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特表2022-529850患者を固定するための患者固定装置、システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(54)【発明の名称】患者を固定するための患者固定装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 46/20 20160101AFI20220617BHJP
【FI】
A61B46/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563364
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2020061563
(87)【国際公開番号】W WO2020216951
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/839,420
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516064736
【氏名又は名称】アイシス メディツィンテクニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、フォーゲル
(57)【要約】
本発明は、不織布で作製された平面要素(105)を備えた患者固定装置(100、101)に関する。平面要素(105)は、細長い中間部(110)と、中間部(110)の両側で横方向に延びる複数のアーム(120、130)とを有している。患者固定装置(100)は、エンドユーザに、好ましくは折り畳まれた状態で提供され得る。折り畳まれた状態では、アーム(120、130)の各々が、細長い中間部(110)上に横方向に折り畳まれている。細長い中間部(110)のうちの複数の部分は、アーム(120、130)がその上に横方向に折り畳まれた状態で、有利には追加的に長手方向に互いに上に折り畳み可能になっている。各アーム(120、130)は、それ自体の上に横方向に折り畳まれ、細長い中間部(110)の上に横方向に折り畳むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い中間部(110)と、前記中間部(110)の両側で横方向に延びる複数のアーム(120、130)とを含む、不織布で作製された平面要素(105)を有する、患者固定装置(100、101)。
【請求項2】
折り畳まれた格納位置において、前記アーム(120、130)の各々が、前記細長い中間部(110)上に横方向に折り畳まれ、前記細長い中間部(110)のうちの複数の部分は、前記アーム(120、130)がその上に横方向に折り畳まれた状態で、次いで長手方向に互いに上に折り畳まれる、請求項1に記載の患者固定装置(100)。
【請求項3】
各アーム(120、130)が、それ自体の上にさらに折り畳まれ、前記細長い中間部(110)の上に横方向に折り畳まれる、請求項2に記載の患者固定装置(100、101)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の患者固定装置(100、101)と、患者台(305)の少なくとも一方の側で固着可能な複数のマイクロフック固着要素(300)または固着要素(400)とを備える、システム。
【請求項5】
前記患者固定装置(100、101)の1つまたは複数のアーム(120、130)が、前記マイクロフック固着要素(300)または固着要素(400)のうちの複数の部分(310;312;420)上に配置されたマイクロフック(314)によって保持される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記マイクロフック固着要素(300)の各々が、
その上に配置された複数のマイクロフック(314)を有する本体部分(310)と、
上側ウェブ(332)と、
下側ウェブ(340)と、
を備え、
前記上側ウェブ(332)および前記下側ウェブ(340)は、患者台(305)のレール(301)がそれらの間にクランプされ得るように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記下側ウェブ(340)が、前記患者台(305)の前記レール(301)の下部を支持するように構成されたチャネル(350)を有し、さらに前記チャネル(350)内に配置可能な弾性変形可能なゴムストリップ(355)を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記患者固定装置(100)と前記マイクロフック固着要素(300)との間に配置された使い捨てパッチ(365)をさらに備え、前記使い捨てパッチ(365)は、前記使い捨てパッチ(365)の内面に配置された布ループと、前記使い捨てパッチ(365)の外面に配置されたマイクロフック(314)とを有する、請求項4から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記マイクロフック固着要素(300)の各々が、前記マイクロフック固着要素(300)の前記マイクロフック(314)に係合する取り外し可能な使い捨てパッチ(360)を有する、請求項4から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記マイクロフック固着要素(300)または固着要素(400)の各々が、ウエルトコード(410;413;414)と、前記ウエルトコード(410;413;414)の周りに巻き付けられたマイクロフックパッチ(420)とを有する、請求項4から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ウエルトコード(410;413;414)が、キャビティ(452)を形成する患者台(305)のウエルト溝(452)の直径よりも大きい断面直径を含む下部と、前記ウエルト溝(452)のスロット(453)の幅よりも小さい幅を有する上部とを有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記スロット(453)を通過する前記ウエルトコード(410;413;414)の上部が、45度から90度の間で曲げられている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
患者を患者台上に固定するための方法であって、
請求項1に記載の前記患者固定装置(100、101)を提供するステップと、
前記患者P上に前記患者固定装置(100、110)を配置するステップと、
患者台(305)の両側でマイクロフック固着要素(300)または固着要素(400)に前記患者固定装置(100)の2つ以上のアーム(120、130)を固着するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記患者に医療介入を実施するためのアクセス開口を生成するために、前記患者固定装置(100)の一部を選択的に取り外すステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者固定装置に関し、特に医療処置が実行されている間に患者を固定するためのシステムおよび方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療処置において、医療処置が実行されている身体の一部を患者が動かさないことが必要である。患者の固定を必要とする医療処置には、例えば、診断および治療放射線学、放射線療法、手術/外科的処置、ならびに術前または術後のケアが含まれる。
【0003】
本出願人の米国特許出願公開第2017/0246024号明細書は、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれるが、人体または身体のうちの複数の部分を固定するための簡単な装置を開示する。装置は、体表面に配置することができる少なくとも1つの固定要素を有する。固定要素は、マイクロフックおよびループファスナを用いて固定することができる接着された不織布からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2017/0246024号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、より簡単で、より柔軟な取り扱いを可能にするシステムおよび方法と併せて、改善された患者固定装置を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
改良された患者固定装置は、不織布で作られた平面要素を備える。平面要素は、細長い中間部と、中間部から両側に横方向に延びる複数のアームとを有する。複数のアームを用いて、患者および患者の身体のうちの複数の部分を特に柔軟に、必要に応じて大面積で固定することが可能になる。複数または多数のアームは、本明細書では中間部の両側で少なくとも2つのアームに番号を付けるものとして理解されたい。
【0007】
患者固定装置は、特に有利には、折り畳まれた状態でエンドユーザに利用可能にすることができる。折り畳まれた状態では、各アームは、細長い中間部上に横方向に折り畳まれる。アームがその上で横方向に折り畳まれた細長い中間部のうちの複数の部分は、さらに好ましくは、長手方向に互いに上に折り畳まれる。加えて、各アームは、好ましくは、それ自体の上に横方向に折り畳まれ、その後、細長い中間部上に横方向に折り畳まれることができる。全体として、様々な折り畳みオプションは、大面積の使用向けであっても取り扱いが容易な小型パッケージをもたらす。
【0008】
患者を固定するためのシステムは、患者固定装置と、患者台の側で固着可能な複数のマイクロフック固着要素とを備える。患者固定装置の1つまたは複数のアームは、マイクロフック固着要素のうちの複数の部分に配置されたマイクロフックによって保持され得る。
【0009】
マイクロフック固着要素は、好ましくは、その上に配置された複数のマイクロフックを有する板状部分を備える。マイクロフック固着要素はさらに、上側ウェブおよび下側ウェブを備える。上側ウェブおよび下側ウェブは、患者台のレールをそれらの間にクランプすることができるように、構成され、離間される。下側ウェブは、患者台のレールの下部を受けるように構成されたチャネルと、チャネル内に配置された変形可能なゴムストリップとを含むことができる。
【0010】
本発明によるシステムの有利な発展では、使い捨てパッチを患者固定装置とマイクロフック固着要素との間に配置することができるようにする。使い捨てパッチは、内面に布ループを有し、外面にマイクロフックを有する。使い捨てパッチは、患者固定装置のマイクロフック固着要素と不織布の平面要素との間のサンドイッチ構造で用いることができる。
【0011】
代替的なマイクロフック固着要素は、ウエルトコード(kederschnur)と、ウエルトコードの周りに巻き付けられたマイクロフックパッチとを備える。ウエルトコードは、患者台のウエルトレールスロットの直径よりも大きい断面直径を含む下部と、患者台のウエルトレールスロットの直径よりも小さい幅を含む上部とを有することができる。ウエルトコードの上部は、任意選択的に、ウエルトレールスロットを通って案内されるその領域において45度から90度の間で曲げられ得る。
【0012】
マイクロフック固着要素の各々には、マイクロフック固着要素のマイクロフックに係合する取り外し可能な使い捨てパッチを設けることができる。使用前にマイクロフックを保護するために、またはマイクロフックと患者との間の直接接触を防止するために、取り外し可能な使い捨てパッチを設けることができる。
【0013】
患者を患者台上に固定するための方法は、患者固定装置の提供に基づくことができる。患者固定装置は、患者上に配置され、患者固定装置の2つ以上のアームは、患者台の両側でマイクロフック固着要素に固着される。本方法は、患者に対して医療介入を実行するためのアクセス開口を生成するために、患者固定装置の一部を選択的に取り外すステップをさらに含むことができる。この目的のために、患者固定装置は、個々のアームおよび/または中間部のうちの複数の部分を完全にまたは部分的に分離することができるミシン目を有することが好ましい。
【0014】
本発明の以下の詳細な説明は、純粋に例示的な性質のものであり、本発明または本発明の用途および使用を限定することを意図するものではない。本発明の前述の背景技術または本発明の以下の詳細な説明で提示される理論に束縛されることを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】患者固定装置の平面図である。
図2図1による患者固定装置の折り畳みを示す図である。
図3】折り畳まれた状態の図1および図2による患者固定装置を示す図である。
図4】患者台上に横たわっている患者に使用されている図1の患者固定装置を示す図である。
図5】患者台のレールに固着された、患者の固定のためのシステムのためのマイクロフック固着要素の正面かつ側面斜視図である。
図6図5によるマイクロフック固着要素の背面かつ側面斜視図である。
図7】別の固着要素の背面かつ側面斜視図である。
図8】患者台のウエルトレールに挿入された場合に、使用中の図7による代替的な固着要素を示す正面かつ側面斜視図である。
図9図7および図8による代替的な固着要素の背面かつ側面図である。
図10図7図9による代替的な固着要素で使用することができるウエルトコードの代替的な構成の断面図である。
図11】ウエルトレール内の固着要素の代替実施形態の断面図である。
図12】アンカーパッチ、使い捨てパッチおよび患者固定装置を有する固着要素の分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すると、平面要素105を形成する不織布層は、患者固定装置100を提供するように成形される。固定装置100は、細長い中間部110を有し、そこから2つ以上のアーム120、130が中間部110の両側で横方向に延びる。平面要素105の布または不織布層は、好ましくは、約1mm、好ましくは約0.8mmの厚さを有するポリプロピレン不織布から製造することができる。所望の強度を達成するために、布は、好ましくは、布幅50mm当たり100Nを超える引張強度を有するべきである。布は放射線透過性であり、MR(磁気共鳴断層撮影)に対して無害である。これは、ISO 11135、ISO 10993-7またはEN 1422の規格に従って蒸気またはエチレンオキシドで滅菌することができる。
【0017】
図4に示すように、患者固定装置を用いて、中間部110を患者の胴体に配置し、患者台305の両側に固着することができるマイクロフック固着要素300にアーム120、130を固着することによって、患者台305に患者Pを固定することができる。患者固定装置100の他の用途も可能である。これらは、例えば骨折の副木を施す場合に、場合によっては1つまたは複数の剛性の細長い要素と共に、包帯またはギプスと同様に患者固定装置100で患者Pの身体部分を固定することを含む。
【0018】
細長い中間部110は、好ましくは、100cm~200cmの長さであり、10cm~30cmの幅を有する。細長い中間部110は、局所的な圧力点を生成することなく、胴体に均一な圧力を加えることが可能であるように、患者Pの胴体の実質的な部分を覆うことができる。
【0019】
アーム120、130は、好ましくは、幅5cm~20cm、長さ50cm~150cmである。細長い中間部110は、概ねアーム120、130よりも長く、アーム120、130とほぼ同じ幅を有することが多い。長手方向のギャップ140は、すべての隣接する2つのアーム120、130の間で切り抜かれることができる。長手方向のギャップ140は、1cm~10cmの幅とすることができる。長手方向のギャップ140は、中間部110においてアーム120、130を分離する半円形の移行部150によって切り取られ得る。これにより、生地シートが誤って裂けるリスクが低減される。
【0020】
アーム120、130は対称的に配置することができ、いずれの場合も左アーム120は、右アーム130に対して対称的に中間部110に配置される。患者固定装置100は、中間部110の両側に横方向に延在する5本から15本のアーム120、130を有することができる。
【0021】
使用時に、各アーム120、130は、マイクロフック固着要素300に個別に別々に固着することができる。この場合、患者Pの両側で用いられるマイクロフック固着要素300の数は、患者Pのその側でアーム120、130の数に等しい。あるいは、アーム120、130とマイクロフック固着要素300との間に、n:1または1:nの関係を用いることができる。すなわち、1つの固着要素300を用いて2つ以上のアーム120、130を固着することができ、または1つのアーム120、130を2つ以上のマイクロフック固着要素300に固着することができる。
【0022】
アーム120、130および対応するマイクロフック固着要素300は、少なくとも40Nの引張力に耐えるように構成されることが好ましい。
【0023】
患者Pの特定の身体部分へのアクセスを可能にするために、医療介入が実施されている間にアクセス可能な領域を生成するように、1つまたは複数のアーム120、130を固定しないままにすることができ、または中央部分110から分離することさえ可能である。患者固定装置100の平面要素105の不織布は、例えば、患者固定装置100のアーム120、130を挿入することができるが、人間の指または他の身体部分にはアクセスできない狭いスロットに配置されたブレードを有する安全切断装置で切断することができる。
【0024】
患者固定装置100の中間部110を分離しやすくするために、中間部110内にミシン目112、113を形成することができる。図示のように、ミシン目112は、2つのアーム120、130の間の中間部110の長手方向軸に対して垂直に延びることができる。ミシン目112は、好ましくは、アーム120、130に沿って患者固定装置の保持力と平行に延びる。結果として、ミシン目112、113は、患者Pをしっかりと保持する装置の能力を弱めない。しかしながら、ミシン目112、113は、アーム120、130が誤って固定された、または例えば誤ってクランプされることによって過度に高い引張力で固定された場合に、追加の安全機構を提供する。この場合、残りのアーム120、130が誤って取り外されるリスクなしに、解放されているアーム120、130を任意の方向に引っ張ることができる。中間部110とも呼ばれる中央部分110は、個々のアーム120、130に加えられる力がその方向にかかわらず、隣接するアーム120、130の分離を引き起こすことがないように、ミシン目112、113に沿って裂ける。
【0025】
この安全面の特徴を促進するために、患者固定装置100の中間部110のミシン目113は、中央部分110の上でX字形のパターンで、アーム120、130から接線方向に延びることができる。
【0026】
患者固定装置100は、好ましくは、図3に示すように折り畳まれた状態101で出荷され、使用場所で医療従事者によって使用されるために利用可能になる。図2に示すように、折り畳まれた状態101は、矢印201、202および203、204によって示されるように、各アーム120、130をそれ自体の上に1回または複数回折り畳むことによって得ることができる。このように予め折り畳まれたアーム120、130は、次いで中間部110上に折り畳まれる。矢印209、219によって示されるように、折り畳まれたアーム120、130、およびそれらの下に対応して位置する中間部110の一部は、次いで、矢印211、212または213、214、および中間部110に従って予め折り畳まれている隣接するアーム120、130上に、矢印209に従って折り畳まれ得る。長手方向折り目は、好ましくは、ここではミシン目112と一致することができる。折り畳み工程により、医療従事者は、図4に示すように、折り畳まれた患者固定装置101を患者Pの胴体の中央に容易に配置し、次いでそこで展開することができる。展開する間に、医療従事者は、アーム120、130を対応するマイクロフック固着要素300に固着することができ、これは患者Pの両側でベッドまたは患者台305に容易に固着することができる。このようにして、布に複雑な切り込みを入れる必要なく、患者は、迅速に次第に固定される。
【0027】
マイクロフック固着要素300の一例を図5および図6に示す。マイクロフック固着要素300は、略平坦な板状の前部本体部分310を含む本体を有し、これは板部310とも呼ばれる。マイクロフック314が配置されたマイクロフックパッチ312が、前部本体部分310に固定される。マイクロフック固着要素300は、患者台305のレール301上などの所定の位置に容易に掛け止めするように構成される。本明細書および先行する特許請求の範囲に関連して、患者を支持する任意の構造が「患者台」305と呼ばれる。これらには、手術台、ベッド、MRI/CT支持面などが含まれる。
【0028】
マイクロフック固着要素300は、前部本体部分310の後面から略垂直に延びる上側ウェブ332を備える。チャネル350は、下側ウェブ340内に設けられ、下側ウェブは上側横方向ウェブ332から離れて平行に延在する。チャネル350は、レール301の下部を受け入れるために、約1cm幅である。下側ウェブ340は、前部本体部分310の下端に沿って延在し、略V字形の断面形状を有することができる。上側横方向ウェブ332は、チャネル350の底面から約3cmの距離に配置することができる。下側ウェブ340および上側ウェブ332は、頻繁に使用されるレール301を受け入れることができるように構成され、レールは、例えば、25mm×10mm、28.5mm×9.5mmまたは31mm×7mmの通例の矩形断面形状および寸法を有することができる。
【0029】
前部本体部分310に固定されたマイクロフック314を有するマイクロフックパッチ312は、マイクロフック固着要素300の下側V字形端部の周りに係合し、下側ウェブ340の一部を覆うことができる。所望の強度を達成するために、約250~350マイクロフック/cm、特に約300マイクロフック/cmのマイクロフックパッチ312を用いることが有利であることが判明している。マイクロフック314は、特に好ましくは、ポリアミドまたはポリプロピレンから作製され得る。マイクロフック314は、好ましくは、約0.5mm、例えば0.4mmの高さを有する。マイクロフックパッチ312は、有利にはポリウレタンから形成された接着層313を用いて、マイクロフック固着要素300に貼り付けることができる。
【0030】
弾性変形可能なゴムストリップ、特にシリコーンゴムストリップ355をチャネル350内に配置することができる。マイクロフック固着要素300がレール301に固着されると、レール301の下部がチャネル350内に受け入れられ、シリコーンゴムストリップ355によってレール301の上部が上側横方向ウェブ332に押し付けられる。シリコーンゴムストリップ355は、プロセス中に弾性変形し、マイクロフック固着要素300をレール301上にしっかりと保持するために必要なクランプ力を提供する。
【0031】
チャネル350は、板部310と平行な壁339との間で下側ウェブ340の上側に沿って形成される。溝338をチャネル350の底部内に形成することができる。変形可能なシリコーンゴムストリップ355は、略D字形の中空断面を有することができ、D字形断面の平坦部分はチャネル350の底部に載置され、D字形断面の凸状部分はレール301に向かって上方を向く。アンカー部357は、D字形断面の平坦部分から中心で溝338内に垂直に延在することができる。変形可能なシリコーンゴムストリップ355は、D字形ドアシーリングストリップに似ている。
【0032】
図7図11を参照すると、ここでマイクロフック固着要素300の代替実施形態が示されている。図示の代替的な固着要素400は、ウエルトコード410の周りに巻き付けられたマイクロフックパッチ420を含む。固着要素400は、患者台305のウエルトレール450に挿入することができる。ウエルトレール450は、患者台305の側で長手方向に走る。ウエルトレール450は、上向きまたは横方向に向けられたスロット453を通ってアクセス可能な、少なくとも1つの溝状キャビティ452(図11参照)を含む。スロット453は、薄いマイクロフックパッチ420を二重層に収容するのに十分な幅であり、ウエルトコード410の周りに巻き付けられたその端部を溝状キャビティ452内に保持するのに十分な幅である。
【0033】
図10に示すように、ウエルトコード410は、様々な断面形状を有することができる。例えば、それは、多角形、円形、楕円形またはD字形の断面を有することができる。台形断面411および略D字形断面412が図10に示されている。
【0034】
図11に示すように、ウエルトコード410は、ウエルトレール450のキャビティ452内に保持された略円形の下部と、ウエルトレール450のスロット453を通って延在する、より薄い上部とを備えることができる。マイクロフックパッチ420をウエルトレール450に対して所定の角度で位置合わせするために、ウエルトコード410の上部を曲げることができる。図11に示すように、約90°曲げられたウエルトコード413または約45°曲げられたウエルトコード414を用いることができる。もちろん、他の角度も可能である。
【0035】
図8は、内側に配置された使い捨てパッチ365を有する固着要素400を示す。そのような使い捨てパッチ365は、様々な目的で、任意のタイプの固着要素300または400と組み合わせて使用することができる。例えば、使い捨てパッチ365は、使用されていない場合に、固着要素300または400のマイクロフック314を汚れから保護するために使用することができる。この場合、固着要素300、400は、使い捨てパッチ365と共に供給され得る。使い捨てパッチ365は、輸送中にマイクロフック314を保護し、使用直前にのみ除去される。
【0036】
あるいは、図8に示すように、使い捨てパッチ365は、マイクロフックと患者との間の直接接触を防止するために、固着要素400の患者側面に使用することもできる。
【0037】
図12は、固着要素300の断面図を分解図で示す。マイクロフック固着要素300の前部本体部分310には、マイクロフック314を有するマイクロフックパッチ312が固着される。ここで、マイクロフックパッチ312は、接着層313によってマイクロフック固着要素300の前部本体部分310に貼り付けられる。マイクロフック314は、マイクロフックパッチ312の反対で外向きの側に形成される。マイクロフック314は、一般に、患者固定装置100の不織布のループ160に係合し、その中にしっかりとクランプするのに適したキノコ状要素とすることができる。
【0038】
マイクロフックパッチ312は、マイクロフック固着要素300の前部本体部分310に恒久的に貼り付けることができ、そして、アンカーパッチ312と呼ぶこともできる。この場合、マイクロフックパッチ312を交換することは容易ではない。
【0039】
一部の用途では、洗浄する必要のない使い捨てパッチを使用することが好ましい。そのような使い捨てパッチ360を図12に示す。使い捨てパッチ360は、その内面に、患者固定装置100、101のものと同様のマイクロファイバーループ361の層を有する。使い捨てパッチ360は、その外面にマイクロフック層362を有し、マイクロフックはアンカーパッチ312のマイクロフックに相当する。
【0040】
したがって、使い捨てパッチ360は、アンカーパッチ312と患者固定装置100との間に中間層を形成することができる。2つ以上の使い捨てパッチ360を使用して、マイクロフック固着要素300のアンカーパッチ312と患者固定装置100との間にいくつかの使い捨てパッチ360が配置されたサンドイッチ構造を形成することができる。それぞれの使用後、患者固定装置100および最も外側の使い捨てパッチ360を廃棄することができ、その結果、次の患者のために清浄で、おそらく直ちにやはり滅菌された環境が生成される。
【0041】
本発明は、患者固定装置100、101を簡単かつ複雑でない方法で取り扱うことを可能にし、これは臨床または医療分野において非常に有利である。その材料特性により、その複数のアーム120、130を有する平面要素105は、マイクロフック固着要素300上で、マイクロフックパッチあるいはアンカーパッチ312または420上で、マイクロフック314と直接係合させ、固定され得る。マイクロフック314を有する上述の固着要素は、必要に応じてレール301上、または患者台305の溝状キャビティ452上で変位可能であるため、患者または患者の身体の個々の部分を固定するための条件を極めて短時間で可変的に確立することができる。
【0042】
本発明を例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明は開示または図示された実施形態に限定されず、むしろ、以下の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる多くの他の修正形態、代替形態、変形形態および広範囲の均等物を包含することが意図されていることは、当業者には容易に明らかであろう。特に、様々な実施形態の図示および説明された詳細のすべては、必要に応じて互いに組み合わせるかまたは交換することができる。
【符号の説明】
【0043】
100 患者固定装置
101 患者固定装置(折り畳み状態)
105 (平面)要素
110 細長い中間部
112 ミシン目
113 ミシン目
120 左アーム
130 右アーム
140 長手方向のギャップ(120または130の間)
150 移行部(140へ)
160 ループ(100、101の上)
201 矢印
202 矢印
203 矢印
204 矢印
209 (110の)一部
211 (120の)一部
212 (120の)一部
213 (130の)一部
214 (130の)一部
219 (110の)一部
300 マイクロフック固着要素
301 レール
305 患者台
310 前部本体部分/板部
312 マイクロフックパッチ/アンカーパッチ
313 接着層
314 マイクロフック
332 上側横方向ウェブ
338 溝
339 壁
340 下側ウェブ
350 チャネル
355 ゴムストリップ/シリコーンゴムストリップ
357 アンカー部
360 使い捨てパッチ
361 マイクロファイバーループ
362 マイクロフック層
365 使い捨てパッチ
400 固着要素
410 ウエルトコード
411 断面(台形)
412 断面(D字型)
413 ウエルトコード(90°屈曲)
414 ウエルトコード(45°屈曲)
420 マイクロフックパッチ
450 ウエルトレール
452 キャビティ/ウエルト溝
453 スロット
P 患者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】