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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】圧力変化検出用シリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/178 20060101AFI20220622BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20220622BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
A61M5/178
A61M5/315 502
A61M5/315 510
A61M5/31 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560404
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 US2020029040
(87)【国際公開番号】W WO2020219404
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/873,991
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/836,733
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441722
【氏名又は名称】フラットテック,エルエルシー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リ-ユ,リン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン-フ,ルオ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066FF05
4C066GG16
4C066HH12
4C066HH17
4C066HH22
4C066LL15
4C066QQ15
4C066QQ48
4C066QQ58
4C066QQ78
4C066QQ82
(57)【要約】
【課題】本発明は圧力変化検出用シリンジを提供する。
【解決手段】シリンジは、成分を受容するためのリザーバを画定するバレルと、リザーバ内を移動可能なピストンと、プランジャと、を含む。バレルは更に、近位端と、出口を有する遠位端と、バレルの外周に形成された1対のフィンガを有する係合部材と、バレルの外周から延伸すると共に係合部材に近接して配設されたリブと、を含む。プランジャは、第1及び第2のプランジャ部と、第1及び第2のプランジャ部を支持するベースプレートと、を含む。第1のプランジャ部は、リザーバによって部分的に受容されると共に摺動可能にピストンと係合される。第2のプランジャ部は更に、係合部材のフィンガが解放可能に掛け止めする、第2のプランジャ部の周囲の少なくとも1つの止めレッジと、リブ及びベースプレートとそれぞれ係合する第1及び第2の端部を有する第1の付勢部材のための区画と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分を受容するためのリザーバを画定するバレルであって、近位端及び出口を有する遠位端と、前記バレルの外周に形成された1対のフィンガを有する係合部材と、前記バレルの前記外周から延伸すると共に前記係合部材に近接して配設されたリブと、を含む、バレルと、
前記リザーバ内で移動可能なピストンと、
プランジャと、
を備え、
前記プランジャは、
前記リザーバによって部分的に受容されると共に摺動可能に前記ピストンと係合された第1のプランジャ部と、
第2のプランジャ部であって、前記係合部材の前記フィンガが解放可能に掛け止めする少なくとも1つの止めレッジであって前記第2のプランジャ部の周囲に形成された止めレッジと、第1及び第2の端部を有する第1の付勢部材を収容するための区画と、を含む、第2のプランジャ部と、
前記第1及び第2のプランジャ部を支持するベースプレートと、
を有し、
前記第1の付勢部材の前記第1及び第2の端部は、前記リブ及び前記ベースプレートとそれぞれ係合する、
圧力変化検出用シリンジ。
【請求項2】
前記係合部材の前記フィンガと前記少なくとも1つの止めレッジとが係合されていないときには、前記第1の付勢要素は通常状態にあり、
前記プランジャと前記バレルとの前記相対位置が変化するときには、前記第1の付勢要素は圧縮される、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項3】
前記第1のプランジャ部と前記第2のプランジャ部とは、略平行である、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項4】
前記第1の付勢要素は、ばねである、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項5】
前記ピストンは更に、圧力センサを含む、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項6】
前記シリンジは更に、チップを有する穿刺装置を含み、
前記穿刺装置は、前記バレルの前記出口端に取り外し可能に接続されている、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項7】
前記穿刺装置は更に、第2の入口を含む、請求項6の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項8】
前記ピストンは更に、前記ピストンと前記第1のプランジャ部との間に配設された第2の付勢要素を含む、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項9】
前記プランジャは更に、前記ピストンと接続しているインジケータを備え、
前記インジケータは、前記ピストンの位置の変化に対して移動する、請求項8の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項10】
前記インジケータは、近位端及び遠位端にそれぞれ置かれた入口及び出口と、前記入口と出口とを接続するチャネルと、を有する、請求項9の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項11】
前記インジケータは更に、バルブを含む、請求項9の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項12】
成分を受容するためのリザーバを画定する、近位端及び出口を有する遠位端を含むバレルと、
前記リザーバ内で移動可能なピストンと、
前記リザーバ内で移動可能であると共に摺動可能に前記ピストンと係合されたプランジャと、
前記ピストンと前記プランジャとの間に配設された付勢要素と、
を備え、
前記プランジャは、前記ピストンと接続しているインジケータを有し、
前記インジケータは、近位端及び遠位端にそれぞれ置かれた入口及び出口と、前記入口と出口とを接続するチャネルと、バルブと、を含み、
前記付勢要素の緊張状態は、前記バレルの前記リザーバ内における前記ピストンの異なる相対位置を表す、
圧力変化検出用シリンジ。
【請求項13】
前記シリンジは更に、前記バレルの前記遠位端に取り外し可能に接続されたチップを有する穿刺装置を含む、請求項12の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項14】
前記インジケータは、前記付勢要素が第1の状態にあるときには前記プランジャに対して第1の位置にあり、
前記インジケータは、前記穿刺装置の前記先端が質量の第1の場所に到達するときの前記リザーバの内部の第1の圧力変化に応じて前記第1の位置を維持する、請求項13の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項15】
前記インジケータは、前記穿刺装置の前記先端が質量の前記第1の場所に到達するとき、前記プランジャの端部から突出しない、請求項14の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項16】
前記インジケータは、前記付勢要素が第1の状態にあるときには前記プランジャに対して第1の位置にあり、
前記インジケータは、前記穿刺装置の前記先端が質量の第1の場所に到達するときの前記リザーバの内部の第1の圧力変化によって生じる前記付勢要素の第2の状態に応じて前記第1の位置から第2の位置に移動する、請求項13の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項17】
前記インジケータは、前記穿刺装置の前記先端が前記質量の第2の場所に到達するときの前記リザーバの内部の第2の圧力変化によって生じる前記付勢要素の第3の状態に応じて前記第1の位置から第3の位置に移動し、
前記インジケータの位置の変化は、視覚的に検出可能である、請求項16の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項18】
前記インジケータの一部は、前記穿刺装置の前記先端が前記質量の前記第2の場所に到達するとき、前記プランジャの端部から突出する、請求項17の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項19】
前記第2の圧力変化は、前記第1の圧力変化よりも大きい、請求項17の圧力変化検出用シリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本願は、2019年4月22日に提出された米国仮出願第62/836,733号及び2019年7月15日に提出された米国仮出願第62/873,991号の優先権を主張する。両出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本出願はシリンジに係り、より詳細には、圧力変化を検出することができ、更には管の種類を識別することができるシリンジに関する。
【0003】
[0003] 針、ガイドワイヤ、及びカテーテルを様々な適応のために管内に設置する目的で、多くの血管アクセス処置がセルディンガー法によって行われる。中心静脈カテーテル法(CVC)を例にとると、これは、内科医がシリンジ又はガイドワイヤ設置デバイスに接続された針で中心静脈の位置を突き止める処置であり、この処置の要点は、動脈の大口径穿刺を回避するべく、動脈を静脈と区別することである。
【0004】
[0004] しかしながら、現在の技術は、血液の色によって又は別のチューブを接続して流量脈動を見ることによって動脈を区別することを内科医に要求するものであり、これは主観的であると共に精度が低い。また、動脈穿刺の約0.8%は、中心静脈カテーテル法の最中には識別することができない。更に悪いことには、現在の実施方法は感染症及び空気塞栓症のリスクを高めるおそれがある。
【0005】
[0005] こうした問題に対処するために、多くの技術が提案されている。例えば、Raulersonの米国特許第5,045,065号明細書は、カテーテル導入シリンジと、患者の体内へのカテーテル又はカテーテルワイヤの導入方法と、を教示している。シリンジは、中にプランジャが摺動可能に配設された中空のシリンジバレルを含む。カテーテル導入シリンジは、標準的な気密シリンジ並びにガイドワイヤを導入するためのデバイスとして機能することができる。しかしながら、デバイスは、管の種類の穿通を区別することはできない。
【0006】
[0006] 前述の技術に比べ、侵襲性血圧を測定することは、動脈を静脈と区別するための貴重な手法である。IVアクセスに用いられる末梢静脈においては、平均血圧は4から8mmHgであり、平均値は7.1mmHgである。中心静脈圧は更に低い。平均中心静脈圧は4.1mmHgに過ぎない。一方、正常血圧患者(血圧140/90)においては、平均血圧は106mmHgである。たとえ患者に心不全などの異常がある場合でも、動脈圧は静脈圧よりもずっと高い。Gayton A.C.によるTextbook of medical physiology、フィラデルフィア、1991年、W B Saunders社の表「Blood pressure levels in different portions of the circulatory system」を参照されたい。
【0007】
[0007] いくつかの他の技術も適宜開発された。Zadiniの米国特許第6,217,558B1号明細書におけるように、Zadiniは、侵襲性血圧を検出することによって術者が血管の種類を区別することを可能にするデバイスを教示している。更に、そのデバイスは、針先端が血管に達すると、自動吸引のためにバレル内に負圧を自動的に提供することができる。
【0008】
[0008] しかしながら、負圧機構がバレル内に創設されると共に吸引バネと圧力検出バネとが同軸で設置されることから、バレルをかなり長くしなければならない。また、測定された血圧を容易に表示するためのインジケータが依然として欠けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009] 本発明の目的の一つは、圧力変化を検出することのできるシリンジを提供することである。
【0010】
[0010] 本発明の別の一つの目的は、侵襲性血圧を検出することによって血管の種類を認識することのできるシリンジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0011] 前述の目的を達成するために、本発明において提供される圧力変化検出用シリンジは、成分を受容するためのリザーバを画定するバレルと、リザーバ内を移動可能なピストンと、プランジャと、を含む。バレルは更に、近位端と、出口を有する遠位端と、バレルの外周に形成された1対のフィンガを有する係合部材と、バレルの外周から延伸すると共に係合部材に近接して配設されたリブと、を含む。プランジャは、第1のプランジャ部と、第2のプランジャ部と、第1及び第2のプランジャ部を支持するベースプレートと、を含む。第1のプランジャ部は、リザーバによって部分的に受容されると共に摺動可能にピストンと係合される。第2のプランジャ部は更に、係合部材のフィンガが解放可能に掛け止めする少なくとも1つの止めレッジであって第2のプランジャ部の周囲に形成された止めレッジと、第1及び第2の端部を有する第1の付勢部材を収容するための区画と、を含む。第1の付勢部材の第1及び第2の端部は、リブ及びベースプレートとそれぞれ係合する。
【0012】
[0012] 好適には、係合部材のフィンガと止めレッジとが係合されていないときには第1の付勢要素は通常状態にあり、プランジャとバレルとの相対位置が変化するときには第1の付勢要素は圧縮される。
【0013】
[0013] 好適には、第1及び第2の係合要素が係合されているときには第1の付勢要素は第1の段階にあり、第1及び第2の係合要素が分離しているときには第1の付勢要素は第2の段階にある。
【0014】
[0014] 好適には、第1の段階の復元力は第2の段階の復元力よりも大きい。
【0015】
[0015] 好適には、バレルは、第1の付勢要素が第1の段階にあるときにはリザーバの内部に第1の圧力を有し、第1の圧力は、出口に接続している穿刺装置が質量の第1の場所に到達するときに第1及び第2の係合要素が分離することによって生じる第1の付勢要素の第2の段階に応じて第2の圧力に変化する。
【0016】
[0016] 好適には、ピストンは、第2の付勢要素が第1の状態にあるときにはプランジャに対して第1の位置にあり、ピストンは、穿刺装置の先端が質量の第1の場所に到達するときのリザーバの内部の第1の圧力変化に応じて第1の位置を維持する。
【0017】
[0017] 好適には、ピストンは、第2の付勢要素が第1の状態にあるときにはプランジャに対して第1の位置にあり、ピストンは、穿刺装置の先端が質量の第1の場所に到達するときのリザーバの内部の第1の圧力変化によって生じる第2の付勢要素の第2の状態に応じて第1の位置から第2の位置に移動し、ピストンの位置の変化は視覚的に検出可能である。
【0018】
[0018] 好適には、ピストンは、穿刺装置の先端が質量の第2の場所に到達するときのリザーバの内部の第2の圧力変化によって生じる第2の付勢要素の第3の状態に応じて第1の位置から第3の位置に移動し、ピストンの位置の変化は視覚的に検出可能である。
【0019】
[0019] 好適には、第1の位置から第3の位置までの距離は、第1の位置から第2の位置までの距離よりも長い。
【0020】
[0020] 好適には、第2の圧力変化は第1の圧力変化よりも大きい。
【0021】
[0021] 前述の目的を達成するために、本発明において提供される圧力変化検出用シリンジは、成分を受容するためのリザーバを画定すると共に近位端と出口を有する遠位端とを含むバレルと、リザーバ内を移動可能なピストンと、リザーバ内を移動可能であり摺動可能にピストンと係合されているプランジャと、ピストンとプランジャとの間に配設された付勢要素と、を含む。プランジャはピストンと接続しているインジケータを含み、インジケータは更に、近位端及び遠位端にそれぞれ置かれた入口及び出口と、入口と出口とを接続するチャネルと、バルブと、を含む。
【0022】
[0022] 好適には、シリンジは更に、バレルの遠位端に取り外し可能に接続されたチップ(tip)を有する穿刺装置を含む。
【0023】
[0023] 好適には、インジケータは、付勢要素が第1の状態にあるときにはプランジャに対して第1の位置にあり、インジケータは、穿刺装置の先端が質量の第1の場所に到達するときのリザーバの内部の第1の圧力変化に応じて第1の位置を維持する。
【0024】
[0024] 好適には、インジケータは、穿刺装置の先端が質量の第1の場所に到達するとき、プランジャの端部から突出しない。
【0025】
[0025] 好適には、インジケータは、付勢要素が第1の状態にあるときにはプランジャに対して第1の位置にあり、インジケータは、穿刺装置の先端が質量の第1の場所に到達するときのリザーバの内部の第1の圧力変化によって生じる付勢要素の第2の状態に応じて第1の位置から第2の位置に移動する。
【0026】
[0026] 好適には、インジケータは、穿刺装置の先端が質量の第2の場所に到達するときのリザーバの内部の第2の圧力変化によって生じる付勢要素の第3の状態に応じて第1の位置から第3の位置に移動し、インジケータの位置の変化は視覚的に検出可能である。
【0027】
[0027] 好適には、インジケータの一部は、穿刺装置の先端が質量の第2の場所に到達するとき、プランジャの端部から突出する。
【0028】
[0028] 好適には、第2の圧力変化は第1の圧力変化よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
[0029] 添付図面の図中には、1つ以上の実施形態が限定としてではなく例として図示される。同一の参照番号指定を有する要素は、全図を通じて同様の要素を表す。図面は、別途開示されない限り、正確な縮尺ではない。図面の特定の部分は説明の目的で誇張されており、別途指定がない限り、限定的なものと考えられてはならない。
【0030】
図1】[0030] 本発明の第1の実施形態による圧力変化検出用シリンジを図示する概略図である。
図2a】[0031] 本発明の第1の実施形態による圧力変化検出用シリンジを図示する側面図である。
図2b】[0031] 本発明の第1の実施形態による圧力変化検出用シリンジを図示する側面図である。
図3】[0032] 本発明の一実施形態によるシリンジの動作を図示する概略図である。
図3b】[0032] 本発明の一実施形態によるシリンジの動作を図示する概略図である。
図4】[0033] 胸部前面像の静脈及び動脈の図解を示す。
図5a】[0034] 本発明の一実施形態によるシリンジの動作を図示する概略図である。
図5b】[0034] 本発明の一実施形態によるシリンジの動作を図示する概略図である。
図6a】[0035] 本発明の実施形態の一つによるシリンジを図示する概略図である。
図6b】[0035] 本発明の実施形態の一つによるシリンジを図示する概略図である。
図7a】[0036] 本発明の実施形態の一つによるシリンジがどのように用いられるのかを図示する概略図である。
図7b】[0036] 本発明の実施形態の一つによるシリンジがどのように用いられるのかを図示する概略図である。
図8a】[0037] 本発明の実施形態の一つによるシリンジを図示する概略図である。
図8b】[0037] 本発明の実施形態の一つによるシリンジを図示する概略図である。
図8c】[0037] 本発明の実施形態の一つによるシリンジを図示する概略図である。
図9】[0038] 本発明の実施形態の一つによるシリンジを図示する概略図である。
【0031】
[0039] 図面は概略的なものに過ぎず、非限定的である。図面において、要素のうちいくつかのサイズは、例示の目的で、誇張され得ると共に正確な縮尺では描かれていない。寸法及び相対寸法は、本発明の実施の実際の具体化に必ずしも対応しない。特許請求の範囲における参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されてはならない。様々な図面における同様の参照記号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[0040] 別途定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術の当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。また、一般的に用いられる辞書に定義されるもののような用語は、関連技術及び本開示の文脈における意味と一致した意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な語義で解釈されないことは理解される。
【0033】
[0041] 本明細書の全体を通じて、「一実施形態」又は「ある実施形態」を参照する場合には、その実施形態と関連して記載された特定の特色、構造、又は特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な箇所で「一実施形態において」又は「ある実施形態において」という句が登場する場合、必ずしも全てが同一の実施形態を参照している訳ではない。また、特定の特色、構造、又は特徴は、1つ以上の実施形態において任意の適当な手法で組み合わされ得る。
【0034】
[0042] 図面においては、同様の参照番号が様々な図の全体を通じて同様又は類似の要素を指定するために用いられ、本開示の例示的な実施形態が示されると共に記載される。図は必ずしも正確な縮尺で描かれてはおらず、場合によっては、図面は例示の目的で所々誇張され及び/又は簡略化されている。当業者は、以下の本開示の例示的な実施形態に基づいて、本開示の多くの可能な適用及びバリエーションを理解するであろう。
【0035】
[0043] ある要素が別の要素の「上に」あるものとして参照されるとき、それはその別の要素の直接的に上にあってもよいし、又は介在する要素が存在してもよいことが理解される。対照的に、ある要素が別の要素の「直接的に上に」あるものとして参照されるときには、介在する要素は存在しない。
【0036】
[0044] 単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうではないことを明確に示さない限りは複数形も含むことを意図されていることが理解される。また、「底部」及び「頂部」などの相対的な用語は、本明細書においては、図に図示されるようなある要素の他の要素に対する関係を記載するために用いられ得る。
【0037】
[0045] 他の要素の「下」又は「下方」にあるものとして記載される要素は、他の要素の「上」又は「上方」に配向されるであろうことが理解される。したがって、「下」又は「下方」という例示的な用語は、上及び下の両方の配向を包含し得る。
【0038】
[0046] 別途定義されない限り、本明細書において用いられる全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本開示が属する技術の当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。また、一般的に用いられる辞書に定義されるもののような用語は、関連技術及び本開示の文脈における意味と一致した意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な語義で解釈されないことは理解される。
【0039】
[0047] 図1及び図2aから図2bをまとめて参照する。図1は本発明の第1の実施形態による圧力変化検出用シリンジを図示する概略図であり、図2a及び図2bは本発明の第1の実施形態による圧力変化検出用シリンジを図示する側面図である。図1及び図2aから図2bに示されるように、本発明のシリンジ10は、圧力変化を検出することができる。シリンジ10は、成分を受容するためのリザーバ1001を画定するバレル100と、リザーバ1001内で移動可能なピストン101(図1及び2aには図示されていないが、図2bに見出すことができる)と、プランジャ102と、を含む。成分は、血液、空気、又は生理食塩水であり得る。リザーバ1001は、上述した成分のみを受容することに限定されず、他のものを受容してもよい。
【0040】
[0048] バレル100は、近位端1002と、出口1004を有する遠位端1003と、バレル100の外周1006に形成された1対のフィンガ1005を有する係合部材1005と、バレル100の外周1006から延伸すると共に係合部材1005に近接して配設されたリブ1007と、を含む。ピストン101はリザーバ1001内で移動可能である。
【0041】
[0049] プランジャ102は、第1のプランジャ部1020と、第2のプランジャ部1021と、ベースプレート1030と、を含む。また、第1のプランジャ部1020及び第2のプランジャ部1021はベースプレート1030から同じ方向で延伸している。第1のプランジャ部1020はバレル100によって部分的に受容されると共に摺動可能にピストン101と係合されており、第1のプランジャ部1020はバレル100の長手軸に沿って摺動可能である。第1及び第2の部分1020,1021はベースプレート1030によって支持されている。本実施形態においては、第1のプランジャ部1020及び第2のプランジャ部1021は略平行である。
【0042】
[0050] 第2のプランジャ部1021はフィンガ1005が解放可能に掛け止めする少なくとも1つの止めレッジ1022を含み、少なくとも1つの止めレッジ1022は第2のプランジャ部1021の周囲に形成されている。第2のプランジャ部1021は、第1及び第2の端部1040,1041を有する第1の付勢部材104を収容するための区画(図中には標識されていない)も含む。第1の付勢部材104の第1及び第2の端部1040,1041は、リブ1007及びベースプレート1030とそれぞれ係合する。
【0043】
[0051] 係合部材1005の1対のフィンガ1005と止めレッジ1022とが係合されていないときには、第1の付勢要素104は通常状態にあり、これは第1の付勢要素104が圧縮されていないことを意味する。そして、第1の付勢要素104はリブ1007とベースプレート1030との間に挟まれているので、プランジャ102とバレル100との相対位置が変化する(すなわち、プランジャ102がバレル100内へ内方に押される)ときには、第1の付勢要素104は圧縮される。第1の付勢要素104は、本発明においてはばねとして実装される。しかしながら、第1の付勢要素104は特定の形態で実装されることに限定されない。ばねの特徴を呈することのできる他の要素又はデバイスは全て本発明において適用可能である。
【0044】
[0052] 再び図2a及び図2bを参照すると、シリンジ10は穿刺装置20と接続し得る。穿刺装置20は、バレル100の出口1004の端部に取り外し可能に接続されたチップ201を有する。穿刺装置20は、本発明においては、限定されはしないが、針として実装される。また、穿刺装置20は、第2の入口202を含む。
【0045】
[0053] シリンジがどのように動作するのかを、以下の記載において詳述する。記載がより包括的なものとなり得るように、図3をまとめて参照する。図3は、本発明の一実施形態によるシリンジの動作を図示する概略図である。本発明のシリンジ10は医療従事者向けである。まず、図3aのフェーズAを参照すると、シリンジ10は当初の状態にある。つまり、シリンジ10には外力が印加されていない(又は換言すれば、プランジャ102には外力が印加されていない)。そのような状態では、第1の付勢要素104もまた当初の状態にある。つまり、第1の付勢要素104は引き伸ばされてもおらず圧縮されてもいない。いくつかの他の状況では、第1の付勢要素104は、デバイス(すなわちシリンジの部品)の部品間の接続によって僅かに圧縮され得る。しかしながら、第1の付勢要素104の当初の状態が圧縮のないものであるのかそれとも部品によって僅かに圧縮されているのかは、本発明の範囲を限定すべきではない。
【0046】
[0054] より具体的には、図2aに示されるように、本実施形態の第2のプランジャ部1021は3つの止めレッジ1027,1028,1029を有している。3つの止めレッジはそれぞれ、第1の止めレッジ1027、第2の止めレッジ1028、及び第3の止めレッジ1029である。もっとも、第2のプランジャ部1021に含まれる止めレッジの数は3つに限定されない。その数は2つであってもよく、4つであってもよく、又は4つよりも多くてもよい。しかしながら、第2のプランジャ部1021は少なくとも1つの止めレッジを含み、したがってバレルの係合部材のフィンガ1005は止めレッジと係合することができる。
【0047】
[0055] 次に、図3のフェーズAからフェーズBへの変化を参照する。シリンジ10を使用するとき、ユーザ(図中には示されていない)、例えば医師又は看護師は、プランジャ102を内方に押すであろう。第1の付勢要素104はそれに応じて圧縮される。ユーザは、プランジャ104をバレル100内の方向に押して、フィンガ1005と止めレッジ1027,1028,1029とを互いに係合させる。この瞬間、第1の付勢要素104の2つの端部1040,1041はそれぞれプランジャ102のリブ1007とベースプレート1030とによって保持されるので、第1の付勢要素104は解放され得ない。また、本実施形態においては、図3に示されるように、フィンガ1005は第3の止めレッジ1029と係合する。
【0048】
[0056] フィンガ1005と第3の止めレッジ1029とが係合されているので、たとえ第1の付勢要素104が伸びてその当初の状態に戻るための弾性を備えていようとも、第1の付勢要素104はプランジャ102が引き戻されるように強いる(又は押す)ことができない。また、バレル100内の圧力は外部環境への圧力と同一である。なぜなら、バレル100の内部にそのような負圧が生じていないからである。
【0049】
[0057] 図3のフェーズBでは更に、プランジャ102がバレル100内で下まで押され、したがって第1の係合要素1005が第3の止めレッジ1029と係合しているのが見て取れる。いくつかの他の実施形態においては、フィンガ1005は、第2の止めレッジ1028又は第1の止めレッジ1027と係合してもよい。フィンガ1005がどの止めレッジを係合するかは限定されないことは理解されるであろう。フィンガ1005が止めレッジのうちの1つと係合する限り、第1の付勢要素104は必ず圧縮される。
【0050】
[0058] 図2aから図2b及び図3に見られるように、シリンジ10は穿刺装置20と接続される。本発明においては、前の段落に記載されているように、穿刺装置20は、限定されはしないが、針として実装される。針は、フィンガ1005と止めレッジ1027,1028,1029とが係合される前又は後にシリンジ10と接続され得る。針20がシリンジ10と接続されているときは、圧力不均衡は生じない。
【0051】
[0059] ユーザは次に、針20と接続しているシリンジ10を生体に突き刺す。本実施形態においては、生体は人間である。針20が肉(又は質量)30内に入ると、ユーザは次に、図3aのフェーズCに示されるように、フィンガ1005と止めレッジ1027,1028,1029とを分離させる。本実施形態においては、ユーザは、第2のプランジャ部1021をバレル100の方に向かって軽く叩くこと、クリックすること、又は押すことによって、フィンガ1005と止めレッジ1027,1028,1029とを分離させる。この瞬間、針20は人体の肉30内にあるので、バレル100のリザーバ1001(図には示されていない)の内部に負圧が生じる。具体的には、フィンガ1005と止めレッジ1027,1028,1029とが分離されると、第1の付勢要素によって発生した復元力がベースプレート1030を押してバレル100の近位端1002から遠ざける。また、ピストン101は、バレル100の近位端1002の方向に移動され(すなわち、リザーバの容積が増大しており)、その後ボイル-マリオットの法則に従ってリザーバの内部の圧力を低減させる(すなわち、負圧を発生させる)。負圧は第1の付勢要素104を圧縮されたままで保持する。換言すれば、この瞬間にはフィンガ1005と止めレッジ1027,1028,1029とはもはや互いに係合していないものの、負圧が、第1の付勢要素104が伸びてその当初の長さに戻るのを依然として妨げるであろう。
【0052】
[0060] 図3aのフェーズCに関してもっと具体的に言えば、フィンガ1005は今や第3の止めレッジ1029との係合から解放されているが、プランジャ102は図3に示されるように負圧によって当初の位置に後退していない。そのような状況においては、フィンガ1005は止めレッジ1027,1028,1029のいずれとも係合していない。フィンガ1005はそのとき、第2の止めレッジ1028と第3の止めレッジ1029との間にある。図3aのフェーズCに示されるシリンジ10が「吸引」状態にあることは理解されるであろう。
【0053】
[0061] 状況によっては、第1の付勢要素104は、フィンガ1005と止めレッジ1027,1028,1029とが係合から解放された後で、ニードル20とシリンジ10との間の接続が完全に封止されていないなどデバイスの何らかの不完全性に起因して、少し伸びるかもしれない。しかしながら、第1の付勢要素104は、負圧によって、その最大限に達することはできない。
【0054】
[0062] ユーザはシリンジ10を肉30内へ内方に押し続ける。ユーザがシリンジ10を押し続けるとき、針20は肉30内で移動するが、第1の付勢要素104はその移動の間、圧縮されたままである。なぜなら、負圧が持続し、変化したり又はなくなったりしないからである。負圧は、図4に示されるように、針20の第2の入口202(すなわち針先端)が管40などの空間内に移動されると、なくなる。この瞬間、管40内の血液は針20を通ってバレル100内に流入する。負圧がもはや存在せず、血液がバレル100内に流れ込むので、第1の付勢要素104は解放される
【0055】
[0063] 図3bに見られるように、第1の付勢要素104はそのとき第2の止めレッジ1028と係合する。フィンガ1005が第3の止めレッジ1029との係合から解放されて第2の止めレッジ1028と係合されることは理解されるであろう。いくつかの他の実施形態においては、第1の付勢要素104は解放されてその当初の状態、すなわち当初の長さになってもよい。そのようなシナリオでは、フィンガ1005は係合部1027,1028,1029のいずれとも係合せず(図3aに示されるフェーズAに戻り)、したがってプランジャ102はその当初の位置に引き戻される。
【0056】
[0064] 本発明の利点のいくつかを以下に挙げる。その一つは、本発明において提供されるシリンジ10は、片手で操作可能であるという点である。図1に見られるように、バレル100は更にフランジ1010を含む。フランジ1010はユーザに支点を提供し、したがってユーザはプランジャ102をバレル100に容易に押し込むことができる。つまり、ユーザはシリンジ10を一方の手で十分に操作することができ、他方の手を他のタスクのために残しておくことができる。医師、看護師、又は医療従事者の観点からは、片手が残っていると、操作中に医師又は医療が他のタスクを実施するのを手伝うことができる。この点に関して、シリンジ10は医療従事者に利便性をもたらす。
【0057】
[0065] 本発明の実施形態の一つによれば、本発明において開示されるシリンジは、管の種類を区別することができる。もっと具体的に言えば、本発明のシリンジは、ある管が静脈なのかそれとも動脈なのかを術者が識別するのを支援することができる。
【0058】
[0066] シリンジがどうやって管の種類を識別することができるのかを記載する前に、まず図4を参照する。同図は胸部前面像の静脈及び動脈の図解を示す。明瞭にするため、主な血管のみが示されている。中心静脈カテーテル(CVC)挿入の標的血管は鎖骨下静脈71である。鎖骨下動脈72が鎖骨下静脈71に近接しているので、小さな針による不注意動脈穿刺率は、4.2%から9.3%の範囲に及ぶ。
【0059】
[0067] 提供されるシリンジは、不注意動脈穿刺率を更に低下させることが期待される。もっとも、本発明のシリンジの利点を説明するための一例として中心静脈アクセスが用いられるが、本明細書において提供されるシリンジの用途は制限されない。本発明において提供されるシリンジは、胸腔穿刺など、他の吸引関係用途にも適している。
【0060】
[0068] 管の種類を識別するという目標を達成するために、図5a及び図5bをまとめて参照する。ピストン501は更に、ピストン501と第1のプランジャ部509との間に配設された第2の付勢要素502を含む。本実施形態のシリンジの動作は、先のシリンジの動作と同じである。よって、便宜のために同一の記載は省略され、この第2の付勢要素502が管の種類を識別するのにどのように役立つのかのみが描写される。
【0061】
[0069] プランジャ503が押され、フィンガと止めレッジ(多くの止めレッジのうちの1つ又は単一のレッジのいずれか)とを係合させる。シリンジ10は針504と接続されており、針504は塊505に突き刺さる。ユーザはプランジャ503をクリックして、フィンガと止めレッジとの係合を解放する。ユーザはシリンジを更に塊505に押し込む。針先端が管に到達すると、血液がバレル内に(又はリザーバ508内に)流入する。
【0062】
[0070] 図5aに示されるように針先端が静脈506に到達する場合、血圧は動脈のものより相対的に小さい。静脈506の血圧は、第2の付勢要素502を押されるようにすることはできない。換言すれば、血圧が相対的に小さいので、血液がリザーバ508を十分に充填した後、血液は第2の付勢要素502を押さず、それ以上圧縮させない。図5bに示されるように針先端が動脈507に到達する場合にも、血液はリザーバ508を十分に充填するが、動脈507の血圧は静脈よりも相対的に大きいので、その血圧が第2の付勢要素502を更に圧縮させる。
【0063】
[0071] バレル510は、透明プラスチックなどの透明材料で作製されるのが好適である。バレル510が透けて見えるので、バレル510の内部のピストン501が移動するかどうかを識別することができる(第2の付勢要素502は、移動する場合、それに応じてピストン501を動かして移動させる)。つまり、ユーザは観察を通じてピストン501が移動するかを識別して、針504が静脈506に到達するのかそれとも動脈507に到達するのかを判定することができる。針504の針先端が静脈(例えば静脈506)に到達する場合には、第2の付勢要素502は圧縮させられないので、ピストン501は移動せず、針504の針先端が動脈(例えば動脈507)に到達する場合には、第2の付勢要素502は圧縮させられるので、ピストン501はそれに応じて移動する。
【0064】
[0072] 本実施形態の第2の付勢要素502は、限定されはしないが、ばねとして実装される。しかしながら、第2の付勢要素502の実施例は限定されない。本発明においてはばねの同じ効果に達することのできる他の材料又は要素が実装され得る。
【0065】
[0073] 要約すれば、バレル510は透明材料で作製されるので、ピストンの位置の変化は視覚的に検出可能である。ピストンが移動するかどうかを検出することによって、管がどの種類であるかが裸眼で識別され得る。よって、本発明のシリンジはユーザに、シリンジと接続された針が正しい位置にあるかどうかを識別するための便利性をもたらす。
【0066】
[0074] 次に、図6a及び図6bを参照する。同図は本発明の実施形態の一つによるシリンジを図示している。図6a及び図6bに見られるように、プランジャ602は更にインジケータ610を含む。インジケータ610は第1のプランジャ部6020を通過する。本実施形態においては、インジケータ610はピストン(図6a及び図6bには図示しない)としっかりと接続する。図6aでは更に、インジケータ610が第1のプランジャ部6020に収容され得ることも見て取れる。また、インジケータ610はピストンとしっかりと接続するので、ピストンが移動する場合、インジケータ610はそれに応じて移動する。
【0067】
[0075] したがって、針先端が動脈に到達し、血圧が第2の付勢要素を圧縮させるのに十分なほど大きい状況に関しては、インジケータ610はピストンの移動に対して移動することが理解されるであろう。図6bに示されるように、インジケータ610は第1のプランジャ部6020から押し出される。このインジケータ610は、針先端が動脈にあるという明らかな識別を呈する。医療従事者にとっては、インジケータ610は、針が静脈にあるのかそれとも動脈にあるのかを評価するためのより明確な識別を提供する。
【0068】
[0076] 再び図7a及び7bを参照すると、インジケータ610は、インジケータ610の近位端に挿入穴611を有する。挿入穴611は、医療グレードの金属ワイヤなどのガイドワイヤを通過させるための通路を提供する。つまり、本発明のシリンジが使用時に静脈に対して正しく位置決めされると、医療従事者は次に挿入穴611を通じてガイドワイヤを挿入し得る。ガイドワイヤは、挿入穴611、第1のプランジャ部6020、バレル605、及びシリンジの入口に接続された針604を通って静脈701に至る。ガイドワイヤを設置した後、医療従事者は、静脈に接続しているガイドワイヤを残してシリンジを取り除いてもよい。
【0069】
[0077] 図7a及び図7bは、インジケータ610の機能性のより包括的な図解を提供する。まず図7aを参照すると、針先端601が静脈701に到達するとき、血圧は第2の付勢要素703を圧縮することができないので、ピストン704は移動しない。図7bにおいて、針先端が動脈702に到達するとき、血圧は第2の付勢要素703を圧縮させるのに十分なほど大きく、ピストン704は後退し、それに応じてインジケータ610を動かして後退させるので、インジケータ610は第1の部分から外へ移動される。
【0070】
[0078] 再び図6a,図6b,図7a及び図7bを参照すると、インジケータ610は更にバルブ707を含み得る。ガイドワイヤが挿入穴611に挿入されて静脈に到達するとき、バルブ707は血液がシリンジから漏出するのを防止することができる。バルブ707は、バレルの内部の圧力が負であるときに周囲の空気がシリンジに流入するのを防止することもできる。バルブ707は更に、動脈血などの高圧血液がシリンジから漏出するのを防止することができる。
【0071】
[0079] 一実施形態においては、ピストンは更に圧力センサ(図示しない)を含み得る。圧力センサはバレル内の圧力値を検出し得る。圧力センサがどこに設置(配設)されるかは、圧力センサがバレルの内部の圧力を検知することができる限りは、限定されない。
【0072】
[0080] 次に、本発明の実施形態の一つによるシリンジを図示する概略図である図8aから図8cを参照する。シリンジ80は、バレル800と、ピストン801と、プランジャ802と、付勢要素803と、を含む。バレルは、成分を受容するためのリザーバ804を画定すると共に、近位端808と、出口807を有する遠位端806と、を含む。ピストン801はリザーバ804内で移動可能であり、プランジャ802はリザーバ804内で移動可能であると共に摺動可能にピストン801と係合する。プランジャ802は、ピストン801と接続しているインジケータ8020を含む。インジケータ8020は、近位端808及び遠位端806にそれぞれ置かれた入口及び出口と、入口と出口とを接続するチャネルと、バルブと、を含む。ピストン801とプランジャ802との間には付勢要素803が配設されている。付勢要素803の緊張状態は、バレル800のリザーバ804内におけるピストン801の異なる相対位置を表す。
【0073】
[0081] シリンジ80は穿刺装置81と接続し得る。穿刺装置81は先端810を有する。穿刺装置81はバレル800の遠位端806に接続されている。次に、シリンジ80の動作を以下に記載する。
【0074】
[0082] ユーザ(図示しない)はまず、通常は自身の指で、バレル800内の方向に向かってプランジャ802を押す。プランジャ802はピストン801を更にバレル800内へ動かす。本実施形態の穿刺装置81は針として実装されており、第1の付勢要素803はばねとして実装されている。
【0075】
[0083] 針81が質量85に突き刺さった後、ユーザは、バレル800の内部に負圧を生じさせるために、プランジャ802を僅かに後方に引かなければならない。ユーザはプランジャ802を保持して負圧を保ち、シリンジ80を質量に更に押し込む。
【0076】
[0084] ユーザがシリンジ80を質量85に押し込むにつれ、針81は最終的に管(静脈又は動脈)に到達する。針先端810が管に到達すると、血液がバレル800内に流入する。針810が静脈に到達する場合には、血液は上記で示したようにバレル800内に流入するが、血圧が付勢要素803を圧縮させるほど十分に大きくないため、ピストン801は移動しない。付勢要素803は、いくつかの他の状況においては、様々なバネの様々な弾性率によって、僅かに圧縮され得る。付勢要素803が圧縮されないのかそれとも僅かに圧縮されるのかは、シリンジ80がどのように動作するかに影響を及ぼすものではなく、本発明の範囲は限定されない。
【0077】
[0085] 針810が動脈に到達する場合には、動脈の血圧は静脈のそれよりも相対的に大きいので、ピストン801とインジケータ8020とが(医療用接着剤又は他の手段によって)物理的に接続されている、つまりピストン801が移動するとそれに応じてインジケータ8020も移動するという事実により、動脈圧が付勢要素803を圧縮させる。したがって、血液はピストン801を外側に移動させ、ピストン801はそれに応じてインジケータ8020を同じ方向で動かす。
【0078】
[0086] インジケータ8020は、針先端810が質量85にあるときには、プランジャ802の端部から突出しない。インジケータ8020は、針先端が管に移動するときにのみ、プランジャ802から外に突出する。したがって、ピストン801及びインジケータ8020の移動を識別することによって、ユーザは針81が管に到達したことを容易に識別することができる。上述したように、針81が静脈に到達する場合には、インジケータは静止し、又は(付勢要素803が圧縮されやすいのであれば)軽く移動される。針81が動脈に到達する場合には、インジケータは移動し、その移動は視覚的に検出可能である。よって、ユーザは、針81が静脈に到達するのかそれとも動脈に到達するのかを容易に識別することができる。バレル800は更にフランジ811を含み得る。フランジ811はユーザにプランジャ801を保持するための利便性を提供する。
【0079】
[0087] 戻って図8aを更に参照すると、インジケータ8020は更に挿入穴8021を含み得る。挿入穴8021は、医療グレードの金属ワイヤなどのガイドワイヤを通過させるための通路を提供する。つまり、本発明のシリンジ80が使用時に静脈に対して正しく位置決めされると、ユーザは次に挿入穴8021を通じてガイドワイヤを挿入し得る。ガイドワイヤは、挿入穴8021、バレル800、及びバレル800に接続された針81を通って管に至る。ガイドワイヤを設置した後、ユーザは、管に接続しているガイドワイヤを残してシリンジ80を取り除いてもよい。
【0080】
[0088] バレル800は、好適には透明プラスチックなどの透明材料で作製される。したがって、バレル800内を移動するピストン802は視覚的に検出され得る。
【0081】
[0089] 次に図9を参照する。同図は、本発明の一実施形態によるシリンジ90を図示している。本実施形態は、電子圧力トランスデューサを備えるシリンジを例示する。より具体的には、シリンジ90は圧力表示システム900を含む。圧力表示システム900は、圧力センサ901と、処理素子902と、LED表示器903と、を含む。圧力表示システム900は、バレル910に、又はより具体的にはプランジャ911に覆われていてもよい。圧力センサ901は、好適には、バレル910内の圧力を検知することのできる電子圧力センサである。
【0082】
[0090] 図9に示される本実施形態は、管の圧力を確認することによって静脈を動脈と区別するためにも用いられ得る。例えば、針920が動脈にある場合には、LED表示器903が警告信号を示して術者に警告し、この管の内部に大口径カテーテルを挿入することを回避する。逆もまた同様である。
図1
図2a
図2b
図3
図3b
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-12-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分を受容するためのリザーバを画定するバレルであって、近位端及び出口を有する遠位端と、前記バレルの外周に形成された係合部材と、前記バレルの前記外周から延伸すると共に前記係合部材に近接して配設されたリブと、を含む、バレルと、
前記リザーバ内で移動可能なピストンと、
プランジャと、
を備え、
前記プランジャは、
前記リザーバによって部分的に受容されると共に摺動可能に前記ピストンと係合された第1のプランジャ部と、
第2のプランジャ部であって、前記係合部材が解放可能に掛け止めする少なくとも1つの止めレッジであって前記第2のプランジャ部の周囲に形成された止めレッジと、第1及び第2の端部を有する第1の付勢部材を収容するための区画と、を含む、第2のプランジャ部と、
前記第1及び第2のプランジャ部を支持するベースプレートと、
を有し、
前記第1の付勢部材の前記第1及び第2の端部は、前記リブ及び前記ベースプレートとそれぞれ係合する、
圧力変化検出用シリンジ。
【請求項2】
前記係合部材と前記少なくとも1つの止めレッジとが係合されていないときには、前記第1の付勢要素は通常状態にあり、
前記プランジャと前記バレルとの前記相対位置が変化するときには、前記第1の付勢要素は圧縮される、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項3】
前記第1のプランジャ部と前記第2のプランジャ部とは、略平行である、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項4】
前記第1の付勢要素は、ばねである、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項5】
前記ピストンは更に、圧力センサを含む、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項6】
前記シリンジは更に、チップを有する穿刺装置を含み、
前記穿刺装置は、前記バレルの前記出口端に取り外し可能に接続されている、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項7】
前記穿刺装置は更に、第2の入口を含む、請求項6の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項8】
前記ピストンは更に、前記ピストンと前記第1のプランジャ部との間に配設された第2の付勢要素を含む、請求項1の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項9】
前記プランジャは更に、前記ピストンと接続しているインジケータを備え、
前記インジケータは、前記ピストンの位置の変化に対して移動する、請求項8の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項10】
前記インジケータは、近位端及び遠位端にそれぞれ置かれた入口及び出口と、前記入口と出口とを接続するチャネルと、を有する、請求項9の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項11】
前記インジケータは更に、バルブを含む、請求項9の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項12】
成分を受容するためのリザーバを画定する、近位端及び出口を有する遠位端を含むバレルと、
前記リザーバ内で移動可能なピストンと、
前記リザーバ内で移動可能であると共に摺動可能に前記ピストンと係合されたプランジャと、
前記ピストンと前記プランジャとの間に配設された付勢要素と、
を備え、
前記プランジャは、前記ピストンと接続しているインジケータを有し、
前記インジケータは、近位端及び遠位端にそれぞれ置かれた入口及び出口と、前記入口と出口とを接続するチャネルと、バルブと、を含み、
前記付勢要素の緊張状態は、前記ピストン及び前記プランジャの異なる相対位置を表す、
圧力変化検出用シリンジ。
【請求項13】
前記シリンジは更に、前記バレルの前記遠位端に取り外し可能に接続されたチップを有する穿刺装置を含む、請求項12の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項14】
前記インジケータは、前記付勢要素が第1の状態にあるときには前記プランジャに対して第1の位置にあり、
前記インジケータは、前記穿刺装置の前記先端が質量の第1の場所に到達するときの前記リザーバの内部の第1の圧力変化に応じて前記第1の位置を維持する、請求項13の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項15】
前記インジケータは、前記穿刺装置の前記先端が質量の前記第1の場所に到達するとき、前記プランジャの端部から突出しない、請求項14の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項16】
前記インジケータは、前記付勢要素が第1の状態にあるときには前記プランジャに対して第1の位置にあり、
前記インジケータは、前記穿刺装置の前記先端が質量の第1の場所に到達するときの前記リザーバの内部の第1の圧力変化によって生じる前記付勢要素の第2の状態に応じて前記第1の位置から第2の位置に移動する、請求項13の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項17】
前記インジケータは、前記穿刺装置の前記先端が前記質量の第2の場所に到達するときの前記リザーバの内部の第2の圧力変化によって生じる前記付勢要素の第3の状態に応じて前記第1の位置から第3の位置に移動し、
前記インジケータの位置の変化は、視覚的に検出可能である、請求項16の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項18】
前記インジケータの一部は、前記穿刺装置の前記先端が前記質量の前記第2の場所に到達するとき、前記プランジャの端部から突出する、請求項17の圧力変化検出用シリンジ。
【請求項19】
前記第2の圧力変化は、前記第1の圧力変化よりも大きい、請求項17の圧力変化検出用シリンジ。
【国際調査報告】