、一般に、(a)静脈内、(b)呼吸器、(c)経口、(d)直腸、(e)経皮、(f)頬/口腔粘膜、及び(g)舌下を含む多数の送達経路のいずれか1つによって行うことができる。ほとんどの場合、最も効果的な薬の投与方法は静脈内注射である。静脈注射では、薬を投与するために点滴が必要である。薬は正確かつ即時に投与される。2番目に効果的な薬の投与方法は、呼吸器による投与である。通常、以下のような利点がある。(a)気道内で局所的に作用する、(b)薬物が迅速に作用する、(c)全身投与量が減少する、(e)全身の副作用が減少する、(f)2種類以上の薬物を同時に使用する場合に、薬物の相互作用を避けるための代替ルートとして使用できる、(g)肺胞の表面積が大きいため、胃腸管投与に比べて細胞外酵素レベルが低下すること、(h)吸収された薬物が最初に肝代謝されるため、薬物の解毒が減少すること、(i)全身に作用する物質を肺に投与できる可能性があること。
【0003】
一方、呼吸器系デリバリーの欠点は以下の通りである。(a)薬物が急速に除去されるため、活性の持続時間が短いこと、(b)薬物の半減期と解毒方法に依存して、効果を持続させるために頻繁な投与が必要であること、(c)肺への刺激と肺への長期的な損傷の可能性があること。
【0004】
バイオアベイラビリティとは、所望の効果を得るために利用可能な薬の量を示す指標である。薬は生体系に吸収されてから効果を発揮する。
【0005】
最も一般的な吸入薬は、喘息の治療に使用されるものである。吸入エアロゾル療法は、喘息及び同様の呼吸器系の問題に対する治療法として最も一般的に使用される方法である。病院内でのこのような治療のための最も一般的な装置は、一般的なネブライザーであり、病院外でのこのような治療のための最も一般的な装置は、加圧式定量吸入器(「pMDI」)である。(
図1従来技術参照)
【0006】
長年にわたって知られているpMDI送達システムの唯一の意味のある改良は、薬が最初にホールディングチャンバーに噴霧される呼吸ホールディングチャンバーの導入である。その後、患者は呼吸器チャンバーから吸入する。(
図2従来技術参照)
【0007】
呼吸送達のための現在の最新技術は、
図2の従来技術に示されるような呼吸ホールディングチャンバー/吸入チャンバーである。重大な欠点は、この吸入チャンバー装置の使用は、依然として患者が吸入することを必要とすることである。そのため、患者は自分の呼吸を制御する方法を学ばなければならず、薬の投与量及び薬の濃度は、チャンバーを使用する際の患者の専門知識に依存し、例えば、吸入量、速度及び深さの変動は、薬の投与量並びに送達の変動をもたらし、そのような薬を取り込むことができる肺胞の数にさらされる。チャンバーの使用には重大な欠点がある。患者の吸気努力が不十分な場合、薬の流れが変化する。患者の体格が小さい場合は、体格が大きい場合に比べて吸入量が少なくなる。従来技術のチャンバーの中には、吸気が正しい吸気率でない場合に音を出すものがあるが、これは指標としては不十分であり、患者が無視してしまう可能性がある。
【0008】
最近の研究(2018年)では、利用可能な吸入チャンバーの有効性を再吟味した。”吸入エアロゾル療法は、依然として喘息及びCOPDの効果的な治療の基礎となっている。薬物自体は過去数十年にわたって劇的に変化していないが、デリバリーデバイスは変化している。技術の進歩により、より効率的で使いやすい吸入器が開発されている。それにもかかわらず、間違った吸入方法は、吸入薬を使用する多くの人にとって大きな障害となっている。pMDIの使用に関して報告されている最も一般的なエラーは、作動と吸入の間の調整不足、冷たいスプレーが喉の奥に当たったときに吸入を止める、吸入後に十分な時間(5秒以上)息を止めない、作動前に息を吐かない、使用前に懸濁液を振らない、などである。最初の2つの課題に対して、バルブドホールディングチャンバー(以下、VHC)は明確な利点を与える。VHCを使用することで、ユーザはエアゾール薬の吸入を、チャンバーへの作動とVHCのマウスピースからの吸入の2段階で行うことができる。また、技術の進歩により、より効果的なVHCの開発が可能になった。現在では、帯電防止チャンバー、優れたバルブ、より効果的なフェイスマスクなど、意図した量の薬を投与するのに役立つ革新的な技術がある。VHCは、pMDIの肺への送達を改善し、口腔咽頭への沈着を減少させ、pMDIの作動と吸入を調整するという課題を克服するのに役立つことが証明されている。さらに、複数の機能(静電防止チャンバー、吸入インジケーター)を備えた新しいVHCは、喘息のコントロールを改善し、増悪率を低下させ、生活の質を向上させることが報告されている。VHCはすべて同じではなく、また、互換性もない。ユーザが一貫して吸入器を使用できるようにするためには、継続的な教育が重要である。”呼吸器疾患患者の吸入薬投与の最適化:バルブ付きホールディングチャンバーの役割、 Can Respir J.2018;2018:5076259.オンラインで2018年4月4日公開。doi:10.1155/2018/5076259。
【0009】
別の研究では、(マリファナ喫煙:パフ量と息止め発作の変化の影響、JPET 272:560-569、1995)では、被験者は、制御された吸入量を達成するために、コンピュータトレーニングを受けた。この研究では、”予想通り、パフ量を操作してマリファナの用量を変化させると、COブースト、血漿中THC濃度、主観的報告に線形変化が生じた”ことがわかった。さらに、パフボリュームの累積効果が見られた。パフの総量は、患者に投与されたTHCの量に相当する。THCは薬なので、この研究は、エアロゾル化又は気化した薬の送達は、薬の量と濃度に依存していることを示している。
【0010】
病院では、薬の送達はしばしば異なる。吸入した薬の送達システムは様々である。肺疾患のある患者の場合、エアロゾル装置を呼吸器に取り付け、エアロゾル化した薬をマウスピース(マスク、挿管器、鼻カニューレ)を介して呼吸器に送り込み、呼吸器から吸入する。人工呼吸器は、患者が挿管されている場合、陽圧をかけてエアロゾル物質を肺に押し込み。しかし、患者が挿管されていない場合は、エアロゾル化された薬は空気の流入と混合される。薬の量は、空気量ではなく、エアゾール機構に入れられて空気流に送り込まれる液体の量で測定される。このように、他の既知のデバイスで発生する空気や薬の漏れのため、呼吸器系の薬を提供する唯一の真に正確な現在の方法は、挿管によって行われる。
【0011】
医療用大麻は、米国の多くの州や、カナダなどの多くの国で承認されている。また、娯楽用の大麻もいくつかの州や他国で承認されている。
【0012】
一般的にマリファナとして知られている大麻は、サティバ、インディカ、ルデラリスという3つの種、又は亜種を含む顕花植物である。この植物は、中央アジアとインド亜大陸の原産である。大麻は、古くから麻の繊維、油、薬用、娯楽用として利用されてきた。大麻植物は、カンナビノイドと呼ばれる化学物質群を生成する。これらの化合物の大部分は、大麻の雌株の花の萼や苞に多く見られる腺状の三叉路から分泌される。大麻を薬用や娯楽用に使用する場合、花芽や葉の部分を乾燥させたものや、樹脂、抽出したオイルやワックスなど、様々な方法で摂取することができる。
【0013】
最もよく知られているカンナビノイドはテトラヒドロカンナビノールで、しばしば「THC」と略される。THCの化学式はC21H30O2で、次のような化学構造を持っている。
【化1】
【0014】
THCは、大麻に含まれる主要な精神活性成分として広く認識されている。THCは、水への溶解度は非常に低いが、ほとんどの有機溶媒、特に脂質とアルコールにはよく溶解する。
【0015】
大麻植物は他にも何百ものカンナビノイド、テルペノイド、その他の化合物を生成するが、これらの化合物の同定、研究、分類はまだ始まったばかりである。医療効果があると一般に認められているカンナビノイドの1つがカンナビジオール(「CBD」)である。CBDはTHCに次ぐカンナビノイドの主成分であり、抽出物中に最大40%含まれている。CBDは、THCと比較して、健康な人には精神作用がなく、てんかん、多発性硬化症の痙攣、不安障害、双極性障害、統合失調症、吐き気、痙攣、炎症などのほか、がん細胞の増殖を抑制するなど、THCよりも広い範囲で医療に応用できる可能性がある。
【0016】
また、多くの研究者は、大麻に含まれる他のカンナビノイド、テルペノイド、その他の化合物の多くが、重要な健康上の利益をもたらす可能性、又は特定の人間の病気を治療することができる可能性があると考えている。
【0017】
20世紀初頭、世界のほとんどの地域で、大麻を栽培したり所持したりすることは違法となった。しかし、ここ10年以内に、いくつかの州や国では、医療目的での大麻の栽培、所持、使用を合法化し始めている。現在、米国の多くの州では医療用大麻の使用が非犯罪化又は合法化されている。大麻は、化学療法時の吐き気や嘔吐の軽減、HIV/AIDS患者の食欲増進、慢性疼痛の治療、筋肉の痙攣の改善などに使用されている。その他の医療用途としては、多発性硬化症、AIDS消耗症候群、てんかん、関節リウマチ、緑内障、PTSD、うつ病、全般性不安症の治療などが考えられるが、議論の余地がある。
【0018】
さらに、過去5年以内に、米国のいくつかの州では、娯楽目的での大麻の栽培、所持、使用を合法化又は非犯罪化している。そのため、多くの専門家は、医療目的と娯楽目的の両方で大麻の消費が今後数年間で増加すると推定している。
【0019】
医療目的又は娯楽目的で大麻を消費するための一般的な方法の1つは、「ベイプペン」又は「電子タバコ」若しくは「E-CIG」と呼ばれることもある気化器を使用することである。バルーン吸入器のような他の気化器も存在し、気化した大麻を消費するために使用される。一般に、気化器は熱を利用して、抽出された大麻油又は他の大麻製品と、プロピレングリコール若しくは植物性グリセリンなどの他のキャリア化合物との混合物を気化させる。
【0020】
ある記事によると「気化器は、約200℃でカンナビノイド酸を脱炭酸し、中性の揮発性カンナビノイドを放出し、そのカンナビノイドは蒸気からの肺吸収によって全身循環に入る。非熱分解的に気化させることで、タール、多環芳香族炭化水素(PAH)、一酸化炭素、その他の発がん物質(ベンゼンなど)といった有害な燃焼生成物の発生を回避することができる。Gieringer氏と共同研究者は、喫煙と比較した大麻の気化の利点を実証し、燃焼生成物の形成がほぼ完全に抑制されることを示した。」公開日:2016年1月19日 https://doi.org/10.1371/journal.pone.0147286。
【0021】
医師は、医療用大麻と娯楽用大麻の両方の使用について、患者を指導するよう求められている。多くの医師は、患者を助けるために困り果てている。医師は、用量と回数で薬を処方するように訓練されている。例えば、「100mgの錠剤を1日3回服用してください」というのは、薬の典型的な処方の仕方である。前述の吸入器の場合、患者は症状に応じて1日2回又は3回、2回の吸入を行うように指示される。しかし、上記のような吸入器や患者の技術の問題から、患者に投与される薬の量は一定ではなく、現在のところ、吸入されたマリファナ蒸気の量を正確に測定する方法はない。実際、本明細書で述べた従来技術のpMDIおよびホールディングチャンバー装置の問題点を考慮すると、他のほとんどの吸入薬についても確実で正確な投与方法は存在しない。
【0022】
医療用大麻は、経口製剤で提供される。吸収性は悪く、変動する。
【0023】
マリノールTM(ドロナビノール)のようなTHCの現在の経口製剤、及びエピディオレックスTMのようなCBDの現在の経口製剤は、これらの化合物の合成バージョンを使用している。その結果、天然の大麻を完全に模倣することができず、使用による合併症の発生率が天然の大麻よりも高いという問題が発生している。
【0024】
https://b2b.gocaliva.com/the-rise-of-disposable-marijuana-ベイプ-pens-in-california/ によると、「州全体の大麻消費者は、大麻エキスの杖を熱烈に受け入れており、娯楽用大麻を合法化している他のどの州よりも多くの市場シェアを占めている。大麻市場調査会社のBDSアナリティクスによると、2018年第1四半期、ベイプの売上はゴールデンステートトコンセントレート市場全体の80%を占めた。」
【0025】
最近の記事では、「エアロゾル化したTHC-CBD溶液の肺への送達は、静脈注射製剤と同様の良好な薬物動態特性を示している。気道の刺激や咳を防ぐために局所麻酔薬を加えることが推奨され、その結果バイオアベイラビリティが低下する。精神作用が無視できるほど小さいのは、抗精神病薬であるCBDやTHCの投与量が少ないこと、そして精神活性代謝物である11-OH-THCの生成が少ないことに起因すると考えられる。したがって、pMDIを介した吸入は、経口投与ルートの代替であり、医療用カンナビノイドを確実かつ安全に適用するための選択肢となる。”メッド大麻カンナビノイド2018;1:36-43 https://doi.org/10.1159/000489034
【0026】
吸入フェンタニルは20.5秒以内に作用し、フェンタニルの静脈内投与よりもわずかに速い。点滴を必要とせず、負傷した被害者が呼吸している限り、すぐに投与することができる。フェンタニルの筋肉内注射の効果の発現は、注射後5分から30分である。ショック状態の患者は、ショックで末梢血流が低下しているため、薬の吸収が遅くなる。簡単な吸入ですぐに投与できるように装填したキャニスターを用意する必要があり、これは緊急医療チームとその患者にとって有益である。
【0027】
エピディオレックスは、特定の発作性疾患を治療するための新しいCBD医薬品である。これは、経口懸濁液によって1日2回投与される。
図3(従来技術)は、エピディオレックスによるCBDの血中濃度の経時変化を示すグラフである。一般的に、最大濃度になるまでに4時間かかる。12時間後には血漿中の濃度はほとんどゼロになり、明らかに治療範囲外となる。
【0028】
ドロナビノールは合成THC薬で、内服液又はカプセルで提供される。
図4(従来技術)は、ドロナビノールの2つの異なる投薬形態によるTHCの血中濃度の経時的なグラフである。
【0029】
図5(従来技術)は、THCを3.55%含む1本の大麻たばこを吸っている間の、様々なカンナビノイドの血漿平均濃度(mg/ml)の経時変化を示す従来技術のグラフであり、矢印は大麻たばこの1回の吸入又はパフを示している。
【0030】
図6(従来技術)は、経口投与後のヒト脳内CBDの平均濃度(ng/g)の経時変化を示す従来技術グラフである。
【0031】
図7(従来技術)は、吸入(ベイピング)による投与後の、ヒトの脳内CBDの平均濃度(ng/g)の経時的な従来技術のグラフである。
【0032】
一般に、ベイピング後、THC(およびCBDも)の血漿濃度は6分で最大強度に達し、22分後に低下する。エピディオレックスにベイピングしたCBDを加えることで、経口薬の投与量を減らすことができ、より持続的な血漿濃度を得ることができる。これにより、副作用が軽減され、治療に天然のCBDが加わり、有効性が増すことになる。肝心なのは、ベイプしたTHCやCBDを正確に投与できるようにすることである。
【0033】
クオラテックスハンドヘルドエアインフレーター-ダブルアクションバルーンポンプなど、おもちゃの風船を膨らませるために利用できる様々なポンプがある。これらのポンプの構造は、医療機器の品質要件を満たすため、又は本明細書に記載された目的を達成するためには適切ではないが、陽圧式吸入器の目標及び目的を達成するために、本明細書に開示されているように修正、適応、及び改良することができる。これらの従来技術の装置は、本発明者によるプロトタイプ、又は概念実証の装置を構築するために使用されてきた。これらのバルーンポンプは、一般に、ポンプの一端にある吸気システムと、ポンプの吸気部分にすぐ隣接するチャンバーから空気を送り込むプランジングシステムとを有する。しかし、空気の流れはうまく制御できない。ポンプの構成は、チャンバーへの空気と薬の流入、及び薬の混合物の流出を正確に制御できるように設計される必要がある。
【0034】
したがって、上述した従来技術の装置の問題及び欠点に対処し、投与量並びに肺への薬物送達の確実性を向上させる、医療用大麻を含むがこれに限定されない吸入薬で使用するための改良された吸入装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0035】
本発明の実施形態は、上述のニーズに対処し、投与量の確実性、及び肺への薬物送達を改善するために、陽圧、及び既知量の空気、並びに既知の濃度の薬物を使用して、エアロゾル化された薬物を患者に送達するための装置、並びに使用方法に関するものである。開示された実施形態は、閉じたチャンバー内の既知量の空気に、既知の量のエアロゾル化、又は気化した薬、若しくは他の化学物質を加えるという概念を実装した装置を扱っている。前記量の空気は、次に、患者の肺に既知の量の薬を提供する陽圧で吸入される。
【0036】
本発明の陽圧式吸入器の様々な実施形態は、いくつかの特徴を有しており、そのうちの1つがその望ましい特性に単独で責任を負うものではない。後続の特許請求の範囲によって表現される本実施形態の範囲を制限することなく、それらのより顕著な特徴が今、簡単に論じられる。この検討を考慮した後、特に「発明を実施するための形態」と題されたセクションを読んだ後、本実施形態の特徴が、背景で検討された問題をどのように解決し、本明細書に記載される利点を提供するか理解するであろう。
【0037】
第1の態様では、患者に吸入可能な薬を送達するための陽圧式吸入器が提供され、この陽圧式吸入器は、内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバーと、前記ポンプチャンバーの内部側壁に係合するピストンと、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブと、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブと、前記流出バルブに動作可能に接続された患者送達ポートと、を含む。前記ピストンは、ポンプチャンバーの長さと同等、又はそれ以下の前記ピストンの移動距離を有するように構成されている。前記ピストンの移動距離が既知の送出量を規定しており、前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ピストンが前記ポンプチャンバーを1回目に移動する際に負圧が発生し、エアロゾル化/気化した薬が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入する既知量のエアロゾル化/気化した薬を生成するように構成されている。前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、前記患者吸入用の既知量のエアロゾル化/気化した薬が前記ピストンの動きによって変位し、前記患者による陽圧吸入のために前記流出バルブを介して前記患者送達ポートを介して排出されるように構成されていることを特徴とする。
【0038】
第1の態様の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、ハンドルも有し、前記ハンドルは、前記ピストンに貼り付けられ、前記ハンドルは、前記患者送達ポートと前記ポンプチャンバーとの間に構成されている。
【0039】
第1の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、エアロゾル化/気化した薬を前記陽圧式吸入器に導入するための流入ポートも有し、前記流入ポートは、前記流入バルブに動作可能に接続される。
【0040】
第1の態様の別の実施形態において、前記流入ポートは、510スレッド気化器のマウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、前記流入ポートは、前記510スレッド気化器のマウスピースの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成されている。
【0041】
第1の態様の別の実施形態において、前記流入ポートは、正の定量吸入器(「pMDI」)のマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、前記流入ポートは、pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するようにさらに構成される。
【0042】
第1の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、流入バルブ一次流入ポート、流入バルブ任意流入ポート、前記流入バルブ流出ポート、及び流入ポートバルブ部材を含む流入ポートバルブをも含む。前記流入バルブ流出ポートは、前記ポンプチャンバー流入バルブに動作可能に接続されており、前記流入バルブ一次流入ポートが前記流入ポートに動作可能に接続されている。前記流入ポートバルブ部材が、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にする第1の位置と、前記流入バルブ任意流入ポートからの流れを可能にする第2の位置との間で切り替わるように構成されており、前記流入ポートが、エアロゾル化/気化した薬生成用医療機器の挿入を受け入れるように構成されており、前記流入ポートが、前記流入ポートと前記生成用医療機器の流出部との間に概ね気密性の高い密封を形成するようにさらに構成されている。それによって、前記流入ポートバルブ部材は、流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にするために前記第1の位置に作動させて、前記生成用医療機器によって生成されるエアロゾル化/気化した薬の第1の定義された量が負圧によって前記ポンプチャンバーに導入されるようにしてもよい。さらにそれによって、前記流入ポートバルブ部材は、流入バルブ任意流入ポートからの流れを可能にするために前記第2の位置に作動されてもよい。
【0043】
第1の態様の別の実施形態では、前記流入バルブ任意流入ポートは、大気への開口部に動作可能に接続されており、これにより、エアロゾル化/気化した薬の第1の定義された量を希釈するために、前記第1の定義された量の空気が負圧によって前記ポンプチャンバー内に導入されてもよい。
【0044】
第1の態様の別の実施形態では、前記流入バルブ任意流入ポートは、一任医療機器に動作可能に接続されており、エアロゾル化/気化した薬の前記第1の定義された量を希釈するために、第2の量の気体が負圧によって前記ポンプチャンバー内に導入されてもよい。
【0045】
第1の態様の別の実施形態において、前記第2の量の気体が治療用気体であることを含む。
【0046】
第1の態様の別の実施形態において、治療用ガスは、純酸素であることを含む。。
【0047】
第1の態様の別の実施形態において、前記第2の量の気体は、第2のエアロゾル化/気化した薬である。
【0048】
第1の態様の別の実施形態において、前記第2のエアロゾル化/気化した薬物は、リドカインである。
【0049】
第1の態様の別の実施形態において、前記生成用医療機器はpMDIであり、流入ポートはpMDIの前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、前記流入ポートは更に、前記pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように構成されている。
【0050】
第1の態様の別の実施形態では、前記生成用医療機器は510スレッド気化器であり、前記流入ポートは、前記510スレッド気化器の前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成され、前記流入ポートは、前記510スレッド気化器の挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するようにさらに構成される。
【0051】
第1の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、510スレッド気化器レストも含み、前記510スレッド気化器レストは、前記510スレッド気化器の前記マウスピースの前記流入ポートへの挿入、及びバッテリー部の前記510スレッド気化器レストへの挿入の際に、前記バッテリー部の重量が前記流入ポートと前記マウスピースとの間の概ね気密性の高い密封を維持するように、前記510スレッド気化器のバッテリー部を固定するように構成される。
【0052】
第1の態様の別の実施形態では、前記流入ポートバルブは、ボールバルブである。
【0053】
第1の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、チャンバーと、エアロゾル化/気化した薬の生成のための医療機器の挿入を受け入れるように構成された流入ポートとを含むホールディングチャンバーも含み、前記流入ポートは、前記流入ポートと生成用医療機器の流出ポートとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成され、前記ホールディングチャンバーは、前記流入バルブと動作可能に接続され、同じ気密に属している。
【0054】
第1の態様の別の実施形態では、前記生成用医療機器はpMDIであり、前記生成用医療機器の前記流出ポートはpMDIのマウスピースである。
【0055】
第1の態様の別の実施形態では、前記生成用医療機器は、510スレッド気化器であり、前記生成用医療機器の前記流出ポートは、前記510スレッド気化器のマウスピースである。
【0056】
第1の態様の別の実施形態において、前記ピストンは、前記ポンプチャンバーを第1のセクション及び第2のセクションに動作可能に分割し、前記流入バルブは、ポンプチャンバーの第1のセクションに動作可能に接続され、前記流出バルブは、前記ポンプチャンバーの第1のセクションに動作可能に接続される。前記陽圧式吸入器はまた、前記ポンプチャンバーの第2のセクションに動作可能に接続された第2の流入バルブと、前記ポンプチャンバーの第2のセクション、及び前記患者送達ポートに動作可能に接続された第2の流出バルブとを含む。そして、前記ポンプチャンバー、前記ピストン、前記流入バルブ、前記流出バルブ、前記第2の流入バルブ、及び前記第2の流出バルブは、前記陽圧式吸入器が、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、エアロゾル化/気化した薬がポンプチャンバーの前記第1のセクションから前記患者送達ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬の第2の用量が前記第2の流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの第2のセクションに吸入されるように、二重作用を有するように構成されている。
【0057】
第1の態様の別の実施形態では、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが3回目に移動する際に、エアロゾル化/気化した薬の2回目の投与量が前記ポンプチャンバーの前記第2のセクションから患者送達ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬の3回目の投与量が流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションに吸入される。
【0058】
第1の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、前記ポンプチャンバーがエアロゾル化/気化した薬を含んでいることを確認するために、前記ポンプチャンバーを見ることを可能にする透明な観察窓も有する。
【0059】
第1の態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、前記ピストンに動作可能に接続されたモータも有し、前記モータは、前記ピストンの前記1回目の移動を駆動するように構成されている。
【0060】
第1の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、流量インジケータも有する。
【0061】
第1の態様の別の実施形態において、前記流量インジケータは、前記ピストンの移動速度を示す。
【0062】
第1の態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、容積インジケータも有しており、前記容積インジケータは、前記ピストンの前記第1の移動中に前記ピストンが移動した距離を示す。
【0063】
第1の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、ポンプチャンバーに吸入されるエアロゾル化/気化した薬の量を制御するための調整可能な停止部も有する。
【0064】
第1の態様の別の実施形態では、陽圧式吸入器は、前記ポンプチャンバーの定義された部分がエアロゾル化/気化した薬で満たされたときにユーザに通知する通知装置も有する。
【0065】
第1の態様の別の実施形態において、前記通知装置は、音を発する。
【0066】
第1の態様の別の実施形態において、前記通知装置は、光を発する。
【0067】
第1の態様の別の実施形態では、前記患者送達ポートは、患者用マウスピースを備える。
【0068】
第1の態様の別の実施形態において、前記患者マウスピースは、取り外し可能である。
【0069】
第1の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、患者がエアロゾル化/気化した薬を前記患者送達ポートを介して前記ポンプチャンバー内に押し戻すことを防止するための一方向の吹き戻し防止バルブも有する。
【0070】
第2の態様では、陽圧下で患者の肺に既知量のエアロゾル化/気化した薬を送達する方法が提供され、この方法は、内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバーと、前記ポンプチャンバーの前記内部側壁に係合するピストンと、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブと、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブと、流出バルブに動作可能に接続された患者送達ポートとを含む陽圧式吸入器を選択するステップを含む。この選択は、前記ピストンが、前記ポンプチャンバーの長さと同等、又はそれ以下のピストンの移動距離を有するように構成されており、前記ピストンの移動距離が既知の送出量を規定しており、前記ポンプチャンバーと前記ピストンが、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが1回目に移動する際に、負圧が発生し、エアロゾル化/気化した薬が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬を生成するように構成されており、前記ポンプチャンバーと前記ピストンが、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、患者の吸入用の既知量のエアロゾル化/気化した薬が前記ピストンの動きによって変位し、患者による陽圧吸入のために流出バルブを介して前記患者送達ポートから排出されるように構成されていることを含む。この方法は、医療機器を前記入力ポートに装着するステップと、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが1回目に移動する際に、負圧が発生し、エアロゾル化/気化した薬が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬を生成するステップと、患者の唇を前記患者送達ポート上で閉じるステップと、前記ピストンを前記ポンプチャンバー内で2回目に移動する際に、既知量のエアロゾル化/気化した薬が前記ピストンの動きによって変位し、既知量のエアロゾル化/気化した薬を流出バルブを介して前記患者送達ポートから排出するステップと、陽圧下で既知量のエアロゾル化/気化した薬を患者に吸入させるステップとを含む。
【0071】
第2の態様の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、ハンドルを更に備え、前記ハンドルは、前記ピストンに貼付され、前記ハンドルは、前記患者送達ポートと前記ポンプチャンバーとの間に構成されている。
【0072】
第2の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、エアロゾル化/気化した薬を前記陽圧式吸入器に導入するための流入ポートも有し、前記流入ポートは、流入バルブに動作可能に接続される。
【0073】
第2の態様の別の実施形態では、前記流入ポートは、510スレッド気化器のマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、前記流入ポートは、510スレッド気化器のマウスピースの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成される。
【0074】
第2の態様の別の実施形態において、前記流入ポートは、正定量吸入器(「pMDI」)のマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、前記流入ポートは、前記pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するようにさらに構成される。
【0075】
第2の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、流入バルブ一次流入ポート、流入バルブ任意流入ポート、流入バルブ流出ポート、及び流入ポートバルブ部材を含む流入ポートバルブをも有する。前記流入バルブ流出ポートは、前記ポンプチャンバー流入バルブに動作可能に接続される。前記流入バルブ一次流入ポートは、前記流入ポートに動作可能に接続される。前記流入ポートバルブ部材が、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にする第1の位置と、前記流入バルブ任意流入ポートからの流れを可能にする第2の位置との間で切り替わるように構成されており、前記流入ポートが、エアロゾル化/気化した薬生成用医療機器の挿入を受け入れるように構成されている。前記流入ポートは、前記流入ポートと前記生成用医療機器の流出部との間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成されており、前記流入ポートバルブ部材が、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にするために第1の位置に作動して、前記生成用医療機器によって生成される第1の定義された量のエアロゾル化/気化した薬が、負圧によって前記ポンプチャンバーに導入されるようにしてもよい。さらに、本方法は、前記流入バルブ任意流入ポートからの流れを可能にするために、流入ポートバルブ部材が第2の位置に作動されてもよく、前記流入バルブ一次流入ポートと前記流入バルブ任意流入ポートとの間で選択するために、前記流入ポートバルブ部材を作動させることも含む。
【0076】
第2の態様の別の実施形態では、前記流入バルブ任意流入ポートは、大気への開口部に動作可能に接続されており、第1の定義された量の空気を負圧によって前記ポンプチャンバーに導入して、前記第1の定義された量のエアロゾル化/気化した薬を希釈するようにしてもよい。
【0077】
第2の態様の別の実施形態では、前記流入バルブ任意流入ポートは、任意の医療機器に動作可能に接続されており、第2の量の気体が負圧によって前記ポンプチャンバー内に導入されて、エアロゾル化/気化した薬の前記第1の定義された量を希釈するようにしもよい。
【0078】
第2の態様の別の実施形態では、前記第2の量の気体は、治療用気体を含む。
【0079】
第2の態様の別の実施形態において、治療用ガスは、純酸素を含む。
【0080】
第2の態様の別の実施形態では、前記第2の量の気体は、第2のエアロゾル化/気化した薬である。
【0081】
第2の態様の別の実施形態では、前記第2のエアロゾル化/気化した薬物は、リドカインである。
【0082】
第2の態様の別の実施形態において、前記生成用医療機器はpMDIであり、前記流入ポートは、前記pMDIの前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成され、前記流入ポートは更に、前記pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように構成される。
【0083】
第2の態様の別の実施形態では、前記生成用医療機器は、510スレッド気化器であり、前記流入ポートは、前記510スレッド気化器の前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成され、前記流入ポートは、前記510スレッド気化器の挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成される。
【0084】
第2の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、510スレッド気化器レストも有し、前記510スレッド気化器レストは、前記510スレッド気化器の前記マウスピースの前記流入ポートへの挿入及びバッテリー部の前記510スレッド気化器レストへの挿入時に、前記バッテリー部の重量が、前記流入ポートと前記マウスピースとの間の概ね気密性の高い密封を維持するために支持するように、前記510スレッド気化器の前記バッテリー部が固定されるように更に構成されている。
【0085】
第2の態様の別の実施形態では、前記流入ポートバルブは、ボールバルブである。
【0086】
第2の態様の別の実施形態では、前記陽圧式吸入器は、チャンバーと、エアロゾル化/気化した薬生成用医療機器の挿入を受け入れるように構成された流入ポートとを含むホールディングチャンバーも有し、前記流入ポートは、前記流入ポートと前記生成用医療機器の流出ポートとの間に概ね気密性の高い密封を形成するように更に構成され、前記ホールディングチャンバーは、前記流入バルブに動作可能に接続される。
【0087】
第2の態様の別の実施形態では、前記生成用医療機器はpMDIであり、前記生成用医療機器の前記流出ポートは前記pMDIのマウスピースである。
【0088】
第2の態様の別の実施形態では、前記生成用医療機器は510スレッド気化器であり、生成用前記医療機器の前記流出ポートは前記510スレッド気化器のマウスピースである。
【0089】
第2の態様の別の実施形態において、前記ピストンは、前記ポンプチャンバーを第1のセクションと第2のセクションとに動作可能に分割し、前記流入バルブは、ポンプチャンバーの前記第1のセクションに動作可能に接続される。前記流出バルブは、前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションに動作可能に接続され、前記ポンプチャンバーの第2のセクションに動作可能に接続された第2の流入バルブと、前記ポンプチャンバーの前記第2のセクションに動作可能に接続された第2の流出バルブと、前記患者送達ポートとを有する。前記ポンプチャンバー、前記ピストン、前記流入バルブ、前記流出バルブ、前記第2の流入バルブ、及び前記第2の流出バルブは、前記陽圧式吸入器が、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、エアロゾル化/気化した薬が前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションから前記患者送達ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬の第2の用量が前記第2の流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第2のセクションに吸入されるような二重作用を有するように構成される。
【0090】
第2の態様の別の実施形態では、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが3回目に移動する際に、エアロゾル化/気化した薬の前記2回目の投与量が前記ポンプチャンバーの前記第2のセクションから患者送達ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬の3回目の投与量が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションに吸入される。
【0091】
第3の態様では、患者の呼吸を介して患者に薬を送達する方法が提供される。これは、既知の容積を有する前記ポンプチャンバーを選択するステップと、第1のエアロゾル化/気化した薬を、前記ポンプチャンバーの既知の容積内に分散させるステップと、前記ポンプチャンバーを密閉することにより、前記ポンプチャンバーの既知の容積内に追加の空気が入るのを防ぎ、前記ポンプチャンバーの既知の容積内で前記第1のエアロゾル化/気化した薬を希釈させるステップと、前記患者の空気通路を、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された患者送達ポートに動作可能に係合させるステップと、陽圧を使用して、前記第1のエアロゾル化/気化した薬を前記ポンプチャンバーの既知の容積から前記患者送達ポートを介して排出させ、前記患者が息を吸う間に陽圧で前記第1のエアロゾル化/気化した薬を前記患者の空気通路及び前記患者の肺に送出するステップと、を含む。
【0092】
第3の態様の実施形態において、前記患者は、複数回の呼吸を行うことで、前記第1のエアロゾル化/気化した薬を前記患者の空気通路及び前記患者の肺の中に送達するステップを完了する。
【0093】
第3の態様の別の実施形態では、前記患者送達ポートはマウスピースであり、前記動作可能に係合するステップは、前記患者に前記マウスピース上で前記患者の唇を閉じさせることを引き起こすステップを含む。
【0094】
第3の態様の別の実施形態では、前記患者送達ポートは、2つのプロングを有する鼻カニューレであり、前記動作可能に係合するステップは、前記患者に前記プロングを前記患者の鼻孔に挿入させることを引き起こすステップを含む。
【0095】
第3の態様の別の実施形態では、前記患者送達ポートはマスクであり、前記動作可能に係合するステップは、前記マスクで前記患者の鼻及び口を覆うステップを含む。
【0096】
第3の態様の別の実施形態では、前記第1のエアロゾル化/気化した薬を前記患者の空気通路に送達した後、前記患者が息を吐く前に、前記第1のエアロゾル化/気化した薬を前記患者の肺の中に深く押し込むために、陽圧で前記患者の気道に補助空気を送達する。
【0097】
第3の態様の別の実施形態では、前記第1のエアロゾル化/気化した薬は、混合物中の少なくとも2つの薬の混合物を含む。
【0098】
第3の態様の別の実施形態では、患者が前記第1のエアロゾル化/気化した薬を吐き出した後、第2のエアロゾル化/気化した薬を前記ポンプチャンバーの既知の容積内に分散させるステップと、前記ポンプチャンバーを密閉することで、前記ポンプチャンバーの既知の容積内に追加の空気が入るのを防ぎ、前記ポンプチャンバーの既知の容積内で前記第2のエアロゾル化/気化した薬を希釈させるステップと、陽圧を使用して、前記第2のエアロゾル化/気化した薬を前記ポンプチャンバーの既知の容積から前記患者送達ポートを介して排出させ、前記患者が息を吸う間に陽圧で前記第2のエアロゾル化/気化した薬を前記患者の空気通路及び前記患者の肺に送出するステップと、を含む。
【0099】
第3の態様の別の実施形態では、前記第2のエアロゾル化/気化した薬は、前記第1のエアロゾル化/気化した薬とは異なる。
【0100】
第3の態様の別の実施形態では、前記第1のエアロゾル化/気化した薬は、麻痺剤であり、前記第2のエアロゾル化/気化した薬は、肺用薬である。
【0101】
第3の態様の別の実施形態では、前記第1のエアロゾル化/気化した薬はリドカインであり、前記第2のエアロゾル化/気化した薬はアルブテロールである。
【0102】
第4の態様では、複数の陽圧式吸入器を含み、各陽圧式吸入器は、内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバーと、前記ポンプチャンバーの内部側壁に係合するピストンと、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブと、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブと、流出バルブに動作可能に接続された患者送達ポートと、を有するエアロゾル化/気化した薬の投薬量試験システムが提供される。前記ピストンが、前記ポンプチャンバーの長さと同等又はそれ以下の前記ピストンの移動距離を有するように構成され、前記ピストンの移動距離が既知の送出量を規定しており、前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが1回目に移動する際に、負圧が発生し、エアロゾル化/気化した薬が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬を生成するように構成されており、前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、患者が吸入するための前記既知量のエアロゾル化/気化した薬が前記ピストンの動きによって変位し、前記流出バルブを介して前記患者送達ポートから排出され、前記患者による陽圧吸入が行われるように構成されていることを含む。そして、前記複数の陽圧式吸入器が取り付けられた支持テーブルとレシーババルブ、及び捕捉容器を含む容積測定テストベッドを備えている。ここで、前記レシーババルブは、前記複数の陽圧式吸入器のそれぞれの前記患者送達ポートのそれぞれと気密に連通している。前記捕捉容器は、前記レシーババルブが、前記捕捉容器と気密に連通しており、前記複数の前記陽圧式吸入器のそれぞれの前記ピストンのそれぞれが移動する際に、前記陽圧式吸入器のそれぞれの前記エアロゾル化/気化した薬が前記レシーババルブを通って前記捕捉容器内に排出されるように構成されていることを含む。
【0103】
第4の態様の実施形態において、前記レシーババルブは、前記捕捉容器に向かって偏った一方向のバルブとして構成されている。
【0104】
第4の態様の別の実施形態では、前記捕捉容器は、膨張可能なバルーンを備える。
【0105】
第4の態様の別の実施形態では、前記捕捉容器は閉鎖バルブを含み、前記閉鎖バルブは、閉じたときに、前記陽圧式吸入器のそれぞれのエアロゾル化/気化した薬の脱出を防止し、更に、前記捕捉容器を前記レシーババルブとの気密通信から取り外すことができるようになっている。
【0106】
第5の態様では、エアロゾル/気化した薬の投薬量を試験する方法が提供される。この方法は、複数の陽圧式吸入器を含むエアロゾル/気化器投薬量試験システムを提供するステップを含み、この各前記陽圧式吸入器は、内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバーと、前記ポンプチャンバーの内部側壁に係合するピストンと、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブと、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブと、前記流出バルブに動作可能に接続された患者送達ポートとを有し、前記ピストンは、前記ポンプチャンバーの長さと同等又はそれ以下の前記ピストンの移動距離を有するように構成され、前記ピストンの移動距離が既知の送出量を規定しており、前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが1回目に移動する際に、負圧が発生し、エアロゾル化/気化した薬が流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬を生成するように構成されており、前記ポンプチャンバーと前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、前記患者吸入用の前記既知量のエアロゾル化/気化した薬が前記ピストンの動きによって変位し、前記流出バルブを介して前記患者送達ポートから排出され、前記患者による陽圧吸入が可能となるように構成されていることを特徴とする。そして、複数の陽圧式吸入器が取り付けられた支持台と、レシーババルブと、そして、前記エアロゾル/気化器投薬量試験システムは、前記複数の陽圧式吸入器が取り付けられた支持テーブルとレシーババルブ、及び捕捉容器を含む容積測定テストベッドを備えている。ここで、前記レシーババルブは、前記複数の陽圧式吸入器のそれぞれの前記患者送達ポートのそれぞれと気密に連通している。前記捕捉容器は、前記レシーババルブが、前記捕捉容器と気密に連通しており、前記複数の前記陽圧式吸入器のそれぞれの前記ピストンのそれぞれが移動する際に、前記陽圧式吸入器のそれぞれの前記エアロゾル化/気化した薬が前記レシーババルブを通って前記捕捉容器内に排出されるように構成されていることを含む。前記複数の陽圧式吸入器のそれぞれの複数の流入ポートに、同一の薬を備えた複数の同一の医療機器を接続するステップと、それぞれの前記陽圧式吸入器の前記ピストンを移動させて、それぞれの前記陽圧式吸入器からエアロゾル化/気化した薬の第1の吸引サンプルを提供し、前記捕捉容器に収集するステップと、前記捕捉容器を取り外し、前記複数の陽圧式吸入器の既知の容積及び前記複数の陽圧式吸入器の数に基づいて、単位体積当たりのエアロゾル化/気化した薬の濃度を分析するステップと、を含む。
【0107】
以下の説明では、明細書及び図面全体にわたって、同様の部品又はステップには、それぞれ同じ数字が付されている。図面の図は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、特定の図は、明確さと簡潔さのために、誇張された形又は一般化された形で示されることがある。しかしながら、本開示自体、並びにその好ましい使用態様、さらなる目的並びに利点は、添付の図面と併せて読む際に、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1】従来技術の加圧式定量噴霧器(「pMDI」)を示す(従来技術)。
【
図2】pMDIと共に使用するための従来技術の呼吸ホールディングチャンバーを示す(従来技術)。
【
図3】エピディオレックスの1日2回の経口投与溶液によるCBDの血中濃度の経時的グラフである(従来技術)。
【
図4A】4.25mgの経口溶液および5mgのカプセルを含む2つの形態のドロナビノールを投与した場合の、経時的なTHCの血漿平均濃度(mg/ml)の従来技術グラフである(従来技術)。
【
図4B】4.25mgの経口溶液および5mgのカプセルを含む2つの形態のドロナビノールを投与した場合の、経時的なTHCの血漿平均濃度(mg/ml)の従来技術グラフである(従来技術)。
【
図5】THCを3.55%含む1本の大麻たばこを吸っている間の、様々なカンナビノイドの血漿平均濃度(mg/ml)の従来技術グラフであり、矢印は大麻たばこの1回の吸入又はパフを示している(従来技術)。
【
図6】経口投与後のヒト脳内CBDの平均濃度(ng/g)の従来技術グラフである(従来技術)。
【
図7】吸入(ベイピング)による投与後の、ヒトの脳内CBDの平均濃度(ng/g)の従来技術グラフである(従来技術)。
【
図8】第1実施形態の陽圧式吸入器の要素を示す概略図である。
【
図9】第1の実施形態の陽圧式吸入器の特定の要素の相互作用の概略図である。
【
図10】陽圧式吸入器の第1の実施形態の特定の要素の相互作用のさらなる概略図である。
【
図11】ベイプペン、pMDI又は他の気化器などのエアロゾル投薬装置に接続するための、陽圧式吸入器の送出チャンバーキャップの概略図である。
【
図12】陽圧式吸入器の第2の実施形態のチャンバーキャップの第1の実施形態の説明図であり、チャンバーキャップの第1の実施形態は、従来の「510スレッド」ベイプペンの挿入及び使用を可能にするように構成されている。
【
図13】気化した大麻を送出チャンバーに実質的に気密に送出するために、従来の「510スレッド」ベイプペンがチャンバーキャップに挿入され、チャンバー内に実質的に密封された状態の、
図11に示すチャンバーキャップの第1実施形態の説明図である。
【
図14】2つの従来の「510スレッド」ベイプペンの取り付けを可能にするように構成されたチャンバーキャップの第2の実施形態の説明図である。
【
図15】ベイプペンチャンバーキャップを備え、そこから延びる従来のベイプペンを備えて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態の説明図である。
【
図16】ベイプペンチャンバーキャップを備えて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態の説明図であるが、従来のベイプペンはそこから取り外されている。
【
図17】ベイプペンチャンバーキャップを備えて構成され、そこから従来のベイプペンが延びており、更にピストンが最も遠くまで延びている状態の、陽圧式吸入器の第2の実施形態の説明図である。
【
図18】陽圧式吸入器の第2の実施形態のチャンバーキャップの第3の実施形態の端面外観図であり、チャンバーキャップは、従来技術のpMDIのマウスピースの挿入を可能にするように構成されている。
【
図19】従来技術のpMDIがキャップに挿入された状態の、
図16に示されたチャンバーキャップの第3の実施形態の端面内部の説明図である。
【
図20】従来技術のpMDIがキャップに挿入された、
図16に示されたチャンバーキャップの第3の実施形態のサイドオン外観説明図である。
【
図21】チャンバーキャップの第3の実施形態が所定の位置にあり、従来技術のpMDIがキャップに挿入された状態の、陽圧式吸入器の第2の実施形態の側面説明図である。
【
図22】陽圧式吸入器の第2の実施形態のチャンバーキャップの第4の実施形態の説明図であり、チャンバーキャップの第4の実施形態は、従来技術のpMDIで使用されるような従来技術のキャニスターおよび計量バルブの挿入および使用を可能にするように構成されているが、従来技術のアクチュエータ及びマウスピースは備えていない。
【
図23】
図20のチャンバーキャップの第4の実施形態の説明図であり、計量バルブのステムの少なくとも一部がチャンバーキャップ内に挿入されるように、キャップに動作可能に接続された従来技術のキャニスターおよび計量値を備えている。
【
図24】ベイプペンのチャンバーキャップを用いて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が行う手順の図である。
【
図25】ベイプペンのチャンバーキャップを用いて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が行う手順の図である。
【
図26】ベイプペンのチャンバーキャップを用いて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が行う手順の図である。
【
図27】ベイプペンのチャンバーキャップを用いて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が行う手順の図である。
【
図28】pMDIアクセス可能なチャンバーキャップで構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が取る手順の図である。
【
図29】pMDIアクセス可能なチャンバーキャップで構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が取る手順の図である。
【
図30】陽圧式吸入器の第3の実施形態の説明図であり、流入ポートバルブを備え、ユーザは、薬、ガス、又は空気が流入バルブに流入することにより、ポンプチャンバーに流入する医療機器を変更することができ、流入ポートバルブ一次流入ポートに取り付けられた510スレッドベイプペンと、ピストンの1回目の移動後に伸長位置にあるポンプハンドル/患者用マウスピースとを備える。
【
図31】陽圧式吸入器の第3の実施形態の説明図であり、流入ポートバルブを備え、ユーザは、薬、ガス、又は空気が流入バルブに流入することにより、ポンプチャンバーに流入する医療機器を変更することができ、510スレッドベイプペンが流入ポートバルブ一次流入ポートから切り離されている状態である。
【
図32】
図32は、陽圧式吸入器の第3の実施形態の説明図であり、流入ポートバルブを備えており、ユーザは、薬、ガス、又は空気が流入バルブに流入することにより、ポンプチャンバーに流入する医療機器を変更することができ、510スレッドベイプペンが流入ポートバルブ一次流入ポートに取り付けられ、ピストンの2回目の移動後にポンプハンドル/患者マウスピースが圧縮位置にある状態である;及び
【
図33】エアロゾル化された/気化された薬の体積及び量をテストするためのテストアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0109】
以下の説明は、当業者が本発明を製造及び使用することを可能にするために提示され、特定の用途並びにその要件の文脈で提供される。開示された実施形態に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、議論された一般的な原理は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、他の実施形態およびアプリケーションに適用することができる。したがって、本発明は、開示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本発明は、本明細書に記載された原理及び特徴と一致する可能な最大の範囲を与えられるべきである。
【0110】
本明細書に開示されている実施形態は、薬、エアロゾル、気化した煙、又は燻蒸剤を患者の肺に送達し、場合によっては薬、若しくは蒸気の投与中に陽圧を提供する目的で、手で操作するポンプ、若しくはポンプとして構成されたチャンバーのための装置に関するものである。本明細書に開示される実施形態は、更にこれらの要件を達成する任意の適切な送達システムを使用して、吸入された薬物の正確な投与を提供するために、既知の量の薬物を、既知量の空気、又は気体に添加する方法を開示し、対処する。
【0111】
本明細書で一般的に陽圧式吸入器と呼ばれる本発明の実施形態は、薬、エアロゾル、気化した煙、又は燻蒸剤を添加することができる閉鎖チャンバーを含む。患者は、ポンプを使用して密閉されたチャンバーに陽圧をかけながら、密閉されたチャンバーから吸引(吸入)し、それによってチャンバーの容積が減少し、患者の吸入と陽圧の両方を介して薬が肺と口腔咽頭に送達される。これは、現在の呼吸チャンバーやpMDIが、開いていて、吸入中に空気が薬と混ざることを可能にしており、患者の肺に薬を送り込むために閉じた容積の空気からの陽圧に依存していないのとは対照的である。
【0112】
開示された陽圧式吸入器装置の実施形態は、肺の中に正確な量の薬を送り込むために陽圧に依存している。この装置は、患者、又はユーザに送達される用量を決定するために、既知量のエアロゾル化、又は気化した薬が導入される送出チャンバーの既知の容積に依存する。この装置は、エアロゾル、又は空気中に浮遊した状態で送達できるあらゆる種類の暖かい若しくは冷たい蒸気、及び気体状態、その他の物質に使用することができる。これには、大麻製品、ニコチン製品、麻薬薬、エアロゾル化されたあらゆる薬が含まれる。
【0113】
これらの化合物はすべて、このデバイスによって送達され、化合物の正確な投与が可能になる。吸入された少量の薬は、経口投与を増強することができる。この送達システムでは、そのような薬を正確に送達することができる。吸入薬と経口薬を組み合わせることで、全身の濃度を均一にすることができ、潜在的には経口薬の投与量を減らすことができる。
【0114】
さらに,送出チャンバーが吸入物の量を測定するため,投与量をコントロールすることができる。投与量は、患者(消費者)のニーズに合わせて測定し、変更することができる。チャンバー内の空気の量や、エアロゾルと混合させる外気の量、チャンバー内に送り込まれる薬の量を変えることで、投与量や濃度を変えることができる。薬と空気の比率を変えることで、用量と使いやすさをコントロールする。これにより、(薬の量を変えずに)薬の濃度を低くしたり高くしたりすることができる。高濃度の薬に耐えられない患者には、チャンバーの容積を変えることで、薬の量を変えずに低濃度の薬を投与することができる。薬やマリファナの蒸気のチャンバー内への流入を制御することで、チャンバー内の薬の濃度を制御することができる。
【0115】
また、このシステムでは、薬の投与中に、患者にとって快適な速度で患者自身に陽圧を与えることができる。これにより、上気道の抵抗を克服することができる。患者は、吸収率の高い肺胞に薬を押し込むことができる。陽圧は吸収を改善する。
【0116】
チャンバーに吸い込まれる薬の量は制御され、再現可能であるため、患者は薬を投与し、必要なだけの呼吸回数を使用することができる。ユーザが送出チャンバーを空にするために1回の吸入呼吸、2回の吸入呼吸、又は5~7回の吸入呼吸を使用しても、最終的な薬の投与量には影響しない。肺に入る量が薬の投与量を決定する。薬の濃度を変えることなく、1回又は複数回の呼吸を行うことができる。エアロゾル化された薬は、一般的に密閉された送出チャンバーから逃げることができず(患者の肺に送出するためにピストンエンド/マウスピースを介したような意図された場合を除く)、送出される薬の量は一定で再現性がある。投与される薬の量は、吸入される量によって決る。咳をしたり、止めたりすることは、その1回の呼吸で吸入された薬の量にのみ影響する。いくつかの実施形態では、送出チャンバー又はピストンは、ピストンの第1ストロークによって薬が送出された後に、吸入に空気の量を加えることができる「ダブルアクション」を含むことができる。ダブルアクションシステムの2回目のピストンストロークでは、空気(現在は追加の薬なし)が、1回目のピストンストロークで吸入された薬を患者の肺の中に更に押し込む役割を更に果たす。
【0117】
薬の投与量は、患者がどれだけ大きく息を吸えるかには依存しない。吸入中に患者が咳をしても、送達された薬の全量が破壊されるわけではなく、その特定の吸入呼吸中に肺に入った薬だけが破壊される。慢性閉塞性肺疾患では、一度に吸い込める空気の量が制限されることがあるが、チャンバーを空にするために必要なだけのパンを使うことができるので、薬の全体的な投与量には影響しない。
【0118】
研究(マリファナ喫煙:パフの量と息止めの変化の影響)では、被験者は30、60、90mlの吸気を教えられた。既知の量を吸うように指導することで、吸った量と薬の量を定量化することができたのである。この研究の研究者たちは、咳を防ぐために局所的な吸入麻酔薬を提案した。しかし、薬の濃度を薄めることで、気道への刺激を和らげることができることを認識していなかった。本明細書に開示されている陽圧式吸入器の実施形態では、薬の用量を体積で希釈して、より低い濃度で同じ用量を維持することができるので、呼吸器管への刺激を避けることができる。さらに、開示された陽圧式吸入器デバイスを使用する患者は、同じ薬の投与量を達成するために複数回の呼吸を行うことができる。薬の投与量を管理・測定できなければ、薬の研究はできない。現在開示されている陽圧式吸入器デバイスは、吸入された薬の実際の投与量を制御及び定量化することができる。
【0119】
開示された陽圧式吸入器デバイスの実施形態はまた、媒介が互換性がある場合、2つ以上の薬を同時に送出チャンバーに組み合わせることによって、補助的な酸素の追加、又は2つ以上の薬の組み合わせを同時に送達することを可能にする。さらに、開示された実施形態では、患者が許容できる範囲で、ゆっくり又は速く薬を送達することができる。患者は、残りの薬の送達を継続する前に、数回の呼吸のために停止して休むことさえできる。
【0120】
現在の医療大麻の使用者は、投与される薬の量を正確にコントロールする方法がない。例えば,ベイプペンのカートリッジを買い換えるなど,新しい製品に変えるたびに,適切な投与量を見つけるまで試行錯誤しなければならないのだ。投与量供給システムを定量化することで、開示された陽圧式吸入器の実施形態は、患者が薬を正確に供給することを可能にする。気化用の大麻油は、通常、バッチで生産される。通常、メーカーは大量の液体を生産し、それを小さなカートリッジに入れる。数百から数千のカートリッジが製造される。ベイプペンなどの既知の気化装置を、本明細書で「容積式吸入器」とも呼ばれる陽圧式吸入器と組み合わせて使用することにより、大麻の各投与量を正確に測定することができる。製造者は、本明細書に開示された陽圧式吸入器/容積式吸入器の実施形態を使用して、装置の既知の容積に吸い上げられたTHC、CBD、又は他の化学物質の量を正確に計算することができる。一度計算すれば、1回の吸入での薬の量は、製造されてカートリッジにパッケージされた大麻油のそのバッチ全体で一貫しているはずである。この情報があれば、医師は患者にこのデバイスを紹介し、1回の治療で投与される薬(THC、CBDなど)の量を知ることができる。これにより、正確なラベリングとユーザへの適切な指示が可能になる。
【0121】
陽圧吸入装置の実施形態は、別個のホールディングチャンバーがあるかないかにかかわらず、改良されたハンドポンプで構成されている。ポンプとチャンバーのサイズと容積は、使用に基づいて変えることができる。別々のチャンバーを使用する場合、異なるチャンバーを同じポンプに挿入することができる。図は、ハンドポンプの吸気口に別のチャンバーを追加したものである。このアプリケーションでは、ハンドポンプを薬の投与用に改造している。最終的には、これらの図に示されている追加されたチャンバーは、装置に完全に組み込まれてもよい。
【0122】
特定の実施形態では、ユーザは、ハンドポンプの吸気部にホールディングチャンバーを取り付けて、そこに薬を挿入したり、ポンプチャンバーに薬を直接注入したりすることができる。ホールディングチャンバーは、ポンプチャンバーのマニホールドとして機能することができる。ホールディングチャンバーを使用すると、ハンドポンプの吸引力を利用して、pMDIなどの気化器から薬を吸引することができる。ホールディングチャンバーがない場合は、ポンプチャンバーへのポートにより、ポンプチャンバーの既知の容積に薬を注入することができる。
【0123】
ホールディングチャンバーの容積は変化させることができる。アルブテロール装置などのエアロゾル装置の場合、ホールディングチャンバーは初期用量の薬を受け取るのに十分な大きさである。薬物は、ホールディングチャンバー、又はポンプチャンバーのいずれかに導入される。ホールディングチャンバーを使用する場合は、ポンプチャンバーの開口部から薬と空気の混合物をポンプ内に引き込む。ポンプチャンバーが一杯になると、ポンプのピストンを押し下げることで薬が送出される。吐出はゆっくりと安定して行うことができ、装置の操作者がコントロールする。操作者は、薬を肺に押し込んでいることを想像することができる。
【0124】
大麻の場合、ホールディングチャンバーのサイズは様々であり、存在しないこともある。総容積は、ポンプチャンバー自体、又はポンプチャンバーシリンダーの容積と追加されたホールディングチャンバーのいずれかである。可能な限り多くの薬がポンプチャンバーに吸引される。投与量は、ポンプチャンバーの大きさ、ポンプが発生させる吸引の度合い、ポンプチャンバーに空気が入る場合はその量に関係する。オペレーターは2つのステージを使うことができる。最初のドローでは薬を取り込み、残りのドローでは空気を取り込む。例えば、最初の吸引はポンプチャンバー全体の容積の1/4である。その後、薬の注入を中止し、空気をチャンバー内に入れて残りの部分を満たす。空気/薬の混合物はそのとき、3対1であるが、薬の用量は最初のドローによって決定される。
【0125】
陽圧式吸入器の開示された実施形態の要素は、一般に、本明細書で送出チャンバーとも呼ばれるポンプチャンバーとして機能する既知の容積のシリンダーと、送出チャンバーに薬を導入するための分離可能な送出チャンバーキャップ(又はホールディングチャンバー)の有無にかかわらず、ポンプチャンバーに材料を引き込み、ピストンのセンターロッドを介して材料を変位するために上下に移動するピストンと、これらの動作を実現するための付随するバルブとを含む。陽圧式吸入器には、ピストンを上下させるためのハンドルと、ピストンの一部、又はピストンの端部に取り付けられるマウスピースも含まれる。送出チャンバー、又はポンプチャンバー(既知の容積のチャンバー)は、空気と薬の混合物をマウスピースに送り込むために、ピストンで横断されるか、又は部分的に横断される。使用時には、空気がポンプチャンバーに吸い込まれ、オプションでバルブがポンプチャンバーを密閉し、薬がチャンバーに加えられ、送出チャンバーの一端から患者の肺に排出される。
【0126】
図8~11を参照すると、第1の実施形態の陽圧式吸入器8の要素は、既知の容積のシリンダー10と、シリンダー10の内部側壁に係合し、シリンダー10の長さの少なくとも一部を移動するピストン12とを含む。ピストン12の動きによって変位するシリンダーの既知の容積は、ポンプチャンバー14を構成する。ピストン12が上下に動くことで、ポンプチャンバー14に材料を引き込み、ピストン12のセンターロッド16を介して材料を変位することができる。ハンドル18は、ユーザがピストン12を手動で上下に動かすことができるように、ピストン12に一体化されていてもよいし、別途貼り付けられていてもよい。陽圧式吸入器8を使用する患者の呼吸経路に材料を供給するために、マウスピース14がピストン12の一部であってもよい。陽圧式吸入器8はまた、ホールディングチャンバーを含む送出チャンバーキャップ16を含んでもよい。送出チャンバーキャップ16は、以下で更に説明するように、様々なアプローチを用いて、送出チャンバー14への薬の送出を可能にするために、シリンダー10に一体化されていてもよいし、シリンダー10に貼付可能であってもよい。シリンダー10、又は送出チャンバーキャップ16は、ポンプチャンバー14への既知量の空気の流入を可能にするための1つ以上のバルブを含む。
【0127】
本明細書に開示される実施形態の重要な側面は、送出チャンバー14への、空気の流入及び流出を制御するためのバルブ設計である。バルブ及びポンプの構成が、ピストンへの空気の流入を非常に良好に制御し、シリンダー内の負圧を制御している限り、様々な異なる構成が利用可能であり、本発明の実施形態で使用することができ、それによってピストンのダウンストロークでの薬の送達中に、相当量の追加の空気がピストン内に引き込まれないことで、エアロゾル薬が吐出された既知量の空気が変化する。
【0128】
そのような実施形態の1つは、ピストン12が下向きに動き、シリンダー10内に負圧を発生させることである。この負圧は、負圧の制御を可能にするように設計されたピストン12の動きに基づいて知られている。この負圧により、エアロゾルや蒸気がデリバリーキャップ16のホールディングチャンバーからシリンダー10内に吸入される。ピストンがシリンダー10から離れたり、デリバリーキャップ16が外れたりしないように、ピストン12がシリンダー10の上部に向かって上昇する際には、ピストン12の間にある程度の余裕が必要である。デリバリーキャップホールディングチャンバー16の設計は、使用されるエアロゾル、薬、又は蒸気の種類に応じて別途設計する必要がある。デリバリーキャップ16のホールディングチャンバーは、蒸気の流出を送出チャンバー14に直接アクセスすることで排除することができる。
図11は、様々な製造のベイプペン、又は他の気化器装置の取り付けを可能にするための可変サイズの開口部20、22を有する、送出チャンバーキャップ16の概略の2つの図を提供する。
【0129】
本明細書に開示された実施形態は、シリンダー内の負圧を測定及び制御するための別個の制御機構を含むこともできる。負圧と容積を知ることで、医師、患者、又はユーザは、シリンダーが完全に開き、ピストンがストロークの底にあるときに、シリンダー内に送出される薬の量を測定することができる。このようにして、各ブランドのベイプペンと、そのベイプペンに使用されている各製品の薬の量を測定することができる。また、各ドローの後の薬の投与量を測定し、実証することができる。
【0130】
図12~14を参照すると、従来の「510スレッド」ベイプペンの挿入及び使用を可能にするために、送出チャンバーキャップ又はシリンダーの吸気端部を構成することができる様々な実施形態が示されている。
図12は、デリバリーキャップ30の上面図を示している。デリバリーキャップ30は、ベイプペンのマウスピースを挿入するための開口部を明らかにする開口部32を含む。開口部32は、薬や気化した大麻を含まない空気が流入する可能性を低減又は排除するために、開口部とベイプペンのマウスピースとの間の実質的な気密性を確保するためのゴム製ガスケット34を更に含む。デリバリーキャップ30とベイプペンとの間で実質的に気密性の高い接続がなされる限り、ねじ山又はコレットを含む他の固定構造も使用することができる。デリバリーキャップ30は、大麻蒸気(典型的には白色である)がデリバリーキャップ30のホールディングチャンバー内に存在することをユーザが確認できるようにするために、半透明または透明のペイン36を含んでもよい。
【0131】
図13を参照すると、
図12の送出チャンバーキャップ30は、ベイプペン40のマウスピース(図示せず)を開口部に挿入して、実質的に気密にフィットさせることにより、ベイプペン40を装備している。送出チャンバーキャップ30の深さ42は、送出チャンバーに作動的に接続された別のホールディングチャンバーとして機能することができるようになっていることに留意すべきである。あるいは、送出チャンバーキャップ30は、開放されていて、送出チャンバーに単純に接続可能であってもよい。
【0132】
図14を参照すると、送出チャンバーキャップ50の代替的な実施形態が示されており、2つの従来の「510スレッド」ベイプペンの取り付けを可能にするように構成された2つの開口部52、54を備えている。スペースがある限り、多くの開口部を使用することができる。この代替構成は、医師又はユーザが、1つのベイプペンを使用して他の方法で達成可能な場合よりも、既知量あたりより高濃度の薬を送出したい場合に有用である。
【0133】
図15を参照すると、
図13のベイプペンチャンバーキャップ50で構成され、そこから延びる従来のベイプペン40を備えた陽圧式吸入器60の第2の実施形態が示されている。陽圧式吸入器60は、送出チャンバー(図示せず)として機能する既知の内部容積を含むシリンダー62を含む。ピストン(図示せず)は、送出チャンバー内で圧縮された位置にある。ハンドル64は、ピストンロッドに一体化されており、マウスピース66は、ピストンロッドの遠位端に一体化されている。
【0134】
議論されたように、特定の実施形態は、「ダブルアクション」を提供するように構成されており、ピストンの各移動が、ピストンの一方の側におけるエアロゾル化/気化した薬の流入と、ピストンの他方の側におけるエアロゾル化/気化した薬の変位との両方をもたらすようになっている。具体的には、ある実施形態では、ピストンは、ポンプチャンバーを第1のセクションと第2のセクション(図示せず)に動作可能に分割する。流入バルブは、ポンプチャンバーの第1のセクションに動作可能に接続され、流出バルブは、ポンプチャンバーの第1のセクションに動作可能に接続される。さらに、第2の流入バルブは、ポンプチャンバーの第2のセクションに動作可能に接続され、第2の流出バルブは、ポンプチャンバーの第2のセクション及び患者送達ポートに動作可能に接続されている。ポンプチャンバー、ピストン、流入バルブ、流出バルブ、第2の流入バルブ及び第2の流出バルブは、ポンプチャンバー内をピストンが2回目に移動する際に、エアロゾル化/気化した薬がポンプチャンバーの第1のセクションから患者送達ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬の第2の用量が、第2の流入バルブを介してポンプチャンバーの第2のセクションに吸入されるように構成される。
【0135】
次に、ポンプチャンバーを通る前記ピストンの3回目の移動する際に、エアロゾル化/気化した薬の2回目の投与量がポンプチャンバーの前記第2のセクションから前記患者送達ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬の3回目の投与量が流入バルブを介してポンプチャンバーの第1のセクションに吸入される。
【0136】
図16を参照すると、ベイプペンは、ベイプペンチャンバーキャップから取り外されている。
【0137】
図17を参照すると、ピストンがその伸長位置まで引き出され、ピストンロッド68が見えている。ピストンをこの位置に移動させることで、ピストンはベイプペン40のマウスピースに負圧を生じさせ、大麻オイルを気化させる。この蒸気は、シリンダー62内の送出チャンバーの既知の容積内に吸い込まれ、分散される。陽圧式吸入器は、ユーザがピストンをダウンストロークで動かすことで、送出チャンバー内の気化した大麻油が陽圧でピストンロッド68の中空ステムを通ってマウスピース66から送出され、ユーザの気道に入る準備ができる。(
図24~29参照)。
【0138】
図18~20を参照すると、pMDIと共に使用するための送出チャンバーキャップ70の代替実施形態が示されている。送出チャンバーキャップ70は、
図21に示されるような陽圧式吸入器80の送出チャンバーに接続するためのネジ付きキャップ72を含む。送出チャンバーキャップ70は、pMDI74のマウスピースの挿入のために構成された開口部72を含む。開口部72は、好ましくは、ゴム製のガスケット又は膜76によって形成され、このガスケット又は膜は、送出チャンバーの既知の容積(図示せず)への不要な空気の流入を防止するように、pMDI74のマウスピースと送出チャンバーキャップ72との間に実質的に気密な接続を形成する。
【0139】
図21を参照すると、
図18~20に示す送出チャンバーキャップ70の第3の実施形態が陽圧式吸入器80に貼付されており、従来技術のpMDI74がキャップ70の開口部に挿入され、吸入器80と実質的に気密に連通した状態で保持されている。
【0140】
図22~23を参照すると、従来技術のpMDIで使用されるような従来技術のキャニスター及び計量バルブの挿入並びに使用を可能にするための、従来技術のアクチュエータ並びにマウスピースを伴わない、代替的な実施形態の送出チャンバーキャップ92を備えた陽圧式吸入器シリンダー90の代替的な実施形態が示されている。ピストンを開くことで、キャニスターに、既知量の空気中に注入された薬を充填することができる。送出チャンバーキャップ92は、シリンダー90に一体化されていてもよいし、取り外し可能に貼り付けられていてもよい。送出チャンバーキャップ92は、アルブテロールを送出するためのpMDIで典型的に使用されるような従来技術のキャニスター及び計量バルブ96のステムを挿入並びに起動するためのポート94を介して、エアロゾル化された薬を送出チャンバー内に送出できるように構成されている。ポート94は、好ましくは、計量バルブステムに接触して実質的に気密性の高い接続を形成するゴム製ガスケットを含む。使用時には、計量バルブステムがポート94に挿入されると、従来技術のキャニスター及び計量バルブ96は、それが完全なpMDIの一部である場合に使用されるのと同じ方法で押し下げることができる。押し下げると、キャニスター96内の加圧された薬の単回投与量がシリンダー90の送出チャンバー内にエアロゾル化され、本明細書に記載されるように患者に最終的に送出される。
【0141】
図24~27を参照すると、陽圧式吸入器の実施形態の2つの代替的な使用方法が示されている。
図24~27では、患者100が、ベイプペン送出チャンバーキャップ104で構成された陽圧式吸入器102の実施形態を使用して、気化した医療大麻を消費している。
図24では、患者100は、ベイプペン106をベイプペン送出チャンバーキャップ104の開口部に配置し、シリンダー108とハンドル110を把持して装置の使用を準備する。
図25では、患者100は、ハンドル110を使ってピストン112を前方に引き、それによってベイプペン106のマウスピースに負圧を生じさせて大麻油を気化させ、気化した大麻油を送出チャンバーキャップ104を介してシリンダー108の既知の容積に送出する。
図26では、患者100は、マウスピース114の周りで唇を閉じて、実質的に気密性の高い密封を作り、吸入の準備をしている。
図27において、患者100は、シリンダー108をマウスピース114に向けて引き寄せながら同時に吸入し、それにより、
図25に示すステップから気化した大麻油を含むシリンダーの既知の容積を介してピストン112を移動させる。この動作の結果、気化した大麻油と既知量の空気が、陽圧で、患者の呼吸器内に駆動される。上で説明したように、患者100は、既知量の空気と気化した大麻油の全体を肺に追い込むために、必要なだけの吸入呼吸を行うことができる。そうすることで、患者は、肺の容量や、気化した大麻を肺に送り込む際の咳の反応によって必要とされる呼吸数に関係なく、気化した大麻油の測定量を受け取ることができる。このプロセスは、シリンダー108に導入された気化された、エアロゾル化された、又はガス状の任意の薬に対して機能する。
【0142】
図28~29を参照すると、患者100は、従来技術のpMDI124からアルブテロールを送出するために、pMDI送出チャンバーキャップ122で構成された陽圧式吸入器120の実施形態を使用している。アルブテロールを送達するために必要なステップは、
図28に示すように、エアロゾル化されたアルブテロールを送出チャンバーに送達するために、患者がpMDIキャニスターを押し下げることによってpMDIを作動させるという追加のステップを伴う、上述のものと同様である。
【0143】
図30~32を参照すると、陽圧式吸入器60の第3の実施形態が図示されており、先に説明した実施形態と同様である。ホールディングチャンバー50(本明細書では「マニホールド」とも呼ばれる)は、ホールディングチャンバーとシリンダー62の内部とが気密に連絡している限り、シリンダー62に取り外し可能、又は永久的に貼り付けられてもよい。例えば、ホールディングチャンバー50は、シリンダー62にネジ式で取り付けられてもよいし、接着剤で取り付けられてもよいし、シリンダー62と一体化していてもよい。第3実施形態は、別個の流入ポートバルブ300と、ベイプペン40が流入ポート304に挿入されたときにベイプペン40が固定された状態で設置されてもよい510ネジの気化器ペンレスト302とを有する。流入ポートバルブは、流入バルブ一次流入ポート306と、流入バルブ任意流入ポート308と、流入ポート流出ポートと、バルブ体312の内部に設けられた流入ポートバルブ部材(図示せず)とを含む。流入バルブ流出ポート310は、気密導管314によってポンプチャンバー流入バルブ(図示せず)に動作可能に接続されている。流入バルブ一次流入ポート306は、同様の気密導管316によって流入ポート304に動作可能に接続されている。流入ポートバルブ部材は、流入ポートバルブハンドル318による流入ポートバルブ部材の作動が、流入バルブ一次流入ポート306からの流れを可能にする第1の位置と、流入バルブ任意流入ポート308からの流れを可能にする第2の位置との間で切り替わるように構成されている。
図30に描かれているように、バルブハンドル318及びバルブ部材は、ベイプペン40が動作可能に取り付けられている流入バルブ一次流入ポート306からの流れを可能にする第1の位置にある。
図30では、バルブ部材は、流入バルブ任意流入ポート308が閉じられるように配置されている。
図32に示すように、ポンプハンドル64は、ピストン(図示せず)がポンプチャンバーを横断するように引かれてもよく、負圧を生じさせて、ベイプペン40からエアロゾル化/蒸気化された薬を吸い込む。
【0144】
いくつかの実施形態では、
図30~32に示されているように、流入バルブ任意流入ポート308は、大気への開口部に動作可能に接続されており、これにより、バルブ部材の作動時に、第1の定義された量の空気が、負圧によってポンプチャンバー内に導入され、ピストンの部分的な移動によって既にポンプチャンバー内に引き込まれたエアロゾル化/気化した薬の第1の定義された量を希釈することができる。流入バルブ一次流入ポート306からピストン長さの1/3だけを吸引し、流入バルブ任意流入ポート308からピストン長さの2/3を吸引する。あるいは、流入バルブ任意流入ポート308は、酸素キャニスター、第2のpMDI、ネブライザーなどの任意医療機器(図示せず)に動作可能に接続されてもよく、第2の量の気体又はエアロゾル化/気化した薬を負圧によってポンプチャンバーに導入して、第1の定義された量のエアロゾル化/気化した薬を希釈することができるようになっている。さらに、流入ポートバルブのポートを利用して、ピストンの各ストロークで異なる薬を送出し、マルチステップ治療を行うことができる例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。(例えば、(a)患者の咳反射を麻痺させるためにリドカインをエアロゾル化した後、咳を誘発する肺用薬を投与する、(b)事故現場で患者の全身の痛みを直ちに軽減するためにフェンタニルをエアロゾル化した後、酸素を投与する、(c)酸素を投与した後、CBDをエアロゾル化して投与する、などである。さらに、2つの流入ポートを有する流入ポートバルブを説明してきたが、任意の必要又は便利な数の流入ポートを有する流入ポートバルブが本開示に企図され、含まれることを理解すべきである。さらに、
図30~32に関して説明したバルブ部材はボールバルブであるが、指定された比率で両方のポートからの流入を同時に可能にする混合バルブを含む、任意の適切なバルブタイプを使用することができることを理解すべきである。
【0145】
代替的な実施形態および方法のさらなる議論は以下の通りである。陽圧式吸入器の実施形態は、薬、又は他の製品が注入、若しくは挿入される閉じたポンプチャンバーの追加を含む(
図23参照)。そのような他の製品の1つは、ドライパウダー吸入器(「DPI」)に使用されるような、吸入送達用の薬用粉末である。チャンバーは、操作者の制御下で、薬を保持し、口腔内の気道に供給するために使用される。
【0146】
アルブテロールのようなエアロゾルの場合は、ハンドポンプの後部にチャンバーに変位するポートを追加する(
図23参照)。ポンプのチャンバーを規定の容量まで開くと、エアロゾルがチャンバー内に吸い込まれ、ポンプが押し下げられて薬が肺に押し込まれる。代わりに、エアロゾルを開いたポンプチャンバーに直接送り込むこともできる。
【0147】
陽圧式吸入器の実施形態は、手動ポンプ、又は携帯型(自己充足型)電子ポンプの吸気口にすぐ隣接するチャンバーに、薬、煙、エアロゾル化した粉末、エアロゾル化した液体、若しくは他のエアロゾル化した製品を加える方法に適している。ポンプのプランジャーが最初に作動すると、エアロゾル化された製品が吸気口のすぐ近くにある送達装置からポンプシステムに吸い込まれる。エアロゾル化された製品は、吸気口のすぐ近くにあるデリバリーデバイスからポンプシステムに吸い込まれる。薬の濃度は、空気と薬の混合物に加える空気の量によって制御される。また、材料をポンプチャンバーに直接引き込むこともできる。
【0148】
ポンププランジャーを押し下げると、ポンプチャンバー内の空気がピストン/プランジャーの中央管を通って強制的に吸入される
【0149】
患者は、ピストン/プランジャーを押し下げることで、空気/薬を肺に押し込んでいることを知らされる。ピストン/プランジャーの押し下げは吸入の速度を制御し、患者は吸入の速度を知るために音を聞いたり、メーターを見たりする必要はない。ポンプは、手動又は電子的に駆動することができる。
【0150】
陽圧式吸入器の実施形態は、プランジャーの移動に基づいて、流量表示器などの様々なオプションや追加を含むことができる。特定の実施形態では、1つの以上のポートを介して複数の薬をチャンバーに加えることができる。同様に、ピストン/プランジャーが動き始めるとチャンバーが閉じられるときに、異なるガスをチャンバーに加えることができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、チャンバーに吸入される薬の量を制御するために、ピストン/プランジャー、又はポンプチャンバーに調整可能なストップがあってもよい。光や音などの通知により、装置の保持容量の一定量又は一定割合(ポンプチャンバーの総容量の10ml又は10%、若しくは一定量の薬)に達したときに、ユーザに知らせることができる。
【0152】
ピストン/プランジャーと吸気口の設計により、空気の流れを制御する。
【0153】
衛生および流出の制御のために、取り外し可能なマウスピースを使用することができる。
【0154】
使い捨てのホールディングチャンバーや、薬があらかじめ入っているホールディングチャンバーを使用してもよい。さらに、ピストンの設計は、穿刺又は粉砕装置を含むように拡張することができ、ピストンの全長への移動により、事前に装填された薬ホールディングチャンバーを穿刺するか、又は錠剤を粉砕して粉末にし、ピストンの第2のストロークが、負圧の適用によりポンプチャンバー内の事前に装填された薬、又は粉砕された粉末をエアロゾル化するようにする。
【0155】
大麻蒸気の場合、ポンプの各ストロークの投与量は、ベイプペンの所定のモデルについて、既知の容量の大麻油の容器を空にするためのハンドポンプのストローク数を測定することによって較正することができる。薬の量を容器を空にするためのストローク数で割ると、ポンプ1回あたりの投与量が得られる。また、煙自体から大麻や薬の濃度を算出する、又は容器に入った煙から大麻を蒸留して算出することもできる。(例えばアルブテロール吸入器を使用する場合、薬の投与量はキャニスターをレセプタクルに押し込むことで決定されるが、これはほとんどの薬では不可能である)。
【0156】
他の送出チャンバーキャップは、特に現在のバルーンパップ又はホールディングチャンバーなどの既知の送達デバイスに関して、他の薬物の送達、若しくは既知の形態の薬物のより便利な送達を可能にするために使用または開発されてもよい。送出チャンバーのキャップは、異なるタイプの薬のための着脱可能なバックを含むこともできる。チャンバーの取り付けを可能にするために、現在のバルーンポンプにスクリューバック(又は他のロック機構)を追加することも選択肢の一つである。アタッチメントは使い捨てでも再利用可能でもよい。チャンバーには少量の薬を入れることができる。
【0157】
チャンバーは、異なる薬や薬の強さに合わせて交換できる。ポンプチャンバーに入れる外気の量に基づいて、薬の濃度を制御することができる。
【0158】
ポンプチャンバーにシステムを取り付け、ユーザがシステムに取り込まれた薬の量を知ることができる。通知は音、光、又はその他の方法で行う。ポンプチャンバーが一定量又は一定割合の薬で満たされると、ユーザはポンプチャンバーへの薬の流入を止め、空気をポンプチャンバーに取り込み続けることで、ポンプチャンバー内の薬の濃度を薄めることができる。彼は、呼吸器系の刺激を避けるために、薬の濃度を制御することができる。
【0159】
使用の一例では、陽圧式吸入器は、使い捨て装置、又はフェンタニルなどのエアロゾル化可能な鎮痛剤が事前に装填された単回使用のデリバリーキャップを備えた多回使用の装置のいずれかとして構成することができる。救急隊員が激しい痛みを感じている患者の現場に到着すると、救急隊員は患者に薬を吸入させ、すぐに痛みを和らげることができる。
【0160】
アルブテロールやモメタゾンなどのエアゾールの場合、送出チャンバーを必要な量まで開く。エアロゾルがチャンバー内に注入される。薬の正確な量と濃度は既知である。患者は自分の速度で吸入し、気道に薬を送り込むことができる。鼻孔をつまむことで効果を高めることができる。吸入の速度は重要ではない。パンチングの回数も重要ではない。薬の量だけが重要である。ユニットは自己完結型で、1つ以上の用量の薬を装填できる。トリガーの押し下げにより、1用量の薬がチャンバーに注入される。
【0161】
いくつかの実施形態では、患者がマウスピースを介して送出チャンバーに空気を押し戻すのを防ぐために、アンチブローバックバルブを含むことができる。これはまた、異なる患者によるチャンバーの汚染なしに、セッションからセッションへと陽圧式吸入器を使用することを可能にするだろう。マウスピースは洗浄するか使い捨てにする必要がある。
【0162】
ポンプのチャンバーからの空気の流入、及び流出の制御は、調整可能、又は非調整可能な流入並びに流出開口部の大きさによって、又はバルブによって制御されてもよく、機械的、若しくは電気的であってもよい。
【0163】
陽圧式吸入器の特定の実施形態は、各セッションのニコチンの正確な量を制御するために、ニコチン気化器又はE-シッグと一緒に使用するように構成された送出チャンバーキャップを含んでもよく、それによって、患者は、ニコチン中毒からの解毒及び離脱のプログラムの一部として、ニコチンを正確に(これまでよりも少量で)投与することができる。
【0164】
陽圧式吸入器の特定の実施形態は、シガレット又は大麻の「プレロール」でチャンバーを使用できるように、シガレットアタッチメント用に構成された送出チャンバーキャップを含むことができる。
【0165】
様々なテルペン及び他の化学物質がアロマセラピーに使用されている。陽圧式吸入器の特定の実施形態は、化学物質の最良の投与量、及び組み合わせに関する研究を可能にするために、テルペン、気化したエッセンシャルオイル、並びに他のアロマセラピー蒸気の正確な投与を可能にする。
【0166】
陽圧式吸入器の特定の実施形態では、送出チャンバーキャップは、それ自体が気化器であってもよい。例えば、送出チャンバーキャップは、バッテリー、カトマイザー、及び大麻油、薬、又はニコチン気化器液が予め充填された流体チャンバーを含んでもよい。送出チャンバーキャップ全体は、使い捨て、又は薬が調合された後は再利用可能である。バッテリーは充電可能である。
【0167】
陽圧式吸入器の別の構成では、送出チャンバーに既知の濃度の大麻油を予め充填することができる。気化装置はチャンバーに取り付けられたままであり、患者がチャンバーを介して吸引すると、チャンバー内の煙と、取り付けられた気化装置からの追加の蒸気から投与を受ける。
【0168】
陽圧式吸入器の他の実施形態は、ピストンが完全に移動するたびに送出チャンバーへの追加の薬の送出を引き起こすことができるように、それぞれが異なる薬を保持する複数のホールディングチャンバーを含むことができる。これらの実施形態は、完全な投与量を得るために多数のポンプを必要とする可能性があるか、又は薬の連続的な投与を必要とする薬で使用するように構成される。例えば、リドカインによる前処理は、後続の喘息薬の投与の前に、吸入剤の最初の投与とすることができる。このユニットは、自己完結型であることができる。これらの実施形態の他のバリエーションでは、最初の薬でピストンを一定回数(例えば、ポンプを5回)通過させると、2番目の薬の放出が開始される。薬物の放出は、各薬物の全用量が送達されたときに停止する。
【0169】
他の実施形態では、チューブの流入部を取り付けることで、送出チャンバーの容積よりも大きな投与量が可能になる。ネブライザーは、薬の投与に先立って、麻酔のために最初のリドカインを提供することができる。必要、又は希望に応じて、酸素、若しくは他のガスを使用してチャンバーを満たすことができる。
【0170】
完全に自動化されたシステムでは、陽圧式吸入器は、プログラム可能な容量、及び濃度のコントロールを有する。カートリッジの組成が記されていれば、薬の投与量が計算され、呼吸器の刺激を避けるために薬を既知の濃度に希釈するのに十分な空気、又は他のガスとともに、チャンバー内に供給されるだろう。さらに、完全に自動化されたバージョンでは、患者の身長、体重、表面積、その他の医療パラメータを配信システムにプログラムすることができる。そして、デリバリーシステムは、患者の医療パラメータに基づいて非常に正確な投与を可能にするために、送出チャンバーに薬の量を分配することができる。さらに、このような装置を用いた研究により、ユーザにとって最適な投与量を決定することができる。
【0171】
さらに、本明細書に記載されている実施形態を使用して、大麻、又は他の薬物の正確な量を知ることができる。大麻に含まれる100以上のカンナビノイドの効果について研究することができる。
【0172】
図33を参照すると、エアロゾル/気化器投薬量試験システム3300が提供される。このシステムは、本明細書で説明した実施形態のいずれか1つの複数の陽圧式吸入器3302を含む。システムはまた、複数の陽圧式吸入器3302が取り付けられる支持テーブル3306を有する容積式試験台3304と、複数の陽圧式吸入器3302のそれぞれの患者送達ポートのそれぞれと気密に連通するレシーババルブ3308(本明細書ではマニホールドとも呼ばれる)と、捕捉容器3310とを含む。図示の実施形態では、捕捉容器3310は、膨張可能なバルーンであるが、レシーババルブ3308から送出されたガス量及びエアロゾル化/気化した薬又は微粒子の濃度を捕捉、若しくは測定するための任意の適切な装置とすることができる。レシーババルブ3308は、捕捉容器3310と気密に通信しており、複数の陽圧式吸入器3302のそれぞれのピストンが移動する際に、陽圧式吸入器のそれぞれのエアロゾル化/気化した薬がレシーババルブ3308を通って捕捉容器3310の中に変位するように構成されている。図示されているように、システムは10個の陽圧式吸入器のために構成されているが、任意の便利な数のために構成され得る。
【0173】
システムは、複数の陽圧式吸入器に取り付けられた任意のエアロゾル化/蒸気化された薬のデバイスの濃度/品質のテストを可能にする。ほとんどの510スレッド気化器からの「最初のドロー」は、カトマイザーが加熱されるのに必要な時間、及びエアロゾル化/気化される大麻油の結果としての量に影響を与えるほとんどのカトマイザー/バッテリーの構成に起因して、その後のドローよりも低濃度/低品質の蒸気を提供すると広く信じられている。娯楽目的で大麻オイルを使用する場合、投与量のばらつきは影響があるかもしれないが、重要ではない。しかし、医療行為においては、所定の治療による投与量を定量化することが重要であるため、異なる510型ベイプペン、異なるカトマイザー構成、及び異なる系統、並びにブランドのカンナビスオイルによって供給される蒸気の濃度と品質に関するデータをテストして収集する能力は、医師とその患者にとって重要である。
【0174】
そのため、例えば、これらの変数は、記載されたシステムを使用してテストされてもよい。さらに、記載されたシステムは、薬の濃度の一貫性を評価するために、医療機器によって生成された蒸気を捕捉するために使用されてもよい。現在の技術では、1回のドローで生成される少量のエアロゾル化/蒸気化された薬を使用してこれらの評価を行うことは困難であり、したがって、本システムは、10台のデバイスの出力を集約することを可能にし、これを分析して10で割り、平均的な薬の出力の定量化、及び濃度評価を得ることができる。複数の陽圧式吸入器3302のそれぞれは、順次作動させることもできるし、一斉に作動させることもできる。
【0175】
本明細書で使用されるように、蒸気は、その臨界温度よりも低い温度で気相にある物質であり、これは、温度を低下させることなく、蒸気にかかる圧力を増加させることによって、蒸気を液体に凝縮させることができることを意味する。水蒸気はエアロゾルとは異なる。エアロゾルとは、液体、固体、又はその両方の微小な粒子が気体中に存在する懸濁液のことである。本開示を通じて、「蒸気/エアロゾル」又は「気化/エアロゾル化された薬」という用語は、蒸気又はエアロゾル(液体粒子、固体粒子、若しくはその両方を有する)として患者の肺に送達することができる薬を指すために使用され、特許請求の範囲でさらに修正又は制限されない限り、当業者にとって最も広い合理的な解釈を有することが意図される。
【0176】
本発明の特定の実施形態が開示されているが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく特定の実施形態に変更を加えることができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、開示された特定の実施形態に限定されるものではない。
【0177】
上記の説明が、以下の請求項の範囲内ではない追加の主題を開示する限り、本発明は公衆に捧げられておらず、そのような追加の発明を請求するために1つ以上の出願を行う権利は留保される。
【誤訳訂正書】
【提出日】2022-02-07
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載された発明の実施形態は、一般に、吸入可能な薬剤を送給するための治療デバイス及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者への任意の薬剤の送給(delivery)は、問題となり得る。患者への薬剤の送給は、一般に、(a)静脈内、(b)呼吸器、(c)経口、(d)直腸、(e)経皮、(f)頬/口腔粘膜、及び(g)舌下を含む多数の送給経路のいずれか1つによって行うことができる。ほとんどの場合、最も効果的な薬剤の投与方法は静脈内注射である。静脈注射では、薬剤を投与するために点滴が必要である。薬剤は正確かつ即時に投与される。2番目に効果的な薬剤の投与方法は、呼吸器による送給である。通常、以下のような利点がある。(a)気道内で局所的に作用する、(b)薬物が迅速に作用する、(c)全体的な全身性投与量(systemic dose)が減少する、(e)全身性副作用が減少する、(f)2種類以上の薬物を同時に使用する場合に、薬物の相互作用を避けるための代替ルートとして使用できる、(g)肺胞の表面積が大きいため、胃腸管投与に比べて細胞外酵素レベルが低下すること、(h)吸収された薬物が最初に肝代謝されるため、薬物の解毒が減少すること、及び(i)全身に作用する物質を肺に投与できる可能性があること。
【0003】
一方、呼吸器系送給(delivery)の欠点は以下の通りである。(a)薬物が急速に除去されるため、活性の持続時間が短いこと、(b)薬物の半減期と解毒方法に依存して、効果を持続させるために頻繁な投与が必要であること、(c)肺への刺激と肺への長期的な損傷の可能性があること。
【0004】
バイオアベイラビリティ(生体利用効率)とは、所望の効果を得るために利用可能な薬剤量の尺度である。薬剤は生体系に吸収されてから効果を発揮する。
【0005】
最も一般的な吸入薬剤は、喘息の治療に使用されるものである。吸入エアロゾル療法は、喘息及び同様の呼吸器系の問題に対する治療法として最も一般的に使用される方法である。病院内でのこのような治療のための最も一般的なデバイスは、一般的なネブライザー(噴霧器)であり、病院外でのこのような治療のための最も一般的なデバイスは、加圧式定量吸入器(「pMDI」)である。(
図1従来技術参照)
【0006】
長年にわたって知られているpMDI送給システムの唯一の意味のある改良は、薬剤が最初に保留チャンバーに噴霧される呼吸保留チャンバーの導入である。その後、患者は呼吸保留チャンバーから吸入する。(
図2従来技術参照)
【0007】
呼吸器送給のための現在の最新技術は、
図2の従来技術に示されるような呼吸保留チャンバー/吸入チャンバーである。重大な欠点は、この吸入チャンバー式デバイスの使用は、依然として患者が吸入することを必要とすることである。そのため、患者は自分の呼吸を制御する方法を学ばなければならず、薬剤の用量(dosage)及び薬剤の濃度は、チャンバーを使用する際の患者の専門知識に依存し、例えば、吸入量、速度及び深さの変動は、薬剤の用量並びに送給の変動をもたらし、そのような薬剤を取り込むことができる肺胞の数にさらされる。チャンバーの使用には重大な欠点がある。患者の吸気努力が不十分な場合、薬剤の流れが変化する。患者の体格が小さい場合は、体格が大きい場合に比べて吸入量が少なくなる。従来技術のチャンバーの中には、吸気が正しい吸気率でない場合に音を出すものがあるが、これは指標としては不十分であり、患者が無視してしまう可能性がある。
【0008】
最近の研究(2018年)では、利用可能な吸入チャンバーの有効性を再検討した。吸入エアロゾル療法は、依然として喘息及びCOPDの効果的な治療の基礎となっている。薬剤自体は過去数十年にわたって劇的に変化していないが、送給デバイスは変化している。技術の進歩により、より効率的で使いやすい吸入器が開発されている。それにもかかわらず、間違った吸入方法は、吸入薬を使用する多くの人にとって大きな障害となっている。pMDIの使用に関して報告されている最も一般的なエラーは、作動と吸入との間における協調動作の欠如、冷たいスプレーが喉の奥に当たったときに吸入を止める、吸入後に十分な時間(5秒以上)息を止めない、作動前に息を吐かない、使用前に懸濁液を振らない、などである。最初の2つの課題に対して、バルブ付き保留チャンバー(以下、VHC)は明確な利点を与える。VHCを使用することで、ユーザーはエアゾール薬剤の吸入を、チャンバー内への作動、これに続くVHCのマウスピースからの吸入の2段階で行うことができる。また、技術の進歩により、より効果的なVHCの開発が可能になった。現在では、帯電防止チャンバー、優れたバルブ、より効果的なフェイスマスクなど、意図した投与量(dose)の薬剤送給に役立つ革新的な技術がある。VHCは、pMDIの肺への送給を改善し、口腔咽頭への沈着を減少させ、pMDIの作動と吸入を協調動作させるという課題を克服するのに役立つことが証明されている。さらに、複数の機能(静電防止チャンバー、吸入インジケーター)を備えた新しいVHCは、喘息のコントロールを改善し、増悪率を低下させ、生活の質を向上させることが報告されている。VHCはすべて同じではなく、また、互換性もない。ユーザーが一貫して吸入器を使用できるようにするためには、継続的な教育が重要である。(非特許文献1参照。)
【0009】
別の研究(非特許文献2参照)では、被験者は、制御された吸入量を達成するために、コンピュータトレーニングを受けた。この研究では、「予想通り、パフ量を操作してマリファナの投与量を変化させると、COブースト、血漿中THC濃度、主観的報告に線形変化が生じた」ことがわかった。さらに、パフ(吹かし)量の累積効果が見られた。パフの総量は、患者に投与されたTHCの量に相当する。THCは薬剤なので、この研究は、エアロゾル化又は気化した薬剤の送給は、薬剤の量と濃度に依存していることを示している。
【0010】
病院では、薬剤の送給はしばしば異なる。吸入した薬剤の送給システムは様々である。肺疾患のある患者の場合、エアロゾルデバイスを人工呼吸器に取り付け、エアロゾル化した薬剤はマウスピース(マスク、挿管器、鼻カニューレ)を介して呼吸器系に送り込み、吸入は人工呼吸器を経由する。人工呼吸器は、患者が挿管されている場合、陽圧をかけてエアロゾル物質を強制的に肺に送り込む。しかし、患者が挿管されていない場合は、エアロゾル化された薬剤は空気の流入と混合される。薬剤の量は、空気量ではなく、エアゾール機構に入れられて空気流に送り込まれる液体の量で測定される。このように、他の既知のデバイスで発生する空気及び薬剤の漏洩に起因して、呼吸器薬剤を提供する唯一の真に正確な現在の方法は、挿管によって行われる。
【0011】
医療用大麻は、米国の多くの州や、カナダなどの多くの国で承認されている。また、嗜好用の大麻も幾つかの州及び他国で承認されている。
【0012】
一般的にマリファナとして知られている大麻は、サティバ、インディカ、ルデラリスという3つの種、又は亜種を含む顕花植物である。この植物は、中央アジアとインド亜大陸の原産である。大麻は、古くから麻の繊維、油、薬用、嗜好用として利用されてきた。大麻植物は、カンナビノイドと呼ばれる化学物質群を生成する。これらの化合物の大部分は、大麻の雌株の花の萼や苞に多く見られる腺状の三叉路から分泌される。大麻を薬用や娯楽用に使用する場合、花芽や葉の部分を乾燥させたものや、樹脂、抽出したオイルやワックスなど、様々な方法で摂取することができる。
【0013】
最もよく知られているカンナビノイドはテトラヒドロカンナビノールで、しばしば「THC」と略される。THCの化学式はC21H30O2で、次のような化学構造を持っている。
【化1】
【0014】
THCは、大麻に含まれる主要な精神活性成分として広く認識されている。THCは、水への溶解度は非常に低いが、ほとんどの有機溶媒、特に脂質とアルコールにはよく溶解する。
【0015】
大麻植物は他にも何百ものカンナビノイド、テルペノイド、その他の化合物を生成するが、これらの化合物の同定、研究、分類はまだ始まったばかりである。医療効果があると一般に認められているカンナビノイドの1つがカンナビジオール(「CBD」)である。CBDはTHCに次ぐカンナビノイドの主成分であり、抽出物中に最大40%含まれている。CBDは、THCと比較して、健康な人には精神作用がなく、てんかん、多発性硬化症の痙攣、不安障害、双極性障害、統合失調症、吐き気、痙攣、炎症などのほか、がん細胞の増殖を抑制するなど、THCよりも広い範囲で医療に応用できる可能性がある。
【0016】
また、多くの研究者は、大麻に含まれる他のカンナビノイド、テルペノイド、その他の化合物の多くが、重要な健康上の利益を有する及び/又は若干のヒト疾患を治療することができる可能性があると考えている。
【0017】
20世紀初頭、世界のほとんどの地域で、大麻を栽培したり所持したりすることは違法となった。しかし、ここ10年以内に、幾つかの州及び国では、医療目的での大麻の栽培、所持、使用を合法化し始めている。現在、米国における多くの州では医療用大麻の使用が非犯罪化又は合法化されている。大麻は、化学療法時の吐き気や嘔吐の軽減、HIV/AIDS患者の食欲増進、慢性疼痛の治療、筋肉の痙攣の改善などに使用されている。その他の可能性がある医療用途としては、多発性硬化症、AIDS消耗症候群、てんかん、関節リウマチ、緑内障、PTSD、うつ病、全般性不安症の治療などが考えられるが、議論の余地がある。
【0018】
さらに、過去5年以内に、米国のいくつかの州では、嗜好目的での大麻の栽培、所持、使用を合法化又は非犯罪化している。そのため、多くの専門家は、医療目的と嗜好目的の両方で大麻の消費が今後数年間で増加すると推定している。
【0019】
医療目的又は嗜好目的で大麻を消費するための一般的な方法の1つは、「ベイプペン(vape pen)」又は「電子タバコ」若しくは「E-CIG」と称されることもある気化器(ベポライザー)を使用することである。バルーン吸入器のような他の気化器も存在し、気化した大麻を消費するために使用される。一般に、気化器は熱を利用して、抽出された大麻油又は他の大麻製品と、プロピレングリコール若しくは植物性グリセリンなどの他のキャリア化合物との混合物を気化させる。
【0020】
ある記事(非特許文献3)によると、「気化器は、約200℃でカンナビノイド酸を脱炭酸し、中性の揮発性カンナビノイドを放出し、そのカンナビノイドは蒸気からの肺吸収によって全身循環に入る。非熱分解的に気化させることで、タール、多環芳香族炭化水素(PAH)、一酸化炭素、その他の発がん物質(ベンゼンなど)といった有害な燃焼生成物の発生を回避することができる。ギエリンガー(Gieringer)氏及び共同研究者らは、喫煙と比較した大麻の気化の利点を実証し、燃焼生成物の形成がほぼ完全に抑制されることを示した。」と説明している。
【0021】
医師は、医療用大麻と嗜好用大麻の両方の使用について、患者を指導するよう求められている。多くの医師は、患者を助けるために途方に暮れている。医師は、投与量(dose)及び頻度(frequency)で薬剤を処方するように訓練されている。例えば、「100mgの錠剤を1日3回服用してください」というのは、薬剤の典型的な処方の仕方である。前述の吸入器の場合、患者は症状に応じて、2回のパフを1日2回又は3回行うように指示される。しかし、上記のような吸入器や患者の技術の問題から、患者に投与される薬剤の量は一定ではなく、現在のところ、吸入されたマリファナ蒸気の量を正確に測定する方法はない。実際、本明細書で述べた従来技術のpMDIおよび保留チャンバー式デバイスの問題点を考慮すると、他のほとんどの吸入薬についても確実で正確な投与方法は存在しない。
【0022】
医療用大麻は、経口製剤で提供される。吸収性は悪く、変動する。
【0023】
マリノールTM(ドロナビノール)のようなTHCの現在の経口製剤、及びエピディオレックスTMのようなCBDの現在の経口製剤は、これらの化合物の合成バージョンを使用している。その結果、天然の大麻を完全に模倣することができず、使用による合併症の発生率が天然の大麻よりも高いという問題が発生している。
【0024】
非特許文献4によると、「州全体の大麻消費者は、大麻エキス棒を熱烈に受け入れており、嗜好用大麻を合法化している他のどの州よりも多くの市場シェアを占めている。大麻市場調査会社のBDSアナリティクスによると、2018年第1四半期、ベイプ販売はゴールデンステート(米国カリフォルニア州)全体で市場の80%占有している。」とのことである。
【0025】
最近の記事(非特許文献5)では、「エアロゾル化したTHC-CBD溶液の肺への送給は、静脈注射製剤と同様の良好な薬物動態特性を示している。気道の刺激や咳を防ぐために局所麻酔薬を加えることが推奨され、その結果バイオアベイラビリティ(生体利用効率)が低下する。精神作用が無視できるほど小さいのは、抗精神病薬CBD、低THC用量、及び/又は精神活性代謝物11-OH-THC生成が少ないことに起因すると考えられる。したがって、pMDIを介した吸入は、経口投与ルートの代替であり、医療用カンナビノイドを確実かつ安全に適用するための選択肢となる。」とのことである。
【0026】
吸入フェンタニルは20.5秒以内に作用し、フェンタニルの静脈内投与よりもわずかに速い。点滴を必要とせず、負傷した被害者が呼吸している限り、すぐに投与することができる。フェンタニルの筋肉内注射の効果の発現は、注射後5分から30分である。ショック状態の患者は、ショックで末梢血流が低下しているため、薬剤の吸収が遅くなる。簡単な吸入ですぐに投与できる準備が整っている装填済みキャニスターを用意する必要があり、これは緊急医療チームとその患者にとって有益である。
【0027】
エピディオレックスは、特定の発作性疾患を治療するための新しいCBD薬剤である。これは、経口懸濁液によって1日2回投与される。
図3(従来技術)は、エピディオレックスによるCBDの血中濃度の経時変化を示すグラフである。一般的に、最大濃度になるまでに4時間かかる。12時間後には血漿中の濃度はほとんどゼロになり、明らかに治療範囲外となる。
【0028】
ドロナビノールは合成THC薬で、内服液又はカプセルで提供される。
図4(従来技術)は、ドロナビノールの2つの異なる投薬形態によるTHCの血中濃度の経時的なグラフである。
【0029】
図5(従来技術)は、THCを3.55%含む1本の大麻たばこを吸っている間の、様々なカンナビノイドの血漿平均濃度(mg/ml)の経時変化を示す従来技術のグラフであり、矢印は大麻たばこの1回の吸入又はパフを示している。
【0030】
図6(従来技術)は、経口投与後のヒト脳内CBDの平均濃度(ng/g)の経時変化を示す従来技術グラフである。
【0031】
図7(従来技術)は、吸入(ベイピング)による投与後の、ヒトの脳内CBDの平均濃度(ng/g)の経時的な従来技術のグラフである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Optimizing the Delivery of Inhaled Medication for Respiratory Patients: The Role of Valved Holding Chambers, Can Respir J. 2018; 2018: 5076259. Published online 2018 Apr 4. doi: 10.1155/2018/5076259
【非特許文献2】Marijuana Smoking: Effects of Varying Puff Volume and Breathholding, JPET 272:560-569, 1995
【非特許文献3】Published: January 19, 2016, https://doi.org/10.1371/journal.pone.0147286
【非特許文献4】https://b2b.gocaliva.com/the-rise-of-disposable-marijuana-vape-pens-in-california/
【非特許文献5】Med Cannabis Cannabinoids 2018;1:36-43 https://doi.org/10.1159/000489034
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
一般に、ベイピング後、THC(およびCBDも)の血漿濃度は6分で最大強度に達し、22分後に低下する。エピディオレックスにベイピングしたCBDを加えることで、経口薬の用量を減らすことができ、より持続的な血漿濃度を得ることができる。これにより、副作用が軽減され、治療に天然のCBDが加わり、有効性が増すことになる。重要なのは、ベイプしたTHCやCBDを正確に投与できるようにすることである。
【0034】
クオラテックスハンドヘルドエアインフレーター-ダブルアクションバルーンポンプなど、おもちゃの風船を膨らませるために利用できる様々なポンプがある。これらのポンプの構造は、医療デバイスの品質要件を満たすため、又は本明細書に記載された目的を達成するためには適切ではないが、陽圧式吸入器の目標及び目的を達成するために、本明細書に開示されているように修正、適応、及び改良することができる。これらの従来技術のデバイスは、本発明者によるプロトタイプ及び/又は概念実証型のデバイスを構築するために使用されてきた。これらのバルーンポンプは、一般に、ポンプの一端にある吸気システムと、ポンプの吸気部分にすぐ隣接するチャンバーから空気を送り込むプランジングシステムとを有する。しかし、空気の流れはうまく制御できない。ポンプの構成は、チャンバーへの空気と薬剤の流入、及び薬剤の混合物の流出を正確に制御できるように設計される必要がある。
【0035】
したがって、上述した従来技術のデバイスの問題及び欠点に対処し、用量並びに肺への薬物送給の確実性を向上させる、医療用大麻を含むがこれに限定されない吸入薬で使用するための改良された吸入デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明の実施形態は、上述のニーズに対処し、用量の確実性、及び肺への薬物送給を改善するために、陽圧、及び既知量の空気、並びに既知の濃度の薬剤を使用して、エアロゾル化された薬剤を患者に送給するためのデバイス、並びに使用方法に関するものである。開示された実施形態は、閉じたチャンバー内の既知量の空気に、既知の量のエアロゾル化、又は気化した薬剤、若しくは他の化学物質を加えるという概念を実現するデバイスを扱う。前記量の空気は、このとき、患者の肺に既知の量の薬剤を供給する陽圧で吸入される。
【0037】
本発明の陽圧式吸入器の様々な実施形態は幾つかの特徴を有しており、そのうちの1つがその望ましい特性に単独で関与するものではない。特許請求の範囲によって表現される本実施形態の範囲を制限することなく、それらのより顕著な特徴を以下に、簡単に論ずる。この検討を考慮した後、特に「発明を実施するための形態」と題されたセクションを読んだ後、本実施形態の特徴が、背景で検討された問題をどのように解決し、本明細書に記載される利点を提供するか理解するであろう。
【0038】
第1態様において、患者に吸入可能な薬剤を送給するための陽圧式吸入器を提供し、この陽圧式吸入器は、内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバーと、前記ポンプチャンバーの前記内部側壁に係合するピストンと、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブと、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブと、前記流出バルブに動作可能に接続された患者送給ポートと、を備え、前記ピストンは、ポンプチャンバーの長さに等しい、又はそれ未満の前記ピストンの移動距離を有するように構成されており、前記ピストンの移動距離は既知の送給量を規定しており、前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ピストンが前記ポンプチャンバーを1回目に移動する際に負圧が発生し、これによりエアロゾル化/気化した薬剤が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入する既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を生成するように構成されており、前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、前記患者吸入用の既知量のエアロゾル化/気化した薬剤が前記ピストンの動きによって変位し、前記患者による陽圧吸入のために前記流出バルブを介して前記患者送給ポートから排出されるように構成されている。
【0039】
第1態様の実施形態において、前記陽圧式吸入器はハンドルも有し、前記ハンドルは前記ピストンに固着され、また前記ハンドルは前記患者送給ポートと前記ポンプチャンバーとの間にあるよう構成されている。
【0040】
第1態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器はエアロゾル化/気化した薬剤を前記陽圧式吸入器に導入するための流入ポートも有し、前記流入ポートは前記流入バルブに動作可能に接続される。
【0041】
第1態様の別の実施形態において、前記流入ポートは、510スレッド気化器のマウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、また前記流入ポートは、さらに、前記510スレッド気化器のマウスピースの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を形成するように構成される。
【0042】
第1態様の別の実施形態において、前記流入ポートは、正の定量吸入器(「pMDI」)におけるマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、また前記流入ポートは、さらに、pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成される。
【0043】
第1の態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、流入ポートバルブであって、流入バルブ一次流入ポート、流入バルブ自由裁量流入ポート、前記流入ポートバルブ流出ポート、及び流入ポートバルブ部材を有する、該流入ポートバルブをも備え、前記流入バルブ流出ポートは、前記ポンプチャンバー流入バルブに動作可能に接続されており、前記流入バルブ一次流入ポートは前記流入ポートに動作可能に接続されており、前記流入ポートバルブ部材は、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にする第1位置と、前記流入バルブ自由裁量流入ポートからの流れを可能にする第2位置との間で切り替わるように構成されており、前記流入ポートは、エアロゾル化/気化した薬剤生成用の医療デバイスの挿入を受け入れるように構成されており、前記流入ポートは、さらに、前記流入ポートと前記生成用医療デバイスの流出部との間にほぼ気密な封止を生ずるように構成されており、それによって、前記流入ポートバルブ部材は、流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にするために前記第1位置をとるよう作動させて、前記生成用医療デバイスによって生成されるエアロゾル化/気化した薬剤の第1規定量を負圧によって前記ポンプチャンバーに導入させ、またさらにそれによって、前記流入ポートバルブ部材は、流入バルブ任意流入ポートからの流れを可能にするために前記第2位置をとるよう作動させることができる。
【0044】
第1態様の別の実施形態において、前記流入バルブ自由裁量流入ポートは、大気への開口部に動作可能に接続されており、これにより、前記第1規定量の空気を負圧によって前記ポンプチャンバー内に導入して、エアロゾル化/気化した薬剤の第1規定量を希釈することができる。
【0045】
第1態様の別の実施形態において、前記流入バルブ自由裁量流入ポートは、自由裁量的な医療デバイスに動作可能に接続され、これにより第2の量の気体が負圧によって前記ポンプチャンバー内に導入されて、第1規定量のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈することができる。
【0046】
第1態様の別の実施形態において、前記第2の量の気体は治療用ガスを含む。
【0047】
第1態様の別の実施形態において、治療用ガスは純酸素を含む。
【0048】
第1態様の別の実施形態において、前記第2の量の気体は第2のエアロゾル化/気化した薬剤である。
【0049】
第1態様の別の実施形態において、前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤はリドカインである。
【0050】
第1態様の別の実施形態において、前記生成用医療デバイスはpMDIであり、また流入ポートはpMDIの前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、及び前記流入ポートは、さらに、前記pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成されている。
【0051】
第1態様の別の実施形態において、前記生成用医療デバイスは510スレッド気化器であり、また前記流入ポートは前記510スレッド気化器の前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、及び前記流入ポートは、さらに、前記510スレッド気化器の挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成される。
【0052】
第1態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、510スレッド気化器レストを備え、前記510スレッド気化器レストは、前記510スレッド気化器のバッテリー部を固定するように構成され、これにより前記510スレッド気化器の前記マウスピースの前記流入ポートへの挿入、及びバッテリー部の前記510スレッド気化器レストへの挿入の際に、前記バッテリー部の重量は、前記流入ポートと前記マウスピースとの間のほぼ気密な封止を維持するように支持される。
【0053】
第1態様の別の実施形態において、前記流入ポートバルブはボールバルブである。
【0054】
第1態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、チャンバーと、エアロゾル化/気化した薬剤生成用医療デバイスの挿入を受け入れるように構成された流入ポートとを有する保留チャンバーも備え、前記流入ポートは、さらに、前記流入ポートと生成用医療デバイスの流出ポートとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成され、及び前記保留チャンバーは、前記流入バルブと動作可能かつ気密連通状態に接続される。
【0055】
第1態様の別の実施形態において、前記生成用医療デバイスはpMDIであり、また前記生成用医療デバイスの前記流出ポートはpMDIのマウスピースである。
【0056】
第1態様の別の実施形態において、前記生成用医療デバイスは、510スレッド気化器であり、また前記生成用医療デバイスの前記流出ポートは前記510スレッド気化器のマウスピースである。
【0057】
第1態様の別の実施形態において、前記ピストンは、前記ポンプチャンバーを第1セクション及び第2セクションに動作可能に分割し、前記流入バルブは、ポンプチャンバーの第1セクションに動作可能に接続され、前記流出バルブは、前記ポンプチャンバーの第1セクションに動作可能に接続されており、前記陽圧式吸入器は、さらに、前記ポンプチャンバーの第2セクションに動作可能に接続された二次流入バルブと、前記ポンプチャンバーの第2セクション、及び前記患者送給ポートに動作可能に接続された二次流出バルブと、を備え、また前記ポンプチャンバー、前記ピストン、前記流入バルブ、前記流出バルブ、前記二次流入バルブ、及び前記二次流出バルブは、前記陽圧式吸入器が、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが2回目に移動する際に、またエアロゾル化/気化した薬剤がポンプチャンバーの前記第1セクションから前記患者送給ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬剤の第2投与量が前記二次流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第2セクションに吸入されるように、複動式作用を有するように構成されている。
【0058】
第1態様の別の実施形態において、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが3回目に移動する際に、またエアロゾル化/気化した薬剤の前記第2投与量が前記ポンプチャンバーの前記第2セクションから患者送給ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬剤の第3投与量が流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第1のセクションに吸入される。
【0059】
第1の態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、前記ポンプチャンバーがエアロゾル化/気化した薬剤を含んでいることを確認するために、前記ポンプチャンバーを見ることを可能にする透明な観察窓を備える。
【0060】
第1態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、前記ピストンに動作可能に接続されたモータを備え、前記モータは、前記ピストンの前記1回目の移動を駆動するように構成されている。
【0061】
第1態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、流量インジケータを備える。
【0062】
第1態様の別の実施形態において、前記流量インジケータは前記ピストンの移動速度を示す。
【0063】
第1態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、容積インジケータを備え、前記容積インジケータは、前記ピストンの前記第1の移動中に前記ピストンが移動した距離を示す。
【0064】
第1態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、ポンプチャンバーに吸入されるエアロゾル化/気化した薬剤の量を制御するための調整可能な停止部を備える。
【0065】
第1態様の別の実施形態において、陽圧式吸入器は、さらに、前記ポンプチャンバーの規定された部分がエアロゾル化/気化した薬剤で満たされたときにユーザーに通知する通知デバイスを備える。
【0066】
第1態様の別の実施形態において、前記通知デバイスは音を発する。
【0067】
第1態様の別の実施形態において、前記通知デバイスは光を発する。
【0068】
第1態様の別の実施形態において、前記患者送給ポートは、患者用マウスピースを有する。
【0069】
第1態様の別の実施形態において、前記患者マウスピースは取り外し可能である。
【0070】
第1の態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、患者がエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者送給ポート経由で前記ポンプチャンバー内に押し戻すことを防止するための一方向の吹き戻し防止バルブを備える。
【0071】
第2態様において、陽圧下で患者の肺に既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を送給する方法を提供し、この方法は、陽圧式吸入器を選択するステップであって、前記陽圧式吸入器は、内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバー、前記ポンプチャンバーの前記内部側壁に係合するピストン、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブ、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブ、前記流出バルブに動作可能に接続された患者送給ポート、を有し、前記ピストンは、前記ポンプチャンバーの長さに等しい、又はそれ未満のピストンの移動距離を有するように構成されており、前記ピストンの移動距離は既知の送給量を規定しており、前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが1回目に移動する際に負圧が発生し、これによりエアロゾル化/気化した薬剤が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を生成するように構成されており、前記ポンプチャンバー及び前記ピストンが、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが2回目に移動する際に、患者の吸入用の既知量のエアロゾル化/気化した薬剤が前記ピストンの動きによって変位し、患者による陽圧吸入のために流出バルブを介して前記患者送給ポートから排出されるように構成されている、該陽圧式吸入器を選択するステップと、医療デバイスを前記入力ポートに装着するステップと、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンに対して1回目の移動をさせ、また負圧を発生させ、これによりエアロゾル化/気化した薬剤が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を生成するステップと、患者の唇を前記患者送給ポート上で閉じるステップと、前記ピストンを前記ポンプチャンバー内で2回目の移動をさせ、これにより既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を前記ピストンの動きによって変位させ、既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を流出バルブ経由で前記患者送給ポートから排出するステップと、陽圧下で既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を患者に吸入させるステップと、を備える。
【0072】
第2態様の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、ハンドルを更に有し、前記ハンドルは前記ピストンに固着され、また前記ハンドルは前記患者送給ポートと前記ポンプチャンバーとの間にあるよう構成されている。
【0073】
第2態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、エアロゾル化/気化した薬剤を前記陽圧式吸入器に導入するための流入ポートも有し、前記流入ポートは流入バルブに動作可能に接続される。
【0074】
第2態様の別の実施形態において、前記流入ポートは、510スレッド気化器のマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、また前記流入ポートは、さらに、510スレッド気化器のマウスピースの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように更に構成される。
【0075】
第2態様の別の実施形態において、前記流入ポートは、正の定量吸入器(「pMDI」)におけるマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、また前記流入ポートは、さらに、前記pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成される。
【0076】
第2態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、流入ポートバルブであって、流入バルブ一次流入ポート、流入バルブ自由裁量流入ポート、流入ポートバルブ流出ポート、及び流入ポートバルブ部材を有する、該流入ポートバルブを備え、前記流入バルブ流出ポートは、前記ポンプチャンバー流入バルブに動作可能に接続されており、前記流入バルブ一次流入ポートは、前記流入ポートに動作可能に接続されており、前記流入ポートバルブ部材は、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にする第1位置と、前記流入バルブ自由裁量流入ポートからの流れを可能にする第2位置との間で切り替わるように構成されており、前記流入ポートは、エアロゾル化/気化した薬剤生成用医療デバイスの挿入を受け入れるように構成されており、前記流入ポートは、さらに、前記流入ポートと前記生成用医療デバイスの流出部との間にほぼ気密な封止を生ずるように構成されており、それによって、前記流入ポートバルブ部材は、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にするために第1位置をとるよう作動させて、前記生成用医療デバイスによって生成されるエアロゾル化/気化した薬剤の第1規定量が、負圧によって前記ポンプチャンバーに導入されるようにすることができ、またさらに、それによって、前記流入ポートバルブ部材は、前記流入バルブ自由裁量流入ポートからの流れを可能にするために、第2位置をとるよう作動させることができ、また前記方法は、さらに、前記流入バルブ一次流入ポートと前記流入バルブ自由裁量流入ポートとの間での選択をするために、前記流入ポートバルブ部材を作動させるステップを備える。
【0077】
第2態様の別の実施形態において、前記流入バルブ任意流入ポートは、大気への開口部に動作可能に接続されており、これにより第1規定量の空気を負圧によって前記ポンプチャンバーに導入して、前記第1規定量のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈する。
【0078】
第2態様の別の実施形態において、前記流入バルブ自由裁量流入ポートは、自由裁量的な医療デバイスに動作可能に接続され、これにより第2の量の気体が負圧によって前記ポンプチャンバー内に導入されて、前記エアロゾル化/気化した薬剤の前記第1規定量を希釈することができる。
【0079】
第2態様の別の実施形態において、前記第2の量の気体は治療用ガスを含む。
【0080】
第2態様の別の実施形態において、前記治療用ガスは純酸素を含む。
【0081】
第2態様の別の実施形態において、前記第2の量の気体は第2のエアロゾル化/気化した薬剤である。
【0082】
第2態様の別の実施形態において、前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤は、リドカインである。
【0083】
第2態様の別の実施形態において、前記生成用医療デバイスはpMDIであり、また前記流入ポートは前記pMDIの前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、及び前記流入ポートは、さらに、前記pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成される。
【0084】
第2態様の別の実施形態において、前記生成用医療デバイスは510スレッド気化器であり、また前記流入ポートは、前記510スレッド気化器の前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、及び前記流入ポートは、さらに、前記510スレッド気化器の挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成される。
【0085】
第2態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、510スレッド気化器レストを備え、前記510スレッド気化器レストは、前記510スレッド気化器のバッテリー部を固定するように構成され、これにより前記510スレッド気化器の前記マウスピースの前記流入ポートへの挿入、及びバッテリー部の前記510スレッド気化器レストへの挿入の際に、前記バッテリー部の重量は、前記流入ポートと前記マウスピースとの間のほぼ気密な封止を維持するよう支持される。
【0086】
第2態様の別の実施形態において、前記流入ポートバルブはボールバルブである。
【0087】
第2態様の別の実施形態において、前記陽圧式吸入器は、さらに、チャンバーと、エアロゾル化/気化した薬剤生成用医療デバイスの挿入を受け入れるように構成された流入ポートと、を有する保留チャンバーを備え、前記流入ポートは、さらに、前記流入ポートと前記生成用医療デバイスの流出ポートとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成され、また前記保留チャンバーは前記流入バルブに動作可能に接続される。
【0088】
第2態様の別の実施形態において、前記生成用医療デバイスはpMDIであり、また前記生成用医療デバイスの前記流出ポートは前記pMDIのマウスピースである。
【0089】
第2態様の別の実施形態において、前記生成用医療デバイスは510スレッド気化器であり、また生成用前記医療デバイスの前記流出ポートは前記510スレッド気化器のマウスピースである。
【0090】
第2態様の別の実施形態において、前記ピストンが前記ポンプチャンバーを第1のセクション及び第2のセクションに動作可能に分割し、前記流入バルブがポンプチャンバーの前記第1セクションに動作可能に接続されており、前記流出バルブが前記ポンプチャンバーの前記第1セクションに動作可能に接続されており、前記ポンプチャンバーの第2セクションに動作可能に接続された二次流入バルブと、前記ポンプチャンバーの前記第2セクション及び前記患者送給ポートに動作可能に接続された二次流出バルブと、を備えており、前記ポンプチャンバー、前記ピストン、前記流入バルブ、前記流出バルブ、前記二次流入バルブ、及び前記二次流出バルブは、前記陽圧式吸入器が、前記ポンプチャンバー内を前記ピストンが2回目に移動する際に、エアロゾル化/気化した薬剤が前記ポンプチャンバーの前記第1セクションから前記患者送給ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬剤の第2投与量が前記二次流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第2セクションに吸入されるように、陽圧式吸入器が複動式作用を有するように構成される。
【0091】
第2態様の別の実施形態において、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが3回目に移動する際に、またエアロゾル化/気化した薬剤の前記第2投与量が前記ポンプチャンバーの前記第2セクションから患者送給ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬剤の第3投与量が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第1セクションに吸入される。
【0092】
第3態様において、患者の呼吸を介して患者に薬剤を送給する方法が提供され、この方法は、既知の容積を有する前記ポンプチャンバーを選択するステップと、第1のエアロゾル化/気化した薬剤を、前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内に分散させるステップと、前記ポンプチャンバーを封止し、これにより、前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内に追加の空気が流入するのを防止し、また前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内で前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈するステップと、前記患者の空気通路を、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された患者送給ポートに動作可能に係合させるステップと、及び陽圧を使用して、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を前記ポンプチャンバーの前記既知の容積から前記患者送給ポートを介して変位させ、前記患者が息を吸う間に陽圧で前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者の空気通路に及び前記患者の肺内に送給するステップと、を備える。
【0093】
第3態様の実施形態において、前記患者が複数回の呼吸を行うことで、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者の空気通路に及び前記患者の肺内に送給するステップを完了する。
【0094】
第3態様の別の実施形態において、前記患者送給ポートはマウスピースであり、また前記動作可能に係合させるステップは、さらに、前記患者に前記マウスピース上で前記患者の唇を閉じさせるステップを含む。
【0095】
第3態様の別の実施形態において、前記患者送給ポートは2つの突起がある鼻カニューレであり、また前記動作可能に係合させるステップは、さらに、前記患者に前記突起を前記患者の鼻孔に挿入させるステップを含む。
【0096】
第3態様の別の実施形態において、前記患者送給ポートはマスクであり、前記動作可能に係合させるステップは、さらに、前記マスクで前記患者の鼻及び口を覆うステップを含む。
【0097】
第3態様の別の実施形態において、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者の空気通路に送給した後、前記患者が息を吐く前に、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者の肺内に深く強制流入させるために、陽圧で前記患者の気道に補助空気を送給するステップを備える。
【0098】
第3態様の別の実施形態において、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤は、混合物内に少なくとも2つの薬剤を含む。
【0099】
第3態様の別の実施形態において、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤における患者の呼気後、第2のエアロゾル化/気化した薬剤を前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内に分散させるステップと、前記ポンプチャンバーを封止し、これにより、前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内に追加の空気が流入するのを防止し、また前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内で前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈するステップと、陽圧を使用して、前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤を前記ポンプチャンバーの前記既知の容積から前記患者送給ポートを介して変位させ、前記患者が息を吸う間に陽圧で前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者の空気通路に及び前記患者の肺内に送給するステップと、を備える。
【0100】
第3態様の別の実施形態において、前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤は、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤とは異なる。
【0101】
第3態様の別の実施形態において、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤は麻酔剤であり、また前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤は、肺用薬剤である。
【0102】
第3態様の別の実施形態において、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤はリドカインであり、また前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤はアルブテロールである。
【0103】
第4態様において、エアロゾル/気化器薬剤用量検査システムを提供し、この検査システムは、複数の陽圧式吸入器であって、前記陽圧式吸入器各々は、内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバー、前記ポンプチャンバーの前記内部側壁に係合するピストン、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブ、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブ、前記流出バルブに動作可能に接続された患者送給ポート、を有し、前記ピストンは、前記ポンプチャンバーの長さに等しい、又はそれ未満の前記ピストンの移動距離を有するように構成されており、前記ピストンの移動距離は既知の送給量を規定しており、前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが1回目に移動する際に負圧を発生し、これによりエアロゾル化/気化した薬剤が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を生成するように構成されており、前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが2回目に移動する際に、患者吸入用の前記既知量のエアロゾル化/気化した薬剤が前記ピストンの動きによって変位し、前記患者による陽圧吸入のために前記流出バルブを介して前記患者送給ポートから排出されるように構成されている、該複数の陽圧式吸入器と、容量検査台であって、前記複数の陽圧式吸入器が備え付けられた支持テーブル、前記複数の陽圧式吸入器各々の前記患者送給ポートそれぞれと気密に連通しているレシーババルブ、及び捕捉容器であり、前記レシーババルブが、前記捕捉容器と気密に連通しており、前記複数の前記陽圧式吸入器各々の前記ピストンそれぞれが移動する際に、前記陽圧式吸入器各々の前記エアロゾル化/気化した薬剤が前記レシーババルブを通って前記捕捉容器内に排出されるように構成されている、該捕捉容器を有する、該容量検査台と、を備えている。
【0104】
第4態様の実施形態において、前記レシーババルブは、前記捕捉容器に向かってバイアス印加された一方向のバルブとして構成されている。
【0105】
第4態様の別の実施形態において、前記捕捉容器は膨張可能なバルーンを有する。
【0106】
第4態様の別の実施形態において、前記捕捉容器は閉鎖バルブを有し、これにより、前記閉鎖バルブは、閉じたときに、前記陽圧式吸入器各々のエアロゾル化/気化した薬剤の漏洩を防止し、またさらに、前記捕捉容器を前記レシーババルブとの気密連通から取り外すことができるようになっている。
【0107】
第5態様において、エアロゾル/気化器薬剤用量を検査する方法を提供し、この方法は、複数の陽圧式吸入器を含むエアロゾル/気化器薬剤用量検査システムを準備するステップであって、前記エアロゾル/気化器薬剤用量検査システムは、複数の陽圧式吸入器であり、前記陽圧式吸入器の各々は、内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバー、前記ポンプチャンバーの前記内部側壁に係合するピストン、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブ、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブ、前記流出バルブに動作可能に接続された患者送給ポート、を有し、前記ピストンは、前記ポンプチャンバーの長さに等しい、又はそれ未満の前記ピストンの移動距離を有するように構成されており、前記ピストンの移動距離は既知の送給量を規定しており、前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが1回目に移動する際に負圧を発生し、これによりエアロゾル化/気化した薬剤が流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を生成するように構成されており、前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが2回目に移動する際に、前記患者吸入用の前記既知量のエアロゾル化/気化した薬剤が前記ピストンの動きによって変位し、前記患者による陽圧吸入のために前記流出バルブを介して前記患者送給ポートから排出されるように構成されている、該複数の陽圧式吸入器と、容量検査台であって、前記複数の陽圧式吸入器が備え付けられた支持テーブル、前記複数の陽圧式吸入器各々の前記患者送給ポートのそれぞれと気密に連通しているレシーババルブ、及び捕捉容器であり、前記レシーババルブが、前記捕捉容器と気密に連通しており、前記複数の前記陽圧式吸入器各々の前記ピストンそれぞれが移動する際に、前記陽圧式吸入器各々の前記エアロゾル化/気化した薬剤が前記レシーババルブを通って前記捕捉容器内に排出されるように構成されている、該捕捉容器、を有する、該該容量検査台と、を含む、該エアロゾル/気化器薬剤用量検査システムを準備するステップと、前記複数の陽圧式吸入器各々の複数の流入ポートに、同一の薬剤を装備した複数の同一の医療デバイスを接続するステップと、前記陽圧式吸入器各々の前記ピストンを移動させて、前記陽圧式吸入器各々からエアロゾル化/気化した薬剤の第1の吸引サンプルを供給し、また前記捕捉容器に収集するステップと、前記捕捉容器を取り外し、前記複数の陽圧式吸入器の既知の容積及び前記複数の陽圧式吸入器の数に基づいて、単位体積当たりのエアロゾル化/気化した薬剤の濃度を分析するステップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0108】
以下の説明では、明細書及び図面全体にわたって、同様の部品又はステップには、それぞれ同じ数字が付されている。図面の図は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、特定の図は、明確さと簡潔さのために、誇張された形又は一般化された形で示されることがある。しかし、本開示自体、並びにその好ましい使用態様、さらなる目的並びに利点は、添付の図面と併せて読む際に、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。
【
図1】(従来技術)従来技術の加圧式定量噴霧器(「pMDI」)を示す。
【
図2】(従来技術)pMDIと共に使用するための従来技術の呼吸保留チャンバーを示す。
【
図3】(従来技術)エピディオレックスの1日2回の経口投与溶液によるCBDの血中濃度の経時的グラフである。
【
図4A】(従来技術)4.25mgの経口溶液および5mgのカプセルを含む2つの形態のドロナビノールを投与した場合の、経時的なTHCの血漿平均濃度(mg/ml)の従来技術グラフである。
【
図4B】(従来技術)4.25mgの経口溶液および5mgのカプセルを含む2つの形態のドロナビノールを投与した場合の、経時的なTHCの血漿平均濃度(mg/ml)の従来技術グラフである。
【
図5】(従来技術)THCを3.55%含む1本の大麻たばこを吸っている間の、様々なカンナビノイドの血漿平均濃度(mg/ml)の従来技術グラフであり、矢印は大麻たばこの1回の吸入又はパフを示している。
【
図6】(従来技術)経口投与後のヒト脳内CBDの平均濃度(ng/g)の従来技術グラフである。
【
図7】(従来技術)吸入(ベイピング)による投与後の、ヒトの脳内CBDの平均濃度(ng/g)の従来技術グラフである。
【
図8】第1実施形態の陽圧式吸入器の要素を示す概略図である。
【
図9】第1の実施形態の陽圧式吸入器の特定の要素の相互作用の概略図である。
【
図10】陽圧式吸入器の第1の実施形態の特定の要素の相互作用のさらなる概略図である。
【
図11】ベイプペン、pMDI又は他の気化器などのエアロゾル投薬デバイスに接続するための、陽圧式吸入器の送給チャンバーキャップの概略図である。
【
図12】陽圧式吸入器の第2の実施形態のチャンバーキャップの第1の実施形態の説明図であり、チャンバーキャップの第1の実施形態は、従来の「510スレッド」ベイプペンの挿入及び使用を可能にするように構成されている。
【
図13】気化した大麻を送給チャンバーに実質的に気密に送給するために、従来の「510スレッド」ベイプペンがチャンバーキャップに挿入され、チャンバー内に実質的に密封された状態の、
図11に示すチャンバーキャップの第1実施形態の説明図である。
【
図14】2つの従来の「510スレッド」ベイプペンの取り付けを可能にするように構成されたチャンバーキャップの第2の実施形態の説明図である。
【
図15】ベイプペンチャンバーキャップを備え、そこから延びる従来のベイプペンを備えて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態の説明図である。
【
図16】ベイプペンチャンバーキャップを備えて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態の説明図であるが、従来のベイプペンはそこから取り外されている。
【
図17】ベイプペンチャンバーキャップを備えて構成され、そこから従来のベイプペンが延びており、更にピストンが最も遠くまで延びている状態の、陽圧式吸入器の第2の実施形態の説明図である。
【
図18】陽圧式吸入器の第2の実施形態のチャンバーキャップの第3の実施形態の端面外観図であり、チャンバーキャップは、従来技術のpMDIのマウスピースの挿入を可能にするように構成されている。
【
図19】従来技術のpMDIがキャップに挿入された状態の、
図16に示されたチャンバーキャップの第3の実施形態の端面内部の説明図である。
【
図20】従来技術のpMDIがキャップに挿入された、
図16に示されたチャンバーキャップの第3の実施形態のサイドオン外観説明図である。
【
図21】チャンバーキャップの第3の実施形態が所定の位置にあり、従来技術のpMDIがキャップに挿入された状態の、陽圧式吸入器の第2の実施形態の側面説明図である。
【
図22】陽圧式吸入器の第2の実施形態のチャンバーキャップの第4の実施形態の説明図であり、チャンバーキャップの第4の実施形態は、従来技術のpMDIで使用されるような従来技術のキャニスターおよび計量バルブの挿入および使用を可能にするように構成されているが、従来技術のアクチュエータ及びマウスピースは備えていない。
【
図23】
図20のチャンバーキャップの第4の実施形態の説明図であり、計量バルブのステムの少なくとも一部がチャンバーキャップ内に挿入されるように、キャップに動作可能に接続された従来技術のキャニスターおよび計量値を備えている。
【
図24】ベイプペンのチャンバーキャップを用いて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が行う手順の図である。
【
図25】ベイプペンのチャンバーキャップを用いて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が行う手順の図である。
【
図26】ベイプペンのチャンバーキャップを用いて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が行う手順の図である。
【
図27】ベイプペンのチャンバーキャップを用いて構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が行う手順の図である。
【
図28】pMDIアクセス可能なチャンバーキャップで構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が取る手順の図である。
【
図29】pMDIアクセス可能なチャンバーキャップで構成された陽圧式吸入器の第2の実施形態を使用するために患者が取る手順の図である。
【
図30】陽圧式吸入器の第3の実施形態の説明図であり、この陽圧式吸入器は、流入ポートバルブであって、薬剤、ガス、又は空気が流入バルブに流入し、またしたがってポンプチャンバーに流入する医療デバイスをユーザーが変更することができる、該流入ポートバルブと、流入ポートバルブの一次流入ポートに取り付けられた510スレッドベイプペンと、及びピストンの1回目の移動後に伸長位置にあるポンプハンドル/患者用マウスピースとを備える。
【
図31】陽圧式吸入器の第3実施形態の説明図であり、流入ポートバルブを備え、ユーザーは、薬剤、ガス、又は空気が流入バルブに流入することにより、ポンプチャンバーに流入する医療デバイスを変更することができ、510スレッドベイプペンが流入ポートバルブ一次流入ポートから切り離されている状態である。
【
図32】陽圧式吸入器の第3の実施形態の説明図であり、流入ポートバルブを備えており、ユーザーは、薬剤、ガス、又は空気が流入バルブに流入することにより、ポンプチャンバーに流入する医療デバイスを変更することができ、510スレッドベイプペンが流入ポートバルブ一次流入ポートに取り付けられ、ピストンの2回目の移動後にポンプハンドル/患者マウスピースが圧縮位置にある状態である。
【
図33】エアロゾル化された/気化された薬剤の体積及び量をテストするためのテストアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0109】
以下の説明は、当業者が本発明を製造及び使用することを可能にするために提示され、特定の用途並びにその要件の文脈で提供される。開示された実施形態に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、議論された一般的な原理は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、他の実施形態およびアプリケーションに適用することができる。したがって、本発明は、開示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本発明は、本明細書に記載された原理及び特徴と一致する可能な最大の範囲を与えられるべきである。
【0110】
本明細書に開示されている実施形態は、薬剤、エアロゾル、気化した煙、又は燻蒸剤を患者の肺に送給し、場合によっては薬剤、若しくは蒸気の投与中に陽圧を提供する目的で、手で操作するポンプ、若しくはポンプとして構成されたチャンバーのためのデバイスに関するものである。本明細書に開示される実施形態は、更にこれらの要件を達成する任意の適切な送給システムを使用して、吸入された薬剤の正確な投与を提供するために、既知量の薬剤を、既知量の空気、又は気体に添加する方法を開示し、対処する。
【0111】
本明細書で一般的に陽圧式吸入器と称される本発明の実施形態は、薬剤、エアロゾル、気化した煙、又は燻蒸剤を添加することができる閉鎖チャンバーを含む。患者は、ポンプを使用して密閉されたチャンバーに陽圧をかけながら、密閉されたチャンバーから吸引(吸入)し、それによってチャンバーの容積が減少し、患者の吸入と陽圧の両方を介して薬剤が肺と口腔咽頭に送給される。これは、現在の呼吸チャンバーやpMDIが、開いていて、吸入中に空気が薬剤と混ざることを可能にしており、患者の肺に薬剤を駆出するために閉じた容積の空気からの陽圧に依存していないのとは対照的である。
【0112】
開示された陽圧式吸入器デバイスの実施形態は、肺内に正確な投与量の薬剤を送給するために陽圧に依存している。このデバイスは、患者、又はユーザーに送給すべき用量を決定するために、既知量のエアロゾル化、又は気化した薬剤が導入される送給チャンバーの既知の容積に依存する。このデバイスは、エアロゾル、又は空気中に浮遊した状態で送給できるあらゆる種類の暖かい若しくは冷たい蒸気、及び気体状態、その他の物質に使用することができる。これには、大麻製品、ニコチン製品、麻酔剤、エアロゾル化された任意な薬剤が含まれる。
【0113】
これらの化合物はすべて、このデバイスによって送給され、化合物の正確な用量が可能になる。吸入された少量の薬物は、経口投与を増強することができる。この送給システムでは、そのような薬剤を正確に送給することができる。吸入薬と経口薬を組み合わせることで、全身の濃度を均一にすることができ、潜在的には経口薬の用量を減らすことができる。
【0114】
さらに,送給チャンバーが吸入物の量を測定するため,用量(dosage)を制御することができる。投与量(dose)は、患者(消費者)のニーズに合わせて測定し、変更することができる。チャンバー内の空気の量、並びにチャンバー内に送給すべきエアロゾル及び薬剤の用量と混合させることができる外気の量を変えることで、投与量及び濃度を変えることができる。薬剤と空気の比率を変えることで、投与量と使いやすさを制御する。これにより、(薬剤の投与量を変えずに)薬剤の濃度を低くしたり高くしたりすることができる。高濃度の薬剤に耐えられない患者には、チャンバーの容積を変えることで、薬剤の投与量を変えずに低濃度の薬剤を投与することができる。薬剤又はマリファナの蒸気のチャンバー内への流入を制御することで、チャンバー内の薬剤の濃度を制御することができる。
【0115】
また、このシステムでは、薬剤の投与中に、患者にとって快適な速度で患者自身に陽圧を与えることができる。これにより、上気道の抵抗を克服することができる。患者は、吸収率の高い肺胞に薬剤を押し込むことができる。陽圧は吸収を改善する。
【0116】
チャンバーに吸い込まれる薬剤の量は制御され、再現可能であるため、患者は薬剤を投与し、必要なだけの呼吸回数を使用することができる。ユーザーが送給チャンバーを空にするために1回の吸入呼吸、2回の吸入呼吸、又は5~7回の吸入呼吸を使用しても、最終的な薬剤の用量には影響しない。肺に入る量が薬剤の投与量を決定する。薬剤の濃度を変えることなく、1回又は複数回の呼吸を行うことができる。エアロゾル化された薬剤は、一般的に密閉された送給チャンバーから逃げることができず(患者の肺に送給するためにピストンエンド/マウスピースを介したような意図された場合を除く)、送給される薬剤の量は一定で再現性がある。投与される薬剤の量は、吸入される量によって決る。咳をしたり、止めたりすることは、その1回の呼吸で吸入された薬剤の量にのみ影響する。いくつかの実施形態では、送給チャンバー及び/又はピストンは、ピストンの第1ストロークによって薬剤が送給された後に、吸入に空気の量を加えることができる「複動式作用(double-action)」を含むことができる。複動式システムの2回目のピストンストロークでは、空気(このとき追加の薬剤なし)が、1回目のピストンストロークで吸入された薬剤を患者の肺の中に更に押し込む役割を果たす。
【0117】
薬剤の投与量は、患者がどれだけ大きく息を吸えるかには依存しない。吸入中に患者が咳をしても、送給された薬剤の全量が損なわれるわけではなく、その特定の吸入呼吸中に肺に入った薬剤だけが損なわれる。慢性閉塞性肺疾患では、一度に吸い込める空気の量が制限されることがあるが、チャンバーを空にするために必要なだけ多くの呼吸を使用できるので、薬剤の全体的な投与量には影響しない。
【0118】
研究(マリファナ喫煙:パフの量と息止めの変化の影響)では、被験者は30、60、又は90mlの吸気を教えられた。既知の量を吸うように指導することで、吸った量と薬剤の投与量を定量化することができたのである。この研究の研究者たちは、咳を防ぐために局所的な吸入麻酔剤を提案した。しかし、薬剤の濃度を薄めることで、気道への刺激を和らげることができることを認識していなかった。本明細書に開示されている陽圧式吸入器の実施形態では、薬剤の投与量を体積で希釈して、より低い濃度で同一用量を維持することができるので、呼吸器管への刺激を避けることができる。さらに、開示された陽圧式吸入器デバイスを使用する患者は、同一薬剤用量を達成するために複数回の呼吸を行うことができる。薬剤の用量を管理・測定できなければ、薬剤の研究はできない。現在開示されている陽圧式吸入器デバイスは、吸入された薬剤の実際の用量を制御及び定量化することができる。
【0119】
開示された陽圧式吸入器デバイスの実施形態はまた、薬剤に共存可能性がある場合、2つ以上の薬剤を同時に送給チャンバーに組み合わせることによって、補助的な酸素の追加、又は2つ以上の薬剤の組み合わせを同時に送給させることを可能にする。さらに、開示された実施形態では、患者が許容できる範囲で、ゆっくり又は速く薬剤を送給させることができる。患者は、残りの薬剤の送給を継続する前に、数回の呼吸のために停止して休むことさえできる。
【0120】
現在の医療大麻の使用者は、受入れる薬剤の投与量を正確にコントロールする方法がない。例えば,ベイプペンのカートリッジを買い換えるなど,新しい製品に変えるたびに,適切な用量を見つけるまで試行錯誤しなければならない。用量送給システムを定量化することで、開示された陽圧式吸入器の実施形態は、患者が薬剤を正確に供給することを可能にする。気化用の大麻油は、通常、バッチで生産される。通常、メーカーは大量の液体を生産し、それを小さなカートリッジに入れる。数百から数千のカートリッジが製造される。ベイプペンなどの既知の気化デバイスを、本明細書で「容積式吸入器」とも称される陽圧式吸入器と組み合わせて使用することにより、各大麻投与の用量を正確に測定することができる。製造者は、本明細書に開示された陽圧式吸入器/容積式吸入器の実施形態を使用して、デバイスの既知の容積に吸い上げられたTHC、CBD、及び/又は他の化学物質の量を正確に計算することができる。一度計算すれば、1回の吸入での薬剤の量は、製造されてカートリッジにパッケージされた大麻油のそのバッチ全体で一貫しているはずである。この情報があれば、医師は患者にこのデバイスを紹介し、1回の治療で投与される薬剤(THC、CBDなど)の量を知ることができる。これにより、正確なラベリングとユーザーへの適切な指示が可能になる。
【0121】
陽圧吸入デバイスの実施形態は、別個の保留チャンバーの有無にかかわらず、改良されたハンドポンプで構成されている。ポンプとチャンバーのサイズと容積は、使用の際に応じて変えることができる。別々のチャンバーを使用する場合、異なるチャンバーを同じポンプに挿入することができる。図は、ハンドポンプの吸気口に別のチャンバーを追加したものである。このアプリケーションでは、ハンドポンプを薬剤の送給用に改造している。最終的には、これらの図に示されている追加されたチャンバーは、デバイスに完全に組み込まれてもよい。
【0122】
特定の実施形態では、ユーザーは、ハンドポンプの吸気部に保留チャンバーを取り付けて、そこに薬剤を挿入したり、ポンプチャンバーに薬剤を直接注入したりすることができる。保留チャンバーは、ポンプチャンバーのマニホールドとして機能することができる。保留チャンバーを使用すると、ハンドポンプの吸引力を利用して、pMDIなどの気化器から薬剤を吸引することができる。保留チャンバーがない場合は、ポンプチャンバーへのポートにより、ポンプチャンバーの既知の容積に薬剤を注入することができる。
【0123】
保留チャンバーの容積は変化させることができる。アルブテロールデバイスなどのエアロゾルデバイスの場合、保留チャンバーは初期投与量の薬剤を受け入れるのに十分な大きさである。薬剤は、保留チャンバー、又はポンプチャンバーのいずれかに導入される。保留チャンバーを使用する場合は、ポンプチャンバーの開口部から薬剤と空気の混合物をポンプ内に引き込む。ポンプチャンバーが一杯になると、ポンプのピストンを押し下げることで薬剤が送給される。吐出はゆっくりと安定して行うことができ、デバイスの操作者がコントロールする。操作者は、薬剤を肺に押し込んでいることを想像することができる。
【0124】
大麻の場合、保留チャンバーのサイズは様々であり、存在しないこともある。総容積は、ポンプチャンバー自体、又はポンプチャンバーシリンダーの容積と追加された保留チャンバーのいずれかである。可能な限り多くの薬剤がポンプチャンバーに吸引される。投与量は、ポンプチャンバーのサイズ、ポンプが発生させる吸引の度合い、ポンプチャンバーに空気が入る場合はその量に関係する。オペレーターは2つのステージを使うことができる。初期ドロー(引込み)では薬剤を取り込み、残りのドローでは空気を取り込む。例えば、初期ドローはポンプチャンバー全体の容積の1/4である。その後、薬剤の注入を中止し、空気をチャンバー内に入れて残りの部分を満たす。空気/薬剤の混合物はそのとき、3対1であるが、薬剤の投与量は初期ドローによって決定される。
【0125】
陽圧式吸入器の開示された実施形態の要素は、一般に、本明細書で送給チャンバーとも呼ばれるポンプチャンバーとして機能する既知の容積のシリンダーと、送給チャンバーに薬剤を導入するための分離可能な送給チャンバーキャップ(又は保留チャンバー)の有無にかかわらず、ポンプチャンバーに材料を引き込み、ピストンのセンターロッドを介して材料を変位させるために上下に移動するピストンと、これらの動作を実現するための付随するバルブとを含む。陽圧式吸入器には、ピストンを上下動させるためのハンドルと、ピストンの一部、又はピストンの端部に取り付けられるマウスピースも含まれる。送給チャンバー、又はポンプチャンバー(既知の容積のチャンバー)は、空気/薬剤混合物をマウスピース内に駆出するために、ピストンで横断されるか、又は部分的に横断される。使用時には、空気がポンプチャンバーに吸い込まれ、オプションでバルブがポンプチャンバーを密閉し、薬剤がチャンバーに加えられ、送給チャンバーの一端から患者の肺内に排出される。
【0126】
図8~11を参照すると、第1実施形態の陽圧式吸入器8の要素は、既知の容積のシリンダー10と、シリンダー10の内部側壁に係合し、シリンダー10の長さの少なくとも一部を移動するピストン12とを含む。ピストン12の動きによって変位するシリンダーの既知の容積は、ポンプチャンバー14を構成する。ピストン12が上下に動くことで、ポンプチャンバー14に材料を引き込み、ピストン12のセンターロッド16を介して材料を変位することができる。ハンドル18は、ユーザーがピストン12を手動で上下に動かすことができるように、ピストン12に一体化されていてもよいし、別個に固着されていてもよい。陽圧式吸入器8を使用する患者の呼吸経路に材料を供給するために、マウスピース14がピストン12の一部であってもよい。陽圧式吸入器8はまた、保留チャンバーを含む送給チャンバーキャップ16を含んでもよい。送給チャンバーキャップ16は、以下で更に説明するように、様々なアプローチを用いて、送給チャンバー14への薬剤の送給を可能にするために、シリンダー10に一体化されていてもよいし、シリンダー10に固着可能であってもよい。シリンダー10、又は送給チャンバーキャップ16は、ポンプチャンバー14への既知量の空気の流入を可能にするための1つ以上のバルブを含む。
【0127】
本明細書に開示される実施形態の重要な態様は、送給チャンバー14への、空気の流入及び流出を制御するためのバルブ設計である。バルブ及びポンプの構成が、ピストンへの空気の流入を極めて良好に制御し、シリンダー内の負圧を制御している限り、様々な異なる構成が利用可能であり、本発明の実施形態で使用することができ、それによってピストンのダウンストロークでの薬剤の送給中に、相当な量の追加空気がピストン内に引き込まれないことで、エアロゾル薬剤が分配されている空気の既知量が変化する。
【0128】
そのような実施形態の1つは、ピストン12が下向きに動き、シリンダー10内に負圧を発生させることである。この負圧は、負圧の制御を可能にするように設計されたピストン12の動きに基づいて知られている。この負圧により、エアロゾルや蒸気が送給キャップ16の保留チャンバーからシリンダー10内に吸入される。ピストンがシリンダー10から離れたり、送給キャップ16が外れたりしないように、ピストン12がシリンダー10の上部に向かって上昇する際には、ピストン12の間にある程度の余裕が必要である。送給キャップの保留チャンバー16の設計は、使用されるエアロゾル、薬剤、又は蒸気の種類に応じて個別に設計する必要がある。送給キャップ16の保留チャンバーは、蒸気の流出を送給チャンバー14に直接アクセスすることで排除することができる。
図11は、様々な製造のベイプペン、又は他の気化器デバイスの取り付けを可能にするための可変サイズの開口部20、22を有する、送給チャンバーキャップ16の2つの概略図を提示する。
【0129】
本明細書に開示された実施形態は、シリンダー内の負圧を測定及び制御するための別個の制御機構を含むこともできる。負圧と容積を知ることで、医師、患者、又はユーザーは、シリンダーが完全に開き、ピストンがストロークの底にあるときに、シリンダー内に送給される薬剤の量を測定することができる。このようにして、各ブランドのベイプペンと、そのベイプペンに使用されている各製品の薬剤の量を測定することができる。また、各ドローの後の薬剤の投与量を測定し、実証することができる。
【0130】
図12~14を参照すると、従来の「510スレッド」ベイプペンの挿入及び使用を可能にするために、送給チャンバーキャップ又はシリンダーの吸気端部を構成することができる様々な実施形態が示されている。
図12は、送給キャップ30の上面図を示している。送給キャップ30は、ベイプペンのマウスピースを挿入するための開口部を画定する開孔32を含む。開孔32は、薬剤や気化した大麻を含まない空気が流入する可能性を低減又は排除するために、さらに、開孔とベイプペンのマウスピースとの間のほぼ気密な嵌合を確保するためのゴム引きしたガスケット34を含む。送給キャップ30とベイプペンとの間でほぼ気密な連結がなされる限り、ねじ山又はコレットを含む他の固着構造も使用することができる。送給キャップ30は、大麻蒸気(典型的には白色である)が送給キャップ30の保留チャンバー内に存在することをユーザーが確認できるようにするために、半透明または透明のガラス窓36を含んでもよい。
【0131】
図13を参照すると、
図12の送給チャンバーキャップ30は、ベイプペン40のマウスピース(図示せず)を開孔に挿入して、ほぼ気密に嵌合させることにより、ベイプペン40を装備している。送給チャンバーキャップ30の深さ42は、送給チャンバーに動作可能に接続された個別の保留チャンバーとして機能することができるようになっていることに留意すべきである。あるいは、送給チャンバーキャップ30は、開放されていて、送給チャンバーに単純に接続可能であってもよい。
【0132】
図14を参照すると、送給チャンバーキャップ50の代替的な実施形態が示されており、2つの従来の「510スレッド」ベイプペンの取り付けを可能にするように構成された2つの開孔52、54を有する。スペースがある限り、多くの開孔を使用することができる。この代替構成は、医師又はユーザーが、1つのベイプペンを使用して他の方法で達成可能な場合よりも、既知量あたりより高濃度の薬剤を送給したい場合に有用である。
【0133】
図15を参照すると、
図13のベイプペンチャンバーキャップ50で構成され、そこから延びる従来のベイプペン40を備えた陽圧式吸入器60の第2の実施形態が示されている。陽圧式吸入器60は、送給チャンバー(図示せず)として機能する既知の内部容積を含むシリンダー62を含む。ピストン(図示せず)は、送給チャンバー内で圧縮された位置にある。ハンドル64は、ピストンロッドに一体化されており、マウスピース66は、ピストンロッドの遠位端に一体化されている。
【0134】
詳述すると、若干の実施形態は、「複動式作用」をなすように構成されており、ピストンの各移動が、ピストンの一方の側におけるエアロゾル化/気化した薬剤の流入と、ピストンの他方の側におけるエアロゾル化/気化した薬剤の変位との両方をもたらすようになっている。具体的には、ある実施形態では、ピストンは、ポンプチャンバーを第1セクションと第2セクション(図示せず)に動作可能に分割する。流入バルブがポンプチャンバーの第1セクションに動作可能に接続され、また流出バルブがポンプチャンバーの第1セクションに動作可能に接続される。さらに、二次流入バルブがポンプチャンバーの第2セクションに動作可能に接続され、また二次流出バルブがポンプチャンバーの第2セクション及び患者送給ポートに動作可能に接続されている。ポンプチャンバー、ピストン、流入バルブ、流出バルブ、二次流入バルブ及び二次流出バルブは、ポンプチャンバー内におけるピストンの第2移動の際に、またエアロゾル化/気化した薬剤がポンプチャンバーの第1セクションから患者送給ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬剤の第2投与量が、二次流入バルブを介してポンプチャンバーの第2セクションに吸入されるように構成される。
【0135】
次に、ポンプチャンバーにおける前記ピストンの第3移動の際に、またエアロゾル化/気化した薬剤の第2投与量がポンプチャンバーの前記第2セクションから前記患者送給ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬剤の第3投与量が流入バルブを介してポンプチャンバーの第1セクションに吸入される。
【0136】
図16を参照すると、ベイプペンは、ベイプペンチャンバーキャップから取り外されている。
【0137】
図17を参照すると、ピストンがその伸長位置まで引き出され、ピストンロッド68が見えている。ピストンをこの位置に移動させることで、ピストンはベイプペン40のマウスピースに負圧を生じさせ、大麻オイルを気化させる。この蒸気は、シリンダー62内の送給チャンバーの既知の容積内に引き込まれ、分散される。陽圧式吸入器は、ユーザーがピストンをダウンストロークで動かすことで、送給チャンバー内の気化した大麻油が陽圧でピストンロッド68の中空ステムを通ってマウスピース66から駆出され、ユーザーの気道に入る準備ができる。(
図24~29参照)。
【0138】
図18~20を参照すると、pMDIと共に使用するための送給チャンバーキャップ70の代替実施形態が示されている。送給チャンバーキャップ70は、
図21に示されるような陽圧式吸入器80の送給チャンバーに接続するためのネジ付きキャップ72を含む。送給チャンバーキャップ70は、pMDI74のマウスピースの挿入のために構成された開孔72を含む。開孔72は、好ましくは、ゴム引きしたガスケット又は膜76によって形成され、このガスケット又は膜は、送給チャンバーの既知の容積(図示せず)への不要な空気の流入を防止するように、pMDI74のマウスピースと送給チャンバーキャップ72との間にほぼ気密な接続を形成する。
【0139】
図21を参照すると、
図18~20に示す送給チャンバーキャップ70の第3実施形態が陽圧式吸入器80に固着されており、従来技術のpMDI74がキャップ70の開孔に挿入され、吸入器80とほぼ気密に連通した状態で保持されている。
【0140】
図22~23を参照すると、従来技術のpMDIで使用されるような従来技術のキャニスター及び計量バルブの挿入並びに使用を可能にするための、従来技術のアクチュエータ並びにマウスピースを伴わない、代替的な実施形態の送給チャンバーキャップ92を備えた陽圧式吸入器シリンダー90の代替的な実施形態が示されている。ピストンを開くことで、キャニスターに、既知量の空気中に注入された薬剤を充填することができる。送給チャンバーキャップ92は、シリンダー90に一体化されていてもよいし、取り外し可能に固着されていてもよい。送給チャンバーキャップ92は、アルブテロールを送給するためのpMDIで典型的に使用されるような従来技術のキャニスター及び計量バルブ96のステムを挿入並びに起動するためのポート94を介して、エアロゾル化された薬剤を送給チャンバー内に送給できるように構成されている。ポート94は、好ましくは、計量バルブステムに接触してほぼ気密な接続を形成するゴム引きしたガスケットを含む。使用時には、計量バルブステムがポート94に挿入されると、従来技術のキャニスター及び計量バルブ96は、それが完全なpMDIの一部である場合に使用されるのと同じ方法で押し下げることができる。押し下げると、キャニスター96内の加圧された薬剤の単回投与量がシリンダー90の送給チャンバー内にエアロゾル化され、本明細書に記載されるように患者に最終的に送給される。
【0141】
図24~27を参照すると、陽圧式吸入器の実施形態の2つの代替的な使用方法が示されている。
図24~27では、患者100が、ベイプペン送給チャンバーキャップ104で構成された陽圧式吸入器102の実施形態を使用して、気化した医療大麻を消費する。
図24では、患者100は、ベイプペン106をベイプペン送給チャンバーキャップ104の開孔に配置し、シリンダー108及びハンドル110を把持してデバイスの使用を準備する。
図25では、患者100は、ハンドル110を使ってピストン112を前方に引き、それによってベイプペン106のマウスピースに負圧を生じさせて大麻油を気化させ、気化した大麻油を送給チャンバーキャップ104経由でシリンダー108の既知の容積に送給する。
図26では、患者100は、マウスピース114の周りに唇を閉じて、ほぼ気密な封止を生じ、吸入準備をする。
図27において、患者100は、シリンダー108をマウスピース114に向けて引き寄せながら同時に吸入し、それにより、
図25に示すステップから気化した大麻油を含むシリンダーの既知の容積経由でピストン112を移動させる。この動作の結果、気化した大麻油及び既知量の空気が、陽圧で、患者の呼吸器内に駆出される。先に説明したように、患者100は、既知量の空気及び気化した大麻油の全体を肺内に駆出するために、必要なだけの吸入呼吸を行うことができる。そうすることで、患者は、肺の容量又は気化した大麻を肺内への送給に反応した咳に起因して必要とされる呼吸数に関係なく、気化した大麻油の測定した投与量を受け入れることができる。このプロセスは、気化された、エアロゾル化された、又はガス状のシリンダー108に導入された任意の薬剤に対して機能する。
【0142】
図28~29を参照すると、患者100は、従来技術のpMDI124からアルブテロールを送給するために、pMDI送給チャンバーキャップ122で構成された陽圧式吸入器120の実施形態を使用している。アルブテロールを送給するために必要なステップは、
図28に示すように、エアロゾル化されたアルブテロールを送給チャンバーに送給するために、患者がpMDIキャニスターを押し込んでpMDIを作動させるという追加のステップを伴う、上述のものと同様である。
【0143】
図30~32を参照すると、陽圧式吸入器60の第3の実施形態が図示されており、先に説明した実施形態と同様である。保留チャンバー50(本明細書では「マニホールド」とも称する)は、保留チャンバーとシリンダー62の内部とがガス密連通している限り、シリンダー62に取り外し可能、又は永久的に固着されてもよい。例えば、保留チャンバー50は、シリンダー62に対してネジ式で取り付ける、接着剤で取り付ける、又はシリンダー62と一体化することができる。第3実施形態は、別個の流入ポートバルブ300と、ベイプペン40が流入ポート304に挿入されたときにベイプペン40が休止及び固定することができる510スレッド気化器ペン用レスト302とを有する。流入ポートバルブは、流入バルブ一次流入ポート306と、流入バルブ自由裁量流入ポート308と、流入ポート流出ポートと、バルブ本体312の内部に設けられた流入ポートバルブ部材(図示せず)とを含む。流入バルブ流出ポート310は、気密導管314によってポンプチャンバー流入バルブ(図示せず)に動作可能に接続されている。流入バルブ一次流入ポート306は、同様の気密導管316によって流入ポート304に動作可能に接続されている。流入ポートバルブ部材は、流入ポートバルブハンドル318による流入ポートバルブ部材の作動が、流入バルブ一次流入ポート306からの流れを可能にする第1位置と、流入バルブ自由裁量流入ポート308からの流れを可能にする第2位置との間で切り替わるように構成されている。
図30に描かれているように、バルブハンドル318及びバルブ部材は、ベイプペン40が動作可能に取り付けられている流入バルブ一次流入ポート306からの流れを可能にする第1位置にある。
図30では、バルブ部材は、流入バルブ自由裁量流入ポート308が閉じられるように配置されている。
図32に示すように、ポンプハンドル64は、ピストン(図示せず)がポンプチャンバーを横断するように引かれてもよく、負圧を生じさせて、ベイプペン40からエアロゾル化/蒸気化された薬剤を吸い込む。
【0144】
いくつかの実施形態では、
図30~32に示されているように、流入バルブ自由裁量流入ポート308は、大気への開口部に動作可能に接続されており、これにより、バルブ部材の作動時に、第1規定量の空気が、負圧によってポンプチャンバー内に導入され、ピストンの部分的な横行によって既にポンプチャンバー内に引き込まれたエアロゾル化/気化した薬剤の第1規定量を希釈することができる。流入バルブ一次流入ポート306からピストン長さの1/3だけを吸引し、流入バルブ自由裁量流入ポート308からピストン長さの2/3を吸引する。代案として、流入バルブ自由裁量流入ポート308は、酸素キャニスター、第2pMDI、ネブライザーなどの自由裁量医療デバイス(図示せず)に動作可能に接続されてもよく、第2の量の気体又はエアロゾル化/気化した薬剤を負圧によってポンプチャンバーに導入して、第1規定量のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈することができるようになっている。さらに、流入ポートバルブのポートを利用して、ピストンの各ストロークで異なる薬剤を送給し、マルチステップ治療を行うことができる。例としては、以下に限定されないが、以下のもの、すなわち、(a)患者の咳反射を麻痺させるためにエアロゾル化したリドカイン送給、次いでそれがないと咳を誘発することになる肺用の薬剤送給、(b)事故現場で患者の全身の痛みを直ちに軽減するためにエアロゾル化したフェンタニル送給、次いで酸素送給、又は(c)酸素送給に続いて、CBDのエアロゾル化送給、がある。さらに、2つの流入ポートを有する流入ポートバルブを説明してきたが、任意の必要な又は都合のよい数の流入ポートを有する流入ポートバルブが本開示に企図され、含まれることを理解すべきである。さらに、
図30~32に関して説明したバルブ部材はボールバルブであるが、指定された比率で両方のポートからの流入を同時に可能にする混合バルブを含む、任意の適切なバルブタイプを使用することができることを理解すべきである。
【0145】
代替的な実施形態および方法のさらなる詳述は以下の通りである。陽圧式吸入器の実施形態は、薬剤及び/又は他の製品が注入、若しくは挿入される閉じたポンプチャンバーの追加を含む(
図23参照)。そのような他の製品の1つは、ドライパウダー吸入器(「DPI」)に使用されるような、吸入送給用の薬用粉末である。チャンバーは、薬剤を保持し、また操作者の制御下で口腔内に送給するのに使用される。
【0146】
アルブテロールのようなエアロゾルの場合は、チャンバーに注入するためのポートをハンドポンプの後部に追加する(
図23参照)。ポンプのチャンバーを特定量まで開くとき、エアロゾルがチャンバー内に吸い込まれ、ポンプが押し下げられて薬剤が肺に押し込まれる。代案として、エアロゾルは開いたポンプチャンバー内に直接送給することができる。
【0147】
陽圧式吸入器の実施形態は、手動ポンプ、又は携帯型(自己充足型)電子ポンプの吸気口にすぐ隣接するチャンバーに、薬剤、煙、エアロゾル化した粉末、エアロゾル化した液体、若しくは他のエアロゾル化した製品を追加する方法に適している。ポンプのプランジャーが最初に作動すると、エアロゾル化された製品が吸気口のすぐ近くにある送給デバイスからポンプシステムに吸い込まれる。エアロゾル化された製品は、吸気口のすぐ近くにある送給デバイスからポンプシステムに吸い込まれる。薬剤の濃度は、空気と薬剤の混合物に加える空気の量によって制御される。代案として、材料をポンプチャンバーに直接引き込むこともできる。
【0148】
ポンププランジャーを押し下げると、ポンプチャンバー内の空気がピストン/プランジャーの中央管を通って強制的に吸入される
【0149】
患者は、ピストン/プランジャーを押し下げることで、空気/薬剤を肺に押し込んでいることを知らされる。ピストン/プランジャーの押し下げは吸入の速度を制御し、患者は吸入の速度を知るために音を聞いたり、メーターを見たりする必要はない。ポンプは、手動又は電子的に駆動することができる。
【0150】
陽圧式吸入器の実施形態は、プランジャーの移動に基づいて、流量表示器などの様々なオプションや追加を含むことができる。若干の実施形態では、1つ又は複数のポートを介して複数の薬剤をチャンバーに追加することができる。同様に、ピストン/プランジャーが動き始めるとチャンバーが閉じられるときに、異なるガスをチャンバーに追加することができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、チャンバーに吸入される薬剤の量を制御するために、ピストン/プランジャー、又はポンプチャンバーに調整可能なストップがあってもよい。光や音などの通知により、デバイスの保持容量の一定量又は一定割合(ポンプチャンバーの総容量の10ml若しくは10%、又は所定用量の薬剤)に達したときに、ユーザーに知らせることができる。
【0152】
ピストン/プランジャーと吸気口の設計により、空気の流れを制御する。
【0153】
流出の衛生および制御のために、取り外し可能なマウスピースを使用することができる。
【0154】
使い捨ての保留チャンバーや、薬剤があらかじめ入っている保留チャンバーを使用してもよい。さらに、ピストンの設計は、穿刺又は粉砕デバイスを含むように拡張することができ、ピストンの全長への移動により、事前に装填された薬剤保留チャンバーを穿刺するか、又は錠剤を粉砕して粉末にし、ピストンの第2ストロークが、負圧の適用によりポンプチャンバー内の事前に装填された薬剤、又は粉砕された粉末をエアロゾル化するようにする。
【0155】
大麻蒸気の場合、ポンプの各ストロークの用量は、ベイプペンの所定のモデルについて、既知の容量の大麻油の容器を空にするためのハンドポンプのストローク数を測定することによって較正することができる。薬剤の量は、容器を空にするためのストローク数で割ると、ポンプ1回あたりの投与量が得られる。代案として、煙自体から大麻若しくは薬剤の濃度を算出する、又は容器に入った煙から大麻を蒸留することによって算出することもできる。(例えばアルブテロール吸入器を使用する場合、薬剤の投与量はキャニスターをレセプタクルに押し込むことで決定されるが、これはほとんどの薬剤では不可能である)。
【0156】
他の送給チャンバーキャップは、特に最新のバルーンポンプ又は保留チャンバーなどの既知の送給デバイスに関して、他の薬剤送給、若しくはより都合のよい既知形態の薬剤送給を可能にするために、使用または開発されてもよい。送給チャンバーのキャップは、異なるタイプの薬剤のための着脱可能な後部を含むこともできる。チャンバーの取り付けを可能にするために、最新バルーンポンプにねじ付き後部(又は他のロック機構)を追加することも選択肢の一つである。アタッチメントは、使い捨て又は再利用可能でもよい。チャンバーには限られた量の薬剤を入れることができる。
【0157】
チャンバーは、異なる薬剤又は薬剤の強さに合わせて交換できる。ポンプチャンバーに入れることができる外気の量に基づいて、薬剤の濃度を制御できる。
【0158】
ポンプチャンバーにシステムを取り付け、ユーザーがシステムに取り込まれた薬剤の量を知ることができる。通知は音、光、又はその他の方法で行うことができる。ポンプチャンバーが一定量又は一定割合の薬剤で満たされると、ユーザーはポンプチャンバーへの薬剤の流入を止め、空気をポンプチャンバーに取り込み続けることで、ポンプチャンバー内の薬剤の濃度を薄めることができる。ユーザーは、呼吸器系の刺激を避けるために、薬剤の濃度を制御することができる。
【0159】
使用の一例において、陽圧式吸入器は、使い捨てデバイス、又はフェンタニルなどのエアロゾル化できる鎮痛剤が事前に装填された使い捨て送給キャップを有するマルチユースデバイスのいずれかとして構成することができる。救急隊員が激しい痛みを感じている患者の現場に到着すると、救急隊員は患者に薬剤を吸入させ、すぐに痛みを和らげることができる。
【0160】
アルブテロール又はモメタゾンのようなエアゾールの場合、送給チャンバーを所望量まで開放される。エアロゾルがチャンバー内に注入される。薬剤の正確な量と濃度は既知である。患者は自分なりの速度で吸入し、気道に薬剤を送り込むことができる。鼻孔をつまむことで効果を高めることができる。吸入の速度は重要ではない。呼吸回数も重要ではない。薬剤の量だけが重要である。ユニットは自己完結型であり、1つ以上の用量の薬剤を装填できる。トリガーの押し下げにより、1つの投与量の薬剤がチャンバーに注入される。
【0161】
いくつかの実施形態では、患者がマウスピースを介して送給チャンバーに空気を押し戻すのを防ぐために、アンチブローバックバルブを含むことができる。これはまた、異なる患者によるチャンバーの汚染なしに、セッションからセッションへと陽圧式吸入器を使用することを可能にする。マウスピースは洗浄するか使い捨てにする必要がある。
【0162】
ポンプのチャンバーからの空気の流入、及び流出の制御は、流入及び流出の開口部のサイズによって、並びに/又は調整可能若しくは非調整可能、機械的若しくは電気的とすることができるバルブによって、制御することができる。
【0163】
陽圧式吸入器の若干の実施形態は、各セッションのニコチンの正確な量を制御するために、ニコチン気化器又は電子たばこと一緒に使用するように構成された送給チャンバーキャップを含んでもよく、それによって、患者は、ニコチン中毒からの解毒及び離脱のプログラムの一部として、ニコチンを正確に(これまでよりも少量で)投与することができるようになる。
【0164】
陽圧式吸入器の若干の実施形態は、シガレット又は大麻の「プレロール」でチャンバーを使用できるように、シガレットアタッチメント用に構成された送給チャンバーキャップを含むことができる。
【0165】
様々なテルペン及び他の化学物質がアロマセラピーに使用されている。陽圧式吸入器の若干の実施形態は、化学物質の最良の用量、及び組み合わせに関する研究を可能にするために、テルペン、気化したエッセンシャルオイル、並びに他のアロマセラピー蒸気の正確な用量を可能にする。
【0166】
陽圧式吸入器の若干の実施形態では、送給チャンバーキャップは、それ自体が気化器であってもよい。例えば、送給チャンバーキャップは、バッテリー、カートマイザー、及び大麻油、薬剤、又はニコチン気化器液が予め充填された流体チャンバーを含んでもよい。送給チャンバーキャップ全体は、使い捨て、又は薬剤が調合された後は再利用可能とすることができる。バッテリーは充電可能とすることができる。
【0167】
陽圧式吸入器の異なる構成では、送給チャンバーに既知の濃度の大麻油を予め充填することができる。気化デバイスはチャンバーに取り付けられたままであり、患者がチャンバーを介して吸引するとき、チャンバー内の煙からの投与量、及び取り付けられた気化デバイスからの追加の蒸気を受け入れる。
【0168】
陽圧式吸入器の他の実施形態は、ピストンが完全に移動するたびに送給チャンバーへの追加の薬剤の送給を引き起こすことができるように、それぞれが異なる薬剤を保持する複数の保留チャンバーを含むことができる。これらの実施形態は、完全な投与量を得るために多数のポンプを必要とすることができる、又は薬剤の順次投与を必要とすることができる薬剤で使用するように構成される。例えば、リドカインによる前処理は、後続の喘息薬投与量の前に、吸入剤の最初の投与量とすることができる。このユニットは、自己完結型であることができる。これらの実施形態の他のバリエーションでは、最初の薬剤でピストンを一定回数(例えば、ポンプを5回)通過させると、2番目の薬剤の放出が開始される。薬剤物の放出は、各薬剤の全投与量が送給されたときに停止する。
【0169】
他の実施形態では、チューブ流入部を取り付けることで、送給チャンバーの容積よりも大きな用量が可能になる。ネブライザーは、薬剤の投与に先立って、麻酔のために最初のリドカインを供給することができる。必要又は所望である場合、酸素又は他のガスを使用してチャンバーを満たすことができる。
【0170】
完全に自動化されたシステムにおいて、陽圧式吸入器は、プログラム可能な容量、及び濃度の制御部を有する。カートリッジの組成が記されていれば、薬剤の投与量が計算され、呼吸器の刺激を避けるために薬剤を既知の濃度に希釈するのに十分な空気、又は他のガスとともに、チャンバー内に供給される。さらに、完全に自動化されたバージョンでは、患者の身長、体重、表面積、その他の医療パラメータを配信システムにプログラムすることができる。さらに、送給システムは、患者の医療パラメータに基づいて非常に正確な投与を可能にするために、送給チャンバーに薬剤の量を分配することができる。さらにまた、このようなデバイスを用いた研究により、ユーザーにとって最良の用量を決定することができる。
【0171】
さらに、本明細書に記載されている実施形態を使用して、大麻、又は他の薬剤の正確な量を知ることができる。大麻に含まれる100以上のカンナビノイドの効果について研究することができる。
【0172】
図33を参照すると、エアロゾル/気化器薬剤用量検査システム3300を提示する。このシステムは、本明細書で説明した実施形態のいずれか1つの複数の陽圧式吸入器3302を含む。システムはまた、複数の陽圧式吸入器3302が備え付けられる支持テーブル3306を有する容量検査台3304と、複数の陽圧式吸入器3302のそれぞれの患者送給ポートのそれぞれに気密連通するレシーババルブ3308(本明細書ではマニホールドとも称する)と、捕捉容器3310とを含む。図示の実施形態では、捕捉容器3310は、膨張可能なバルーンであるが、レシーババルブ3308から送給されたガス量及び/又はエアロゾル化/気化した薬剤若しくは微粒子の濃度を捕捉及び/又は測定するための任意の適切なデバイスとすることができる。レシーババルブ3308は、捕捉容器3310に気密連通しており、複数の陽圧式吸入器3302のそれぞれのピストンが移動する際に、陽圧式吸入器のそれぞれのエアロゾル化/気化した薬剤がレシーババルブ3308を通って捕捉容器3310の中に変位するように構成されている。図示されているように、システムは10個の陽圧式吸入器のために構成されているが、任意な都合のよい個数用に構成することができる。
【0173】
システムは、複数の陽圧式吸入器に取り付けられた任意のエアロゾル化/蒸気化された薬剤のデバイスの濃度/品質の検査を可能にする。ほとんどの510スレッド気化器からの「最初のドロー」は、カートマイザーが加熱されるのに必要な時間、及びこの結果として生ずるエアロゾル化/気化された大麻油の量に影響を与える多くのカートマイザー/バッテリーの構成に起因して、その後のドローよりも低濃度/低品質の蒸気を送給すると広く信じられている。大麻オイルの嗜好的消費者にとっては、用量のばらつきは影響があり得るが、重要ではない。しかし、薬物治療においては、所定の治療による用量を定量化することが重要であるため、異なる510型ベイプペン、異なるカートマイザー構成、並びに異なる系統及び銘柄の大麻オイルによって送給される蒸気の濃度と品質に関するデータを検査して収集する能力は、医師及びその患者にとって重要である。
【0174】
そのため、例えば、これらの変数は、本明細書に記載したシステムを使用して検査することができる。さらに、本明細書に記載したシステムは、薬剤の濃度の一貫性を評価するために、医療デバイスによって生成された蒸気を捕捉するために使用することができる。現在の技術では、1回のドローで生成される少量のエアロゾル化/蒸気化された薬剤を使用してこれらの評価を行うことは困難であり、したがって、本システムは、10台のデバイスの出力を集約することを可能にし、これらを分析して10で割り、平均的な薬剤の出力の定量化、及び濃度評価を得ることができる。複数の陽圧式吸入器3302のそれぞれは、順次作動させる、又は一斉に作動させることができる。
【0175】
本明細書で使用されるように、蒸気は、その臨界温度よりも低い温度で気相にある物質であり、これは、温度を低下させることなく、蒸気にかかる圧力を増加させることによって、蒸気を液体に凝縮させることができることを意味する。水蒸気はエアロゾルとは異なる。エアロゾルとは、液体、固体、又はその両方の微小な粒子が気体中に存在する懸濁液のことである。本開示を通じて、「蒸気/エアロゾル」又は「気化/エアロゾル化された薬剤」という用語は、蒸気又はエアロゾル(液体粒子、固体粒子、若しくはその両方を有する)として患者の肺に送給することができる薬剤を指すために使用され、特許請求の範囲でさらに変更又は制限されない限り、当業者にとって最も広い合理的な解釈を有することが意図される。
【0176】
本発明の特定の実施形態が開示されているが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく特定の実施形態に変更を加えることができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、開示された特定の実施形態に限定されるものではない。
【0177】
上記の説明が、以下の請求項の範囲内ではない追加の主題を開示する限り、本発明は公衆向けに特化されておらず、そのような追加の発明を請求するために1つ以上の出願を行う権利は留保される。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能な薬剤を患者に送給するための陽圧式吸入器であって、
内部側壁を含む、既知の容積のポンプチャンバーと、
前記ポンプチャンバーの前記内部側壁に係合するピストンと、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブと、
前記ポンプチャンバーに操作可能に接続された流出バルブと、
前記流出バルブに動作可能に接続された患者送給ポートと、
を備え、
前記ピストンは、前記ポンプチャンバーの長さに等しい、又はそれ未満の前記ピストンの移動距離を有するように構成されており、
前記ピストンの移動距離は既知の送給量を規定しており、
前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが1回目に移動する際に負圧が発生し、これによりエアロゾル化/気化した薬剤が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバー内に引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を生成するように構成されており、
前記ポンプチャンバー及びピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが2回目に移動する際に、前記患者吸入用の既知量のエアロゾル化/気化した薬剤が前記ピストンの動きによって変位し、前記患者による陽圧吸入のために前記流出バルブを介して前記患者送給ポートから排出されるように構成されている、
陽圧式吸入器。
【請求項2】
請求項1に記載の陽圧式吸入器において、前記流入バルブはマニホールドを有する、陽圧式吸入器。
【請求項3】
請求項1に記載の陽圧式吸入器において、さらに、保留チャンバーを備え、前記流入バルブは、前記保留チャンバーに動作可能に接続されている、陽圧式吸入器。
【請求項4】
請求項1に記載の陽圧式吸入器において、さらに、ハンドルを備え、前記ハンドルは前記ピストンに固着され、また前記ハンドルは、前記患者送給ポートと前記ポンプチャンバーとの間にあるよう構成されている、陽圧式吸入器。
【請求項5】
請求項1に記載の陽圧式吸入器において、さらに、エアロゾル化/気化した薬剤を前記陽圧式吸入器に導入するための流入ポートを備え、前記流入ポートは前記流入バルブに動作可能に接続されている、陽圧式吸入器。
【請求項6】
請求項5に記載の陽圧式吸入器において、前記流入ポートは、510スレッド気化器のマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、また前記流入ポートは、さらに、510スレッド気化器の前記マウスピースの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成される、陽圧式吸入器。
【請求項7】
請求項5に記載の陽圧式吸入器において、前記流入ポートは、正の定量吸入器(「pMDI」)におけるマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、また前記流入ポートは、さらに、前記pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成される、陽圧式吸入器。
【請求項8】
請求項5に記載の陽圧式吸入器において、さらに、
流入ポートバルブであって、
流入バルブ一次流入ポートと、
流入バルブ自由裁量流入ポートと、
流入ポートバルブ流出ポート、及び
流入ポートバルブ部材と、
を有する、該流入ポートバルブを備え、
前記流入バルブ流出ポートは、前記ポンプチャンバー流入バルブに動作可能に接続されており、
前記流入バルブ一次流入ポートは、前記流入ポートに動作可能に接続されており、
前記流入ポートバルブ部材は、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にする第1位置と、前記流入バルブ自由裁量流入ポートからの流れを可能にする第2位置との間で切り替わるように構成されており、
前記流入ポートは、エアロゾル化/気化した薬剤生成用の医療デバイスの挿入を受け入れるように構成されており、
前記流入ポートは、さらに、前記流入ポートと前記生成用医療デバイスの流出部との間にほぼ気密な封止を生ずるように構成されており、
それによって、流入ポートバルブ部材は、流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にするために前記第1位置をとるよう作動させて、前記生成用医療デバイスによって生成されるエアロゾル化/気化した薬剤の第1規定量が負圧によって前記ポンプチャンバーに導入されるようにすることができ、
またさらにそれによって、前記流入ポートバルブ部材は、前記流入バルブ自由裁量流入ポートからの流れを可能にするために、第2位置をとるよう作動させることができる、陽圧式吸入器。
【請求項9】
請求項8に記載の陽圧式吸入器において、前記流入バルブ自由裁量流入ポートは、大気への開口部に動作可能に接続されており、これにより第1規定量の空気を負圧によって前記ポンプチャンバーに導入して、第1規定量のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈する、陽圧式吸入器。
【請求項10】
請求項8に記載の陽圧式吸入器において、前記流入バルブ自由裁量流入ポートは、自由裁量的な医療デバイスに動作可能に接続され、これにより第2の量の気体が負圧によって前記ポンプチャンバーに導入されて、第1規定量のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈する、陽圧式吸入器。
【請求項11】
請求項10に記載の陽圧式吸入器において、前記第2の量の気体は治療用ガスを含む、陽圧式吸入器。
【請求項12】
請求項11に記載の陽圧式吸入器において、前記治療用ガスは純酸素を含む、陽圧式吸入器。
【請求項13】
請求項10に記載の陽圧式吸入器において、前記第2の量の気体は第2のエアロゾル化/気化した薬剤である、陽圧式吸入器。
【請求項14】
請求項13に記載の陽圧式吸入器において、前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤はリドカインである、陽圧式吸入器。
【請求項15】
請求項5に記載の陽圧式吸入器であって、
前記生成用医療デバイスはpMDIであり、また前記流入ポートは前記pMDIの前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、及び
前記流入ポートは、さらに、前記pMDIの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成されている、陽圧式吸入器。
【請求項16】
請求項5に記載の陽圧式吸入器であって、
前記生成用医療デバイスは510スレッド気化器であり、また前記流入ポートは前記510スレッド気化器の前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、及び
前記流入ポートは、さらに、前記510スレッド気化器の挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずように構成されている、陽圧式吸入器。
【請求項17】
請求項16に記載の陽圧式吸入器であって、さらに、
510スレッド気化器レストを備え、
前記510スレッド気化器レストは、前記510スレッド気化器のバッテリー部を固定するように構成され、これにより前記510スレッド気化器の前記マウスピースの前記流入ポートへの挿入、及び前記バッテリー部の前記510スレッド気化器レストへの挿入の際に、前記バッテリー部の重量は、前記流入ポートと前記マウスピースとの間のほぼ気密な封止を維持するように支持される、陽圧式吸入器。
【請求項18】
請求項8に記載の陽圧式吸入器において、前記流入ポートバルブはボールバルブである、陽圧式吸入器。
【請求項19】
請求項1に記載の陽圧式吸入器であって、さらに、
チャンバーと、エアロゾル化/気化した薬剤生成用医療デバイスの挿入を受け入れるように構成された流入ポートとを有する保留チャンバー
を備え、
前記流入ポートは、さらに、前記流入ポートと前記生成用医療デバイスの流出ポートとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成され、及び
前記保留チャンバーは、前記流入バルブと動作可能に接続される、陽圧式吸入器。
【請求項20】
請求項19に記載の陽圧式吸入器において、前記生成用医療デバイスはpMDIであり、また前記生成用医療デバイスの前記流出ポートはpMDIのマウスピースである、陽圧式吸入器。
【請求項21】
請求項19に記載の陽圧式吸入器において、前記生成用医療デバイスは510スレッド気化器であり、また前記生成用医療デバイスの前記流出ポートは前記510スレッド気化器のマウスピースである、陽圧式吸入器。
【請求項22】
請求項1に記載の陽圧式吸入器であって、さらに、
前記ピストンは、前記ポンプチャンバーを第1セクション及び第2セクションに動作可能に分割し、
前記流入バルブは、前記ポンプチャンバーの前記第1セクションに動作可能に接続され、
前記流出バルブは、前記ポンプチャンバーの前記第1セクションに動作可能に接続されており、
陽圧式吸入器は、さらに、
前記ポンプチャンバーの第2セクションに動作可能に接続された二次流入バルブと、
前記ポンプチャンバーの第2セクション、及び前記患者送給ポートに動作可能に接続された二次流出バルブと、
を備え、
前記ポンプチャンバー、前記ピストン、前記流入バルブ、前記流出バルブ、前記二次流入バルブ、及び前記二次流出バルブは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが2回目に移動する際に、またエアロゾル化/気化した薬剤が前記ポンプチャンバーの前記第1セクションから前記患者送給ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬剤の第2投与量が前記二次流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第2セクションに吸入されるように、陽圧式吸入器が複動式作用を有するように構成されている、陽圧式吸入器。
【請求項23】
請求項22に記載の陽圧式吸入器において、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが3回目に移動する際に、またエアロゾル化/気化した薬剤の前記第2投与量が前記ポンプチャンバーの前記第2セクションから前記患者送給ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬剤の第3投与量が流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第1セクションに吸入される、陽圧式吸入器。
【請求項24】
請求項1に記載の陽圧式吸入器であって、さらに、前記ポンプチャンバーがエアロゾル化/気化した薬剤を含んでいることを確認するために、前記ポンプチャンバーを見ることができる透明な観察窓
を備える、陽圧式吸入器。
【請求項25】
請求項1に記載の陽圧式吸入器であって、さらに、ピストンに動作可能に接続されたモータ
を備え、前記モータは、前記ピストンの前記1回目の移動を駆動するように構成されている、陽圧式吸入器。
【請求項26】
請求項1に記載の陽圧式吸入器であって、さらに、流量インジケータを備える、陽圧式吸入器。
【請求項27】
請求項1に記載の陽圧式吸入器において、前記流量インジケータは前記ピストンの移動速度を示す、陽圧式吸入器。
【請求項28】
請求項1に記載の陽圧式吸入器であって、さらに、容積インジケータを備え、前記容積インジケータは、前記ピストンの前記1回目の移動の間に前記ピストンが移動した距離を示す、陽圧式吸入器。
【請求項29】
請求項1に記載の陽圧式吸入器であって、さらに、ポンプチャンバーに吸入されるエアロゾル化/気化した薬剤の量を制御するための調整可能な停止部を備える、陽圧式吸入器。
【請求項30】
請求項29に記載の陽圧式吸入器であって、前記ポンプチャンバーの規定された部分がエアロゾル化/気化した薬剤で満たされたときにユーザーに通知する通知デバイスを備える、陽圧式吸入器。
【請求項31】
請求項30に記載の陽圧式吸入器において、前記通知デバイスは音を発する、陽圧式吸入器。
【請求項32】
請求項30に記載の陽圧式吸入器において、前記通知デバイスは光を発する、陽圧式吸入器。
【請求項33】
請求項1に記載の陽圧式吸入器において、前記患者送給ポートは患者用マウスピースを有する、陽圧式吸入器。
【請求項34】
請求項33に記載の陽圧式吸入器において、前記患者用マウスピースは取り外し可能である、陽圧式吸入器。
【請求項35】
請求項1に記載の陽圧式吸入器であって、さらに、患者がエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者送給ポート経由で前記ポンプチャンバーに押し戻すことを防止するための一方向の吹き戻し防止バルブを備える、陽圧式吸入器。
【請求項36】
陽圧下で患者の肺に既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を送給する方法において、
陽圧式吸入器を選択するステップであって、前記陽圧式吸入器は、
内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバー、
前記ポンプチャンバーの前記内部側壁に係合するピストン、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブ、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブ、
前記流出バルブに動作可能に接続された患者送給ポート、
を有し、
前記ピストンは、前記ポンプチャンバーの長さに等しい、又はそれ未満の前記ピストンの移動距離を有するように構成されており、
前記ピストンの前記移動距離は既知の送給量を規定しており、
前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが1回目に移動する際に負圧が発生し、これによりエアロゾル化/気化した薬剤が流入バルブを介してポンプチャンバー内に引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を生成するように構成されており、
前記ポンプチャンバー及び前記ピストンが、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが2回目に移動する際に、患者の吸入用の既知量のエアロゾル化/気化した薬剤が前記ピストンの動きによって変位し、患者による陽圧吸入のために流出バルブを介して前記患者送給ポートから排出されるように構成されている、
該陽圧式吸入器を選択するステップと、
医療デバイスを前記入力ポートに装着するステップと、
前記ポンプチャンバー内で前記ピストンに対して1回目の移動をさせ、また負圧を発生させ、これによりエアロゾル化/気化した薬剤が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を生成するステップと、
患者の唇を前記患者送給ポート上で閉じるステップと、
前記ピストンを前記ポンプチャンバー内で2回目の移動をさせ、これにより患者の吸入用の既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を前記ピストンの動きによって変位させ、既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を流出バルブ経由で前記患者送給ポートから排出するステップと、
陽圧下で既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を患者に対して吸入させるステップと、
を備える、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、前記陽圧式吸入器は、さらに、ハンドルを有し、前記ハンドルは前記ピストンに固着され、また前記ハンドルは、前記患者送給ポートと前記ポンプチャンバーとの間にあるよう構成されている、
方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法において、前記陽圧式吸入器は、さらに、エアロゾル化/気化した薬剤を前記陽圧式吸入器に導入するための流入ポートを有し、前記流入ポートは前記流入バルブに動作可能に接続されている、方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、前記流入ポートは、510スレッド気化器のマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、また前記流入ポートは、さらに、510スレッド気化器のマウスピースの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成される、方法。
【請求項40】
請求項38に記載の方法において、前記流入ポートは、正の定量吸入器(「pMDI」)におけるマウスピースの挿入を受け入れるように構成され、また前記流入ポートは、さらに、前記pMDIの挿入時に前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成される、方法。
【請求項41】
請求項38に記載の方法において、前記陽圧式吸入器は、さらに、
流入ポートバルブであって、
流入バルブ一次流入ポートと、
流入バルブ自由裁量流入ポートと、
流入ポートバルブ流出ポート、及び
流入ポートバルブ部材と、
を有する、該流入ポートバルブを備え、
前記流入バルブ流出ポートは、前記ポンプチャンバー流入バルブに動作可能に接続されており、
前記流入バルブ一次流入ポートは、前記流入ポートに動作可能に接続されており、
前記流入ポートバルブ部材は、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にする第1位置と、前記流入バルブ自由裁量流入ポートからの流れを可能にする第2位置との間で切り替わるように構成されており、
前記流入ポートは、エアロゾル化/気化した薬剤生成用医療デバイスの挿入を受け入れるように構成されており、
前記流入ポートは、さらに、前記流入ポートと前記生成用医療デバイスの流出部との間にほぼ気密な封止を生ずるように構成されており、
それによって、前記流入ポートバルブ部材は、前記流入バルブ一次流入ポートからの流れを可能にするために第1位置をとるよう作動させて、前記生成用医療デバイスによって生成されるエアロゾル化/気化した薬剤の第1規定量が、負圧によって前記ポンプチャンバーに導入されるようにすることができ、
またさらに、それによって、前記流入ポートバルブ部材は、前記流入バルブ自由裁量流入ポートからの流れを可能にするために、第2位置をとるよう作動させることができ、
また前記方法は、さらに、
前記流入バルブ一次流入ポートと前記流入バルブ自由裁量流入ポートとの間での選択をするために、前記流入ポートバルブ部材を作動させるステップ、
を備える、方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法において、前記流入バルブ自由裁量流入ポートは、大気への開口部に動作可能に接続され、これにより第1規定量の空気を負圧によって前記ポンプチャンバーに導入して、前記第1規定量のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈する、
方法。
【請求項43】
請求項41に記載の方法において、前記流入バルブ自由裁量流入ポートは、自由裁量的な医療デバイスに動作可能に接続され、これにより第2の量の気体が負圧によって前記ポンプチャンバー内に導入されて、前記第1規定量のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈する、方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法において、前記第2の量の気体は治療用ガスを含む、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法において、前記治療用ガスは純酸素を含む、方法。
【請求項46】
請求項43の方法において、第2の量の気体は第2のエアロゾル化/気化した薬剤である、方法。
【請求項47】
請求項46の方法において、前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤はリドカインである、方法。
【請求項48】
請求項38記載の方法であって、
前記生成用医療デバイスはpMDIであり、また前記流入ポートは前記pMDIの前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、及び
前記流入ポートは、さらに、前記pMDIの挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成される、方法。
【請求項49】
請求項38に記載の方法であって、
前記生成用医療デバイスは510スレッド気化器であり、また前記流入ポートは前記510スレッド気化器の前記マウスピースの挿入を受け入れるように構成されており、及び
前記流入ポートは、さらに、前記510スレッド気化器の挿入時に、前記流入ポートと前記マウスピースとの間にほぼ気密な封止を生ずるように更に構成される、方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法であって、前記陽圧式吸入器は、さらに、
510スレッド気化器レストを備え、
前記510スレッド気化器レストは、前記510スレッド気化器のバッテリー部を固定するように構成され、これにより前記510スレッド気化器の前記マウスピースの前記流入ポートへの挿入、及びバッテリー部の前記510スレッド気化器レストへの挿入の際に、前記バッテリー部の重量は、前記流入ポートと前記マウスピースとの間のほぼ気密な封止を維持するよう支持される、方法。
【請求項51】
請求項41に記載の方法において、前記流入ポートバルブはボールバルブである、方法。
【請求項52】
請求項36に記載の方法において、前記陽圧式吸入器は、さらに、
チャンバーと、及びエアロゾル化/気化した薬剤生成用医療デバイスの挿入を受け入れるように構成された流入ポートと、を有する保留チャンバーを備え、
前記流入ポートは、さらに、前記流入ポートと前記生成用医療デバイスの流出ポートとの間にほぼ気密な封止を生ずるように構成され、また
前記保留チャンバーは前記流入バルブに動作可能に接続されている、
方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法において、前記生成用医療デバイスはpMDIであり、また前記生成用医療デバイスの前記流出ポートはpMDIのマウスピースである、方法。
【請求項54】
請求項52に記載の方法において、前記生成用医療デバイスは510スレッド気化器であり、また前記生成用医療デバイスの前記流出ポートは前記510スレッド気化器のマウスピースである、方法。
【請求項55】
請求項36に記載の方法において、前記陽圧式吸入器は、さらに、
前記ピストンが前記ポンプチャンバーを第1セクション及び第2セクションに動作可能に分割し、
前記流入バルブが、前記ポンプチャンバーの前記第1セクションに動作可能に接続されており、
前記流出バルブが、前記ポンプチャンバーの前記第1セクションに動作可能に接続されており、
前記ポンプチャンバーの第2セクションに動作可能に接続された二次流入バルブと、
前記ポンプチャンバーの前記第2セクション及び前記患者送給ポートに動作可能に接続された二次流出バルブと、
を備えており、
前記ポンプチャンバー、前記ピストン、前記流入バルブ、前記流出バルブ、前記二次流入バルブ、及び前記二次流出バルブは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが2回目に移動する際に、またエアロゾル化/気化した薬剤が前記ポンプチャンバーの前記第1セクションから前記患者送給ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬剤の第2投与量が前記二次流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第2セクションに吸入されるように、陽圧式吸入器が複動式作用を有するように構成されているものである、方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法において、前記陽圧式吸入器は、さらに、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが3回目に移動する際に、またエアロゾル化/気化した薬剤の前記第2投与量が前記ポンプチャンバーの前記第2セクションから患者送給ポートを介して変位している間に、エアロゾル化/気化した薬剤の第3投与量が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーの前記第1セクションに吸入されるものである、方法。
【請求項57】
患者の呼吸を介して患者に薬剤を送給する方法において、
既知の容積を有するポンプチャンバーを選択するステップと
第1のエアロゾル化/気化した薬剤を、前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内に分散させるステップと、
前記ポンプチャンバーを封止し、これにより、前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内に追加の空気が流入するのを防止し、また前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内で前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈するステップと、
患者の空気通路を、前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された患者送給ポートに動作可能に係合させるステップと、及び
陽圧を使用して、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を前記ポンプチャンバーの前記既知の容積から前記患者送給ポートを介して変位させ、前記患者が息を吸う間に陽圧で前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者の空気通路に及び前記患者の肺内に送給するステップと、
を備える、方法。
【請求項58】
請求項57に記載の方法において、前記患者が複数回の呼吸を行うことで、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者の空気通路に及び前記患者の肺内に送給するステップを完了する、方法。
【請求項59】
請求項57に記載の方法において、前記患者送給ポートはマウスピースを有し、また前記動作可能に係合させるステップは、さらに、前記患者に前記マウスピース上で前記患者の唇を閉じさせるステップを含む、方法。
【請求項60】
請求項57に記載の方法において、前記患者送給ポートは2つの突起がある鼻カニューレを有し、また前記動作可能に係合させるステップは、さらに、前記患者に前記突起を前記患者の鼻孔に挿入させるステップを含む、方法。
【請求項61】
請求項57に記載の方法において、前記患者送給ポートはマスクを有し、また前記動作可能に係合させるステップは、さらに、前記マスクで前記患者の鼻及び口を覆うステップを含む、方法。
【請求項62】
請求項57に記載の方法において、さらに、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者の空気通路に送給した後、前記患者が息を吐く前に、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者の肺内に深く強制流入させるために、陽圧で前記患者の気道に補助空気を送給するステップを備える、方法。
【請求項63】
請求項57に記載の方法において、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤は、混合物内に少なくとも2つの薬剤を含む、方法。
【請求項64】
請求項57に記載の方法において、さらに、
前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤における患者の呼気後、第2のエアロゾル化/気化した薬剤を前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内に分散させるステップと、
ポンプチャンバーを封止し、これにより、前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内に追加の空気が流入するのを防止し、また前記ポンプチャンバーの前記既知の容積内で前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤を希釈するステップと、
陽圧を使用して、前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤を前記ポンプチャンバーの前記既知の容積から前記患者送給ポートを介して変位させ、前記患者が息を吸う間に陽圧で前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤を前記患者の空気通路に及び前記患者の肺内に送給するステップと、
を備える、方法。
【請求項65】
請求項64に記載の方法において、前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤は、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤とは異なる、方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法において、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤は麻酔剤であり、また前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤じゃ肺用薬剤である、方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法において、前記第1のエアロゾル化/気化した薬剤はリドカインであり、また前記第2のエアロゾル化/気化した薬剤はアルブテロールである、方法。
【請求項68】
エアロゾル/気化器薬剤用量検査システムにおいて、
複数の陽圧式吸入器であって、前記陽圧式吸入器各々は、
内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバー、
前記ポンプチャンバーの前記内部側壁に係合するピストン、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブ、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブ、
前記流出バルブに動作可能に接続された患者送給ポート、
を有し、
前記ピストンは、前記ポンプチャンバーの長さに等しい、又はそれ未満の前記ピストンの移動距離を有するように構成されており、
前記ピストンの移動距離は既知の送給量を規定しており、
前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが1回目に移動する際に負圧を発生し、これによりエアロゾル化/気化した薬剤が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を生成するように構成されており、
前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが2回目に移動する際に、前記患者吸入用の前記既知量のエアロゾル化/気化した薬剤が前記ピストンの動きによって変位し、前記患者による陽圧吸入のために前記流出バルブを介して前記患者送給ポートから排出されるように構成されている、
該複数の陽圧式吸入器と、
容量検査台であって、
前記複数の陽圧式吸入器が備え付けられた支持テーブル、
前記複数の陽圧式吸入器各々の前記患者送給ポートそれぞれと気密に連通しているレシーババルブ、及び
捕捉容器であり、前記レシーババルブが、前記捕捉容器と気密に連通しており、前記複数の前記陽圧式吸入器各々の前記ピストンそれぞれが移動する際に、前記陽圧式吸入器各々の前記エアロゾル化/気化した薬剤が前記レシーババルブを通って前記捕捉容器内に排出されるように構成されている、該捕捉容器、
を有する、該容量検査台と、
を備える、エアロゾル/気化器薬剤用量検査システム。
【請求項69】
請求項68に記載のエアロゾル/気化器薬剤用量検査システムにおいて、前記レシーババルブは、前記捕捉容器に向かってバイアス印加された一方向バルブとして構成されている、エアロゾル化/気化器薬剤用量検査システム。
【請求項70】
請求項68に記載のエアロゾル/気化器薬剤用量検査システムにおいて、前記捕捉容器は膨張可能なバルーンを有する、エアロゾル/気化器薬剤用量検査システム。
【請求項71】
請求項68のエアロゾル/気化器薬剤用量検査システムにおいて、前記捕捉容器は閉鎖バルブを有し、これにより、前記閉鎖バルブは、閉じたときに前記陽圧式吸入器の各々のエアロゾル化/気化した薬剤の漏洩を防止し、またさらに、前記捕捉容器を前記レシーババルブとの気密連通から取り外すことができるようになっている、エアロゾル/気化器薬剤用量検査システム。
【請求項72】
エアロゾル/気化器薬剤用量を検査する方法において、
エアロゾル/気化器薬剤用量検査システムを準備するステップであって、前記エアロゾル/気化器薬剤用量検査システムは、複数の陽圧式吸入器であり、前記陽圧式吸入器の各々は、
内部側壁を含む既知の容積のポンプチャンバー、
前記ポンプチャンバーの前記内部側壁に係合するピストン、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流入バルブ、
前記ポンプチャンバーに動作可能に接続された流出バルブ、
前記流出バルブに動作可能に接続された患者送給ポート、
を有し、
前記ピストンは、前記ポンプチャンバーの長さに等しい、又はそれ未満の前記ピストンの移動距離を有するように構成されており、
前記ピストンの移動距離は既知の送給量を規定しており、
前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが1回目に移動する際に負圧を発生し、これによりエアロゾル化/気化した薬剤が前記流入バルブを介して前記ポンプチャンバーに引き込まれ、患者が吸入するための既知量のエアロゾル化/気化した薬剤を生成するように構成されており、
前記ポンプチャンバー及び前記ピストンは、前記ポンプチャンバー内で前記ピストンが2回目に移動する際に、前記患者吸入用の前記既知量のエアロゾル化/気化した薬剤が前記ピストンの動きによって変位し、前記患者による陽圧吸入のために前記流出バルブを介して前記患者送給ポートから排出されるように構成されている、
該複数の陽圧式吸入器と、
容量検査台であって、
前記複数の陽圧式吸入器が備え付けられた支持テーブル、
前記複数の陽圧式吸入器各々の前記患者送給ポートのそれぞれと気密に連通しているレシーババルブ、及び
捕捉容器であり、前記レシーババルブが、前記捕捉容器と気密に連通しており、前記複数の前記陽圧式吸入器各々の前記ピストンそれぞれが移動する際に、前記陽圧式吸入器各々の前記エアロゾル化/気化した薬剤が前記レシーババルブを通って前記捕捉容器内に排出されるように構成されている、該捕捉容器、
を有する、該容量検査台と、
を含む、該エアロゾル化/気化した薬剤投与量検査システムを準備するステップと、
前記複数の陽圧式吸入器各々の複数の流入ポートに、同一の薬剤を装備した複数の同一の医療デバイスを接続するステップと、
前記陽圧式吸入器各々の前記ピストンを移動させて、前記陽圧式吸入器各々からエアロゾル化/気化した薬剤の第1吸引サンプルを供給し、また前記捕捉容器に収集するステップと、
前記捕捉容器を取り外し、前記複数の陽圧式吸入器の既知の容積及び前記複数の陽圧式吸入器の数に基づいて、単位体積当たりのエアロゾル化/気化した薬剤の濃度を分析するステップと、
を備える、エアロゾル/気化器薬剤用量検査方法。
【国際調査報告】