(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】選択的CO2回収のための混合金属混合有機フレームワーク系
(51)【国際特許分類】
C07F 19/00 20060101AFI20220620BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20220620BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20220620BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20220620BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20220620BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20220620BHJP
C07F 13/00 20060101ALN20220620BHJP
C07F 3/02 20060101ALN20220620BHJP
【FI】
C07F19/00 CSP
B01J20/22 A ZAB
B01J20/30
B01D53/04
B01D53/62
B01D53/82
C07F13/00 A
C07F3/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563305
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2020029854
(87)【国際公開番号】W WO2020219907
(87)【国際公開日】2020-10-29
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023630
【氏名又は名称】エクソンモービル・テクノロジー・アンド・エンジニアリング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【氏名又は名称】新免 勝利
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】ウエストン,サイモン シー
(72)【発明者】
【氏名】アブニー,カーター ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ファルコフスキー,ジョセフ エム
(72)【発明者】
【氏名】イバシュコ,アナ シー
【テーマコード(参考)】
4D002
4D012
4G066
4H048
4H050
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC01
4D002AC10
4D002BA04
4D002CA07
4D002DA70
4D002EA07
4D002EA08
4D012BA01
4D012CA03
4D012CB11
4D012CD01
4D012CD07
4D012CG01
4G066AB05A
4G066AB06A
4G066AB06B
4G066AB07A
4G066AB07B
4G066AB10A
4G066AB10B
4G066AB11B
4G066AB12B
4G066AB13A
4G066AB13B
4G066AB19A
4G066AB21A
4G066AB21B
4G066AB24B
4G066AC11B
4G066BA09
4G066BA31
4G066BA36
4G066CA35
4G066DA02
4G066FA03
4G066FA17
4G066FA21
4H048AA01
4H048AA02
4H048AB90
4H048VA60
4H050AA01
4H050AA02
4H050AB90
(57)【要約】
本明細書中、2種以上の別個の金属の金属イオン及び複数の有機リンカーを含む混合金属混合有機フレームワークを含む吸着材料が提供される。複数の有機リンカーのそれぞれの有機リンカーは、金属イオンに連結している。吸着材料は、複数の配位子をさらに含む。一態様において、複数の配位子のそれぞれの配位子は、アミン、又は他のルイス塩基(電子供与体)であって、混合金属有機フレームワークの2種以上の別個の元素の金属イオンに付加し、混合金属混合有機フレームワーク系が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の別個の金属元素の経験的又は化学的式を有し、リンカーによって架橋される混合金属有機フレームワークであって、前記混合金属有機フレームワークが複数のジサリチレートリンカーを含み、それぞれのリンカーが1つ又はそれ以上の芳香環を含み、それぞれの芳香環がカルボキシレート官能基及びアルコール官能基を含み、前記カルボキシレート官能基及び前記アルコール官能基がそれぞれの芳香環上で互いに隣接し、且つそれぞれの芳香環が、他から最大距離で配置される、混合金属有機フレームワーク。
【請求項2】
式:M
1
xM
2
(2-x)(A)(式中、M
1及びM
2は、それぞれ独立して、異なる金属カチオンであり、且つAは、ジサリチレート有機リンカーである)を有する混合金属有機フレームワーク。
【請求項3】
M
1及びM
2が両方とも独立して二価金属カチオンである、請求項2に記載の混合金属有機フレームワーク。
【請求項4】
M
1及びM
2が、Ca
2+、Mg
2+、Fe
2+、Cr
2+、V
2+、Mn
2+、Co
2+、Ni
2+、Zn
2+、Cu
2+から独立して選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワーク。
【請求項5】
Aが、以下:
【化1】
(式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19及びR
20は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル及びハロゲン置換メチルから選択され;R
17は、置換又は非置換アリール、ビニル、アルキニル、置換又は非置換ヘテロアリール、ジビニルベンゼン及びジアセチルベンゼンからなる群から選択される)からなる群から独立して選択される複数のリンカーである、請求項1~4のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワーク。
【請求項6】
前記混合金属有機フレームワークが、六方晶系単位格子と示すことができるX線回折パターンを提供する、請求項1~5のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワーク。
【請求項7】
前記単位格子が空間群168~194から選択される、請求項6に記載の混合金属有機フレームワーク。
【請求項8】
金属ロッド構造をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワーク。
【請求項9】
前記金属ロッド構造と平行して配置される六方晶細孔を有する、請求項8に記載の混合金属有機フレームワーク。
【請求項10】
前記混合金属有機フレームワークが(3,5,7)-c msiネットを示す、請求項1~9のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワーク。
【請求項11】
前記混合金属有機フレームワークが(3,5,7)-c msgネットを示す、請求項1~10のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワーク。
【請求項12】
前記混合金属有機フレームワークが、30分間N
2下で250℃において乾燥させた後、30℃におけるX線回折パターン中、以下のピーク最大を表す、請求項1~11のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワーク。
【表1】
【請求項13】
30分間N
2下で250℃において乾燥させた後、30℃におけるX線回折パターン中、以下のピーク最大を表す、請求項1~12のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワーク。
【表2】
【請求項14】
前記単位格子のa軸及び前記単位格子のb軸が、それぞれ18Åより大きく、c軸は6Åより大きい、請求項6、7、8、9、10、又は11のいずれか一項に記載の金属有機フレームワーク。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワーク及び配位子を含む混合金属混合有機フレームワーク系。
【請求項16】
前記配位子がアミンを含む、請求項15に記載の金属有機フレームワーク系。
【請求項17】
前記配位子がジアミンである、請求項15に記載の金属有機フレームワーク系。
【請求項18】
前記ジアミンが環式ジアミンである、請求項17に記載の金属有機フレームワーク系。
【請求項19】
前記ジアミンが、以下:
【化2】
(式中、Zは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、硫黄及びセレンから独立して選択され;且つR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、メチル、ハロゲン置換メチル及びヒドロキシルから選択される)から独立して選択される、請求項17に記載の金属有機フレームワーク系。
【請求項20】
前記ジアミン配位子が、ジメチルエチレンジアモン(mmen)又は2-(アミノメチル)ピペリジン2-ampdの1つから選択される、請求項17に記載の混合金属有機フレームワーク系。
【請求項21】
前記配位子がテトラミンである、請求項15に記載の混合金属有機フレームワーク系。
【請求項22】
前記テトラミンが、3-4-3テトラミン(スペルミン)又は2-2-2テトラミンの1つから選択される、請求項21に記載の混合金属有機フレームワーク系。
【請求項23】
トリアミンである配位子をさらに含む、請求項15に記載の混合金属有機フレームワーク系。
【請求項24】
前記配位子が、
【化3】
から選択される、請求項15に記載の金属混合有機フレームワーク系。
【請求項25】
1)2種以上の別個の金属元素の2種以上の供給源を含む溶液及び金属カチオンを架橋することができる有機リンカーを接触させるステップと、
2)前記混合物を加熱して、請求項1~24のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワークを製造するステップと
を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワークの合成方法。
【請求項26】
前記金属元素が、Ca、Mg、Fe、Cr、V、Mn、Co、Ni、Zn、Cuから独立して選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記溶液は、元素金属、又は対陰イオンがニトレート、アセテート、カーボネート、オキシド、ヒドロキシド、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、ホスフェート若しくはアセチルアセトネートを含む前記金属の塩を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記混合金属有機フレームワークを気体又は液体媒体中で第2の配位子と接触させるステップを含む、請求項10~24のいずれか一項に記載の混合金属混合有機フレームワークの合成方法。
【請求項29】
前記配位子がアミン含有分子である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記配位子がジアミンである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記配位子がトリアミンである、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記配位子がテトラミンである、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載の混合金属混合有機フレームワーク系を含む粒子。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか一項に記載の混合金属混合有機フレームワーク系を含む吸着性材料。
【請求項35】
前記混合金属混合有機フレームワークが、CO
2に対してV型等温線プロファイルを示す、請求項34に記載の吸着剤。
【請求項36】
二酸化炭素含有流を請求項34に記載の吸着剤と接触させることによって、前記二酸化炭素含有流から二酸化炭素を吸着する方法。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか一項に記載の混合金属有機フレームワーク又は混合金属混合有機フレームワーク系の2種以上の別個の金属の金属イオンの量又は種類を変更するステップを含むV型CO
2等温線のステップの位置の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的CO2回収のための変性混合金属、混合有機フレームワークのシステム及びそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料を燃焼することで、世界的な気候変動への人為的寄与の大きい構成部分であるCO2の排出がもたらされる。環境的影響に加えて、CO2排出に関連する追徴税及び/又は優遇税制は、インフラ開発、エネルギー生産及び製造に関する有意な財政的考察を引き起こす。問題の最重要点は、排出されるCO2の濃度が適用の間に劇的に変化する可能性があること、そして最も一般に無害な大気ガスN2によって希釈されることである。それにもかかわらず、排出されるCO2の量は大きい。したがって、多様な用途での実施のために調整可能である性能を伴って、希釈されたCO2をガス流から選択的に除去することができ、そして使用及び貯蔵のためにCO2を容易且つ経済的に回収し、次いで再利用のための吸着剤技術を再生することができる技術が必要とされている。
【0003】
CO2回収のための従来の解決策は、主に液体アミン溶液に焦点を合わせたものであるが、それは再生させることが高価であり、CO2が吸着される時の物理的特性の変化のため、工業技術的な問題を引き起こし、そしていくらか腐食性である。最近開発された技術にはウォーターリーン(water-lean)な解決策が含まれ、それはCO2回収性能における最適な改善を示すものの、水性アミンよりも顕著に高価であり、なお物理的特性の変化による工業技術的な問題がある。CO2回収に関して、ポリマー及びゼオライトなどの固体相吸着剤も調査された。前者は典型的に低い選択性及び不十分な容量があるが、後者は水によって容易に不活性化され、CO2除去の前に排出の非実用的な前処理を必要とする。
【0004】
加えて、単一金属フレームワーク材料から調製され、且つ合成後に種々のジアミンで官能化された、選択的CO2回収のための従来技術金属有機フレームワークが報告されている。これらのシステムでは、ジアミンの選択によって調整可能ないくらかの程度のCO2回収性能を提供することができるが、ジアミンの多様性及び有効性における制限のため、特定の排出流に関して材料が最適化され得る範囲は減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、CO2吸着を必要なレベルに調節して、異なる排出流からCO2を回収するために調整及び/又は変性が可能であるフレームワーク系に対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中、2種以上の別個の金属元素の経験的又は化学的式を有し、リンカーによって架橋される混合金属有機フレームワークが提供される。対象の混合金属有機フレームワークは複数のジサリチレートリンカーを含み、それぞれのリンカーは1つ又はそれ以上の芳香環を含み、それぞれの芳香環はカルボキシレート官能基及びアルコール官能基を含み、カルボキシレート官能基及びアルコール官能基はそれぞれの芳香環上で互いに隣接している。加えて、それぞれの芳香環は、他から最大距離で配置される。
【0007】
さらに、次式:M
1
xM
2
(2-x)(A)(式中、M
1及びM
2は、それぞれ独立して、異なる金属カチオンであり、且つAは、ジサリチレート有機リンカーである)を有する混合金属有機フレームワークが提供される。一態様において、M
1及びM
2は両方とも独立して二価金属カチオンである。一態様において、M
1及びM
2は、Ca
2+、Mg
2+、Fe
2+、Cr
2+、V
2+、Mn
2+、Co
2+、Ni
2+、Zn
2+、Cu
2+から独立して選択される。一態様において、Aは、以下:
【化1】
(式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19及びR
20は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル及びハロゲン置換メチルから選択され;そしてR
17は、置換又は非置換アリール、ビニル、アルキニル、置換又は非置換ヘテロアリール、ジビニルベンゼン及びジアセチルベンゼンからなる群から選択される)からなる群から独立して選択される複数のジサリチレート有機リンカーである。
【0008】
一態様において、混合金属有機フレームワークは、六方晶系単位格子と示すことができる単位格子を有するX線回折パターンを提供する。一態様において、単位格子は、International Tables for Crystallographyに定義される空間群168~194から選択される。一態様において、本発明の混合金属有機フレームワークは、Schoedel,Li,Li,O’Keeffe及びYaghi,Chem Rev.2016 116,12466-12535によって記載されるLidin-Anderssonヘリックスによって記載される金属ロッド構造をさらに含む。一態様において、混合金属有機フレームワークは、金属ロッド構造と平行して配置される六方晶細孔を有する。一態様において、本発明の混合金属有機フレームワークは、Schoedel,Li,Li,O’Keeffe及びYaghi,Chem Rev.2016 116,12466-12535によって記載されるアプローチに従って、(3,5,7)-c msiネットを示す。一態様において、混合金属有機フレームワークは、Schoedel,Li,Li,O’Keeffe及びYaghi,Chem Rev.2016 116,12466-12535によって記載されるアプローチに従って、(3,5,7)-c msgネットを示す。
【0009】
一態様において、対象の混合金属有機フレームワークは、30分間N2下で250℃において乾燥させた後、30℃におけるX線回折パターン中、以下のピーク最大を表す。
【0010】
【0011】
一態様において、30分間N2下で250℃において乾燥させた後、30℃におけるX線回折パターン中の明らかなピーク最大は、以下の通りである。
【0012】
【0013】
一態様において、単位格子のA軸及び単位格子のB軸は、それぞれ18Åより大きく、そしてc軸は6Åより大きい。
【0014】
本明細書中、対象の混合金属有機フレームワーク及びアミンを含む配位子を含む混合金属混合有機フレームワーク系がさらに提供される。一態様において、配位子はジアミンである。一態様において、ジアミンは環式ジアミンである。一態様において、ジアミンは、以下:
【化2】
(式中、Zは、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、硫黄及びセレンから独立して選択され;且つR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、メチル、ハロゲン置換メチル及びヒドロキシルから選択される)から独立して選択される。
【0015】
一態様において、ジアミン配位子は、ジメチルエチレンジアミン(mmen)又は2-(アミノメチル)ピペリジン(2-ampd)の1つから選択される。一態様において、配位子はテトラミンである。一態様において、テトラミンは、3-4-3テトラミン(スペルミン)又は2-2-2テトラミンの1つから選択される。
【0016】
一態様において、混合金属有機フレームワーク系は、トリアミンである第2の配位子を含む。一態様において、第2の配位子は、
【化3】
から選択される。
【0017】
2種以上の別個の金属元素の2種以上の供給源を含む溶液及び金属カチオンを架橋することができる有機リンカーを接触させるステップと、混合物を加熱して、本混合金属有機フレームワークの1つ又はそれ以上を製造するステップとを含む、混合金属有機フレームワークの合成方法も提供される。一態様において、2種以上の別個の金属元素は、Ca、Mg、Fe、Cr、V、Mn、Co、Ni、Zn、Cuから独立して選択される。一態様において、溶液は、元素金属、又は対陰イオンがニトレート、アセテート、カーボネート、オキシド、ヒドロキシド、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、ホスフェート若しくはアセチルアセトネートを含む金属の塩を含む。
【0018】
さらに、混合金属有機フレームワークを気体又は液体媒体中で第2の配位子と接触させるステップを含む、混合金属有機フレームワークの合成方法が提供される。一態様において、配位子はアミン含有分子である。一態様において、配位子はジアミンである。一態様において、配位子はトリアミンである。一態様において、配位子はテトラミンである。
【0019】
本明細書中、1つ又はそれ以上の対象の混合金属混合有機フレームワーク系を含む粒子が提供される。また本明細書中、対象の混合金属混合有機フレームワーク系を含む吸着性材料も提供される。一態様において、混合金属混合有機フレームワークは、CO2に対してV型等温線プロファイルを示す。また、二酸化炭素含有流を本発明の1種又はそれ以上の吸着剤と接触させることによって、二酸化炭素含有流から二酸化炭素を吸着する方法も提供される。さらに、混合金属有機フレームワーク又は混合金属混合有機フレームワーク系の2種以上の別個の金属の金属イオンの量又は種類を変更するステップを含むV型CO2等温線のステップの位置の調整方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、代表的な混合金属MOF-274フレームワーク系の粉末X線回折パターンである。
【
図3】
図3は、Ni K-エッジにおいて回収されたNi
1Mg
1-MOF-274(50% Ni)に関する正規化X線吸収分光法データである。Mg:Ni比が増加すると、2.5Å付近の特徴が減少することを示すことは重要である。
【
図4】
図4は、MgがNiより弱後方散乱であることを明らかにする散乱経路の比較である。
【
図5】
図5は、Ni
1Mg
1-MOF-274(50% Ni)フレームワーク系に関する代表的なフィッティングされた広域X線吸収微細構造(EXAFS)スペクトルである。
【
図6】
図6は、混合金属フレームワーク系EMM-44(2-ampd付加混合金属MOF-274フレームワーク系)の代表的な粉末X線回折パターンである。
【
図7】
図7は、DMSO-d
6中でのDClによるダイジェスト後の混合金属混合有機フレームワーク系EMM-44の代表的な
1H NMRである。
【
図8】
図8は、並外れた高度に所望のV型等温線を示す、Mn
0.1Mg
1.9-EMM-44(5% Mn)、Mn
0.2Mg
1.8-EMM-44(10% Mn)、Mn
0.5Mg
1.5-EMM-44(25% Mn)及びMn
1Mg
1-EMM44(50% Mn)MOF-274に関するCO
2等温線である。
【
図9】
図9は、V型等温線における特徴的な低圧ステップをより完全に示すためのログスケールでプロットされたMn
0.1Mg
1.9-EMM-44(5% Mn)、Mn
0.2Mg
1.8-EMM-44(10% Mn)、Mn
0.5Mg
1.5-EMM-44(25% Mn)及びMn
1Mg
1-EMM44(50% Mn)MOF-274に関するCO
2等温線である。
【
図10】
図10は、Mn
xMg
2-x-EMM-44に関するCO
2等温線中間点対Mn装填の位置を示す。
【
図11】
図11は、ジアミン付加金属有機フレームワークEMM-44の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書中、2種以上の別個の元素の金属イオン及び複数の有機リンカーを含む混合金属有機フレームワークであって、それぞれの有機リンカーが2種以上の別個の元素の金属イオンの1つに連結している、混合金属有機フレームワークが提供される。混合金属混合有機フレームワーク及び配位子を含む混合金属混合有機フレームワーク系がさらに提供される。混合金属混合有機フレームワークは2種以上の別個の元素の金属イオン及び複数の有機リンカーの複数を含み、有機リンカーは2種以上の別個の元素の金属イオンの1つに連結している。
【0022】
一態様において、混合金属有機フレームワークは、Mg、Ca、V、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu及びZnの群から独立して選択される2種以上の別個の元素を含む。一態様において、2種以上の別個の元素の各々は、Mg、Mn、Ni又はZnである。一態様において、混合金属有機フレームワークは、ジアミン、環式ジアミン、トリアミン及び/又はテトラアミンの群から選択される配位子を含む。一態様において、配位子は有機ジアミンである。一態様において、配位子はアミン2-(アミノメチル)ピペリジン(「2-ampd」)である。一態様において、混合金属混合有機フレームワーク系は、二酸化炭素への曝露時にV型ステップCO2等温線プロファイルを示す。一態様において、V型ステップは、混合金属フレームワーク中に組み込まれる金属の金属選択及び/又は比率によって調整される。
【0023】
また、本明細書に記載される混合金属混合有機フレームワーク系を含む吸着性材料も提供される。供給物を混合金属混合有機フレームワーク系上に通過させるステップを含む、供給物から二酸化炭素を除去する方法がさらに提供される。加えて、混合金属混合有機フレームワーク系の2種以上の別個の元素の1種又はそれ以上の金属イオンを変更するステップを含む、V型等温線のステップの位置を調整する方法が提供される。
【0024】
一態様において、本明細書中、一般構造式I
【化4】
(式中、M
1は金属又はその塩であり、且つM
2は金属又はその塩であるが、M
1はM
2ではなく;Xは0.01~1.99の値であり;且つAは複数の有機リンカーである)の混合金属有機フレームワークが提供される。
【0025】
さらに、一態様において、一般構造式II
【化5】
(式中、M
1は、Mg、Ca、V、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu及びZnから独立して選択され;M
2は、Mg、Ca、V、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu及びZnから独立して選択され、且つM
1はM
2ではなく;Xは0.01~1.99の値であり;Aは有機リンカーであり;且つBは配位子である)の混合金属混合有機フレームワーク系が提供される。
【0026】
本方法及びデバイスが開示及び記載される前に、他に示されない限り、本発明が特定の化合物、成分、組成物、反応物、反応条件、配位子、触媒構造、メタロセン構造などに限定されず、特に明記されない限り、変更され得ることは理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、限定されるように意図されないことも理解される。
【0027】
本開示のために、以下の定義が適用される。
【0028】
本明細書で使用される場合、「a」及び「the」という用語が複数及び単数を含むことは理解される。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)及びケイ素(Si)、ホウ素(B)及びリン(P)を含む。
【0030】
「アリール」という用語は、特に明記されない限り、単環、又は縮合して一緒になったか若しくは共有結合した複数の環であることが可能である、多価不飽和芳香族置換基を意味する。一態様において、置換基は、1~11個の環、又はより特に1~3個の環を有する。「ヘテロアリール」という用語は、1~4個のN、O及びSから選択されるヘテロ原子を含有し、窒素及び硫黄原子は任意選択的に酸化され、そして窒素原子は任意選択的に四級化されるアリール置換基基(又は環)を意味する。例示的なヘテロアリール基は、6員アジン、例えば、ピリジニル、ジアジニル及びトリアジニルである。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を通して分子の残基に付加されることが可能である。アリール及びヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル及び6-キノリルが含まれる。それぞれの上記されたアリール及びヘテロアリール環系のための置換基は、下記の許容できる置換基の群から選択される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」という用語は、示された種の置換及び非置換形態を任意選択的に含むことができる。アリール及びヘテロアリール基に関する置換基は、一般に「アリール基置換基」と呼ばれる。置換基は、例えば、芳香族環系上でゼロから開放原子価の全数までの範囲の数で、限定されないが、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換ヘテロシクロアルキル、--OR’、=O、=NR’、=N--OR’、--NR’R’’、--SR’、-ハロゲン、--SiR’R’’R’’’、--OC(O)R’、--C(O)R’、--CO.sub.2R’、--CONR’R’’、--OC(O)NR’R’’、--NR’’C(O)R’、--NR’--C(O)NR’’R’’’、--NR’’C(O).sub.2R’、--NR--C(NR’R’’R’’’).dbd.NR’’’’、--NR--C(NR’R’’)=NR’’’、--S(O)R’、--S(O)R’、--S(O)NR’R’’、--NRSOR’、--CN並びに--R’、--、--CH(Ph)、フルオロ(C1~C4)アルコキシ及びフルオロ(C1~C4)アルキルを含む、炭素又はヘテロ原子(例えば、P、N、O、S、Si若しくはB)を介してヘテロアリール又はヘテロアレーン核に付加する基から選択される。上記の基のそれぞれは、直接又はヘテロ原子(例えば、P、N、O、S、Si又はB)を介してアリール又はヘテロアリール核に付加し;且つR’、R’’、R’’’及びR’’’’は、好ましくは、水素、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール及び置換又は非置換ヘテロアリールから独立して選択される。本発明の化合物が2個以上のR基を含む場合、例えば、各R基は、R’、R’’、R’’’及びR’’’’基の2個以上が存在する場合の各R’、R’’、R’’’及びR’’’’基であるように独立して選択される。
【0032】
「アルキル」という用語は、単独で、又は別の置換基の一部として、特に明記されない限り、完全飽和、一価又は多価不飽和であり得、且つ二価、三価及び多価の基を含むことが可能であり、明示される数の炭素原子を有する(すなわち、C1~C10は1~10個の炭素を意味する)、線形若しくは分枝状鎖、又は環式炭化水素基、又はその組合せを意味する。飽和炭化水素基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、メチル(シクロヘキシル)、シクロプロピルメチル、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの相同物及び異性体が含まれる。不飽和アルキル基は、1つ又はそれ以上の二重結合又は三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、限定されないが、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、並びに高級相同物及び異性体が含まれる。「アルキル」という用語は、特に明記されない限り、任意選択的に、「ヘテロアルキル」などの以下にさらに詳細に定義されるアルキルの誘導体を含むことを意味する。
【0033】
「ヘテロアルキル」という用語は、単独で、又は別の用語との組合せで、特に明記されない限り、明示される数の炭素原子と、O、N、Si及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子とからなり、且つ窒素及び硫黄原子は任意選択的に酸化されていてもよく、そして窒素ヘテロ原子は任意選択的に四級化されていてもよい、安定な線形若しくは分枝状鎖、又は環式炭化水素基、又はその組合せを意味する。ヘテロ原子O、N及びS並びにSiは、ヘテロアルキル基のいずれの内部位置でも、又はアルキル基が分子の残基に付加する位置において配置され得る。例としては、限定されないが、--CH2--CH2--O--CH3、--CH2--CH.2--NH--CH3、--CH2--CH2--N(CH3)--CH3、--CH2--S--CH2--CH3、--CH2--CH2、--S(O)--CH3、--CH2--CH2--S(O)2--CH3、--CH=CH--O--CH3、--Si(CH3)3、--CH2-CH=N--OCH3及び-CH=CH--N(CH3)--CH3が含まれる。例えば、--CH2--NH--OCH3及び--CH2--O--Si(CH3)3など、最高2個までのヘテロ原子が連続していてもよい。同様に「ヘテロアルキレン」という用語は、単独で、又は別の置換基の一部として、ヘテロアルキルから誘導される二価の基、例えば、限定されないが、--CH2--CH2--S--CH2--CH2--及び--CH2--S--CH2--CH2--NH--CH2--を意味する。ヘテロアルキレン基に関して、ヘテロ原子が鎖末端の一方又は両方を占有することも可能である(例えば、オキシアルキレン、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。またさらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基に関して、連結基の式が記載される方向によって、連結基の配向は暗示されない。例えば、式--CO2R’--は、--C(O)OR’及び--OC(O)R’の両方を表す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「配位子」という用語は、ルイス塩基(電子供与体)として機能することが可能な1つ又はそれ以上の置換基を含有する分子を意味する。一態様において、配位子は、酸素、リン又は硫黄であることが可能である。一態様において、配位子は、アミン、又は1~10個のアミン基を含有するアミンであることが可能である。
【0035】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、単独で、又は別の置換基の一部として、特に明記されない限り、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。
【0036】
記号「R」は、H、置換又は非置換アルキル、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール及び置換又は非置換ヘテロシクロアルキル基から選択される置換基を表す一般略語である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「周期表(Periodic Table)」という用語は、2015年12月付けのthe International Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)のthe Periodic Table of the Elementsを意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「等温線」は、システムの温度が一定に保持される状態での濃度に対応する吸着質の吸着を意味する。一態様において、吸着質はCO2であり、そして濃度はCO2の圧力として測定することができる。本明細書で記載される場合、等温線は、多孔性材料を用いて、見掛けの表面積を算出するために適用される種々の数学モデルを使用して実行可能である。S.Brunauer,P.H Emmett及びE.Teller.J.Am.Chem.Soc.1938,60,309-319;K.Walton及びR.Q.Snurr,J.Am.Chem.Soc.2007,129,8552-8556;I.Langmuir,J.Am.Chem.Soc.1916,38,2221。
【0039】
本明細書で使用される場合、等温線における「ステップ」という用語は、S字状曲線吸収プロファイル(別名V型等温線)によって定義される。S.J.Gregg及びK.S.W.Sing,Adsorption,Surface Area and Porosity,2nd Ed.Academic Press Inc.,New York,NY,1982,Ch V。ステップは、等温線におけるプラスの2次導関数、それに続く変曲点、及びその後の等温線におけるマイナスの2次導関数によって一般に定義されることが可能である。吸着剤の結合部位が特定のガス分圧においてのみアクセス可能になる時、例えば、CO2が金属-アミン結合中に挿入する場合、又は動的フレームワーク細孔が開けられる場合にステップは生じる。
【0040】
本明細書中に記載される化合物において見られる特定の配位子又は置換基次第で、「塩」という用語には、酸又は塩基の中和によって調製される化合物の塩が含まれる。本発明の化合物が相対的に酸性の官能性を含む場合、そのような化合物の中性の形態と十分な量の所望の塩基とをそのままで又は適切な不活性溶媒中で接触させることによって塩基付加塩を得ることができる。塩基付加塩の例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ若しくはマグネシウム塩又は類似の塩が含まれる。酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ水素酸又は亜リン酸などの無機酸から誘導されるもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソブチル酸、酪酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタン硫酸などなどの相対的に非毒性の有機酸から誘導される塩が含まれる。本開示の特定の化合物は、塩基又は酸付加塩のいずれかに化合物が変換されることを可能にする、塩基性及び酸性の両方の官能性を含む。塩の水和物も含まれる。
【0041】
1つ又はそれ以上のキラル中心を有する本明細書に記載されるいずれの化合物においても、絶対立体化学が明白に示されない場合、それぞれの中心が独立してR-配置若しくはS-配置又はその混合物であり得ることは理解される。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であり得るか、又は立体異性混合物であり得る。加えて、E又はZとして定義されることができる幾何異性体を生じる1つ又はそれ以上の二重結合を有する本明細書に記載されるいずれの化合物においても、それぞれの二重結合が独立してE若しくはZ又はその混合物であり得ることが理解される。同様に、記載されるいずれの化合物においても、全ての互変異性形も含まれるように意図されることが理解される。
【0042】
加えて、本明細書に提供される化合物は、そのような化合物を構成する原子の1つ又はそれ以上において、不自然な割合の原子アイソトープも含み得る。例えば、化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)又は炭素-14(14C)などの放射性同位元素で識別され得る。放射性の有無にかかわらず、対象化合物の全てのアイソトープ変形物は本開示の範囲内に含まれるように意図される。
【0043】
本明細書中、2種以上の別個の元素の複数の金属イオン及び複数の有機リンカーを含み、それぞれのリンカーが、2種以上の別個の元素の複数の金属イオンの少なくとも1つの金属イオンに連結している、混合金属有機フレームワークが提供される。また本明細書中、2種以上の別個の元素の複数の金属イオンを含む混合金属有機フレームワーク、及び配位子、及び金属イオンの1つに連結している複数の有機リンカーを含む、混合金属混合有機フレームワーク系が提供される。
【0044】
一態様において、本明細書に提示される混合金属有機フレームワークは、一般式I:
【化6】
(式中、M
1は金属であり、且つM
2は金属であるが、M
1はM
2ではなく;
Xは0.01~1.99の値であり;且つ
Aは、本明細書で記載される有機リンカーである)を有する。
【0045】
一態様において、Xは0.01~1.99の値である。一態様において、Xは0.1~1の値である。一態様において、Xは、0.05、0.1、0.5及び1からなる群から選択される値である。さらに、X及び2-XはM1対M2の相対的な比率を表すが、本明細書に記載される式I、式IA、式II又は式IIIにおいて、いずれかの特定の化学量論が暗示されないことは理解されるべきである。そのように、式I、IA、II又はIIIの混合金属有機フレームワークは、M1対M2の特定の相対比に限定されない。さらに、金属は典型的にイオン型で提供され、利用可能な原子価は、選択される金属次第で異なることが理解される。
【0046】
本明細書に記載される式I、IA、II及びIIIの金属は、Mg、Ca、V、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu及びZnを含む、周期表第4周期第IIA族、第IIIB族、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族、第VIII族、第IB族及び第IIB族、並びに周期表第3周期第IIA族の元素の1つであることが可能である。さらにまた、混合金属有機フレームワークは、理論的にM1
xM2
y…Mn
z(A)(B)2|x+y+…+z=2及びM1≠M2≠…≠Mnとして表される、2種以上の別個の元素並びに金属の異なる組合せを含む。
【0047】
一態様において、M1は、Mg、V、Ca、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu及びZnから選択され;且つM2は、Mg、V、Ca、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu及びZnから選択されるが、ただしM1はM2ではない。一態様において、M1は、Mg、Mn、Ni及びZnからなる群から選択され;且つM2は、Mg、Mn、Ni及びZnからなる群から選択されるが;ただしM1はM2ではない。一態様において、M1はMgであり、且つM2はMnである。一態様において、M1はMgであり、且つM2はNiである。一態様において、M1はZnであり、且つM2はNiである。さらに、金属は典型的にイオン型で示される、そして原子価は、選択される金属次第で異なることは理解される。さらに、金属は塩として、又は塩型で提供されることができる。
【0048】
加えて、金属は、AをリンカーH-Aのプロトン化型にする一価金属であることが可能である。例えば、金属はNa+又は第I族の1つであることが可能である。また、金属は2種以上の二価カチオン(「二価金属」)又は三価カチオン(「三価金属」)の1つであることが可能である。一態様において、混合金属混合有機フレームワークは、+2とは別の酸化状態である金属を含む(すなわち、ちょうど二価、三価、四価より高い)。フレームワークは、異なる酸化状態の混合物を含む金属を有することができる。例示的な混合物は、Fe(II)及びFe(III)、Cu(II)及びCu(I)及び/又はMn(II)及びMn(III)を含む。より詳しくは、三価金属は、+3酸化状態を有する金属である。混合金属有機フレームワークを形成するために使用されるいくつかの金属、特にFe及びMnは、相対的に穏やかな条件で+2(二価)又は+3(三価)酸化状態を適合することが可能である。Chem.Mater,2017,29,6181。同様に、Cu(II)は、穏やかな条件でCu(I)を形成することができる。そのように、いずれかの金属の酸化状態へのいずれかの軽度の変化及び/又は金属の酸化状態の選択的変化は、本混合金属有機フレームワークを変性するために使用されることができる。さらにまた、異なる分子フラグメントC1、C2、…Cnのいずれの組合せも存在し得る。最終的に、上記の変形の全ては、例えば、複数の原子価及び複数の電荷バランス分子フラグメントを有する複数の金属(2種以上の別個の金属)と組み合わせることができる。
【0049】
適切な有機リンカー(本明細書中、「リンカー」とも記載される)は、混合金属有機フレームワークの構造、及び混合金属有機フレームワークの金属ノードに結合する有機リンカーの部分と関連する対称性操作から決定されることが可能である。化学的に又は構造的に異なるが、金属ノード結合領域をC2対称軸によって関連させることを可能にする配位子は、同一トポロジーの混合金属有機フレームワークを形成する。一態様において、有機リンカーは、炭素1,1’において結合される2つのフェニル環によって、炭素3,3’においてカルボン酸によって、及び炭素4,4’においてアルコールによって形成されることができる。カルボン酸及びアルコールの位置を交換すること(例えば下記の「pc-H4DOBPDC」又は「pc-MOF-274」)は、混合金属有機フレームワークのトポロジーを変化させない。
【0050】
一態様において、有用なリンカーは、
【化7】
(式中、R
1はR
1’に連結し、そしてR
2はR
2’’に連結する)を含む。
【0051】
そのようなリンカーの例としては、
【化8】
(式中、Rは任意の分子フラグメントである)を含む。
【0052】
適切な有機リンカーの例としては、パラ-カルボキシレート(「pc-リンカー」)、例えば4,4’-ジオキシドビフェニル-3,3’-ジカルボキシレート(DOBPDC);4,4’’-ジオキシド-[1,1’:4’,1’’-テルフェニル]-3,3’’-ジカルボキシレート(DOTPDC);及びジオキシドビフェイル-4,4’-ジカルボキシレート(PC-DOBPDCとも記載されるパラ-カルボキシレート-DOBPDC)、並びに以下の化合物:
【化9】
が含まれる。
【0053】
一態様において、有機リンカーは、次式:
【化10】
(式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19及びR
20は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル及びハロゲン置換メチルからそれぞれ独立して選択される)を有する。
【0054】
一態様において、有機リンカーは、次式:
【化11】
(式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15及びR
16は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル及びハロゲン置換メチルからそれぞれ独立して選択される)を有する。
【0055】
一態様において、有機リンカーは、次式:
【化12】
(式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15及びR
16は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル又はハロゲン置換メチルからそれぞれ独立して選択され、そしてR
17は、置換又は非置換アリール、ビニル、アルキニル及び置換又は非置換ヘテロアリールから選択される)を有する。
【0056】
一態様において、有機リンカーは、次式:
【化13】
(式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15及びR
16は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル又はハロゲン置換メチルからそれぞれ独立して選択される)を有する。
【0057】
R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、メチル又はハロゲン置換メチルからそれぞれ独立して選択され、そしてR17は、置換又は非置換アリール、ビニル、アルキニル及び置換又は非置換ヘテロアリールから選択される。
【0058】
一態様において、有機リンカーは、複数の架橋アリール種、例えば2つ(又はそれ以上)のフェニル環を有する分子、又はビニル若しくはアルキニル基によって結合された2つのフェニル環を含む。
【0059】
一態様において、構造式IA:
【化14】
(式中、M
1は、独立して、Mg、Ca、V、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu又はZn若しくはその塩から選択される金属であり;
M
2は、独立して、Mg、Ca、V、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu又はZn若しくはその塩から選択される金属であるが、M
1はM
2ではなく;
Xは0.01~1.99の値であり;且つ
Aは、本明細書に記載される有機リンカーである)の混合金属有機フレームワークが本明細書中で提供される。
【0060】
本明細書で記載されるように、混合金属混合有機フレームワークは2種以上のマルチトピック(ポリトピック)有機リンカーによって結合された2種以上の別個の金属カチオン、集団又は連鎖から形成される多孔性結晶質材料である。
【0061】
本混合金属有機フレームワークに、ステップ形等温線を可能にする、以下「配位子」と記載されるアミン分子が付加していることが可能である。ステップ形等温線は、金属-アミン配位結合中にCO2が挿入し、そしてその次に、負電荷がCO2の酸素上で局所化することによって生じる。ジアミン(2つのアミンを含有する分子)は、アミンが金属と結合することを可能にし、そして第2のアミンが混合金属有機フレームワークのチャネルの下に配置されることを可能にする。CO2の挿入時に、第2のアミンはプロトンを受け、それによって正帯電するようになり、そして酸素上の負電荷と釣合いがとれる。
【0062】
一態様において、混合金属有機フレームワーク系(「付加混合金属有機フレームワーク」と記載されることもある)は、式II
【化15】
(式中、M
1は、Mg、Ca、V、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu及びZnからなる群から独立して選択され;
M
2は、Mg、Ca、V、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu及びZnからなる群から独立して選択され、そしてM
1はM
2ではなく;
Xは0.01~1.99への値であり;
Aは、本明細書で記載されるリンカーであり;且つ
Bは、酸素、リン若しくは硫黄又は1~10個のアミン基を有するアミンなどの適切なルイス塩基(電子供与体)として機能することができる1つ又はそれ以上の基を含有する配位子である)によって表される。
【0063】
混合金属混合有機フレームワーク系で使用するのに適切な配位子は、(少なくとも)2つの官能基:1)CO2を結合するために使用される官能基、及び2)金属を結合するために使用される官能基を有することができる。金属を結合する第2の官能基は、アミンであることも可能である。他の官能基、例えば、アルコール、エーテル若しくはアルコキシドなどの酸素含有基、カルベンなどの炭素基、又はアルケン若しくはアルキンなどの不飽和結合、又は硫黄原子を使用することは可能である。
【0064】
同様に、本明細書で提供される混合金属フレームワークに付加される配位子として、トリアミンも使用可能である。しかしながら、トリアミンは、CO
2の協力的な挿入を効率的に促進し得ない。他方、テトラミン(4つのアミンを有する分子)は、金属部位に結合する2つのアミンを収容することができ、CO
2のための結合部位を形成するが、他の2つのアミンは、CO
2挿入時の電荷バランスを提供するために利用可能であろう。その上、テトラミンの包含は、それぞれのアミン分子が混合金属有機フレームワークにより強力に結合することを可能にし(2つのアミンは、分子あたり1つのアミンよりも分子あたり2つの金属に結合する)、そのためいくらかの安定性の改善がもたらされる。商業的に入手可能なテトラミン、並びにいくつかの他の適切なアミンを以下に示す。
【化16】
【0065】
加えて、本混合金属有機フレームワークによって、配位子はアミンである必要はなく、酸素、リン又は硫黄などの種々の代わりの他の原子を含むいずれのルイス塩基(電子供与体)であることが可能である。
【0066】
一態様において、Bは、
【化17】
(式中、Zは、炭素、シリコン、ゲルマニウム、硫黄又はセレンであり、且つR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10は、H、ハロゲン、メチル、ハロゲン置換メチル及びヒドロキシルからそれぞれ独立して選択される)からなる群から選択される配位子である。一態様において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれHであり、そしてZは炭素である。
【0067】
一態様において、配位子は2-(アミノメチル)-ピペリジン(2-ampd)である。
【0068】
本明細書で提供されるように、式Iは、M1
xM2
(2-x)(DOBPDC)(溶媒)2などの金属部位に配位した溶媒分子を含むことが可能である。下記のプロトコルで合成されるように、例示的な溶媒はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)である。溶媒分子は、減圧下での加熱によって除去が可能であり、それによって「活性化された」混合金属有機フレームワークが生じる。代わりに、混合金属有機フレームワークをアミンで処理することによって、DMF(又は水、メタノールなどの他の溶媒分子)を置換することができる。これは「付加」混合金属有機フレームワーク、又は混合金属混合有機フレームワーク系と記載され、CO2を結合する材料である。例えば、混合金属混合有機フレームワーク、アミン(「2-ampd」)は、例示的な式II、M1
xM2
(2-x)(DOBPDC)(2-ampd)2を与える。この材料は、M1
xM2
(2-x)-EMM-44とも記載される。
【0069】
したがって、式I、M1
xM2
(2-x)Aは、M1
xM2
(2-x)(DOBPDC)(DMF)2などの溶媒結合混合金属有機フレームワークを含むことが可能であり、不活性であるか、又は活性化されることが可能である。他方、式II、M1
xM2
(2-x)ABは、混合金属混合有機フレームワーク系を指す。
【0070】
本明細書で記載されるように、混合金属混合有機フレームワークは、2種以上のマルチトピック(ポリトピック)有機リンカーによって結合される2種以上の別個の金属カチオン、集団又は連鎖から形成される多孔性結晶質材料である。
【0071】
そのように、混合金属混合有機フレームワークは、式III、M1
xM2
(2-x)(A1
aA2
bA3
c…An
(1-a-b-c-…))(III)(式中、A1はマルチトピック有機リンカーであり、そしてA2は、A1とは異なるマルチトピック有機リンカーであり、そしてA3は、A1及びA2とは異なるマルチトピック有機リンカーであり、そしてAnはA1、A2…及びA(n-1)とは異なるマルチトピック有機リンカーである)で表されることも可能である。
【0072】
一態様において、混合金属混合有機フレームワーク系を提供する配位子は、フレームワーク系の1つ又はそれ以上の金属に配位子を配位するために使用される他の構造素子を含有することもでき、それらとしては、限定されないが、以下の官能基:カルボキシレート、トリアゾレート、ピラゾレート、テトラゾレート、ピリジン、アミン、アルコキシド及び/又はスルフェート基が含まれる。
【0073】
以下の例に記載されるように、本アミン付加混合金属有機フレームワーク系は、以下のスキーム1に示される2ステッププロセスで調製可能である。
【化18】
【0074】
ステップ1において、M1の適切な塩及びM2の適切な塩を適切な溶媒中でリンカーAと組み合わせて、そして加熱され、式Iによって一般に表される混合金属混合有機フレームワーク系が提供される。一例として、メタノール及びN,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)中でMnCl2及びMg(NO3)2.6H2Oを4,4’-ジオキシド-3,3’-ビフェニルジカルボキシレート(H4DOBPDC)と組み合わせ、M1がMnであり、且つM2がMgであり、且つAがDOBPDCである式Iの組成物が提供される。
【0075】
ステップ2において、式Iの混合金属有機フレームワークを適切な溶媒中で配位子(B)と組み合わせる。一例として、トルエン中、M1がMnであり、M2がMgであり、そしてAがDOBPDCであるものを2-ampdと組み合わせ、M1がMnであり、M2がMgであり、AがDOBPDCであり、そしてBが2-ampdである式IIの混合金属混合有機フレームワーク系が提供される。
【0076】
また、吸着材料も本明細書で提供される。本吸着材料は、本混合金属混合有機フレームワークを含む。混合金属混合有機フレームワークは、2種以上の金属及び複数の有機リンカーを含む。それぞれの有機リンカーは、金属イオンに連結している。吸着材料は、複数の配位子をさらに含む。一態様において、複数の配位子のそれぞれの配位子は、アミン、又は酸素、リン若しくは硫黄などの他のルイス塩基(電子供与体)であって、2種以上の別個の元素及び混合金属有機フレームワークの金属イオンに付加し、混合金属混合有機フレームワーク系が提供される。
【0077】
本混合金属混合有機フレームワーク系は、従来の固体吸着剤と比較して、少ない吸着性質量及び体積で、より高い官能性を可能にする多孔性結晶質吸着剤の分類を表す。本混合金属混合有機フレームワーク系は、細孔表面に沿って配位的に不飽和の金属中心(開放金属部位)を有する。金属カチオンは、ガス吸着剤を強く極性化して、合成後の官能化をさらに容易にするルイス酸として作用する。十分に分離した開放金属部位を有する混合金属混合有機フレームワーク系では、第2のアミンが化学的に反応性の吸着部位として利用可能なまま、ジアミン配位子分子の1つのアミンはルイス塩基としての金属カチオンに結合することができる。混合金属混合有機フレームワーク系の金属は、配位子の組と架橋される個々の金属原子又は金属集団(配位子の組と相互作用する群としての金属原子の集合)であることが可能である。
【0078】
混合金属混合有機フレームワーク系のいくつか又は全ての配位子は、金属カチオンに配位せず、そしてCO2と可逆的な弱い化学結合を形成するために利用可能である官能基を含む。反応性化学原子は、窒素、酸素、硫黄及びリンを含む孤立電子対を含むことができる。一態様において、これは塩基性アミンである。
【0079】
二酸化炭素適用
本明細書で記載されるように、イオンの2つ以上の金属種(「集団」)を含有する混合金属有機フレームワークは、混合金属混合有機フレームワーク系を提供するためにジアミン配位子(「配位子」)によって後で官能化される(又は付加される)。本混合金属混合有機フレームワーク系は、種々の用途及び排出流においてCO2の吸着性又は吸着性材料として有用である。本明細書で記載されるそれぞれの新規混合金属有機フレームワークは、2種以上の金属種を含有する。混合金属有機フレームワークは、複数の金属供給源から調製されることが可能であり、そして混合金属混合有機フレームワーク系を提供するために、アミンなどの1つ又はそれ以上の有機配位子によって付加される。混合金属混合有機フレームワーク系は、V型等温線を示す。混合金属有機フレームワークにおいて組み込まれる金属の比率を変更することによって、等温線のステップの位置を、CO2分圧の相関関係として変化させることができる。
【0080】
例えば、一態様において、混合金属有機フレームワークは、混合金属混合有機フレームワーク系、EMM-44を提供するために、アミン2-ampdによって後で官能化することができる。この混合金属混合有機フレームワーク系は、CO2と可逆的に、そして選択的に結合することが可能であり、そして穏やかな加熱によって、又は減圧に暴露することによって、繰り返し使用するために再生することができる。ガス流中の吸着されるCO2の必要百分率及び結合のために必要な温度は、広い分布及び多様な排出流からのCO2回収の実施を可能するように、混合金属有機フレームワーク中の2つの金属イオンの比率を変更することによって調整することができる。
【0081】
例えば、一態様において、それぞれがMg及びMnイオンの両方を含む一連のいくつかの混合金属有機フレームワークは、一連の混合金属混合有機フレームワーク系を提供するために、アミン2-ampdで官能化することができる。CO2に暴露される時、最少量のMn及び最大量のMgを有する材料は、最も低い圧力のCO2でV型等温線を示す。最大量Mn及び最少量Mgによる材料は、最も高い圧力のCO2でV型等温線を示す。混合金属混合された有機フレームワーク系に含まれるMn対Mgの比率とV型等温線が観察されるCO2の圧力との間に直接的な関係が観察される。
【0082】
米国特許第9,861,953号明細書の「Alkylamine Functionalized Metal-Organic Frameworks for Composite Gas Separations」に記載されているように、金属有機フレームワーク、MOF-274が教示されている。このフレームワークは、CO2回収に関して有利なV型等温線が可能である個々の金属前駆体から合成可能であるが、本明細書中に提供されるような混合金属有機フレームワークではない。一般に、V型等温線を示す吸着性材料は、類似の全吸着容量を有する吸着剤よりも大きい作業能力を有するが、より共通のI型等温線も有する。他のそのようなフレームワークは、J.Am.Chem.Soc,2012,134,7056-7065、Nature,2015,519,303-308、J.Am.Chem.Soc,2017,139,10526-10538、J.Am.Chem.Soc.2017,139,13541-13553及びChem Sci,2018,9,160に記載される。
【0083】
本吸着材料の使用方法には、二酸化炭素/窒素、二酸化炭素/水素、二酸化炭素/メタン、二酸化炭素/酸素、一酸化炭素/窒素、一酸化炭素/メタン、一酸化炭素/水素、硫化水素/メタン及び硫化水素/窒素などの組み合わせられたガスの流れからの個々のガスの単離を含む、様々なガス分離及び操作応用が含まれる。
【0084】
固体材料上への物理吸着の主要な利点の1つは、水性アミンに関して必要とされるものと比較して低い再生エネルギーである。しかしながら、この利点は、しばしば低い容量及び不十分な選択性を代償にする。本システムは、固体材料上への化学吸着によってCO2を結合する部位の組み込みによって、2つのアプローチの橋渡しをすることができる吸着剤(吸着性材料)を提供する。これらの吸着材料は、水性溶媒の必要性を排除し得、従来のアミンスクラバーと比較して有意により低い再生費用を有し得るが、低い圧力におけるCO2に関してそれらの特別な選択性及び高い容量を維持し得る。
【0085】
一般に、
図11に示すように、金属有機フレームワークは、アルキルアミンの組み込みによってその後官能化される多孔質結晶質固体である。同様に、本明細書で提供される混合金属有機フレームワークは、芳香族アミン以上に強化された塩基性を示すようにアルキルアミンの組み込みによってその後官能化される多孔質結晶質固体であり、酸性ガスを吸着することができる。本開示は、高度に所望のV型等温線によって単一種類の金属を有する従来技術の金属有機フレームワークとは識別可能な2つの異なる金属を有する混合金属有機フレームワークを含み、ステップ位置が、混合金属選択(金属の選択)によって、又は混合金属有機フレームワーク中の金属の比率を変更することによって調整可能である吸着材料を教示する。
【0086】
一態様において、混合金属混合有機フレームワーク系は、低温及び低圧においてガスを分離することができる。混合金属混合有機フレームワーク系は、低圧及び低濃度でのガス流からの二酸化炭素及び水素及びメタンの燃焼前分離のため、及び燃焼後燃焼ガス流からの二酸化炭素の分離のために有用である。混合金属有機フレームワークは、多くの異なる分離要件に適応することができる。
【0087】
より詳しくは、本開示の一態様において、開示された吸着材料の多数の技術的応用がある。そのような1つの応用は、石炭燃焼ガス又は天然ガス燃焼ガスからの炭素回収である。世界的な気候変動に寄与する二酸化炭素(CO2)の大気中濃度の増加は、電力プラントなどの点源からのCO2排出を減少させるための新しい戦略の根拠となる。特に石炭燃料電力プラントは、世界的CO2排出の30~40%の原因である。参照によって本明細書中に組み込まれる、Quadrelliら、2007,「The energy-climate challenge:Recent trends in CO2 emissions from fuel combustion」,Energy Policy 35,pp.5938-5952を参照のこと。したがって、石炭燃焼ガス、周囲圧力及び40℃において、CO2(15~16%)、O2(3~4%)、H2O(5~7%)、N2(70~75%)及び痕跡量の不純物(例えば、SO2、NOx)からなるガス流からの炭素回収のための新規吸着剤の開発の必要性が継続している。参照によって本明細書中に組み込まれる、Planasら、2013,「The Mechanism of Carbon Dioxide Adsorption in an Alkylamine-Functionalized Metal-organic Framework」,J.Am.Chem.Soc.135,pp.7402-7405を参照のこと。同様に、燃料供給源としての天然ガスの使用を拡張することは、天然ガス火力発電所の燃焼ガスからのCO2回収を可能にする吸着剤を必要とする。天然ガスの燃焼から生じる燃焼ガスは、約4~10%のCO2のより低い二酸化炭素濃度を有し、残りの流れは、H2O(飽和)、O2(4~12%)及びN2(残余)からなる。特に、温度スイング吸着プロセスに関して、吸着剤は以下の特性を有さなければならない:(a)再生エネルギー費用を最小化するために、最小の温度スイングによる高い作業能力;(b)石炭燃焼ガスの他の成分以上のCO2に対する高い選択性;(c)燃焼ガス条件下でのCO2の90%回収;(d)湿潤条件下での有効な性能;及び(d)湿潤条件下での吸着/脱着サイクリングへの長期の安定性。
【0088】
別のそのような応用は、粗製バイオガスからの炭素回収である。バイオガス、すなわち、有機物質の分解によって生産されるCO2/CH4混合物は、従来の化石燃料供給源に代わる可能性を有する再生可能燃料供給源である。天然バイオガス混合物からのCO2の除去は、このような可能性のある燃料供給源をパイプライン品質のメタンへと改良することの最も難しい態様の1つである。したがって、高い作業能力及び最小の再生エネルギーによって選択的にCO2/CH4混合物からCO2を除去する吸着剤の使用は、エネルギーセクターでの用途のために天然ガスの代わりにバイオガスを使用する費用を非常に減少するための可能性を有する。
【0089】
CO2リッチガス流からCO2の主要部分を除去するために、開示された組成物(吸着材料)を使用することが可能であり、そしてCO2が増加した吸着材料からは、温度スイング吸着法、圧力スイング吸着法、減圧スイング吸着法、濃度スイング吸着法又はその組合せを使用して、CO2を除去することができる。温度スイング吸着法及び真空スイング吸着法の例は、国際公開第2013/059527A1号パンフレットに開示される。
【0090】
等量線吸着熱の計算は、吸着質と吸着剤との間の相互作用の強度の指標を提供し、特に一連の異なる温度で実行される吸着等温線の分析から決定される。J.Phys.Chem.B,1999,103,6539-6545;Langmuir,2013,29,10416-10422。示差走査熱量測定は、(温度又はCO2圧力などの)パラメーターが変化した時に放出又は吸収されるエネルギーの量を測定する技術である。
【実施例】
【0091】
実施例I
混合金属混合有機フレームワーク系、EMM-44の調製
混合金属有機フレームワーク、MOF-274の合成
混合金属フレームワーク:MOF-274、M
1
xM
2
(2-x)(DOBPDC)の合成:241.15mgのMnCl
2・4H
2O(1.219ミリモル)、312.65mgのMg(NO
3)
2・6H
2O(1.219ミリモル)、及び267.15mgの4,4’-ジオキシド-3,3’-ビフェニルジカルボキシレート(H
4DOBPDC、0.975ミリモル)を、撹拌バーを備えた250mLの三ツ口丸底フラスコ中で組み合わせた。49mLの脱酸素メタノール及びN,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)を、撹拌しながら、金属及び配位子を含有する溶液中に移した。全ての固体が確実に完全に溶解されるように、溶液を20分間撹拌した。反応溶液を15mLのアリコートに分割し、23mLのTeflon-lined Parr反応器中に移した。全ての反応器を静的条件下で96時間、120℃で密閉及び加熱した。周囲温度まで自然に冷却すしたら、母液をデカンテーションによって除去し、固体をDMFで24時間かけて3回洗浄し、次いでメタノールで24時間かけて3回洗浄した。約40mgの混合金属有機フレームワークが回収され、そしてメタノールを遅い遠心分離、続いてピペット操作によって除去した。
図1中で示されるように、試料1~5は、アミンが付加されず、そしてフレームワークが官能化又は活性化されなかった同一材料の異なるバッチである。
【0092】
アミン付加:混合金属混合有機フレームワーク系、EMM-44の生成:
いずれかのMOF-274フレームワークの開放金属部位へのアミン2-ampdの配位の後、吸着性材料は、EMM-44、混合金属混合有機フレームワーク系として知られるようになる。次いで、上記のM1
xM2
(2-x)(DOBPDC)をトルエンで1回洗浄し、そしてトルエン中に再懸濁させ、その後、トルエン中アミン2-ampdの20質量%溶液に移した。溶液を24時間静置させ、次いで、遅い遠心分離によって回収して、トルエン中で3回洗浄し、そしてトルエン中で貯蔵した。これらの2-ampd-付加MOFは、M1
xM2
(2-x)-EMM-44、混合金属混合有機フレームワーク系と記載され、式中、M1及びM2は、合成の間に使用される混合金属であり、そしてxは、吸着性材料中のM1の量である。
【0093】
混合金属フレームワーク系EMM-44の特徴決定
Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectroscopy(ICP-AES)としても知られる誘導結合プラズマ発光分析(Inductively Coupled Plasma-Optical Emission Spectroscopy)は、加熱されたプラズマ中で金属、メタロイド及びいくつかの非金属からの元素特定の発光スペクトルを測定する。それは、所与試料中の金属定量化を提供することができる、通常の元素分析技術である。ICP-OESは、Galbraith Laboratories,Inc,Knoxville,TNによって実行された。ICP-OES分析のためのGalbraithの一般法は、全国的に認められた方法、特にEPA SW846 6010Bから記載され、またUSPの一般ガイダンスに適合する。
【0094】
上記合成を使用するMOF-274フレームワークのICP-OES
同一合成バッチから得られた試料を複製して提供した(表1A)。表1Bで示されるように、データは、試料のそれぞれが最初の合成溶液中に含まれる両方の金属を含有することを示した。これは望ましい結果である。
【0095】
【0096】
【0097】
混合金属有機フレームワークの特徴決定
粉末X線回折(PXRD)。混合及び超音波処理によって混合金属有機フレームワークをメタノールの中に懸濁し、そしてゼロ-バックグラウンドセル上へドロップキャストした。粉末X線回折データは、45kV/40mAで作動するX線発生器を備えたBruker D8 Endeavor機器上で収集された。この際、0.02°の開度で、10分間、4~50° 2シータの間のスペクトルを収集した。
図1に示すように、代表的なMOF-274の粉末X線回折パターンが示される。試料1~5は、アミンが付加されず、そしてフレームワークが官能化されなかったか、又は活性化されなかった同一材料の異なるバッチである。
図1に示すように、代表的なMOF-274の粉末X線回折パターンが示される。
【0098】
エネルギー分散X線分光法(EDS)。エタノール中の混合金属有機フレームワークの希釈溶液を超音波処理によって懸濁させ、ドープドSiチップ上にドロップキャストし、カーボンテープでアルミニウムSEMスタブに固定した。EDSデータは、3kV、<1~5nA及び「短い」滞留時間でZEISS FIB-SEM Crossbeam 540上で回収した。
図2A~2Dは、エネルギー分散X線分光学(「EDS」)によって回収された代表的なデータを示し、マンガン及びマグネシウムの混合金属有機フレームワークが、マンガン及びマグネシウムが同一結晶で同一位置に配置されることを実証する。これらの混合金属有機フレームワークは、別々の結晶質領域を形成しない。
【0099】
X線吸収分光法(XAS)及び広域X線吸収微細構造(EXAFS)。分析された50mgのそれぞれの混合金属有機フレームワークを遠心分離によってメタノールから回収し、デカンテーションによって溶媒を除去した。1.25~1.75エッジステップの間でX線吸収金属の濃度を希釈するために、十分なBNをそれぞれの混合金属有機フレームワークに添加した。均一な分散を達成するために混合物を超音波処理して、混合金属混合有機フレームワーク及びBNの完全な再懸濁を可能にするために、十分な体積のメタノールが添加された。遠心分離によって混合物を再回収し、デカンテーションによって溶媒を除去した。不活性雰囲気下で、約10mgのそれぞれの混合金属有機フレームワーク/BN混合物をXAS分析用の自立ペレットへと装填した。
【0100】
X線吸収データを回収するための慣習的なデータ実施の後、X線吸収データを透過モードで金属K-エッジで回収した。S.Calvin.XAFS for Everyone,CRC Press,Boca Raton,FL,2013。特にX線は、高次の高調波の寄与を減少するために、単色化及び離調された。分析される同一金属の参照ホイルは、エネルギー校正及びデータ整列のためにデータ回収の間に同時に測定された。入射ビーム、透過ビーム及び参照の光線束は全て、それぞれ、X線光線束の約10%、10%及び100%を吸収するために適切な気体組成物を用いて、20cmの電離箱で測定された。
【0101】
データは、FEFF 6をベースとするIFEFFITパッケージのAthena and Artemisプログラムを使用して処理及び分析された。B.Ravel及びM.Newville,J.Synchrotron Radiat.,2005,12,537-541;J.J.Rehr及びR.C.Albers,Rev.Mod.Phys.,2000,72,621-654。参照スペクトルを正規化されたμ(E)データの2次導関数の第1のゼロ交差に整列させた。これはその後、相当する金属K-エッジのE0に関する文献値に較正された。整列されたスペクトルは、正常化の前にμ(E)で平均化された。XASスペクトルのバックグラウンドはスプラインフィッティングによって取り除かれ、そしてデータに1.0のRbkg値が割り当てられた。広域X線吸収微細構造(EXAFS)をフィッティングするために使用されるウインドウは、所与の混合金属分類(例えばMn及びMgを含有する全ての混合金属MOF)の全ての試料に関して共通のウインドウが使用可能であるように決定された。R-空間は、吸収原子を包囲する原子の第1の2つのシェルを含む範囲以上、典型的に1~3Åからフィッティングされた。k-空間データは、約3~11Å-1からウインドウに表示され、データがx軸を横切って末端効果を最小化する時までに正確な値が決定された。
【0102】
混合金属有機フレームワークNi
1Mg
1-MOF-274(50% Ni)の正規化Fourier変換広域X線吸収分光学データは、Ni K-エッジで回収された。
図3。Mg:Ni比が増加すると、約2.5Åの特徴が減少することは注目に値する。散乱経路の比較によって、MgがNiより弱い後方散乱であることが分かる。したがって、Ni配位環境中にMgを包含することは、2.5Åにおける特徴の抑制をもたらす可能性がある。しかしながら、金属が同一の混合金属有機フレームワークの別々の領域において分離する場合、又はそれらが分離した微結晶の混合物を形成する場合、この挙動は観察されない。Mg及びNiが同一フレームワークで同一の位置に配置される場合、Mgは、推定的に不規則分布で、局所的Ni環境中に存在することが可能である。
【0103】
Fourier変換広域X線吸収微細構造(EXAFS)データは、典型的な最良の実施を使用することによってフィッティングされた。構造モデルは、混合金属有機フレームワークの金属を関心のある金属にするためにMOF-274(Zn)のcifファイルを変性することによって得られた。R.Siegelman,T.McDonaldら、J.Am.Chem.Soc.,2017,139,10526-10538。金属のみを含有するMOFに見られるようなM1-M1及び混合金属有機フレームワークに見られるようなM1-M2を表す金属の間での直接散乱経路もcifファイルを変性することによって調製された。サンプル系統群は、前記構造モデルから算出される散乱経路を使用して、同時にフィッティングされた(例えば100% Mn、50% Mn、25% Mn、10% Mn及び5% Mn)。全体的なパラメーターは、振幅減少因子(S0
2);光電子のエネルギーシフト(ΔE0);(Mg(ΔRMg)及びMn(ΔRMn)の可能性を含む)2つの最も近い隣接酸素、最も近い隣接炭素及び最も近い隣接金属からの散乱経路のReff(ΔRi)における変化;及び(軽元素(σo
2)又は金属(σM
2)を含む)散乱元素の平均二乗相対変位を含む。金属-金属散乱経路を除いて、全ての散乱経路の変質は、構造モデルで観察される配位環境に基づいて定義された。各試料に関するk-3加重のデータによってのみ最終フィッティングが得られる前に、初期フィッティングは1,2及び3と等しいk-加重で得られた。全てのデータは、R-空間にフィッティングされた。Nyquist基準に従って、変数は、独立した点の数の2/3を超えることが不可能であった。S.Calvin,XAFS for Everyone,CRC Press,Boca Raton,FL,2013。
【0104】
混合金属有機フレームワークにおいて、M1-M2に対するM1-M1からの散乱の寄与を決定するために、M1-M2散乱のフラクションを表する自由に変動するパラメーター(例えば「frac」)をフィッティングプロセスの一部として作成し、精密化した。次いで、このパラメーターをM1-M2散乱経路のS0
2パラメーターと掛け合わせ、そして散乱経路縮退によるS0
2の直接相関性のためのフィッティングへの寄与を低減させた。M1-M1散乱からの補完的寄与は、その後、(1-frac)に定義され、次いでこれは、M1-M1散乱経路のS0
2パラメーターに掛け合わせられた。所与の混合金属シリーズにおいて、それぞれの試料に関して異なるパラメーターが作成された。(例えば、それぞれが、異なる金属分布を表す、異なる比率の散乱の寄与に精密化することができるように、50% Mn、25% Mn、10% Mn及び5% Mn系に対して異なる「frac」パラメーターが作成された。ただし、全ての散乱寄与は必ずM1-M1であるため、100% Mn系はわずかな散乱パラメーターも必要としない。)したがって、高品質のフィッティングを提供することに加えて、物理的に意味のあるM1:M2比は、バルク試料のためにEXAFS分析によって実証されることが可能である。
【0105】
図4は、Ni
1Mg
1-MOF-274(50% Ni)系に関する、代表的なフィッティングされた広域X線吸収微細構造(EXAFS)スペクトルを提供する。スペクトルは、上記の通り、2.5Åにおいて特徴を表すようにNi-Ni及びNi-Mg散乱経路の組合せを使用してフィッティングされた。フィッティングは、Ni
0.5Mg
1.5-MOF-274(25% Ni)、並びに純粋なNi MOF-274材料に関して首尾よく得られた。Mg/Mn MOF-274及びZn/Ni MOF-274に関してもデータを回収した。これらの予備結果は、下記のMg/Niの結果と一致する。
【0106】
図5で示すように、EXAFSの結果によって、Ni原子が単離された領域で局所化されるのではなく、その代わりに混合金属有機フレームワークを通して分散されることが確認される。したがって、これらは真の混合金属有機フレームワークであり、それぞれの金属有機フレームワークが1つの金属種のみを含有する2つの金属有機フレームワークの混合物ではない。
【0107】
活性化
図6中、混合金属混合有機フレームワーク系EMM-44(2-ampd付加混合金属MOF-274)の代表的な粉末X線回折パターンは、フレームワークにアミンを付加した後、結晶化度が保存されることを実証する。
【0108】
混合金属有機フレームワークは、文献中に明瞭に記載されるプロトコルに従って、
1H NMRによってダイジェストされ、分析された。P.Milner,R.Siegelmanら、J.Am.Chem.Soc.2017,139,13541-13553。
図7は、DMSO-d6中でのDClによるダイジェスト後の混合金属混合有機フレームワーク系EMM-44の代表的な
1H NMRを示す。アミン装填の範囲は、MOF-274配位子及び2-ampdのピーク面積を比較することによって得ることができる。混合金属フレームワーク系Mn
0.5Mg
1.5-EMM-44に関して、Mn
0.5Mg
1.5-MOF-274は、2-ampdによって92%官能化された。相当する装填は、種々のMg:Mn比で調製された混合金属混合有機フレームワークEMM-44のいくつかの試料に関して得られた。
【0109】
図8に示されるように、混合金属混合有機フレームワーク系:Mn
0.1Mg
1.9-EMM-44(5% Mn)、Mn
0.2Mg
1.8-EMM-44(10% Mn)、Mn
0.5Mg
1.5-EMM-44(25% Mn)及びMn
1Mg
1-EMM-44(50% Mn)MOF-274に関するCO
2等温線は、それぞれ、並外れた高度に所望のV型等温線を示す。
【0110】
図9は、V型等温線における特徴的な低圧「ステップ」をより完全に示すためのログスケールでプロットされた混合金属混合有機フレームワーク系Mn
0.1Mg
1.9-EMM-44(5% Mn)、Mn
0.2Mg
1.8-EMM-44(10% Mn)、Mn
0.5Mg
1.5-EMM-44(25% Mn)及びMn
1Mg
1-EMM-44(50% Mn)MOF-274に関するCO
2等温線である。混合金属有機フレームワーク中のMnのフラクションを増加させることによって、CO
2取り込みを誘導するのに必要なCO
2分圧が増加する。
【0111】
図10は、上記で提示されるデータから再プロットされる、Mn装填の相関関係としての混合金属混合有機フレームワークMn
xMg
2-x-EMM-44に関するCO
2等温線中間点の位置を示す。要約すると、混合金属混合有機フレームワーク系EMM-44は、混合金属有機フレームワーク中の混合金属の選択肢又は金属の比率によってステップ位置を調整することができる、V型ステップCO
2等温線プロファイルを示す吸着性材料である。この特徴決定によって、金属は、別個の金属鎖又は別個の微結晶中ではなく、混合金属有機フレームワーク結晶中で同一位置に配置されることが示された。
【0112】
数値の上限の組合せ及び数値の下限の組合せを使用して特定の特徴が記載された。他に明記されない限り、いずれかの下限からいずれかの上限までの範囲が考えられることが認識されるべきである。特定の下限、上限及び範囲が以下の1つ又はそれ以上の請求項に現れる。全ての数値は、当業者によって予想される実験誤差及び変動が考慮される。
【0113】
上記で種々の用語が定義された。請求項において使用される用語が上記で定義されない範囲まで、少なくとも1つの印刷された刊行物又は発行された特許に反映されるように当業者がその用語に与える最も広い定義が与えられるべきである。さらにまた、本出願で引用される全ての特許、試験手順及び他の書類は、そのような開示が本出願と矛盾しない範囲まで、且つ全てのそのような組み込みが容認される司法権のため、参照によって完全に組み込まれる。
【0114】
本開示の上記記載は、本方法論を示し、説明する。その上、開示は例示的な方法を示し、説明するが、種々の他の組合せ、修正及び環境が利用され得ること、そして本方法は、本明細書で表される概念の範囲内での変更又は修正が可能であり、且つ上記の教示及び/又は関連技術の技術若しくは知識に相応することが理解されるべきである。
【国際調査報告】