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特表2022-529997航空機電気エネルギー供給ネットワーク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】航空機電気エネルギー供給ネットワーク
(51)【国際特許分類】
   B64D 41/00 20060101AFI20220620BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20220620BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20220620BHJP
   H02J 1/10 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B64D41/00
H02P9/04 F
H02J1/00 304G
H02J1/00 304H
H02J1/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562352
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 FR2020000148
(87)【国際公開番号】W WO2020217007
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】1904407
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バラコ,トマ
(72)【発明者】
【氏名】クロノウスキー,トマ
(72)【発明者】
【氏名】プマレッド,バンサン
【テーマコード(参考)】
5G165
5H590
【Fターム(参考)】
5G165DA01
5G165EA02
5G165EA10
5G165MA01
5G165NA10
5H590CA08
5H590CA28
5H590CA30
5H590CC23
5H590CD01
5H590CD03
5H590CE04
5H590CE05
5H590FC25
(57)【要約】
本発明は、供給されるべき複数の電気負荷(C1、C2)を装備した航空機の電気エネルギー供給ネットワーク(1)であって、供給ネットワーク(1)が、それぞれが電気エネルギー源を提供するのに適した航空機のターボ発電機の少なくとも2つの発電機(2、3)と、整流器(20a、20b、20c、30a;30b、30c)に関連付けられた少なくとも1つのステータとを備え、発電機(2、3)のステータが、複数の電気負荷(C1、C2)を供給するように設計された少なくとも2つの分配バス(4、5)に並列に取り付けられ、供給ネットワーク(1)が、分配バス(4、5)を互いに電気的に接続または切断するのに適した接触器(100)を備えることを特徴とする電気エネルギー供給ネットワーク(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給されるべき複数の電気負荷(C1、C2、C3、C4)が設けられた航空機の電気エネルギー供給ネットワーク(1)であって、前記供給ネットワーク(1)が、整流器(20a、20b、20c;30a、30b、30c)に関連付けられた少なくとも1つのステータをそれぞれが備える、電気エネルギー源を提供するように適合された航空機のターボ発電機の少なくとも2つの発電機(2、3)を備え、発電機(2、3)のステータが、複数の電気負荷(C1、C2、C3、C4)を供給するように構成された少なくとも2つの分配バス(4、5)に接続され、前記供給ネットワーク(1)が、分配バス(4、5)を互いに電気的に接続または切断するように適合された接触器(100)を備えることを特徴とする、電気エネルギー供給ネットワーク(1)。
【請求項2】
デフォルトでは、接触器(100)が、分配バス(4、5)を電気的に接続するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の供給ネットワーク(1)。
【請求項3】
デフォルトでは、接触器(100)が、分配バス(4、5)を電気的に切断するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の供給ネットワーク(1)。
【請求項4】
エネルギー貯蔵手段もまた、分配バス(4、5)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の供給ネットワーク(1)。
【請求項5】
エネルギー貯蔵手段が、変換器(60、70)に関連付けられたバッテリ(6、7)である、請求項4に記載の供給ネットワーク(1)。
【請求項6】
各発電機(2、3)の整流器(20a、20b、20c;30a、30b、30c)が、それらの入力およびそれらの出力のレベルで接触器(10)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の供給ネットワーク(1)。
【請求項7】
供給ネットワーク(1)がさらに、供給されるべき各電気負荷(C1、C2、C3、C4)および各エネルギー貯蔵デバイス(6、7)のレベルに接触器(10)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の供給ネットワーク(1)。
【請求項8】
発電機(2、3)の整流器(20a、20b、20c;30a、30b、30c)が、分配バス(4、5)上に交互に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の供給ネットワーク(1)。
【請求項9】
発電機(2、3)およびエネルギー貯蔵デバイス(6、7)のための集中型制御ユニットを備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の供給ネットワーク(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の供給ネットワーク(1)を装備することを特徴とする航空機ターボ発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のための電源の分野に関する。本発明は、供給されるべき複数の電気負荷が設けられた航空機のための電気エネルギー供給ネットワークに関する。
【0002】
本発明は、特に、ターボ発電機を形成する発電機に関連付けられるガスタービンを含む電源と、電気スラスタなどの電気エネルギーの負荷または消費物とを統合する電気アーキテクチャのコンテキストで使用される。
【0003】
本発明は、任意の特定の航空機を対象としておらず、固定翼航空機およびヘリコプタまたはマルチコプタ(multicopter)型の回転翼航空機の双方に適用されることができる。
【背景技術】
【0004】
先行技術は、国際公開第2017/140706号パンフレット、米国特許出願公開第2015/102663号明細書、国際公開第2009/052843号パンフレット、欧州特許出願公開第2192681号明細書の文献を含むが、これらに限定されない。
【0005】
既知の方法では、航空機の推進は、推進要素、特に最新のデュアルフローターボ機械用のファン、ターボプロップ用のプロペラ、またはターボシャフトエンジン、特にヘリコプタターボシャフトエンジン用のロータに機械的に結合されたガスタービンによって行われる。
【0006】
ターボ機械を電流発生器およびスラスタを駆動するための電気モータと結合して推進システムを形成することが知られている。
【0007】
したがって、電気モータの電力供給のためにインバータの出力に交流を出力するために、交流発生器の出力に整流器を有し、その後に電気モータの入力にインバータを有する直流推進システムが提案されている。
【0008】
そのような電気アーキテクチャでは、供給されるエネルギー電源および電気負荷の数は既知であり、そのため、そのような電力供給ネットワークの主な機能は、電力供給ネットワーク上の適切な電圧レベル、例えば高電圧直流(HVDC)を保証し、供給されるべき電気負荷の需要にかかわらず必要な電力を提供することである。
【0009】
従来技術のアーキテクチャでは、1つのエネルギー電源の障害を絶縁し、したがって、非常に損害を与えるであろう、電力供給ネットワークからの1つのエネルギー電源の損失がネットワークの全体的な損失につながらないことを回避するために、電源が分配バス上に接続されることが知られている。
【0010】
全ての電源が単一の分配バスに接続されているこれらのネットワークの主な欠点は、一方では、分配バス自体の損失につながる障害の発生が、それがエネルギーを供給する電気負荷、特に推進電気モータを利用できなくする結果をもたらし、これは航空機の飛行安全性に有害となり得るということである。
【0011】
したがって、電力供給ネットワークをセグメント化し、複数の分配バスにわたって供給される電源および電気負荷を分配することが提案された。
【0012】
例えば、VTOL型(垂直離陸および着陸)の航空機電気アーキテクチャでは、電気機械の各ステータおよび各整流器が別個の分配バスに接続されることが提案されており、換言すれば、電力供給ネットワークは、整流器と同数の独立した分配バスを備える。
【0013】
そのようなアーキテクチャは、負荷を分離することを可能にし、換言すれば、所与のアクチュエータが2つの別個の分配バスによって供給され、所与の分配バス上の電力が整流器およびバッテリによって供給される。
【0014】
しかしながら、この電気アーキテクチャは、分配バスの損失を改善するために電源を分離することを可能にするが、多数のバッテリの使用を強いるため(特に、ネットワーク上に分配バスがあるのと同じ数のバッテリが必要である)、その質量およびコストを増加させ、ハイブリダイゼーションの関心が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2017/140706号
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/102663号明細書
【特許文献3】国際公開第2009/052843号
【特許文献4】欧州特許出願公開第2192681号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、これらの欠点を改善することを可能にする単純で効果的な解決策である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的のために、本発明は、供給されるべき複数の電気負荷が設けられた航空機の電気エネルギー供給ネットワークであって、前記供給ネットワークが、整流器に関連付けられた少なくとも1つのステータをそれぞれが備える、電気エネルギー源を提供するように適合された航空機のターボ発電機の少なくとも2つの発電機を備え、発電機のステータが、複数の電気負荷を供給するように構成された少なくとも2つの分配バスに接続され、前記供給ネットワークが、分配バスを互いに電気的に接続または切断するように適合された接触器を備えることを特徴とする、電気エネルギー供給ネットワークに関する。
【0018】
本発明にかかる電気ネットワークは、分配バスに欠陥がある場合に電気ネットワークを障害のリスクから保護するために、供給されるべき電気負荷および電気エネルギー源をセグメント化および分配することができるという利点を有する。
【0019】
第1の実施形態によれば、デフォルトでは、接触器は、分配バスを電気的に接続するように構成される。
【0020】
したがって、供給されるべき電気負荷を供給することができる電気エネルギー源の数を増やすことが可能であり、そして、電気ネットワークは、1つ以上の電気エネルギー源の損失に対してより耐性がある。
【0021】
第2の実施形態によれば、デフォルトでは、接触器は、分配バスを電気的に切断するように構成される。
【0022】
したがって、分配バスに欠陥がある場合、分配バスは、残りの電力供給ネットワークから絶縁され、残りの電力供給ネットワークは部分的に保存され、分配バスの障害によって影響を受けない電気負荷の一部を供給することができる。実際、VTOL型の用途では、推進アセンブリは、プロペラを機械的に駆動するダブルスター電気機械から構成される。インバータに関連付けられた各スターは、別個のHVDCバスに接続される。したがって、HVDCバスの障害は、推進アセンブリの損失につながらない。
【0023】
有利には、エネルギー貯蔵手段もまた、分配バスに接続される。
【0024】
これらのエネルギー貯蔵手段は、供給されるべき電気負荷、特に電気モータの電力供給のハイブリダイゼーションによって得られるエネルギーの余剰を提供することによって、電力供給ネットワークの生成および安定化に寄与する。
【0025】
好ましくは、有利には、エネルギー貯蔵手段は、直流/直流変換器(DC/DC)に関連付けられたバッテリである。
【0026】
したがって、バッテリと直流電気ネットワークとの間に配置されたそのようなDC/DCコンバータは、電気ネットワークが安定化されることを可能にする。そのようなコンバータの追加はまた、バッテリによって提供または吸収される電流を完全に制御し、したがって保護するという利点を有する。
【0027】
有利には、各発電機の整流器は、それらの入力およびそれらの出力のレベルで接触器を備える。
【0028】
したがって、障害がある整流器を、それが取り付けられている分配バスから電気的に切断し、それをネットワークの残りの部分から絶縁することが可能である。
【0029】
有利には、供給ネットワークはさらに、供給されるべき各電気負荷および各エネルギー貯蔵デバイスのレベルに接触器を備える。
【0030】
したがって、障害がある電気負荷またはエネルギー貯蔵デバイスを、それが取り付けられている分配バスから電気的に切断し、それをネットワークの残りの部分から絶縁することが可能である。
【0031】
実施形態の有利な例によれば、発電機の整流器は、分配バスに交互に接続される。
【0032】
したがって、電気ネットワーク内の発電機のうちの1つに障害がある場合、この障害の影響が最小限に抑えられる。
【0033】
有利には、電気ネットワークは、そのエネルギー貯蔵デバイスに関連付けられた各発電機についての集中型制御ユニットを備える。
【0034】
したがって、接触器が自然には開いている場合、電気ネットワークの集中型制御のダイナミクスは、全ての電源のエネルギー効率を増加させながら、分配バスの電力要件および電圧安定化の良好な管理を可能にする。2つのバスの静電エネルギーの平衡による電流ピークを制限するために、2つのHVDCバスに同様の電圧を印加することが可能であるため、集中型制御はまた、接触器を閉じるときにも利点を有する。
【0035】
逆に、非集中型制御は、高制御ダイナミクスおよび高効率最適化を可能にしない。しかしながら、その主な利点は、接触器が自然に閉じられる状況にある。2つのHVDCバスの分離は、全ての整流器が個別に動作するため、バス電圧が調整され続けることを妨げない。
【0036】
本発明は、上述した特徴のいずれかを有する供給ネットワークを装備することを特徴とする航空機用ターボ発電機にさらに関する。
【0037】
したがって、そのような電気ネットワークを装備するターボ発電機は、障害の影響を受けるネットワークの一部を絶縁する可能性を与えながら、ネットワークの電気負荷への電気エネルギーの供給を保証することを可能にする。
【0038】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになり、その理解のために添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、それぞれが2つの分配バスに並列に取り付けられた3つのステータを備える2つの発電機を備える、本発明にかかる電力供給ネットワークの実施形態の例を示している。
図2図2は、それぞれが2つの分配バスに並列に取り付けられた2つのステータを備える2つの発電機を備える、本発明にかかる電力供給ネットワークの実施形態の別の例を示している。
図3図3は、発電機の整流器が分配バス上で交差している、図2のものと同様の供給ネットワークを示している。
図4図4は、2つの分配バスの間にインダクタおよび抵抗器を備える、本発明にかかる電力供給ネットワークの実施形態の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1から図3を参照すると、本発明は、供給されるべき複数の電気負荷C1、C2、C3、C4を備える航空機のための電気エネルギー供給ネットワーク1に関する。これらの電気負荷は、例えば、インバータに関連付けられ、それぞれがスラスタを駆動する電気モータである。
【0041】
この電気ネットワーク1は、2つの発電機2、3に機械的に接続され、したがってターボ発電機アセンブリを形成する航空機ガスタービン(図示せず)を備える。しかしながら、電気ネットワーク1は、3つ以上の発電機を備えることができる。
【0042】
図1を参照すると、これに限定されるものではないが、発電機2は、いわゆる「トリプルスター」または9相発電機であり、換言すれば、供給されるべき電気負荷C1、C2に接続された3つの電気チェーン2a、2b、2cを備える。各電気チェーン2a、2b、2cは、多相出力要素を形成するコイルのセットを組み込んだステータ(図示せず)と、整流器20a、20b、20cとを備える。
【0043】
同様に、発電機3は、発電機であり、供給されるべき電気負荷C1、C2に接続された3つの電気チェーン3a、3b、3cを備える。各電気チェーン3a、3b、3cは、ステータ(図示せず)と、整流器30a、30b、30cとを備える。
【0044】
しかしながら、各発電機2、3は、1つのみのステータ、したがって1つのみの電気チェーンを備えることができ、そして、発電機は、いわゆる「シングルスター」と呼ばれる発電機、または「ダブルスター」発電機として知られる図2および図3に示すような2つのステータである。
【0045】
電気負荷C1、C2、C3、C4は、2つの直流分配バス4、5によって発電機2、3に接続されるが、これに限定されない。電気負荷C1、C2、C3、C4は、例えばインバータおよび3相モータなどの、調整を伴うコンバータなどの受動的または能動的負荷とすることができる。安全上の理由から、分配バスの数は、少なくとも2つである。実際、本発明の1つの目的は、障害が電力供給ネットワーク1全体に伝播するのを防止するために、分配バス上で発生するこの障害を絶縁することができることである。
【0046】
しかしながら、分配バスの数はより多く、最大で整流器の数に等しくすることができる。重量およびコストの理由から、HVDCバスの数、理想的には発電機の数と同数に最小限に抑えることが好ましい。
【0047】
電気チェーン2a、2b、2cおよび3a、3b、3c、したがってそれらのそれぞれのステータおよび整流器20a、20b、20c、30a、30b、30cは、分配バス4、5上に並列に接続されている。
【0048】
図3に見られるように、発電機2、3の整流器20a、20bおよび30a、30bは、それぞれ、分配バス4、5に交互に取り付けられる。換言すれば、発電機2、3の整流器20a、20bおよび30a、30bは、バス4、5上で交差している。HVDCバスが絶縁されている場合、この構成は、1つのバス上のタービンからの全ての発電量を失うことがないという利点を有する。これは、バッテリから必要とされる電力を最小限に抑えることを可能にする。
【0049】
より具体的で有利には、本発明にかかる電力供給ネットワークの分配バスの数は、所望の数の電気負荷分離に等しい。したがって、決して限定的ではない図示の例では、負荷C1、C2、C3、C4は、2つの分配バス4、5上に分配された2つのセットに分離される。
【0050】
図2および図3を参照すると、電力供給ネットワークは、分配バス4、5に取り付けられたエネルギー貯蔵手段をさらに備える。これらのエネルギー貯蔵手段は、例えば、電気バッテリ6、7である。エネルギー貯蔵手段は、バッテリの形態以外で実現されることができ、例えば、熱電池またはスーパーキャパシタとすることができる。そのようなエネルギー貯蔵手段は、特に、ターボ発電機アセンブリを始動するとき、または非常に短い応答時間で電力を必要とする突然の飛行操縦中に、電力要件を一時的に補うことを可能にする。
【0051】
電力供給ネットワーク1の安定性を保証し、電力供給ネットワーク1のハイブリダイゼーション可能性の永続的な可用性を確実にすることによって供給ネットワーク1を改善するために、各バッテリ6、7と直流電気ネットワークとの間に配置されたDC/DCコンバータ60、70が各バッテリ6、7に関連付けられることが有利に提供される。
【0052】
電力供給ネットワーク1はまた、複数の接触器10を備え、複数の接触器10は、電力供給ネットワーク1に取り付けられた様々な要素に関連付けられ、それらに障害があるときに、短絡などのそのような欠陥が電力供給ネットワーク1全体に伝播するのを防止するために、これらの要素をそれらが接続されている分配バス4、5に接続または分配バ4、5スから切断し、それらを絶縁することを可能にする。
【0053】
したがって、各整流器20a、20b、20c、30a、30b、30cは、それらのAC入力またはそれらのDC出力のレベルで接触器10によって分配バス4、5から切断されることができる。
【0054】
同様に、適切な場合にはそれぞれのインバータ60、70によって供給されるべき各電気負荷C1、C2、C3、C4および各バッテリ6、7は、接触器10によって分配バス4、5から切断されることができる。
【0055】
本発明にかかる電力供給ネットワーク1は、分配バス4、5を互いに電気的に接続または切断するように適合された接触器100を備える点で、換言すれば、分配バス4、5が互いに接続されているか、または互いに絶縁されているかのいずれかの点で、特に注目に値する。
【0056】
第1の実施形態によれば、接触器100は、デフォルトで、分配バス4、5を互いに電気的に接続するように構成される。
【0057】
この第1の実施形態は、電力供給ネットワーク1の電気負荷に供給することができるエネルギー源を増やすことができるという興味深い利点を有する。実際、ネットワーク1の様々な発電機2、3および様々なバッテリ6、7はこのように共有されるため、ネットワーク1の全体は、1つ以上のエネルギー源の損失を補償し、負荷C1、C2、C3、C4に部分的に供給し続けることができる。
【0058】
分配バス4、5がこのようにリンクされると、接触器100によって、バス4、5のうちの1つに短絡などの障害が発生した場合にそれらを切断して、そのような障害がネットワーク全体に伝播するのを防ぐことが可能である。
【0059】
分配バス4、5が接続されているこの初期状態、換言すれば、接触器100が閉状態にある状態から開始して、切断を必要とする、バス4、5のうちの1つに欠陥が発生した場合、例えば、バスのうちの1つにおいて短絡が検出された場合、接触器100は、短絡電流の下で開状態に切り替わることができるように構成される。それで、接触器100は、切断要素と見なされる。
【0060】
これら全ての接触器10、100の使用は、電力供給ネットワーク1の全体を保護するために興味深いが、ネットワーク1をより重くする可能性があり、これは望ましくない。
【0061】
したがって、興味深いが決して限定的ではない実施形態では、接触器100は、「パイロヒューズ」要素、換言すれば、ケーブルを流れる高すぎる電流に対応して、ケーブル内で高すぎる温度が到達されると溶融するように構成された導電性セクションを備える。
【0062】
第2の実施形態によれば、接触器100は、デフォルトで、分配バス4、5を互いに電気的に切断するように構成される。
【0063】
この第2の実施形態は、デフォルトで、ネットワーク1の全体の保護に有利に働くことができるという興味深い利点を有する。したがって、分配バス4、5は、互いに分離され、換言すれば、互いに絶縁され、その結果、短絡などの、バス4、5のうちの1つに欠陥がある場合に、電力供給ネットワーク1の全体が失われることはない。したがって、バス4、5のうちの1つに短絡が発生した場合、電気負荷C1、C2、C3、C4の一部が供給され続ける。
【0064】
分配バス4、5がこのようにして互いに絶縁されると、ネットワーク1の一部に追加の電気エネルギーが特に必要な場合に、接触器100によってそれらを接続することが可能であり容易である。
【0065】
分配バス4、5が切断されているこの初期状態、換言すれば、接触器100が開状態にある状態から開始して、例えば、バッテリ6、7のうちの1つが、ネットワーク1の電気負荷C1、C2、C3、C4の一部に供給するのに必要な電気エネルギーを提供することを可能にしない場合、接触器100は、電気エネルギーのこの特定の必要性を提示するネットワークの一部が電気エネルギーの別の源から利益を得ることを可能にするために、閉状態に切り替わることができるように構成される。
【0066】
したがって、本発明は、多くの利点を提供する。それは、電力供給ネットワーク1を分離することを可能にし、したがって分配バス4、5がネットワーク全体の障害を引き起こすことを防止する。
【0067】
さらに、初期状態または欠陥もしくは必要性が生じたときにバス4、5を接続または切断する可能性は、電力供給ネットワーク1の全体の調整を簡単にすることを可能にする。
【0068】
有利には、電力供給ネットワーク1は、発電機2、3およびバッテリ6、7のための制御ユニット(図示せず)を備え、これらは非集中型または集中型のいずれであってもよい。
【0069】
非集中型制御ユニットの場合、電気エネルギー源、すなわち発電機2、3およびバッテリ6、7は、電力供給ネットワーク1の供給に独立して関与する。
【0070】
分配バス4、5を接続するために接触器100が閉じられている初期状態から開始して、バス4、5の切断(換言すれば、接触器100の開放)は、制御ユニットに対して透過的であるため、制御の再構成は必要ない。
【0071】
しかしながら、この切断の影響を受けない航空機のスラスタを駆動する電気モータなどの電気負荷C1、C2、C3、C4は、エネルギー電力要件を補償しなければならない。実際、短絡などの障害の検出は、したがって、航空機のダイナミクスを維持するために、電気負荷C1、C2、C3、C4、すなわちスラスタに供給する電気モータの動作設定点の変化をもたらす。同時に、ガスタービンによって発電機2、3に提供されるエネルギー出力の設定点が適合されなければならない。バッテリ6、7は、タービンのダイナミクスがモータの電気ダイナミクスに追従することを可能にしないため、電力遷移中に介入する必要がある。
【0072】
分配バス4、5が最初に切断される場合、1つ以上の電気エネルギー源の損失は、ネットワーク1の全体にわたって様々なエネルギー源(発電機2、3およびバッテリ6、7)を相互運用し、供給されるべき電気負荷C1、C2、C3、C4の電力要件を保証するために、分配バス4、5の接続を得るために接触器100が閉じられることを必要とする。
【0073】
しかしながら、分配バス4、5が最初に切断され、それらを接続することが望まれるとき、分配バス4、5間の電圧レベルが実質的に等しいことが適切である。実際、バス4、5の接続中、バス4、5間に電圧差が存在する場合、これは、これらの電圧が再平衡化されるときに電流ピークを作り出すことができる。この電流ピークは、例えば数十アンペア程度の小さい場合、ネットワーク1によって吸収されることができ、一方では、例えば数百アンペア程度の高すぎる場合、電流ピークは吸収されることができず、これは電気ネットワーク1の全体に有害であり得る。
【0074】
しかしながら、そのような非集中型制御ユニットでは、ネットワーク1の分配バス4、5の電圧レベルが既知でないため、バス4、5を接続する際に電流ピークが発生するリスクが高い。この電流ピークは、2つのコンデンサの電圧の再平衡化によるものであり、この電流は、導電性セクションのインピーダンスによってのみ制限される。
【0075】
また、そのような電流ピークは、バッテリ6、7によって部分的に吸収されることができる。同様に、ネットワーク上のスーパーキャパシタ8、9の使用は、電流ピークをより良好に吸収することを可能にするが、これは、電流ピークの有害な性質および構成要素を損傷するそれらの能力を変化させない。図4に示すように、2つのHVDCバス4、5の間にインダクタLおよび抵抗器Rを追加することは、過渡電流変動を制限し、この電流の一部を熱として放散させることを可能にする。
【0076】
しかしながら、それらを接続する前に、分配バス4、5の第1および第2の電圧を等しくすることができるか、または少なくとも同様の電圧を有する必要がある。
【0077】
したがって、本発明の第2の実施形態によれば、制御ユニットは集中型であり、換言すれば、エネルギー電力要件を調整するためにネットワーク1の電気エネルギー源に介入することが可能である。
【0078】
そのような集中型制御ユニットは、一方では分配バス4、5の第1のものの内の第1の電圧を測定し、他方では分配バス4、5の第2のものの内の第2の電圧を測定する手段を備える。集中型制御ユニットは、第1の電圧および第2の電圧を変化させるように構成された変換器60、70を駆動する手段をさらに備える。
【0079】
集中型制御ユニットは、第1の電圧と第2の電圧とが実質的に等しくなるように分配バス4、5の電圧を変化させるようにコンバータ60、70に直接作用することができるという興味深い利点を有する。したがって、分配バス4、5の接続における電流ピークのリスクが排除される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】