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特表2022-529839応急処置者の心肺蘇生を支援するための装置
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  • 特表-応急処置者の心肺蘇生を支援するための装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(54)【発明の名称】応急処置者の心肺蘇生を支援するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/39 20060101AFI20220617BHJP
   A61H 31/00 20060101ALI20220617BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20220617BHJP
   G09B 19/02 20060101ALI20220617BHJP
   G09B 23/28 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
A61N1/39
A61H31/00
A61N1/04
G09B19/02 Z
G09B23/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563133
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2020052915
(87)【国際公開番号】W WO2020217115
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】102019110455.6
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019119855.0
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521462277
【氏名又は名称】スマートレスキュー エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ロート,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ショーリンク,ペア
【テーマコード(参考)】
2C032
4C053
4C074
【Fターム(参考)】
2C032CA03
2C032CA06
4C053BB02
4C053BB06
4C053BB24
4C053BB31
4C053BB34
4C053BB35
4C053JJ11
4C053JJ18
4C053JJ23
4C053JJ36
4C074AA04
4C074BB02
4C074CC13
4C074DD06
4C074GG11
4C074HH03
(57)【要約】
本発明は、搬送ハウジング(1)を備える、心停止を患っている人の心肺蘇生で応急処置者を支援するための装置であって、搬送ハウジング(1)内に、センサ装置(4)と、センサ装置(4)に接続される又は接続され得る2つの接着電極(2)とを収容できる、装置に関する。センサ装置(4)は、蘇生のための応急処置の措置が行なわれる間にデータを取得できるようにする。センサ装置(4)は、患者(3)の胸部に取り付けるための接着剤(5)を備える。胸部圧迫、すなわち、圧迫の深さ及び圧迫頻度は、動きセンサによって検出され得る。データ転送のためのインタフェースは、携帯端末(6)との無線通信を可能にする。更に、センサ装置(4)は、接着電極(2)への接続後に単一の除細動ショックを送達することができるように、高電圧蓄積装置を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心肺蘇生において応急処置者をサポートするための装置であって、
センサデバイス(4)を備え、該センサデバイスが、
-前記センサデバイス(4)が意図したように使用されるときに前記応急処置者の手と接触する上面、及び、前記上面の反対側の下面であって、前記センサデバイス(4)を患者(3)又はトレーニングマネキンの胸部に固定するための表面領域上に配置される接着手段(5)を有する下面と、
-動きセンサと、
-データ及び/又はコマンドを送信及び/又は受信するためのインタフェースと、
を備え、
前記装置が、前記センサデバイス(4)と接続可能又は接続される2つの接着電極(2)を更に有する、装置において、
-前記装置は、前記センサデバイス(4)と前記2つの接着電極(2)とを収容可能なほぼ平坦な少なくとも防沫搬送ハウジング(1)を更に有し、
-前記センサデバイス(4)は、電気エネルギー用の蓄積装置、マイクロプロセッサ、及び、前記接着電極(2)のための端子を備える高電圧蓄積装置を有し、
-前記センサデバイス(4)は、少なくとも前記マイクロプロセッサ及び前記高電圧蓄積装置を前記電気エネルギー用の蓄積装置に接続するための起動装置を有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記搬送ハウジング(1)が最大10cm×10cm×3cmの幾何学的外形寸法を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサデバイス(4)の前記上面の少なくとも1つの表面領域が、接着剤コーティングを有する又は接着材料から成ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記接着電極(2)が折り畳み可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記インタフェースが無線であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記電気エネルギー用の蓄積装置が再充電可能であり、前記センサデバイス(4)は、誘導充電デバイス用の誘導充電インタフェースを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記動きセンサが加速度センサであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記接着剤(5)は、その接着面が取り外し可能な保護フィルムで覆われる接着包帯であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記胸部上に前記センサデバイス(4)を正確に位置決めするために前記センサデバイス(4)に接続される位置決めツール(7)を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記位置決めツール(7)は、前記センサデバイス(1)から伸ばされ又は引き出され得る測定標準器であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に係る心停止を患う患者の蘇生のための応急処置の実施においてデータを収集してヘルパーに指示するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓突然死後の生存は、最初の数分以内、したがって通常は依然として救助機関の到着前に、心臓マッサージが実行されてガイドラインのそれぞれの現在の推奨にしたがって行なわれる場合にのみ可能である。また、患者は酸素供給もされなければならない。心室細動又は心室頻拍の存在下での1分間以内の除細動ショックの送達も生存の確率を約90%まで高める。
【0003】
例えば、ドイツでは、緊急事態の約40%のみにおいて、一般のヘルパーが蘇生の重要な措置(特に心臓マッサージ)を開始する。心臓マッサージの質は、教育及び実際の訓練後は良好であるが、3~6ヶ月後に再び大幅に低下する。更に、心臓マッサージの質は、蘇生中のわずか2分後にかなり低下する。また、心臓マッサージを実行することも、少なくとも一般のヘルパーにおいて、かなりのストレス反応を誘発し、ヘルパーからの指示は心臓マッサージの質を改善することができる。
【0004】
心停止患者の生存確率は、状況に圧倒されることが多いとともに適切に訓練されることが殆どない一般のヘルパーの応急処置の措置に本質的に依存する。訓練された一般のヘルパーであっても、措置の質は不十分な場合が多い。このため、蘇生を支援するシステムがヘルパーにとって非常に有用である。
【0005】
特許文献1から、胸部圧迫を測定して適用するためのシステムが知られている。このシステムは、心停止を患う人の蘇生中に胸部圧迫を監視するためのモバイルCPR圧迫モニタ(CPR-心肺機能蘇生、心臓-肺蘇生)を含む。装置は、ヘルパーの手又は患者の上に配置され、加速度センサ並びにデータ送信のためのインタフェースを含む。このインタフェースには、ケーブルを介して、CPR圧迫モニタに組み込まれた評価ユニット、又は、表示画面を有する独立した評価ユニットが接続される。このシステムは、訓練された経験豊富な医療従事者向けに設計されている。
【0006】
特許文献2、特許文献3、及び、特許文献4は、蘇生において教育を受けなければならない応急処置者をサポートするための多層の専門医療システムを開示する。システムは、とりわけ、除細動器及びモバイル表示制御装置を含む。
【0007】
また、特許文献5は、除細動器も備える、蘇生中にヘルパーをサポートするための携帯できるが非常に複雑な医療システムについても記載する。応急処置者が迅速にアクセスできるように、多数の人々がいる幾つかの中央位置に装置を配置することが計画される。しかしながら、この装置は、教育を受けたヘルパーによってのみうまく合理的に使用され得る。
【0008】
上記の装置の他の欠点は、それらのサイズ及びそれらの重量であり、これらの欠点により、これらの装置が例えば中央の場所に保管されるように来る日も来る日も運ぶことが不可能になる。しかしながら、緊急時には、応急処置者は、多くの場合、そのような応急処置装置をどこで見つけるべきかが分からず、又は、装置が搬入される前に貴重な数分が経過する。(応急)処置者は、特に、緊急事態の発生前にそれぞれの装置について適切に訓練されていない場合、しばしば圧倒される。
【0009】
特に自動除細動器を伴うシステムでは、最初の心臓マッサージの開始までに、準備措置に起因して比較的長い時間-平均で2分未満-が失われることも分かってきた。しかしながら、これは、心臓マッサージが可能な限り早く、すなわち、30秒未満後に行なわれるべきである蘇生措置の勧告と矛盾する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第1 128 795号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/104977号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第2 255 845号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第60 2004 002 147号明細書
【特許文献5】欧州特許第1 858 472号明細書
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、心肺蘇生中に応急処置者をサポートするための装置であって、蘇生のための応急処置の措置を行なうときにデータを収集するためのセンサデバイスを備え、装置が、助ける意思のある任意の一般人又は応急処置者が常に持ち運ぶことができるほど小さくコンパクトでなければならず、また、ストレスの多い状況においても、事前の医学的知識を持たない無学の一般のヘルパーによって即時の蘇生に使用できるように、取り扱いが絶対的に直感的でなければならない、装置を提供することである。
【0012】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する応急処置者をサポートする装置によって達成され、本発明の適切な実施形態を従属請求項で見出すことができる。
【0013】
本発明によれば、蘇生において応急処置者を支援するための装置が提供され、この装置は、その寸法及び重量に起因して、例えばハンドバッグ内で毎日毎日持ち運ぶことができる。装置は、心臓マッサージに関連するデータを記録するためのセンサ、並びに、患者のEKGデータを測定して除細動ショックを送達するための電極を含む、センサデバイスを備える。
【0014】
装置は、心停止患者の蘇生において、応急処置者をサポートするように設計されるが、特に十分な教育を受けていない一般のヘルパーもサポートするように設計される。
【0015】
本発明に係る装置は、センサデバイス、ケーブル、及び、少なくとも2つの電極が収容される好ましくは硬質の搬送ハウジングを備える。この搬送ハウジングは、例えばキーリングの形態の2部品の平坦なボックスとして設計され得る。外形寸法は、好ましくは10cm×10cm×3cm以内である。
【0016】
搬送ハウジングは、その材料及び/又はその構造の選択に基づいて、少なくとも4年間その内容物の例えば汚れからの保護された収容を可能にする少なくとも防滴容器として設計される。
【0017】
センサデバイスは、動きセンサ、以下でバッテリと称される電気エネルギー用の蓄積装置、マイクロプロセッサ、除細動パルス用の高電圧蓄積装置(例えばコンデンサの形態を成す)、電極のための端子、データ及び/又はコマンドを送信及び/又は受信するためのインタフェース、並びに、センサデバイスを患者の胸部に取り付けるためのその外殻上の接着剤を備える。
【0018】
一方の面において、電極は、除去可能な保護フィルムで覆われる接着面を有する。更に、電極は、搬送ハウジング内での収容中に折り畳むことができるように、ねじれた折り目を有することができる。電極によって、例えば心電図(EKG)を記録するため及び/又は除細動ショックを患者に送信するために、電流/電圧が記録される。電極は、ケーブルによってセンサデバイスに接続することができる。
【0019】
マイクロプロセッサは、センサ及び電極によって記録されたデータをモバイル装置によって無線で又はセンサデバイスとのインタフェースを介して接続されたケーブルを用いて表示又は更に処理され得る形態で評価及び処理できるように設計される。センサデバイスと通信する携帯端末は、例えばスマートフォン、ファブレット、タブレット、又は、スマートウォッチなど、任意のタイプの市販の持ち運びのできる小型又はマイクロコンピュータであってもよく、携帯端末自体は本発明の一部ではない。
【0020】
センサデバイスに接続される携帯端末は、データを受信し、端末にインストールされるべきアプリケーションソフトウェアを介して最適な蘇生のための指示を応急処置者に与える。端末上で実行されるソフトウェアは、有効な結果を達成するために、電極及びセンサデバイスからのデータを組み合わせることができる。例えば、(電極からの)インピーダンスは、位置及び/又は動きセンサからの動きデータと共に、ヘルパーが自発呼吸又は換気の有効な評価を行なうことができるようにする。このようにして、応急処置者は、自分が取った措置、特に心臓マッサージの質に関するフィードバック、及び、除細動ショックが必要な場合のメッセージを受け取る。
【0021】
センサデバイスでは-接続された端末から遠隔制御される又はセンサデバイスのスイッチを入れた直後に-除細動ショックが準備され、すなわち、例えばコンデンサの形態の高電圧蓄積装置が充電される。携帯端末による自動トリガ及び/又はセンサデバイス上のトリガボタンを使用した応急処置者による手動トリガ及び/又は携帯端末で実行されるソフトウェアのオプションを介した手動トリガの後、高電圧蓄積装置からの電流が除細動ショックとして患者に送達される。例えば、衝撃のトリガは、モバイル装置で実行されるソフトウェアによって自動的に準備され、この場合、トリガは、最初に、センサデバイス上のトリガボタンを押すことによって応急処置者によって確認されなければならない。
【0022】
センサデバイスのサイズに起因して、バッテリ及び高電圧蓄積装置は、少なくとも1つであるが可能であれば2つ又は3つの除細動ショックを生成するように寸法付けられる。必要な外形寸法は、(例えば、ハンドバッグ又はジャケットポケット内での)恒常的な持ち運びを妨げることになるため、装置は(自動化された)体外式除細動器のための通常の要件を満たさないが、除細動ショックが十分に速く生成される際に、少なくとも1回の除細動ショックを送達することによって蘇生の成功を可能にし得る。
【0023】
本発明の利点は、蘇生中に応急処置者をサポートするための従来技術から知られている医療装置(特に付加的な除細動器を伴う医療装置)と比較して、装置が非常に小さく、したがって、容易に搬送可能であるという点である。更に、装置のサイズが小さいため、大幅に安価でもあり、そのため、装置をより幅広く使用することができ-特に誰でもアクセスできる。装置は、そのサイズに起因して、例えば自動車のグローブコンパートメント内で搬送することができるため、緊急事態において直ぐに利用可能であり、したがって、場合により必要な除細動ショックを2分未満で送達することができる。装置は、救急供給の最初の数分でサポートを行なうように設計される。装置は-必要に応じて-除細動ショックを引き起こすことができるが、決して除細動器に取って代わろうとするものではない。場合によっては、蘇生の一部として、複数又は更に多くの除細動ショックが必要であり、そのため、本明細書中に記載の装置による蘇生が数分以内に成功しない場合には、付加的な体外式除細動器を使用しなければならない。
【0024】
更なる利点は、心臓電流の導出、測定データの解析及び解釈、緊急措置における応急処置者の指示、及び、(場合によっては装置で操作されるスイッチと組み合わせて)除細動ショックのトリガなどの必要なプロセスを、センサデバイスに接続された端末によって採用できるという点である。本発明のこの実施形態は、装置、すなわち、既存のモバイル装置(例えば、標準的な市販のAndroidスマートフォン)に加えて必要とされるハードウェアを極めて小さい形態で構築できるようにする。理想的な場合、装置のセンサデバイスに操作要素及び表示ユニットを不要にすることができる。
【0025】
携帯端末(アプリケーションプログラム)で実行されるソフトウェアによって、電極を介して得られたEKGがとりわけ評価され、ショックが送達されるべきかどうかに関して決定がなされる。適切であれば、除細動は、ソフトウェアによって応急処置者のための指示に組み込まれる。EKG並びに送達された除細動ショックに関するデータは、保存されて、患者をケアする医療施設に送信され得る。
【0026】
本発明は、センサデバイスをオンにする、すなわち、少なくともマイクロプロセッサ及び高電圧蓄積装置をバッテリに接続する起動装置を備えるように更に設計され得る。この起動装置は、手動操作のトグルスイッチ又はプッシュボタンとすることができる。
【0027】
また、センサデバイスは、所定の長さの伸長可能又は折り畳み式のバンドの形態を成す位置決めツールを含むことができ、それにより、伸長/折り畳み式位置決めツールを胸骨に適用した後、センサデバイスが心臓マッサージのために胸部上の最適な位置にある。
【0028】
位置決めツールを作動させることによってセンサデバイスを同時に作動させることができるように、位置決めツールが起動装置に結合される又は起動装置に相当するようになっていてもよい。
【0029】
或いは、起動装置が、センサデバイスのハウジング内に配置されて応急処置者がセンサデバイスに圧力を加えるとすぐにセンサデバイスを起動させる圧力又は動きを感知する起動スイッチであるようにすることができる。
【0030】
好ましい実施形態によれば、携帯端末と通信するためのセンサデバイスのインタフェースは、Bluetooth規格に従って設計され得る無線インタフェースである。
【0031】
更に、センサデバイスは、例えば、心臓マッサージ中の胸部の完全な起伏を検出する圧力センサ又は力センサを有することができ、及び/又は、-既に述べたようにーセンサデバイスのための起動装置として使用することができる。
【0032】
一実施形態によれば、センサデバイスは、医療パラメータ(例えば、身体のインピーダンス)を測定するための温度及び/又はマルチセンサを更に有する。呼吸及び換気の質を試験するためのセンサも提供することができる。
【0033】
或いは、接着剤は、センサデバイスの表面領域の接着剤コーティングとして、例えば、背中の粘着包帯(粘着包帯)として設計される。この場合、包帯の粘着面は、除去可能な保護フィルムで覆われる。
【0034】
更に、厳密に1回の除細動ショックを送達することができるようにバッテリ及び高電圧蓄積装置が設計され、ショックの送達後にバッテリ内に残っている残留エネルギーが、センサ、マイクロプロセッサ、及び、インタフェースを約30分間動作させ続けるのに十分であるようにすることができる。
【0035】
患者のハウジングの外側において、センサデバイスは、-蘇生中のセンサデバイスの意図された使用を伴って-例えば患者の胸部を押す蘇生者の手と接触する少なくとも表面領域上に、接着剤コーティングの形態を成す接着面を備えることができる。すなわち、センサデバイスは、その「下面」上に塗布された接着剤に加えて、その「上面」上に更なる接着剤作用表面領域(接着面)を有することができる。
【0036】
電気エネルギー用の蓄積装置は、使い捨てバッテリ又は充電式バッテリセルとすることができ、ここで、バッテリの充電は誘導的に行なうことができ、すなわち、この場合、センサデバイスは、誘導充電装置に結合するための誘導充電インタフェースも含む。
【0037】
一実施形態によれば、センサデバイスの動きセンサは、加速度センサ、例えば3軸加速度センサであり、この場合、センサによって検出される加速度値から、押し込み深さと圧迫周波数の両方を計算することができる。センサデバイスが2つの、特に冗長な動きセンサを備えるようにすることもできる。
【0038】
位置決めツールは、測定標準器、例えば、所定の長さのバンド、コード又はロッドの形態であってもよく、これらは、ハウジングから伸ばされ又は引き出されてもよい。好ましくは、位置決めツールは、最大長さが8cm、好ましくは5cmを超えない、伸ばすことができる又は転がり出すことができる可撓性測定標準器である。
【0039】
測定標準器は、例えば、スナップインポイントとして設計されたマーキング位置を有することができ、マーキング位置のそれぞれは、異なる身体サイズの患者のために、例えば子供用、十代の若者用及び成人男性又は成人女性用のマーカの形態で、センサデバイスのハウジングから引き出すときに測定標準器のそれぞれの所定の伸長長さを規定する。胸骨に測定標準器を適用することによって、患者の胸部へのセンサデバイスの正確な配置が可能になる。特に、本発明は、測定標準器が可撓性又は剛性の繊維強化プラスチック、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)又はアラミドからなるように設計することができ、この場合、その温度依存長さ膨張係数は本質的に0であり得る。
【0040】
これに代えて又は加えて、測定標準器は、位置決めツールが作動されるときに測定本体が接着剤層によって患者の胸部に固定され得るように、片面の少なくとも部分的に塗布された接着剤層を有するようにすることができる。
【0041】
以下、図を参照して、心肺蘇生中に応急処置者をサポートするための装置について更に詳しく説明し、図中、同じ又は類似の特徴には同じ参照番号が付される。
この目的のため、図が概略図で示される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】装置の一実施形態の平面図である。
図2】患者に対する装置の適用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1によれば、装置は、ここでは防水容器として設計される2部品搬送ハウジング1を備える。同時に、ケーブル8を伴う2つの接着電極2とセンサデバイス4とが位置している。図1には、既にセンサデバイス4から引き出されてしまっている位置決めツール7が示される。センサデバイス4の背面には接着剤5が塗布され、この接着剤を用いてセンサデバイス4を胸部に取り付けることができる。
【0044】
図2によれば、緊急事態が発生すると、センサデバイス4及び接着電極2が搬送ハウジング1から取り外される。接着電極2は、患者3の胸部に取り付けられて、ケーブル8によってセンサデバイス4に接続される。センサデバイス4(ここでは位置決めツールを伴わない実施形態)は、スイッチ9を作動させることによってオンにされ、それにより、高電圧蓄積装置(図示せず)も充電され、その後、高電圧蓄積装置が患者3の胸部に取り付けられる。
【0045】
携帯端末6、ここではスマートフォンが、無線インタフェース(ここではWLAN802.11ax規格に従う)によってセンサデバイス4と通信する。携帯端末6で起動されたソフトウェアが応急処置者(図示せず)をガイドし、それにより、ソフトウェアは-対応する指示が適用されると-応急処置者に通知された後、自動的に1回の除細動ショックを引き起こす。
【0046】
使用される参照番号のリスト
1 搬送ハウジング
2 接着電極
3 患者
4 センサデバイス
5 接着剤
6 携帯端末
7 位置決めツール
8 ケーブル
9 電源スイッチ
図1
図2
【国際調査報告】