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特表2022-529981抗ウイルス剤、抗細菌剤、および抗真菌剤としての、イソプロピルメチルフェノールエステル部分を有する第4級アミン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】抗ウイルス剤、抗細菌剤、および抗真菌剤としての、イソプロピルメチルフェノールエステル部分を有する第4級アミン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/16 20060101AFI20220620BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20220620BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20220620BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220620BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20220620BHJP
   A61K 31/223 20060101ALI20220620BHJP
   C07C 227/08 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
C07C229/16 CSP
A61P31/10
A61P31/22
A61P31/04
A61P31/20
A61K31/223
C07C227/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562064
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2020053607
(87)【国際公開番号】W WO2020212901
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】1905390.9
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521455464
【氏名又は名称】レア ジェネティックス ピーテーイー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Rhea Genetics PTE. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】ハイグ バビキアン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ジャラバノン
【テーマコード(参考)】
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206AA04
4C206FA44
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB33
4C206ZB35
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB29
4H006AC52
4H006BD70
4H006BJ50
(57)【要約】
下記式(I)を有し、式(I)中、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-2の1つまたは複数のアニオンであるか;またはRが、下記式(Ia)を有する第4級アミンであり、式(Ia)中、RおよびRがそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-3である1つまたは複数のアニオンであり;R、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択され;Eが下記式(Ib)を有し、エステル酸素が、2位または3位である同じ位置でそれぞれのEの芳香環に結合し;RがHまたはハライドである化合物が開示される。
【化1】
【化2】
【化3】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式
【化1】
を有し、上記式中、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-2の1つまたは複数のアニオンであるか;
または、Rが下記式を有する第4級アミンであり、
【化2】
上記式中、RおよびRがそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-3である1つまたは複数のアニオンであり;
、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択され;
Eが下記式
【化3】
を有し、エステル酸素が、2位または3位である同じ位置でそれぞれのEの芳香環に結合し;RがHまたはハライドである、化合物。
【請求項2】
下記式
【化4】
または
【化5】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが8~16個の炭素原子、例えば10個の炭素原子を有する飽和直鎖アルキレン鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
およびRがそれぞれ8~16個の炭素原子、例えば10個の炭素原子を有する飽和直鎖アルキレン鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記1つまたは複数のアニオンが、クロリドアニオンおよびブロミドアニオンから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
、R、R、R、R、およびRがそれぞれメチルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
下記式
【化6】
または
【化7】
または
【化8】
または
【化9】
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
下記式
【化10】
を有し、上記式中、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-2の1つまたは複数のアニオンであるか;
または、Rが、下記式を有する第4級アミンであり、
【化11】
上記式中、RおよびRがそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-3である1つまたは複数のアニオンであり;
、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択され;
Eが下記式
【化12】
を有し、エステル酸素が、2位または3位である同じ位置でそれぞれのEの芳香環に結合し;RがHまたはハライドであり、Xが2、3、4、または6である、化合物。
【請求項9】
下記式
【化13】
または
【化14】
を有する、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Rが8~16個の炭素原子、例えば10個の炭素原子を有する飽和直鎖アルキレン鎖である、請求項8または9に記載の化合物。
【請求項11】
およびRがそれぞれ8~16個の炭素原子、例えば10個の炭素原子を有する飽和直鎖アルキレン鎖である、請求項8または9に記載の化合物。
【請求項12】
前記1つまたは複数のアニオンが、クロリドアニオンおよびブロミドアニオンから選択される、請求項8~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
下記式
【化15】
または
【化16】
または
【化17】
または
【化18】
を有し、Xが3または6である、請求項8または9に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項15】
医薬品として使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
真菌感染症および/または細菌感染症の治療に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
ヘルペスウイルスおよび/またはヒトパピローマウイルスの治療に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物を製造するためのプロセスであり、
i)式(XV)を有する化合物
【化19】
であって、上記式中、アルコール基がベンゼン環に2位または3位で結合し、RがHまたはハライドである化合物を、
CHCOClと反応させ、式(XVI)を有する化合物を生成する工程であって、
【化20】
上記式中、Rが塩素または臭素であり、Eが
【化21】
であり、エステル酸素がEの芳香環に2位または3位で結合し、RがHまたはハライドである工程と;
ii)1モル当量の式(XVII)を有する化合物
【化22】
を、2モル当量の式(XVI)を有する化合物と反応させ、下記式を有する化合物を生成する工程であって、
【化23】
上記式中、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-2の1つまたは複数のアニオンであるか;
またはRが、下記式を有する第4級アミンであり、
【化24】
上記式中、RおよびRがそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-3である1つまたは複数のアニオンであり;
Eが下記式
【化25】
を有し、エステル酸素が、2位または3位である同じ位置でそれぞれのEの芳香環に結合し;RがHまたはハライドであり;
、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択される工程と、を有するプロセス。
【請求項19】
工程IIの反応が、溶媒としてのアセトニトリル中で行なわれる、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
請求項8に記載の化合物を製造するためのプロセスであって、式(I)を有する化合物
【化26】
を臭素と反応させ、式(VIII)の化合物を生成する工程であって、
【化27】
上記式中、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-2の1つまたは複数のアニオンであるか;
またはRが、下記式を有する第4級アミンであり、
【化28】
上記式中、RおよびRがそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-3である1つまたは複数のアニオンであり;
、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択され;
Eが下記式
【化29】
を有し、エステル酸素が、2位または3位である同じ位置でそれぞれのEの芳香環に結合し;RがHまたはハライドであり、Xが2、3、4、または6である工程を有する、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染症、細菌感染症、および真菌感染症の治療に使用することができる化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルペスウイルス科は、人および動物のいずれにおいても多くの疾患を引き起こすDNAウイルスのファミリーである。ヒトの疾患を引き起こす最も一般的なヘルペスウイルスは、水痘・帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バールウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、および単純ヘルペスウイルス2型である。
【0003】
水痘・帯状疱疹ウイルスは、子供の水痘および成人の帯状疱疹(shingles)を引き起こす一般的なウイルスである。
【0004】
エプスタイン・バールウイルスは、一般に伝染性単核球症(腺熱)を引き起こすウイルスであるとともに、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、胃がんなどのがんとも関連している。
【0005】
サイトメガロウイルスは、ヘルペスウイルス科の別のウイルスである。ヒトサイトメガロウイルス(HCMV、CMV、またはヒトヘルペスイルス5型(HHV-5))は、唾液腺に関連するウイルスで、通常、健康な人では気づかれないものの、HIV患者、臓器移植のレシピエント、新生児などの免疫が低下している人にとっては致命的となり得る。
【0006】
単純ヘルペスウイルス1型と単純ヘルペスウイルス2型とは、いずれも単純ヘルペスというウイルス性疾患の原因となるウイルスである。いずれのウイルスも口腔内感染および性器感染を引き起こすが、HSV-1は口腔内感染(口唇ヘルペスなど)との関連性がより高く、HSV-2は性器感染(性器ヘルペスなど)との関連性がより高い。単純ヘルペスウイルスは、全世界で成人の約60%~95%が罹患している感染症を引き起こす(非特許文献1)。
【0007】
口唇ヘルペスは通常、顔および/または口に関連し、口唇ヘルペス(Herpes labialis)(単純疱疹)を形成する小さな水疱ができることがある。口唇ヘルペスは、特に感染後の初発エピソードでは、咽頭痛、発熱、筋肉痛、リンパ節の腫脹、頭痛、倦怠感などの他の症状を伴うこともある。
【0008】
性器ヘルペスは一般に性器に関連し、性器領域、大腿部内側、臀部、および/または肛門に小さな病変が生じることがある。このウイルスに関連するその他の典型的な症状としては、疼痛、掻痒感、灼熱感、分泌物(discharge)、発熱、頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫脹、倦怠感などが挙げられる。
【0009】
口唇ヘルペスは、抗ウイルス剤で治療することができる。抗ウイルス剤は、症状の期間を短縮することはできるものの、原因ウイルスを完全に死滅させることはできない。口唇ヘルペスの症状が消失した後も、ヘルペスウイルス(HSV-1またはHSV-2など)は通常は顔面神経枝内で休眠状態となり、ウイルスが定期的に再活性化して、以前の感染部位と同じ口または顔面領域に口唇ヘルペスを生じさせることがある。一部の人では、症状がない場合であっても感染の可能性があるが、ウイルスは無症状のままとなる。
【0010】
性器ヘルペスも、抗ウイルス剤で治療することもでき、症状の期間を短縮することができる。しかし、口唇ヘルペスに関しては、原因ウイルスを人体から完全に除去する認可薬は存在しない。
【0011】
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、ヒトパピローマウイルス感染症の原因となり、一般には無症状で、自然に治癒する。しかし、場合によっては感染が持続し、いぼまたは前がん病変を生じさせる。前がん病変は、多くの種類のがんのリスクを高める可能性があり、そのようながんには、子宮頸部、膣、陰茎、肛門、口、および咽頭のがんが含まれる(非特許文献2)。HPVは世界で最も多い性感染症であり、ほとんどの人が人生のいずれかの時点で感染する(非特許文献3)
【0012】
細菌および真菌の感染症は世界中でよくみられる。このような感染症を治療するためにさまざまな薬剤が開発されており、これらは特定のあるいは広範な種類の細菌および真菌の種および株を標的としている。抗生物質耐性、より最近では抗真菌耐性が蔓延し、世界中でますます大きな問題となっている。そのため、細菌および真菌の感染症を治療するための新薬が世界で求められている。
【0013】
ヘルペスウイルス(特に単純ヘルペスウイルス)およびヒトパピローマウイルスの流行と、これらのウイルスに関連するさまざまな疾患とを鑑みると、これらのウイルスを標的とし、これらのウイルスに関連する疾患を治療することができる治療法が求められている。
【0014】
抗細菌作用、抗真菌作用、および抗ウイルス活性を示す化合物が開示されており、そのような化合物の例が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2018/132066号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Chayavichitsilp P, Buckwalter JV, Krakowski AC, Friedlander SF (April 2009). "Herpes simplex". Pediatr Rev. 30 (4)
【非特許文献2】Ljubojevic, Suzana; Skerlev, Mihael (2014). "HPV-associated diseases". Clinics in Dermatology.32 (2): 227-234.
【非特許文献3】Milner, Danny A. (2015). Diagnostic Pathology: Infectious Diseases. Elsevier Health Sciences. p. 40.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
抗細菌作用、抗ウイルス活性、および抗真菌作用を備える化合物が求められている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の態様では、下記式を有する化合物が提供される。
【化1】
上記式中、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-2の1つまたは複数のアニオンであるか;
またはRが、下記式を有する第4級アミンであり、
【化2】
上記式中、RおよびRがそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-3である1つまたは複数のアニオンであり;
、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択され;
Eが下記式
【化3】
を有し、エステル酸素が、2位または3位である同じ位置でそれぞれのEの芳香環に結合し;RがHまたはハライドである。
【0019】
Rが、例えば、8~18個の炭素原子、例えば8~16個の炭素原子、例えば8~14個の炭素原子、例えば9~15個の炭素原子、例えば10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状飽和または不飽和アルキレン鎖であってよい。好ましくは、Rが、8~16の炭素、例えば10の炭素原子を有する直鎖飽和アルキレン鎖である。ここでアルキレンとは、アルカンベースの二ラジカルであり、このため、分子の残りの部分に対し2つの結合点を有するものを意味する。
【0020】
Rが、例えば、式(Ia)に係る第4級アミンであってよく、上記式中、RおよびRがそれぞれ、8~18個の炭素原子、例えば8~16個の炭素原子、例えば8~14個の炭素原子、例えば9~15個の炭素原子、例えば10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状飽和または不飽和アルキレン鎖である。RおよびRがそれぞれ、炭素原子数が異なるまたは炭素原子数が同じである直鎖状または分枝鎖状飽和アルキレン鎖であってよい。
【0021】
好ましくは、RおよびRがそれぞれ、8~16個の炭素原子、例えば10個の炭素原子を有する直鎖飽和アルキレン鎖である。
【0022】
飽和直鎖アルキレン鎖が下記式で表されてよい。
【化4】
または
【化5】
上記式中、nは繰り返し単位の数、すなわち直鎖アルキレン鎖内の炭素原子の数である。したがって、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖の場合、Rが下記式
【化6】
であり、式中、nが8~16、例えば10であることが好ましい。Rが上記のような式(Ia)を有する第4級アミンの場合、RおよびRが下記式
【化7】
であり、式中、nが8~16、例えば10であることが好ましい。
【0023】
例えば、Rが炭素数10のアルキレン鎖の場合、Rが下記式で表されてよい。
【化8】
【0024】
Aは、例えば、クロリド(Cl)イオン、ブロミド(Br)イオン、イオダイド(I)イオン、および/またはフロリドイオン(F)などのハライドイオンを含んでよい。Aは、例えば、硫酸イオン(SO 2-)、炭酸イオン(CO 2-)、炭酸水素イオン(HCO3-)、硫酸水素イオン(HSO )、酢酸イオン(CHCOO)、および/またはギ酸イオン(HCOO)などの他の有機または無機酸のイオンを含んでよい。Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖である場合、好ましくはAが2つのハライドイオン、例えば2つのクロリドイオンを有し、したがって総電荷量が-2である。Rが上述の式(Ia)を有する第4級アミンである場合、好ましくはAが2つのクロリドイオンと1つのブロミドイオンとを有し、したがって総電荷量が-3である。
【0025】
、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-4アルキルおよびHから選択されてよく、例えば、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれメチルであってよい。Rが、クロリド、ブロミド、イオダイド、またはフロリドであってよい。エステル酸素が、メチル基に対して2位でEの芳香環に結合している場合、Rがメチル基に対して3位、5位、または6位で芳香環に結合されてよい。エステル酸素が、メチル基に対して3位でEの芳香族基に結合している場合、Rがメチル基に対して2位、5位、または6位で芳香環に結合されてよい。
【0026】
好ましくは、上記式(I)の化合物は、下記式を有する。
【化9】
または
【化10】
上記式中、R、R、R、R、RおよびAは、式(I)について上記で定義したとおりである。
【0027】
好ましくは、式(I)の化合物は、下記式を有する。
【化11】
または
【化12】
または
【化13】
または
【化14】
【0028】
式IVおよび式Vにおいて、Rが10個の炭素原子を有する直鎖飽和アルキレン鎖であり、Aが2つのクロリドイオンであることが理解されよう。式VIおよび式VIIにおいて、Rが第4級アミンであり、式中、RおよびRがそれぞれ、10個の炭素原子を有する飽和直鎖アルキレン鎖であり、Aは2つのクロリドイオンおよび1つのブロミドイオンであることが理解されるであろう。式IVおよび式Vにおいて、R、R、RおよびRがそれぞれメチルであることが理解されよう。式VIおよび式VIIにおいて、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれメチルであることが理解されるであろう。
【0029】
本発明の別の実施形態では、下記式を有する化合物が提供される。
【化15】
上記式中、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-2の1つまたは複数のアニオンであるか;
またはRが、下記式を有する第4級アミンであり、
【化16】
上記式中、RおよびRがそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-3である1つまたは複数のアニオンであり;
、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択され;
Eが下記式
【化17】
を有し、エステル酸素が、2位または3位である同じ位置でそれぞれのEの芳香環に結合し;RがHまたはハライドであり、Xが2、3、4、または6である。
【0030】
Rが、例えば、8~18個の炭素原子、例えば8~16個の炭素原子、例えば8~14個の炭素原子、例えば9~15個の炭素原子、例えば10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状飽和または不飽和アルキレン鎖であってよい。好ましくは、Rが、8~16の炭素、例えば10個の炭素原子を有する直鎖飽和アルキレン鎖である。
【0031】
Rが、例えば、式(Ia)に係る第4級アミンであってよく、上記式中、RおよびRがそれぞれ、8~18個の炭素原子、例えば8~16個の炭素原子、例えば8~14個の炭素原子、例えば9~15個の炭素原子、例えば10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状飽和または不飽和アルキレン鎖である。RおよびRがそれぞれ、炭素原子数が異なるまたは炭素原子数が同じである直鎖状または分枝鎖状飽和アルキレン鎖であってよい。
【0032】
好ましくは、RおよびRがそれぞれ、8~16個の炭素原子、例えば10個の炭素原子を有する直鎖飽和アルキレン鎖である。
【0033】
飽和直鎖アルキレン鎖が下記式で表されてよい。
【化18】
または
【化19】
上記式中、nは繰り返し単位の数、すなわち直鎖アルキレン鎖内の炭素原子の数である。したがって、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖の場合、好ましくは、Rが、
【化20】
であり、式中、nが8~16、例えば10である。Rが上記のような式(Ia)を有する第4級アミンである場合、好ましくは、RおよびRが、
【化21】
であり、nは8~16、例えば10である。
【0034】
例えば、Rが炭素数10のアルキレンの場合、Rが下記式で表されてよい。
【化22】
【0035】
Aは、例えば、クロリド(Cl)イオン、ブロミド(Br)イオン、イオダイド(I)イオン、および/またはフロリドイオン(F)などのハライドイオンを含んでよい。Aは、例えば、硫酸イオン(SO 2-)、炭酸イオン(CO 2-)、炭酸水素イオン(HCO3-)、硫酸水素イオン(HSO )、酢酸イオン(CHCOO)、および/またはギ酸イオン(HCOO)などの他の有機または無機酸のイオンを含んでよい。Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖である場合、好ましくはAが2つのハライドイオン、例えば2つのクロリドイオンを有し、したがって総電荷量が-2である。Rが上述の式(Ia)を有する第4級アミンである場合、好ましくはAが2つのクロリドイオンと1つのブロミドイオンとを有し、したがって総電荷量が-3である。
【0036】
、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-4アルキルおよびHから選択されてよく、例えば、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれメチルであってよい。
【0037】
が、クロリド、ブロミド、イオダイド、またはフロリドであってよい。エステル酸素が、メチル基に対して2位でEの芳香環に結合している場合、Rがメチル基に対して3位、5位、または6位で芳香環に結合されてよい。エステル酸素が、メチル基に対して3位でEの芳香族基に結合している場合、Rがメチル基に対して2位、5位、または6位で芳香環に結合されてよい。
【0038】
好ましくは、上記式(VIII)の化合物は、下記式を有する。
【化23】
または
【化24】
上記式中、R、R、R、R、R、X、およびAは、式(IX)について上で定義したとおりである。
【0039】
好ましくは、式(VIII)の化合物は、下記式を有する。
【化25】

または
【化26】

または
【化27】

または
【化28】
Xが3または6である。
【0040】
式(XI)および式(XII)において、Rが10個の炭素原子を有する直鎖飽和アルキレン鎖であり、Aが2つのクロリドイオンであることが理解されるであろう。
【0041】
式(XIII)および式(XIV)において、Rが第4級アミンであり、式中、RおよびRがそれぞれ、10個の炭素原子を有する飽和直鎖アルキレン鎖であり、Aが2つのクロリドイオンおよび1つのブロミドイオンであることが理解されるであろう。式(XI)および式(XII)において、R、R、RおよびRがそれぞれメチルであることが理解されよう。式(XIII)および式(XIV)において、R、R、R、R、R、およびRがそれぞれメチルであることが理解されよう。
【0042】
本出願人は、式I~式XIVで表される上記化合物が、驚くべき抗細菌、抗真菌、および抗ウイルス活性を示すことを発見した。特定の理論に拘束されるものではないが、この抗細菌および抗真菌活性は、芳香族チモールおよびカルバクロール基、第4級アンモニア基、ならびに長鎖アルキル基の組み合わせに起因すると推測される。さらに、式I~式IVに係る化合物を臭素と錯化することで、その抗細菌性および抗真菌性をさらに高めることができる。
【0043】
本出願人は、式I~式XIVで表される化合物は、それぞれのE基の芳香環にエステル酸素が異なる位置で結合している類似の化合物よりも高い抗細菌、抗真菌、および抗ウイルス活性を示すことを発見した。
【0044】
本発明の別の態様では、上記式(I)~(XIV)に係る化合物を含む医薬組成物(例えば、ヒト用医薬組成物および/または動物用医薬組成物)が提供される。
【0045】
医薬組成物は、経口、経直腸、非経口、経皮、静脈内、動脈内、骨内注入、脳内、脳室内、くも膜下腔内、筋肉内、皮下、膣内、腹腔内、硬膜外、脳内、骨内注入、硝子体内、経粘膜、頬内、または鼻腔内投与のうちの1つまたは複数の投与に適した形態であってよい。
【0046】
医薬組成物は、式(I)~(XIV)に係る化合物、水溶液などの薬学的に許容可能な担体、塩類および保存料を含む非毒性の賦形剤、緩衝剤などを含んでもよい。
【0047】
適切な水性および非水性の医薬用担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、カルボキシメチルセルロースおよびその適切な混合物、植物油(オリーブオイル等)、ならびにオレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルが挙げられる。
【0048】
薬学的に許容可能な賦形剤の例としては、付着防止剤、結合剤、コーティング、着色料、崩壊剤、香料、滑剤、潤滑剤、防腐剤、吸着剤、甘味料などが挙げられる。
【0049】
また、本発明の医薬組成物は、限定するものではないが、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤、分散剤などの添加剤を含んでよい。微生物の繁殖を防ぐために、抗細菌剤および抗真菌剤が含有されてよく、その例としては、例えば、m-クレゾール、ベンジルアルコール、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などが挙げられる。防腐剤を含む場合、ベンジルアルコール、フェノール、および/またはm-クレゾールが好ましいが、防腐剤はこれらの例に限定されるものではない。さらに、糖類や塩化ナトリウムなどの等張化剤を含むことが望ましい場合もある。
【0050】
経口投与に適した医薬組成物は、例えば、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、オブラート包薬(cachet)などの形態であってよい。組成物は、例えば、リポソーム、ラクトース、トレハロース、スクロース、マンニトール、キシリトール、結晶セルロース、キトサン、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、シリカなどの薬学的に許容可能な担体を含んでよい。
【0051】
本発明の医薬組成物は、例えば、本発明の化合物を固体賦形剤と合わせ、(必要に応じて)混合物を粉砕し、例えば、ゼラチンカプセル、ゼラチンおよびコーティング(例えば、グリセロールもしくはソルビトール)からなるソフト密封カプセル、またはベジタリアンに適したカプセル組成物などのカプセルに挿入することによって得ることができる。ソフトカプセル内では、組成物が、安定剤の有無にかかわらず、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解または懸濁されてよい。
【0052】
本発明のさらなる態様では、医薬品として使用するための上記の化合物または医薬組成物が提供される。
【0053】
本発明のさらなる態様では、ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、細菌感染症、および/または真菌感染症の治療に使用するための上記の化合物または医薬組成物が提供される。
【0054】
ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バールウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ロゼオロウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ウシヘルペスウイルス1型等の動物ヘルペスウイルスなどのうちの1種以上のウイルスであってよい。
【0055】
好ましくは、ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型もしくは単純ヘルペスウイルス2型)またはサイトメガロウイルスである。
【0056】
細菌感染症には、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌に起因するものが含まれる。
【0057】
細菌感染症は、例えば、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、および/またはサルモネラ菌に起因してよい。
【0058】
真菌感染症は、表在性皮膚真菌症、皮膚真菌症、深在性皮膚真菌症、および/または全身性真菌症であってよい。
【0059】
真菌感染症は、例えば、カンジダ・アルビカンスに起因してよい。
【0060】
本発明のさらなる態様では、ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、細菌感染症、および/または真菌感染症を治療するための医薬品の製造における、上記の化合物または医薬組成物の使用が提供される。
【0061】
ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バールウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ロゼオロウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ウシヘルペスウイルス1型等の動物ヘルペスウイルスなどのうちの1種以上のウイルスであってよい。
【0062】
好ましくは、ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型もしくは単純ヘルペスウイルス2型)またはサイトメガロウイルスである。
【0063】
細菌感染症には、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌に起因するものが含まれる。
【0064】
細菌感染症は、例えば、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、および/またはサルモネラ菌に起因してよい。
【0065】
真菌感染症は、表在性皮膚真菌症、皮膚真菌症、深在性皮膚真菌症、および/または全身性真菌症であってよい。
【0066】
真菌感染症は、例えば、カンジダ・アルビカンスに起因してよい。
【0067】
本発明のさらなる態様では、ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、細菌感染症、および/または真菌感染症の治療方法であって、上記の化合物または医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法が提供される。
【0068】
ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バールウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ロゼオロウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ウシヘルペスウイルス1型等の動物ヘルペスウイルスなどのうちの1種以上のウイルスであってよい。
【0069】
好ましくは、ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型もしくは単純ヘルペスウイルス2型)またはサイトメガロウイルスである。
【0070】
細菌感染症には、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌に起因するものが含まれる。
【0071】
細菌感染症は、例えば、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、および/またはサルモネラ菌に起因してよい。
【0072】
真菌感染症は、表在性皮膚真菌症、皮膚真菌症、深在性皮膚真菌症、および/または全身性真菌症であってよい。
【0073】
真菌感染症は、例えば、カンジダ・アルビカンスに起因してよい。
【0074】
本発明のさらなる態様では、以下の工程を含む、式(I)の化合物を製造するためのプロセスが提供される。
i)式(XV)を有する化合物
【化29】
であって、上記式中、アルコール基がベンゼン環に2位または3位で結合し、RがHまたはハライドである化合物を、
CHCOClと反応させ、式(XVI)を有する化合物を生成する工程であって、
【化30】
上記式中、Rがクロリドまたはブロミドであり、Eが下記式
【化31】
であり、エステル酸素がEの芳香環に2位または3位で結合し、RがHまたはハライドである工程と;
ii)1モル当量の式(XVII)を有する化合物
【化32】
を、2モル当量の式(XVI)を有する化合物と反応させ、下記式を有する化合物を生成する工程であって、
【化33】
上記式中、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-2の1つまたは複数のアニオンであるか;
またはRが、下記式を有する第4級アミンであり、
【化34】
上記式中、RおよびRがそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-3である1つまたは複数のアニオンであり;
【0075】
Eが下記式
【化35】
を有し、エステル酸素が、2位または3位である同じ位置でそれぞれのEの芳香環に結合し、RがHまたはハライドであり;
、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択される工程と、を有する。
【0076】
工程IIの反応が、溶媒としてのアセトニトリル中で行なわれてよい。
【0077】
Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖の場合、上記プロセスが、下記式を有する化合物を
【化36】

2モル当量の下記式を有する化合物と反応させ、
【化37】
下記式を有するジ第3級アミン(di tertiary amine)を形成する追加の工程を含んでよく、
【化38】
上記式中、RおよびRが、RおよびRと同じであり、RおよびRが、それぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択され、
がハライド、例えば、ブロミドまたはクロリドであり;Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖である。
【0078】
Rが下記式を有する第4級アミンの場合であって、
【化39】
上記式中、RおよびRがそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、RおよびRがそれぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択される場合、上記プロセスが、2モル当量の以下式
【化40】
を有する化合物を、3モル当量の下記式
【化41】
と反応させて下記式を有する第4級アミンを形成する工程を含んでよく、
【化42】
上記式中、Raが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Rがハライド、例えば臭素または塩素であり、RおよびRが同一であり、かつそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、R、R、R、R、R、およびRが同一であり、C1-10アルキルおよびHから選択される。
【0079】
工程iの反応が、いずれも-10℃の温度で行われてもよい。
【0080】
上記プロセスが、分離および/または抽出の1つ以上の工程をさらに含んでよく、例えば、分離工程には、カラムクロマトグラフィー、低圧液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどを行なう工程が含まれてよい。精製工程には、例えば、ろ過、蒸発、液液抽出、結晶化、吸着、再結晶化、クロマトグラフィー、蒸留など、当業界で公知の標準的な精製プロセスが含まれてよい。
【0081】
本発明のさらなる態様では、式(VIII)に係る化合物の製造プロセスが提供され、本プロセスは、式(I)
【化43】

を有する化合物を臭素と反応させ、式(VIII)の化合物を生成する工程を含み、
【化44】
上記式中、Rが8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-2の1つまたは複数のアニオンであるか;
またはRが、下記式を有する第4級アミンであり、
【化45】

上記式中、RおよびRがそれぞれ8~20個の炭素原子を有するアルキレン鎖であり、Aが、総電荷量が-3である1つまたは複数のアニオンであり;
、R、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、C1-10アルキルおよびHから選択され;
Eが下記式を有し、
【化46】

エステル酸素が、2位または3位である同じ位置でそれぞれのEの芳香環に結合し;RがHまたはハライドであり;
Xが2、4、3、または6である。
【実施例
【0082】
次に、以下の実施例を参照して本発明を説明する。
【0083】
(実施例1)
[式(IV)の化合物の合成]
【化47】
【0084】
第1工程では、1,10-ジブロモデカンを2モル当量のジメチルアミンと反応させて、1,10-ビス(ジメチルアミノ)デカンを生成する。反応はベンゼン、ジエチルエーテル、ジメチルアミンなどの適切な溶媒中で4~5℃で行ない、続いて酸抽出工程を行なって、次にアルカリ処理を行ない、ジエチルエーテルで抽出する。抽出した画分を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、真空蒸留により精製する。
【0085】
第2工程では、カルバクロール(2-メチル-5-(1-メチルエチル)フェノール)をクロロアセチルクロリドと反応させる。反応は-10℃で1時間行ない、その後、室温で12時間撹拌する。次に、反応混合物を酸で洗浄し、続いて重炭酸ナトリウムで処理したのち水で処理する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、真空下で溶媒を除去する。
【0086】
第3工程では、第2工程で生成した化合物の2モル当量を、1モル当量の1,10-ビス(ジメチルアミノ)デカンと反応させて、式(IV)の化合物を生成する。第3工程の反応は、アセトニトリルなどの適切な溶媒を用いて行ない、反応混合物を24時間撹拌する。
【0087】
例えば、上記の各工程の間、およびプロセスが完了して式(IV)を有する最終化合物を精製した後に、さらなる精製工程および分離工程がプロセスに含まれてもよいことを理解されたい。
【0088】
分離工程には、カラムクロマトグラフィー、低圧液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどを行なう工程が含まれてよい。精製工程には、例えば、ろ過、蒸発、液液抽出、結晶化、吸着、再結晶化、クロマトグラフィー、蒸留など、当業界で公知の標準的な精製プロセスが含まれてよい。
【0089】
式(IV)の化合物は、以下の体系名、化学式、および分子量を有する。
【0090】
体系名:N1,N10-ビス(2-(5-イソプロピル-2-メチルフェノキシ)-2-オキソエチル)-N1,N1,N10,N10-テトラメチルデカン-1,10-ジアミニウムジクロリド
化学式:C3862 +2 2Cl
分子量:681.81
スキーム1
【化48】
【0091】
(実施例2)
[式(V)の化合物の合成]
【化49】
【0092】
第1工程では、1,10-ジブロモデカンを2モル当量のジメチルアミンと反応させて、1,10-ビス(ジメチルアミノ)デカンを生成する。反応はベンゼン、ジエチルエーテル、ジメチルアミンなどの適切な溶媒中で4~5℃で行ない、続いて酸抽出工程を行なって、次にアルカリ処理を行ない、ジエチルエーテルで抽出する。抽出した画分を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、真空蒸留により精製する。
【0093】
第2工程では、チモール(2-イソプロピル-5-メチルフェノール)をクロロアセチルクロリドと反応させる。反応は-10℃で1時間行ない、その後、室温で12時間撹拌する。次に、反応混合物を酸で洗浄し、続いて重炭酸ナトリウムで処理したのち水で処理する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、真空下で溶媒を除去する。
【0094】
第3工程では、第2工程で生成した化合物の2モル当量を、1モル当量の1,10-ビス(ジメチルアミノ)デカンと反応させて、式(V)の化合物を生成する。第3工程の反応は、アセトニトリルなどの適切な溶媒を用いて行ない、反応混合物を24時間撹拌する。
【0095】
例えば、上記の各工程の間、およびプロセスが完了して式(V)を有する最終化合物を精製した後に、さらなる精製工程および分離工程がプロセスに含まれてもよいことを理解されたい。
【0096】
分離工程には、カラムクロマトグラフィー、低圧液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどを行なう工程が含まれてよい。精製工程には、例えば、ろ過、蒸発、液液抽出、結晶化、吸着、再結晶化、クロマトグラフィー、蒸留など、当業界で公知の標準的な精製プロセスが含まれてよい。
【0097】
体系名:N1,N10-ビス(2-(2-イソプロピル-5-メチルフェノキシ)-2-オキソエチル)-N1,N1,N10,N10-テトラメチルデカン-1,10-ジアミニウムジクロリド
化学式:C3862 +2 2Cl
分子量:681.81
スキーム2
【化50】
【0098】
(実施例3)
[式(VI)の化合物の合成]
【化51】
【0099】
第1工程では、2モル当量の1,10-ジブロモデカンを3モル当量のジメチルアミンと反応させる。反応はベンゼンまたはジエチルエーテルなどの適切な溶媒中で4~5℃で行ない、続いて酸抽出工程を行なって、次にアルカリ処理を行ない、ジエチルエーテルで抽出する。抽出した画分を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、真空蒸留により精製する。
【0100】
第2工程では、カルバクロール(2-メチル-5-(1-メチルエチル)フェノール)をクロロアセチルクロリドと反応させる。反応は-10℃で1時間行ない、その後、室温で12時間撹拌する。次に、反応混合物を酸で洗浄し、続いて重炭酸ナトリウムで処理したのち水で処理する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、真空下で溶媒を除去する。
【0101】
第3工程では、第1工程で生成した化合物の1モル当量を、第2工程で生成した化合物の2モル当量と反応させて、式(VI)を有する化合物を生成する。第3工程の反応は、アセトニトリルなどの適切な溶媒を用いて行ない、反応混合物を24時間撹拌する。
【0102】
例えば、上記の各工程の間、およびプロセスが完了して式(VI)を有する最終化合物を精製した後に、さらなる精製工程および分離工程がプロセスに含まれてもよいことを理解されたい。
【0103】
分離工程には、カラムクロマトグラフィー、低圧液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどを行なう工程が含まれてよい。精製工程には、例えば、ろ過、蒸発、液液抽出、結晶化、吸着、再結晶化、クロマトグラフィー、蒸留など、当業界で公知の標準的な精製プロセスが含まれてよい。
【0104】
体系名:N1-(2-(5-イソプロピル-2-メチルフェノキシ)-2-オキソエチル)-N10-(10-((2-(5-イソプロピル-2-メチルフェノキシ)-2-オキソエチル)ジメチルアンモニオ)デシル)-N1,N1,N10,N10-テトラメチルデカン-1,10-ジアミニウムブロミドジクロリド
化学式:C5088 +3 Br-2Cl
分子量:946.06
スキーム3
【化52】
【0105】
(実施例4)
[式(V)の化合物の合成]
【化53】
【0106】
第1工程では、2モル当量の1,10-ジブロモデカンを3モル当量のジメチルアミンと反応させる。反応はベンゼンまたはジエチルエーテルなどの適切な溶媒中で4~5℃で行ない、続いて酸抽出工程を行なって、次にアルカリ処理を行ない、ジエチルエーテルで抽出する。抽出した画分を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、真空蒸留により精製する。
【0107】
第2工程では、チモール(2-イソプロピル-5-メチルフェノール)をクロロアセチルクロリドと反応させる。反応は-10℃で1時間行ない、その後、室温で12時間撹拌する。次に、反応混合物を酸で洗浄し、続いて重炭酸ナトリウムで処理したのち水で処理する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、真空下で溶媒を除去する。
【0108】
第3工程では、第1工程で生成した化合物の1モル当量を、第2工程で生成した化合物の2モル当量と反応させて、式(VII)を有する化合物を生成する。第3工程の反応は、アセトニトリルなどの適切な溶媒を用いて行ない、反応混合物を24時間撹拌する。
【0109】
例えば、上記の各工程の間、およびプロセスが完了して式(VII)を有する最終化合物を精製した後に、さらなる精製工程および分離工程がプロセスに含まれてもよいことを理解されたい。
【0110】
分離工程には、カラムクロマトグラフィー、低圧液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどを行なう工程が含まれてよい。精製工程には、例えば、ろ過、蒸発、液液抽出、結晶化、吸着、再結晶化、クロマトグラフィー、蒸留など、当業界で公知の標準的な精製プロセスが含まれてよい。
【0111】
体系名:N1-(2-(2-イソプロピル-5-メチルフェノキシ)-2-オキソエチル)-N10-(10-((2-(2-イソプロピル-5-メチルフェノキシ)-2-オキソエチル)ジメチルアンモニオ)デシル)-N1,N1,N10,N10-テトラメチルデカン-1,10-ジアミニウムブロミドジクロリド
化学式:C5088 +3 Br-2Cl
分子量:946.06
スキーム4
【化54】
【0112】
式XI~式XIVで定義される臭素錯体を合成するには、式IV~VIIの化合物を臭素で処理して、式XI~式XIVの錯体を形成することが理解されよう。さらなる精製工程および分離工程もこのプロセスに含まれてよいことが理解されよう。
【0113】
(実施例5)
[ブロスマイクロダイリューションによる最小発育阻止濃度(MIC)の決定]
-器材
・マクファーランドスタンダード0.5
・ファルコン丸底5mlチューブ
・ディスポーザブルループ(1μlおよび10μl)
・ピペットチップ(0.5μl~1000μl)
・組織培養プレート、96ウェル
・マルチチャンネルマイクロピペット(5~50μl)、(30~300μl)
・ディスポーザブルペトリ皿
・ディスポーザブル試薬リザーバー
-培地
・滅菌生理食塩水
・TSB(トリプティック・ソイ・ブロス)
・TSA(トリプティック・ソイ・アガー)
・0.02%レサズリン滅菌溶液
-細菌株
・黄色ブドウ球菌ATCC-6538
・大腸菌ATCC-8739
【0114】
-手順
<接種物の標準化>
純粋なo/n培養物(o/n culture)から、少なくとも3~4コロニーの物質(material)を選択し、チューブに入れた2mlの生理食塩水に完全に懸濁させた。懸濁液を混合した。
【0115】
接種物を、0.5マクファーランドスケールに従って標準化し(希釈率1:10、滅菌生理食塩水)、最終濃度を1.5×10cfu/mlとした。接種物を混合した。懸濁液は接種に15分以内に使用した。
【0116】
<接種および培養>
各サンプルを適切な溶媒(水/96%エタノール)に溶解させ、5000μg/mlの濃度とした。連続希釈法を用いて、初期溶液の濃度を、グラム陰性菌は625μg/ml、グラム陽性菌は78μg/mlに調整した。真菌の場合、作業濃度を1250g/mlとした。
【0117】
各ウェルに100μlの滅菌TSBを入れた96ウェルプレートで試験を行なった。
【0118】
最初のウェルに初期濃度のサンプルを100μl加えた。前のウェルから次のウェルに100μlをそれぞれ移していき連続希釈を行なった(希釈率1:1)。各ウェルに20μlの接種物を加えた。各ウェルの最終体積は120μlであった。
【0119】
微生物の増殖、培地および溶液の無菌性を同時に制御することができた。このプレートを、細菌の場合は27±1℃で24時間、酵母の場合は34±1℃で48時間インキュベートした。レザズーリン滅菌溶液(20μl、0.02%w/v)を加え、3時間再培養して菌の成長の阻害を特定した。ウェル内の青色発色の持続度によって、微生物の増殖を阻止可能な最小濃度として定義される最小発育阻止濃度(MIC)を求めた。(色素の減少による)青から赤への色の変化は、細菌の成長を示すものである。明らかな増殖がみられなかったウェルを選択して評価し、その際、TSBを含むプレート上で微生物が増殖しなかったことでMICを求めた。
【0120】
これらの実験の結果を以下の表に示す。
【0121】
黄色ブドウ球菌ATCC 6538 4.5×10Cfu/ml
【表1】
テーブル1
【0122】
大腸菌ATCC-8739 6.5×10Cfu/ml
【表2】
テーブル2
【0123】
【表3】
テーブル3
【0124】
(実施例6)
[ブロスマイクロダイリューションによるMICの決定]
-器材
・マクファーランドスタンダード0.5
・ファルコン丸底5mlチューブ
・ディスポーザブルループ(1μlおよび10μl)
・ピペットチップ(0.5μl~1000μl)
・組織培養プレート、96ウェル
・マルチチャンネルマイクロピペット(5~50μl)、(30~300μl)
・ディスポーザブルペトリ皿
・ディスポーザブル試薬リザーバー
-培地
・滅菌生理食塩水
・TSB(トリプティック・ソイ・ブロス)
・TSA(トリプティック・ソイ・アガー)
・0.02%レサズリン滅菌溶液
-細菌株
・黄色ブドウ球菌ATCC-6538
・大腸菌ATCC-8739
・緑膿菌ATCC-9027
・カンジダ・アルビカンスATCC-10231
・カンジダ・アルビカンスNCTC-885-653
・サッカロミセス・セレビシエATCC-9763
・サルモネラ・エンテリカ・セロヴァ・ティフィムリウム(serovar Typhimurium)ATCC 14028
・サッカロミセス・セレビシエATCC-2601
【0125】
-手順
<接種物の標準化>
純粋なo/n培養物(o/n culture)から、少なくとも3~4コロニーの物質(material)を選択した。チューブに入れた2mlの生理食塩水に材料を完全に懸濁させ、混合した。
【0126】
接種物を、0.5マクファーランドスケールに従って標準化し(希釈率1:10、滅菌生理食塩水)、最終濃度を1.5×10cfu/mlとした。接種物を混合した。懸濁液は接種に15分以内に使用した。
【0127】
<接種および培養>
各サンプルを適切な溶媒(水/96%エタノール)に溶解させ、5000μg/mlの濃度とした。連続希釈法を用いて、初期溶液の濃度を、グラム陰性菌は625μg/ml、グラム陽性菌は78μg/mlに調整した。真菌の場合、作業濃度を1250g/mlとした。
【0128】
各ウェルに100μlの滅菌TSBを入れた96ウェルプレートで試験を行なった。
【0129】
初期濃度の100μlを最初のウェルに加えた。前のウェルから次のウェルに100μlをそれぞれ移していき連続希釈を行なった(希釈率1:1)。各ウェルに20μlの接種物を加えた。各ウェルの最終体積は120μlであった。微生物の増殖、培地および溶液の無菌性を同時に制御することができた。このプレートを、細菌の場合は27±1℃で24時間、酵母の場合は34±1℃で48時間培養した。レザズーリン滅菌溶液(20μl、0.02%w/v)を加え、3時間再培養して菌の成長の阻害を特定した。
【0130】
ウェル内の青色発色の持続度によって、微生物の増殖を阻止可能な最小濃度として定義されるMICを求めた。(色素の減少による)青から赤への色の変化は、細菌の成長を示すものである。明らかな増殖がみられなかったウェルを選択して評価し、その際、TSBを含むプレート上で微生物が増殖しなかったことでMICを求めた。
【0131】
これらの実験結果を以下の表に示す。
【0132】
大腸菌ATCC-8739 1.7×10Cfu/ml
【表4】
テーブル4
【0133】
サルモネラ・エンテリカ・セロヴァ・ティフィムリウムATCC 14028 1.3×10Cfu/ml
【表5】
テーブル5
【0134】
大腸菌ATCC-8739 6.6×10Cfu/ml
【表6】
テーブル6
【0135】
緑膿菌ATCC-9027 1.9×10Cfu/ml
【表7】
テーブル7
【0136】
大腸菌ATCC-8739 4.1×10Cfu/ml
【表8】



テーブル8
【0137】
緑膿菌ATCC-9027 4.7×10Cfu/ml
【表9】
テーブル9
【0138】
【表10】
テーブル10
【0139】
【表11】
テーブル11
【0140】
黄色ブドウ球菌ATCC 6538 4.5×10Cfu/ml
【表12】
テーブル12
【0141】
大腸菌ATCC-8739 6.5×10Cfu/ml
【表13】
テーブル13
【0142】
サルモネラ・エンテリカ・セロヴァ・ティフィムリウムATCC 14028 (log4条件)
【表14】
テーブル14
【0143】
大腸菌ATCC-8739 (log4条件)
【表15】
テーブル15
【0144】
緑膿菌ATCC-9027(Log4条件)
【表16】
テーブル16
【0145】
臨床分離されたフルコナゾールおよびボリコナゾールに耐性または感受性のあるさまざまな真菌株(フルコナゾールまたはボリコナゾールの存在下で培養した真菌の20世代超でみられた耐性)について、異なる異性体のMICの平均値(μg/ml)を試験した。
【0146】
試験を行なったすべての株に対するボリコナゾールのMIC値は255μg/ml、フルコナゾールのMIC値は511μg/mlであった。
【0147】
ボリコナゾール耐性カンジダ・アルビカンスATCC-10231(20世代)
【表17】
テーブル17
【0148】
フルコナゾール耐性カンジダ・アルビカンスATCC-10231(20世代)
【表18】
【0149】
ボリコナゾール耐性カンジダ・アルビカンスNTCT-885-653(20世代)
【表19】
テーブル18
【0150】
フルコナゾール耐性サッカロミセス・セレビシエATCC-9763(20世代)
【表20】

テーブル19
【0151】
フルコナゾール耐性サッカロミセス・セレビシエATCC-2601(20世代)
【表21】
テーブル20
【0152】
(実施例7)
[抗ウイルス活性]
MRC5細胞を、20,000細胞/ウェルの濃度で96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO下で一晩培養した。翌日、連続希釈した化合物およびウイルスを含む培地をウェルに加えた。得られた培養物を、37℃、5%CO下で培養した。感染後4日目に培地を補充した。感染後7日目に、Acumen Cellistaを用いて蛍光強度を測定した。細胞対照で正規化した各濃度でのGFPの発現抑制に基づいて、化合物の抗ウイルス活性を算出した。並行して、ウイルスを感染させない以外は同じ条件で、化合物の細胞毒性を評価した。CCK8を用いてメーカーのマニュアルに従って細胞の生存率を測定した。
【0153】
化合物の抗ウイルス活性および細胞毒性は、それぞれ抑制率%および生存率%で表され、下記式で算出した。
抑制率(%)=100-(CPD生データ-平均CC)/(平均VC-平均CC)×100
生存率(%)=(CPD生データ-平均MC)/(平均CC-平均MC)×100
【0154】
CPD生データは、化合物で処理したウェルの値であり、平均VC、平均CC、および平均MCは、それぞれ、ウイルス対照、細胞対照、培地対照ウェルの平均値である。
【0155】
GraphPad Prismソフトウェアを用いてEC50およびCC50値を算出した。
【0156】
【表22】
テーブル21
【0157】
実験の結果を以下のテーブル22に示す。
【表23】
テーブル22
【0158】
【表24】
テーブル23
【国際調査報告】