(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】ロータにバランスセクションを有する駆動モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/04 20060101AFI20220620BHJP
H02K 1/276 20220101ALI20220620BHJP
H02K 15/16 20060101ALI20220620BHJP
H02K 15/03 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
H02K7/04
H02K1/276
H02K15/16 A
H02K15/03 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559164
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2020062053
(87)【国際公開番号】W WO2020221868
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】102019111333.4
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518361790
【氏名又は名称】フェスツール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バルト、フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】シェーン、 パトリック
【テーマコード(参考)】
5H607
5H615
5H622
【Fターム(参考)】
5H607AA04
5H607BB01
5H607BB14
5H607BB26
5H607CC03
5H607DD02
5H607EE40
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP06
5H615SS15
5H615SS54
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CA13
5H622CB03
5H622CB05
5H622DD02
5H622PP03
5H622PP10
5H622QB01
5H622QB08
(57)【要約】
本発明は、吸引器具(400)のための、または手動工作機械(200,300)もしくは半定置式の工作機械の形態の工作機械のための駆動モータに関し、駆動モータ(20,120)は、励起コイル構造(86)を有するステータ(80)と、軸受構造(24A)を用いて回転軸(D)を中心として回転可能なようにステータに、またはステータ(80)に関して支承され、モータシャフト(30,130)に保持される積層鉄心(41,141)のシャフト通過開口部(42,142)を貫通するモータシャフト(30,130)を有するロータ(40,140)と、を有し、ロータ(40,140)は少なくとも1つの永久磁石を有する磁気構造(50)を有し、それによりロータ(40,140)は励起コイル構造(86)への通電によって回転軸(D)を中心として回転駆動可能である。積層鉄心(41,141)は、積層鉄心(41,141)の材料除去加工または溝付けによって製作される少なくとも1つのバランスセクション(55)を有し、および/または少なくとも1つの永久磁石は積層鉄心(41,141)に配置された状態のときに磁化された磁性体(52)によって構成されることが意図される。さらに、本発明はこのような種類の駆動モータを製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引器具(400)のための、または手動工作機械(200,300)もしくは半定置式の工作機械の形態の工作機械のための駆動モータであって、前記駆動モータ(20,120)は、励起コイル構造(86)を有するステータ(80)と、軸受構造(24A)を用いて回転軸(D)を中心として回転可能なように前記ステータに、または前記ステータ(80)に関して支承され、モータシャフト(30,130)に保持される積層鉄心(41,141)のシャフト通過開口部(42,142)を貫通するモータシャフト(30,130)を有するロータ(40,140)と、を有し、前記ロータ(40,140)は少なくとも1つの永久磁石を有する磁気構造(50)を有し、それにより前記ロータ(40,140)は前記励起コイル構造(86)への通電によって前記回転軸(D)を中心として回転駆動可能である、駆動モータにおいて、前記積層鉄心(41,141)は前記積層鉄心(41,141)の材料除去加工または溝付けによって製作される少なくとも1つのバランスセクション(55)を有し、および/または少なくとも1つの前記永久磁石は前記積層鉄心(41,141)に配置された状態のときに磁化された磁性体(52)によって構成されることを特徴とする、駆動モータ。
【請求項2】
前記バランスセクション(55)は前記回転軸(D)に関して前記積層鉄心(41,141)の径方向の外側円周にある接線方向の切欠きであることを特徴とする、請求項1に記載の駆動モータ。
【請求項3】
前記ロータ(40,140)がベクトル式にバランシングされ、および/または前記ロータ(40,140)の前記回転軸(D)に関して角度間隔をおいて配置された少なくとも2つのバランスセクション(55)がそれぞれの前記バランスセクション(55)の間で前記ロータ(40,140)のアンバランスを補償するために前記積層鉄心(41,141)に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の駆動モータ。
【請求項4】
少なくとも2つまたは全部の前記バランスセクション(55)が前記回転軸(D)に関して同一の長手方向位置で、またはほぼ同一の長手方向位置で、前記積層鉄心(41,141)に配置されることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項5】
少なくとも1つの前記バランスセクション(55)または全部の前記バランスセクション(55)が、前記回転軸(D)に関して前記積層鉄心(41,141)が最大の径方向の材料厚みを有している前記積層鉄心(41,141)の径方向の外側円周領域に配置されることを特徴とする、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項6】
少なくとも1つの前記バランスセクション(55)または全部の前記バランスセクション(55)が前記回転軸(D)に関して径方向外側で、少なくとも1つの前記磁性体(52)または永久磁石と同一の角度位置に配置されることを特徴とする、請求項1から5のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項7】
前記ロータ(40,140)に追加のバランスウェイトが配置されず、特に追加の真鍮バランスウェイトが配置されず、および/または前記ロータ(40,140)の端面にバランス体が配置されないことを特徴とする、請求項1から6のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項8】
前記ロータ(40,140)は、前記ロータ(40,140)の一方または両方の端面で全面的に開いている、および/またはバランス体によって隠されていない流動断面を有する、前記回転軸(D)と平行に延びる少なくとも1つの空気通路を有することを特徴とする、請求項1から7のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項9】
少なくとも1つの前記磁性体(52)または永久磁石はプレート状の形態および/または平板形態を有し、または磁気プレートとして構成されることを特徴とする、請求項1から8のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項10】
前記ロータ(40,140)の前記回転軸(D)に関して角度間隔を相互に有する、および/または前記回転軸(D)を環状に取り囲む、複数の磁性体(52)または永久磁石が前記積層鉄心(41,141)に配置されることを特徴とする、請求項1から9のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項11】
少なくとも1つの前記磁性体(52)または前記永久磁石は前記積層鉄心(41,141)の保持収容部に、特に差込収容部に収容されることを特徴とする、請求項1から10のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項12】
前記保持収容部の差込断面に保持突起が突き出しており、該保持突起に、特にその端面に、少なくとも1つの前記磁性体(52)または永久磁石が、前記磁性体(52)または前記永久磁石を前記保持収容部へ差し込み可能である差込方向と反対向きに支持されることを特徴とする、請求項11に記載の駆動モータ。
【請求項13】
前記磁性体(52)は恒久的に磁化可能な材料または磁化された材料からなり、またはそのような種類の材料を有し、特にアルミニウム-ニッケル-コバルトまたはサマリウム-コバルトまたはネオジム-鉄-ホウ素からなることを特徴とする、請求項1から12のうちいずれか1項に記載の駆動モータ。
【請求項14】
吸引器具(400)のための、または手動工作機械(200,300)もしくは半定置式の工作機械などの形態の工作機械のための駆動モータ(20,120)を製造する方法であって、前記駆動モータ(20,120)は、励起コイル構造(86)を有するステータ(80)と、軸受構造(24A)を用いて回転軸(D)を中心として回転可能なように前記ステータに、または前記ステータ(80)に関して支承され、モータシャフト(30,130)に保持される積層鉄心(41,141)のシャフト通過開口部(42,142)を貫通するモータシャフト(30,130)を有するロータ(40,140)と、を有し、前記ロータ(40,140)は少なくとも1つの永久磁石を有する磁気構造(50)を有し、それにより前記ロータ(40,140)は前記励起コイル構造(86)への通電によって前記回転軸(D)を中心として回転駆動可能である、方法において、
バランスセクション(55)を製作するために前記積層鉄心(41,141)が材料除去加工または溝付けされ、および/または
少なくとも1つの永久磁石を製作するために前記積層鉄心(41,141)に配置された磁性体(52)が磁化されることを特徴とする方法。
【請求項15】
少なくとも1つの前記バランスセクション(55)または全部の前記バランスセクション(55)が製作された後に前記磁性体(52)が磁化されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記磁性体(52)を磁化するために、前記ロータ(40,140)の前記回転軸(D)に関して前記磁性体(52)の角度間隔に相当する角度間隔をおいて複数の磁化ヘッド(291)を有する磁化装置(290)が利用され、それにより、前記磁気構造(50)の所望の磁極化に応じて複数または全部の前記磁性体(52)を、前記磁化装置(290)を用いて同時に磁化可能であることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記磁化ヘッドに関して前記ロータ(40,140)を正しい角度で位置決めするために位置決め装置が利用されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引器具のための、または手動工作機械もしくは半定置式の工作機械の形態の工作機械のための駆動モータに関し、駆動モータは、励起コイル構造を有するステータと、軸受構造を用いて回転軸を中心として回転可能なようにステータに、またはステータに関して支承され、モータシャフトに保持される積層鉄心のシャフト通過開口部を貫通するモータシャフトを有するロータとを有し、ロータは少なくとも1つの永久磁石を有する磁気構造を有し、それによりロータは励起コイル構造への通電によって回転軸を中心として回転駆動可能である。さらに本発明は、このような種類の駆動モータを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、永久磁石によって励起されるロータを有する駆動モータでは、真鍮またはその他の同種の非磁性材料からなるバランスディスクが取り付けられ、それにより、このようなバランスディスクの材料除去加工によってロータをバランシングすることができる。その際に発生する切り屑やその他の粒子は、真鍮の非磁性の特性に基づき、積層鉄心に収容される永久磁石にもかかわらず積層鉄心には付着しない。しかしながら追加のバランスディスクはスペースを必要とし、そのため、ロータおよびこれに伴って駆動モータが相応に長くなる。
【発明の概要】
【0003】
したがって本発明の課題は、改良された駆動モータを提供することにある。
【0004】
この課題を解決するために、冒頭に述べた種類の駆動モータにおいて、積層鉄心が、積層鉄心の材料除去加工または溝付けによって製作される少なくとも1つのバランスセクションを有し、および/または少なくとも1つの永久磁石は積層鉄心に配置された状態のときに磁化された磁性体によって構成されることが意図される。
【0005】
冒頭に述べた種類の方法において、課題を解決するために次のことが意図される:
-バランスセクションを製作するために積層鉄心が材料除去加工または溝付けされ、および/または
-少なくとも1つの永久磁石を製作するために積層鉄心に配置された磁性体が磁化される。
【0006】
積層鉄心には、磁化可能である複数の磁性体が配置されるのが好ましい。特に、磁気構造が回転軸を中心とする円周領域にわたって相互に角度間隔を有する複数の永久磁石を積層鉄心に有していると好ましい。
【0007】
ロータをバランシングするために積層鉄心が材料除去加工され、たとえば切削加工され、特に研削、フライス加工、穿孔などがなされ、それにより1つまたは複数のバランスセクションが製作されて、ロータがバランシングされる。1つまたは複数の溝がバランスセクションとして設けられていてもよい。追加のバランス体、たとえば真鍮板などは必要ない。しかしながら原則として、ロータが一方では、材料除去または溝付けによって製作された1つまたは複数のバランスセクションを積層鉄心に有するが、これに加えてさらに1つまたは複数のバランスウェイトがいわば付加的または追加的にロータに、特に積層鉄心またはロータの端面に取り付けられることも可能である。
【0008】
このように少なくとも1つのバランスセクションは、本発明によれば、材料除去、溝付けなどによって、すなわち積層鉄心の材料厚みの低減によって製作されるバランスセクションである。
【0009】
バランス体が必要でなければ、それによっていっそう好都合な駆動モータの重量がもたらされる。追加のバランスウェイトが必要ではなく、むしろ積層鉄心がいわばいっそう軽くなるからである。このようにバランスディスクが省略されていれば、ロータおよびこれに伴って駆動モータが全体として短くなり得る。
【0010】
積層鉄心の端面にバランスディスクが配置されていなければ、積層鉄心の端面に配置されるセンサによって、磁気構造の磁場を妨げられることなく検出することができる。
【0011】
本方法では、少なくとも1つのバランスセクションまたは全部のバランスセクションの製作後に磁性体が磁化されることが意図されるのが好ましい。非磁性の、または磁化されていない磁性体が積層鉄心に配置されてから、少なくとも1つのバランスセクションが製作されると、1つの好ましいコンセプトとなる。その際に発生する切り屑、粒子などは、まだ非磁性であるロータの特性に基づいてロータに付着せず、または、少なくとも容易に取り除くことができる。このように、積層鉄心の材料除去加工のときに発生する粒子、切り屑などが、軸受構造の軸受またはその他の同種の機械コンポーネントの中に入り得ない。ロータと、ステータのシャフト通過開口部との間のエアギャップも、このような種類の粒子によって汚れることがない。
【0012】
原則として、ロータがまず最初に積層鉄心によってバランシングされることが可能であり、それは、材料除去加工または溝付けによって1つまたは複数のバランスセクションが製作され、次いで、すでに磁化されている、または磁気的な永久磁石がロータないし積層鉄心に配置されることによる。ただしこのケースでは、積層鉄心に永久磁石が取り付けられた後でさらに別のバランシングが必要になる場合があり、そのようなケースでは、たとえばバランスウェイト、バランスディスクなどの追加ウェイトが利用されるのが好ましい。追加ウェイトは磁化可能な材料でできていてよいが、真鍮またはその他の同種の磁化可能でない材料もしくは非磁性材料からなるのが好ましい。
【0013】
基本的に、少なくとも1つのバランスセクションがたとえば積層鉄心の端面に配置されることが可能である。しかしながらバランスセクションは、回転軸に関して積層鉄心の径方向の外側円周にある接線方向の切欠きであることが意図されるのが好ましい。端面側と径方向外側とのバランシングの組合せも可能であり、すなわち、積層鉄心の端面にもその径方向の外側円周にも1つまたは複数のバランスセクションが設けられる。
【0014】
ロータがベクトル式にバランシングされると好ましい。ベクトル式のバランシングは、アンバランスの場所にではなく、そこから離れてバランスセクションが製作されることを意図する。アンバランスの場所でアンバランスの力がベクトル式に判定され、すなわち、アンバランスの少なくとも2つの異なる力ベクトルが判定される。両方の異なる力ベクトルを補償するために、互いに間隔を有するバランスセクションが積層鉄心に設けられる。
【0015】
1つの好ましいコンセプトは、ロータの回転軸に関して角度間隔をおいて配置された少なくとも2つのバランスセクションが、それぞれのバランスセクションの間のロータのアンバランスを補償するために積層鉄心に配置されることを意図する。この補償はたとえばベクトル式の補償である。
【0016】
複数のバランスセクションが設けられる場合、これらは回転軸に関して同一の長手方向位置で、またはほぼ同一の長手方向位置で、積層鉄心に配置されるのが好ましい。たとえば、ロータの本来のアンバランスがそれぞれの間に生じている両方の前述したバランスセクションが、回転軸に関して同一の長手方向位置に配置される。
【0017】
材料除去、溝付けなどによって積層鉄心が部分的にいわば脆弱化され、またはその容積に関して低減される。1つの好ましいコンセプトは、少なくとも1つのバランスセクションまたは全部のバランスセクションが、回転軸に関して積層鉄心が最大の径方向の材料厚みを有している積層鉄心の径方向の外側円周領域に配置されることを意図する。たとえば、バランスセクションの領域には空気通路などがない。
【0018】
少なくとも1つのバランスセクションまたは全部のバランスセクションが回転軸に関して径方向外側で、少なくとも1つの磁性体または永久磁石と同一の角度位置に配置されると好ましい。特に、1つまたは複数の磁性体がプレート状であるか、または平板形態を有していると、1つまたは複数のバランスセクションを製作するために、材料削減加工または溝付けに最善に適している積層鉄心の比較的大きい材料厚みが径方向外側に生じる。
【0019】
すでに述べたとおり、ロータに追加のバランスウェイトが配置されず、特に追加の真鍮バランスウェイトが配置されず、および/またはロータの端面にバランス体が配置されないと好ましい。
【0020】
たとえばロータが、ロータの一方または両方の端面で全面的に開いている、および/またはバランス体によって覆われていない流動断面を有する、回転軸と平行に延びる少なくとも1つの空気通路を有していると好ましい。
【0021】
原則として、磁性体またはロータの永久磁石はさまざまな幾何学的な輪郭の構成を有することができ、たとえば円柱の形状などを有することができる。しかしながら、少なくとも1つの磁性体または永久磁石がプレート状の形態および/または平板形態を有し、または磁気プレートとして構成されることが意図されるのが好ましい。
【0022】
磁石の配置は、ロータの回転軸に関して角度間隔を相互に有する、および/または回転軸を環状に取り囲む、複数の磁性体または永久磁石が積層鉄心に配置されるようになっているのが好ましい。このように、ロータの多数の磁極が設けられていてよい。
【0023】
基本的に、磁性体が積層鉄心に端面側で配置されることが可能である。しかしながら、励起コイル構造にできる限り最善に向かい合うためには、磁性体または永久磁石のために切欠きまたはその他の同種の収容部が設けられるコンセプトが適している。少なくとも1つの磁性体または永久磁石が積層鉄心の保持収容部に、特に差込収容部に収容されることが意図されるのが好ましい。保持収容部または差込収容部の中で、磁性体がクランプ嵌めで保持されるのが好ましい。あるいは磁性体を保持収容部の中でたとえば物質接合式に保持し、接着するなども可能である。
【0024】
積層鉄心の保持収容部の中での磁性体または永久磁石の機械的な固定として、次のような方策が適している:保持収容部の差込断面に保持突起が突き出しており、該保持突起に、特にその端面に、少なくとも1つの磁性体または永久磁石が、磁性体または永久磁石を保持収容部へ差し込み可能である差込方向と反対向きに支持されることが意図されるのが好ましい。たとえば保持突起は、磁性体または永久磁石が保持収容部へ差し込まれるときに差込方向へと連行され、その際に湾曲または変形し、それにより端面側で、および/または斜めに磁性体または永久磁石の端面に当接して、差込方向と反対向きに保持収容部から出ようとする磁性体または永久磁石の運動を阻止またはブロックする舌部状の突起によって構成される。
【0025】
基本的に、複数の磁性体を順々に磁化可能であることが可能である。しかしながら磁性体を磁化するために、ロータの回転軸に関して磁性体の角度間隔に相当する角度間隔をおいて複数の磁化ヘッドを有する磁化装置が利用されることが意図されるのが好ましく、それにより、磁気構造の所望の磁極化に応じて複数または全部の磁性体を磁化装置を用いて同時に磁化可能である。その場合には、磁化ヘッドに関してロータを正しい角度で位置決めするために位置決め装置が利用されると好ましい。たとえば位置決め装置は機械的なストッパを有していて、ロータの対応ストッパまたはその他のコーディングがこのストッパに突き当たる。あるいは磁化装置に関してロータを位置決めするために、たとえば画像認識、カメラなどを用いる光学式の方策も適している。
【0026】
基本的に、モータシャフトと積層鉄心の間に、モータシャフトを積層鉄心から電気的に絶縁する絶縁体が配置されることが可能である。
【0027】
絶縁体はたとえば注型体であってよい。
【0028】
モータシャフトと積層鉄心の間に、シャフト通過開口部に差し込まれ、モータシャフトが差込軸に沿って差込収容部へ差し込まれる差込開口部を備えた差込収容部を有する、絶縁スリーブが配置されることが意図されるのが好ましい。
【0029】
ここでの基本思想は、駆動モータの組立または製造が簡易化されるというものである。絶縁スリーブは、積層鉄心のシャフト通過開口部に差し込まれ、さらにそれ自体がモータシャフトの差込または挿通のための差込収容部を提供する、簡易な差込体を形成する。まず最初に絶縁スリーブがシャフト通過開口部に差し込まれてから、絶縁スリーブの差込収容部にモータシャフトが差し込まれると好ましい。あるいは原則として、まず最初にモータシャフトが絶縁スリーブの差込収容部に差し込まれ、次いで、モータシャフトに配置されている絶縁スリーブがシャフト通過開口部に差し込まれることも考えられる。
【0030】
絶縁スリーブは、差込軸に関する積層鉄心の全面的な長さにわたって延びるのが好ましい。すなわちこのようにして、積層鉄心が保持されるモータシャフトの保持区域が、絶縁スリーブを用いて積層鉄心から電気的に全面的に絶縁される。
【0031】
積層鉄心が絶縁スリーブのみによってモータシャフトから電気絶縁されることも可能である。あるいはさらに別の絶縁措置が講じられることも可能であり、すなわち、たとえばモータシャフトそのものが、駆動モータが組み付けられた状態にあるときに絶縁スリーブとモータシャフトとの間に配置される絶縁層をさらに有することが可能である。さらに、絶縁スリーブが積層鉄心のシャフト通過開口部に差し込まれているが、さらに、たとえばプラスチック材料などで注型されることが考えられる。それによって追加の絶縁が提供される。
【0032】
モータシャフトは、絶縁スリーブの差込開口部の前に、および/または差込開口部に対して反対を向くほうの絶縁スリーブの長手方向端部領域に設けられる差込収容部の出口開口部の前に、突出するのが好ましい。すなわち、たとえばモータシャフトは絶縁スリーブの前に両側で突出することができ、そこでたとえば軸受構造によって、特に球軸受、ころ軸受、またはその他の同種の転がり軸受によって、ステータに関して回転可能に支承される。ただしここで付言しておくと、絶縁スリーブがたとえば軸受のうちの1つまで延びることもでき、すなわち、たとえば軸受の軸受収容部とモータシャフトとの間に絶縁スリーブがサンドイッチ状に電気絶縁を提供することができる。
【0033】
絶縁スリーブは、差込軸に関して積層鉄心に突き当たるための少なくとも1つの長手方向ストッパを有するのが好都合である。長手方向ストッパは、たとえば回転軸または差込軸に関して径方向で絶縁スリーブの管状区域の前に突出する、径方向の突起を含むことができる。
【0034】
絶縁スリーブは、差込軸に関して積層鉄心に支持されるために絶縁スリーブの管状区域の前に突出するフランジ体を有するのが好都合である。管状区域はたとえば全面的に、または実質的に、シャフト通過開口部に収容される。フランジ体は環状フランジ体であってよく、すなわち、回転軸または差込軸を中心として環状に延びる。あるいはフランジ体が部分環状体であり、すなわち全面的に環状ではないことも可能である。
【0035】
ロータに配置される磁石構造は、磁石、特に永久磁石を含む。
たとえば、磁化された、またはロータの積層鉄心で磁化されるのに適した、磁石の磁気体は、アルミニウム-ニッケル-コバルト、ビスマノールすなわちビスマスマンガンと鉄の合金、フェライト、たとえば硬磁性フェライトであってたとえばバリウム、ストロンチウムをベースとするもの、ネオジム-鉄-ホウ素(NdFeB)であって好ましくはジスプロシウムの添加物を含むもの、サマリウム-コバルト(SmCo)であって好ましくは20~25%の鉄成分を含むもの、たとえばSmCos、Srri2Coi7、Sm(Co,Cu,Fe,Zr)Zなどからなる。希土類磁石またはプラスチックマグネットも可能である。さらに、AlNiCo合金、PtCo合金、CuNiFeおよびCuNiCo合金、FeCoCr合金、マルテンサイト鋼、またはMnAlC合金が磁石体に適している。
【0036】
駆動モータは、ブラシレスモータまたは電子整流モータであるのが好ましい。特に、駆動モータのそれぞれのステータが永久磁石を有するか、または永久磁石によって励起されると好ましい。
【0037】
ロータおよび/またはステータの積層鉄心は、積層された電気鉄板または変圧器鉄板からなるのが好ましい。
【0038】
駆動モータのステータは、特にポリアミドなどのプラスチックからなる支持体を含むのが好都合である。支持体は、たとえばステータの積層鉄心への注型および/または押出被覆によって製作される。支持体が、積層鉄心に差し込まれる1つまたは複数の差込体または差込支持体を含むことも可能である。たとえば積層鉄心の一方または両方の端面に、このような種類の差込支持体が差し込まれていてよい。支持体は、ロータ収容部領域で、および/または積層鉄心の一方または両方の端面の領域で、積層鉄心を覆うのが好ましい。支持体には、励起コイル構造のコイル導体を収容するための支持部、支持突起、アングルヘッドなどが設けられるのが好ましい。さらに支持体は、接続導線を接続するための電気的な接続コンタクトまたは接続装置を有するのが好ましく、これによって駆動モータを通電装置と結合可能であり、または結合される。
【0039】
次に、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。図面は次のものを示す:
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、2つの電気的な駆動モータと、これらの駆動モータを有する手動工作機械とのシステムを示す斜視外観図である。
【
図2】
図2は、
図1のシステムの駆動モータのうちの一方を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図2の切断線A-Aに沿ったシステムの断面図である。
【
図4】
図4は、
図1のシステムの他方の駆動モータを、
図2に準ずる切断線A-Aにほぼ沿って示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図4の駆動モータの絶縁スリーブを示す外観図である。
【
図6】
図6は、
図4の駆動モータのロータを示す外観図である。
【
図7】
図7は、製造時における
図6のロータを、
図6の切断線B-Bにほぼ沿って示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図7にほぼ準ずる図であるが、ここではモータシャフトがロータ積層鉄心へ全面的に差し込まれている。
【
図11】
図11は、接続装置を明示するために
図10のステータを切断線C-Cに沿って示す断面図である。
【
図16】
図16は、
図10から14に接続装置の組立と加工を、
図10にほぼ準じて溶接プライヤーとともに斜視外観図で明示するための斜視外観図である。
【
図22】
図22は詳細部分D4であるが、溝蓋がさらにステータ溝の中へ位置調節されている。
【
図23】
図23は、溝蓋の組付けが完了した詳細部分D4である。
【
図24】
図24は、
図19の溝蓋を製作するため、および
図21から23のステータにこれを組み付けるための組立装置を示す模式図である。
【
図25】
図25は、前述のモータのロータの区域を
図6の部分D5にほぼ準じて示す斜視外観図である。
【
図26】
図26は、前図のロータのバランス調整をするためのバランス調整装置を示す模式図である。
【
図27】
図27は、前図のロータを磁化装置とともに示す模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、駆動モータ20が作業用工具の工具収容部301をたとえば直接的に、または図面には見えていない伝動装置を介して駆動する手動工作機械300、たとえば鋸機械を含むシステム図を示している。工具収容部301に、たとえば切断工具、鋸工具などの作業用工具302を配置可能であり、または配置されている。駆動モータ20は工作機械300のハウジング303に収容されており、スイッチ304によってオンおよびオフすることができる。スイッチ304により、駆動モータ20の回転数も調整可能であるのが好ましい。
【0042】
手動工作機械300に電気的な電流供給をする役目を果たすのが、エネルギー供給網EVに接続をするための接続ケーブル305である。エネルギー供給網EVは、たとえば110V交流電圧、230V交流電圧などの供給電圧P1を提供する。手動工作機械300は、スイッチ304と駆動モータ20との間に介在する通電装置306を有することができる。
【0043】
駆動モータ20は、吸引器具400を作動させるためにも意図されていてよく、特に、吸引器具400の吸引タービンを駆動するためにも意図されていてよい。吸引器具400は駆動モータ20を有しており、たとえば接続ケーブル405によってエネルギー供給網EVに接続可能である。
【0044】
いずれの場合にも電圧P1は、手動工作機械200のエネルギー蓄積器205を提供する電圧P2よりも明らかに高く、たとえば少なくとも4倍から5倍だけ高い。電圧P2は、たとえば14V、18Vなどの直流電圧である。
【0045】
手動工作機械200は、たとえば電動ドライバー、ドリル機械などである。手動工作機械200のハウジング203には、低いほうの電圧P2に適した駆動モータ120が収容されている。駆動モータ120は、エネルギー蓄積器205によって電気エネルギーの供給を受ける通電装置206から通電を受ける。駆動モータ120は、たとえばドリル工具やドライバー工具などの作業用工具202のための工具収容部201を直接的に、または伝動装置208を介して駆動する。通電装置206は、スイッチ204によってスイッチオン可能、スイッチオフ可能、および/または駆動モータ120の回転数の調整のために構成される。
【0046】
駆動モータ20,120は、部分的に同一または類似のコンポーネントを有する。
【0047】
たとえば駆動モータ20,120では、選択的に使用可能なモータシャフト30および130がそれぞれ軸受区域31,32を有していて、これらの間に保持区域33が設けられる。軸受区域32は、工具収容部201または301を駆動する役目を果たすアウトプット区域34の横にある。アウトプット区域34にはたとえば歯車が配置されていてよく、または配置可能であってよい。別案として、モータシャフト130には図示するように噛合部35が存在する。保持区域33は、平坦な、すなわち形状接合輪郭形成部を有さないそれぞれの区域37の間に延びる形状接合輪郭形成部36を有するのが好ましい。
【0048】
形状接合輪郭形成部36は、たとえばモータシャフト30の長軸Lに対して平行に延びる溝および/または突起36Aを含む。
【0049】
あるいは波形溝、ハニカム状の構造などが形状接合輪郭形成部36として設けられてい
モータシャフト130の形状接合輪郭形成部136は、たとえば長軸Lに対して斜めに傾いた形状接合突起136Aを含む。ただし形状接合突起136Aは、たとえば5度から15度の低い傾斜を有しており、それにより、形状接合突起136Aは長軸Lに対して実質的に平行に延びる。
【0050】
形状接合輪郭形成部36,136は、たとえば形状接合輪郭36B,136Bを構成する。
【0051】
アウトプット区域34は、ファンインペラを駆動するために意図されていてよい。たとえば、たとえば噛合部35と軸受区域32との間に配置されるファンインペラ保持部38がモータシャフト130に設けられる。
【0052】
モータシャフト30または130は、ロータ40,140の積層鉄心41または141と回転不能に結合可能である。積層鉄心41,141は、長軸Lに対して横向きに並んで配置された薄板43を連続構造で有しており、たとえば、それ自体周知の種類の電気鉄板や変圧器鉄板を有している。
【0053】
積層鉄心41,141は、それぞれ異なる直径を有するシャフト通過開口部42,142を有している。シャフト通過開口部42は、シャフト通過開口部142よりも大きい直径を有している。シャフト通過開口部42には、モータシャフト30または130を絶縁スリーブ60を用いて挿入することができ、それに対して、シャフト通過開口部142にはモータシャフト30または130を直接挿入することができ、すなわち、絶縁スリーブやこれに類する他の物体が必要ない。
【0054】
絶縁スリーブ60は絶縁体60Aを構成し、これによって積層鉄心41が、それぞれこれを担持するモータシャフト30または130から電気的に絶縁される。
【0055】
積層鉄心41および141には磁石構造50が配置されている。積層鉄心41または141は、磁石構造50の磁石50のための保持収容部45を有している。たとえば4つの保持収容部45およびこれに付属する磁石51が設けられ、それにより、ロータ40,140は全部で4つの磁極を形成することになる。磁石51は、たとえば永久磁石である。
【0056】
磁石51は、たとえばプレート状の形態を有する。磁石51は、たとえば磁気プレートまたはプレート体56である。保持収容部45はそれに応じてプレート状の、すなわち平坦で長方形の立体的なプレート体または磁気プレートの収容に適しており、相応の内側円周輪郭を有する。
【0057】
保持収容部45と磁石51は、モータシャフト30,130の長軸Lに対して平行に、ないしはモータ20,120の回転軸Dに対して平行に延びている。
【0058】
さらに、特に積層鉄心41,141としてのロータ40は、モータシャフト30,130の長軸Lに対して平行に延びてロータ40,140の端面44で開いている空気通路46により貫通されており、それにより、積層鉄心41,141を空気により貫流可能である。
【0059】
シャフト通過開口部42,142は、実質的に円形の内側円周輪郭を有しているが、回り止め輪郭47、特に回り止め収容部47Aをさらに追加的に有するのが好ましい。回り止め輪郭47は、たとえば回転軸Dまたは長軸と平行に延びる長手方向溝47Bである。
【0060】
両方のモータシャフト30,130を、それぞれ積層鉄心41,141に挿入することができる。
【0061】
シャフト通過開口部142が他方の積層鉄心41のシャフト通過開口部42よりも小さい直径を有している積層鉄心141では、それぞれのモータシャフト30,130をシャフト通過開口部142へ直接挿入することができ、たとえば押し込むことができる。
【0062】
シャフト通過開口部42の内側円周を区切る、またはその中へ突出する、薄板43の狭小面または端面はモータシャフト30,130と爪固定されるのが好ましく、それにより、モータシャフトが力方向で回転軸Dまたは長軸Lに対して平行に、積層鉄心141の中でスライド不能に収容される。積層鉄心141および好ましくは金属からなるモータシャフト30,130の導電性は、積層鉄心141とモータシャフト30,130との間の直接的なコンタクトにもかかわらず可能であり、それは、ロータ140が駆動モータ120との使用のために、およびそれに伴って低いほうの電圧P2用として意図されるからである。
【0063】
それに対してロータ40では絶縁措置が講じられており、それにより、モータシャフト30,130および付属の積層鉄心41の導電性にもかかわらず、電気的な安全性が与えられる。
【0064】
すなわちロータシャフト30,130は、絶縁スリーブ60を用いて積層鉄心41に収容される。絶縁スリーブ60は、シャフト通過開口部42の中に収容される区域で、いわばモータシャフト30,130の保護外套または外側の被覆を構成する。
【0065】
絶縁スリーブ60はその長手方向端部61,62の間に、積層鉄心41とモータシャフト30,130との間でサンドイッチ状に配置されてこれを積層鉄心41に対して電気的に絶縁する管状区域63を有している。
【0066】
管状区域63は、長手方向端部61から長手方向端部62へと延びる、モータシャフト30,130を挿通するための差込収容部64を有している。差込収容部64は、長手方向端部61の領域に差込開口部64Aを有していて、これを通してモータシャフト30を差込収容部64の中へ差込可能である。モータシャフト30は、出口開口部64Bのところで差込収容部64から外に出る。
【0067】
差込収容部64は長手方向端部61の領域に、すなわち長手方向端部領域61Aでは、小さい直径W2およびそれに伴って小さい内側断面WQ2が存在する長手方向端部62の領域よりも、すなわち長手方向端部領域62Aよりも、大きい直径W1およびそれに伴って大きい内側断面WQ1を有している。たとえばモータシャフト30,130の直径は、長手方向端部61,62の領域ではおよそ10mmである。それに対して直径W2は、モータシャフト30,130が差込収容部64へ差し込まれる前には、約0.2mmから0.3mmだけ直径W1よりも小さい。すなわちモータシャフト30,130が、
図7に示すように、長手方向端部61から長手方向端部62へと差込軸Sに沿って絶縁スリーブ60に差し込まれるとき、当初は容易に、もしくは差込軸Sに関して横方向クリアランスをもって、長手方向端部61のところで差込開口部64Aに入り込み、そこに差込収容部64は直径W1を有している。直径W1は、差込収容部64へ差し込むために意図される長手方向の自由端におけるモータシャフト30,130の直径よりも若干大きいのが好ましい。差込開口部64の領域は、モータシャフト30,130が絶縁スリーブ60もしくは回転軸Dに関してセンタリングされるセンタリング区域を構成する。たとえばモータシャフト30は、直径W1の領域と直径W2の領域にいずれも同一の外側断面または外径を有する。
【0068】
その代替または補足として、たとえばモータシャフト30が、差込収容部64の長手方向端部61,62に割り当てられた第1の外側断面AQ1および第2の外側断面AQ2を有することも可能であり、第1の外側断面AQ1は第2の外側断面AQ2よりも小さい。モータシャフト30のこの実施形態では、直径W1およびW2が、およびそれに伴って差込収容部64の内側断面が、長手方向端部61および62の領域で同一であるか、またはほぼ等しいことも可能である。
【0069】
差込収容部64は長手方向端部61,62の間で、直径W1から直径W2へと連続的に狭くなっていくのが好ましい。あるいは、直径W1と直径W2との間に少なくとも1つの段部が存在することも可能であろう。差込収容部64は、長手方向端部61から長手方向端部62へと狭くなっていく差込テーパ部を有するのが好ましい。
【0070】
長手方向端部61には、差込収容部64へのモータシャフト30,130の差込プロセス容易にするために、挿入斜面65、たとえば挿入テーパ部が存在するのが好ましい
モータシャフト30,130が差込軸Sに沿って差込収容部64の中へ差し込まれるとき、モータシャフト長手方向端部62の方向へ次第に進んでいき、長手方向端部62に向かって狭くなっていく管状区域63をいわば広げていく。
【0071】
組立は次のように行われる:
まず、絶縁スリーブ60が積層鉄心41シャフト通過開口部42に差し込まれる。
【0072】
シャフト通過開口部42の差込断面または内側断面が、絶縁スリーブ60の差込のために意図される長さ全体にわたって等しいか、またはほぼ等しいことが意図されるのが好ましい。
【0073】
あるいはシャフト通過開口部42が、絶縁スリーブ60の差込のために意図される長手方向端部領域41Aで、この長手方向端部領域と反対側の長手方向端部領域41Bよりも大きい内側断面を有することも可能である。
【0074】
そしてモータシャフト30,130が、差込収容部64に差し込まれる。このようにモータシャフト30,130は、差込軸Sに沿って差込収容部64へ差し込まれるときに、管状区域64の径方向の外側円周を、シャフト通過開口部42の径方向の内側円周の方向に押圧する。薄板43は、シャフト通過開口部42のほうを向く狭小面をもって、円周壁66に歯状に食い込むのが好ましい。
【0075】
差込収容部64は積層鉄心41の手前の領域まで狭い直径W2を有しており、それによりモータシャフト30,130は、差込収容部64の当該領域に達したときに、管状区域63の円周壁66を差込軸Sに関して径方向外側に向かって拡張し、そのようにして、管ないし管状区域63をいわば伸長させる。それにより、積層鉄心41の端面44に係合ないし後方係合する、段部67を有する形状接合部分75が円周壁63の外側円周に形成される。すなわち段部63は、モータシャフト30,130を差込収容部64へ差込可能である差込方向と逆向きの力方向をもって、絶縁スリーブ60を積層鉄心41で保持する。
【0076】
絶縁スリーブ63は、他方の長手方向端部領域すなわち長手方向端部61に、差込軸Sまたは長軸Lに関して径方向外側に向かって管状区域63の前に突出するフランジ体68を有している。
【0077】
フランジ体68は差込軸Sに関して長手方向ストッパ68Aを構成し、たとえば積層鉄心41の端面44に長手方向端部61の領域で支持される。フランジ体68は、たとえばその径方向の外側円周から差込収容部の64の方向へと延びる、すなわち径方向内側に差込軸Sへと延びる、補強リブ69を有する。補強リブ69は、たとえば積層鉄心41と反対を向くほうのフランジ体68の端面71に配置される。
【0078】
さらに差込開口部64Aには、モータシャフト30,130のための支持ストッパ70が設けられており、モータシャフト30,130の支持ストッパ39が、たとえば段部が、差込軸Sと平行な力方向をもってこれに突き当たることができる。支持ストッパ70は、たとえば絶縁スリーブ60の端面71と差込収容部との間の段部によって構成される。
【0079】
絶縁スリーブ60は長手方向端部62の領域で、または出口開口部64Bで、長手方向端部61の領域よりも小さい外側円周または直径を有するのが好ましい。たとえば長手方向端部62には、積層鉄心41シャフトの通過開口部42への絶縁スリーブ60の差込を容易にする挿入斜面72が設けられる。長手方向端部62は、たとえば差込突起として構成される。
【0080】
絶縁スリーブ60は長手方向端部62のところで、絶縁区域76を形成する管状区域73をもって積層鉄心41端面44の前に突出するのが好ましく、それにより、そこで一方におけるモータシャフト30,130と他方における薄板43との間で電気絶縁が与えられる。
【0081】
それに対して他方の長手方向端部61では、いわば側方でシャフト通過開口部42の前に突出する、または突き出すフランジ体68が電気的な絶縁のために作用し、同じく絶縁区域76を構成する。このようにフランジ体68の領域でも管状区域73でも、電圧P1に関する電気的絶縁のために好適である、たとえばおよそ8mmから10mmの電気的な絶縁距離、たとえばクリアランス・沿面距離がもたらされる。
【0082】
絶縁スリーブ60の径方向外側円周には、特に管状区域63の長手方向長さ全体にわたって、積層鉄心41の回り止め輪郭47に係合するための回り止め輪郭74が配置されるのが好ましい。回り止め輪郭74は、たとえば差込軸Sないし回転軸Dに対して平行に延びる回り止め突起74Aとして、特に長手方向突起または長手方向リブ74Bとして構成される。
【0083】
絶縁スリーブ60は、モータシャフト30,130と積層鉄心41との間にクランプ嵌めまたはプレス嵌めで収容される。それによって摩擦接合が具体化される。
【0084】
さらに、回り止め輪郭47,74によって形状接合がさらに存在し、それによって絶縁スリーブ60が回転軸Dに関して、および/またはこれに対して横向きに、積層鉄心41に形状接合式に保持される。
【0085】
モータシャフト30,130の形状接合輪郭形成部36,136は管状区域63の内側円周に歯状に係合し、それにより、モータシャフト30,130もその回転軸Dもしくは長軸Lに関して回り止めされて、および/または回転軸Dもしくは長軸Lに関してスライド固定されて、絶縁スリーブ60の中に収容される。形状接合輪郭形成部36,136は、対応形状接合輪郭形成部を管状区域36の内側円周で構成するのが好ましく、すなわち、たとえば管状区域63の内側円周を可塑的に変形させ、それにより、形状接合輪郭形成部36,136がこの対応形状接合輪郭部と形状接合式に係合する。対応形状接合輪郭形成部の可塑的な変形または型押は、たとえば絶縁スリーブ60へモータシャフト30,130が差し込まれるときに生成または形成される。
【0086】
すなわち絶縁スリーブ60は、追加の方策なしに積層鉄心141へ直接差し込むことができるモータシャフト30,130を、積層鉄心41とともに容易に利用可能にすることも可能にする。さまざまに異なるモータシャフトを設計する必要がない。幾何学的にはモータシャフト30,130は、積層鉄心41または141との結合のために意図される保持区域33のところで同一である。たとえば、それぞれの保持区域33の長さと直径は同一である。ただし、積層鉄心41または141のそのつど最善の保持のために、それぞれ異なる表面および/または表面輪郭形成部が、モータシャフト30,130の保持区域33の領域に設けられることも可能である。
【0087】
シャフト通過開口部42または142には、突出する受け部突起43Aが絶縁スリーブ60の管状区域63の径方向の外側円周に、またはモータシャフト30,130の保持区域33の径方向の外側円周に、食い込むのが好ましい。絶縁スリーブ60にはたとえば形状接合部分75Aが構成され、すなわち、
図5に模式的に示すようにたとえば形状接合収容部75Bが構成され、これに受け部突起43Aが係合する。管状区域63の径方向の外側円周は、たとえばモータシャフト30により、差込軸Sまたは回転軸Dに関して径方向外側に向かって押し除けられ、その際に受け部突起43Aが管状区域63に食い込んで、これに好ましくは爪固定される。
【0088】
受け部突起43Aは、たとえばシャフト通過開口部42または142のほうを向いている薄板43の端面に設けられる。それぞれの受け部突起43Aの間には、特に受け部突起43Aの各グループの間には、回転軸Dに関して、たとえば角度間隔および/または長手方向間隔などの間隔が存在するのが好ましい。受け部突起43Aは、絶縁スリーブ60をシャフト通過開口部42の中で、またはモータシャフト30,130をシャフト通過開口部142の中で、回転軸Dに対して平行に、および/または回転軸Dに関して円周方向に保持する。回転軸Dを中心とする角度間隔をおきながら、複数の受け部突起43Aが設けられるのが好ましい。絶縁スリーブ60は、その中に差し込まれるモータシャフト30によって径方向外側に向かって押し除けられ、その結果、受け部突起43Aが絶縁スリーブ60の外側円周または外套または円周壁66に食い込み、特に爪状に食い込む。
【0089】
駆動モータ20,120のロータ40,140は、励起コイル構造86を有するステータ80とともに使用することができる。励起コイル構造86は、さまざまに構成される励起コイル87、たとえば多い巻線または少ない巻線を備えた、あるいはさまざまに異なる導体断面等を備えた励起コイル87を有することができ、それは、励起コイル87を通って流れるさまざまに異なる電圧P1およびP2および/または電流の電流強さに対応するためである。
【0090】
ステータ80は、通過開口部として構成された、ロータ40,140のためのロータ収容部82を備える積層鉄心81を有している。ロータ収容部82の中にロータ40,140が回転可能に収容され、このとき積層鉄心81と積層鉄心41,141との間には、それ自体周知の方式で細いエアギャップが存在する。
【0091】
積層鉄心81は、プレート平面が駆動モータ20,120の回転軸Dに対して横向きに延びる薄板83、たとえば電気鉄板または変圧器鉄板を有している。それぞれのモータシャフト30,130が積層鉄心81の端面84,85の前に突出し、そこで軸受構造24Aの軸受24,25に回転可能に支承される。
【0092】
軸受24,25は、ステータ80を端面側で閉止する軸受カバー21,22により軸受収容部23で保持される。
【0093】
軸受24,25は、軸受カバー21,22の軸受収容部23に挿入されていてよく、特に圧入されていてよい。あるいは、軸受24,25が軸受カバー21,22の材料で押出被覆または注型されることも可能である。
【0094】
たとえば軸受カバー21,22は積層鉄心41と、または積層鉄心41を担持する支持体90と、固定的に結合され、たとえばねじ止めされ、接着され、または好ましくは溶接される。
【0095】
軸受カバー21,22ならびに支持体90はプラスチックから、特に熱可塑性プラスチックからなるのが好ましい。軸受カバー21,22ならびに支持体90について同一のプラスチック、たとえば同一の熱可塑性プラスチックが使用されるのが好ましい。
【0096】
たとえば支持体90は、積層鉄心81が注型される注型法で製作される。
【0097】
支持体90は、軸受カバー21,22のための軸受カバー収容部91を有している。軸受カバー収容部91の中に、たとえば軸受カバー21,22の円周壁26を、たとえばその端面をもって差込可能である。
【0098】
軸受カバー21は、モータシャフト30,130のアウトプット区域34の近いほうに配置されている。軸受カバー22は、これから離れた領域に配置されている。軸受カバー21,22は、互いに反対方向を向く長手方向端部領域で積層鉄心81を閉止する。軸受カバー21は積層鉄心41,141の端面の前に、軸受カバー22よりも離れていないところで突出する。軸受カバー21は、フランジ体68のための収容スペース21Aを有している。
【0099】
軸受24は軸受25よりも、潜在的に電流を通す積層鉄心41、81の近くにある。
【0100】
軸受24と軸受25は、軸受区域31およびそれに伴ってモータシャフト30,130と導電結合されているため、励起コイル構造86からモータシャフト30,130へ電圧がフラッシオーバするという危険がそれ自体としては存する。
【0101】
しかし電気絶縁性のフランジ体68によって十分な電気絶縁距離が与えられるので、そのような危険が存しなくなる。
【0102】
それに対して軸受25は回転軸Dに関して、積層鉄心41、81の端面に対してさらに大きい長手方向距離を有しており、その結果、たとえば軸受25の領域での励起コイル構造86からモータシャフト30,130への電気的なフラッシオーバの危険がここでも生じない。さらに、軸受カバー22の方向で積層鉄心41の前に突出する、絶縁スリーブ60の電気絶縁性の管状区域73が十分な電気絶縁のために作用する。
【0103】
励起コイル87のコイル導体88は積層鉄心81の中で、たとえば回転軸Dに対して平行に配置される、またはこれに対して傾いて配置される、溝89を通過して延びている。溝89は、ロータ収容部82の内側円周82Aに向かって開いた挿入開口部89Dを有している。溝89は、それぞれの端面84,85の間に延びている。挿入開口部89Dを通してコイル導体88を溝89へ挿入し、たとえば積層鉄心81のコイルヘッドまたはコイルハンマーの周りに巻き付けることができる。
【0104】
それぞれの溝89の間にある、ステータ80のロータ収容部82のほうを向いている積層鉄心81の区域は内張り92で覆われており、たとえばプラスチックで押出被覆されているが、溝89が当初は開いているので、コイル導体88をその中に挿入することができる。
【0105】
励起コイル87はさらにステータ80の端面84のところで、いわばコイルヘッドを構成する支持突起93に巻き付けられている。
【0106】
これと反対側の端面85には支持突起94が設けられており、これも同じく励起コイルのコイル導体を巻き付けるために適しているが、いくつかの実施形態では巻き付けがなされない。
【0107】
端面85は、いわば駆動モータ20,120の接続側となる。そこに接続装置100が設けられていて、たとえば通電装置206,306との電気的な結合のために接続導線15をこれに接続可能であり、または接続される。接続導線15は、通電装置206,306に差し込むためのコネクタを有している。接続装置100をターミナルと呼ぶこともできる。
【0108】
接続導線15は、たとえば接続装置100に差し込まれていてよく、あるいはこれと直接はんだ付けされていてもよい。接続装置100は、たとえば接触突起として構成された接続コンタクト領域101を有していて、接続導線と結合された接続コネクタをこれに差し込むことができる。さらに接続コンタクト領域101には穴102が設けられていて、たとえば接続導線15の接続導体がこれに挿通されて接続装置100とはんだ付けされ、またはその他の方式で電気的に結合されていてよい。たとえば、このような種類の接続導体を接続装置100と溶接することも容易に可能であろう。
【0109】
接続装置100は、差込組立によって支持体90に配置可能である。支持体90は、接続装置100のためのホルダ95を有している。ホルダ95は差込収容部96を含んでいて、これに接続装置を差込可能である。差込収容部96は、支持体90の端面85の前に突出するそれぞれの収容突起97の間に設けられている。たとえば収容突起97は互いに向かい合う溝98を有していて、その中に、接続装置100の前に側方で突き出す差込突起104を、たとえばさねはぎ継ぎのような形式で差込可能である。
【0110】
差込突起104は、それぞれの接続装100の本体103の前に側方で突出する。差込突起103は、接続コンタクト領域101の長手方向に対して横向きに本体103の前へ突出する。差込突起104と接続コンタクト領域101は、全体としてほぼT字型のコンフィグレーションを構成する。たとえば本体104はいわば基体脚部を構成し、ここから差込突起104が側方脚部のような形式で側方に突出する。ただし、差込突起104と本体103の基本平面は相違している。本体103と差込突起104との間に、たとえばS字型の、または互いに反対方向を向く湾曲または底面区域を有する移行区域106が設けられている。すなわち、このように差込突起104は本体103の裏面115の前に突出する。
【0111】
差込突起104は本体103の前に突出する自由端領域に、特に噛合部105A、逆鉤などの形状接合輪郭105を有していて、これによって差込収容部96との形状接合式の保持が可能である。差込突起104は、形状接合輪郭105を用いて、いわば支持体90の差込収容部96に爪固定することができるのが好ましい。特に、あとでまた説明する接続装置100の加熱時における差込収容部96の領域での、特に溝98の領域での支持体90の溶融は、一方における差込突起104と、特にその形状接合輪郭105と、他方における支持体90の材料との間の形状接合式の結合が差込収容部96の領域で、特に溝98の領域で成立することにつながる。
【0112】
噛合部105Aはたとえば交差部を有し、すなわち、たとえば歯105Bが差込突起104の主平面に対して横向きにその前に突出する。
【0113】
接続装置100は、コイル導体88のそれぞれ接続されるべき区域を収容するための導体収容部107を有している。導体収容部107は、一方における本体103の前面114と、他方における、結合区域109によって本体103と結合された、接続装置100の収容アーム108との間に構成されている。特に、本体103、結合区域109、および収容アーム108が一体的であると好ましい。本体103の側方脚部または差込突起104も、これと一体的であるのが好ましい。導体収容部107のほうを向いている結合区域109の内面は、導体収容部107の収容区域または収容窪み116Aを構成する。
【0114】
導体収容部107は、収容窪み116Aの領域に、載置面107Aならびにこれに対して角度をなす狭小面107Bを有している。狭小面107Bと広い載置面107Aとの間に、載置面107Aおよび狭小面107Bに対して斜めに傾いた斜面107Cが、少なくとも1つのコイル導体88を支持するために配置されている。斜面107Cは、たとえば面取部、湾曲面または円弧状の面などであってよい。いずれの場合にも斜面107Cは、コイル導体88が鋭利なエッジの上に載ることを防止する。
【0115】
接続装置100は、まず最初に基本材料から打ち抜かれ、次いで相応の成形によって、上に説明した形態にされる打抜き・曲げ部品として構成されるのが好ましい。
【0116】
導体収容部107へのコイル導体88の組付および/または取付および/または電気コンタクトは、次のように行われる:
当初は導体収容部107が開いており、すなわちそれは、収容アーム108がまだ本体103から大きく屹立していることによる。たとえば
図12および14を参照。このときにコイル導体88が導体収容部107の底面116まで、すなわち結合区域109の内側円周まで、到達することができる。たとえば
図12を参照。ただし、このようなコンフィグレーションはどちらかというと望ましくなく、したがって追加の支持方策によって、たとえば組立装置250の支持部251によって、導体収容部107の底面116から離れた位置でコイル導体88が保持される。
【0117】
しかしながらこのコンフィグレーションは、支持体90が支持輪郭99を有していて、その上でコイル導体88が組付時に、ないしは接続装置100の閉止時に、支持されるように行われるのが好ましい。
図10および11を参照。すなわちコイル導体88が支持輪郭99の上に載置され、それにより底面116と接触しない。支持輪郭99は、たとえば溝98と反対を向くほうの収容突起97の外面に設けられる。たとえば支持輪郭99は、それぞれの収容突起97と、収容突起97が屹立している支持体90の部分との間の段部として構成される。
【0118】
底面116から引き上げられたコイル導体88の位置は、以後の閉止操作と溶接操作にとって好ましい。このような位置が特に好ましいのは、たとえばコイル導体88Bのように(
図11)、断面積の小さいコイル導体が使用される場合である。このようなコイル導体88Bは、収容アーム108が本体103に向かって動かされ、それによりその自由端113をもって本体103の前面114に当接しているときでさえ、あとで説明する溶接プロセスで明らかに加熱される底面116に対して間隔を有することができる。
【0119】
コイル導体88Bは、たとえば励起コイル構造86Bの励起コイル87Bの構成要素をなす。
【0120】
収容アーム108は、結合区域109と反対を向くほうの端部領域に、収容アーム108の中央のアーム区域110から角度をなして屹立する閉止脚部111を有している。たとえば、中央のアーム区域110と閉止脚部111との間に湾曲区域または結合区域112が設けられる。閉止脚部111は、中央のアーム区域110から本体103の前面114の方向へと突出し、それによりその自由端113が、導体収容部107が閉じた状態のときに前面114に接触し、それに対して、中央のアーム区域110と本体103の前面114との間には、導体収容部107を定義する間隔が存在する。
【0121】
接続装置100を閉止して溶接するための役目を果たすのは、組立装置250の溶接プライヤー252である。溶接プライヤー252はプライヤーアーム253,255を有していて、接続装置100とのコンタクトのために意図されるこれらの自由端領域に、支持面254,256が設けられている。接続装置100との係合のために意図されるプライヤーアーム253,255の自由端領域は鋭利に終わっており、すなわち先端部257を形成する。特に、接続装置100の裏面115に支持面254をもって支持されるように作用するプライヤーアーム253では、このような尖った細いプライヤーアーム253の構成が好ましい。
【0122】
プライヤーアーム253,254はV字型に配置されており、それぞれの先端部257が互いに反対の側で接続装置100に作用して(
図16参照)、これを閉止し、引き続いて溶接する。
【0123】
プライヤーアーム253,255の長軸L1,L2は、特に20°から40°の角度Wで延びるのが好ましい。それによって特にプライヤーアーム253の先端部257が、軸受カバー22と接続装置100の裏面115との間の中間スペースに達し、そこで、その支持面254をもって本体103を支持することができる。
【0124】
プライヤーアーム254は、導体収容部107が閉止されるように、収容アーム108に対して作用する。たとえばプライヤーアーム255の支持面256が湾曲区域112に当接する。支持面254が支持面256に向かって動いたとき、支持面254,256が互いに平行に、または実質的に平行に向き、このことは送り運動VSとして図面に示されている。すなわちプライヤーアーム253は定置のままであり、接続装置100に裏面側で支持されるのに対して、プライヤーアーム255は収容部108を本体103の方向へ位置調節する。そして、その閉止脚部111の自由端113が、接続装置100の本体103の前面114とコンタクトする。そして導体収容部107がこのように閉止され、収容アイレット119Aが形成される。
【0125】
溶接プライヤーまたはその他の同種のフライス加工装置が収容アーム108を、閉止脚部111がたとえばまだ形成されていない当初の長尺状の真っすぐな形状から、たとえば模式的に図示しているプライヤーアーム255の変形輪郭259を用いて、閉止脚部111を有する収容アーム108へと成形されることも可能である。
【0126】
その後にプライヤーアーム253,255が通電装置258によって通電され、それは、プライヤーアーム253,255がそれぞれ異なる電位を有し、そのようにして接続装置100を通る電流を生成することによる。
【0127】
溶接電流ISはいわば環状に閉じられた接続装置100を通って流れ、すなわち、導体収容部107を閉止している接続装置100の部分を通って流れ、すなわち、導体収容部107の領域における本体103ならびに収容アーム108を通って流れる。このとき溶接電流ISは結合領域118および119を介して流れ、すなわち、一方では結合区域109を介して流れ、他方では、閉止脚部111の自由端113と本体103の前面114との間のコンタクト領域117を介しても流れる。コンタクト領域117でも底面116の領域でも高い熱が発生するが、それがコイル導体88または88Bを損傷することはない。これらのコイル導体が底面116に対して、あるいはさらに上側のコンタクト領域117に対しても、間隔を有しているからである。それにもかかわらず接続装置100は導体収容部107の領域で、コイル導体88の塗料またはその他の絶縁部が溶融して、コイル導体が接続装置100の表面と電気的にコンタクトする程度にまで高温になる。
【0128】
すなわち、このように接続装置100がいわば機械式に閉止され、引き続いて、導体収容部107に収容されているコイル導体88と溶接される。この組立は、一方ではコイル導体88にとって保全的であり、他方では確実であり、耐久性も恒久的に高くなる。それはすなわち、コイル導体88が前述したプレス工程と溶接工程によって機械的には若干変化し得るものの、たとえば駆動モータ20,120の作動時に破断する程度まで脆弱化されることはなく、もしくは、その断面ジオメトリーに関して改変されないからである。
【0129】
励起コイル87が溝89へ挿入されると、これが溝蓋180によって閉止される。
【0130】
溝蓋180は形材体181を有している。溝蓋180は、プラスチックおよび/または電気絶縁性の材料からなるのが好ましい。形材体181は、たとえばプラスチック部品またはプラスチック壁体として構成される。
【0131】
形材体181は、それぞれの溝89のためのいわば閉止壁をなす壁体182を構成する。
【0132】
溝蓋180または形材体181は長尺形態を有しており、溝蓋180が溝89に組み付けられたときに、溝89の長軸L9と平行に延びる長軸L8に沿って延びる。
【0133】
溝蓋180の長手方向の狭小面すなわち長手方向面195は、長軸L8に沿って延びている。それぞれの長手方向面195は、長軸L8に対して横向きに横方向間隔Qを有している。
【0134】
溝蓋180の長手方向端部領域183は、積層鉄心81の前に支持体90まで突出するのが好ましく、それにより、溝89の長さ全体にわたって電気絶縁が与えられる。そこでの一方または両方の軸受カバー21または22へのたとえば接着、溶接、またはその他の同種の取付が好ましい。
【0135】
溝蓋181は、長軸L8に対して横向きに溝88を全面的に覆う壁区域184を有している。壁区域184は横断面で見て、すなわち長軸L8に対して横向きに、ほぼU字型または円弧状であり、その横方向端部領域で、すなわち長軸L8に対して横向きに、溝89の形状接合収容部89Bに係合するために意図される形状接合突起186を構成する。溝蓋180は長軸L8に対して横向きに、長軸L8に対して横向きにもっとも遠くまで突出する溝蓋180の区域を構成する、および/または互いに向かい合う、2つの形状接合収容部186を有している。形状接合突起186と形状接合収容部89Bは、同時に溝89の長軸をなす長軸L8に対して横向きに溝蓋180を溝89の中で保持する形状接合輪郭185,89Aを構成する。
【0136】
壁区域184は、それぞれの形状接合輪郭185の間で水槽状の形態を構成し、すなわち底面187を有している。底面187は、たとえばそれぞれの溝89の中への湾入しており、すなわちその中に入るように延びている。当然ながら、壁区域184が回転軸Dに関して径方向外側に向かって突出するのでなく、径方向内側に向かって突出する逆のコンフィグレーションも可能であろう。ただし、そこでは場合によりロータ40,140が邪魔になることがある。
【0137】
壁区域184から側方脚部188が離れていくように延びている。それぞれの側方脚部188は互いに近づくように傾いており、すなわち、壁区域184から離れているその自由端領域が互いに近づくように傾いている。このように、側方脚部188と壁区域184は側方脚部188への移行領域で、側面図で見てV字型の形状接合輪郭185すなわち形状接合突起186を構成する。
【0138】
溝蓋180の組付けは次のように行われる:
溝蓋180を、たとえば端面84または85のうちの1つからそれぞれの溝89へ、すなわち回転軸Dに対して平行に延びる差込軸に沿って差し込むことも、それ自体としては可能である。しかしながら、形状接合輪郭185が長軸L8に対して横向きに互いに近づくように可動であり、それにより、それぞれの形状接合輪郭185の間の横方向間隔Qを縮小可能であり、それにより、溝蓋180を溝89の側方エッジ89Cのそばを通して溝89の中へスライドさせることができる。これに関して
図21から23を参照。このとき壁区域184はその丸められた外面189をもって、すなわちこの意味で押除け輪郭189Aを構成する底面187と反対を向く側で、側方エッジ89Cのそばを通って摺動し、このとき壁区域184は曲げ柔軟性をもって撓み、すなわちその意味で曲げ柔軟性のある区域194を構成する。その際に、側方脚部188と形状接合輪郭185が横方向間隔Qを狭めるように互いに近づくように動いて、最終的に、このような差込運動SBの最後に溝蓋180を溝89に係止し、すなわち、形状接合輪郭185が形状接合輪郭89Aと係合する。
【0139】
そして溝蓋180が溝89の中で、すなわち長軸L8に対して横向きに互いに直交する2つの方向で、形状接合式に収容される。
【0140】
ロータ収容部82と反対を向くほうの形状接合収容部89Bの面が、後方係合輪郭89Eを構成する。ロータ82のほうを向いている形状接合収容部89Bの面が、支持輪郭89Fを構成する。
【0141】
後方係合輪郭89Eおよび/または支持輪郭89Fは平面状であるのが好ましい。
【0142】
後方係合輪郭89Eおよび/または支持輪郭89Fは、溝蓋180をその長軸L8全体にわたって支持するのが好ましい。
【0143】
側方脚部188は、後方係合輪郭89Eに支持される後方係合面188Aを有している。側方脚部188に隣接している壁区域184の区域は、支持輪郭89Fに支持される支持面188Bを有しており、またはこのような支持面を構成する。このように後方係合輪郭89Aは、ロータ収容部82の内部空間の方向または回転軸Dの方向で溝蓋180を支持するとともに、支持輪郭89Fをこれと反対方向で、すなわち回転軸Dもしくはそれぞれの溝89の底面に関して径方向外側に向かう方向で、支持する。
【0144】
このような設計手法の利点は、たとえば溝蓋180が組み付けられるときに、支持体90が溝89の長手方向端部領域で、径方向内側に向かってロータ収容部82の方向へ若干突出し得ることによってももたらされるすなわちこの場合、その長手方向端部領域183を、支持体90の突出する区域のロータ収容部82の方向で後方係合させることができる。
【0145】
さらに、後方係合面188Aと後方係合輪郭89E、ならびに支持面188Bと支持輪郭89Fが平面状に互いに当接し、それにより、溝89のシールシートまたは蓋が具体化され、および/または溝蓋180が溝89を密接に閉止する。
【0146】
溝蓋180は、溝89を封止するためのシール機能を有するのが好ましいが、励起コイル構造86の励起コイル87のための支持機能は有さない。むしろ後方係合輪郭89Eと後方係合面188Aの傾斜は、溝89から外に出るように溝蓋180が力付勢されたとき、または回転軸Dに関して径方向内側に向かって力付勢されたとき、溝蓋180の変形または狭隘化を惹起し、そのようにして、溝89からの取外しを簡易化または可能にする取外し斜面のようにさえ作用する。
【0147】
模式的にのみ示されている、
図23Bに示す別案の実施例は、たとえば溝89の代替として構成される溝489を意図しており、その中に溝蓋480が挿入される。溝蓋480はその長手方向の狭小面に、溝489の形状接合突起489Bと係合する形状接合収容部486を有している。それぞれの形状接合突起489Bは互いに向かい合う。形状接合収容部486と形状接合突起489Bは互いに相補的であり、たとえばV字型である。
【0148】
ロータ収容部82と反対を向くほうの形状接合突起489Bの面は、後方係合輪郭489Eを構成する。ロータ収容部82のほうを向いている形状接合突起489Bの面は、支持輪郭489Fを構成する。後方係合輪郭489Eおよび/または支持輪郭489Fは平面状であるのが好ましい。後方係合輪郭489Eおよび/または支持輪郭489Fは、溝蓋480をその長軸L8全体にわたって支持するのが好ましい。溝蓋480の長辺または形状接合収容部486は、後方係合輪郭489Eに支持される後方係合面488Aを有している。形状接合収容部486は支持面488Bをさらに有し、または、支持輪郭489Fに支持されるこのような支持面を構成する。
【0149】
ステータ80の機械的な構造は、両方の電圧レベルP1およびP2について好ましくは全面的に、または部分的に同一である。特に、ロータ40,140のためのロータ収容部82は同一であり、すなわち、たとえば等しい直径を有する。溝89の構成も、すなわちたとえばその形状接合輪郭89Aおよび/または幅および/または深さも同一である。励起コイル構造86が電圧P1または電圧P2のいずれについて構成および/または配置されるかに関わりなく、溝蓋180をステータ80で使用可能であり、または使用されるのも好ましい。
【0150】
それにより、大筋での同一部品原理を具体化可能である。
【0151】
溝蓋180を単独の形材部品として提供することが可能であり、すなわち、
図20に示す長尺状の形態をすでに有するとともに溝89の長さに合わせた長さを有することが可能である。
【0152】
しかしながら1つの好ましい実施形態は、溝蓋180がロール材料190から得られることを意図する。ロール材料190は、たとえば巻取材191として準備される。巻取材191はたとえば巻取材支持体273に、特に相応の保持フレームに、回転可能に収納されている。繰出し装置274がロール材料190を巻取材191から繰り出す。
【0153】
巻取材191から繰り出されたロール材料190の区域192が、たとえば1つまたは複数のロールを有するロール構造275を、特に方向転換ロールまたはガイドロールを通過する。
【0154】
ロール構造275の下流側に平滑化装置276が設けられており、そこで区域192が平滑化され、それにより、当初は巻取材191で丸くなっていた形態が長く伸びた形態へと移行する。平滑化装置276は、たとえば少なくとも1つのプレス機構277、特に互いに向かい合うプレス機構277、および/または加熱体279を有する加熱装置278を含んでおり、それにより、
図20に示すように、区域192のロール材料190を長く伸びた形態にする。すなわち、このようにロール材料190が平滑化装置276によって直線状に長く引き伸ばされた形状になる。
【0155】
平滑化装置276の後に切断装置280が続いていて、これにより、所望の溝蓋180に相当する長さが、すなわちたとえば積層鉄心81または支持体90の長さに相当する長さが、区域192からそれぞれ切断される。切断装置280は、たとえば切断機構281、特にカッター、刃、鋸機構などを有している。
【0156】
ここで付言しておくと、積層鉄心181ないしステータ80に代えて別の、すなわちこれよりも短い、または長いステータに、組立装置270を用いて溝蓋を付与することもできる。すなわち必要に応じてそのつど好適な溝蓋180が製造され、その長さは、装備されるべきステータの長さに合わせて適合化される。すなわち切断機構280は、たとえば切断カッターは、区域192からそれぞれ溝蓋180を切断し、次いで、これが保持機構271により把持されて、ステータ80に挿入される。
【0157】
保持機構271は、たとえばグリッパは、保持アーム272を含んでいて、これが形材体181ないし溝蓋180をその長手方向端部領域183で把持して、差込運動SBによって溝89に挿入することができる。保持機構271が吸引装置またはこれと同種の保持部材を有し、これが溝蓋180を底面187の領域で吸着して、差込運動SBを生成する力成分をもって溝89に差し込むことも容易に可能であろう。
【0158】
すなわち差込、接合、プレスなどによってモータ20,120の主要コンポーネントを、すなわちたとえば接続装置100や、溝蓋180を用いた溝89の蓋などを製造できることがわかる。
【0159】
以下に説明する磁石51の磁化も、このような組立コンセプトに準拠する。
【0160】
すなわち磁石51は、ロータ40,140ないし積層鉄心41,141への組付けのときに、当初はまだ磁化されていない。つまりそれぞれの磁石体56の磁化可能な材料51Aは、それ自体としてまだ磁性のない磁石体52が保持収容部45のうちの1つへの差込工程またはプレス工程の枠内で差し込まれ、もしくは押し込まれるとき、当初は磁性を有していない。磁化可能な材料51Aは、たとえばネオジム-鉄-ホウ素(NdFeB)であって好ましくはジスプロシウムの添加物を含むもの、またはサマリウム-コバルト(SmCo)である。
【0161】
保持収容部45に、たとえばそれぞれの磁石体52の狭小面54を支持する支持突起48が設けられている。狭小面54は、磁石50がロータ40,140に組み付けられた状態にあるとき、回転軸Dに対して平行に延びる。磁石体52または磁石51が、それぞれの支持突起48の間にクランプされるのが好ましい。
【0162】
それぞれの狭小面54の間に、狭小面54に比べて広い面積の平坦面53が延びている。平坦面53の法線方向は、回転軸Dに対して径方向であるのが好ましい。
【0163】
積層鉄心41,141は、磁石体52を保持するための保持突起49を有している。保持突起49はたとえば平坦面53に向かって突出し、その自由端領域をもって平坦面53に当接する。保持突起49が磁石体52といわば爪固定され、および/または受け部突起を形成すると好ましい。
【0164】
積層鉄心41,141の薄板43は、回転軸Dに対して事前設定された角度位置に切欠き59Aを有する薄板43を含んでいる。切欠き59Aは、回転軸Dに関して径方向に、それぞれの保持収容部45の平坦面のうちの1つから離れるように、たとえば径方向内側に向かって回転軸Dへと延びるのが好ましい。切欠き59Aが回転軸Dに対して平行に軸線上で前後して配置されていると、すなわち相互に一直線上に並んでいると好ましい。いくつかの薄板43は、切欠きに突入する保持突起59を有している。さらに保持突起59は、それぞれの保持収容部45の差込断面に突入し、それにより、保持収容部45に磁石体52が差し込まれたときに磁石体52と係合し、磁石体52により、磁石体52が保持収容部45へ差し込まれる差込方向SRに屈曲される。その際に保持突起59を、隣接する1つまたは複数の薄板43の切欠き59Aの中へと押し除けることができる。そして、薄板43の狭小面の幅を有しているそれぞれの保持突起59の端面が、斜めに傾いたまま磁石体52の平坦面53に支持されて、保持収容部45から磁石体52が差込方向SRと逆向きに引き出されるのを防止する。
【0165】
磁石体52または磁石51は、保持収容部45の中にクランプ嵌めで収容されるのが好ましい。当然ながら、接着、溶接、またはこれと同種のその他の組付けも十分に可能であろう。すなわち磁化可能な材料51Aがそれぞれの積層鉄心41,141に、まだ磁化されていない状態で差し込まれる。
【0166】
次いで、ロータ40,140がバランス調整装置285を用いてバランス調整される。そのときモータシャフト30,130は、および場合により絶縁スリーブ60は、すでに組み付けられている。すなわち、このようにロータ40,140をモータシャフト30,130によりその回転軸Dを中心としてモータ286を用いて回転させることができる。測定装置287が、たとえばロータ40,140のアンバランスを確認する。
【0167】
そして、まだ残っているアンバランスが取り除かれ、それは、たとえば材料削減装置288を用いて、たとえば研削装置、フライス加工装置などを用いて、少なくとも1つのバランス調整部分55が製作されることによる。その際に、たとえばバランス調整が必要な場所で、積層鉄心41,141の材料が剥離され、切り屑、金属粉などが発生する。しかしそれは問題ではない。積層鉄心41,141材料が加工されるときに、磁石体52がまだ磁化されていないからである。薄板43の剥離によって発生する切り屑、金属粉などが積層鉄心41,141へ磁気的に付着することがないので、容易に除去可能である。すなわち駆動モータ20,120のその後の動作のときに、たとえば軸受24または25を損傷させかねない金属屑や粉が存在することがない。
【0168】
積層鉄心41,141が回転軸Dに関して径方向で可能な限り大きい材料厚みまたは厚さを有している積層鉄心41,141の領域に、すなわち特に磁石51に関して径方向外側に、バランス調整部分55が設けられると好ましい。すなわち、たとえばバランス調整部分の製作に不都合な領域でアンバランスUが生じているときには、アンバランスUが力ベクトルUxおよびUyに分解され、これらに応じて材料削減装置288によってたとえばバランス調整部分55xおよび55yが積層鉄心41,141の径方向外側に製作される、ベクトル式のバランス調整が好ましい。バランス調整部分55xおよび55yは、たとえばアンバランスUに対して角度間隔をおいてそのすぐ隣に配置されている保持収容部55の、積層鉄心41,141の径方向外側にある。
【0169】
ロータ40,140では、端面44にバランス調整体やバランス調整ウェイトは必要ない。それにより、たとえば空気通路46の流入開口部と流出開口部が、バランス調整ウェイトバランス調整体で塞がれることがない。さらに空気は磁石51の横を通って流れることもでき、すなわち、保持収容部45に設けられる、もしくは保持収容部45により提供される、空気通路46Aを通って流れることができる。空気通路46Aの流入開口部流出開口部も、バランス調整体やバランス調整ウェイトによって塞がれることがない。
【0170】
たとえば吹付け装置、ブラシ装置、および/または吸塵器などの洗浄装置289、が、材料削減装置288による材料剥離のときに発生する金属粒子をロータ40,140から、特にそれぞれの積層鉄心41,141から、磁石体52が磁性を有さない限りにおいて容易に除去することができる。たとえば洗浄装置289は、切り屑などをバランス調整部分55の領域から除去するエアジェットLUを生成する。
【0171】
ロータ40,140がバランス調整されると磁化装置290によって磁化され、すなわち、特に磁石体52が磁気的に活性化される。磁化装置290は、たとえば磁化ヘッド291A,291B,291C,291Dを有する。
【0172】
たとえば磁化装置290は、磁石51が磁化ヘッド291に正しい角度で正確に向かい合うようにモータシャフト30,130を位置決めする、特に回転させる、位置決め装置292を含む。
【0173】
ロータ40,140は、それぞれ1つの磁化ヘッド291A,291B,291C,291Dが、それぞれ隣接する磁石51の間に配置されるように、機械的なコーディング57により磁化ヘッド291A,291B,291C,291Dに関して位置決めされるのが好ましい。
【0174】
たとえば回り止め輪郭74がコーディング57としての役目を果たし、これがたとえば磁化装置290のストッパ293に、特に回転ストッパに突き当たり、それによりロータ40,140が磁化ヘッド291に関して正しい回転角で配置される。ストッパ293は、バランス調整装置285との関連で図示している。あるいは、たとえば磁化装置290の対応するストッパが係合することができる、および/または光学式検出可能である空気通路46など、これ以外のロータ40のコンポーネントもコーディング57としての役目を果たすことができる。たとえば磁化装置290のカメラやその他の同種の光学センサによって、ロータ40,140の回転角位置の光学式の検出が可能であるのも好ましい。
【0175】
磁化ヘッド291A,291B,291C,291Dが磁界MFA,MFB,MFC,MFDを生成し、これが回転軸Dに関して角度間隔をおいて並んで配置された磁石体52または磁石51を貫通し、それによってこれが恒久的に磁化されて、N極NおよびS極Sとして図示する磁極を形成する。磁界MFA,MFB,MFC,MFDは、それぞれの磁束方向に応じて、矢印の付いた破線の力線で図面に示されている。
【0176】
ロータ40,140の磁石51が磁化されると、ロータ40,140がステータ80に組み付けられる。
【0177】
たとえば回転軸Dに対して平行に2つまたはそれ以上の磁石体52または磁石51を連続配置するなど、磁石51のための保持収容部45に複数の磁石体52または磁石51を配置可能であることは自明である。そのようなケースでも、それぞれの磁石体52がすでに保持収容部45に収容されていれば、その磁化が容易に可能である。
【0178】
磁化装置290による磁化にあたっては、積層鉄心41,141の薄板43が磁気伝導性であるのも好ましく、それにより薄板が、磁化装置290の磁界292を最適に、磁石体52を貫通するように案内することができる。
【国際調査報告】