(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(54)【発明の名称】自動カジノ会計のための金庫データ読み取り機アレイを備えたドロップカートおよび自律型ドロップカート処理システム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/25 20190101AFI20220617BHJP
G07D 11/125 20190101ALI20220617BHJP
E05G 1/00 20060101ALI20220617BHJP
【FI】
G07D11/25
G07D11/125
E05G1/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563662
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 US2020031788
(87)【国際公開番号】W WO2020231724
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514210186
【氏名又は名称】ジェーシーエム アメリカン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ペチンコ
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA06
3E141BA20
3E141FC07
(57)【要約】
【課題】自律型ドロップカート処理システムを提供する。
【解決手段】このシステムは、ドロップカートのコンパートメントに挿入された金庫と対応付けられた金庫データ送信機と連動するように構成された金庫データ読み取り機アレイを備えるドロップカートと通信可能に連結するよう構成される。この構成の結果、自律型ドロップカート処理システムは、金庫データ送信機からデータを読み取るために、ドロップカートから金庫を取り外す必要なく、ドロップカート上の各金庫の内容物を取り出すことができる。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス制御ロボットと、
書類処理ロボットと、
メモリと、
前記メモリ内の命令を実行し、
ドロップカートによって画定された少なくとも一つのコンパートメントに配置された少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫を、処理のために選択し、
前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫に応じて前記アクセス制御ロボットを位置決めし、
前記アクセス制御ロボットを用いて前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫を開き、
前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫に応じて前記書類処理ロボットを位置決めし、
前記書類処理ロボットを用いて、前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫から少なくとも一つの書類束を取り出す、プロセッサと、を備えた自動カジノ会計のためのドロップカート処理システム。
【請求項2】
前記アクセス制御ロボットは、前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫を開くことの一部として、前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫を解錠する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アクセス制御ロボットは、
前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫を解錠するよう動作可能な第1の機構と、
前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫を開けるように動作可能な第2の機構と、を備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の機構は、さらに、前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫を施錠するように動作可能であり、
前記第2の機構は、さらに、前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫を閉めるように動作可能である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の機構は、少なくとも一つのカギを、少なくとも一つの位置づけられた錠に挿入する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記少なくとも一つの書類束を取り出した後に、前記アクセス制御ロボットを用いて前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫を閉める、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記書類処理ロボットを用いて、前記少なくとも一つの書類束を、
書類分類機構、
揃え機構、
書類計数機構、
書類綴じ機構、
書類帯掛けシステム、
書類揃え機、
書類分類機、
通貨計数機、
書類結束機構、
回収ステーション、または
書類ホッパー、
のうち少なくとも一つに対して提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記少なくとも一つの電子ゲーム機の金庫が空である旨の通知信号を送信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記少なくとも一つの書類束を取り出した後に、前記ドロップカートを移動させるために通知信号を送信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも第1のコンパートメントと第2のコンパートメントを画定する筐体枠と、
第1の電子ゲーム機の金庫に含まれる第1の書類束に対応する第1のデータを入手するために、前記第1のコンパートメントに配置された前記第1のゲーム機の金庫の第1の金庫データ受信機と通信可能に連結するように構成された第1の金庫データ受信機と、
第2の電子ゲーム機の金庫に含まれる第2の書類束に対応する第2のデータを入手するために、前記第2のコンパートメントに配置された前記第2のゲーム機の金庫の第2の金庫データ受信機と通信可能に連結するように構成された第2の金庫データ受信機と、
前記第1のデータと前記第2のデータを送信するように構成されたプロセッサと、を備える自動カジノ会計のためのドロップカート。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記第1のデータと前記第2のデータをカジノ会計システムに送信する、請求項10に記載のドロップカート。
【請求項12】
前記第1の電子ゲーム機の金庫が前記第1のコンパートメントへ、または
前記第2の電子ゲーム機の金庫が前記第2のコンパートメントへ、
挿入されたことを検知するように構成された少なくとも一つのセンサをさらに備える、請求項10に記載のドロップカート。
【請求項13】
前記少なくとも一つのセンサは、
押しボタン式スイッチ、
磁気リードスイッチ、
フォトインタラプタ、または
容量センサ、
の少なくとも一つを備える、請求項12に記載のドロップカート。
【請求項14】
前記第1の金庫データ受信機は、前記第1の電子ゲーム機の金庫が前記第1のコンパートメントに挿入されると前記第1のデータを取得するように構成されている、請求項10に記載のドロップカート。
【請求項15】
入力装置をさらに備え、前記第1の金庫データ受信機は、前記入力装置を介して受け取った入力に応じて前記第1のデータを取得するように構成された、請求項10に記載のドロップカート。
【請求項16】
前記第1の金庫データ受信機は、ドロップカートが動いている間に前記第1のデータを取得するように構成された、請求項10に記載のドロップカート。
【請求項17】
前記プロセッサは、
第1のタイムスタンプを、前記第1の金庫データ受信機が取得した前記第1のデータと、さらに、
第2のタイムスタンプを、前記第2の金庫データ受信機が取得した前記第2のデータと、
関連付ける、請求項10に記載のドロップカート。
【請求項18】
前記第1のコンパートメントに前記第1の電子ゲーム機の金庫を固定するように動作可能な少なくとも一つの保持・解放機能をさらに備える、請求項10に記載のドロップカート。
【請求項19】
前記第1のデータは、
前記第1の電子ゲーム機の金庫と対応付けられた識別子、
前記第1の電子ゲーム機の金庫が引き出された電子ゲーム機の識別子、
前記電子ゲーム機と対応付けられたアドレス、
前記第1の書類束のリスト、
前記第1の書類束の一連の画像、
前記第1の書類束の数、
前記第1の書類束の一連の通し番号、
前記第1の書類束の総通貨価値、あるいは
前記第1の書類束内の紙幣の総額、
のうち少なくとも一つを含む、請求項10に記載のドロップカート。
【請求項20】
前記筐体枠は、該筐体枠を支持する車輪またはキャスターによって移動可能である、請求項10に記載のドロップカート。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2019年5月10日に出願された米国仮特許出願第62/846,062号の非仮出願であって、その米国特許法第119条(e)の下での利益を受けることを主張する、2020年3月5日に出願され、「自動カジノ会計のための金庫データ読み取り機アレイを備えたドロップカートおよび自律型ドロップカート処理システム」という名称の米国非仮出願第16/810,307号に対する優先権を主張するもので、その内容全体を参照により、その全文を完全に開示されたものとして本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本明細書に記載の実施の形態は、自動カジノ会計処理システム、特に、カジノゲーム環境において遊技者によって電子ゲーム機に挿入された紙幣および他の書類の回収、会計、分類、結束を容易にするための自動システムに関する。
【背景技術】
【0003】
カジノでは、通常、カジノが管理する電子ゲーム機によって、またはこれを通じて開始される全ての取引(例えば、TITO(ticket-in/ticket-out)取引、遊技者カード取引、現金または書類の預け入れなど)の正確な記録を保管するように規制機関から求められている。従来、これらの記録は、規制機関によって承認されたローカルまたはリモートサーバに対して電子ゲーム機から通信される。
【0004】
その後、電子ゲーム機が受け取った物理的書類(例えば、現金、チケットなど)は、カジノの従業員によって手作業で回収される。具体的には、カジノ従業員は、施錠された「金庫」を電子ゲーム機から取り外し、その施錠された「金庫」を施錠されたカートでカジノ内の安全な場所(「集計室」)に運ぶ。集計室内のスペースは通常小さく、カジノ従業員や集計を待つドロップカート、会計設備ですぐにいっぱいになる。
【0005】
会計室に入ると、別のカジノ従業員が施錠された金庫を施錠されたカートから取り外して解錠し、中に収納されている書類の束を取り出す。その後、束を計数、分類して、電子ゲーム機から報告された全ての現金取引が、電子記録と完全に一致していることを確認する。その後、空になった金庫を再施錠し、カジノ従業員によって電子ゲーム機に再挿入されるように、施錠されたカートに置く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、定期的に金庫を回収し、金庫を施錠されたカート上に置き、一杯になったカートを集計室に運び、金庫を解錠し、解錠した金庫から書類の束を取り出し、取り出した書類の束を処理(例えば、分類、集計、及び/又は結束)し、空になった金庫を再施錠し、施錠した空の金庫を電子ゲーム機に再配分および再挿入する処理には、非常に時間がかかり、人為ミスが生じやすい。
【0007】
さらに、従来のカジノ集計室は、時間的に効率よくドロップカートを受け取って処理するために、通常、総面積が広く、多くのフルタイム従業員を必要とする。その結果、従来のカジノ集計室は、さもなければ追加の電子ゲーム機など他の目的のため、あるいは顧客サービス(例えば、レストラン、ショップなど)のためにカジノが使用できるであろうカジノスペースを要する。さらに、従来のカジノ集計室を運営するのに必要な従業員に関わるコストは、高いことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載される実施の形態は、自律型ドロップカート処理システムに関する。本システムは、それぞれが金庫を受け入れるように構成されたコンパートメントの列を画定するドロップカートと通信可能に連結するよう構成されている。ドロップカートの各コンパートメントは、金庫データ送信機と連動するように構成された専用の金庫データ読み取り機を備える。この構成の結果、自律型ドロップカート処理システムは、金庫データ送信機からデータを読み取るためにドロップカートから金庫を取り外す必要なく、一つまたは複数の自動機構の位置を操作することによって、ドロップカート上の各金庫の内容物を取り出すことができる。
【0009】
ここで、添付の図面に示された代表的な実施の形態について言及する。以下の記述は、含まれる一つの実施の形態にこの開示を限定することを意図するものではないことを理解されたい。それとは反対に、ここに提示される開示は、記述された実施の形態の精神と範囲に含まれうるもので、添付の請求項によって定義される代替例、変形例、および同等例を含むものと意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本明細書に記載されるカジノゲーム環境において使用されるドロップカートを示す。
【
図2A】
図2Aは、本明細書に記載される小さな集計室に受け入れる統合金庫読み取り機アレイを備えたドロップカートの上面図を示す。
【
図3】
図3は、本明細書に記載される統合金庫読み取り機アレイを備えたドロップカートの簡易系統図を示す。
【
図4】
図4は、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムの簡易系統図を示す。
【
図5】
図5は、本明細書に記載されるドロップカートを操作する方法の動作例を示す。
【
図6】
図6は、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムを操作する方法の動作例を示す。
【
図7】
図7は、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムを操作する方法の動作例を示す。
【0011】
異なる図面における同一または同様の参照番号の使用は、同様、関連、または同一アイテムを指す。
【0012】
さらに、様々な特徴や要素(およびそれらの集まりやグループ)の比率や寸法(相対的または絶対的)、またそれらの間に示される境界、離間、および位置関係は、単に本明細書に記載される様々な実施の形態を理解しやすくするために添付の図面において提供されるものであり、したがって、必ずしも縮尺通りに提示または図示されるものではなく、これを参照して説明する実施の形態を除いて、ある図示した実施の形態に対する選好や必要条件を意味することを意図するものでないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載する実施の形態は、(1)一括及び/又は並行金庫処理のために構成された金庫ドロップカート(「ドロップカート」)と、(2)カジノゲーム環境において一つまたは複数の電子ゲーム機から集め、ドロップカートでカジノ集計室に運搬される一つまたは複数の金庫からデータを読み取り、これを空にするための、通常はカジノ集計室に収納される自律型ドロップカート処理システムと、を備えるシステムについて言及するものである。
【0014】
説明を簡単にするために、本明細書中の多くの実施の形態は、カジノゲーム環境を管理しているゲーム産業体の例として「カジノ」に言及しているが、これは単なる一例にすぎないことを理解されたい。同様に、説明を簡単にするために、本明細書で使用される「電子ゲーム機」という表現は、一般にカジノ内の据え置きスロットマシンを指すものと理解されるが、これは電子ゲーム機またはゲームサービスの一例にすぎないことが理解できるであろう。言い換えれば、いくつかの実施の形態では、他のゲーム産業体及び/又は他の据え置き、携帯、及び/又はデジタル(例えば、ソフトウェアベースの)電子ゲーム機及び/又はサービスが、本明細書に記載の様々な実施の形態およびその同等例との使用に適していよう。
【0015】
本明細書に記載の実施の形態では、ドロップカートと自律型ドロップカート処理システムは通信可能に連結され、ドロップカート上に配置された各金庫からデータを抽出し、ドロップカート上に配置された各金庫を解錠し、ドロップカート上に配置された各金庫の扉を開き、書類束(例えば、書類、カジノバウチャーなどの束)を取り出し、取り出した書類束を揃え、及び/又は分類または整理し、ドロップカート上に配置された各金庫の扉を閉め、ドロップカート上に配置された各金庫を再施錠し、ドロップカート上の再施錠された金庫は空で、電子ゲーム機に再設置する準備ができている旨の信号を、各施錠済み金庫及び/又はカジノシステム(例えば、会計システム)に対して送信するように構成されているが、これに限定されるものではない。
【0016】
本明細書に記載の構造の結果として、ドロップカート(本明細書に記載されるもの)に配置された一群の金庫は、従来のドロップカートから金庫を取り外し、取り外した金庫を金庫データ読み取りドックに配置し、上記金庫を空にし、空の金庫を別のドロップカートに再配置する、などの時間のかかる従来の動作を必要とすることなく、グループとして、またはひとまとめに自律型ドロップカート処理システムで処理できる。さらに簡潔な非限定的表現によれば、本明細書に記載される実施形態は、一つの組、グループ、またはまとまりの金庫を本明細書に記載されるドロップカート上に置いたままで、これらの金庫を迅速かつ効率的に処理できる。
【0017】
このように、本明細書に記載される様々なシステムおよび方法は、カジノゲーム環境に関連する一つまたは複数の電子ゲーム機またはゲームサービス(例えば、スロットマシン、テーブルゲームなど)から集めて金庫に受け入れ、保管されていた現金および他の書類を処理する動作を実質的に自動化する。その結果、従来のカジノ集計室を運営するのに伴う、多数の熟練した従業員のフルタイムスタッフの雇用を含む、コストや複雑さを低減することができる。さらに、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムは、従来の集計室よりも必要な物理的スペースが実質的に少ないので、カジノ内に従来の集計室のために確保していた物理的空間を他の目的(例えば、追加のフロア空間、ゲストサービス用空間など)のために再利用することができる。さらにまた、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムおよびドロップカートは、連続的に操作するのに費用が安く、従来のカジノ集計室の従業員の班よりも実質的に迅速でありうる。その結果、本明細書に記載されるシステムを実施するカジノでは、集計室用空間を再利用し、運営コストを削減し、金庫を処理するための平均時間を低減し、他の金庫が処理されている間に電子ゲーム機に再設置するためにカジノが必要とする予備の金庫の数を削減し、熟練した従業員を他の業務に転任させ、集計室の誤り率を下げ(これにより保険料率及び/又は保険料を下げる可能性がある)、電子ゲーム機のダウンタイムを短縮する(これにより平均ゲームプレイ時間およびカジノ収入を増加させる)、などが可能になる。さらに、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムは、現金を扱う任務を負うカジノ従業員または受託業者による詐欺や窃盗のリスクを劇的に減らすことができる。
【0018】
本明細書に記載されるドロップカートは、カジノ従業員が複数の電子ゲーム機から集めた複数の金庫を格納し、カジノの集計室または他の安全な場所に安全に運搬するために使用される可動収納ラック、ワゴン、または他の可動コンパートメント、ケージ、キャビネット、またはロッカーである。本ドロップカートは、通常、直方体の形をした枠を備え、その一つまたは複数の辺は、内部に個々の金庫を挿入可能な複数のコンパートメントまたは整列領域を画定する。本ドロップカートは、枠を支持する車輪またはキャスターによって移動可能で、これらは動力付きでも無動力でもよい。他のドロップカートの枠は、円筒またはドラム型、立方体などの異なる形状で実現することもできる。
【0019】
少なくとも一部をドロップカートの枠によって画定されるコンパートメントは、ドロップカートに挿入された場合に所定の位置への金庫の整列を促すためにガイド壁または他の配列機能によって囲まれ、施錠可能で、開かれ、または画定されてもよい。コンパートメントは、多くの例では、金庫がひとたび挿入されると実質的に固定する保持・解放機能を備えることができる。保持・解放機能例には、プッシュプッシュ機構、ラッチ機構、戻り止め機構などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
必須ではないが、多くの例において、本明細書に記載されるドロップカートのコンパートメントは、横に複数の列に配置され、それぞれに各一つの金庫が挿入できる複数の個別のコンパートメントをそれぞれ画定している。しかし、これら上記の例は全てを網羅するものではなく、他のドロップカートは、異なる態様で(例えば、縦の列に、特定のパターンで、マガジンや他の供給または待機装置に、など)コンパートメントを構築してもよい。
【0021】
多くの実施の形態において、本明細書に記載されるドロップカートは、ドロップカートの単一のコンパートメントに対してそれぞれ配置される金庫データ読み取り機のアレイを備える。本明細書に記載される実施の形態では、各金庫データ読み取り機は、それぞれの金庫のメモリに保存された情報を取り込むように構成されている。この構成の結果、本明細書に記載されるドロップカート上に配置された各金庫からの情報を、実質的に同時及び/又は一括して読み出すことができる。多くの場合、本明細書に記載されるドロップカートの金庫データ読み取り機は、金庫がドロップカートのコンパートメントに挿入された直後及び/又は少し後に金庫からの情報読み出しを開始することができる。別の場合には、本明細書に記載されるドロップカートの金庫データ読み取り機は、ドロップカートがカジノ内を運搬される際に金庫からの情報読み出しを開始できる。
【0022】
本明細書に記載されるドロップカートのコンパートメントに挿入された各金庫から情報及び/又はデータを読み出すことに関連した動作は、ドロップカートのプロセッサまたは他の回路によって自律的に実行することができる、あるいは実施の形態によっては、ドロップカートによって提供される、または別の方法でこれに関連付けられた、人間入力装置インターフェースとやり取りするカジノ従業員によって実行されるか、または別の方法で起動されることができる。これらの構成の結果として、本システムは、自動的にまたは手動で金庫が操作されるたびにタイムスタンプ(及び/又は他のデータ)を各ドロップカート上の各金庫に記録および関連付けすることによって、電子ゲーム機から集計室への各金庫(およびそれに伴って各金庫内の各紙幣および各書類)の一連の管理を自動的に構築することができる。
【0023】
例えば、ドロップカートは、ドロップカート上に配置された一つまたは複数の金庫の読み取り動作を開始するためにカジノ従業員がやり取りして入力を行うことができる、一つまたは複数のボタンまたはユーザーインターフェース部品(例えば、タッチスクリーン、ダイアル、ボタンパッド、数字キーパッド、キーボード、または他の入力)を備えることができる。
【0024】
他の例では、カジノ従業員は、ドロップカートに対して通信可能に連結された、ドロップカートから離れた携帯電子機器(例えば、携帯電話、タブレット型デバイス、スマートウォッチ、携帯用スキャナ、またはデータ入力装置など)を操作することができる。言い換えると、携帯電子機器は、無線または有線接続により、ドロップカートに対して一つまたは複数の信号を送信し、この信号が、ドロップカートを起動してドロップカートに挿入された一つまたは複数の金庫からデータまたは情報を得るよう、一つまたは複数の金庫データ読み取り機を動作させる。
【0025】
これら上記の例は、全てを網羅するものではない。逆に、金庫がドロップカートに配置された時、さもなければその間に、これらの金庫から情報を得る動作を実行するために、本明細書に記載される実施の形態の特定の実施に対して任意の数の適切な通信技術および回路トポロジーを選択できると考えられる。
【0026】
同様に、本明細書に記載される金庫と金庫データ読み取り機の間で、任意の適切な情報を通信することができると考えられる。金庫から入手した情報は、通常、金庫内の書類に関する会計情報、及び/又は金庫を取り出した電子ゲーム機に関する識別情報などに対応するが、必ずしもそれが求められる訳ではない。他の情報には、金庫に対応付けられた固有の識別子、金庫を取り出した電子ゲーム機に対応付けられた固有の識別子またはアドレス、金庫内に含まれる全ての書類のリスト、金庫内の各書類の一連の画像、金庫内の書類の数、金庫内の紙幣の総額などが含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの例は全てを網羅するものではなく、本明細書に記載される金庫と金庫データ読み取り機との間では任意の適切な情報を通信できることが理解されるであろう。
【0027】
説明および図示を簡単にするために、「金庫データ送信機」という語は、本明細書に記載されるドロップカートの金庫データ読み取り機に情報を通信するように構成された特定の金庫の受動及び/又は能動回路及び/又は物理構造をまとめて指すためにここでは用いられている。金庫データ送信機の例には、近距離無線通信無線機、近距離無線通信発信機、無線周波数識別無線機、無線周波数識別発信機、金庫内の電子回路に連結された物理的コンタクト(例えば、ポゴピン、フラットコンタクト、標準または専有コンタクト)、ブルートゥース(登録商標)通信回路、Wi-Fi通信回路、赤外線通信回路、イーサネット通信回路、標準または専有通信プロトコルを実行する任意の他の有線または無線通信回路などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
いくつかの例において、ドロップカートの金庫データ読み取り機は、金庫データ送信機の一つまたは複数の電極またはデータポートに導電的に連結する。他の例では、金庫データ読み取り機と金庫データ送信機は、無線で非接触である。ドロップカートの一実施例は、近距離無線通信無線機を備えた金庫データ送信機に通信可能に連結するよう構成された近距離無線通信無線機を備えた金庫データ読み取り機を備えたコンパートメントを有する。金庫データ読み取り機、及び/又は電気接点または無線アンテナなど、その一部の相対配置は、中でも、特定の金庫と、その金庫の金庫データ送信機の外形に依ることが理解されるであろう。場合によっては、本明細書に記載されるドロップカートの単一のコンパートメントは多数の金庫データ読み取り機を備え、それらの金庫データ読み取り機はそれぞれ異なる場所に配置され、及び/又は異なる金庫データ送信機とデータをやり取りするように構成されている。言い換えると、本明細書に記載されるドロップカートの単一のコンパートメントは、同一または異なる技術を用いて、任意の数の金庫データ送信機と通信するように構成されうる任意の数の金庫データ読み取り機を備えることができることが理解される。
【0029】
上で述べたように、これら上記の例は全てを網羅するものではなく、本明細書に記載されるドロップカートの特定のコンパートメントに挿入された金庫の金庫データ送信機からデータを得るために、任意の適切な通信技術またはデータ抽出技術を、本明細書に記載される金庫データ読み取り機が使用できることを理解できるであろう。例えば、金庫データ読み取り機は、複数の通信プトロコル及び/又は金庫データ送信機からデータを得る複数の技術に対応するように構成することができ、説明を簡単にするために、以下の実施の形態では、単一の通信技術を用いて一種類の金庫からデータを抽出するように構成された金庫データ読み取り機について言及するが、これは一例にすぎず、他の金庫データ読み取り機及び/又はドロップカートを異なる形態で構成できることは理解されるであろう。
【0030】
上述した金庫データ読み取り機に加え、本明細書に記載されるドロップカートは、各金庫データ読み取り機に通信可能に連結された制御装置またはプロセッサ、メモリ、電源(例えば、電池)、および無線または有線ネットワーク通信サブシステム(例えば、ブルートゥース、Wi-Fi、イーサネット、赤外線など)をさらに備える。この構造の結果、そして各コンパートメントの外形および構造によって促される整列の結果として、金庫データは、金庫がドロップカートのコンパートメントに挿入されると即座に(または他の任意の適切な時点に)読み取ることができる。
【0031】
別の非限定的な表現によれば、本明細書に記載される実施の形態では、ドロップカートが集計室に到着する前に、ドロップカート自体が、金庫データを回収し、バックアップを取り、及び/又は(一つまたは複数のカジノ会計システムまたは別のシステムに)送信することができる。これらの実施の形態は、一組、一グループ、または一群の金庫からデータを抽出し、カジノ会計システムが使うか、あるいは別の方法で受け取ることのできる速度を大幅に向上させることが理解されるであろう。
【0032】
処理の準備が整った少なくとも一つの金庫が本明細書に記載されるドロップカートのコンパートメントに挿入されると、このドロップカートは、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムを収納する集計室にカジノ従業員によって移動されることができる。
【0033】
自律型ドロップカート処理システムは、人間オペレータの実質的な介入なしに、施錠された金庫のドロップカートを受け取り、ドロップカートを所定の場所に固定及び/又は他の方法でロックし、各金庫をドロップカート上に置いたままドロップカート上の施錠された各金庫を解錠し、各金庫の解錠された各扉を開き、解錠された金庫から書類束を取り出し、取り出した書類を(例えば、分類、集計、照合、及び/又は結束することによって)処理し、各金庫の解錠した各扉を閉じ、空になった金庫を再施錠するように構成されることができる。空にされ再施錠された金庫は、その後、カジノ従業員によって電子ゲーム機に再挿入可能である。いくつかの実施の形態では、自律型ドロップカート処理システムは、さらに、例えば、回収して銀行へ預け入れる準備として、取り出し、及び/又は結束した書類束を通貨単位ごとまたは他の適切な方法で整理するように構成されることができる。ある場合には、自律型ドロップカート処理システムは、見出しカードまたは後書き/フッターカードなどの識別カードまたは他のデータ処理フラグを書類束に挿入するよう構成されることができる。
【0034】
これらの動作を実行するために、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムは、通常、自由空間における一つまたは複数の自由度にわたってロボットの位置または姿勢を調整できる制御装置に通信可能に連結された一つまたは複数の関節、デルタ、または直交座標ロボット(まとめて「自動機構」という)を備える。多くの実施の形態では、制御装置の一つまたは複数の構成要素は、プロセッサやメモリなどの回路及び/又は論理要素を備えるか、またはこれらに通信可能に連結されることができる。制御装置のプロセッサは、データまたは命令を処理、受信、または送信できる任意の装置として実現することができる。例えば、プロセッサは、マイクロプロセッサ、中央処理装置、特定用途向け集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、デジタル信号プロセッサ、アナログ回路、デジタル回路、またはこれらの装置の組み合わせとすることができる。プロセッサは、シングルスレッドまたはマルチスレッドプロセッサとしてもよい。プロセッサは、シングルコアまたはマルチコアプロセッサであってもよい。実施の形態によっては、プロセッサは、プログラマブル論理制御装置として動作するよう構成されてもよい。
【0035】
従って、本明細書に記載されるように、「処理装置」または、さらに一般的には「プロセッサ」または「制御装置」という語は、メモリ内に格納され、メモリからアクセスできるプログラムに含まれるコード及び/又は命令として表現されたデータ演算を含む特定のデータ変換を実行するよう物理的に構成されたハードウエア実装データ処理装置または回路を指す。この語は、単一のプロセッサまたは処理装置、複数のプロセッサ、複数の処理装置、アナログまたはデジタル回路、または適切に構成された他の演算器またはその組み合わせを含むことを意味する。
【0036】
ある実施の形態では、自律型ドロップカート処理システムは、選択した金庫の一つまたは複数の施錠された扉を位置づけて(例えば、コンピュータビジョンを介して、固定位置など)、解錠するためにキーアタッチメントの位置または姿勢を操作することができる、キーアタッチメントを備えた第1の自動機構を備える。これらの例において、ドロップカートの制御装置は、選択した金庫の金庫データ送信機から、選択した金庫が配置されたドロップカートのコンパートメントの金庫データ読み取り機に通信された金庫情報を通信するために、自律型ドロップカート処理システムの制御装置に通信可能に連結することができる。
【0037】
いくつかの実施の形態では、第1の自動機構は、ドロップカートの外面と同一面内を移動するように構成された直交座標ロボットであり、別の場合には、第1の自動機構は、デルタロボットまたは関節ロボットである。第1の自動機構は、金庫の錠を位置決めし、位置決めした錠に鍵を挿入し、錠を開くために鍵を操作し、(任意に)内容物を取り出すために自身の位置または姿勢を調節して選択した金庫の扉を枢動自由に操作するように構成された任意の適切な機構としてもよいことは理解されるであろう。いくつかの実施の形態では、第1の自動機構はさらに、扉が開いている際に、選択した金庫の扉の施錠機構を再施錠するように構成することができ、これにより、第1の金庫の扉を開いたままにして、自動ドロップカート処理の他の機構がその内容物にアクセス可能にしつつ、第1の自動機構は別の金庫を選択して解錠するために進むことができる。
【0038】
いくつかの実施の形態では、その後、ドロップカート上の一つまたは複数の選択された金庫の内容物がアクセス可能になる(例えば、これらの金庫に対する錠が施錠されているか解錠されているかに関わらず、上記金庫に対する扉が開かれる)と、把持アタッチメント(例えば、クランプ、指機構、吸引機構、ペンチなど)を備えた別の自動機構が、解錠された金庫内に配置された書類束を位置づけし、把持し、引き出すことができる。多くの例では、把持部は、書類の束を支持するための一つまたは複数の機能を備え、第2の自動機構によって解錠された金庫から取り出した時に、束が垂れ下がったり、さもなければ崩れたりするのを防ぐことができる。
【0039】
その後、第2の自動機構は、引き出した書類の束を書類分類機構、揃え機構、書類計数機構、書類綴じもしくは結束機構、または任意の他の適切な機構やコンパートメント内に配置することができる。場合によっては、第2の自動機構は、書類の束をある機構から別の機構に搬送するように構成されてもよい。例えば、第2の自動機構は、解錠した金庫から書類の束を引き出し、書類の束を書類計数機構のホッパーに配置し、書類計数機構によって計数されると、書類の束を把持し、計数した書類の束を書類分類機構のホッパーに配置し、計数した書類のうち分類された少なくとも一つ束を把持し、計数した書類の束のうち分類された少なくとも一つの束を書類綴じ機構のホッパーに配置する、などを行うように構成されることができる。
【0040】
その後、解錠された金庫から第2の自動機構によって書類が取り出されて空にされると、第1および第2の自動機構は、制御装置によって操作されて、金庫がドロップカート上に置かれたまま、金庫の開いた扉を閉じて金庫を再施錠することができる。
【0041】
ドロップカート上のすべての金庫が処理され、そのすべての内容物が取り出されると、ドロップカート自体が、ドロップカートを自律型ドロップカート処理システムの第1、第2、または任意の他の機構に対して適切な場所に保持する固定機構から解放されることができ、そのドロップカートを移動させて別のドロップカートを処理できるようにする、及び/又は上記ドロップカートを取り外して空の金庫をカジノの電子ゲーム機に再設置するために、通知信号をカジノ従業員に対して送信することができる。
【0042】
ある場合には、自律型ドロップカート処理システムは、処理のためにドロップカートを受け入れるように構成されたフロアレールまたは他のガイドを備えることができる。フロアレールは、自律型ドロップカート処理システムの様々な自動機構がドロップカート上の各金庫を処理している間に、ドロップカートを適切な場所に固定する、及び/又はドロップカートを適切な場所に移動させる一つまたは複数のアンカー・ポイントまたは保持構造を備えることができる。ある場合には、フロアレールは、自律型ドロップカート処理システムの一つまたは複数の自動機構がドロップカートとともに移動する際に、ドロップカートを連続した速度で移動させるように構成されることができる。このように、より簡潔な表現で言えば、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムは、処理の準備ができている複数の金庫を備えた一つまたは複数のドロップカートの入力を受け、電子ゲーム機に再設置されるのに適した空の金庫のみを含む一つまたは複数のドロップカートの出力を生成する連続処理ラインとして構成されることができる。
【0043】
なお、上記および以下の例は、本明細書に記載される様々の可能な実施およびそれに相当するものの全てを網羅するものではないことが理解される。
【0044】
これらおよび他の実施の形態について、
図1ないし
図7を参照して以下に説明する。ただし、これらの図面に関するここに提示される詳細な記述は説明のみを目的としていて、本発明を限定するものと解釈されるべきでないことは、当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0045】
図1は、本明細書に記載されるカジノゲーム環境において使用するためのドロップカートを示す。本明細書に記載される他の実施の形態に関して言及したように、ドロップカート100は、カジノ従業員が複数の電子ゲーム機から集めた複数の金庫を格納し、カジノの集計室または他の安全な場所に安全に運搬するために使用される可動収納ラック、ワゴン、または他の可動コンパートメント、ケージ、キャビネット、またはロッカーである。ドロップカート100は、ドロップカート100のコンパートメントに挿入可能な金庫のアレイを格納し、そこから情報を集めるように構成されている。このように、ドロップカート100は、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムにより処理されるように構成されている。図示を簡単にするために、自律型ドロップカート処理システムは、
図1には示されていない。
【0046】
ドロップカート100は、ドロップカート100の様々な構成要素および構造を支持し、囲む筐体枠102を備える。筐体枠102は、金属、グラスファイバ、プラスチック、アクリル、木などを含む複数の適切な材料から作られることができるが、これらに限定されるものではない。多くの場合、筐体枠102は、無線信号を透過させる材料から作られるが、これは全ての実施の形態に必要とされるものではない。
【0047】
図示するように、筐体枠102は直方体の形を取り、その一つまたは複数の辺は、内部に個々の金庫を挿入可能な複数のコンパートメントまたは整列領域を画定する。図示の便宜上、一つの金庫が金庫104として識別され、コンパートメント102aとして識別されたコンパートメントと整列されている。ドロップカートは、枠を支持する車輪またはキャスター(そのうちの一つが車輪102bとして識別されている)によって移動可能で、車輪またはキャスターは、動力付きでも無動力でもよい。上述したように、他のドロップカートの枠または筐体は、円筒またはドラム型、立方体などの異なる形状で実現することができる。
【0048】
筐体枠102によって画定されたドロップカート100の複数のコンパートメントは、任意の適切なパターンで配置することができる。図示した実施の形態では、筐体枠102は、それぞれが12個の独立した金庫を受け入れるように構成された7列の金庫コンパートメントを画定している。多くの場合、ドロップカート100は、その二つの側面に金庫を受け入れるように構成されることにより、84個の独立した金庫を受け入れるように構成された2つの個別のコンパートメントアレイを画定できるが、図示した実施の形態では、筐体枠102およびドロップカート100の一方の側面のみが見えていることは理解されるであろう。第2のコンパートメントアレイは、筐体枠102の図示したアレイの反対側に画定されているであろうことが理解される。
【0049】
さらなる実施の形態では、筐体枠102は、より多くの、またはより少ない数の列または個々のコンパートメントを備えうる別のコンパートメントのパターンを画定することができる。図示した構成は、一例にすぎないことを理解されたい。
【0050】
金庫104は、書類束106を収納可能な内容積104bを囲む施錠可能な蓋104aを備える。本明細書に記載される他の実施の形態に関して上述したように、書類束106は、銀行券、紙幣、現金、バウチャー、領収書、納税申告用紙、または他の適切な書類とすることができる。
【0051】
金庫104は、複数の適切な形状およびサイズに形成することができる。図示した実施の形態では直方体が示されているが、他の実施の形態では、金庫104は他の形状を取りうることが理解される。
【0052】
同様に、筐体枠102のコンパートメント102aは、金庫104を受け入れるような大きさであることが理解される。このように、コンパートメント102aのサイズおよび形状は、金庫104のサイズおよび形状と相補であると考えられる。
【0053】
本明細書に記載される他の実施の形態に関して上述したように、金庫104は、制御装置、メモリ、金庫データ送信機を備える通信モジュールなどの電子部品も備える。図示を簡単にするために、これらの要素は
図1には示されていない。金庫104の金庫データ送信機は、ドロップカート100のコンパートメント102aに配置された金庫データ受信機と通信可能に連結するよう構成されることができる。このように、この整列および構成の結果、金庫104のメモリに保存された、書類束106に対応するデータ(例えば、書類の数、通貨の総額、各書類の通し番号など)といったデータまたは情報をドロップカート100に通信することができる。
【0054】
より具体的には、上述したように、また本明細書に記載される他の実施の形態に関して、ドロップカート100は、ドロップカート100の一つまたは複数の動作を実行または調整するように構成された一つまたは複数の電子部品を備えることができる。例えば、ドロップカート100は、メモリ、プロセッサ、および金庫データ受信機アレイを備えることができる。ドロップカート100はさらに、ドロップカート100の電子及び/又は電気機械部品のそれぞれに電力を提供するように構成された、充電式バッテリーなどの補充可能な電源も備えることができる。
【0055】
多くの実施の形態では、ドロップカート100の金庫データ受信機アレイの金庫データ受信機のそれぞれは、任意の一つの金庫データ受信機から受信したデータをプロセッサによって処理し(例えば、フォーマット、変換、復号化などを行い)、ドロップカート100のメモリに保存できるように、ドロップカート100のプロセッサに通信可能に連結されることができる。上述したように、ドロップカート100はさらに、コンパートメント102aへの金庫104の挿入など、特定のコンパートメントに対する金庫の挿入を検知するように構成された一つまたは複数のセンサを備えることもできる。センサの例には、押しボタン式スイッチ、磁気リードスイッチ、フォトインタラプタ、容量センサなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。他の例では、ドロップカート100は、ドロップカート100への入力を行うためにカジノ従業員が用いることのできる、タッチスクリーンやボタンなどのヒューマンインタフェース機器を備えることができる。このような入力は、金庫がドロップカート100のコンパートメントに挿入された旨の表示を含むことができる。
【0056】
図1の上記の記述、およびその様々な代替例や変形例は、概ね、説明のため、また本明細書に記載されるドロップカートの構造および一般的な機能を十分に理解するのを容易にするために提示されていることは理解されるであろう。ただし、ここに提示した特定の詳細の一部は、記述された特定の実施の形態またはそれと同等のものを実行するために必要でないかも知れないことは、当業者にとって明らかであろう。
【0057】
従って、特定の実施の形態の上記の記述は、例示および説明のために提示されていると考えられる。これらの記述は全てを網羅するものではなく、ここに挙げる厳密な形態に本開示を限定することを意図するものでもない。逆に、上記の教示に鑑み、多くの修正や変更が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。
【0058】
例えば、一般的に大まかに、
図2Aおよび2Bは、それぞれA-A線およびB-B線から見た
図1のドロップカートを示している。さらに、これらの図は、ドロップカート100の様々なコンパートメントに挿入された各金庫を、これらの金庫をドロップカートから取り外すことなく処理するように構成されうる自律型ドロップカート処理システムを示す。
【0059】
図2Aおよび2Bは、それぞれA-A線およびB-B線から見た
図1のドロップカートの上面図および正面図を示す。図示した実施の形態では、ドロップカート200は、筐体枠202を備えている。
図1と同様に、筐体枠202は、格子状に配置され、複数の金庫を受け入れるように構成された複数のコンパートメントを画定する。図示した実施の形態では、2つの別々のコンパートメントアレイ204a、204bが、筐体枠202の長さに沿って互いに向かい合って配置されている。本明細書に記載される他の実施の形態と同様に、コンパートメントアレイ204a、204bの各コンパートメントは、少なくとも一つの各金庫データ読み取り機と対応付けられていて、そのうち二つが金庫データ読み取り機206a、206bとして識別されている。本明細書に記載される他の実施の形態と同様に、ドロップカート200の金庫データ読み取り機は、通常、例えば通信バス208を介して、ドロップカート200の制御装置と通信可能に連結されている。この構造の結果、金庫がドロップカート200のコンパートメントに挿入されるたびに、それぞれ一つの金庫データ読み取り機が、挿入された金庫からデータまたは情報を読み取ることができる。その後、金庫データ読み取り機は、受け取った情報をドロップカート200の制御装置(または別の回路)に通信して、メモリに保存及び/又は無線または有線データ・チャネルを介してカジノ会計システムなど別のシステムまたはネットワークに通信することができる。
【0060】
本明細書に記載される他の実施の形態に関して言及したように、ドロップカート200の様々なコンパートメントに挿入された各金庫は、自律型ドロップカート処理システム210によって処理されることができる。より具体的には、自律型ドロップカート処理システム210は、ドロップカート200に挿入された各金庫から、金庫をドロップカート200上に置いたままで書類の束を取り出すように構成されている。このように、上述したように、自律型ドロップカート処理システム210は、一つのまとまり、グループ、または組の金庫の処理速度を実質的に向上させることができる。
【0061】
特に、図示した実施の形態では、自律型ドロップカート処理システム210は、アクセス制御ロボットとも呼ばれる第1の自動機構212を備えている。
【0062】
図示した実施の形態の自律型ドロップカート処理システム210の第1の自動機構212は、ドロップカート200のコンパートメント配列に対してロックアタッチメント212a(「鍵アタッチメント」とも言う)の位置をシフトさせるように構成された直交座標ロボットとして実現されている。
【0063】
より具体的には、自律型ドロップカート処理システム210の第1の自動機構212は、垂直フレーム212bによって支持され、ロックアタッチメント212a、特に、ロックアタッチメント212aの延在作動部に連結された鍵延長部212cを、ドロップカート200に挿入された金庫のうち選択された金庫の鍵穴に整合させるために、直線および垂直方向に平行移動するよう構成されている。本明細書に記載される他の実施の形態に関して述べたように、第1の自動機構212は、選択された一つの金庫を解錠するだけでなく(または、他の実施の形態では一つまたは複数のロックアタッチメント212aおよび一つまたは複数の鍵延長部212cを含む)、上記金庫(例えば、金庫216)に対する扉が解錠されると、各金庫に対する扉を開くようにも構成される。
【0064】
他の実施の形態では、単一の自動機構のみを要するものとしてもよい。そのような実施において、自動機構は、複数の個別のアタッチメント(例えば、ロックアタッチメント、鍵延長部、把持機構など)にアクセスしてこれに連結するように構成されることができる。
【0065】
自律型ドロップカート処理システム210は、書類処理ロボットとも呼ばれる第2の自動機構214も備える。図示した実施の形態では、自律型ドロップカート処理システム210の第2の自動機構214は、可動メカニカルアーム214bを支持する基部214aを備える関節ロボットとして実現される。自律型ドロップカート処理システム210の可動メカニカルアーム214bは、扉が開いている解錠された金庫から書類の束を取り出すために、可動メカニカルアーム214bに連結された把持アタッチメント214cを自由空間に配置するよう構成される。
【0066】
この構造の結果、ドロップカート200が自律型ドロップカート処理システム210に隣接する位置に進められると、ドロップカート200は、適切な場所に固定されることができる。ドロップカート200を適切な場所に固定した後、第1の自動機構212は、鍵延長部212cを操作して再配置し、ドロップカート200の自律型ドロップカート処理システム210に面した側の各金庫を繰り返し解錠し、開く。
【0067】
ドロップカート200に挿入された少なくとも一つの金庫(例えば、金庫216)が解錠され開けられると、第2の自動機構214は、選択した金庫から書類の束を引き出すために、把持アタッチメント214cを操作し再配置する。その後、引き出された書類の束は、回収ステーション218に配置されることができる。回収ステーション218は、一つまたは複数の書類揃え機、書類分類機、書類計数機、書類帯掛けシステムなどを備えることができるが、これに限定されるものではない。
【0068】
ドロップカート200の片側の各金庫が処理されると、自律型ドロップカート処理システム210に対するドロップカートの位置を反転させるために、カジノ従業員に対して通知または信号を送信してもよい。別の場合には、一つ以上の自律型ドロップカート処理システム210を備えていてもよく、これらの例では、ドロップカート200などのドロップカートは、本明細書に記載される2つの自律型ドロップカート処理システムの間に配置することができる。
【0069】
図2Aおよび
図2Bの上記の記述、およびその様々な代替例や変形例は、概ね、説明のため、また本明細書に記載されるドロップカートの様々な可能な構成を十分に理解するのを容易にするために提示されていることは理解されるであろう。ただし、ここに提示した特定の詳細の一部は、記述された特定の実施の形態またはそれと同等のものを実行するために必要でないかも知れないことは、当業者にとっては明らかであろう。
【0070】
従って、特定の実施の形態の上記の記述は、例示および説明のために提示されていると考えられる。これらの記述は全てを網羅するものではなく、ここに挙げる厳密な形態に本開示を限定することを意図するものでもない。逆に、上記の教示に鑑み、多くの修正や変更が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0071】
図3は、本明細書に記載される金庫読み取り機アレイを備えたドロップカートの簡易系統図を示す。特に、ドロップカート300は、プロセッサ302、メモリ304、ネットワーク接続306、電源308、任意のステータス・ディスプレイ310、一つまたは複数の任意の入力装置312、および金庫データ読み取り機アレイ314を備える。
【0072】
ドロップカート300のプロセッサ302は、任意の適切なプロセッサまたは処理装置とすることができ、ドロップカート300の一つまたは複数のタスクまたは動作を実行、調整、管理、及び/又はスケジューリングするように構成される。多くの例では、プロセッサ302は、一つまたは複数の実行可能なプログラム指令にアクセスして一つまたは複数のタスクまたは動作を実行するために、メモリ304に通信可能に連結するよう構成されている。
【0073】
例えば、プロセッサ302は、一つまたは複数の金庫からの情報またはデータを取得及び/又は処理する動作を実行するために、メモリ304にアクセスするように構成されてもよい。特に、プロセッサ302は、ドロップカート300に挿入された金庫に対応する情報またはデータを受け取るために金庫データ読み取り機アレイ314の少なくとも一つの金庫データ読み取り機に通信可能に連結するよう構成されることができる。その後、プロセッサ302は、挿入された金庫から受け取った情報を処理、再フォーマット、消費、及び/又は他の方法で利用するように構成されることができる。
【0074】
他の場合には、プロセッサ302は、挿入された金庫から受け取ったデータの全部または一部をメモリ304に保存するように構成されてもよい。他の場合には、プロセッサ302は、挿入された金庫から受け取ったデータまたは情報の一部または全部を、カジノ会計システムや本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムといった別のシステムに送信するように構成されることができる。情報を別のシステム及び/又は自律型ドロップカート処理システムに通信するために、プロセッサ302は、ネットワーク接続306を活用することができ、これは有線接続でも無線接続でもよい。
【0075】
ここで述べる他の実施の形態と同様に、ドロップカート300は、電源308などの内部電源から電力を受けることができる。電源例には、バッテリー電源、ソーラー電源、容量電源などが含まれるが、これらに限定されるものではない。電源308は、一つまたは複数の再充電回路を備えることができる。これら上記の例は、本明細書に記載されるドロップカートによって利用されうる全ての種類の電源を網羅するものではないことが理解されるであろう。
【0076】
ドロップカート300はさらに、ドロップカート300の任意のステータス・ディスプレイ310及び/又は一つまたは複数の任意の入力装置312も備えることができる。ドロップカート300のステータス・ディスプレイは、ドロップカート300、またはドロップカート300に挿入された金庫の一つまたは複数の状態変化に対するドロップカート300の制御において、視覚的、聴覚的、触覚的、または他の表示をカジノ従業員に提供するように構成されることができる。例えば、ドロップカート300のステータス・ディスプレイは、金庫がドロップカートのコンパートメントに適切に据えられているか、金庫を空にする必要があるか、金庫が空か一杯か、金庫からのデータ読み取りに成功したか失敗したか、電源308の電力レベル、などをカジノ従業員に表示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
図3の上記の説明、およびその代替例や変形例は、概ね、説明のため、また本明細書に記載されるドロップカートに関連する制御電子装置の様々な可能な構成を十分に理解するのを容易にするために提示されていることは理解されるであろう。ただし、ここに提示した特定の詳細の一部は、記述された特定の実施の形態またはそれと同等のものを実行するために必要でないかも知れないことは、当業者にとっては明らかであろう。
【0078】
従って、特定の実施の形態の上記の記述は、例示および説明のために提示されていると考えられる。これらの記述は全てを網羅するものではなく、ここに挙げる厳密な形態に本開示を限定することを意図するものでもない。逆に、上記の教示に鑑み、多くの修正や変更が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0079】
図4は、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムの簡易系統図を示す。自律型ドロップカート処理システム400は、プロセッサ402(「制御装置」とも言う)、メモリ404、ネットワーク接続406、電源408、任意のステータス・ディスプレイ410、任意の入力装置412、書類処理ロボット414(「ロボットアーム」とも言う)と、アクセス制御ロボット416(「リニアロボット」とも言う)として識別される二つの自動機構を備える。
【0080】
本明細書に記載される他の実施の形態と同様に、プロセッサ402、メモリ404、ネットワーク接続406、電源408、ステータス・ディスプレイ410、および入力装置412は
図3に関して上述したもの、および他の実施の形態と同様に構成、実現することができることは理解されるので、その説明は繰り返さない。さらに、書類処理ロボット414(「ロボットアーム」とも言う)およびアクセス制御ロボット416(「リニアロボット」とも言う)として識別される第1および第2の自動機構は、上述したような、また他の実施の形態に関するものと同様に構成することができるので、その説明は繰り返さない。
【0081】
図4の上記の記述、およびその様々な代替例や変形例は、概ね、説明のため、また本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムに関連する制御電子装置の様々な可能な構成を十分に理解するのを容易にするために提示されることは理解されるであろう。ただし、ここに提示される特定の詳細の一部は、記述された特定の実施の形態またはそれと同等のものを実行するために必要でないかも知れないことは、当業者にとっては明らかであろう。
【0082】
従って、特定の実施の形態の上記の記述は、例示および説明のために提示されていると考えられる。これらの記述は全てを網羅するものではなく、ここに挙げる厳密な形態に本開示を限定することを意図するものでもない。逆に、上記の教示に鑑み、多くの修正や変更が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0083】
一般的に大まかに、
図5ないし
図7は、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムを操作する方法の動作例を示す。
【0084】
例えば、
図5は、本明細書に記載されるドロップカートを操作する方法の動作例を示す。これらの動作は、本明細書に記載されるドロップカート(例えば
図1ないし
図3参照)のプロセッサまたは他の制御装置によって、全部または一部を実行することができる。ある場合には、方法500の一つまたは複数の動作を、本明細書に記載されるドロップカートのプロセッサまたは制御装置によって実行されるソフトウエアにおいて実施することができる。
【0085】
方法500は、ドロップカートのプロセッサ、回路、または他の電子部品が、ドロップカートの空のスロットまたはコンパートメントへの金庫の挿入を検知する動作502を含む。動作502で実行される検知は、任意の適切な電子機器により複数の適切な方法で実行することができる。例えば、ある例では、ドロップカートは、金庫の挿入によって起動しうる電子スイッチを備える。別の場合では、ドロップカートは、光検知器および光放出器を備えた光切断検出システムを備えることができる。これらの例では、光検出器と光放出器の間の光路が遮断されると、ドロップカートは金庫が挿入されたと判断することができる。
【0086】
さらに別の例では、ドロップカートは、ボタンやタッチセンサー式画面など、一つまたは複数の入力部品を備えることができる。カジノ従業員は、これらの入力部品の一つを操作して、金庫が挿入されたことをドロップカートの制御装置に通知することができる。上記の例は全てを網羅するものではなく、本明細書に記載されるドロップカートのコンパートメントへの金庫の挿入を検知または示す任意の適切な手段を使用できることは理解されるであろう。
【0087】
方法500はさらに、ドロップカートに挿入された金庫からデータを読み出すために、ドロップカートの制御装置が金庫データ読み取り機を操作する動作504を含む。本明細書に記載される他の実施の形態に関して言及したように、金庫データ読み取り機は、金庫からデータを読み取るために任意の適切な技術を活用することができる。ある場合には、ドロップカート及び/又は金庫データ読み取り機は、ある特定の金庫を読み取るために、利用可能な一組の技術のうち、特定の技術を選択することができる。例えば、ドロップカートは、3種類の金庫からデータを読み取るように構成されてもよい。これらの例では、ドロップカートの制御装置は、動作502においてドロップカートに挿入された金庫からデータが取得されるまで、3つの異なる金庫データ読み取り機技術(例えば、異なる物理ハードウエア、異なる通信プトロコルなど)の組のそれぞれを繰り返しテストするよう構成されてもよい。
【0088】
場合によっては、ドロップカート及び/又は金庫データ読み取り機は、動作502において挿入された金庫からデータを得ることができないかも知れない。これらの例では、ドロップカートは、カジノ従業員に通報する、及び/又はカジノシステム(例えば、会計システム)に信号を送信して、ドロップカートが挿入された金庫からデータを取得できない旨を通知するように構成されてもよい。これに応じて、カジノ従業員は、金庫をドロップカートに再挿入及び/又は別の方法で置き直してみるよう指示されるか、手動処理のために金庫に印をつける、などしても良い。ある場合には、ドロップカートは、動作502において挿入された金庫からデータを取得するのに成功したか否かを示すために一つまたは複数のステータスライトまたはインジケータを備えてもよい。
【0089】
方法500はさらに、動作502において挿入された金庫から入手したデータをカジノ会計システムに対して送信するか、または別の方法で入力として提供する動作506を含む。動作506は、有線通信インターフェース(例えば、イーサネット)、無線通信インターフェース(例えば、Wi-Fiやブルートゥース)を介し、または任意の他の適切な技術を使用して、全部または一部を実行することができる。ある場合には、動作506は、バッファリングされるか、またはドロップカートがカジノ従業員によって集計室に運ばれた時など、後になって別の方法で実行されてもよい。動作506は、任意の適切な時に行うことができ、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムからの指示に応じ、カジノ従業員からの指示に応じ、及び/又はカジノ集計システムから受信した指示に応じて、実行されてもよいことが理解される。
【0090】
図6は、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムを操作する方法の動作例を示す。これらの動作は、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システム(例えば
図2Aないし
図4参照)のプロセッサまたは他の制御装置によって、全部または一部を実行することができる。ある場合には、方法600の一つまたは複数の動作を、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムのプロセッサまたは制御装置によって実行されるソフトウエアにおいて、全部または一部を実行することができる。
【0091】
方法600は、自律型ドロップカート処理システムによって処理されているドロップカート上に格納された、ある一つの金庫を選択する動作602を含む。場合によっては、金庫の一列全体を選択することもできる。
【0092】
次に、動作604では、選択した金庫または列の既知の位置及び/又は場所に基づいて、自律型ドロップカート処理システムの制御装置によってアクセス制御ロボットを位置決めすることができる。いくつかの例では、上述したように、アクセス制御ロボットを、選択した金庫の錠内に鍵アタッチメント(あるいは、それぞれ一列または他のグルーピングの金庫のうち一つの金庫に装着された一組の鍵アタッチメント)を位置決めするように構成された直交座標ロボットとすることができる。
【0093】
次に、動作606では、動作602で選択した一つまたは複数の金庫を解錠するように、アクセス制御ロボットに指示することができる。アクセス制御ロボットはさらに、動作602で選択した各金庫の解錠済みの扉を開くように構成されてもよい。
【0094】
次に、動作608では、選択した金庫または列の既知の位置及び/又は場所に基づいて、自律型ドロップカート処理システムの制御装置によって、書類処理ロボットを位置決めすることができる。ある例では、上述したように、書類処理ロボットは、動作606で解錠した各金庫のキャビティ内に把持アタッチメントを位置決めするように構成された関節継ぎ手ロボットまたはデルタロボットとすることができる。
【0095】
次に、動作610では、動作606で解錠した各金庫のキャビティから書類の束を取り出すために、自律型ドロップカート処理システムの制御装置によって、書類処理ロボットを位置決めすることができる。
【0096】
最後に、動作612では、選択した金庫または列の既知の位置及び/又は場所に基づいて、自律型ドロップカート処理システムの制御装置によって、アクセス制御ロボットを再位置決めすることができる。その後、アクセス制御ロボットを用いて、選択した各金庫の扉を閉め、選択した各金庫の扉を施錠することができる。
【0097】
方法600は、ある例では、その後、動作602に戻って別の金庫または別の金庫の列を選択することができる。その後、上述した方法600の様々な動作を再度行うことができる。
【0098】
図7は、本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムを操作する方法の動作例を示す。ここに述べる他の方法の実施の形態と同様に、方法700は、自律型ドロップカート処理システムの制御装置によって、全部または一部を実行することができる。
【0099】
方法700は、取り出した(例えば、書類処理ロボットによって)書類の組を書類揃え機に配置することができる動作702を含む。任意に、動作704で、見出しカードまたは後書きカードなど、一つまたは複数の識別または配置カードを書類束内、書類束の上、または書類束の下に挿入することができる。その後、動作706において、書類揃え機を起動することができる。書類束内の書類が揃えられると、揃えられた書類の束を、通貨計数機、通貨結束機または綴じ機、書類分類機など、任意の適切なシステムに適切に移動させることができるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
上で参照した図面に示した上記の実施の形態、およびその様々な代替例や変形例は、概ね、説明のため、また本明細書に記載される自律型ドロップカート処理システムの様々な構成要素による、またはそれらの間の通信を容易にするネットワークアーキテクチャの様々な構成および構造を理解しやすくするために提示されている。ただし、ここに提示された特定の詳細の一部は、記述された特定の実施の形態またはそれと同等のものを実行するために必要でないかも知れないことは、当業者にとって明らかであろう。
【0101】
従って、特定の実施の形態の上記の記述は、例示および説明という限定された目的のために提示されているものと考えられる。これらの記述は全てを網羅する、あるいはここに挙げる厳密な形態に本開示を限定することを目的としたものではない。逆に、上記の教示に鑑み、多くの修正や変更が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。
【0102】
多くの実施の形態が上記に開示されているが、ここに記述される方法や技術に関して提示された動作やステップは、例示であることを意図し、従ってすべてを網羅するものではないことは理解されるであろう。さらに、特定の実施の形態では、代わりのステップ順や、より少ない、または追加の動作が必要とされる、あるいは望ましいことも理解されるであろう。
【0103】
上記の開示は、様々な例示的な実施の形態および実施に関して説明されたが、個々の実施の形態の一つまたは複数に記述された様々な特徴、側面、および機能は、それらが説明される特定の実施の形態の適用可能性に限定されるものではなく、むしろ、本発明のある実施の形態のうち一つまたは複数に対して、そのような実施の形態が記述されているか否かに関わらず、またそのような特徴が記述された実施の形態の一部であるとして提示されているか否かに関わらず、単独あるいは様々な組み合わせで適用できることは理解されたい。従って、本発明の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施の形態のいずれかによって限定されるべきものではなく、ここに提示される請求項によって定義される。
【0104】
さらに、プライベート財務データを含む、本明細書に記載されるプライベートデータに対するアクセス、集約、検証、分析、開示、譲渡、保存、または他の使用に対して責任を負う組織及び/又は実体は、公開され、企業が指定したプライバシー、データ、およびネットワークセキュリティの方針および対策に適合することが好ましいと考えられる。例えば、リモートまたはローカルデータ源から入手したデータ及び/又は情報は、そのデータ及び/又は情報の主体に対して説明し、同意を得られた場合に限り、適法、同意済み、かつ妥当な使用に対してのみアクセスされ集約されるべきであることを理解されたい。
【国際調査報告】