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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】超音波霧化シート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
H04R17/00 330H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560341
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2020085890
(87)【国際公開番号】W WO2020216212
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】201910333186.5
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521439958
【氏名又は名称】深▲せん▼市尚進電子科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen shangjin electronic technology co. LTD
【住所又は居所原語表記】Room 306, building 4, area B, xueziwei, yabian community, shajing street, baoan district, Shenzhen,China
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】鄭瑶
(72)【発明者】
【氏名】蘇秋紅
(72)【発明者】
【氏名】栗松万
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019AA26
5D019BB02
5D019BB12
5D019BB28
5D019BB30
5D019FF06
(57)【要約】
超音波霧化シートは、圧電セラミックシートおよび少なくとも1つの複合板を含み、前記複合板は圧電セラミックシートの一側に固定されており、前記複合板は基材および導電層を含み、前記導電層は圧電セラミックシートに接触されており、前記基材上に霧化穴が設けられており、前記基材は高分子膜とする。本願で提供される超音波霧化シートは、圧電セラミックシートと複合板からなるもので、複合板は基材および導電層を含み、基材は高分子膜とする。従来のステンレス薄片に比べると、圧電セラミックシートへの変形に対する強度の要求が低くて、圧電セラミックシートで小さいエネルギーを生じていれば高分子膜を振り動かして変形させ得る。また、穴開けの難度も低下させ、金属残物の飛びもなく、金属残物による液体通過効率の悪影響をなくし、そして、金属の切れ裂きが生じ易いという問題も解決する。なお、金属残物除去のための長時間洗浄が要らないため、方法プロセスが簡単化され、重金属による汚染が回避される。特に重要なのは、医療分野で応用する場合、高分子膜はステンレス薄片より安全である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波霧化シートであって、
圧電セラミックシートおよび少なくとも1つの複合板を含み、前記複合板は圧電セラミックシートの一側に固定されており、前記複合板は基材および導電層を含み、前記導電層は圧電セラミックシートに接触されており、前記基材上に霧化穴が設けられており、前記基材は高分子膜とする、
ことを特徴とする超音波霧化シート。
【請求項2】
前記基材はPI膜とし、前記導電層は銅箔とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化シート。
【請求項3】
前記基材はPI膜、前記導電層はステンレスシートとする、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化シート。
【請求項4】
2つの複合板を含み、それぞれは第1の複合板と第2の複合板であり、前記第1の複合板の基材は第1のPI膜とし、前記導電層は第1の銅箔とし、前記第1の銅箔は圧電セラミックシートの一側に固定されており、前記第2の複合板の基材は第2のPI膜とし、前記導電層は第2の銅箔とし、前記第2の銅箔は圧電セラミックシートの他側に固定されており、前記第2のPI膜上に霧化穴が設けられており、前記第1の銅箔の一部は圧電セラミックシートの第1の電極となり、前記第2の銅箔の一部は圧電セラミックシートの第2の電極となる、
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波霧化シート。
【請求項5】
前記第1の複合板はさらに第3のPI膜を含み、前記第3のPI膜は前記第1の電極上に固定されており、前記第2の複合板はさらに第4のPI膜を含み、前記第4のPI膜は前記第2の電極上に固定されており、前記第3のPI膜と第4のPI膜とが固定接続されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波霧化シート。
【請求項6】
前記第2の複合板はさらに第5のPI膜を含み、前記第5のPI膜は第2の銅箔上を覆っているとともに、圧電セラミックシートの中心キャビティに対向している、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の超音波霧化シート。
【請求項7】
前記複合板は1つであり、それは第3の複合板であり、前記第3の複合板の基材は第6のPI膜とし、その導電層は第3の銅箔とし、前記第3の銅箔は圧電セラミックシートの底面に固定されており、前記第6のPI膜上に霧化穴が設けられており、前記第3の銅箔の一部は圧電セラミックシートの第1の電極となり、前記圧電セラミックシートの頂面に第2の電極となる第4の銅箔が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化シート。
【請求項8】
前記基材は、圧電セラミックシートの中心キャビティを覆い得る円形部と、および円形部に接続されるリア部と、を含み、前記導電層は環形部および環形部に接続されるリア部を含み、前記基材の円形部と導電層の環形部とが接続され、前記基材のリア部と導電層のリア部とが接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化シート。
【請求項9】
前記基材の円形部上に霧化穴エリアが設けられ、霧化穴エリア内にミクロンレベルの霧化穴が設けられている、
ことを特徴とする請求項8に記載の超音波霧化シート。
【請求項10】
前記霧化穴エリアは圧電セラミックシート側へ突出するドーム形凸台512である、
ことを特徴とする請求項9に記載の超音波霧化シート。
【請求項11】
前記導電層は鉛フリー錫半田層を介して圧電セラミックシートに固定接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化シート。
【請求項12】
前記導電層は加圧熱固導電粘着膜を介して圧電セラミックシートに固定接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化シート。
【請求項13】
前記霧化穴の圧電セラミックシート側の内径は圧電セラミックシートと反対側の内径より小径とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化シート。
【請求項14】
霧化穴の圧電セラミックシート側の内径は2μm~8μmとし、前記霧化穴の圧電セラミックシートと反対側の内径は20μm~60μmとする、
ことを特徴とする請求項13に記載の超音波霧化シート。
【請求項15】
超音波霧化シートの製造方法であって、
S1:第2の複合板の第2のPI膜に対してレーザーで穴開けを行って、霧化穴を形成するステップと、
S2:鉛フリー錫半田をスクリーン印刷或いは粘着剤ディスペンサー方法によって圧電セラミックシートの頂面と底面にプリントして、鉛フリー錫半田層を形成するステップと、
S3:第1の複合板と第2の複合板をそれぞれ初歩に圧電セラミックシートの頂面と底面に粘着させるステップと、
S4:リフローハンダ設備によって第1の複合板、第2の複合板、圧電セラミックシートを固化させるステップと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の超音波霧化シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波霧化の技術分野に関し、具体的には超音波霧化シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、網穴型霧化駆動技術がすでに成熟しつつあり、多くの業界では超音波霧化技術を応用している。超音波霧化技術の応用によって、例えばエネルギー消費の大幅低減、霧粒の縮小、霧粒の良好な一貫性などが実現され、従来の様々な欠陥を克服している。
【0003】
図1に示すように、従来の超音波霧化シートの主要な構成は、圧電セラミックシート10と、中心部に大量のミクロンレベルの小穴を有するステンレス金属薄片20と、圧電セラミックシート10の1つの電極上に半田付けられた導電ワイヤ30と、ステンレス金属薄片20上に半田付けられた他の導電ワイヤ40とを含み、圧電セラミックシート10とステンレス金属薄片20とが粘着剤を介して接続されている。
【0004】
その動作原理は下記のとおりである。
圧電セラミックシート10の両電極間に電圧を加えると、拡張性の変形を引き起こす。駆動電圧が交流信号である場合、圧電セラミックシート10において周波数が交流信号と一致する繰り返し変形を発生する。圧電セラミックシート10の平面上に一層の金属薄片材料を粘着させる。圧電セラミックシート10の電極上に電圧を加えると、圧電セラミックシート10で生じた変形が粘着材料を介して金属薄片平面上に伝達される。この時、金属薄片材料の円形位置に1つの応力点が生じられる。金属薄片材料の中心部においてパンチや他の方法により1つのドーム面を形成すれば、圧電セラミックシート10の変形が金属薄片平面上に伝達されて中心位置で引上げ応力を生じると、平面方向に垂直に変位が生じる。
【0005】
この時に、金属薄片の底面と液体とを接触させれば、金属薄片が絶えずに液体を打つ。液体の圧縮率が高くないため、金属薄片の中心で液体を打つと液体の表面において大きい圧力を発生する。金属薄片中心のドーム面に穴を開けている場合、金属薄片が液体の表面を打つと液体の一部が圧力を受けて液体内に一定の圧力を生じる。液体の圧力が開口の位置から解放することで、一部分の液体が穴の位置から押し出しされて、それで霧化が実現される。
【0006】
しかし、従来の超音波霧化シートは一般的に以下の欠点がある。
1)変形エネルギーが、ステンレス金属薄片上に伝達され、かつステンレス金属材料の硬度が高いため、圧電セラミックシート10の変形に対する強度の要求が高い。圧電セラミックシート10はより大きなエネルギーを生じてステンレス金属薄片を振り動かして変形を発生させる必要がある。
【0007】
2)粘着剤は人力による粘着剤のディスペンサー方式を採用するので、圧電セラミックシート10とステンレス金属薄片との粘着後の粘着剤形状が予測できなくなるため、模式図を使ってその位置と形状を識別することが不便である。そして、他の1つの電極の導電ワイヤは、ステンレス金属薄片上に半田付けられるので、粘着剤の導電率に対して要求があり、粘着剤は良好な導電性を有すべきである。変形エネルギーの伝達キャリアとしては、化学的な粘着剤となり、且つ粘着剤の導電性は、金属材料の比でなく、一定の抵抗を持っていて、電流の伝達ロスをもたらす。
【0008】
3)ミクロンレベルの網穴はステンレス金属薄片上に加工する必要があるので、穴開け設備の功率に対して高い要求があり、金属薄片の表面に円錐形状の穴を形成するために穴開け設備には十分なエネルギーがある必要がある。また金属薄片の熱伝導速度が速いので、穴開けの過程では、熱の伝搬ムラによって多くの金属残物が生じられ、一部の金属残物が半熔融状態を呈し穴の内壁に付着するので、網穴の内壁とエッジが非常に荒くて、液体通過の効率に影響する。そして、霧化シートの工作過程では金属薄片の繰り返し変形によって容易に粗い表面に応力集中点が出来ることで、金属薄片に切れ裂けが生じる恐れがある。穴開け過程で生じる金属残物が多いため、穴開け後、金属薄片を長時間に清潔する必要があり、それで大量の重金属粒子含有の廃水が生じられる。
【0009】
4)導電ワイヤの半田付け過程で生じる高温で、圧電セラミックシート10の一部区域の圧電特性を失効させやすい。常規の圧電セラミックシート10の失効温度は250℃にすぎない。導電ワイヤの半田付け過程における部分的温度が380℃まで達する。したがって、圧電セラミックシート10の一部区域が、高温のために圧電特性を失効させられる。製品全体の一貫性が悪い。
【0010】
5)ステンレス金属薄片は理想的な半田付け材料ではないが、表面と半田との間で溶接性が悪いため、ステンレス金属薄片上に導電ワイヤを半田付ける際の溶接性を向上するために、事前に酸性化学薬剤を使ってステンレス金属薄片の突出した部分の箇所を腐食させることにより、部分的表面を荒くさせる必要がある。しかし、半田付け過程では材料そのものの溶接性が悪いため、やはり半田付けの強度が高くなくて、不良な接触をもたらしやすく、導電性に影響するとともに脱離もし易い。また酸性化学薬剤の使用過程では危険性が大きく、かつ形成した汚染物が処理し難く、その方法は環境保護の要求を満たせない。
【0011】
6)実際の製品製造過程では、製造プロセスが過大で、複雑であり、且つ一部の方法は製造の自動化が実現し難いという欠陥がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本出願の発明は上記した従来技術の問題に鑑みなされたもので、圧電セラミックシートの変形に対する強度要求が低く、霧化孔の加工の難易度が低く、製品の品質が安定している超音波霧化シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記技術問題を解決するために、本発明は、
超音波霧化シートであって、
圧電セラミックシートおよび少なくとも1つの複合板を含み、前記複合板は圧電セラミックシートの一側に固定されており、前記複合板は基材および導電層を含み、前記導電層は圧電セラミックシートに接触されており、前記基材上に霧化穴が設けられており、前記基材は高分子膜とする。
【0014】
上記技術方案では、さらに、
前記基材はPI膜(ポリイミド樹脂膜、Polyimide Film)とし、前記導電層は銅箔とする。
上記技術方案では、さらに、
前記基材はPI膜、前記導電層はステンレスシートとする。
【0015】
上記技術方案では、さらに、
2つの複合板を含み、それぞれは第1の複合板と第2の複合板であり、前記第1の複合板の基材は第1のPI膜とし、前記導電層は第1の銅箔とし、前記第1の銅箔は圧電セラミックシートの一側に固定されており、前記第2の複合板の基材は第2のPI膜とし、前記導電層は第2の銅箔とし、前記第2の銅箔は圧電セラミックシートの他側に固定されており、前記第2のPI膜上に霧化穴が設けられており、前記第1の銅箔の一部は圧電セラミックシートの第1の電極となり、前記第2の銅箔の一部は圧電セラミックシートの第2の電極となる。
【0016】
上記技術方案では、さらに、
前記第1の複合板はさらに第3のPI膜を含み、前記第3のPI膜は前記第1の電極上に固定されており、前記第2の複合板はさらに第4のPI膜を含み、前記第4のPI膜は前記第2の電極上に固定されており、前記第3のPI膜と第4のPI膜とが固定接続されている。
【0017】
上記技術方案では、さらに、
前記第2の複合板はさらに第5のPI膜を含み、前記第5のPI膜は第2の銅箔上を覆っているとともに、圧電セラミックシートの中心キャビティに対向している。
【0018】
上記技術方案では、さらに、
前記複合板は1つであり、それは第3の複合板であり、前記第3の複合板の基材は第6のPI膜とし、その導電層は第3の銅箔とし、前記第3の銅箔は圧電セラミックシートの底面に固定されており、前記第6のPI膜上に霧化穴が設けられており、前記第3の銅箔の一部は圧電セラミックシートの第1の電極となり、前記圧電セラミックシートの頂面に第2の電極となる第4の銅箔が設けられている。
【0019】
上記技術方案では、さらに、
前記基材は、圧電セラミックシートの中心キャビティを覆い得る円形部と、および円形部に接続されるリア部と、を含み、前記導電層は環形部および環形部に接続されるリア部を含み、前記基材の円形部と導電層の環形部とが接続され、前記基材のリア部と導電層のリア部とが接続されている。
【0020】
上記技術方案では、さらに、
前記基材の円形部上に霧化穴エリア511が設けられ、霧化穴エリア511内にミクロンレベルの霧化穴510が設けられている。
【0021】
上記技術方案では、さらに、
前記霧化穴エリア511は圧電セラミックシート3側へ突出するドーム形凸台512である。
【0022】
上記技術方案では、さらに、
前記導電層は鉛フリー錫半田層を介して圧電セラミックシートに固定接続されている。
【0023】
上記技術方案では、さらに、
前記導電層は加圧熱固導電粘着膜を介して圧電セラミックシートに固定接続されている。
【0024】
上記技術方案では、さらに、
前記霧化穴510の圧電セラミックシート3側の内径は圧電セラミックシート3と反対側の内径より小径とする。
【0025】
上記技術方案では、さらに、
霧化穴510の圧電セラミックシート3側の内径は2μm~8μmとし、前記霧化穴510の圧電セラミックシート3と反対側の内径は20μm~60μmとする。
【0026】
上記技術方案では、さらに、
超音波霧化シートの製造方法であって、
S1:第2の複合板の第2のPI膜に対してレーザーで穴開けを行って、霧化穴を形成するステップと、
S2:鉛フリー錫半田をスクリーン印刷或いは粘着剤ディスペンサー方法によって圧電セラミックシートの頂面と底面にプリントして、鉛フリー錫半田層を形成するステップと、
S3:第1の複合板と第2の複合板をそれぞれ初歩に圧電セラミックシートの頂面と底面に粘着させるステップと、
S4:リフローハンダ設備によって第1の複合板、第2の複合板、圧電セラミックシートを固化させるステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明は以下の有益な効果を有する。
本願で提供される超音波霧化シートは、圧電セラミックシートと複合板からなるもので、複合板は基材および導電層を含み、基材は高分子膜とする。従来のステンレス薄片に比べると、圧電セラミックシートへの変形に対する強度の要求が低くて、圧電セラミックシートで小さいエネルギーを生じていれば高分子膜を振り動かして変形させ得る。
【0028】
また、穴開けの難度も低下させ、金属残物の飛びもなく、金属残物による液体通過効率の悪影響をなくし、そして、金属で切れ裂きが生じられやすいという問題も解決する。なお、金属残物除去のための長時間洗浄が要らないため、方法プロセスが簡単化され、重金属の汚染が回避される。特に重要なのは、医療分野で応用する場合、高分子膜はステンレス薄片より安全である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来の超音波霧化シートの構造を示す図である。
図2】本願の第1の実施例に係る超音波霧化シートの立体構成模式図である。
図3】本願の第1の実施例に係る超音波霧化シートの断面模式図である。
図4】本願の一つの実施例に係る超音波霧化シートの霧化穴の構成模式図的である。
図5】本願の第2の実施例に係る超音波霧化シートの断面模式図である。
図6】本発明の一つの実施例に係る超音波霧化シートの製造方法のプロセスを示す大略模式図である。
図7】本発明の一つの実施例に係る超音波霧化シートのより具体的な製造方法のプロセスを示す模式図である。
図8】従来型超音波霧化シートの製造方法のプロセスを示す模式図である。
図9】鉛フリー錫半田による超音波霧化シートの製造方法を示す構成模式図である。
図10】SMT粘着剤による超音波霧化シートの製造方法を示す構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本分野の当業者が理解すべきは、従来の技術の部分で述べたように、従来技術の超音波霧化シートは、ステンレス金属薄片とし、硬度が高いため、圧電セラミックに変形に対する強度の要求が高い。ステンレス金属薄片上に霧化穴を加工する場合、穴開け設備の功率への要求が高い。金属薄片の熱伝導速度が速いので、穴開けの過程では熱の伝搬ムラにより多くの飛ぶ金属残物を生じ、且つ部分の金属残物が半熔融状態を呈し穴の内壁に付着するので、その網穴の内壁とエッジが非常に荒くて、液体通過の効率に影響する。
【0031】
そして、霧化シートの工作過程では金属薄片の繰り返し変形によって容易に粗い表面に応力集中点を形成するので、金属薄片に切れ裂けが生じる恐れがある。穴開け過程で生じる金属残物が多いため、穴開け後、金属薄片を長時間掛けて洗浄する必要があり、それで大量の重金属粒子含有の廃水が生じる。
【0032】
このため、本願の発明は、圧電セラミックシートおよび少なくとも1つの複合板を含み、前記複合板は圧電セラミックシートの一側に固定されており、前記複合板は基材および導電層を含み、前記導電層は圧電セラミックシートに接触されており、前記基材上に霧化穴が設けられており、前記基材は高分子膜とする、超音波霧化シートを提供する。?
【0033】
本願で提供される超音波霧化シートは、圧電セラミックシートと複合板からなるもので、複合板は基材および導電層を含み、基材は高分子膜とする。従来のステンレス薄片に比べると、圧電セラミックシートへの変形に対する強度の要求が低くて、圧電セラミックシートで小さいエネルギーを生じていれば高分子膜を振り動かして変形させ得る。また、穴開けの難度も低下させ、金属残物の飛びもなく、金属残物による液体通過効率への悪影響をなくし、そして、金属薄片で切れ裂きが生じられやすいという問題も解決する。
【0034】
なお、金属残物除去のための長時間洗浄が要らないため、製造方法のプロセスが簡単化され、重金属の汚染が回避される。特に重要なのは、医療分野で応用する場合、高分子膜はステンレス薄片より安全である。
なお、基材プラス導電層という構成の複合板を直接的に利用すれば、製造方法を簡単化でき、自動化生産の実現に貢献している。
本出願の上記目的、特徴、有益効果をより明確に分かりやすくするために、以下に添付の図面を参照して本出願の具体的な実施形態について詳細に説明する。説明した実施形態は、全ての実施形態ではなく、本出願の一部の実施形態であることは明らかである。本出願の実施例に基づいて、当業者は、創造的な労働がなされていないことを前提として取得される他のすべての実施形態は、本出願の保護の範囲に属する。
【0035】
本出願の説明では、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「縦」、「水平」、「内」、「外」などが示す方位または位置関係は、図面に基づく方位または位置関係であり、本明細書の説明および簡略化のためだけに用いられ、説明を容易にするためである。指示または暗示ではなく、特定の方位を有する装置または要素が特定の方位で構成され、操作されなければならないということではなく、本出願に対する制限としては理解できない。さらに、用語「第1」、「第2」、「第3」は説明の目的だけに用いられ、相対的な重要性を示すかまたは示唆すると理解してはならない。
【0036】
本出願の説明では、特に明確な規定と限定がない限り、用語「設置」、「接続」、「連結」は広義的な理解をすべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、または一体的に接続されてもよい。機械接続でもいいし、電気接続でもよい。直接接続しても良いし、中間媒体を介して間接的に接続しても良いし、2つの素子内部の接続であっても良い。当業者にとって、上記の用語の本明細書における具体的な意味は、具体的には理解され得る。
【実施例1】
【0037】
図2は本願の第1の実施例に係る超音波霧化シートの立体構成模式図であり、図3は本願の第1の実施例に係る超音波霧化シートの断面模式図である。
【0038】
図2図3に示すように、本実施例で提供される超音波霧化シートは、圧電セラミックシート3、第1の複合板1および第2の複合板5を含み、前記第1の複合板1と第2の複合板5はいずれもFPC材料とする。FPC材料は統合部分を採用している。その製成については、直接的に購入し、そしてそれに霧化穴を加工してもよい。
圧電セラミックシート3は環形とし、それに通電させると、規則的変形を発生することが可能である。
【0039】
第1の複合板1は、第1のPI膜11、第1の銅箔12および第3のPI膜13を含む。
PI膜とは、ポリイミド系薄膜であり、その変性材料であってもよく、例えば熱可塑性ポリイミド(TPI)あるいは類似性能の高分子系薄膜材料であってもよい。
前記第1のPI膜11と第1の銅箔12は形状が同様であり、いずれも環形部と矩形部を含み、第1のPI膜11の環形部と第1の銅箔12の環形部とが固定接続されている。
前記第1の銅箔12の環形部は圧電セラミックシート3の頂面上に固定されており、第1の銅箔12の矩形部は圧電セラミックシート3の第1の電極となり得る。具体的には、第1の銅箔12は第1の鉛フリー錫半田層2を介して圧電セラミックシート3に固定接続されている。
【0040】
前記第3のPI膜13は第1の銅箔12の矩形部、即ち第1の電極上に固定されており、かつ第3のPI膜13と第1のPI膜11それぞれ第1の銅箔12の相対面上に位置されている。
【0041】
第2の複合板5は第2のPI膜51、第2の銅箔52および第4のPI膜53を含む。
第2のPI膜51の環形部と第2の銅箔52の環形部とが固定接続されている。
前記第2の銅箔52の形状は第1の銅箔12と相同であり、環形部と矩形部を含み、第2の銅箔52の環形部は圧電セラミックシート3の底面に固定されており、第2の銅箔52の矩形部は圧電セラミックシート3の第2の電極となり得る。具体的には、第2の銅箔52は第2の鉛フリー錫半田層4を介して圧電セラミックシート3に固定接続されている。
【0042】
第1の鉛フリー錫半田層2と第2の鉛フリー錫半田層4は、下記の作用を有する。
<半田付け作用>
環形の圧電セラミックとFPCの銅箔とを一体に半田付け接続させる。一般的な場合は、低温鉛フリー半田を採用し、半田付け温度は180℃より高くない。
【0043】
<導電作用>
電圧がFPCの銅箔から圧電セラミックの金属電極上へ伝達され、錫は金属材料として非常に良好な導電性を持つ。
【0044】
<変形エネルギーの伝達作用>
環形の圧電セラミックの通電過程で生じる変形エネルギーを銅箔およびPI膜上へ伝達し、PI膜の網穴箇所に製品表面に垂直な変形移動を発生させる。
【0045】
前記第2のPI膜51は圧電セラミックシート3の中心キャビティを覆い得る円形部および円形部に接続されるリア部を含み、第2のPI膜51の円形部と第2の銅箔52の環形部とが固定接続され、第2のPI膜51のリア部と第2の銅箔52の矩形部とが固定接続されている。前記基材の円形部上に霧化穴エリア511が設けられ、霧化穴エリア511内にミクロンレベルの霧化穴510が設けられている。
【0046】
前記第4のPI膜53は第2の銅箔52の矩形部、即ち第2の電極上に固定されており、且つ第4のPI膜53と第2のPI膜51はそれぞれ第2の銅箔52の相対面上に位置されている。第4のPI膜53と第3のPI膜13とを圧着貼合させている。これによって第1の複合板1と第2の複合板5とを一体に接続させることに寄与するので、超音波霧化シートの安定性を向上し、使用寿命を延長する。また、第1の電極と第2の電極との間の絶縁のために用いられてもよい。なお、さらに第1の複合板1と第2の複合板5の導電面を平行にさせ得るので、交流信号のカップリング能力を持って、製品の電磁波空間放射を有効に低下させることができる。
【0047】
本実施例に係る超音波霧化シートの動作原理は下記のとおりである。
一定周波数の交流電圧を第1の銅箔12と第2の銅箔52上に加える。交流電圧の周波数は108KHzとされる。この時に、電圧が、第1の銅箔12と第2の銅箔52を介して圧電セラミックシート3に印加する。圧電セラミックシート3は外部電場に制御されながら、周波数の一致する規則的変形を発生および入力し、変形エネルギーが鉛フリー錫半田を介して第1の銅箔12と第2の銅箔52上へ伝達される。
【0048】
第2の銅箔52と第2のPI膜51そのものが一体に圧着されているため、第2の銅箔52の変形エネルギーが第2のPI膜51上に集中してくる。第2のPI膜51の霧化エリアにおいて周波数の一致する往復移動を発生し、かつ移動方向が超音波霧化シートの表面に垂直になる。この時に、第2のPI膜51の下面が、霧化すべき液体に触って、液体は第2のPI膜51の押出作用により霧化穴510の位置に沿って噴射し、水ミストを生成する。
【0049】
図4は本願の一つの実施例に係る超音波霧化シートの霧化穴の構成模式図的である。
図4に示すように、前記霧化穴510の圧電セラミックシート3側の内径は圧電セラミックシート3と反対側の内径より小径とする。具体的には、霧化穴510の圧電セラミックシート3側の内径は2μm~8μmとし、前記霧化穴510の圧電セラミックシート3と反対側の内径は20μm~60μmとする。
【0050】
本実施例で提供される超音波霧化シートは、下記の利点がある。
1)本実施例で提供される超音波霧化シートは、第2のPI膜51は高分子プラスチック材料の一種類であるため、良好な可塑性を有する。レーザー穴開け設備によって穴開けを行う時は、非常に小さなエネルギーだけで済む。該材料はレーザーによる穴開け過程において完全に揮発することができ、穴開け後の表面が滑らかに成れる。穴からの液体の流通過程では、抵抗が小さくて、出霧効率が高い。
【0051】
2)第2のPI膜51は穴開け過程では完全に揮発し得るので穴開け方法以降で洗浄が必要ではない。穴のエッジが滑らかであり、材料そのものの疲労寿命が金属より優秀なので、霧化シート工作過程における繰り返し変形は明確な応力集中点を招くことがなく、材料の切れ裂きの恐れがなく、霧化シートの全体としての工作寿命はすごく延長され得る。
【0052】
3)本実施例で提供される超音波霧化シートは、材料を減少させるだけでなく、大幅に製造のプロセスを減少させる。製品の製造コストを低降させ、単位時間の生産能力を向上する。
【0053】
4)第2のPI膜51そのものが、非常に立派な耐化学薬剤性と、非常に立派な生体適合性を持っているので、霧化シートの応用範囲を拡大でき、かつ医療分野への応用場合、その安全性は非常に立派である。
【0054】
<医療分野の安全性>
従来のステンレス金属薄片は、穴を開けた後、自身の強度を低下させたので、疲労作用の下であれば、破裂のリスクがある。一旦ステンレス金属薄片が破裂したら、生じた砕屑が霧化液体とともに人体に入り込んで、体の健康をひどく損なうことがある。これに対しては、本実施例の第2のPI膜51は、容易に破裂することがないし、破裂が発生したとしても、人体に入った後、身体を損なうこともない。
【実施例2】
【0055】
図5は本願の第2の実施例に係る超音波霧化シートの断面模式図である。
図5に示すように、本願の第2の実施例で提供される超音波霧化シートは、第1の実施例と大体同様であり、いずれも圧電セラミックシート3、第1の複合板1および第2の複合板5を含み、前記第1の複合板1と第2の複合板5はいずれもFPC材料とする。
【0056】
第1の実施例と比べると、第2の実施例で提供される超音波霧化シートの相違の第一は、前記第2の複合板5はさらに第5のPI膜54を含む。
第5のPI膜54は環形とする。前記第5のPI膜54は第2の銅箔52の環形部に覆設されており、第5のPI膜54と第2のPI膜51はそれぞれ第2の銅箔52の相対向面上に位置されている。
【0057】
第2の銅箔52の環形部の内径寸法は圧電セラミックシート3の内径寸法より小径とし、第5のPI膜54の外径寸法は圧電セラミックシート3の内径寸法より小径とするとともに、ドーム形凸台512の直径より大径とする。このようにすると、第2の銅箔52の円環面積をさらに大きくさせるようにできる。そして、増加部分の第2の銅箔52において腐食の不都合を生じないように第5のPI膜54によってその部分の余分面積を遮蔽するとする。それによって、圧電セラミックシート3の変形エネルギーはより大いに第2の銅箔52を経て伝達し得るという利点を得られる。
【0058】
第1の実施例と比べると、第2の実施例に係る超音波霧化シートの相違の第二は、以下のとおりである。
第1の銅箔12は第1の加圧熱固化導電粘着膜を介して圧電セラミックシート3に固定接続され、第2の銅箔52は第2の加圧熱固化導電粘着膜を介して圧電セラミックシート3に固定接続されている。加熱固化導電粘着膜はSMT(Surface Mount Technology、表面実装技術)粘着剤とする。
【0059】
鉛フリー錫半田層に代わって、SMT粘着剤を使用している。スクリーン印刷、或いは粘着剤ディスペンサー等の設備によってSMT粘着剤を圧電セラミックシート3の両面に塗覆する。ついでに、圧電セラミックシート3と第1の複合板1および第2の複合板5とを予備的に粘着させる。そして、それらをリフロー半田設備中に配置して、さらなる固化をさせる。最終的に、本発明と動作が完全に一致する製品を得られる。
【0060】
その動作原理は、前文で説明したのと同様であると理解してもよいが、ただ粘着材料は鉛フリー錫半田に代わってSMT粘着剤を用いるが、製造プロセスはまったく不変とする。改良方法の利点は、製品の製造コストをさらに低減させ得ることである。SMT粘着剤材料の操作温度が鉛フリー錫半田より低温としているので、圧電セラミックシート3の半田付け過程における影響をさらに小さくさせる。そして、電極が被覆されない圧電セラミックシート3を採用してもよく、圧電セラミックシート3の購入コストを低減させる。また、SMT粘着剤は絶縁性の粘着剤であるため、製造過程では電極のショートという不都合が発生する恐れがなく、粘着剤の溢れが生じたとしても、製品の性能へ影響を与えず、生産方法のフォールトトレラント(耐障害性)を向上している。
【0061】
特に重要なのは、SMT粘着剤を圧着させる際にして、第2のPI膜51は引締って、このように引締り状態にあるPI膜の平坦度が最も良く、かつ霧化シートのエネルギー変換効率もさらに向上している。
【0062】
第1の実施例と比べると、第2の実施例で提供される超音波霧化シートの相違の第三は、第2のPI膜51にドーム形凸台512が設けられていることである。
第2のPI膜51の円形部上に霧化穴エリア511が設けられており、前記霧化穴エリア511は圧電セラミックシート3側へ突出するドーム形凸台512であり、霧化穴エリア511内にミクロンレベルの霧化穴510が設けられている。
【0063】
第2のPI膜51は高分子プラスチック材料の一種類であり、良好な可塑性を有するので、加熱等の手段により容易に塑形させ得るので、ドーム形凸台512の成形が容易となる。
一定周波数の交流電圧を第1の銅箔12と第2の銅箔52上に加える。交流電圧の周波数は108KHzとする。この時に、電圧が第1の銅箔12と第2の銅箔52を介して圧電セラミックシート3に印加する。圧電セラミックシート3は外部電場に制御されながら、周波数の一致する規則的変形を発生し、変形エネルギーが鉛フリー錫半田を介して第1の銅箔12と第2の銅箔52上へ伝達される。第2の銅箔52と第2のPI膜51そのものが一体に圧着させるため、第2の銅箔52の変形エネルギーが第2のPI膜51上に集中してくる。第2のPI膜51の円心位置に1つのドーム形凸台512が設けられ、霧化穴510はドーム形凸台512の区域内に位置する。この時に、ドーム形凸台512の区域において周波数の一致する往復移動を発生し、かつ、移動方向が超音波霧化シートの表面に垂直となる。
【実施例3】
【0064】
第1の実施例および第2の実施例では、いずれも2つの複合板を備えているが、実際には、一の複合板を備えてもよく、この場合、第3の複合板と記す。前記第3の複合板の基材は第6のPI膜とし、導電層は第6の銅箔とし、前記第6の銅箔は圧電セラミックシートの 底面に固定され、前記第6のPI膜上に霧化穴が設けられており、前記第6の銅箔の一部は圧電セラミックシートの第1の電極となり、前記圧電セラミックシートの頂面上に第2の電極が設けられている。
【0065】
第1の実施例、第2の実施例および第3の実施例では、複合板の基材はPI膜とし、導電層は銅箔とし、即ちいずれもFPC材料である。実際には、他の実施例では、複合板はさらに、基材はPI膜、また導電層はステンレスシートの構成としてもよく、或いは他の類似の高分子膜プラス金属導電層材料としてもよい。金属導電層材料はチタン合金等の合金材料としてもよい。
【0066】
本願で提供される超音波霧化シートと従来型超音波霧化シートの構成差異を分析したが、部品と材料の点から行ったものは、表1のように得られた。
(表1)本発明の霧化シートと従来型の霧化シートの使用材料対照表
【0067】
表1によれば、本発明の超音波霧化シートと従来の超音波霧化シートの材料は、主要材料でも、補助材料でも、良好な成熟な製造方法を有する。本発明で使用される材料はいずれも環境保護の規範に合わせるものである一方、従来の超音波霧化シートは、環境保護方法に合わせない化学薬剤を用いるとともに、従来型の超音波霧化シートは2倍の材料種と多い。材料種類の複雑程度は、従来型超音波霧化シートの製造プロセスのさらなる複雑さを招く。
【0068】
図6は本発明の一実施例に係る超音波霧化シートの製造方法のプロセスを示す大略模式図である。
図6に示すように、本願に係る超音波霧化シートの製造方法は、下記を含む。
S1:第2の複合板の第2のPI膜に対してレーザーで穴開けを行って、霧化穴を形成する。
S2:鉛フリー錫半田をスクリーン印刷或いは粘着剤ディスペンサー方法によって圧電セラミックシートの頂面と底面にプリントして、鉛フリー錫半田層を形成する。
S3:第1の複合板と第2の複合板をそれぞれ予備的に圧電セラミックシートの頂面と底面に粘着させる。
S4:リフローハンダ設備によって第1の複合板、第2の複合板、圧電セラミックシートを固化させる。
S5:検査。検査が合格になると、超音波霧化シートを得られる。
【0069】
図7は本願の一実施例に係る超音波霧化シートのより具体的な製造方法のプロセスを示す模式図である。図8は従来型超音波霧化シートの製造方法のプロセスを示す模式図である。
図7図8の対比によれば、本願で提供される超音波霧化シートは、材料を減少させるだけでなく、大幅に生産製造のプロセスを減少させる。製品の製造コストを低降させ、単位時間の生産能力を向上する。具体的な差異は以下のとおりである。
従来型の超音波霧化シートの製造過程における洗浄とベーキング方法は、洗浄設備とベーキング設備がいずれも流れ生産設備でないので、生産ラインで一定の数量を累積した後、人手によって設備へ移動する必要がある。そして設備の中で連続的に作業すれば、その方法によってショートボード効果をもたらし、生産ラインに大量の中継用保管場所が必要となり、且つ人手の必要量が大きい。
【0070】
従来型超音波霧化シートの製造過程における導電ワイヤの半田付けは、溶接工に重大に依存する。ステンレス金属材料の溶接性が悪いため、半田付けそのものの効率が高くなくなり、半田付け過程で生じる高温によって圧電セラミックを壊しやすい。
従来型超音波霧化シートの製造方法は、大量の中継用保管場所が必要で、且つ、プロセスが複雑すぎて、サイトの需要量が大きく、生産能力を増加させると、利用率が著しく低下する。
従来型超音波霧化シートは、生産設備の種類への要求が多いので、生産ラインの構築コストが高く、設備減価償却により高コストとなる。
【0071】
これに対して、本発明の超音波霧化シートの製造方法は、一部のプロセスにおいてロボットを用いることにより生産ラインの自動化が実現され得るので、生産ラインの完全的な流れ生産が実現可能である。すべての工程は同じリズムで動作され得るので、単位時間の生産効率が大きくあげられる。空間への要求が極めて低い。生産能力に対してフレキシブル的な管理を図れる。生産能力をさらに増加させると、空間利用率が向上し、サイトの使用費用が低下する。最も重要なのは、新規の霧化シートは生産の過程では生じる汚染物が極少であり、非常にエコ的な製造方法であり得る。新規の霧化シート製造方法は設備種類への需求が極めて少なく、レーザー穴開け設備およびリフローハンダ設備だけで済み、生産ラインの構築コストは著しく低下する。
【0072】
本発明の超音波霧化シートと従来型の超音波霧化シートの個々特点を対比して、本発明の霧化シートと従来型霧化シートの対照表は、表2のように得られる。
(表2)本発明の霧化シートと従来の霧化シートの対照表
【0073】
表2によれば、本発明は、超音波霧化シートの材料、構成応用上で改良することで、生産方法上のさらなる改良をもたらし、最終的に、従来の製品より、性能がすぐれ、生産方法がよりエコとなる新製品を得られる。
【0074】
特筆すべきは、圧電セラミックシートの動作原理は下記のとおりである。圧電セラミックシートの両面電極に電圧を加えれば、圧電セラミックシートを変形させ得る。また、圧電セラミックシートのセラミックそのものが非導体であるため、そこで変形が生じる原因は、電極に印加された電圧で生じる空間電場に繋がっている。したがって、圧電セラミックシートの特性というと、第1の複合板および第2の複合板は圧電セラミックシートの両面に貼合されれば、電極と接続を取っていない場合でも、第1の複合板と第2の複合板中の金属層に電圧を加えると、圧電セラミックシートの両面に1つの空間電場を形成することができ、それによって変形を発生させる、と理解してもよい。
【0075】
以上の原理に基づいて、電極が被覆されない圧電セラミックシートを採用してもよく、すなわち、圧電セラミックシートの両面に金属電極の塗層が設けられず、それを第1の複合板と第2の複合板の中間に配置するとともに、絶縁性の粘着剤によってそれらを粘着させてもよい。粘着剤は、変形力の伝達作用を発揮するとともに、第1の複合板と第2の複合板を圧電セラミックシートの両面に固定する作用を発揮する。この時に、電圧を導電金属層に加えれば、圧電セラミックシートを変形させ得る。そして、変形のエネルギーは粘着剤を介して第2の複合板上へ伝達することでそのエネルギーが利用される。この応用では第1の複合板と第2の複合板の銅箔層は、圧電セラミックの電極と理解してもよい。
【0076】
以上の原理に基づいて、且つ方法を簡単化させるために、以下の最適化が行われてもよい。鉛フリー錫半田に代わって「SMT粘着剤」と呼ばれる粘着剤を使用する。スクリーン印刷、或いは粘着剤ディスペンサー等の設備によってSMT粘着剤を圧電セラミックシートの両面に塗覆する。ついでに、圧電セラミックシートと第1の複合板および第2の複合板とを予備的に粘着させる。そして、それらをリフロー半田設備中に配置して、さらに固化させる。最終的に、本発明と動作が完全に一致する製品を得られる。その動作原理は、前文で説明したのと同様であると理解してもよいが、ただ粘着材料は鉛フリー錫半田に代わってSMT粘着剤にしているが、製造プロセスはまったく不変とする。改良方法の利点は、さらに製品の製造コストを低減させ得ることである。SMT粘着剤材料の操作温度が鉛フリー錫半田より低温であるので、圧電セラミックシートの半田付け過程における影響をさらに小さくさせる。そして、電極が被覆されない圧電セラミックシートを採用してもよく、圧電セラミックシートの購入コストを低減させる。また、SMT粘着剤は絶縁性の粘着剤であるため、製造過程では電極ショートという不都合が発生する恐れがなく、粘着剤の溢れが生じたとしても、製品性能へ影響を与えず、生産方法のフォールトトレラントを向上する。
【0077】
図9は鉛フリー錫半田による超音波霧化シートの製造方法の構成模式図である。
図10はSMT粘着剤による超音波霧化シートの製造方法の構成模式図である。
図9および図10においては、例えばPI膜層など、製品の他の層が省略される。改良の箇所を容易に理解するために、圧電セラミックシートの電極層A3、A5を追加し、順序に序号を付けている。各層の明細は表3に示される。
(表3)鉛フリー錫半田による霧化シートとSMT粘着剤による霧化シートの製造対照表
【0078】
表3によれば、SMT粘着剤とするので、圧電セラミックシートへの要求を低下させ、圧電セラミックシートには導電塗層が必要としなくなり、またSMT粘着剤と圧電セラミックシートのセラミック本体はいずれも絶縁材料とし、半田付け過程では粘着剤の溢れ等によって電極の短絡故障を発生することを無くす。同時に、圧電セラミックシートの工作性能への悪影響もない。
【0079】
以上より、本出願が提供する超音波霧化シート及びその製造方法は、以下の利点を有する。
1、本発明の超音波霧化シートと従来の超音波霧化シートの材料は、主要材料でも、補助材料でも、良好な成熟な製造技術を有する。本発明で使用される材料はいずれも環境保護の規範に合わせるものである一方、従来の超音波霧化シートは、環境保護技術に合わせない化学薬剤を用いるとともに、従来型の超音波霧化シートは2倍の材料種と多い。材料種類の複雑程度は、従来型超音波霧化シートの製造プロセスのさらなる複雑さを招く。
【0080】
2、本実施例で提供される超音波霧化シートは、第2のPI膜51は高分子プラスチック材料の一種類であるため、良好な可塑性を有する。レーザー穴開け設備によって穴開けを行う時は、非常に小さなエネルギーだけで済む。該材料はレーザーによる穴開け過程において完全に揮発することができ、穴開け後の表面が滑らかに成れる。穴からの液体の流通過程では、抵抗が小さくて、出霧効率が高い。
【0081】
3、第2のPI膜51は穴開け過程では完全に揮発し得るので穴開け工程以降で洗浄が必要ではない。穴のエッジが滑らかであり、材料そのものの疲労寿命が金属より優秀なので、霧化シート工作過程における繰り返し変形は明確な応力集中点を招くことがなく、材料の切れ裂きの恐れがなく、霧化シートの全体としての製品寿命はすごく延長され得る。
【0082】
4、第2のPI膜51そのものが、非常に立派な耐化学薬剤性と、非常に立派な生体適合性を持っているので、霧化シートの応用範囲を拡大でき、かつ医療分野への応用場合、その安全性は非常に立派である。
【0083】
5、本実施例で提供される超音波霧化シートは、材料を減少させるだけでなく、大幅に生産製造のプロセスを減少させる。製品の製造コストを低降させ、単位時間の生産能力を向上する。
【0084】
6、本発明の超音波霧化シートの製造方法は、一部のプロセスにおいてロボットを用いることにより生産ラインの自動化が実現され得るので、生産ラインの完全的な流れ生産が実現可能となる。すべての工程は同じリズムで動作され得るので、単位時間の生産効率が大きくあげられる。空間への要求が極めて低い。生産能力に対してフレキシブル的な管理を図られる。生産能力をさらに増加すると、空間利用率が向上し、サイトの使用費用が低下する。最も重要なのは、新規の霧化シートは生産の過程で生じる汚染物が極少であり、非常にエコ的な製造方法であり得る。新規の霧化シート製造方法は設備種類への要求が極めて少なく、レーザー穴開け設備およびリフローハンダ設備だけで済み、生産ラインの構築コストは著しく降下される。
【0085】
本出願の開示は上記のとおりであるが、本出願はこの限りではない。いかなる当業者も、本願の精神及び範囲を逸脱しない限り、様々な変更および修正が可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に係る範囲に準ずるものとする。
【符号の説明】
【0086】
圧電セラミックシート 10
ステンレス金属薄片 20
導電ワイヤ 30
導電ワイヤ 40
第1の複合板 1
第1の鉛フリー錫半田層 2
圧電セラミックシート 3
第2の鉛フリー錫半田層 4
第2の複合板 5
第1のPI膜 11
第1の銅箔 12
第3のPI膜 13
第2のPI膜 51
第2の銅箔 52
第4のPI膜 53
第5のPI膜 54
霧化穴 510
霧化穴エリア 511
ドーム形凸台 512
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】