(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-28
(54)【発明の名称】リングファスナー
(51)【国際特許分類】
F01D 5/30 20060101AFI20220621BHJP
F16B 2/20 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
F01D5/30
F16B2/20 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569006
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 GB2020051197
(87)【国際公開番号】W WO2020234572
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515132412
【氏名又は名称】クロス マニュファクチャリング カンパニー(1938)リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロス エドワード ヘンリー
【テーマコード(参考)】
3G202
3J022
【Fターム(参考)】
3G202FA03
3G202FB06
3J022EA41
3J022EB03
3J022EC02
3J022FB03
3J022FB08
3J022HA05
3J022HB02
3J022HB06
(57)【要約】
本発明は、第1の端部14及び第2の端部16を有する非連続的なバンド11を備える、リングファスナー10について述べる。第1の端部14は離隔した一対の細長いフィンガ部材15a、15bを含み(第1のフィンガ部材15a及び第2のフィンガ部材15bを有する)、第2の端部16は細長いタング部材17を含む。フィンガ部材15a、15bとタング部材17とは連結可能であり、連結すると、バンド11は連続した円周を含むようになる。リングファスナー10は、フィンガ部材15a、15b及びタング部材17がバンド11の周面13と実質的に位置合わせされる閉鎖構成と、第1のフィンガ部材15aが、自身の実質的に位置合わせされる位置から径方向に、かつ/又は軸方向に撓むことにより、バンド11の周面13に対して角度付けられる開放構成と、をさらに備える。本発明はまた、ボア40及び構成部品42を組み立てる方法、並びにそのようなアセンブリの使用形態についても述べる。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部及び第2の端部を有する非連続的なバンドであって、
前記第1の端部が離隔した一対の細長いフィンガ部材を含み、前記第2の端部が細長いタング部材を含み、
前記フィンガ部材と前記タング部材とが連結可能であり、連結すると、前記バンドが連続した円周を含むようになり、
前記離隔した一対の細長いフィンガ部材が、第1のフィンガ部材及び第2のフィンガ部材を含む、非連続的なバンドを備え、また、
前記リングファスナーが、
前記フィンガ部材及び前記タング部材が前記バンドの周面と実質的に位置合わせされる閉鎖構成と、
前記第1のフィンガ部材が、自身の実質的に位置合わせされる位置から径方向に、かつ/又は軸方向に撓むことにより、前記バンドの周面に対して角度付けられる開放構成と、
をさらに備える、リングファスナー。
【請求項2】
前記開放構成では、前記第2の端部が、前記タング部材が前記一対の細長いフィンガ部材間に位置する位置まで、前記第1の端部に対して径方向に移動可能であり、また、前記閉鎖位置では、前記第1及び第2の端部が、互いに対して径方向に固定されている、請求項1に記載のリングファスナー。
【請求項3】
前記第1のフィンガ部材が、前記第2のフィンガ部材、前記タング部材、及び前記バンドよりも薄肉になっている、請求項1又は2のいずれか一項に記載のリングファスナー。
【請求項4】
より薄肉の前記第1のフィンガ部材及び前記バンドの前記第1の端部に、ショルダ部が隣接している、請求項3に記載のリングファスナー。
【請求項5】
前記タング部材の終端部が面取り部を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のリングファスナー。
【請求項6】
前記離隔した一対のフィンガ部材間に、凹部が画定され、前記タング部材が、前記凹部内に嵌合可能であり、
前記フィンガ部材と前記タング部材とが連結されると、前記凹部内に位置する前記タング部材の前記端部と前記凹部の基部との間に間隙が画定される、請求項1から5のいずれか一項に記載のリングファスナー。
【請求項7】
各前記部材の長さが、所定の範囲の相対移動に対処するように構成可能であり、その結果、前記タング部材が、前記範囲にわたって前記凹部に嵌合したままとなって、前記バンドの完全な円周を維持している、請求項6に記載のリングファスナー。
【請求項8】
前記第1のフィンガ部材と前記第2のフィンガ部材とが、実質的に同じ長さである、請求項1から7のいずれか一項に記載のリングファスナー。
【請求項9】
前記第1のフィンガ部材と前記第2のフィンガ部材とが異なる長さであり、例えば、前記第1のフィンガ部材が前記第2のフィンガ部材よりも短い、請求項1から7のいずれか一項に記載のリングファスナー。
【請求項10】
前記バンドが実質的に円形である、請求項1から9のいずれか一項に記載のリングファスナー。
【請求項11】
前記リングファスナーが保持リングである、請求項1から10のいずれか一項に記載のリングファスナー。
【請求項12】
実質的に円形の断面、及び自身の内面に沿って周方向に延在する溝を有する細長ボアと、
前記ボア内に配置された構成部品と、を備え、
前記ボアに対して軸方向に前記構成部品を固定するように、請求項1から11のいずれか一項に記載の前記リングファスナーが前記溝内に嵌合している、アセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載の前記ボア及び構成部品を組み立てる方法であって、前記方法が、
前記バンドの周面と実質的に位置合わせされる位置から、前記第1のフィンガ部材を軸方向又は径方向に撓ませるステップと、
前記バンドを前記ボアの前記内面上の前記溝内に装着するステップであって、前記ステップを、
-第2のフィンガ部材を前記溝内に配置するステップ、
-前記第1のフィンガ部材と前記第2のフィンガ部材との間に前記タング部材が位置するように、前記タング部材と前記第1のフィンガ部材とを互いに対して径方向に移動させるステップ、及び、
-前記バンドの周面と実質的に位置合わせされる位置に前記第1のフィンガ部材を戻して、前記第1のフィンガ部材と前記第2のフィンガ部材との間に前記タング部材を径方向に固定するステップによって実行しているステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記バンドの周面と実質的に位置合わせされる位置に前記第1のフィンガ部材を戻す前記ステップが、前記第1のフィンガ部材を軸方向にオーバーベンディングさせるステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
使用中に、
前記離隔した一対のフィンガ部材が、前記タング部材と嵌合する凹部を前記フィンガ部材間に画定しており、
前記フィンガ部材と前記タング部材とを連結させると、前記凹部内に配置された前記タング部材の前記端部と、前記凹部の前記基部との間に間隙が画定され、
前記間隙が、使用中に完全な円周を前記バンドが維持するように、前記タング部材と前記フィンガ部材との間で生じる周方向のいずれの相対移動をも収容している、請求項12に記載のアセンブリの使用形態。
【請求項16】
前記相対移動が、前記ボアの回転動作及び/又は前記ボア内に配置された構成部品の回転動作に少なくとも部分的に起因する、熱膨張及び熱収縮によって引き起こされ得る、請求項15に記載の使用形態。
【請求項17】
実質的に円形の断面を有し、自身の外周面に沿って等距離に配置された、軸方向に延在する複数の別個のノッチを有するドラムであって、
前記ノッチがそれぞれ、前記ドラムの周縁に位置する第1の保持部によって、前記ドラムの周りで周方向に分離されている、ドラムと、
各自が前記ドラムに対して径方向に固定されるように、各前記ノッチと連結されるタービンブレードであって、
各前記タービンブレードが第2の保持部を含み、各前記第2の保持部が、隣接する前記第1の保持部間に配置され、かつ隣接する前記第1の保持部と位置合わせされる、タービンブレードと、を備え、
請求項1から11のいずれか一項に記載の前記リングファスナーが、前記ドラムに対して軸方向に前記タービンブレードを固定するように、前記第1及び第2の保持部と嵌合される、タービンアセンブリ。
【請求項18】
前記第1及び/又は第2の保持部がリップ及び/又は溝である、請求項17に記載のタービンアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持リングなどのリングファスナー、このリングファスナーを含むボア/構成部品アセンブリ、及びそれらを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保持リングにはさまざまな用途があり得るが、多くの場合、2つの回転部品を互いに固定するなど、構成部品を互いに固定するために使用されている。例えば、保持リングはボアの内面の溝に嵌合され得、構成部品をボアに取り付ける/固定するためのショルダ部として機能し得る。
【0003】
保持リングの一例としては螺旋状保持リングが挙げられ、この螺旋状保持リングは、一重巻きバンドと、リングの外周にある間隙とを備える。装着すると、リングの端部は一つに寄せられ、接触し合うことができる。しかしながら、使用中、リングにいずれかの熱膨張が生じると、リングの端部を離間させ、その結果として間隙が広がることになる。したがって、このタイプの保持リングは使用中、構成部品に対して、信頼性の高い全周支持をもたらさない。
【0004】
いくつかの保持リングでは、間隙を含まない二重巻き以上の保持リングを設けることにより、この課題を克服している。しかしながら、そのようなリングを製造するために使用される材料は、一重巻きのリングよりもはるかに薄肉であり、そのために、各リングがもたらすねじり剛性が十分ではない。その結果、使用中にリングがねじれる可能性があり、これによってリングの安定性や、構成部品を互いに効果的に固定するそれ自体の能力を低下させる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、従来技術による上記の欠点のうちの少なくとも1つを克服することを目的とするものである。例えば、本発明の保持リングは、使用中に信頼性の高い全周支持をもたらしながら、それと同時に2つの構成部品間における安定した効果的な接続を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、一態様では、本発明はリングファスナーを提供するものであり、本リングファスナーは、
第1の端部及び第2の端部を有する非連続的なバンドであって、
第1の端部が離隔した一対の細長いフィンガ部材を含み、第2の端部が細長いタング部材を含み、
これらのフィンガ部材とタング部材とは連結可能であり、連結すると、バンドは連続した円周を含むようになり、
これら離隔した一対の細長いフィンガ部材は、第1のフィンガ部材及び第2のフィンガ部材を含む、非連続的なバンドを備え、また、
本リングファスナーは、
これらフィンガ部材及びタング部材がバンドの周面と実質的に位置合わせされる閉鎖構成と、
第1のフィンガ部材が、自身の実質的に位置合わせされる位置から径方向に、かつ/又は軸方向に撓むことにより、バンドの周面に対して角度付けられる開放構成と、
をさらに備える。
【0007】
この開放構成では、第2の端部は、タング部材が一対の細長いフィンガ部材間に位置する位置まで、第1の端部に対して径方向に移動可能であり得る。閉鎖位置では、第1及び第2の端部は、互いに対して径方向に固定され得る。
【0008】
本発明は、一重巻きバンドを備える、保持リングなどのリングファスナーを提供する。使用中に、タング部材がフィンガ部材間で径方向に固定された状態では、フィンガがこの位置にあることにより、バンドの端部が径方向に移動するのが防止される。さらに、使用中の膨張/収縮によってバンドの端部のいずれかが分離しても、使用中にフィンガ/タングが嵌合解除されることのないように、フィンガ及びタングの連結特性によって対処される。したがって、バンドが使用中である場合において、例えばボア内に構成部品を固定するために使用されているときは、バンドはこの構成部品に対して完全な(切れ目のない)360度の支持をもたらす。したがって、本発明のリングファスナーは、ボア内に構成部品を確実に取り付けるための、より信頼性の高い解決策を提供するものである。
【0009】
さらに、一重巻きリングファスナーは、二重巻き以上のファスナーと比較して製造がより容易である。二重巻き以上のファスナーと比較して、一重巻きリングファスナーでは、軸方向厚さをより厚くなるように製造することもできる。したがって、本発明のバンドは、二重巻き以上のファスナーと比較してより強く、かつ変形しにくくなっている。
【0010】
加えて、一重巻きファスナーは、二重巻き以上のファスナーと比較して、使用時の組立てがより容易であり、そのために、装着するための専門的な器具又は技術が必要になることはない。
【0011】
第1のフィンガ部材は、第2のフィンガ部材、タング部材、及びバンドよりも薄肉であり得る。より薄肉の第1のフィンガ部材及びバンドの第1の端部に、ショルダ部が隣接し得る。径方向厚さ及び/又は軸方向厚さを薄くするほど、第1のフィンガ部材を開放構成内に径方向かつ/又は軸方向に撓ませることがより容易になる。さらに、バンドを閉鎖構成に戻すとき、撓んだ第1のフィンガ部材は、バンドの周面と位置合わせされる点を通過するように押圧され得る(オーバーベンディングとして知られる)。有利には、次いで第1のフィンガ部材が解放されると、この第1のフィンガ部材は、バンドの周面と実質的に位置合わせされる位置まで跳ね戻ることができる。
【0012】
タング部材の終端部は、面取り部を有し得る。このような面取り面により、タング部材が一対の細長いフィンガ部材間に位置する位置まで、第1のフィンガ部材及びタング部材が互いに対して径方向に移動するので、第1のフィンガ部材がタング部材に引っ掛かるのを防止することができる。これにより、使用時にボア内でリングファスナーを組み立てることがより容易になる。
【0013】
離隔した一対のフィンガ部材間に、凹部が画定され得る。タング部材は、この凹部内に嵌合可能であり得る。フィンガ部材とタング部材とが連結されると、凹部内に位置するタング部材の終端部と凹部の基部との間に間隙が画定され得る。
【0014】
各部材の長さは、所定の範囲の相対移動に対処するように構成可能であり得、その結果、タング部材は、その範囲にわたって凹部に嵌合したままとなって、バンドの完全な円周を維持することができる。
【0015】
第1のフィンガ部材と第2のフィンガ部材とは、実質的に同じ長さであり得る。代替実施形態では、第1のフィンガ部材と第2のフィンガ部材とは異なる長さであり得る。即ち、第1のフィンガ部材は、第2のフィンガ部材よりも短くなり得る。使用時の長さを短縮することは、第1のフィンガ部材の終端部が撓む距離がより短縮され得ることを意味し、このことは、リングを装着しやすくするのに役立ち得る。
【0016】
タング部材の径方向幅は、典型的にはバンドの径方向幅よりも狭い。そのため、このタング部材は、タング部材とバンドの第2の端部との間にあるショルダ面によって径方向に挟まれ得る。第1及び第2のフィンガ部材が実質的に同じ長さである実施形態では、これらのショルダ面が位置合わせされ得る。あるいは、第1及び第2のフィンガ部材が異なる長さである実施形態では、これらのショルダ面は周方向にオフセットされ得る。これらのショルダ面をオフセットすることで、フィンガ部材とタング部材との間で生じる所定の範囲の相対移動への対処が補助され得る。
【0017】
間隙が生じることにより、例えば温度変化に起因してバンドの直径にいずれかの変動があるにもかかわらず、使用中に完全な(切れ目のない)360度の円周をバンドが確実に維持するのが補助され得る。したがって、本発明のリングファスナーは、既知のリングファスナーと比較してより安全で信頼性が高く、使用中にボア内の構成部品を効果的に支持することができる。
【0018】
バンドは実質的に円形であり得る。バンドは、均一なプロファイル又は断面を含み得る。本リングファスナーを、保持リングとすることができる。
【0019】
第2の態様では、本発明はあるアセンブリを提供するものであり、このアセンブリは、
実質的に円形の断面、及び自身の内面に沿って周方向に延在する溝を有する細長ボアと、
このボア内に配置された構成部品と、を備え、
ここで、ボアに対して軸方向に構成部品を固定するように、本発明の第1の態様のリングファスナーが溝内に嵌合している。
【0020】
第3の態様では、本発明は、本発明の第2の態様のボア及び構成部品を組み立てる方法を提供するものであり、本方法は、
バンドの周面と実質的に位置合わせされる位置から、第1のフィンガ部材を軸方向又は径方向に撓ませるステップと、
このバンドをボアの内面上の溝内に装着するステップであって、このステップを、
-第2のフィンガ部材を溝内に配置するステップ、
-第1のフィンガ部材と第2のフィンガ部材との間にタング部材が位置するように、タング部材と第1のフィンガ部材とを互いに対して径方向に移動させるステップ、及び、
-バンドの周面と実質的に位置合わせされる位置に第1のフィンガ部材を戻して、第1のフィンガ部材と第2のフィンガ部材との間にタング部材を径方向に固定するステップによって実行しているステップと、を含む。
【0021】
バンドの周面と実質的に位置合わせされる位置に第1のフィンガ部材を戻すステップは、第1のフィンガ部材を軸方向にオーバーベンディングさせるステップを含み得る。
【0022】
第4の態様では、本発明は、本発明の第2の態様のアセンブリの使用形態を提供するものであり、使用中に、
離隔した一対のフィンガ部材は、タング部材と嵌合する凹部をこれらのフィンガ部材間に画定しており、また、
ここでフィンガ部材とタング部材とを連結させると、この凹部内に配置されたタング部材の終端部と、この凹部の基部との間に間隙が画定され、また、
この間隙は、使用中に完全な円周をバンドが維持するように、タング部材とフィンガ部材との間で生じる周方向のいずれの相対移動をも収容している。
【0023】
この相対移動は、ボア及び/又はボア内に配置された構成部品の回転動作に少なくとも部分的に起因する、熱膨張及び熱収縮によって引き起こされ得る。
【0024】
第5の態様では、本発明はタービンアセンブリを提供するものであり、このタービンアセンブリは、
実質的に円形の断面を有し、自身の外周面に沿って等距離に配置された、軸方向に延在する複数の別個のノッチを有するドラムであって、
これらのノッチはそれぞれ、ドラムの周縁に位置する第1の保持部によって、ドラムの周りで周方向に分離されている、ドラムと、
各自がドラムに対して径方向に固定されるように、各ノッチと連結されるタービンブレードであって、
各タービンブレードは第2の保持部を含み、各第2の保持部は、隣接する第1の保持部間に配置され、かつ隣接する第1の保持部と位置合わせされる、タービンブレードと、を備え、
ここで、本発明の第1の態様のリングファスナーは、ドラムに対して軸方向にこのタービンブレードを固定するように、第1及び第2の保持部と嵌合される。
【0025】
第1及び/又は第2の保持部は、リップであってもよい。第1及び/又は第2の保持部は、溝であってもよい。
【0026】
本発明について上述してきたが、本発明は、上記に記載している、又は以下の説明若しくは図面に記載している本発明のあらゆる組み合わせに及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は様々な方法で実施され得、ここでその実施形態について、添付の図面を参照しながら、単なる例示として説明する。
【
図1A】連結位置にあるリングファスナーの一実施形態の一部を示す。
【
図1B】連結位置にあるリングファスナーの一実施形態の一部を示す。
【
図2】本リングファスナーのバンドの第2の端部を表す底面図(A)及び上面図(B)を示す。
【
図3】本リングファスナーのバンドの第1の端部を表す底面図を示す。
【
図4A】本発明の2つの異なる実施形態による、第1のフィンガ部材の軸方向の撓みを示す。
【
図4B】本発明の2つの異なる実施形態による、第1のフィンガ部材の径方向の撓みを示す。
【
図5A】本発明の一態様による、ボア内に装着され、かつボア内に構成部品を固定している本リングファスナーの上面図を示す。
【
図6A】使用時に組み立てられる本リングファスナーのバンドの第1の端部を示す。
【
図6B】使用時に組み立てられる本リングファスナーのバンドの第2の端部を示す。
【
図6C】使用時に組み立てられる本リングファスナーのバンドの第1の端部を示す。
【
図7A】本発明の一態様による、タービンブレードをタービンドラムに固定する本リングファスナーを示す。
【
図7B】本発明の一態様による、タービンブレードをタービンドラムに固定する本リングファスナーを示す。
【
図7C】本発明の一態様による、タービンブレードをタービンドラムに固定する本リングファスナーを示す。
【
図8】第1の端部(A)及び第2の端部(B)を有するバンドを備える、リングファスナーのさらなる実施形態を示す。
【
図9】連結位置にある、
図8のバンドの第1及び第2の端部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書で使用している「軸方向」という用語を、本リングファスナーの回転軸に平行な方向として定義している。本明細書で使用している「径方向」という用語を、本リングファスナーの回転軸に垂直な方向として定義している。
【0029】
図1A及び
図1Bは、本実施例では保持リングである、一重巻きの円形リングファスナー10の下面12の一部を示す。保持リング10は、第1の端部14及び第2の端部16を有する非連続的なバンド11を備える。第1の端部14は、離隔した一対の細長いフィンガ部材15a、15bを含む。第2の端部16は、単一の細長いタング部材17を含む。フィンガ部材15a、15bとタング部材17とを、タング又はタブと呼んでもよい。タング部材17は、このタング部材17の径方向幅がバンド11の径方向幅よりも狭いため、ショルダ面21に挟まれている。フィンガ部材15a、15bとタング部材17とは、使用中に(リング自体が厳密に連続したバンドで形成されていなくても)連続した切れ目のない円周をバンド11が含むように連結し得る。
【0030】
図4A及び
図5Bに最もよく図示されているように、第1のフィンガ部材15aは、第2のフィンガ部材15b、タング部材17及びバンド11の残りの部分よりも軸方向に薄肉化されている。フィンガ部材15a、15bの上部周面とバンド11の上部周面13とは面一である。ただし、軸方向厚さが薄くなっているため、フィンガ部材15aの下面とバンド11の第1の端部14とに隣接し、かつそれらの間にあるショルダ部22が存在する。典型的には、バンド11及び第1のフィンガ部材15aの寸法は、リング10が作製される材料と、その材料の機械的特性とに依存することになる。これらの寸法は、使用中、確実にバンド11が割れたり破損したりせず、また装着中及び使用中にバンド11を操作できるように、十分に柔軟かつ弾力的であるように選択される必要がある。いくつかの適切な材料としては、ニッケル超合金及びコバルト超合金、ステンレス鋼、並びに炭素鋼などのほとんどの金属合金を挙げることができる。
【0031】
フィンガ部材15a、15bは、タング部材17と嵌合するのに十分な幅の凹部19によって分離されている。使用中、この凹部19によって周方向移動(バンドの円周に沿った相対移動)が可能になるが、径方向の移動は可能にならない。
【0032】
各フィンガ部材15a、15bの長さは、使用中、フィンガ部材15a、15bとタング部材17とが連結されたときに、これらの間で生じる所定の範囲の相対移動に対処するように設計されている。これは、タング部材17の終端部25と凹部19の基部との間に間隙20が生じることによって達成される。この移動範囲は、典型的にはリング10の直径、及びリング10が装着される本システムの動作温度にも依存するものである。いくつかの実施形態では、リング10は、摂氏600度~800度の温度に連動した移動範囲に対処するように設計されてもよい。
【0033】
フィンガ部材15a、15bは、
図3に示すように、実質的に同じ長さである。そのため、タング部材17を挟み込んでいるショルダ面21は、周方向に位置合わせされている。ただし、
図8~
図10は、各フィンガ部材215a、215bの長さが異なるリングファスナー210の別実施形態を示す。この場合、フィンガ部材215aは、フィンガ部材215bよりも短い。この長さの差に対応するために(かつ所定の範囲の相対移動に対処するために)、タング部材217を挟み込んでいるショルダ面221は、周方向にオフセットされている(
図10から最もよく分かるように)。そのため、タング部材217においてフィンガ部材215bに隣接した側は、タング部材217においてより短いフィンガ部材215aに隣接した側よりも長くなっている。
【0034】
図2に示すように、タング部材17の終端部25は、その上面に面取り部26を有する。以下でより詳述しているように、この面取り部26により、使用中にフィンガ部材15aの必要撓み量を制限するのが補助され得るため、本保持リングをより容易に組み立てることができるようになる。
【0035】
使用中、保持リング10は、開放構成と閉鎖構成との間で移動することができる。
図1A及び
図1Bに示すリング10は、閉鎖構成にある。フィンガ部材15a、15b及びタング部材17がバンド11の外周面13と実質的に位置合わせされると、リング10は閉鎖構成になる。
図4Aに示すように、第1のフィンガ部材15aがその実質的に位置合わせされる位置からバンド11の外周面13に対して角度の付いた位置に軸方向に撓む(屈曲する)と、リング10は開放構成になる。あるいは、
図4Bに示すように、第1のフィンガ部材115aがその実質的に位置合わせされる位置からバンド111の外周面124に対して角度の付いた位置に径方向に撓むと、リング110は開放構成になる。
【0036】
使用中のリング10の一実施例として、
図5A及び
図5Bは、ボア40内に構成部品42を固定するために、ボア40の溝41内に装着されたリング10を示す(構成部品は通常、ボアショルダ部とリングとの間に固定される)。本実施例については、
図4Aに示すリング10を参照しながら説明する。ただし、リング110(
図4Bに示す)、又はリング210(
図8~
図10に示す)を代わりに使用できることが理解されよう。
【0037】
リング10は、バンド11の外周面13と実質的に位置合わせされる位置から、バンド11に対して角度の付いた位置まで、まず第1のフィンガ部材15aを屈曲させることによって装着される。例えば、フィンガ部材15aを接線位置まで撓ませることができる。この位置にひとたび入ると(フィンガ部材15aが撓んだ状態で)、バンド11は開放構成になる。バンド11の装着/取り外し中に生じる屈曲動作に起因した、フィンガ部材15aの基部での応力集中/疲労集中からの解放をもたらす孔部30が、ショルダ部22に隣接して存在する。
【0038】
次いで、フィンガ部材15bが溝41内に配置される。
図6Aに示すように、タング部材17は、初期状態では凹部19内に位置していない。代わりに、フィンガ部材15aに隣接し、かつこれに実質的に平行となるように、バンド11の円周の外側に、このタング部材17を配置することができる。
【0039】
図6Bに示すように、フィンガ部材15aが撓んだ状態で、浮き上がった第1のフィンガ部材15aの下部で、フィンガ部材15a、15b間の凹部19内に向かって(例えば、スライドさせることによって)タング部材17が径方向に(矢印A)移動する。面取り部26を設けることで、このタング部材17が引っ掛かることなく、フィンガ部材15aの下側にスライドしやすくなり、その結果、組立ての効率が向上する。所定位置にあるとき、タング部材17はまた、溝41内に部分的に位置している(
図5A及び
図5Bから分かるように)。
【0040】
この位置にひとたび入ると、フィンガ部材15aを下方に(矢印Bで示すように)押圧することができる。使用中、フィンガ部材15aは、角度付き位置から下方に(例えば、押圧されるか、又は打ち込まれることによって)移動する。
図6Cに示すように、フィンガ部材15aの軸方向厚さが薄くなっているため、フィンガ部材15aは、バンド11の外周面13と実質的に位置合わせされている/面一になる位置を通過するように移動し得る(これは多くの場合、オーバーベンディングと呼ばれる)。
図5Bに示すように、印加された力が除去されると、フィンガ部材15aは、バンド11の外周面13と実質的に位置合わせされる位置まで跳ね戻る(ショルダ部22と、バンド材料の復元力とに部分的に起因する)。
【0041】
ここで、バンド11は閉鎖位置に(タング部材17が凹部19内に位置している状態で)戻されている。タング部材17とフィンガ部材15a、15bとはここで連結され、第1及び第2の端部14、16は、互いに対して径方向に固定される。タング部材17はまた、溝41内に部分的に位置することにより、軸方向に固定される。
【0042】
ここで、保持リング10はボア40の溝41内に装着され、これによって構成部品42を定位置に固定することができる。
【0043】
リング210を使用する一代替実施形態では、フィンガ部材215aはフィンガ部材15aと同じ角度だけ撓むが、このフィンガ部材215aの終端部は、それ自体の長さが短いために、移動する距離がはるかに短くなる。このことは、使用中にバンドを装着しやすくするのに役立ち得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、本リングを定位置に固定し続けるのを補助するために、バンドの一方端が、固定孔部223(
図8及び
図9に示す)などを介して構成部品42に固定され得る。
【0045】
連結すると、タング部材17の終端部25と凹部19の基部との間に、間隙20が形成される。上述したように、間隙20は使用中、タング部材17とフィンガ部材15a、15bとの間で起こる周方向のいずれの相対移動をも収容することができる。フィンガ部材15a、15bとタング部材17との間で生じる相対移動は、ボア及び/又はボア内に取り付けられた構成部品の回転動作に少なくとも部分的に起因する、熱膨張及び熱収縮によって引き起こされ得る。
【0046】
そのような移動は間隙20が存在することによって対処されるため、フィンガ部材15a、15bが、使用中にそれらの連結位置から嵌合解除されることはなくなる。したがって、バンド11は、バンドの直径にいずれかの変動があるにもかかわらず、使用中に完全な(切れ目のない)360度の円周を維持する。そのため、構成部品においてボア内に取り付けられる部分はすべて、保持リング10からの均等で途切れのない支持を有することになる。
【0047】
図5Bから分かるように、フィンガ部材15aの軸方向厚さが薄くなっているということは、フィンガ部材15aと構成部品42の表面との間に間隙43が形成されていることを意味する。ボア40の溝41からリング10を取り外すために、レバー(マイナスドライバーなどの)の先端をこの間隙43内に挿入して、フィンガ部材15aが上向きにこじ開けられ得る。これにより、タング部材17が凹部19から滑り出ることができ、次いで溝41からリング10が取り外され得る。重要なのは、リング10を装着したり、取り外したりするために専門的な器具や技術が必要になることはないということである。
【0048】
図7A、
図7B、及び
図7Cは、リング10を使用して、タービンブレード50をドラム60に固定している別の実施例を示す。
図7Aは、タービンブレード50の斜視図及び側面図を示す。各タービンブレード50は、基部52に取り付けられたブレード部51を備える。基部52は、ベースプレート53及び根元部55を含む。ベースプレート53は第1のリップ部54を含み、この第1のリップ部54は、リップ部54と根元部55との間に第1の溝56を形成している。
【0049】
ドラム60は円形断面を有し、ドラム60の外周面に沿って等距離に配置された、軸方向に延在するノッチ62を含む。各ノッチ62は第2のリップ部64によって周方向に分離され、第2のリップ部64とドラム60との間に第2の溝を画定している。
【0050】
使用中、タービンブレード50の根元部55はノッチ62内に差し込まれる。ノッチ62の形状は根元部55の形状(従来型のモミの木形状など)を補完し、その結果、これら2つが連結している。したがって、ひとたび連結すると、タービンブレード50はドラム60に径方向に固定される。
【0051】
連結すると、ドラム60の周縁を中心に連続したリップ部及び溝が形成されるように、第1のリップ部54は、隣接する第2のリップ部64間に位置するようになる。次いで、リング10は、上述したのと同じ方法で、これらの溝内に装着され得る。ひとたび装着されると、タービンブレード50もドラム60に軸方向に固定される。
【0052】
例示的な実施形態を参照しながら本発明について上述したが、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更又は修正をなすことが可能であることが理解されよう。
【国際調査報告】