(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】人工大腿骨コンポーネントを選択するためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/15 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
A61B17/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563299
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 US2020029565
(87)【国際公開番号】W WO2020219706
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521464075
【氏名又は名称】エックス40 インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】クリドジアン、アンナ、アンドラニク
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL28
(57)【要約】
【要約】
移植を受けるために大腿骨を準備するためのシステムは、遠位切断ブロックの第1の鋸刃スロットに配置可能であり、前記患者の大腿骨に軸方向の切断面を形成するように動作可能な鋸刃を含む。前記鋸刃は、その第1の側に、前記鋸刃が前記患者の大腿骨の前記軸方向の切断面に配置されると、前記内側顆の凹面の前方上部から前記内側顆の凹面の後方上部に向かって負の方向に増加する公称前後方向(A/P)寸法標示を有する。前記鋸刃はまた、前記鋸刃の反対側の二番目の側に名目公称中外側方向(M/L)寸法標示を持っている。前後方向(A/P)面切断ブロックは、前記大腿骨の軸方向の切断面に配置可能であり、患者の大腿骨に対して前記前後方向(A/P)面切断ブロックを回転方向に向ける少なくとも1つの回転ガイドに連結されている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に移植される大腿骨コンポーネントの寸法を決定する方法であって、
患者の大腿骨の内側顆を横切って延びる軸方向の切断面を作成する工程と、
前記内側顆を横切る前記軸方向の切断面の距離を測定する工程と、
前記測定された距離に基づいて大腿骨コンポーネントを選択する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記軸方向の切断面を作成する工程は、
前記患者の大腿骨の遠位端に遠位切断ブロックを配置する工程であって、前記遠位切断ブロックはそれに関連する第1の鋸刃スロットを有するものである、前記遠位切断ブロックを配置する工程と、
前記第1の鋸刃スロット内に鋸刃を配置し、前記患者の大腿骨の前記遠位端に前記軸方向の切断面を形成する工程と
を有するものである、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、さらに、
前記軸方向の切断面に前後方向(A/P)面取り切断ブロックを配置する工程であって、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックは少なくとも1つの回転ガイドを備えているものである、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックを配置する工程と、
前記少なくとも1つの回転ガイドの一部を、前記患者の大腿骨の前記内側顆または外側顆の少なくとも1つの後面に配置し、それによって、前記前後方向A/P面取り切断ブロックを前記患者の大腿骨に対して回転方向に向ける工程と
を有するものである、方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックは、第2および第3の鋸刃スロットを含み、前記第2および第3の鋸刃スロットは、面取り切断スロットを提供し、互いに対して0度~180度の間の角度を成しているものである、方法。
【請求項5】
請求項2記載の方法において、前記距離を測定する工程は、前記軸方向の切断面を形成するために使用される前記鋸刃に設けられた公称前後方向(A/P)寸法標示を使用して測定する工程を含むものである、方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記鋸刃が前記患者の大腿骨の前記軸方向の切断面に配置された際、前記鋸刃に設けられた前記公称前後方向(A/P)寸法標示は、前記内側顆の凹面の前方上部から前記内側顆の凹面の後方上部に向かって負の方向に増加するものである、方法。
【請求項7】
請求項5記載の方法において、
前記公称前後方向(A/P)寸法標示は前記鋸刃の第1の側に設けられているものであり、この方法は、さらに、
前記鋸刃の反対側の第2の側に備えられた公称M/L寸法標示を使用して前記軸方向の切断面の中外側の寸法を測定することを有するものである、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記測定された距離は、前記軸方向の切断面を横切る最大距離である、方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記距離を測定する工程は、前記軸方向の切断面の画像を使用して測定する工程を含むものである、方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記大腿骨コンポーネントを選択する工程は、前記測定された距離を、さまざまな公称寸法を有する大腿骨インプラントのセットと比較する工程を含むものである、方法。
【請求項11】
移植を受けるために大腿骨を準備するためのアセンブリであって、
前記大腿骨に面取り切断部を形成するためのガイドを提供するために、前記大腿骨の軸方向の切断面に配置可能な前後方向(A/P)面取り切断ブロックと、
前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックに連結された少なくとも1つの回転ガイドであって、前記少なくとも1つの回転ガイドの少なくとも一部は、前記患者の大腿骨の内側顆または外側顆のうちの少なくとも1つの後面に配置可能なものであり、それにより、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックは、前記患者の大腿骨に対して回転方向に配置されるものである、前記回転ガイドと
を有する、アセンブリ。
【請求項12】
請求項11記載のアセンブリにおいて、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックは前面を含み、前記少なくとも1つの回転ガイドは後面を含むものであり、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックの前面は、前記少なくとも1つの回転ガイドの前記背面と嵌合するものである、アセンブリ。
【請求項13】
請求項11記載のアセンブリにおいて、前記回転ガイドは、少なくとも1つの位置決め脚部を含み、前記位置決め脚部は、前記回転ガイドから後方におよび前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックを越えて延在するものであり、それにより、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックが前記患者の大腿骨の前記軸方向の切断面に取り付けられる際に、前記患者の大腿骨の前記内側顆または前記外側顆のうちの少なくとも1つの後面への接触が可能となるものである、アセンブリ。
【請求項14】
請求項11記載のアセンブリにおいて、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックは、少なくとも2つの鋸刃スロットを含み、前記少なくとも2つの鋸刃スロットは、互いに対して0度~180度の間の角度を成しているものである、アセンブリ。
【請求項15】
患者の大腿骨に対して切断ブロックを方向付けるための回転ガイドアセンブリであって、
前面と背面とを有する基板支持部であって、前記背面は、患者の大腿骨を通して形成された軸方向の切断面に取り付け可能な面取り切断ブロックに取り付けられるように構成されるものである、前記基板支持部と、
前記基板支持部から延長する少なくとも1つの位置決め脚部であって、前記面取り切断ブロックが前記患者の大腿骨の前記軸方向の切断面に取り付けられている際に、前記患者の大腿骨の前記内側顆または前記外側顆のうちの少なくとも1つの後面に接触するように配置されるものである、前記少なくとも1つの位置決め脚部と、
前記基板支持部を貫通して形成された少なくとも1つの開口部であって、前記回転ガイドが前記面取り切断ブロックと連結される際に前記面取り切断ブロックに形成された開口部と位置合わせ可能であり、それにより前記基板支持部および前記面取り切断ブロックを通した前記患者の大腿骨の前記軸方向切断面に対する視線が提供されるものである、前記少なくとも1つの開口部と
を有する、アセンブリ。
【請求項16】
請求項15記載のアセンブリにおいて、さらに、
前記基板支持部に取り付けられ、前記基板支持部の前記前面から延びるハンドルを有し、
前記ハンドルは、前記回転ガイドが前記面取り切断ブロックに取り付けられた際に、利用者が前記面取り切断ブロックを操作できるように、前記利用者によって把持自在である、アセンブリ。
【請求項17】
請求項15記載のアセンブリにおいて、さらに、
前記基板支持部の前記背面から延びる第1の固定ピンを有し、前記第1の固定ピンにより前記面取り切断ブロックへの固定的な取り付けが提供されるものである、アセンブリ。
【請求項18】
請求項17記載のアセンブリにおいて、さらに、
前記基板支持部の前記背面から延びる第2と第3の固定ピンを有し、前記第2と第3の固定ピンは、前記回転ガイドと前記面取り切断ブロックとの間にそれぞれ第2と第3の固定点を提供ものである、アセンブリ。
【請求項19】
移植を受けるために大腿骨を準備するためのシステムであって、
遠位大腿骨切断ブロックの第1の鋸刃スロットに配置可能であり、前記大腿骨を切除してその上に軸方向切断面を形成するように動作可能である鋸刃であって、この鋸刃は、第1の側に公称前後方向(A/P)寸法標示が設けられ、その反対側の第2の側に公称中外側(M/L)寸法標示を設けられているものである、前記鋸刃を有し、
前記鋸刃は、前記公称前後方向(A/P)寸法標示を前記内側顆の前後寸法と比較するために第1の方向に前記軸方向の切断面を横切って配置可能であり、さらに、前記公称中外側(M/L)寸法標示と前記内側顆の中外側と比較するために第2の方向に前記軸方向の切断面を横切って配置可能である、
システム。
【請求項20】
請求項19記載のシステムにおいて、さらに、
前記大腿骨の前記軸方向の切断面に配置可能な前後方向(A/P)面取り切断ブロックを有し、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックは、少なくとも1つの回転ガイドに連結され、前記少なくとも1つの回転ガイドの一部は、前記患者の大腿骨の前記内側顆または外側顆のうちの少なくとも1つの後面に配置可能であり、それによって前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックは、前記患者の大腿骨に対して回転方向に配置されるものである、システム。
【請求項21】
請求項20記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの回転ガイドは、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックに取り外し可能に取り付けられているものである、システム。
【請求項22】
請求項20記載のシステムにおいて、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックは、少なくとも2つの鋸刃スロットを含み、前記少なくとも2つの鋸刃スロットは、互いに対して0度~180度の間の角度を成しているものである、システム。
【請求項23】
請求項20記載のシステムにおいて、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックは前面を含み、前記少なくとも1つの回転ガイドは背面を含むものであり、前記前後方向(A/P)面取り切断ブロックの前記前面は前記少なくとも1つの回転ガイドの前記背面と嵌合するものである、システム。
【請求項24】
請求項23記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの回転ガイドは、前記少なくとも1つの回転ガイドの背面に対して実質的に垂直に延びる少なくとも1つの位置決め脚部を含むものである、システム。
【請求項25】
請求項19記載のシステムにおいて、前記鋸刃に設けられた前記公称前後方向(A/P)および前記公称中外側(M/L)寸法標示は、大腿骨コンポーネントの公称寸法に相関する増分の標示を含むものである、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年4月23日に出願された同時係属の米国特許出願シリアル番号16/392、282の一部の継続であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、一般的に、人工大腿骨コンポーネントを選択および移植するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、一般的に、人工膝関節置換術(または人工膝関節全置換術、「TKA」)として知られている技術で利用されるものなどのシステムおよび方法に関する。TKA処置中に、膝関節の加重部分が人工装具に交換されます。
【0004】
前記TKA処置の前記大腿骨コンポーネントは、関節の自然な形状を模倣した丸い移植片である。前記移植用に大腿骨を準備するために、前記大腿骨の遠位末端をほぼ平らな面に切除する。切除後、これまでは複雑なメカニズムを使用して前記大腿骨の前後方向の(A/P)寸法を測定し、前記大腿骨移植コンポーネントの適切な寸法を決定した。この従来の装置は、非常に扱いにくいだけでなく、通常、前記大腿骨の表面に沿ってさらに近位に位置する前記大腿骨の前部皮質へのアクセスを必要とする。これには、視覚化のために望ましくないほど大きな切開と、場合によっては外傷性の筋肉の収縮が必要であり、これは必然的に手術の複雑さとリスクを増大させる。この大きな切開はまた、美容上不快である。大きな切開と複雑な測定構造も、手技の時間に大きな影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本技術の一態様によれば、患者に移植される大腿骨コンポーネントの寸法を決定する方法が提供される。この方法は、患者の大腿骨の内側顆を横切って延びる軸方向の切断面を作成することを含むことができる。前記内側顆を横切る前記軸方向の切断面を横切る距離を測定することができる。前記測定された距離に基づいて大腿骨コンポーネントが選択される。
【0006】
本発明の別の態様によれば、移植を受ける大腿骨を準備するためのアセンブリが提供される。前記アセンブリは、前記大腿骨の軸方向の切断面に配置可能な前後方向(A/P)面切断ブロックを含むことができ、前記大腿骨に前後および面切断を生成するためのガイドを提供する。少なくとも1つの回転ガイドを前記A/P面切断ブロックに連結できる。前記少なくとも1つの回転ガイドの少なくとも一部は、患者の大腿骨の前記内側顆または外側顆のうちの少なくとも1つの後面に配置可能なものであり、それにより、前記A/P面切断ブロックを前記患者の大腿骨に対して回転方向に配置することができる。
【0007】
本技術の別の側面に従って、回転ガイドアセンブリが、患者の大腿骨に対して切断ブロックを方向付けるために提供される。前記アセンブリは、前面および背面を有する基板支持部を含むことができる。前記背面は、患者の大腿骨を通して形成された軸方向の切断面に取り付け可能な面取り切断ブロックに取り付けるように構成できる。少なくとも1つの位置決め脚部が前記基板支持部から延びることができる。前記位置決め脚部は、前記A/P面切断ブロックが前記患者の大腿骨の前記軸方向の切断面に取り付けられている際に、前記内側顆の前記後面または前記患者の大腿骨の前記外側顆のうちの少なくとも1つに接触するように方向付けることができる。少なくとも1つの開口部は、前記基板支持部を通して形成することができ、前記開口部は、前記面切断ブロックに形成された前記開口部と位置合わせ可能であり、前記基板支持部および前記面切断ブロックを通って前記患者の大腿骨の軸方向の切断面に視線を提供する。
【0008】
本技術の別の態様によれば、移植を受けるために大腿骨を準備するためのシステムが提供される。前記システムは、遠位大腿骨切断ブロックの第1の鋸刃スロットに配置可能であり、前記大腿骨を切除してその上に前記軸方向の¥切断面を形成するように動作可能な鋸刃を含むことができる。前記鋸刃は、その第1の側に公称A/P寸法標示を載せることができ、その反対側の第2の側に公称中外側方向(M/L)寸法標示を設けることができる。前記鋸刃は、公称A/P寸法標示を前記内側顆の前後寸法と比較するために第1方向で前記軸方向の切断面全体に配置可能であり、前記公称M/L寸法標示を前記内側顆の内側外側の寸法と比較するために第2方向で前記軸方向の切断面全体に配置可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図面は、本発明を実施するための例示的な実施形態を示している。同様の参照番号は、図面における本発明の異なる見解または実施形態における同様のアセンブリを指す。
【
図1】
図1は、軸方向の切断面が形成されたヒト大腿骨の端面図である。
【
図2】
図2は、遠位大腿骨切断ブロックがその上に配置され、鋸刃が前記遠位大腿骨切断ブロックに挿入された、
図1の前記大腿骨の端面図である。
【
図3A】
図3Aは、
図1の前記大腿骨の端面図であり、その上に配置された公称A/P寸法標示を有する鋸刃を設けている。
【
図3B】
図3Bは、
図1の前記大腿骨の端面図であり、その上に配置された公称M/L寸法標示を有する鋸刃を設けている。
【
図4】
図4は、
図1の前記大腿骨の端面図であり、その上に例示的な面積計算帯が示されている。
【
図5A】
図5Aは、最大A/P寸法に関連する例示的な公称寸法標示に関連する相関データを示す表である。
【
図5B】
図5Bは、前記軸方向の切断を横切る内側顆の領域に関連する例示的な公称寸法標示に関連する相関データを示す表である。
【
図5C】
図5Cは、最大M/L寸法に関連する例示的な公称寸法標示に関連する相関データを示す表である。
【
図6】
図6は、A/P面切断ブロックおよびその上に配置された回転ガイドを設けた
図1の前記大腿骨の斜視図である。
【
図7】
図7は、例示的な先行技術の大腿骨移植コンポーネントの斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、その前面に公称A/P寸法標示が設けられた鋸刃の正面図である。
【
図8B】
図8Bは、
図8Aの鋸刃の背面図であり、その裏側に取り付けられた公称M/L寸法標示を示している。
【
図9A】
図9Aは、本技術の実施形態による例示的な回転ガイドの正面図である。
【
図10A】
図10Aは、本技術による例示的なA/P面切断ブロックの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、図面に示されている例示的な実施形態を参照し、本明細書では、同じことを説明するために特定の言語を使用する。それにもかかわらず、本発明の範囲の制限はそれによって意図されていないことが理解されるであろう。本明細書に示される本発明の特徴の変更およびさらなる修正、ならびに本明細書に示される本発明の原理の追加の適用は、関連技術に熟練し、本開示を所有している者に生じ、本発明の範囲内で考慮されるべきである。
【0011】
定義
本明細書で使用される場合、単数形「a」および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことができる。したがって、例えば、「標示」への言及は、文脈がそのように指示する場合、記号、シンボル、マーキングなどの1つまたは複数のセットまたはコレクションを含むことができる。
【0012】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、動作、特性、属性、状態、構造、事柄、または結果の完全またはほぼ完全な範囲または程度を指す。任意の例として、「実質的に」囲まれている物体は、完全に囲まれている、またはほぼ完全に囲まれている物である。絶対的な完全性からの正確な許容可能な逸脱の程度は、特定の状況に依存する場合がある。ただし、一般的に言えば、完了の近さは、もし絶対的および完全な完了が得られたのであれば、全体的な結果が同じになるようになる。「実質的に」の使用は、動作、特性、属性、状態、構造、事柄、または結果の完全またはほぼ完全な欠如を指すために否定的な意味合いで使用される場合にも同様に適用できる。別の恣意的な例として、成分または要素を「実質的に含まない」組成物は、その結果として測定可能な効果がない限り、実際にそのような事柄を依然として含む。
【0013】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の値が端点の「少し上」または「少し下」であることを提供することによって、数値範囲端点に柔軟性を提供するために使用される。
【0014】
本発明の様々な構成要素を説明および主張するために、相対的な方向の用語を本明細書で使用することができる場合がある。そのような用語には、「遠位」、「近位」、「前方」、「後方」、「上向き」、「下向き」、「水平」、「垂直」などが含まれるが、これらに限定されない。これらの用語は、一般的に限定することを意図するものではなく、本発明の様々な特徴を最も明確に説明および主張するために使用される。そのような用語が何らかの制限を伴う必要がある場合、それらは、本開示の文脈において当業者によって一般に知られ理解されている使用法に限定されることを意図している。場合によっては、寸法情報が図に含まれている。この情報は、例示のみを目的としており、限定するものではない。場合によっては、図面が原寸に比例しておらず、そのような寸法情報が図全体で正確に変換されていない可能性がある。
【0015】
本明細書で使用される場合、複数の事柄、構造要素、構成要素、および/または材料が、便宜上、共通のリストに提示される。ただし、これらのリストは、前記リストの各要素が個別の一意の要素として個別に識別されているかのように解釈する必要がある。したがって、そのようなリストの個々の要素は、反対の指示なしに、共通のグループでの提示のみに基づいて、同じリストの他の要素と事実上同等であると解釈されるべきではない。
【0016】
数値データは、本明細書では範囲形式で表現または提示することができる。このような範囲形式は、単に便宜上および簡潔にするために使用され、したがって、範囲の限界として明示的に記載された数値だけでなく、各数値と部分的範囲が明示的に記述されているかのようにその範囲内に含まれるすべての個々の数値または部分的範囲を含むように柔軟に解釈されるべきであることが理解されるべきである。例示として、「約1~約5」の数値範囲は、明示的に記載された約1~約5の値だけでなく、示された範囲内の個々の値および部分的範囲も含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、2、3、4などの個々の値、1~3、2~4、3~5などの部分的範囲と同様に1、2、3、4および5を個別に、含まれる。
【0017】
これと同じ原則が、最小値または最大値として1つの数値のみを列挙する範囲に適用される。さらに、そのような解釈は、範囲の広さや説明されている特性に関係なく適用されるべきである。
【0018】
本技術は、一般的に、部分的または完全な膝関節置換手術の一部として大腿骨コンポーネントを移植するための技術および装置に関する。このような技術は、例えば、人工膝関節置換術(または人工膝関節全置換術「TKA」)で有用である。TKA処置中に、膝関節の耐荷重部分が人工補綴物に交換される。典型的なTKAの工程は、かなりの術後疼痛を伴う可能性があり、数週間の身体的リハビリテーションを必要とする可能性がある。このような処置に必要な外科的切開は、膝蓋骨の上下数インチに及ぶ可能性がある。
【0019】
前記TKA処置の前記大腿骨コンポーネントは、骨の自然な形状を模倣した丸い移植片である。前記移植用に大腿骨を準備するために、前記大腿骨の遠位端をほぼ平らな面に切除する。切除後、従来、複雑なメカニズムを使用して大腿骨の前後方向の(「A/P」)寸法を測定し、前記大腿骨移植コンポーネントの適切な寸法を決定していた。場合によっては、前記大腿骨の中外側の(「M/L」)寸法を測定するために二番目の機構も使用されている。前記大腿骨のA/P寸法を測定するためのそのような従来の装置の1つは、例えば、レスリーらの米国特許第9、681、963号に示されている。この測定器は非常に扱いにくいだけでなく、通常、大腿骨の表面に沿ってさらに近位に位置する大腿骨の前部皮質へのアクセスを必要とする。これには、望ましくないほど大きな切開が必要であり、必然的に手術の複雑さとリスクが高まり、筋肉の収縮により軟組織への損傷のリスクがさらに高まる。この大きな切開はまた、美容上不快である。また、大きな切開および複雑な測定構造も、前記手技の継続時間に大きく影響する。
【0020】
本発明者は、そのような手術に必要な切開の寸法を大幅に縮小し、また移植コンポーネントの決定の複雑さを軽減する技術および器具を開発した。本発明者は、そのシステムが総手術時間を12分も短縮できることを発見した。この手術時間の短縮は、必要な切開の寸法を大幅に縮小しながら達成される。器具類トレイから面倒な従来技術の装置を減らすことはまた、前記工程を実行するために必要とされるトレイの数を大幅に減らすことを可能にする。したがって、本装置および技術は、人工膝関節置換術に関連する手術時間、コスト、リスク、および術後回復時間を削減する。必要な外科的切開もはるかに小さいので、術後の瘢痕はより美容的に許容される。
【0021】
大腿骨コンポーネントの埋め込みは、通常、患者の膝に切開を作成して大腿骨と脛骨の端を露出させることによって行われる。通常、膝蓋骨前面のアプローチが利用され、前記膝蓋骨は関節の片側に移動する。これにより、大腿骨の遠位端と脛骨の近位端を露出させることができる。次に、これらの端部は、移植コンポーネントを受け入れるために非常に正確に切断および成形される。
【0022】
当業者は、大腿骨コンポーネントを移植するために必要な外科的技術を容易に理解するであろうが、本明細書の議論を単純化するために、図は、時には部分的に、ヒト大腿骨を別個に示す。これは、実際にはそうなることは一般的にないことを理解した上で行われる。
【0023】
ここで
図1および2を参照すると、軸方向の切断面14がすでにその上に形成されているヒト大腿骨12が示されている。前記軸方向の切断面の形成は、いくつかの方法で達成することができる。多くの場合、大腿骨に髄内の穴または管16が作成されて、切除治具(図示せず)のロッドを受け入れる。この治具は、遠位切断ブロック(
図2の18)を前記大腿骨に正確に固定することを可能にすることができる。前記遠位切断ブロックは、鋸刃22を受け入れるためにその中に形成された1つまたは複数の鋸刃スロット20を含むことができる。示されている前記鋸刃は、その遠位端24に形成された切断歯を設けた矢状鋸刃である。示されている前記鋸刃の前記切断歯および一般的な構成は単なる例示であり、様々な異なる構成を利用することができる。示されている前記矢状鋸刃に加えて、振動または往復鋸刃などの様々な他の適切な鋸刃を使用することができる。レーザーや超音波の鋸など、骨を除去または成形するための他の技術も使用できる。
【0024】
鋸刃22は、前記鋸刃が前記大腿骨上に軸方向の切断面14(
図1)を形成した後、
図2の大腿骨を通して完全に伸ばされて示されている。一般的に、鋸刃は前記鋸刃スロット20を通って延在し、前記鋸刃を振動または他の運動で駆動する鋸(近位端、図示せず、端24の反対側)に連結される。前記鋸刃が前記鋸刃スロットを通って前進するとき、それは骨を取り除き、示されている前記軸方向の切断面を形成する。一般的に言えば、前記軸方向の切断面が形成された後、遠位切断ブロック18を取り外すことができる。
【0025】
前記遠位大腿骨(軸方向)切断の深さはメーカー固有であり、通常、特定の移植片の金属の厚さに依存する。ほとんどのメーカーは、一部8mmと共に9mmの遠位大腿骨切断を持っている。これらは、最も一般的に使用されているメーカーの1つに対する例示的な測定値にすぎない。現在の技術の一貫した方法論は、切除された深さとメーカー固有のサイジングに従って予測計算を可能にする。
【0026】
前記遠位大腿骨切断は、その表面から9mmに前記切断スロットを配置する内側顆の最も外側の部分に対して配置された遠位大腿骨切断ブロックによって測定される。外科医は、局所的な欠陥が前記9mmの遠位大腿骨切断に到達する場合に必要に応じてこの場所を修正できる。これは、トレーニングによって解剖学的異常の解釈が指示されるためである。
【0027】
前記軸方向の切断面14が前記大腿骨12の前記遠位端に形成されると、本システムは、大腿骨移植コンポーネントを選択することができる方法を提供する。従来技術に見られるものと同様の例示的な大腿骨移植が、
図7の100に例として示されている。このような移植コンポーネントのさまざまな寸法は患者によって異なるため、特定の患者に適切な寸法を選択することは困難であり、これまで非常に高度な機器と時間のかかる技法が必要であった。
【0028】
しかしながら、本発明者は、適切な移植コンポーネントを比較的容易に選択することができるシステムを開発した。
図1に示されるように、前記軸方向の切断面14の少なくとも一部は、前記内側顆13を通って延びるように形成されている(前記外側顆は、右側の15に示されている)。寸法D1で例によって示される距離26は、前記大腿骨の前後の寸法を決定するために、前記内側顆を横切って測定することができる。いくつかの実施形態では、この測定のみに基づいて、前記特定の大腿骨に対して前記適切な寸法の大腿骨コンポーネントを選択することができる。前記距離26は、様々な場所で測定することができるが、いくつかの実施形態では、前記軸方向の切断面を横切る前記内側顆の最大寸法を横切るように選択される。
【0029】
示されている例では、骨のある表面から前記骨の別の表面まで延びる最大距離D1が示されている。一般的に言えば、前記大腿骨の切除後(例えば、前記大腿骨を横切る前記軸方向の切断面の形成後)、軟骨28は、前記軸方向の切断面の周りの前記大腿骨上に留まる。使用される測定装置、および距離が測定される方法に応じて、前記最大距離は、示されるように、前骨表面から後骨表面まで測定されるか、または前記軟骨28の外面から外面まで測定される。前記測定は、骨表面から軟骨表面へ、または軟骨表面から骨表面へなど、行うこともできる。
【0030】
本発明の一態様では、前記最大距離は、前記鋸刃22によって伝えられる標示を使用することによって測定することができる。本発明のこの態様は、
図3A、3B、8Aおよび8Bにさらに詳細に示されている。
図3Aに示されるように、本技術の一態様では、前記最大距離は、前記鋸刃22によって伝えられる公称A/P寸法標示30を使用して測定される。前記公称A/P選別標示30は、実際の物理的寸法データを省略でき、大腿骨コンポーネントの公称寸法と相関させることができる。示されている例では、前記公称寸法標示は、参照番号34によって示されているように、示されている前記大腿骨12の寸法に対して寸法5の移植が必要であることを示している。
【0031】
一般的に言えば、前記公称A/P寸法標示30は、前記鋸刃22に前記標示を適用する前に、特定の製造業者の移植システムと相関させることができる。このようにして、所与の製造業者に固有の公称寸法標示を有する特定の鋸刃を、いくつかの移植コンポーネントシステムのそれぞれに使用することができる。
図5Aの表1は、たとえば、前記公称寸法を軸方向の切断面全体の実際の寸法に相関させるために使用できる例示的なデータチャートを示している。この表は、その例示的な説明のためにのみ提供されており、前記公称寸法表示は、通常、特定の各メーカーに合わせて調整する必要がある。
【0032】
示されている前記例では、前記鋸刃12によって伝えられる前記公称寸法標示30は、前記鋸刃が患者の大腿骨の前記軸方向の切断面に配置されている場合、前記内側顆の凹面の前方上部から内側顆の凹面の後方上部に向かって負の方向に値を増加する。言い換えれば、前記標示は、前記内側顆の凹面の後方上部から前記凹面の前方上部まで正に値を増加させる。このようにして、外科医または専門家は、
図3Aに示すように、前記鋸刃の遠位端を前記内側顆の後顆の凹面の上部に合わせ、前記凹面の前上部の前記標示から正しい公称寸法を読み取ることができる。
【0033】
本技術の別の態様では、前記距離D1(
図1)(または前記距離D2、または前記軸方向の切断面の領域27、以下でより詳細に説明する)は、前記軸方向の切断面14で撮影された画像を検討することによって測定することができる。適切な画像化技術には、CT、MRI、X線写真および他の画像化または写真モダリティが含まれるが、これらに限定されない。前記利用される画像化技術の種類はまた、距離を測定するためにどの表面が使用されるかを決定する。なぜなら、いくつかの画像化技術は前記軟骨28を捕捉しないためである。別の態様では、前記軸方向の切断面を仮想的にとることができる。すなわち、現在の患者に適用可能な前記大腿骨コンポーネントを予測するために大腿骨を切断する必要はない。この実施形態では、CTスキャンまたは他の適切な画像化技術は、患者に切開を形成することを必要とせずに、実質的に前記軸方向の切断面を作成することができる。そのような画像が得られると、前記距離D1またはD2または領域27は、適切な技術を使用して測定することができる。
【0034】
前記内側顆の実際の特徴を測定するために画像技術を利用することにより、本システムは、患者が手術を受ける前に、特定の患者の大腿骨移植寸法を予測するために使用することができる。手術の前に画像化を行うことで、手術の時間と複雑さをさらに減らすことができる。
【0035】
上記の2つの方法のいずれかを使用して前記内側顆を横切る平面を取得し、前記内側顆を横切る前記距離D1を測定することに加えて、本技術は、前記内側顆に関連する様々な寸法データを使用して、特定の患者のための大腿骨コンポーネントの前記寸法を予測することができる。
図4に示されるように、前記内側顆を横切って形成される前記平面(物理的または仮想的)の前記領域27を使用して、前記大腿骨移植の寸法を選択することができる。
図5Bの表2は、例示的な内側顆の表面積と相関する例示的な移植寸法を示している。
【0036】
図8Aおよび8Bに示されるように、本発明の一態様では、前記公称A/P寸法標示30は、前記鋸刃の第1の側に載せることができ(
図8A)、公称M/L寸法標示32は、前記鋸刃の反対の第2の側面に載せることができる(
図8B)。
図5Cの表3は、例示的な内側顆のM/L寸法と相関する例示的な移植寸法を示している。前記公称M/L寸法標示を使用して、前記軸方向の切断面の
図1の前記中外側の寸法D2を測定することができるこれにより、前記移植片選択の精度がさらに向上し、解剖学的変化のあるさまざまな患者に正しく適合させることができる。ほとんどの場合、前記大腿骨を横切る前記軸方向の切断面の前記中外側の寸法を測定し、前記外側顆の前記前後方向の寸法を測定すると、同じ移植寸法が示される。ただし、場合によっては、前記M/L寸法を測定すると、A/PとM/Lの不一致と呼ばれる、特定の患者にわずかに異なる移植寸法が必要であることが示される。本技術は、前記A/PおよびM/L寸法の大きさの違いによって示されるため、外科医がこの不一致の兆候を非常に迅速に得ることを可能にする。これは、外科医が特定の患者に最適な移植寸法をすばやく決定する際、または手順の開始時に前記A/P面取り切断ブロックを再配置するために追加の外科的操作を行う必要があるかどうかを判断するのに大いに役立つ。多くの従来の事例では、そうでなければ、前記外科医は、前記手術の最後に、従来技術を使用して不一致が最も頻繁に発見される時点である表面を再切断することが必要になるであろう。
【0037】
したがって、前記鋸刃12は、2つの構成を含むことができる:前記鋸刃が前記内側顆の前記前後方向の寸法を横切って延びる第1の構成、および前記鋸刃が回転して前記刃の第2の側を露出し、前記軸方向の切断面の前記前後方向の寸法を横切って延びる第2の構成。
【0038】
前記A/PまたはM/Lの寸法を得るために上述の前記鋸刃22を使用することに加えて、前記公称A/PおよびM/L標示を伝える代替の装置(図示せず)を使用することができる。たとえば、前記公称A/PおよびM/L標示は、プラスチック、金属などの適切な材料のセグメントに適用できる。これは、上記のように配置し、A/PまたはM/Lの寸法をすばやく効果的に取得するために使用できる。
【0039】
図6の10Aおよび10Bに示されるように、本発明の一態様では、A/P面取り切断ブロック38を提供することができる。図に示されている前記面取り切断ブロックは、参照用にのみ提供されている。さまざまなメーカーが、前記切断ブロックのさまざまな場所に配置されたさまざまな機能を備えたこのような切断ブロックを提供している。前記A/P面取り切断ブロックは、当業者に知られているいくつかの方法で、前記軸方向の切断面14(
図1)に対して位置合わせされ、固定される。例えば、適切に配置されると、前記面取り切断ブロックは、
図10Aに示される開口部58a、58bを通して挿入された固定ピンを貫通して前記軸方向の切断面に固定される。前記A/P面取り切断ブロックは、1つまたは複数の鋸刃スロットまたはガイド40、42などを含むことができる。前記鋸刃スロットは、前記移植コンポーネントを受け入れるように大腿骨を形作るために前記大腿骨に面取りまたは顆状突起を形成するのを助けるために鋸刃を受け入れるように操作可能である。前記面取り鋸刃スロットは、「アルファ」に示される角度で互いに対して角度を付けることができる(
図6)。前記角度アルファは、使用する移植システムに応じて変化する可能性があるが、一般的には約0度から約180度の間である。
【0040】
示される実施形態では、前記A/P面取り切断ブロック38は、少なくとも1つの回転ガイド46を含むか、設けることができるか、または連結することができる(
図6、9A~9Dおよび10B)。一実施形態では、前記A/P面取り切断ブロックは、前記回転ガイドに直接取り付けられ、前記2つは、組み立てられた対として前記軸方向の切断面に取り付けられる。前記回転ガイドは背面54を含むことができ、前記面取り切断ブロックは前面56を含むことができる。前記回転ガイドの前記背面と前記面取り切断ブロックの前記前面を直接合わせて、組み立てられた一式を形成することができる。
【0041】
前記回転ガイドは、前記回転ガイドの前記背面54に対してほぼ垂直に延びることができる一対の調整脚またはつめ48、50を含むことができる。これらのつめは、前記内側顆または前記外側顆の少なくとも1つの前記後顆に配置して、前記大腿骨に対して前記A/P面取り切断ブロックを回転方向に配置することができる。前記後顆軸に対して3度の外旋の前記回転ガイドは、前記A/P面取りブロックを前記上顆軸に沿って整列させる。外反変形のある膝には、別の5度の外部回転ガイドを使用できる。前記回転ガイドは、前記A/P面取り切断ブロックに取り付けられると、治療の標準であるように、前記切断ブロックを前記上顆軸に平行な正しい方向に配置するために使用できる。次に、前記A/P切断ブロックを前記大腿骨にしっかりと固定し、以前のシステムで使用されていた追加のピンを取り外すことなく、切断を中断することなく進めることができる。
【0042】
前記大腿骨上の前記A/P面取り切断ブロックの適切な配置と方向付けにより、正確な切断が可能になり、したがって、これらの切断に前記大腿骨コンポーネントを正確に固定できる。したがって、前記説明した回転ガイドを使用して、前記大腿骨コンポーネントを前記顆上軸に沿って適切に位置合わせし、前記膝蓋骨の適切な機械的追跡および人工膝関節の生体力学的機能を可能にする。ハンドル52を前記回転ガイドに固定して、前記大腿骨に対して前記回転ガイド(したがって、前記A/P面取り切断ブロック)を配置するのを助けることができる。
【0043】
前記回転ガイド46は、
図9Aから
図9Dにさらに詳細に示されている。前記ガイドは、前記前面46および前記背面54を示すことができる基板支持部60を含むことができる。示されている例では、2つの調整脚48、50は、前記面取り切断ブロックが前記患者の大腿骨の前記軸方向の切断面に取り付けられた場合、それぞれが前記患者の大腿骨の前記内側顆または前記外側顆の1つの後面に接触するように向けられて、前記基板支持部から延びることができる。少なくとも1つの開口部62a、62bは、前記基板支持部を通して形成することができる。前記開口部は、前記面取り切断ブロック38に形成された開口部(例えば、
図10Aの開口部64a、64b、64c、64dのいくつかのセットのうちの1つ)と整列させることができる。本技術のこの態様は、例えば
図9Dおよび10Bの66に示されるように、前記基板支持部および前記面取り切断ブロックを通して前記患者の大腿骨の前記軸方向の切断面までの視線を提供することができる。このようにして、外科医は、前記軸方向の切断面での前記アセンブリの配置を視覚的に確認するか、ピンまたはレーザーまたは同様の装置を使用して、前記面取り切断ブロックが前記表面に適切に配置されていることを確認できる。次に、前記外科医は、固定された向きでA/P面取りブロックを前方または後方に動かして、A/P-M/Lの不一致との前記適合を改善することができる。
【0044】
前記回転ガイドは、ハンドル52の取り付けを助けることができるハンドル取り付けインターフェース53を含むことができる(
図6)。前記ハンドル取り付けインターフェースの反対側に、固定装置またはピン68を前記基板支持部60の前記背面から延ばすことができる。前記固定装置またはピン68は、例えば、前記面取り切断ブロックの開口部に取り付けて、前記回転ガイドと前記A/P面取り切断ブロックとの間に第1の固定点を提供して、前記回転ガイドと前記AP面取り切断ブロック間の前記結合の回転安定性を高めることができる。さらに、第2および第3の固定ピン70a、70bは、それぞれ、前記基板支持部の前記背面に固定するか、またはそれから延在することもできる。前記第2および第3の固定ピンは、
図10Aに示される前記切断ブロック38の開口部64a~64dのセットのうちの1つ内に取り付けることができる。集合的に、前記固定ピンは、前記回転ガイドと前記A/P面取り切断ブロックとの間に少なくとも2つ、より効果的には3つ以上の固定点インターフェースを提供することができる。これにより、前記回転ガイドが前記面取り切断ブロックにしっかりと取り付けられ、二つが相互に回転したり滑ったりしないようにすることができる。
【0045】
一般的に、前記2つの調整脚48、50は、
図9Cの51に示されるように、平面上に位置合わせされる。前記所望の回転を達成するために、前記固定ピン70a、70は、この平面に対してオフセットされる。言い換えれば、ピン70aは、距離D4によって平面51から変位され、ピン70bは、距離D3によって変位される。この例では、距離D3は距離D4よりも小さいため、前記二つは互いに垂直方向にオフセットされる。これらの寸法は変動するが、一実施形態では、D3は約0.603インチであり、D4は約0.698インチであり、結果として約3度の回転をもたらす。ただし、これらの寸法は、前記必要な回転に応じて変化する可能性がある。例えば、5度の回転の場合、D4は約0.761インチの位数で大きくなる可能性がある。
【0046】
前記回転ガイドの前記開口部62a、62bは、前記面取り切断ブロックの前記開口部64a~64dの1つと同様に位置合わせされているので、それらはまた、互いに対して垂直にオフセットされている。したがって、外科医が前記開口部64a~64dのセットのうちの1つに固定ピン70a、70bをはめ込む場合、別の前記開口部が前記回転ガイドの開口部62a、62bと協働して、
図10Bに示す前記視線66を提供する。
【0047】
図9Bに示されるように、前記調整脚またはタブ48、50は、一般的に、前記基板支持部60の前記背面54から距離D5にわたって垂直に延びる。この距離は、一般的に、前記切断ブロックおよび回転ガイドアセンブリが前記大腿骨に取り付けられると、前記調整脚が前記面取り切断ブロック38を超えて十分に延長して、前記大腿骨の前記顆の前記後面に係合することを保証するのに十分大きい。この距離は、面取り切断ブロックが異なれば変化する場合があるが、一例では、この距離は約1インチ~約2インチの間である。一例では、前記距離は約1.25インチ~1.75インチの間である。一例では、前記距離D5は約1.568インチである。
【0048】
現在の技術を利用して、外科医または専門家は、前記A/P面取りブロックの前記適切な方向を比較的簡単に決定でき、従来のシステムで使用される交換ガイドピンまたは代替の固定方法を必要とせずに、前記ブロックを前記骨に直接固定することができる。これらの従来技術のシステムでは、前記方向は、ピン上に前記A/P面取りブロックを配置することを可能にする前記ピンを用いて手順の早い段階で固定され、前記切断ブロックを通る前記切断を進行させるために後になって初めて除去される。これは面倒であり、ピンが誤って配置されたり、前記器具の通過間を移動したりして、エラー、外科医、助手、または患者の負傷につながる可能性があるため、前記症例の複雑さが増す。これらの従来のシステムはまた、前記手順を不必要に複雑にし、長くする。本技術では、手順はより正確でより短い。
【0049】
前記回転ガイドのこれらの固定回転は変化するが、一実施形態では、それらは3度回転または5度回転のいずれかから選択され、右側または左側の移植のために提供される。前記A/P面取り切断ブロックは、面取りまたは顆頭切断を形成する前に、前記軸方向の切断面に適切に位置合わせできる。
【0050】
上記の前記構造的構成要素に加えて、本技術はまた、大腿骨移植コンポーネントの適切なサイズを決定する方法、移植のために大腿骨の遠位端を準備する方法を提供する。1つの特定の例では、本技術は、患者に移植される大腿骨コンポーネントのサイズを決定する方法を提供する。この例では、遠位切断ブロックは、患者の大腿骨の遠位端に配置することができ、前記遠位切断ブロックは、それに関連する第1の鋸刃スロットを有する。鋸刃を第1の前記鋸刃スロットに配置して、前記患者の大腿骨の前記遠位端に軸方向の切断面を形成することができ、前記軸方向切断面の少なくとも一部が前記内側顆を通って延びる。前記内側顆を横切る前記軸方向の切断面の最大距離を測定することができる。測定された前記最大距離に基づいて大腿骨コンポーネントを選択できる。一例では、前記大腿骨コンポーネントは、測定された前記最大距離のみに基づいて選択することができる。
【0051】
前記最大距離の測定には、前記軸方向の切断面を形成するために使用される前記鋸刃に設けられた公称寸法標示を使用した測定が含まれる。前記鋸刃が前記患者の大腿骨の前記軸方向の切断面に配置されている場合、前記鋸刃に設けられた前記公称寸法表示は、前記内側顆の凹面の前方上部から前記内側顆の凹面の後方上部に向かって負の方向に増加する可能性がある。前記公称寸法標示は、前記鋸刃に設けることができ、公称大腿骨コンポーネントに相関する増分のしるしを含むことができる。前記最大距離の測定には、前記軸方向の切断面の画像を使用した測定が含まれる。
【0052】
大腿骨コンポーネントの選択には、測定された前記最大距離を、さまざまな公称寸法を有する大腿骨インプラントのセットと比較することを含む。前記方法は、A/P面取り切断ブロックを前記軸方向の切断面に配置し、前記A/P面取り切断ブロックは少なくとも1つの回転ガイドを設け、前記内側顆または前記外側顆の少なくとも1つの後面に少なくとも1つの前記回転ガイドを配置し、それにより、前記A/P面取り切断ブロックは回転方向に配置される。前記1つまたは複数の回転ガイドは、前記軸方向の切断面に基づいて固定された方向で前記A/P面取り切断ブロックに取り付けることができる。
【0053】
上記の構成は、本発明の原理の適用を例示するものであることを理解されたい。本発明が図面に示され、本発明の例示的な実施形態に関連して上で説明されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の修正および代替の構成を考案することができる。実施例に記載されている本発明の原理および概念から逸脱することなく、多数の修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】