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特表2022-530170音響処理を含む逆推力装置カスケード
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】音響処理を含む逆推力装置カスケード
(51)【国際特許分類】
   F02K 1/72 20060101AFI20220620BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20220620BHJP
   F02K 1/44 20060101ALI20220620BHJP
   F02C 7/24 20060101ALI20220620BHJP
   B64D 33/00 20060101ALI20220620BHJP
   G10K 11/172 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
F02K1/72
F01D25/00 S
F02K1/44
F02C7/24 C
B64D33/00 A
B64D33/00 B
G10K11/172
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564978
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 EP2020059564
(87)【国際公開番号】W WO2020224888
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】1904658
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョデ,ノルマン・ブリュノ・アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス,ジェレミー・ポール・フランシスコ
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061CC04
(57)【要約】
逆推力装置カスケード(80)およびケーシング(71)を備え、カスケード(80)が第1のキャビティ(84)を含み、ケーシング(71)が、前記カスケード(80)が第1の方向(D)に挿入されることができるハウジング(75)を画定する開口部(76)を備え、ケーシング(71)および前記カスケード(80)が、カスケード(80)が完全にハウジング(75)内に配置される装置(70)の第1の位置と、前記カスケード(80)が少なくとも部分的に前記ハウジング(75)の外側にある装置(70)の第2の位置との間で、第1の方向(D)に互いに対して相対的に並進する、航空機のターボ機械(1)用のカスケード型逆推力装置(70)。
ケーシング(71)は、第1の平面に平行な第2の平面に延在する第2のキャビティ(744)を含む音響処理パネル(74)を備え、各第1のキャビティ(84)は、装置(70)が音響処理セル(710)を形成するように第1の位置にある場合に第2のキャビティ(744)に面する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のターボ機械(1)用のカスケード型逆推力装置(70)であって、逆推力装置カスケード(80)およびケーシング(71)を備え、カスケード(80)が、第1の方向(D)および第2の方向(D)を画定する第1の平面内に延在し、且つ第1のキャビティ(84)を含み、ケーシング(71)が、前記第1の方向(D)に直交する平面内に延在し、且つカスケード(80)が前記第1の方向(D)に挿入されることができるハウジング(75)を画定する開口部(76)を備え、ケーシング(71)および前記カスケード(80)が、カスケード(80)が完全にハウジング(75)内に配置される装置(70)の第1の位置と、前記カスケード(80)が少なくとも部分的に前記ハウジング(75)の外側にある装置(70)の第2の位置との間で、第1の方向(D)に互いに対して相対的に並進する、カスケード型逆推力装置(70)において、
ケーシング(71)が、第1の平面に平行な第2の平面内に延在する第2のキャビティ(744)を含む音響処理パネル(74)を備え、各第1のキャビティ(84)が、装置(70)が音響処理セル(710)を形成するように第1の位置にある場合に第2のキャビティ(744)に面することを特徴とする、カスケード型逆推力装置(70)。
【請求項2】
前記逆推力装置カスケード(80)は、第1の方向(D)に連続して配置され且つ互いに平行である第1の仕切(82)と、前記第1の仕切(82)と交差し且つそれぞれが互いに平行で第1の方向(D)に平行な平面内に延在する第1の横仕切(83)とを備え、前記音響処理パネル(74)が、第1の方向(D)に連続して配置され且つ互いに平行である第2の仕切(742)と、前記第2の仕切(742)と交差し且つそれぞれが互いに平行で第1の方向(D)に平行な平面内に延在する第2の横仕切(743)と、を備え、第1のキャビティ(84)が、それぞれ2つの第1の仕切(82)および2つの第1の横仕切(83)によって画定され、第2のキャビティ(744)が、それぞれ2つの第2の仕切(742)および2つの第2の横仕切(743)によって画定され、各第1の仕切(82)が、第1の平面と交差する方向において第2の仕切(742)の続きに配置され、各第1の横仕切(83)が、装置(70)が前記第1の位置にある場合に第1の平面と交差する前記方向において第2の横仕切(743)の続きに配置される、請求項1に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項3】
前記音響処理パネル(74)の第2の仕切(742)は、前記逆推力装置カスケード(80)に面する第1の端部(7420)と、第1の端部(7420)の反対側の第2の端部(7425)とを備え、各第2の仕切(742)について、第2の端部(7425)における第2の仕切(742)への接線(T11)が、逆推力装置(70)が前記第1の位置にある場合、前記第1の平面に平行な平面と第1の角度(A)を形成し、第1の角度(A)が、60°と120°との間に含まれる、請求項2に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項4】
前記逆推力装置カスケード(80)の第1の仕切(82)は、前記音響処理パネル(74)に面する第1の端部(820)と、第1の端部(820)の反対側の第2の端部(825)とを備え、各第1の仕切(82)について、第1の仕切(82)の第1の端部(820)における第1の仕切(82)への接線(T2)が、逆推力装置(70)が前記第1の位置にある場合、第2の仕切(742)の第1の端部(7420)における第2の仕切(742)への接線(T1)と第2の角度(B)を形成し、第2の角度(B)が、-20°~+20°の間に含まれる、請求項3に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項5】
カスケード(80)の第1の仕切(82)は、第1の平面に直交する方向における第1の曲率(C2)を備え、音響処理パネル(74)の第2の仕切(742)が、第1の曲率(C2)とは異なる第1の平面に直交する方向における第2の曲率(C1)を備え、逆推力装置(70)の第1の位置に形成された音響処理セル(710)が、第1の方向(D)に直交し且つそれぞれが互いに連続して第1の仕切(82)および第2の仕切(742)によって形成される2つの波状壁を備える、請求項2~4のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項6】
第1のキャビティ(84)および第2のキャビティ(744)は、前記第1の平面に平行な断面において同じ形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項7】
ケーシング(71)は多孔質界面(77)をも備え、多孔質界面(77)は、0.5mm~20mmの間に含まれる厚さ(E)を有し且つ少なくとも1つの多孔質材料層から形成され、且つ逆推力装置(70)が第1の位置にある場合に前記音響処理パネル(74)と前記カスケード(80)との間の界面に配置され、厚さ(E)が前記第1の平面に垂直な方向(D)に延在している、請求項1~6のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項8】
音響処理セルは、第1の平面に垂直な方向(D)において10mm~100mmの間に含まれる高さ(H)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項9】
ケーシング(71)は、それぞれが前記第1の平面に平行に延在する穿孔壁(72)および音響反射壁(73)を備え、カスケード(80)および音響処理パネルは、逆推力装置(70)が第1の位置にある場合に穿孔壁(72)と音響反射壁(73)との間に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項10】
前記穿孔壁(72)は、前記カスケード(80)または前記音響処理パネル(74)に接着することによって直接組み立てられる、請求項9に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項11】
音響処理パネル(74)は、逆推力装置(70)が第1の位置にある場合に穿孔壁(72)と逆推力装置カスケード(80)との間に配置される、請求項9または10のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項12】
音響処理パネル(74)は、逆推力装置(70)が第1の位置にある場合に音響反射壁(73)と逆推力装置カスケード(80)との間に配置される、請求項9または10のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項13】
カスケード(80)は移動可能であり、ケーシング(71)は固定されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置(70)。
【請求項14】
カスケード(80)は固定され、ケーシング(71)は移動可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置(70)。
【請求項15】
航空機に取り付けられるように意図されたターボ機械(1)であって、ターボ機械(1)が、軸線方向(D)および半径方向(D)を画定する軸対称ナセル(2)を備え、ナセル(2)が、半径方向(D)の厚さを含み、ハウジングがカスケード型逆推力装置のカスケード(80)を受け入れるようにその厚さにおいて軸線方向(D)に延在し、
請求項14に記載のカスケード型逆推力装置(70)を備え、カスケード(80)は、逆推力が必要とされない場合に、ターボ機械(1)のナセル(2)の対応するハウジング内に配置されることを特徴とする、ターボ機械(1)。
【請求項16】
請求項15に記載の少なくとも1つのターボ機械(1)を備える航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のターボ機械によって放射される音波の音響処理に関し、より詳細には、ターボ機械の逆推力装置における音波の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械が動作しているとき、ターボ機械の流れと固体部分との間の相互作用は、ターボ機械の両側に伝播するノイズ生成の原因となる。
【0003】
この音響放射を減衰させる手段の1つは、音波と接触する表面と一体化された音響処理手段である。
【0004】
従来、ターボジェットの音響処理、より正確にはロータとその周囲環境との相互作用によって放射されるノイズの音響処理は、音波が伝播するダクトの濡れ面に配置された吸収パネルによって達成される。濡れ面とは、流体流と接触する表面を意味する。これらのパネルは、一般に、ハニカムを形成する吸音セルを閉じ込めるサンドイッチ型の複合材料である。
【0005】
例えば、従来技術では、ターボ機械のナセルの壁を裏打ちする従来のハニカム音響処理構造を有する一つの自由度、すなわちSDOFを有する音響パネルが知られている。
【0006】
共振空洞を使用する音響処理パネルの技術の動作原理のために、音響処理パネルの半径方向の嵩、すなわち半径方向の厚さは、音響減衰の最大有効性を得るために目標とされる処理周波数に依存する。
【0007】
しかしながら、エンジンアーキテクチャでは、ブレード付きホイールの回転速度はますます遅くなり、ブレード付きホイール上のブレードの数はますます少なくなり、これにより、ファンおよび整流器段を含むモジュール、または「出口ガイドベーン」モジュールの場合はファン-OGVに関連するノイズの主要周波数の低下を引き起こす。その結果、音響パネルの最適な厚さとナセル内で利用可能な容積との間の整合は、現在満たされていない。
【0008】
航空機を減速させるために、ターボ機械は、一般に、逆推力装置を備える。カスケードの作用に基づく逆推力装置の主に2つの技術が存在する。2つのタイプのカスケード型逆推力装置、すなわち、固定カスケード型逆推力装置および摺動接続を有するカスケード型逆推力装置が区別される。
【0009】
それぞれ逆推力が非作動とされる位置および逆推力が作動される位置における、従来技術の第1の公知の実施形態にかかるターボ機械1の水平面内の概略断面図が図1Aおよび図1Bに示されている。
【0010】
ターボ機械1は、軸線方向D、半径方向D、および周方向Dを画定する軸線Xの周りに軸対称性を有するナセル2と、ファン3と、一次流4と、二次流と、一次整流器段5と、二次整流器段6と、カスケード8を含むカスケード型逆推力装置7とを備える。
【0011】
固定カスケード型逆推力装置を備えたターボ機械を示す図1Aおよび図1Bに示すように、固定カスケード型逆推力装置では、カスケード8は、ナセル2の上流部分21に埋め込まれ、すなわち固定されており、ナセル2の下流部分22と摺動接続しており、上流および下流は、ターボ機械1内のガス流Fの流れ方向に対して画定されている。下流に並進すると、ナセル2の下流部分22は、ナセル2の内部の流れとターボ機械1が移動する周囲の媒体との間の唯一の界面となるカスケード8を露出させる。
【0012】
それぞれ逆推力が非作動とされる位置および逆推力が作動される位置における、従来技術の第2の実施形態にかかるターボ機械1の水平面内の概略断面図が図2Aおよび図2Bに示されている。
【0013】
摺動接続を有するカスケード型逆推力装置を備えたターボ機械1を示す図2Aおよび図2Bに示すように、固定カスケード逆推力装置では、カスケード8は、ナセル2の上流部分21に対して摺動接続し、ナセル2の下流部分22に対して埋込接続している。下流に並進すると、ナセル2の下流部分22は、カスケード8をナセル2から押し出して、ナセル2の内部の流れと周囲媒体との間の界面に位置する。
【0014】
逆推力装置は、着陸段階の終わりにのみ使用されるが、推進アセンブリの性能にとって非常に不利なコスト、質量および嵩の双方を表す。ナセルにおいて使用される容積は、ターボ機械によって放射される音波の音響処理のために、従来技術では特に使用されることができない。
【0015】
二次流れの内側に配置されて流れをナセルの外側の上流に偏向させるドア型逆推力装置を使用する推進アセンブリアーキテクチャでは、従来の音響処理を統合するための公知の慣行は、逆推力装置ドアのキャビティ内に音響パネルを統合することからなる。この慣行は、単に、ファンケーシングにおいて行われるように、従来の吸収パネルを利用可能な容積に統合することからなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、ナセルの外側のターボ機械の上流の空気の流れを再配向することと、逆推力装置が作動されたときにカスケードを通るヘッド損失を最小にすることと、逆推力装置が非作動のときに吸音の有効性を最大にすることとの双方を可能にするカスケード型逆推力装置を供給しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の1つの目的は、航空機のターボ機械用のカスケード型逆推力装置を提案するものであり、この装置は、逆推力装置カスケードおよびケーシングを備える。カスケードは、第1の方向および第2の方向を画定する第1の平面内に延在し、第1のキャビティを含む。ケーシングは、前記第1の方向に直交する平面内に延在し且つ前記カスケードが前記第1の方向に挿入されることができるハウジングを画定する開口部を備える。ケーシングおよびカスケードは、カスケードが完全にハウジング内に配置される逆推力装置の第1の位置と、前記カスケードが少なくとも部分的に前記ハウジングの外側にある逆推力装置の第2の位置との間で、第1の方向に互いに対して相対的に並進する。
【0018】
本発明の一般的な特徴によれば、ケーシングは、第1の平面に平行な第2の平面に延在する第2のキャビティを含む音響処理パネルを備え、各第1のキャビティは、音響処理セルを形成するように、逆推力装置が第1の位置にある場合に第2のキャビティに面する。
【0019】
逆推力装置カスケードは、環状の一体型カスケードによって、または円形もしくは多角形の基部を有する中空シリンダを形成するように、一体に組み立てられることができる複数のカスケードセクションによって形成されることができる。
【0020】
同様に、音響処理パネルは、単一ピースの環状パネルによって、または一体に組み立てられて円形または多角形基部を有する中空シリンダを形成することができる複数のパネルセクションによって形成されることができる。
【0021】
逆推力装置カスケードは、通常、金属構造、逆推力段階中に受ける空気力学的負荷に耐える寸法によって特徴付けられる。この構造はまた、ヘッド損失を生成する。セルは、流体が循環することができる4つの壁から構成される容積である。セルの密度が高すぎると、空気の通過に対する抵抗が大きすぎるという事実に起因して、逆推力装置の有効性を損なう可能性がある。
【0022】
一方、吸音パネル構造は、空気力学的負荷を受けない。それらを構成する仕切は非常に薄く、それらの小さい容積は、パネルのチューニング、すなわち最大減衰周波数を最適化することを可能にする。
【0023】
したがって、逆推力および音響処理の2つの機能は、非常に異なるセル構造を必要とする。
【0024】
カスケード型逆推力装置がターボジェットに取り付けられる場合、第1の方向は、ターボジェットの軸線方向に対応し、第2の方向は、カスケードが少なくとも部分的に環状である場合はターボジェットの周方向に対応し、カスケードが平坦である場合、換言すれば湾曲していない場合はターボジェットの周方向に接する方向に対応する。
【0025】
したがって、逆推力装置が、逆推力が非作動である第1の位置にある場合、カスケードの第1のキャビティは、音響処理パネルの第2のキャビティを継続し、第2のキャビティは、共振キャビティである。第1の平面に直交する方向、例えば半径方向における第1のキャビティおよび第2のキャビティの重ね合わせは、その高さが第1の平面に直交する方向において第2のキャビティの高さよりも高い音響処理セルを形成することを可能にする。したがって、第2および第1のキャビティの重ね合わせによって形成された音響処理セルは、一方では音響波の吸収を増加させ、他方では音響処理パネルのみによるよりも低い周波数の音響波を吸収することを可能にする処理高さを備える。
【0026】
逆推力装置の第1の態様では、逆推力装置カスケードは、第1の方向に連続して配置され且つ互いに平行である第1の仕切と、前記第1の仕切と交差し且つそれぞれが互いに平行で第1の方向に平行な平面内に延在する第1の横仕切とを備えることができる。音響処理パネルは、第1の方向に連続して配置され且つ互いに平行な第2の仕切と、前記第2の仕切と交差し且つそれぞれが互いに平行で第1の方向に平行な平面内に延在する第2の横仕切とを備えることができ、第1のキャビティは、それぞれ、2つの第1の仕切および2つの第1の横方向仕切によって画定され、第2のキャビティは、それぞれ、2つの第2の仕切および2つの第2の横仕切によって画定される。各第1の仕切は、第1の平面と交差する方向の第2の仕切の続きに配置されることができ、各第1の横仕切は、逆推力装置が前記第1の位置にある場合に第1の平面と交差する前記方向における第2の横仕切の続きに配置されることができる。
【0027】
第1の仕切は、このタイプのカスケードを備えた逆推力装置を含むターボ機械の内側のガス流の流れ方向と交差する方向に配向されるように意図される。カスケードがターボ機械上の逆推力装置に取り付けられる場合、ターボ機械の方位角方向または半径方向に配向された第1の仕切は、逆推力の機能を保証するために不可欠である。実際に、これらの第1の仕切により、逆推力装置が取り付けられるナセルの内側において流れを循環する空気流が捕捉されることができ、ナセルの外側においてナセルの内側の流れの流れ方向に対してターボ機械の上流に再配向されることができる。
【0028】
第1の横仕切は、このタイプのカスケードを備えた逆推力装置を含むターボ機械の内側のガス流の方向に配向されるように意図される。カスケードがターボ機械上の逆推力装置に取り付けられる場合、ターボ機械の軸線方向に配向された第1の横仕切は、逆推力の機能に不可欠ではない。一方、それらは、ターボ機械によって生成された音響波を減衰させることを可能にする共振キャビティの形成を可能にする。
【0029】
逆推力装置の第2の態様では、音響処理パネルの第2の仕切は、前記逆推力装置カスケードに面する第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部とを備えることができる。そして、各第2の仕切について、第2の仕切の第2の端部における第2の仕切への接線は、逆推力装置が前記第1の位置にある場合、前記第1の平面に平行な平面と第1の角度を形成することができ、第1の角度は、60°と120°との間に含まれる。
【0030】
逆推力装置カスケードに面する端部と反対側の端部への音響処理パネルの第2の仕切のこの配向は、音響処理セルの実質的に半径方向の配向を画定することを可能にし、仕切における望ましくない音響反射に起因する共振器の動作の不利益を回避する。
【0031】
したがって、音響処理パネルの第2の仕切は、おそらく1つ以上の変曲点によって湾曲されることができる。音響処理パネルにおける第2の湾曲した仕切の使用は、第1の平面に直交する方向におけるカスケードに対するパネルの位置に関係なく、カスケードの推力反転の機能を低下させることなく音響処理の有効性を最大化することを可能にする。
【0032】
したがって、第2の仕切の第2の端部は、第1の平面に垂直な方向、すなわち半径方向における逆推力装置カスケードに対する音響処理パネルの位置に応じて、音響処理セルへの入口または音響処理セルの出口のいずれかとすることができる。
【0033】
逆推力装置の第3の態様では、逆推力装置カスケードの第1の仕切は、音響処理パネルに面する第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部とを備えることができる。そして、各第1の仕切について、逆推力装置が前記第1の位置にある場合、第1の仕切の第1の端部における第1の仕切の接線は、第2の仕切の第1の端部における第2の仕切の接線と第2の角度を形成することができ、第2の角度は、-20°~+20°の間に含まれる。
【0034】
逆推力装置カスケードの第1の仕切および音響処理パネルに面する一端のこの配向は、逆推力装置カスケードと音響処理パネルとの間の界面におけるセルの配向に関して比較的小さなギャップを画定することを可能にし、したがって、逆推力の機能を乱すことなく、仕切における望ましくない音響反射に起因する共振器の動作の不利益を回避することができる。
【0035】
逆推力装置の第4の態様では、カスケードの第1の仕切は、前記第1の平面に直交する方向の第1の曲率を備えることができ、パネルの第2の仕切は、第1の曲率とは異なる前記第1の平面に直交する方向の第2の曲率を備えることができる。逆推力装置の第1の位置に形成された音響処理セルは、第1の方向に直交し且つそれぞれが互いに連続して第1の仕切および第2の仕切によって形成された2つの波状壁を備えることができる。
【0036】
したがって、音響処理セルの前記2つの壁は、起伏、すなわち、逆推力装置カスケードが逆推力に使用されるときに逆推力装置カスケードの逆推力の有効性をなおも維持しながら、セルによる音響吸収を最大化することを可能にする変曲点を有する曲線を有する。
【0037】
逆推力装置の第5の態様では、第1のキャビティおよび第2のキャビティは、前記第1の平面に平行な断面において同じ形状を有することができる。
【0038】
逆推力装置の第6の態様では、ケーシングはまた多孔質界面を具備することができ、多孔質界面は、少なくとも1つの多孔質材料層から形成され且つ逆推力装置が第1の位置にある場合に音響処理パネルとカスケードとの間の界面に配置された、0.5~20mmの間に含まれる厚さを有し、厚さは、前記第1の平面に垂直な方向に延在している。
【0039】
多孔質界面の追加は、音響処理パネルの仕切と逆推力装置カスケードの仕切との間の接合部におけるより良い封止を確保するとともに、逆推力装置の機能が使用されている場合、すなわち装置が第2の位置にある場合、逆推力装置カスケードの摺動を改善するための有用なクリアランスをなおも提供しながら、2つのセル構造、すなわち音響処理パネルと逆推力装置カスケードとの間の界面を改善することを可能にする。
【0040】
逆推力装置の第7の態様では、音響処理セルは、10~100mmの間に含まれる高さを具備することができ、高さは、第1の平面に垂直な方向において測定される。
【0041】
逆推力装置の第8の態様では、ケーシングは、それぞれが前記第1の平面に平行に延在する穿孔壁および音響反射壁を備えることができ、カスケードおよび音響処理パネルは、逆推力装置が第1の位置にある場合に穿孔壁と音響反射壁との間に配置される。
【0042】
逆推力装置の第9の態様では、穿孔壁は、前記カスケードまたは前記1つの音響処理パネルに接着することによって、すなわち直接接着することによって直接組み立てられることができる。
【0043】
逆推力装置の第10の態様では、音響処理パネルは、逆推力装置が第1の位置にある場合に穿孔壁と逆推力装置カスケードとの間に配置されることができる。
【0044】
逆推力装置の第11の態様では、音響処理パネルは、逆推力装置が第1の位置にある場合に音響反射壁と逆推力装置カスケードとの間に配置されることができる。
【0045】
逆推力装置の第12の態様では、摺動接続を有するカスケード型逆推力装置を備えたターボ機械では、カスケードが移動可能であり、ケーシングが固定されて逆推力装置を使用することができ、または固定されたカスケード逆推力装置を備えたターボ機械では、カスケードが固定されることができ、ケーシングが移動可能であり、逆推力装置を使用することができる。
【0046】
本発明の別の目的では、航空機に取り付けられるように意図されたターボ機械であって、ターボ機械が、軸線方向および半径方向を画定する軸対称ナセルを備え、ナセルが、半径方向の厚さを含み、ハウジングがカスケード型逆推力装置のカスケードを受け入れるためにその厚さにおいて軸線方向に延在する、ターボ機械が提案される。
【0047】
本発明のこの目的の一般的な特徴によれば、ターボ機械は、上記で定義されたカスケード型逆推力装置を備えることができ、カスケードは、逆推力が必要とされない場合、ターボ機械のナセルの対応するハウジング内に配置される。
【0048】
本発明の別の目的では、上記定義された少なくとも1つのターボ機械を備える航空機が提案される。
【0049】
本発明は、添付の図面を参照して、限定ではなく、示唆として、以下に行われるものを読むと、よりよく理解されるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1A】既に説明された図1Aは、逆推力装置が非作動の位置における、従来技術の第1の公知の実施形態にかかるターボ機械の長手方向平面における概略断面図を示している。
図1B】既に説明された図1Bは、逆推力装置が作動される位置における、従来技術の第1の公知の実施形態にかかるターボ機械の長手方向平面における概略断面図を示している。
図2A】既に説明された図2Aは、逆推力装置が非作動の位置における、従来技術の第2の公知の実施形態にかかるターボ機械の長手方向平面における概略断面図を示している。
図2B】既に説明された図2Bは、逆推力装置が作動される位置における、従来技術の第2の公知の実施形態にかかるターボ機械の長手方向平面における概略断面図を示している。
図3図3は、本発明の第1の実施形態にかかる、逆推力装置が非作動の位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図4図4は、本発明の第1の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図5図5は、逆推力装置のカスケードの軸線方向および周方向を含む平面における断面図を概略的に示している。
図6図6は、逆推力装置の音響処理パネルの軸線方向および周方向を含む平面における断面図を概略的に示している。
図7図7は、本発明の第2の実施形態にかかる、逆推力装置が非作動の位置における逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図8図8は、本発明の第2の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図9図9は、装置の第1の位置における第1の仕切および第2の仕切の配置を示す図7の拡大図である。
図10図10は、本発明の第3の実施形態にかかる、逆推力装置が非作動の位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図11図11は、本発明の第3の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図12図12は、装置の第1の位置における第1の仕切および第2の仕切の配置を示す図10の拡大図である。
図13図13は、本発明の第4の実施形態にかかる、逆推力装置が非作動の位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図14図14は、本発明の第4の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図15図15は、本発明の第5の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図16図16は、本発明の第5の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図17図17は、本発明の第6の実施形態にかかる、逆推力装置が非作動の位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図18図18は、本発明の第6の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図3図12において、ターボ機械1は、図2Aおよび図2Bに記載の動作にしたがって動作することができる逆推力装置70を備える。ターボ機械は、軸線方向D、半径方向D、および周方向Dを画定する軸線Xの周りに軸対称性を有するナセルを備える。
【0052】
図3および図4には、それぞれ逆推力装置が非作動の位置および逆推力装置が作動される位置における、本発明の第1の実施形態にかかる航空機のターボ機械に取り付けられたカスケード型逆推力装置の、軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図が示されている。
【0053】
逆推力装置70は、カスケードリングを形成するように組み立てられた複数のカスケード80を備える。リングは、円筒形基部または多角形基部を有することができ、カスケード80は、ターボ機械の軸線方向Dおよび周方向Dを含む曲面、または軸線方向Dおよび周方向Dに接する方向を含む直線面のいずれかにそれぞれ延在している。
【0054】
図示の実施形態では、カスケード80は、説明およびラベルを容易にするために湾曲されており、軸線方向Dおよび周方向Dを含む、以下では第1の平面と呼ばれる湾曲平面内に主に延在している。
【0055】
第1の平面に平行な断面におけるカスケード80の断面図である図5に示すように、各カスケード80は、内部において第1の仕切82を周方向Dに延在させ、第1の横仕切83を軸線方向Dに延在させるフレーム81を備える。フレーム81、第1の仕切82、および第1の横仕切83は、5mm~50mmの間に含まれる半径方向Dの高さを有する。
【0056】
第1の仕切82の厚さは、それらが受ける負荷に耐えるのに十分な厚さであるが、カスケード内の質量およびヘッド損失を最小限に抑えるために可能な限り薄いように、0.5mm~5mmの間に含まれる。
【0057】
第1の仕切82は、逆推力装置が作動されたときに推力を反転させるために、ガス流Fをナセル2の外側およびターボ機械1の上流に配向するように意図された方位角仕切である。第1の横仕切83は、逆推力装置が非作動であるときに、ターボ機械によって生成される音波を吸収するために、第1の仕切82と共に、第1のキャビティ84を画定するように意図された軸線方向仕切である。
【0058】
互いに隣接する2つの第1の横仕切83を隔てる周方向Dの距離は、2つの第1の仕切82を隔てる軸線方向Dの距離に等しく、したがって、キャビティ内の平面波の音響伝播に有利に働く。
【0059】
カスケード80は、装置70が取り付けられるターボ機械1の軸線方向Dにおいて、第1の軸線方向端部810および第2の軸線方向端部812を備える。図3および図4に示すように、図3図12に示され且つ図2Aおよび図2Bに記載される動作にしたがって動作することができる実施形態では、カスケード80の第2の軸線方向端部812は、ナセル2の上流部分21に対して移動可能なナセル2の下流部分22に固定される。
【0060】
ターボ機械1のナセル2の上流部分21に収容された逆推力装置70は、パネルリングを形成するように組み立てられた複数のケーシング71を備える。リングは、円筒形基部または多角形基部を有することができ、ケーシング71は、ターボ機械1の軸線方向Dおよび周方向Dを含む曲面、または軸線方向Dおよび周方向Dに接する方向を含む直線平面のいずれかにそれぞれ延在している。
【0061】
図示の実施形態では、ケーシングの71は、説明およびラベルを容易にするために湾曲されており、軸線方向Dおよび周方向Dを含む湾曲平面内に主に延在している。
【0062】
各ケーシング71は、穿孔壁72、音響反射壁73、および音響処理パネル74を含む。ケーシング71は、ターボ機械1の回転軸から離れて移動する半径方向平面Dにおいて、穿孔壁72、音響処理パネル74、カスケード80を収容するように構成されたハウジング75、および音響反射壁73を連続して備える。
【0063】
ケーシング71はまた、ハウジング75と連通する開口部76を備え、開口部は、ナセル2の下流部分22に面するケーシング71の軸線方向端部において半径方向Dおよび周方向Dを含む平面内に延在している。
【0064】
逆推力装置が非作動であるとき、逆推力装置70は、カスケード80がケーシング71のハウジング75内に配置される図3に示す第1の位置にある。
【0065】
逆推力装置が作動されると、逆推力装置70は、カスケード80がナセルの下流部分22と並進してケーシング71から軸線方向Dに引き出され、ハウジング75を少なくとも部分的に自由にする、図4に示す第2の位置にある。
【0066】
音響処理パネル74は、カスケード80が延在する第1の平面に平行な第2の平面においてケーシング71内に配置され、音響パネル74は、穿孔壁72に接着されている。
【0067】
各ケーシング71の音響処理パネル74は、第2の仕切742および第2の横仕切を備える。
【0068】
第1の平面に平行な断面における音響処理パネル74の断面図である図6に示すように、各音響処理パネル74は、その内側において、周方向Dに第2の仕切742をおよび軸線方向Dに第2の横仕切743を延在させるフレーム741を備える。
【0069】
第2の仕切742は、方位角仕切であり、第2の横仕切743は、軸線方向仕切である。第2の仕切742および第2の横仕切743は、逆推力装置がその第1の位置にある場合に、ターボ機械によって生成される音響波の吸収のためにそれらの間に第2のキャビティ744を画定する。
【0070】
互いに隣接する2つの第2の横仕切743を隔てる周方向Dの距離は、2つの第2の仕切742を隔てる軸線方向Dの距離に等しく、したがって、キャビティ内の平面波の音響伝播に有利に働く。
【0071】
さらに、音響処理パネル71とカスケード80との間の界面において、各ケーシング70は多孔質界面77を備え、多孔質界面77は、並進中のハウジング75におけるカスケード80の摺動をなおも容易にしながら、異なる仕切間のより良い封止を確実にすることによって2つのセルラー構造間の界面を改善するために、いくつかの多孔質材料層から形成され、且つ半径方向Dにおいて0.5mm~20mmの間に含まれる厚さEを有する。
【0072】
図3に示すように、逆推力装置70がその第1の位置にある場合、第1のキャビティ84、第1の仕切82および第1の横仕切83は、それぞれ、第2のキャビティ744、第2の仕切742および第2の横仕切743と重ね合わされ、したがって、共振キャビティ710、または音響処理セルを形成し、そのそれぞれの容積は、第1のキャビティ84の容積および第2のキャビティ744の容積の合計に対応する。したがって、音響処理セル710は、音響処理パネル74の高さ、多孔質界面77の厚さE、およびカスケード80の高さの合計に対応する半径方向Dの高さHにおいて延在している。音響処理セルの高さHは、10mm~100mmの間に含まれる。
【0073】
図3および図4に示される第1の実施形態では、第1のキャビティ84および第2のキャビティ744は、軸線方向Dおよび周方向Dを含む断面において同一の形状を有し、第1の仕切82および第2の仕切742は、それぞれ、純粋に半径方向に延在している。したがって、逆推力装置70の第1の位置では、第1の横仕切83のそれぞれは、第2の横仕切743の1つに続くだけでなく、より正確には、第2の横仕切743の1つと位置合わせされる。
【0074】
図7および図8に示されているのは、それぞれ逆推力装置が非作動の位置および逆推力装置が作動される位置における、本発明の第2の実施形態にかかる航空機のターボ機械に取り付けられたカスケード型逆推力装置70の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図である。
【0075】
図7および図8に示される第2の実施形態の逆推力装置70は、カスケード80の第1の横仕切83および音響処理パネル70の第2の横仕切743が、それぞれ、仕切が半径方向Dにおいて直線である、すなわちそれらが半径方向に延在している第1の実施形態とは異なり、半径方向Dおよび軸線方向Dを含む断面において曲率を有するという点で、図3および図4に示される第1の実施形態とは異なる。
【0076】
第2の実施形態における逆推力装置70の第1の位置における第1の仕切82および第2の仕切742の配置を示す図7の拡大図である図9に示すように、音響処理パネル74の第2の仕切742の曲率は、図9に第1の曲線C1によって示され、カスケード80の第1の仕切82の曲率は、第2の曲線C2によって示されている。
【0077】
各仕切742および82が、半径方向Dに直交する平面で取られた、無限の断面の半径方向の積み重ねによって形成されると考えられる場合、各断面の中心を通り且つ音響処理セル7の高さHにわたって第1の曲線C1と第2の曲線C2とのアセンブリによって形成される音響処理セル710の全高Hにわたって延在する曲線を定義することが可能である。
【0078】
音響処理パネル74の第2の仕切742は、前記逆推力装置カスケード80に面する第1の端部7420と、第1の端部7420の反対側で多孔質壁72に面する第2の端部7425とを備える。
【0079】
そして、カスケード80の第1の仕切82は、それぞれ、音響処理パネル74に面する第1の端部820と、第1の端部820の反対側で音響反射壁73に面する第2の端部825とを備える。
【0080】
したがって、第2の仕切742の第2の端部7425は、音響処理セル710の入口にある。
【0081】
さらに、各第2の仕切742について、軸線方向Dおよび半径方向Dを含む断面において、第2の端部7425で取られた第2の仕切742への接線T11は、60°と120°との間に含まれる前記第1の平面に平行な平面と第1の角度Aを形成し、穿孔壁72は、前記第1の平面において、第2の仕切742の第2の端部7425まで延在している。
【0082】
ナセルの内側を循環する流れに面する、第2の端部7425における音響処理パネル74の第2の仕切742のこの配向は、音響処理セル710の実質的に半径方向の配向を画定することを可能にし、仕切における望ましくない音響反射に起因する共振器の動作の不利益を回避する。
【0083】
したがって、音響処理パネルの第2の仕切742は湾曲している。音響処理パネル74における湾曲した第2の仕切742の使用は、第1の平面に直交する方向におけるカスケードに対するパネルの位置に関係なく、カスケードの逆推力の機能を低下させることなく音響処理の有効性を最大化することを可能にする。
【0084】
さらに、各第1の仕切82について、軸線方向Dおよび半径方向Dを含む断面において、第1の端部820における第1の仕切82への接線T2は、逆推力装置70が前記第1の位置にある場合に第1の端部7420における第2の仕切742への接線T1と第2の角度Bを形成する。第2の角度Bは、-20°~+20°の間に含まれる。
【0085】
第1の曲線C1は、第1の平面との第1の角度Aを画定する。第1の角度Aは、第1の平面と、第2の曲線C2に面する端部とは反対側の第1の曲線C1の端部への接線との間に形成される。
【0086】
逆推力装置カスケード80の第1の仕切82のこの配向、およびそれらが互いに面する位置、すなわちカスケードとパネル74との間の界面における第2の仕切742のこの配向は、音響処理セル710の連続性を有することを可能にし、したがって、逆推力の機能を乱すことなく、仕切における望ましくない音響反射に起因する共振器の動作の不利益を回避する。
【0087】
逆推力装置カスケード80の第1の仕切82は全て同じ形状を有し、音響処理パネル74の第2の仕切742も全て同じ形状を有し、音響処理セル710は、全て同じプロファイルを有し、このプロファイルは、第1および第2の仕切82および742のプロファイルにしたがう。
【0088】
第1および第2の曲線C1およびC2は、第2の角度Bを画定する。第2の角度Bは、第2の曲線C2に面する第1の曲線C1の端部における第1の曲線C1への接線と第1の曲線C1に面する第2の曲線C2の端部における第2の曲線C2への接線との間に形成される。
【0089】
図10および図11には、それぞれ逆推力装置が非作動の位置および逆推力装置が作動される位置における、本発明の第3の実施形態にかかる航空機のターボ機械14に取り付けられたカスケード型逆推力装置70の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図が示されている。
【0090】
図10および図11に示される第3の実施形態の逆推力装置70は、音響処理パネル74およびカスケード80の半径方向Dの位置が逆になるという点で、図7および図8に示される第2の実施形態とは異なる。
【0091】
第3の実施形態では、カスケード80は、半径方向Dにおいて、音響処理パネル74の内側にある。したがって、図10に示される逆推力装置70の第1の位置では、カスケード80は、ケーシング71の穿孔壁72と音響処理パネル74との間において半径方向Dに延在し、多孔質界面77は、半径方向Dにおいてパネル74とカスケード80との間に延在している。
【0092】
第2の実施形態に関しては、カスケード80の第1の横仕切83および音響処理パネル70の第2の横仕切743は、それぞれ、半径方向Dおよび軸線方向Dを含む断面において湾曲している。
【0093】
第2の実施形態における逆推力装置70の第1の位置における第1の仕切82および第2の仕切742の配置を示す図10の拡大図である図12に示すように、音響処理パネル74の第2の仕切742の湾曲は、図12に第1の曲線C1によって示され、カスケード80の第1の仕切82の湾曲は、第2の曲線C2によって示されている。
【0094】
各仕切742および82が、半径方向Dに直交する平面で取られた、無限の断面の半径方向の積み重ねによって形成されると考えられる場合、各断面の中心を通り且つ音響処理セル7の高さHまで第1の曲線C1と第2の曲線C2とのアセンブリによって形成される音響処理セル710の全高Hにわたって延在する曲線を定義することが可能である。
【0095】
音響処理セル74の第2の仕切742は、前記逆推力装置カスケード80に面する第1の端部7420と、第1の端部7420の反対側で音響反射壁73に面する第2の端部7425とを備える。
【0096】
そして、カスケード80の第1の仕切82は、それぞれ、音響処理パネル74に面する第1の端部820と、第1の端部820の反対側で多孔質壁72に面する第2の端部825とを備える。
【0097】
したがって、第1の仕切82の第2の端部825は、音響処理セル710の入口にある。
【0098】
さらに、各第2の仕切742について、軸線方向Dおよび半径方向Dを含む断面において、第2の端部7425で取られた第2の仕切742への接線T11は、60°と120°との間に含まれる前記第1の平面に平行な平面と第1の角度Aを形成し、音響反射壁73は、前記第1の平面において、第2の仕切742の第2の端部7425まで延在している。
【0099】
第1の曲線C1は、第1の平面との第1の角度Aを画定する。第1の角度Aは、第1の平面と、第2の曲線C2に面する端部とは反対側の第1の曲線C1の端部への接線との間に形成される。
【0100】
第2の端部7425における音響処理パネル74の第2の仕切742のこの配向は、音響処理セル710の実質的に半径方向の配向を画定することを可能にし、仕切における望ましくない音響反射に起因する共振器の動作の不利益を回避する。
【0101】
さらに、各第1の仕切82について、軸線方向Dおよび半径方向Dを含む断面において、第1の端部820における第1の仕切82への接線T2は、逆推力装置70が前記第1の位置にある場合に、第1の端部7420における第2の仕切742への接線T1と第2の角度Bを形成する。第2の角度Bは、-20°~+20°の間に含まれる。
【0102】
第1および第2の曲線C1およびC2は、第2の角度Bを画定する。第2の角度Bは、第2の曲線C2に面する第1の曲線C1の端部における第1の曲線C1への接線と、第1の曲線C1に面する第2の曲線C2の端部における第2の曲線C2への接線との間に形成される。
【0103】
図13図18において、ターボ機械1は、この場合、図1Aおよび図1Bに記載の動作にしたがって動作することができる逆推力装置70を備える。
【0104】
図13および図14には、それぞれ逆推力装置が非作動の位置および逆推力装置が作動される位置における、本発明の第4の実施形態にかかる航空機のターボ機械1に取り付けられたカスケード型逆推力装置の、軸線方向Dおよび半径方向Dを含む平面における概略断面図が示されている。
【0105】
第4の実施形態は、カスケード80がターボ機械1のナセル2の上流部分21に固定され、ケーシング71がナセル2の下流部分22に作製される点で、第1の実施形態とは異なる。したがって、図14図16および図18に示すように、図13図18に示され且つ図1Aおよび図1Bに記載される動作にしたがって動作することができる実施形態では、カスケード80の第1の軸線方向端部810は、ナセル2の下流部分22に対して移動可能なナセル2の上流部分21に固定される。
【0106】
ケーシング71は、ハウジング75と連通する開口部76を備え、開口部は、ナセル2の上流部分21に面するケーシング71の軸線方向端部において半径方向Dおよび周方向Dを含む平面内に延在している。
【0107】
逆推力装置が非作動である場合、逆推力装置70は、カスケード80がケーシング71のハウジング75内に配置される図13に示す第1の位置にある。
【0108】
逆推力装置が作動されると、逆推力装置70は、カスケード80がケーシング71から軸線方向Dに引き出され、ケーシング71がナセル2の下流部分21と並進して、ハウジング75を少なくとも部分的に自由にする、図14に示す第2の位置にある。
【0109】
図15および図16に示されるのは、それぞれ逆推力装置が非作動の位置および逆推力装置が作動される位置における、本発明の第5の実施形態にかかる航空機のターボ機械1に取り付けられたカスケード型逆推力装置の、軸線方向Dおよび半径方向Dを含む平面における概略断面図である。
【0110】
第5の実施形態は、カスケード80がターボ機械1のナセル2の上流部分21に固定され、ケーシング71がナセル2の下流部分22に作製される点で、第2の実施形態とは異なる。
【0111】
図17および図18に示されるのは、それぞれ逆推力装置が非作動の位置および逆推力装置が作動される位置における、本発明の第6の実施形態にかかる航空機のターボ機械1に取り付けられたカスケード型逆推力装置の、軸線方向Dおよび半径方向Dを含む平面における概略断面図である。
【0112】
第6の実施形態は、カスケード80がターボ機械1のナセル2の上流部分21に固定され、ケーシング71がナセル2の下流部分22に作製される点で、第3の実施形態とは異なる。
【0113】
したがって、本発明は、ナセルの外側のターボ機械の上流の空気流を再配向することと、逆推力装置が作動されたときにカスケードを通るヘッド損失を最小にすることと、逆推力装置が非作動のときに吸音の有効性を最大にすることとの双方を可能にするカスケード型逆推力装置を提供する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】