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特表2022-529862カンナビノイドを生産するための方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】カンナビノイドを生産するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/22 20060101AFI20220620BHJP
   C12P 17/06 20060101ALI20220620BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
C12P7/22
C12P17/06
C12M1/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535970
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(85)【翻訳文提出日】2021-08-04
(86)【国際出願番号】 IL2020050477
(87)【国際公開番号】W WO2020222233
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/839,714
(32)【優先日】2019-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508286670
【氏名又は名称】プルリステム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】ヤナイ、ヤーコブ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィヴ、リオル
【テーマコード(参考)】
4B029
4B064
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029BB12
4B029CC01
4B029DA07
4B029DF01
4B029DF02
4B029DF03
4B029DF04
4B064AD21
4B064CA11
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE17
4B064DA01
(57)【要約】
本明細書において開示されるのは、1つ以上のカンナビノイド化合物を生産する方法、該化合物を生産する増殖細胞、該方法によって生産されるカンナビノイド化合物、該カンナビノイド化合物を含む医薬組成物、および該化合物および組成物を生産および利用する方法である。
【選択図】図3A図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物細胞が1つ以上のカンナビノイド化合物を生産する条件下で、バイオリアクター内で、生産培地中で前記植物細胞をインキュベートすることにより1つ以上のカンナビノイド化合物を生産することを含む、前記1つ以上のカンナビノイド化合物を生産する方法。
【請求項2】
前記生産培地がエリシターを含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記植物細胞が前記生産培地中で少なくとも3時間インキュベートされる、請求項1の方法。
【請求項4】
植物細胞の増殖を促進する条件下で、バイオリアクターにおいて前記植物細胞をインキュベートすることを先に行う、請求項1の方法。
【請求項5】
前記条件が前記生産培地とは異なる増殖培地を含む、請求項4の方法。
【請求項6】
前記植物細胞が少なくとも3つの集団倍増のために前記増殖培地中でインキュベートされる、請求項5の方法。
【請求項7】
前記植物細胞がC.sativa細胞である、請求項1の方法。
【請求項8】
前記C.sativa細胞が毛状突起細胞である、請求項7の方法。
【請求項9】
前記毛状突起細胞が塊になっている、請求項8の方法。
【請求項10】
前記毛状突起細胞が単一細胞懸濁液中にある、請求項8の方法。
【請求項11】
前記植物細胞がカンナビノイド合成酵素をコードする遺伝子を含む、請求項1の方法。
【請求項12】
遺伝子が誘導性プロモーターに作動可能に連結されている、請求項11の方法。
【請求項13】
前記植物細胞がカンナビノイド分泌酵素をコードする遺伝子を含む、請求項1の方法。
【請求項14】
遺伝子が誘導性プロモーターに作動可能に連結されている、請求項13の方法。
【請求項15】
前記生産培地が誘導剤を含む、請求項1の方法。
【請求項16】
pH、温度、並びに溶存酸素、グルコース、乳酸塩、乳酸デヒドロゲナーゼ、NH、およびグルタミン酸塩のレベルのうちの少なくとも1つを制御することをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項17】
前記バイオリアクターが合成三次元増殖基材をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のカンナビノイド化合物を前記生産培地から継続的に取り出すことをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項19】
植物細胞、生産培地、および前記生産培地に配置された1つ以上のカンナビノイド化合物を含むバイオリアクター。
【請求項20】
前記生産培地がエリシターを含む、請求項19のバイオリアクター。
【請求項21】
前記植物細胞がC.sativa細胞である、請求項19のバイオリアクター。
【請求項22】
前記C.sativa細胞が毛状突起細胞である、請求項21のバイオリアクター。
【請求項23】
前記毛状突起細胞が塊になっている、請求項22のバイオリアクター。
【請求項24】
前記毛状突起細胞が単一細胞懸濁液中にある、請求項22のバイオリアクター。
【請求項25】
前記植物細胞がカンナビノイド合成酵素をコードする遺伝子を含む、請求項19のバイオリアクター。
【請求項26】
前記植物細胞がカンナビノイド分泌酵素をコードする遺伝子を含む、請求項19のバイオリアクター。
【請求項27】
前記生産培地が誘導剤を含む、請求項19のバイオリアクター。
【請求項28】
前記バイオリアクターがpH、温度、並びに溶存酸素、グルコース、乳酸塩、乳酸デヒドロゲナーゼ、NH、およびグルタミン酸塩のレベルのうちの少なくとも1つを制御することをさらに含むように構成されている、請求項19のバイオリアクター。
【請求項29】
前記バイオリアクターが合成三次元増殖基材をさらに含む、請求項19のバイオリアクター。
【請求項30】
前記バイオリアクターが前記1つ以上のカンナビノイド化合物を前記生産培地から継続的に取り出すように構成されている、請求項19のバイオリアクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本明細書において開示されるのは、カンナビノイドを生産し、カンナビノイド生産細胞を増殖させる方法である。
【背景技術】
【0002】
背景
カンナビノイドは、大麻によって合成される特殊な化合物のクラスである。それらは、テルペンおよびフェノール前駆体の縮合によって形成される。それらは、これらのより豊富な形態:デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビクロメン(CBC)、およびカンナビゲロール(CBG)を含む。別のカンナビノイドであるカンナビノール(CBN)は、分解生産物としてTHCから形成され、いくつかの植物菌株において検出することができる。典型的には、THC、CBD、CBC、およびCBGは、さまざまな植物菌株において異なる比率で一緒に発生する。
【0003】
カンナビノイドは、世界中でさまざまな形態で広く消費されている。カンナビノイドが豊富な、ハーブ中(すなわち、マリファナ)または樹脂形態(すなわち、ハッシュオイル)のいずれかの大麻の製剤は、世界人口の推定2.6~5.0%によって使用されている(UNODC,2012)。天然大麻抽出物(Sativex(登録商標))または合成カンナビノイドのドロナビノール若しくはナビロンのいずれかを含むカンナビノイド含有医薬品は、いくつかの国において医療用途に利用可能である。Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(THCとしても知られる)は、大麻植物における主要な生物学的活性成分の1つであり、それは、化学療法に関連する悪心および嘔吐の制御用におよび消耗症候群に苦しむエイズ患者の食欲刺激用に米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。しかしながら、該薬は、緑内障、片頭痛、痙性、不安の治療などの、および鎮痛剤として、可能な治療用途に役立つ、他の生物学的活性を示す。
【0004】
カンナビノイド生産の伝統的な方法は、典型的には生で収穫された大麻からのカンナビノイドの抽出および精製に焦点をあてる。しかしながら、従来のカンナビノイドの抽出および精製方法には、それらの有用性を制限する多くの技術的および実用的な問題-例えば、菌株の完全性を維持することにおける困難、害虫およびその他の自然の原因に起因する収量の変動、農薬での汚染、並びに耕作可能な土地の限られた面積などがある。
【0005】
培養ベースの系を介したカンナビノイド、エンドカンナビノイド、および関連化合物の生産は、前述の問題の全てではないにしても、多くを克服する可能性を有する。しかしながら、そのような培養系の開発は、初期段階の分野である。両方ともTrait Biosciencesの名前であるWO2018/176055およびWO2019/014395は、全体的に1)カンナビノイドシンセターゼ、および関連酵素をコードする構築物でトランスフェクトされた細胞、並びにカンナビノイドの合成におけるそれらの使用;並びに2)それらの水溶性を増加させるためのカンナビノイド化合物を誘導体化する方法を論じる;しかしながら、これらの文書は、細胞培養ベースの系を介してカンナビノイド、または関連化合物を生産するための十分な実用的な情報を提供していない。
【0006】
さらに、既存の方法は、GMP要件に適応することが困難若しくは不可能であり、および/または実施できる1年あたりのサイクル数が非常に制限されているため、生産能力が制限される。
【発明の概要】
【0007】
要約
本明細書において提供されるのは、バイオリアクター内で、栄養培地中で植物細胞をインキュベートすることを含む、1つ以上のカンナビノイド化合物を生産する方法である。
【0008】
特定の実施態様においては、細胞は接着細胞である。より具体的な実施態様においては、細胞を、二次元(2D)基材、三次元(3D)基材、または2D基材その後の3D基材上で培養する。2Dおよび3D基材の非限定的な例は、詳細な説明および実施例において提供される。
【0009】
用語「二次元培養」、「2D培養」、および「二次元[または2D]基材」は、細胞が、細胞成長に適合し、細胞を単層において成長することを可能にする「二次元培養装置」と呼ばれる条件に曝露する培養を指す。そのような装置は、典型的には、いくつかの実施態様においては平面または湾曲し得る接着性材料を含む、平坦な成長表面を有するであろう。2D培養のための装置の非限定的な例は、細胞培養皿およびプレートである。この定義には、各層が単層培養をサポートしているという条件で、Nunc(商標)によって製造されたCell Factory(商標)などの多層トレイが含まれる。2D装置においてさえ、細胞は、過剰にコンフルエントにすると互いに成長することができることが理解されるであろう。これは、装置の「二次元」としての分類には影響しない。
【0010】
用語「三次元培養」、「3D培養」、および「三次元[または3D]基材」は、細胞が、細胞成長に適合し、細胞を互いに対して3D方向(例えば、単層の平面の外側)に成長することを可能にする条件に曝露する培養を指す。用語「三次元[または3D]培養装置」は、細胞成長と適合し、細胞が互いに対して3D方向に成長することを可能にする条件下で、いくつかの実施態様においては接着細胞である細胞を培養するための装置を指す。そのような装置は、典型的には3D成長表面を有し、いくつかの実施態様においては接着性材料を含む。
【0011】
一般に、細胞の「成長」および「増殖」への言及は、本明細書においては交換可能に使用され得る。
【0012】
別途示されている場合を除いて、本明細書において言及される全ての範囲は、両端を含む。
【0013】
別途定義されている場合を除いて、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、この発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において記載されているものと同様または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を、以下に説明する。矛盾する場合は、定義を含む本特許明細書が制御するであろう。さらに、材料、方法、および実施例は、例示にすぎず、限定することを意図されない。
【0014】
図面の簡単な説明
本発明は、例としてのみ添付の図面を参照して、本明細書において記載されている。ここで詳細に図面を具体的に参照するとき、示されている詳細は、例としてであり、本発明の実施態様の例示的な議論の目的のためだけであり、本発明の原理および概念的一面(複数)の最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示されていることが強調される。これに関して、本発明の基本的な理解に必要であるよりも詳細に本発明の構造の詳細を示す試みはなされておらず、図面とともに取られる説明は、本発明のいくつかの形態がどのように実際に具体化され得るかを当業者に明らかにする。
【0015】
図面において:
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、カンナビノイド生産細胞を培養するために使用することができるバイオリアクターの図である。
図2-1】図2Aは、例示的な実施態様による、キャリア(または「3D本体」)の斜視図である。Bは、別の例示的な実施態様による、キャリアの斜視図である。Cは、例示的な実施態様による、キャリアの断面図である。
図2-2】図2Aは、例示的な実施態様による、キャリア(または「3D本体」)の斜視図である。Bは、別の例示的な実施態様による、キャリアの斜視図である。Cは、例示的な実施態様による、キャリアの断面図である。
図3図3は、副生産物(A)および意図された生産物(B)を示す、カンナビノイドの合成およびそれに関与する酵素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本発明の少なくとも1つの実施態様を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載されるかまたは実施例によって例示される詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施態様が可能であるか、またはさまざまな方法で実施するまたは行うことができる。また、本明細書において使用される言い回しおよび用語は、説明の目的のためであり、限定的であるとして見なされるべきではないことが理解されるべきである。
【0018】
本明細書において提供されるのは、バイオリアクター内で、栄養培地中で植物細胞をインキュベートすることを含む、1つ以上のカンナビノイド化合物を生産する方法である。
【0019】
いくつかの実施態様においては、植物細胞がカンナビノイド化合物を生産する条件下で、バイオリアクター内で、生産培地中で該植物細胞をインキュベートすることによりカンナビノイド化合物を生産することを含む、1つ以上の該カンナビノイド化合物を生産する方法が、提供される。特定の実施態様においては、植物細胞は、カンナビノイド化合物を生産培地中に分泌する;および/またはカンナビノイド化合物を、該生産培地から継続的に取り出す。任意に、例えば、前の工程で回収されなかった残留カンナビノイドを取得するため;(b)バイオリアクターから生産培地を取得する追加の工程を実施する。特定の実施態様においては、植物細胞は、バイオリアクター内にある間に、カンナビノイドの合成および分泌の両方を行う。
【0020】
他の実施態様においては、植物細胞がカンナビノイド化合物を生産する条件下で、バイオリアクター内で、生産培地中で該植物細胞をインキュベートすることによりカンナビノイド化合物を生産することを含む、1つ以上の該カンナビノイド化合物を含む組成物を生産する方法が、提供される。特定の実施態様においては、植物細胞は、カンナビノイド化合物を生産培地中に分泌する;および/またはカンナビノイド化合物を、該生産培地から継続的に取り出す。特定の実施態様においては、カンナビノイド化合物を、いくつかの実施態様においてはそれと共に共精製する他の化合物と共に、生産培地から継続的に取り出す。いくつかの実施態様においては、例えば前の工程で回収されなかった残留カンナビノイドを取得するため;(b)インキュベーションの終わりにバイオリアクターから生産培地を取得する追加の工程がある。特定の実施態様においては、植物細胞は、バイオリアクター内にある間に、カンナビノイドの合成および分泌の両方を行う。
【0021】
さらに他の実施態様においては、植物細胞がカンナビノイド化合物を生産する条件下で、バイオリアクター内で、生産培地中でカンナビノイド生産細胞をインキュベートすることによりカンナビノイド生産細胞の集団を増殖させることを含む、カンナビノイド生産細胞の該集団を増殖させる方法が、提供される。特定の実施態様においては、植物細胞は、カンナビノイド化合物を生産培地中に分泌する;および/またはカンナビノイド化合物を、生産培地から継続的に取り出す。いくつかの実施態様においては、例えば前の工程で回収されなかった残留カンナビノイドを取得するため;(b)インキュベーションの終わりにバイオリアクターから生産培地を取得する追加の工程がある。特定の実施態様においては、細胞はC.Sativa細胞である。より具体的な実施態様においては、C.Sativa細胞は、毛状突起細胞である。
【0022】
さらに他の実施態様においては、植物細胞、生産培地、および生産培地中に配置された1つ以上のカンナビノイド化合物:を含むバイオリアクターが、提供される。特定の実施態様においては、バイオリアクターは、カンナビノイド化合物を生産培地から継続的に取り出すように構成されている。さまざまな実施態様においては、カンナビノイド生産細胞は、3Dマトリックスへのそれらの接着、培地中の電流から生成される剪断力からの物理的保護、または両方の組合せにより、灌流中にバイオリアクター中に留まることができる。他の実施態様においては、バイオリアクターは、インキュベーションの終わりにバイオリアクターから生産培地を取得するように構成されている。
【0023】
さらに他の実施態様においては、植物細胞、生産培地、および植物細胞内に配置された1つ以上のカンナビノイド化合物:を含むバイオリアクターが、提供される。特定の実施態様においては、バイオリアクターは、植物細胞を無傷で、または少なくとも主に無傷で収穫するように構成されている。他の実施態様においては、バイオリアクターは、インキュベーションの終わりにバイオリアクター内にある間に植物細胞を溶解するように構成されている。本明細書における細胞内のカンナビノイド化合物への言及は、さまざまな実施態様においては、主にそれらの細胞質内、主に細胞壁内、またはそれらの組合せの化合物を指し得る。より具体的な実施態様においては、50%超の化合物は、細胞質内にある;または、他の実施態様においては、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、若しくは95%超である。他の実施態様においては、50%超の化合物は、細胞壁内にある;または、他の実施態様においては、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、若しくは95%超である。
【0024】
記載された方法および組成物のいくつかの実施態様においては、植物細胞は、それによって生産されたカンナビノイド化合物の50%超を生産培地中に分泌する。他の実施態様においては、細胞は、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、92%超、95%超、96%超、97%超、98%超、若しくは99%超のカンナビノイド化合物を培地中に分泌する。当業者は、本開示に照らして、成長培地中に分泌された化合物が培地から取得できることを理解するであろう。他の実施態様においては、毒性の場合、植物細胞の成長および/または代謝は、培地からの化合物の継続的な取り出しによって改善することができる。
【0025】
さらに他の実施態様においては、植物細胞は、それによって生産されたカンナビノイド化合物の50%超を保持する。当業者は、本開示に照らして、細胞内に保持された化合物が細胞を収穫することによって取得できることを理解するであろう。他の実施態様においては、毒性の場合、植物細胞の成長および/若しくは代謝は、それらの毒性を低下させるための化合物の改変によって、並びに/または例えば本明細書において記載されているような毒性からの保護を与えるための細胞の改変によって改善することができる。
【0026】
本明細書におけるカンナビノイド、または他の実施態様においては他の代謝物の「継続的な」ベースでの(継続的な)取り出しへの言及は、細胞インキュベーション中および/または細胞による化合物の生産中の化合物の取り出しを指す。「継続的な」取り出しは、必ずしも培地からの代謝物の連続的な取り出しを必要としない。特定の実施態様においては、代謝物の取り出しは、少なくとも断続的に、バイオリアクターの灌流に関連している。他の実施態様においては、灌流は、代謝物濃度(例えば本明細書において言及されるカンナビノイドのいずれかであり得、そのそれぞれが別個の実施態様を表す)を100ミリグラム/リットル(mg/L)、80mg/L、60mg/L、50mg/L、40mg/L、30mg/L、20mg/L、15mg/L、10mg/L、8mg/L、6mg/L、5mg/L、4mg/L、3mg/L、2mg/L、1.5mg/L、1mg/L、0.8mg/L、0.6mg/L、0.5mg/L、0.4mg/L、0.3mg/L、0.2mg/L、0.15mg/L、0.1mg/L、0.08mg/L、0.06mg/L、0.05mg/L、0.04mg/L、0.03mg/L、0.02mg/L、0.015mg/L、または0.01mg/L未満に保つ。さらなる実施態様においては、バイオリアクターは、カンナビノイド(より具体的な実施態様においては、THC、または他の実施態様においてはCBD、または他の実施態様においてはCBC、または他の実施態様においてはCBNであり得るのセンサーを含む。センサーは、さらなる実施態様においては、バイオリアクターからのカンナビノイドの灌流および/または取り出しの速度を制御する。
【0027】
特定の実施態様においては、方法の初期段階で、バイオリアクターに植物細胞を接種し、これを、いくつかの実施態様においては、生産培地に懸濁されている間にバイオリアクター中に導入する。他の実施態様においては、植物細胞を、異なる液体培地に配置されている間にバイオリアクター中に導入する。より具体的な実施態様においては、バイオリアクターは、記載された生産培地を含む。
【0028】
特定の実施態様においては、植物細胞を、生産培地中で少なくとも3時間、または、他の実施態様においては、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、22、24、30、36、42、48、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、若しくは200時間インキュベートする。他の実施態様においては、植物細胞を、生産培地中で3~50時間、または、他の実施態様においては、3~100、3~80、3~60、3~40、3~30、3~20、3~15、3~12、3~10、4~100、4~80、4~60、4~50、4~40、4~30、4~20、4~15、4~12、4~10、5~100、5~80、5~60、5~50、5~40、5~30、5~20、5~15、5~12、5~10、7~100、7~80、7~60、7~40、7~30、7~20、7~15、7~12、7~10、10~100、10~80、10~60、10~50、10~40、10~30、10~20、20~100、20~80、20~60、20~50、20~40、若しくは20~30時間インキュベートする。
【0029】
あるいはまたはさらに、記載された生産培地は、誘導剤を含む。特定の実施態様においては、誘導剤は、カンナビノイド合成酵素(カンナビノイド合成経路における工程を促進する酵素)および/またはカンナビノイド分泌酵素(細胞からのカンナビノイドの分泌を促進する酵素)をコードする1つ以上の遺伝子の誘導性プロモーターの転写活性化因子を誘導する。
【0030】
別途示されている場合を除いて、本明細書における細胞の懸濁液への言及は、単一細胞懸濁液および細胞の塊の懸濁液の両方を包含する。特定の実施態様においては、塊または単一細胞懸濁液は、3D基材、2D基材を含むか、または固相成長基材を含まない成長装置中に導入され、そしてその上で増殖され得る。実施態様は、自由に組み合わせ得る。
【0031】
別途示されている場合を除いて、本明細書における1つ以上のカンナビノイドを合成する植物細胞への言及は、該カンナビノイドを1つ以上の比較的遍在するビルディングブロック、例えばヘキサン酸から植物細胞内で合成するか;または、他の実施態様においては、細胞がより特異的な前駆体化合物、例えばオリベトリン酸からカンナビノイドを合成する場合を包含する。いずれの場合においても、さまざまな実施態様においては、前駆体は、植物細胞中に自然に存在しおよび/または外因的に提供され得、例えば生産培地から植物細胞に供給され得る。
【0032】
いくつかの実施態様においては、(a)植物細胞の増殖を促進する条件下で、バイオリアクター内で該植物細胞をインキュベートすること;および(b)植物細胞による生産培地中へのカンナビノイド化合物の分泌を促進する条件下で、バイオリアクター内で、該生産培地中で該植物細胞をインキュベートすること(ここで、該カンナビノイド化合物を、該生産培地から継続的に取り出す)により、カンナビノイド化合物を生産することの工程を含む、1つ以上の該カンナビノイド化合物を生成する方法が提供される。任意に、例えば前の工程で回収されなかった残留カンナビノイドを取得するため(c)バイオリアクターから生産培地を取得する追加の工程を実施する。特定の実施態様においては、方法の初期段階で、バイオリアクターに植物細胞を接種し、これを、いくつかの実施態様においては、生産培地に懸濁されている間にバイオリアクター中に導入する。他の実施態様においては、植物細胞を、異なる液体培地に配置されている間にバイオリアクター中に導入する。より具体的な実施態様においては、バイオリアクターは、記載された生産培地を含む。特定の実施態様においては、植物細胞は、バイオリアクター中にある間に、カンナビノイドの合成および分泌の両方を行う。
【0033】
本明細書に記載の方法のより具体的な実施態様においては、増殖段階は、4~10日間、または、他の実施態様においては、4~8、4~7、4~6、3~8、3~7、3~6、2~8、2~6、3~5、4~20、4~15、4~12、3~20、3~15、3~12、若しくは3~10日間実施する。
【0034】
特定の実施態様においては、方法の初期段階で、バイオリアクターに植物細胞を接種し、これを、いくつかの実施態様においては、増殖培地に懸濁されている間にバイオリアクター中に導入する。他の実施態様においては、植物細胞を、異なる液体培地に配置されている間にバイオリアクター中に導入する。より具体的な実施態様においては、バイオリアクターは、記載された増殖培地を含む。
【0035】
他の実施態様においては、植物細胞を、少なくとも3つの集団倍増;または、他の実施態様においては、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも8つ、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも17、または少なくとも20の集団倍増のために増殖培地中でインキュベートする。さらに他の実施態様においては、植物細胞を、少なくとも3時間、または、他の実施態様においては、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、22、24、30、36、42、48、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、若しくは200時間増殖培地中でインキュベートする。
【0036】
あるいはまたはさらに、植物細胞を、少なくとも3時間、または、他の実施態様においては、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、22、24、30、36、42、48、55、若しくは60時間生産培地中でインキュベートする。他の実施態様においては、植物細胞を、3~50時間、または、他の実施態様においては、3~100、3~80、3~60、3~40、3~30、3~20、3~15、3~12、3~10、4~100、4~80、4~60、4~50、4~40、4~30、4~20、4~15、4~12、4~10、5~100、5~80、5~60、5~50、5~40、5~30、5~20、5~15、5~12、5~10、7~100、7~80、7~60、7~40、7~30、7~20、7~15、7~12、7~10、10~100、10~80、10~60、10~50、10~40、10~30、10~20、20~100、20~80、20~60、20~50、20~40、若しくは20~30時間生産培地中でインキュベートする。
【0037】
より具体的な実施態様においては、植物細胞の増殖を促進する条件は、細胞が10日以下、8日以下、7日以下、6日以下、5日以下、4日以下、3日以下、2日以下、若しくは18時間以下;または、他の実施態様においては、2~10日、2~8日、2~7日、2~6日、2~5日、2~4日、3~10日、3~8日、3~7日、3~6日、3~5日、若しくは3~4日のピーク集団倍増時間(PDT)に達することができる増殖培地を含み得る。特定の実施態様においては、植物細胞の増殖を促進する条件は、カンナビノイドの比較的低レベルの合成を誘発する。他の実施態様においては、THC、または他の実施態様においてはCBDの合成のレベルは、カンナビノイド化合物の分泌を促進する記載された条件において、細胞のTHC、または他の実施態様においてはCBDの合成より少なくとも20倍、少なくとも15倍、少なくとも12倍、少なくとも10倍、少なくとも8倍、少なくとも6倍、少なくとも5倍、少なくとも4倍、少なくとも3倍、または少なくとも2倍低い。
【0038】
特定の実施態様においては、生産培地中の植物細胞のPDTは、増殖培地中のPDTの2倍以内である。他の実施態様においては、2つのPDTは、互いの20%以内である。さらに他の実施態様においては、生産培地中のPDTは、増殖培地中のPDTより少なくとも2倍低い;または、他の実施態様においては、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、若しくは少なくとも20倍低い;または、さらに他の実施態様においては、増殖培地中のPDTよりも2~20倍、3~20倍、4~20倍、5~20倍、2~10倍、3~10倍、4~10倍、若しくは5~10倍低い。特定の実施態様においては、生産培地中のより低いPDTは、そこで生産されるカンナビノイドの毒性に起因する。
【0039】
他の実施態様においては、記載された増殖培地は、例えば、記載された生産培地に存在する1つ以上のエリシターを欠くことにより、生産培地とは異なる。用語エリシターは、別途示されている場合を除いて、本明細書においては植物中の二次代謝物のエリシターを指す。特定の実施態様においては、エリシターは、C.sativa細胞において、THC、または他の実施態様においてはCBD、または他の実施態様においてはCBC、または他の実施態様においてはCBNの発現を誘導する。誘導(典型的には誘発剤の最大許容濃度で評価される)は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも50倍、2~50倍、3~50倍、5~50倍、7~50倍、10~50倍、20~50倍、2~20倍、3~20倍、5~20倍、7~20倍、10~20倍、または10~15倍であり得る。
【0040】
特定の実施態様においては、エリシターは、ジャスモン酸;ジャスモン酸メチル;ペクチン;アブシジン酸;サリチル酸;その非限定的な例が銅、バナジウム(例えばバナジン酸塩、オルトバナジン酸ナトリウム、または硫酸バナジル[VOSO])、およびカドミウム(例えばCdClおよびCdCl)である重金属;並びにエチレンから選択される。他の実施態様においては、エリシターは、大麻ペクチン抽出物、加水分解された大麻ペクチン、アルギン酸ナトリウム、AgNO、CoCl、NiSOから選択される。さらに他の実施態様においては、エリシターは、キトサン、キチン、およびエリシチンから選択される。当業者は、本開示に照らして、本明細書におけるエリシターへの言及が、同じ生物学的活性を示すそれらの誘導体を含むことを理解するであろう。エリシターは、当技術分野において知られており、とりわけ、Javier Lidoy Logrono(In vitro cell culture of Cannabis sativa for the production of cannabinoids. Bacherlor’s thesis for Universitat Autoenoma de Barcelona),Flores-Sanchez IJ et al.,Rao & Ravishankar,Ruffoni,B et al.,and Vasconsuelo and Boland (2007)に記載されている。
【0041】
あるいはまたはさらに、記載された生産培地は、誘導剤を含む。特定の実施態様においては、誘導剤は、カンナビノイド合成酵素および/またはカンナビノイド分泌酵素をコードする1つ以上の遺伝子の誘導性プロモーターの転写活性化因子を誘導する。
【0042】
さらに他の実施態様においては、UV光曝露は、二次代謝物生産の誘発剤として作用する。より具体的な実施態様においては、UV光は、300~400ナノメートル(nm)の間;または、他の実施態様においては、280~315、280~300、290~315、300~350、350~400、300~320、320~340、340~360、360~380、若しくは380~400nmの間の波長を有し得る。
【0043】
記載された方法および組成物において利用される植物細胞は、いくつかの実施態様においては、カンナビノイド合成酵素をコードする1つ以上の遺伝子を含む。あるいはまたはさらに、植物細胞は、カンナビノイド分泌酵素をコードする1つ以上の遺伝子を含む。特定の実施態様においては、遺伝子は、内因性遺伝子である。他の実施態様においては、遺伝子は、外因性遺伝子である。さらに他の実施態様においては、植物細胞は、カンナビノイド合成酵素および/またはカンナビノイド分泌酵素をコードする内因性および外因性遺伝子の両方を含む。
【0044】
さらに他の実施態様においては、カンナビノイド合成酵素および/またはカンナビノイド分泌酵素をコードする1つ以上の遺伝子は、誘導性プロモーターである/またはそれに作動可能に連結されている。それぞれの可能性は、別個の実施態様を表す。
【0045】
用語「作動可能に連結されている」は、調節配列およびコード配列に関して使用されるとき、調節配列が連結されたコード配列の発現に影響を与えることを意味する。「調節配列」または「制御要素」は、転写、RNAプロセシング若しくは安定性、または関連するコード配列の翻訳のタイミングおよびレベル/量に影響を与えるヌクレオチド配列を指す。調節配列は、プロモーター;翻訳リーダー配列;イントロン;エンハンサー;ステムループ構造;リプレッサー結合配列;終了配列;ポリアデニル化認識配列;等を含み得る。特定の調節配列は、それに作動可能に連結されているコード配列の上流および/または下流に位置し得る。また、コード配列に作動可能に連結されている特定の調節配列は、二本鎖核酸分子の関連する相補鎖上に位置し得る。
【0046】
本明細書において使用される場合、用語「プロモーター」は、転写の開始から上流にあり得、転写を開始するためのRNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の認識および結合に関与し得るDNAの領域を指す。プロモーターは、細胞における発現のためのコード配列に作動可能に連結され得るか、またはプロモーターは、細胞における発現のためのコード配列に作動可能に連結され得るシグナル配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結され得る。「植物プロモーター」は、植物細胞において転写を開始することができるプロモーターであり得る。発生制御下のプロモーターの例は、葉、根、種子、繊維、木部血管、気管、または強膜などの特定の組織において優先的に転写を開始するプロモーターを含む。そのようなプロモーターは、「組織優先的」と呼ばれる。特定の組織においてのみ転写を開始するプロモーターは、「組織特異的」と呼ばれる。
【0047】
記載された誘導性プロモーターは、いくつかの実施態様においては、Cannabis sativa MYB転写因子誘導性プロモーターである。他の実施態様においては、プロモーターは、転写活性化因子の結合部位を含む。他の非限定的な例は、銅に応答するACEI系からのプロモーター;ベンゼンスルホンアミド系除草剤セーフナーに応答するトウモロコシからのIn2遺伝子プロモーター;Tn10からのTetリプレッサー;およびその転写活性が糖質コルチコイドホルモンによって誘導され得るステロイドホルモン遺伝子からの誘導性プロモーター(Schena et al.(1991) Proc.Natl.Acad.Sci. USA 88:0421)に見い出されるものである。さらなる実施態様においては、記載された生産培地は、転写活性化因子の誘導因子を含む。例示のためだけであるが、エチレン応答因子(ERF)タンパク質の場合は、エチレンは、誘導因子の例であり(Zheng X et al.,Ethylene response factor ERF11 activates BT4 transcription to regulate immunity to Pseudomonas syringae. Plant Physiol. 2019 Mar 29);サリチル酸は、Figwortモザイクウイルスの上流活性化配列(UAS)を活性化し(Deb D and Dey N. Synthetic Salicylic acid inducible recombinant promoter for translational research. J Biotechnol. 2019 Mar 14;297:9-18. doi:10.1016/j.jbiotec.2019.03.004.[Epub ahead of print]);デキサメタゾンは、転写活性化因子LhGRを活性化する(Samalova M et al.,Universal Methods for Transgene Induction Using the Dexamethasone-Inducible Transcription Activation System pOp6/LhGR in Arabidopsis and Other Plant Species. Curr Protoc Plant Biol. 2019 Mar 12:e20089. doi:10.1002/cppb.20089.[Epub ahead of print])。当業者は、本開示に照らして、特定の誘導性プロモーターも特定の転写活性化因子も、記載された方法および組成物を利用することに何ら重要ではないことを理解するであろう。
【0048】
他の実施態様においては、記載された植物細胞は、特定の実施態様においては、本明細書において言及される遺伝子のいずれでもあり得る、1つ以上の遺伝子を含む発現ベクターを含む。「発現ベクター」は、選択された宿主細胞または生物において複製することができるポリヌクレオチドである。発現ベクターは、自律構造として複製することができ、あるいは、全体的または部分的に、宿主細胞の染色体または細胞小器官の核酸中に統合することができ、または、外来DNAを細胞に送達するためのシャトルとして使用され、すなわち宿主細胞のゲノムとともに複製する。すなわち、発現ベクターは、選択された宿主細胞、細胞小器官、または生物、例えば、プラスミド、ウイルス、人工染色体、核酸断片において複製することができ、発現ベクター上の特定の遺伝子(目的の遺伝子を含む)が細胞、細胞小器官または生物内でポリペプチドまたはタンパク質中に転写され翻訳されるポリヌクレオチドである;または「発現カセット」を含む、当技術分野において知られる任意の適切な構築物である。対照的に、本明細書における実施例において記載されるように、「カセット」は、本発明の発現ベクターのセクションを含むポリヌクレオチドである。カセットの使用は、発現ベクターの組み立てにおいて支援する。発現ベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルス、キメラウイルス、またはコスミドなどの、発現制御配列に作動可能に連結されている所望のポリヌクレオチド配列を含むレプリコンである。
【0049】
ポリヌクレオチド配列は、発現制御配列がそのポリヌクレオチド配列の転写および/または翻訳を制御および調節するとき、該発現制御配列(例えば、プロモーターおよび任意にエンハンサー)に作動可能に連結されている。
【0050】
別途示されなければ、特定の核酸配列はまた、その保存的に改変された変異体(例えば、縮退コドン置換)、相補的(または相補体)配列、および逆相補的配列、並びに明示的に示された配列も暗黙的に包含する。具体的には、縮退コドン置換は、1つ以上の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成され得る(例えば、Batzer et al.,Nucleic Acid Res. 19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J. Biol. Chem. 260:2605-2608(1985);およびRossolini et al.,Mol. Cell. Probes 8:91-98(1994)を参照)。核酸コドンの縮退のために、同一のポリペプチドをコードするさまざまな異なるポリヌクレオチドを使用することができる。
【0051】
あるいはまたはさらに、記載された生産培地は、誘導剤を含む。特定の実施態様においては、誘導剤は、カンナビノイド合成酵素および/またはカンナビノイド分泌酵素をコードする1つ以上の遺伝子の誘導性プロモーターの転写活性化因子を誘導する。
【0052】
さらに他の実施態様においては、記載された方法は、pH、温度、並びに溶存酸素、グルコース、乳酸塩、乳酸デヒドロゲナーゼ、NH、およびグルタミン酸塩のレベルのうちの少なくとも1つをモニターすること並びにその恒常性を維持すること(またはそれを制御すること)をさらに含み、それらのそれぞれは、別個の実施態様を表す。記載されたパラメーターのモニターおよび制御は、増殖培地および/または生産培地におけるインキュベーション中に起こり得、それらのそれぞれは、言及されたパラメーターと自由に組み合わせ得る。
【0053】
別途示されている場合を除いて、本明細書における酵素への言及は、全てのそのアイソフォーム機能断片、およびその模倣物を含む。そのような参照はまた、タンパク質が記載された酵素と同様の方法で基材に作用するという条件で、さまざまな種からの相同体を含む。
【0054】
カンナビノイド化合物
用語カンナビノイドおよびカンナビノイド化合物は、いくつかの実施態様においては、当技術分野において知られるさまざまなカンナビノイドを指し得る。特定の実施態様においては、該用語は、THCを包含する。他の実施態様においては、該用語は、CBDを包含する。さらに他の実施態様においては、該用語は、THCおよびCBDの両方を包含する。さらに他の実施態様においては、該用語は、THC、CBD、CBC、およびCBGを包含する。この段落における特定の化合物への言及は、いくつかの実施態様においては、追加のカンナビノイドの生産および/または存在を排除するものではない。他の実施態様においては、該用語は、テトラヒドロカンナビホロール(Citti C,et al.)を包含する。さらに他の実施態様においては、カンナビノイドは、具体的には当技術分野において知られる任意のカンナビノイド化合物を指し、それらのそれぞれは、別個の実施態様を表す。カンナビノイドは、当技術分野において知られており、例えば、Aizpurua-Olaizola O et al.に記載されている。
【0055】
理論に縛られることを望まずに、THCは、内在性カンナビノイド系のCB1およびCB2受容体を通して作用する。それは、両方の受容体の部分アゴニストであり;しかしながら、それは、THCの精神活性効果だけでなく、その鎮痛および鎮痙作用の原因でもあると考えられているCB1受容体に対してより高い親和性を示す。CB1受容体は、主に中枢神経系に位置し;しかしながら、それらは、免疫系、消化器系、生殖器系、心臓、肺、副腎および膀胱の細胞においても見い出され、これは、その幅広い作用スペクトルを説明する(Andre et al.2016)。一方、CB2受容体は、サイトカイン活性を調節することによって免疫系を調整することに関与する。その位置は、末梢神経系および免疫系と重複し、これは、その鎮痛および抗炎症作用に起因し得る(Burstein 2015)。
【0056】
CBDは、抗精神病薬、抗不安薬、抗炎症薬および抗酸化薬の特性によって特徴付けられ、10mgから700mgまでの用量においてでさえも人の健康に対する毒性効果を有さない(Zuardi et al.2006;Pryce et al. 2015)。CBDは、THCの精神活性効果を制限または軽減することができる(Englund et al. 2013)。カンナビノイド活性に関する研究は、その抗腫瘍作用も示唆する(Velasco et al. 2012;Haustein et al. 2014)。
【0057】
THCおよびCBDに加えて、CBCおよびCBN(カンナビノール)などの他のマイナーなカンナビノイドは、潜在的な治療用途を有する。CBCは、CB受容体の内因性リガンドであるアナンダミドの再取り込みを阻害する(De Petrocellis et al. 2011)。CBNは、免疫系への好ましい効果(Andre et al. 2016)と一致して、THCよりもCB1受容体に対して2倍低い親和性を、CB3受容体に対して3倍高い親和性を有する。
【0058】
基礎培地
当業者は、本開示に照らして、記載された方法および組成物における生産培地および増殖培地が、独立してさまざまな基礎培地に基づき得ることを理解するであろう。特定の実施態様においては、増殖培地または生産培地は、その非限定的な例が硝酸アンモニウム(NHNO)、塩化カルシウム(CaCl・2HO)、硫酸マグネシウム(MgSO・7HO)、一カリウムリン酸(KHPO)、硝酸カリウム(KNO)、およびリン酸カリウムである1つ以上の主要な塩(主要栄養素);その非限定的な例がホウ酸(HBO)、塩化コバルト(CoCl・6HO)、硫酸第一鉄(FeSO・7HO)、硫酸マンガン(II)(MnSO・4HO)、ヨウ化カリウム(KI)、モリブデン酸ナトリウム(NaMoO・2HO)、硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O)、エチレンジアミン四酢酸第二鉄ナトリウム(NaFe-EDTA)、EDTA、および硫酸銅(CuSO・5H2O)である1つ以上のマイナーな塩(マイナー栄養素)。;並びにその非限定的な例がミオイノシトール、ニコチン酸、ピリドキシン、チアミン、グリシンである1つ以上のビタミン/有機物質を含む。任意の追加は、Edamin(商標)またはトリプトン(任意)、インドール酢酸(任意)、カイネチン、および炭水化物を含む。前述の主要な塩、マイナーな塩およびビタミン/有機物質のそれぞれの1つ以上は、自由に組み合わせ得る。
【0059】
記載された方法および組成物において有用な培地の非限定的な例は、以下の成分(括弧内にグラム/リットル[g/L]での濃度:硝酸アンモニウム(1650)、塩化カルシウム(332)、硫酸マグネシウム(180)、硝酸カリウム(1900)、リン酸カリウム一塩基性(170)、ホウ酸(6.2)、塩化コバルト六水和物(0.025)、硫酸銅五水和物(0.025)、EDTA二ナトリウム塩二水和物(37.3)、硫酸第一鉄七水和物(27.8)、硫酸マグネシウム一水和物(16.9)、およびモリブデン酸(ナトリウム塩)0.213を含む、Murashige-Skoog(MS)培地である。任意に、MS培地は、Edamin(商標)またはトリプトン1g/l(任意)、インドール酢酸1~30mg/l(任意)、および/またはキネチン0.04~10mg/l(任意)で補充し得る。
【0060】
有用な培地のさらに別の実施態様は、以下の成分(mg/Lで):硫酸アンモニウム(134)、塩化カルシウム(113.2)、硫酸マグネシウム(122.1)、硝酸カリウム(2500)、リン酸ナトリウム一塩基性(130.4)ホウ酸(3.0)、塩化コバルト六水和物(0.025)、硫酸銅五水和物(0.025)、EDTA二ナトリウム塩二水和物(37.3)、硫酸第一鉄七水和物(27.8)、硫酸マグネシウム一水和物(10.0)、モリブデン酸(ナトリウム塩)0.213、ヨウ化カリウム亜鉛(0.75)、硫酸七水和物(2)、ミオイノシトール(任意;50~100)、ニコチン酸(遊離酸)(任意;1.0)、ピリドキシンHCl(1.0)、および塩酸チアミン(任意;10)、カゼイン加水分解物(任意;1000)を含み、3%スクロースで補充されたB5培地である。
【0061】
有用な培地の他の非限定的な実施態様は、Whiteの培地(White 1939)および木質植物培地(Lloyd and McCown)である。
【0062】
当業者は、本開示に照らして、本明細書に記載の培地は単に例示的なものであり、他の適切な培地を使用し得ること;成分の多くは省略または交換し得ること;および成分の量を培地の増殖を支持する特性に悪影響を与えることなく変更し得ることを理解するであろう。典型的には、有用な培地は、ビタミン補充(例えば、Gamborg OL et al.を参照)並びに窒素、リン、およびカリウムの供給源を有するであろう。既知の培地は、さまざまな成分において組み合わされ得る。これらの全ては、当業者の能力の範囲内である。
【0063】
他の実施態様においては、培地、例えば生産培地は、その非限定的な例がオーキシン(その非限定的な例は、インドール-3-酢酸[IAA]、4-クロロインドール-3-酢酸[4-CI-IAA]、2-フェニル酢酸[PAA]、インドール-3-酪酸[IBA]、インドール-3-プロピオン酸[IPA]、1-ナフタレン酢酸[NAA]、および2,4-ジクロロフェノキシ酢酸[2,4-D]である)、サイトカイニン(その非限定的な例は、アデニン型サイトカイニン[例えば、キネチン、ゼアチン、および6-ベンジルアミノプリン(BAまたはベンジルアデニンとしても知られる)]およびフェニル尿素型サイトカイニン(例えばジフェニル尿素およびチジアズロン[TDZ][Aina et al.])、ジベレリン酸(GA)、ブラシノステロイド、エチレン、アブシジン酸、サリチル酸およびジャスモン酸である1つ以上の植物ホルモンをさらに含み、それらのそれぞれの1つは、別個の実施態様を表す。さらに他の実施態様においては、培地は、その非限定的な例が本明細書において言及されている1つ以上の誘発剤をさらに含む。
【0064】
あるいはまたはさらに、培地、例えば生産培地は、その非限定的な例が二酸化マンガン(MnO)、過マンガン酸塩イオン(MnO)、銀イオン(Ag+)、酸化鉄、(Fe)、二酸化鉛(PbO)、酸化第二銅(CuO)、酸化ハフニウム(IV)(HfO)、二酸化セリウム(CeO)、三酸化ガドリニウム(Gd)、リン酸ナトリウム、三塩基性(NaPO)、ヨウ化物イオン、金属マンガン、および塩化鉄(III)溶液(FeCl)である、過酸化水素(H)を無害化する1つ以上の化学物質、金属イオン、および/または触媒をさらに含む。
【0065】
さらに他の実施態様においては、記載された生産培地は、例えば本明細書に記載のエリシターの一種であり得るエリシターを含む。
【0066】
さらなる実施態様においてて、記載された培地は、その非限定的な例が糖である炭水化物で補充されている。存在する場合、糖(例えばスクロース、グルコース、またはフルクトース)は、さらなる実施態様においては、5~30g/L、または、他の実施態様においては、5~50、5~40、5~20、5~15、5~10、3~50、3~40、3~30、3~20、3~15、3~10、3~8、7~50、7~40、7~30、7~20、7~15、7~10、10~50、10~40、10~30、10~20、または10~15g/Lの濃度で存在する。
【0067】
追加の成分が培地に添加され得ることが理解されるであろう。そのような成分は、抗生物質、抗真菌剤、アルブミン、アミノ酸、および細胞培養のために当技術分野において知られる他の成分であり得る。
【0068】
植物細胞
特定の実施態様においては、記載された方法に供する細胞は、より具体的な実施態様においてはC.sativa細胞であり得る、接着性植物細胞である。他の実施態様においては、植物細胞は、別の植物由来である。より具体的な実施態様においては、C.sativa細胞は、毛状突起細胞である。より具体的な実施態様においては、毛状突起は、葉の毛状突起、有頭骨の茎のある毛状突起、および有頭骨の固着性の毛状突起から選択され、それらのそれぞれは、別個の実施態様を表す。特定の実施態様においては、細胞を、1つ以上の腺毛状突起から単離する。
【0069】
あるいはまたはさらに、細胞を、本明細書に記載のバイオリアクターインキュベーション工程の前に、液体、固体、または半固体培地(例えば、以下に詳述されるもの)上での培養工程に供する。
【0070】
特定の実施態様においては、植物細胞を、本明細書に記載のバイオリアクターインキュベーション工程の前に、2D足場上で(例えば組織培養装置において)増殖させる。
【0071】
いくつかの実施態様においては、C.sativa細胞を、カルス培養に供する。特定の実施態様においては、用語カルス培養/培養することは、未分化細胞、例えば実質細胞の塊の培養を指す。さらなる実施態様においては、塊は、組織化されていない組織の形態で細胞を活発に分裂させている。当業者は、本開示に照らして、カルス培養物が分化した組織培養物の損傷(創傷)に由来し得ることを理解するであろう(Pierik 1987)。さらに他の実施態様においては、カルス組織を、それが確立された後、一定の間隔、例えば、4週間の間隔での断片の新鮮な培地への移動によって活発に増殖する状態に維持する(Remotti and Loffler 1995)。特定の実施態様においては、グルタミンを含まない培地を使用する。
【0072】
カルス培養の別の非限定的な例は、Braemer and Paris(1987)に記載されている。細胞培養物を、葉の外植片のカルス培養物から得、ロータリーシェーカー上で120rpm、25℃の全暗所で、0.5mg/Lカイネチンおよび1mg/L 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸を補充したB5培地中で浮遊培養する。継代培養物を、3週間ごとに新鮮な培地に移す。さらに別の例示的なプロトコルは、Flores-Sanchez et al.(20 09)に記載されている。細胞培養物を、葉のカルス培養物から得、オービタルシェーカー上で110rpm、1000~1700lxの光強度の下25℃で、B5ビタミン、1mg/L 2,4-Dおよび1mg/Lカイネチンが供給されたMS基礎培地中で、浮遊培養する。継代培養物を、2週間ごとに新鮮な培地に移す。
【0073】
カルス誘導のための追加の非限定的なプロトコルは、Mustafa et al.に記載されている。Mustafaはまた、カルスから浮遊培養物を生産する方法、および濾過、デカンテーション若しくはピペッティング、またはペクチナーゼでの処理のいずれかによって継代培養することも説明しており、それらのそれぞれが、別個の実施態様を表す。さらに、Mustafaは、濾液を通した吸引、ピペッティング、または注ぐことによって継代培養する方法を説明し、それらのそれぞれが、別個の実施態様を表す。
【0074】
カルス培養の追加の非限定的な例は、Husseinに記載されている。カルス形成(カルス誘導)のために、幼葉を細かく切り(「外植片」)、50mg/lミオイノシトール、10mg/lチアミンHCl、1000mg/lカゼイン加水分解物を有し;3%スクロースを補充した改変B5培地(表1)中で培養し;0.4%Gelrite(登録商標)で固化した。カルス誘導を刺激するために、1~3mg/Lの2,4-D、NAA、KINおよび/またはBAの組合せ(具体的にはNAA+KIN、2,4-D+BA、またはNAA+BA)を添加する。カルス培養物を、20日ごとに継代培養し、前述の条件下で再びインキュベートする。最適なカルス形成が、NAA + BAの組合せで見られた。
【0075】
特定の実施態様においては、メリステモイド形成を、カルス培養物中で誘導する。Husseinは、非限定的な例示的なプロトコルを説明する。カルスを、0.25、0.5、1、または1.5mg/L NAA;10、5、3、または1mg/L BA;および40mg/Lアデニンヘミサルフェート塩(AS)を添加して、上記のように固体修飾B5基礎に移す。カルスを、前の段落で説明した条件下で20日間隔で継代培養する。20日後、メリステモイド形成カルスを、小片に切り、同じ培地上で継代培養する。メリステモイド誘導の最適な組合せは、NAA/BA/ASであった。
【0076】
他の実施態様においては、カルス(例えばメリステモイドを有する)を、シュートレット(shootlet)誘導に供する。Husseinは、非限定的な例示的なプロトコルを説明する。メリステモイド形成のために処理されたカルスを、5ヶ月の増殖後のシュートレット誘導に使用する。カルスを、0.25、0.5、1、若しくは1.5mg/Lサイトカイニン(6-ベンジルアミノプリン、ゼアチン、カイネチン、またはチジアズロン);および/または0.25、0.5、1、1.5、若しくは3mg/Lジベレリン酸を補充した改変B5培地上で培養する。1ヶ月後、シュートレット形成カルスを、小片に切り、同じ培地上で継代培養する。シュートレット形成には、0.25mg/l TDZ + 3mg/l GAが最適であった。
【0077】
さらに他の実施態様においては、シュートレットを、根の形成を誘導するように処理する。Husseinは、非限定的な例示的なプロトコルを説明する。正常な発育を示す単一のシュートレットを、分離し、根の形成を誘導するためにさまざまな濃度(0.5、1.0または1.5mg/l)のNAA、IBAまたはIAAを補充した固化B5培地を含むビーカー中で培養する。シュート培養物を、20℃の暗所で1週間インキュベートし、次いで照明付きに移してインキュベートし、上記のように4週間増殖させる。1.5mg/l IAAが、根の形成に最適であった。
【0078】
さらに他の実施態様においては、カルス培養物を、その後の振とうフラスコ懸濁培養に供する。Husseinは、非限定的な例示的なプロトコルを説明する。細胞クラスターを、さまざまな濃度のBAおよびTDZを単独で、またはGA3と組み合わせて補充した改変B5液体培地に移し(表2)、2~5週間培養し得る。最適な増殖は、1~1.5mg/L TDZ + 1.5mg/L GAで見い出された。他の非限定的な例示的な方法は、Mustafa et al.およびそこに引用されている参考文献に記載されている。特定の実施態様においては、1つ以上のオーキシンが培地中に存在するが、サイトカイニンは存在しない。
【0079】
特定の実施態様においては、植物細胞のバッチ振とうフラスコ懸濁培養は、灌流下でのバイオリアクター培養の前に実施する。他の実施態様においては、懸濁培養は、最初からバイオリアクター中で実施する。
【0080】
さらに他の実施態様においては、カルス培養物を、毛状根誘導に供する。Husseinは、非限定的な例示的なプロトコルを説明する。カルス培養物を、50mg/lミオイノシトール、10mg/lチアミンHCl、および1000mg/lカゼイン加水分解物で改変され;3%スクロース並びにさまざまな濃度(1.5、2.5および4mg/L)のNAA、IBAおよびIAAを補充され;0.4%Gelrite(登録商標)で固化したB5培地上でインキュベートし得る。最適な毛状根形成は、4mg/L NAAで見られた。
【0081】
発生する毛状根培養物を、カルス培養物から単離し、その後25℃の暗所で4mg/l NAAを有する固体B5培地に移し、30日ごとに継代培養する。その後、確立された不定根培養物を、横方向に切り、25℃の暗所で0.25、0.5若しくは1.5mg/lのNAA、IBAまたはIAAを有する半固体B5培地に入れる。液体培養物を、ロータリーシェーカー上で25℃の暗所で、4mg/L NAAを補充したB5培地中で根の先端をインキュベートし、30日ごとに継代培養することによって得る。
【0082】
特定の実施態様においては、毛状根構造のバッチ振とうフラスコ懸濁培養は、灌流下でのバイオリアクター培養の前に実施する。他の実施態様においては、懸濁培養は、最初からバイオリアクター中で実施する。
【0083】
さらに他の実施態様においては、カルス培養物を、その後の毛状突起誘導に供する。Husseinは、非限定的な例示的なプロトコルを説明する。カルス培養物を、カルス誘導と同じ培養条件下で、0.1、0.3、0.5、若しくは1.0mg/L TDZおよび/または3mg/L GAを補充した固体B5基礎培地に移す。最適な毛状突起の生産は、0.5~1.0mg/L TDZ + 3mg/L GAで見い出された。
【0084】
特定の実施態様においては、毛状突起のバッチ振とうフラスコ懸濁培養は、灌流下でのバイオリアクター培養の前に実施する。他の実施態様においては、懸濁培養は、最初からバイオリアクター中で実施する。
【0085】
特定の実施態様においては、毛状突起細胞を、毛状突起構造を単離し(これは、解剖または任意の他の適切な手順によって実施され得る)、非限定的な実施態様においては記載された増殖培地または生産培地であり得る、栄養培地中で毛状突起細胞をインキュベートすることによって単離する。より具体的な実施態様においては、毛状突起を、例えば機械的かき混ぜおよび/またはタンパク質分解酵素とのインキュベーションによる解離に供し得る。解離に続いて、いくつかの実施態様においては、細胞は、小さな塊で、例えば2~20個の細胞、または他の実施態様においては2~30、2~40、2~50、2~15、2~10、3~10、3~15、3~20、3~30、3~40、3~50、5~10、5~15、5~20、5~30、5~40、または5~50個の細胞の塊で存在する。例えば、細胞の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99%が、小さな塊で存在し得る。特定の実施態様においては、植物細胞は、バイオリアクター中で塊として存在する。
【0086】
他の実施態様においては、毛状突起細胞は、解離後、単一細胞として存在する。例えば、細胞の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99%は、単一細胞であり得る。
【0087】
毛状突起細胞を単離する方法は、当技術分野において知られている。例示的な非限定的なプロトコルは、Zhang and Oppenheimerに見い出される。いくつかの実施態様においては、C.Sativaの葉を、任意に固定し(可逆固定剤を使用して)、その後洗浄して固定剤を除去し;二価カチオンのキレート剤(例えばEGTAまたはEDTA)とインキュベートし;やさしく磨耗し;そして洗浄し、任意に等張の緩衝液に再懸濁する。特定の実施態様においては、単離された毛状突起を、セルストレーナーを通す濾過に供する。典型的には、有用なセルストレーナーは、70~100ミクロンの細孔を有する。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
より一般的には、特定の実施態様においては、カルス培養は、植物組織(より具体的な実施態様においては、葉、または他の実施態様においては、毛状突起を含む雌花であり得る)を切り刻み、断片を表面滅菌し、それらをゲル化栄養培地で、または他の実施態様においては、攪拌しながら栄養培地中で懸濁して培養することによって、実施する。さらに他の実施態様においては、最初の培養は、ゲル化培地中であり、その後液体培地中で懸濁培養する。他の実施態様においては、組織断片を、3D接着性基材、またはさらに他の実施態様においては、2D接着性基材の存在下で培養する。任意に、必要に応じて、細胞塊を、1~4週間ごとに新鮮な培地に継代する。あるいはまたはさらに、培地は、その非限定的な例が、いくつかの実施態様においてはオーキシン2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(例えば1mg/L)、NAA、KINおよびBAと組み合わせた、サイトカイニンキネチン(例えば0.5mg/L)である、カルス誘導を刺激する1つ以上の添加剤を含む。特定の実施態様においては、オーキシン対サイトカイニン比の特定の範囲は、当業者に知られているように、カルス細胞の組織化されていない増殖および分裂塊の増殖および維持に有利に働くために使用される。当業者は、本開示に照らして、カルス誘導を誘導する特定の方法が、記載された方法を行うために重要ではないことを理解するであろう。
【0091】
あるいはまたはさらに、培養物を混合するために、シェーカー(より具体的な実施態様においては、オービタルシェーカーであり得る)を使用する。特定の実施態様においては、シェーカーを、50~200rpm、または、他の実施態様においては、50~150、50~120、50~110、50~100、60~200、60~150、60~120、60~110、80~200、80~150、80~120、80~110、100~200、100~150、100~120、110~200、110~150、110~130、若しくは150~200rpmで回転させる。
【0092】
さらに他の実施態様においては、培養物を、少なくとも特定の段階で、より具体的な実施態様においては、500~3000ルクス、または、他の実施態様においては、500~2500、500~2000、500~1700、1000~3000、1000~2500、1000~2000、または1000~1700ルクスの光強度であり得る、光の下でインキュベートする。より具体的な実施態様においては、カルス誘導および/またはカルスインキュベーションは、光の中で実施する。
【0093】
さらに他の実施態様においては、培養物を、少なくとも特定の段階で、暗所でインキュベートする。
【0094】
培養物の温度は、特定の実施態様においては、20~30℃;または、他の実施態様においては、20~37、20~35、20~32、22~37、22~35、22~32、22~30、25~37、25~35、25~32、25~30、21~29、22~28、23~27、または24~26℃である。
【0095】
さらに他の実施態様においては、植物の部分および/またはその断片(例えば花、または他の実施態様においては葉)を、栄養培地中でインキュベートし、該部分または断片から遊走する細胞を、その後の培養に使用する。特定の実施態様においては、遊走細胞は、比較的高い増殖能を有する脱分化細胞である。
【0096】
培養のさまざまなパラメーター(例えばカルス誘導および培養、振とうフラスコ培養、毛状根誘導および培養など)の全ての記載された実施態様は、自由に組み合わせ得る。
【0097】
特定の実施態様においては、精製または濃縮のさらなる工程を実施し得る。そのような方法は、その非限定的な例がC.Sativa毛状突起細胞である特定の植物細胞のマーカーを使用する細胞選別を含むが、これに限定されない。この文脈における細胞選別は、手動、自動などを問わず、1つ以上のマーカーの発現、1つ以上のマーカーの発現の欠如、またはそれらの組合せに基づいて細胞を選択する任意の手順を指す。当業者は、1つ以上のマーカーからのデータを、選別プロセスにおいて個別にまたは組み合わせて使用できることを理解するであろう。
【0098】
細胞株
さらに他の実施態様においては、記載された増殖植物細胞を、冷却された細胞株を作成するために使用する。いくつかの実施態様においては、株は、凍結した毛状突起、または他の実施態様においてはそれに由来する細胞を含む。他の実施態様においては、株は、凍結カルス、または他の実施態様においてはそれに由来する細胞を含む。株は、バイオリアクターに直接接種するために、または、他の実施態様においては、さらなる培養(例えばカルス細胞などの株からの毛状突起生産)、その後のバイオリアクター接種のために使用し得る。
【0099】
特定の実施態様においては、1つ以上の賦形剤または担体は、植物細胞と共に、例えば、植物細胞の毛状突起、カルス、または他の製剤の凍結株内に存在する。担体の例は、制限なしに、プロピレングリコールおよび生理食塩水である。いくつかの実施態様においては、医薬担体は、生理食塩水の水溶液である。他の実施態様においては、組成物は、例えば冷蔵温度で細胞生存率を維持することと適合性のある賦形剤をさらに含む。そのような賦形剤の非限定的な例は、DMSO(例えば、3%~10%の濃度のジメチルスルホキシド)および非還元性二糖(例えば100mM~1.5Mの濃度のトレハロースおよびスクロース)である。凍結防止剤の他の非限定的な例は、グリセロールおよび1,2-プロパンジオールなどの浸透性凍結防止剤、並びにポリビニルピロリドン、フルクトース、およびグルコースなどの非浸透性凍結防止剤である。さらなる実施態様においては、賦形剤は、凍結防止剤であるか、または担体タンパク質である。あるいはまたはさらに、組成物は、凍結されている。
【0100】
他の実施態様においては、注射のために、細胞を、任意に凍結保存剤を含む培地と組み合わせた水溶液中で、例えばハンクス液、リンゲル液、または生理食塩緩衝液などの生理学的に適合性のある緩衝液中で、保存する。
【0101】
より具体的な実施態様においては、多数のカンナビノイドを生産するために、細胞株を、バイオリアクターに播種するか、または他の実施態様においては組織培養装置に播種するために使用する。特定の実施態様においては、株を、好ましい菌株から作成する。さらに他の実施態様においては、株は、バイオリアクターバッチ間の一貫性を可能にする。
【0102】
追加の方法工程および特徴付け
他の実施態様においては、記載された増殖および/または生産工程は、独立して、特定の実施態様においては、バイオリアクター内にあり得る、マイクロキャリアを利用する。マイクロキャリアは、当業者に知られており、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,828,720号、第7,531,334号、第5,006,467号に記載されている。マイクロキャリアはまた、Cytodex(商標)(Pharmacia Fine Chemicals,Inc.,から入手可能)、Superbeads(登録商標)(Flow Labs,Inc.,から市販)として、並びにDE-52およびDE-53(Whatman,Inc.から市販)として市販もされている。特定の実施態様においては、マイクロキャリアは、バイオリアクター内に充填されている。他の実施態様においては、任意のタイプの3D接着性基材が利用される。
【0103】
さらに他の実施態様においては、固定床バイオリアクターが、利用される。特定の実施態様においては、固定床バイオリアクターは、例えばNagai et al.に記載されているように、細胞を剪断力から保護する。
【0104】
さらに他の実施態様においては、記載されたバイオリアクターは、(a)機械的にかき混ぜられるバイオリアクター(例えば通気かき混ぜバイオリアクター、回転ドラムバイオリアクター、およびスピンフィルターバイオリアクター)、(b)空気圧駆動バイオリアクター(例えば非撹拌バブルバイオリアクター、バブルカラムバイオリアクター[BCB]、エアリフトバイオリアクター)および(c)非かき混ぜ系(例えば気相バイオリアクター、酸素透過性膜エアレーターバイオリアクター、およびオーバーレイ通気バイオリアクター)から選択される。さらに他の実施態様においては、撹拌槽型リアクター、ヘリカルリボンまたはダブルヘリカルリボンインペラーバイオリアクター、回転壁容器バイオリアクター、膜バイオリアクター、中空繊維系、管状膜バイオリアクター、シリコーンチューブ通気バイオリアクター、スラグバブルバイオリアクター、ウェーブバイオリアクター、軌道上振とうバイオリアクター、またはスーパースピナーバイオリアクター(例えばFurusaki and Takeda,Takayama and Akita,Valdiani et al.,、およびそれらに引用されている参考文献を参照)。バイオリアクターのそれぞれのタイプは、別個の実施態様を表す。
【0105】
さらに他の実施態様においては、増殖および/または生産工程は、独立して2D接着性基材を利用する。
【0106】
特定の実施態様においては、増殖工程は、2D基材上で実施し、生産工程は、3D基材上で実施する。さらに他の実施態様においては、生産工程の少なくとも一部は、3D基材上で実施する。さらなる実施態様においては、増殖工程および生産工程の一部は、2D基材上で実施し、生産工程の残りは、3D基材上で実施する。より具体的な実施態様においては、生産工程の最後の部分は、3D基材上で、少なくとも3時間、または他の実施態様においては、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、22、24、30、36、42、48、55、または60時間実施する。
【0107】
さらに他の実施態様においては、増殖および/または生産工程は、独立して固相成長基材を利用しない。
【0108】
バイオリアクター
特定の実施態様においては、記載された方法、またはその特定の工程は、バイオリアクター中で実施する。いくつかの実施態様においては、バイオリアクターは、培地を保持するための容器およびその中に配置された3D接着性(キャリア)基材、並びにpH、温度、並びに酸素レベルおよび任意に他のパラメーターを制御するための制御装置を含む。より具体的な実施態様においては、3D基材は、充填床構成になっている。あるいはまたはさらに、バイオリアクターは、新鮮な培地およびガスの流入および流出のためのポートを含む。特定の実施態様においては、増殖工程は、組織培養装置中で実施し、生産工程は、バイオリアクター中で実施する。さらに他の実施態様においては、生産工程の少なくとも一部は、バイオリアクター中で実施する。さらなる実施態様においては、増殖工程および生産工程の一部は、組織培養装置中で実施し、生産工程の残りは、バイオリアクター中で実施する。より具体的な実施態様においては、生産工程の最後の部分は、バイオリアクター中で、少なくとも3時間、または、他の実施態様においては、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、22、24、30、36、42、48、55、若しくは60時間実施する。
【0109】
特定の実施態様においては、前述のバイオリアクターは、充填床バイオリアクターである。いくつかの実施態様においては、バイオリアクターは、培地を保持するための容器、並びにpH、温度、並びに酸素レベルおよび任意に他のパラメーターを制御するための制御装置を含む。より具体的な実施態様においては、バイオリアクターはまた、3D基材を含む。あるいはまたはさらに、バイオリアクターは、新鮮な培地およびガスの流入および流出のためのポートを含む。
【0110】
特定の実施態様においては、バイオリアクターは、外部培地リザーバー(例えばバイオリアクターを灌流するために使用される)に接続されている。
【0111】
用語充填床バイオリアクターは、別途示されている場合を除いて、細胞成長基材が通常、成長培地の存在下でインキュベーション容器の底から持ち上げられないバイオリアクターを指す。例えば、基材は、持ち上げられるのを防ぐのに十分な密度を有し得、および/またはそれが持ち上げられるのを防ぐ(present)ために機械的圧力によって充填され得る。基材は、単一の本体または複数の本体のいずれかであり得る。典型的には、基材は、バイオリアクターの標準的なかき混ぜ速度でのかき混ぜの間、実質的に所定の位置に留まる。特定の実施態様においては、該定義は、基材が異常に速いかき混ぜ速度、例えば200rpmを超える速度で持ち上げられ得ることを排除しない。
【0112】
バイオリアクターの例は、連続撹拌槽型バイオリアクター、CelliGen(登録商標)バイオリアクター系(New Brunswick Scientific(NBS)およびBIOFLO 310バイオリアクター系(New Brunswick Scientific(NBS)を含むが、これらに限定されない。
【0113】
特定の実施態様においては、バイオリアクターは、特定の実施態様においては、制御された条件(例えばpH、温度および酸素レベル)下で、いくつかの実施態様においては一定の灌流であり、他の実施態様においてはグルコースまたは他の成分の目標レベルを維持するために調整されている成長培地灌流で、3D基材上の細胞の増殖が可能である。さらに、細胞培養物は、グルコース、乳酸塩、グルタミン、グルタミン酸塩およびアンモニウムの濃度について直接モニターすることができる。接着細胞のグルコース消費速度および乳酸形成速度は、いくつかの実施態様においては、細胞成長速度の測定および収穫時期の決定を可能にする。
【0114】
いくつかの実施態様においては、リアクター内で時間的一定の定常状態を維持するために、培養培地をバイオリアクター中に連続的に供給し、生産物を連続的に引き出す連続撹拌槽型バイオリアクターを使用する。繊維床バスケットを有する撹拌槽型バイオリアクターは、例えばNew Brunswick Scientific Co.,Edison,NJ)から入手可能である。いくつかの実施態様においては、使用され得る追加のバイオリアクターは、固定床バイオリアクター;および空気が典型的には、気泡を形成しながら上向きに流れ、カラムの上部で排気ガスを放出する中央ドラフトチューブの底部中に供給されるエアリフトバイオリアクターである。追加の可能性は、ポリ活性フォームを有する細胞播種灌流バイオリアクター[Wendt,D. et al.,Biotechnol Bioeng 84:205-214、(2003)に記載されている]および管状ポリ-L-乳酸(PLLA)多孔質足場を含むラジアルフロー灌流バイオリアクター[Kitagawa et al.,Biotechnology and Bioengineering 93(5):947-954(2006)に記載されている]である。使用することができる他のバイオリアクターは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,277,151号;6,197,575号;6,139,578号;6,132,463号;5,902,741号;および5,629,186号に記載されている。
【0115】
別の例示的なバイオリアクターであるCelliGen 310 Bioreactorが、図1に示されている。示されている実施態様においては、繊維床バスケット(16)に、ポリエステルディスク(10)が装填されている。いくつかの実施態様においては、容器は、外部ポート(1[このポートはまた、他の実施態様においては、細胞収穫のためにも使用され得る])を介して脱イオン水または等張緩衝液で満たし、次いで任意にオートクレーブ処理する。他の実施態様においては、滅菌後、液体を、(9)に示されるようにディスク床を飽和させる成長培地で置き換える。さらに別の実施態様においては、温度、pH、溶存酸素濃度等を、接種前に設定する。さらに別の実施態様においては、細胞接着を促進するために遅い初期撹拌速度を使用し、次いで撹拌速度を増加させる。あるいはまたは追加として、灌流は、外部ポート(2)を介して新鮮な培地を添加することによって開始する。必要に応じて、代謝産物を、バスケットの上の無細胞培地(8)から収穫し得る。いくつかの実施態様においては、インペラの回転は、ドラフトチューブ(18)において負圧を生成し、これは、無細胞流出物をリザーバ(15)からドラフトチューブを通して、次いでインペラポート(19)を通して引っ張り、すなわち、媒体を連続ループ中で均一に循環させる(12)。さらに別の実施態様においては、チューブ(6)の調整は、液面を制御し;このチューブの外部開口部(4)は、いくつかの実施態様においては収穫のために使用される。他の実施態様においては、リングスパージャー(見えない)は、インペラ通気チャンバー(11)内に配置され、ハウジング(5)、およびスパージャーライン(7)内に保持され得る外部ポート(3)から添加されるガスを介して、インペラを通して流れる媒体を酸素化する。あるいはまたはさらに、遠隔チャンバーに閉じ込められた散布ガスは、固定化された細胞を洗浄する栄養培地によって吸収される。さらに他の実施態様においては、ウォータージャケット(17)が、ジャケットの水を中に(13)および外に(14)移動させるためのポートを有して存在する。
【0116】
特定の実施態様においては、灌流チャンバーが3D基材を含む灌流バイオリアクターを、使用する。特定の実施態様においては、3D基材は、キャリアの形態である。キャリアは、より具体的な実施態様においては、マクロキャリア、マイクロキャリア、またはいずれかから選択され得る。市販されているマイクロキャリアの非限定的な例は、アルギン酸塩ベース(GEM、Global Cell Solutions)、デキストランベース(Cytodex(登録商標)、GE Healthcare)、コラーゲンベース(Cultispher(登録商標)、Percell Biolytica)、およびポリスチレンベース(SoloHill Engineering)マイクロキャリアを含む。特定の実施態様においては、マイクロキャリアは、灌流されるバイオリアクター内に充填されている。
【0117】
いくつかの実施態様においては、灌流されるバイオリアクター中のキャリアは、例えば栄養培地に沈められる充填床を形成して充填される。あるいはまたはさらに、キャリアは、接着性材料を含み得る。他の実施態様においては、キャリアの表面は、接着性材料を含むか、またはキャリアの表面は、接着性である。さらに他の実施態様においては、材料は、細胞接着を可能にする帯電表面露出基などの化学構造を示す。
【0118】
あるいはまたはさらに、キャリアは、より具体的な実施態様においては、織られた繊維状マトリックス、不織布の繊維状マトリックス、またはいずれかであり得る、繊維状材料、任意に接着性の繊維状材料を含む。繊維状キャリアの非限定的な例は、Eppendorf AG,Germanyから市販され、ポリエステルおよびポリプロピレン製のNew Brunswick Scientific Fibracel(登録商標)キャリア;およびCESCO BioProducts(Atlanta,GA)から市販され、PET(ポリエチレンテレフタレート)製のBioNOC IIキャリアである。特定の実施態様においては、言及される繊維状マトリックスは、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアルキレン、ポリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、またはポリスルホンを含む。より特定の実施態様においては、繊維状マトリックスは、ポリエステルおよびポリプロピレンから選択される。
【0119】
他の実施態様においては、細胞は、充填床スピナーフラスコを使用して生産する。より具体的な実施態様においては、充填床は、スピナーフラスコおよびマグネチックスターラーを含み得る。スピナーフラスコは、いくつかの実施態様においては、より具体的な実施態様においては、繊維状マトリックス;不織布繊維マトリックス;ポリエステルを含む不織布繊維マトリックス;または少なくとも約50%のポリエステルを含む不織布繊維マトリックスであり得る、充填床装置を取り付け得る。より具体的な実施態様においては、マトリックスは、特定の実施態様においては、Fibra-cel(登録商標)(または、他の実施態様においては、他のキャリア)が充填されているCelliGen(商標)Plug Flowバイオリアクターと同様であり得る。スピナーは、特定の実施態様においては、バッチ供給され(または他の代替の実施態様においては灌流によって供給され)、1つ以上の滅菌フィルターが取り付けられ、組織培養インキュベーター中に置かれる。さらなる実施態様においては、細胞を培地に懸濁し、該培地を装置に導入することによって、細胞を、足場に播種する。さらに別の実施態様においては、撹拌速度を、例えば4時間40RPMで開始し、次いで速度を120RPMまで徐々に増加させることによって、徐々に増加させる。特定の実施態様においては、培地のグルコースレベルは、定期的に(すなわち毎日)試験し得、調整した灌流速度は、特定の実施態様においては、400~700の間、450~650の間、475~625の間、500~600の間、または525~575mg/リットルの間である、許容されるグルコース濃度を維持する。さらに他の実施態様においては、培養プロセスの終わりに、キャリアは、充填床から取り出し、いくつかの実施態様においては、等張緩衝液で洗浄し、細胞は、かき混ぜおよび/または酵素消化によって処理またはキャリアか取り出す。
【0120】
特定の実施態様においては、バイオリアクターは、10,000~2,000,000細胞/mLの間の培地の濃度で、またはさまざまな実施態様においては、20,000~2,000,000、30,000~1,500,000、40,000~1,400,000、50,000~1,300,000、60,000~1,200,000、70,000~1,100,000、80,000~1,000,000、80,000~900,000、80,000~800,000、80,000~700,000、80,000~600,000、80,000~500,000、80,000~400,000、90,000~300,000、90,000~250,000、90,000~200,000、100,000~200,000、110,000~1,900,000、120,000~1,800,000、130,000~1,700,000、若しくは140,000~1,600,000細胞/mLの濃度で播種する。
【0121】
さらに他の実施態様においては、キャリア(基材)のグラム(gr)あたり1~20×10細胞を播種するか、または他の実施態様においては、1.5~20×10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては、1.5~18×10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては1.8~18x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては2~18x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては3~18x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては2.5~15x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては3~15x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては3~14x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては3~12x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては3.5~12x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては3~10x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては3~9x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては4~9x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては4~8x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては4~7x10細胞/grキャリア、または他の実施態様においては4.5~6.5x10細胞/grキャリア。
【0122】
接着性材料
さまざまな実施態様においては、「接着性材料」は、合成であるか、または他の実施態様においては天然に発生する、または他の実施態様においてはそれらの組合せである材料を指す。特定の実施態様においては、材料は、非細胞毒性である(または、他の実施態様においては、生物学的に適合性がある)。あるいはまたはさらに、材料は、より具体的な実施態様においては、織られた繊維状マトリックス、不織布の繊維状マトリックス、またはいずれかであり得る、繊維状である。さらに他の実施態様においては、材料は、細胞接着を可能にする帯電表面露出基などの化学構造を示す。この一面に従って使用し得る接着性材料の非限定的な例は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアルキレン、ポリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ガラス繊維、セラミック粒子、ポリ-L-乳酸、および不活性金属繊維を含む。他の実施態様は、Matrigel(商標)、細胞外マトリックス成分(例えば、フィブロネクチン、コンドロネクチン、ラミニン;またはそれらの断片)、およびコラーゲンを含む。より特定の実施態様においては、材料は、ポリエステルおよびポリプロピレンから選択し得る。さまざまな実施態様においては、「接着性材料」は、合成であるか、または他の実施態様においては天然に発生する、または他の実施態様においてはそれらの組合せである材料を指す。特定の実施態様においては、材料は、非細胞毒性である(または、他の実施態様においては、生物学的に適合性がある)。合成接着性材料の非限定的な例は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアルキレン、ポリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリスルホン、酢酸セルロース、およびポリ-L-乳酸、ガラス繊維、セラミック粒子、および不活性金属繊維か、または、より具体的な実施態様においては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアルキレン、ポリカーボネート、ポリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリスルホン、酢酸セルロース、およびポリ-L-乳酸を含む。他の実施態様は、Matrigel(商標)、細胞外マトリックス成分(例えば、フィブロネクチン、コンドロネクチン、ラミニン)、およびコラーゲンを含む。さらに他の実施態様においては、接着性材料は、細胞外マトリックス成分(その非限定的な例は、フィブロネクチン、コンドロネクチン、ラミニン;またはそれらの断片である)でコーティングされている。さらに他の実施態様においては、接着性材料は、細胞外マトリックス成分(その非限定的な例は、フィブロネクチン、コンドロネクチン、ラミニン;またはそれらの断片である)でコーティングされている。
【0123】
あるいはまたはさらに、接着性材料は、より具体的な実施態様においては、織られた繊維状マトリックス、不織布の繊維状マトリックス、またはいずれかであり得る、繊維状である。さらに他の実施態様においては、材料は、細胞接着を可能にする帯電表面基などの化学構造、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリアルキレン、ポリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリスルホン、酢酸セルロース、およびポリ-L-乳酸を示す。より特定の実施態様においては、材料は、ポリエステルおよびポリプロピレンから選択し得る。
【0124】
いくつかの実施態様においては、図2A~Bを参照し、および参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2014年3月13日に公開されたWO/2014/037862に記載されているように、溝付キャリア30は、植物細胞の増殖および/またはインキュベーションに使用する。さまざまな実施態様においては、キャリアは、2Dインキュベーションの後に(例えば培養プレートまたは皿上で)、または事前の2Dインキュベーションなしで使用し得る。他の実施態様においては、キャリア上でのインキュベーションの後に、例えば、充填床基材またはマイクロキャリアであり得る、バイオリアクター中の3D基材上でのインキュベーションを行い得;または、キャリア上でのインキュベーションの後に、3D基材上でのインキュベーションを行わなくてもよい。キャリア30は、キャリア30の外部からキャリア30の内部に向かって延びる複数の二次元(2D)表面12を含むことができる。示されるように、表面は、使用中に細胞および培養培地(示されていない)の流れを可能にするようなサイズにし得る、開口部16を形成するように間隔を空けたリブ14のグループによって形成する。図2Cを参照し、キャリア30はまた、キャリア30の中心キャリア軸18から延び、開口部16を形成するために間隔を空けたリブ14に全般的に垂直に延びる複数の2D表面12を含み得、複数の2D表面12を作成する。いくつかの実施態様においては、キャリア30は、3Dボディに関連するその内容が参照により本明細書に組み込まれるWO/2014/037862に記載されている「3Dボディ」である。
【0125】
特定の実施態様においては、記載されたキャリア(例えば溝付きキャリア)は、バイオリアクターにおいて使用する。いくつかにおいては、キャリアは、充填されたコンフォメーションになっている。
【0126】
さらに他の実施態様においては、複数の2D表面を形成する材料は、少なくとも1つのポリマーを含む。いくつかの実施態様においては、細胞接着または細胞生物学のパラメーターを制御するために、適切なコーティングを選択し得る。
【0127】
カンナビノイド生産細胞の収穫および/または溶解
特定の実施態様においては、記載された方法は、植物細胞を3Dマトリックスから取り出すことによってそれらを収穫するその後の工程(1つ以上の培地における記載されたインキュベーションに続く)をさらに含む。より特定の実施態様においては、マトリックスがバイオリアクター内に留まっている間に、細胞を、3Dマトリックスから取り出し得る。
【0128】
あるいは、細胞は、マトリックスに接着している間に溶解させる。特定の実施態様においては、細胞は、バイオリアクター内にある間に、3Dマトリックスに接着している間に溶解させる。
【0129】
一般に、植物細胞を収穫する実施態様は、細胞がインキュベートされた培地からカンナビノイドを収穫することに加えて、または他の実施態様においては該収穫なしに実施することができる。
【0130】
特定の実施態様においては、バイオリアクターからの収穫は、当技術分野において知られるさまざまな方法、例えばFACS検出によってアッセイすることができるように、細胞の少なくとも約10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、35%、または他の実施態様においては少なくとも40%が細胞のSおよびG2/M期にある(集合的に)ときに実施する。典型的には、FACSの場合、SおよびG2/M期の細胞のパーセンテージは、例えば前方散乱/側方散乱ゲートを使用して、生細胞をゲーティングした後の生細胞のパーセンテージとして表す。当業者は、これらの期にある細胞のパーセンテージが増殖細胞のパーセンテージと相関することを理解するであろう。
【0131】
さらに他の実施態様においては、植物細胞は、例えば参照により本明細書に組み込まれるPCT国際出願公開第2012/140519号に記載されているように、振動またはかき混ぜを含むプロセスによってバイオリアクターから収集する。特定の実施態様においては、収穫を行うために、細胞を、任意にカルシウムキレート剤も含むプロテアーゼでの処理中に、または他の実施態様においては該処理中および後に、0.7~6ヘルツで、または他の実施態様においては1~3ヘルツでかき混ぜる。特定の実施態様においては、細胞を含むキャリアを、任意にカルシウムキレート剤も含むプロテアーゼを含む溶液若しくは培地に沈められている間に、0.7~6ヘルツで、または他の実施態様においては1~3ヘルツでかき混ぜる。プロテアーゼとカルシウムキレート剤の非限定的な例は、トリプシン、または任意にその非限定的な例がEDTAを有するCollagenase Type I、II、III、およびIVである別の酵素と組み合わせた同様の活性を有する別の酵素である。トリプシンと同様の活性を有する酵素は、当技術分野においてよく知られており;非限定的な例は、真菌トリプシン様プロテアーゼであるTrypLE(商標)、およびLife Technologiesから市販されているCollagenase,Type I、II、III、およびIVである。コラゲナーゼと同様の活性を有する酵素は、当技術分野においてよく知られており;非限定的な例は、Sigma Aldrichから市販されているDispase IおよびDispase IIである。さらに他の実施態様においては、細胞を、任意の洗浄工程、その後のコラゲナーゼとのインキュベーション、その後のトリプシンとのインキュベーションを含むプロセスによって収穫する。さまざまな実施態様においては、前述の工程の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てが、かき混ぜを含む。より具体的な実施態様においては、プロテアーゼとカルシウムキレート剤での処理中および/または後のかき混ぜの総持続時間は、2~10分の間、他の実施態様においては3~9分の間、他の実施態様においては3~8分の間、さらに他の実施態様においては3~7分の間である。さらに他の実施態様においては、プロテアーゼおよびカルシウムキレート剤が添加される前の洗浄工程中に、細胞を、0.7~6ヘルツ、または他の実施態様においては1~3ヘルツでのかき混ぜに供する。
【0132】
他の実施態様においては、バイオリアクター内のカンナビノイド生産細胞を溶解するために、前述の振動またはかき混ぜ工程のいずれかを使用する。特定の実施態様においては、振動またはかき混ぜは、その非限定的な例がビーズである、1つ以上の研磨剤の存在下で実施する。特定の実施態様においては、[Santos AR. et. al]。特定の実施態様においては、ビーズは、ガラスである。他の実施態様においては、ビーズは、プラスチック、セラミック、または金属を含む。有用なビーズの非限定的な例は、参照により本明細書に組み込まれるPhillip Belgraderの米国特許出願公開第2019/0024039号に記載されている。あるいはまたはさらに、他の物理的破壊技術、例えば超音波処理(Rajagopalan M. et.al)を使用する。
【0133】
さらに他の実施態様においては、細胞を、細胞壁の外面上の脂質を溶解する洗剤処理(例えば、イオン性洗剤)、その後の(または、他の実施態様においては、組み合わせて)、その非限定的な例がムラミダーゼ(リゾチーム)またはアクロモペプチダーゼでの処理である、植物細胞壁を消化する酵素処理に供する。厳密に説明の目的で、Babu V and Choudhury Bは、それぞれ0.2%および0.5%のコール酸ナトリウムおよびデオキシコール酸ナトリウムの混合物を5分間使用し、その後2g/lのリゾチームを1時間使用した。細胞壁溶解法の非限定的な例は、参照により本明細書に組み込まれるGabor Kiss et. al,の米国特許出願公開第20130109027号に記載されている。
【0134】
当業者は、さまざまな等張緩衝液が細胞の洗浄および同様の用途に使用され得ることを理解するであろう。ハンクの平衡塩類溶液(Hank’s Balanced Salt Solution)(HBSS;Life Technologies)は、使用し得る多くの緩衝液の1つにすぎない。
【0135】
他の実施態様においては、細胞は、2Dマトリックスから収穫する。
【0136】
さらに他の実施態様においては、細胞は、懸濁液から収穫する。いくつかの実施態様においては、収穫は、振動またはかき混ぜを含む。他の実施態様においては、収穫は、増殖装置またはバイオリアクターから細胞懸濁液を取り出し、例えば遠心分離によって細胞を単離することを含む。
【0137】
いくつかの実施態様においては、細胞は、例えば細胞の少なくとも60%が無傷、または、他の実施態様においては、細胞の少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは97%が無傷の、無傷で収穫する。収穫後、細胞を、いくつかの実施態様においては、その非限定的な例がTsugama et alに記載されているもの;およびSigma-Aldrichのカタログ番号C2360から入手可能なCelLytic(商標) P;および参照により本明細書に組み込まれるThomas R Mertz,JRの米国特許出願公開第2015/0167053号に記載されている方法である、当技術分野において知られる方法によって溶解する。他の方法は、物理的破壊、例えば機械的破壊、液体の均質化、高周波音波、および細胞を凍結/解凍サイクルに供することを含む。
【0138】
他の実施態様においては、細胞は、記載された3Dマトリックスにまだ接着している間に、または、他の実施態様においては、2Dマトリックスに接着している間に、または、他の実施態様においては、懸濁状態にある間に溶解する。より具体的な実施態様においては、溶解は、その非限定的な例がTsugama et alに記載されているもの;およびSigma-Aldrichのカタログ番号C2360から入手可能なCelLytic(商標) P;および米国特許出願公開番号第2015/0167053号に記載されている方法である、当技術分野において知られる方法によって実施する。他の方法は、物理的破壊、例えば機械的破壊、液体の均質化、高周波音波、および細胞を凍結/解凍サイクルに供することを含む。
【0139】
さらに他の実施態様においては、細胞は、例えばPCT国際出願公開第WO2012/140519号に記載されているように、振動またはかき混ぜを含むプロセスによって、記載された3Dマトリックスにまだ接着している間に溶解する。特定の実施態様においては、収穫を行うために、細胞を、任意にカルシウムキレート剤も含むプロテアーゼでの処理中に、または他の実施態様においては該処理中および後に、3~5ヘルツで、または他の実施態様においては4~6ヘルツで、または他の実施態様においては5~7ヘルツで、または他の実施態様においては6~8ヘルツで、または他の実施態様においては7~10ヘルツでかき混ぜる。他の実施態様においては、洗剤が、振動またはかき混ぜ中に存在する。さらに他の実施態様においては、ビーズ(例えばガラス、鋼またはセラミック製)が、振動またはかき混ぜ中に存在する。より具体的な実施態様においては、ビーズは、直径0.25~0.5mmである。
【0140】
溶解に続いて、いくつかの実施態様においては、カンナビノイドは、当技術分野において知られる方法によって細胞溶解物から抽出する。
【0141】
関連する遺伝子および酵素
用語「遺伝子」または「配列」は、何らかの方法で遺伝子産物(例えば、ポリペプチドまたは機能的RNA)の発現を調節することができる適切な調節配列に作動可能に結合したコード領域を指す。遺伝子は、コード領域(オープンリーディングフレーム、ORF)に先立つ(上流)および続く(下流)にあるDNAの非翻訳調節領域(例えば、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー等)並びに、該当する場合は個々のコード領域(すなわち、エキソン)の間の介在配列(すなわち、イントロン)を含む。本明細書において使用される用語「構造遺伝子」は、mRNAに転写され、次いで特定のポリペプチドに特徴的なアミノ酸の配列に翻訳されるDNA配列を意味することが意図される。
【0142】
いくつかの実施態様においては、言及されるように、記載された植物細胞は、1つ以上のカンナビノイドの合成(「カンナビノイド合成酵素」)または1つ以上のカンナビノイドの分泌(「カンナビノイド分泌酵素」)に関与する酵素またはタンパク質を含む。特定の実施態様においては、酵素は、内因性酵素である。他の実施態様においては、酵素は、外因性酵素である。他の実施態様においては、細胞は、記載された酵素をコードする遺伝子を含む。
【0143】
他の実施態様においては、酵素は、ゲラニルピロリン酸のオリベトリン酸との縮合を実施してカンナビゲロリン酸(CBGA)を生産する、ゲラニル-ピロリン酸-オリベトール酸ゲラニルトランスフェラーゼ(EC 2.5.1.102)である。
【0144】
さらに他の実施態様においては、酵素は、CBGAの酸化的環化を実施してテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)を生成する、THCAシンターゼ(UniprotKMアクセッション番号A0A0E3XJ68)である。当業者は、さらなる実施態様においては、THCAが非酵素的脱炭酸によってTHCに変換され得ることを理解するであろう。
【0145】
他の実施態様においては、記載された植物細胞は、その非限定的な例がCAN833および/またはCAN738(Marks MD et al)、Myb12、Myb8、AtMybl2、並びにMYB 112(Trait)である、カンナビノイド生合成経路を通した代謝物フラックスを増強する1つ以上の転写因子を発現する(または、他の実施態様においては、過剰発現する)。
【0146】
いくつかの実施態様においては、記載された植物細胞は、より具体的な実施態様においては、例えば参照により本明細書に組み込まれるTrait BiosciencesのWO2019/014395に記載されているように、カンナビノイドの化学構造を一時的に改変または機能化して水溶性形態を生産するために利用される、シトクロムP450(CYP)モノオキシゲナーゼを含む。
【0147】
さらに他の実施態様においては、植物細胞は、CBDAシンターゼを発現する。
【0148】
他の実施態様においては、植物細胞は、オリベトリン酸シクラーゼ、芳香族プレニルトランスフェラーゼ、または図3中の酵素のいずれかをコードする遺伝子を発現し、それらのそれぞれは、別個の実施態様を表す。
【0149】
さらに他の実施態様においては、植物細胞は、一次(CBD、CBN)および二次(THC、JWH-018、JWH-073)カンナビノイドなどのカンナビノイドのグルクロノシル化またはグルクロン酸抱合をインビボで触媒する、UDP-グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)などの1つ以上のグリコシルトランスフェラーゼ酵素を発現する。この実施態様においては、グルクロン酸抱合は、例えば参照により本明細書に組み込まれるTrait BiosciencesのWO2019/014395に記載されているようなグルクロンの移動からなり得る。
【0150】
他の実施態様においては、植物細胞は、その非限定的な例がカタラーゼである、過酸化水素の解毒のための酵素を発現する。当業者は、本開示に照らして、使用される正確なカタラーゼが重要ではないことを理解するであろう。厳密に例示のために、Arabidopsis thalianaカタラーゼの配列は、参照により本明細書に組み込まれるTrait BiosciencesのWO2019/014395の配列番号13~14に示されている。
【0151】
他の実施態様においては、1つ以上のカンナビノイドシンターゼをコードする遺伝子は、N末端細胞外標的配列の全部または一部を除去するように改変されている。THCAシンターゼの例示的な毛状突起標的配列は、配列番号40と同定され、一方、CBDAシンターゼの毛状突起標的配列は、配列番号41と同定されている。この細胞質ゾル標的シンターゼと細胞質ゾル標的CYPまたはグリコシルトランスフェラーゼとの共発現は、カンナビノイド合成、蓄積および改変の細胞質ゾルへの局在化を可能にし得る。そのような細胞質ゾルの標的酵素は、カタラーゼ、ABCトランスポーターまたはカンナビノイド生合成毒性を低下させ、および若しくは細胞内外への輸送を促進し得る他の遺伝子と共発現し得る。これらの可能性の非限定的な例は、参照により本明細書に組み込まれるTrait BiosciencesのWO2019/014395に記載されている。
【0152】
あるいはまたはさらに、カンナビノイド分泌酵素は、植物細胞によって発現される。いくつかの実施態様においては、カンナビノイド分泌酵素は、その非限定的な例が参照により本明細書に組み込まれるTrait BiosciencesのWO2020/014395に記載されているような、ABCトランスポーターであるトランスポータータンパク質である。
【0153】
記載された酵素カンナビノイド合成酵素およびカンナビノイド分泌酵素のそれぞれは、他の記載された酵素のいずれかの1つ以上と自由に組み合わせ得る。
【0154】
当業者は、本開示に照らして、それに作動可能に連結される1つ以上の遺伝子の誘導性発現を付与するためにエンハンサー成分を使用し得ることを理解するであろう。
【0155】
後処理
特定の実施態様においては、馴化培地、すなわち記載されたインキュベーション工程からのインキュベーション後培地を、所望のカンナビノイドを単離および/または改変するための追加工程に供する。非限定的な例として、THCおよびCBDは、例えば参照により本明細書に組み込まれるTrait BiosciencesのWO2019/014395に記載されているように、それらの酸性前駆体であるテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)およびカンナビジオール酸(CBDA)から、非酵素的脱炭酸によって人工的に誘導し得る。他の実施態様においては、後処理は、例えばカンナビノイド分子からの1つ以上の糖部分の除去のための、グリコシダーゼ酵素の使用を含む。そのような処理の非限定的な例は、参照により本明細書に組み込まれるTrait BiosciencesのWO2019/014395に記載されている。
【0156】
他の実施態様においては、記載されたインキュベーション方法の生産物(例えば収穫された細胞、または、他の実施態様においては、細胞溶解物、または、他の実施態様においては、細胞溶解物の画分)を、より具体的な実施態様においては凍結乾燥または噴霧乾燥であり得る、凍結乾燥に供する。細胞を凍結乾燥する方法は、当業者に知られており、そのような方法の非限定的な実施態様は、Husseinに記載されている。
【0157】
カンナビノイド、CM、組成物、およびそれらを利用する方法
他の実施態様においては、記載された方法によって処理された植物細胞の集団が提供される。他の実施態様においては、細胞から生産されたカンナビノイドを含む組成物が提供される。特定の実施態様においては、組成物は、医薬組成物であり、および/または薬理学的に許容される賦形剤をさらに含む。細胞は、本明細書において言及される増殖細胞の任意の実施態様であり得、それらのそれぞれは、別個の実施態様と考えられる。さらなる実施態様においては、医薬組成物は、細胞増殖抑制薬での化学療法の副作用を改善すること、癌に関連する慢性疼痛の緩和、多発性硬化症またはトゥーレット症候群の症例における抗痙攣活性、エイズおよび拒食症に関連する摂食障害;自閉症;てんかん;または炎症性腸疾患(IBD)のために適応され得る(Borrelli et al. 2013;Grotenhermen and Mueller-Vahl 2012;Szaflarski and Bebin 2014;Wrobel et al)。
【0158】
他の実施態様においては、記載された方法に由来する馴化培地(CM)、例えば記載されたインキュベーション工程からのインキュベーション後培地が提供される。さらに他の実施態様においては、記載された方法による増殖に続く細胞のインキュベーションに由来するCMが提供される。さらに他の実施態様においては、CMを含む医薬組成物が提供される。当業者は、特定の実施態様においては、プラグフローバイオリアクター、および固定床バイオリアクターを含むがこれらに限定されない、さまざまなバイオリアクターを使用してCMを調製し得ることを理解するであろう(Kompier R et al. Use of a stationary bed reactor and serum-free medium for the production of recombinant proteins in insect cells. Enzyme Microb Technol. 1991. 13(10):822-7.)。例えば、CMは、細胞増殖およびカンナビノイド生産のための記載された方法の副生産物として生産される。バイオリアクター中のCMは、バイオリアクターから取り出すかまたは他の方法で単離することができる。他の実施態様においては、記載された増殖細胞を、バイオリアクターから取り出し、別の装置(その非限定的な例は、組織培養装置である)中でインキュベートし、細胞からのCMを収集する。
【0159】
さらに他の実施態様においては、記載された細胞を含む培養物、または他の実施態様においては、記載された培養物を含むバイオリアクターが提供される。別途示されている場合を除いて、用語「バイオリアクター」は、細胞培養チャンバーおよび2つのコンパートメント間の培地交換(灌流)を可能にするように細胞培養チャンバーと作動可能に接続されている外部培地リザーバー(その非限定的な例は、フィードバッグである)を含む装置を指す。いくつかの実施態様においては、バイオリアクターは、3D基材である合成材料をさらに含む。他の実施態様においては、バイオリアクターは、2D基材である合成材料をさらに含む。さらに他の実施態様においては、何の固相成長基材も、バイオリアクター中に存在しない。細胞は、本明細書において言及される増殖細胞の任意の実施態様であり得、それらのそれぞれは、バイオリアクター条件の言及された実施態様と自由に組み合わせ得る。
【0160】
さらに他の実施態様においては、記載された細胞集団のいずれかを含む懸濁液が提供される。特定の実施態様においては、懸濁液は、薬学的に許容される賦形剤を含む。他の実施態様においては、懸濁液は、医薬組成物である。
【0161】
記載されたカンナビノイドは、いくつかの実施態様においては、1つ以上の薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物の一部として投与され得る。以下、用語「薬学的に許容される担体」は、担体または希釈剤を指す。いくつかの実施態様においては、担体または希釈剤は、対象に重大な刺激を引き起こさず、投与された細胞の生物学的活性および特性を廃止しない。担体の例は、限定されることなく、プロピレングリコール、生理食塩水、乳濁液および有機溶媒の水との混合物である。いくつかの実施態様においては、医薬担体は、生理食塩水の水溶液である。他の実施態様においては、組成物は、薬理学的に許容される賦形剤をさらに含む。あるいはまたはさらに、組成物は、凍結されている。
【0162】
他の実施態様においては、賦形剤、例えば、薬理学的に許容される賦形剤と組み合わせたカンナビノイドを含む組成物が、本明細書において提供される。カンナビノイドは、本明細書において言及されるカンナビノイドの任意の実施態様であり得、それらのそれぞれは、別個の実施態様と考えられる。
【0163】
さまざまな実施態様においては、医薬組成物を、(上記に詳述されるように)全身的に投与し得る。他の実施態様においては、医薬組成物は、例えば食料品における、摂取による投与のために配合する。さらに他の実施態様においては、組成物は、その非限定的な例が例えば伝統的に大麻製品で行われているような喫煙である、吸入による投与のために配合する。さらに他の実施態様においては、組成物は、気化器での投与のために配合する。あるいは、医薬組成物を、その非限定的な例が皮下(SC)投与である、局所的に投与し得る。これに関して、「皮下」投与は、皮膚のすぐ下への投与を指す。
【0164】
他の実施態様においては、注射のために、記載されたカンナビノイドは、任意に賦形剤を含む培地と組み合わせた水溶液中で、例えば、ハンクス液、リンゲル液、または生理食塩緩衝液などの生理学的に適合性のある緩衝液中で配合し得る。
【0165】
記載された方法において使用される任意の製剤について、治療上有効な量または用量は、最初はインビトロおよび細胞培養アッセイから見積もることができる。しばしば、用量は、所望の濃度または力価を達成するために動物モデルにおいて策定する。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用できる。
【0166】
本明細書に記載の有効成分の毒性および治療効果は、細胞培養または実験動物において、インビトロでの標準的な製薬の手順によって決定することができる。
【0167】
これらのインビトロおよび細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投与量の範囲を策定することにおいて使用できる。投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて変化し得る。正確な配合、投与経路および投与量は、いくつかの実施態様においては、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る。
【0168】
治療される状態の重症度および応答性に応じて、投薬は、単回または、他の実施態様においては、複数回の投与であり得、治療過程は、数日から数週間、または、他の実施態様においては、病状の緩和が達成されるまで続く。
【0169】
適合性のある医薬担体中で配合した記載された製剤を含む組成物もまた、調製し、適切な容器中に入れ、適応となった状態の治療のために標識し得る。
【0170】
記載された組成物は、必要に応じて、投与の説明書を伴う容器中で包装し得る。容器はまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関による組成物の形態またはヒト若しくは獣医の管理の承認を反映している、該機関によって規定された形式の容器に関連する通知によっても収容し得る。そのような通知は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局によって承認されたラベル、または承認された製品挿入物に関するものであり得る。
【0171】
記載されたカンナビノイドは、いくつかの実施態様においては、製造品として適切に包装することができる医薬組成物として適切に配合する。そのような製造品は、症状、疾患、または障害、例えば化学療法の副作用、癌に関連する慢性疼痛、多発性硬化症、トゥーレット症候群、エイズおよび拒食症に関連する摂食障害、自閉症、てんかん、IBD、または本明細書において言及される別の治療的適応症の治療における使用を説明するラベルを含む包装材料を含む。他の実施態様においては、薬剤は、包装材料内に含まれ、ここで、薬剤は、血液学的障害の治療に有効である。いくつかの実施態様においては、医薬組成物は、凍結されている。
【0172】
単独で使用される記載されたカンナビノイドの典型的な投与量は、いくつかの実施態様においては、1日あたり約1~200mgの範囲であり得るであろう。他の実施態様においては、用量は、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~80、1~100、1~150、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50、2~60、2~80、2~100、2~150、3~10、3~20、3~30、3~40、3~50、3~60、3~80、3~100、3~150、5~10、5~20、5~30、5~40、5~50、5~60、5~80、5~100、5~150、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~80、10~100、10~150、10~200、10~300、10~400、10~500、10~600、10~800、10~1000、10~1500、15~200、15~300、15~400、15~500、15~600、15~800、15~1000、15~1500、20~200、20~300、20~400、20~500、20~600、20~800、20~1000、20~1500、30~200、30~300、30~400、30~500、30~600、30~800、30~1000、30~1500、50~200、50~300、50~400、50~500、50~600、50~800、50~1000、50~1500、70~200、70~300、70~400、70~500、70~600、70~800、70~1000、70~1500、100~200、100~300、100~400、100~500、100~600、100~800、100~1000、または100~1500mg/日である。さらに他の実施態様においては、用量は、0.02~4mg/kg/日である。他の実施態様においては、用量は、0.02~3、0.02~2、0.02~1.5、0.02~1、0.02~0.8、0.02~0.5、0.02~0.4、0.02~0.3、0.02~0.2、0.02~0.15、0.02~1、0.03~3、0.03~2、0.03~1.5、0.03~1、0.03~0.8、0.03~0.5、0.03~0.4、0.03~0.3、0.03~0.2、0.03~0.15、0.03~1、0.05~3、0.05~2、0.05~1.5、0.05~1、0.05~0.8、0.05~0.5、0.05~0.4、0.05~0.3、0.05~0.2、0.05~0.15、0.05~1、0.1~3、0.1~2、0.1~1.5、0.1~1、0.1~0.8、0.1~0.5、0.1~0.4、0.1~0.3、0.1~0.2、0.1~0.15、または0.1~1mg/kg/日である。特定の実施態様においては、前述の投薬量は、CBDの量を;他の実施態様においては、THCの量を;または他の実施態様においては、カンナビノイドの総量を指す。
【0173】
投与の対象および経路
特定の実施態様においては、記載された方法および組成物によって治療される対象は、ヒトである。他の実施態様においては、対象は、動物であり得る。特定の実施態様においては、対象は、追加の治療剤と共に投与され得る。
【0174】
また、本明細書において開示される方法を実施する際に使用することができる試薬に向けられるキットおよび製造品も、本明細書において開示される。キットおよび製造品は、カンナビノイドを含む、本明細書において論じられているかまたは開示された方法の実施において必要または有益であると理解されるであろう任意の試薬または試薬の組合せを含むことができる。別の一面においては、キットおよび製造品は、例えば症状、疾患、または障害、例えば化学療法の副作用、癌に関連する慢性疼痛、多発性硬化症、トゥーレット症候群、エイズおよび拒食症に関連する摂食障害、自閉症、てんかん、IBDを治療するための、または本明細書において言及される別の治療適応症のための、ラベル、説明書、および包装材料を含み得る。
【0175】
本発明の追加の目的、利点、および新規な特徴は、限定的であることを意図されない以下の実施例の検討によって、当業者に明らかになるであろう。さらに、上記で描写され、以下の特許請求の範囲のセクションにおいて主張されている本発明のさまざまな実施態様および一面(複数)のそれぞれは、以下の実施例において実験的裏付けを見い出す。
【0176】
明確化のために、別個の実施態様の文脈で説明される本発明の特定の特徴もまた、単一の実施態様において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔化のために、単一の実施態様の文脈で説明される本発明のさまざまな特徴もまた、別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供され得る。
【0177】
本発明は、その特定の実施態様とあわせて説明してきたが、多くの代替、改変および変形が当業者には明らかであろうことは明白である。従って、特許請求の範囲および説明の精神および広い範囲内にある代替、改変および変形を包含することが意図される。本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願並びにGenBankアクセッション番号は、各個別の刊行物、特許若しくは特許出願またはGenBankアクセッション番号が具体的かつ個別に参照により本明細書に組み込まれるように示さているのと同程度に、本明細書において参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願におけるいかなる参考文献の引用または識別も、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であると認めるものとして解釈されるべきではない。
【0178】
参考文献
(追加の参考文献は、本文中で引用されている)
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図2-1】
図2-2】
図3
【国際調査報告】