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特表2022-530074ケラチン豊富な基質の再成形並びに付着性の柔軟なフィルムの形成のための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】ケラチン豊富な基質の再成形並びに付着性の柔軟なフィルムの形成のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/58 20060101AFI20220620BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20220620BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20220620BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220620BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20220620BHJP
   A61K 8/892 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
A61K8/58
A61Q5/04
A61Q5/00
A61K8/02
A61K8/42
A61K8/892
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563094
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(85)【翻訳文提出日】2021-12-22
(86)【国際出願番号】 US2020021675
(87)【国際公開番号】W WO2020219163
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/838,691
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521439187
【氏名又は名称】ゲレスト・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バリー・シー・アルクレス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ディー・ゴフ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー・キャンベル・ディメッラ
(72)【発明者】
【氏名】アリソン・アン・フィリップス
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB282
4C083AB312
4C083AC212
4C083AC272
4C083AC291
4C083AC292
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC681
4C083AC682
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD161
4C083AD162
4C083CC31
4C083CC34
4C083DD06
4C083EE21
4C083EE29
(57)【要約】
シラノールとヘミアミナールとの乳化もしくは可溶性混合物、またはシリル化ヘミアミナールを含むシラノールとヘミアミナールとの反応生成物を含む、付着性の柔軟なフィルムを形成しつつ、ケラチン豊富な基質の再形成を行うための組成物及び方法。髪の枝毛の処理する方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのオルガノシラノール成分及び少なくとも1つの有機ヘミアミナール成分を含む組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのオルガノシラノールが、モノマー性、ポリマー性、または樹脂質のオルガノシラノールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのオルガノシラノールが、ヒドロキシ末端ポリマー性ジオルガノシロキサンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つのオルガノシラノールが、オルガノシラントリオールまたはジオルガノシランジオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの有機ヘミアミナールが、ヘミアミナールエーテル、ヘミアミナールシリルエーテル、及びヘミアセタールシリルエーテルからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの有機ヘミアミナールが、イミダゾリジニルウレア、ジアゾリジニルウレア、及びポリオキシメチレンウレアからなる群より選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ポリマー性シロキサンに結合したアミンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つのオルガノシラノール成分が、オルガノシラントリオール及びジオルガノシロキサンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
基質活性化成分、少なくとも1つのシラノール及び少なくとも1つのシロキサンを含む混合物、並びに少なくとも1つの有機ヘミアミナールを含むキット。
【請求項10】
基質活性化成分が、約1から4のpHを有する水溶液である、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
基質活性化成分が、マレイン酸またはマレイン酸塩を含む、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
基質活性化成分が、約10から13のpHを有する水溶液である、請求項9に記載のキット。
【請求項13】
少なくとも1つの有機ヘミアミナールが、ヘミアミナールエーテル、ヘミアミナールシリルエーテル、及びヘミアセタールシリルエーテルからなる群より選択される、請求項9に記載のキット。
【請求項14】
ケラチン豊富な基質を再形成するための方法であって、以下:
(a)基質活性化組成物を基質に適用する工程、
(b)基質を温めて乾燥させる工程、
(c)基質に固定性組成物を適用する工程、及び
(d)基質を温めて乾燥させる工程
を含み、
前記固定性組成物は、少なくとも1つのシラノールと少なくとも1つのシロキサンとを含む混合物、及び少なくとも1つの有機ヘミアミナールを含み、且つ
前記基質活性化成分は、約1から4のpHまたは約10から13のpHを有する水溶液である、方法。
【請求項15】
工程(b)及び(c)が同時に実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
毛髪の枝毛を処理する方法であって、以下:
(a)基質活性化組成物を毛髪に塗布する工程、
(b)毛髪を温めて乾燥させる工程、
(c)固定性組成物を毛髪に適用する工程、
(d)毛髪を温めて乾燥させる工程、
を含み、
前記固定性組成物は、少なくとも1つのシラノールと少なくとも1つのシロキサンとを含む混合物、及び少なくとも1つの有機ヘミアミナールを含み、且つ
前記基質活性化成分は、約1から4のpHまたは約10から13のpHを有する水溶液である、方法。
【請求項17】
工程(b)及び(c)が同時に実施される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年4月25日に出願された米国仮特許出願番号62/838,691の優先権を主張するものであり、その開示内容は、その全体を参照により本明細書中に援用することとする。
【背景技術】
【0002】
ケラチン豊富な基質、例えば、ウール、シルク、及び毛髪を再成形または縮毛矯正(relax)する一方で、同時に、改質された基質に、「手触り」とも呼称される柔らかな感触または滑らかな触覚応答を付与することがしばしば望ましい。処理された基質の光沢またはツヤは、さらなる好ましい特徴である。ケラチン豊富な基質を改質する一般的な方法は、ホルムアルデヒド(例えば、C. Wethersby et al. Journal of Cosmetic Dermatology, 12, 144-148 (2013) 参照)またはグリオキサール(米国特許第3,951,156号参照)を含む処理剤を適用することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,951,156号
【特許文献2】米国特許第4,720,383号
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0044550号
【特許文献4】米国特許第10,487,242号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】C. Wethersby et al. Journal of Cosmetic Dermatology, 12, 144-148 (2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの方法は、いずれも、髪を滑らかにするものでも、光沢を与えるものでもない。さらにまた、ホルムアルデヒドは毒性であり、発がん物質である可能性があることから、ホルムアルデヒドを使用せずに消費者に縮毛矯正を提供する代替方法は、健康リスクを低減する。繊維、髪、皮膚を、イミダゾリニウム化合物を使用して軟化させ、コンディショニングする方法もまた、既知である(米国特許第4,720,383号参照)。
【0006】
ヘミアミナールエーテル(「アミナール」とも呼称)は、一般構造R’’’-C(NR’2)(OR’’)-R’’’を有するエーテルの一種である。ヘミアミナールエーテルは、直鎖状または環状であってよく、グリコシルアミンは環状ヘミアミナールエーテルの例である。ヘミアミナールエーテルは、下記の左の構造に示されるように、アルデヒドから誘導されても、下記の右の構造に示されるように、ケトンから誘導されてもよい。
【0007】
【化1】
【0008】
複数のへミアミナール置換基を有する化合物には、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素(いずれも以下に示す)、及びポリオキシメチレン尿素が含まれる
【0009】
【化2】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施態様による組成物は、少なくとも1つの有機シラノール成分及び少なくとも1つの有機ヘミアミナール成分を含む。
【0011】
第2の実施態様では、本開示は、基質活性化成分、少なくとも1つのシラノールと少なくとも1つのシロキサンとを含む混合物、及び少なくとも1つの有機ヘミアミナールを含むキットに関する。
【0012】
本開示のさらなる実施態様によるケラチン豊富な基質を再成形する方法は、
(a)基質活性化組成物を基質に適用する工程、
(b)基質を温めて乾燥させる工程、
(c)基質に固定性組成物を適用する工程、及び
(d)基質を温めて乾燥させる工程
を含み、
前記固定性組成物は、少なくとも1つのシラノールと少なくとも1つのシロキサンとを含む混合物、及び少なくとも1つの有機ヘミアミナールを含み、且つ
前記基質活性化成分は、約1から4のpHまたは約10から13のpHを有する水溶液である。
【0013】
本開示のさらなる実施態様による毛髪の枝毛(split-ends)を処理する方法は、
(a)基質活性化組成物を毛髪に塗布する工程、
(b)毛髪を温めて乾燥させる工程、
(c)固定性組成物を毛髪に適用する工程、
(d)毛髪を温めて乾燥させる工程、
を含み
前記固定性組成物は、少なくとも1つのシラノールと少なくとも1つのシロキサンとを含む混合物、及び少なくとも1つの有機ヘミアミナールを含み、且つ
前記基質活性化成分は、約1から4のpHまたは約10から13のpHを有する水溶液である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、基質を改質して、もちがよく、耐洗浄性の、柔らかなドレープ性を与えることによって、基質に滑らかな感触及び柔らかな触覚相互作用を付与する組成物に関する。さらに、この組成物は、ケラチン豊富な基質、例えばウール又は毛髪に適合する、柔軟なフィルムを形成する。これらの組成物は、有毒なホルムアルデヒドを含まないことから、ヘアトリートメント製品として特に魅力的である。本開示はまた、ケラチン豊富な基質に、光沢を有する耐洗浄性の滑らかなフィルムを提供し、その強度及び耐久性を維持しつつ基質を再形成するための方法にも関する。本明細書中に記載される組成物の毛髪への適用により、解れて傷んだ毛髪がまとまり、「枝毛」を修復する作用が得られる。最後に、本開示は、基質処理中に生成され得るホルムアルデヒドを捕捉する方法を提供する。
【0015】
「ケラチン豊富」なる語は、乾燥ベースで約75質量%以上のケラチンを含む基質を意味する。ケラチン豊富な基質は、以下に限定されるものではないが、絹、ウール、及び毛髪を含む。
【0016】
本開示の態様による組成物は、2つの成分:オルガノシラノール成分(モノマー性、ポリマー性、又は樹脂質)と有機ヘミアミナール成分(例えば、ヘミアミナールエーテル、ヘミアミナールシリルエーテル、及び/又はヘミアセタールシリルエーテル)の水性混合物である。これらの成分は、共に、ケラチン基材とメチロール化(O-(CH2O)-基でプロトン性種を誘導体化)するか、あるいは、ケラチン基質と橋かけアセタール結合O-(C(OH)HCH(OH)O)-を形成することによって架橋し、基質を包み込む柔軟なフィルムを形成することが可能である。
【0017】
この組成物のシラノール成分は特に限定されず、モノマー性、ポリマー性、または樹脂質のシラノール単量体、あるいはこれらの組み合わせのいずれであってもよい。例えば、ポリマー性シラノールの例は、ケイ素原子に結合した水酸基を有するポリマー性ジオルガノシロキサンであり、これは、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンなどのヒドロキシ末端ポリジオルガノシロキサンとも記載することができる。
【0018】
オルガノシラントリオール(ケイ素原子に結合した3つの水酸基を含む)は、モノシラノールまたはジシラノール化合物よりも、フィルム形成性を有するシリル化ヘミアミナール及びシリル化アセタールを形成する性能に優れていることから、好ましいモノマー性シラノール成分である。好ましいオルガノシラントリオールの例には、以下に限定されるものではないが、アルキルシラントリオール、例えばプロピルシラントリオール及びオクチルシラントリオール及びこれらのオリゴマー性縮合物、芳香族シラントリオール、例えばフェニルシラントリオールのエマルションの形態のもの、及び溶液形態のメトキシ(ジエチレンオキシ)プロピルシラントリオールが含まれる。組成物中に、ジアルキルシランジオール、例えばジ-n-ブチルシランジオール、トリメチルシラノール、及び/又はフェニルジメチルシラノールを含むジオルガノシランジオールを、単独又は別のオルガノシラノールとの組み合わせで含めることもまた、本開示の範囲内である。好ましいオルガノシラントリオール及びジオルガノシロキサンは、米国特許出願公開第2018/0044550号に記載されており、その開示は、参照によりその全体を本明細書中に援用することとする。適切な樹脂質シラノールには、例えば、シラノール末端ポリシルセスキオキサンとも呼称されるシラノール末端「T」樹脂が含まれる。
【0019】
前記組成物のヘミアミナール化合物は、任意の水溶性又は水分散性有機へミアミナール、例えばヘミアミナールエーテル、ヘミアミナールシリルエーテル、及び/又はヘミアセタールシリルエーテルであってよいが、複数のヘミアミナール置換基を有する化合物が最も好ましく、これには、以下に限定されるものではないが、イミダゾリジニルウレア、ジアゾリジニルウレア、及びポリオキシメチレンウレアが含まれる。ヘミアミナールシリルエーテル又はヘミアセタールシリルエーテルは、別個の成分として組成物に含まれてもよく、あるいは、ヘミアミナールとシラノール含有化合物との反応により形成されてもよい。好ましいシリル化ヘミアミナール(ヘミアミナールシリルエーテル)の例には、以下:
【化3】
が含まれる。
【0020】
水溶性または水分散性のヘミアミナーエーテルは、ウレアとホルマリンの溶液をシラノール種の溶液またはエマルションと混合することによって、シラノール種の存在下で生成され、直接シリル化ヘミアミナールをもたらしうる。しかしながら、微量の未反応ホルムアルデヒドが残留する可能性があることから、これは本開示による組成物の生成の、好ましい方法ではない。
【0021】
ヘミアミナールシリルエーテル及びヘミアセタールシリルエーテルは、一般式RNH-CH2-O-Si(OR3-n)R’n及びRO-CH2-OSi(OR3-n)R’nを有し、ここでRはケイ素または水素原子、または有機基であり、またR’は有機基である。
【0022】
理論に束縛されることを望まないが、オルガノシラノールは、ヘミアミナールエーテルとの反応により、最初にヘミアミナールシリルエーテルを形成することで、ヘミアセタールシリルエーテルを形成すると考えられている。ヘミアセタールシリルエーテルは、シラノール基(SiO-H)の酸性度が対応するアルコール(CO-H)よりも相対的に高いことから、ヘミアセタールよりも安定性が高いと予想される。さらにまた、高い安定性のため、水性相互作用の結果としてのヘミアセタールのホルムアルデヒドへの解離が抑制される。最も重要なことには、ヘミアセタールシリルエーテルは、水性媒体中でのケラチン豊富な基質のメチロール化において、ホルムアルデヒドよりも効果的であるということである。別のアルデヒド、例えばグリオキサール及びグルタルアルデヒドのシリルエーテルは、本開示の組成物を形成することができるが、これらは好ましくない。
【0023】
本開示の組成物は、酸性pH(有機酸、例えばマレイン酸又はマレイン酸モノエチルエステルの添加による)又は10を超える塩基性pH(塩基、例えば水酸化ナトリウムの添加による)によって活性化される。
【0024】
一実施態様では、組成物の活性成分は、2成分又は3成分のキットとして提供され、この場合、1つ以上の成分が別々に提供されて使用の直前に混合又は活性化される。本開示による好ましいキットの一成分(A部)は、マレイン酸もしくはマレイン酸塩を含む水性溶液、あるいはまた、約10から13のpHに調整された水性溶液を含む、基質活性化成分である。B部は、キットの固定性成分であり、シラノール/シロキサン混合物、例えば米国特許第10,487,242号(米国特許出願公開第2018/0044550号)に記載のものなどを含み、さらに有機ヘミアミナール成分(上述のヘミアミナールエーテル、ヘミアミナールシリルエーテル、及び/またはへミアセタールシリルエーテル)を含む組成物として提供される。固定性成分Bは、100%の濃度で使用してもよいが、好ましくは約1から30%の濃度の水性溶液とする。あるいは、シラノール/シロキサン混合物及びヘミアミナール成分は、3成分キットにおいて別々の成分として提供され、これらの溶液が使用前に混合されてもよい。
【0025】
本開示によるケラチン豊富な基質を再形成する方法には、最初にpH調整水性溶液を含む基質活性化組成物(「A部」とも呼称される)を基質に適用し、次に基質を徐々に加温して乾燥させることが含まれる。さらなる工程には、上述の固定性組成物(「B部」とも呼称される)を、室温にてpH調整された水溶液又は分散液として基質に適用し、その後徐々に基質に加温して乾燥させることが含まれる。あるいは、B部を基質に、基質に徐々に加温して乾燥させつつ適用し(A部の適用後)、その後基質を再度加温して乾燥させ、このプロセスを完了させてもよい。pH調整は、好ましくは約1から4のpH、または約10から13のpHとすることが好ましい。理論に束縛されることを望まないが、pH約5から8の「中性範囲」外にpHを調整することにより、ケラチンのわずかな変性が引き起こされ、タンパク質骨格中の反応性ヒドロキシル基またはアミン基へのアクセスがより容易になると考えられている。B部は、好ましくは、A部と同様のpHに、同一成分を用いて調整される。
【0026】
本開示による毛髪の枝毛を処理する方法は、まず、pH調整水性溶液を含む基質活性化組成物(「A部」とも呼称される)を毛髪に適用し、その後、毛髪に徐々に加温して乾燥させることを含む。さらなる工程は、上述の固定性組成物(「B部」とも呼称される)を、室温にてpH調整された水性溶液又は分散液として毛髪に適用し、その後、毛髪に徐々に加温して乾燥させることを含む。あるいは、B部を、毛髪に徐々に加温して乾燥させつつ毛髪に適用し(A部の適用後)、その後毛髪を再度加温して乾燥させ、このプロセスを完了させてもよい。pH調整は、好ましくは約1から4のpH、または約10から13のpHとすることが好ましい。B部は、好ましくは、A部と同様のpHに、同一成分を用いて調整される。
【0027】
上述の組成物の適用後に、基質に加温して乾燥させるための適切な時間及び温度は、基質のタイプによって決定され、約250℃の最高温度での数秒ないし数分から、約90℃でのより長時間、例えば約10から30分に及ぶ。市販のウール生地は、250℃までの処理温度を許容し得るが、フラットアイロンを用いる家庭又はサロン環境における個人のヘアトリートメントは、好ましくはより低い温度、例えば180℃から230℃であることが好ましい。有利には、毛髪及びウールを含むケラチン豊富な基質の変形は、連続的な洗浄においても維持される。
【0028】
本開示の組成物中でホルムアルデヒドが生成するとは考えられないが、好ましい実施態様では、ポリマー性シロキサンに結合したアミン、例えばアミノエチルアミノプロピルメトキシシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマーが、シッフ塩基(イミン)の形成によって、存在する任意の遊離アルデヒドと反応可能であることから、予防措置として導入される。
【0029】
既知の毛髪強化処理と前記組成物及び方法を組み合わせて使用することも、本開示の範囲内であるが、これは一般に好ましくない。
【0030】
本開示の態様は、以下の非限定的実施例と関連して詳説される。
【実施例
【0031】
実施例1:組成物1(マレイン酸塩を用いてpHを11に調整)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えて溶液をpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであるジアミン官能シリコーンエマルション(Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販)130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の希釈溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させ、水酸化ナトリウムでpH11に調整した。一般的な意味では、この組成物は、2.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0032】
実施例2:組成物2(水酸化ナトリウムを用いてpHを11に調整)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えて溶液をpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであるジアミン官能シリコーンエマルション(Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販)130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、pHが11である水酸化ナトリウムの希釈溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させた。一般的な意味では、この組成物は、2.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0033】
実施例3:組成物3(バッファーを用いてpHを11に調整)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えて溶液をpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであるジアミン官能シリコーンエマルション(Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販)130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、pHが11である0.35%リン酸水素ナトリウムバッファーで50部に希釈することによって最終組成物を生成させた。一般的な意味では、この組成物は、2.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0034】
実施例4:組成物4(B部のシリコーン含量が2倍)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであり、Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販されている、ジアミン官能シリコーンエマルション130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の希釈溶液で25部に希釈することによって最終組成物を生成させ、水酸化ナトリウムでpH11に調整した。一般的な意味では、この組成物は、4.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0035】
実施例5:組成物5(B部のシリコーン含量が4倍)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであり、Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販されている、ジアミン官能シリコーンエマルション130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物4部を、マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の希釈溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させ、水酸化ナトリウムでpH11に調整した。一般的な意味では、この組成物は、8.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0036】
実施例6:組成物6(1.0%のグリオキサールを含む)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであるジアミン官能シリコーンエマルション(Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販)130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)及び1質量%の40%グリオキサール水溶液を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の希釈溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させ、水酸化ナトリウムでpH11に調整した。一般的な意味では、この組成物は、2.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0037】
実施例7:組成物7(pH3のシラン溶液)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH3に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであるジアミン官能シリコーンエマルション(Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販)130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の希釈溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させ、水酸化ナトリウムでpH11に調整した。一般的な意味では、この組成物は、2.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0038】
実施例8:組成物8(pH6のシラン溶液を使用)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH6に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであるジアミン官能シリコーンエマルション(Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販)130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の希釈溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させ、水酸化ナトリウムでpH11に調整した。一般的な意味では、この組成物は、2.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0039】
実施例9:組成物9(B部のシリコーン含量が8倍)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであり、Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販されている、ジアミン官能シリコーンエマルション130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物8部を、マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の希釈溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させ、水酸化ナトリウムでpH11に調整した。一般的な意味では、この組成物は、16.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0040】
実施例10:組成物10(4.0%のグリオキサールを含む)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであるジアミン官能シリコーンエマルション(Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販)130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)及び4%の40%グリオキサール水溶液を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の希釈溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させ、水酸化ナトリウムでpH11に調整した。一般的な意味では、この組成物は、2.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0041】
実施例11:組成物11(2%のジアゾリジニルウレア)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH3に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであるジアミン官能シリコーンエマルション(Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販)130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(24.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の希釈溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させ、水酸化ナトリウムでpH11に調整した。一般的な意味では、この組成物は、2.0%のシラノール豊富なエマルション、1.0%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0042】
実施例12:組成物12(マレイン酸を使用してpH4)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであるジアミン官能シリコーンエマルション(Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販)130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、0.152gの無水マレイン酸を1リットルの水に溶解させることによって調製した溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させた。一般的な意味では、この組成物は、2.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び0.02%の無水マレイン酸水溶液から得られる、pH<4の複合混合物である。
【0043】
実施例13:組成物13(アミンを使用してpH11)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであるジアミン官能シリコーンエマルション(Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販)130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、1リットルの水中16.85gのポリエーテルジアミンの溶液で50部に希釈することによって最終組成物を生成させた。一般的な意味では、この組成物は、2.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び0.02%のポリエーテルジアミン水溶液から得られる、pH>11の複合混合物である。
【0044】
実施例14:組成物14(B部のシリコーン含量が10倍)
中速(50から500rpm)スターラーを備えた三つ口フラスコに、1700mLの脱イオン水及び8mLの酢酸を仕込んだ。320mLのオクチルトリエトキシシランを、滴下漏斗から急速に添加した。当初、この混合物は2相を形成したが、3~5時間で単一の均質相となった。溶液が均質になった時点で、160mLの1M炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpH4に調整した。中和が完了した後、50%の固形分を含み、アミン当量が0.45mEq/gであり、Wacker Siliconesより商品名BS1306にて市販されている、ジアミン官能シリコーンエマルション130gを、低速(<50rpm)撹拌しつつ混合物に添加した。混合物を室温で少なくとも24時間おいた。次いで、ジアゾリジニルウレア(12.0g)を、エマルションに、撹拌しつつ添加し、撹拌を添加の後5から10分間継続した。使用直前に、この混合物1部を、マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の希釈溶液で40部に希釈することによって最終組成物を生成させ、水酸化ナトリウムでpH11に調整した。一般的な意味では、この組成物は、20.0%のシラノール豊富なエマルション、0.5%のジアゾリジニルウレア、及び残量の水から得られる複合混合物であり、水酸化ナトリウムでpH11に調整されたものである。
【0045】
実施例15:毛髪を縮毛矯正して滑らかにする方法
予め洗浄し乾燥させた毛髪試料を、櫛で梳くか、あるいはもつれをほぐした。マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の0.25%溶液を含み、水酸化ナトリウムでpH11に調整した基質活性化組成物(A部)を基質(毛髪)に適用し、全ての毛束が液体と完全に接触するようにした。好ましくは、この溶液は、1~2インチ毎に分割して適用した。A部を毛髪と5分間接触させた後、熱で、好ましくは張力を用いるブロードライヤーで、及び櫛もしくはブラシを用い、基質を1から2インチ部分毎に引っ張ってストレートにすることで乾燥させた。全ての部分が完全に乾燥した後、基質を、190℃に設定したフラットアイロンを4回当ててさらにストレートにした。基質を5分間、または触れても温かくなくなるまで、休ませた(触れずに静置した)。処理の第2段階では、毛髪をB部の組成物と接触させた。B部は、上記実施例1~13に記載の組成物であり、A部と同一濃度のマレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩、及び水酸化ナトリウムを含む。B部の適用直後に、毛髪を、好ましくは張力をかけて、例えば、1から2インチ部分毎に櫛で梳くかまたはブラシをかけつつ、ブロードライヤーの熱で乾燥させた。全ての部分が完全に乾燥した後、毛髪に190℃に設定したフラットアイロンを4回当てて、さらにストレートにした。毛髪は、処理直後には洗浄しなかった。毛髪が、処理後には縮毛矯正され、より滑らかであり、光沢が増していることが定性的に観察された。この縮毛矯正と滑らかさは、毛髪を25回連続して洗浄した後にも維持された。
【0046】
実施例16:毛髪を縮毛矯正して滑らかにする方法
フラットアイロンの温度を230℃に調整した以外は、実施例15に記載の方法を繰り返した。
【0047】
実施例17:毛髪を縮毛矯正して滑らかにする方法
予め洗浄し乾燥させた毛髪試料を、櫛で梳くか、あるいはもつれをほぐした。実施例15に記載のA部の組成物を基質(毛髪)に適用し、全ての毛束が液体と完全に接触するようにした。好ましくは、この溶液は、1~2インチ毎に分割して適用した。A部を毛髪と5分間接触させた。処理の第2段階では、実施例15に上述の通り、毛髪をB部の組成物を接触させた。B部の適用直後に、毛髪は、好ましくは張力をかけて、例えば、1から2インチ部分毎に櫛で梳くかまたはブラシをかけつつ、ブロードライヤーの熱で乾燥させた。全ての部分が完全に乾燥した後、毛髪に190℃に設定したフラットアイロンを4回当てて、さらにストレートにした。毛髪は、処理直後には洗浄しなかった。この毛髪は、処理後には縮毛矯正され、より滑らかであり、光沢が増していることが定性的に観察された。
【0048】
実施例15に記載の方法を用いて適用した場合、実施例1~13で調製した組成物は、異なる程度の滑らかさ及び縮毛矯正をもたらした。一般に、滑らかさと縮毛矯正は同様の傾向を示し、マレイン酸塩及び高濃度のシリコーンエマルションを含む製剤は、これらの成分を含まない製剤よりも優れた性能を示す。滑らかさはシリコーンエマルションの濃度が高いほど向上し、縮毛矯正はほぼ同等であった。
【0049】
実施例18:毛髪を縮毛矯正して滑らかにする方法(B部を乾燥させた後のストレート化工程を省略することによる短縮版)
予め洗浄し乾燥させた毛髪試料を、櫛で梳くか、あるいはもつれをほぐした。マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の0.25%溶液を含み、水酸化ナトリウムでpH11に調整した基質活性化組成物(A部)を基質(毛髪)に適用し、全ての毛束が液体と完全に接触するようにした。好ましくは、この溶液は、1~2インチ毎に分割して適用した。A部を毛髪と5分間接触させた後、熱で、好ましくは張力を用いるブロードライヤーで、及び櫛もしくはブラシを用い、基質を1から2インチ部分毎に引っ張ってストレートにすることで乾燥させた。全ての部分が完全に乾燥した後、毛髪を、190℃に設定したフラットアイロンを4回当ててさらにストレートにした。毛髪を5分間、または触れても温かくなくなるまで、休ませた(触れずに静置した)。処理の第2段階では、毛髪をB部の組成物と接触させた。B部は、上記実施例1~14に記載の組成物であり、A部と同一濃度のマレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩、及び水酸化ナトリウムを含む。B部の適用直後に、毛髪を、好ましくは張力をかけて、例えば、1から2インチ部分毎に櫛で梳くかまたはブラシをかけつつ、ブロードライヤーの熱で乾燥させた。毛髪を、処理の直後に洗浄した。毛髪が、処理の後には縮毛矯正され、より滑らかであり、光沢が増していることが定性的に観察された。この縮毛矯正と滑らかさは、毛髪を25回連続して洗浄した後にも維持された。
【0050】
実施例19:毛髪を縮毛矯正して滑らかにする方法(A部を濡れた毛髪に適用し、B部を乾燥させた後のストレート化工程を省略することによる短縮版)
予め洗浄し50%以上乾燥させた毛髪試料を、櫛で梳くか、あるいはもつれをほぐした。マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の0.25%溶液を含み、水酸化ナトリウムでpH11に調整した基質活性化組成物(A部)を基質(毛髪)に適用し、全ての毛束が液体と完全に接触するようにした。好ましくは、この溶液は、1~2インチ毎に分割して適用した。A部を毛髪と5分間接触させた後、熱で、好ましくは張力を用いるブロードライヤーで、及び櫛もしくはブラシを用い、基質を1から2インチ部分毎に引っ張ってストレートにすることで乾燥させた。全ての部分が完全に乾燥した後、毛髪を、190℃に設定したフラットアイロンを4回当ててさらにストレートにした。毛髪を5分間、または触れても温かくなくなるまで、休ませた(触れずに静置した)。処理の第2段階では、毛髪をB部の組成物と接触させた。B部は、上記実施例1~14に記載の組成物であり、A部と同一濃度のマレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩、及び水酸化ナトリウムを含む。B部の適用直後に、毛髪を、好ましくは張力をかけて、例えば、1から2インチ部分毎に櫛で梳くかまたはブラシをかけつつ、ブロードライヤーの熱で乾燥させた。毛髪を、処理の直後に洗浄した。毛髪が、処理の後には縮毛矯正され、より滑らかであり、光沢が増していることが定性的に観察された。この縮毛矯正と滑らかさは、毛髪を25回連続して洗浄した後にも維持された。
【0051】
実施例20:毛髪の枝毛を処理する方法
予め洗浄し50%以上乾燥させた毛髪試料を、櫛で梳くか、あるいはもつれをほぐした。マレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩の0.25%溶液を含み、水酸化ナトリウムでpH11に調整した基質活性化組成物(A部)を、基質(毛髪)の毛先2~3インチに適用し、全ての毛束が液体と完全に接触するようにした。A部を毛髪と5分間接触させた後、熱で、好ましくは張力を用いるブロードライヤーで、及び櫛もしくはブラシを用い、基質を引っ張ってストレートにすることで乾燥させた。全ての部分が完全に乾燥した後、毛髪を、190℃に設定したフラットアイロンを4回当ててさらにストレートにした。毛髪を5分間、または触れても温かくなくなるまで、休ませた(触れずに静置した)。処理の第2段階では、前記同様に毛髪の毛先2~3インチをB部の組成物と接触させた。B部は、上記実施例1~14に記載の組成物であり、A部と同一濃度のマレイン酸、トリオキサトリデカンジアミン塩、及び水酸化ナトリウムを含む。B部の適用直後に、毛髪を、好ましくは張力をかけて、例えば、1から2インチ部分毎に櫛で梳くかまたはブラシをかけつつ、ブロードライヤーの熱で乾燥させた。毛髪を、処理の直後に洗浄した。50の毛髪試料の外部試験所のテストにより、74%の枝毛が完全な修復、及びさらに14%の枝毛の改善がもたらされた。枝毛の改善とは、枝毛の角度を少なくとも30%低減させることと定義される。毛髪が、処理後により強くなっていることが定性的に観察された。
【0052】
当業者によれば、上述の実施態様には、その広い発明概念から逸脱することなく変更を加えることができると理解されよう。また、この開示に基づき、当業者であれば、以上に例示される成分の相対的な割合を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変化させることができるとさらに認識するであろう。このため、本発明は、開示された特定の実施態様に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲内の変更を網羅することを意図する旨が理解される。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン豊富な基質を再形成するための方法であって、以下:
(a)基質活性化組成物を基質に適用する工程、
(b)基質を温めて乾燥させる工程、
(c)基質に固定性組成物を適用する工程、及び
(d)基質を温めて乾燥させる工程
を含み、
前記固定性組成物は、少なくとも1つのシラノールと少なくとも1つのシロキサンとを含む混合物、及び少なくとも1つの有機ヘミアミナールを含み、且つ
前記基質活性化成分は、約1から4のpHまたは約10から13のpHを有する水溶液である、方法。
【請求項2】
工程(b)及び(c)が同時に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの有機ヘミアミナールが、直鎖状のヘミアミナールエーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの有機ヘミアミナールが、ヘミアミナールシリルエーテル及びヘミアセタールシリルエーテルからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの有機ヘミアミナールが、イミダゾリジニルウレア、ジアゾリジニルウレア、及びポリオキシメチレンウレアからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのシラノールが、モノマー性、ポリマー性、または樹脂質のオルガノシラノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのシラノールが、ヒドロキシ末端ポリマー性ジオルガノシロキサンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのシラノールが、オルガノシラントリオールまたはジオルガノシランジオールである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記固定性組成物が、ポリマー性シロキサンに結合したアミンをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記固定性組成物が、オルガノシラントリオール及びジオルガノシロキサンを含む、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】