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特表2022-529823ドライアイの治療に使用可能な組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(54)【発明の名称】ドライアイの治療に使用可能な組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/02 20060101AFI20220617BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20220617BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20220617BHJP
   A61K 31/185 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 31/728 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220617BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
A61K38/02
A61P27/04
A61P43/00 105
A61K38/08
A61K31/185
A61K31/198
A61P43/00 121
A61K31/728
A61K9/08
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/02
A61K47/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562906
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2020029168
(87)【国際公開番号】W WO2020219475
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/836,858
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514114471
【氏名又は名称】アレグロ オフサルミックス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Allegro Ophthalmics, LLC
【住所又は居所原語表記】Suite 204 31473 Rancho Viejo Rd. San Juan Capistrano, CALIFORNIA 92675 UNITED STATES
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】カラジョージアン、ハンパー エル.
(72)【発明者】
【氏名】パーク、ジョン ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】カラジョージアン、ビッケン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】サライーバ、メルビン アルビス
(72)【発明者】
【氏名】カラジョージアン、リサ エス.
(72)【発明者】
【氏名】オーベル、ジャニーヌ エム.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD22
4C076DD23
4C076DD26
4C076DD29
4C076EE33
4C076EE36
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA03
4C084BA17
4C084MA17
4C084MA58
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA33
4C084ZB21
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA25
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA58
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZB21
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA08
4C206JA27
4C206JA58
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA78
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA33
4C206ZB21
4C206ZC75
(57)【要約】
ヒトまたは非ヒト動物対象におけるドライアイを治療するための組成物および方法であって、抗インテグリンペプチドを含む薬学的組成物の有効量が当該対象の眼に投与される、組成物および方法。当該抗インテグリンペプチドは、補体3受容体(インテグリンαMβ2)の発現の減少、白血球接着の減少、および白血球経内皮遊走の減少から選択される少なくとも1つの効果をもたらすペプチドを含み得る。当該ペプチドは、リステガニブを含み得る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライアイの治療を必要とする対象におけるドライアイを治療するための方法であって、前記対象に、抗インテグリンペプチドを含む薬学的組成物の有効量を投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記ペプチドが、
補体3受容体(インテグリンαMβ2)の発現の減少、
白血球接着の減少、および
白血球経内皮遊走の減少から選択される少なくとも1つの効果をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペプチドがリステガニブ(Risuteganib)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記薬学的組成物が0.05~5.0重量%のリステガニブを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、眼に、タウリン、メチオニン、およびシステインから選択される少なくとも1つのアミノ酸の有効量を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアミノ酸が前記薬学的組成物中に含まれる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記薬学的組成物がタウリンの有効量をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
眼に、少なくとも1つのヒアルロナンの有効量を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのヒアルロナンが前記薬学的組成物中に含まれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記薬学的組成物が、眼への前記局所投与に好適な担体中に、リステガニブ、タウリン、およびヒアルロン酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記薬学的組成物が、0.125~5.0重量%の前記抗インテグリンペプチドおよび0.125~5.0重量%のタウリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~5.0%
リステガニブ 0.6~5.0%
【請求項13】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
リン酸カリウム 0.1%
一塩基性、無水
リン酸カリウム 0.4%
二塩基性、無水
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~5.0%
リステガニブ 0.6~5.0%
【請求項14】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項15】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.01%~10%
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項16】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項17】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
カルボキシメチルセルロース 0.01%~10%
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項18】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項19】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.01%~10%
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項20】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
アルギン酸ナトリウム 0.075%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項21】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項22】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項23】
前記薬学的組成物が、以下を含む、請求項1に記載の方法。
精製水 100%まで適量
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項24】
前記薬学的組成物が前記対象の眼に局所投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
抗インテグリンペプチドを、タウリン、メチオニン、およびシステインから選択されるアミノ酸と組み合わせて含む薬学的組成物であって、眼への局所投与に好適である、薬学的組成物。
【請求項26】
前記抗インテグリンペプチドが、
補体3受容体(インテグリンαMβ2)の発現の減少、
白血球接着の減少、および
白血球経内皮遊走の減少から選択される少なくとも1つの効果をもたらす、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記ペプチドがリステガニブを含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記薬学的組成物が0.05~5.0重量%のリステガニブを含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1つのアミノ酸がタウリンを含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
少なくとも1つのヒアルロナンをさらに含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1つのヒアルロナンが、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、およびヒアルロン酸の他の塩から選択される、請求項30に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
前記薬学的組成物が、眼への前記局所投与に好適な担体中に、リステガニブ、タウリン、およびヒアルロン酸ナトリウムを含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
0.125~5.0重量%の前記抗インテグリンペプチドおよび0.125~5.0重量%のタウリンを含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~5.0%
リステガニブ 0.6~5.0%
【請求項35】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
リン酸カリウム 0.1%
一塩基性、無水
リン酸カリウム 0.4%
二塩基性、無水
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~5.0%
リステガニブ 0.6~5.0%
【請求項36】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項37】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.01%~10%
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項38】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項39】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
カルボキシメチルセルロース 0.01%~10%
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項40】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項41】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.01%~10%
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項42】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
アルギン酸ナトリウム 0.075%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項43】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項44】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項45】
以下を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
精製水 100%まで適量
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
【請求項46】
6.5~8.0の範囲内のpHを有する、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
7.0~7.4の範囲内のpHを有する、請求項25に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、2019年4月22日に出願された米国仮特許出願第62/836,858号、表題「Compositions and Methods Useable for Treatment of Dry Eye」に対する優先権を主張するものであり、その全開示は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、化学、生命科学、薬学、および医学の分野に関し、より具体的には、薬学的調製物および眼疾患の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許法施行規則第1.71条(e)に従って、本特許文献には著作権保護の対象となる資料が含まれており、本特許文献の所有者はいかなる著作権も留保する。
【0004】
健常な眼では、一貫性のある涙液層(涙液膜)が眼の表面上に分布している。この涙液膜は眼の潤いを保ち、眼の上に留まると角膜剥離および/または眼感染症を引き起こす可能性のあるほこり、微生物、および他の破片を洗い流す。
【0005】
「ドライアイ」という用語は、「涙液膜の浸透圧の増加および眼表面の炎症を伴う眼表面への潜在的損傷を伴う不快感、視覚障害、および涙液膜不安定性の症状をもたらす涙液および眼表面の多因子性疾患」として定義されている。Hessel,M.,et al.,Dry Eye:an Inflammatory Ocular Disease;J Ophthalmic Vis Res 2014;9(2): 240-250を参照されたい。
【0006】
本特許出願で使用される場合、「ドライアイ」という用語は、涙液不足または涙液不全を特徴とする障害、例えば、ドライアイ、ドライアイ症候群、ドライアイ疾患、蒸発性ドライアイ、水欠乏性ドライアイ、乾燥角膜炎(角膜の乾燥および炎症)、乾性角結膜炎(角膜および結膜の両方に影響を及ぼす乾燥)、および機能不全性涙液症候群(涙液の質または量不足)と称される障害を含むが、必ずしもこれらに限定されないと解釈されるべきである。
【0007】
正常な涙液には、油性(脂質)成分、水性(水)成分、およびムチン(粘液状)成分の3つの主要成分が含まれている。油性(脂質)成分、別名、マイボームは、眼瞼内に位置するマイボーム腺によって産生される。水性成分は、上眼瞼の後ろに位置する涙腺によって産生される。ムチン成分は、眼の結膜内に位置する杯細胞によって産生される。これらの涙液成分のうちのいずれかが不足するか、または過剰になると、ドライアイを引き起こす可能性がある。例えば、マイボーム腺機能不全に罹患している患者において、不十分なマイボームしか産生されず、涙液膜を過度に急速に蒸発させ、それにより、蒸発性ドライアイ状態をもたらす。涙腺が水性成分を十分に産生することができない場合、全体積または涙液が減少する場合があり、眼の潤いが十分に保たれず、それにより、水欠乏タイプのドライアイを引き起こすことになる。また、アレルギー性または炎症性障害、ホルモン変化、様々な行動要因および環境要因、糖尿病、長期のコンタクトレンズ装着、高齢、ある特定の自己免疫疾患(例えば、シェーグレン症候群および全身性エリテマトーデス)、PRKまたはLASIKを含む眼の手術、薬物治療、コンピュータ使用、眼疲労、角膜知覚異常、翼状片および眼瞼不規則性(例えば、下垂症、眼瞼内反/眼瞼外反、瞼裂斑)などの他の基礎状態および現象もドライアイを引き起こすか、またはドライアイの一因となる可能性がある。
【0008】
ドライアイは、慢性ドライアイ疾患(DED)であり、涙腺および眼表面組織(上皮細胞、杯細胞、マイボーム腺など)の慢性炎症性疾患である。眼表面へのストレス(環境要因、全身性疾患、感染症、内因性ストレス、抗原、遺伝的要因)は、病原性誘発機構と仮定される。炎症促進性サイトカインであるケモカインは、眼表面および涙腺に浸潤し、それにより、眼表面への損傷と炎症が繰り返される。ドライアイは、典型的には、付属肢、結膜、および/または角膜などの眼の一部の炎症性変化に関連している。
【0009】
いくつかの可能性のある様々な炎症経路を阻害するように設計されたドライアイ治療が研究されている。ドライアイの治療にこれまでに認可されている薬物には、Lifitegrast(Xiidra(登録商標)、Shire US Inc.、Lexington,MA)およびCyclosporine(Restasis(登録商標)およびRestasis MultiDose(登録商標)、Allergan,Inc.Irvine,CA、Ceqa(商標)、Sun Pharmaceutical industries,ltd.、Princeton,NJ)が挙げられる。
【0010】
出願人は、分子式C22-H39-N9-O11-Sおよび以下の構造式を有する非天然ペプチドであるリステガニブ(Risuteganib)の開発中である。
【化1】
【0011】
リステガニブは、ALG-1001、グリシル-L-アルギニルグリシル-3-スルホ-L-アラニル-L-トレオニル-L-プロリン、Arg-Gly-NH-CH(CH-SOH)COOH、およびLuminate(登録商標)(Allegro Ophthalmics,LLC、San Juan Capistrano,CA)を含む他の名称、命名、および呼称でも呼ばれている。
【0012】
リステガニブは、酸化的ストレス経路の上流のいくつかのインテグリンを標的とすることが示されている抗インテグリンである。リステガニブは、低酸素症および酸化的ストレスに関連するものを含む複数の血管新生過程および炎症過程を下方制御するために広く作用する。リステガニブは、現在、以下を含むいくつかの効果をもたらすことが知られている。
・VEGFおよびANG-2を含む他の血管新生促進成長因子の産生を下方制御することによる血管新生の抑止および新血管新生の退縮の可能性
・VEGFおよび炎症性メディエーターの産生を阻害することによる血管漏出の減少
・補体3受容体(別名、インテグリンαMβ2)の発現を減少させることを含む複数のインテグリンサブユニットを標的とすることによる炎症の少なくとも部分的な軽減(これにより、白血球接着が減少し、白血球経内皮遊走が減少し、結果として炎症の症状が軽減する)
・アポトーシスの減少、ROPモデルにおける細胞生存率の増加、フリーラジカル酸素産生の減少、およびミトコンドリアの健康の増強によって証明される神経保護
【0013】
リステガニブの追加の説明およびそれに関する情報は、米国特許第9,018,352号、同第9,872,886号、同第9,896,480号、同第10,307,460号、同第10,639,347号、および同第10,590,166号、ならびに米国特許出願公開第2018/0207227号および同第2019/0062371号に提供されており、各々のかかる特許および特許出願の全開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【発明の概要】
【0014】
本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」という用語は、ヒトまたは非ヒト動物、例えば、ヒト、霊長類、哺乳動物、および脊椎動物のいずれかを指す。
【0015】
「治療する」または「治療すること」という用語は、状態、疾患、または障害を予防する、排除する、治癒する、抑止する、その重症度を軽減する、またはその少なくとも1つの症状を軽減することを指す。
【0016】
「有効量」または「に有効な量」という語句は、妥当な利益/リスク比でいくらかの所望の効果をもたらす薬剤の量を指す。ある特定の実施形態では、この用語は、ドライアイまたはドライアイの症状を治療するのに必要または十分な量を指す。有効量は、治療される疾患もしくは状態、投与される特定の組成物、または疾患もしくは状態の重症度などの要因に応じて変化し得る。当業者であれば、過度の実験を必要とすることなく、特定の薬剤の有効量を経験的に決定することができる。
【0017】
本開示によれば、ヒトまたは非ヒト動物対象におけるドライアイを治療するための組成物および方法であって、抗インテグリンペプチドを含む薬学的組成物の有効量が対象の眼に投与される、組成物および方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗インテグリンペプチドは、補体3受容体(インテグリンαMβ2)の発現の減少、白血球接着の減少、および白血球経内皮遊走の減少から選択される少なくとも1つの効果をもたらすペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、リステガニブを含み得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、これらの特定の効果を呈するリステガニブ以外のペプチド、例えば、上記の組み込まれた米国特許出願公開第2019/0062371号、表題「Peptide Compositions and Related Methods」に開示されている活性ペプチドを含み得る。
【0018】
本開示の別の態様によれば、薬学的組成物は、生理食塩水または人工涙液などの任意の好適な担体中に抗インテグリンペプチドを含む眼への局所投与に好適な溶液、懸濁液、またはゲルを含み得る。担体は、溶媒、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、賦形剤、およびpH調整剤を含むが、必ずしもこれらに限定されない、眼への局所投与用の組成物の製剤化の分野で既知の1つ以上の成分を含み得る。
【0019】
本開示のさらに別の態様によれば、薬学的組成物は、任意選択的に、活性(例えば、ドライアイの治療に有効)または不活性(例えば、賦形剤、滑沢剤、または他の製剤成分として有効)量の、a)タウリン、メチオニン、およびシステインから選択されるアミノ酸、および/またはb)ヒアルロナン(例えば、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸の他の塩)のうちの1つ以上をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、かかるアミノ酸および/またはヒアルロナン成分は、製剤の0.125~5.0重量%の範囲の濃度で存在し得る。
【0020】
本開示のさらに別の態様によれば、眼への局所投与用の薬学的組成物であって、リステガニブと、タウリンとを、その薬学的組成物をドライアイの治療に有効なものにする量で含む、薬学的組成物が提供される。
【0021】
本開示のさらに別の態様によれば、眼への局所投与用の薬学的組成物であって、リステガニブと、ヒアルロナン(例えば、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸の他の塩)とを、その薬学的組成物をドライアイの治療に有効なものにする量で含む、薬学的組成物が提供される。
【0022】
本開示のさらに別の態様によれば、眼への局所投与用の薬学的組成物であって、リステガニブと、ヒアルロナン(例えば、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、およびヒアルロン酸の他の塩)と、タウリン、メチオニン、およびシステインから選択されるアミノ酸とを、その薬学的組成物をドライアイの治療に有効なものにする量で含む、薬学的組成物が提供される。
【0023】
本発明のなおさらなる態様および詳細は、以下に記載の発明を実施するための形態および実施例を読むことにより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の図面は、本特許出願に含まれ、以下の発明を実施するための形態で参照される。これらの図面は、本開示のある特定の態様または実施形態を例証することのみを意図しており、本開示の範囲をいかようにも限定しない。
【0025】
図1】リステガニブ処理後の未熟(ROP)マウスの虚血性網膜症におけるインテグリンαMβ2の発現を示す図である。
図2】Sjogrens International Collaboration Clinical Alliance(SICCA)によって公開されたSICCA眼染色スコアフォームのコピーである。
図3】以下に記載のヒト研究で使用した視覚的アナログ尺度(VAS)症状指数を示す。
図4】以下に記載のヒト研究における0.6%タウリンおよび0.6%リステガニブ0.6%を含む試験製剤1で処理した対象の時間(週)に対する平均涙液層破壊時間(TBUT)(秒)を歴史的対照値と比較したグラフである。
図5】以下に記載のヒト研究における0.6%タウリンおよび0.6%リステガニブ0.6%を含む試験製剤1で処理した対象の時間(週)に対する平均総眼染色スコアを歴史的対照値と比較したグラフである。
図6】以下に記載のヒト研究における0.6%タウリンおよび0.6%リステガニブ0.6%を含む試験製剤1で処理した対象の時間(週)に対する平均角膜染色スコアを歴史的対照値と比較したグラフである。
図7】以下に記載のヒト研究における0.6%タウリンおよび0.6%リステガニブ0.6%を含む試験製剤1で処理した対象の時間(週)に対する平均鼻結膜染色スコアを歴史的対照値と比較したグラフである。
図8】以下に記載のヒト研究Aにおける0.6%タウリンおよび0.6%リステガニブ0.6%を含む試験製剤1で処理した対象の平均複合VASスコア(すべての症状)を歴史的対照値と比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の発明を実施するための形態およびそれが参照する添付の図面は、必ずしもすべてではないが本開示のいくつかの実施例または実施形態を説明することを意図している。記載される実施形態は、限定するものではなく、単に例証するものとみなされるべきである。この発明を実施するための形態および添付の図面の内容は、本発明の範囲をいかようにも限定しない。
【0027】
本特許出願で使用される場合、ALG-1007という用語は、概して、眼への局所投与用の活性剤としてリスチガニブを含むドライアイを含む眼障害を治療するための薬学的調製物を指すために使用される。可能なALG-1007製剤の非限定的な例には、以下が挙げられる。
【0028】
実施例1
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~5.0%
リステガニブ 0.6~5.0%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0029】
実施例2
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
リン酸カリウム 0.1%
(一塩基性、無水)
リン酸カリウム 0.4%
(二塩基性、無水)
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~5.0%
リステガニブ 0.6~5.0%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0030】
実施例3:
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.01%~10%
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0031】
実施例4:
精製水 100%まで適量
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0032】
実施例5:
精製水 100%まで適量
カルボキシメチルセルロース 0.01%~10%
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0033】
実施例6:
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0034】
実施例7:
精製水 100%まで
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.01%~10%
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0035】
実施例8:
精製水 100%まで
アルギン酸ナトリウム 0.075%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0036】
実施例9:
精製水 100%まで
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0037】
実施例10:
精製水 100%まで適量
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.6~0.8%
リステガニブ 0.6~0.8%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0038】
実施例11:
精製水 100%まで適量
アルギン酸ナトリウム 0.01%~15%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
リステガニブ 0.6~0.8%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0039】
実施例12:(以下、ALG-1007試験製剤1と称する)
精製水 100%まで適量
ヒアルロン酸ナトリウム 0.125%
カルボキシメチルセルロース 0.2%
アルギン酸ナトリウム 0.05%
塩化ナトリウム 0.20%
塩化カリウム 0.14%
塩化マグネシウム 0.011%
ホウ酸 0.2%
亜塩素酸ナトリウム 0.05%
過酸化水素 0.017%
タウリン 0.125~0.6%
リステガニブ 0.125~0.6%
1N HCLまたは1N NaOH pH7.0~7.4にするのに必要に応じて
【0040】
開示される製剤の各々のタウリン成分は、任意選択的である。他の者は、米国特許出願公開第2008/0261890号(Ousler et al.)Use of Neurotransmitters and Neuropeptides for the Treatment of Dry Eye and Related Conditionsに記載されているように、タウリン自体がドライアイの治療にいくらか有効であると述べている。タウリンがいくらかの程度でも任意選択的なタウリンを含む特定の製剤の活性成分であると決定された場合、ドライアイの治療のために、リステガニブおよびタウリンの相対量は変化してもよく、最適化され得る。上に示される実施例は単なる例にすぎず、本開示に従って使用され得るすべての可能な製剤を包括的に説明することを意図していない。上記の製剤実施例1~12の代替バージョンまたはタウリン(またはあるいはメチオニンもしくはシステイン)が存在する任意の他の実施形態では、かかる成分は、製剤の0.125~5.0重量%の範囲の量で存在し得る。
【0041】
任意選択的なタウリンを含む実施形態では、タウリンは、メチオニンまたはシステインと完全にまたは部分的に置き換えられ得る。本開示は、タウリンが、示される濃度レベルで、または有効または好適であると決定された他の量で、メチオニンまたはシステインに置き換えられる、上記の非限定的な実施例1~12を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、タウリン成分(例えば、タウリン、またはあるいは、メチオニンもしくはシステイン)は不在であり得、他の実施形態では、リステガニブおよびタウリン成分であるタウリンの相対量は変化し得る。リステガニブおよびタウリン成分の両方が存在するいくつかの製剤実施形態では、リステガニブは、0.05%~5.0%の範囲内で存在し得、タウリン成分は、0.05%~5.0%の範囲内で存在し得る。以下は、低濃度、中濃度、および高濃度製剤の非限定的な例である。
・低濃度製剤: 0.05%リステガニブ+0.05%タウリン成分
・中濃度製剤: 0.6%~0.8%リステガニブ+0.6~0.8%タウリン成分
・高濃度製剤: 5%リステガニブ+5%タウリン成分
【0043】
リステガニブおよびタウリン成分の両方が存在する実施形態では、リステガニブおよびタウリン成分は、上記の製剤実施例1~9と同様に、単一の溶液中で組み合わせられ得る。あるいは、リステガニブおよびタウリン成分は、別個の溶液または組成物として提供され得、同時にまたは異なる時点で投与され得る。
【0044】
リステガニブは、インテグリン阻害剤として作用する低分子量ペプチドである。リステガニブは、「相補3受容体」と呼ばれることもあるインテグリンαMβ2を含む複数のインテグリンサブユニットを標的とし、炎症経路、特に相補3経路に積極的に関与している。図1に示されるように、リステガニブは、インテグリンαMβ2の発現を減少させる。かかるインテグリンαMβ2の阻害を引き起こすことにより、リステガニブは白血球接着および経内皮遊走を妨げ、それにより、炎症の軽減およびドライアイの症状の改善がもたらされ得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸ナトリウムまたは他のヒアルロン酸成分は、製剤から減らされ得るか、または完全に排除され得る。上記の製剤実施例1~12の代替バージョンまたはヒアルロン酸ナトリウムもしくは別のヒアルロン酸成分(例えば、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸)が存在する任意の他の実施形態では、かかる成分は、製剤の0.125~5.0重量%の範囲の量で存在し得る。
【0046】
また、上記の製剤実施例1~12のうちのいずれかの代替バージョンまたは任意の他の実施形態では、製剤または薬学的組成物のpHは、6.5~8.0の範囲内であり得る。
【0047】
リステガニブは、酸化的ストレス応答も下方調節する。
【0048】
マウス研究
雌C57BL/6マウスを4つの群に無作為に分け、以下の表1に示されるように処理した。
【表1】
【0049】
制御環境チャンバを使用してマウスを乾燥ストレス条件に12日間連続して曝露することによってドライアイを誘発した。12日後、動物を乾燥条件から取り除き、眼をフルオレセインで染色し、写真撮影した。写真の視覚的評価により、対照(群1、2、および3)の眼内の角膜に強いフルオレセイン染色が見られた一方で、ALG-1007試験製剤1(群4)で処理した動物の眼は、角膜にフルオレセイン染色を呈さず、その結果、群4における健常な角膜を示した。
【0050】
動物を屠殺した後、角膜薄片を調製し、免疫化学のために処理して、インターロイキン1β、インターロイキン6、TNF-α、グリア酸性線維性タンパク質(GFAP)、18kDaトランスロケータータンパク質(TSPO)、カスパーゼ6、カスパース9、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ、およびカタラーゼの角膜濃度を測定した。これらの分析の結果を以下の表2に要約する。
【表2】
【0051】
処理群4の動物は、群1、2、または3の動物よりも低い角膜濃度のインターロイキン1β、インターロイキン6、TNF-α、グリア酸性線維性タンパク質(GFAP)、カスパーゼ6およびカスパーゼ9、ならびにより高いスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ、およびカタラーゼを有した。これは、ALG-1007試験製剤1が本研究において抗炎症効果をもたらしたことを示している。
【0052】
ヒト研究
初期ヒト研究を実施して、ドライアイに罹患している対象の眼に局所適用したALG-1007試験製剤1の安全性および有効性を調査した。この研究の対象を選択する際に、以下の除外基準を適用した。
・薬物成分のうちのいずれかに対する既知のアレルギー
・コンタクトレンズを装着しているか、またはコンタクトレンズの装着を止めることに意欲的ではない
・妊娠中、授乳中、または泌乳中
・現在進行中の眼感染症、炎症、または急性アレルギー性結膜炎
・眼ヘルペス性角膜炎の病歴、過去6ヶ月間に受けた眼の手術、LASIK手術、緑内障薬の使用
・結膜杯細胞の瘢痕形成または破壊(すなわち、化学熱傷)に続発するDEDを有する対象
・眼瞼の異常または広範囲にわたる眼の瘢痕形成
・ のための局所用薬剤または抗生物質の使用
・眼瞼炎またはマイボーム腺疾患の治療
・積極的DED治療(すなわち、リフィテグラスト、シクロスポリン、肥満細胞安定剤、抗ヒスタミン剤、コルチコステロイド)の現行使用(人工涙液または眼用滑沢剤の使用は許可された)
・ベースライン前のいずれかの治験薬(60日以内)またはデバイス研究(30日以内)への参加
【0053】
対象を以下のように処理群に無作為に割り当てた。
【表3】
【0054】
試験液1滴を各対象の各眼に1日2回(朝夕)12週間局所投与した。涙液層破壊時間(TBUT)、結膜染色および角膜染色、ならびにドライアイ症状を、ゼロ時間、1週目、2週目、4週目、6週目、8週目、10週目、および12週目の時点で測定した。
【0055】
涙液層破壊時間の評価:
涙液層破壊時間(TBUT)を、局所的フルオレセイン0.5%の滴下と角膜上の最初のドライスポットの出現との間の間隔を測定することによって決定する。麻酔点眼薬を滴下する前に測定する。フルオレセイン条片を生理食塩水で湿らせ、下盲嚢に適用する。数回まばたきした後、涙液膜を角膜上の最初のドライスポットの出現について観察する。
【0056】
以下の表3は、1週目から12週目までの各時点での各処理群の平均値のTUBT(秒)±標準偏差の平均変化を示す。
【表4】
【0057】
各処理群の平均TBUTスコアを歴史的対照データと比較した。試験した投薬量レベルの各々でTBUTに対するいくらかの効果が明らかであったが、0.6%タウリン/0.6%リステガニブ投薬量レベルで処理した処理群4の対象において最も有意な効果が見られた。図4は、歴史的対照データと比較した処理群4の対象の平均TBUTを示すグラフである。
【0058】
眼染色の評価:
総眼染色スコア(TOSS)を、図2に示されるSICCA眼染色スコアシステムを使用して計算した。以下の表4は、1週目から12週目までの各時点での各処理群のTOSSの平均変化を示す。
【表5】
【0059】
各処理群の平均TOSSスコアを歴史的対照データと比較した。処理群3(0.4%タウリン/0.4%リステガニブ)および処理群4(0.6%タウリン/0.6%リステガニブ)の対象において、1週目、2週目、および4週目時点でTOSSに対する効果が明らかであった。図5のグラフは、歴史的対照データと比較した各時点での処理群4の対象の平均TOSSを示す。各時点での処理群4の対象の平均角膜染色スコアを歴史的対照データと比較して図6に示し、各時点での処理群4の対象の平均鼻結膜染色スコアを歴史的対照データと比較して図7に示す。これらのデータは、少なくとも処理群4の対象において少なくともTOSSおよび鼻結膜染色スコアが有意に影響を受けたことを示す。
【0060】
ドライアイ症状の評価:
以下のドライアイ症状を、視覚的アナログ尺度(VAS)を使用して各対象において各時点で評価した。
・灼熱感/刺痛感
・そう痒
・異物感
・目の不快感
・目の乾燥
・羞明
・疼痛
【0061】
以下の表5は、1週目から12週目までの各時点での各処理群の「眼の乾燥」症状についてのVASスコアの平均変化を示す。
【表6】
【0062】
評価した眼の乾燥の症状は、すべての処理群1、2、3、および4において軽減した。
【0063】
図8は、歴史的対照値と比較した処理群4の対象(0.6%タウリン+0.6%リステガニブ)における複合VASスコア(すべての評価した症状)の平均変化を示すグラフである。
【0064】
このヒト研究で処理した対象では有意な毒性または有害な影響は観察されなかった。
【0065】
上述の発明を実施するための形態は、本発明のある特定の実施例または実施形態について言及している。しかしながら、本発明の意図される趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な追加、削除、変更、および修正がそれらの実施例および実施形態に加えられてもよい。例えば、別途明記されない限り、または一実施形態もしくは一実施例の任意の要素もしくは特質が別の実施形態もしくは別の実施例に組み込まれるか、またはそれとともに使用されることが、その実施形態もしくは実施例をその意図される用途に不適なものにしない限り、一実施形態もしくは一実施例の任意の要素もしくは特質が別の実施形態もしくは別の実施例に組み込まれてもよく、またはそれとともに使用されてもよい。また、方法もしくはプロセスのステップが特定の順序で記載または列記されている場合、別途明記されない限り、またはかかるステップの順序が変更されることが方法もしくはプロセスをその意図される目的に対して非機能的なものにしない限り、かかるステップの順序が変更されてもよい。すべての妥当な追加、削除、修正、および変更は、記載される実施例および実施形態の等価物であるとみなされ、以下の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】