(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】津波を検出して津波の警告を出すためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01V 1/00 20060101AFI20220620BHJP
G01C 13/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
G01V1/00 Z
G01C13/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563113
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 SE2020050404
(87)【国際公開番号】W WO2020218963
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521462141
【氏名又は名称】シーワード・ツナミ・アラーム・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】メリン,シグルド
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA03
2G105EE01
2G105GG01
2G105MM04
(57)【要約】
本発明は、津波の検出および警告に適する方法およびデバイスに関する。デバイスが使用時に海水中に位置し、デバイスが、容器(2)と、周囲の水の物理量を測定するためのセンサ(3)と、容器(2)の内部に位置して上記センサ(3)に動作可能に接続される制御ユニット(4)と、上記物理量に関連する所定の条件が満たされることを外部受信機に通信するための送信機を備える通信手段(10)と、を備える。デバイスが、バラストタンク(8)の内部が容器(2)の外側部分に接続される、バラストタンク(8)と、起動時にバラストタンク(8)の内部から容器(2)の外側部分まで水を圧送するように構成されるポンプ(6)と、をさらに備え、バラストタンク(8)に水が充填されている場合はデバイスの全体の密度が周囲の水の密度より高く、バラストタンク(8)の水が空である場合はデバイスの全体の密度が周囲の水の密度より低い、ことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
津波の検出および警告に適するデバイスにおいて、前記デバイスが使用時に海水中に位置し、前記デバイスが、
- 容器(2)と、
- 周囲の水の少なくとも1つの物理量を測定するためのセンサ(3)と、
- 前記容器(2)の内部に位置して前記センサ(3)に動作可能に接続される制御ユニット(4)と、
- 前記少なくとも1つの物理量に関連する所定の条件が満たされることを少なくとも1つの外部受信機に通信するための送信機を備える通信手段(10)と
を備えるデバイスであって、
前記デバイスが、
- 前記容器(2)の内部に位置するバラストタンク(8)であって、前記バラストタンク(8)の内部が前記容器(2)の外側部分に接続される、バラストタンク(8)と、
- 起動時に前記バラストタンク(8)の内部から前記容器(2)の外側部分まで水を圧送するように構成されるポンプ(6)と
をさらに備え、
前記バラストタンク(8)に水が充填されている場合は前記デバイスの全体の密度が周囲の水の密度より高く、前記バラストタンク(8)の水が空である場合は前記デバイスの全体の密度が周囲の水の密度より低い
ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記デバイスが、
- 前記バラストタンク(8)の内部と前記容器(2)の外側部分との間に位置する弁(7)であって、閉鎖状態である前記弁(7)が、前記容器(2)の外側部分から前記バラストタンク(8)の内部に水が入るのを防止し、開放状態である前記弁(7)が、前記容器(2)の外側部分と前記バラストタンク(8)の内部との間で水が流れるのを可能にする、弁(7)
をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記制御ユニット(4)が前記ポンプ(6)および前記弁(7)に動作可能に接続され、周囲の水の前記少なくとも1つの物理量に関連する前記センサ(3)からの入力データに基づいて所定の条件が満たされる場合に前記ポンプ(6)を作動させて次いで前記弁(7)を閉じるように構成される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記通信手段(10)が、前記少なくとも1つの外部受信機から情報および/または命令を受信するように構成される受信機を備え、それにより前記デバイスと前記少なくとも1つの外部受信機との間での双方向通信を可能にする、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスが、
- 前記制御ユニット(4)に動作可能に接続される電源(5)
をさらに備える、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記容器(2)が、第1の端部、および前記第1の端部の反対側にある第2の端部を有する細長い形状を有し、前記バラストタンク(8)の中心が、軸方向において、前記容器(2)の中心を基準として前記容器(2)の前記第1の端部の方にオフセットされて配置される、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記容器(2)が、前記容器(2)の外部から前記バラストタンク(8)の内部に水が入るのを可能にするように構成される開口部(9)を備え、前記開口部(9)が前記バラストタンク(8)より前記容器(2)の前記第2の端部の近くに位置する、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記物理量が圧力である、前記請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのデイバスおよび少なくとも1つの外部受信機を備えることを特徴とする、警告システム。
【請求項10】
海水中に位置するデバイスを使用して、津波を検出して津波の警告を出すための方法であって、前記デバイスが、
- 容器(2)と、
- 周囲の水の少なくとも1つの物理量を測定するためのセンサ(3)と、
- 前記容器(2)の内部に位置して前記センサ(3)に動作可能に接続される制御ユニット(4)と、
- 少なくとも1つの外部受信機と通信するための送信機を備える通信手段(10)
とを備え、
前記方法が、
- 前記センサ(3)により周囲の水の少なくとも1つの物理量を測定するステップと、
- 周囲の水の前記少なくとも1つの物理量に関連する前記センサ(3)からの入力データに基づいて所定の条件が満たされるかどうかを前記制御ユニット(4)内で判定するステップと、
- 前記制御ユニット(4)が前記所定の条件が満たされると判定した場合に、ポンプ(6)により、前記容器(2)の内部に位置するバラストタンク(8)の内部から前記容積(2)の外側部分まで水を圧送し、通信手段(10)により、前記少なくとも1つの物理量に関連する前記所定の条件が満たされることを少なくとも1つの外部受信機に通信する、ステップであって、前記バラストタンク(8)に水が充填されている場合は前記デバイスの全体の密度が周囲の水の密度より高く、それにより前記デバイスが水中で沈み、前記バラストタンク(8)の水が空である場合は前記デバイスの全体の密度が周囲の水の密度より低く、それにより前記デバイスが水中で上昇する、ステップと
を含む
方法。
【請求項11】
前記デバイスが、海面に位置する場合、前記バラストタンク(8)の内部と前記容器(2)の外側部分との間に位置する弁(7)を開放状態にすることにより、前記容器(2)の外側部分から前記バラストタンク(8)の内部まで水が流れるのを可能にする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記制御ユニット(4)が、前記デバイスを試験するために、所定の間隔で、前記所定の条件が満たされることを模擬するように構成される、請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に津波の自動検出および警告のための方法およびデバイスに関し、デバイスが使用時に海水中に位置し、デバイスが、容器と、周囲の水の少なくとも1つの物理量を測定するためのセンサと、容器の内部に位置して上記センサに動作可能に接続される制御ユニットと、上記少なくとも1つの物理量に関連する所定の条件が満たされることを少なくとも1つの外部受信機に通信するための送信機を備える通信手段とを備える。
【背景技術】
【0002】
海岸を襲う津波は陸地に接近する前の段階では気付くことが困難であるため、非常に潜行的(insidious type)な自然災害である。これが2004年12月にインド洋で人命を奪って大惨事を引き起こした波の周りの状況であった。海岸を襲う数メートルの高さの波は、深海の上を移動する間はほんの数デシメートルの高さであればよい。同時に波は数キロメートルの波長を有する可能性があることから、計器なしでは検出することができない。
【0003】
このような計器が開発されている。水位の変化または深いところでの水圧の変化を測定することにより、通過する津波を検出することができる。太平洋では、このような測定地点のシステムがブイおよび衛星を介して監視センターに報告を行い、監視センターが津波のサイズおよび移動方向を判定することができ、危険なエリアに警告を出すことができる。
【0004】
しかし、津波を検出して分析して津波の警告を出すことが必要となる時間において、津波は深海上では800km/hを超える速度に達することもあることからかなりの距離を移動してしまう。これは、震源地(triggering quake)の近くに位置するコミュニティは間に合う警告を受けない、ということを暗に意味する。さらに、太平洋周辺の津波のような散在的な大規模な監視システムではキャッチされない局地的な津波も存在する。1998年にニューギニアが、また2018年12月22日にジャワがこのような津波に襲われた。
【0005】
別の課題として、送信された警告を、その時点で危険ゾーンに入っている人々に十分に迅速に伝える、ということがある。
【0006】
このような大規模な「早期警告システム」はその元来の役割を担っているが、これに加えて、海岸に接近する津波を検出して危険ゾーンにいる人々に迅速に警告を出すことができる局地的な津波警告システムも必要とされる。これには、自動でありさらには安価である津波検出器が必要である。自動であることは例えば陸上にあるサイレンに直接に接続されるのを可能にするためであり、安価であることは検出器を過度に散在させないようにするためである。
【0007】
現在使用される設備は深海ブイに基づくものであり、深海ブイは、それらが晒されることになる大きい波などの形態のひずみを管理するために、頑丈で、慎重に固定され、高品質でなければならない。これにより深海ブイが非常に高価になる。
【0008】
局地的な自動津波検出デバイスがSE patent application 0500007-0により既に知られている。この自動津波検出デバイスは海底上に位置し、通過する津波によって起こる圧力変化を感じる。この場合、上昇機構が作動し、デバイスが海面まで上昇する。この場所から無線信号が陸上にある受信機へ送信され、受信機が例えばサイレンの形態のアラームを次いで作動させる。
【0009】
このデバイスの欠点は、アラームの始動後に、デバイスを管理して、作動状態に戻し、再び海底に配置することが必要となることである。さらに、すべての手順を実行しないことには操作性を試験することができない。
【0010】
別の津波検出デバイスがSE patent application 0502490-6で説明されており、ここでは、いくつかの分離した「配達者(couriers)」が津波事象と等しい数だけ切り離され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、津波を検出して津波の警告を出すための改善されたデバイスを提供することを狙いとする。本発明の目的は、単純であり、安価であり、高い信頼性を有する自動で動作する改善された津波検出器を提供することであり、この津波検出器が、大規模な津波監視システムの、さらには局地的な独立した津波警告システムの、一部であってよく、この津波検出器が、保守管理を必要とすることなく複数回使用することができ、この津波検出器の機能が所定の時間間隔で試験され得る。
【0012】
本発明によると、これらの目的が、独立請求項で定義される特徴を有する、津波を検出して津波の警告を出すための最初に定義した方法およびデバイスによって達成される。さらに、本発明の好適な実施形態が従属請求項で定義される。
【0013】
本発明によると、最初に定義したデバイスが提供され、このデバイスが、容器の内部に位置するバラストタンクであって、バラストタンクの内部が容器の外側部分に接続される、バラストタンクと、起動時にバラストタンクの内部から容器の外側部分まで水を圧送するように構成されるポンプと、をさらに備え、バラストタンクに水が充填されている場合はデバイスの全体の密度が周囲の水の密度より高く、バラストタンクの水が空である場合はデバイスの全体の密度が周囲の水の密度より低い。
【0014】
本デバイスが海底に位置し、海底において、本デバイスが継続的に、好適には水圧である、物理量を測定する。津波が通過することにより海底のところの水圧の特性が変化する。この圧力変化が制御ユニットによって識別され、制御ユニットがバラストタンクを空にするようにポンプを動作させ、それによりデバイスが海面まで上昇する。この場所から本デバイスが無線信号を送信し、この無線信号が、好適には陸上において、サイレンに接続される受信機によって受信され、さらには、衛星により、より大きいエリアのための監視センサにさらに転送される。
【0015】
そのバラストタンクが空である場合、容器が周囲の水より低い密度を有することになり、容器を上昇させることになる。さらに容器に細長い形状(魚雷形状)を与えることにより、海面までの上昇時間が最小となる。
【0016】
海底では、本デバイスが、荒天、空気の酸素、物を放置しておくことができないような人々、および他の脅威から離れて、平静状態を維持することができる。これにより、デバイスを、比較的小型に、比較的単純に、および比較的安価にすることができる。
【0017】
意図される通りにデバイス(および、デバイスが属するところであるシステム)が機能するかを定期的に試験するのを可能にするために、制御ユニットは、常に起こるようなより小さい圧力変化またはより低速の圧力変化に対してもデバイスが警告するレベルにまでアラームに関する基準を所定の間隔で一時的に下げる命令を有することができ、これは、圧力センサの欠陥により生じる報告される測定値のばらつきに関するものでもある。制御ユニットは、反応してそれによりアラームを始動させた後、通常の命令に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のデバイスがその重い方の端部を海底1に接触させる形で海底1の上に位置する起動状態の本発明のデバイスを示す図である。デバイスが、センサ3、制御ユニット4、および電源5、さらには、バラストタンク8、ポンプ6、および逆止め弁7を収容する容器2から構成される。容器が水圧耐久性のある耐水ケーシングを有し、この中に、バラスト水を吸入および排出するための開口部9が存在する。容器がさらに、上側端部のところに設置される無線送信器10を収容する。容器の頂部の近くに好適には持ち上げデバイス11が設けられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
通常の海洋波は、海面上の可視の波さらには海面下の衝撃波から構成される。通過する通常の波によって作り出される圧力の増大は波のすぐ下のみで記録され得る。より深いところは平静状態であり、水圧の変化が小さく、これには荒天時も含まれる。
【0020】
逆に、津波は水体の全体に伝播する衝撃波であり、したがって深いところでも記録され得る。津波が浅海域に到達すると、エネルギーが集中し、圧力が増大し、より大きい波へと成長し始める。
【0021】
したがって、津波は浅海域では深いところよりもより容易にかつより安価に検出される。これは、浅瀬、島、および海岸から突出する岬に密接するところに検出器を配置することにより利用され得る。唯一求められるのは、津波からの圧力変化が通常の暴風波からの圧力変化から分離され得ないような浅いところではないことである。
【0022】
デバイスは海水中に位置し、好適には、デバイスの使用時に周囲の水の性質を監視するときには、デバイスは海底1の上に停止する。
【0023】
デバイスは、容器2と、周囲の水の少なくとも1つの物理量を測定/監視するためのセンサ3とを備え、好適には上記物理量が圧力である。しかし、センサ3が、温度または溶存酸素の含有量などの、周囲の水の他の物理量を測定/監視してもよいことも考えられる。容器2は、2MPa(20バール)~3MPa(30バール)などの高い圧力に耐えるように構成される耐水ボディである。
【0024】
デバイスは、容器2の内部に位置して上記センサ3に動作可能に接続される制御ユニット4と、上記少なくとも1つの物理量に関連する所定の条件が満たされることを少なくとも1つの外部受信機に通信するための送信機を備える通信手段10とを備える。通信手段10が、少なくとも1つの外部受信機から情報および/または命令を受信するように構成される受信機をさらに備えることができ、それによりデバイスと少なくとも1つの外部受信機との間での双方向通信を可能にする。
【0025】
好適には、容器2は、第1の端部、および上記第1の端部の反対側にある第2の端部を有する細長い形状を有し、ここでは、通信手段10の送信機が好適には容器2の第1の端部に位置する。好適には、デバイスの重心が容器2の第2の端部の方にオフセットされ、それによりデバイスが海底1の上に停止するときにもある程度垂直方向に配置されることになる。センサ3は、好適には、軸方向において、容器2の中心を基準として容器2の第1の端部の方にオフセットされて配置される。停止した容器2の上半分に位置するセンサ3および送信器を有することにより、これらの構成要素がダメージを受けたりまたはこれらの構成要素に異物が付着したりするリスクが低減される。
【0026】
重要なこととして、本発明のデバイスが、容器2の内部に位置するバラストタンク8をさらに備え、バラストタンク8の内部が容器2の外側部分に接続される。したがって、バラストタンク8の内部および容器2の外側部分が互いに制御可能に流体連通される。さらに、デバイスが、起動時にバラストタンク8の内部から容器2の外側部分まで水を圧送するように構成されるポンプ6を備え、バラストタンク8に水が充填されている場合はデバイスの全体の密度が周囲の水の密度より高く、バラストタンク8の水が空である場合はデバイスの全体の密度が周囲の水の密度より低い。
【0027】
本発明の方法が、センサ3により周囲の水の少なくとも1つの物理量を測定するステップと、周囲の水の上記少なくとも1つの物理量に関連する上記センサ3からの入力データに基づいて所定の条件が満たされているかどうかを制御ユニット4内で判定するステップと、制御ユニット4が所定の条件が満たされていると判定した場合にポンプ6によりバラストタンク8の内部から容器2の外側部分まで水を圧送するステップと、通信手段10により上記少なくとも1つの物理量に関連する所定の条件が満たされていることを少なくとも1つの外部受信機に通信するステップとを含む。デバイスが、デバイスが水面に位置する場合に最初に信号を送信するように構成され得る。制御ユニット4が、所定の条件が満たされているかどうかを断続的にまたは継続的に判定するように構成される。
【0028】
したがって、バラストタンク8に水が充填される場合、デバイスが水中で海底1の方に沈み、バラストタンク8の水が空である場合、デバイスが水中で海面の方に上昇する。バラストタンク8に部分的に水が充填される場合、デバイスの全体の密度が周囲の水より高い状態から周囲の水より低い状態まで変化することになることを指摘しておかなければならない。
【0029】
したがって、センサ3が継続的に水圧を測定/監視し、測定値を制御ユニット/プロセッサ4に伝達する。制御ユニット内で、好適な実施形態によると、最新の圧力が前の測定値と比較される。判定された圧力変化/圧力の増大が十分に大きくかつ十分に迅速である場合、その状況が危険な大きさの津波の通過として分類され、制御ユニット4がバラストタンク8を空にするようにポンプ6に命令を出す。津波の間の水の他の特性条件/挙動が等価の所定の条件として利用されてもよい。所定の条件は所定の値を超過することにより構成することができ、所定の値は所定の時間期間の間に許容される最大圧力差に基づく。
【0030】
したがって、制御ユニット4がポンプ6に動作可能に接続され、周囲の水の上記少なくとも1つの物理量に関連する上記センサ3からの入力データに基づいて所定の条件が満たされる場合にポンプ6を作動させるように構成される。
【0031】
好適には、バラストタンク8の中心が、軸方向において、容器2の中心を基準として容器2の第1の端部の方にオフセットされて配置される。したがって、デバイスが水中で上昇する場合、デバイスが直線的に移動し、海面に到達すると、容器2の第1の端部が海面から上方に突き出る。
【0032】
デバイスが水中で上昇するときおよび水面に留まるときは常にポンプ6が起動状態であってよく、ポンプ6が動作停止させられると、水が容器2の外側部分からバラストタンク8の内部まで流れることになり、それによりデバイスが海底1の方に沈む。外部受信機がデバイスから警告を受信すると、外部受信機が、デバイスを海底1の方に再び沈めること、および新しい所定の条件を待ち受けることを目的としてデバイスに確認信号を送信することができる。
【0033】
ポンプ6は、水中でデバイスを上昇させるためにバラストタンク8の内部から外へ水を圧送し、またデバイスを海底1の方に沈めるためにバラストタンク8の内部に水を圧送する双方向ポンプであってよい。
【0034】
好適な実施形態によると、デバイスは、バラストタンク8の内部と容器2の外側部分との間に位置する弁7をさらに備え、閉鎖状態である弁7が、容器2の外側部分からバラストタンク8の内部に水が入るのを防止し、開放状態である弁7が、容器2の外側部分とバラストタンク8の内部との間で水が流れるのを可能にする。弁7がポンプ6と直列となるように配置されてよいかまたはポンプ6と並列となるように配置されてよい。開示される実施形態では、弁7およびポンプ6が直列に配置され、容器2が、バラスト水を吸入および排出するための開口部9を備える。
【0035】
制御ユニット4は弁7に動作可能に接続され、周囲の水の上記少なくとも1つの物理量に関連するセンサ3からの入力データに基づいて所定の条件が満たされる場合に弁7を閉じるように構成される。バラストタンク8に水が充填されている場合は既に弁7が閉じられていてよく、デバイスが津波を待ち受ける状態であることを指摘しておかなければならない。
【0036】
開口部9は、容器2の外側部分からバラストタンク8の内部に水が入るのを可能にするように構成されているものであり、上記開口部9がバラストタンク8より容器2の第2の端部の近くに位置する。したがって、デバイスが水面に浮いている場合、開口部9が水面の下に位置し、それによりバラストタンク8の内部に水が入ることが防止される。
【0037】
デバイスは、制御ユニット4に動作可能に接続される電源5をさらに備える。電源5は好適にはバッテリーである。デバイスは、規則的な間隔で水面まで上昇して、バッテリーを交換しなければならないことの信号を外部受信機に送信するようにプログラムされ得るか、または所定の値未満まで電力レベルが下がる場合に上昇するようにプログラムされ得る。信号は好適には位置および/または識別情報(identity)も含む。さらに、電源5が、直接に、または制御ユニット4を介して間接的に、センサ3およびポンプ6に動作可能に接続される。電源5の中心は好適には、デバイスの重心を第2の端部の方向にオフセットさせることを目的として、軸方向において、容器2の中心を基準として容器2の第2の端部の方にオフセットされて配置される。
【0038】
制御ユニットはさらに、十分な(危険な)サイズを有する津波をより迅速にかつより高い信頼性で確認することを目的として、より進歩した計算方法により測定値を分析することができる。
【0039】
容器の無線送信器が作動され、送信を開始する。容器が海面に到達すると、電波が待ち受けの外部受信機に到達するようになる。さらに、陸上にある受信機が次いでサイレンに直接に接続されてよく、サイレンが沿岸域にいる人々にアラームを出す。陸上にある受信機はより大きい津波警告システムに接続されてもよく、実際には、両方に接続されることが望ましい。送信信号はある程度の情報を含むことができる。大部分の基本的な事例では、送信信号は受信機が応答するコードによって単純に構成されるが、送信信号はさらに、識別情報、位置などの、追加の情報を含んでもよい。送信機および受信機はさらに、例えば携帯電話技術およびそのために使用される周波数などの、任意の他の種類の無線信号転送を利用することにより通信を行うことができる。
【0040】
居住地域および被害を受けやすい沿岸域の外部のちょうど適切な距離のところに自動津波検出器を配置することにより、人々が対策を講じるために間に合うアラームを受けることができるようになる。その理由は、上述のプロセスでは、津波が陸地に到達するのに要する時間より大幅に短い時間しか要さないからである。津波を多様な方向から監視するために、街/港湾から多様な方向に異なるデバイスが配置され得る。
【0041】
津波は水深と重力加速度を掛けて積の平方根を算出するときの結果である速度で移動する。津波検出器が例えば海岸から20kmのところに位置し、平均の深さが200メートルである場合、岸までの波の移動時間は約10分となる。上述のアラームプロセスはこの事例は約5分であり、したがって約5分の警告時間を先行して与えることになる。
発明の実現可能な修正
【0042】
本発明は上述のおよび図面に示される実施形態のみに限定されず、主として、説明および例示を目的とする。本特許出願は、本明細書で説明される好適な実施形態のすべての調整および変形を包含することを意図し、したがって、本発明は添付の特許請求の範囲およびその均等物の表現により定義される。したがって本設備は添付の特許請求の範囲内であらゆる種類の修正がされ得る。
【0043】
SE patent application 0500007-0で説明されるデバイスと同様に、本発明は、例えば、温度、酸素含有量などの、圧力以外のパラメータを測定することもでき、これらの大きな変化のためのアラームを出すことができる。例えば、本発明は自動の環境監視システムの一部であってよい。制御ユニットは、任意の測定値が過度に大きいかまたは過度に小さい場合に反応するようにプログラムされ得る。異なる点は、アラーム後に本デバイスが使い切られることがなく、本デバイスの機能が定期的に試験され得ることである。つまり、制御ユニット4が、デバイスおよび警告システムを試験するために、所定の間隔で、所定の条件が満たされることを模擬するように構成される。
【国際調査報告】