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特表2022-5300044-(アミノメチル)安息香酸から得ることができるコポリアミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】4-(アミノメチル)安息香酸から得ることができるコポリアミド
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/36 20060101AFI20220620BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
C08G69/36
C08L77/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562382
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2020061102
(87)【国際公開番号】W WO2020216748
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/836,965
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19181767.5
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512323929
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェオル, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】シングルタリー, ナンシー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】フロレス, ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ポリーノ, ジョーエル
【テーマコード(参考)】
4J001
4J002
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DB04
4J001EA26
4J001EB08
4J001EB09
4J001EB36
4J001EB37
4J001EC08
4J001EC09
4J001EC14
4J001EC47
4J001EE76D
4J001FA03
4J001FB03
4J001FC03
4J001GA12
4J001GB05
4J001GB16
4J001GC04
4J001HA01
4J001HA02
4J001JA01
4J001JA12
4J001JA20
4J001JB01
4J001JB06
4J001JB07
4J001JB23
4J001JC01
4J002CL051
4J002FD010
4J002FD020
4J002FD030
4J002FD040
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD100
4J002FD130
4J002FD200
4J002GG00
4J002GG01
4J002GG02
4J002GT00
(57)【要約】
本発明は、4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)を含むコポリアミドに関する。本発明は、このようなコポリアミドを含むポリマー組成物並びにそれを含む物品及び前記物品を使用して、窓、化粧品製品パッケージングのための透明容器又はガラスフレーム及びレンズを作製する方法にも関する。本発明は、付加製造システム、例えば押出ベースの製造システムを使用する3次元物体の製造のための、コポリアミドのそのままでの又は物質組成物での使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
(式中、
及びnは、それぞれ各繰り返し単位x及びyのモル%であり;
繰り返し単位x及びyは、ブロックにおいて交互に又はランダムに配置されており;
+n=100%であり;
5%<n<90%であり;
は、結合、1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含み、且つハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されたC~C15アルキル及びC~C30アリールからなる群から選択され;及び
は、1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含み、且つハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されたC~C20アルキル及びC~C30アリールからなる群から選択される)
を有するコポリアミド。
【請求項2】
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されたC~C10アルキル及びC~C12アリールからなる群から選択され、及び/又は
は、1つ以上のヘテロ原子を任意選択的に含むC~C12アルキル及びC~C12アリールからなる群から選択される、請求項1に記載のコポリアミド。
【請求項3】
5モル%~90モル%の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)又はその誘導体と少なくとも1種のジカルボン酸成分又はその誘導体と少なくとも1種のジアミン成分とを含む混合物の縮合生成物である、請求項1又は2に記載のコポリアミド。
【請求項4】
- 5モル%~90モル%の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)又はその誘導体と、
- アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビ安息香酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、5-スルホフタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択されるジカルボン酸成分と、
- 1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアモノペンタン、2-メチル-1,5ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,8-ジアミノオクトアン、1,10-ジアミンデカン、HN-(CH-O-(CH-O(CH-NH、m-キシリレンジアミン、p-キシリレン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びそれらの混合物からなる群から選択されるジアミン成分と
を含む混合物の縮合生成物である、請求項1~3のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項5】
- 5モル%~90モル%の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)又はその誘導体と、
4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa) - アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択されるジカルボン酸成分と、
- ヘキサメチレンジアミン、m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,10-デカメチレンジアミン及びそれらの混合物からなる群から選択されるジアミン成分と
を含む混合物の縮合生成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項6】
50%<n<90%、好ましくは60%<n<90%、より好ましくは70%<n<90%であるものである、請求項1~5のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項7】
5%<n<85%、好ましくは25%<n<80%、より好ましくは45%<n<75%又は更により好ましくは50%<n<81%であるものである、請求項1~5のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項8】
ASTM D3418に従って測定されて少なくとも100℃のガラス転移温度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項9】
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1種のコポリアミド、
- 補強剤、強化剤、可塑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、染料、潤滑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤及び酸化防止剤からなる群から選択される成分の少なくとも1つ
を含むコポリアミド組成物(C)。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載のコポリアミド又は請求項9に記載の組成物(C)を含む物品。
【請求項11】
透明又は半透明物品を作製するための、請求項1~8のいずれか一項に記載のコポリアミド又は請求項9に記載の組成物(C)の使用。
【請求項12】
窓、化粧品製品パッケージングのための透明容器又はガラスフレーム及びレンズにおける、請求項10に記載の物品の使用。
【請求項13】
3次元(3D)物体を付加製造システムで製造する方法であって、
- 請求項1~8のいずれか一項に記載のコポリアミド又は請求項9に記載の組成物(C)を含む部品材料を提供する工程と、
- 前記部品材料から前記3次元物体の層を印刷する工程と
を含む方法。
【請求項14】
3次元物体の製造において使用するためのフィラメントの製造のための、請求項1~8のいずれか一項に記載のコポリアミド又は請求項9に記載の組成物(C)の使用。
【請求項15】
押出ベースの付加製造システムを使用する3次元物体の製造のための、請求項1~8のいずれか一項に記載のコポリアミド又は請求項9に記載の組成物(C)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年4月22日に出願された米国仮特許出願第62/836,965号及び2019年6月21日に出願された欧州特許出願公開第19181767.5号に対する優先権を主張し、これらの出願のそれぞれの全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、少なくとも5モル%~90モル%の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)を含むコポリアミドに関する。本発明は、そのようなコポリアミドを含むポリマー組成物並びにそれを含む物品及び前記物品を使用して、透明又は半透明物品を作製する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー業界において、最近、環境フットプリントを低減するために注意が払われつつある。進むべき1つの方法は、生物源を特定し、これらの材料を、バイオ系ポリマーに次に変換される価値あるモノマーに変換する方法を明確にすることである。
【0004】
ほとんどのポリアミドは、化石資源をベースにしているが、いくつかのバイオ系ポリアミドが公知であり、商業的に入手可能である。ヒマシ油から誘導される11-アミノウンデカン酸の重合によって製造されるポリアミド11(PA 11);両方ともヒマシ油から誘導されるデカメチレンジアミン及びセバシン酸の重合によって製造されるポリアミド1010(PA 1010);デカメチレンジアミン及びテレフタル酸(化石ベースの)の重合によって製造され、したがって再生可能な原料モノマーを部分的にベースとするポリアミド10T(PA 10T)をとりわけ挙げることができる。
【0005】
商業的に入手可能なバイオ系ポリアミドのほとんどは、高い耐温度性を必要とする用途においてそれらを不適なものにする低いガラス転移温度(Tg)を有する。商品名Rislan(登録商標)(Arkema)で商業的に入手可能なPA11は、約45℃のTgを有する。商品名Vestamid(登録商標)(Evonik)、例えばVestamid(登録商標)TerraDS(PA1010)で商業的に入手可能なバイオ系ポリアミドの全ては、50℃よりも低いTgを有する。
【0006】
国際公開第2018/229127号パンフレット(Solvay)に記載されているように、フルフラール(バイオ)から合成され得る3-(アミノメチル)安息香酸(3-AMBa)の使用は、このようなポリアミドをもたらす。これらのポリアミドは、半結晶性又は非晶性のいずれかであり得る。3-AMBaに由来する非晶性ポリアミドは、高いTg及び高い弾性率を与えることが確かに示されている。このバイオ源モノマーから誘導されるポリアミドは、例えば、自動車用途向けのような高い耐温度性を必要とする用途向けに非常に好適である。
【0007】
今日、バイオ系、高いTg、高性能ポリアミドが必要とされている。特に、プラスチック製窓、化粧品製品パッケージングのための透明容器、ガラスフレーム及びレンズのような、物品が透明又は半透明である光学用途のために、このようなポリアミドが必要とされている。
【0008】
本発明者らは、ここで、特定のモル比の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)ベースのポリアミドが高いTg及び高い性能を与え、5-クロロメチルフルフラールなどの再生可能資源から得ることができることを明らかにした。
【0009】
米国特許第3,037,002号明細書は、4-AMBa及びカプロラクタムから得られるポリアミドを記載している。しかしながら、非晶性ポリマーの製造を妨げる、カプロラクタムと4-AMBaとの間の同形性のため、これらのポリアミドは、共結晶化する。
【0010】
4-AMBaを組み込んだ他のポリアミドが開示されているが、全てのこれらのポリアミドは、融点(Tm)を示すため、半結晶性である。
【発明の概要】
【0011】
本発明のコポリアミドは、以下の式(I):
(式中、
及びnは、それぞれ各繰り返し単位x及びyのモル%であり;
繰り返し単位x及びyは、ブロックにおいて交互に又はランダムに配置されており;
+n=100%であり;
5%<n<90%であり;
は、結合、1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を任意選択的に含み、且つハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシ(-OH)、スルホ(-SOM)(例えば、式中、Mは、H、Na、K、Li、Ag、Zn、Mg又はCaである)、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されたC~C15アルキル及びC~C30アリールからなる群から選択され;及び
は、1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を任意選択的に含み、且つハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ヒドロキシル(-OH)、スルホ(-SOM)(例えば、式中、Mは、H、Na、K、Li、Ag、Zn、Mg又はCaである)、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ及びC~C15アリールからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されたC~C20アルキル及びC~C30アリールからなる群から選択される)
を有する。
【0012】
表現「コポリアミド」は、5モル%以上の、例えば4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)に由来する繰り返し単位xを含むコポリアミドを示すために本明細書で用いられる。本発明のコポリアミドは、例えば、少なくとも約5モル%、例えば少なくとも約10モル%、少なくとも約15モル%、少なくとも約20モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約30モル%、少なくとも約35モル%、少なくとも約40モル%、少なくとも約45モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約55モル%、少なくとも約60モル%、少なくとも約65モル%、少なくとも約70モル%、少なくとも約75モル%、少なくとも約80モル%又は少なくとも約85モル%の、例えば4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)に由来する繰り返し単位xを含み得る。
【0013】
本発明のコポリアミドは、1,000g/モル~40,000g/モル、例えば2,000g/モル~35,000g/モル又は4,000~30,000g/モルの範囲の数平均分子量Mnを有し得る。数平均分子量Mnは、ポリスチレン標準物質を用いて、ASTM D5296を使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
【0014】
本発明のコポリアミドにおいて、繰り返し単位yは、脂肪族又は芳香族であり得る。本発明の目的のために、表現「芳香族繰り返し単位」は、少なくとも1つの芳香族基を含む任意の繰り返し単位を意味することが意図される。芳香族繰り返し単位は、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合、又は少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの重縮合、又は少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの重縮合によって形成され得る。本発明の目的のために、ジカルボン酸又はジアミンは、それが1つ以上の芳香族基を含む場合に「芳香族」とみなされる。
【0015】
本発明のコポリアミドは、繰り返し単位x及びyから構成される。繰り返し単位x及びyは、ブロックにおいて交互に又はランダムに配置されている。
【0016】
本出願において、
- いずれの記載も、特定の実施形態に関連して記載されているとしても、本開示の他の実施形態に適用可能であり、且つそれらと交換可能であり;
- 要素又は成分が、列挙された要素又は成分のリストに含まれ、且つ/又はリストから選択されると言われる場合、本出願で明確に企図される関連実施形態では、要素又は成分は、個別の列挙された要素若しくは成分のいずれか1つでもあり得るか、又は明確に列挙された要素若しくは成分の任意の2つ以上からなる群からも選択され得;要素又は成分のリストに列挙されたいかなる要素又は成分も、そのようなリストから省略され得ることが理解されるべきであり;及び
- 端点による数値範囲の本明細書でのいかなる列挙も、列挙された範囲内に包含される全ての数並びに範囲の端点及び均等物を含む。
【0017】
本明細書の全体にわたり、全ての温度は、摂氏度(℃)単位で示される。
【0018】
特に具体的に限定しない限り、用語「アルキル」並びに「アルコキシ」、「アシル」及び「アルキルチオ」などの派生用語は、本明細書で用いる場合、それらの範囲内に直鎖、分岐鎖及び環状部分を含む。アルキル基の例は、メチル、エチル、1-メチルエチル、プロピル、1,1-ジメチルエチル及びシクロプロピルである。特に具体的に記述しない限り、各アルキル及びアリール基は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、スルホ、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ若しくはC~C15アリールから選択されるが、それらに限定されない1つ以上の置換基で置換され得、ただし、置換基が立体的に適合性であり、化学結合及び歪みエネルギーの規則が満たされていることを条件とする。用語「ハロゲン」又は「ハロ」には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれ、フッ素が好ましい。
【0019】
用語「アリール」は、フェニル、インダニル又はナフチル基を意味する。アリール基は、1つ以上のアルキル基を含み得、この場合、「アルキルアリール」と呼ばれることもあり、例えばシクロ芳香族基及び2つのC~C基(例えば、メチル又はエチル)から構成され得る。アリール基は、1つ以上のヘテロ原子、例えばN、O又はSも含み得、この場合、「ヘテロアリール」と呼ばれることもあり;これらのヘテロ芳香環は、他の芳香族系に縮合され得る。そのようなヘテロ芳香環には、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジニル及びトリアジニル環構造が含まれるが、それらに限定されない。アリール又はヘテロアリール置換基は、無置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、スルホ、C~Cアルキルチオ、C~Cアシル、ホルミル、シアノ、C~C15アリールオキシ若しくはC~C15アリールから選択されるが、それらに限定されない1つ以上の置換基で置換され得、ただし、置換基が立体的に適合性を有し、化学結合及び歪みエネルギーの規則が満たされていることを条件とする。
【0020】
ある実施形態によれば、本発明のコポリアミドは、少なくとも5モル%~90モル%の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)モノマー又はその誘導体並びに少なくとも1種のジカルボン酸成分(本明細書では二酸とも呼ばれる)又はその誘導体及び少なくとも1種のジアミン成分を含む混合物の縮合生成物である。
【0021】
表現「少なくとも」は、本明細書では、「~以上」を意味することを意図する。例えば、本明細書では、表現「少なくとも5モル%の4-AMBaモノマー」は、本明細書では、コポリアミドが5モル%の4-AMBaモノマー又は5モル%超の4-AMBaモノマーを含み得ることを意味する。表現「少なくとも」は、したがって、本発明との関連で数学的記号「≧」に対応する。
【0022】
表現「未満」は、本発明との関連で数学的記号「<」に対応する。例えば、表現「90モル%未満の4-AMBaモノマー」は、本明細書では、コポリアミドが厳密に90モル%未満の4-AMBaモノマーを含むことを意味し、そのため、4-AMBaモノマーと少なくとも1種の別のモノマー又はジアミン/二酸組み合わせとから製造されたコポリアミドとしての資格がある。
【0023】
表現「その誘導体」は、表現「4-AMBaモノマー」と組み合わせて用いられる場合、重縮合条件で反応を受けてアミド結合を生成するいずれの誘導体も意味することを意図する。アミド形成誘導体の例としては、アシル基、例えば置換された又は非置換の脂肪族アシル及び芳香族アシル基が挙げられる。これらのアシル基の例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ベンゾイル、トルオイル及びキシロイルである。
【0024】
この実施形態によれば、ジカルボン酸成分は、少なくとも2つの酸性部分-COOHを含む多様な脂肪族又は芳香族成分の中で選択することができる。この実施形態によれば、ジアミン成分は、少なくとも2つのアミン部分-NHを含む多様な脂肪族又は芳香族成分の中で選択することができる。
【0025】
表現「その誘導体」は、表現「ジカルボン酸」と組み合わせて用いられる場合、重縮合条件で反応を受けてアミド結合を生成するいずれの誘導体も意味することを意図する。アミド形成誘導体の例としては、そのようなカルボン酸のモノ-又はジメチル、エチル又はプロピルエステルなどのモノ-又はジアルキルエステル;そのモノ-又はジアリールエステル;その一酸又は二酸ハロゲン化物;そのカルボン酸無水物及びその一酸又は二酸アミド、モノ-又はジカルボキシレート塩が挙げられる。
【0026】
脂肪族ジカルボン酸の非限定的な例は、とりわけ、シュウ酸(HOOC-COOH)、マロン酸(HOOC-CH-COOH)、コハク酸[HOOC-(CH-COOH]、グルタル酸[HOOC-(CH-COOH]、2,2-ジメチルグルタル酸[HOOC-C(CH-(CH-COOH]、アジピン酸[HOOC-(CH-COOH]、2,4,4-トリメチル-アジピン酸[HOOC-CH(CH)-CH-C(CH-CH-COOH]、ピメリン酸[HOOC-(CH-COOH]、スベリン酸[HOOC-(CH-COOH]、アゼライン酸[HOOC-(CH-COOH]、セバシン酸[HOOC-(CH-COOH]、ウンデカン二酸[HOOC-(CH-COOH]、ドデカン二酸[HOOC-(CH10-COOH]、トリデカン二酸[HOOC-(CH11-COOH]、テトラデカン二酸[HOOC-(CH12-COOH]、ペンタデカン二酸[HOOC-(CH13-COOH]、ヘキサデカン二酸[HOOC-(CH14-COOH]、オクタデカン二酸[HOOC-(CH16-COOH]である。このカテゴリーには、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸も含まれる。
【0027】
芳香族二酸の非限定的な例は、とりわけ、イソフタル酸(IPA)、テレフタル酸(TPA)などのフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(例えば、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸)、4,4’-ビ安息香酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、2,4-ピリジンジカルボン酸、3,5-ピリジンジカルボン酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、ビス(4-カルボキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ケトン、4,4’-ビス(4-カルボキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)プロパン、ビス(3-カルボキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ケトン、ビス(3-カルボキシフェノキシ)ベンゼンである。
【0028】
芳香族ジアミン(NNar)の非限定的な例は、とりわけ、m-フェニレンジアミン(MPD)、p-フェニレンジアミン(PPD)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(3,4’-ODA)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4’-ODA)、p-キシリレンジアミン(PXDA)及びm-キシリレンジアミン(MXDA)である。
【0029】
脂肪族ジアミン(NNal)の非限定的な例は、とりわけ、1,2-ジアミノエタン、1,2-ジアミノプロパン、プロピレン-1,3-ジアミン、1,3-ジアミノブタン、1,4-ジアミノブタン(プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(カダベリン)、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン(すなわち1,6-ジアミノヘキサン)、3-メチルヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミン、1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタン、5-メチル-1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12ジアミノドデカン、1,13ジアミノトリデカン、2,5-ジアモノテトラヒドロフラン及びN,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミンである。このカテゴリーには、イソホロンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス-p-アミノシクロヘキシルメタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及び1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)などの脂環式ジアミンも含まれる。
【0030】
脂肪族ジアミン(NNal)は、ポリエーテルジアミンの群の中で選択することもできる。ポリエーテルジアミンは、エトキシレート化(EO)主鎖及び/又はプロポキシレート化(PO)主鎖をベースとすることができ、それらは、エチレンオキシド末端、プロピレンオキシド末端又はブチレンオキシド末端ジアミンであり得る。そのようなポリエーテルジアミンは、例えば、商品名Jeffamine(登録商標)及びElastamine(登録商標)(Hunstman)で販売されている。
【0031】
ある実施形態によれば、コポリアミドは、
- 5モル%~90モル%の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)モノマー(繰り返し単位x)又はその誘導体と、
- 少なくとも1種のジカルボン酸成分と、
- 少なくとも1種のジアミン成分と
を含む混合物の縮合生成物であり、ここで、
- ジカルボン酸成分は、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビ安息香酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、5-スルホフタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択され、及び
- ジアミン成分は、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアモノペンタン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、1,9-ジアミノノナン、2-メチル-1,8-ジアミノオクトアン、1,10-ジアミンデカン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンHN-(CH-O-(CH-O(CH-NH、m-キシリレンジアミン、p-キシリレン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
別の実施形態によれば、コポリアミドは、
- 5モル%~90モル%の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)モノマー(繰り返し単位x)又はその誘導体と、
- 少なくとも1種のジカルボン酸成分と、
- 少なくとも1種のジアミン成分と
を含む混合物の縮合生成物であり、ここで、
- ジカルボン酸成分は、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択され、及び
- ジアミン成分は、ヘキサメチレンジアミン、m-キシリレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0033】
本発明のコポリアミドは、少なくとも5モル%の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)モノマー又はその誘導体を含む。
【0034】
別の好ましい実施形態によれば、コポリアミドは、少なくとも50モル%の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)モノマー又はその誘導体、例えば少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも75モル%の4-AMBa又はその誘導体を含む。この実施形態によれば、コポリアミドは、50%<n<90%、60%<n<90%、70%<n<90%又は75%<n<90%であるようなものである。
【0035】
本発明のコポリアミドは、90モル%未満の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)モノマー又はその誘導体を含む。
【0036】
別の好ましい実施形態によれば、コポリアミドは、89モル%未満の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)モノマー又はその誘導体、例えば88モル%未満、87モル%未満、86モル%未満の3-AMBaを含む。この実施形態によれば、コポリアミドは、5%<n<89%、5%<n<88%、5%<n<87%又は5%<n<86%であるようなものである。
【0037】
別の好ましい実施形態によれば、コポリアミドは、85モル%未満の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)モノマー又はその誘導体、例えば80モル%未満、75モル%未満、71モル%未満の3-AMBaを含む。この実施形態によれば、コポリアミドは、5%<n<85%、25%<n<80%、45%<n<75%又は50%<n<71%であるようなものであり得る。
【0038】
及びnは、それぞれ各繰り返し単位x及びyのモル%である。本発明の異なる実施形態の例として、本発明のコポリアミドが専ら繰り返し単位x及びyから構成される場合、n+n=100%である。この場合、繰り返し単位yは、ジアミン成分及び二酸成分から構成され;縮合反応に添加されるジアミンのモル数及び二酸のモル数は、等しい。例えば、コポリアミドが専ら4-AMBa並びにテレフタル酸及びヘキサメチレンジアメで構成され、n=60モル%且つn=40モル%で構成されている場合、実質的に同じモル数、すなわち40モル%の、テレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンが縮合混合物に添加されるべきである。用語「実質的に」は、本明細書では、比二酸/ジアミンが0.9~1.1、例えば0.95~1.05で変わることを意味することを意図する。本発明の実施形態によれば、コポリアミドは、非晶性であり、すなわち、コポリアミドは、10~20℃/gの加熱速度で示差走査熱量測定法によって測定されてガラス転移温度以外のいかなる熱転移も示さない。
【0039】
ある実施形態によれば、本発明のコポリアミドは、ASTM D3418に従って測定されて少なくとも約100℃のガラス転移温度を有する。この実施形態によれば、本発明のコポリアミドは、例えば、少なくとも約105℃、少なくとも約110℃又は少なくとも約120℃の融点を有し得る。
【0040】
本発明の別の実施形態によれば、コポリアミドは、非晶性であり、少なくとも90モル%の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)並びに少なくとも1種のジカルボン酸成分又はその誘導体及び少なくとも1種のジアミン成分を含む混合物の縮合生成物である。
【0041】
本発明の別の実施形態によれば、コポリアミドは、非晶性であり、60モル%超且つ80モル%未満の4-(アミノメチル)安息香酸(4-AMBa)並びに少なくとも1種のジカルボン酸成分又はその誘導体及び少なくとも1種のジアミン成分を含む混合物の縮合生成物である。
【0042】
本発明のコポリアミドは、ポリアミド及びポリフタルアミドの合成に適応した任意の従来法、例えばモノマー及びコモノマーの水溶液の熱重縮合によって調製することができる。コポリアミドは、アミン又はカルボン酸部分と反応することができる一官能性分子であり、且つコポリアミドの分子量を制御するために使用される連鎖リミッターを含有し得る。例えば、連鎖リミッターは、酢酸、プロピオン酸及び/又はベンジルアミンであり得る。触媒も使用することができる。触媒の例は、亜リン酸、オルト-リン酸、メタ-リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどのアルカリ金属次亜リン酸塩及びフェニルホスフィン酸である。
【0043】
ポリアミド組成物(C)
ポリアミド組成物(C)は、上記の本発明のコポリアミドを含む。
【0044】
コポリアミドは、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として30重量%超、35重量%超、40重量%超又は45重量%超の総量で組成物(C)中に存在し得る。
【0045】
コポリアミドは、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として99.5重量%未満、99重量%未満、95重量%未満、90重量%未満、80重量%未満又は70重量%未満の総量で組成物(C)中に存在し得る。
【0046】
コポリアミドは、例えば、ポリアミド組成物(C)の総重量を基準として35~60重量%、例えば40~55重量%の範囲の量で組成物(C)中に存在し得る。
【0047】
組成物(C)は、補強剤、強化剤、可塑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、染料、潤滑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤及び酸化防止剤からなる群から選択される1種の成分も含み得る。
【0048】
幅広い選択肢の補強剤(補強繊維又は充填剤とも呼ばれる)が本発明による組成物に添加され得る。それらは、繊維状及び粒子状の補強剤から選択することができる。繊維補強充填剤は、本明細書では、平均長さが幅及び厚さの両方よりも著しく大きい長さ、幅及び厚さを有する材料であると考えられる。一般に、そのような材料は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20又は少なくとも50の、長さと、最大の幅及び厚さとの間の平均比として定義されるアスペクト比を有する。
【0049】
補強充填剤は、鉱物充填剤(タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)、ガラス繊維、炭素繊維、合成ポリマー繊維、アラミド繊維、アルミニウム繊維、チタン繊維、マグネシウム繊維、炭化ホウ素繊維、ロックウール繊維、スチール繊維及びウォラストナイトから選択され得る。
【0050】
繊維充填剤の中でも、ガラス繊維が好ましく;これらには、Additives for Plastics Handbook,2nd edition,John Murphyのチャプター5.2.3,p.43~48に記載されているようなチョップドストランドであるA-、E-、C-、D-、S-及びR-ガラス繊維が含まれる。好ましくは、充填剤は、繊維充填剤から選択される。充填剤は、より好ましくは、高温の用途に耐えられる補強繊維である。
【0051】
補強剤は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として15重量%超、20重量%超、25重量%超又は30重量%超の総量で組成物(C)中に存在し得る。補強剤は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として65重量%未満、60重量%未満、55重量%未満又は50重量%未満の総量で組成物(C)中に存在し得る。
【0052】
補強充填剤は、例えば、ポリアミド組成物(C)の総重量を基準として20~60重量%、例えば30~50重量%の範囲の量で組成物(C)中に存在し得る。
【0053】
本発明の組成物(C)は、強化剤も含み得る。強化剤は、一般に、低いガラス転移温度(T)のポリマーであり、例えば室温未満、0℃未満又は更に-25℃未満のTを有する。その低いTの結果として、強化剤は、典型的には、室温でエラストマー性である。強化剤は、官能化されたポリマー主鎖であり得る。
【0054】
強化剤のポリマー主鎖は、ポリエチレン及びそれらのコポリマー、例えばエチレン-ブテン;エチレン-オクテン;ポリプロピレン及びそれらのコポリマー;ポリブテン;ポリイソプレン;エチレン-プロピレン-ゴム(EPR);エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM);エチレン-アクリレートゴム;ブタジエン-アクリロニトリルゴム、エチレン-アクリル酸(EAA)、エチレン-酢酸ビニル(EVA);アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム(ABS)、ブロックコポリマースチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS);ブロックコポリマースチレンブタジエンスチレン(SBS);メタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)タイプのコア-シェルエラストマー又は上記の1つ以上の混合物を含むエラストマー主鎖から選択することができる。
【0055】
強化剤が官能化されている場合、主鎖の官能化は、官能基を含むモノマーの共重合又は更なる成分でのポリマー主鎖のグラフト化に由来することができる。
【0056】
官能化された強化剤の具体的な例は、とりわけ、エチレンと、アクリル酸エステルとグリシジルメタクリレートとのターポリマー、エチレンとブチルエステルアクリレートとのコポリマー;エチレンと、ブチルエステルアクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー;エチレン-無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸でグラフトされたEPR;無水マレイン酸でグラフトされたスチレンコポリマー;無水マレイン酸でグラフトされたSEBSコポリマー;無水マレイン酸でグラフトされたスチレン-アクリロニトリルコポリマー;無水マレイン酸でグラフトされたABSコポリマーである。
【0057】
強化剤は、組成物(C)の総重量を基準として1重量%超、2重量%超又は3重量%超の総量で組成物(C)中に存在し得る。強化剤は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として30重量%未満、20重量%未満、15重量%未満又は10重量%未満の総量で組成物(C)中に存在し得る。
【0058】
組成物(C)は、可塑剤、着色剤、顔料(例えば、カーボンブラック及びニグロシンなどの黒色顔料)、帯電防止剤、染料、潤滑剤(例えば、直鎖低密度、ポリエチレン、ステアリン酸カルシウム若しくはマグネシウム又はモンタン酸ナトリウム)、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤及び酸化防止剤など、当技術分野で一般に使用されている他の従来の添加剤も含み得る。
【0059】
組成物(C)は、1種以上の他のポリマー、好ましくは本発明のコポリアミドと異なるポリアミドも含み得る。とりわけ、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、より一般的には芳香族若しくは脂肪族飽和二酸と、脂肪族飽和若しくは芳香族第一級ジアミン、ラクタム、アミノ酸又はこれらの異なるモノマーの混合物との間の重縮合によって得られるポリアミドなど、半結晶性又は非晶性ポリアミドを挙げることができる。
【0060】
ポリアミド組成物(C)の調製
本発明は、上で詳述されたような組成物(C)を製造する方法であって、コポリアミドと、特定の成分、例えば充填剤、強化剤、安定化剤及び任意の他の任意選択的な添加剤とを溶融ブレンドする工程を含む方法に更に関する。
【0061】
任意の溶融ブレンドする方法は、本発明との関連では、ポリマー成分と非ポリマー成分とを混合するために使用することができる。例えば、ポリマー成分及び非ポリマー成分は、一軸スクリュー押出機若しくは二軸スクリュー押出機、撹拌機、一軸スクリュー若しくは二軸スクリューニーダー又はバンバリーミキサー等の溶融ミキサーに供給することができ、添加するステップは、全ての成分の同時添加又はバッチ式の段階的添加であり得る。ポリマー成分及び非ポリマー成分がバッチ式で徐々に添加される場合、ポリマー成分及び/又は非ポリマー成分の一部がまず添加され、次いで十分に混合された組成物が得られるまで、その後に添加される残りのポリマー成分及び非ポリマー成分と溶融混合される。補強剤が長い物理的形状(例えば、長いガラス繊維)を示す場合、補強された組成物を調製するために延伸押出成形が用いられ得る。
【0062】
物品及び用途
本発明は、上記のコポリアミドを含む物品及び上記のコポリアミド組成物(C)を含む物品にも関する。
【0063】
物品は、とりわけ、自動車用途、例えば空気導入系、冷却及び加熱系、駆動系及び燃料系において使用することができる。物品は、LEDパッケージング、携帯用エレクトロニクス、オイル及びガス用途、配管設備、プラスチック製窓、化粧品製品パッケージングのための透明容器、ガラスフレーム及びレンズのような光学用途において使用することもできる。電気及び電子デバイスの例は、コネクタ、コンタクタ及びスイッチである。コポリアミドは、単層又は多層物品における包装用途向けのガスバリア材料としても使用され得る。
【0064】
物品は、本発明のコポリアミド又はコポリアミド組成物(C)から、熱可塑性樹脂に適応した任意のプロセス、例えば押出、射出成形、ブロー成形、回転成形又は圧縮成形によって成形することができる。
【0065】
物品は、本発明のコポリアミド又はコポリアミド組成物(C)から、例えばフィラメントの形態の材料の押出の工程を含むか、又はこの場合には粉末の形態の材料のレーザー焼結の工程を含む方法によって印刷することができる。
【0066】
本発明は、付加製造システムでの3次元(3D)物体を製造する方法であって、
- 本発明のコポリアミド又はコポリアミド組成物(C)を含む部品材料を提供する工程と、
- この部品材料から3次元物体の層を印刷する工程と
を含む方法にも関する。
【0067】
コポリアミド又はコポリアミド組成物(C)は、そのため、3D印刷のプロセス、例えば熱溶解積層法(FDM)としても知られる融解フィラメント製造法に使用されるスレッド又はフィラメントの形態であり得る。
【0068】
コポリアミド又はコポリアミド組成物(C)は、3D印刷のプロセス、例えば選択的レーザー焼結法(SLS)に使用される粉末、例えば実質的に球形の粉末の形態でもあり得る。
【0069】
コポリアミド、組成物(C)及び物品の使用
本発明は、空気導入系、冷却及び加熱系、駆動系及び燃料系又は携帯用エレクトロニクス、例えば携帯用電子デバイス、プラスチック製窓、化粧品製品パッケージングのための透明容器、ガラスフレーム及びレンズのような光学用途における、上記のコポリアミド、組成物(C)又は物品の使用に関する。
【0070】
本発明は、物体を3D印刷するための、上記のコポリアミド又は組成物(C)の使用にも関する。
【0071】
参照により本明細書に援用されるいずれかの特許、特許出願及び刊行物の開示が、それが用語を不明確にし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【実施例
【0072】
原材料
4-AMBa:4-(アミノメチル)安息香酸モノマー(Sigma-Aldrich)
3-AMBa:バイオ系フルフラール誘導体(8つの炭素原子のうちの5つの炭素原子は、バイオ源からのものである)から、特許出願国際公開第2017/097220号パンフレットに記載されている方法によって得られた3-(アミノメチル)安息香酸モノマー。
イソフタル酸(Flint Hills Resources)
ヘキサメチレンジアミン(Ascend Performance Materials)
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(Mitsubishi Gas Company)
【0073】
コポリアミド調製
実施例1及び2の合成:モル当量の量の1,4-AMBA、ヘキサメチレンジアミン及びイソフタル酸(表1)を、撹拌されている反応器内に入れ、DI水(30重量%)を添加した。重合の添加剤として亜リン酸(120ppm当量のP)を使用した。混合物を撹拌し、310℃に加熱した。生成された蒸気を放出し、反応している混合物をこの温度において周囲圧力で更に60分間加熱した。加熱を止める前に10分間真空にした。形成されたポリマーを払い出し、その熱的特性を分析した。
【0074】
実施例3の合成:モル当量の量の1,4-AMBA、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びイソフタル酸(表1)を、撹拌されている反応器内に入れ、DI水(30重量%)を添加した。重合の添加剤として亜リン酸(120ppm当量のP)を使用した。混合物を撹拌し、310℃に加熱した。生成された蒸気を放出し、反応している混合物をこの温度において周囲圧力で更に60分間加熱した。加熱を止める前に10分間真空にした。形成されたポリマーを払い出し、その熱的特性を分析した。
【0075】
実施例4の合成:蒸留ライン、圧力調整弁、撹拌機及び放出弁を備えるジャケット付き300ml反応器を使用して重合が行われた。容器に61.00gの1,4-AMBA、31.57gのHMD、44.69gのイソフタル酸、0.047gの酢酸ナトリウム、0.123gのNaH2PO2.H2O及び59gの脱イオン水を入れた。反応器を窒素(5バール)で3回パージし、窒素雰囲気下で封止した。調整弁を17.5バールに設定し、反応混合物を撹拌下で約50分間220℃まで加熱した。調整弁が17.5バールのプラトー圧を維持している間、反応混合物を更に70分間にわたって280℃まで更に加熱した。圧力は、その後、約25分で2バールまで低下した。次に、ポリマーを反応器から放出し、延伸し、水槽内で冷却し、ペレット化した。
【0076】
実施例の合成5:蒸留ライン、圧力調整弁及び撹拌機を備えたジャケット付き7.5Lオートクレーブ反応器を使用して重合が行われた。容器に1193gの1,4-AMBA、598.6gのHMD、856.6gのイソフタル酸、0.9119gの酢酸ナトリウム、2.356gのNaH2PO2.H2O及び1140gの脱イオン水を入れた。放出の反応器圧力を除いて、実施例3について説明した重合工程に従った。3つの同じ装入物は、3.5、2.7及び2.5バールのわずかに変化する放出圧力を使用して重合された。組み合わされた生成物を1550ppmの湿分まで乾燥させた。分子量を増加させるために、Leistritz18mm押出機を使用して二軸スクリュー押出によってポリマーを加工した。ホッパーからダイまでの領域温度は、220、290、290、290、290及び300℃であった。26インチHgの真空を領域5に適用した。ポリマー実施例4を120rpmのスクリュー速度及び3.3lb/hrの処理量で製造した。実施例5及びプレポリマー分子量のデータを表2に記録する。
【0077】
比較例6の合成。モル当量の量の1,3-AMBA、ヘキサメチレンジアミン及びイソフタル酸を撹拌されている反応器内に入れ、DI水(30重量%)を添加した。重合の添加剤として亜リン酸(120ppm当量のP)を使用した。混合物を撹拌し、300℃に加熱した。生成された蒸気を放出し、反応している混合物をこの温度で更に30分間加熱し、次いで反応を止めた。
【0078】
試験
熱転移(Tg、Tm)
ガラス転移温度及び溶融温度は、20℃/分の加熱及び冷却速度を用いて、ASTM D3418に従って示差走査熱量分析を使用して測定した。それぞれのDSC試験に対して3つの走査を用いた:320℃までの第1加熱、続いて50℃への第1冷却、続いて340℃までの第2加熱を各DSC試験について用いた。Tgは、第2加熱から測定した。ガラス転移温度を下の表1(発明)に一覧にする。
【0079】
【0080】
国際公開第2018/229127号パンフレットに記載された組成物と比較して、1,4-AMBAを有するコポリアミドは、驚くべきことに、より高いTgを示す。
【0081】
WatersModular SEC計測器、Waters Alliance 2695セパレーションモジュール、Waters 2487デュアル吸光度検出器、Waters2414屈折率検出器、Waters515ポンプ及びWaters Empower Proゲルクロマトグラフィーソフトウェアを使用して、実施例5のコポリマーでゲル透過クロマトグラフィー(GPC)が行われた。計測器は、2つのPL ゲル10μm MiniMixe B 250×4.6mmカラムと保護カラムとを備えた。試料は、0.05M NaFTAを含有するHFIP中に5~6g/Lで溶解された。試料は、注入された。溶離は、40℃で行われた。Mw=27943、Mn=9340、Mw/Mn=2.99の標準に対して結果を較正した。本発明のコポリマー5の分子量データは、表2に与えられる。
【0082】
【0083】
成形及び機械的試験
DSMXplore(登録商標)マイクロコンパウンダ及びミニ射出システムを使用して、実施例4のコポリマーの成形を実施した。適用された温度は、以下の通りであった:320℃のバレル、300℃での溶融及びワンド、130℃での成形。マイクロコンパウンダ内の滞留時間は、90秒であった。充填時間、パック時間及びホールド時間並びに圧力は、それぞれ6バールで9秒、4バールで1.5秒及び4バールで8秒であった。ASTMタイプV引張試験片を、0.05インチ/分の試験速度を使用してASTM方法D638に従って評価した。実施例4の機械的データが表3に与えられる。
【0084】
【0085】
予想外の高いTgに加えて、本発明のコポリマーは、良好な機械的特性のために必要とされる分子量に重合され得る。このコポリマーは、延性及び高い引張強さなどの有用な機械的特性を示す。
【国際調査報告】