(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】歯部の製作または機械加工のための方法
(51)【国際特許分類】
B23F 5/16 20060101AFI20220620BHJP
B23F 23/12 20060101ALI20220620BHJP
B23Q 17/12 20060101ALI20220620BHJP
G05B 19/4065 20060101ALI20220620BHJP
B23Q 17/09 20060101ALN20220620BHJP
【FI】
B23F5/16
B23F23/12
B23Q17/12
G05B19/4065
B23Q17/09 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561712
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 EP2020058776
(87)【国際公開番号】W WO2020212123
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】102019002752.3
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500120211
【氏名又は名称】グリーソン - プァウター マシネンファブリク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン クレシェル
【テーマコード(参考)】
3C025
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
3C025AA11
3C029DD14
3C269AB06
3C269BB01
3C269BB11
3C269CC02
3C269CC07
3C269MN07
3C269MN26
3C269MN27
3C269PP02
(57)【要約】
本発明は、ワークピース(3)上に歯部(2)を製作または機械加工するための方法に関し、本方法では、その回転軸(C)を中心に回転駆動されるワークピースが、特にワークピースの回転軸に対して非ヌル交差軸角にある回転軸(C2)を中心に回転する工具歯部(5)と転動機械加工係合状態にされ、その機械加工動作が、工具摩耗(52)、特に他の工具歯と比較して少なくとも1つの工具歯(51)のより高い摩耗に起因する反復不規則性について、機械加工動作段階で既に、センサを使用して自動的に監視され、その機械加工動作を自動的に記録している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(3)上に歯部(2)を製作または機械加工する方法であって、回転軸(C)を中心に回転駆動される前記ワークピースが、特に前記ワークピースの前記回転軸に対して非ヌル交差軸角(Σ)にある回転軸(C2)を中心に回転する工具歯部(5)と転動機械加工係合状態にされる方法において、
前記機械加工動作が、工具摩耗(52)、特に他の工具歯と比較して少なくとも1つの工具歯(51)のより高い摩耗に起因する反復不規則性について、前記機械加工動作段階で既に、センサを使用して自動的に監視され、前記機械加工動作を記録していることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記監視が、前記歯の数(Z)と前記ワークピース(3)の回転速度(n)との積よりも大きい時間スケールでの周期性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサ検出によって生成された時間信号が、前記補空間における変換、特にフーリエ変換に供される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記監視が、前記変換された信号に重ね合わされた監視ウィンドウを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記監視が、前記不規則性が所定のレベルを超過した場合に、警告信号を生成する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
この超過が、前記変換された信号が前記監視ウィンドウを超過したことに関する所定の閾値(S)に基づいて判定される、請求項4および5に記載の方法。
【請求項7】
音響信号が、前記センサ検出中に記録される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記センサ検出が、少なくとも1つの処理パスにおいて行われ、前記歯部経路上で見られる接触領域が複数の他のパスよりも大きい、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記センサ検出が、前記送り速度によって前記工具歯部の完全に進入している状態と前記工具歯部が退出し始める前の状態との間に存在する少なくとも1つの領域内の1つのパスにおいて行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記センサ検出中に、複数の記録、特に少なくとも0.1秒長の記録が行われ、前記複数の記録の前記変換が平均化される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ワークピースおよび工具の前記歯の数(Z、Z2)が通約可能であるか、または少なくとも準通約可能である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ワークピース内における前記工具の転動に依存する前記変換された信号の領域が、前記監視に含まれる、請求項3~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ワークピースのための回転駆動軸受、歯付き工具のための回転駆動軸受、および転動継手で行われる機械加工動作を制御するための制御デバイス(99)を有する、前記ワークピース上に歯部を製作または機械加工するためのギヤ切削加工機械(100)であって、
自動監視デバイスが、少なくとも1つのセンサ(64)を備え、前記デバイスが、工具摩耗、特に他の工具歯と比較して少なくとも1つの工具歯のより高い摩耗に起因する反復不規則性について、前記機械加工動作段階において既に、センサを使用して前記機械加工動作を監視し、前記機械加工動作を記録していることを特徴とするギヤ切削加工機械。
【請求項14】
前記監視デバイスが、請求項2~12のいずれか一項に記載の方法を実行するようにさらに設計されている、請求項13に記載のギヤ切削加工機械。
【請求項15】
少なくとも1つの固体伝播音センサが、前記工具軸受を形成する前記工具ヘッド上に設けられている、請求項13または14に記載のギヤ切削加工機械。
【請求項16】
ギヤ切削加工機械の制御デバイス(99)上で実行されると、請求項1~12のいずれか一項に従って、前記機械によって実行される前記方法を監視する監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピース上に歯部を製作または機械加工するための方法に関し、本方法では、その回転軸を中心に回転駆動されるワークピースが、特に、ワークピースの回転軸に対して非ヌル交差軸角にある回転軸を中心に回転する工具歯部と転動機械加工係合状態にされる。本発明はまた、この目的のために設計されたギヤ切削加工機械に関する。このような方法は、例えば、EP2537615A1に記載されているギヤスカイビング加工として当業者に周知であり、この文献は、ギヤスカイビング加工の用語および機械加工係合に関して参照により本明細書に組み込まれ、ギヤスカイビング加工は、本発明の好ましいギヤ機械加工である。
【0002】
特に大きなワークピースバッチを機械加工する場合、工具の漸進的な摩耗により、機械加工品質が所望の公差を下回るため、工具歯部を有するように設計された工具は定期的に新しい工具と交換される。工具交換はワークピース当たりの平均機械加工時間を犠牲にするため、例えば、摩耗を増進させるコーティングを使用することによって、可能な限り長い耐用年数を達成する試みがなされている。さらに、工具交換を可能な限り延ばす、すなわち、工具の交換が早すぎないようにしようとする。これは、例えば、製作されたワークピースギヤのランダムなサンプルを定期的に採取し、例えば、それらの歯面のプロファイルの偏差をチェックし、次いでそれらの所望の理想形状からのワークピース歯面の偏差が好適に設定された公差閾値を超過したときに工具を交換することによって達成される。
【0003】
場合によっては、工具歯部の破損などの工具損傷も発生することがある。このような1回限りの事象は、最新のCNC加工機械で一般的な監視メカニズムによって検出され、緊急停止を始動して加工機械へのさらなる損傷を回避する。
【0004】
しかしながら、このようなあらゆる安全処置にもかかわらず、必要に応じて、ワークピースの誤差が後で歯付きワークピースを使用したときにのみ検出され、所望の公差内にないワークピース歯部データにまでさかのぼることができるということが時には起こる。このようなくい違いがその後の使用、例えば、最終検査の前に判定されたとしても、これが個々のワークピースによるものであるか否か、またはこの欠陥ワークピースに先行するワークピースもしくは後続するワークピースも影響を及ぼし得るか否かという問題に関して不確実性が生じる。
【0005】
これらの難点を鑑みて、本発明は、特に、一方では工具寿命と他方では信頼性との良好な組み合わせに関して、冒頭で言及したタイプの方法を改善するという目的に基づいている。
【0006】
この目的は、方法論の観点から、本発明によって、冒頭で言及したタイプの方法をさらに発展させることよって達成され、これは本質的に、機械加工動作が、工具摩耗、特に他の工具歯と比較して少なくとも1つの工具歯のより高い摩耗に起因する反復不規則性について、機械加工動作段階で既に、センサを使用して自動的に監視され、その機械加工動作を記録していることを特徴とする。本発明による監視の結果として、最大局所工具摩耗に関する情報が機械加工動作中に既に利用可能であるため、ワークピースの誤差またはワークピースの不正確な製作の蓋然性を低減することが達成される。これに相応して、ワークピースがワークピースの機械加工パスによって機械加工された直後に機械加工を中断する、またはプロセスを即時停止させるなど、好適な対策を早期段階で講じることができる。工具の公差限界に近づきすぎた場合、またはそれを超過した場合に、現在使用されている工具を可能な限り長く使い切ることによって、耐用年数が増大し、同時にその後の労力を低減する。
【0007】
好ましい実施形態では、監視は、歯の数とワークピースの回転速度の積よりも大きい時間スケールでの周期性を含む。これによって、最も摩耗した工具歯の相対的影響を特に好適な方法で判定することができる。
【0008】
この目的のために、センサ検出によって生成された時間信号は、特に好ましくは、補空間への変換、特にフーリエ変換に供される。このことは、評価を容易にし、好適かつ所望の終了基準の導入を可能にする。
【0009】
これに関連して、好ましくは、監視が、変換された信号の上に配置された監視ウィンドウを含むことが条件となる。変換された信号の挙動は、最も摩耗した工具歯の影響が定量的に最も効果的である領域において、このように詳しくチェックされる。
【0010】
上記で既に説明したように、場合によっては可変的に定義可能な終了基準によれば、ワークピースバッチの以前同様の機械加工はもはや行われないはずである。したがって、監視システムが、不規則性が所定のレベルを超過する場合に警告信号を生成することが条件となる。警告信号は、オペレータが反応することができる様々な警告レベルを表す信号のクラスから選択できるが、機械が自動的に反応する信号を含むこともできる。例えば、機械オペレータは、事前警告段階で通知されて、不規則性についての現在の定量的判定を把握することができる。ワークピースバッチを完了するのにいくつかのワークピースだけが欠落している場合、オペレータは、ワークピースバッチがまだ完了していないと判断し、例えば、次のワークピースバッチの開始前に工具交換を開始することができる。必要な場合、このような判断はまた、好適なアルゴリズムを使用して、機械自体によって行われ得る。いずれの場合も、好ましくは、新しいワークピースが、いずれの場合も、このような関連する段階において現在使用されている工具を用いて機械加工されないように、警告信号が含まれることが条件となる。
【0011】
好ましくは、警告信号の出力および/または利用可能な警告レベルからの警告信号の選択のための基準、より正確には、過度な不規則性が判定され、監視ウィンドウを変換された信号が超過することに関する所定の閾値に基づいた所定の量を超過する、この過度な不規則性に基づいて警告信号が生成される。閾値は、監視ウィンドウに統合された変換された信号の閾値であり得る。しかしながら、特に単純であるが信頼性の高い形式では、振幅閾値が使用される。後者は、当然ながら、監視ウィンドウ内で最も速くピークに到達することによって超過する最初のものであり、その結果、この場合も、最も摩耗した工具歯の影響の考慮が目標とされる方法において使用される。
【0012】
機械加工動作の検出に関しては、好ましくは、音響信号がセンサ検出中に記録される。これは、例えば、マイクを使用して行われた録音を含み得る。しかしながら、好ましくは、機械加工動作によって発生する固体伝播ノイズが使用され、振動センサ/加速度センサなどのセンサが信号検出に使用され、例えば、工具を搬送する工具ヘッドに取り付けられる。通常は1つのセンサで十分であるが、複数のセンサが検証またはフェイルセーフのために使用されることもある。例えば、使用される1つの加速度センサは、例えば、振動質量体が加速度センサハウジング内にバネ懸架されており、質量体位置が、センサがセンサハウジングに対する質量体位置の慣性に関する変化に起因して加速するときに判定されるという基本原理に従って動作し、この質量体位置は、ばね移動によって測定することができる。好ましくは、可能な限り高い固有振動数を有するセンサが使用され、その目的のために、圧電センサが好適であると考えられる。センサによって検出された振幅変数の物理的単位、例えば、mg(g=9.81m/s2)で指定された振幅は唯一の実装オプションではなく、例えば、mm/sの単位の振動の速度も使用され得る。当業者には、好適なセンサが利用可能である。さらに、プロセスの電力値は、例えば、工具スピンドルまたはワークピーススピンドルの回転駆動からの電流を出力信号としても使用され得る。
【0013】
変換された信号の評価では、好ましくは、少なくとも1つの作業パスにおいて記録されるセンサ記録時間信号の時間範囲が使用され、その経路全体で考慮される接触領域において、歯部が他のパスの大部分よりも大きい。ここが、最も進行した摩耗が最も有効に記録される場所である。
【0014】
また、関連するセンサ検出は、少なくとも送り速度による工具歯部が完全に進入した状態と、それが退出し始める前の状態との間に存在する領域において、1つのパスで行われることが条件となる。これは、変換された信号の安定性および情報価値を増大させる。逆に、センサ測定値が変換された信号に含まれるまで、軸方向送りに関する工具歯部の進入に関連する機械加工介入の変化を待つことも好ましい。この目的のために、例えば、流入する記録された時間値は、ワークピースの歯部幅の20%、35%、または50%に達したときにのみ記録された値であることが条件となる。
【0015】
変換された信号の判定の根拠とする時間間隔の長さ、好ましくは、少なくとも0.1秒の記録長が使用されるが、好ましくは、少なくとも0.3秒または少なくとも0.5秒である。基本的に、変換された信号は、切断に起因する非常に低い周波数では不正確であり、いずれの場合も、そこでの振幅に関して完全に読み込むことはできない。しかしながら、このことは、振幅閾値が最大振幅と関連し得る変換された信号において高調波も検出されるため、本発明に対する主要な障害を意味するものではない。
【0016】
好ましい実施形態では、ワークピースおよび工具の歯の数は、通約可能であるか、または少なくとも準通約可能である。通約可能であるとは、1に等しくない工具およびワークピースの歯の数の最大公約数、特に奇数の最大公約数が存在することを意味し、準通約可能であるとは、この条件が、少なくとも最大nだけ実際の歯の数から逸脱する仮想の歯の数に適用され、この最大公約数のn≦1/3であることを意味する。例えば、以下の特定の実施形態では、歯の数85および51は、最大公約数17で通約可能であり、歯の数53および83は、それぞれを2だけ変化させること(2+2=4<17/3)によってこれに低減することができ、この組み合わせには準通約可能性がある。最大公約数は、好ましくは、5以上、特に7以上である。
【0017】
これに関連して、ワークピースおよび工具の歯の数の差が、少なくとも3、特に少なくとも5、特に少なくとも7であることも好ましい。このような条件では、他の機械周波数での振動効果が低下し、したがって、補空間における信号が明確になり、これにより、より正確な閾値を判定することがより容易になる。
【0018】
加えて、ワークピース内での工具の転動に依存する変換された信号の領域も監視に含まれる。この依存関係は、例えば、ワークピース速度に転動係数を乗算することによって形成される値、および/またはこの値の次の(例えば、第5もしくは第6までの)高調波のうちの少なくとも1つを含む監視ウィンドウに存することができる。
【0019】
デバイス技術の観点から、ワークピース上に歯部を製作または機械加工するためのギヤ切削加工機械であって、ワークピース用の回転駆動軸受、および歯付き工具のための回転駆動軸受、ならびに転動継手において行われる機械加工動作を制御する制御デバイスを有するギヤ切削加工機械が、保護され、少なくとも1つのセンサを備える自動監視デバイスによって本質的に特徴付けられており、その監視デバイスは、工具摩耗、特に、他の工具歯部と比較して、少なくとも1つの工具歯のより高い摩耗に起因する反復不規則性について、センサを使用して機械加工動作段階で既に、その機械加工動作を監視し、その機械加工動作を記録する。
【0020】
本発明によるギヤ切削加工機械の利点は、本発明による方法の上記の利点から生じる。本方法はまた、データ搬送体に格納された監視プログラムの形態で保護されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明のさらなる特徴、詳細、および利点は、添付の図面を参照して以下の説明において見出すことができる。
【0022】
【
図1】ピーリングホイールおよび内部歯部の断面図である。
【
図3】
図2aに対応する変換された検出信号を表す。
【
図4】
図2bに対応する変換された検出信号を表す。
【
図5】
図2cに対応する変換された検出信号を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明が、工具歯部5を有するピーリングホイール4による、内部歯部2を有するワークピース3のギヤスカイビング加工のための特定の実施例に基づいて示されている。
図1から分かるように、ワークピースの回転軸Cおよび工具の回転軸C2は交差軸角Σにある。選択された図では、機械加工は軸の交点で行われ、中心距離軸は紙面に直交して延びるが、外歯付きワークピースの機械加工と同様に、偏心機械加工動作も考えられる。
【0024】
特定の実施形態では、ワークピースは毎分353回転で回転し、工具は毎分589回転で回転し、ワークピース上の歯の数zは85であるのに対し、工具の歯の数z2は51である。このように、歯の数は最大公約数17を有しており、工具はワークピース上で5回転動し、すなわち、工具を5回回転させた後、同一の工具歯が再び同一のワークピース歯溝と係合する。しかしながら、他の通約可能または準通約可能な歯数比もまた、使用され得る。
【0025】
ワークピースの回転ごとに、ジャンプファクタのない状態でワークピースのすべての歯溝が選択された工具で機械加工され、そこから、ワークピース上の歯の数とワークピースの速度との積から係合周波数を計算することができ、これは使用された特定の実施例では500Hzである。
【0026】
この実施形態において機械の工具ヘッドに取り付けられたセンサ64は、機械加工動作中に発生する振動の時間信号を捉える。しかしながら、冒頭で説明したように、センサ信号は、他のセンサによっても検出され得る。記録は、連続的に行われるが、いずれの場合も、信号のさらなる評価に使用される期間において行うことができる。例えば、8つのパスで送り込みを増加させ、より深く切削するギヤスカイビング加工のこの実施形態では、例えば、工具歯部5とワークピース歯部2との間の接触領域が比較的大きい第5の切削パスが選択され、この実施形態では、ワークピース歯部の中心のレベルでの機械加工から開始して、1秒間記録された信号がフーリエ変換によって変換される。この実施形態におけるように、反復測定、例えば、2~4回のさらなる測定および変換を実行することもできるが、好ましくは、完全な機械加工係合がもはや存在しなくなるまで、軸方向送りが進行しない限り、値のみが使用される。
【0027】
補空間におけるセンサ信号の平均化された表現は、この実施形態において変換された3つの記録から、個々の変換された信号を平均化することによって形成される。
【0028】
このような信号が
図3に示されており、これは、新しい切削ホイールで実行された機械加工(
図2a)を反映している。上記の介入周波数500Hzにおいて、ピークが見られる。
【0029】
ワークピースのバッチのさらなる機械加工の過程で、工具歯は摩耗するが、通例、正確に均一ではなく、むしろ、工具歯部51は、通常、摩耗の兆候52が現れ、摩耗が最も速く進行する最初のものである。この進行は、
図2にはそのような歯部、
図2bには0.2mmの範囲の摩耗の状態、
図2cには既に2mmの摩耗の状態が示されており、これは、製造されたワークピースについての公差の範囲外である、係合における機械加工誤差をもたらす。
【0030】
図3を参照して説明した測定信号の測定と評価を継続することによって、測定信号の所定の閾値が係合周波数未満を超過したときにワークピースのバッチを機械加工するプロセスが中断されるため、工具摩耗によって引き起こされるワークピースの不良品を回避することができる。この閾値が
図5に示され、Sによって表記されている。対照的に、この閾値Sは、摩耗が比較的最も進んだ工具歯部のケースにはまだ到達していないが、絶対的には依然としてさらに使用することができる範囲内にある。これに対して、ピークが形成され、これは、この実施形態では、主に120Hzの範囲で(また、150Hzのすぐ下でも)発生し、この工具歯の摩耗が大きくなるにつれて著しく増加し、場合によっては振幅に関して係合周波数でピークを超過することさえある。これは、摩耗した工具歯が、所与の転動中にそこにあるワークピース歯溝の歯溝形状の変化(1、52、18、69、35、およびそれに牽連する1の順序)を変更するという事実から理解され得るが、ワークピースの回転において生じるそれらの係合は、1、18、35、52、69の順序で、したがって、約29.4Hzの基本周波数で、他の工具歯部でも発生し、これは監視ウィンドウにおけるピーク間の距離として識別可能であり、その結果、特定の実施例における関連する監視されたピークは第4および第5の高調波のピークである。したがって、監視ウィンドウは、特定の実施形態では、80~160Hzの範囲に設定することができ、記録時間および他の歯数比に応じて他の個々の値を得ることができ、その結果、監視ウィンドウは、過度の個別化を回避するために、例えば、30~350Hz、または係合周波数の第1の割合(例えば、5%、10%、または15%)から係合周波数の第2の割合(例えば、80%、65%、または50%)までの範囲で大きくなるように選択され得る。
【0031】
言うまでもなく、閾値レベルは、事前判定によって意味のある値に設定することができる。このために必要とされるのは、歯が摩耗限界付近で摩耗する工具を用いた試験試行、および、
図3~
図5に示される、上記で説明したフーリエ変換されたセンサ信号の生成だけである。このようにして、特に大きなワークピースバッチに対して、非常に正確な基準を設定することができ、これによれば、工具交換を早すぎずに良好な時期に行うことができ、工具の平均摩耗がさらなる機械加工に十分であると依然として見なされる場合にも対処する。
【0032】
対応する監視制御は、
図6に示されるギヤスカイビング加工機械の(全体的な)制御99に統合され得、そうでなければ、ごく普通に、ワークピーステーブル70を有する機械ベッド80を有し、このワークピーステーブルによって、クランプデバイス(図示せず)を伴うワークピースを、回転軸Cを中心に回転駆動することができ、さらに、この回転軸C上に、機械加工動作のためのおよび機械加工動作中の必要な移動を実行するために、工具側CNC制御機械軸が設けられる。これには、径方向送り軸X、軸方向送り軸Z、工具回転軸C2とワークピース回転軸Cとの間の交差軸角を設定するためのピボット軸A、および接線軸Yが含まれ、この接線軸Yは、例えば、偏心機械加工動作設定のために、この実施形態ではピボット軸Aの下流に接続される。これに対応して、径方向スライド61が
図6に示されており、この径方向スライド61は垂直スライド62を搬送し、垂直スライド62上には工具用の工具ヘッドを伴ったスライド63が配置され、工具ヘッドは半径方向Xに直交する平面内で再び直線的に移動可能である。例えば、機械加工動作の状態を検出するために使用されるセンサは、
図6において参照番号64に設けられている。センサによって記録された時間信号は、プロセスの他の監視にも使用され得る。
【0033】
本発明は、具体的に例示された実施形態に限定されない。むしろ、上記の説明および以下の特許請求の範囲の特徴は、その異なる実施形態において本発明を実装するために、個別におよび組み合わせにおいて、不可欠であり得る。
【国際調査報告】