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特表2022-529780船舶用船室構造及び組立式船室の組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(54)【発明の名称】船舶用船室構造及び組立式船室の組立方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 29/02 20060101AFI20220617BHJP
【FI】
B63B29/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561933
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 IB2020053539
(87)【国際公開番号】W WO2020212855
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】102019000006114
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514146829
【氏名又は名称】フィンカンティエリ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】レンボ,エンリコ
(57)【要約】
船舶用船室構造(12)は、船舶のデッキ(18)に固定するための締結手段(16)が設けられた少なくとも1つの壁(14)を備える。締結手段(16)は、前記デッキ(18)に固定されるように設計された取付ブラケット(20)と、前記壁(14)の少なくとも縁部(24)に固定されるように設計された接続ブラケット(22)と、前記取付ブラケット(20)と前記接続ブラケット(22)との間に設けられた少なくとも1つの弾性要素(26)とを備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの壁(14)を備え、
前記少なくとも1つの壁(14)には、船舶のデッキ(18)に前記壁(14)を固定するための締結手段(16)が設けられ、
前記締結手段(16)は、
前記デッキ(18)に固定されるようになっている取付ブラケット(20)と、
前記壁(14)の少なくとも縁部(24)で固定されるようになっている接続ブラケット(22)と、
前記取付ブラケット(20)と前記接続ブラケット(22)との間に設けられた少なくとも1つの弾性要素(26)と
を備える、船舶用船室構造(12)。
【請求項2】
結合されており、組立式船室(15)を形成している、複数の壁(14)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の船室構造(12)。
【請求項3】
前記取付ブラケット(20)は、2つのアーム(28,30)と連結部(32)とを備えるC字断面を有し、
前記連結部(32)は、船舶のデッキ(18)に固定されるようになっており、
前記少なくとも1つの弾性要素(26)は、前記取付ブラケット(20)から前記接続ブラケット(22)に向けて突出するように、前記アーム(28,30)の間に部分的に収容されるようになっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の船室構造(12)。
【請求項4】
前記取付ブラケット(20)は、前記2つのアーム(28,30)の方向と実質的に平行な方向に前記連結部(32)から突出している少なくとも1つの締結ボルト(34)を備え、
前記少なくとも1つの締結ボルト(34)には、側面突起が設けられ、
前記少なくとも1つの弾性要素(26)には、前記少なくとも1つの締結ボルト(34)に結合されるようになっている穴(36)が設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の船室構造(12)。
【請求項5】
前記取付ブラケット(20)は、前記2つのアーム(28,30)の方向と実質的に平行な方向に前記連結部(32)から突出している少なくとも1つの締結ボルト(34)を備え、
前記少なくとも1つの締結ボルト(34)には、ねじ面(38)が設けられ、
前記弾性要素(26)には、前記締結ボルト(34)に結合されるようになっている少なくとも1つの穴(36)が設けられ、
前記取付ブラケットは、前記少なくとも1つの弾性要素(26)を前記取付ブラケット(20)に対して所定の位置に固定するための少なくとも1つのナット(40)を備えていることを特徴とする、請求項3に記載の船室構造(12)。
【請求項6】
前記接続ブラケット(22)は、中央本体(42)と、第1及び第2分岐部(44,46)とを備えるC字断面を有し、
前記中央本体(42)は、前記第1及び第2分岐部(44,46)が前記縁部(24)から突出するように、前記壁(14)の前記縁部(24)に固定されるように設計されており、
前記少なくとも1つの弾性要素(26)は、前記接続ブラケット(22)から前記取付ブラケット(20)に向けて突出するように、前記第1及び第2分岐部(44,46)の間に部分的に収容されるように設計されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の船室構造(12)。
【請求項7】
前記接続ブラケット(22)は、中央本体(42)と、第1及び第2分岐部(44,46)と、第3及び第4分岐部(48,50)とを備えるH字断面を有し、
前記中央本体(42)は、前記第1及び第2分岐部(44,46)が前記縁部(24)から突出するように、前記壁(14)の前記縁部(24)に固定されているように設計されており、
前記少なくとも1つの弾性要素(26)は、前記接続ブラケット(22)から前記取付ブラケット(20)に向けて突出するように、前記第1及び第2分岐部(44,46)の間に部分的に含まれるようになっており、
前記第3及び第4分岐部(48,50)は、前記壁(14)の前記縁部(24)を少なくとも部分的に含むようになっていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の船室構造(12)。
【請求項8】
前記壁(14)は、前記第3及び第4分岐部(48,50)に設けられた接続手段(52)を用いて前記接続ブラケット(22)に接続されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の船室構造(12)。
【請求項9】
前記接続ブラケット(22)と前記取付ブラケット(20)とが、対応する壁(14)の全長の長手方向に延びていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の船室構造(12)。
【請求項10】
前記弾性要素(26)は金属ダボであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の船室構造(12)。
【請求項11】
前記金属ダボはスチールメッシュで作られていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の船室構造(12)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの弾性要素(26)が、前記取付ブラケット(20)の前記アーム(28,30)の間と、前記接続ブラケット(22)の前記第1及び第2分岐部(44,46)の間とに、締り嵌めで挿入されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の船室構造(12)。
【請求項13】
前記締結手段(16)は、前記縁部(24)に沿って長手方向に配置された複数の弾性要素(26)を備え、
少なくとも2つの連続する弾性要素(26)の間に鉱物ウール(52)が設けられていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の船室構造(12)。
【請求項14】
前記締結手段(16)と浮床(56)との間に、鉱物ウール(54)の層が設けられていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の船室構造(12)。
【請求項15】
船室構造(12)と、船舶のデッキ(18)上の浮床(56)とを備える組立式船室を組み立てる方法であって、
前記方法は、
(a)請求項1から12のいずれか1項に記載の船室構造(12)を提供するステップと、
(b)前記船室構造(12)の前記取付ブラケット(20)を船舶の前記デッキ(18)に固定するステップと、
(c)前記船室構造(12)の内部に前記浮床(56)を配置するステップと、
(d)前記壁(14)を前記浮床(56)に固定するステップと
を備える、組立方法。
【請求項16】
ステップ(b)とステップ(c)との間に、鉱物ウール(54)の層が前記締結手段(16)と前記浮床(56)との間に配置されるステップ(c’)を備えることを特徴とする、請求項15に記載の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用船室構造及び組立式船室(prefabricated cabin)の組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船舶のデッキ上に浮床を提供することが知られている。
【0003】
このタイプの床は、床面が、振動伝達に関して遮音性を提供するようになっている材料の層によって、船舶のデッキ及び/又は船舶構造の垂直壁から分離されることを必要とする。
【0004】
一般に、床面はセメント系材料又は金属板でできており、一方、遮音材料の層は鉱物ウールでできている。
【0005】
床材がデッキ上に配置されたら、船室構造も作られるので、船室の壁も船舶のデッキから切り離されている。
【0006】
次に、船室の外周を構築するために、各船室の個々の壁が1つずつ組み立てられる。
【0007】
この建造技術は頻繁に使用されており、デッキを床面から切り離すことで、デッキと船室との間の構造騒音の伝達を低減し、従って、船室内の空気伝達の騒音を低減するのに有効である。
【0008】
先行技術は十分に評価され、使用されているが、欠点がないわけではない。
【0009】
前述のように、浮床が設けられた領域では、まず浮床が設置されることが必要で、次に船室が組み立てられる。
【0010】
先行技術の1つの制限は、浮床が組立式船室の設置と両立しないことである。
【0011】
組立式船室による組み立ては、浮床が必要とされない、船の他の領域で使用される場合に特に価値がある。
【0012】
この組立技術は基本的に、組立式船室が作られ、組立式船室が作られたら、組立式船室は船上に運ばれ、デッキ上に配置され、そして、所定の位置に固定されることを必要とする。
【0013】
この船室建造技術は、船上で行われる必要がある作業を最小限にできるため、特に魅力的である。そのため、例えばクルーズ船で必要とされる船室の数の多さを考えると、この技術が達成する利点はより明白で重要なものとなる。
【0014】
しかし、前述のように、組立式構造を伴った建造技術は、先行技術の浮床とは両立しない。
【0015】
実際、既知のタイプの浮床の場合、基本的に2つの理由から、組立式構造を有する船室を設置することは不可能である。
【0016】
第一に、組立式船室の移動は、浮床の厚さによる垂直方向の空間の減少のために妨げられる。
【0017】
加えて、組立式船室の重量と組立式船室を移動させるために用いられる手段が浮床を損傷し得る。
【発明の概要】
【0018】
その結果、先行技術を参照して引用された欠点及び制限を克服する必要性がある。
【0019】
この理由から、浮床が使用されることになる船舶のデッキの一部に設置することを可能にする組立式船室構造を有する必要がある。
【0020】
これにより、船室組立作業において、浮床を使用する利点と、組立式船室を使用する利点とを足し合わせることが可能となる。
【0021】
加えて、この発明の追加の目的は、先行技術のシステムと比較して、船舶の構造体と船室との間の遮音性をより効果的にする船室構造を提供することである。
【0022】
この発明のさらに別の目的は、先行技術で使用されるシステムと比較して、船舶の構造体から船室への振動の伝達を減少させることを可能にする、組立式船室構造及び対応する設置方法を提供することである。
【0023】
この要求は、請求項1に記載の組立式船室構造と、請求項15に記載の組立式船室の組立方法とによって満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のさらなる特徴及び利点は、その好ましいかつ非限定的な実施形態の以下の説明から、より明確に理解されるであろう。
【0025】
図1】船舶のデッキに設置された、本発明における組立式船室構造の概略図。
図2】本発明における組立式船室構造の部分の断面概略図。
図3】並んで配置された、本発明における2つの組立式船室構造の部分の断面概略図。
図4】本発明における組立式構造の部分の部分断面斜視概略図。
図5】本発明の1つの可能な実施形態における組立式船室構造の部分の断面概略図。
図6図5に示された構造体の構成要素の断面概略図。
図7】本発明の一実施形態における船舶の組立式船室構造を有する船舶のデッキの平面に平行な断面を有する平面によって図示された平面概略図。
【0026】
以下に説明する実施形態の間で共通する要素又は要素の一部は、同じ番号参照で示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の一実施形態における船舶用船室構造を示しており、全体として符号12で示されている。
【0028】
船室構造12は、少なくとも1つの壁14を備え、少なくとも1つの壁14には、前記壁14を船舶のデッキ18に固定するための締結手段16が設けられている。
【0029】
可能な実施形態によれば、壁14は、シートメタルなどの仕上げ面で覆われた絶縁層を備えてもよい。
【0030】
本明細書における用語「壁」は、内部空間を分割することを意図した実質的に平坦な表面であって、使用時にはデッキ18の位置に対して実質的に垂直であるものを指す。
【0031】
図1に示されている実施形態では、船室構造12は、2つの壁14を有して示されているが、船室構造が、互いに連続していてもよい複数の壁を備えることを妨げない。例えば、図7に示されている実施形態では、正方形の底面を有する船室構造12を形成するように配置された4つの壁14がある。
【0032】
図2は、締結手段16の一実施形態の概略図である。締結手段16は、以下を備える。
【0033】
デッキ18に固定されるようになっている取付ブラケット20。
【0034】
壁14の少なくとも縁部24に固定されるようになっている接続ブラケット22。
【0035】
及び、取付ブラケット20と接続ブラケット22との間に設けられた少なくとも1つの弾性要素26。
【0036】
本発明の可能な実施形態によれば、取付ブラケット20は、2つのアーム28,30と接続部32とを備えるC字型の断面を有していてもよい。接続部32は、船舶のデッキ18に固定されるようになっている。
【0037】
可能な実施形態によれば、取付ブラケット20は、鋼などの金属で作られていてもよい。取付ブラケット20が金属で作られている場合、例えば溶接手段によってデッキ18に固定されていてもよい。このことに関して、図2は、アーム30の外側側面をデッキ18に接続する溶接ビード21を示している。
【0038】
図に見られるように、取付ブラケット20は、取付ブラケット20から前記接続ブラケット22に向けて突出するように、アーム28,30の間に弾性要素26を部分的に収容するようになっていてもよい。
【0039】
取付ブラケット20は、2つのアーム28,30の方向と実質的に平行な方向に接続部32から突出する締結ボルト34を備えてもよい。
【0040】
図3に示す可能な実施形態によれば、締結ボルト34には、弾性要素26の対応する穴36と係合するようになっている側面突起35が設けられてもよい。この場合、締結ボルト34と対応する穴36との間の接続は、干渉接続(interference connection)である。
【0041】
1つの代替的な実施形態では、2つのアーム28,30の方向と実質的に平行な方向に接続部32から突出している締結ボルト34には、ねじ部38が設けられている。ここでも、弾性要素26には、締結ボルト34と係合するようになっている穴36が設けられている。図3の例に見られるように、弾性要素26は、穴36に設けられた肩部と係合するナット40を用いて、取付ブラケット20の所定の位置に固定されてもよい。
【0042】
本発明の可能な実施形態によれば、接続ブラケット22は、中央本体42と、第1及び第2分岐部44,46とを備えるC字型の断面を有してもよい。
【0043】
中央本体42は、第1及び第2分岐部44,46が縁部24から突出するように、壁14の縁部24に固定され得る。第1及び第2分岐部44,46は、弾性要素26が接続ブラケット22から取付ブラケット20に向けて突出できるように、第1及び第2分岐部44,46の間に弾性要素26を部分的に含むようになっている。
【0044】
可能な代替的な実施形態によれば、接続ブラケット22は、中央本体42と、第1及び第2分岐部44,46と、第3及び第4分岐部48,50とを備えるH字型の断面を有する。中央本体42は、第1及び第2分岐部44,46が縁部24から突出するように、壁14の縁部24に接触して設置されるように設計されている。第1及び第2分岐部44,46は、弾性要素26が接続ブラケット22から取付ブラケット20に向けて突出できるように、第1及び第2分岐部44,46の間に弾性要素26を部分的に含むようになっている。第3及び第4分岐部48,50は、前記壁14の縁部24を少なくとも部分的に含むように設計されている。
【0045】
可能な実施形態によれば、壁14は、第3及び第4分岐部48,50に設けられた接続手段52を用いて接続ブラケット22に接続されている。接続手段52は、例えば、ボルト、リベット、又は、当業者に知られている他の要素であってもよい。
【0046】
図4及び図7に見られるように、接続ブラケット22及び取付ブラケット20は、対応する壁14の全長の長手方向に延びている。
【0047】
代替的な実施形態によれば、ブラケット20,22は、壁14の長手方向の長さに沿って連続して切れ目を有することができ、例えば、一定の間隔で互いに対応する位置に配置され得る。
【0048】
本発明の可能な実施形態によれば、弾性要素26は、いわゆる金属ダボ(metal dowel)であってもよい。有利には、弾性要素26は、スチールメッシュを有する金属ダボであってもよい。
【0049】
有利には、金属ダボは、船室構造12の火災認証(クラスB)によって要求される不燃性を確保するように設計されている。
【0050】
本発明の可能な実施形態によれば、弾性要素26は、取付ブラケット20のアーム28,30の間と、接続ブラケット22の第1及び第2分岐部44,46の間とに、締り嵌めで挿入されていてもよい。
【0051】
このようにして、弾性要素は、取付ブラケット16と接続ブラケット22との間に実質的に嵌め込まれている。
【0052】
取付ブラケットの可能な実施形態を参照して先に説明された代替的な実施形態では、弾性要素は、穴36内に配置された少なくとも1つの締結ボルト34の使用を通じて、取付ブラケット20に対して所定の位置に固定されていてもよい。
【0053】
可能な実施形態において、弾性要素26は、接続ブラケット22に接着されていてもよい。例えば、弾性要素26は、接続ブラケット22の中央本体42で接着されていてもよい。
【0054】
図4及び図7を参照して、締結手段16を、壁14の縁部24に関して長手方向を参照して説明する。
【0055】
可能な実施形態によれば、締結手段16は、縁部24に沿って複数の弾性要素26を備えてもよい。有利には、鉱物ウール52のパネルが、少なくとも2つの連続する弾性要素26の間に設けられていてもよい。
【0056】
有利には、接続ブラケット22の中央本体42と接触する鉱物ウール52の部分は、接着されていてもよい。
【0057】
代替的に、当業者にそれ自体が知られている鉱物ウールに相当する材料を使用してもよい。
【0058】
可能な実施形態によれば、次に、船室構造は、デッキ上に配置される前に予め組み立てられることができる。
【0059】
特に、デッキ18上に設置するために船上に持ち込まれる前に、船室構造12には、取付ブラケット20、弾性要素26、及び接続ブラケット22を備える締結手段16が設けられてもよい。
【0060】
加えて、複数の壁14を備える船室構造12は、組立式船室を作るために設置され、続いて、船舶のデッキ上に配置され組み立てられてもよい。
【0061】
次に、前述の船室構造12の組立方法について説明する。
【0062】
船舶のデッキ18上で船室構造12と浮床56とを組み立てるための方法は、以下のステップを備える。
【0063】
(a)前述のタイプの船室構造12を提供するステップ。
【0064】
(b)船室構造12の取付ブラケット20を船舶のデッキ18に取り付けるステップ。
【0065】
(c)船室構造12の内部に浮床56を配置するステップ。
【0066】
及び、(d)壁14を浮床56に固定するステップ。
【0067】
本発明の可能な実施形態によれば、浮床は、コンクリート又はシートメタルのコーティングを用いて配置されている鉱物ウールの少なくとも1つの層を備える。
【0068】
可能な代替的な実施形態では、浮床56は、歩行に適したシートメタルで上部が覆われている、床に弾性を与えるようになっている金属メッシュの少なくとも1つの層で作られていてもよい。
【0069】
可能な実施形態によれば、ステップ(b)とステップ(c)との間には、鉱物ウール54の層が締結手段16と浮床56との間に配置されるステップ(c’)がある。
【0070】
有利には、鉱物ウール54の層は、クラスBを確保するために、壁と浮床との間に組み込まれている。
【0071】
あるいは、当業者にそれ自体が知られている鉱物ウールに相当する材料が使用されてもよい。
【0072】
従って、前述の船室構造と対応する組立方法とで達成可能な利点は、今や明らかである。
【0073】
第一に、弾性要素を備えるタイプの壁14とデッキ18との間の締結手段16の使用は、低周波ノイズの顕著な低減を提供する。
【0074】
特に、金属メッシュを有する金属ダボの使用を考慮すると、壁が浮床に直接設置されている従来の設置と比較して、低周波領域(50Hz~200Hz)で5dBと10dBとの間の平均的な減衰が達成される。さらに、減衰は、高周波数においても有効である。
【0075】
加えて、浮床が使用される船舶のデッキの部分にも設置可能な組立式船室を形成するように設計された船室構造が利用可能である。
【0076】
この点において、組立式船室は、先行技術の方法を用いて浮床に設置された船室の壁で達成可能な遮音性を少なくとも維持したまま、浮床が作られる前に船舶のデッキに直接設置されてもよい。
【0077】
加えて、浮床の設置に比べて、遮音性がさらに向上される。
【0078】
このようにして、浮床を使用することの利点は、船室の組み立て作業において組立式船室を使用することの利点と組み合わされる。
【0079】
さらに、本発明における船室構造、及び特に組立式船室を用いて、先行技術で使用されるシステムと比較して、船舶から船室への振動の伝達を減少させることが可能である。
【0080】
従って、船上での組立式船室の組み立ては、浮床を有することになっている領域を含めて可能である。
【0081】
前述の実施形態に関して、当業者は、特定の要件を満たす目的で、付属の請求項の範囲を超えることなく、記載された項目を変更したり、同等の項目で置換したりすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】