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特表2022-530028PLK4阻害剤である(1R,2S)-(E)-2-(3-(4-((cis-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)スチリル)-1H-イミダゾール-6-イル)-5’-メトキシスピロ[シクロプロパン-1,3’-インドリン]-2’-オンフマル酸塩のS4結晶形
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  • 特表-PLK4阻害剤である(1R,2S)-(E)-2-(3-(4-((cis-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)スチリル)-1H-イミダゾール-6-イル)-5’-メトキシスピロ[シクロプロパン-1,3’-インドリン]-2’-オンフマル酸塩のS4結晶形 図1
  • 特表-PLK4阻害剤である(1R,2S)-(E)-2-(3-(4-((cis-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)スチリル)-1H-イミダゾール-6-イル)-5’-メトキシスピロ[シクロプロパン-1,3’-インドリン]-2’-オンフマル酸塩のS4結晶形 図2
  • 特表-PLK4阻害剤である(1R,2S)-(E)-2-(3-(4-((cis-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)スチリル)-1H-イミダゾール-6-イル)-5’-メトキシスピロ[シクロプロパン-1,3’-インドリン]-2’-オンフマル酸塩のS4結晶形 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】PLK4阻害剤である(1R,2S)-(E)-2-(3-(4-((cis-2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)スチリル)-1H-イミダゾール-6-イル)-5’-メトキシスピロ[シクロプロパン-1,3’-インドリン]-2’-オンフマル酸塩のS4結晶形
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20220620BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220620BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220620BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220620BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220620BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20220620BHJP
   A61P 15/14 20060101ALI20220620BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
A61K31/5377
A61P35/00
A61P35/02
A61P11/00
A61P1/00
A61P15/14
A61P1/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562948
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(85)【翻訳文提出日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 CA2020050535
(87)【国際公開番号】W WO2020215155
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/837,858
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508265055
【氏名又は名称】ユニバーシティー ヘルス ネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】リ ジィー-ワン
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ マーク ロバート
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063CC54
4C063DD22
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC73
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086NA05
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
以下の構造式:(I)によって表される化合物(I)のフマル酸塩のS4結晶形が開示される。化合物(I)とフマル酸とのモル比は、1.0:1.0である。S4結晶形は、6.6°、9.8°、16.3°、21.1°、28.7°、および30.2°±0.2の2θにおけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式:
によって表される化合物(I)のフマル酸塩であって、化合物(I)とフマル酸とのモル比が1:1であり、フマル酸塩が、6.6°、9.8°、16.3°、21.1°、28.7°、および30.2°±0.2の2θにおけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とするS4結晶形を含む、フマル酸塩。
【請求項2】
6.6°、9.8°、16.3°、21.1°、28.7°、29.4°、および30.2°±0.2の2θにおけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とするS4結晶形を含む、請求項1記載のフマル酸塩。
【請求項3】
6.6°、9.8°、13.0°、16.3°、19.5°、21.1°、22.5°、28.7°、29.4°、および30.2°±0.2の2θにおけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とするS4結晶形を含む、請求項1記載のフマル酸塩。
【請求項4】
6.6°、9.8°、13.0°、16.3°、19.5°、21.1°、22.5°、22.9°、23.9°、28.7°、29.4°、および30.2°±0.2の2θにおけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とするS4結晶形を含む、請求項1記載のフマル酸塩。
【請求項5】
6.6°、9.8°、11.6°、13.0°、16.3°、17.1°、19.5°、21.1°、21.5°、22.0°、22.5°、22.9°、23.9°、24.3°、28.7°、29.4°、および30.2°±0.2の2θにおけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とするS4結晶形を含む、請求項1記載のフマル酸塩。
【請求項6】
図1と実質的に類似したX線粉体回折パターンを特徴とするS4結晶形を含む、請求項1記載のフマル酸塩。
【請求項7】
塩の少なくとも90重量%が単一の結晶形、S4形である、請求項1~6のいずれか一項記載のフマル酸塩。
【請求項8】
塩の少なくとも99重量%が単一の結晶形、S4形である、請求項1~6のいずれか一項記載のフマル酸塩。
【請求項9】
30重量%未満のD結晶形を含有する、請求項1~8のいずれか一項記載のフマル酸塩。
【請求項10】
10重量%未満のD結晶形を含有する、請求項1~8のいずれか一項記載のフマル酸塩。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項記載のフマル酸塩と、
薬学的に許容される担体または希釈剤と
を含む、薬学的組成物。
【請求項12】
化合物(I)のフマル酸塩のS4結晶形を調製する方法であって、
結晶化溶液の形成のため、2-ブタノン、水、およびエタノールを含む溶解溶媒にフマル酸および化合物(I):
を溶解させる工程、ならびに、次いで、結晶化溶液からS4結晶形を析出させる工程を含み、
溶解溶媒中の化合物(I)とフマル酸とのモル比が約1:1~約1:1.3であり;フマル酸塩内の化合物(I)とフマル酸とのモル比が1:1である、方法。
【請求項13】
上昇させた温度で溶解溶媒にフマル酸および化合物(I)を溶解させる工程、ならびに冷却によっておよび/または冷却しながらのメチルシクロヘキサンの添加によって結晶化溶液からS4結晶形を析出させる工程を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
以下の工程を含む、請求項12または13記載の方法:
(i)化合物(I)溶液の形成のため、上昇させた温度で2-ブタノンおよび水の混合物に化合物(I)を溶解させる工程;
(ii)フマル酸溶液の形成のため、上昇させた温度でエタノールにフマル酸を溶解させる工程;
(iii)結晶化溶液の形成のため、上昇させた温度で化合物(I)溶液にフマル酸溶液を添加する工程;
(iv)任意で、上昇させた温度で結晶化溶液に種結晶を添加する工程;ならびに
(v)S4結晶形を析出させるため、結晶化溶液の温度を低下させる工程。
【請求項15】
2-ブタノンと水との体積比が80:20~98:2であり、2-ブタノン/水と、エタノールと、メチルシクロヘキサンとの体積比が6~7対4~5対11~22であり;上昇させた温度が45℃~55℃であり;低下させた温度が20℃~30℃である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
2-ブタノンと水との体積比が90:10~98:2であり、2-ブタノン/水と、エタノールと、メチルシクロヘキサンとの体積比が6~7対4~5対11~22であり;上昇させた温度が45℃~55℃であり;低下させた温度が20℃~30℃である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
S4結晶形を析出させるため、低下させた温度で結晶化溶液にメチルシクロヘキサンを添加する工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
S4結晶形を析出させるため、結晶化溶液の温度をさらに低下させる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
低下させた温度が20℃~30℃である、請求項17記載の方法。
【請求項20】
さらに低下させた温度が0℃~10℃である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
有効量の請求項1~10のいずれか一項記載のフマル酸塩またはその薬学的組成物を対象へ投与する工程を含む、がんを有する対象を処置する方法。
【請求項22】
がんが、肺がん、乳がん、結腸がん、神経芽腫、前立腺がん、黒色腫、多形神経膠芽腫、卵巣がん、リンパ腫、白血病、骨肉腫、胚細胞腫、神経膠腫、線維肉腫、胃腸肉腫、線維性組織球腫、円形細胞肉腫、滑膜肉腫、子宮頚がん、肛門生殖器がん、頭頚部がん、および中咽頭がんからなる群より選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
がんが、肺がん、乳がん、および結腸がんからなる群より選択される、請求項21記載の方法。
【請求項24】
がんが乳がんである、請求項21記載の方法。
【請求項25】
がんがトリプルネガティブ乳がんである、請求項21記載の方法。
【請求項26】
トリプルネガティブ乳がんが切除不能または転移性である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
有効量の請求項1~10のいずれか一項記載のフマル酸塩またはその薬学的組成物を対象へ投与する工程を含む、膵臓がんを有する患者を処置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年4月24日に出願された米国仮出願第62/837,858号に基づく優先権を主張する。上記出願の内容全体が、参照によって本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
セリン/トレオニンキナーゼであるポロ様キナーゼ(PLK)ファミリーは、少なくとも4つの公知のメンバーを含む:PLK1、PLK2(Snkとしても公知)、PLK3(FnkまたはPrkとしても公知)、およびPLK4(Sakとしても公知)。PLK4を阻害する薬剤は、がんを処置する可能性を有する。多数の強力なPLK4阻害剤が、米国特許第8,263,596号(特許文献1);米国特許第8,481,525号(特許文献2);および米国特許第8,481,533号(特許文献3)(これらの教示全体が参照によって本明細書に組み入れられる)において開示されている。これらの特許において開示された1つの阻害剤の構造を、化合物(I)として以下に示す。
【0003】
結晶性であり、かつ生産規模の製造を可能にするその他の物理的特性を有する、この化合物の塩型が、必要とされている。この薬物候補が安定しており、かつ患者へ有効に送達される薬学的製剤も、必要とされている。
【0004】
これに関して、米国特許第9,884,855号(特許文献4)は、可能性のある抗がん薬候補として、D形を含む、化合物(I)の1:1フマル酸塩のいくつかの結晶形を開示している。米国特許第9,884,855号(特許文献4)の教示全体が、参照によって本明細書に組み入れられる。「1:1」とは、フマル酸と化合物(I)とのモル比をさす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,263,596号
【特許文献2】米国特許第8,481,525号
【特許文献3】米国特許第8,481,533号
【特許文献4】米国特許第9,884,855号
【発明の概要】
【0006】
D形は、米国特許第9,884,855号において開示されたように、結晶状態で製造され得、低い吸湿性を有し、かつ良好な溶解度および好都合な薬物動態学的特性を有する有効な抗がん剤であるため、スケールアップのために選択された。しかしながら、大規模生産過程におけるD形の製造は、異なる結晶形の混合物をもたらすことが、後に見出された(実施例3を参照すること)。
【0007】
「S4」と呼ばれる新たな結晶形は、D形の有益な特性を有する(例えば、低い吸湿性および良好な溶解度を有し、かつ優れた薬物動態学的特性を保有する)ことが、本発明において発見された(実施例6および7を参照すること)。より重要なことに、それは、D形に関連した問題を克服する。具体的には、S4形は、良好な収率で高純度に調製され得、スケールアップを可能とする(実施例4および5を参照すること)。
【0008】
従って、本開示は、化合物(I)とフマル酸とのモル比が1:1である、化合物(I)のフマル酸塩であって、6.6°、9.8°、16.3°、21.1°、28.7°、および30.2°±0.2の2θにおけるピークを含むX線粉体回折(XRPD)パターンを特徴とするS4結晶形を含む(である)、化合物(I)のフマル酸塩を提供する。
【0009】
本開示は、化合物(I)の1:1フマル酸塩のS4結晶形と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、薬学的組成物もまた提供する。
【0010】
本開示は、化合物(I)の1:1フマル酸塩のS4結晶形を調製する方法も提供する。方法は、結晶化溶液の形成のため、2-ブタノン、水、およびエタノールを含む溶解溶媒にフマル酸および化合物(I)を溶解させる工程、ならびに、次いで、結晶化溶液からS4結晶形を析出させる工程を含み、ここで、溶解溶媒中の化合物(I)とフマル酸とのモル比は約1:1~約1:1.3であり;化合物(I)フマル酸塩内の化合物(I)とフマル酸とのモル比は1:1である。1つの局面において、フマル酸および化合物(I)の溶解は、上昇させた温度で実施され、結晶化溶液からのS4結晶形の析出は、冷却、および/または冷却しながらのメチルシクロヘキサンの添加による。
【0011】
がんを処置する方法も提供される。方法は、有効量の化合物(I)の1:1フマル酸塩のS4結晶形を、がんを有する対象へ投与する工程を含む。
【0012】
がんを処置するための医薬の生産のための化合物(I)のフマル酸塩のS4結晶形の使用も提供される。
【0013】
がんの処置において使用するための化合物(I)のフマル酸塩のS4結晶形も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】100g製造からの、化合物(I)の1:1フマル酸塩のS4結晶形についての、X線粉体回折パターン(XRPD)を図示する。
図2】実施例5における大規模製造からの、化合物(I)の1:1フマル酸塩のS4結晶形についての、X線粉体回折パターン(XRPD)を図示する。
図3】D形およびS4形の投薬後の、用量で正規化された曝露を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本開示は、化合物(I)の1:1フマル酸塩の新規のS4結晶形および対応する薬学的組成物を提供する。本開示は、優れた収率および純度で、再現可能かつスケールアップ可能な様式で、S4結晶形を調製する新規の方法も提供する。さらに、本開示は、がんを処置する方法を提供する。
【0016】
化合物(I)の1:1フマル酸塩の結晶形
いくつかの態様において、化合物(I)の1:1フマル酸塩の少なくとも特定の重量百分率が、単一の結晶形である。特定の重量百分率には、70%、72%、75%、77%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または70%~75%、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~100%、70~80%、80~90%、90~100%の重量百分率範囲が含まれる。例えば、1つの態様において、1:1化合物(I)フマル酸塩の少なくとも80重量%(例えば、少なくとも90重量%または99重量%)が、単一の結晶形である。これらの値および範囲の間の全ての値および範囲が、本開示に包含されることになっていることが、理解されるべきである。
【0017】
本明細書において使用されるように、「結晶性」とは、個々の分子が高度に均一な規則的な固定された化学的配置を有する、結晶構造を有する固体をさす。結晶性の化合物(I)の1:1フマル酸塩は、化合物(I)の1:1フマル酸塩の単一の結晶形の結晶、または異なる単一の結晶形の結晶の混合物であり得る。単一の結晶形とは、単一の結晶、または各結晶が同一の結晶形を有する複数の結晶としての、化合物(I)の1:1フマル酸塩を意味する。
【0018】
化合物(I)の1:1フマル酸塩の特定の重量百分率が単一の結晶形である時、残りのフマル酸塩は、非晶質フマル酸塩および/またはその単一の結晶形を除く1:1化合物(I)フマル酸塩の1つもしくは複数の他の結晶形の何らかの組み合わせである。化合物(I)の結晶性1:1フマル酸塩が、化合物(I)の1:1フマル酸塩の1つの特定の結晶形の指定された百分率として定義される時、残りは、非晶質型および/または指定された1つもしくは複数の特定の形以外の結晶形から構成される。単一の結晶形の例には、本明細書に記述される1つまたは複数の特性を特徴とする1:1化合物(I)フマル酸塩のS4形が含まれる。
【0019】
別の態様において、化合物(I)の1:1フマル酸塩の30重量%、25重量%、20重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%未満が、D結晶形である。試料中のD形に対するS4形の量は、既知の重量比でS4形およびD形の一連の混合物を調製し、各々についてXRPDスペクトルを得ることによって査定され得る。試料中のD形に対するS4形の相対量は、S4形およびD形の1つまたは複数の特徴的なピークを選択し、試料XRPDの相対強度を混合物XRPDの相対強度と相関させることによって査定される。D結晶形についての特徴的なXRPDピークは、米国特許第9,884,855号の表4に提供されている。
【0020】
化合物(I)の1:1フマル酸塩の他の立体異性体に対する純度、即ち、全立体異性体の重量に対するその立体異性体の重量の比は、少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、99重量%、または99.9重量%である。
【0021】
化合物(I)の1:1フマル酸塩のS4結晶形の調製
化合物(I)の1:1フマル酸塩の固体は、例えば、緩徐な蒸発、緩徐な冷却、および貧溶媒析出によって調製され得る。本開示は、改善された収率および純度で、再現可能かつスケールアップ可能な様式で、S4結晶形を調製するための、新規の結晶化手法を提供する。
【0022】
本明細書において使用されるように、「貧溶媒」とは、化合物(I)の1:1フマル酸塩が低い溶解度を有するため、微細な粉末または結晶の形態でフマル酸塩が溶液から析出することを引き起こす溶媒をさす。
【0023】
あるいは、化合物(I)の1:1フマル酸塩は、種結晶の添加により、または種結晶の添加なしに、適当な溶媒から再結晶化されてもよい。
【0024】
1つの態様において、化合物(I)の1:1フマル酸塩のS4結晶形は、結晶化溶液の形成のため、2-ブタノン、水、およびエタノールを含む溶解溶媒にフマル酸および化合物(I)を溶解させ、次いで、結晶化溶液からS4結晶形を析出させることによって調製され得る。溶解溶媒中の化合物(I)とフマル酸とのモル比は、約1:1~約1:1.3であり;化合物(I)フマル酸塩内の化合物(I)とフマル酸とのモル比は、1:1である。この態様の1つの局面において、フマル酸および化合物(I)の溶解は、上昇させた温度で実施され、結晶化溶液からのS4結晶形の析出は、冷却、および/または冷却しながらのメチルシクロヘキサンの添加による。
【0025】
別の態様において、化合物(I)の1:1フマル酸塩のS4結晶形は、(i)化合物(I)溶液の形成のため、上昇させた温度で2-ブタノンおよび水の混合物に化合物(I)を溶解させる工程;(ii)フマル酸溶液の形成のため、上昇させた温度でエタノールにフマル酸を溶解させる工程;(iii)結晶化溶液の形成のため、上昇させた温度で化合物(I)溶液にフマル酸溶液を添加する工程;(iv)任意で、上昇させた温度で結晶化溶液に種結晶を添加する工程;ならびに(v)S4結晶形を析出させるため、結晶化溶液の温度を低下させる工程によって調製される。この態様の1つの局面において、2-ブタノンと水との体積比は、80:20~98:2(例えば、90:10~98:2)であり、2-ブタノン/水と、エタノールと、メチルシクロヘキサンとの体積比は、6~7対4~5対11~22であり;上昇させた温度は45℃~55℃であり;低下させた温度は20℃~30℃である。この態様の別の局面において、方法は、S4結晶形を析出させるため、低下させた温度で結晶化溶液へメチルシクロヘキサンを添加する工程をさらに含む。1つの具体的な局面において、低下させた温度は、20℃~30℃である。別の具体的な局面において、結晶化溶液の温度は、S4結晶形を析出させるため、さらに低下させられる。より具体的な局面において、さらに低下させた温度は、0℃~10℃である。
【0026】
化合物(I)の1:1フマル酸塩の単一の結晶形S4の特徴決定
1つの態様において、S4形は、高度に結晶性の材料であることを示す、角度ピーク位置(2θ)に相当するシャープなピークおよびフラットな基線を含む独特のXRPDパターンを示す(図1を参照すること)。XRPDパターンは、40V/30mAで作動した銅放射線源(CuKα;λ=1.54056Å)から得られる。1つの具体的な態様において、S4形は、6.6°、9.8°、16.3°、21.1°、28.7°、および30.2°におけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とする、化合物(I)の1:1フマル酸塩の単一の結晶形である。別の具体的な態様において、S4形は、6.6°、9.8°、16.3°、21.1°、28.7°、29.4°、および30.2°におけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とする。別の具体的な態様において、S4形は、6.6°、9.8°、13.0°、16.3°、19.5°、21.1°、22.5°、28.7°、29.4°、および30.2°におけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とする。さらに別の具体的な態様において、S4形は、6.6°、9.8°、13.0°、16.3°、19.5°、21.1°、22.5°、22.9°、23.9°、28.7°、29.4°、および30.2°におけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とする。さらに別の具体的な態様において、S4形は、6.6°、9.8°、11.6°、13.0°、16.3°、17.1°、19.5°、21.1°、21.5°、22.0°、22.5°、22.9°、23.9°、24.3°、28.7°、29.4°、および30.2°におけるピークを含むX線粉体回折パターンを特徴とする。
【0027】
さらに別の具体的な態様において、S4形は、図1と実質的に類似したX線粉体回折パターンを特徴とする。
【0028】
本明細書において使用されるように、X線粉体ディフラクトグラムは、2つのディフラクトグラム中のシグナルの少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%が同一±0.2(2θ)である時、「[特定の]図のものと実質的に類似している」。「類似性」の決定において、同一の結晶形でさえ、XRPDディフラクトグラム中の強度および/またはシグナル位置の変動が存在し得ることを、当業者は理解するであろう。従って、(本明細書において言及される、度2シータ(°2θ)における)XRPDディフラクトグラム中のシグナル最大値は、一般に、報告された値について、報告された値±0.2度2θ(以下に記述されるように当技術分野において認識されている分散)を意味することを、当業者は理解するであろう。
【0029】
特定の結晶形でさえ、温度変動、試料置換、および内部標準の有無のような要因によって、角度ピーク位置がわずかに変動し得ることが、結晶学の分野において周知である。本開示において、角度ピーク位置の可変性は、±0.2(2θ)である。さらに、XRPD分析のための試料調製における結晶子サイズおよび非ランダム結晶子方向の違いのため、特定の結晶形についての相対ピーク強度は変動し得る。この可変性は、結晶形の明確な同定を妨害することなく、上記の要因を説明することが、当技術分野において周知である。
【0030】
処置の方法
セリン/トレオニンキナーゼであるポロファミリーのメンバーとしてのPLK4は、細胞有糸分裂進行に関与していることが公知である。従って、この酵素の低分子阻害剤は、可能性のある抗がん剤であり得る。
【0031】
本開示は、有効量のS4形を対象へ投与することによって、PLK4の阻害によって緩解し得る疾患を有する対象を処置する方法、例えば、がんを処置するかまたは腫瘍増殖を阻害する方法を提供する。従って、S4形は、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導または腫瘍細胞の増殖の阻害によって腫瘍の成長を阻害する。
【0032】
開示された方法によって処置され得る具体的ながんには、肺がん、乳がん、結腸がん、脳がん、神経芽腫、前立腺がん、黒色腫、多形神経膠芽腫、卵巣がん、リンパ腫、白血病、黒色腫、肉腫、腫瘍随伴病変、骨肉腫、胚細胞腫、神経膠腫、および中皮腫が含まれる。1つの具体的な態様において、がんは、肺がん、乳がん、結腸がん、神経芽腫、前立腺がん、黒色腫、多形神経膠芽腫、卵巣がん、リンパ腫、白血病、骨肉腫、胚細胞腫、神経膠腫、線維肉腫、胃腸肉腫、線維性組織球腫、円形細胞肉腫、滑膜肉腫、子宮頚がん、肛門生殖器がん、頭頚部がん、および中咽頭がんである。1つの具体的な態様において、がんは、肺がん、結腸がん、脳がん、神経芽腫、前立腺がん、黒色腫、多形神経膠芽腫、または卵巣がんである。別の具体的な態様において、がんは、肺がん、乳がん、結腸がん、脳がん、神経芽腫、前立腺がん、黒色腫、多形神経膠芽腫、または卵巣がんである。別の具体的な態様において、がんは、肺がん、乳がん、および結腸がんである。さらに別の具体的な態様において、がんは乳がんである。さらに別の具体的な態様において、がんは、ベーサル(basal)サブタイプ乳がんまたはルミナール(luminal)Bサブタイプ乳がんである。1つの態様において、ベーサルサブタイプ乳がんは、ER(エストロゲン受容体)、HER2、およびPR(プロゲステロン受容体)が陰性の乳がんである。さらに別の具体的な態様において、がんは、トリプルネガティブ乳がんである。「トリプルネガティブ乳がん」という用語は、ASCO/CAP診療ガイドライン(Clinical Practice Guideline)の下で、ホルモン、エストロゲン、プロゲステロン、およびHER2について陰性と判定された乳がんをさす。いくつかの態様において、トリプルネガティブ乳がんは、切除不能または転移性である。具体的な態様において、前記の方法は、腺がんである膵臓がんを有する対象を処置するために使用される。別の具体的な態様において、膵臓がんは低酸素性である。さらに別の具体的な態様において、膵臓がんは非低酸素性である。
【0033】
軟部組織がんも、開示された方法によって処置され得る。「軟部組織がん」とは、身体の任意の軟部組織に由来する腫瘍を包含する、当技術分野において認識されている用語である。そのような軟部組織は、身体の様々な構造および器官、例えば、以下に限定されるわけではないが、平滑筋、骨格筋、腱、線維組織、脂肪組織、血管およびリンパ管、血管周囲組織、神経、間葉系細胞、ならびに滑膜組織を接続し、支持し、または包囲している。従って、軟部組織がんは、脂肪組織、筋組織、神経組織、関節組織、血管、リンパ管、および線維組織のがんであり得る。軟部組織がんは、良性または悪性であり得る。一般に、悪性軟部組織がんは、肉腫または軟部組織肉腫と呼ばれる。脂肪腫、脂肪芽細胞腫、褐色脂肪腫、脂肪肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、横紋筋腫、横紋筋肉腫、神経線維腫、シュワン腫(神経鞘腫)、神経腫、悪性シュワン腫、神経線維肉腫、神経原性肉腫、結節性腱鞘炎、滑膜肉腫、血管腫、グロムス腫瘍、血管外皮腫、血管内皮腫、血管肉腫、カポジ肉腫、リンパ管腫、線維腫、弾性線維腫、表在性線維腫症、線維性組織球腫、線維肉腫、線維腫症、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、悪性線維性組織球腫(MFH)、粘液腫、顆粒細胞腫、悪性間葉腫、胞状軟部肉腫、類上皮肉腫、明細胞肉腫、および線維形成性小細胞腫瘍を含む多くの型の軟部組織腫瘍が存在する。具体的な態様において、軟部組織がんは、線維肉腫、胃腸肉腫、平滑筋肉腫、脱分化型脂肪肉腫、多形性脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、円形細胞肉腫、および滑膜肉腫からなる群より選択される肉腫である。「有効量」という用語は、対象へ投与された時に、有益なまたは所望の結果、例えば、臨床結果をもたらす量、例えば、対照と比較して、対象において、(例えば、臨床症状またはがん細胞の量によって決定されるように)がんを阻害するか、抑制するか、または低下させる量を意味する。
【0034】
本明細書において使用されるように、「がんを有する対象の処置」には、以下のもののうちの1つまたは複数の、部分的なまたは実質的な達成が含まれる:がんの成長の阻止、がんの程度の低下(例えば、腫瘍のサイズの低下)、がんの成長速度の阻害、臨床症状もしくは(組織もしくは血清の成分のような)がんに関連した指標の緩解もしくは改善、または対象の寿命の増加;およびがんの再発の可能性の低下。
【0035】
本明細書において使用されるように、「がんの再発の可能性の低下」という用語は、寛解期間後の原発部位もしくはその周辺および/または第2の部位におけるがんの復帰の阻害または遅延を意味する。それは、本明細書に記載された処置によって、未処置の場合より、がんが復帰する可能性が低くなることも意味する。
【0036】
本明細書において使用されるように、「寛解」という用語は、典型的には、対象が抗がん治療によって成功裏に処置された後に、臨床症状またはがんに関連した指標が消失するかまたは検出され得なくなることをさす。
【0037】
一般に、本開示の化合物の有効量は、特定の薬物または化合物、薬学的製剤、投与経路、疾患または障害の型、処置される対象または宿主の同一性等によって変動するにも関わらず、当業者によって決まった手順で決定され得る。本開示の化合物の有効量は、当技術分野において公知の決まった手順の方法によって、当業者によって容易に決定され得る。
【0038】
1つの態様において、化合物(I)の1:1フマル酸塩の有効量は、約0.01~約1000mg/kg体重、あるいは約0.05~約500mg/kg体重、あるいは約0.1~約100mg/kg体重、あるいは約0.1~約15mg/kg体重、あるいは約1~約5mg/kg体重、あるいは約2~約3mg/kg体重の範囲である。がんに罹患している対象を有効に処置するために必要とされる投薬量には、ある種の要因が影響し得ること、これらの要因には、疾患または障害の重症度、過去の処置、対象の全身健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患が含まれるが、これらに限定されるわけではないことを、当業者は認識するであろう。
【0039】
さらに、有効量の本開示の化合物(I)のフマル酸塩による対象の「処置」計画は、単回投与からなっていてもよいし、あるいは一連の適用を含んでいてもよい。例えば、化合物(I)の1:1フマル酸塩は、少なくとも週1回、投与され得る。しかしながら、別の態様において、化合物は、特定の処置のため、およそ週1回~1日1回、対象へ投与され得る。処置期間の長さは、疾患の重症度、患者の年齢、本開示の化合物の濃度および活性、またはそれらの組み合わせのような多様な要因に依る。処置または予防のために使用される化合物の有効投薬量は、特定の処置または予防の計画の経過中、増加してもよいし、または減少してもよい。投薬量の変化が起こり得、当技術分野において公知の標準的な診断アッセイによって明らかになり得る。いくつかの場合において、慢性投与が必要とされ得る。
【0040】
「対象」は、哺乳動物、好ましくは、ヒトであるが、獣医学的処置を必要とする動物、例えば、ペット(例えば、イヌ、ネコ等)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ等)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット等)であってもよい。
【0041】
本開示の化合物は、当業者によって理解されるように、選択された投与経路に依って、多様な形態で患者へ投与され得る。本開示の化合物は、例えば、経口投与、非経口投与、頬側投与、舌下投与、経鼻投与、直腸投与、パッチ投与、ポンプ投与、または経皮投与によって投与され得、薬学的組成物はそれに応じて製剤化される。非経口投与には、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、経鼻、肺内、くも膜下腔内、直腸、および局所の投与モードが含まれる。非経口投与は、選択された期間にわたる連続注入によるものであり得る。
【0042】
薬学的組成物および投与の方法
本明細書において開示された化合物(I)の1:1フマル酸塩のS4結晶形は、対象への投与のため、適切に薬学的組成物に製剤化され得る。1つの態様において、本開示は、前記のS4形と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、薬学的組成物であって、少なくとも80重量%(好ましくは、90重量%、より好ましくは、99重量%)の塩がS4結晶形である、薬学的組成物を提供する。
【0043】
本教示の薬学的組成物は、乳糖、デンプン、セルロース、およびデキストロースのような1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を任意で含む。芳香剤;甘味剤;ならびにメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、およびブチルパラベンのような保存剤のようなその他の賦形剤も含まれていてよい。適当な賦形剤のより完全なリストは、Handbook of Pharmaceutical Excipients(5th Ed.,Pharmaceutical Press(2005))に見出され得る。当業者は、様々な型の投与経路のために適当な製剤を調製する方法を承知しているであろう。適当な製剤の選択および調製のための従来の手法および成分は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(2003-20th edition)および1999年に発行されたUnited States Pharmacopeia:The National Formulary(USP 24 NF19)に記載されている。担体、希釈剤、および/または賦形剤は、薬学的組成物の他の成分と適合性であって、その受容者に対して有害でないという意味で「許容される」。
【0044】
典型的には、経口治療的投与のため、本教示の化合物は、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハ等の形態で、賦形剤と共に組み入れられ、使用され得る。
【0045】
典型的には、非経口投与のため、一般に、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水において、本教示の化合物の溶液が調製され得る。アルコールを含む、または含まない、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSO、およびそれらの混合物、ならびに油において、分散液が調製されてもよい。通常の保管および使用の条件の下で、これらの調製物は、微生物の成長を防止するための保存剤を含有する。
【0046】
典型的には、注射可能な使用のため、本明細書に記載された化合物の、無菌の水性の溶液または分散液、および無菌の注射可能な溶液または分散液の即時調製のための無菌粉末が適切である。
【0047】
経鼻投与のため、本教示の化合物は、エアロゾル、ドロップ、ゲル、および粉末として製剤化され得る。エアロゾル製剤は、典型的には、生理学的に許容される水性または非水性の溶媒による活性物質の溶液または微細懸濁液を含み、一般的には、密封容器で、無菌の形態で、1回分または複数回分の量で提示される。密封容器は、噴霧器具と共に使用するためのカートリッジまたはレフィルの形態をとることができる。あるいは、密封容器は、使用後に廃棄されることが意図された、単回用量鼻吸入器または定量弁を備えたエアロゾルディスペンサーのような一体型分配器具であり得る。剤形がエアロゾルディスペンサーを含む場合、それは、圧縮空気のような圧縮気体またはフルオロクロロハイドロカーボンのような有機噴霧剤であり得る噴霧剤を含有するであろう。エアロゾル剤形は、ポンプ噴霧器の形態をとることもできる。
【0048】
頬側投与または舌下投与のため、本教示の化合物は、錠剤、ロゼンジ、または香錠として、糖、アラビアゴム、トラガント、またはゼラチンおよびグリセリンのような担体によって製剤化され得る。
【0049】
直腸投与のため、本明細書に記載された化合物は、カカオ脂のような従来の坐剤用基剤を含有する坐剤の形態に製剤化され得る。
【0050】
本開示は、以下の実施例によって例示されるが、これは決して限定するためのものではない。
【実施例
【0051】
実験
【0052】
分析条件
X線粉体回折(XRPD):
Panalytical CubiX-Pro X線粉体回折計またはBruker D8 Advance XRP回折計において、試料を分析した。
【0053】
Panalytical条件: シリコンゼロリターンウルトラマイクロサンプルホルダーに試料を置いた。40kV/30mAで作動するX線管によって銅KαX線を試料に照射した。3~45°の範囲で連続モードで試料をスキャンした。
【0054】
Bruker D8 Advance XRP装置パラメータ: 40kV/40mAで作動するハイパワーCuターゲットを使用した。Lynxeye検出器を、2.1°のPSD開口角で使用した。有機結晶性化合物の大部分についての代表的なピークが起こる4~40°(2σ)の範囲で試料をスキャンした。
【0055】
動的水蒸気吸着測定(DVS):
約10mgの試料をDVS装置に移し、その後、以下のパラメータを使用して、25℃で、大気湿度に関する重量変化を記録することによって、吸湿性測定を実施した。
【0056】
HPLCによる純度:
HPLCによって試料の純度を決定した。HPLC作動パラメータは以下に列記される。
【0057】
実施例1:アセトン中での小規模結晶化はD形を生じるが、より大きい規模では再現性がない
アセトン中でいくつかの小規模結晶化実験を実施した。ここでは、2g規模で、化合物(I)およびフマル酸を50~60℃でアセトンに溶解させた。実験1および2においては、化合物(I)および酸溶液を混合した後、溶媒を蒸発させて濃縮し、2~5時間で0℃に冷却した。D形は、種が添加された結晶化および種が添加されない結晶化から成功裏に生成された。両方の実験とも、種が添加された結晶化および種が添加されない結晶化から、少なくとも17時間、溶液中で安定しているD形を与えた。実験3においては、溶媒の濃縮を手法から省いたところ、固体は溶液から析出しなかった。この実験から、溶媒の濃縮は、D形を与えるために必要であると結論付けられた(表1)。
【0058】
次に、アセトン中での結晶化手法を3.5gにスケールアップし、全濃縮時間をおよそ10時間に延長した。この実験において、D形は、3時間の濃縮の後に、S4形に転移した。
【0059】
塩形成前にフマル酸溶液を濃縮することを試みた。フマル酸をアセトンに溶解させた後、酸溶液を8体積に濃縮し、フマル酸の懸濁液を得た。次いで、化合物(I)をアセトン(32体積)に溶解させ、1%の種と共に55℃で酸懸濁液に添加し、55℃で1時間維持した。溶液を5℃に冷却し、16~17時間維持した。D形が成功裏に生成された(表2)。しかしながら、D形懸濁液は、2.5時間未満、50℃で維持された後、S4形に転移することが見出された。
【0060】
アセトン中では50~55℃でS4形へ急速に転移するため、50~55℃での維持時間を短縮する効果を決定することにした。従って、1グラム規模および5グラム規模のバッチについて、50~55℃での維持時間を10分に短縮し、その後、温度を、1.5時間かけて0℃に冷却し、その温度で16~17時間維持した。D形は良好な品質で得られたが、収率は、それぞれ、63%および65%に低下した(表3)。5℃に冷却する前に、温度を、24時間、25℃に低下させる実験を繰り返した。この実験も、やはり、良好な品質でD形を生じたが、収率損失は、依然、およそ12%であった。5℃へのさらなる冷却は、損失をさらに低下させるためには役立たないことも見出された(表4)。
【0061】
結晶化の収率をさらに増加させる試みにおいて、冷却段階において冷貧溶媒を添加した。メチルt-ブチルエーテル(MTBE)を貧溶媒として選択し、化合物(I)の1グラムおよび5グラムの量で、2つの実験を実施した。アセトン(34体積)中の化合物(I)溶液を、50℃で、アセトン(8体積)中のフマル酸懸濁液および1%の種と合わせ、0.5時間維持した。その後、MTBEを添加し、1.5時間かけて0℃に冷却した。1グラム試料による結晶化は、D形を提供したが、5グラムバッチは、DおよびS4の混合物を与えた。いずれの実験も、満足な収率を与えなかった(それぞれ、64%および60%)(表5)。
【0062】
次いで、化合物(I)およびフマル酸を混合する温度を25℃および35℃に低下させて、結晶化手法を繰り返した。D形およびS4形の混合物が得られた(表6)。
【0063】
(表1)アセトン中での予備結晶化実験の要約
【0064】
(表2)アセトン中での蒸発結晶化のスケールアップ
【0065】
(表3)種添加後の維持時間の短縮
【0066】
(表4)25℃での維持による結晶化収率の最適化
【0067】
(表5)冷却中の冷MTBEの添加
【0068】
(表6)25℃および35℃でのアセトン中での塩形成
【0069】
実施例2:結晶化品質は出発材料に依存する
前記の実施例1の結果から、50℃でのアセトンにおける塩形成は、合理的な収率でD形を産出するための最も見込みのある手法のようであった。提唱された手法においては、最初に、50℃で、化合物(I)アセトン溶液をフマル酸アセトン懸濁液に投入し、過飽和アセトン溶液を得た。次いで、この過飽和溶液に種を添加した。種添加後(冷却前)、2時間を超えずに系を維持し;次いで、系を25℃に冷却した後、25℃で一晩維持した。濾過後、ケークをメチルt-ブチルエーテルで洗浄し、真空下で50℃で乾燥させた。この手法は、60%を超える収率で、所望のD形を産出することができた。提唱された手法を確証するため、いくつかの実験を、4グラム(純度99.1%)および9グラム(純度99.8%)の規模で実施した。4グラムバッチでの実験は、所望のD形を産出したが、9グラム規模での実験は、S4形を生じた。2つの実験の規模は類似していたため、結果は出発材料の品質に依存する可能性があると考えられた(表7)。
【0070】
出発材料の品質の影響を研究するため、異なる純度の出発材料を使用して、いくつかの実験を実施した(表8)。実験4においては、より低純度の化合物(I)を実験に使用した。しかしながら、研究中に明らかな結晶化は見出されなかった。実験5においては、高い純度を有する化合物(I)のバッチを、より低純度の材料のいくつかのバッチと混合し、出発材料として使用した。種添加後に結晶化は観察されなかった。50℃での維持時間を3時間に延長したが、D形およびS4形の混合物が生成された。実験6においては、典型的な純粋な化合物(I)と、化合物(I)調製からの母液(化合物(I)合成工程からの母液)との混合物を、出発材料として使用した。D形が生成され、比較的長い時間、維持され得た。
【0071】
化合物(I)中の残存溶媒の効果を研究するため、いくつかの「添加(spiking)」実験を実施した(表9)。「添加された」溶媒は、合成工程において使用された溶媒であった。さらに、化合物(I)は、いくつかのバッチにおいて、非晶質であった。化合物(I)の多形性が塩の多形に影響するか否かを研究するため、非晶質化合物(I)を用いて出発する実験を実施した。実験7においては、3%MeOHが系に添加され、50℃で維持する間にD形がS4形に転移した。実験8においては、1%酢酸メチルが系に添加され、50℃で維持する間にD形がS4形に転移した。実験9においては、無定形化合物(I)が出発材料として使用され、50℃で維持する間にD形がS4形に転移した。
【0072】
要約すると、D形を与えるための蒸発結晶化手法が開発された。しかしながら、手法の成功は、出発材料の純度および形態に高度に依存することが、次いで、見出された。従って、わずかに異なる微量不純物または純度レベルを有する出発材料は、異なる多形を与えた。結晶化の成功は、結晶化条件の微細な変動および結晶化の規模にも依存することが見出された。しかしながら、D形または安定したS4形の形成をコントロールする重大な要因は、決定されなかった。
【0073】
(表7)アセトン中での提唱された手法の反復可能性
ML:母液
【0074】
(表8)出発材料の効果
【0075】
(表9)出発材料の異なるバッチ
【0076】
実施例3:純粋なD形を目的とした大規模生産過程は、D形およびS4形の1:1混合物をもたらした
1.05kgの化合物(I)を、30分間、攪拌しながら、55~60℃で、5~10kgのアセトンに溶解させ、化合物(I)溶液を作成した。35kgのアセトンに溶解した0.32kgのフマル酸の溶液を、60℃で、化合物(I)溶液に徐々に添加した。得られた混合物を濃縮した後、D形を含む3.5gの種結晶を添加した。混合物を60℃で1~2時間攪拌した。次いで、混合物を濃縮し、2時間で50℃に冷却した。次に、4kgのMTBEを50℃の混合物に添加し、得られた混合物を同温度でさらに1~2時間攪拌した。混合物を20~25時間かけて徐々に25℃に冷却した。D多形およびS4多形の1:1混合物をもたらす多形転移が冷却過程の終わりに検出された。次いで、フマル酸塩を収集し、3~4kgのMTBEで2回洗浄し、濾過し、65~70℃で8~24時間乾燥させた。D多形およびS4多形の1:1混合物1.02kgが最終生成物として得られた。
【0077】
実施例4:1:1化合物(I)フマル酸塩S4結晶形の小規模調製
MEK/水/EtOH/MCH溶媒系中での新規の小規模結晶化手法は、以下のように開発された:0.282gのフマル酸を、50℃で、5mlのエタノールに溶解させ、酸溶液を作成した。1.0gの化合物(I)を、50℃で、7mlの2-ブタノン/水(95/5体積比)に溶解させ、化合物(I)溶液を作成した。酸溶液の20%を化合物(I)溶液に投入し、混合された溶液に20mgの種結晶を添加し、次いで、酸の残りを滴下した。温度を、3時間、50℃に維持し、次いで、2.5時間で25℃に冷却し、さらに17時間、25℃に維持した。次に、22体積当量のメチルシクロヘキサンを2時間で添加した。温度を30分で5℃に冷却し、さらに3時間、5℃に維持した。試料を濾過し、真空下で50℃で乾燥させて、最終生成物を得、これが単一のS4結晶形であることをXRPDによって確認した。この最終生成物についてのXRPDパターンは、同一の手法に基づき、100gの化合物(I)を使用することによって調製された最終生成物についての、図1に示されかつ表10に列記されたものと本質的に同一であった。シャープなピークおよびフラットな基線を含むその独特のXRPDパターンのため、S4形は、少なくとも90%の結晶純度を有する単一の結晶形であると考えられた。
【0078】
生成収率を改善するためには、メチルシクロヘキサンを、貧溶媒として、適切に添加する必要がある。具体的には、2-ブタノン/水(95/5)と、エタノールと、メチルシクロヘキサンとの体積比が6~7対4~5対11~22である時、一貫して、90%より高い収率でS4形を得ることができる(表11)。また、主に、生成物の溶解度の減少を通して、収率を改善するため、フマル酸と化合物(I)とのモル比を微調整することもできる。フマル酸と化合物(I)とのモル比を1.1から1.5に変化させた時、S4形の収率の損失が7%から3%に減少した(表12)。1.3のモル比が、1.5と同等の性能であることが後に見出され、従って、結晶化手法に適用された。
【0079】
フマル酸溶液または化合物(I)溶液の各々の調製および(24時間まで)延長された期間の50℃での維持、フマル酸またはメチルシクロヘキシル貧溶媒の急速な添加(30分以下)、急速な冷却を含む、様々なストレス条件の下での試験から、結晶化手法は非常にロバストであると結論付けられた(表13)。これらのストレス条件の下でさえ、一貫して、極めて高い純度でS4形が得られ;収率は、わずかに減少したものの、本開示(実施例1~2を参照すること)および米国特許第9,884,855号(実施例6を参照すること)において開示された手法からD形について得られたものより、依然としてはるかに高かった。
【0080】
(表10)S4形のXRPD
【0081】
(表11)MEK/水/EtOH(MCH)中での予備結晶化
【0082】
(表12)添加された酸の量の効果
【0083】
(表13)ストレス試験
【0084】
実施例5:S4形のための大規模生産過程
S4形を大規模に生産するために、化合物(I)溶液の形成のため、45~55℃で、攪拌しながら、1~4時間、17.0kgの化合物(I)を90kgの2-ブタノン/水(95/5体積比)に溶解させた。酸溶液の形成のため、45~55℃で、攪拌しながら、1~4時間、4.3kgのフマル酸を74kgのEtOHに溶解させた。45~55℃で、酸溶液の一部を化合物(I)溶液に投入し、45~55℃で、0.5~4時間攪拌した。S4形を含む種結晶を、混合された溶液に添加した。45~55℃で、2~6時間、種が添加された混合物を攪拌し、次いで、残りの酸溶液を添加した。得られた混合物を、45~55℃で、3~12時間攪拌し、次いで、5~12時間かけて20~30℃に冷却した。次に、284kgのメチルシクロヘキサンを、6~8時間かけて徐々に添加した。添加後、混合物を、20~30℃で、3~12時間攪拌し、次いで、3~12時間かけて0~10℃に冷却し、さらに6~8時間、攪拌しながら、0~10℃に維持した。次いで、所望の塩を収集し、16kgのMCHで2回洗浄し、濾過し、50℃で、8~24時間乾燥させて、17.96kgの最終生成物を得、これが単一のS4結晶形であることをXRPDによって確認した(図2を参照すること)。シャープなピークおよびフラットな基線を含むその独特のXRPDパターンのため、S4形は、少なくとも90%の結晶純度を有する単一の結晶形であると考えられた。
【0085】
実施例6:吸湿性および溶解度の試験
以前に記載されたDVS測定に基づき、S4形は、0~80%RHで低い吸湿性を示し、80%RHにおける重量増加は、わずか0.41%であり、これは、80%RHにおける重量増加が0.56%であったD形よりわずかに低かった。
【0086】
S4形の溶解挙動を、D形と比較して評価するため、複数の試験を実施した。pH2における固有溶解速度は、S4形(429.3μg/cm2-min)およびD形(440.4μg/cm2-min)について類似の結果を示した。大気温度において、様々な生体関連媒体において、平衡溶解度も測定した。S4形は、空腹状態模擬胃液(FaSSGF)中での高い平衡溶解度(2.52mg/ml)、および空腹状態模擬腸液(FaSSIF)中での低い平衡溶解度(0.05mg/ml)を示し、これらは、D形について観察されたものと類似していた(それぞれ、2.08および0.08mg/ml)。
【0087】
FDAのガイダンスに従い、インビボ-インビトロ相関(IVIVC)、即ち、剤形のインビトロ特性とインビボ応答との相関を確立するため、経口剤形中の原薬のインビトロ溶解試験を適切に設計することができる。このガイダンスにより、薬物生成物の性能に対する影響を評価するため、D結晶形およびS4結晶形を含有するフマル酸塩の2つのバッチを使用して、錠剤を調製した。フマル酸塩の2つのバッチおよび賦形剤の各々を、個々に篩過した後、計量した。次いで、各成分の所望の量をシェーカーミキサーに移し、混和した。次いで、2つのバッチについての打錠を、シングルパンチ打錠機を使用して実施した。
【0088】
次いで、これらの錠剤の性能を、適切にバリデートされた溶解試験法を使用して評価した。結果は、錠剤の両方のバッチが極めて類似した溶解プロファイルを有することを示し:全てのバッチについて、60分後の最終平均濃度は94%に達した(表14を参照すること)。これらのデータは、S4結晶形から作成された薬物生成物が、インビトロ溶解試験に関して、D形と同等の性能を示すことを示しており、これは、FDAのガイダンスによって示唆される生物学的同等性を意味する。
【0089】
(表14)それぞれの経口剤形中のS4形およびD形についてのインビトロ溶解試験
【0090】
実施例7:薬物動態分析
化合物(I)の臨床開発において、D多形またはS4多形のいずれかを各々含有するフマル酸塩の2つのバッチを使用して、Current Good Manufacturing Practice(cGMP)規則に従って、錠剤を調製した。これらを、以下のセクションにおいて、D形錠剤およびS4形錠剤と呼ぶ。
【0091】
方法:
薬物投与、血液収集、および血漿調製
カナダ保健省(Health Canada)および薬物を投与する病院の研究倫理委員会によって承認された臨床試験において、患者への投薬を行った。8人の患者にS4形錠剤を投与し、うち6人は48mgの用量レベル、2人は160mgの用量レベルであった。64人の患者に、3~160mgの範囲の用量で、D形錠剤を投与した。
【0092】
投薬前、ならびに投薬の2、4、および6時間後、分析のために血液を収集した。簡単に説明すると、標準的な静脈切開手技を使用して、およそ6mLの血液をK3EDTA血液収集チューブに収集し、次いで、混合するため8~10回反転させた。次いで、試料を、およそ5℃で、1,000gで10~15分間遠心分離した。血液の血漿画分を使い捨てピペットを使用して取り出し、新たなチューブに移し、-70℃で凍結させ、その後、分析のためドライアイス上で輸送した。
【0093】
ヒト血漿分析
全ての適用可能なUSFDA、OECD、およびMHLWの規則、ならびにUSFDA Guidance for Industry:Bioanalytical Method Validation May 2001に従ってバリデートされた方法を使用して、血漿中の化合物(I)のレベルを測定した。簡単に説明すると、内部標準としての化合物(I)13C6および抗凝固剤としてのK3EDTAと共に化合物(I)を含有するヒト血漿試料を、液液抽出によって調製した。抽出溶媒の蒸発後、試料抽出物を再生させ、Waters Atlantis dC18を使用した逆相HPLCによって分析した。エレクトロスプレーポジティブイオン化に設定されたZスプレーイオン源/インターフェイスにおいて加熱された窒素を使用して移動相を噴霧した。イオン化された化合物をMS/MSを使用して検出した。化合物濃度を決定するため、参照標準材料を使用して作成された標準曲線試料と、実験試料を比較した。薬物動態パラメータを、Excelアドイン「PK Functions」を使用して決定した。
【0094】
結果
異なる用量レベルにおいて用量を比較するため、曝露(AUC0-6h値)(ng*h/mL)を、投与された用量(mg)で割った。結果は図3にプロットされる。D形錠剤の投薬後の用量で正規化された曝露の平均値は、3.11±2.19ng*h/mL/mgであった。S4形の投薬後の用量で正規化された曝露の平均値は、5.99±2.48ng*h/mL/mgであった。両側t検定を使用して計算された有意性についてのp値は、0.0009であった。
【0095】
結論
S4形を含有する錠剤の投薬は、D形を含有する錠剤の投薬より高い曝露レベルを患者においてもたらす。提示されたデータにおいて、D形錠剤と比較した、S4形錠剤の投薬後の曝露の増加倍率の平均値は、5.99/3.11=1.9倍である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】