(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】アナライト収集装置、それを用いたアナライト収集方法及びアナライト検査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/02 20060101AFI20220620BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220620BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
G01N1/02 Z
C12M1/00 A
G01N35/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561652
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(85)【翻訳文提出日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 KR2020005045
(87)【国際公開番号】W WO2020213930
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0044545
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519427848
【氏名又は名称】アラインド・ジェネティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALIGNED GENETICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】コー、コン
(72)【発明者】
【氏名】リ、ス-ボン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ヨンチョル
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
4B029
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AB17
2G052AB18
2G052AB20
2G052AD26
2G052AD46
2G052CA13
2G052DA08
2G052DA21
2G052ED05
2G052ED11
2G052FC02
2G052FC11
2G058BA08
2G058CC08
4B029AA07
4B029AA09
4B029BB01
4B029BB15
4B029BB20
4B029CC01
4B029HA09
(57)【要約】
本発明は、アナライト収集装置、それを用いたアナライト収集方法及びアナライト検査システムに関するものである。具体的に、本発明の実施例によると、開口及び内部空間を含むケース、及び前記内部空間を複数の内部空間に区画する少なくとも一つの隔壁を含み、前記ケースの前記開口を介して前記内部空間に挿入されて往復移動可能に提供されるピストンを含む、アナライト収集装置、それを用いたアナライト収集方法及びアナライト検査システムが提供されることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口及び内部空間を含むケース、及び
前記内部空間を複数の内部空間に区画する少なくとも一つの隔壁を含み、前記ケースの前記開口を介して前記内部空間に挿入されて往復移動可能に提供されるピストンを含む、
アナライト収集装置。
【請求項2】
前記ケースは、
前記ピストンが挿入される側の反対側端部において前記内部空間が外部と連通するように形成され、前記内部空間に投入されるサンプルを前記ケースから排出できる排出口、及び
前記ピストンが挿入される側の反対側端部に提供され、両端が前記内部空間と連通するように形成される流動孔を含むブローバック部を含む、
請求項1に記載のアナライト収集装置。
【請求項3】
前記内部空間には、磁性物質を含有した溶液が充填され、
前記内部空間に投入される前記サンプルが前記内部空間に充填された前記溶液によって所定の処理が行われ、アナライトとして前記排出口を介して排出される、
請求項2に記載のアナライト収集装置。
【請求項4】
少なくとも一つの前記隔壁は4つの隔壁を含み、
前記複数の前記内部空間は前記4つの隔壁により順次区画される第1隔室、第2隔室、第3隔室及び第4隔室を含み、前記第1隔室から前記第4隔室へ行くほど、前記ケースの前記開口から遠く配置され、
前記第1隔室内には、前記サンプルに含有された生体物質が溶解され、生体物質内にあったアナライトの少なくとも一部が、前記磁性物質と結合されるようにする溶液が充填され、
前記第2隔室内には、前記磁性物質に結合された前記アナライトの少なくとも一部の洗浄が行われるようにする溶液が充填され、
前記第3隔室内には、前記磁性物質に結合された前記アナライトの少なくとも一部が、前記磁性物質から溶離されるようにする溶液が充填され、
前記第4隔室は、前記第3隔室に隣接して形成されながら、前記ケースの内側端部に接するように形成される、
請求項3に記載のアナライト収集装置。
【請求項5】
前記第1隔室内に充填される溶液は、溶解/結合バッファ(Lysis/binding Buffer)及びイソプロピルアルコール(2-Propanol)の少なくとも一つを含み、
第2隔室内に充填される溶液は、洗浄バッファ(Washing Buffer)を含み、
第3隔室内に充填される溶液は、溶離バッファ(Elution Buffer)を含む、
請求項4に記載のアナライト収集装置。
【請求項6】
前記ピストンは、
中心柱を含み、
少なくとも一つの前記隔壁は複数個で構成され、複数個の前記隔壁は互いに離隔して配置されながら、前記中心柱の周面から放射状に延在形成され、
前記内部空間は前記隔壁により複数の隔室に区画され、区画された複数の前記隔室の少なくとも一部には互いに異なる溶液が充填される、
請求項1に記載のアナライト収集装置。
【請求項7】
前記ピストンは、
前記ピストンの挿入方向に垂直に設けられた前記隔壁の両面の少なくとも一面に付着され、周面が前記隔壁の周面より前記ケースの前記内部空間を取り囲む内壁面により近く備えられるフランジ、及び
前記隔壁の周面を取り囲むように提供され、前記ケースの前記内壁面に接触するシール部材をさらに含む、
請求項1に記載のアナライト収集装置。
【請求項8】
前記ケースは、
サンプルが注入され得るように、前記内部空間と前記ケースの外部を貫通させるように、前記ケースに形成される注入孔を含む試料注入部をさらに含み、
前記試料注入部は、前記注入孔を選択的にカバーして前記注入孔を密封する栓をさらに含む、
請求項1に記載のアナライト収集装置。
【請求項9】
前記ケースの前記内部空間を形成する内壁面から凝集溝が凹入形成され、
前記内部空間には磁性物質を含有した溶液が充填され、
前記凝集溝に向かって外部から磁力が加えられる場合、前記磁性物質が前記凝集溝内に凝集されることができる、
請求項1から8のいずれか一項に記載のアナライト収集装置。
【請求項10】
前記アナライト収集装置により収集されるアナライトは、核酸、タンパク質、素嚢、脂質、炭水化物、細胞及びこれらから分離し得る物質の少なくとも一つ以上を含む、
請求項1に記載のアナライト収集装置。
【請求項11】
開口及び内部空間を含むケースと、前記内部空間を複数の内部空間に区画する少なくとも一つの隔壁を含み、前記ケースの前記開口を介して前記内部空間に挿入されて往復移動可能に提供されるピストンを含むアナライト収集装置、及び
前記アナライト収集装置を分離可能に把持するホルダを含む、
アナライト検査システム。
【請求項12】
前記ピストンのヘッドを押したり引いたりして前記ピストンを前記内部空間内で並進移動させることができるプランジャー、及び
コントローラーをさらに含み、
前記プランジャーは前記コントローラーによって制御される、
請求項11に記載のアナライト検査システム。
【請求項13】
前記内部空間には、磁性物質を含有した溶液が充填され、
前記内部空間に投入されるサンプルが前記内部空間に充填された前記溶液によって所定の処理が行われ、
前記所定の処理は複数の段階を含み、前記コントローラーが前記プランジャーを駆動制御することにより、前記複数の段階が順次行われる
請求項12に記載のアナライト検査システム。
【請求項14】
前記ケースは、
前記ピストンが挿入される側の反対側端部において前記内部空間が外部と連通するように形成され、前記内部空間に投入されて所定の処理を経た前記サンプルがアナライトとして前記ケースから排出できる排出口、及び
前記ピストンが挿入される側の反対側端部に提供され、両端が前記内部空間と連通するように形成される流動孔を含むブローバック部を含み、
前記コントローラーは、前記ピストンを前記ブローバック部に向けて押し出すように前記プランジャーを制御し、前記アナライトがブローバック現象により前記排出口を介して排出される、
請求項13に記載のアナライト検査システム。
【請求項15】
前記ケースは、前記内部空間を形成する内壁面から凝集溝が凹入形成され、
前記凝集溝に向かって選択的に磁力を加え、前記磁性物質が前記凝集溝内に凝集できるように提供され、前記コントローラーによって制御される凝集装置をさらに含む、
請求項13または14に記載のアナライト検査システム。
【請求項16】
前記内部空間に対して選択的に磁力を加えることができるように提供され、前記コントローラーによって制御される凝集解除装置をさらに含み、
前記凝集溝内に前記磁性物質が凝集された状態で、前記コントローラーが前記凝集解除装置を制御することにより、前記内部空間に磁力を印加して、前記凝集溝に凝集された前記磁性物質の凝集状態が解除されることができる、
請求項15に記載のアナライト検査システム。
【請求項17】
前記アナライト収集装置により収集されるアナライトは、核酸、タンパク質、素嚢、脂質、炭水化物、細胞及びこれらから分離し得る物質の少なくとも一つ以上を含む、
請求項11に記載のアナライト検査システム。
【請求項18】
アナライト収集装置を用いたアナライト収集方法であって、
前記アナライト収集装置は、
開口及び内部空間を含むケース、及び
前記内部空間を複数の内部空間に区画する少なくとも一つの隔壁を含み、前記ケースの内部空間に挿入されて往復移動可能に提供されるピストンを含み、
前記内部空間内にサンプルが投入される段階、及び
前記ピストンが前記内部空間内で移動しながら複数の段階を含む所定の処理が順次行われ、前記サンプルがアナライトとして収集される段階を含む、
アナライト収集装置を用いたアナライト収集方法。
【請求項19】
前記ケースは、
前記ピストンが挿入される側の反対側端部において前記内部空間が外部と連通するように形成され、前記内部空間に収容された前記サンプルが排出できる排出口、及び
前記ピストンが挿入される側の反対側端部に提供され、両端が前記内部空間と連通するように形成される流動孔を含むブローバック部を含み、
前記ピストンが前記内部空間内で移動し、前記所定の処理を経たアナライトが含有された隔室を前記ケースの端部に形成されたブローバック部に向けて押し出し、前記ブローバック部を介して加圧された前記所定の処理を経たアナライトが、前記ケースに形成された排出口を介して排出される段階をさらに含む、
請求項18に記載のアナライト収集装置を用いたアナライト収集方法。
【請求項20】
前記ケースの前記内部空間を形成する内壁面から凝集溝が凹入形成され、
前記内部空間に充填される溶液には磁性物質が含有され、
前記凝集溝に磁力を作用させて、前記磁性物質を前記凝集溝に凝集させる段階をさらに含む、
請求項18または19に記載のアナライト収集装置を用いたアナライト収集方法。
【請求項21】
少なくとも一つの前記隔壁は4つの隔壁を含み、複数の前記内部空間は前記4つの隔壁によって順次区画される第1隔室、第2隔室、第3隔室及び第4隔室を含み、前記第1隔室は、前記4つの隔室のうち、前記ケースの開口に最も近く形成され、前記第2隔室は、前記隔壁のいずれかを挟んで前記第1隔壁と隣接して形成され、前記第3隔室は、前記隔壁のいずれかを挟んで前記第2隔壁と隣接して形成され、前記第4隔壁は前記隔壁のいずれかを挟んで前記第3隔壁と隣接して形成されつつ、前記ケースの内側端部に接するように形成され、
前記サンプルは前記第1隔壁に投入され、
前記所定の処理が順次行われる段階は、
前記第1隔室内に充填された溶液により前記サンプルに含有された生体物質が溶解され、前記生体物質内にあったアナライトの少なくとも一部が前記磁性物質と結合する段階、
前記凝集溝に磁力を加え、前記アナライトの少なくとも一部と結合した前記磁性物質が前記凝集溝内に凝集された後、前記ピストンが退避して、前記凝集溝の上側に前記第2隔壁が配置される段階、
前記凝集溝に加えられた磁力が解除され、前記内部空間に磁力を加えて前記凝集溝に凝集された前記磁性物質の凝集状態が解除され、前記第2隔室内に前記磁性物質が浮遊する段階、
前記第2隔室内に充填された溶液により前記磁性物質に結合された前記アナライトの少なくとも一部の洗浄が行われる段階、
前記凝集溝に磁力を加えて前記アナライトの少なくとも一部と結合した前記磁性物質が前記凝集溝内に凝集された後、前記ピストンが退避して、前記凝集溝の上側に前記第3隔室が配置される段階、
前記凝集溝に加えられた磁力が解除され、前記内部空間に磁力を加えて前記凝集溝に凝集された前記磁性物質の凝集状態が解除され、前記第3隔室内に前記磁性物質が浮遊する段階、
前記第3隔室内に充填された溶液により前記磁性物質に結合された前記アナライトの少なくとも一部が前記磁性物質から溶離される段階、及び
前記凝集溝に磁力を加え、前記アナライトの少なくとも一部が溶離した前記磁性物質が、前記凝集溝内に凝集される段階をさらに含む、
請求項20に記載のアナライト収集装置を用いたアナライト収集方法。
【請求項22】
前記第1隔室内に充填される溶液は、溶解/結合バッファ(Lysis/binding Buffer)及びイソプロピルアルコール(2-Propanol)の少なくとも一つを含み、
第2隔室内に充填される溶液は、洗浄バッファ(Washing Buffer)を含み、
第3隔室内に充填される溶液は、溶離バッファ(Elution Buffer)を含む、
請求項21に記載のアナライト収集装置を用いたアナライト収集方法。
【請求項23】
前記アナライト収集装置により収集されるアナライトは、核酸、タンパク質、素嚢、脂質、炭水化物、細胞及びこれらから分離し得る物質の少なくとも一つ以上を含む、
請求項18に記載のアナライト収集装置を用いたアナライト収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナライト収集装置、それを用いたアナライト収集方法及びアナライト検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、人体または動物の身体から採取されるサンプルを実験室で精製して所定の検査を実施する場合がある。このような場合、一般的にサンプルに対して所定の装置を用いて化学的、物理的方法により前処理、精製などの処理が行われ、このように精製されたサンプルをアナライト(analyte)として最終収集し所定の検査を実施することができる。このようなアナライト収集装置及び方法と、アナライト検査システムの一例として、核酸の精製装置、方法及び精製された核酸の検査システムが挙げられる。
【0003】
核酸の精製は遺伝工学、分子生物学で広く用いられる必須の技術であり、サザンブロット(Southernblot)、ノーザンブロット(Northernblot)、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerasechainreaction、PCR)などの技術のための前処理段階であり、研究、医療、産業的に非常に重要な技術である。このような核酸の精製は、伝統的に超音波、熱、タンパク質加水分解酵素(proteinase)、アルコール(alcohols)、特殊試薬などを活用した化学物理的方法によって行われ、研究者がピペットを利用して核酸精製過程を行うのが一般的であるが、最近、磁性粒子を利用してより便利に核酸を精製する方法が広範囲に導入されてきた。しかし、これらの方法は検査室で行われるべきであり、多くの時間及び労働力を必要とし、汎用的に活用されるには限界がある。
【0004】
一方、核酸の精製過程は細胞等の生体物質の溶解(lysis)、核酸-磁性粒子結合(binding)、洗浄(washing)、核酸溶離(elution)などのステップを含み、各ステップの目的に応じた試薬及び処理を必要とする。このような精製過程を経たアナライトは定量収集され、所定の必要な検査が実施されることができる。すなわち、精製された核酸は、透明な増幅及び検出チューブに移され、リアルタイムでポリメラーゼ連鎖反応(real-time PCR)またはそれに類似した技術を活用して増幅が行われ、蛍光標識を用いて病原性核酸の存否を光学的に検出し、これにより当該疾患に対する診断が可能である。
【0005】
このようにサンプルを精製してアナライトとして定量収集するためのアナライト収集装置は、病院の人件費の削減及び現場即時検査(point-of-caretesting、POCT)のために、精製過程に要する人員を最小限に抑えなければならず、精製のための所定の溶液を充填しなければならず、移動性の確保のために大きさは小さくなければならない。また、生体物質による汚染を防止するために一回性が確保されるべきであるところ、低価格の装置として具現される必要があるが、今までこのような条件を完全に満たすアナライト収集装置、それを用いた方法及びアナライトの検査システムに関する研究は不十分な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
US 2015-0232916 A1 (2015.08.20)
【発明の詳細な説明】
【0007】
本発明の実施例は、磁性粒子を活用したサンプルの精製または前処理を目的とする、構造が簡単でコスト(cost)が低く、小型で具現され、自動化された過程により効率的なサンプル処理が可能なアナライト収集装置、それを用いたアナライト収集方法及びアナライト検査システムを提供しようとする。
【0008】
本発明の一側面によると、開口及び内部空間を含むケース、及び前記内部空間を複数の内部空間に区画する少なくとも一つの隔壁を含み、前記ケースの前記開口を介して前記内部空間に挿入されて往復移動可能に提供されるピストンを含む、アナライト収集装置が提供されることができる。
【0009】
なお、前記ケースは、前記ピストンが挿入される側の反対側端部において前記内部空間が外部と連通するように形成され、前記内部空間に投入されるサンプルを前記ケースから排出できる排出口、及び前記ピストンが挿入される側の反対側端部に提供され、両端が前記内部空間と連通するように形成される流動孔を含むブローバック部を含む、アナライト収集装置が提供されることができる。
【0010】
また、前記内部空間には、磁性物質を含有した溶液が充填され、前記内部空間に投入される前記サンプルが前記内部空間に充填された前記溶液によって所定の処理が行われ、アナライトとして前記排出口を介して排出される、アナライト収集装置が提供されることができる。
【0011】
なお、少なくとも一つの前記隔壁は4つの隔壁を含み、複数の前記内部空間は前記4つの隔壁により順次区画される第1隔室、第2隔室、第3隔室及び第4隔室を含み、前記第1隔室から前記第4隔室へ行くほど、前記ケースの前記開口から遠く配置され、前記第1隔室内には、前記サンプルに含有された生体物質が溶解され、生体物質内にあったアナライトの少なくとも一部が、前記磁性物質と結合されるようにする溶液が充填され、前記第2隔室内には、前記磁性物質に結合された前記アナライトの少なくとも一部の洗浄が行われるようにする溶液が充填され、前記第3隔室内には、前記磁性物質に結合された前記アナライトの少なくとも一部が、前記磁性物質から溶離されるようにする溶液が充填され、前記第4隔室は、前記第3隔室に隣接して形成されながら、前記ケースの内側端部に接するように形成される、アナライト収集装置が提供されることができる。
【0012】
また、前記第1隔室内に充填される溶液は、溶解/結合バッファ(Lysis/binding Buffer)及びイソプロピルアルコール(2-Propanol)の少なくとも一つを含み、第2隔室内に充填される溶液は、洗浄バッファ(Washing Buffer)を含み、第3隔室内に充填される溶液は、溶離バッファ(Elution Buffer)を含む、アナライト収集装置が提供されることができる。
【0013】
また、前記ピストンは、中心柱を含み、少なくとも一つの前記隔壁は複数個で構成され、複数個の前記隔壁は互いに離隔して配置されながら、前記中心柱の周面から放射状に延在形成され、前記内部空間は前記隔壁により複数の隔室に区画され、区画された複数の前記隔室の少なくとも一部には互いに異なる溶液が充填される、アナライト収集装置が提供されることができる。
【0014】
また、前記ピストンは、前記ピストンの挿入方向に垂直に設けられた前記隔壁の両面の少なくとも一面に付着され、周面が前記隔壁の周面より前記ケースの前記内部空間を取り囲む内壁面により近く備えられるフランジ、及び前記隔壁の周面を取り囲むように提供され、前記ケースの前記内壁面に接触するシール部材をさらに含む、アナライト収集装置が提供されることができる。
【0015】
なお、前記ケースは、サンプルが注入され得るように、前記内部空間と前記ケースの外部を貫通させるように、前記ケースに形成される注入孔を含む試料注入部をさらに含み、前記試料注入部は、前記注入孔を選択的にカバーして前記注入孔を密封する栓をさらに含む、アナライト収集装置が提供されることができる。
【0016】
また、前記ケースの前記内部空間を形成する内壁面から凝集溝が凹入形成され、前記内部空間には磁性物質を含有した溶液が充填され、前記凝集溝に向かって外部から磁力が加えられる場合、前記磁性物質が前記凝集溝内に凝集されることができる、アナライト収集装置が提供されることができる。
【0017】
また、前記アナライト収集装置により収集されるアナライトは、核酸、タンパク質、素嚢、脂質、炭水化物、細胞及びこれらから分離し得る物質の少なくとも一つ以上を含む、アナライト収集装置が提供されることができる。
【0018】
一方、本発明の他の側面によると、開口及び内部空間を含むケースと、前記内部空間を複数の内部空間に区画する少なくとも一つの隔壁を含み、前記ケースの前記開口を介して前記内部空間に挿入されて往復移動可能に提供されるピストンを含むアナライト収集装置、及び前記アナライト収集装置を分離可能に把持するホルダを含む、アナライト検査システムが提供されることができる。
【0019】
また、前記ピストンのヘッドを押したり引いたりして前記ピストンを前記内部空間内で並進移動させることができるプランジャー、及びコントローラーをさらに含み、前記プランジャーは前記コントローラーによって制御される、アナライト検査システムが提供されることができる。
【0020】
また、前記内部空間には磁性物質を含有した溶液が充填され、前記ケースに投入されるサンプルが前記内部空間に充填された前記溶液によって所定の処理が行われ、前記所定の処理は複数の段階を含み、前記コントローラーが前記プランジャーを駆動制御することにより、前記複数の段階が順次行われる、アナライト検査システムが提供されることができる。
【0021】
なお、前記ケースは、前記ピストンが挿入される側の反対側端部において前記内部空間が外部と連通するように形成され、前記内部空間に投入されて所定の処理を経た前記サンプルがアナライトとして前記ケースから排出できる排出口、及び前記ピストンが挿入される側の反対側端部に提供され、両端が前記内部空間と連通するように形成される流動孔を含むブローバック部を含み、前記コントローラーは、前記ピストンを前記ブローバック部に向けて押し出すように前記プランジャーを制御し、前記アナライトがブローバック現象により前記排出口を介して排出される、アナライト検査システムが提供されることができる。
【0022】
なお、前記ケースは、前記内部空間を形成する内壁面から凝集溝が凹入形成され、前記凝集溝に向かって選択的に磁力を加え、前記磁性物質が前記凝集溝内に凝集できるように提供され、前記コントローラーによって制御される凝集装置をさらに含む、アナライト検査システムが提供されることができる。
【0023】
また、前記内部空間に対して選択的に磁力を加えることができるように提供され、前記コントローラーによって制御される凝集解除装置をさらに含み、前記凝集溝内に前記磁性物質が凝集された状態で、前記コントローラーが前記凝集解除装置を制御することにより、前記内部空間に磁力を印加して、前記凝集溝に凝集された前記磁性物質の凝集状態が解除されることができる、アナライト検査システムが提供されることができる。
【0024】
また、前記アナライト収集装置によって収集されるアナライトは、核酸、タンパク質、素嚢、脂質、炭水化物、細胞及びこれらから分離し得る物質の少なくとも一つ以上を含む、アナライト検査システムが提供されることができる。
【0025】
一方、本発明のもう一つの側面によると、アナライト収集装置を用いたアナライト収集方法において、前記アナライト収集装置は、開口及び内部空間を含むケース、及び前記内部空間を複数の内部空間に区画する少なくとも一つの隔壁を含み、前記ケースの内部空間に挿入されて往復移動可能に提供されるピストンを含み、前記内部空間内にサンプルが投入される段階、及び前記ピストンが前記内部空間内で移動しながら複数の段階を含む所定の処理が順次行われ、前記サンプルがアナライトとして収集される段階を含む、アナライト収集装置を用いたアナライト収集方法が提供されることができる。
【0026】
なお、前記ケースは、前記ピストンが挿入される側の反対側端部において前記内部空間が外部と連通するように形成され、前記内部空間に収容された前記サンプルが排出できる排出口、及び前記ピストンが挿入される側の反対側端部に提供され、両端が前記内部空間と連通するように形成される流動孔を含むブローバック部を含み、前記ピストンが前記内部空間内で移動し、前記所定の処理を経たアナライトが含有された隔室を前記ケースの端部に形成されたブローバック部に向けて押し出し、前記ブローバック部を介して加圧された前記所定の処理を経たアナライトが、前記ケースに形成された排出口を介して排出される段階をさらに含む、アナライト収集装置を用いたアナライト収集方法が提供されることができる。
【0027】
また、前記ケースの前記内部空間を形成する内壁面から凝集溝が凹入形成され、前記内部空間に充填される溶液には磁性物質が含有され、前記凝集溝に磁力を作用させて、前記磁性物質を前記凝集溝に凝集させる段階をさらに含む、アナライト収集装置を用いたアナライト収集方法が提供されることができる。
【0028】
また、少なくとも一つの前記隔壁は4つの隔壁を含み、複数の前記内部空間は前記4つの隔壁によって順次区画される第1隔室、第2隔室、第3隔室及び第4隔室を含み、前記第1隔室は、前記4つの隔室のうち、前記ケースの開口に最も近く形成され、前記第2隔室は、前記隔壁のいずれかを挟んで前記第1隔壁と隣接して形成され、前記第3隔室は、前記隔壁のいずれかを挟んで前記第2隔壁と隣接して形成され、前記第4隔壁は前記隔壁のいずれかを挟んで前記第3隔壁と隣接して形成されつつ、前記ケースの内側端部に接するように形成され、前記サンプルは前記第1隔壁に投入され、前記所定の処理が順次行われる段階は、前記第1隔室内に充填された溶液により前記サンプルに含有された生体物質が溶解され、前記生体物質内にあったアナライトの少なくとも一部が前記磁性物質と結合する段階、前記凝集溝に磁力を加え、前記アナライトの少なくとも一部と結合した前記磁性物質が前記凝集溝内に凝集された後、前記ピストンが退避して、前記凝集溝の上側に前記第2隔壁が配置される段階、前記凝集溝に加えられた磁力が解除され、前記内部空間に磁力を加えて前記凝集溝に凝集された前記磁性物質の凝集状態が解除され、前記第2隔室内に前記磁性物質が浮遊する段階、前記第2隔室内に充填された溶液により前記磁性物質に結合された前記アナライトの少なくとも一部の洗浄が進む段階、前記凝集溝に磁力を加えて前記アナライトの少なくとも一部と結合した前記磁性物質が前記凝集溝内に凝集された後、前記ピストンが退避して、前記凝集溝の上側に前記第3隔室が配置される段階、前記凝集溝に加えられた磁力が解除され、前記内部空間に磁力を加えて前記凝集溝に凝集された前記磁性物質の凝集状態が解除され、前記第3隔室内に前記磁性物質が浮遊する段階、前記第3隔室内に充填された溶液により前記磁性物質に結合された前記アナライトの少なくとも一部が前記磁性物質から溶離される段階、及び前記凝集溝に磁力を加え、前記アナライトの少なくとも一部が溶離した前記磁性物質が、前記凝集溝内に凝集される段階をさらに含む、アナライト収集装置を用いたアナライト収集方法が提供されることができる。
【0029】
なお、前記第1隔室内に充填される溶液は、溶解/結合バッファ(Lysis/binding Buffer)及びイソプロピルアルコール(2-Propanol)のいずれか一つを含み、第2隔室内に充填される溶液は、洗浄バッファ(Washing Buffer)を含み、第3隔室内に充填される溶液は、溶離バッファ(Elution Buffer)を含む、アナライト収集方法が提供されることができる。
【0030】
また、前記アナライト収集装置により収集されるアナライトは、核酸、タンパク質、素嚢、脂質、炭水化物、細胞及びこれらから分離し得る物質の少なくとも一つ以上を含む、アナライト収集装置を用いたアナライト収集方法が提供されることができる。
【0031】
本発明の実施例によると、装置内サンプルの注入後には、ユーザの介入なしに自動で精製、増幅、検出などの処理が可能であるため、ユーザビリティが高く、サンプルの処理プロセス過程でユーザまたは第3者の二次感染を予防できるという効果がある。
【0032】
また、精製済みのアナライトの自動移送が可能であり、次の反応のための溶液移動にユーザが介入しないため、サンプルツーアンサー(sample-to-answer)の具現が可能であり、キャリーオーバー汚染(carryover contamination)を防止できるという効果がある。
【0033】
また、ユーザの習熟度によってアナライト修得率が変化することが防止され、毎回一定のアナライト修得率が達成できるという効果がある。
【0034】
また、装置構造が簡素化され、各駆動要素が最小化されることができ、小型化によりコスト(cost)を下げ、空間活用度を高めることができるという効果がある。
【0035】
また、一つの装置内に複数の精製段階を付加することが可能であるため、多重試料処理及び検出が可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例によるアナライト収集装置を示した斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のアナライト収集装置を含むアナライト検査システムを示した概念図である。
【
図4】
図4は、
図1のアナライト収集装置を用いてアナライトを精製及び収集する過程を示した流れ図である。
【
図5】
図5は、本発明の他の実施例によるアナライト収集装置を示した縦断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の他の実施例によるアナライト検査システムを示した概念図である。
【
図7】
図7は、本発明の他の実施例によるアナライト検査システムを示した概念図である。
【
図8】
図8は、
図1のアナライト収集装置を用いて収集したアナライトのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施した実験結果を示すチャートである。
【
図9】
図9は、
図1のアナライト収集装置を用いて収集したアナライトのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施した実験結果を示すチャートである。
【発明の実施のための形態】
【0037】
以下では、本発明の思想を具現するための具体的な実施例について、図面を参照して詳しく説明するものとする。
【0038】
なお、本発明の説明に当たって、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を濁す可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0039】
また、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「接触」されると言及されたときには、その他の構成要素に直接的に連結、接触されることもあり得るが、途中に他の構成要素が存在することもあり得ると理解されなければならない。
【0040】
本明細書に用いられた用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであり、本発明を限定することを意図したものではない。単数の表現は、文脈からみて、明らかに異なる意味を有さない限り、複数の表現を含む。
【0041】
以下、図面を参照して本発明の一実施例に沿ったアナライト収集装置及びアナライト検査システムについて説明する。
【0042】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例によるアナライト収集装置(10)は、大きくケース(100)及びピストン(200)を含むことができる。このようなケース(100)及びピストン(200)は、例えば、プラスチック、ゴム、セラミックス、無機化合物、金属のいずれか一つの物質またはその組み合わせから構成されることができる。また、ケース(100)及びピストン(200)は、例えば、ブローモールディング(Blow molding)、圧縮成形(Compression molding)、押出成形(Extrusion molding)、射出成形(Injection molding)、ラミネイティング(Laminating)、反応射出成形(Reaction injection molding)、マトリックス成形(Matrix molding)、回転成形(Rotational molding)、スピンキャスティング(Spin casting)、トランスファー成形(Transfer molding)、熱成形(Thermoforming)、3D プリンティング(3D printing)などの工程により製造されることができる。また、ケース(100)及びピストン(200)は、既設備された自動化施設によって大量生産されることが可能であり、一例として、使い捨ての生産が可能である。また、ケース(100)とピストン(200)は、それぞれ別個に製造されて組み立てされることで提供されることができる。
【0043】
ケース(100)はサンプル(sample)が投入できるように内部に空間(102)が形成され、このような内部空間(102)にピストン(200)が挿入され、相互に組み立てられる。ケース(100)の内部空間(102)は、一側が開口された形状に備えられることができ、ピストン(200)に対応される形状に形成され、ピストン(200)が内部空間(102)に挿入された状態で往復運動が可能になるように備えられ得る。また、ケース(100)の内部空間(102)は後述するピストン(200)の隔壁(230)により複数の隔室に区画されることができる。一例として、ケース(100)の内部空間(102)は総4つの隔室(102a、102b、102c、102d)に区画されることができるが、本発明の思想はこれに限られるものではない。
【0044】
内部空間(102)に投入されるサンプルは、細胞、ウイルス、組職、エキソソーム(exosome)、タンパク質、核酸、抗原、抗体の一部あるいは全部を含む液状、固相、あるいはその混合物で構成されてもよく、一例として、人体から採取した試料であってもよい。内部空間(102)に投入されるサンプルが人体から採取した試料である場合、一例として、アナライト収集装置(10)を用いてサンプル内に存在する細胞内核酸の精製が行われることができる。
【0045】
また、内部空間(102)には磁性物質を含有した溶液が充填されることができ、複数の隔室には互いに異なる溶液が充填されることができる。例えば、内部空間(102)が総4つの隔室(102a、102b、102c、102d)に区画される場合、第1隔室(102a)は4つの隔室(102a、102b、102c、102d)のうち、ピストン(200)が挿入されることができるように形成されたケース(100)の開口に最も近く形成され、第1隔室(102a)内にはサンプルに含有された生体物質が溶解され、生体物質内にあったアナライトの少なくとも一部が磁性物質と結合するようにするための溶液が充填されることができる。
【0046】
例えば、アナライト収集装置(10)によって収集されるアナライトは、核酸、タンパク質、素嚢(Exosomeなど)、脂質、炭水化物、細胞(血液細胞、兔疫細胞、腫瘍細胞、病原性微生物など)などでサンプルに含有された生体物質そのものまたはそれから物理的及び/または化学的方法により分離し得る物質を含むことができる。また、例えば、アナライト収集装置(10)を用いてサンプル内に存在する細胞内核酸の精製が行われる場合、アナライト収集装置(10)から収集されるアナライトは、精製された核酸を含むことができる。
【0047】
第1隔室(102a)内に充填される溶液は、例示的に、溶解/結合バッファ(Lysis/binding Buffer)及びイソプロフィルアルコール(2-Propanol)の少なくとも一つを含むことができ、さらに具体的には、磁性微細粒子(Magnetic nano/micro particles)、塩(salts;ex.Tris-HCl)、キレート試薬(chelating agent;ex.Ethylenediaminetetraacetic acid(EDTA))、界面活性剤/洗浄剤(detergent;ex.Sodium dodecyl sulfate(SDS)、Triton X-100)、還元剤(reductant;ex.Dithiothreitol(DTT))、カオトロピック剤(Chaotropic agent;ex.Guanidine thiocyanate)、酵素(enzyme;ex.Proteinase K)、アルコール(alcohol;ex.2-Propanol)及び精製数(Distilled water)の一部または全部を含む溶液として提供されることができる。
【0048】
また、第2隔室(102b)は複数の隔壁(230)のいずれかを挟んで第1隔室(102a)と隣接して形成され、第2隔室(102b)内には、磁性物質に結合されたアナライトの少なくとも一部の洗浄が行われるようにする溶液が充填されることができる。
【0049】
第2隔室(102b)内に充填される溶液は例示的に洗浄バッファ(Washing Buffer)を含むことができ、さらに具体的には、Diethyl pyrocarbonate(DEPC)、Sodium citrate tribasic dehydrate、アルコール(alcohol;ex.Ethanol、2-propanol)及び精製数(Distilled water)の一部または全部を含む溶液として提供されることができる。
【0050】
また、第3隔室(102c)は複数の隔壁(230)のいずれかを挟んで第2隔室(102b)と隣接して形成され、第3隔室(102c)内には、磁性物質に結合されたアナライトの少なくとも一部が磁性物質から溶離されるようにする溶液が充填されることができる。
【0051】
第3隔室(102c)内に充填される溶液は、例示的に溶離バッファ(Elution Buffer)を含むことができ、さらに具体的には、塩(salts;ex.Tris-HCl)、キレート試薬(chelating agent;ex.Ethylenediaminetetraacetic acid(EDTA))、デ-エティルピロカボネイト(Diethyl pyrocarbonate(DEPC))及び精製数(Distilled water)の一部または全部を含む溶液として提供できる。
【0052】
また、第4隔室(102d)は、複数の隔壁(230)のいずれかを挟んで第3隔室(102c)と隣接して形成されながら、ケース(100)の開口反対側に位置する内側端部に接するように形成されることができる。第4隔室(102d)の内部には、空気などの気体が充填された状態で備えられることができる。
【0053】
一方、ケース(100)は試料注入部(110)、凝集溝(120)、ブローバック部(130)、排出口(140)、据え置き部(150)及び羽部(160)を含むことができる。
【0054】
試料注入部(110)は、サンプルが注入され得るように、内部空間(102)とケース(100)の外部を連通させるように、ケース(100)に形成される注入孔(112)を含むことができ、注入孔(112)を選択的にカバーして注入孔(112)を密封する栓(114)をさらに含むことができる。
【0055】
注入孔(112)は上面が広く、下に行くほど細くなる形状に備えられることができ、一例として漏斗状に形成されることができるが、本発明の思想はこのような注入孔(112)の形状によって限定解釈されるものではない。
また、注入孔(112)はケース(100)の上面に対して凹入形成されて内部空間(102)と下端が連通するように形成されることができる。但し、これは一例に過ぎず、注入孔(112)はケース(100)の上面外に側面または底面に形成されることも可能である。
【0056】
また、注入孔(112)は、ピストン(200)が内部空間(102)内で一方向に移動されることによって、各隔室(102a、102b、102c、102d)と下端が順次連通されることができる。サンプルが注入孔(112)を介して注入される場合、基本的に第1隔室(102a)と連通された状態で注入されることができ、第1隔室(102a)にサンプルが注入された後、すぐに精製過程のうち最初のステップが行われることができる。
【0057】
栓(114)は、一例としてゴムなどの弾性力のある材質で提供されることができ、下端部は注入孔(112)の形状に対応されるように形成され、注入孔(112)に下端部が挿入されたとき、注入孔(112)を完璧にカバーしながら密封できるように提供されることができる。このような栓(114)は、未使用時には注入孔(112)を密閉させて外部の異物が内部空間(102)に浸透することを防ぐことができ、注入孔(112)にサンプルが注入されるために栓(114)が注入孔(112)から分離して注入孔(112)が開放されることができる。サンプルが注入孔(112)を介して注入された後には、再び栓(114)が結合されて注入孔(112)が密閉されることができる。これにより、外部の異物が処理前はもちろん処理過程の進行中にも内部空間(102)に浸透するのを防止することができる。
【0058】
凝集溝(120)はケース(100)の内部空間(102)を形成する内壁面から凹入形成され、凝集溝(120)に向かって外部から磁力が加えられる場合、内部空間(102)に充填された磁性物質が凝集溝(120)内に凝集されることができる。このとき、第1隔室(102a)内でサンプルの溶解及び結合作用が起こることで、磁性物質と他の生体物質が結合された場合には、磁性物質及びこれに結合された物質が凝集溝(120)内に凝集されることができる。
【0059】
また、凝集溝(120)は、注入孔(112)と干渉されないようにケース(100)の内壁面に形成されることができ、本実施例ではケース(100)の内部空間(102)の底面に形成された場合を例に挙げて図示したが、本発明の思想はこれに限られるものではない。例えば、凝集溝(120)は、内部空間(102)の側面または上面に形成されることも可能である。また、凝集溝(120)は半球形状の溝として形成されてもよいが、凝集溝(120)の形状によって本発明の思想が制限解釈されるものではなく、場合によっては漏斗状、六面体状など異なる形状に形成されることもできる。
【0060】
また、凝集溝(120)は注入孔(112)と同一線上に形成されることができる。または、少なくとも第1隔室(102a)に凝集溝(120)と注入孔(112)が同時に連通されることができる範囲内の位置に形成されることができる。これで、注入孔(112)を介して注入されたサンプルがピストン(200)の追加的な動きなしに、すぐに凝集溝(120)に収容されて凝集されることが可能である。但し、これは一例に過ぎず、凝集溝(120)が注入孔(112)のいずれか一つの隔室(102a、102b、102c、102d)に対して同時に連通できない位置に形成されても、ピストン(200)の追加的な移動によりサンプルの凝集が可能となる。
【0061】
ブローバック部(130)はピストン(200)が挿入される側の反対側端部に提供され、両端が内部空間と連通するように形成される流動孔(132)を含む。また、ブローバック部(130)は、ケース(100)の上面に形成されることができるが、本発明の思想はこれに限られるものではなく、ケース(100)の側面または底面に形成されることも可能である。このようなブローバック部(130)によってピストン(200)がブローバック部(130)に向かって前進する際に、第4隔室(102d)に存在する空気などの気体が流動孔(132)を介してブローバック(blowback)されることによって、第3隔室(102c)に存在する精製済みのアナライトが排出口(140)を介して排出され、収集容器(X、
図3参照)内に収集されることができる。
【0062】
このため、流動孔(132)は流動孔入口(1322)、ブリッジ(1324)及び流動孔出口(1326)を含む。流動孔入口(1322)と流動孔出口(1326)は、いずれも内部空間(102)に一端が連通されるように形成され、ブリッジ(1324)を介してそれぞれの他端が連結され、流動孔(132)は全体として「U」字型チャンネルとして形成されることができる。このとき、流動孔入口(1322)は、流動孔出口(1326)より内部空間(102)の開口反対側の端部にさらに近く形成されることができる。これによって、ピストン(200)が第4隔室(102d)を狭める方向に前進移動されると、第4隔室(102d)にあった空気などの気体が圧力により流動孔入口(1322)に流入し、ブリッジ(1324)及び流動孔出口(1326)を通過した後、第4隔室(102d)に隣接した第3隔室(102c)に流入されることができる。このように流入された気体の圧力により、第3隔室(102c)に収容されたアナライトが排出口(140)を介して押し出され、ケース(100)から排出されることができる。このように排出されたアナライトは、後述する容器結合突起(142)に結合された収集容器(X)の内部に収集されることができる。
【0063】
上述したブローバック部(130)の構成により、ユーザはピストン(200)を加圧する程度を調節し、流動孔(132)を介してブローバックされる気体の量を微細に調節することができ、このようにブローバックされる気体の量を調節することで、排出口(140)を介して排出されて収集されるアナライトの量を微細に調節することができる。このように、本実施例によると、ピストン(200)の加圧の程度を微調整することで、収集されるアナライトの量を微細に制御することができるため、本実施例によるアナライト収集装置(10)は、アナライトの定量収集が非常に重要な検査を実施する場合に特に有用に用いられることができる。
【0064】
一方、ブローバック部(130)の流動孔(132)は、ブリッジ(1324)の上面が外部と連通されるように開口された形状に形成されることができる。これにより、ブリッジ(1324)の開口面を選択的に密封するためのカバー(134)がさらに提供されることができる。カバー(134)は、一例としてゴムなどの弾性力のある材質で提供されることができ、下端部はブリッジ(1324)の形状に対応されるように形成され、ブリッジ(1324)にカバー(134)の下端部が挿入されたとき、ブリッジ(1324)の開口を完壁にカバーしながら密封できるように提供されることができる。このようなカバー(134)は、流動孔(132)を密閉させて外部の異物が内部空間(102)に浸透することを防ぐことができ、これにより、外部の異物が処理前はもちろん処理過程の進行中にも内部空間(102)に浸透するのを防止することができる。
【0065】
本実施例ではブローバック部(130)の流動孔(132)が外部と連通するように開口された形状に形成され、カバー(134)によって流動孔(132)の開口が密封される場合を例に挙げて図示したが、本発明の思想はこれに限られるものではない。例えば、流動孔(132)は、ブリッジ(1324)が開口されることなくそのもので外部と連通されずに、内部空間(102)に対してのみ連通される形状に形成されることも可能である。
【0066】
排出口(140)は、ピストン(200)が挿入される開口の反対側端部で外部と連通するように形成され、内部空間(102)で所定の処理を経たサンプルがアナライトとしてケース(100)から排出されるように形成される。このため、排出口(140)はケース(100)の一側に貫通形成され、
図2に示すように、ブローバック部(130)に対向する位置に形成されることができる。但し、これは一例に過ぎず、排出口(140)はブローバック部(130)と対向しない位置に形成されてもよい。また、本実施例では、排出口(140)が内部空間(102)の底面に形成された場合を例に挙げて図示しているが、本発明の思想はこれに限られるものではなく、内部空間(102)の側面または上面に形成されてもよい。この場合、アナライトが排出口(140)を介して排出されるとき、重力による力は受けることができないが、ブローバック現象による圧力によりアナライトの収集が可能である。
【0067】
また、ケース(100)の排出口(140)が形成される部分には、容器結合突起(142)が形成されることができる。容器結合突起(142)は、ケース(100)の外側面から突出形成されることができ、排出口(140)をケース(100)の外側に延在させる形状に形成されることができる。また、容器結合突起(142)は、収集容器(X)と締結可能な形状に形成されることができ、噛合、ねじ結合などの方式で容器結合突起(142)と収集容器(X)が互いに締結されることができる。収集容器(X)は、軟質のプラスチック材質で作られることができるが、これによって本発明の思想が制限されるものではない。
【0068】
据え置き部(150)は、ケース(100)の底面に形成されて後述するホルダ(20)により把持され、アナライト収集装置(10)が据え置かれるように提供されることができる。また、据え置き部(150)の両側には羽部(160)が形成されることができる。羽部(160)は、ケース(100)の側面幅全体にわたって突出する形状に形成されることができ、据え置き部(150)がホルダ(20)によって把持されたとき、ホルダ(20)の両側面を支持することで、ホルダ(20)と羽部(160)の干渉によりケース(100)がホルダ(20)に安定的に把持されて固定されることができる。
【0069】
また、羽部(160)の側面は、ラベルシール(未図示)が貼られたり、所定の筆記をするための空間として活用されてもよい。これで、アナライト収集装置(10)に対する体系的な管理が可能となる。
【0070】
ピストン(200)は、ケース(100)に形成された開口を介して内部空間(102)に挿入されることができるように提供され、内部空間(102)内で往復移動可能に提供される。また、ピストン(200)は、内部空間(102)を区画する少なくとも一つの隔壁(230)を含む。また、ピストン(200)は、中心柱(210)、ピストンヘッド(220)、フランジ(240)及びシール部材(250)をさらに含むことができる。
【0071】
中心柱(210)は、例えば、円柱状に提供されることができ、ピストンヘッド(220)と隔壁(230)を連結するように提供される。また、複数の隔壁(230)の間を連結することもでき、ピストンヘッド(220)と隔壁(230)を連結する部分と複数の隔壁(230)の間を連結する部分の厚さが異なってもよい。例えば、ピストンヘッド(220)と隔壁(230)を連結する部分の厚さより複数の隔壁(230)の間を連結する部分の厚さが薄く設定されることができるが、これにより、中心柱(210)が各隔室(102a、102b、102c、102d)の空間を制限的に占めることになり得る。但し、これは一例に過ぎず、中心柱(210)は、全体的に同一の厚さで備えられるか、ピストンヘッド(220)と隔壁(230)を連結する部分の厚さより複数の隔壁(230)の間を連結する部分の厚さがより厚く設定されることも可能である。
【0072】
ピストンヘッド(220)は中心柱(210)の端部に連結され、後述するプランジャー(50)のクランプ(510)によって選択的にクランピングされるように提供されることができる。また、ピストンヘッド(220)は、中心柱(210)より半径が大きいディスク状に備えられることができる、中心柱(210)に対するフランジ形状で提供されることができる。
【0073】
隔壁(230)は、複数個が互いに離隔するように配置されるよう、中心柱(210)の周面から放射形に延在形成される。また、隔壁(230)は4つに備えられ、内部空間(102)を総4つの隔室(102a、102b、102c、102d)に区画することができるが、これにより、本発明の思想が限られるものではなく、必要によって4つではなく任意の個数で提供されることができる。
【0074】
例えば、
図5を参照すると、本発明の他の実施例によるアナライト収集装置(10’)が提示される。本実施例では、上述した実施例と異なり、隔壁(230)の個数が2つであって、これにより隔室(102a、102b)の個数も2つに備えられることができる。このような構成を有するアナライト収集装置(10’)は、内部空間(102)において単一の溶液による処理のみが行われることができ、複数のステップを要する処理過程のためには複数の装置が必要であるが、その分装置の大きさが小型化され、単価が低くなり、単一の処理のみが必要な場合に容易に使えるというメリットがある。但し、本発明の思想は隔壁及び隔室の個数によって限られるものではなく、場合によって隔壁及び隔室は3つまたはそれ以上に形成されることもできる。
【0075】
再び
図2に戻ると、フランジ(240)は隔壁(230)の両面の少なくとも一面に付着し、周面が隔壁(230)の周面よりケース(100)の内部空間(102)を形成する内壁面により近く提供される。例えば、フランジ(240)と隔壁(230)が円形ディスク状に備えられる場合、フランジ(240)の半径が隔壁(230)の半径より大きく備えられることができる。このようなフランジ(240)の形状により、隔壁(230)の両面に2つのフランジ(240)がそれぞれ付着する場合、2つのフランジ(240)の間に隔壁(230)の周りに沿って空間が形成されることができる。このように形成された空間にシール部材(250)が提供されることができる。
【0076】
シール部材(250)は、隔壁(230)の周面を取り囲むように提供され、ケース(100)の内壁面に接触される。このようなシール部材(250)は、一例としてゴムなどの材質からなるオリング(O-ring)であってもよい。このようなシール部材(250)により隔壁(230)とケース(100)の内壁面の間のギャップがシーリングされることができ、各隔室(102a、102b、102c、102d)に収容された物質が該当隔室から漏れるのを防ぐことができる。また、ピストン(200)が内部空間(102)から移動しても、フランジ(240)によってシール部材(250)が干渉されることにより、シール部材(250)は隔壁(230)の周面から離脱することなく、2つのフランジ(240)の間に配置された状態が維持されることができる。
【0077】
上述したような構成を有するアナライト収集装置(10)によってサンプルが精製などの処理を経てアナライトとして収集されるためのプロセス及びこのように収集されたアナライトに対する所定の検査の行われるプロセスは手作業で行われることができ、アナライト検査システム(1)によって自動に行われることも可能である。手作業に比べてアナライト検査システム(1)を使用する場合、より精緻な制御が可能なので、アナライトの収集及び検査をより体系的に行うことができる。以下、本発明の一実施例によるアナライト検査システム(1)について説明する。
【0078】
図3を参照すると、本発明の一実施例によるアナライト検査システム(1)はアナライト収集装置(10)を介して収集されたアナライトに対する所定の検査のみならず、アナライトに対する精製などの処理と収集もともに行うことができるように構成されることができる。但し、場合によってはアナライト検査システム(1)がアナライトに対する精製などの処理と収集のみを行えるように構成されることも可能である。
【0079】
このようなアナライト検査システム(1)は、ホルダ(20)、凝集装置(30)、凝集解除装置(40)、プランジャー(50)及びコントローラー(60)を含むことができる。
【0080】
ホルダ(20)はアナライト収集装置(10)を分離可能に把持するように提供される。また、ホルダ(20)の上面は、アナライト収集装置(10)の据え置き部(150)と締結可能な形状を有することができ、ホルダ(20)は、両側の羽部(160)の間の空間に挿入可能な幅と形状を有することができる。これにより、アナライト収集装置(10)のアナライト収集のためのプロセスが、ホルダ(20)によってアナライト収集装置(10)が据え置かれた状態で行われることができる。
【0081】
凝集装置(30)は、アナライト収集装置(10)の凝集溝(120)に向かって選択的に磁力を加え、内部空間(102)に収容された溶液内の磁性物質及びこれに結合された物質が凝集溝(120)内に凝集できるように備えられることができる。このような凝集装置(30)は、後述するコントローラー(60)によって制御されることができ、電力の供給を受けて磁力を生成することができる電磁石などの部材で提供されることができる。また、凝集装置(30)は、ホルダ(20)内に提供されることができ、アナライト収集装置(10)がホルダ(20)に据え置かれたとき、凝集溝(120)に近い位置に配置されることができる。
【0082】
凝集解除装置(40)は、内部空間(102)に対して選択的に磁力を加えられるように提供されることができる。このような凝集解除装置(40)は、コントローラー(60)によって制御されることができ、電力の供給を受けて磁力を生成することができる電磁石などの部材で提供されることができる。また、凝集解除装置(40)は、ケース(100)の側面または上面に隣接するように配置されることができ、外部から電力の供給を受けてケース(100)の内部空間(102)に磁力を加えるように駆動されることができる。これにより、凝集溝(120)内に磁性物質が凝集された状態で、コントローラー(60)が凝集解除装置(40)を制御することで、内部空間(102)に磁力の印加により凝集溝(120)に凝集された磁性物質及びこれに結合された物質の凝集状態が解除され、磁性物質及びこれに結合された物質が内部空間(102)に再び浮遊することができる。
【0083】
プランジャー(50)は、ピストンヘッド(220)を押したり引いたりしてピストン(200)を内部空間(102)内で並進移動させることができるように提供される。このために、プランジャー(50)はピストンヘッド(220)を選択的に把持できるクランプ(510)を含むことができる。クランプ(510)は、ピストンヘッド(220)の形状に対応される形状を有することができ、ピストンヘッド(220)を選択的に把持できるように提供される。
【0084】
コントローラー(60)は、アナライト検査システム(1)の各要素を制御できる備えられることができる。具体的に、コントローラー(60)は、ホルダ(20)、凝集装置(30)、凝集解除装置(40)及びプランジャー(50)の少なくとも一つ以上を制御できるように備えられることができる。このようなコントローラー(60)は、例えば、小型内臓型コンピューターからなることができ、プログラム、メモリー、CPUからなるデータ処理部などを備えることができる。このようなプログラムは、ホルダ(20)、凝集装置(30)、凝集解除装置(40)及びプランジャー(50)の少なくとも一つ以上の制御のためのアルゴリズムを含むことができる。また、このようなプログラムは、コンピューター記憶媒体、例えば、フレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、光磁気ディスク(Magneto-Optical Disk、MO)などのメモリーに保存され、コントローラー(60)にインストールされることができる。例えば、アナライト検査システム(1)によってアナライト収集装置(10)内で行われる所定の処理は複数の段階を含み、コントローラー(60)がプランジャー(50)を駆動制御するにより、これらの複数の段階が順次行われることができる。
【0085】
以下、
図4を参照して、アナライト収集装置(10)及びアナライト検査システム(1)によって行われる複数の段階を説明する。以下の説明において、アナライト収集装置(10)によって収集されるアナライトは、精製された核酸としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のための試料を含む場合を例に挙げて説明するが、これにより本発明の思想が制限されるものではなく、本発明の実施例によるアナライト収集装置及びアナライト検査システムは、他の種類のアナライト収集のために使用されることができるのは勿論である。
【0086】
まず、アナライト収集装置(10)の内部空間(102)内にサンプルが投入されることができる(
図4(a))。このとき、内部空間(102)に投入されるサンプルは、細胞、ウイルス、組職、エキソソーム(exosome)、タンパク質、核酸、抗原、抗体の一部あるいは全部を含む液状、固相、あるいはその混合物からなることができ、一例として、人体から採取した試料であってもよい。
【0087】
次に、ピストン(200)が内部空間(102)内で移動しながら複数の段階を含む所定の処理が順次行われることができる。ここで、所定の処理が順次行われる段階について例示的に説明すると、以下のようである。まず、第1隔室(102a)内に充填された溶液によってサンプルに含有された生体物質が溶解され、生体物質内にあった核酸が磁性物質と結合されることができる(
図4(b))。以後、コントローラー(60)は、凝集装置(30)を制御して凝集溝(120)に磁力を加え、核酸と結合した磁性物質が磁力によって凝集溝(120)内に凝集されることができる(
図4(c))。核酸と結合した磁性物質が凝集溝(120)内に凝集された後、コントローラー(60)はピストン(200)を退避させて凝集溝(120)の上側に第2隔室(102b)を配置させることができる(
図4(d))。
【0088】
コントローラー(60)はピストン(200)の移動を完了した後、凝集装置(30)の駆動を停止し、凝集溝(120)に加わっていた磁力を解除し、凝集解除装置(40)を駆動させて内部空間(102)に磁力を加えることができる(
図4(e))。これにより、凝集溝(120)に凝集された核酸と結合した磁性物質の凝集状態が解除され、ケースの内部空間に核酸と結合した磁性物質が浮遊することができる。以後、第2隔室(102b)内に充填された溶液によって磁性物質に結合された核酸の洗浄が行われることができる。
【0089】
核酸の洗浄処理が完了し得る所定の時間が経過した後、コントローラー(60)は再び凝集装置(30)を駆動させて凝集溝(120)に磁力を加え、核酸と結合した磁性物質を凝集溝(120)内に凝集させることができる(
図4(f))。以後、コントローラー(60)はプランジャー(50)を駆動させてピストン(200)を退避させることにより、凝集溝(120)の上側に第3隔室(102c)が配置されることができる(
図4(g))。
コントローラー(60)は、ピストン(200)の移動を完了した後、凝集装置(30)の駆動を停止し、凝集溝(120)に加わっていた磁力を解除し、凝集解除装置(40)を駆動させて内部空間(102)に磁力を加えることができる(
図4(h))。これにより、凝集溝(120)に凝集された核酸と結合した磁性物質の凝集状態が解除され、ケース(100)の内部空間に核酸と結合した磁性物質が浮遊することができる。以後、第3隔室(102c)内に充填された溶液によって磁性物質に結合された核酸が磁性物質から溶離される段階が行われることができる。
【0090】
核酸の溶離処理が完了し得る所定の時間が経過した後、コントローラー(60)は再び凝集装置(30)を駆動させて凝集溝(120)に磁力を加え、核酸から分離した磁性物質を凝集溝(120)内に凝集させることができる(
図4(i))。以後、コントローラー(60)は、ピストン(200)を内部空間(102)内で内部空間(102)の端部に向けて押し出して移動させることで、溶離された核酸が含有された第3隔室(102c)をブローバック部(130)に向けて押し出し、ブローバック部(130)に向けて加圧された核酸がケース(100)に形成された排出口(140)を介してアナライトとして排出されることができる(
図4(j))。このとき、容器結合突起(142)には収集容器(X)が締結された状態であってもよく、排出口(140)を介して排出されたアナライトは収集容器(X)内に収集されてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの所定の検査手続きに利用されることができる。
【0091】
一方、アナライト検査システム(1)は、
図3に示すように、一つのコントローラー(60)において単一のシステムを制御できるように構成されることもできるが、
図6に示すように、複数のシステムを制御できるように構成されることも可能である。言い替えると、
図5に示されているような、アナライト収集装置(10’)のように隔室が2つのみ備えられ、一つの隔室に単一の処理のための溶液が充填される場合、複数の段階を通じて行わなければならない処理工程を行うためには、複数のアナライト収集装置(10)が必要となり得る。このように、一つのプロセスの中で複数のアナライト収集装置(10)を運用する必要がある場合、
図6に示されているようなアナライト検査システム(1’)が使用され得る。
【0092】
以下、本発明の他の実施例によるアナライト検査システム(1’)について説明する。
【0093】
図6を参照すると、アナライト検査システム(1’)はアナライト収集装置(10)が複数個提供され、複数のアナライト収集装置(10)の個数に対応されるようにホルダ(20)、凝集装置(30)、凝集解除装置(40)及びプランジャー(50)が提供され、それぞれのアナライト収集装置(10)を連結する移送ライン(70)が追加で備えられ得る。このとき、移送ライン(70)は、いずれか一つのアナライト収集装置(10)の排出口(140)と、隣接したもう一つのアナライト収集装置(10)の注入孔(112)を連結するように備えられることができる。これにより、前段のアナライト収集装置(10)によって処理されたアナライトが、移送ライン(70)を介して後段のアナライト収集装置(10)に注入され、後続処理が進行されることができる。
【0094】
また、本実施例に示していないものの、移送ライン(70)には流体の移送を制御するためのポンプ、バルブなどの部材が追加で備えられてもよい。また、移送ライン(70)は、アナライト収集装置(10)と分離可能に締結されることができ、これにより、必要に応じてアナライト収集装置(10)に締結したり、その配置を変えるなどの作業が可能である。但し、これは一例に過ぎず、移送ライン(70)が省略され、前段のアナライト収集装置(10)から排出されるアナライトが、後段のアナライト収集装置(10)に手作業で移送されるように構成されることも可能である。
【0095】
コントローラー(60)は、プランジャーモジュール(610)、凝集解除モジュール(620)及び凝集モジュール(630)を含むことができる。プランジャーモジュール(610)はそれぞれのプランジャー(50)と連結され、各プランジャー(50)を独立的に制御できるに備えられてもよい。また、凝集解除モジュール(620)は、それぞれの凝集解除装置(40)と連結され、各凝集解除装置(40)を独立的に制御できるように備えられてもよい。また、凝集モジュール(630)は、それぞれの凝集装置(30)と連結され、各凝集装置(30)を独立的に制御できるように備えられてもよい。このようなプランジャーモジュール(610)、凝集解除モジュール(620)及び凝集モジュール(630)は、コントローラー(60)内に備えられるチップセッモジュール、または、一つのチップセッ内に保存された独立的なアルゴリズムとして備えられてもよい。
【0096】
上述したようなアナライト検査システム(1’)によると、複数のシステムが独立的に制御可能になるため、多段階にわたるプロセスを行わなければならない場合、特に有用に活用できるというメリットがある。
【0097】
一方、アナライト検査システムのコントローラー(60)の構成は多様な変形が可能である。例えば、
図7に示されているような構成も可能である。以下、
図7を参照して本発明の他の実施例によるアナライト検査システム(1’’)について説明する。以下の説明において、アナライト検査システム(1’’)は上述したアナライト検査システム(1’)と比べたとき、コントローラー(60)の構成において差があるので、相違点を主として説明し、同様の内容は、上述したアナライト検査システム(1’)を援用する。
【0098】
図7を参照すると、アナライト検査システム(1’’)のコントローラー(60)は、アナライト収集装置(10)、ホルダ(20)、凝集装置(30)、凝集解除装置(40)及びプランジャー(50)がそれぞれ一つずつ含まれる各システムごとに、各モジュールが対応される構成を有することができる。
例えば、アナライト収集装置(10)、ホルダ(20)、凝集装置(30)、凝集解除装置(40)及びプランジャー(50)がそれぞれ一つずつ含まれるシステムが総3つ備えられる場合、コントローラー(60)はそれぞれのシステムを独立的に制御する第1モジュール(602)、第2モジュール(604)及び第3モジュール(606)を含むことができる。これにより、コントローラー(60)内のモジュールの一部を除去したり、新しいモジュールを追加する方式によって全体システムに含まれるそれぞれの下位システムの個数を手軽く変更できるというメリットがある。
【0099】
以下では上述したような構成を有する本発明の実施例によるアナライト収集装置(10、10’)及びアナライト検査システム(1、1’、1’’)の作用及び效果について説明する。本発明の出願人は、本発明の效果を立証するために下記に説明する実験例に従って実験を実施した。
【0100】
(実験例)
図8及び
図9を参照すると、本実験例では、第1隔室(102a)、第2隔室(102b)、第3隔室(102c)及び第4隔室(102d)を含むアナライト収集装置を用意し、第1ないし第3隔室(102a、102b、102c)の用量をそれぞれ750、750、550μLに設定して実験を行った。本実験例では、本発明の実施例によるアナライト収集装置を用いてInfluenza A H1N1(Human、strain:KUMC-76) cDNAの移送及び移送結果物のポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)を行ってその結果を測定した。
【0101】
PCRに使用された装備は、ThermoFisher Scientific(Applied Biosystems)社のQuantStudioTM 3 が使用され、試薬は同一業社のPowerUpTM SYBRTM Green Master Mixが使用された。使用されたPrimer情報は以下の通りである。
【0102】
Inf。A_F :GACCRATCCTGTCACCTCTGAC (22 mer、10 μM)
Inf。A_R :AGGGCATTYTGGACAAAKCGTCTA (24 mer、10 μM)
PCR reaction volumeは、20μLであって、PowerUpTM SYBRTM Green Master Mix 10 μL、上述したprimer各1μLずつ及び各実験別試料8μLを含む。
【0103】
PCR手順は、総3つの段階(stage)で構成した。まず、ホールド段階(Hold Stage)として、50゜C/2min.、95゜C/10min.条件に行われた後、サイクルリング段階(Cycling Stage)が95゜C/15sec.、60゜C/60sec.で40cycle行われた。最後に、メルトカーブ段階(Melt Curve Stage)は、95゜C/15sec.、60゜C/1min.その後、1秒に0.15゜Cずつ上昇させ、結果を測定した。
【0104】
サンプルに該当するInfluenza A H1N1(Human、strain:KUMC-76)cDNAは、Qiagen社のQuantiNovaTM Reverse Transcription Kitで製造された。
【0105】
第1隔室(102a)には、細胞溶解(lysis)と核酸-磁性粒子結合(binding)時に必要な溶液及び磁性粒子が注入され、追加でDynabeads(R) MyOneTM Silane(ThermoFisher Scientific、40mg/mL)50μL、Dynabeads(R) SILANE viral NA kit(ThermoFisher Scientific)のLysis/binding Buffer 300μL、2-Propanol(Sigma-Aldrich、I9516-500mL)150μL及びDistilled water(DW)244.5μLが注入された。
【0106】
第2隔室(102b)には、洗浄(washing)時に必要な溶液が予め注入され、Dynabeads(R) SILANE viral NA kit(ThermoFisher Scientific)のWashing Buffer2 750μLが注入された。
【0107】
第3隔室(102c)には、核酸溶離(elution)時に必要な溶液が予め注入され、
図8及び
図9に図示されたcartridge、E.B.実験では、Dynabeads(R) SILANE viral NA kit(ThermoFisher Scientific)のElution Buffer 150μL及びDW400μLが注入され、
図8及び
図9に図示されたcartridge、H2O実験では、DW550μLが注入された。
【0108】
上述したように設定されたアナライト収集装置の第1隔室(102a)にサンプルとしてInfluenza A H1N1 cDNA 5.5μLが注入された。その後、上述した実施例によるアナライト収集方法によってアナライトが収集され、収集されたアナライトの原液、1/10希釈液、1/100希釈液を8μLずつ個別のPCR反応容器に注入してPCR反応を行った。
【0109】
対照群としては、同一試料が第1隔室(102a)及び第2隔室(102b)に注入された溶液と同一の溶液を通過させ、最後には、Elution Buffer 150μL、DW400μLが注入された溶液を通過させ、ピペット(pipette)を利用して実験者が手作業で行った(
図8及び
図9のpipetting、E.B.)。対照群においても同様に、アナライトの原液、1/10希釈液及び1/100希釈液が8μLずつ個別のPCR反応容器に注入され、PCR反応を行った。
【0110】
PCR反応における標準(Standard)物質としては、各実験で注入されたものと同じ溶液であるInfluenza A H1N1 cDNA の1/10、1/100、1/1000希釈液(
図8及び
図9のInf.A.cDNA)を8μLずつ個別のPCR反応容器に注入してPCR反応を行った。
【0111】
各実験で注入されたInfluenza A H1N1 cDNAが5.5μLであり、第3隔室(102c)の用量が550μLであるため、アナライトが100%移送された場合、標準の1/100希釈液に相当する。
【0112】
図8を参照すると、本発明の実施例によるアナライト収集装置、システム及び方法を活用して移送されたInfluenza A H1N1 cDNA溶液を増幅したとき、cartridge、E.B.実験とcartridge、H2O実験の結果、測定されたthreshold cycle(Ct)値が全て本実験例の対照群及び標準の1/100希釈液のCt値と類似しており、その希釈液も同じ傾向性を示すことが確認された。Ct値は増幅以前の初期cDNAを反証する値であるため、本発明の実施例によるアナライト収集装置、システム及び方法によるアナライト収集が有效であると判断された。
【0113】
また、
図8及び
図9を参照すると、本発明の実施例によるアナライト収集装置、システム及び方法を活用しながら第3隔室(102c)に蒸溜水が注入された実験の場合、標準の1/100と最も類似したCt値を有することが確認され、さらには増幅以前に初期濃度が類似していることが確認された。
【0114】
上述したような構成を有する本発明の実施例によるアナライト収集装置及びアナライト検査システムによると、装置及びシステムの構造が簡単でコスト(cost)が低く、小型で実現可能かつ自動化された過程によって效率的なサンプル処理が可能となり、ユーザの熟練度にかかわらず、毎回一定のアナライト収得率を達成できるという效果がある。
【0115】
以上、本発明の実施例を具体的な実施形態として説明したが、これは例示に過ぎないものであり、本発明はこれに限られるものではなく、本明細書に開示された基礎思想に基づく最も広い範囲を有するものと解されるべきである。当業者は開示された実施形態を組合/置換して、適示されていない形状のパターンを実施することができるが、これもまた本発明の範囲から外れないものである。その他にも、当業者は本明細書に基づいて開示された実施形態を容易に変更または変形することができ、このような変更または変形も本発明の権利範囲に属することは明らかである。
【国際調査報告】