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特表2022-529993リフトゲートスポイラーに組み込まれる可変Dピラー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】リフトゲートスポイラーに組み込まれる可変Dピラー
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
B62D37/02 Z
B62D37/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562344
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 US2020029105
(87)【国際公開番号】W WO2020219438
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/837,566
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518410146
【氏名又は名称】マグナ エクステリアーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】リンドバーグ ブレインドン アール
(72)【発明者】
【氏名】コワン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン テッド イー
(57)【要約】
可変空力組立体は、2つのパネルの間に形成されたキャビティを有するリフトゲートを有している。隙間は、外部パネルに形成され、キャビティへのアクセスを可能にする。フレームは、キャビティ内でリフトゲートに連結される。スポイラーは、フレームにスライド可能に連結され、展開軸線に沿って格納位置と展開位置との間で移動可能である。少なくとも1つの連結リンクは、スポイラーとフレームとの間に連結され、アクチュエータによってフレーム上の複数の軌道のうちの1つに沿って駆動される。また、可動Dピラーは、キャビティの中に収容され、キャビティの中の格納位置と展開位置との間を移動し、可動Dピラーのウイングレットは、キャビティの外側へリフトゲートの外面を超えて延びるようになっている。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部パネル及び外部パネルを連結することで形成されるリフトゲートと、
前記リフトゲートに連結され、展開軸線に沿って格納位置と展開位置との間で移動することができるスポイラーを有する可変スポイラー装置と、
前記可変スポイラー装置に連結され、前記可変スポイラー装置を格納位置と展開位置との間を選択的に移動させるアクチュエータと、を備えている、
ことを特徴とする可変空力組立体。
【請求項2】
前記可変スポイラー装置は、
前記リフトゲートの内部パネルに連結されるフレームであって、前記フレームは、その上に形成された少なくとも1つの駆動軌道を有し、前記少なくとも1つの駆動軌道は、前記展開軸線に沿って延びるようになっている、フレームと、
前記スポイラーと少なくとも1つの案内軌道との間に連結され、前記アクチュエータによって前記フレームの前記少なくとも1つの駆動軌道に沿って駆動される、少なくとも1つの連結リンクと、をさらに備えている、
請求項1に記載の可変空力組立体。
【請求項3】
前記可変スポイラー装置は、
前記フレーム上に形成された少なくとも1つの案内軌道であって、前記少なくとも1つの駆動軌道及び少なくとも1つの案内軌道は、互いに平行でありかつ前記展開軸線に沿って延びるようになっている、少なくとも1つの案内軌道と、
前記スポイラーと前記少なくとも1つの案内軌道との間に連結される少なくとも1つの案内フランジであって、前記少なくとも1つの案内フランジは、前記少なくとも1つの案内フランジが前記アクチュエータによって駆動されることに応じて、前記少なくとも1つの案内フランジに沿って移動する、少なくとも1つの案内フランジと、
前記スポイラーと前記少なくとも1つの駆動軌道との間に連結される少なくとも1つの連結リンクであって、前記少なくとも1つの連結リンクは、前記少なくとも1つの連結リンクが前記アクチュエータによって駆動されることに応じて、少なくとも1つの案内軌道に沿って移動する、少なくとも1つの連結リンクと、をさらに有している、
請求項2に記載の可変空力組立体。
【請求項4】
前記少なくとも1つの案内軌道の各端部の傾斜部と、前記少なくとも1つの駆動軌道の各端部の傾斜部とをさらに備え、前記少なくとも1つの駆動軌道の各端部の傾斜部は、前記スポイラーを格納位置の場合に下方に奥まった場所に置くことを可能にしかつ展開位置で前記スポイラーの上面を隣接する表面に面一にするのを可能にする、
請求項3に記載の可変空力組立体。
【請求項5】
前記案内軌道の各端部の傾斜部をさらに備え、前記案内軌道の各端部の傾斜部は、前記スポイラーを格納位置の場合に下方に奥まった場所に置くことを可能にしかつ展開位置で前記スポイラーの上面を隣接する表面に面一にするのを可能にする、
請求項2に記載の可変空力組立体。
【請求項6】
前記隣接する表面は、車両のルーフ及び前記可変スポイラー装置の閉鎖パネルを有している、
請求項5に記載の可変空力組立体。
【請求項7】
前記アクチュエータに連結されたねじ付き面を有する駆動軸をさらに備え、前記駆動軸は、前記アクチュエータによって双方向に回転可能であり、
前記少なくとも1つの連結リンクは、前記駆動軸の前記ねじ付き面に連結された駆動ナットを有し、さらに前記アクチュエータによる前記駆動軸の回転に応じて前記駆動軸に沿って移動可能である、
請求項2に記載の可変空力組立体。
【請求項8】
内部パネル及び外部パネルを連結することで形成されるリフトゲートと、
前記内部パネルと前記外部パネルとの間に形成された少なくとも1つのキャビティと、
前記外部パネルの一部を貫通して形成された前記少なくとも1つのキャビティへの隙間と、
前記少なくとも1つのキャビティの中に配置可能で前記隙間と整列する可動Dピラーを有している少なくとも1つのDピラー装置であって、前記少なくとも1つの可動Dピラーは、前記少なくとも1つの可動Dピラーが前記少なくとも1つのキャビティの中に配置される格納位置と、前記Dピラーの一部が前記隙間を貫通して前記リフトゲートの前記外部パネルを超えて延びる展開位置との間を移動可能である、少なくとも1つのDピラー装置と、
前記少なくとも1つのキャビティの中に配置されるアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記少なくとも1つのDピラー装置に連結され、前記Dピラー装置を前記格納位置と前記展開位置との間で移動させる、アクチュエータと、を備えている、
ことを特徴とする可変空力組立体。
【請求項9】
可変スポイラー装置は、
前記リフトゲートの内部パネルに連結されるフレームであって、前記フレームは、その上に形成された少なくとも1つの駆動軌道を有し、前記少なくとも1つの駆動軌道は、前記展開軸線に沿って延びるようになっている、フレームと、
前記Dピラー装置と連結可能な少なくとも1つの連結リンクであって、前記少なくとも1つの連結リンクは、前記アクチュエータによって前記フレームの前記少なくとも1つの駆動軌道に沿って駆動される、少なくとも1つの連結リンクと、をさらに備えている、
請求項8に記載の可変空力組立体。
【請求項10】
前記アクチュエータに連結されたねじ付き面を有する駆動軸をさらに備え、前記駆動軸は、前記アクチュエータによって双方向に回転可能であり、
前記少なくとも1つの連結リンクは、前記駆動軸の前記ねじ付き面に連結された駆動ナットを有し、さらに前記アクチュエータによる前記駆動軸の回転に応じて前記駆動軸に沿って移動可能である、
請求項9に記載の可変空力組立体。
【請求項11】
前記可変空力組立体は、前記少なくとも1つのDピラー装置の基部及び前記基部に連結されたウイングレット部をさらに備え、
前記ウイングレットは、前記少なくとも1つのDピラー装置が前記展開位置に移動する場合に前記隙間を貫通して前記リフトゲートの外部パネルを超えて延びるようになっており、
前記可変空力組立体は、第1の端部で前記アクチュエータに枢動可能に連結可能であり、第2の端部で前記基部に枢動可能に連結可能であるスロット付きリンクをさらに備え、
前記スロット付きリンクは、前記アクチュエータから前記少なくとも1つのDピラー装置に力を伝達し、前記少なくとも1つのDピラー装置を前記格納位置と前記展開位置との間で移動させるようになっている、
請求項9に記載の可変空力組立体。
【請求項12】
前記基部は、前記スロット付きリンクの前記第2の端部の一部を受け入れ、これにより前記少なくとも1つのDピラー装置が、前記スロット付きリンクの前記第2の端部の周りで回転するのを可能にする、基部部材スロットをさらに有している、
請求項11に記載の可変空力組立体。
【請求項13】
前記少なくとも1つのDピラー装置の前記基部は、枢動連結部と、前記少なくとも1つのDピラー装置を前記格納位置に向かって付勢するための前記内部パネルに連結された戻しバネとを有している、
請求項12に記載の可変空力組立体。
【請求項14】
内部パネル及び外部パネルを連結することで形成されるリフトゲートと、
前記内部パネルと前記外部パネルとの間に形成された少なくとも1つのキャビティと、
前記外部パネルの一部を貫通して形成された前記少なくとも1つのキャビティへの隙間と、
前記リフトゲートに連結され、展開軸線に沿って格納位置と展開位置との間で移動することができるスポイラーを有する可変スポイラー装置と、
前記少なくとも1つのキャビティの中に配置可能で前記隙間と整列する可動Dピラーを有する少なくとも1つのDピラー装置であって、前記少なくとも1つの可動Dピラーは、前記少なくとも1つの可動Dピラーが前記少なくとも1つのキャビティの中に配置される格納位置と、前記Dピラーの一部が前記隙間を貫通して前記リフトゲートの前記外部パネルを超えて延びる展開位置との間を移動可能である、少なくとも1つのDピラー装置と、
前記少なくとも1つのキャビティの中に配置されるアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記可変スポイラー装置に連結され、前記可変スポイラー装置を格納位置と展開位置との間で選択的に移動させ、前記少なくとも1つのDピラー装置は、前記可変スポイラー装置に連結され、前記少なくとも1つのDピラー装置は、前記可変スポイラー装置の移動に応じて前記格納位置と前記展開位置との間で移動する、アクチュエータと、を備えている、
ことを特徴とする可変空力組立体。
【請求項15】
前記可変スポイラー装置は、
前記リフトゲートの内部パネルに連結されるフレームであって、前記フレームは、その上に形成された少なくとも1つの駆動軌道を有し、前記少なくとも1つの駆動軌道は、前記展開軸線に沿って延びるようになっている、フレームと、
前記スポイラーと少なくとも1つの案内軌道との間に連結され、前記アクチュエータによって前記フレームの前記少なくとも1つの駆動軌道に沿って駆動される、少なくとも1つの連結リンクと、をさらに有している、
請求項14に記載の可変空力組立体。
【請求項16】
前記可変スポイラー装置は、
前記フレーム上に形成された少なくとも1つの案内軌道であって、前記少なくとも1つの駆動軌道及び少なくとも1つの案内軌道は、互いに平行でありかつ前記展開軸線に沿って延びるようになっている、少なくとも1つの案内軌道と、
前記スポイラーと前記少なくとも1つの案内軌道との間に連結される少なくとも1つの案内フランジであって、前記少なくとも1つの案内フランジは、前記少なくとも1つの案内フランジが前記アクチュエータによって駆動されることに応じて、前記少なくとも1つの案内フランジに沿って移動する、少なくとも1つの案内フランジと、
前記スポイラーと前記少なくとも1つの駆動軌道との間に連結される少なくとも1つの連結リンクであって、前記少なくとも1つの連結リンクは、前記少なくとも1つの連結リンクが前記アクチュエータによって駆動されることに応じて、少なくとも1つの案内軌道に沿って移動する、少なくとも1つの連結リンクと、をさらに有している、
請求項15に記載の可変空力組立体。
【請求項17】
前記少なくとも1つの案内軌道の各端部の傾斜部と、前記少なくとも1つの駆動軌道の各端部の傾斜部とをさらに備え、前記スポイラーを格納位置の場合に下方に奥まった場所に置くことを可能にしかつ展開位置で前記スポイラーの上面を隣接する表面に面一にするのを可能にするようになっている、
請求項16に記載の可変空力組立体。
【請求項18】
前記案内軌道の各端部の傾斜部をさらに備え、前記スポイラーを格納位置の場合に下方に奥まった場所に置くことを可能にしかつ展開位置で前記スポイラーの上面を隣接する表面に面一にするのを可能にするようになっている、
請求項15に記載の可変空力組立体。
【請求項19】
前記隣接する表面は、車両のルーフ及び前記可変スポイラー装置の閉鎖パネルを有している、
請求項18に記載の可変空力組立体。
【請求項20】
前記アクチュエータに連結されたねじ付き面を有する駆動軸をさらに備え、前記駆動軸は、前記アクチュエータによって双方向に回転可能であり、
前記少なくとも1つの連結リンクは、前記駆動軸の前記ねじ付き面に連結された駆動ナットを有し、さらに前記アクチュエータによる前記駆動軸の回転に応じて前記駆動軸に沿って移動可能である、
請求項15に記載の可変空力組立体。
【請求項21】
前記可変空力組立体は、前記少なくとも1つのDピラー装置の基部及び前記基部に連結されたウイングレット部をさらに備え、
前記ウイングレットは、前記少なくとも1つのDピラー装置が前記展開位置に移動する場合に前記隙間を貫通して前記リフトゲートの外部パネルを超えて延びるようになっており、
前記可変空力組立体は、第1の端部で前記スポイラーに枢動可能に連結され、第2の端部で前記基部に枢動可能に連結可能であるスロット付きリンクをさらに備え、
前記スロット付きリンクは、前記スポイラーから前記少なくとも1つのDピラー装置に力を伝達し、前記少なくとも1つのDピラー装置を前記格納位置と前記展開位置との間で移動させるようになっている、
請求項14に記載の可変空力組立体。
【請求項22】
前記基部は、前記スロット付きリンクの前記第2の端部の一部を受け入れ、これにより前記少なくとも1つのDピラー装置が、前記スロット付きリンクの前記第2の端部の周りで回転するのを可能にする、基部部材スロットをさらに有している、
請求項21に記載の可変空力組立体。
【請求項23】
前記少なくとも1つのDピラー装置の前記基部は、枢動連結部と、前記少なくとも1つのDピラー装置を前記格納位置に向かって付勢するための前記内部パネルに連結された戻しバネとを有している、
請求項22に記載の可変空力組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後部リフトゲートのための可変Dピラー及びスポイラーに関する。
【背景技術】
【0002】
「スポイラー」は、様々な車両に対して空力的及びスタイル的な利点をもたらすために車両に用いられることが知られている。SUVタイプの車両において、スポイラーは、一般的に上部リフトゲート領域に設けられ、この場合、スポイラーは、このタイプの車両のルーフ又はリフトゲートの上部に取り付けられる。
【0003】
SUVタイプの車両にスポイラーを用いると、SUV車の後部領域での乱気流が低減されるので、空気抵抗係数(Cd)が小さくなり燃費が向上する。固定式後部スポイラーは、空気抵抗を低減するために実装されているが、固定式なので何らかの調節機能をもたらさない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、付加的な利点を伴って寸法に関して調節可能な水平流路をもたらすために、固定式後部スポイラーと組み合わせて使用される可変式後部水平スポイラーを提供しようとするものである。また、本発明は、リフトゲートの中に収容されかつ格納位置と展開位置との間を移動し、可変水平スポイラーとの併用でさらなる追加的な空力的利点をもたらす可変Dピラーウイングレットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
可変空力組立体は、前方側及び後方側をもつリヤガラスを有するリフトゲートを有している。リフトゲートの内部パネルは、リヤガラスの前方側に配置され、外部パネルは、内部パネルに連結される。外部パネル及び内部パネルが連結されると2つのパネルの間にキャビティが形成される。隙間は、外部パネルに形成され、キャビティへのアクセスを可能にする。フレームは、キャビティの中でリフトゲートに連結される。フレームは、その上に形成された複数の軌道を有し、複数の軌道は、互いに平行であり、フレームの展開軸線に沿って延びるようになっている。スポイラーは、フレームにスライド可能に連結され、展開軸線に沿って格納位置と展開位置との間で移動可能である。少なくとも1つの連結リンクは、スポイラーとフレームの複数の軌道のうちの1つとの間に連結される。連結リンクは、アクチュエータによってフレームの複数の軌道のうちの1つに沿って駆動される。
【0006】
可変空力組立体は、基部と、キャビティの中に位置して隙間に整列したウイングレット本体部とを有する少なくとも1つの可動Dピラーをさらに有している。可動Dピラーは、ウイングレット本体部がキャビティの中でリヤガラスの前方に配置された格納位置と、ウイングレット本体部が隙間を貫通してリヤガラスの後方側を超えて延びる展開位置との間に位置付けられる。キャビティ内にはアクチュエータがさらに設けられ、アクチュエータは、ウイングレット本体部を格納位置と展開位置との間で選択的に移動させるために、Dピラーの基部に連結される。
本発明は、詳細な説明及び図面からより完全に理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】展開位置における可変空力組立体のスポイラー及びDピラーの右側の断面図である。
図2】中間位置における可変空力組立体のスポイラー及びDピラーの右側の断面図である。
図3】格納位置における可変空力組立体のスポイラー及びDピラーの右側の断面図である。
図4】展開位置におけるスポイラー及び作動機構の上部側断面斜視図である。
図5】中間位置におけるスポイラー及び作動機構の上部側断面斜視図である。
図6】格納位置におけるスポイラー及び作動機構の上部側断面斜視図である。
図7】展開位置におけるスポイラー、Dピラー、及び作動機構の上部断面斜視図である。
図8】中間位置におけるスポイラー、Dピラー、及び作動機構の上部断面斜視図である。
図9】格納位置におけるスポイラー、Dピラー、及び作動機構の上部断面斜視図である。
図10】スポイラー及びDピラー作動構成要素の分解斜視図である。
図11】展開位置におけるスポイラーの底部側断面斜視図である。
図12】中間位置におけるスポイラーの底部側断面斜視図である。
図13】格納位置におけるスポイラーの底部側断面斜視図である。
図14】展開位置で示された可変空力組立体を有する車両リフトゲートの後部斜視図である。
図15】格納位置で示された可変空力組立体を有する車両リフトゲートの部分的に切り取られた後部斜視図である。
図16】展開位置で示された可変空力ピラー組立体を有する車両リフトゲートの部分的に切り取られた後部斜視図である。
図17】格納位置で示された可変空力ピラー組立体を有する車両リフトゲートの部分的に切り取られた後部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その用途、又は使用を制限することは意図されていない。
全ての図面を参照すると、特に図10を参照すると、可変空力スポイラー-ピラー組立体10の構成要素が示されて描かれている。可変空力組立体10は、リヤガラス14を有するリフトゲート12に連結されるが、一部のリフトゲートは固体パネルでありリヤガラスを有していないのでリヤガラスは随意的である。リフトゲート12は、連結された内部パネル16及び外部パネル18を有している。リヤガラス14は、外部パネル18に連結されるか又は内部パネル16に連結される。リフトゲート及びリヤガラス14は、キャビンの内部に向かう前方側とリフトゲート12の外側に向かう後方側とを有する。内部パネル16及び外部パネル14が連結される場合、左側領域及び右側領域にキャビティ20a、20bが形成され、これは一般的にDピラーと呼ばれる。また、Dピラーは、リヤガラス14の垂直平行側面に隣接する。リヤガラスの垂直平行側面の各々と外部パネル18の一部との間には隙間22a、22bがある。
【0009】
可変空力組立体10は、可変スポイラー装置24と、可変空力組立体の左側及び右側に位置する可変Dピラー装置26a、26bとを有している。可変スポイラー装置24及び可変Dピラー装置26a、26bは組み合わせて示されているが、これらが離れて存在することも本発明の範囲にある。例えば、可変スポイラー装置24を可変Dピラー装置26a、26bから独立して使用することができる。また、可変Dピラー装置26a、26bは、一部のアクチュエータの変更で可変スポイラーから離れて存在することもできる。
【0010】
可変スポイラー装置24は、リフトゲート12の内部パネル16及び外部パネル18に連結されるフレーム28を有している。フレーム28は、本明細書では駆動軌道30a、30bと呼ばれる2つの駆動軌道と、互いにフレーム28の展開軸線A-Aに沿って平行に延在する案内軌道31a、31bと呼ばれる2つの案内軌道とを有する。フレーム28上には4つの軌道が示されているが、フレームの寸法及び特定の用途に応じてより多くの又はより少ない軌道を使用することも本発明の範囲である。駆動軌道30の各々は、各端部に傾斜部34a、34b、34c、34dを有し、案内軌道31a、31bの各々は、各端部に傾斜部35a、35b、35c、35dに有し、その目的は以下で説明する。
【0011】
フレーム28にはスポイラー36が連結されており、スポイラー36は、単一体又は複数体であり、展開軸線A-Aに沿ってフレーム28に対してスライド可能に構成されている。スポイラー36は、連結リンク38a、38bと呼ばれる2つの連結リンク及び少なくとも1つの案内フランジ37a、37bを使用してフレーム28に連結される。図5及び8には、連結リンク38a、38b及び案内フランジ37a、37bの詳細が最良に示されている。連結リンク38a、38bが示されて描かれているが、連結リンク38a、38bは同様に連結することを理解されたい。
【0012】
案内フランジ37a、37bは、スポイラー36の内面に形成されてそこから延びており、さらにフレーム28の案内軌道31a、31bに連結するピン又は軸受を有する。案内フランジ37a、37bは、格納位置、中間位置、及び展開位置の間で案内軌道31a、31bに沿って移動することで、展開軸線A-Aに沿ったスポイラー36の移動を可能にする。同様に、駆動軌道30a、30bは、以下に説明する連結リンク38a、38bの軸受44a、44bとの連結によってスポイラー36の格納位置、中間位置、及び展開位置の間の移動を引き起こす。案内軌道31a、31bの各端部の傾斜部35a、35b、35c、35d、及び駆動軌道30a、30bの各端部の傾斜部34a、34b、34c、34dによって、スポイラー36を格納位置において下方に奥まった場所に置くことが可能になり、さらに完全に展開した位置としてスポイラーの上面をルーフ19又は可変空力組立体10の閉鎖パネル17などの隣接する表面と面一にすることが可能になる。
【0013】
傾斜部34a、34b、34c、34d、35a、35b、35c、35dの角度及び距離は、スポイラー36が面一にされる隣接する表面の位置に応じて様々とすることができる。閉鎖パネル17は、単一体又は複数体とすることができ、この場合、スポイラー36は、格納位置の場合には閉鎖パネル17の上に位置し、展開位置の場合には閉鎖パネル17と面一又は同一平面上にある。閉鎖パネル17は、スポイラー36が展開位置の場合、可変空力組立体10のフレーム及び他の構成要素をカバーして保護する。また、閉鎖パネル17は、閉鎖パネル19を介してスポイラー36を連結することができるように、駆動軌道30a、30b及び案内軌道31a、31bに整列するスロットを有する。
【0014】
また、図5は、スポイラー36をフレーム28に連結する連結リンク38a、38bの詳細を示す。各連結リンク38a、38bは、アーム39a、39b、39c、39dを有し、各アームは、スポイラー36のフランジ42に枢動可能に連結する第1の端部43a、43b、43c、43dと、回転駆動軸50a、50bに連結する駆動ナット48a,48bに連結する第2の端部40a、40b、40c、40dと、を有している。アーム39bの第1の端部43bは、駆動軌道30aに連結する軸受44bを有し、アーム39cの第1の端部43cは、駆動軌道30bに連結する軸受44aを有する。両方の連結リンク38a、38bのアーム39a、39b、39c、39dの第2の端部40a、40b、40c、40dは、回転駆動軸50a、50bに連結するそれぞれの駆動ナット48a、48bに枢動可能に連結する。駆動軸50a、50bは、アクチュエータ52a、52bに連結されてこれによって回転させられる。アクチュエータ52a、52bが駆動軸50a、50bを一方の方向に回転させると、連結リンク38a、38bは、第1の方向に移動することになり、軸受44a、44bは、駆動軌道30a、30bに沿って移動することになる。駆動軸50a、50bが第2の方向に回転すると、駆動ナット48a、48bは第2の方向に移動することになり、連結リンク38a、38bは、第1の方向の反対の第2の方向に移動することになる。軸受44a、44bは、駆動軌道30a、30bに沿ってスライドすることになる。従って、アクチュエータ52a、52bは、スポイラー36上に押す力又は引く力を引き起こし、これによってスポイラー36に格納位置、中間位置、又は展開位置の間で移動するようにさせる。各図面は、主として可変スポイラー24の一方側の詳細を示すが。可変スポイラー24の他方側には同じ構造が配置される。しかしながら、用途に応じて、より多くの又はより少ないアクチュエータ、連結リンク、駆動軌道、及び案内軌道が使用され、スポイラーの寸法又は重量、並びにアクチュエータの寸法などの多くの要因に応じて様々とすることができる。
【0015】
また、可変空力組立体10は、リヤガラス14の2つの垂直側面の近くでリフトゲート12の左側及び右側に位置する可変Dピラー装置26a、26bを有している。可変Dピラー装置26a、26bが、別個のアクチュエータによって駆動されること及び可動スポイラーをもたないリフトゲートに使用できことも本発明の範囲である。しかしながら、本実施形態において、以下に詳細に示す可変Dピラー装置26a、26bはスポイラー36に連結されてこれによって引っ張られる又は押されるので、可変Dピラー装置26a、26bは、スポイラー36と同じアクチュエータ52a、52bで駆動される。
【0016】
可変Dピラー装置26a、26bの各々は、基部56a、56b及びウイングレット本体部58a、58bを有する可動Dピラーを有している。各可動Dピラーは、内部パネル16への枢動連結部60a、60bの周りで枢動可能であり、ウイングレット本体部58a、58bがリヤガラス14の前方でキャビティ20a、20bの中に位置する格納位置と、ウイングレット本体部58a、58bが隙間22a、22b(図15に示す)を貫通してリヤガラス14の後方側面を超えて延びる展開位置との間で移動可能である。可動Dピラーがこれらの位置の間の何らかの中間位置に位置することも本発明の範囲にある。
【0017】
各可動Dピラー54a、54bの基部56a、56bの一部は、スロット付きリンク66a、66bの第1の軸受端部64a、64bを受け入れる成形断面を有する閉じたスロットである基部部材スロット62a、62bを有している。第1の軸受端部64a、64bは、ローラーであるが、単純に基部部材スロット62a、62bの中を移動するピンとすることもできる。スロット付きリンク66a、66bが移動すると、これは可動Dピラー54a、54bを枢動連結部60a、60bの周りで回転させる。枢動連結部60a、60bは、Dピラー装置26a、26bを格納位置に向かって付勢する力を与えるために、内部パネルに連結した戻しバネ67a、67bをさらに有している。
【0018】
スロット付きリンク66a、66bの第2の端部68a、68bにおいて、スポイラー36の内面に形成されたブッシュ72a、72bに連結する枢動連結部70a、70bが存在する。図示のように枢動連結部70a、70bは、ブッシュ72a、72bの中に延びるピンであるが、軸受部材を使用することも本発明の範囲にある。上述のように、スポイラー36の作動時、スポイラー36は、スロット付きリンク66a、66bを移動及び回転させ、その力は、結果的にスロット付きリンク66a、66bから基部部材スロット62a、62bに伝達され、次に、スロット付きリンク66a、66bが基部部材スロット62a、62bを上向きに引っ張るか又は下向きに押し込むようにさせることになる。これによって、スロット付きリンク66a、66bの第1の軸受端部64a、64bは基部部材スロット62a、62bに沿ってスライドし、これにより可動Dピラー54a、54bがリフトゲート12の内部パネル16と一体の枢動連結部60a、60bの周りで回転することになり、結果的に可動Dピラー54a、54bの格納位置、中間位置、及び展開位置の間の回転が引き起こされる。上述のように、可動Dピラー54a、54bは、スポイラーと同じアクチュエータ52a、52bで駆動される。本発明の現在の実施形態において、可動スポイラーは、スポイラーを移動させるための十分な力を提供するために、一方が左側で他方が右側の2つのアクチュエータを有することが想定されている。また、左側及び右側のスポイラーと可動Dピラーとの間の連結部は、同じ2つのアクチュエータで駆動することもできる。
【0019】
本発明の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明の要旨から逸脱しない変形例は、本発明の範囲にあることが意図されている。このような変形例は、本発明の精神及び範囲から逸脱すると見なされない。
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【国際調査報告】