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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】封袋装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/04 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
B65B31/04 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021553033
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(85)【翻訳文提出日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2019055708
(87)【国際公開番号】W WO2020177866
(87)【国際公開日】2020-09-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーヤオグル マート
(72)【発明者】
【氏名】トゥナイ エルカン
【テーマコード(参考)】
3E053
【Fターム(参考)】
3E053AA06
3E053BA05
3E053CA01
3E053FA03
3E053JA07
(57)【要約】
封袋装置(20)は袋(10)をヒートシールするために提供される。装置(20)は、熱を加えて袋(10)の開口端(12)をヒートシールするように作動可能なヒータ装置(34)を有する。袋検出部(40、42、44、46、48)はヒータ装置(34)に対する袋(10)の位置を検出する。ヒータ装置(34)は複数のヒータ部(36)からなる。ヒータ装置(34)は、袋検出部(40、42、44、46、48)によって検出された、袋(10)に重なるヒータ部又は各ヒータ部(36)のみが作動されて袋(10)に熱を加えるように作動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋をヒートシールする封袋装置であって、
熱を加えて、使用時に当該封袋装置に挿入される袋の開口端をヒートシールするように作動可能なヒータ装置と、
使用時に前記袋が当該封袋装置に挿入されると、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置を検出するように構成され配置された袋検出部とを備え、
前記ヒータ装置は複数のヒータ部からなり、
前記ヒータ装置は、前記袋検出部によって検出される、使用時に当該封袋装置に挿入された前記袋に重なるヒータ部又は各ヒータ部のみが作動されて前記袋に熱を加えるように作動可能である、封袋装置。
【請求項2】
請求項1に記載の封袋装置であって、前記ヒータ装置の前記複数のヒータ部は電気抵抗ヒータである封袋装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の封袋装置であって、
間に袋を受け入れるように配置された第1部材及び第2部材を備え、
前記ヒータ装置は、前記袋が前記第1及び第2部材の間に受け入れられると作動して熱を加え、前記袋の開口端をヒートシールすることができるように、前記第1及び第2部材の少なくとも一方に配置され、
前記袋検出部は、空気を吹き出し又は吸引可能な複数の空気孔を有する前記第1及び第2部材の少なくとも一方と、前記空気孔と連通し、かつ、前記袋がヒートシールの際に前記部材間に受け入れられるとき、前記袋が前記空気孔の1つ以上を遮る場合に生じる空気圧の変化を検知するように配置された、少なくとも1つの空気圧センサからなることにより、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置の検出を可能にする、封袋装置。
【請求項4】
請求項3に記載の封袋装置であって、前記空気孔を通じて空気を吹き出す又は吸引するための、前記空気孔に連通した空気ポンプを備える封袋装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の封袋装置であって、当該封袋装置は、使用時に当該封袋装置に挿入された袋から、前記ヒータ装置が熱を加えて前記袋の開口端をヒートシールする前に、空気を吸引するように構成され配置された真空封袋装置である封袋装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の封袋装置であって、前記ヒータ装置及び前記袋検出部と通信し、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置に関する前記袋検出部からの入力を受信し、前記袋検出部からの入力に従って作動するよう前記ヒータ装置を制御するように構成され配置された制御部を備える封袋装置。
【請求項7】
複数の独立して作動可能なヒータ部からなるヒータ装置を有する封袋装置を用いて袋をヒートシールする方法であって、
前記封袋装置に前記袋の開口端を置き、
前記ヒータ装置に対する前記袋の位置を検出し、
前記ヒータ装置を作動させて前記袋をヒートシールし、
前記ヒータ装置は、前記袋検出部によって検出された、前記封袋装置に置かれた前記袋に重なるヒータ部又は各ヒータ部のみが作動されて前記袋に熱を加えるように作動する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記封袋装置は間に前記袋を受け入れるように配置された第1部材及び第2部材を備え、前記ヒータ装置は前記袋が前記第1及び第2部材の間に置かれると、熱を加えて前記袋の開口端をヒートシールするように作動可能となるように前記第1及び第2部材の少なくとも一方に配置され、前記第1及び第2部材の少なくとも一方は複数の空気孔を有し、
前記袋の開口端を前記封袋装置に置く際、前記袋は前記第1及び第2部材の間に置かれ、
当該方法は、
前記空気孔を通じて空気を吹き出し又は吸引し、
ヒートシールの際に前記袋が前記各部材の間に受け入れられたとき、前記袋が前記空気孔のうち1つ以上を遮る場合に生じる空気圧の変化を検知することにより、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置を検出する、方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の方法であって、前記封袋装置は真空封袋装置であり、当該方法は、前記ヒータ装置を作動して前記袋をヒートシールする前に、前記袋から空気を吸引する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、封袋装置及び袋をヒートシールする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に内容物が食べ物や飲み物等の場合において、内容物の保存を助けるとともに内容物の日持ちが向上するように、一般に袋の内容物を埃や他の汚染物質から遠ざけるため、封袋装置を用いて袋の開口端をヒートシールする。封袋装置は、袋がヒートシールされる前に袋から空気を吸引する真空封袋装置であってもよく、このことはさらに、袋の内容物を清潔ひいては無菌に保つ際に有用である。封袋装置は、一般に、ストリップ状の電気抵抗ヒータであるヒータを有し、袋をヒートシールする際はその上に袋の開口端が置かれる。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示される第1の態様によれば、袋をヒートシールする封袋装置であって、
熱を加えて、使用時に当該封袋装置に挿入される袋の開口端をヒートシールするように作動可能なヒータ装置と、
使用時に前記袋が当該封袋装置に挿入されると、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置を検出するように構成され配置された袋検出部とを備え、
前記ヒータ装置は複数のヒータ部からなり、
前記ヒータ装置は、前記袋検出部によって検出される、使用時に当該封袋装置に挿入された前記袋に重なるヒータ部又は各ヒータ部のみが作動されて前記袋に熱を加えるように作動可能である、封袋装置が提供される。
【0004】
したがって、例えば、ヒータ装置を完全に覆う大きな袋の場合、ヒータ部全てが作動し、その全範囲に沿って袋の開口端をシールする。一方で、ヒータ装置を完全には覆わない小さい袋の場合、小さい袋の開口端をシールするために必要なヒータ部のみが作動する。つまり、小さい袋に(完全に又は部分的に)重ならないヒータ部はいずれも作動しない。このことはエネルギーの節約につながり得る。というのは、袋に実際に重なり、袋をヒートシールするために実際に必要なヒータ部のみが袋をヒートシールする際に作動するからである。ヒータ部は互いに独立して作動可能であってもよい。
【0005】
一例において、前記ヒータ装置の前記複数のヒータ部は電気抵抗ヒータである。
【0006】
例えば赤外線ヒータといった、独立して作動可能であってもよい複数のヒータ部を有する別のヒータ装置も可能である。
【0007】
一例において、当該封袋装置は、
間に袋を受け入れるように配置された第1部材及び第2部材を備え、
前記ヒータ装置は、前記袋が前記第1及び第2部材の間に受け入れられると作動して熱を加え、前記袋の開口端をヒートシールすることができるように、前記第1及び第2部材の少なくとも一方に配置され、
前記袋検出部は、空気を吹き出し又は吸引可能な複数の空気孔を有する前記第1及び第2部材の少なくとも一方と、前記空気孔と連通し、かつ、前記袋がヒートシールの際に前記部材間に受け入れられるとき、前記袋が前記空気孔の1つ以上を遮る場合に生じる空気圧の変化を検知するように配置された、少なくとも1つの空気圧センサからなることにより、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置の検出を可能にする。
【0008】
第1及び第2部材は、板、ブロック、又は棒等でもよく、使用時、一般に合わさって袋をヒートシールする際に袋を捉える。
【0009】
空気孔が部材を貫通してもよく、これにより空気が他方から押し出される/引き出される。その代わり又は加えて、空気孔のうち1つ以上又は全てが単に、空気孔に開口しており部材を貫通するチャネルを介して空気を受ける/供給する出口/入口であってもよい。
【0010】
一例において、封袋装置は、前記空気孔を通じて空気を吹き出す又は吸引するための、前記空気孔に連通した空気ポンプを備える。
【0011】
空気孔及び1つ以上の空気圧センサ等の使用の代わりに又は加えて、袋検出部は光学的であってもよく、1つ以上の光検出部によって検出される光を発する1つ以上の光源を備え、袋が光を遮ることにより、袋の位置を検出することができる。しかしながら、このような袋は透明であることが多く、光学的な検出部が常に有効ないし便利であるとは限らないと思われる。
【0012】
一例において、当該封袋装置は、使用時に当該封袋装置に挿入された袋から、前記ヒータ装置が熱を加えて前記袋の開口端をヒートシールする前に、空気を吸引するように構成され配置された真空封袋装置である。
【0013】
一例において、当該封袋装置は、前記ヒータ装置及び前記袋検出部と通信し、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置に関する前記袋検出部からの入力を受信し、前記袋検出部からの入力に従って作動するよう前記ヒータ装置を制御するように構成され配置された制御部を備える。
【0014】
本明細書に記載の第2の態様によれば、複数の独立して作動可能なヒータ部からなるヒータ装置を有する封袋装置を用いて袋をヒートシールする方法であって、
前記封袋装置に前記袋の開口端を置き、
前記ヒータ装置に対する前記袋の位置を検出し、
前記ヒータ装置を作動させて前記袋をヒートシールし、
前記ヒータ装置は、前記袋検出部によって検出された、前記封袋装置に置かれた前記袋に重なるヒータ部又は各ヒータ部のみが作動されて前記袋に熱を加えるように作動する、方法が提供される。
【0015】
一例において、前記封袋装置は間に前記袋を受け入れるように配置された第1部材及び第2部材を備え、前記ヒータ装置は前記袋が前記第1及び第2部材の間に置かれると、熱を加えて前記袋の開口端をヒートシールするように作動可能となるように前記第1及び第2部材の少なくとも一方に配置され、前記第1及び第2部材の少なくとも一方は複数の空気孔を有し、
前記袋の開口端を前記封袋装置に置く際、前記袋は前記第1及び第2部材の間に置かれ、
当該方法は、
前記空気孔を通じて空気を吹き出し又は吸引し、
ヒートシールの際に前記袋が前記各部材の間に受け入れられたとき、前記袋が前記空気孔のうち1つ以上を遮る場合に生じる空気圧の変化を検知することにより、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置を検出する。
【0016】
一例において、前記封袋装置は真空封袋装置であり、当該方法は、前記ヒータ装置を作動して前記袋をヒートシールする前に、前記袋から空気を吸引する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の理解を促し、かつ、実施形態がどのように実施されうるかを示すために、例として以下の添付図面が参照される。
【0018】
図1】本開示の実施形態に係る封袋装置の一例の斜視図を概略的に示す。
図2図1の前記封袋装置の内部における構成要素の斜視図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照し、袋10をシールする際に用いられる、本開示の実施形態に係る封袋装置20の一例が示されている。特に内容物が食べ物や飲み物等の場合において、内容物の保存を助けるとともに内容物の日持ちが向上するように、袋10の内容物を埃や他の汚染物質から遠ざけるため、封袋装置20を用いて袋10の開口端12をヒートシールしてもよい。
【0020】
封袋装置20は、下側基部22と、上側庇部すなわちカバー24とを有する。基部22と庇部24の間には、ヒートシールの際に袋10の開口端12が挿入可能な空間26が形成される。いくつかの例では、基部22と庇部24は互いに固定される。別の例では、庇部24が起こされ袋10が基部22と庇部24の間の空間26により容易に抜き差しできるように、基部22と庇部24はヒンジで固定されるか、あるいは互いに相対移動可能である。
【0021】
袋10は、別体の品物として構成されてもよく、例えば2つの端縁及び底部で閉じられ又はプレシールされ、頂部に沿って開口してもよい。より一般的には、このような袋10は、プレシールされた2つの対向する側端縁を有する袋材のロールから形成される。所望の長さの袋10がロールから切断される。いくつかの場合では、切断当初の袋10は2つの対向するプレシールされた側端縁と2つの対向する開口端を有しており、一方の端部がシールされることにより、一つの開口端を有する、内容物を受け入れ可能な状態の袋10を構成する。別の場合では、切断当初の袋10は2つの対向するプレシールされた側端縁と、1つのプレシールされた(底部)端縁と、開口した(上端)端部とを有し、内容物を受け入れ可能な状態となっている。袋10は、周知のように封袋装置20の一部として設けられたカッタによって切断されてもよいし、別体のナイフや切断装置によって切断されてもよい。このような袋10は、一般的には、例えばポリエチレン(PE)やポリアミド(PA)といったプラスチック材や異なるプラスチック材による複合材料で形成される。このような袋10は、内容物が見えるように透明又は少なくとも半透明であることが多い。袋10は熱収縮袋でもよい。このような場合、袋10の開口端12がシールされた後、袋10は、食品や他の内容物の周辺で袋10の収縮を引き起こす熱湯や熱風収縮トンネルに移される。
【0022】
特に図2を参照し、同図は封袋装置20の内部における主な構成要素の斜視図を概略的に示す。封袋装置20は、使用時に庇部24に固定される上側部材28を有する。封袋装置20は、使用時に基部22に固定される下側部材30を有する。上側部材28及び下側部材30は、ヒートシールの際に袋10を差し込み可能な空間26を規定する。上側部材28及び下側部材30はそれぞれ、板、ブロック、又は棒等でもよいし、プラスチック又は金属等から形成されてもよい。使用時、上側部材28及び下側部材30を離間させて袋10を挿入可能にし、互いに近づけることで上側部材28及び下側部材30の間にある袋10の開口端12を有効に捕らえてもよい。上側部材28及び下側部材30の相対的なこの動きは、例えば庇部24を基部22に対して動かすことにより実現されてもよい。
【0023】
本例の封袋装置20は、袋10がヒートシールされる前に袋10から空気を引き出す又は吸引する真空封袋装置20である。このことはさらに、袋の内容物を清潔ひいては無菌に保つ際に有用である。このため、また、周知のように、上側部材28及び下側部材30の少なくとも一方(本例では、下側部材30)は、真空ポンプ(図示されず)と流体連通している真空引き溝32を有する。使用時、袋10の開口端12が真空引き溝32に配置されるように、袋10は装置20に部分的に挿入される。そして、以下でさらに説明されるように、袋10の開口端12がヒートシールされる前に、真空ポンプが作動し、袋10を実質的に又は完全に真空状態にする。しかしながら、本明細書に記載される原理は、封袋装置が真空封袋装置であるか否かに関わらず、当該一般的な種類のどの封袋装置にも適用してよい。
【0024】
封袋装置20は、袋10の開口端12が装置20に挿入されると作動し、袋10の開口端12をヒートシールすることができるヒータ34を有する。本例において、共通して、ヒータ34は下側部材30の上面に配置される。別の例において、ヒータ34は上側部材28の下面に配置されてもよいし、上側部材28と下側部材30双方の対向面にヒータが存在してもよい。袋10が封袋装置20に挿入されると、ヒータ34が袋10の開口端12を加熱して袋10をシールできるように、袋10の開口端12はヒータ34に接触させられる又は近づけられる。
【0025】
従来の封袋装置では、ヒータは作動時、その全長に沿って加熱する、一般にはストリップヒータからなる1つの単一ヒータであることが多い。しかしながら、本開示の実施形態によれば、ヒータ34は複数のヒータ部からなる。各例において、複数のヒータ部のうち少なくとも一部又は任意で全てが互いに独立して作動可能である。すなわち、一例において、ヒータ部のいずれか1つがそれ以外とは独立して作動可能である、又は、ヒータ部の少なくとも一部がそれら以外と独立して作動可能である。
【0026】
本例において、ヒータ34はストリップ状であり、いくつかのヒータ部36からなる。図示される例では4つのヒータ部36が直線上に配置されているが、他の例ではヒータ部はより多くても又は少なくてもよい。本例において、ヒータ34、従って各ヒータ部36は、例えば電力源といった、使用時に電源に接続される電気抵抗ヒータである。袋10の開口端12が上側部材28と下側部材30の間の空間26に挿入されると、電気抵抗ヒータ34は袋10に接触し、作動して袋10の開口端12をヒートシールする。電気抵抗ヒータに加え又は代えて、別のヒータ装置を用いてもよい。例えば、ヒータ部36のうちの1つ又は全てが赤外線ヒータ又は他の熱源で構成されてもよい。
【0027】
本開示によれば、袋10が装置20に挿入された際に、袋10(の開口端12)に重なるヒータ部又は各ヒータ部36のみが作動し、袋10の開口端12をヒートシールする。実際には、このような袋10は大きさが様々であり、特に幅wが異なる。つまり、幅wが小さい幅狭な袋10の場合、袋10はヒータ34全体のうち一部のみに重なることを意味しうる。従来の封袋装置においては、ヒータ全体が袋に熱を加えていないとしても、ヒータの各部が通電されていることを意味する。その結果、エネルギーの無駄が生じることになるとともに、ヒータの各部又は従来の封袋装置全体が、不必要にかつ危険なほどに熱くなる可能性があることを意味しうる。このことは本開示に係る封袋装置20により回避される。というのは、袋10を加熱する際に実際に必要なヒータ34の当該ヒータ部36のみが通電されるからである。大きな袋10、すなわち、ヒータ34を完全に覆う比較的広い幅wを有する袋10の場合、全てのヒータ部36が作動し、その全範囲に沿って袋10の開口端12をシールする。一方で、小さい袋10、すなわち、ヒータ34を完全には覆わない比較的狭い幅wを有する袋10の場合、小さい袋10の開口端12をシールするのに必要なヒータ部36のみが作動する。すなわち、小さい袋10の幅にまたがって広がるヒータ部36のみが作動して袋10の開口端12をヒートシールする。つまり、袋10に(完全に又は部分的に)重ならないヒータ部36はいずれも作動しない。これによりエネルギー消費が削減され、小さい袋10がシールされる際に封袋装置20の各部の温度を抑えることができる。
【0028】
封袋装置20はヒータ34に対する袋10の位置を検出するように作動する袋検出部を有し、特に袋10が封袋装置20に挿入されると、ヒータ部36に対する袋10の位置を検出する。封袋装置20はヒータ34の内部に配置される、壁部、リッジ部、又は凹部等(図示されず)を有してもよい。これは、袋10が正確に封袋装置20に挿入されると袋10の開口端が当接する当接部又は抵抗部として機能する。この点に関し、袋10はヒータ34に接触又は近接している。袋検出部に関して多数のオプションが考えられ、1種類以上の袋検出部が用いられてもよい。
【0029】
例えば、袋検出部は、通常ヒータ34に沿って又は近くに配列された1つ以上の接触又は位置センサであってもよいし、又はそれを有してもよい。接触又は位置センサは袋10の位置を測定し、特に、ヒータ34及び特にヒータ部36に対する袋10の位置を示す。これに関連する接触又は位置センサの問題点は、使用される袋10が非常に柔軟ないし曲がりやすい傾向があるため、このような袋の全てが接触又は位置センサを正確ないし確実に作動させないかもしれないことである。したがって、接触又は位置センサはあらゆる用途において最適とは言えないかもしれない。
【0030】
別の例として、袋検出部は、ヒータ34に沿って又は近くに配列された1つ以上の光学センサ装置であってもよいし、又はそれを有してもよい。光学センサ装置は、ヒータ34及び特にヒータ部36に対する袋10の位置を光学的に検出する。光学センサ装置又は各光学センサ装置は、例えば発光ダイオード(LED)といった光源と、例えばフォトダイオードといった光検出部とを有する。これに関連する光学センサ装置の問題点は、使用される袋10が透明又は少なくとも半透明であることが多いため、光学検出部が袋10の位置を常に正確ないし確実に検出しないかもしれないということである。
【0031】
図2に概略的に示される例では、以下でさらに説明されるように、袋検出部は空気を用いて袋10の位置を検出する。袋検出部は、空気のみを用いてもよいし、接触又は位置センサや光学センサ等といった他の種類の袋検出部と連動して空気を用いてもよい。袋10の位置を検出する際に空気を用いることにより、上記で説明した接触センサや光学センサ装置の問題点が回避される。
【0032】
さらに図2を参照し、本例では、上側部材28と下側部材30のうち少なくとも1つが複数の空気孔40を有する。空気孔40は対向する部材30、28に向き合うように開口する。本例では、上側部材28のみが空気孔40を有し、空気孔40は下側部材30に対向するように開口する。特に、空気孔40は、少なくとも通常は、ヒータ34に対向する。本例では、空気孔40は、長尺のストリップ状のヒータ34と平行に伸びる直線上に配置される。以下からも分かるように、空気孔40を介して袋10上に空気を押し出す又は吹き出すことができ、又は、空気孔40を介して隣接する袋10から空気を吸い込むことができ、圧力変化が測定又は検出されて袋10の位置が決定される。実際には、空気の吹き出し又は押し出しを用いる例はより確実かつ正確であるように思われ、当該例がここでさらに説明される。なお、空気の吹き出し又は押し出しによる検出が空気の吸引による検出に変わる場合、軽微な変更のみ要する。
【0033】
より詳細には、本例では、空気孔40は空気ポンプ42と流体連通している。このため、本例では、空気孔40は上側部材28の一方の面から他方の面まで上側部材28を完全に貫通する。パイプ44又はホース等により、各空気孔40の裏面は任意で共通のマニホールド46を介して空気ポンプ42に接続される。パイプ44は硬質性でもよく、可撓性であってもよい。分かりやすくするため、パイプ44の一部は図2において破線で示される。別の例において、空気孔40の一部又は全ては上側部材28を完全に貫通せず、その代わり、上側部材28は空気ポンプ42と流体連通するパイプを有効に構成し、空気を空気孔40に又はそこから通すチャネルを有する。
【0034】
各パイプ44は、パイプ44内の空気圧を測定し、又は、少なくともパイプ44内の空気圧の変化を検知し、それに応じて出力を与えることができる空気圧センサ48を含む又は有する。
【0035】
さらに、本例では、各空気圧センサ48の出力は、同様にヒータ34及び特にヒータ部36を制御するように作動する制御部50に送られる。制御部50はまた、空気ポンプ42を制御するように作動してもよい。制御部50はプロセッサや処理システムから構成されてもよく、例えばマイクロコントローラでもよい。適切にプログラミングされた制御部50がヒータ34及び特にヒータ部36のよりフレキシブルな制御を可能にしてもよいが、他の例では、このような制御部はなく、その機能は論理ゲート等によって実現可能とされ、センサ48の出力に応じてヒータ部36を作動させてもよい。
【0036】
使用時、大きな(幅広な)袋10が封袋装置20に挿入されると、袋10の開口端12がヒータ34のヒータ部36の全てに重なるとする。このような場合、袋10は、本例では、空気孔40の全てを有効に塞ぐことになる。つまり、空気ポンプ42が作動しパイプ44を通じて空気孔40に空気が吹き込まれると、それぞれの空気圧センサ48によって測定される各パイプ44内の空気圧が上昇することになる。各パイプ44内の空気圧が上昇するという事実は、各空気孔40、従ってヒータ34の全範囲を袋10が覆っていることを示すとみなされる。このため、パイプ44及びそのセンサ48毎に同じでも異なってもよいが、各空気圧センサ48によって測定される空気圧には閾値があり、パイプ44の閾値よりも空気圧が上昇した場合、袋10が関連する空気孔40を塞いでいることを示すとみなされるようにしてもよい。いずれにしても、このような場合、各ヒータ部36が通電されて、その全範囲に沿って大きな袋10の開口端12を加熱するようにヒータ34が作動する。
【0037】
その一方で、小さい(幅狭な)袋10が封袋装置20に挿入されると、袋10の開口端12はヒータ34のヒータ部36の全てではなく1つ又は一部のみに重なるとする。このような場合、袋10は空気孔40の1つ又は一部のみを有効に覆うが、1つ以上の他の空気孔40は袋10で覆われないことになる。つまり、空気ポンプ42が作動しパイプ44を通じて空気孔40に空気が吹き込まれると、空気圧センサ48又はそれぞれの空気圧センサ48によって測定される、パイプ44のうちの1つ又は一部のみの内部の空気圧が上昇することになる。この場合もやはり、パイプ44内の空気圧が上昇するという事実は、袋10が対応の空気孔40を覆っていることを示すとみなされる。その一方で、袋10で塞がれない空気孔40に通じるパイプ44では、空気圧は上昇しない、あるいは、少し上昇するのみである。したがって、各種パイプ44の各空気圧センサ48の出力から袋10の横の範囲を決定する事ができる。そして、袋10の開口端12の位置に対応する当該ヒータ部36のみが作動して袋10をヒートシールするように、ヒータ34が作動する。これにより、小さい袋10をシールする際に必要でないヒータ部36は通電されないことから、少なくとも節電が可能となる。
【0038】
空気圧センサ48からの入力を受信し、それに応じてヒータ34やヒータ部36を制御する制御部又は論理回路等では、物理的に不可能な状況は無視されるように構成されてもよい。例えば、袋10は、ヒータ34の両端のヒータ部36のみに(適切に)重なり得ず、また、中央のヒータ部36に重ならないということはあり得ない。袋検出装置がこのような状況を示す場合、アラームや警告がユーザのために生成されてもよい。
【0039】
なお、本明細書において言及されるプロセッサや処理システムや回路は、実際には、1つのチップ若しくは集積回路、又は、複数のチップ若しくは集積回路によって実現されてもよく、任意でチップセットや、特定用途向け集積回路(ASIC)や、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)や、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)や、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)等として実現されてもよい。チップ又は複数のチップは、上記例示的な実施形態に従って動作するように構成可能な、データプロセッサ又は複数のデータプロセッサと、デジタル信号プロセッサ又は複数のデジタル信号プロセッサと、ベースバンド回路と、無線周波数回路のうち1つ以上を具現化するための回路(ファームウェアでも可)を備えてもよい。これに関し、各例示的な実施形態は、少なくとも一部が、(非一時的な)メモリに記憶され、プロセッサによって、又は、ハードウェアによって、又は、実体的に記憶されたソフトウェアとハードウェア(及び実体的に記憶されたファームウェア)の組み合わせによって実行可能なコンピュータソフトウェアによって実現されてもよい。
【0040】
図面を参照して本明細書で記載された少なくともいくつかの実施形態の態様は、処理システム又はプロセッサで実施されるコンピュータ処理を有するが、本発明は、本発明を実現可能なコンピュータプログラム、特に、キャリア上ないし内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムの形式は、非一時的なソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた形式の中間ソースコード及びオブジェクトコード、又は、本発明に係る各処理の実現の際に使用に適した他の非一時的な形式であってもよい。キャリアは、プログラムを搬送可能な任意の実体又はデバイスであってもよい。例えば、キャリアは、ソリッドステートドライブ(SSD)や他の半導体系RAMといった記憶媒体、CD ROMや半導体ROM等のROM、フロッピーディスクやハードディスク等の磁気記録媒体、一般的な光メモリデバイス、等を備えてもよい。
【0041】
本明細書に記載される例は、本発明の実施形態の説明を目的とした例として理解されるものである。さらなる実施形態及び実施例が予想される。いずれかの例又は実施形態に関連して記載される特徴事項は、単独で使用されてもよいし、他の特徴事項と組み合わせて使用されてもよい。また、いずれかの例又は実施形態に関連して記載される特徴事項は、他の例又は実施形態の1つ以上の特徴事項と組み合わせて用いられてもよく、又、他の例又は実施形態と組み合わせて用いられてもよい。さらにまた、本明細書で記載されない均等物及び変形例もまた、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲内で採用されてもよい。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋をヒートシールする封袋装置であって、
熱を加えて、使用時に当該封袋装置に挿入される袋の開口端をヒートシールするように作動可能なヒータ装置と、
使用時に前記袋が当該封袋装置に挿入されると、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置を検出するように構成され配置された袋検出部とを備え、
前記ヒータ装置は複数のヒータ部からなり、
前記ヒータ装置は、前記袋検出部によって検出される、使用時に当該封袋装置に挿入された前記袋に重なるヒータ部又は各ヒータ部のみが作動されて前記袋に熱を加えるように作動可能である、封袋装置。
【請求項2】
請求項1に記載の封袋装置であって、前記ヒータ装置の前記複数のヒータ部は電気抵抗ヒータである封袋装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の封袋装置であって、
間に袋を受け入れるように配置された第1部材及び第2部材を備え、
前記ヒータ装置は、前記袋が前記第1及び第2部材の間に受け入れられると作動して熱を加え、前記袋の開口端をヒートシールすることができるように、前記第1及び第2部材の少なくとも一方に配置され、
前記袋検出部は、空気を吹き出し又は吸引可能な複数の空気孔を有する前記第1及び第2部材の少なくとも一方と、前記空気孔と連通し、かつ、前記袋がヒートシールの際に前記部材間に受け入れられるとき、前記袋が前記空気孔の1つ以上を遮る場合に生じる空気圧の変化を検知するように配置された、少なくとも1つの空気圧センサからなることにより、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置の検出を可能にする、封袋装置。
【請求項4】
請求項3に記載の封袋装置であって、前記空気孔を通じて空気を吹き出す又は吸引するための、前記空気孔に連通した空気ポンプを備える封袋装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の封袋装置であって、当該封袋装置は、使用時に当該封袋装置に挿入された袋から、前記ヒータ装置が熱を加えて前記袋の開口端をヒートシールする前に、空気を吸引するように構成され配置された真空封袋装置である封袋装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の封袋装置であって、前記ヒータ装置及び前記袋検出部と通信し、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置に関する前記袋検出部からの入力を受信し、前記袋検出部からの入力に従って作動するよう前記ヒータ装置を制御するように構成され配置された制御部を備える封袋装置。
【請求項7】
複数の独立して作動可能なヒータ部からなるヒータ装置を有する封袋装置を用いて袋をヒートシールする方法であって、
前記封袋装置に前記袋の開口端を置き、
前記ヒータ装置に対する前記袋の位置を検出し、
前記ヒータ装置を作動させて前記袋をヒートシールし、
前記ヒータ装置は、袋検出部によって検出された、前記封袋装置に置かれた前記袋に重なるヒータ部又は各ヒータ部のみが作動されて前記袋に熱を加えるように作動する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記封袋装置は間に前記袋を受け入れるように配置された第1部材及び第2部材を備え、前記ヒータ装置は前記袋が前記第1及び第2部材の間
に置かれると、熱を加えて前記袋の開口端をヒートシールするように作動可能となるように前記第1及び第2部材の少なくとも一方に配置され、前記第1及び第2部材の少なくとも一方は複数の空気孔を有し、
前記袋の開口端を前記封袋装置に置く際、前記袋は前記第1及び第2部材の間に置かれ、
当該方法は、
前記空気孔を通じて空気を吹き出し又は吸引し、
ヒートシールの際に前記袋が前記各部材の間に受け入れられたとき、前記袋が前記空気孔のうち1つ以上を遮る場合に生じる空気圧の変化を検知することにより、前記ヒータ装置に対する前記袋の位置を検出する、方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の方法であって、前記封袋装置は真空封袋装置であり、当該方法は、前記ヒータ装置を作動して前記袋をヒートシールする前に、前記袋から空気を吸引する方法。
【国際調査報告】