(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】熱交換器の内面へのコーティングの適用
(51)【国際特許分類】
C23C 18/32 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
C23C18/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561607
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(85)【翻訳文提出日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 US2020027372
(87)【国際公開番号】W WO2020210426
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521451352
【氏名又は名称】リーム マニュファクチャリング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンサ,ディヴァカー
(72)【発明者】
【氏名】トラント,トロイ イー.
【テーマコード(参考)】
4K022
【Fターム(参考)】
4K022AA02
4K022AA33
4K022AA49
4K022BA14
4K022BA16
4K022BA32
4K022CA06
4K022DA01
4K022DB02
(57)【要約】
熱交換器の内面をコーティングするシステムは、コーティング液を貯蔵するタンク、ポンプ、コーティング液を熱交換器に供給するソースライン、および残りのコーティング液をタンクに戻すリターンラインを含む。このシステムは、前処理液を熱交換器に供給する前処理ラインおよび熱交換器に水を供給する水ラインを含み得る。熱交換器には、熱交換器からコーティング液、前処理液、または水を排出するためのエアーコンプレッサが結合され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の内面をコーティングするシステムであって、
コーティング液を貯蔵するタンクであって、ソースラインおよびリターンラインを含むタンクと、
前記タンクに結合されたポンプであって、コーティング液を前記ソースラインから前記熱交換器を通じて送り込み、コーティング液を前記リターンラインを通じて前記タンクに戻すように構成されているポンプと、を含むシステム。
【請求項2】
前処理液を前記ポンプに供給するように構成された前処理ラインをさらに含み、前処理液は、コーティング液による処理の前に前記熱交換器を前処理することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前処理液は、前記熱交換器の内面を洗浄する洗浄液であることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前処理液は、前記熱交換器の内面をコーティング液による処理のために準備する活性化液であることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ポンプに水を供給するように構成された水ラインをさらに含み、水は、前記熱交換器の内面を洗浄するために使用されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
コーティング液は、金属成分を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
コーティング液は、ニッケルを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
コーティング液は、ニッケルおよび燐を含んでおり、1~4重量%の燐を含みかつ残部がニッケルであるコーティングを生成することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
熱交換器の内面をコーティングするシステムであって、
コーティング液を貯蔵するタンクと、
マスキングボックス入口およびマスキングボックス出口を含むマスキングボックスであって、熱交換器入口が前記マスキングボックス入口に結合し、熱交換器出口が前記マスキングボックス出口に結合するように、熱交換器を含むように構成されたマスキングボックスと、
前記マスキングボックス入口に結合されるように構成されたソースラインと、
前記マスキングボックス出口に結合されるように構成されたリターンラインと、
前記ソースラインに取り付けられたポンプであって、コーティング液を、前記ソースライン、前記マスキングボックス入口、前記熱交換器入口、前記熱交換器、前記熱交換器出口、前記マスキングボックス出口、および前記リターンラインを通じて前記タンクに送るように構成されたポンプと、を含むシステム。
【請求項10】
前記マスキングボックスは、コーティング液が前記熱交換器の外面に接触するのを防止するためのシール機構をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記シール機構は、ガスケットおよびラッチを含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ポンプは、前記タンク内に配置されていることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記タンクは、タンク入口およびタンク出口を含み、前記タンク入口は、水源または前処理液源に結合することができることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
コーティング液は、金属成分を含むことを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
コーティング液は、ニッケルおよび燐を含んでおり、1~4重量%の燐を含みかつ残部がニッケルであるコーティングを生成することを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
熱交換器の内面をコーティングする方法であって、
前記熱交換器の入口を、ポンプに結合されたソースラインに取り付けるステップと、
前記熱交換器の出口を、タンクへ至るリターンラインに取り付けるステップと、
前記ポンプでコーティング液を前記ソースライン、前記熱交換器、および前記リターンラインを通じて前記タンクに送り込むことによって、前記熱交換器の内面をコーティング液で処理するステップと、を含む方法。
【請求項17】
前記熱交換器をマスキングボックス内に配置するステップと、
前記マスキングボックスを前記タンク内に設置するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ソースラインに前記マスキングボックスの入口を取り付けるステップと、
前記リターンラインに前記マスキングボックスの出口を取り付けるステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ソースラインおよび前記熱交換器に前記ポンプで前処理液を送ることにより、前記熱交換器の内面を前処理するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
コーティング液は、ニッケルおよび燐を含んでおり、1~4重量%の燐を含みかつ残部がニッケルであるコーティングを生成することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年4月12日に出願された米国特許仮出願第16/382,717号の利益を主張するものであり、その内容の全体は、以下に完全に記載されているものとして、参照により本明細書に組み込まれる。本開示は、一般に、給湯器用の熱交換器の内面にコーティングを適用するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、温水を供給するために給湯器が使用される。給湯器は、住宅用、商業用、および工業用の様々な用途に使用することができる。給湯器は、多くの異なるプロセスのために温水を供給することができる。例えば、住宅の給湯器は、自動洗濯機、自動食器洗浄機、1つまたは複数のシャワー、および1つまたは複数のシンクの蛇口に使用することができる。また、給湯器は、温水プールまたは様々な商業的および工業的な用途にも使用される。給湯器の水源は、一般的には水道または井戸であり、いずれの水源にも、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が含まれている可能性がある。これらのミネラルが水に含まれていると、給湯器およびその下流の機器の表面にミネラルスケール(水垢)が蓄積される(「スケーリング」)。ミネラルスケールの堆積は、給湯器の熱交換器などの水が加熱される場所で特に顕著に見らる。例えば、ミネラルスケールの堆積率は、一般に、給湯器の一般的な温度範囲である60℃(140°F)以上の温度で増加する。熱交換器に付着したミネラルスケールは、熱伝導を阻害して熱交換器の効率に悪影響を及ぼすため、特に問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ミネラルスケールの堆積は、タンク式給湯器およびタンクレス給湯器の両方を含む様々な給湯器で発生する可能性がある。ミネラルスケール堆積物の発生を改善するために、水処理用組成物を給湯器に添加することができるが、これらの組成物は、典型的には、経時的に監視および補充する必要があり、また、給湯器の保守のコストを増大させる。したがって、ミネラルスケールに関連した問題を解決するための他の方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、一態様において、一般に、熱交換器がコーティング液のタンクに浸漬されない場合に、熱交換器の内面をコーティングするシステムに関する。このシステムは、コーティング液を貯蔵するタンクであって、ソースラインおよびリターンラインに取り付けられたタンクと、タンクに結合されたポンプとを含む。ポンプは、コーティング液をソースラインから熱交換器内に送り込み、コーティング液が熱交換器の内面をコーティングし、その後、コーティング液をリターンラインを通じてタンクに戻すように構成されている。
【0005】
別の態様において、本開示は、一般に、熱交換器がコーティング液のタンクに浸漬される場合に、熱交換器の内面をコーティングするためのシステムに関連することができる。このシステムは、コーティング液を貯蔵するタンクと、マスキングボックス入口およびマスキングボックス出口を含むマスキングボックスとを含む。マスキングボックスは、熱交換器入口がマスキングボックス入口に結合し、熱交換器出口がマスキングボックス出口に結合するように、熱交換器を含むように構成される。ソースラインは、マスキングボックス入口に結合されるように構成され、リターンラインは、マスキングボックス出口に結合されるように構成される。ポンプは、ソースラインに取り付けられており、コーティング液をソースライン、マスキングボックス入口、そして熱交換器入口に送り込み、コーティング液が熱交換器の内面を覆うように構成される。コーティング液は、ポンプの圧力により、熱交換器、熱交換器出口、マスキングボックス出口、そしてリターンラインを通じてタンクに送られる。
【0006】
さらに別の態様において、本開示は、一般に、熱交換器の内面をコーティングする方法に関する。この方法は、熱交換器の入口をソースラインに取り付けるステップを含む。ソースラインはポンプに結合される。この方法は、また、熱交換器の出口をリターンラインに取り付けるステップを含む。リターンラインは、タンクへ至るものである。この方法は、また、ポンプでコーティング液をソースライン、熱交換器、そしてリターンラインを通じてタンクに送ることにより、熱交換器の内面をコーティング液で処理するステップを含む。
【0007】
これらのおよびその他の態様、目的、特徴、および実施形態は、以下の説明および添付の請求項から明らかになるであろう。
【0008】
図面は、例示的な実施形態のみを示しており、したがって、例示的な実施形態は他の同様に効果的な実施形態を許容し得るものであるため、範囲を限定するものではない。図面に示されている要素および特徴は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、例示の実施形態の原理を明確に示すことに重点が置かれている。さらに、そのような原理を視覚的に伝えやすくするために、特定の寸法や位置を誇張している場合がある。図面において、参照番号は、同様の要素または対応する要素(必ずしも同一の要素ではない)を示している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の第1の例示的な実施形態に従う、熱交換器の内面をコーティングするためのシステムを示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の第2の例示的な実施形態に従う、熱交換器の内面をコーティングするためのシステムを示す。
【
図3A】
図3A、3B、4、5、6は、本開示の第3の例示的な実施形態に従う、熱交換器の内面をコーティングするためのシステムを示す。
【
図3B】
図3A、3B、4、5、6は、本開示の第3の例示的な実施形態に従う、熱交換器の内面をコーティングするためのシステムを示す。
【
図4】
図3A、3B、4、5、6は、本開示の第3の例示的な実施形態に従う、熱交換器の内面をコーティングするためのシステムを示す。
【
図5】
図3A、3B、4、5、6は、本開示の第3の例示的な実施形態に従う、熱交換器の内面をコーティングするためのシステムを示す。
【
図6】
図3A、3B、4、5、6は、本開示の第3の例示的な実施形態に従う、熱交換器の内面をコーティングするためのシステムを示す。
【
図7】
図7は、本開示の例示的な実施形態で使用するための例示的なコントローラを示す。
【
図8】
図8は、本開示の例示的な実施形態に従う、熱交換器の内面をコーティングするための例示的な方法を示す。
【
図9A】
図9Aは、コーティングされていない熱交換器とコーティングされた熱交換器で測定したスケールの厚さについて収集した実験データを示す棒グラフである。
【
図9B】
図9Bは、コーティングされた熱交換器とコーティングされていない熱交換器で測定された熱効率について収集された実験データを示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的な実施形態は、一般に、ミネラルスケール堆積物の形成に抵抗するコーティング材料で熱交換器の内面をコーティングするシステムおよび方法を提供する。熱交換器は、典型的には、熱交換器の伝熱効率を最適化するために、多くの折返しまたは折り曲げを含む複雑な幾何学的形状を有する。しかし、熱交換器の複雑な形状によって、熱交換器の内面に保護膜をコーティングすることが困難になる。そこで、熱交換器を構成する部品を完成させる前に、その部品の内面をコーティングするという方法が考えらる。しかし、この方法では、熱交換器の部品を、コーティング後に、完成した熱交換器に接合する際に、通常、ろう付けまたははんだ付けの工程が必要となり、場合によっては、熱交換器の部品の内面のコーティングを損傷する可能性があるという課題がある。
【0011】
別の方法は、完成した熱交換器全体をコーティング液に浸すことである。熱交換器をコーティング液に浸すと、完成した熱交換器の内外面にコーティング液を付着させることができる。しかし、この方法には、熱交換器の外面はミネラル分を含む水にさらされないため外面にコーティング液を付着させる必要がない点で、欠点がある。そのため、この方法では、熱交換器の外面にコーティング液を不必要に付着させることになり、無駄が生じる。加えて、完成した熱交換器をコーティング液に浸しても、特に熱交換器の内面に沿って、均一なコーティングができない場合がある。
【0012】
したがって、完全な熱交換器の内面にのみ保護コーティングを施すことを含む代わりの方法が好ましい。特に、コーティング液を熱交換器内にポンプで送り込むことを備える方法は、無駄がなく、より一貫したコーティングが熱交換器の内面に適用されるという点で、前述した方法よりも好ましい。
【0013】
ミネラルスケール堆積物は、熱交換器の銅管の内面に沿って形成される傾向があり、特に銅管が加熱されたときに形成される。しかし、保護コーティングは、熱交換器の内面に沿ったミネラルスケール堆積物の形成を抑制することができる。熱交換器の熱効率に与える悪影響を最小限に抑えるために、熱伝導性のコーティングが好ましい。したがって、熱交換器の内面に熱伝導性のコーティングを堆積させるコーティング液が好ましい。例えば、コーティング液は、熱交換器の銅管と反応して熱交換器の内面に保護コーティングを形成する、ニッケルなどの金属成分を含むものであってもよい。例示的なコーティング液は、ニッケルとともに、燐、炭化ケイ素、窒化ホウ素、およびPTFE材料などの、1つまたは複数の様々な化学添加物を含むものであってもよい。本明細書に記載の例示的な実施形態では、無電解ニッケル溶液を使用し、この溶液が熱交換器の材料と反応して熱交換器の内面にニッケルを析出させる。無電解ニッケル溶液を使用する方法は、表面にニッケルを析出させるために電流を必要とする電気めっきとは対照的である。無電解ニッケル溶液によるコーティングは、スケールの付着を抑制することに加えて、耐摩耗性や低摩擦係数を有するため、熱交換器の内面に適している。以下に、熱交換器の内面をコーティングするための無電解ニッケル溶液の例を示す。
1.メタル・ケム社(Metal Chem, Inc.)のMETA-PLATE 3000ニッケル溶液は、堆積されるコーティングが1~4重量%の燐を含んでおり、かつ残部がニッケルであるコーティングを提供する。この溶液は、熱交換器の部品を一緒にろう付けするときのような高温に耐えることができるコーティングを提供するのに特に有利である。
2.メタル・ケム社(Metal Chem, Inc.)のMETA-PLATE 3500ニッケル溶液は、堆積されるコーティングが3~6重量%の燐を含んでおり、かつ残部がニッケルであるコーティングを提供する。この溶液は、ろう付けに使用される温度よりも低い温度で安定したコーティングを形成する。
3.メタル・ケム社(Metal Chem, Inc.)のMETA-PLATE 6000ニッケル溶液は、堆積されるコーティングが6~8重量%の燐を含んでおり、かつ残部がニッケルであるコーティングを提供する。この溶液は、耐腐食性および耐摩耗性を必要とするコーティングを提供するために特に有利である。
4.メタル・ケム社(Metal Chem, Inc.)のMETA-PLATE 2500ニッケル溶液は、堆積されるコーティングが10.6~12重量%の燐を含んでおり、かつ残部がニッケルであるコーティングを提供する。この溶液は、延性、はんだ付け性、および耐食性を必要とするコーティングを提供するのに特に有利である。
5.コベンチャ社(Coventya)のENOVA EF KRニッケル溶液は、堆積されるコーティングが36重量%の燐および6~8重量%の窒化ホウ素を含んでおり、かつ残部がニッケルであるコーティングを提供する。この溶液は、潤滑性だけでなく、耐腐食性および耐摩耗性を必要とするコーティングを提供するのに特に有利である。
【0014】
別の実施形態では、ニッケル以外の熱伝導性材料、または前述した例以外の溶液を使用して保護コーティングを形成することができることを理解されたい。同様に、熱交換器の管の材料として銅が挙げられているが、別の実施形態において、熱交換器は、ステンレス鋼および他の金属合金を含む、効率的に熱を伝導する他の材料から作製することができる。本明細書では、大規模な生産環境において熱交換器の内面に均一なコーティングを施すことができるコーティングシステムについて説明する。本明細書に記載された例示的なシステムおよび方法を用いて製造された熱交換器は、様々な給湯器および用途に使用することができる。さらに、本明細書に記載された例示的な実施形態を用いて製造された熱交換器は、任意のタイプ(例えば、商業用、住宅用、工業用)の給湯器のための任意のタイプの環境(例えば、倉庫、屋根裏、ガレージ、倉庫、機械室、地下室)で使用することができる。本明細書に記載の熱交換器の例示的な実施形態と共に使用される給湯器は、任意の数のプロセス(例えば、自動洗濯機、自動食器洗浄機、シャワー、シンクの蛇口、加熱システム、加湿器、温水プール装置、部屋暖房用ボイラーなど)の1つまたは複数に使用することができる。
【0015】
本明細書に記載された熱交換器のためのコーティングシステムは、その装置および/またはシステムの他の関連部品が特定の規格および/または規制を満たすことを可能にしつつ、システムの装置および/またはシステムの他の関連部品がさらされ得る1つまたは複数の条件に照らして耐久性を維持するために、多数の適切な材料のうちの1つまたは複数で作ることができる。このような材料の例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、グラスファイバー、ガラス、プラスチック、PVC、セラミック、ゴムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本明細書に記載されている熱交換器(またはその一部)のためのコーティングシステムの構成要素は、(金型成形、射出成形、ダイキャスト、または押し出し成形による)単一の部品から作られるものであってもよい。加えて、または代わりに、熱交換器(またはその一部)のためのコーティングシステムは、互いに機械的に結合された複数の部品から作られるものであってもよい。このような場合、複数の部品は、多数の結合方法(エポキシ、溶接、はんだ付け、締結装置、圧縮継手、嵌合ねじ、およびスロット付き継手を含むがこれらに限定されない)のうちの1つまたは複数を用いて互いに機械的に結合されるものであってもよい。互いに機械的に結合された1つまたは複数の部品は、多数の方法(固定式、ヒンジ式、取り外し可能、摺動可能、およびネジ式を含むがこれらに限定されない)のうちの1つまたは複数を用いて互いに結合されるものであってもよい。
【0017】
熱交換器のためのコーティングシステムの例示的な実施形態を示す上述した図では、示された構成要素の1つまたは複数が省略され、繰り返され、および/または置換されるものであってもよい。したがって、熱交換器のためのコーティングシステムの例示的な実施形態は、いずれかの図に示された構成要素の特定の配置に限定されると考えるべきではない。例えば、1つまたは複数の図に示された、または1つの実施形態に関して説明された特徴は、異なる図または説明に関連する別の実施形態に適用することができる。別の例として、後述するエアーコンプレッサ(空気圧縮機)などの任意選択の部品は、省略することができる。
【0018】
さらに、ある図の構成要素が説明されているが、その図に明示的に示されていないか、またはラベル付けされていない場合、別の図の対応する構成要素に使用されているラベルをその構成要素に推定することができる。逆に、ある図の構成要素がラベル付けされているが説明されていない場合、そのような構成要素に対する説明は、別の図の対応する構成要素に対する説明と実質的に同じとすることができる。さらに、特定の実施形態(例えば、本明細書の図に示されている実施携帯)が特定の特徴または構成要素を有していないという説明は、明示的に述べられていない限り、そのような実施形態がそのような特徴または構成要素を有することができないことを意味しない。例えば、本明細書の現在または将来の請求項の目的のために、1つまたは複数の特定の図面に示された例示的な実施形態に含まれないと記述されている特徴または構成要素は、本明細書のそのような1つまたは複数の特定の図面に対応する1つまたは複数の請求項に含まれることが可能である。
【0019】
「第1」、「第2」、「第3」、「上」、「下」、「側」、「内」などの用語は、単に1つの構成要素(または構成要素の一部、構成要素の状態)を別の構成要素と区別するために使用される。このような用語は、優先順位または特定の向きを示すものではなく、給湯器の自動化耐スケールシステムの実施形態を制限するものではない。以下の例示的な実施形態の詳細な説明では、本発明のより詳細な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が示されている。しかし、当業者であれば、これらの具体的な詳細がなくても本発明を実施可能であることは明らかであろう。他の例では、説明を不必要に複雑にするのを避けるために、よく知られた特徴の詳細な説明は省略されている。
【0020】
「接続」は、本明細書で使用される場合、直接接続されているか、または別の構成要素を介して接続されていることを指す。本明細書で使用される「流体的に接続された」とは、直接接続されているか、または別の構成要素を介して接続されており、さらにそれらの間で流体を移動させることができる構成要素を意味する。例えば、バルブとポンプは、ラインを介して流体的に接続することができる。バルブが流体的に接続された2つの構成要素の間にある場合、流体の経路が可能である限り、それらの構成要素は流体的に接続されているとみなされる。本明細書で使用する「ライン」は、パイプなどの流体密な管を意味する。
【0021】
次に、図を参照すると、
図1は、本開示の実施形態に従う、熱交換器の内面をコーティングするためのコーティングシステム100の一例を示している。コーティングシステム100は、この場合はニッケル系溶液であるコーティング液のタンク105を含む。タンク105は、ポンプおよびバルブアセンブリ110と、コーティング液を熱交換器118に供給するソースライン107に結合されている。ポンプおよびバルブアセンブリ110のバルブ部分によって、ソースライン107に他のラインを取り付けることが可能となる。例えば、特定の実施形態では、前処理ライン122および水ライン124が、ポンプおよびバルブアセンブリ110のバルブ部分を介してソースライン107に結合されていてもよい。ポンプおよびバルブアセンブリ110の動作は、
図1に示すポンプコントローラ130などのコントローラによって制御することができる。
【0022】
ソースライン107は、タンク105と反対側の端部において熱交換器118の熱交換器入口に結合されている。熱交換器118の熱交換器出口は、コーティング液をタンク105に戻すリターンライン108に結合されている。
図1に示す例示的なコーティングシステム100では、熱交換器118は、任意選択のラックホルダーに取り付けられている。また、
図1に示す例示的なコーティングシステム100では、ソースライン107に取り付けられた任意選択のエアーコンプレッサ(空気圧縮機)116が示されている。コーティングシステムの別の実施形態では、任意選択の構成要素を省略してもよく、構成要素を異なる配置で配置したりするものであってもよい。
【0023】
コーティングシステム100の動作中、ポンプ110は、ソースライン107を通じて熱交換器107に流体を送り込むことができる。例示的な一実施形態において、ポンプコントローラ130は、コーティング液を付着する前に熱交換器の内部が清浄であることを確保するために、水ライン124およびソースライン106を通じて水を供給するように、ポンプおよびバルブアセンブリ110を制御することができる。別の選択として、ポンプコントローラ130は、前処理ライン122およびソースライン107を通じて熱交換器の内部に前処理液を供給するように、ポンプおよびバルブアセンブリ110を制御することができる。前処理液は、熱交換器118の内面と(前処理液の後に熱交換器を通じて流れる)コーティング液との間の結合を容易にする溶液であってもよい。リターンライン108は、水または前処理液がタンク105内のコーティング液と混合されないように、水または前処理液を排出するための追加のラインを取り付けるためのクイック接続ポイント114を含むものであってもよい。コーティング液をポンプで送る前に水または前処理液を使用することは任意であり、別の実施形態では、コーティング液を付着させる前に洗浄または前処理液を使用しなくてもよいことを理解されたい。
【0024】
工程の次のステップとして、ポンプおよびバルブアセンブリ110は、コーティング液をタンク105からソースライン107を通じて熱交換器の入口に送り込む。コーティング液は、熱交換器118の内部に入ると、熱交換器の内面と反応し、内面上に保護コーティングを形成するように設計されている。特定の実施形態において、コーティング液は、熱交換器118の内面に保護コーティングが形成されるのを可能にするために、所定の期間、熱交換器118内に保持されるものであってもよい。例えば、ポンプ110と、リターンライン108のバルブ(図示は省略する)との組み合わせを用いて、コーティング液を熱交換器118内に一定期間保持することができる。熱交換器内の圧力下でコーティング液を一定期間保持することで、熱交換器118の内面全体に均一な保護コーティングを形成することが容易になる。
【0025】
コーティング液が熱交換器118の内面に保護コーティングを形成するのに十分な時間が経過した後、コントローラは、リターンライン108のバルブ(存在する場合)を開き、保護コーティングとして内面に付着していない残りのコーティング液を戻りライン108を通じてタンク105に戻すことができる。コーティング液の付着後、任意のステップとして、水または別の溶液である洗浄液を熱交換器118を通じてポンプで送り、熱交換器118の内面に付着していない残りのコーティング液を洗い流すことができる。別の任意のステップとして、コントローラは、エアーコンプレッサ116を動作させて、熱交換器118を通じて空気を送り込み、残っている水または他の物質を除去することができる。エアーコンプレッサ116は、クイック接続点112でソースライン107に取り付けることができる。コーティングプロセスが完了すると、保護された内部コーティングを有する熱交換器118は、温水器に設置する準備ができたことになる。
【0026】
図2は、別の実施形態であるコーティングシステム200を示す。コーティングシステム200は、
図1のコーティングシステム100に類似しているが、
図1に示されている任意選択の構成要素のうちの特定のものが除外されている。コーティングシステム200は、コーティング液を含むタンク205と、コーティング液をソースライン207および熱交換器218を通じて送り込むポンプ210とを含む。
図1のコーティングシステムの例と同様に、コーティング液は熱交換器218の内面に保護コーティングを形成し、その後、残りのコーティング液はリターンライン2008を通じてタンク205に戻される。熱交換器218の内面に保護コーティングが形成されると、熱交換器は温水器に設置する準備ができたことになる。
【0027】
次に、
図3A、3B、4、5、6を参照すると、別の例示的な実施形態であるコーティングシステム300が示されている。コーティングシステム300は、コーティングシステム300では、熱交換器がマスキングボックス内に配置され、コーティング液に浸漬される点で、コーティングシステム100および200と異なるものである。コーティングシステム300は、上部304、側壁303、入口302、およびドレイン354を含むタンク305を含む。タンク305は、熱交換器の内面に付着されるコーティング液で満たされ得るものである。
図3Bに示す実施形態のように、タンク305は、任意選択として、スタンド352に取り付けられ、タンク305に流体を送り込むように構成された外部ポンプ350を含むものであってもよい。
【0028】
コーティングシステム300は、マスキングボックス340に取り付けられる内部ポンプ342をさらに含む。
図3B、4、5、および6に示すように、熱交換器318がマスキングボックス340内に配置され、マスキングボックス340は、タンク305内のコーティング液に浸される。
図3Bは、熱交換器318がマスキングボックス340内で見えるように、タンク305およびマスキングボックス340の壁が半透明で示されている。
図5および
図6では、マスキングボックス340および熱交換器318が見えるように、タンク305の壁が半透明で示されている。マスキングボックス340は、コーティング液が熱交換器318の内部を流れるだけで、熱交換器318の外側を回らないように設計されている。特定の実施形態では、マスキングボックス340は、
図4、
図5、および
図6に示すように、開いた上部を有するものであってもよく、タンク305内のコーティング液のレベルは、コーティング液がマスキングボックス340内にこぼれないように、マスキングボックス340の上部よりも下に維持される。他の実施形態では、マスキングボックス340は、マスキングボックス340の内部を、それが浸されているコーティング液から密封(シール)して隔離する上部を有することができる。
【0029】
図5および
図6に示すように、マスキングボックス340は、ソースライン307およびリターンライン308に取り付けることができる。ソースライン307は、一端が内部ポンプ342に結合され、他端がマスキングボックス入口344に結合される。リターンライン308は、一端がマスキングボックス出口346に結合されており、リターンラインの他端は、コーティング液を排出してタンク305に戻すものである。熱交換器318は、熱交換器入口319がマスキングボックス入口344に取り付けられ、熱交換器出口320がマスキングボックス出口346に取り付けられるように、マスキングボックス340に入れられる。
【0030】
コーティングシステム300が動作しているとき、熱交換器318を含むマスキングボックス340をタンク305に配置し、外部ポンプ350および入口302を用いて、または重力供給などの別の手段により、コーティング液をタンク305に供給することができる。あるいは、熱交換器318を含むマスキングボックス340をタンク350に入れたときに、タンク305にはすでにコーティング液が入っていてもよい。マスキングボックス340は、上述したように、ソースライン307およびリターンライン308に取り付けられる。その後、内部ポンプ342は、タンクから熱交換器318を通じてコーティング液の送出を開始することができる。具体的には、内部ポンプ342は、コーティング液が熱交換器318の外部に接触することなく熱交換器318の内部をコーティングできるように、ソースライン307、マスキングボックス入口344、そして熱交換器入口319を順次通じて、コーティング液を送出する。特定の例では、コーティング液は、保護コーティングが熱交換器318の内面に均一に付着することを可能にするために、一定期間、熱交換器318内に留まるものであってもよい。次いで、内部ポンプ342は、熱交換器318の内面に付着していない残りのコーティング液を、熱交換器出口320、マスキングボックス出口346、そして残りのコーティング液がリターンライン308の出口でタンクに排出されるリターンライン308を順次通じて、排出することができる。
図3A~6には示されていないが、
図7に関連して説明するコントローラのようなコントローラは、コーティングシステム300の動作を自動化して制御することができる。
【0031】
上述したように、本開示の例示的なコーティングシステムは、コントローラを含むものであってもよい。
図7は、コーティングシステムを動作させるためのコントローラの例示的な実施形態を示す。コントローラ700は、例えば、
図1に示したポンプコントローラ130および/またはエアーコンプレッサコントローラ131の代わりにその機能を果たすことができる。コントローラ700の構成要素は、コントロールエンジン702、タイマ706、ストレージリポジトリ712、ハードウェアプロセッサ714、メモリ716、およびアプリケーションインタフェース720を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
図7はまた、コントローラ700の、1つまたは複数の入力/出力デバイス(I/Oデバイス)724、ユーザ726、センサ742、バルブアセンブリ736、および電源722への接続例を示している。バス(図示せず)は、様々な構成要素およびデバイスが互いに通信することを可能にすることができる。バスは、メモリバスまたはメモリコントローラ、ペリフェラルバス、アクセラレ―テッドグラフィックスポート、および様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用するプロセッサまたはローカルバスを含む、いくつかのタイプのバス構造のいずれかの1つまたは複数であってもよい。
図7に示す構成要素は網羅的なものではなく、いくつかの実施形態では、
図7に示す構成要素の1つまたは複数が例示のシステムに含まれない場合がある。さらに、
図7に示す1つまたは複数の構成要素は、再配置することができる。
【0032】
ユーザ726は、コーティングシステムおよび/またはコントローラ700と相互作用する任意の人またはエンティティであってもよい。ユーザ726の例には、エンジニア、装置またはプロセス、電気技師、計装および制御技術者、整備士、およびオペレータが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。ユーザ726は、1人または複数であってもよい。ユーザ726は、ディスプレイ(例えば、GUI)を含み得るユーザシステム(図示せず)を使用することができる。ユーザ726は、アプリケーションインタフェース720(後述)を介してコントローラ700と相互作用する(例えば、データを送信する、データを受信する)ことができ、また、センサ742および/または電源722を含む他の構成要素と相互作用することができる。ユーザ726、コントローラ700、センサ742、バルブアセンブリ736、および電源722の間の相互作用は、信号伝送リンク734を使用して行うことができる。
【0033】
各信号伝送リンク734は、有線技術(例えば、クラス1の電気ケーブル、クラス2の電気ケーブル、電気コネクタ、電気導体、回路基板上の電気トレース、電力線搬送、DALI(登録商標)、RS485)および/または無線技術(例えば、Wi-Fi、可視光通信、セルラーネットワーク、Bluetooth、WirelessHART、ISA100)を含むことができる。例えば、信号伝送リンク734は、コントローラ700およびバルブアセンブリ736に結合された1つまたは複数の電気導体である(または電気導体を含む)ことができる。信号伝送リンク734は、コントローラ700、ユーザ726、センサ742、および/または電源722の間で信号(例えば、通信信号、制御信号、データ)を送信することができる。
【0034】
電源722は、バルブアセンブリ736、コントローラ700、ポンプ、またはコンプレッサなどのうちの1つまたは複数の構成要素に電力を供給する。電源722は、コーティングシステム100の外部にある独立した電源から(例えば、電気ケーブルを介して)電力を受け取り、コーティングシステムの1つまたは複数の構成要素によって使用することができるタイプ(例えば、AC、DC)およびレベル(例えば、12V、24V、120V)の電力を生成する1つまたは複数の構成要素(例えば、変圧器、ダイオードブリッジ、インバータ、コンバータ)を含むものであってもよい。
【0035】
ストレージリポジトリ712は、ユーザ726、電源722、およびコーティングシステムの他の構成要素と通信する際にコントローラ700を支援するために使用されるソフトウェアおよびデータを格納する永続的なストレージデバイス(またはデバイスの組)とすることができる。1つまたは複数の例示的な実施形態では、ストレージリポジトリ712は、1つまたは複数のプロトコル728、アルゴリズム730、および格納データ732を格納する。例えば、プロトコル728および/またはアルゴリズム730は、コーティングシステムの動作サイクルをいつ入力するか、および何サイクル実行するかを指示するものであってもよい。そのようなプロトコル728およびアルゴリズム730は、センサ742から受け取った情報、ユーザ726から入力されたデータからの情報に基づいてもよいし、コントローラ700にプログラムされた静的な変数であってもよい。格納データ732は、タンクレス給湯器(その任意の構成要素を含む)に関連する任意のデータ、センサ742によって取得された任意の測定値、タイマ706によって測定された時間、アルゴリズム730の調整、閾値、ユーザの好み、デフォルト値、以前に実行または計算されたアルゴリズム730の結果、および/または任意の他の適切なデータであり得る。
【0036】
ストレージリポジトリ712は、コントロールエンジン702に動作可能に接続され得る。1つまたは複数の例示的な実施形態において、コントロールエンジン702は、ユーザ726、電源722、およびコーティングシステムの他の構成要素と通信するための機能を含む。より具体的には、コントロールエンジン702は、ユーザ726、電源722、および他の構成要素と通信するために、ストレージリポジトリ712に情報を送信し、および/またはストレージリポジトリ712から情報を受信する。
【0037】
別の例として、コントロールエンジン702は、タイマ706を使用して現在の時刻を取得することができる。タイマ706は、コントローラ700がコーティングシステムの構成要素を制御することを可能にすることができる。さらに別の例として、コントロールエンジン702は、流量センサなどのセンサ742に、パラメータ(例えば、流量)を測定し、その応答としてコントロールエンジン702に測定値を送信するように指示することができる。いくつかの例では、コントローラ700のコントロールエンジン702は、コーティングシステム内のバルブの位置(例えば、開、閉、全開、全閉、50%開)を制御することができる。
【0038】
コントローラ700のハードウェアプロセッサ714は、1つまたは複数の例示的な実施形態に従って、ソフトウェア、アルゴリズム730、およびファームウェアを実行する。具体的には、ハードウェアプロセッサ714は、コントロールエンジン702またはコントローラ700の任意の他の部分上のソフトウェア、並びにユーザ726または電源722によって使用されるソフトウェアを実行することができる。ハードウェアプロセッサ714は、1つまたは複数の例示的な実施形態において、集積回路、中央処理装置、マルチコア処理チップ、SoC、複数のマルチコア処理チップを含むマルチチップモジュール、または他のハードウェアプロセッサとすることができる。ハードウェアプロセッサ714は、コンピュータプロセッサ、マイクロプロセッサ、およびマルチコアプロセッサを含むがこれらに限定されない、他の名称で知られている。
【0039】
1つまたは複数の例示的な実施形態において、ハードウェアプロセッサ714は、メモリ716に格納されたソフトウェア命令を実行する。メモリ716は、1つまたは複数のキャッシュメモリ、メインメモリ、および/または任意の他の適切なタイプのメモリを含む。メモリ716は、揮発性および/または不揮発性のメモリを含むものであってもよい。
【0040】
例示的な一実施形態において、コントローラ700は、ハードウェアプロセッサ714を含んでいない。このような場合、コントローラ700は、一例として、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1つまたは複数の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、および1つまたは複数の集積回路(IC)を含むことができる。FPGA、IGBT、IC、および/または当該技術分野で知られている他の同様のデバイスを使用することにより、コントローラ700(またはその一部)をプログラム可能にし、ハードウェアプロセッサを使用することなく、特定の論理ルールおよび閾値に従って機能させることができる。
【0041】
1つまたは複数のI/Oデバイス724は、ユーザがコーティングシステムに指令および情報を入力することを可能にし、また、ユーザおよび/または他の構成要素またはデバイスに情報を提示することを可能にする。
【0042】
本明細書では、ソフトウェアまたはプログラムモジュールの一般的な文脈で様々な技術を説明している。一般に、ソフトウェアは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。これらのモジュールおよび技法の実装は、メモリ716またはストレージデバイス712などの、何らかの形態のコンピュータ可読媒体に格納されるか、またはそれらの媒体にわたって伝送される。
【0043】
図8は、コーティングシステムの例示的な実施形態の動作を説明するフローチャートである。フローチャート内の様々なステップが順次提示され、説明されているが、当業者であれば、ステップの一部または全部を異なる順序で実行する、組み合わせる、または省略することが可能であることを理解するであろう。さらに、当業者であれば、特定の例示的な実施形態において、これらの操作を実行する際に、
図8に示されていない追加のステップを含めることができることを理解するであろう。したがって、
図8に示されたステップの特定の配置は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。加えて、上記の
図7に関連して説明したコントローラ700などの特定のコンピューティングデバイスを使用して、特定の例示的な実施形態において以下に説明する方法のためのステップの1つまたは複数を実行することができる。
【0044】
図8を参照すると、例示的なコーティングシステムの動作は、開始ステップで開始することができる。ステップ802において、コントローラは、ポンプ(例えば、ポンプ110、210、342のうちの1つ)を動作させて、コーティングシステムに取り付けられた熱交換器を通じて前処理液を送り込む。前処理液は、水溶液、洗浄液、または保護コーティングを付着させるために熱交換器の内面を準備する化学溶液とすることができる。ステップ804において、コントローラは、フロースイッチを動作させ、ポンプは、コーティング液を熱交換器通じて送り込む。ここで、コーティング液中の1つまたは複数の材料が熱交換器の内面に付着して保護コーティングを形成する。コーティング液は、熱交換器の内面に均一なコーティングが形成されるように、一定期間熱交換器内に留めるものであってもよく、その後、残りのコーティング液は、リターンラインを通じて熱交換器から出る。ステップ806において、コントローラは、フロースイッチを動作させ、ポンプは、熱交換器に洗浄液(リンス液)を送り込み、熱交換器の内面に付着していない残りのコーティング液を除去する。最後に、ステップ808において、コントローラは、熱交換器の内部から残った溶液を除去するために、ソースラインに取り付けられたエアーコンプレッサを動作させて、熱交換器を通じて空気を送り込むことができる。ステップ810において、内部コーティングが施された熱交換器を給湯器に設置する準備ができたことになる。
【0045】
次に、
図9Aおよび9Bを参照すると、コーティングシステムの利点を示す試験データが示されている。
図9Aには、コーティングされていない(未コーティング)熱交換器とコーティングされた(コーティング済)熱交換器で発生したミネラルスケールの厚みを測定したデータが示されている。ここで、2つの熱交換器の使用量は同じである。このデータは、熱交換器の内面に付着された保護コーティングが、熱交換器の内部に発生するミネラルスケールの厚みを大幅に減少させ、その結果、熱交換器の熱効率が向上することを示している。
図9Bには、内部コーティングが施された熱交換器のグループ(コーティング済ユニット)と、内部コーティングが施されていない熱交換器のグループ(未コーティングユニット)について収集された熱効率のデータが示されている。この2つの熱交換器のグループには、同じ試験が行われた。このデータが示すように、内部保護コーティングを施した熱交換器の熱効率は、内部保護コーティングを施していない熱交換器よりも著しく優れていた。
【0046】
本明細書における実施形態の説明は、例示的な実施形態を参照して行われているが、当業者は、様々な変更が本開示の範囲内に十分に含まれることを理解するであろう。また、当業者は、本明細書に記載された例示的な実施形態が具体的に説明された応用に限定されないこと、および本明細書に記載された実施形態が例示的であり、制限的ではないことを理解するであろう。当業者であれば、例示された実施形態の説明から、そこに示された要素の均等物に想到し、また、本開示を用いて他の実施形態を構築する方法に想到するであろう。したがって、例示の実施形態の範囲は、本明細書に限定されるものではない。
【国際調査報告】