(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-28
(54)【発明の名称】冷却媒体または加熱媒体の移送手段を備えた押出しシリンダ
(51)【国際特許分類】
B29C 48/685 20190101AFI20220621BHJP
B29C 48/505 20190101ALI20220621BHJP
B28B 3/20 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B29C48/685
B29C48/505
B28B3/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021560892
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2020059989
(87)【国際公開番号】W WO2020216619
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】102019110576.5
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520400139
【氏名又は名称】クラウスマッファイ エクストュルージョン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】KraussMaffei Extrusion GmbH
【住所又は居所原語表記】An der Breiten Wiese 3-5 30625 Hannover Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】特許業務法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プリンケ,ゲルイェット クリスツィアン
(72)【発明者】
【氏名】ステーベ,ファネッサ
(72)【発明者】
【氏名】ティーツ,リヨン ヤスパ
【テーマコード(参考)】
4F207
4G054
【Fターム(参考)】
4F207AJ09
4F207AK01
4F207AK02
4F207KK12
4F207KK43
4F207KL34
4F207KL35
4F207KL36
4G054BD01
4G054DA03
(57)【要約】
押出しシリンダ(100)は、押出機ウォームを収容するためのシリンダ本体(110)を有しており、シリンダ本体(110)の外壁(115)には、被覆可能な少なくとも1つの凹部(120)が設けられている。当該凹部は、被覆された状態において、シリンダ本体(110)の温度を制御するための冷却媒体または加熱媒体を移送するのに適している。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し機ウォームを収容するためのシリンダ本体(110)を備え、
前記シリンダ本体(110)の外壁(115)には、少なくとも1つの凹部(120)が設けられており、前記凹部は、被覆可能であり、被覆された状態において、前記シリンダ本体(110)の温度を制御するための冷却媒体または加熱媒体の移送に適した、
押出しシリンダ(100)。
【請求項2】
さらに、
被覆要素(130)を備え、
前記被覆要素は、前記少なくとも1つの凹部(120)を被覆するように前記シリンダ本体(110)の前記外壁(115)と接続される、
請求項1に記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの凹部(120)は、前記シリンダ本体(110)の長手方向の軸と平行に通る複数の直線部分(122)と、正確に2つの直線部分(122)の、隣接する2つの端部間を接続する複数の湾曲部分(124)とを有しており、
直線要素(122)と湾曲要素(124)との前記接続により、分岐のない流路が規定される、
先行する請求項のいずれかに記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項4】
前記複数の直線部分(122)は、前記シリンダ本体(110)の複数の端部領域(112)の少なくとも1つから延びており、前記複数の湾曲部分(124)の一部分は、前記シリンダ本体(110)の前記端部領域(112)に配置される、
請求項3に記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項5】
さらに、
少なくとも1つの接続フランジ(140)を備え、
前記接続フランジ(140)は、前記端部領域(112)に位置する少なくとも前記複数の湾曲部分(124)を覆うように、前記シリンダ本体(110)の前記端部領域(112)に圧合によって適用される、
請求項4に記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項6】
前記接続フランジ(140)は、冷却媒体または加熱媒体の、前記凹部(120)への供給、および前記凹部(120)からの排出を可能にする複数のダクトを有する、
請求項5に記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項7】
前記複数の直線部分(122)は、前記シリンダ本体(110)の前記端部領域(112)から、前記シリンダ本体(110)の長さよりも短い所定長だけ延びる、
請求項4から6のいずれかに記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項8】
前記複数の直線部分(122)は、前記シリンダ本体(110)の前記複数の端部領域(112)に到達しない、
請求項3に記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項9】
前記シリンダ本体(110)には、前記凹部(120)への冷却媒体または加熱媒体の供給および排出のために少なくとも2つの接続部位(150)が配置されている、
請求項7または8に記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項10】
前記シリンダ本体(110)の前記外壁(115)には、複数の前記凹部(120)が設けられており、
当該複数の凹部は相互に接続されておらず、前記被覆された状態においては、冷却媒体または加熱媒体のための自己の流路をそれぞれ規定する、
先行する請求項のいずれかに記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項11】
前記シリンダ本体(110)は、複数のピンまたは複数のネジの挿入に適した径方向の複数の穿孔穴を有し、当該複数の穿孔穴は、前記少なくとも1つの凹部(120)とは異なる部位に配置される、
先行する請求項のいずれかに記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項12】
先行する請求項のいずれかに記載の押出シリンダ(100)であって、前記少なくとも1つの凹部(120)が被覆された押出しシリンダ(100)と、
前記少なくとも1つの被覆された凹部(120)の中を流れる冷却媒体または加熱媒体と、
を備えた押出し装置。
【請求項13】
さらに、
各凹部(120)の中を流れる冷却媒体または加熱媒体の温度を制御するための、前記各凹部(120)用の温度制御配置を備えた、
請求項12に記載の押出し装置。
【請求項14】
請求項1から11のいずれかに記載の押出しシリンダ(100)の製造方法であって、
前記シリンダ本体(110)の前記外壁(115)に、前記少なくとも1つの凹部(120)を形成するステップを備えた、
押出しシリンダ(100)の製造方法。
【請求項15】
さらに、
前記少なくとも1つの凹部(120)を被覆要素(130)で被覆するステップを備えた、
請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効果的な方法で温度制御を行うことができる押出シリンダ、および、かかる押出しシリンダの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
押出成形の分野では、押出成形物の移送と混合に使用される押出しシリンダの温度を制御することがしばしば必要となる。押出しシリンダにおいては、押出し機ウォームが押出成形物を循環させる。特にゴムの押出しでは、押出成形物をより早く塑性変形可能な状態とするために、まず押出しシリンダを予熱することが有利である。しかし、その後の工程では、押出成形物の移送/混合時に発生した熱を部分的に再放熱しなければならない。この場合、通常、水などの冷却手段または加熱手段が使用され、ダクトを介して押出しシリンダに移送されて熱交換器として機能する。
【0003】
可能な限り効果的に熱交換を行うためには、熱交換器をシリンダ本体に直接接触させることが望ましい。このため、シリンダを貫通する外周孔が現在使われている。しかし、このような深い穿孔を大きな穿孔深度で精度良く加工することは不可能である。このため、外周孔を配設するシリンダ本体の軸長は制限される。押出しシリンダは、通常、外周孔で対応可能な範囲を超える長さを有するため、複数の個別部品から押出しシリンダを組み立てる必要がある。組み立てには、個別のシリンダ部分の端部に接続フランジが用いられる。
【0004】
このようなシリンダ部分のシステムでは、製造・組立コストが高いことに加えて、他の問題も発生する。
【0005】
一方では、温度制御路の方向が過度に変化した場合の温度制御媒体の圧力損失を防止することが望ましい。しかしながら、現在用いられている穿孔ではこれを実現することはできない。それどころか、接続フランジ内で180°の急激な方向変化が生じることが多い。また、温度制御システムには閉ルーティングは存在しない。むしろ、温度制御システムはいくつかの回路に分かれていて、流れは無指向である。このように、温度制御は管理および制御が難しく、かつ、高圧下で行う必要がある。
【0006】
さらに、異なる温度制御ゾーンを分布させるためには、すなわち、押出しシリンダに沿って異なる温度を設定するためには、個別のシリンダ部分の長さに合わせる必要がある。温度ゾーンを自由自在に作成・配置することはできない。
【0007】
また、例えばゴムなどの比較的粘度の高い押出成形物の混合には、押出しシリンダの外側から内側にピン(複数)をねじ込むことが有利である。これらのピンは押出成形物中に突出し、押出し機ウォームの動きと相互に作用して、押出成形物の混合と可塑化を促進する。最適な効果を得るためには、これらのピンは押出し機シリンダの長さ方向にわたって、できるだけ均等に配置する必要がある。しかしながら、シリンダがフランジで接続された複数の部分に分割されている場合、フランジの領域にはピンを挿入することができない。そうすると、押出し処理の速度が低下したり、押出し処理が悪化したりする可能性がある。
【0008】
このため、現在使用されている押出しシリンダの温度制御システムは、シリンダの温度制御性および、押出成形物の混合に有利なシリンダ内のピンの配置について、柔軟性に欠ける。さらに、深い穿孔が配設された複数の部分から成る押出しシリンダを製造する際には、エラーが発生しやすく、コストも嵩む。穿孔内の圧力損失が大きく、流れの方向性が定まらないため、このような温度制御システムの運用もまた、高コストである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部、好ましくは全てを解決した押出しシリンダを示すことを目的とする。さらに本発明は、そのような押出しシリンダの製造方法を示すことを目的とする。
【0010】
上述した課題は、独立請求項の主題によって解決される。
【0011】
押出しシリンダは、押出し機ウォームを収容するためのシリンダ本体を有してもよく、当該シリンダ本体の外壁には、被覆可能な少なくとも1つの凹部が設けられている。当該凹部は、被覆された状態において、シリンダ本体の温度を制御するための冷却媒体または加熱媒体の移送に適している。
【0012】
シリンダ本体の内部領域に穿孔を設ける代わりに、シリンダ本体の外壁に例えば1または複数の連続した溝をフライス加工するなどして、シリンダ本体の外壁に凹部を形成する。例えば水や同様の熱交換流体などの、シリンダ本体の温度制御に使用可能な冷却媒体または加熱媒体が、凹部が被覆されているときに過度の圧力損失なく凹部を通って流れることができるように、各凹部の寸法を決定する必要がある。凹部は、幅および/または高さが0.5~6cmの範囲、例えば1cm、3cm、または5cmのほぼ長方形の断面を有している。なお、この断面は、同様の面積であれば他の形状でもよい。
【0013】
したがって、温度制御媒体用のダクトは、シリンダ本体の外面に簡単な方法で形成することができる。これにより、穿孔穴を使用した場合に生じる冷却経路の形状に関するすべての制約が解消される。特に、穿孔を用いた場合に可能な長さよりも、はるかに長いシリンダ部分を提供することが可能である。これにより、押出しシリンダ全体を1つの部分、あるいは、少数の部分から製造することが可能となる。これにより、混合・可塑化用のピン数を増加することができ、押出成形品の品質を高めることができる。
【0014】
また、温度調節用ダクトをシリンダ外壁の凹部として外付けすることで、温度調節用ダクトの経路を実質的に自由自在に決めることができる。このため、凹部は、例えばシリンダの周囲を螺旋状に走るようにしてもよい。このようにして、冷却媒体または加熱媒体の流路を明確に定義したものとして形成することができ、しかも、わずかな圧力損失しか発生しない。これにより、シリンダ本体を特定の温度に設定することが容易になる。
【0015】
被覆可能な凹部を設けるだけで上述の利点は既に達成されているが、押出しシリンダは、少なくとも1つの凹部を被覆するようにシリンダ本体の外壁に接続される被覆要素も備えてもよい。これにより、冷却媒体または加熱媒体を凹部に流すことが可能となる。好ましくは、凹部のうち上向きに開口する側にシートメタルを溶接することによって被覆を行う。なお、凹部を備えたシリンダ本体を、スリーブ(例えばシートメタル製のスリーブ)に挿入してもよい。スリーブは例えば圧合(プレスフィット)されるため、すべての凹部をスリーブによりしっかりと閉塞できる。スリーブには、冷却媒体や加熱媒体の出入り口を設けてもよい。
【0016】
少なくとも1つの凹部は、シリンダ本体の長手方向の軸と平行に走る複数の直線部分と、正確に2つの直線部分の、隣接する2つの端部を接続する複数の湾曲部分とを有してもよい。直線要素と湾曲要素との接続により、分岐のない流路を定義することができる。
【0017】
したがって、凹部はシリンダ本体の周りをいわば「蛇行」するように走る。凹部は、冷却媒体または加熱媒体の入口地点から、まず軸方向に進む。この直線部分の端部には湾曲部分が隣接し、圧力損失が発生しないように凹部をシリンダ本体の円周方向に導いている。湾曲部分の半径は、1~6cmの範囲でよく、例えば2cm、3cm、4cm、または5cmとすることができる。湾曲部分は軸方向に折り返し、その端部には直線部分に再び接続する。湾曲部分と放射状の部分とが、好ましくは、スリーブのように凹部がシリンダ本体の全周を含むように、冷却媒体または加熱媒体の排出口まで交互に連続配置される。このようにして、簡易な方法で流路を定義することができるため、過剰な圧力損失なしにシリンダ本体の最適な温度制御が可能となる。
【0018】
複数の直線部分は、シリンダ本体の少なくとも1つの端部領域から延びてもよく、複数の湾曲部分の一部分は、シリンダ本体の端部領域に配置されてもよい。これにより、例えば、冷却媒体または加熱媒体をシリンダ本体の端部から供給することができる。シリンダ本体の端部からの端部領域の幅は、シリンダ本体全長の例えば30分の1、20分の1、10分の1、または5分の1としてもよい。
【0019】
さらに、シリンダ本体の端部領域に圧合された少なくとも1つの接続フランジを有してもよく、この接続フランジは、端部領域に位置する少なくとも複数の湾曲部分を覆うように、シリンダ本体の端部領域に圧合により取り付けられる。したがって、接続フランジ自体が被覆要素として機能する。これにより、材料の消費量を削減することができる。この接続フランジは、複数のシリンダ本体部分を接続するためのフランジであると同時に、押出しシリンダにおける押出成形物の入り口または出口と接続するためのフランジでもある。したがって、押出しシリンダは、従来からの方法で長尺のシリンダの一部分として使用することも、個別の押出しシリンダとして使用することもできる。なお、シリンダの使用や長さに関しては、もはや技術的な状況によって限定されることなく決定され、シリンダを含む押出しシステムのオペレーターの要求によってのみ行われる。
【0020】
接続フランジは、冷却媒体または加熱媒体の、凹部への供給、および凹部からの排出を可能にする複数のダクトを有してもよい。このようにして、追加の部品を必要とせずに、冷却媒体または加熱媒体の供給と排出を、簡単な方法で確実に実現することができる。
【0021】
直線部分は、シリンダ本体の端部領域から、シリンダ本体の長さよりも短い所定長だけ延びてもよい。例えば、直線部分は、シリンダ本体の全長の4分の3、3分の2、2分の1、3分の1、または4分の1の長さであってもよい。対応する凹部は、シリンダ本体のこの長さ領域の温度の制御に適している。このようにして、シリンダ本体の柔軟な温度設定を実現することができる。
【0022】
また、直線部分は、シリンダ本体の複数の端部領域に到達しないようにしてもよい。つまり、凹部は、例えば、シリンダ本体の中央領域にのみ存在する。また、凹部は、シリンダ本体の一方または両方の端部から、例えば、シリンダ本体の全長の6分の1、4分の1、または3分の1だけ離れていてもよい。これにより、シリンダの中央部を個別に温度制御することができる。また、柔軟な温度設定が可能になる。
【0023】
シリンダ本体には、凹部への冷却媒体や加熱媒体の供給および排出のために少なくとも2つの接続部位が配置されてもよい。したがって、冷却媒体や加熱媒体の供給および排出にシリンダ本体の端部を経由する必要はなく、基本的にシリンダ本体のあらゆる箇所で行うことができる。また、例えば、シリンダ本体の端部に取り付けられたフランジの穿孔を接続部位として使用し、同温度制御媒体のダクトの接続部位をシリンダ本体に追加で配置することも可能である。これにより、より柔軟な温度設定が可能となる。
【0024】
シリンダ本体の外壁には、相互に非接続の複数の凹部を設けてもよく、これらの凹部は、被覆された状態において、冷却媒体または加熱媒体の自己の流路をそれぞれ規定する。これにより、各種の非接続の温度制御回路を設けることができ、これらの温度制御回路は、各領域でシリンダ本体を異なる温度に設定することができる。これにより、より柔軟な温度設定が可能となる。
【0025】
シリンダ本体には、ピンやネジの挿入に適した径方向の複数の穿孔穴が設けられてもよい。これらの穿孔穴は、少なくとも1つの凹部以外の場所に配置されてもよい。簡易な方法で温度制御可能な押出しシリンダには、以上のようにして、押出成形物の通過領域に突出するピン、ネジ、ボルトなどを取り付けてもよく、それにより、押出成形物の可塑化および混合を促進する。このために設けられた穿孔穴は、押出成形物に対して均一に作用可能なように、押出しシリンダの表面全体に分散させてもよい。穿孔穴が凹部(すなわち、冷却媒体や加熱媒体の通路)と重ならないのであれば、温度制御回路を遮ることなく、埋め込まれたピンやネジを簡単に交換することができる。一方で、必要に応じて穿孔穴を凹部の領域にも配置可能なように、ネジを挿入した後に、温度制御媒体に対して、穿孔穴をしっかりと閉塞することも可能である。
【0026】
押出し装置は、上述したように、少なくとも1つの凹部が被覆された押出しシリンダを有してもよい。さらに、押出し装置は、少なくとも1つの被覆された凹部の中を流れる冷却媒体または加熱媒体を有してもよい。これにより、上述の利点が、押出し装置の動作において実現される。
【0027】
さらに、押出し装置は、各凹部用の温度制御配置を有してもよい。この配置は、各凹部を流れる冷却媒体または加熱媒体の温度の制御に適している。したがって、異なる温度ゾーンに設定可能な押出しシリンダを用いた押出成形が可能である。
【0028】
上述したような押出しシリンダの製造方法は、シリンダ本体の外壁に少なくとも1つの凹部を、例えばフライス加工によって形成するステップを備えてもよい。さらに、当該製造方法は、少なくとも1つの凹部を、例えばシートメタルなどの被覆要素で被覆するステップを備えてもよい。これにより、標準的な方法で押出しシリンダを簡単に製造することが可能となる。
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。この説明は、単なる例示である。本発明自体は、特許請求の範囲の主題によってのみ決定される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下の図面が示される。
【
図2A-2B】さらなる押出しシリンダの各種模式図。
【
図8】押出しシリンダの製造方法を示す概略フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1A~
図1Cは、押出しシリンダ100の各種模式図である。
図1Aは押出しシリンダ100の斜視図、
図1Bは押出しシリンダ100の断面図、
図1Cは押出しシリンダ100の側面図である。
【0032】
押出しシリンダ100は、好ましくは金属から製造された、中空シリンダとして構成されたシリンダ本体110で実質的に構成される。シリンダ本体110は、中空シリンダの外部被覆面に相当する外壁115を有する。シリンダ本体110の内側には、内部領域118が存在する。この内部領域118には、押出し機ウォームが設置される。内部領域は、例えばゴム、天然ゴムなどの押出成形物の移送、可塑化および混合に適している。
【0033】
ここで、押出しシリンダ100の寸法は、通常押出成形に用いられる寸法に対応し、押出成形する材料に大きく依存する。ゴム押出し用の押出しシリンダの全長の寸法は、典型的には、約1~5メートルの範囲にある。したがって、例えば、1メートル、2メートル、3メートル、4メートル、または5メートルでもよい。なお、より長尺の押出しシリンダでもよい。
【0034】
押出しシリンダ100は、押出しに必要な長さ全体に対応する長さでもよい。また、押出しシリンダ100は、複数の押出しシリンダで構成される押出しシリンダ全体の一部分であってもよい。これらのシリンダの1以上は、押出しシリンダ100、または後述するシリンダの変形に対応してもよい。
【0035】
ゴムの押出しの場合、シリンダ本体110の外半径は、典型的には、20cmから50cmの範囲にあり、例えば25cm、30cm、35cm、40cm、または45cmである。内側半径は、4.5cmから30cmの範囲にあり、例えば、5cm、10cm、15cm、20cm、または25cmである。シリンダ本体110の壁厚は、3cmから10cmの範囲にあり、例えば、5cmまたは7cmである。長さと直径との比は、例えば10:1と3:1との間にあってもよく、例えば約4:1、6:1、7:1、または8:1である。
【0036】
シリンダ本体110は、その外壁115に、少なくとも1つの凹部120を有する。
図1A~
図1Cに示すように、ここでは、シリンダ本体110の全体周りを通る、ひとつの連続した凹部120に関するものとしてもよい。凹部120は、特にその幅と深さに関して、例えば水などのような、以下では温度制御媒体と呼ぶ冷却媒体または加熱媒体が、スムーズに、すなわち過度の圧力損失なしに、凹部120を通って流れることができるように構成されている。さらに、シリンダ本体110の外壁115に沿う方向に凹部を設けることにより、可能な限り分岐がない流路が画定される。あるいは、温度制御媒体の流動パラメータにより、ひいては、シリンダ本体110との熱交換を、例えば、バルブの配置またはポンプの伝播容量によって容易に制御または調節することができる。
【0037】
このため、
図1Bに示すように、凹部120は、シリンダ本体110の壁厚の半分超に相当する深さであってもよい。この場合、凹部の幅は、深さにほぼ対応してもよいが、異ならせてもよい。例えば、壁厚が約5cmの場合、凹部120の幅は、約2cmから4cmの範囲にしてもよく、例えば、3cmである。凹部120の深さは、同様に2cmから4cmの範囲にあり、例えば、同様に、3cmまたは3.5cmである。異なる壁厚のシリンダ本体110の場合、凹部120の前記寸法は、同じでもよいし、または比例して調整してもよい。
図1Bに示された凹部120の断面形状のほか、例えば三角形、部分円の形状、例えば半円形など、製造が容易な任意の他の断面を有してもよい。
【0038】
図1Aおよび
図1Cに示すように、凹部120は、直線部分(複数)122と湾曲部分(複数)124とで構成してもよい。この場合、各直線部分122は、シリンダ本体110の外壁115に沿って軸方向に通る。図示のように、シリンダ本体110の一方の端部領域112から、例えば、反対側の端部領域まで延びてもよい。各端部領域112には、湾曲部分124が配置されている。各湾曲部分124はそれぞれ、正確に2つの直線部分122の、隣接する端部を相互に接続する。湾曲部分124は、一方または他方の端部領域112に交互にそれぞれ配置されるため、凹部120の経路には分岐がない。つまり、凹部120の始点から終点まで、明確に規定された態様で、温度制御媒体を移送可能であることを意味する。
【0039】
直線部分122の領域では、温度制御媒体の流れはほとんど抵抗を受けない。ここでは、凹部120の壁との摩擦による抵抗だけが実質的に存在する。したがって、直線部分122に沿う圧力損失は比較的小さい。
【0040】
また、凹部120は、シリンダ本体110の端部領域112において、急激な移行や端部がないように構成されている。このため、2つの直線部分122間における移行時の流動抵抗は低いままである。図示のように、この場合の湾曲部分124は、円弧として構成してもよい。湾曲部分124の半径は、流動抵抗が最小となるように選択される。この場合、半径は、シリンダ本体の寸法に応じて、1cmから10cmの範囲であってもよい。例えば、外径が約25cmの場合、例えば、1cm、1.5cmまたは2cmの半径を用いてもよく、一方で、外径が約40cmの場合、3cm、5cmまたは7cmの半径を用いることができる。
【0041】
図1A~
図1C(または、後述の図)に示す凹部120の経路は、単なる例示としてみなされるべきである。基本的には、凹部120の経路は、例えば、一定または可変の螺旋ピッチを有する螺旋状の循環路など、所望の任意形態であってもよい。凹部の形状または経路にとって重要な要素は、シリンダ本体110の温度制御を容易に制御または調節可能な点、および、温度制御媒体の流れにおける圧力損失を可能な限り低減する点に尽きる。これにより、シリンダ本体110、ひいては押出しシリンダ100の温度を、費用を過度に費やすことなく簡単な方法で制御することが可能となる。
【0042】
凹部120は、シリンダ本体110の外壁115に、適切な任意の方法で形成可能である。好ましくは、凹部120は、シリンダ本体110にフライス加工される。これにより、押出しシリンダ100を特に簡易に製造可能となる。なお、例えば、エッチングや、研削、凹部を含む半製品鋳造製品など、各種の方法で凹部120を製造してもよい。
【0043】
図1A~
図1Cを参照して説明した押出しシリンダ100の凹部120は、温度制御媒体を移送するための流路の基本構造を規定している。流路の形成には、
図2A、
図2Bおよび
図3に模式的に示されているように、被覆要素130をシリンダ本体110の外壁115に接続することで、凹部120がしっかりと閉塞される。被覆要素130が全て設置された状態では、凹部120内に温度制御媒体を導入する際に適した出入口だけが開口する。
【0044】
図2Aおよび
図2Bに示すように、凹部のうち、特に、シリンダ本体110の端部領域112内に配置されていない部分を、凹部120の形状に形成した被覆要素130によって閉塞してもよい。特に、凹部120のうち、これらの部分は、対応する形状に形成(例えば打ち抜き加工)された金属シートによって閉塞してもよい。金属シートは、凹部120の縁でシリンダ本体110と溶接される。なお、例えばプラスチック製のカバーなど、ぴったりと嵌め合わされる被覆要素130も考えられる。さらに、被覆要素130を別の方法で、例えば、ネジ止め、接着、またはそれらの組み合わせによって固定することも可能である。必要に応じて、温度制御媒体用のしっかりと閉塞された流路を形成するために、被覆要素130とシリンダ本体110との間に密封手段を設けてもよい。
【0045】
図3に示すように、凹部のうち、シリンダ本体110の端部領域112に配置された部分を接続フランジ140によって覆ってもよく、この接続フランジ140は、例えば圧合によってシリンダ本体110と接続される。この圧合により、これらの部分は、端部領域112においてしっかりと閉塞される。加えて、シリンダ本体110の中央領域にある被覆要素130を端部領域112まで延在させれば、さらに密封をせずとも、凹部120をしっかりと閉塞することが可能である。
【0046】
これは、
図3に例示される。図示の例においては、
図2Aに示されているように、凹部120の直線部分122が被覆要素130(例えば溶接された金属シート)によって閉塞される一方で、湾曲部分124は、圧合によって適用された接続フランジ140により密封される。この場合、接続フランジ140は、直線部分122の一部とも重なっている。これにより、簡単な方法で、凹部120の閉塞が実現される。
【0047】
接続フランジ140により複数の押出しシリンダ100を組み合わせることで1つの完全なシリンダを構成可能なように、接続フランジ140を構成してもよい。なお、接続フランジ140は、押出しシリンダ100が用いられる押出し装置における、押出成形物の供給部および排出部に対して、押出しシリンダ100を接続する機能を有する接続要素であってもよい。
【0048】
ここで、供給部および排出部は、シリンダ本体110の所望の任意位置に、または接続フランジ140を介して配置してもよい。シリンダ本体110の中央領域に温度制御媒体を供給するためには、その目的で凹部120の一部を非閉塞状態で残しておくか、あるいは、被覆要素130を当該位置で再度取り外すか、または穿孔する必要がある。これには一定の手間がかかるが、簡単かつ自由自在に供給点を位置決めすることが可能となる。接続フランジ140を介して供給する場合、対応する穿孔を接続フランジ140が備える必要がある。穿孔は、圧合された状態において、端部領域112における凹部120の所望の非閉塞領域上に位置する。対応する接続フランジ140が利用可能な場合、温度制御媒体の供給部を、処理ステップを追加することなく形成することができる。
【0049】
図3に示す接続フランジ140の代わりに、シリンダ本体110の中央領域で使用されるような被覆要素130を、凹部120を閉塞する目的で、シリンダ本体110の端部領域112において使用することもできる。この場合、閉塞は均一に行われ、接続フランジ140の使用とは無関係である。
【0050】
凹部120にぴったりと合う覆いの代わりに、
図4Aおよび
図4Bに示すように、シリンダ本体110全体を取り囲む被覆要素130を用いてもよい。例えば、圧合によって、円形の金属シートまたはチューブをシリンダ本体110上に押し込んでもよい。金属シートまたはチューブは、被覆要素130の下方に位置する凹部120の領域がしっかりと閉塞されるように、シリンダ本体110上に密着する。
図4Bに示すように、被覆要素130は、シリンダ本体110の端部領域112を被覆しなくてもよい。なお、端部領域を被覆することもできる。
【0051】
図5~
図7には、押出しシリンダ100の変形例が示されている。変形例では、複数の凹部120が設けられている。図示の例は、それぞれ、非接続の3つの凹部120を有している。なお、凹部120を任意の数だけ設けてもよい。各凹部120は、シリンダ本体110のそれぞれの領域をスリーブのように取り囲む。すなわち、各凹部は、シリンダ本体110の一部を、シリンダ本体110の全長よりも短い長さで、シリンダ本体110の周方向において全体的に取り囲む。凹部120は、基本的には
図5~
図7に例示したものとは異なる構成にすることも可能であるが、このような凹部120によれば、多様な温度制御回路を規定することができる。したがって、押出し処理の最適化に必要であれば、押出しシリンダ100を各種の温度ゾーンに分けてもよい。特に、シリンダ本体110の端部領域112に存在しない凹部120、ひいては、温度ゾーンを作り出すことができる。円周方向においても各種複数の温度ゾーンに分割可能であることは言うまでもない。シリンダ本体110の周りを円周方向に走らせるためには、複数の凹部120が必要となる。
【0052】
上述した押出しシリンダ100のいずれかを用いた押出し装置においては、シリンダ本体110のうち、凹部120が通る各ゾーンの温度を調節するために、独自の温度制御ユニットを設けることができる。したがって、凹部120の経路を選択することで、押出しシリンダに沿って全体的に自由自在に温度を設定することができ、その結果、押出成形物の品質を向上させることができる。
【0053】
図5~
図7に示すように、押出しシリンダ100は、温度制御媒体が供給および排出される複数の接続部位150を有してもよい。これらの接続部位150は、シリンダ本体110における、凹部120の始点と終点にそれぞれ配置される。各凹部120の残りの領域は、被覆要素130によって閉塞される。上述したように、被覆要素は、凹部にぴったりと合うように構成してもよいし(
図5および
図7)、あるいは、
図4Bを参照して説明した変形例によれば、シリンダ本体110を完全に取り囲むスリーブとして構成してもよい(
図6Aおよび
図6B。ここでは、内側にある凹部120を図示する目的でスリーブを透過的に示している)。第1の構成においては、凹部のうち非被覆領域に、溶接、ネジ込み、接着などの方法で接続部位150を簡単に適用することができる。第2の構成においては、被覆要素130が所望の部位で開口されており、接続部位150が適用されている。接続フランジ140により押出しシリンダ100が終端する場合、
図7に示すように、接続フランジ140を介して一部の供給を行うことも可能である。これらすべての変形例によれば、要求に合わせた柔軟な温度制御媒体の供給が可能である。
【0054】
図3および
図7に示すように、押出しシリンダ100は、複数の穿孔穴160を有してもよい。穿孔穴は、中空のシリンダを全体的に貫通し、すなわち、内部領域118とシリンダ本体110の外部との接続を形成する。内部領域118の内側に突出するピン、ネジ、またはボルトなどを、穿孔穴160に挿入してもよく、この場合、動作中においては、追加の摩擦点として押出成形物の可塑化および混合化が改善される。穿孔穴160を可能な限り均一に配置することで効果的に実現される。
【0055】
凹部120は、凹部120の簡単な製造方法にて、例えばフライス加工にて自由に分布させることが可能であるため、穿孔穴160もシリンダ本体110上に均等に分布させることができる。さらに、温度制御媒体の流路を外部から製造するため、押出しシリンダ全体のより大きな部分を1つの部品として製造することが可能となる。凹部120の製造に用いられるシステムの構成により、完全な押出しシリンダとして使用可能な押出しシリンダ100を製造することもできる。これにより、シリンダ経路の長さ方向に配置される接続フランジの数を低減することができる。これらのフランジの領域には穿孔穴160が配置されないので、上述した押出しシリンダ100を用いることで、穿孔穴160の数、ひいては押出成形物の可塑化および混合を促進するピンの数を、従来の押出しシリンダに比べて増加させることができる。これにより、押出成形物の品質が向上する。
【0056】
アクセスが容易であることから、凹部120が走る領域には、好ましくは、穿孔穴160を形成しない。ただし、凹部120と穿孔穴160とが相互に重なるようにしてもよい。穿孔穴160に挿入されたピンを温度制御媒体に対して対応して密封しておけば、基本的に問題とはならない。したがって、穿孔穴160を、基本的にシリンダ本体110上に全体的に自由自在に分散させることができる。
【0057】
図8は、上述した押出しシリンダのいずれかの製造方法の概略フローチャートである。製造工程の重要な方法ステップS810において、押出し(特にゴムの押出し)に適した押出しシリンダの外壁に凹部を導入する。凹部は、被覆状態において、温度制御媒体の移送に適している。好ましくは、押出しシリンダを形成する中空シリンダの被覆面に凹部がフライス加工される。任意選択で、続いて、S820において、凹部を被覆要素によって、好ましくは金属シートの溶接またはプレスオンによって被覆してもよい。
【0058】
このようにして、押出しシリンダの温度を制御するための温度制御媒体路を、柔軟に、簡単に、かつ、間違いの少ない方法で、押出しシリンダに導入することができる。この方法は外側から適用されるので、従来技術から知られているよりも長い押出しシリンダを製造することが可能である。これにより、このような押出しシリンダを用いた押出し装置の製造費および設置費が削減される。さらに、温度制御媒体の流路を明確に規定して製造することが可能であり、これにより、押出しシリンダの温度制御が単純化され、より柔軟になる。最後に、押出しシリンダの長さを増大させることで、押出しシリンダ内で行われる押出成形物の可塑化および混合用のピンの数を増加させることができ、これにより押出成形物の品質を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
100 押出しシリンダ
110 シリンダ本体
112 シリンダ本体の端部領域
115 シリンダ本体の外壁
118 シリンダ本体の内部領域
120 凹部
122 凹部の直線部分
124 凹部の湾曲部分
130 被覆要素
140 接続フランジ
150 接続部位
160 穿孔穴
【手続補正書】
【提出日】2021-05-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
押出成形の分野では、押出成形物の移送と混合に使用される押出しシリンダの温度を制御することがしばしば必要となる。押出しシリンダにおいては、押出し機ウォームが押出成形物を循環させる。特にゴムの押出しでは、押出成形物をより早く塑性変形可能な状態とするために、まず押出しシリンダを予熱することが有利である。しかし、その後の工程では、押出成形物の移送/混合時に発生した熱を部分的に再放熱しなければならない。この場合、通常、水などの冷却手段または加熱手段が使用され、ダクトを介して押出しシリンダに移送されて熱交換器として機能する。
中国実用新案第208745314号明細書は、押出機用のシリンダ冷却装置を示す。米国特許出願公開2007/222125号明細書は、加熱要素と冷却要素との間に延在する圧力ジャケット内に配置された複数のヒートチューブを備えた可塑化シリンダを記載している。特開平05-57768号公報には、温度調節出力を備えたスパイラルジャケットを有する複合シリンダの製造方法が開示されており、管材が溝で巻回されている。
さらに部分的な態様が、ソ連国特許発明第1353641号明細書、中国特許出願公開第101767438号明細書、中国実用新案第2915484号明細書、特開昭56-173423号公報、独国特許出願公開第4013538号明細書、および特開平02-48319号公報に開示されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
被覆可能な凹部を設けるだけで上述の利点は既に達成されているが、押出しシリンダは、少なくとも1つの凹部を被覆するようにシリンダ本体の外壁に接続される被覆要素も備える。これにより、冷却媒体または加熱媒体を凹部に流すことが可能となる。好ましくは、凹部のうち上向きに開口する側にシートメタルを溶接することによって被覆を行う。なお、凹部を備えたシリンダ本体を、スリーブ(例えばシートメタル製のスリーブ)に挿入してもよい。スリーブは例えば圧合(プレスフィット)されるため、すべての凹部をスリーブによりしっかりと閉塞できる。スリーブには、冷却媒体や加熱媒体の出入り口を設けてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
少なくとも1つの凹部は、シリンダ本体の長手方向の軸と平行に走る複数の直線部分と、正確に2つの直線部分の、隣接する2つの端部を接続する複数の湾曲部分とを有する。直線部分と湾曲部分との接続により、分岐のない流路を定義することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し機ウォームを収容するためのシリンダ本体(110)を備え、
前記シリンダ本体(110)の外壁(115)には、少なくとも1つの凹部(120)が設けられており、前記凹部は、被覆可能であり、被覆された状態において、前記シリンダ本体(110)の温度を制御するための冷却媒体または加熱媒体の移送に適し
ており、
前記少なくとも1つの凹部(120)は、前記シリンダ本体(110)の長手方向の軸と平行に通る複数の直線部分(122)と、正確に2つの直線部分(122)の、隣接する2つの端部間を接続する複数の湾曲部分(124)とを有しており、
直線部分(122)と湾曲部分(124)との前記接続により、分岐のない流路が規定され、
さらに、
被覆要素(130)を備え、
前記被覆要素は、前記少なくとも1つの凹部(120)を被覆するように前記シリンダ本体(110)の前記外壁(115)と接続される、
押出しシリンダ(100)。
【請求項2】
前記複数の直線部分(122)は、前記シリンダ本体(110)の複数の端部領域(112)の少なくとも1つから延びており、前記複数の湾曲部分(124)の一部分は、前記シリンダ本体(110)の前記端部領域(112)に配置される、
請求項1に記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項3】
さらに、
少なくとも1つの接続フランジ(140)を備え、
前記接続フランジ(140)は、前記端部領域(112)に位置する少なくとも前記複数の湾曲部分(124)を覆うように、前記シリンダ本体(110)の前記端部領域(112)に圧合によって適用される、
請求項2に記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項4】
前記接続フランジ(140)は、冷却媒体または加熱媒体の、前記凹部(120)への供給、および前記凹部(120)からの排出を可能にする複数のダクトを有する、
請求項3に記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項5】
前記複数の直線部分(122)は、前記シリンダ本体(110)の前記端部領域(112)から、前記シリンダ本体(110)の長さよりも短い所定長だけ延びる、
請求項2から4のいずれかに記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項6】
前記複数の直線部分(122)は、前記シリンダ本体(110)の前記複数の端部領域(112)に到達しない、
先行する請求項のいずれかに記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項7】
前記シリンダ本体(110)には、前記凹部(120)への冷却媒体または加熱媒体の供給および排出のために少なくとも2つの接続部位(150)が配置されている、
請求項5または6に記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項8】
前記シリンダ本体(110)の前記外壁(115)には、複数の前記凹部(120)が設けられており、
当該複数の凹部は相互に接続されておらず、前記被覆された状態においては、冷却媒体または加熱媒体のための自己の流路をそれぞれ規定する、
先行する請求項のいずれかに記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項9】
前記シリンダ本体(110)は、複数のピンまたは複数のネジの挿入に適した径方向の複数の穿孔穴を有し、当該複数の穿孔穴は、前記少なくとも1つの凹部(120)とは異なる部位に配置される、
先行する請求項のいずれかに記載の押出しシリンダ(100)。
【請求項10】
先行する請求項のいずれかに記載の押出シリンダ(100)であって、前記少なくとも1つの凹部(120)が被覆された押出しシリンダ(100)と、
前記少なくとも1つの被覆された凹部(120)の中を流れる冷却媒体または加熱媒体と、
を備えた押出し装置。
【請求項11】
さらに、
各凹部(120)の中を流れる冷却媒体または加熱媒体の温度を制御するための、前記各凹部(120)用の温度制御配置を備えた、
請求項10に記載の押出し装置。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかに記載の押出しシリンダ(100)の製造方法であって、
前記シリンダ本体(110)の前記外壁(115)に、前記少なくとも1つの凹部(120)を形成するステップを備えた、
押出しシリンダ(100)の製造方法。
【請求項13】
さらに、
前記少なくとも1つの凹部(120)を被覆要素(130)で被覆するステップを備えた、
請求項12に記載の製造方法。
【国際調査報告】