(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】悪性および非悪性血液疾患の治療のための免疫枯渇の組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 51/10 20060101AFI20220620BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220620BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220620BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220620BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220620BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220620BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220620BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220620BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20220620BHJP
A61K 101/02 20060101ALN20220620BHJP
A61K 103/10 20060101ALN20220620BHJP
A61K 103/32 20060101ALN20220620BHJP
A61K 103/40 20060101ALN20220620BHJP
A61K 103/00 20060101ALN20220620BHJP
【FI】
A61K51/10
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P7/00
A61P37/02
A61P31/12
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K35/28
A61K101:02
A61K103:10
A61K103:32
A61K103:40
A61K103:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563247
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 US2020029790
(87)【国際公開番号】W WO2020219861
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517405552
【氏名又は名称】アクティニウム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100218578
【氏名又は名称】河井 愛美
(72)【発明者】
【氏名】ラディック デール
【テーマコード(参考)】
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB01
4C085CC23
4C085KA04
4C085KA29
4C085LL07
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087NA05
4C087ZA51
4C087ZB07
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB33
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明は、CD34、CD117、またはCD135に対する、有効量の放射標識された抗体を対象に投与することを含む、対象の造血幹細胞を枯渇させるための方法を提供し、好ましい放射標識は、131Iおよび225Acを含む。本発明はまた、遺伝子編集された細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患した対象を治療するための方法も提供し、この方法は、(i)対象の造血幹細胞を枯渇させるのに有効な、ある量の放射標識された抗体を対象に投与することと、(ii)適切な期間の後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することと、を含む。最後に、本発明は、対象方法を実施するための製造物品を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の造血幹細胞の標的化枯渇のための方法であって、前記方法が、
CD34、CD117、CD135、またはそれらの組み合わせに対する、有効量の放射標識された抗体を前記対象に投与することを含み、
前記放射標識された抗体が、
131I、
125I、
123I、
90Y、
177Lu、
186Re、
188Re、
89Sr、
153Sm、
32P、
225Ac、
213Bi、
213Po、
211At、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
227Th、
149Tb、
137Cs、
212Pb、および
103Pdから選択される放射標識を含む、方法。
【請求項2】
前記放射標識された抗体が、
131I-放射標識を含み、前記
131I-放射標識の有効量が、10mCi~200mCi、または200mCi~400mCi、または400mCi~1,200mCiである、請求項2に記載の方法。
【請求項3】
前記放射標識された抗体が、
225Ac-放射標識を含み、前記
225Ac-放射標識の有効量が、0.1μCi/kg~5.0μCi/kg(対象体重)、または0.1μCi/kg~1.0μCi/kg(対象体重)、または1.0μCi/kg~3.0μCi/kg(対象体重)、または3.0μCi/kg~5.0μCi/kg(対象体重)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象が、遺伝子編集された細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患しており、かつ前記非がん性障害を治療するためにそのような療法を受けるところであり、前記有効量の前記放射標識された抗体が、単回用量として投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非がん性障害が、ヘモグロビン異常症、先天性免疫不全症、およびウイルス感染症からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記非がん性障害が、鎌状赤血球症(SCD)、重症複合免疫不全症(SCID)、およびβ-サラセミアからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記非がん性障害が、SCDであり、前記療法が、遺伝子的に編集されたβ-グロビン造血幹細胞療法である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記障害が、SCIDであり、前記療法が、遺伝子編集された造血幹細胞療法であり、前記編集された遺伝子が、共通ガンマ鎖(γc)遺伝子、アデノシンデアミナーゼ(ADA)遺伝子、およびヤヌスキナーゼ3(JAK3)遺伝子からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記造血幹細胞が、少なくとも50%、または少なくとも70%、または少なくとも90%枯渇し、成熟分化造血幹細胞が、20%未満、または10%未満枯渇する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、骨髄移植によって治療可能ながん性障害に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記がん性障害が、白血病またはリンパ腫である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
急性がん性障害が、リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、またはそれらの組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
骨髄移植を介して治療可能ながん性障害に罹患した対象を治療するための方法であって、前記方法が、
(i)前記対象の造血幹細胞を枯渇または破壊するのに有効な、ある量の放射標識された抗体を前記対象に投与することと、
(ii)適切な期間の後、前記対象の障害を治療するために前記対象に対して前記骨髄移植を実施することと、を含み、
前記がん性障害が、白血病またはリンパ腫であり、前記抗体が、抗CD34、抗CD117、抗CD135、またはそれらの組み合わせを含み、
前記放射標識された抗体が、
131I、
125I、
123I、
90Y、
177Lu、
186Re、
188Re、
89Sr、
153Sm、
32P、
225Ac、
213Bi、
213Po、
211At、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
227Th、
149Tb、
137Cs、
212Pb、または
103Pdで標識されている、方法。
【請求項14】
前記急性がん性障害が、リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、またはそれらの組み合わせである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記造血幹細胞が、または少なくとも70%、または少なくとも90%枯渇し、成熟分化造血幹細胞が、20%未満、または10%未満枯渇する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記放射標識された抗体が、
131I-放射標識を含み、前記
131I-放射標識の有効量が、前記骨髄移植の6、7、もしくは8日前に投与される10mCi~200mCiであるか、または前記
131I-放射標識の有効量が、前記骨髄移植の8、9、10、11、もしくは12日前に投与される200mCi~400mCiであるか、または前記
131I-放射標識の有効量が、前記骨髄移植の10、11、12、13、もしくは14日前に投与される400mCi~1,200mCiである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記放射標識された抗体が、
225Ac-放射標識を含み、前記
225Ac-放射標識の有効量が、前記骨髄移植の6、7、8、9、10、11、または12日前に投与される0.1μCi/kg~5.0μCi/kg(対象体重)である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
遺伝子編集された細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患した対象を治療するための方法であって、
(i)前記対象の造血幹細胞を枯渇させるのに有効な、ある量の放射標識された抗体を前記対象に投与することと、
(ii)適切な期間の後、前記対象の障害を治療するために前記対象に対して前記療法を実施することと、を含み、
前記非がん性障害が、ヘモグロビン異常症、先天性免疫不全症、およびウイルス感染症からなる群から選択され、前記抗体が、抗CD34、抗CD117、抗CD135、またはそれらの組み合わせを含み、
前記放射標識された抗体が、
131I、
125I、
123I、
90Y、
177Lu、
186Re、
188Re、
89Sr、
153Sm、
32P、
225Ac、
213Bi、
213Po、
211At、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
227Th、
149Tb、
137Cs、
212Pb、または
103Pdで標識されている、方法。
【請求項19】
前記対象が、遺伝子編集された細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患しており、かつ前記障害を治療するためにそのような療法を受けるところであり、前記有効量の前記放射標識された抗体が、単回用量として投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記非がん性障害が、鎌状赤血球症(SCD)、重症複合免疫不全症(SCID)、およびβ-サラセミアからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記非がん性障害が、SCDであり、前記療法が、遺伝子編集されたβ-グロビン造血幹細胞療法である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記非がん性障害が、SCIDであり、前記療法が、遺伝子編集された造血幹細胞療法であり、前記編集された遺伝子が、共通ガンマ鎖(γc)遺伝子、アデノシンデアミナーゼ(ADA)遺伝子、およびヤヌスキナーゼ3(JAK3)遺伝子からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記幹細胞療法が、同種幹細胞療法であるか、または前記幹細胞療法が、自己幹細胞療法である、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記放射標識された抗体が、
131I-放射標識を含み、前記
131I-放射標識の有効量が、前記対象の障害を治療するために前記対象に対して前記療法を実施する6、7、もしくは8日前に投与される10mCi~200mCiであるか、または前記
131I-放射標識の有効量が、前記対象の障害を治療するために前記対象に対して前記療法を実施する8、9、10、11、もしくは12日前に投与される200mCi~400mCiであるか、または前記
131I-放射標識の有効量が、前記対象の障害を治療するために前記対象に対して前記療法を実施する10、11、12、13、もしくは14日前に投与される400mCi~1,200mCiである、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記放射標識された抗体が、
225Ac-放射標識であり、前記
225Ac-放射標識の有効量が、前記対象の障害を治療するために前記対象に対して前記療法を実施する6、7、8、9、10、11、または12日前に投与される0.1μCi/kg~5.0μCi/kg(対象体重)である、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
(a)放射標識された抗体を含む医薬組成物と、(b)対象の造血幹細胞を枯渇させるのに有効な、ある量の前記抗体を前記対象に投与するよう前記使用者に指示する標識と、を含む、製造物品であって、
前記放射標識された抗体が、抗CD34、抗CD117、抗CD135、またはそれらの組み合わせを含む、製造物品。
【請求項27】
前記放射標識された抗体が、
131Iで放射標識された抗体であり、前記
131Iで放射標識された抗体の有効量が、10mCi~200mCi、または200mCi~400mCi、または400mCi~1,200mCiである、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
前記放射標識された抗体が、
225Acで標識されたものであり、前記
225Acで放射標識された抗体の有効量が、0.1μCi/kg~5.0μCi/kg、または0.1μCi/kg~1.0μCi/kg(対象体重)、または1.0μCi/kg~3.0μCi/kg(対象体重)、または3.0μCi/kg~5.0μCi/kg(対象体重)である、請求項26に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月25日に出願された米国仮特許出願第62/838,589号に対する優先権の利益を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、悪性および非悪性血液疾患の治療方法における造血幹細胞の選択的な枯渇および破壊に有用な組成物およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
造血幹細胞移植(HSCT)は、悪性腫瘍を治療するために主に示され、生着前の対象の組織(例えば、骨髄組織)のコンディショニングを必要とする。HSCT適応症および異常ヘモグロビン症には、例えば、鎌状赤血球貧血、ベータサラセミア、ウィスコット・アルドリッチ症候群、アデノシンデアミナーゼ重症複合免疫不全症(ADA SCID)、異染性白質ジストロフィー、およびHIV/AIDSが含まれ、適応症のリストは、遺伝子編集技術の改善とともに拡大し続けるであろう。ある特定の事例では、移植された細胞の20%の生着は、疾患を緩和または治癒し得る。
【0004】
遺伝子編集技術は、TALEN法、CRISPR/cas9法、およびジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)法などの部位特異的編集法の出現とともに実質的に進歩している。これらの方法は、異常ヘモグロビン症、先天性免疫不全症、およびAIDSなどのウイルス性障害などの非悪性遺伝性疾患に罹患している患者に対して治療可能性を有する。遺伝子編集技術により、例えば、重症複合免疫不全症(SCID)、鎌状赤血球症(SCD)、およびβ-サラセミアなどの生殖細胞系血液障害を治療、およびさらには治癒することが実現可能となる。
【0005】
遺伝子編集は、内因性遺伝子調節下に留まるゲノムDNAの配列を正確かつ永久的に改変し、改変された遺伝子要素の的確かつ適切な発現のために制御する。現在、ヒトゲノム遺伝子編集のためのヌクレアーゼには4つの主要なクラス:ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ(MN)、およびクラスター化等間隔短鎖回分リピート(CRISPR/Cas9)がある。これらの各々は、DNAの特定の標的配列を認識し、結合することができる。アプローチの特性に応じて、標的DNAを一方または両方の鎖で開裂することができる。変異を修正するために、標的病変の部位に導入された破断の相同組み換え修復のための修正テンプレートが使用される。
【0006】
例えば、照射(例えば、全身照射またはTBI)およびDNAアルキル化/変性剤を含む現在の非標的化コンディショニング方法は、複数の器官系、造血および非造血細胞、ならびに造血微小環境に対して非常に毒性である。これらの過酷なコンディショニングレジメンは、宿主対象の免疫細胞およびニッチ細胞を効果的に死滅させ、かつ複数の器官系に悪影響を及ぼし、しばしば生命を脅かす合併症をもたらす。
【0007】
HSCTの治癒可能性を完全に実現するためには、望ましくない毒性を回避する軽度のコンディショニングレジメンの開発が不可欠である。望ましくない毒性を低減し、かつ重篤な有害反応の発生を最小化しながら、対象の組織(例えば、骨髄組織)をコンディショニングするために使用され得る、新規の、好ましくは骨髄非破壊的な組成物および方法が必要とされている。また、血小板、白血球、および赤血球などの非標的化細胞および組織に対する療法の効果を最小化または排除しながら、標的組織において内因性造血幹細胞集団を選択的に破壊することができる、新規のそのような療法も必要とされている。また、内因性造血幹細胞集団を選択的に枯渇または破壊することができる薬剤を特定するためのアッセイおよび方法も必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、有効量の放射標識された抗体を対象に投与することを含む、対象の造血幹細胞の標的化枯渇に有用な方法および組成物を提供し、抗体は、抗CD34、抗CD117、または抗CD135のうちの1つ以上から選択される。抗体は、131I、125I、123I、90Y、177Lu、186Re、188Re、89Sr、153Sm、32P、225Ac、213Bi、213Po、211At、212Bi、213Bi、223Ra、227Th、149Tb、137Cs、212Pb、および103Pdから選択される放射標識を含み得る。
【0009】
本発明はまた、生着または移植のために対象の組織をコンディショニングするための、対象の造血幹細胞の標的化枯渇のための方法も提供する。したがって、本発明は、骨髄移植を用いて治療可能ながん性障害に罹患した対象を治療する方法を提供し、この方法は、(i)対象の造血幹細胞を実質的に枯渇または破壊するために有効な、ある量の放射標識された抗体を対象に投与することと、任意選択的に、(ii)適切な期間の後、対象に対して骨髄移植を実施することと、を含む。
【0010】
本発明は、遺伝子編集された細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患した対象を治療するための方法をさらに提供し、この方法は、(i)対象の造血幹細胞を枯渇させるのに有効な、ある量の放射標識された抗体を対象に投与することと、任意選択的に、(ii)適切な期間の後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することと、を含む。
【0011】
最後に、本発明は、(a)上記の放射標識された抗体のうちの少なくとも1つと、(b)対象の造血幹細胞を枯渇させるのに有効な、ある量の抗体を対象に投与するよう使用者に指示する標識と、を含む、製造物品を提供する。
【0012】
ある特定の態様によれば、抗体上の放射標識、すなわち、抗CD34、抗CD117、または抗CD135は、131Iまたは225Acであり得、131Iで標識された抗体の有効量は、最大1200mCi(例えば、10~200mCi、200~400mCi、または400~1,200mCi)であり得、225Acで標識された抗体の有効量は、最大5.0μCi/kg(対象体重)(例えば、0.1μCi/kg~5.0μCi/kg、0.1μCi/kg~1.0μCi/kg(対象体重)、1.0μCi/kg~3.0μCi/kg(対象体重)、3.0μCi~5.0μCi/kg(対象体重))であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、対象の造血幹細胞を枯渇させるための放射標識された抗体ベースの方法、ならびに関連する方法および製造物品を提供する。これらの方法がある特定の遺伝子編集された細胞ベースの療法に先行する場合、この方法は、有害効果を最小化しながら、それらの療法の成果を高めることができる。
【0014】
本出願全体を通して、様々な刊行物が引用されている。これらの刊行物の開示は、本発明が関連する先行技術をより完全に説明するために、本出願への参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
定義
本出願では、ある特定の用語が使用され、これらは以下に記載される意味を有する。
【0016】
単数形「a」、「an」、「the」等には、文脈上別途明確に指示されない限り、複数の指示対象が含まれる。したがって、例えば、「an」抗体への言及には、単一抗体および複数の異なる抗体の両方が含まれる。
【0017】
数字表示、例えば、温度、時間、量、および濃度の前に使用される場合の「約」という用語は、±10%、±5%、または±1%変動し得る近似値を示す。
【0018】
本明細書で使用される場合、抗体に関する「投与する」は、抗体送達に適した任意の既知の方法を介して抗体を対象の体に送達することを意味する。特定の投与様式には、静脈内、経皮、皮下、腹腔内、および髄腔内投与が含まれるが、これらに限定されない。抗体の例示的な投与方法は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第WO2016/187514号に実質的に記載されるとおりであり得る。
【0019】
さらに、本発明では、抗体は、1つ以上の日常的に使用される薬学的に許容される担体を使用して製剤化することができる。そのような担体は、当業者に周知である。例えば、注射可能な薬物送達系には、溶液、懸濁液、ゲル、ミクロスフェア、および高分子注射剤が含まれ、可溶性改変剤(例えば、エタノール、プロピレングリコール、およびスクロース)およびポリマー(例えば、ポリカプリラクトンおよびPLGA)などの賦形剤を含むことができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語には、(a)2つの重鎖および2つの軽鎖を含み、かつ抗原を認識する、免疫グロブリン分子、(b)ポリクローナルおよびモノクローナル免疫グロブリン分子、(c)それらの一価および二価の断片(例えば、Fab、ジ-Fab)、ならびに(d)それらの二重特異性形態が含まれるが、これらに限定されない。免疫グロブリン分子は、一般的に既知のクラスのいずれかに由来し得、これらのクラスには、IgA、分泌IgA、IgGおよびIgMが含まれるが、これらに限定されない。IgGサブクラスもまた当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4が含まれるが、これらに限定されない。抗体は、天然および非天然起源(例えば、IgG-Fc-サイレント)の両方であり得る。さらに、抗体には、キメラ抗体、完全合成抗体、単鎖抗体(例えば、scFv)、単一および二重ドメイン抗体(例えば、VHH)、ならびにそれらの断片が含まれる。抗体は、ヒト、ヒト化、または非ヒトであり得る。
【0021】
「モノクローナル抗体」は、単一分子組成物の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一結合特異性および親和性を示すか、または多重特異性モノクローナル抗体の場合、2つ以上の別個のエピトープに対する結合特異性を示す。したがって、「モノクローナル抗体」は、抗体重鎖からのC末端リジンの除去などの、可能性のある周知の変化を除いて、各重鎖および各軽鎖に単一アミノ酸組成物を有する抗体集団を指す。モノクローナル抗体は、抗体集団内に異種グリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性もしくは多重特異性であり得るか、または一価、二価、もしくは多価であり得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「抗CDXX抗体」は、CDXXの任意の利用可能なエピトープに結合する抗体であり、XXは、34、117、または135(すなわち、CD34、CD117、またはCD135)であり得る。抗CDXX抗体は、2つの異なるエピトープに結合する二重特異性抗体であり得、エピトープは、CD34、CD117、もしくはCD135のうちのいずれか1つと、別の関連するエピトープ(例えば、CD45)とを含み得るか、または単一の細胞表面標的の2つの異なるエピトープ(CD34、CD117、またはCD135のうちのいずれか1つの2つの異なるエピトープ)であり得る。二重特異性抗体は、組み換え抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、または抗体断片であり得る。
【0023】
対象の造血幹細胞(「HSC」、すなわち、多能性造血幹細胞、また血球芽細胞とも称される)に関して本明細書で使用される場合、「枯渇」は、対象のHSCの集団を減少させることを意味する。ある特定の態様によれば、対象のHSCを枯渇させることは、対象のHSC集団を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%減少させることを意味する。ある特定の態様によれば、対象のHSCを枯渇させることは、対象のHSC集団を100%減少させることを意味する。HSC集団を測定するための方法は、定例である。それらには、例えば、骨髄試料中のヒトHSCを検出するためのフローサイトメトリーの使用、および様々な細胞表面マーカー(Lin、CD34、CD38、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD133、CD166、およびHLA DRなど)の染色が含まれる。また、患者の免疫細胞の減少も末梢血中に検出され得る。これは、例えば、免疫抑制の指標として、CD3、CD4、およびCD8-陽性細胞の検出を介して、絶対リンパ球数(ALC)を決定することによって達成することができる。
【0024】
対象の造血幹細胞(HSC)に関して本明細書で使用される場合、「標的化枯渇」という用語は、上記に示されるように、対象のHSCの集団を実質的に減少させる一方で、成熟分化造血幹細胞の集団を実質的に影響を受けない状態のままにすることを意味する。例えば、標的化枯渇は、非標的化成熟分化造血幹細胞(例えば、リンパ系、骨髄系など)が、20%未満、または10%未満枯渇することを意味するように取られ得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、ある量の放射標識された抗体は、投与された場合に対象のHSCレベルを減少させる場合は「有効」である。
【0026】
放射標識された抗体が131Iで標識される態様によれば、有効量は、例えば、1,200mCi未満である(すなわち、対象に投与される131Iの量が、1,200mCi未満の全身放射線量を送達する)。
【0027】
放射標識された抗体が131Iで標識される態様によれば、有効量は、1,100mCi未満、1,000mCi未満、900mCi未満、800mCi未満、700mCi未満、600mCi未満、500mCi未満、400mCi未満、350mCi未満、300mCi未満、250mCi未満、200mCi未満、150mCi未満、100mCi未満、50mCi未満、40mCi未満、30mCi未満、20mCi未満、または10mCi未満である。
【0028】
放射標識された抗体が131Iで標識される態様によれば、有効量は、1mCi~10mCi、1mCi~200mCi、10mCi~20mCi、10mCi~30mCi、10mCi~40mCi、10mCi~50mCi、10mCi~100mCi、10mCi~150mCi、10mCi~200mCi、20mCi~30mCi、30mCi~40mCi、40mCi~50mCi、50mCi~100mCi、50mCi~150mCi、50mCi~200mCi、60mCi~140mCi、70mCi~130mCi、80mCi~120mCi、90mCi~110mCi、100mCi~150mCi、150mCi~200mCi、200mCi~250mCi、200mCi~300mCi、200mCi~350mCi、200mCi~400mCi、200mCi~500mCi、200mCi~600mCi、200mCi~700mCi、200mCi~800mCi、200mCi~900mCi、200mCi~1000mCi、200mCi~1,100mCi、200mCi~1,200mCi、400mCi~500mCi、400mCi~600mCi、400mCi~700mCi、400mCi~800mCi、400mCi~900mCi、400mCi~1,000mCi、400mCi~1,100mCi、または400mCi~1,200mCiである。
【0029】
放射標識された抗体が131Iで標識される態様によれば、有効量は、1mCi、10mCi、20mCi、30mCi、40mCi、50mCi、60mCi、70mCi、80mCi、90mCi、100mCi、110mCi、120mCi、130mCi、140mCi、150mCi、200mCi、250mCi、300mCi、350mCi、400mCi、450mCi、500mCi、550mCi、600mCi、650mCi、700mCi、750mCi、800mCi、850mCi、900mCi、950mCi、1,000mCi、1,050mCi、1,100mCi、1,150mCi、または1,200mCiである。
【0030】
放射標識された抗体が225Acで標識される態様によれば、有効量は、例えば、5.0μCi/kg未満である(すなわち、対象に投与される225Ac-抗CDXXの量が、対象の体重1キログラム当たり5.0μCi未満の放射線量を送達する)。
【0031】
放射標識された抗体が225Acで標識される態様によれば、有効量は、4.5μCi/kg、4.0μCi/kg、3.5μCi/kg、3.0μCi/kg、2.5μCi/kg、2.0μCi/kg、1.5μCi/kg、1.0μCi/kg、0.9μCi/kg、0.8μCi/kg、0.7μCi/kg、0.6μCi/kg、0.5μCi/kg、0.4μCi/kg、0.3μCi/kg、0.2μCi/kg、0.1μCi/kg、または0.05μCi/kg未満である。
【0032】
放射標識された抗体が225Acで標識される態様によれば、有効量は、0.05μCi/kg~0.1μCi/kg、0.1μCi/kg~0.2μCi/kg、0.2μCi/kg~0.3μCi/kg、0.3μCi/kg~0.4μCi/kg、0.4μCi/kg~0.5μCi/kg、0.5μCi/kg~0.6μCi/kg、0.6μCi/kg~0.7μCi/kg、0.7μCi/kg~0.8μCi/kg、0.8μCi/kg~0.9μCi/kg、0.9μCi/kg~1.0μCi/kg、1.0μCi/kg~1.5μCi/kg、1.5μCi/kg~2.0μCi/kg、2.0μCi/kg~2.5μCi/kg、2.5μCi/kg~3.0μCi/kg、3.0μCi/kg~3.5μCi/kg、3.5μCi/kg~4.0μCi/kg、4.0μCi/kg~4.5μCi/kg、または4.5μCi/kg~5.0μCi/kgである。
【0033】
放射標識された抗体が225Acで標識される態様によれば、有効量は、0.05μCi/kg、0.1μCi/kg、0.2μCi/kg、0.3μCi/kg、0.4μCi/kg、0.5μCi/kg、0.6μCi/kg、0.7μCi/kg、0.8μCi/kg、0.9μCi/kg、1.0μCi/kg、1.5μCi/kg、2.0μCi/kg、2.5μCi/kg、3.0μCi/kg、3.5μCi/kg、4.0μCi/kg、または4.5μCi/kgである。
【0034】
有効量の放射標識された抗体は、単回用量として提供され得る。対象に投与される抗体の大部分は、典型的には、標識されていない抗体からなり、標識された抗体は少数である。標識されていない抗体に対する標識された抗体の比は、既知の方法を使用して調節することができる。したがって、本発明のある特定の態様によれば、抗体は、最大100mg、例えば、60mg未満、もしくは5mg~45mgの総タンパク質量、または0.1ug/kg~1mg/kg(患者体重)、例えば、1ug/kg~1mg/kg(患者体重)、もしくは10ug/kg~1mg/kg(患者体重)、もしくは100ug/kg~1mg/kg(患者体重)、もしくは0.1ug/kg~100ug/kg(患者体重)、もしくは0.1ug/kg~50ug/kg(患者体重)、もしくは0.1ug/kg~10ug/kg(患者体重)、もしくは0.1ug/kg~40ug/kg(患者体重)、もしくは1ug/kg~40ug/kg(患者体重)、もしくは0.1mg/kg~1.0mg/kg(患者体重)、例えば、0.2mg/kg(患者体重)~0.6mg/kg(患者体重)の総タンパク質量で提供され得る。
【0035】
本発明のある特定の態様によれば、放射標識された抗体は、標識された画分と標識されていない画分とを含み得、標識された画分:標識されていない画分の比は、約0.01:10~1:1、例えば、0.1:10~1:1の標識された画分:標識されていない画分であり得る。
【0036】
さらに、放射標識された抗体は、特定の患者に特化した単回用量の組成物として、すなわち、患者特異的治療用組成物として提供され得、組成物中の標識されたおよび標識されていない抗体の量は、少なくとも患者の体重、身長、体表面積、年齢、性別、および/または病状もしくは健康状態に依存し得る。このように、患者特異的治療用組成物の総体積は、1つの治療セッションで患者にすべて投与されるように構成されるバイアル中に提供され得、その結果、組成物は、投与後にバイアル中にほとんどまたは全く残らない。
【0037】
血液がんとしても知られる「血液悪性腫瘍」または「悪性血液疾患」は、骨髄または免疫系の他の細胞などの血液形成組織において発生するがんである。血液悪性腫瘍には、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性混合系統白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、および大顆粒リンパ球性白血病)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、原発性骨髄線維症、および慢性骨髄性白血病)、リンパ腫、多発性骨髄腫、MGUS、および類似の障害、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、T細胞リンパ腫、および他のB細胞悪性腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
「固形がん」には、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭部または頸部のがん、皮膚または眼球内の悪性黒色腫、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、直腸がん、肛門部のがん、胃がん、精巣がん、子宮がん、卵管のがん、子宮内膜がん、子宮頸のがん、膣のがん、外陰部のがん、食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟部組織の肉腫、尿道のがん、陰茎のがん、小児腫瘍、膀胱のがん、腎臓または尿管のがん、腎盂のがん、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、アスベストによって誘発されるものを含む環境誘発性がんが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
「非悪性血液疾患」または「非がん性障害」には、I型糖尿病、ヘモグロビン異常症(例えば、SCDおよびβ-サラセミア)、先天性免疫不全症(例えば、SCID)、およびウイルス感染症(例えば、HIV感染症)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の態様によれば、障害は、SCDであり、療法は、遺伝子編集されたβ-グロビン造血幹細胞療法である。幹細胞療法は、例えば、同種または自己であり得る。ある特定の態様によれば、障害は、SCIDであり、療法は、遺伝子編集された造血幹細胞療法であり、編集された遺伝子は、共通ガンマ鎖(γc)遺伝子、アデノシンデアミナーゼ(ADA)遺伝子、および/またはヤヌスキナーゼ3(JAK3)遺伝子である。幹細胞療法は、例えば、同種または自己であり得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウサギ、ブタ、ラット、およびマウスなどの哺乳動物を含むが、これらに限定されない。対象がヒトである場合、対象は、任意の年齢であり得る。ある特定の態様によれば、対象は、幼児である。さらなる態様によれば、対象は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10歳である。さらにさらなる態様によれば、対象は、10~15歳、または15~20歳である。さらにさらなる態様によれば、対象は、20歳以上、25歳以上、30歳以上、35歳以上、40歳以上、45歳以上、50歳以上、55歳以上、60歳以上、65歳以上、70歳以上、75歳以上、80歳以上、85歳以上、または90歳以上である。
【0041】
本明細書で使用される場合、放射標識された抗体を対象に投与した後、かつ対象に対して治療を実施する前の「適切な期間」は、投与された抗体が対象のHSCを枯渇させるのに十分な、かつ/または対象のHSCが枯渇したままである期間である。ある特定の態様によれば、適切な期間は、15日未満、14日未満、13日未満、12日未満、11日未満、10日未満、9日未満、8日未満、7日未満、6日未満、5日未満、4日未満、または3日未満である。ある特定の態様によれば、適切な期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、または15日超である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「放射性同位元素」は、アルファ放出同位元素、ベータ放出同位元素、および/またはガンマ放出同位元素であり得る。放射性同位元素の例には、以下:131I、125I、123I、90Y、177Lu、186Re、188Re、89Sr、153Sm、32P、225Ac、213Bi、213Po、211At、212Bi、213Bi、223Ra、227Th、149Tb、137Cs、212Pb、および103Pdが含まれる。放射性同位元素を抗体に付着させる(すなわち、放射性同位元素を用いて抗体を「標識する」)ための方法は、周知である。これらの方法のいくつかは、例えば、国際特許出願公開第WO2017/155937号に記載されている。
【0043】
本明細書で使用される場合、障害に罹患した対象を「治療すること」には、(i)障害の進行を遅延、停止、もしくは逆転させること、(ii)障害の症状の進行を遅延、停止、もしくは逆転させること、(iii)障害の再発の可能性を低減、理想的には、排除すること、および/または(iv)障害の症状が再発する可能性を低減、理想的には、排除することが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の好ましい態様によれば、障害に罹患した対象を治療することは、(i)障害の進行を、理想的には、障害が排除されるまで、逆転させること、および/または(ii)障害の症状の進行を、理想的には、症状が排除されるまで、逆転させること、および/または(iii)再発の可能性を低減もしくは排除することを意味する。理想的には、障害に罹患した対象を治療することは、その遺伝的原因を除去あるいは無効にすることによって、障害を治癒することを意味する。
【0044】
本出願全体を通して、様々な刊行物が引用されている。これらの刊行物の開示は、本発明が関連する先行技術をより完全に説明するために、本出願への参照により本明細書に組み込まれる。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を本明細書に記載の実施または試験で使用することができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。
【0045】
本発明の態様
本発明は、理想的には骨髄移植前、またはSCDのための遺伝子編集されたβ-グロビン造血幹細胞療法のような遺伝子編集された細胞ベースの療法の前に、対象の造血幹細胞を枯渇させる予想外に優れた方法を提供することによって、当該技術分野における満たされていない必要性を解決する。本発明は、放射標識された抗CD34、抗CD117、または抗CD135などの放射標識された抗体を、この目的のために用いる。抗体は、標的化コンディショニングを介して、対象の造血幹細胞を安全かつ効果的に枯渇させることができる。このアプローチは、化学療法剤のようなより特異性の低い薬剤または体外照射によって引き起こされるある特定の有害効果を回避する。
【0046】
CD34は、105kD~120kDのグリコシル化I型膜貫通型タンパク質であり、ヒトおよび他の哺乳動物の造血幹細胞/造血前駆細胞(HSC/HPC)の表面上に特異的に発現される。CD34遺伝子については、異なるアイソフォームをコードする2つの転写バリアントが見出されている。これは、細胞間接着因子として機能し、幹細胞の骨髄細胞外基質への付着、または間質細胞への直接の付着を媒介する。CD34の発現は、造血細胞の成熟とともに徐々に減少する。CD34はまた、正常および腫瘍性の微小血管性内皮細胞においても発現する。本明細書に記載される標的化枯渇方法と併せて使用することができる抗CD34抗体には、例えば、米国特許第5,843,633号に開示されるATCC受託番号AC133.1およびHB 12346から産生および放出される抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
CD117、または肥満/幹細胞増殖因子受容体(SCFR)、またはc-Kitは、ヒトにおいてKIT遺伝子によってコードされる受容体チロシンキナーゼタンパク質である。この遺伝子については、異なるアイソフォームをコードする複数の転写バリアントが見出されている。幹細胞因子(SCF)は、造血において重要な役割を果たす経路においてCD117を介してシグナル伝達する。CD117は、リンパ系および赤血球系に属する成熟細胞の前駆体である多能性造血幹細胞上に発現される。他の成熟造血細胞がCD117の発現の減少または欠如を示す一方で、肥満細胞前駆体および成熟肥満細胞は高レベルのCD117発現を保持する。したがって、CD117を介したSCFシグナル伝達は、肥満細胞の発生、機能、輸送、および生存に不可欠である。例示的な市販の抗CD117抗体には、IMC-CK6、AMG191、KTN0158、A3C6E2、およびLMJ729が含まれる。
【0048】
本明細書に記載される標的化枯渇方法と併せて使用することができる他の抗CD117抗体には、例えば、米国特許第5,489,516号に開示されるATCC受託番号10716(BA7.3C.9として寄託される)から産生および放出される抗体、例えば、SR-1抗体が含まれる。
【0049】
CD135、またはLy72、Flk-2、Flt-3、またはB230315G04は、受容体チロシンキナーゼクラスIIIに属するI型膜貫通型サイトカイン受容体である。CD135は、サイトカインFlt3リガンド(FLT3L)の受容体である。CD135のシグナル伝達は、造血幹細胞および造血前駆細胞の正常な発生に重要である。これは、多くの造血前駆細胞の表面上に発現され、大多数の悪性造血細胞(例えば、AML、ALL)に見出される。CD135発現は、通常、造血幹細胞(HSC)の分化時に失われるが、成熟樹状細胞(DC)は持続的なCD135発現を示すため、樹状細胞は例外である。例示的な市販の抗CD135抗体には、LY3012218(IMC-EB10)が含まれる。
【0050】
本明細書に記載される標的化枯渇方法と併せて使用することができる他の抗CD135抗体には、例えば、米国特許第5,635,388号に記載される米国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection、ATCC)受託番号ATCC HB 11,557によって産生および放出される抗体、または、例えば、米国特許7,183,385号に記載されるATCC受託番号FTA-4089によって産生および放出される抗体、または、例えば、米国特許5,548,065号に記載される抗体(例えば、抗CD135抗体、その抗原結合断片、およびATCC受託番号CRL 10907、CRL 10935、CRL 10936、およびCRL 11005によって産生および放出されるリガンドを含む)が含まれる。
【0051】
これらの標的の各々は、造血幹細胞および造血前駆細胞上で差次的に発現され、成熟分化造血幹細胞上では概して発現の減少または欠如を示す。したがって、本発明の組成物および方法は、造血幹細胞を標的化し、他の細胞/組織への影響を最小化しながら、造血幹細胞集団を枯渇させる新規の方法を提供する。ある特定の態様によれば、本発明は、有効量の放射標識された抗体、例えば、抗CD34、抗CD117、または抗CD135を対象に投与することを含む、対象の造血幹細胞を枯渇させるための方法を提供する。
【0052】
放射標識された抗体の有効量は、最大耐量(MTD)であり得るか、または骨髄コンディショニングもしくはさらに骨髄破壊を誘発するのに十分な量であり得る。そのような治療は、同種または自己幹細胞を用いた移植に対する有効な前処置であり得、標準的な先行技術療法(すなわち、放射線および/または化学療法)で予後不良を有する患者のカテゴリーに対して、改善された治療成果を提供し得る。
【0053】
本発明のある特定の態様によれば、方法は、増殖性疾患または悪性血液疾患の治療のために、有効量の放射標識された抗体、例えば、抗CD34、抗CD117、または抗CD135を投与することを含む。
【0054】
この枯渇方法(本明細書ではコンディショニング方法とも称される)は、HSCT、例えば、骨髄移植を介して治療可能ながん性障害に罹患した対象の治療方法にも有用である。例えば、造血幹細胞は枯渇または破壊されて、骨髄を損傷する高用量の化学療法または放射線を用いた標準的ながん治療後に置換され得るか、または罹患もしくは損傷した骨髄を置換するか、またはがん細胞を直接死滅させることができる新しい幹細胞を提供する。したがって、本発明は、がん性障害に罹患した対象を治療するための方法を提供し、この方法は、対象の造血幹細胞を枯渇または破壊するのに有効な、ある量の放射標識された抗体を対象に投与することを含む。ある特定の態様によれば、方法は、適切な期間の後、対象の障害を治療するために骨髄移植を実施することをさらに含み得る。
【0055】
この枯渇方法はまた、造血幹細胞の枯渇が望ましい、その後の遺伝子編集された細胞ベース療法の成果の改善にも有用である。この方法のある特定の好ましい態様によれば、対象は、遺伝子編集された細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患しており、かつ障害を治療するためにそのような療法を受けるところである。したがって、本発明はまた、遺伝子編集された細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患した対象を治療するための方法を提供し、この方法は、対象の造血幹細胞を枯渇させるのに有効な、ある量の放射標識された抗体を対象に投与することを含む。ある特定の態様によれば、方法は、適切な期間の後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することをさらに含み得る。
【0056】
対象方法のある特定の好ましい態様によれば、放射標識された抗体は、131Iまたは225Acで放射標識されている。放射標識された抗体が131Iで標識されている場合、有効量は、例えば、10mCi~200mCi、200mCi~400mCi、または400mCi~1200mCiであり得る。放射標識された抗体が225Acで標識されている場合、有効量は、例えば、0.1μCi/kg~1.0μCi/kg、1.0μCi/kg~3.0μCi/kg、3.0μCi/kg~5.0μCi/kg、または0.1μCi/kg~5.0μCi/kgであり得る。
【0057】
本発明は、とりわけ、骨髄移植を介して治療可能ながん性障害に罹患したヒト対象を治療するための対象方法の7つの特定の態様を提供する。第1の態様は、(i)10mCi~200mCiの131Iで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)6、7、または8日後、対象のがんを治療するために対象に対して骨髄移植を実施することと、を含む。第2の態様は、(i)200mCi~400mCiの131Iで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)8、9、10、11、または12日後、対象のがんを治療するために対象に対して骨髄移植を実施することと、を含む。第3の態様は、(i)400mCi~1,200mCiの131Iで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)10、11、12、13、または14日後、対象のがんを治療するために対象に対して骨髄移植を実施することと、を含む。第4の態様は、(i)0.1μCi/kg~5.0μCi/kgの225Acで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)6、7、または8日後、対象のがんを治療するために対象に対して骨髄移植を実施することと、を含む。第5の態様は、(i)0.1μCi/kg~1.0μCi/kgの225Acで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)6、7、または8日後、対象のがんを治療するために対象に対して骨髄移植を実施することと、を含む。第6の態様は、(i)1.0μCi/kg~3.0μCi/kgの225Acで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)6、7、または8日後、対象のがんを治療するために対象に対して骨髄移植を実施することと、を含む。第7の態様は、(i)3.0μCi/kg~5.0μCi/kgの225Acで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)6、7、または8日後、対象のがんを治療するために対象に対して骨髄移植を実施することと、を含む。
【0058】
これらの方法によって治療される例示的ながんには、少なくともリンパ腫および/または白血病が含まれる。例えば、がんは、リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0059】
本発明は、とりわけ、遺伝子編集された同種または自己細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患したヒト対象を治療するための対象方法の7つの特定の態様を提供する。第1の態様は、(i)10mCi~200mCiの131Iで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)6、7、または8日後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することと、を含む。第2の態様は、(i)200mCi~400mCiの131Iで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)8、9、10、11、または12日後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することと、を含む。第3の態様は、(i)400mCi~1,200mCiの131Iで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)10、11、12、13、または14日後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することと、を含む。第4の態様は、(i)0.1μCi/kg~5.0μCi/kgの225Acで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)6、7、または8日後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することと、を含む。第5の態様は、(i)0.1μCi/kg~1.0μCi/kgの225Acで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)6、7、または8日後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することと、を含む。第6の態様は、(i)1.0μCi/kg~3.0μCi/kgの225Acで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)6、7、または8日後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することと、を含む。第7の態様は、(i)3.0μCi/kg~5.0μCi/kgの225Acで標識された抗体を対象に投与することと、(ii)6、7、または8日後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することと、を含む。
【0060】
本発明は、(a)放射標識された抗体と、(b)対象の造血幹細胞を枯渇させるのに有効な、ある量の抗体を対象に投与するよう使用者に指示する標識と、を含む、製造物品をさらに提供する。好ましくは、対象は、ヒトである。
【0061】
対象物品のある特定の好ましい態様によれば、放射標識された抗体は、131Iまたは225Acなどで放射標識された、CD34、またはCD117、またはCD135である。放射標識された抗体が131Iで標識されている場合、有効量は、例えば、10mCi~200mCi、200mCi~400mCi、または400mCi~1200mCiであり得る。放射標識された抗体が225Acで標識されている場合、有効量は、例えば、0.1μCi/kg~5.0μCi/kgであり得る。
【0062】
本発明は、とりわけ、対象物品の7つの特定の態様を提供する。第1の態様は、(a)131Iで標識された抗体と、(b)10mCi~200mCiの131Iで標識された抗体をヒト対象に投与するよう使用者に指示する標識と、を含む。第2の態様は、(a)131Iで標識された抗体と、(b)200mCi~400mCiの131Iで標識された抗体をヒト対象に投与するよう使用者に指示する標識と、を含む。第3の態様は、(a)131Iで標識された抗体と、(b)400mCi~1,200mCiの131Iで標識された抗体をヒト対象に投与するよう使用者に指示する標識と、を含む。第4の態様は、(a)225Acで標識された抗体と、(b)0.1μCi/kg~5.0μCi/kgの225Acで標識された抗体をヒト対象に投与するよう使用者に指示する標識と、を含む。第5の態様は、(a)225Acで標識された抗体と、(b)0.1μCi/kg~1.0μCi/kgの225Acで標識された抗体をヒト対象に投与するよう使用者に指示する標識と、を含む。第6の態様は、(a)225Acで標識された抗体と、(b)1.0μCi/kg~3.0μCi/kgの225Acで標識された抗体をヒト対象に投与するよう使用者に指示する標識と、を含む。第7の態様は、(a)225Acで標識された抗体と、(b)3.0μCi/kg~5.0μCi/kgの225Acで標識された抗体をヒト対象に投与するよう使用者に指示する標識と、を含む。
【0063】
したがって、以下の態様が本出願に開示される。
【0064】
態様1.対象の造血幹細胞の標的化枯渇のための方法であって、方法が、CD34、CD117、CD135、またはそれらの組み合わせに対する、有効量の放射標識された抗体を対象に投与することを含む、方法。
【0065】
態様2.放射標識された抗体が、131I、125I、123I、90Y、177Lu、186Re、188Re、89Sr、153Sm、32P、225Ac、213Bi、213Po、211At、212Bi、213Bi、223Ra、227Th、149Tb、137Cs、212Pb、および103Pdで標識されている、態様1に記載の方法。
【0066】
態様3.放射標識された抗体が、131Iで標識されており、131Iで標識された抗体の有効量が、10mCi~200mCi、または200mCi~400mCi、または400mCi~1200mCiである、態様2に記載の方法。
【0067】
態様4.放射標識された抗体が、225Acで標識されており、225Acで標識された抗体の有効量が、0.1μCi/kg~5.0μCi/kg(対象体重)、または0.1μCi/kg~1.0μCi/kg(対象体重)、または1.0μCi/kg~3.0μCi/kg(対象体重)、または3.0μCi/kg~5.0μCi/kg(対象体重)である、態様2に記載の方法。
【0068】
態様5.対象が、遺伝子編集された細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患しており、かつ障害を治療するためにそのような療法を受けるところであり、有効量の放射標識された抗体が、単回用量として投与される、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
態様6.障害が、ヘモグロビン異常症、先天性免疫不全症、およびウイルス感染症からなる群から選択される、態様5に記載の方法。
【0070】
態様7.障害が、鎌状赤血球症(SCD)、重症複合免疫不全症(SCID)、およびβ-サラセミアからなる群から選択される、態様5に記載の方法。
【0071】
態様8.障害が、SCDであり、療法が、遺伝子編集されたβ-グロビン造血幹細胞療法である、態様7に記載の方法。
【0072】
態様9.障害が、SCIDであり、療法が、遺伝子編集された造血幹細胞療法であり、編集された遺伝子が、共通ガンマ鎖(γc)遺伝子、アデノシンデアミナーゼ(ADA)遺伝子、およびヤヌスキナーゼ3(JAK3)遺伝子からなる群から選択される、態様7に記載の方法。
【0073】
態様10.造血幹細胞が、少なくとも50%、または少なくとも70%、または少なくとも90%枯渇する、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
態様11.成熟分化造血幹細胞が、20%未満、または10%未満枯渇する、態様10に記載の方法。
【0075】
態様12.対象が、骨髄移植によって治療可能ながん性障害に罹患している、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
態様13.障害が、白血病またはリンパ腫である、態様12に記載の方法。
【0077】
態様14.急性障害が、リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、またはそれらの組み合わせである、態様12に記載の方法。
【0078】
態様15.骨髄移植を介して治療可能ながん性障害に罹患した対象を治療するための方法であって、(i)対象の造血幹細胞を枯渇または破壊させるのに有効な、ある量の放射標識された抗体を対象に投与することと、(ii)適切な期間の後、対象の障害を治療するために対象に対して骨髄移植を実施することと、を含み、抗体が、抗CD34、抗CD117、抗CD135、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【0079】
態様16.障害が、白血病またはリンパ腫である、態様15に記載の方法。
【0080】
態様17.急性障害が、リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病、またはそれらの組み合わせである、態様15または16に記載の方法。
【0081】
態様18.造血幹細胞が、または少なくとも70%、または少なくとも90%枯渇し、成熟分化造血幹細胞が、20%未満、または10%未満枯渇する、態様15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
態様19.放射標識された抗体が、131I、125I、123I、90Y、177Lu、186Re、188Re、89Sr、153Sm、32P、225Ac、213Bi、213Po、211At、212Bi、213Bi、223Ra、227Th、149Tb、137Cs、212Pb、または103Pdで標識されている、態様15~18のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
態様20.放射標識された抗体が、131Iで標識されており、131Iで標識された抗体の有効量が、骨髄移植の6、7、または8日前に投与される10mCi~200mCiである、態様15~19のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
態様21.放射標識された抗体が、131Iで標識されており、131Iで標識された抗体の有効量が、骨髄移植の8、9、10、11、または12日前に投与される200mCi~400mCiである、態様15~19のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
態様22.放射標識された抗体が、131Iで標識されており、131Iで標識された抗体の有効量が、骨髄移植の10、11、12、13、または14日前に投与される400mCi~1,200mCiである、態様15~19のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
態様23.放射標識された抗体が、225Acで標識されており、225Acで標識された抗体の有効量が、骨髄移植の6、7、8、9、10、11、または12日前に投与される0.1μCi/kg~5.0μCi/kg(対象体重)である、態様15~19のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
態様24.遺伝子編集された細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患した対象を治療するための方法であって、(i)対象の造血幹細胞を枯渇させるのに有効な、ある量の放射標識された抗体を対象に投与することと、(ii)適切な期間の後、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施することと、を含み、抗体が、抗CD34、抗CD117、抗CD135、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【0088】
態様25.対象が、遺伝子編集された細胞療法を介して治療可能な非がん性障害に罹患しており、かつ障害を治療するためにそのような療法を受けるところであり、有効量の放射標識された抗体が、単回用量として投与される、態様24に記載の方法。
【0089】
態様26.障害が、ヘモグロビン異常症、先天性免疫不全症、およびウイルス感染症からなる群から選択される、態様24または25に記載の方法。
【0090】
態様27.障害が、鎌状赤血球症(SCD)、重症複合免疫不全症(SCID)、およびβ-サラセミアからなる群から選択される、態様24~26のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
態様28.障害が、SCDであり、療法が、遺伝子編集されたβ-グロビン造血幹細胞療法である、態様27に記載の方法。
【0092】
態様29.障害が、SCIDであり、療法が、遺伝子編集された造血幹細胞療法であり、編集された遺伝子が、共通ガンマ鎖(γc)遺伝子、アデノシンデアミナーゼ(ADA)遺伝子、およびヤヌスキナーゼ3(JAK3)遺伝子からなる群から選択される、態様27に記載の方法。
【0093】
態様30.幹細胞療法が、同種幹細胞療法であるか、または幹細胞療法が、自己幹細胞療法である、態様28または29に記載の方法。
【0094】
態様31.放射標識された抗体が、131I、125I、123I、90Y、177Lu、186Re、188Re、89Sr、153Sm、32P、225Ac、213Bi、213Po、211At、212Bi、213Bi、223Ra、227Th、149Tb、137Cs、212Pb、または103Pdで標識されている、態様24~30のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
態様32.放射標識された抗体が、131Iで標識されており、131Iで標識された抗体の有効量が、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施する6、7、または8日前に投与される10mCi~200mCiである、態様24~31のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
態様33.放射標識された抗体が、131Iで標識されており、131Iで標識された抗体の有効量が、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施する8、9、10、11、または12日前に投与される200mCi~400mCiである、態様24~31のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
態様34.放射標識された抗体が、131Iで標識されており、131Iで標識された抗体の有効量が、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施する10、11、12、13、または14日前に投与される400mCi~1,200mCiである、態様24~31のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
態様35.放射標識された抗体が、225Acで標識されており、225Acで標識された抗体の有効量が、対象の障害を治療するために対象に対して療法を実施する6、7、8、9、10、11、または12日前に投与される0.1μCi/kg~5.0μCi/kg(対象体重)である、態様24~31のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
態様36.(a)放射標識された抗体と、(b)対象の造血幹細胞を枯渇させるのに有効な、ある量の抗体を対象に投与するよう使用者に指示する標識と、を含む、製造物品であって、抗体が、抗CD34、抗CD117、抗CD135、またはそれらの組み合わせを含む、製造物品。
【0100】
態様37.放射標識された抗体が、131Iで標識されており、131Iで標識された抗体の有効量が、10mCi~200mCi、または200mCi~400mCi、または400mCi~1,200mCiである、態様36に記載の物品。
【0101】
態様38.放射標識された抗体が、225Acで標識されており、225Acで標識された抗体の有効量が、0.1μCi/kg~5.0μCi/kg、または0.1μCi/kg~1.0μCi/kg(対象体重)、または1.0μCi/kg~3.0μCi/kg(対象体重)、または3.0μCi/kg~5.0μCi/kg(対象体重)である、態様36に記載の物品。
【0102】
本発明は、以下の実施例を参照することによってより良く理解されるが、当業者であれば、詳述される特定の実施例は、その後に続く特許請求の範囲においてより完全に記載される本発明の例示に過ぎないことを容易に理解するであろう。
【実施例】
【0103】
実施例1-抗体の放射性ヨウ素化
市販の抗CDXX抗体、ならびに本明細書に詳述されるようにATCCから入手可能なCD34、CD117、およびCD135の各々についてCDXX陽性細胞株から当該技術分野で既知の方法によって生成される抗体を、ヨウ素-131(131I)で標識し得る。
【0104】
131Iで抗CDXX抗体を標識するための特定の実施例には、以下が含まれる。1mgの本明細書に記載の抗CDXX免疫グロブリンを、PBS緩衝液(pH7.2)中のクロラミン-T(23マイクログラム)の存在下で、20~30mCiの131I-Na(30mCi)で標識し得る。次いで、反応物を、チオ硫酸ナトリウム水溶液(69マイクログラム)の添加によりクエンチし、冷たいNaI(1mg)で希釈し得る。直後に、50mMのPBS(pH7)で作製された濃縮アスコルビン酸溶液を添加して、クエンチされた反応混合物において2.5%(w/v)のアスコルビン酸強度を達成し得る。バッチ当たり最大3,000mCiの反応物の標識化を、この方法を使用して首尾よく実施し得る。
【0105】
標識された生成物を、2.5%(w/v)アスコルビン酸で補充されたPBS(50mM、pH7)移動相を使用する、滅菌され、事前包装された市販のSephadex G25カラム(GE HiPrep 26/10カラム、床体積53mL)上のゲル濾過により精製して、放射標識された生成物を安定化し得る。最大1,000mCiの反応体積を単一カラムで精製して、5mL~35mLの溶出体積で生成物を回収し得る。
【0106】
200mCi未満の放射性ヨウ素化された反応バッチを、より小さな脱塩カラム(GE PD10カラム、床体積8.6mL)上で同様の様式で精製することができる。
【0107】
実施例2-抗体のアクチニウム標識化
市販の抗CDXX抗体、ならびに本明細書に詳述されるようにATCCから入手可能なCD34、CD117、およびCD135の各々についてCDXX陽性細胞株から当該技術分野で既知の方法によって生成される抗体を、アクチニウム-225(225Ac)で標識し得る。アイソタイプ対照ヒトIgGは、Creative Diagnostics(New York,USA)から購入し得る。乾燥ナイトレート形態のアクチニウム-225(225Ac)は、Oak Ridge National Laboratory,USAから取得し得る。二官能性キレート剤p-SCN-Bn-DOTA(これらの実施例ではDOTAと称される)は、Macrocyclics(Texas,USA)から購入し得る。
【0108】
DOTAを、酢酸アンモニウム緩衝液中、37℃で1.5時間、例えば、5Mなどの過剰で、抗CDXXにコンジュゲートし得る。次いで、抗CDXX-DOTAコンジュゲートを、37℃または室温で60分間、1uCi/ugの抗CDXXで、0.01MのHCL(pH6.5)中の225Acで標識し、0.3μgの225Ac-抗CDXXに対して約100nCi~500nCiの比放射能を提供し得る。225Ac-抗CDXXを、標識されていない抗CDXXで希釈して、総抗体用量および放射線(放射標識)用量を調整し得る。試料を、使い捨てスピンカラムで99±1%の純度に精製し得る。
【0109】
抗CDXXをキレート剤DOTAとコンジュゲーションするための特定の標識化実施例には、以下が含まれ得る。抗体(2mg)を、適切なサイズのMWカットオフ(例えば、50,000)を有するCentriconフィルターまたはVivaspin限外濾過チューブ上の4つの限外濾過スピンにより、コンジュゲーション緩衝液(1mMのEDTAを含むNa炭酸緩衝液、pH=8.5~9.0)と平衡化し得る。スピン当たり1.5mlのコンジュゲーション緩衝液の体積を使用し得る。各スピンについて、抗体を、53,000RPMで、かつ4℃で、残留保持体積が100~200μlになるまで5~20分間スピンし得る。抗体を、2回目および3回目のスピン後、4℃で30分間インキュベートして、平衡化を可能にし得る。DOTAコンジュゲーションについて、0.15MのNH4OAc中、3mg/mlのS-2-(4-イソチオシアナトベンジル)-1,4,7,10テトラ-アザシクロドデカンテトラ酢酸(p-SCN-Bz-DOTA、MW=687)の溶液を、溶解およびボルテックスにより調製し得る。DOTA-Bz-pSCNおよび抗CDXX抗体(5mg/ml超)を、エッペンドルフ管中、7.5モル比(DOTA:抗体)で一緒に混合し、室温で15時間インキュベートし得る。DOTA-抗体コンジュゲートの精製について、未反応のDOTA-Bz-pSCNを、1.5mlの0.15MのNH4OAc緩衝液(pH=6.5)を用いた7ラウンドの限外濾過によって除去し、およそ100μlの体積にし得る。最終洗浄後、0.15MのNH4OAc緩衝液を添加して、材料をおよそ1mg/mlの最終濃度にした。この方法を使用して、抗CDXX抗体にコンジュゲートされたDOTA分子の数は、概して抗体に対して1.2~1.5個のDOTAである。
【0110】
DOTA-抗体コンジュゲートを225Acで放射標識するための特定の標識化実施例には、エッペンドルフ反応管中で15μLの0.15MのNH4OAC緩衝液(pH=6.5)を2μL(10μg)のDOTA-CDXX(5mg/ml)と混合することが含まれ得る。0.05MのHCl中、4μLの225Ac(10μCi)を添加および混合し、反応混合物を、100rpmで振とうしながら、37℃で90分間インキュベートし得る。インキュベーション期間の終了時に、3μLの1mMのDTPA溶液を反応混合物に添加し、室温で20分間インキュベートして、非複合体化225Acを結合し得る。インスタント薄層クロマトグラフィー(ITLC)を、10cmのシリカゲルストリップおよび10mMのEDTA/正常生理食塩水移動相を用いて実施して、225Ac-抗CDXXの放射化学的純度を決定し、225Acで標識された抗体を225Ac-DTPAから分離し、マルチチャネル分析器を備えたガンマ計数器で切片を計数し得る。いくつかの実行にわたる放射標識効率は、標準抗体について80%超であると決定されている。
【0111】
実施例3-患者特異的治療
放射標識された抗CDXX(「医薬品」)を、脱パイロジェン処理された1型の50mLガラスバイアル、滅菌された灰色のクロロブチルゴム栓、およびオープントップスタイルのアルミニウムシールからなる容器施栓系に含有される滅菌製剤として、患者への投与に供給し得る。各用量バイアルは、50mLバイアル中に45mLの医薬品充填体積を含有し得る。同様に、医薬品は、静脈内投与中の完全注入のための単回使用用量として提供され得、患者特異的放射活性を含有し得る。131I-抗CDXXについては、患者特異的用量は、本明細書に記載されるように、1mCi~1200mCiの131Iおよび1~60mgのタンパク質(総抗CDXX)を含み得る。225Ac-抗CDXXについては、患者特異的用量は、本明細書に記載されるように、00.1μCi/kg~5.0μCi/kg(患者体重)の225Acおよび1~60mgのタンパク質(総抗CDXX)を含み得る。抗CDXX抗体の用量は、0.1mg/kg~1.0mg/kgのレベル、例えば0.5mg/kgで、理想体重に従って決定する。ある特定の態様によれば、医薬品は、0.9%の塩化ナトリウム注射液USP(正常食塩水)と一緒に、1:9の医薬品対生理食塩水の比率で患者に同時投与し得る。注入速度は45mLの医薬品充填体積中の抗CDXX抗体の量に依存するため、およそ430~450mLの総医薬品および生理食塩水注入体積は、様々な期間にわたって投与される。
【0112】
実施例4-SCD
本実施例は、SCD患者における遺伝子編集されたHSCを用いた移植前に先行する、HSC破壊(すなわち、100%枯渇)について記載する。
【0113】
SCDは、世界中で最も一般的なヘモグロビン異常症である。アフリカ系アメリカ人におけるSCDの発症率は、およそ500人に1人である。米国では、100,000人が罹患していると推定される。
【0114】
SCDは、鎌状ヘモグロビンを産生するβ-グロビン遺伝子の一塩基変異によって引き起こされる。SCD患者は、貧血、血管閉塞性クリーゼ(VOC)、溶血、慢性臓器機能障害、および早期死亡を呈し得る。SCDを有する小児の死亡率は、100,000人当たり0.5人である。しかしながら、成人の死亡率は100,000人当たり2.5人超であり、平均余命の中央値は、SCDを有する男女ともに50歳未満である。
【0115】
現在、SCDに対する唯一の根治的治療は、造血幹細胞移植(HSCT)である。残念ながら、SCDのためのHSCTには問題がないわけではない。国際血液骨髄移植研究センター(Center for International Blood and Marrow Transplant Research)によれば、SCD患者の1,089人のみが、1991年~2017年4月にHSCTを受けた。HSCTに関連するリスクには、同種ドナー幹細胞の使用から生じる合併症(移植片対宿主病など)が含まれる。
【0116】
遺伝子編集技術の出現に伴い、現在、SCDに関与するβ-グロビン遺伝子の変異が修正されている自己幹細胞を使用してSCD患者を治癒する機会が存在する。ZFN、TALEN、CRISPR/cas9、および他のヌクレアーゼ媒介性編集アプローチを使用して、SCD患者から幹細胞を修復または除去して置換することができる。例えば、Sun and Zhao(Biotech.and Bioeng.,2014,111(5))は、TALENを使用して、患者の多能性HSCにおけるヒトβ-グロビン遺伝子変異の修復に成功したことを実証した。さらに、Dever,et al.,(Nature,2016,539:384-389)は、CRISPR/cas9を使用して、患者のHSCにおけるSCDに関与するGlu6Val変異の効率的な修復を実証した。SCDに対するこのアプローチを使用する臨床試験が、現在開始されている。
【0117】
残念なことに、高用量化学療法または全身照射を使用する標準的な骨髄破壊的コンディショニングレジメン(すなわち、100%HSC枯渇レジメン)が、自己遺伝子編集された細胞移植を含む移植に現在使用されている。これらの患者のための、より安全かつより有効なコンディショニング方法に対する必要性が存在する。放射標識された抗体は、患者の正常な組織をより節約する。特に、高齢のSCD患者は、その疾患の結果としてすでに臓器損傷を有し得、骨髄破壊的コンディショニングレジメンとしての非特異的放射線または化学療法への曝露により、幹細胞移植の実施がより危険の高いものとなり得る。放射標識された抗CDXXアプローチは、これらの患者により良い選択肢を提示する。
【0118】
さらに、疾患の遺伝的な性質により、遺伝子編集されたHSCの移植を介して疾患を修正することは、疾患の合併症が不可逆的であり得、患者の長期的な生存に負の影響を有し得るため、可能な限り早期が好ましい。したがって、遺伝子編集されたHSCを使用してSCDに罹患した乳児または幼児を治療することが想定される。この目的のために、好ましくは、225Acなどのアルファ放出放射性核種で標識された、抗CD34、抗CD117、または抗CD135などの放射標識された抗体が理想的であろう。その非常に短い、高エネルギー放射線経路長を有する225Acなどのアルファ放出放射核種の使用は、CD34、CD117、またはCD135陽性細胞に放射線を集中させ、(破壊的用量の131Iで標識された抗体を用いたコンディショニングに必要とされるように)治療される患者を単離する必要なしに、有効な破壊を可能にする。
【0119】
実施例5-SCID
本実施例は、SCID患者における遺伝子編集されたHSCを用いた移植に先行する、HSC破壊について記載する。
【0120】
SCIDは、罹患した患者が、B細胞欠損を伴うか伴わないかに関わらず、重症のT細胞欠損を呈する、生殖細胞系列の遺伝的障害である。SCIDは、欠陥のある適応免疫応答を伴い、それにより、患者が病原体に対する有効な抗体応答を開始することを妨げる。SCIDは、原発性免疫不全症の最も重症な形態であり、変異がSCIDにつながる少なくとも9つの異なる既知の遺伝子が存在する。SCID患者は適応免疫応答を開始することができないため、感染にかかりやすく、早期死亡率が高い。SCIDは、生命を脅かす感染を避けるために患者を無菌環境に保たれなければならないため、「バブルボーイ」症候群としても既知である。
【0121】
SCIDにおける最も高頻度の遺伝的欠損は、共通ガンマ鎖(γc)にあり、これは、インターロイキンIL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、およびIL-21の受容体によって共有されるタンパク質である。SCIDにつながり得る他の変異遺伝子は、ADAおよびJAK3である。SCDと同様に、幹細胞移植による治療のみが、SCIDに対して潜在的に治癒的である。しかしながら、免疫回復の遅延およびGVHDは、これらの患者にとって重大なリスクである。また、SCD患者の場合と同様に、SCID患者は若年であるため、移植前のより良いコンディショニングレジメンを含む、有効かつ安全な治療方法が必要である。
【0122】
遺伝子編集技術は、SCID患者自身のHSCの欠損を正確に修復し得る。一度体に戻ると、これらの操作されたHSCは、正常なリンパ球を産生し、作用する適応免疫応答を確立して、感染から保護することができる。近年、Chang et al(Cell Reports,2015,12:1668-1677)は、マウスのJAK3遺伝子の変異のCRISPR/cas9媒介性修復を介して正常なリンパ球発生を効果的に回復させることを報告した。さらに、Alzubi,et al.,(Nature,Scientific Reports,2017,7:12475)は、近年、TALEN技術を使用して、X-SCIDに関与する遺伝子であるIL2RG(共通ガンマ鎖)における遺伝的欠損をマウスにおいて正確に修復することを実証した。
【0123】
ヒトSCID患者をコンディショニングするための、より安全かつより有効な方法が開発されることが重要である。例えば、225Acで標識された抗CD34、または抗CD117、または抗CD135を用いる、アルファ放出対放射性免疫療法が、これらの主に若い患者を安全にコンディショニングするために必要とされる。
【0124】
実施例6-治療概要
表Iは、放射標識された抗体(すなわち、コンディショニング剤)の投与を介したHSC枯渇に先行される、遺伝子編集された幹細胞投与を使用する選択された治療レジメンを要約する。
【表1】
【国際調査報告】