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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-28
(54)【発明の名称】耐火アンカー
(51)【国際特許分類】
   F27D 1/10 20060101AFI20220621BHJP
   B23K 9/20 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
F27D1/10
B23K9/20 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564127
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2020060994
(87)【国際公開番号】W WO2020216715
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】2023012
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521469335
【氏名又は名称】シリコン リフラクトリー アンカリング システムズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ガロ、ジェローム ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ガロ、ダニエル フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】ガロ、ヴァウテル
【テーマコード(参考)】
4K051
【Fターム(参考)】
4K051AA03
4K051AA06
4K051AB03
4K051AB05
4K051GA05
4K051GA09
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、長尺な取り付けピンを備え、この長尺な取り付けピンが、第1の端部と、長尺な取り付けピンの長手方向で見て第1の端部の反対側の第2の端部とを有する、耐火アンカーであって、第1の端部が物体に溶接可能であり、耐火アンカーが、長尺な取り付けピンに少なくとも部分的に接続される第1の側面を有する少なくとも1つのアンカーフィンを更に備える、耐火アンカーに関する。本発明は、更に、物体と、物体に溶接される耐火アンカーとを備えるアセンブリ、及び、アセンブリを製造するための方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な取り付けピンを備え、この長尺な取り付けピンが、第1の端部と、前記長尺な取り付けピンの長手方向で見て前記第1の端部の反対側の第2の端部とを有する耐火アンカーであって、前記第1の端部が物体に溶接可能であり、前記耐火アンカーが、前記長尺な取り付けピンに少なくとも部分的に接続される第1の側面と、反対側の第2の端側面と、前記第1の側面と前記第2の端側面との間の少なくとも2つの側面とを有する少なくとも1つのアンカーフィンとを更に備え、前記少なくとも2つの側面及び前記第1の側面が前記アンカーフィンの2つの外側角部を形成し、前記少なくとも2つの側面及び前記第2の端側面が前記アンカーフィンの2つの外側角部を形成し、前記長尺な取り付けピンの前記第1の端部の周囲で仮想水平面から見て、前記第2の端側面によって形成される前記2つの外側角部のうちの一方と前記水平面との間の最小垂直高さは、前記第1の側面によって形成される前記2つの外側角部のうちの一方と前記水平面との間の最小垂直高さよりも小さい、耐火アンカー。
【請求項2】
前記第1の側面によって形成される前記2つの外側角部のうちの一方と前記水平面との間の最小垂直高さは、前記第2の端側面によって形成される前記2つの外側角部のうちの一方と前記水平面との間の最大垂直高さよりも大きい、請求項1に記載の耐火アンカー。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアンカーフィンの側表面が実質的に環の4分の1の形状を有する、請求項1又は2に記載の耐火アンカー。
【請求項4】
前記第1の側面と前記第2の端側面との間の前記少なくとも2つの側面が異なる長さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項5】
設置後に前記物体から更に離れて位置される前記2つの側面のうちの1つの側面は、前記2つの側面のうちの他方の側面よりも少なくとも2倍長く、前記他方の側面は、設置後に前記物体のより近くに位置される、請求項4に記載の耐火アンカー。
【請求項6】
前記第1の側面と前記第2の端側面との間の前記2つの側面のうちの少なくとも一方が少なくとも1つの更なる角部を有し、前記少なくとも1つの更なる角部は、前記第1の側面によって形成される前記2つの外側角部の一方と前記第2の端側面によって形成される前記2つの外側角部のうちの一方との間に位置される、請求項1又は2に記載の耐火アンカー。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアンカーフィンの側表面が実質的に逆L字形状を有する、請求項1、2又は6のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項8】
第2のアンカーフィンが前記長尺な取り付けピンに接続され、前記2つのアンカーフィンが1つの仮想平面内にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアンカーフィンがコネクタに接続され、前記コネクタが前記長尺な取り付けピンに接続され、前記コネクタと前記少なくとも1つのアンカーフィン又は前記2つのアンカーフィンとが一体に形成され、及び/又は、前記コネクタと前記少なくとも1つのアンカーフィン又は前記2つのアンカーフィンとが同じ材料から形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項10】
前記コネクタは、前記長尺な取り付けピンと前記コネクタとの間の接続を行なうために前記長尺な取り付けピンを受けるための貫通穴を備え、前記長尺な取り付けピンと前記コネクタとの間の前記接続が摩擦嵌合によって行なわれる、請求項9に記載の耐火アンカー。
【請求項11】
前記長尺な取り付けピンは、前記少なくとも1つのアンカーフィンとは異なる材料から形成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項12】
前記長尺な取り付けピンが第1の合金から形成され、前記少なくとも1つのアンカーフィンが前記第1の合金とは異なる第2の合金から形成される、請求項11に記載の耐火アンカー。
【請求項13】
前記長尺な取り付けピンは、前記長尺な取り付けピンを物体、例えば金属プレートにスタッド溶接するように構成される材料から形成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアンカーフィンにタブが設けられ、前記タブは、前記少なくとも1つのアンカーフィンと鋭角を規定し、好ましくは前記鋭角が35~85度、より好ましくは50~70度である、請求項1から13のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項15】
各アンカーフィンは、前記長尺な取り付けピンの長手方向で見て前記長尺な取り付けピンの前記第2の端部の上方で延在するアンカーフィン部を有し、互いに対向する前記アンカーフィン部の側面は、これらの側面間に空間を画定し、前記空間は、前記長尺な取り付けピンの長手方向で見て前記長尺な取り付けピンの前記第2の端部の上方に位置される、請求項8に記載の耐火アンカー。
【請求項16】
互いに対向する前記アンカーフィン部の側面が切り欠きを有する、請求項15に記載の耐火アンカー。
【請求項17】
前記長尺な取り付けピンと前記少なくとも1つのアンカーフィンとの接続セクションと前記第1の端部との間で、前記長尺な取り付けピンは、前記長尺な取り付けピンに面する前記少なくとも1つのアンカーフィンの前記第1の側面の部分と前記長尺な取り付けピンとの間に前記長尺な取り付けピンに対して垂直に測定される距離が存在するセクションを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項18】
前記少なくとも1つのアンカーフィンが少なくとも1つの丸みを帯びた角部を有し、特に、設置後に前記アンカーフィンの前記少なくとも2つの他の外側角部よりも物体の近くに位置される前記アンカーフィンの少なくとも前記2つの外側角部が丸みを帯びた角部である、請求項1から17のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項19】
前記長尺な取り付けピンから離れる方向を向く前記第2のアンカーのアンカーフィン端側面が切り欠きを備える、請求項8に記載の耐火アンカー。
【請求項20】
前記耐火アンカーが2つのアンカーフィンのみを備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項21】
前記少なくとも1つのアンカーフィンは、前記耐火アンカーを移行部、例えば物体角部又は物体縁部と位置合わせするためのインジケータを備える、請求項1から20のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項22】
物体と、好ましくはスタッド溶接によって前記物体上に溶接される請求項1から21のいずれか一項に記載の耐火アンカーとを備えるアセンブリ。
【請求項23】
前記耐火アンカーは、前記物体の角部の周囲に少なくとも部分的に位置されるように構成され、それにより、前記第2の端側面によって形成される前記2つの外側角部は、前記物体に溶接される前記長尺な取り付けピンの前記端部から見て前記物体角部の前/後に位置され、前記第1の側面によって形成される前記2つの外側角部は、前記物体に溶接される前記長尺な取り付けピンの前記端部から見て前記物体角部の前方に位置される、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記耐火アンカーの前記長尺な取り付けピンは、スタッド溶接、好ましくは引き抜きアークスタッド溶接によって前記物体に接合される、請求項22又は23に記載のアセンブリを提供するための方法。
【請求項25】
前記耐火アンカーは、前記少なくとも一つのアンカーフィンが前記物体の角部の周囲に位置されるように前記物体に溶接され、それにより、前記第2の端側面によって形成される前記2つの外側角部は、前記物体に溶接される前記長尺な取り付けピンの前記端部から見て前記物体角部の前/後に位置され、前記第1の側面によって形成される前記2つの外側角部は、前記物体に溶接される前記長尺な取り付けピンの前記端部から見て前記物体角部の前方に位置される、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺な取り付けピンを備え、この長尺な取り付けピンが、第1の端部と、長尺な取り付けピンの長手方向で見て第1の端部の反対側の第2の端部とを有する、耐火アンカーであって、第1の端部が物体に溶接可能であり、耐火アンカーが、長尺な取り付けピンに少なくとも部分的に接続される第1の側面を有する少なくとも1つのアンカーフィンを更に備える、耐火アンカーに関する。
【0002】
本発明は、更に、物体と、物体に溶接される耐火アンカーとを備えるアセンブリ、及び、アセンブリを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願公開第2015/0013264号明細書は、固定アセンブリであって、該固定アセンブリを備える金属物体に対して液状に塗布されるようになっている硬化ライニング材料のライナを固定するために使用される、固定アセンブリを開示する。固定アセンブリは、第1の端部で金属物体に溶接されるようになっている長尺な取り付けピンを備える。固定アセンブリは、固定ナットに接続される複数のアンカーフィンを更に備える。固定ナットは、取り付けピンの第2の端部で取り付けピンに更に螺合される。
【0004】
既知の固定アセンブリは、硬化されたライニング材料のライナを金属物体に固定するための優れた結果を提供する。ライナ又はライニング材料は、容器、導管、サイクロン、及び、他の設備の内部で生じるプロセスの結果として、高温及び/又は研磨環境から機器を保護するための、しばしば単に「耐火」と呼ばれる保護材料である。機器の特定の領域では、既知の固定アセンブリがライナを固定するのにあまり適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0013264号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、機器の特定の領域でライナを固定するように構成される改良された耐火アンカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の耐火アンカーで達成される。
【0008】
耐火アンカーは長尺な取り付けピンを備え、この長尺な取り付けピンは、第1の端部と、長尺な取り付けピンの長手方向で見て第1の端部と反対側の第2の端部とを有し、第1の端部は物体に溶接可能である。耐火アンカーは、長尺な取り付けピンに少なくとも部分的に接続される第1の側面と、反対側の第2の端側面と、第1の側面と第2の端側面との間の少なくとも2つの側面を有する少なくとも1つのアンカーフィンとを更に備え、少なくとも2つの側面及び第1の側面がアンカーフィンの2つの外側角部を形成し、少なくとも2つの側面及び第2の端側面がアンカーフィンの2つの外側角部を形成する。長尺な取り付けピンの第1の端部の周囲の仮想水平面から見て、第2の端側面によって形成される2つの外側角部のうちの一方と水平面との間の最小垂直高さは、第1の側面によって形成される2つの外側角部のうちの一方と水平面との間の最小垂直高さよりも小さい。
【0009】
処理機器、例えばサイクロンの設計内では、多くの縁部、角部、及び、移行面がある。設置レイアウトは、耐摩耗性の要件に応じて、位置合わせ又はオフセットされ得る。上記で規定された耐火アンカーは、角部、縁部、及び/又は、移行表面で滑らかな移行を可能にする。更に、保護されるべき物体、例えば壁の角部、縁部、及び/又は、移行面の周囲で優れたライナ固定効果を可能にする比較的強力な耐火アンカーが提供される。
【0010】
耐火アンカーは、設置時間及び設置後のライナの固定品質に関し、機器の特定の領域で利点を与える。耐火アンカーは、長尺な取り付けピンを用いて、その位置に対して比較的高速且つ正確にスタッド溶接により物体に溶接され得る。更に、設置技術、特に耐火アンカーを溶接するために使用される溶接技術は、設置の他の(大表面)領域で既知のアンカーアセンブリを溶接することと同じであり得る。したがって、作業者は、工具を切り替える必要がなく、複数の溶接技術を学習するための更なる訓練を必要としない。更に、耐火アンカーは、摩耗ライニングのための他のタイプの耐火アンカーと共に完全に機能する。耐摩耗性ライニングを設置する場合、大きな表面を他のタイプの耐火アンカーで完成させることができ、この場合、角部又は縁部の近くで、この文献に係る耐火アンカーは、例えば米国特許出願公開第2015/0013264号明細書に開示される固定アセンブリからこの文献に係る耐火アンカーまでシームレスに併合するために使用される。長尺な取り付けピンの第1の端部の周囲の仮想水平面から見て、第2の端側面によって形成される2つの外側角部のうちの一方と水平面との間の最小垂直高さが第1の側面によって形成される2つの外側角部のうちの一方と水平面との間の最小垂直高さよりも小さい耐火アンカーの構成は、例えば物体における角部によって分割される2つの領域でライナの同じ高さのシームレスな連続を可能にする所望の柔軟性を与える。
【0011】
異なる態様において、耐火アンカーの構成は、第1の側面によって形成される2つの外側角部のうちの一方と水平面との間の最小垂直高さが、第2の端側面によって形成される2つの外側角部のうちの一方と水平面との間の最大垂直高さよりも大きいという基準を更に満たす。そのような構成は、垂直な角度を有する角部などの角部のための耐火アンカーに特に適している。
【0012】
更に、耐火アンカーは、例えば、少なくとも1つのアンカーフィンによって画定される仮想平面と例えば垂直な角度を成す仮想平面内及び/又は更なる仮想平面内で長尺な取り付けピンに接続される例えば更なるアンカーフィンなどのライナを固定するための様々な方向の突起を有してもよい。耐火アンカーが優れた固定効果をもたらすようにアンカーフィンとは異なる方向で延在するいわゆるタブを伴うアンカーフィン又は2つのアンカーフィンのうちの少なくとも一方を提供することも可能である。各タブは、アンカーフィンと鋭角を規定してもよく、好ましくは鋭角は35~85度、より好ましくは50~70度である。更に、少なくとも1つのアンカーフィン又は1つの平面内に位置される2つのアンカーフィンの長さなどの寸法は、設置状況に応じて長くしたり短くしたりすることができる。
【0013】
一態様では、アンカーフィンがコネクタを有し又は2つのアンカーフィンがコネクタによって互いに接続され、コネクタは長尺な取り付けピンに接続され、コネクタ及びアンカーフィンは一体に形成される及び/又は1つの同じ材料から形成される。そのようなコネクタは、アンカーフィンを長尺な取り付けピンに迅速に接続するために使用することができ、アンカーフィンと長尺な取り付けピンとの間の強固で信頼性があり、長く持続する接続を行なう。コネクタは、長尺な取り付けピンとコネクタとの間の接続を行なうために長尺な取り付けピンを受けるための貫通穴を備えてもよい。比較的高速で、簡単で、安全で、作業者に優しい技術は、摩擦嵌合によって長尺な取り付けピンとコネクタとの間の接続を行なうことによるものであり、すなわち、長尺な取り付けピンを貫通穴内に位置決めした後、物体に溶接されるべき端部とは反対側の長尺な取り付けピンの第2の端部は、第2の端部の真下に位置される端部セクションが拡張してコネクタの貫通穴内に端部セクションを固定するように圧力を受ける。そのような接続は、比較的迅速に行なうことができ、特に高温処理容器/サイクロン内で優れた長期持続効果をもたらした。
【0014】
更に、長尺な取り付けピンは、アンカーフィン及び存在する場合はコネクタとは異なる材料から有利に形成され得る。長尺な取り付けピンが第1の合金から形成されてもよく、また、アンカーフィンが第1の合金とは異なる第2の合金から形成されてもよい。例えば、第1の合金は、例えばバッキングプレートなどの物体への長尺な取り付けピンの最適な溶接結果のために構成される。アンカーフィンは、第1の合金とは異なる第2の合金から形成されてもよく、この場合、第2の合金は、ライナの最適な固定効果をもたらすように及び/又は容器/サイクロン内で行なわれるプロセスの高温及び/又は研磨環境に対して最大の保護を与えるように構成される。長尺な取り付けピンは、好適には、長尺な取り付けピンを物体、例えば金属プレートにスタッド溶接するように構成される材料から形成される。したがって、スタッド溶接技術を使用することにより、耐火アンカーの設置時間は、特に手溶接又はスポット溶接と比較して比較的速い。
【0015】
更なる態様において、各アンカーフィンは、長尺な取り付けピンの長手方向で見て長尺な取り付けピンの第2の端部の(より高い)上方で延在するアンカーフィン部を有する。互いに向き合うアンカーフィン部の側面は、これらの側面間の空間を画定し、この空間は、長尺な取り付けピンの長手方向で見て長尺な取り付けピンの第2の端部の真上に位置される。この空間は、沈降セクションとしても特定される。この空間は、これらの空間を伴う耐火アンカーがより高い温度に耐えることができるという点で、容器/サイクロンにおいてより強力な耐火アンカーを提供する。耐火アンカーを設置した後及び耐火アンカー上にわたってライニング材料を適用した後、ライニング材料が空間を満たし、硬化後、空間がライナで充填される。空間内のこのライナは、該ライナが耐火アンカー、特に耐火アンカーの長尺な取り付けピンよりも熱をあまり伝導しないため、温度緩衝をもたらす。設置後、耐火アンカーの高温側は、耐火アンカーが溶接されてしまった物体から最も遠い側である。互いに対向するアンカーフィン部の側面間に断熱ライナが充填される空間を設けることにより、アンカーフィン部の上側側面の上方に位置される高温側と長尺な取り付けピンの第2の端部との間に直接的な熱経路が存在しない。長尺な取り付けピンの第2の端部を沈降セクションの空間に設けられる断熱ライナで埋めることにより、特に長尺な取り付けピンの第1の端部に向かう長尺な取り付けピンの温度を大幅に下げることができる。容器/サイクロン内の特定の高温条件下では、直接的な熱経路が耐火アンカーと物体との間の溶接部を損傷する場合がある。これらの高温状況では、沈降セクションが、望ましくない短いメンテナンス又は検査間隔を必要とせずに、耐火アンカーの寿命を延ばす。したがって、沈降セクションにライナ温度緩衝をもたらすことにより、耐火アンカーの最も高温側と物体に溶接された第1の端部との間に直接的な熱経路が存在せず、それにより、比較的高温のプロセス用に構成された容器/サイクロンで使用されるように構成されるより長持ちする耐火アンカーが提供される。
【0016】
別の態様では、互いに対向するアンカーフィン部の側面が切り欠きを有する。これらの切り欠きは、互いに対向するアンカーフィン部のこれらの側面間の空間でライナの改善された固定効果をもたらすとともに、耐火アンカーの高温側から物体に溶接された又は溶接されるべき長尺な取り付けピンの第1の端部までの熱経路の低減に寄与する。
【0017】
耐火アンカーの長尺な取り付けピンは、長尺な取り付けピンとアンカーフィンとの接続セクションと物体に溶接可能な第1の端部との間に、長尺な取り付けピンに面する少なくとも1つのアンカーフィンの第1の側面の部分と長尺な取り付けピンとの間に長尺な取り付けピンに対して垂直に測定される距離が存在するセクションを更に備えてもよい。この距離は、アンカーフィンと物体に溶接可能な端部との間の直接的な又は比較的短い熱経路を減少させ、その結果、より長持ちする耐火アンカーを提供することができる。また、この距離は、耐火アンカーの周りの液体ライニング材料の流路を改善し、それにより、硬化ライナの品質を改善する。これは、改善された流れが硬化ライナの空洞の数を減らすからである。
【0018】
プレート状アンカーフィン又は各プレート状アンカーフィンが少なくとも1つの丸みを帯びた角部を有してもよい。特に、プレート状アンカーフィンの他の2つの外側角部と比較して設置後に物体に比較的近い位置にあるアンカーフィンの少なくとも外側角部は、丸みを帯びた角部である。外側角部は、ライニング材料中により多く浸漬された物体に比較的近い。丸みを帯びた角部は、従来の真っ直ぐな角部と比較してライナのクラックのリスクを大幅に低減する。これは、使用時に耐火アンカーが熱膨張及び/又は振動を受ける可能性があり、その結果、真っ直ぐな角部によって与えられる鋭い角部が硬化したライニング材料を切断する可能性があり、それにより、特定期間の使用後にライナにクラック/バーストがもたらされる場合があるからである。
【0019】
物体と前述の耐火アンカーとを備えるアセンブリを提供することが更なる目的である。この目的は、アセンブリに関する請求項によって達成される。耐火アンカーは、物体の角部の周囲に少なくとも部分的に位置されるように構成され、それにより、第2の端側面によって形成される2つの外側角部は、物体に溶接される長尺な取り付けピンの端部から見て物体角部の前/後に位置され、また、第1の側面によって形成される2つの外側角部は、物体に溶接される長尺な取り付けピンの端部から見て物体角部の前方に位置される。
【0020】
上記のアセンブリを提供するための方法を提供することも目的である。この目的は、方法に関する請求項にしたがって達成される。耐火アンカーは、スタッド溶接、好ましくは引き抜きアークスタッド溶接によって物体に接合される。更に、耐火アンカーは、少なくとも1つのアンカーフィンが物体の角部の周囲に位置されるように物体に溶接され、それにより、第2の端側面によって形成される2つの外側角部は、物体に溶接される長尺な取り付けピンの端部から見て物体角部の前/後に位置され、また、第1の側面によって形成される2つの外側角部は、物体に溶接される長尺な取り付けピンの端部から見て物体角部の前方に位置される。
【0021】
以下、耐火アンカー及びアセンブリの典型的な実施形態を示す添付の図を参照して、本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1a】耐火アンカーの第1の実施形態の斜視図を示す。
図1b】耐火アンカーの第2の実施形態の斜視図を示す。
図2図1aに示される耐火アンカーの第1の実施形態の正面図を示す。
図3図1a及び図2に示される耐火アンカーの第1の実施形態の上面図を示す。
図4図1a、図2及び図4に示される耐火アンカーの第1の実施形態を備えるアセンブリの正面図を示す。
図5a】耐火アンカーの第3の実施形態の様々な図を示す。
図5b】耐火アンカーの第3の実施形態の様々な図を示す。
図6図5a~図5bに示される耐火アンカーの第3の実施形態を備えるアセンブリの正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
様々な図において、同様の部分が同じ参照符号により示される。
【0024】
図に関連して開示される各特徴は、これらの特徴が不適合であることが当業者にとって明らかでなければ、特許請求の範囲を含むこの開示で開示された他の特徴と組み合わせることもできる。
【0025】
図1図4は、耐火アンカー1;101のアセンブリ201及び2つの実施形態を示し、この場合、図1a、図1bに示される2つの耐火アンカー1;101は、アンカーフィン8;108が異なる長さを有する、すなわち、耐火アンカー101のアンカーフィン108が耐火アンカー1のアンカーフィン8よりも短いという点においてのみ異なる。図5a~図5b及び図6は、耐火アンカー301及びアセンブリ401を示し、この場合、アンカーフィン308、309は、互いに接続されるとともに、長尺な取り付けピン303と接続される。
【0026】
耐火アンカー1;101;301は、その第1の端部5;305が物体10に溶接可能な長尺な取り付けピン3;303と、長尺な取り付けピン3;303の第2の端部7;307に隣接する矢印6;306により示される端部セクション又は接続セクションに接続される2つのプレート状アンカーフィン8、9;108、9;308、309とを備える。2つのプレート状アンカーフィン8、9;108、9;308、309は、長尺な取り付けピン3;303から見て2つの反対方向で外向きに延在する。更に、図3及び図5bにおいて最も良く分かるように、各耐火アンカー1、101;301の2つのアンカーフィン8、9;108、9;308、309は1つの仮想平面内にある。この仮想平面は、長尺な取り付けピン3;303の中心線(図示せず)を通って延在する。更に、耐火アンカー1、101;301は、2つのアンカーフィン8、9;108、9;308、309によって画定される仮想平面によって分割される2つの側面でライナを固定するのに寄与するべく材料の観点及び/又は設計の観点から構成される。各アンカーフィン8、9;108、9;308、309には、2つのアンカーフィン8、9;108、9;308、309によって画定される仮想平面の異なる側に向けられるタブ21、23;121、23;321;323が設けられる。各タブ21、23;121、23;321;323は、例えば図3に示されるように、アンカーフィン8、9;108、9;308、309と鋭角αを規定する。鋭角は、35~85度の間、より好ましくは50~70度の間にある。ライナ固定効果を更に改善するために、長尺な取り付けピン3;303に接続されて2つのアンカーフィン8、9;108、9;308、309とは異なる方向に延在する更なるアンカーフィン(図示せず)を設けることが更に随意的に可能である。
【0027】
図1a及び図1b~図4に示される耐火アンカー1、101の2つのアンカーフィン8、9;108、9はコネクタ15によって互いに接続され、この場合、コネクタは長尺な取り付けピン3に接続される。コネクタ15及び2つのアンカーフィン8、9;108、9は一体に形成され、また、コネクタ及び2つのアンカーフィン8、9;108、9は同じ材料から形成され、この場合、この材料の組成物は、ライナを固定するための長い耐久力のある効果を与えるように構成される。コネクタ15は、長尺な取り付けピン3とコネクタ15との間の接続をもたらすべく長尺な取り付けピン3の接続セクション6を受けるための貫通穴19を備え、この場合、長尺な取り付けピン3とコネクタ15との間の接続は摩擦嵌合によって行なわれ、この摩擦嵌合は、長尺な取り付けピン上の雄ねじ(図示せず)と協働する貫通穴の雌ねじ(図示せず)などの他の既知の接続技術よりも摩擦嵌合がより速く、より簡単であり、より安全であり、及び、より操作者に優しいという点において様々な利点を有し、或いは、長尺な取り付けピン3とコネクタ15との間の接続は、コネクタを長尺な取り付けピンに溶接することによって行なわれる。
【0028】
長尺な取り付けピン3;303は、接続セクション6;306の下方の矢印36;336により示されるセクションを更に備え、この場合、互いに対向する各アンカーフィン8、9;108、9;308、309の第1の側面20、22;320、322の側部と長尺な取り付けピン3;303との間には矢印R(図2)によって示される距離がある。この距離Rは、液体ライニング材料の流れを改善し、アンカーフィン8、9;108、9;308、309の上面45、47;145、47;345、347(図1a~図1b及び図5a~図5b)と物体10に溶接可能又は溶接される長尺な取り付けピン3;303の端部5;305との間の直接的な又は比較的短い熱経路を減少させ、それにより、耐火アンカー1;101;301の「高温側」で高温に耐えるように改良された形態を耐火アンカーに与えることができる。設置後、耐火アンカー1、101;301の上面45、47;145、47;345、347が「高温側」に面している。
【0029】
また、図1a及び図1b~図4に示される耐火アンカー1;101の各プレート状アンカーフィン8、9;108、9は、丸みを帯びた角部37、37’;41、41’、41’’を有し、すなわち、設置後に物体10;110に比較的近い又は各プレート状アンカーフィン8、9;108、9の他の外側角部39、39’;43よりも物体10;110に近い位置にある各プレート状アンカーフィン8、9;108、9の少なくとも外側角部37、37’;41、41’は丸みを帯びた角部である。図示の実施形態では外側角部41’’も丸みを帯びており、これは、随意的ではあるが、物体10の物体側面10b上のライナ厚さが矢印T1によって示される厚さを超える場合に好ましい可能性がある。理論に束縛されることなく、鋭い角部ではなく丸い角部への角部37、37’;41、41’、41’’の変更は、ライナでの所定の使用期間後のクラックの数を劇的に減少させた。勿論、アンカーフィン8、9;108、9の全ての角部を丸くすることもできるが、クラック/バーストの低減効果は、上側角部39、39’;43の方が小さい。これは、これらの外側角部39、39’;43がライナ上面と同一平面内にあるからであり、すなわち、ライナ厚さが通常は矢印Hにより示される高さに対応するからである。耐火アンカー301には鋭い角部341’’が設けられるが、丸みを帯びた角部の前述の利点を得ることが望まれる場合には、角部341’’に関して丸みを帯びた角部も想定し得る。
【0030】
耐火アンカー1、101;301は、2つのアンカーフィン8、9;108、9;308、309のみを備える。そのような耐火アンカー1;101;301は、物体の角部に関して優れたライナ固定効果を与え、この場合、耐火アンカー1;101;301の長尺な取り付けピン3、303の中心線は、2つのアンカーフィン8、9;108、9;308、309によって与えられる仮想平面に対して垂直に延在する例えば図3の点線60によって示される1つの仮想平面内に位置合わせされ得る。
【0031】
各耐火アンカー1、101の2つのプレート状アンカーフィン8、9;108、9;308、309は、同一ではなく、それぞれが異なる機能を有する。プレート状アンカーフィン8;108;308は、物体の比較的平坦な表面10aの上方で使用され、この場合、プレート状アンカーフィン9;309は、角部、縁部、及び/又は、移行表面で、例えば、図4又は図6に示されるような物体角部10cで滑らかな移行を可能にするために使用される。
【0032】
図1a及び図1b~図4に示される耐火アンカー1;101のアンカーフィン9は、コネクタ15によって長尺な取り付けピン3に少なくとも部分的に接続される第1の側面20と、反対側の第2の端側面24と、アンカーフィン9の4つの外側角部41、41’、41’’、43を形成するために第1の側面20と第2の端側面24との間にある2つの側面47、49とを有し、この場合、仮想水平面、例えば物体表面10aから見て、長尺な取り付けピン5の第1の端部5の周囲で、第2の端側面24によって形成される2つの外側角部41’、41’’のうちの一方と水平面との間の最小垂直高さは、第1の側面20によって形成される2つの外側角部41、43のうちの一方と水平面との間の矢印Xにより示される最小垂直高さよりも小さい。第2の端側面24によって形成される2つの外側角部41’、41’’と水平面との間の最小垂直高さは、同一であり、図に示される耐火アンカー1;101ではほぼゼロである。したがって、第1の側面20によって形成される2つの外側角部41、43のうちの一方と水平面との間の矢印xにより示される最小垂直高さは、耐火アンカー1;101内にあり、同様に、第2の端側面24によって形成される2つの外側角部41’、41’’のうちの一方と水平面との間の最大垂直高さよりも大きい。
【0033】
図5a及び図5b~図6に示される耐火アンカー301のアンカーフィン309は、コネクタを伴うことなく直接態様で長尺な取り付けピン303に部分的に接続される第1の側面320と、反対側の第2の端側面324と、アンカーフィン309の4つの外側角部341、341’、341’’、343を形成するために第1の側面320と第2の端側面324との間にある2つの側面347、349とを有し、この場合、長尺な取り付けピン305の第1の端部305の周囲で仮想水平面、例えば物体表面10aから見て、第2の端側面324によって形成される2つの外側角部341’、341’’のうちの一方と水平面との間の最小垂直高さは、第1の側面320によって形成される2つの外側角部341、343のうちの一方と水平面との間の矢印X(図6)により示される最小垂直高さよりも小さい。第2の端側面324によって形成される2つの外側角部341’、341’’と水平面との間の最小垂直高さは、同一であり、図に示される耐火アンカー1;101ではほぼゼロである。したがって、第1の側面320によって形成される2つの外側角部341、343のうちの一方と水平面との間の矢印xにより示される最小垂直高さは、耐火アンカー301内にあり、同様に、第2の端側面324によって形成される2つの外側角部341’、341’’のうちの一方と水平面との間の最大垂直高さよりも大きい。
【0034】
側表面51;351に関して図で明確に分かるように、外側角部41、41’、41’’、43;341、341’、341’’、343間の2つの側表面51;351のそれぞれは、実質的に環の4分の1の形状を有する。アンカーフィン9;309の第1の側面20;320と第2の端側面24;324との間の2つの側面47、49;347、349は異なる長さを有し、特に、設置後に物体10から更に離れて位置される2つの側面47、49;347、349のうちの側面47;347は、2つの側面47、49;347、349のうちの他の側面49;349よりも少なくとも2倍長く、この場合、他方の側面49;349は、設置後に物体10のより近くに位置される。側面47、49;347、349は、ほぼ一定の曲率半径を伴って角部41、41’、41’’、43;341、341’、341’’、343間で延在し、この場合、側面47;347の曲率半径は、側面49;349の曲率半径よりも大きく、例えば少なくとも2倍大きい。
【0035】
アンカーフィン9;309は、移行部、例えば、物体角部10c又は物体縁部の上方に位置されるように構成される。アンカーフィン9;309は、例えば耐火アンカーを移行部、例えば物体角部又は物体縁部、例えば物体表面10bと位置合わせするために、インジケータ75;375、すなわち、少なくとも側表面51;351上のインジケータラインを更に備える。インジケータは、作業者が物体角部10cなどの移行部に対する正しい位置で迅速かつ正確な態様で耐火アンカー1;101;301を位置決めするのを容易にする。
【0036】
図1a及び図1b~図4に示される耐火アンカー1;101において、各アンカーフィン8、9;108、9は、長尺な取り付けピン3の長手方向で見て長尺な取り付けピン3の第2の端部7の上方で延在するアンカーフィン部8a、9a(アンカーフィンにおいて図2の点線により示される)を有する。互いに向き合うアンカーフィン部8a、9aの側面は、これらの側面間に空間40を画定する。この空間40は沈降セクションをもたらし、この沈降セクションには、耐火アンカーの最も高温の側面と物体10に溶接された第1の端部5との間に直接的な熱経路が存在しないように、沈降セクションにライナ温度緩衝をもたらすライニング材料を充填することができる。簡潔にするために、沈降セクションの利点については先の説明を参照されたい。図2及び図4の正面図において分かるように、互いに向かい合うアンカーフィン部8a、9aの両側は切り欠き66、68を有する。更に、長尺な取り付けピン3から離れる方向を向くプレート状アンカーフィン8;108のアンカーフィン側面69;169は、プレート状アンカーフィン8;108の2つの外側角部37、39間に切り欠きを備える。これらの切り欠きは、2つの隣接して位置される耐火アンカー(図示せず)間の熱伝達を防止又は低減する。更に、切り欠きは、ライナの改善された固定効果を与える。
【0037】
耐火アンカー1、101;301の最長寸法L1は、比較的小さく、すなわち、20cmより小さく、例えば約8cmである。各アンカーフィン8、9;108、9;308、309は、図3の矢印Tによって示される1cmよりも小さい厚さ、例えば約3mmの厚さを有してもよい。物体10から測定される耐火アンカー1、101;301の図4に矢印Hにより示される高さは、7.5cmよりも小さく、例えば、2.5cmである。図面に示されるように、長尺な取り付けピン3;303は円柱形状を有する。しかしながら、多角形の断面を有するピンを形成するための角部を有する異なる形状のピン、例えば、プレート形状ピンを使用することもできる。長尺な取り付けピン3の矢印Dにより示される直径は、2.5cmよりも小さく、例えば、1cmである。距離Rは約0、5cmである。矢印Xにより示される垂直高さは約1、0cmである。垂直高さX、X’は、優れたライニング効果を得るべく液体状のライニング材料がアンカーフィン8、9;108、9;308、309の下方で自由に流れることを保証するために、図4及び図6に示されるようなアセンブリにおいて重要である。アセンブリ201;401において、取り付けピン3;303は、垂直高さX、X’を与えるようにアンカーフィン8、9;108、9;308、309に対して配置される。特に、物体表面10aの真上に位置されるアンカーフィン8、9;108、9;308、309の角部37、37’、41;337、337’、341間の距離X、X’は、アンカーフィンと物体表面10aとの間の液体状のライナ材料の優れた流動効果を確保する。図4及び図6において分かるように、角部41’、41’’、341’、341’は、物体表面10aの上方に位置されない物体角部10cの結果である。
【0038】
また、耐火アンカー301は空間340も備え、この場合、図示の空間340は、耐火アンカー1、101に示される空間40よりも小さい。空間340は、図5a~図5b及び図6に示されるよりも大きな寸法を有してもよく、及び/又は、各アンカーフィン308、309には、特に前述したような空間40の利点を得ることが望まれる場合、耐火アンカー1、101に関して前述したような切り欠きが設けられてもよいことに留意されたい。
【0039】
図5a~図5b及び図6に示されるアンカーのフィン308、309は、所定の態様でプレートを切断又は鋳造することによって一方のプレートから形成されるのが分かる。このとき、耐火アンカー301は、取り付けピン303をフィン308、309間に接続することによって提供される。フィン308、309は、例えば、取り付けピン303に半田付け/溶接することによって直接に接続され得る。或いは、長尺な取り付けピン303の第2の端部307に隣接する矢印306により示される端部セクション又は接続セクションに溝(図示せず)を設けることによって、より強い接続を得ることができ、この場合、溝の幅は、殆ど遊びを伴わずにフィン308、309を伴うプレートを受けるように設定され、プレートは、半田付け/溶接によって、長尺な取り付けピン303の第2の端部307の溝内に接続される。接続セクション306としてこれらの図に示される円錐形部分は、円錐形部分が長尺な取り付けピンの一部ではない(図示せず)ように、プレート及びフィン308、309と一回の工程で鋳造することもでき、この場合、円錐形部分及びフィンは、長尺な取り付けピンの第2の端部に半田付け/溶接によって接続される。
【0040】
この文書の図に示される耐火アンカー1;101;301は、第1のアンカーフィンセクションとして特定することもできる第1のアンカーフィン8;108;308と、第2のアンカーフィンセクションとして特定することもできる第2のアンカーフィン9;309とを備え、この場合、2つのアンカーフィン8、9;108、9;308、309は、第1のアンカーフィン8;108;308と第2のアンカーフィン9;309との間に配置される長尺な取り付けピン3;303の中心線(図示せず)も通って延在する1つの仮想平面内にあり、耐火アンカー1;101;301は、外側角部37、39;337、339間の第1のアンカーフィン端側面69;169;369と、外側角部41’、41’’;341’、341’’間の第2の端側面24;324とを備え、長尺な取り付けピン3;303の第1の端部5;305の周囲で仮想水平面、例えば、物体表面10aから見て、第2の端側面24;324によって形成される2つの外側角部41’、41’’;341’、341’’のうちの一方と水平面との間の最小垂直高さは、第1のアンカーフィン端側面69;169;369によって形成される2つの外側角部37、39;337、339のうちの一方と水平面との間の矢印X’により示される最小垂直高さよりも小さい。第2の端側面24;324によって形成される2つの外側角部41’、41’’;341’、341’’と物体表面10aによって画定される水平面との間の最小垂直高さは、同じであり、図4及び図6に示される耐火アンカー1;101;301ではほぼゼロである。この垂直距離が物体表面10aに対して負の値を有することも想定でき、この場合、負の値は正の値よりも小さいと考えられる。したがって、第1のアンカーフィン端側面69;169;369によって形成される2つの外側角部37、39;337、339のうちの一方と物体表面10aによって画定される水平面との間の矢印X’により示される最小垂直高さは、耐火アンカー1;101;301内にあり、同様に、第2の端側面24;324によって形成される2つの外側角部41’、41’’;341’、341’’のうちの一方と水平面との間の最大垂直高さよりも大きい。更に、空間340を伴わない図5a~図5b及び図6に示されるような耐火アンカーを提供することが可能である。
【0041】
前述のようにアンカーフィン9のみを有する耐火アンカー(図には示されない)を提供することが更に可能である。
【0042】
物体角部を裏打ちするように構成されるアンカーフィンにおいて、アンカーフィンの外側角部を形成する第1の側面と第2の端側面との間の2つの側面のうちの少なくとも1つが少なくとも1つの更なる角部(図示せず)を有してもよく、この場合、少なくとも1つの更なる角部は、第1の側面によって形成される2つの外側角部のうちの一方と第2の端側面によって形成される2つの外側角部のうちの一方との間に位置される。更に、実質的に環の4分の1の形状を有する2つの側表面51の代わりに、2つの側表面のそれぞれが実質的に逆L字形状(図示せず)を有することが可能である。?
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
【国際調査報告】