(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(54)【発明の名称】車両センサおよび/または構成要素の状況に応じた制御
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220617BHJP
G01S 17/86 20200101ALI20220617BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20220617BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20220617BHJP
G01S 13/86 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G01S17/86
G01S17/931
G01S13/931
G01S13/86
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562945
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(85)【翻訳文提出日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 EP2020060568
(87)【国際公開番号】W WO2020216658
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】102019205900.7
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】エベルト,マーロン・ラモン
【テーマコード(参考)】
5H181
5J070
5J084
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181FF04
5H181LL09
5J070AC02
5J070AE01
5J070AE09
5J070AE20
5J070AF03
5J070AK40
5J070BD04
5J070BD06
5J070BD08
5J070BD10
5J084AA07
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA03
5J084CA49
5J084CA65
5J084CA67
5J084EA20
5J084EA33
(57)【要約】
制御装置(10)によって車両(4)のセンサ(12、13、14、15)または構成要素(16)を制御するための方法であって、車両の少なくとも1つのセンサからの測定データが受信されて評価され、測定データの評価により、車両(4)を取り巻く交通状況が決定され、決定された交通状況に応じて、車両(4)の少なくとも1つのセンサおよび/または少なくとも1つの構成要素が作動される、作動停止される、および/または待機モードにされる方法が開示される。さらに、制御装置(10)およびコンピュータプログラムも開示される。例えば、高度自動運転可能な車両であり得る車両(4)が、信号機(6)に接近する。車両(4)は位置センサ(18)も備え、位置センサ(18)は、車両(4)のGNSS位置を決定し、制御装置(10)に転送することができる。待機モードを維持するために、LIDARセンサ(12)は、コンデンサとして設計された内部エネルギー貯蔵器(19)を備える。信号機(6)は、通信接続(8)を介して事前に制御装置(10)に関連情報を伝送するので、例えばレーダセンサ(15)、LIDARセンサ(14)、および超音波センサ(13)を、信号機(6)の手前の停止位置(11)で車両(4)が停止する前にすでに作動停止することができる。制御装置(10)は、エアバッグ制御ユニットなど、車両(4)のさらなる制御ユニット(16)と通信し、それらを作動または作動停止することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置(10)によって車両(4)のセンサ(12、13、14、15)または構成要素(16)を制御するための方法(2)であって、
前記車両の少なくとも1つのセンサ(12、13、14、15)からの測定データが受信されて評価され、
前記測定データの前記評価により、前記車両を取り巻く交通状況が決定され、
前記決定された交通状況に応じて、前記車両の前記少なくとも1つのセンサ(12、13、14、15)および/または少なくとも1つの構成要素(16)が作動される、作動停止される、および/または待機モードにされる
方法(2)。
【請求項2】
前記交通状況の前記決定のために、走行方向(F)の前方にある交差点、走行方向(F)の前方にある信号機(6)、渋滞、前記車両(4)の開始された制動操作、近隣道路利用者、市街地、郊外の道路、もしくは高速道路、前記少なくとも1つのセンサ(12、13、14、15)に関する最適な動作条件、および/または前記少なくとも1つのセンサ(12、13、14、15)に関する不利なコンディションが検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両(4)が停止するとすぐに、前記少なくとも1つのセンサ(12、13、14、15)および/または構成要素(16)が前記制御装置(10)によって作動停止され、前記車両(4)が走行を続ける場合には、前記少なくとも1つのセンサ(12、13、14、15)および/または構成要素(16)が前記制御装置(10)によって作動される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両(4)が停止状態であるとき、または制動プロセスの開始時に、前記少なくとも1つのセンサ(12、13、14、15)および/または構成要素(16)が作動停止される、または待機モードにされる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサ(12、13、14、15)および/または構成要素(16)が、前記決定された交通状況に応じておよび/または予測的に、作動停止されるまたは待機モードにされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前方にある停止位置(11)までの特定の距離で、少なくとも1つの位置センサ(18)を除くすべてのセンサ(12、13、14、15)が作動停止され、前記車両(4)が、前記停止位置(11)で停止状態になるまで、前記少なくとも1つの位置センサ(18)の測定データによっておよび/または通信接続(8)を介して受信された測定データによって制御される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記制御装置(10)が、始動距離にわたる前記車両(4)の始動のためおよび/または目標速度までの加速のために、より少数の作動されたセンサ(12)からの測定データにアクセスする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記センサ(12、13、14、15)および/または構成要素(16)を作動停止した後および/または待機状態にした後、前記センサ(12、13、14、15)および/または構成要素(16)の再作動が段階的に行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記制御装置(10)によって評価された測定データに基づいて、前記少なくとも1つの作動停止されたセンサ(13、14、15)および/または構成要素(16)が作動され、ここで、前記少なくとも1つの作動停止されたセンサ(13、14、15)が予測的に作動される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの構成要素(16)が制御装置として構成され、前記車両(4)が停止状態であるとき、停止状態が開始されるとき、または事前に、作動停止されるまたは待機モードにされる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記待機モードにされた前記少なくとも1つのセンサ(13、14、15)および/または構成要素(16)が、少なくとも1つの内部コンデンサ(19)、内部バッテリ、および/または車両側のエネルギー供給源によって電気エネルギーを供給される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのセンサ(12、13、14、15)および/または前記少なくとも1つの制御装置(16)が、少なくとも1つの制御命令の受信により作動停止され、作動停止された前記少なくとも1つのセンサ(13、14、15)および/または作動停止された前記少なくとも1つの制御装置(16)が、少なくとも1つの制御命令の受信によりアクティブな動作状態にされる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
軌道計画の性能および/または目標位置からの現在位置の偏差に応じて、前記少なくとも1つのセンサ(12、13、14、15)が作動される、作動停止される、および/または待機モードにされる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法(2)を実施するように設計された制御装置(10)。
【請求項15】
コンピュータまたは制御装置(10)によってコンピュータプログラムが実行されると、前記コンピュータまたは制御装置(10)に、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法(2)を実施させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置によって車両のセンサまたは構成要素を制御するための方法、制御装置、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動走行機能を備えた車両は、自動化の度合いがある程度を越えると、自律的に運転者なしで運転可能である。車両は、例えば自動的に道路の進路をたどることができ、他の道路利用者または障害物を自ら認識し、車両での対応する制御命令を計算し、制御命令を車両内のアクチュエータに転送し、それによって車両の走行進路に影響が及ぼされる。完全自律車両では、運転者は走行プロセスに関与しない。
【0003】
現在使用されている自動運転可能な車両は、多数の周囲センサを備える。周囲センサは、例えば、車両の周囲を認識するために使用される。アルゴリズムに基づいて、周囲センサのセンサデータを評価することができ、例えば、車両の周囲にある物体を認識することができる。センサデータは、車両の軌道計画、したがって車両アクチュエータのその後の制御にも影響を及ぼし、それによって自律走行機能が実現される。
【0004】
そのような自動走行機能のための周囲センサは、多様であり冗長である。例えば、完全自動運転可能な車両は、最大40個の周囲センサを備えることがある。周囲センサのエネルギー消費により、周囲センサは、動作中に電気駆動車両の航続距離に悪影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎となる目的は、車両、特に自動運転可能な車両のエネルギー要件を低減するための方法を提案することであり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項のそれぞれの主題によって解決される。本発明の有利な形態は、それぞれの従属請求項の主題である。
【0007】
本発明の一態様によれば、制御装置によって車両のセンサまたは構成要素を制御するための方法が提供される。1つのステップで、測定データが、車両の少なくとも1つのセンサによって受信されて評価される。測定データの評価により、車両を取り巻く交通状況が決定される。さらなるステップにおいて、決定された交通状況に応じて、車両の少なくとも1つのセンサおよび/または少なくとも1つの構成要素が作動される、作動停止される、および/または待機モードにされる。
【0008】
本発明のさらなる態様によれば、上記の方法を実施するように設計された制御装置が提供される。
【0009】
さらに、本発明の一態様によれば、コンピュータまたは制御装置によってコンピュータプログラムが実行されるときに、コンピュータまたは制御装置に、本発明による方法を実施させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0010】
制御装置は、好ましくは車両に搭載することができる。ここで、BASt規格によれば、車両は、運転支援されて、部分自動化されて、高度自動化されて、および/または完全自動化されて、もしくは運転者なしで運転可能であり得る。
【0011】
少なくとも1つのセンサは、周囲センサシステムの構成部品、または車両の少なくとも1つのセンサでよい。特に、少なくとも1つのセンサは、LIDARセンサ、レーダセンサ、超音波センサ、カメラセンサなどでよい。さらに、少なくとも1つのセンサは、温度センサ、および/またはモータ制御もしくはモータ調整のセンサでよい。少なくとも1つのセンサは、周囲センサシステムの一部、一群、または全体でもよい。少なくとも1つの構成要素は、制御装置、制御ユニット、アクチュエータ、モータ、電子部品、照明手段、エアバッグセンサ、エアバッグ制御ユニットなどとして構成することができる。
【0012】
交通状況の確定により、その交通状況内で、またはその交通状況によって車両の安全な制御およびナビゲートに必要とされるセンサの必要性を決定することができる。これにより、車両の周囲センサシステムまたは他のセンサの一部を、不要なときには作動停止するか、待機モードにすることができる。逆に、交通状況に対応するために必要なときには、作動停止または待機モードにされたセンサを再作動することができる。
【0013】
センサおよび/または構成要素の一部は、状況によってはこの方法で使用されないので、センサおよび/または構成要素を動作させるための車両のエネルギー消費を削減することができる。この方法により、車両のセンサおよび構成要素を部分的にオフに切り替える、または待機モードにすることができるので、特に電気駆動車両の航続距離を伸ばすことができる。
【0014】
好ましくは、車両のセンサおよび/または構成要素は、状況に応じて制御装置によって使用することができる。ここで、センサおよび/または構成要素を電源から切り離す、または電気エネルギー供給源に再接続することができる。代替または追加として、少なくとも1つのセンサおよび/または少なくとも1つの構成要素を、待機モードまたはスタンバイモードに切り替えることもできる。
【0015】
好ましくは、自動運転可能なおよび/または電動の車両のセンサおよび/または構成要素は、車両の電力消費をできるだけ低く保つために、必要に応じてオンオフを切り替えることができる。このために、車両の運転モードに関して、例示的であり網羅的でない様々な用途または交通状況を考慮に入れることができる。
【0016】
- 自動運転可能な車両が交差点に接近しており、車両前方にある信号機が赤に切り替わり、車両が走行を続けることができず、信号機の手前で制動されなければならない。
- 自動運転可能な車両が、速度制限なしの高速道路で運転される。
- 自動運転可能な車両が、市街地で運転される。
- 自動運転可能な車両が、理想的な天候または悪天候で運転される。
【0017】
この方法を実施するために、例えば、周囲センサまたは制御装置のオンおよび/またはオフの切替えのためのインテリジェントアルゴリズムを制御装置に実装することができる。このアルゴリズムは、信号の切替えや駐車プロセスなどの現在の走行シナリオに基づいて、特定の周囲センサまたは制御装置を作動停止させる、もしくは作動させるか、またはスタンバイモードにする、もしくは少なくとも1つのセンサをスタンバイモードから復帰させることができる。
【0018】
一実施形態では、周囲センサのオンおよび/またはオフの切替えのためのインテリジェントアルゴリズムは、ニューラルネットワークまたは人工知能として設計することができる。インテリジェントアルゴリズムは、入力変数として、車両の周囲からのパラメータを有することができる。そのようなパラメータは、例えば、信号の切替えおよび信号フェーズ持続時間、車両に対する他の道路利用者の位置、車両速度、GNSS座標系または世界座標系での車両位置、および/またはCar-to-X通信の実行時間からの独自の車両位置でよい。これらのパラメータに基づいて、インテリジェントアルゴリズムは、周囲センサの状態を出力変数として決定することができ、出力ベクトルは、車両の周囲センサの数に対応する。ここで、出力ベクトルは、少なくとも1つのセンサの現在望まれるセンサ状態でよい。望まれるセンサ状態は、例えば、少なくとも1つのセンサの待機モードまたはスタンバイモード、作動停止、または作動でよい。インテリジェントアルゴリズムは、できるだけ多くのシナリオまたは交通状況に関する対応する入力変数を用いて学習し、車両に適用することができる。この方法および制御装置によって、特に以下の利点をもたらすことができる。
【0019】
- 例えば車両停止状態で、または予測的にその前に、もしくはその後に、周囲センサ、エアバッグセンサ、制御装置、および他の車両構成要素を作動停止させることによって、車両のエネルギー消費を削減することができる。
【0020】
- 周囲センサ、エアバッグセンサ、制御装置、および他の車両構成要素をスタンバイモードにし、その後、センサを復帰させることによって、車両のエネルギーを削減することもできる。
- 特に、エネルギーを節約することによって、電気駆動車両の航続距離を伸ばすことができる。
- 車両の少なくとも1つのセンサは限られた時間しか動作しないので、少なくとも1つのセンサの寿命を延ばすこともできる。特に、機械的な回転ユニットを備えたLIDARセンサなど、電気機械的な部品を備えたセンサの寿命を延ばすことができる。
【0021】
さらなる例示的な実施形態によれば、交通状況の決定のために、走行方向の前方にある交差点、走行方向の前方にある信号機、渋滞、車両の開始された制動操作、近隣道路利用者、市街地、郊外の道路、もしくは高速道路、少なくとも1つのセンサに関して最適な動作条件、および/または少なくとも1つのセンサに関して不利な条件が検出される。制御装置によって車両の周囲センサからの測定データを評価することによって、交通状況もしくはシナリオを決定する、または所定の交通状況リストからの交通状況に割り当てることができる。
【0022】
車両センサシステムに関する悪条件が確定された場合には、影響を受けるセンサをオフに切り替えることもできる。そのような悪条件は、例えば、雨、埃、雪、カメラセンサまたはLIDARセンサの汚れなどであり得る。決定された測定値は精度が低いおよび/または妥当性が低いので、影響を受けるセンサは好ましくは作動停止することができる。代替または追加として、最適な条件下では、個々のセンサによってすでに十分な精度を達成することができるので、車両の冗長なセンサを作動停止することもできる。
【0023】
交通状況としての渋滞状況の認識は、例えば車両速度に基づいて行うことができ、これは、追加または代替として、いわゆる特徴マップ上の非常に正確な車両位置に連動される。この場合、車両は高速道路を走っていることもあるが、車両速度は低い。
【0024】
車両が比較的交通量の多い市街地を走っている場合、車両のセンサの一部を作動または作動停止することができる。交通量が少ない場合、車両速度が低い限り、例えば特定のセンサを待機モードにすることができる。そのようなセンサの例として長距離レーダがある。長距離レーダは、市街地では使用頻度が低く、一方、高速道路ではより高い優先度で使用される。
【0025】
車両センサの測定データを評価することによって、車両が好天候で運転されているか、悪天候で運転されているかを区別することができる。好天候では、周囲センサを作動停止させることができる。周囲センサは、あらゆる天候において車両の周囲を高い信頼性で認識するために必要とされるが、好天候では冗長となり得る。センサのオンオフを切り替えることができる車両の制御装置は、天候を認識し、センサのオンオフを切り替える。例えば、悪天候時には、利用可能なすべての周囲センサをオンにすることができる。
【0026】
さらなる例示的な実施形態によれば、車両が停止するとすぐに、少なくとも1つのセンサおよび/または構成要素が制御装置によって作動停止され、車両が走行を続けるとき、少なくとも1つのセンサおよび/または構成要素が制御装置によって作動される。車両が停止するとすぐに、周囲センサの完全なまたは部分的な作動停止が行われる。代替または追加として、周囲センサおよび/または構成要素は、スリープモードまたはスタンバイモードにすることができる。このようにすると、車両停止状態で、例えば駆動バッテリの電気エネルギーが節約される。信号機の「青」への切替えの認識、または前方を走行する道路利用者の走行継続の認識に必要なセンサおよび/または構成要素は、アウェイク状態またはアクティブ状態のままにすることができる。
【0027】
車両前方の交通状況により車両の走行が続行されるとき、車両速度に応じて車両の周囲センサが次第にまたは完全にオンに切り替えられ、車両を高度自動化して運転を継続することができる。速度に応じて周囲センサを使用するとき、車両の周囲センサは、車両速度に応じて作動または作動停止される。例えば、低速では、超音波センサを使用することができる。車両速度が高くなると、レーダセンサ、カメラセンサ、LIDARセンサを使用することができる。
【0028】
さらなる例示的な実施形態によれば、車両が停止状態であるとき、または制動プロセスの開始時に、少なくとも1つのセンサおよび/または構成要素が作動停止される、または待機モードにされる。これにより、車両が停止状態に達して止まるとすぐに、または車両が停止状態になる前に、制御装置によって車両の少なくとも1つのセンサの作動停止を指示することができる。車両停止状態は、例えば、車輪速センサ、加速度センサ、車両のGNSS位置の静的位置認識、および/または車両のCar-to-Xベースの位置の静的位置認識によって決定することができる。
【0029】
少なくとも1つのセンサを作動停止する代わりに、少なくとも1つのセンサを待機モードにすることもできる。この場合、少なくとも1つのセンサを、より低いデータレートまたはより低いサンプリングレートで動作させることができる。LIDARセンサの使用時、LIDARセンサを、信号機付近で低い回転数または振動数で動作させることができる。
【0030】
センサが待機モードにされるとき、車両停止状態での車両の周囲をより長い時間間隔でサンプリングして、センサの動作に必要な電気エネルギーを節約することができる。少なくとも1つのセンサのサンプリングレートは、車両速度に応じて増減することができる。
【0031】
走行方向で前方にある「赤」に切り替わった信号機が交通状況として検出された場合、車両はこの交差点に接近することができる。車両は、それ自体の周囲センサの測定データを評価することによって、または信号機へのCar-to-X通信接続を介して、信号機のこの状態を認識する。信号機への接近は減速して行うことができ、車両は信号機の手前で適時に停止する。信号機が「赤」に切り替わっていることを認識したときにすでに、信号機の位置でまたは信号機での車列内で停止状態になるまで車両を制動するのに必要とされない車両のセンサを部分的にオフに切り替えることができる。例えば、後続の交通を認識するための車両のセンサ、および任意選択で側方の交通を認識するためのセンサをオフにすることができ、一方、車線維持または前方を走行する道路利用者を認識するためのセンサ、および前方を走行する道路利用者までの距離を認識するためのセンサは、車両が停止状態になるまで引き続き電気エネルギーを供給されて動作される。
【0032】
さらなる例示的な実施形態によれば、少なくとも1つのセンサおよび/または構成要素が、交通状況に応じておよび/または予測的に、作動停止されるまたは待機モードにされる。周囲センサの予測的な作動停止は、例えば、信号機の50m手前ですでに車両の側方および後方周囲センサが作動停止され、前方に向けられた周囲センサまたは走行方向で前方に向けられた周囲センサのみが引き続き動作されることによって可能であり、車両を安全に停止状態にし、前方を走行する車両までの距離、または信号機もしくは停止線までの距離を検出する。
【0033】
例えば、自動運転可能な車両が速度制限なしの高速道路で運転される場合、車両の制御装置は、自動走行機能を安全に維持するために、対応する状況で車両の周囲センサがどの程度まで必要とされるかを決定することができる。これは、例えば、人工知能または制御装置のニューラルネットワークによって決定することができる。この人工知能が、例えば、車両の隣に他の道路利用者が時々しかいないことを認識した場合、車両が他の道路利用者を追い越すまで、または他の道路利用者に追い越されるまで、対応する側方周囲センサを待機モードにすることができ、または低いサンプリングレートで動作させることができ、または完全に作動停止させることができる。対応する追越しプロセスは、他の道路利用者が接近したときに車両の前部または後部センサを介して認識することができ、この場合、対応する側方周囲センサが待機モードから再作動される。
【0034】
代替または追加として、決定された交通状況に応じて、車両の特定の周囲センサのみを作動されたままにすることができ、一方必要とされない他の周囲センサ、例えば長距離レーダはスリープモードにされる。
【0035】
さらなる実施形態によれば、前方にある停止位置までの特定の距離で、少なくとも1つの位置センサを除くすべてのセンサが作動停止され、車両が、停止位置で停止状態になるまで、少なくとも1つの位置センサの測定データによっておよび/または通信接続を介して受信された測定データによって制御される。
【0036】
車両の少なくとも1つの位置センサは、例えばVMPS(Vehicle Motion and Position Sensor;車両運動および位置センサ)でよい。VMPセンサを使用することにより、車両を自動運転することができ、GPS、GLONASS、北斗(Beidou)、ガリレオ(Galileo)などのナビゲーション衛星データに基づいて車両の位置を正確に決定可能である。
【0037】
代替または追加として、周囲センサは、車両の停止位置から所定の距離ですでに作動停止させることができ、その後、車両は、高精度のGNSSベースの位置またはCar-to-Xベースの位置のみによって制御されて安全な停止状態になる。ここで、例えば、信号で停止している車両までの距離は、前方に向けられた周囲センサを使用して高精度で検出することができる。その後、この距離が一時的に記憶され、車両の周囲センサが作動停止される、または待機モードにされる。一時的に記憶された距離は、GNSSセンサからまたはCar-to-X通信信号の実行時間からの車両の高精度の位置変更情報により、距離から許容値を差し引いた値がほぼゼロ(例えば1m)になるまで段階的に減分することができ、車両は停止状態にされる。周囲センサの予測的な作動停止により、車両は自律惰行モードになり、このモードでは、周囲センサまたは周囲センサの一部が作動停止され、高精度の位置変更情報、および停止状態での前方を走行する道路利用者までの既知の距離のみによって車両を制御することができる。このようにして、車両センサによる消費電気エネルギーのさらなる節約を実現することができる。
【0038】
さらなる実施形態では、車両の周囲センサのオンオフの切替えは、少なくとも1つのインフラストラクチャ装置または別の道路利用者へのCar-to-X通信接続を介して行うことができる。車両または制御装置と他の道路利用者との間にCar-to-X通信接続がある場合、車両は、他の道路利用者と高精度で位置データを交換し、これらの位置変更に基づいて軌道計画を行うことができる。この軌道を計画するために、車両のすべての周囲センサが必要というわけではなく、特定の周囲センサをオフに切り替える、またはスリープモードにすることができる。そのような周囲センサには、例えば冗長周囲センサが含まれる。さらに、周囲センサのオンオフの切替えは、インフラストラクチャ装置がエリア内の自動運転車両に特定の命令を伝送することによって、インフラストラクチャ装置によって直接可能にすることができる。これにより、特定の交通状況、特定のエリア、または特定の天候において、必要最低限の性能を保証することができる。
【0039】
さらなる実施形態によれば、制御装置が、始動距離にわたる車両の始動のためおよび/または目標速度までの加速のために、より少数の作動されたセンサからの測定データにアクセスする。例えば、信号が「青」に切り替わった後、車両の周囲センサが、待機モードまたはオフ状態から再び始動または作動される。この場合、最初に、前に向けられたおよび後ろに向けられた周囲センサを始動することができる。側方に向けられた周囲センサなど、車両の他の周囲センサは、例えば25~100m走行してから初めて作動することができる。これが可能なのは、通常、信号機付近では追越し操縦が行われず、車両は通常、最初の数メートルは車線をたどるからである。渋滞中にも同様に、制御装置による周囲センサの制御を行うことができる。
【0040】
さらなる例示的な実施形態によれば、センサおよび/または構成要素を作動停止した後および/またはスタンバイ状態にした後、センサおよび/または構成要素の再作動が段階的に行われる。これは、好ましくは、走行した距離、車両速度、周囲、および/または交通状況に応じて実施することができる。車両は、高精度のGNSS位置情報によって、または車線内の車両のCar-to-Xベースの位置情報によって制御することができる。車線に沿った車両の走行制御は、例えば50mの加速距離にわたって実現することができる。この時間中、対応する周囲センサを段階的に増やすことができる。ここで、まず、車両のメイン周囲センサ、次いで冗長周囲センサを始動させることができる。このようにして、車両が再び発車した後、周囲センサができるだけ遅く作動状態に切り替えられるので、都市部での運転時にさらに多くの電気エネルギーを節約することができる。
【0041】
さらなる実施形態によれば、作動停止された少なくとも1つのセンサおよび/または構成要素は、制御装置によって評価された測定データに基づいて作動される。さらなる実施形態によれば、作動停止された少なくとも1つのセンサは、予測的に作動される。これにより、周囲センサをすでに予測的にオンに切り替えることができる。例えば、車両は信号フェーズが「赤」から「青」に切り替わったことを認識して、周囲センサをすぐに作動させることができる。この場合、信号が変わったことを認識し、他の周囲センサを始動させることができるようにするために、少なくとも1つのカメラセンサを作動にしたままにすることができる。代替として、インテリジェント信号では、車両と交通インフラストラクチャとの間のCar-to-X通信接続を介して信号切替え情報の交換を行うこともできる。この場合、信号機が切り替わる直前に、特定またはすべての周囲センサを始動させることができる。これは、信号が青のフェーズに達し、車両が発車したいときに、特定の周囲センサがすでに始動されているという利点がある。
【0042】
さらなる例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの構成要素は、制御装置として構成され、車両の停止状態で、停止状態の開始時に、もしくは事前に作動停止される、または待機モードにされる。これにより、車両停止状態でまたはその直前に周囲センサの作動停止または部分的なオフへの切替えを実施することができるだけでなく、この方法を車両の他のセンサおよび制御装置にも適用することができる。例えば、エアバッグセンサは、車両停止状態時、またはすでに予測的にこの方法によって作動停止することができる。これは、エアバッグセンサは、例えば20km/hの特定の車両速度を超えて初めて必要になるからである。信号が赤であるため車両が停止状態になっていることが明らかな場合は、速度が例えば時速20kmを下回ったときにすでに、エアバッグセンサを待機モードにする、または作動停止することができる。
【0043】
さらに、車両の制御装置および制御ユニットは、この方法によって、予測的に待機モードにする、または作動停止することができる。例えば、エアバッグ制御装置も、予測的に、もしくは少なくとも赤信号フェーズの期間にわたって、または例えば20km/hの速度を下回るとき、作動停止させることができる。駆動機構に電流を供給するための制御装置またはモータ制御装置もスタンバイモードにすることができ、車両は、停止状態になるまで、高精度の車両位置を使用して、アクティブなアクチュエータのみによって車線内に維持される。しかし、特定の制御装置は、アクチュエータ制御の計算や車両の位置変更に必要なので、引き続きアクティブなままにすることができる。そのような制御装置には、車両軌道を計算するための車両中央制御装置、および例えば、GNSS信号もしくは測定データまたはCar-to-X通信信号に基づいて車両位置を決定する位置特定制御装置が含まれる。
【0044】
さらなる実施形態によれば、待機モードにされた少なくとも1つのセンサおよび/または構成要素が、少なくとも1つの内部コンデンサ、内部バッテリ、および/または車両側のエネルギー供給源によって電気エネルギーを供給される。通常、周囲センサまたは制御装置には電気容量がある。これらの容量は、あるつなぎの時間にわたって、電気エネルギーを一時的に蓄積することができる。これは、周囲センサが待機モードまたはスタンバイモードにされるだけであり、しかし省電力目的で周囲センサへの電力供給ラインに電気エネルギーが供給されていないときに特に意味がある。したがって、周囲センサはスタンバイモードであり、周囲センサの電気容量から電力供給される。スタンバイモードからの復帰命令により外部から周囲センサが始動される場合、例えば車両バッテリから、主電源による周囲センサへの通常の電力供給が行われる。このようにして、周囲センサは、完全に電源オフにされることなく、待機モードにすることができる。
【0045】
あるいは、待機モードの周囲センサに電源ラインを介して電力供給することもでき、この場合、電気容量が不要になる。
【0046】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つのセンサおよび/または少なくとも1つの制御装置が、少なくとも1つの制御命令の受信により作動停止され、作動停止された少なくとも1つのセンサおよび/または作動停止された少なくとも1つの制御装置が、少なくとも1つの制御命令の受信によりアクティブな動作状態にされる。これにより、外部または制御装置から制御命令を受信し、スタンバイモードにされない限り、周囲センサおよび不要な制御ユニットを完全に電源オフにすることができる。この手順は、電気エネルギーが供給されない場合のつなぎとなる電気容量を周囲センサが有さないときに有利である。ここで、周囲センサは、制御装置の制御命令によって電源オフにし、例えば通信線を介して制御命令によって再始動することができる。このようにして、周囲センサの作動停止中に、周囲センサの供給エネルギーを完全に節約することができる。しかし、これに関する前提条件は、復帰命令および/または電圧供給源および電流供給源によって、周囲センサを作動停止状態から迅速に再始動することができることである。
【0047】
さらなる例示的な実施形態によれば、軌道計画の性能および/または目標位置からの現在位置の偏差に応じて、少なくとも1つのセンサが作動される、作動停止される、および/または待機モードにされる。これにより、車両の周囲センサのオンオフの切替えは、軌道計画の現在利用可能な性能、車両トラクタの制御、または自動走行機能自体に基づいて調整することができる。ここで、車両が実際に走行した軌道は、例えば高精度のGNSS位置に基づいて決定され、事前に計画された目標軌道と比較される。目標位置と現在位置の間に大きな偏差がある場合には、追加の周囲センサを作動して、またはオンに切り替えて、性能を向上させることができる。それ以外の場合には、周囲センサの動作に必要な電気エネルギーを節約するために、自動走行機能に関する現在の性能を定期的に決定することによって、その時点で使用されるセンサの数を減らすことができる。
【0048】
有利には、この方法は、車両にすでに実装されている惰行機能に有利に連係することができる。例えば車両が航行状態にある場合、車両の特定の周囲センサを作動停止させることができ、車両が再び加速したときに作動させることができる。
【0049】
代替または追加として、周囲センサをオフに切り替える、作動停止させる、または待機モードにすることは、すでに車両にある自動スタート/ストップ機構に連係することができる。車両がマニュアルモードで運転される場合、これにより、センサのオンオフを切り替えるために、車両停止状態であるか走行を続けているかを確実に認識することができる。また、車両停止状態前の周囲センサの作動停止は、例えば、車両の「惰行」または車両の制動に連動することができる。
【0050】
さらなる実施形態では、人工知能を特徴マップと連動することができる。特徴マップでの高精度の車両位置により、現在の車両位置に応じて、車両の特定の周囲センサを作動停止させることができる。例えば、住宅地では撮像センサを車両の側部で作動停止して、歩行者および居住者のデータ保護を保証することができる。これが可能なのは、車両が住宅地をゆっくりと走り、これらのセンサがなくても自動走行に関する性能が実現可能であるからである。
【0051】
以下、かなり簡略化された概略図に基づいて、本発明の好ましい例示的実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明による方法を説明するための構成の概略図である。
【
図2】例示的な実施形態による方法を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、本発明による方法2を説明するための構成1の概略図を示す。
構成1は、信号機6に接近した車両4を含む。車両4は、BAStの定義によれば、高度自動運転可能な車両である。信号機6は、Car-to-X通信接続8を介して情報およびデータを車両4に伝送することができる。
【0054】
通信接続8は、例えば、WLAN、無線、GSM、LTE、UMTS、5Gなどの無線データ伝送に基づく。特に、通信接続8を介して、信号機6の切替え状態を車両4に提供することができる。
【0055】
車両4は、制御装置10を備える。制御装置10は、車両4の周囲センサ12、13、14、15にデータ伝送可能に接続される。
これにより、制御装置10は、周囲センサ12、13、14、15の測定データを受信して評価することができる。周囲センサ12、13、14、15は、車両周囲Aを監視およびサンプリングするために使用される。
【0056】
制御装置10は、エアバッグ制御ユニットなど、車両4のさらなる制御ユニット16と通信し、それらを作動または作動停止することができる。
【0057】
周囲センサ12、13、14、15は、レーダセンサ15、カメラセンサ12、超音波センサ13、およびLIDARセンサ14として構成することができる。カメラセンサ12は、走行方向Fの前方に向けられている。超音波センサ13は、走行方向Fと逆に向けられている。LIDARセンサ14およびレーダセンサ15は、側方に向けられたセンサであり、車両4の側方領域を監視する。
【0058】
車両4は位置センサ18も備え、位置センサ18は、車両4のGNSS位置を決定し、制御装置10に転送することができる。
【0059】
待機モードを維持するために、LIDARセンサ12は、コンデンサとして設計された内部エネルギー貯蔵器19を備える。これにより、カメラセンサ12は、エネルギー供給の中断があっても、サンプリングレートを低下させて動作することができ、または少なくとも1回転を維持することができる。これにより、カメラセンサ12は、より迅速に再作動することができる。
【0060】
図2には、例示的な実施形態による方法2を説明するための概略図が示されている。方法2は、制御装置10によって車両4のセンサ、特に周囲センサ12、13、14、15を制御するために使用される。
【0061】
ステップ20において、車両4の少なくとも1つの周囲センサ12、13、14、15からの測定データが、制御装置10によって受信されて評価される。
【0062】
測定データの評価により、制御装置10によって、車両4を取り巻く、または取り巻くことになる交通状況が決定される(22)。
【0063】
図1に示される例示的な実施形態によれば、車両4は、前方にある信号機6の手前に位置する。これは、位置センサ18が受信するデータによって確定することができ、またはカメラセンサ12の測定データの評価によって決定することができる。
【0064】
さらなるステップ24において、決定された交通状況に応じて、車両4の少なくとも1つの周囲センサ12、13、14、15が作動される、作動停止される、および/または待機モードにされる。
【0065】
信号機6は、通信接続8を介して事前に制御装置10に関連情報を伝送するので、例えばレーダセンサ15、LIDARセンサ14、および超音波センサ13を、信号機6の手前の停止位置11で車両4が停止する前にすでに作動停止することができる。
【国際調査報告】